JP2005015252A - カーボンナノチューブの精製方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】未精製カーボンナノチューブを、有機酸と過酸化水素の混合液と接触させ、一段で精製処理することにより、カーボンナノチューブを精製する。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、カーボンナノチューブの精製方法に関し、さらに詳しくは、アモルファスカーボンや金属成分などの不純物を含む未精製カーボンナノチューブを簡単なプロセスで、加熱に伴うエネルギーを要することなく、効率よく精製し、ガス貯蔵材料を始め、従来の炭素材料が使用されている用途での代替炭素材料として期待できるカーボンナノチューブを精製する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、直径が数オングストロームから数十ナノメートルの筒状炭素材料であるカーボンナノチューブは、例えば超高集積化が可能な分子素子、水素を始めとする各種ガスの吸蔵材料、電界放出ディスプレー(FED)用部材、樹脂成形品用添加材などの機能性材料として注目されている。
このカーボンナノチューブは、1991年に飯島らによって、アーク放電法の陰極に堆積した炭素の塊の中に見出されたものであり(例えば、非特許文献1参照)、それ以来積極的に研究が行われ、レーザー光照射法や熱分解による気相合成法など、各種の方法により合成されている。
該カーボンナノチューブには、多層のもの(MWCNT)と単層のもの(SWCNT)とが存在し、特に単層カーボンナノチューブは、水素を始めとする各種ガスの吸蔵材料としての用途が期待されている。しかしながら、これらを含め種々の用途に供するには、製造されたカーボンナノチューブに含まれる、アモルファスカーボンや、触媒として用いられた金属成分などの不純物を効率よく除去して精製する方法の開発が課題となっている。
【0003】
カーボンナノチューブの精製方法としては、これまで、以下に示すように種々の方法が提案されている。
例えば▲1▼カーボン不純物を含むカーボンナノチューブを微粉砕処理し、その微粉砕物を液体中に分散させて、遠心分離することにより、微粒子を含む上澄み液を形成し、該上澄みをろ過して得た分散物を高温焼成するカーボンナノチューブの分離精製方法(例えば、特許文献1参照)、▲2▼カーボンナノチューブ粗生成物を粉砕して溶液中で攪拌し、遠心分離や浮選により非晶質炭素やグラファイトを除去し、さらに酸に溶かす、あるいは磁場中を通過させることにより、金属不純物を除去して純度を向上させる方法(例えば、特許文献2参照)、▲3▼カーボンナノチューブ粗生成物を、酸水溶液を使用して精製する工程、アセトンと酸との混合液を使用して精製する工程、精製ガスを使用して精製する工程の三段階を経て不純物を除去する方法(例えば、特許文献3参照)、▲4▼カーボンナノチューブ粗生成物を、酸又はアルカリ中で還流して金属粒子を除去する工程、200〜700℃の温度で加熱処理してアモルファス炭素を気化させる工程の二段階を経て、不純物を除去するカーボンナノチューブの純度向上方法(例えば、特許文献4参照)、▲5▼カーボンナノチューブ粗生成物を、酸処理工程、昇華性物質を混合したのち、加熱によって昇華性物質を試料中から除去する多孔化処理工程、酸化処理工程の三段階を経て不純物を除去するカーボンナノチューブの純度向上方法(例えば、特許文献5参照)、▲6▼カーボンナノチューブ粗生成物を、過酸化水素水溶液中で湿式酸化処理してアモルファスカーボン微粒子を除去する湿式酸化工程、蒸留水中で超音波分散と沈降分離を繰り返し行い、ナノ粒子とグラファイトを分離除去する沈降処理工程、塩酸などの酸溶液にて洗浄して金属微粒子を除去する酸処理工程の三段階を経て、不純物を除去するカーボンナノチューブの純度向上方法(例えば、特許文献6参照)、▲7▼カーボンナノチューブ粗生成物を、酸性(硫酸)溶液への浸漬又は酸性溶液への浸漬と電場の印加の組み合わせによる金属の除去工程、アモルファスカーボンの加熱除去工程の二段階を経て不純物を除去するカーボンナノチューブの純度向上方法(例えば、特許文献7参照)、▲8▼カーボンナノチューブ粗生成物を、350〜600℃の温度で加熱するか、過酸化水素水中で湿式酸化処理する工程と硝酸中で還流処理する工程からなる第1の工程、過酸化水素水中で湿式酸化処理する工程と塩酸中で還流処理する工程からなる第2の工程を経て、不純物を除去するカーボンナノチューブの純度向上方法(例えば、特許文献8参照)、が開示されている。
【0004】
カーボンナノチューブ粗生成物には、通常アモルファスカーボンと触媒として用いられた金属成分が、不純物として含まれており、その種類や組成は製造方法に依存する。これらの不純物は、その性質上、異なった方法で除去することが効果的であり、一般に、アモルファスカーボンは酸化処理により、金属成分は酸による溶解処理により、除去される。
したがって、上記▲1▼〜▲8▼によるカーボンナノチューブの精製方法は、複数段階の処理工程を必要としており、効率が悪いという欠点を有している。
また、カーボンナノチューブ粗生成物を、過酸化水素と酸との混合液中で加熱処理することにより、不純物を除去するカーボンナノチューブの純度向上方法が開示されている(例えば、特許文献9参照)。しかしながら、この方法においては、酸として無機酸が用いられており、しかも酸と過酸化水素との混合液を加熱することにより純度を向上させる方法であって、加熱処理に伴いエネルギーを要する上、必ずしも安全な処理方法とはいえないなどの問題がある。
【0005】
【特許文献1】
特開平7−48111号公報
【特許文献2】
特開平8−198611号公報
【特許文献3】
特開2001−26410号公報
【特許文献4】
特開2001−335310号公報
【特許文献5】
特開2002−121014号公報
【特許文献6】
特開2002−265209号公報
【特許文献7】
特開2002−308610号公報
【特許文献8】
特開2003−81616号公報
【特許文献9】
特開2003−89510号公報
【非特許文献1】
「ネイチャー(Nature)」、第354巻、第56〜58頁(1991年)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような状況下でなされたもので、アモルファスカーボンや金属成分などの不純物を含む未精製カーボンナノチューブを、簡単なプロセスで、加熱に伴うエネルギーを要することなく、効率よくかつ安全に精製し、ガス貯蔵材料を始め、従来の炭素材料が使用されている用途での代替炭素材料として期待できるカーボンナノチューブを、工業的に有利に精製する方法を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、有機酸と過酸化水素の混合液を用いて、未精製カーボンナノチューブと、好ましくは室温ないし外部から加熱を伴わない状態で、接触させて一段で精製処理することにより、その目的を達成し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
(1)未精製カーボンナノチューブを、有機酸と過酸化水素の混合液と接触させ、一段で精製処理することを特徴とするカーボンナノチューブの精製方法、
(2)有機酸が炭素数1〜3の脂肪族モノカルボン酸、そのハロゲン及び/又は水酸基置換体、並びに安息香酸、そのハロゲン及び/又は水酸基置換体の中から選ばれる少なくとも一種である上記(1)のカーボンナノチューブの精製方法、
(3)有機酸が、蟻酸、酢酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、安息香酸、m−クロロ安息香酸及びサリチル酸の中から選ばれる少なくとも一種である上記(2)のカーボンナノチューブの精製方法、及び
(4)精製処理を、室温ないし外部からの加熱を伴わない状態で行う上記(1)〜(3)のカーボンナノチューブの精製方法、
を提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明のカーボンナノチューブの精製方法において用いられる未精製カーボンナノチューブは、特に制限はなく、例えばアーク放電法、レーザー法、CVD法(化学的気相蒸着法)などで製造されたMWCNTやSWCNTである。これらのカーボンナノチューブの未精製品には、通常アモルファスカーボンやグラファイト、さらにはFe、Co、Ni、Yなどの触媒金属やその金属酸化物等の微粒子が不純物として含まれている。
本発明の方法においては、前記未精製カーボンナノチューブ中の不純物を除去するために、有機酸と過酸化水素との混合液が用いられる。この有機酸と過酸化水素との混合液を使用する場合、有機酸と過酸化水素との反応により、次式で示されるように強い酸化力を有する有機過酸が生成し、カーボンナノチューブに含まれるアモルファスカーボンを酸化・分解する。
R−COOH + H2O2 → R−COOOH + H2O
R−COOOH + (カーボンナノチューブ中の不純物成分)→ R−COOH + (不純物の酸化物)
その結果、アモルファスカーボンによって有機酸との接触が阻害されていた金属成分が露出し、有機酸中へ溶解・除去されやすくなる。
【0009】
本発明においては、前記有機酸として、炭素数1〜3の脂肪族モノカルボン酸、そのハロゲン及び/又は水酸基置換体、並びに安息香酸、そのハロゲン及び/又は水酸基置換体の中から選ばれる少なくとも一種を用いることができる。ここで、炭素数1〜3の脂肪族モノカルボン酸としては、例えば蟻酸、酢酸、プロピオン酸などが挙げられ、またそのハロゲン及び/又は水酸基置換体としては、例えばモノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、グリコール酸などが挙げられる。また、安息香酸のハロゲン及び/又は水酸基置換体としては、例えばo−クロロ安息香酸、m−クロロ安息香酸、p−クロロ安息香酸、サリチル酸(o−ヒドロキシ安息香酸)、m−ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸、4−クロロ−2−ヒドロキシ安息香酸、2−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸などが挙げられる。これらの有機酸の中で、特に蟻酸、酢酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、安息香酸、m−クロロ安息香酸及びサリチル酸が好ましい。これらの有機酸は一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0010】
また、前記有機酸が常温で固体状である場合、該有機酸を溶解する溶媒、例えば水、蟻酸、酢酸、あるいは過酸化水素に対して不活性な有機溶媒に溶解し、溶液状にして用いることが望ましい。
本発明においては、前記有機酸の使用量は、未精製カーボンナノチューブに含まれる金属成分のモル数に対して、10倍モル以上が好ましく、より好ましくは50倍モル以上、特に好ましくは100倍モル以上である。また、過酸化水素の使用量は、未精製カーボンナノチューブのアモルファスカーボンの種類や量にもよるが、未精製カーボンナノチューブに対して、通常5倍質量以上、好ましくは10〜40倍質量、より好ましくは15〜30倍質量の範囲で選定される。さらに、有機酸と過酸化水素の使用割合は、有機酸/過酸化水素モル比で、通常0.1以上、好ましくは1以上、より好ましくは1.5〜10以上である。
なお、精製処理操作を行う前に、予め未精製カーボンナノチューブの成分組成を、例えばEPMAや、TG−DTA分析により測定し、有機酸及び過酸化水素の使用量を定めるのがよい。
【0011】
未精製カーボンナノチューブを、有機酸と過酸化水素の混合液と接触させ、精製処理する方法については特に制限はないが、例えば以下に示す方法を採用することができる。
まず、有機酸溶液中に未精製カーボンナノチューブを加え、ここに5〜30質量%程度の過酸化水素水を添加し、室温ないし外部からの加熱を伴わない状態で、1〜7日間程度、攪拌しながら反応を行う。上記過酸化水素水の添加速度については特に制限はない。また、攪拌としては、機械攪拌、超音波攪拌又は過酸化水素からの発生ガスによる液中での流動を利用する方法、あるいはこれらを併用する方法などを用いることができる。
このようにして、精製処理を施したのち、カーボンナノチューブを公知手段、例えばろ過(自然ろ過、吸引ろ過)、デカンテーション、遠心分離などの手段により、固液分離する。次いで、固液分離されたカーボンナノチューブを、イオン交換水などの水を用いて十分に水洗する。この水洗は、通常固液分離されたカーボンナノチューブ1gに対して、20〜100mL程度の水を使用し、洗浄水のpHが7近くになるまで行う。その後、上記カーボンナノチューブ1gに対して、メタノールやエタノールなどの低級アルコールを20〜100mL程度使用し、1〜3回程度洗浄する。洗浄処理カーボンナノチューブは、室温〜100℃程度の温度で常圧乾燥又は減圧(1.3×10−2Pa程度)乾燥処理する。乾燥処理時間は、被処理物の性状にもよるが、通常1〜12時間程度である。昇温速度については特に制限はない。
このようにして、アモルファスカーボンや金属成分などの不純物を含む未精製カーボンナノチューブから、純度の高いカーボンナノチューブを効率よく精製することができる。
【0012】
【実施例】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
実施例1
フラスコに90質量%蟻酸水溶液65g(HCOOH:1.27モル)を仕込み、攪拌しながら、これに市販の未精製品であるカーボンナノチューブ[CarboLex社製、商品名「CarboLex−AP」]粉末1gを加えた。次いで、30質量%過酸化水素水75mLにイオン交換水75mLを加えて調製した15質量%過酸化水素水150mL(H2O2:約0.66モル)を、上記のカーボンナノチューブと蟻酸水溶液との混合物に徐々に加え、室温で攪拌を継続した。HCOOH/未精製カーボンナノチューブ中の金属成分モル比は165.6であり、HCOOH/H2O2モル比は1.92であった。
4日間攪拌したのち、攪拌を止め、静置し、デカンテーションにより上澄み液を取り除いた。残渣にイオン交換液300mLを加え、遠心分離器に3,500rpmで約10分間かけたのち、デカンテーションにて上澄み液を取り除き、残った固相にイオン交換水300mLを加え、再度遠心分離器にかけた。この操作を繰り返して、上澄み液のpHが7近くになった時点で、残った固相にメタノール200mLを加えて遠心分離器にかけた。
デカンテーションにて上澄みのメタノールを除去して固相を取り出し、これを減圧乾燥機にて、1.3×10−4Pa、27℃の条件で5時間乾燥処理することにより、精製カーボンナノチューブを得た。
この試料について、TG−DTA分析を行い、成分組成を測定すると共に、BET法により比表面積を測定した。その結果を第1表に示す。
【0013】
比較例1
フラスコに90質量%蟻酸水溶液65g及びイオン交換水130mLを仕込み、混合、攪拌した。これに、市販の未精製品であるカーボンナノチューブ「CarboLex−AP」(前出)粉末1gを加え、室温で攪拌した。4日間攪拌したのち、攪拌を止め、静置し、これ以降は、実施例1と同様な操作を行った。
得られた試料について、実施例1と同様に、TG−DTA分析を行い、成分組成を測定すると共に、比表面積を測定した。その結果を第1表に示す。
【0014】
比較例2
フラスコに30質量%過酸化水素水75mLとイオン交換水75mLを加え、攪拌して15質量%過酸化水素水150mLを調製した。これに、市販の未精製品であるカーボンナノチューブ「CarboLex−AP」(前出)粉末1gを加え、室温で攪拌した。4日間攪拌したのち、攪拌を止め、静置し、これ以降は、実施例1と同様な操作を行った。
得られた試料について、実施例1と同様に、TG−DTA分析を行い、成分組成を測定すると共に、比表面積を測定した。その結果を第1表に示す。
【0015】
比較例3
フラスコに30質量%過酸化水素水75mLとイオン交換水75mLを加え、攪拌して15質量%過酸化水素水150mLを調製した。これに、市販の未精製品であるカーボンナノチューブ「CarboLex−AP」(前出)粉末1gを加え、室温で攪拌した。
4日間攪拌したのち、攪拌を止め、静置し、デカンテーションにより上澄み液を取り除いた。残渣にイオン交換液300mLを加え、遠心分離器に3,500rpmで約10分間かけたのち、デカンテーションにて上澄み液を取り除き、残った固相にイオン交換水300mLを加え、再度遠心分離器にかけた。この操作を繰り返して、上澄み液のpHが7近くになった時点で、水洗を終了した。
別途、フラスコに90質量%蟻酸水溶液65gとイオン交換水130mLを仕込み、混合、攪拌した。次いで、これに上記の水洗を終えた固相を加えて室温で攪拌した。4日間攪拌したのち、攪拌を止め、静置し、これ以降は、実施例1と同様な操作を行った。
得られた試料について、実施例1と同様に、TG−DTA分析を行い、成分組成を測定すると共に、比表面積を測定した。その結果を第1表に示す。
【0016】
【表1】
【0017】
第1表から、実施例1では、得られた精製試料は、未精製試料に比べて、アモルファスカーボン及び金属成分が除去され、カーボンナノチューブの純度が大幅に向上すると共に、比表面積も大きく増大していることが分かる。比較例1の精製試料は、実施例1の精製試料に比べて、金属成分の除去が十分ではなく、蟻酸のみによる精製処理では、カーボンナノチューブの純度及び比表面積が劣ることが分かる。比較例2の精製試料は、実施例1の精製試料に比べて、アモルファスカーボン及び金属成分の除去が十分ではなく、過酸化水素水のみによる精製処理では、カーボンナノチューブの純度及び比表面積が劣ることが分かる。比較例3の精製試料は、実施例1の精製試料に比べて、アモルファスカーボン及び金属成分の除去が十分ではなく、過酸化水素水処理に次いで蟻酸処理する二段階による精製処理では、カーボンナノチューブの純度及び比表面積が劣ることが分かる。
すなわち、比較例1〜3の結果から、蟻酸と過酸化水素水の共存下での1段処理(実施例1)の有効性が確認できる。
【0018】
【発明の効果】
本発明によれば、アモルファスカーボンや金属成分などの不純物を含む未精製カーボンナノチューブを、簡単なプロセスで、加熱に伴うエネルギーを要することなく、効率よくかつ安全に精製し、ガス貯蔵材料を始め、従来の炭素材料が使用されている用途での代替炭素材料として期待できるカーボンナノチューブを工業的に有利に精製する方法を提供することができる。
Claims (4)
- 未精製カーボンナノチューブを、有機酸と過酸化水素の混合液と接触させ、一段で精製処理することを特徴とするカーボンナノチューブの精製方法。
- 有機酸が、炭素数1〜3の脂肪族モノカルボン酸、そのハロゲン及び/又は水酸基置換体、並びに安息香酸、そのハロゲン及び/又は水酸基置換体の中から選ばれる少なくとも一種である請求項1記載のカーボンナノチューブの精製方法。
- 有機酸が、蟻酸、酢酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、安息香酸、m−クロロ安息香酸及びサリチル酸の中から選ばれる少なくとも一種である請求項2記載のカーボンナノチューブの精製方法。
- 精製処理を、室温ないし外部からの加熱を伴わない状態で行う請求項1〜3のいずれかに記載のカーボンナノチューブの精製方法。
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