JP2005011879A - 光起電力素子の製造方法及び製造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】光起電力体の主面上に集電電極としての金属細線の蛇行を抑制することにより、金属細線の曲がりによる出力低下のない光起電力素子を歩留まり良く製造する方法および製造装置を提供する。
【解決手段】光起電力体上に金属細線の両端を固定してなる複合体を熱板の主面から突出した複数の可動支持体の上に載置し、熱板に対向させた弾性シ−トの反対向面に加わる圧力が対向面に加わる圧力よりも高い状態で、弾性シ−トを複合体の上に押し当てる光起電力素子の製造方法であって、弾性シ−トが複合体に接触する前に、可動支持体を熱板に埋没させる。
【選択図】 図1
【解決手段】光起電力体上に金属細線の両端を固定してなる複合体を熱板の主面から突出した複数の可動支持体の上に載置し、熱板に対向させた弾性シ−トの反対向面に加わる圧力が対向面に加わる圧力よりも高い状態で、弾性シ−トを複合体の上に押し当てる光起電力素子の製造方法であって、弾性シ−トが複合体に接触する前に、可動支持体を熱板に埋没させる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は光起電力素子の製造方法および製造装置に関し、より詳細には光起電力体の表面に金属細線からなる集電電極を有する光起電力素子の製造方法および製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
光起電力素子の電極構造は主に、電流を集めるための比較的細い金属からなる櫛歯状や格子状の集電電極と、この集電電極によって集められた電流を集めるためのバスバ−と呼ばれる比較的太い金属からなる電極とからなる。電極材料としては銀や銅のように比抵抗の低い材料が好適に用いられる。
【0003】
これら電極の形成方法の中で、特に集電電極の形成には蒸着法、メッキ法、スクリ−ン印刷法が好適に用いられる。
【0004】
しかし、蒸着法では堆積速度が遅いこと、真空プロセスを用いるためスル−プットが低いこと、また、線状のパタ−ンを形成するためにはマスキングが必要であり、またマスク部分に堆積した金属は無駄になる等の問題点がある。
【0005】
一方、スクリ−ン印刷法では、印刷に使用する導電性ペ−ストの比抵抗が、最も低いものでも4.0×10−5Ωcmであり、低抵抗な電極が得にくい問題がある。一般には純粋なバルクの銀よりも1桁抵抗が高くなる。
【0006】
さらに蒸着法やスクリ−ン印刷法の場合、仮に集電電極の面積を変えずに抵抗を下げるために電極の厚みを厚くすることが必要であるが、実用的に可能な厚みは蒸着法の場合、1μm以下、印刷法の場合10μm〜20μmである。このような厚みでは必然的に集電電極の幅が200μm以上となりアスペクト比(縦横の比)が非常に小さくなり、シャド−ロスが大きくなってしまう問題がある。
【0007】
これらに対し、特開2003−039554号公報(特許文献1)に開示されるように、金属細線を、導電性粒子を含む樹脂で被覆した集電電極が知られている。この発明は導電性の良い銅等の金属細線を用いるため長い集電電極を形成した場合でも電気抵抗ロスが少なく、またアスペクト比が1:1とできるためシャド−ロスも小さくすることが可能である。また、これらの発明では、細線の固定は導電性樹脂を用いて簡便な方法で行われている。
【0008】
図5、図6及び図7に従来の金属細線を使用した集電電極形成方法の模式図を示す。以下図に従って従来例を説明する。
【0009】
図5の501は光が入射すると起電力を生じる光起電力体である。図5の(a)は光起電力体501の平面図であり、図5の(b)は光起電力体501の側面図である。光起電力体501の主面上の端部に両面粘着テ−プ507を貼り付け、かつ、導電性樹脂被覆を施した金属細線502を複数本並べて各金属細線の端部を両面粘着テ−プ507に固定している。この時金属細線502に適度に張力を加えた状態で固定し、金属細線502が直線状態で固定されるようにしている。さらに、その上に銅箔からなるバスバ−電極508を貼り付けて複合体503を形成している。
【0010】
特開2003−039554号公報ではこの複合体503を加熱圧着装置に入れて処理することで金属細線502を光起電力体501に熱圧着させている。
【0011】
図6は特開2003−039554号公報の加熱圧着装置の図である。加熱圧着装置は熱板604とチャンバ−609に弾性シ−ト606を取り付けたものとからなる。図6(a)は加熱圧着装置を図6(b)のZZ間の点線で切断した場合の断面を上かから見た図であり、熱板604の平面図である。図6(b)は加熱圧着装置を図6(a)のXX間で切断した場合の断面図である。さらに図6(c)は加熱圧着装置を図6(a)のYY間で切断した場合の断面図である。チャンバ−609は熱板604に重なるように上下する。また、熱板604には弾性シ−ト吸着溝612が形成されている。チャンバ−609が熱板に重なった時にOリング619が弾性シ−ト吸着溝612に嵌り、熱板604と弾性シ−ト606との間に気密空間が形成される。さらに、熱板604には脱気口613が設けられている。これは熱板604と弾性シ−ト606との間に形成される前述の気密空間の内部を脱気するためのものである。弾性シ−ト吸着溝612および脱気口613は夫々、配管614、615、及びバルブ616、617を通して真空ポンプ618に接続されている。図6(c)の拡大図に示した様に熱板604には複数箇所の穴610が開けられ、可動支持体605が熱板604の主面から突出している。可動支持体605はバネ611によって外部から力が加わらない限り常時突出するようになっている。
【0012】
図7は、図5の複合体503を図6の加熱圧着装置によって処理する工程を示したものである。この処理工程は(a)、(b)、(c)、(d)と順を追って進む。図7の左半分は図6の加熱圧着装置のXX断面を示したものであり、右半分は同じく図6の加熱圧着装置のYY断面を示した図である。
【0013】
図7(a)は、不図示のオ−トハンドによって複合体703を、熱板704の表面から突出した複数の可動支持体705の上に載せた状態の図である。ここで熱板704は不図示の手段によって常時加熱されている。この時、可動支持体705はバネ611(図6参照)によって上方に押し上げられた状態にあるため、複合体703は熱板704から浮いた状態にあり、複合体703の温度上昇は小さい状態にある。
【0014】
図7(b)は、チャンバ−709に取り付けた弾性シ−ト706と複合体703とが接触するまでチャンバ−709を下降させた状態の図である。
【0015】
図7(c)は、チャンバ−709に取り付けたOリング719が熱板704に設けられた弾性シ−ト吸着溝712に嵌るまで、チャンバ−709を下降させた状態の図である。さらにチャンバ−709の下降と同時にバルブ716を開け、配管714及び弾性シ−ト吸着溝712内部を真空ポンプ718によって脱気し、弾性シ−ト706を熱板704に吸着させている。これにより複合体703は、弾性シ−ト706と熱板704とで囲まれた気密空間720に包まれた状態となっている。この状態においても、複合体703は熱板704から浮いた状態にあり、まだ複合体703の温度上昇は小さい状態にある。
【0016】
図7(d)は、さらにバルブ717を開け、配管715、脱気口713、及び図7(c)で形成された気密空間720内部を真空ポンプ718によって脱気した状態の図である。この状態で弾性シ−ト706は複合体703に密着した状態にあり、したがって金属細線702もまた、光起電力体701上に固定された状態となっている。さらに、この時、可動支持体705を上方に押し上げていたバネが大気圧によって圧縮され、複合体703は熱板704に接触する。これにより、複合体703の温度が熱板704の温度に向かって急激に上昇し、金属細線702と光起電力体701との接着現象が進行する。
【0017】
図7(d)の状態のまま、金属細線702が光起電力体701上に接着された状態になるまで所定の時間保持し、チャンバ−709を上昇させると、バネ611が伸長し複合体703と熱板704とが離れて複合体703の温度が低下する。ここで、金属細線702と光起電力体701との熱圧着が完了する。
【0018】
この方法では、熱板704は常時加熱されており、複合体703を熱板704に置くことで、光起電力体701と金属細線702の加熱を行い、また、複合体703を熱板608上から取り去ることで加熱を終了している。この様にすることで光起電力体601を短時間に加熱冷却することが可能になるため、この方法は量産性の面で優れた方法と言える。さらに、この方法では、光起電力体701を熱板704の上に戴置する際と、光起電力体701を熱板704の上から取り去る際に、光起電力体703が可動支持体705によって熱板704から浮いた状態にあるために、例えば爪を有するハンドによって容易に戴置、および除去することが可能である点においても優れた方法と言える。
【0019】
【特許文献1】
特開2003−039554号公報
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の方法では金属細線702を光起電力体701上に熱圧着する際に金属細線702が曲がって光起電力体701上に接着される場合や、部分的に接着が不十分になる場合があった。
【0021】
従来の方法では図7(c)の段階においても、まだ金属細線702は光起電力体701に固定された両端部以外の部分は固定されていない状態にある。金属細線702には予め張力が加えられえており直線状態にあるものの、金属細線702は弾性を有するために弦の様に振動可能な状態にある。図7(c)から(d)にかけて気密空間720を脱気する際、気密空間720内部の気体の圧力変動や、気体の流れによって、金属細線702が振動する。その状態で弾性シ−ト706が金属細線702を光金電力体701上に押し付けるため、場合によっては金属細線702が曲がった状態で光起電力体701上に固定されることがあった。
【0022】
また、図7(c)から(d)にかけて気密空間720を脱気し、弾性シ−ト706を複合体703および熱板704に密着させる際に、弾性シ−ト706に弛みが生じた場合は図7(d)の拡大図に示すような弾性シ−ト706の皺721が発生することがあった。この場合、皺721の下では金属細線702の光起電力体701への押圧力が弱まるため、金属細線702と光起電力体701との接着が不十分になる。
【0023】
これに対して、我々は、金属細線702の曲がりの原因となる、弾性シ−ト706と熱板704との間の気密空間720を脱気する際の金属細線702の振動をなくし、弾性シートの弛みを生じさせない方法として図8に示した方法を思いついた。図8は図7のYY断面に相当する断面図である。図8(a)は、光起電力体801上に金属細線802の両端を固定してなる複合体803を、熱板804の主面から突出した可動支持体805の上に載置する第一の工程が終了した状態を示している。図8(b)乃至(d)において、弾性シ−ト806を複合体803に連続的に押し当てていく様子が、段階的に示されている。図8(b)乃至(d)の段階に一貫して、弾性シ−ト806の熱板804との反対向面、即ち図の上面に加わる圧力は、弾性シ−ト806の熱板804との対向面、即ち図の下面に加わる圧力よりも高い状態に不図示の手段によって維持されている。したがって、弾性シ−トは図8に示したように下に膨らむ。下に凸に膨らんだ弾性シ−トは図8(b)の段階において、金属細線802の中心部分(図のA部)に接触し、圧力を及ぼす。このため金属細線802の中心部分が、まず光起電力体801に固定される。さらに図8(b)乃至(d)において、金属細線802が中心部分(図のA部)から両端に向けて連続的に扱く様にして固定される。この時に弾性シ−ト806と熱板804の間の気体は図8の両側に押し出される。
【0024】
この方法では図7の従来の方法と異なり、弾性シ−ト806と熱板804との間の空間を脱気する必要が無いため、金属細線804が振動することがない。また、仮に図7と同様に熱板804に脱気口を設けて図8(d)の工程の後に弾性シ−ト806と熱板804との間の気体を脱気するとしても、その時には弾性シ−ト806によって金属細線802は光起電力体801に押しつけられているために振動することがない。従って金属細線802が曲がって光起電力体801上に曲がって固定されることが抑制される。
【0025】
また、図8(a)乃至(d)において常に、弾性シ−ト806の上面に加わる圧力が、下面に加わる圧力よりも高い状態であるため、弾性シ−ト806には常に張力が加わった状態にある。この状態で弾性シ−ト806を中央部(図8のA部)より周囲に向けて、複合体803および熱板804に、連続的に押し付けるために、弾性シ−ト806には従来のような弛みが発生しない。したがって、弾性シ−ト806には皺が発生せず、金属細線802と光起電力体801との接着も十分行われる。
【0026】
しかし、図8の方法では光起電力体に剛性が足りない薄型基板を有する光起電力体のようなケースでは、以下の理由で金属細線が曲がって接着される可能性が残されている事が判明した。
【0027】
すなわち、下に膨らんだ弾性シ−ト806によって複合体803を押し下げるため、図8(c)に示したように、複合体803中央部は凹状に変形し熱板804の中央部付近の可動支持体805が先に沈みこんでしまう。この中央部の凹状の変形によって、複合体803の表面に固定された金属細線802の張力が緩和されてしまう。この張力が緩和した状態で弾性シ−ト806によって光起電力体801上に金属細線802が固定されてしまうため、金属細線802は曲がって固定されうる。
【0028】
金属細線702が曲がって光起電力体701上に接着された場合、集電経路が長くなることによって、ジュール損失が大きくなる。さらに、金属細線702が光起電力体701の光入射面上に曲がって接着される場合は、金属細線702が光入射面に形成する影の面積が大きくなるために光起電力素子の発電量が低下する。
【0029】
また金属細線702と光起電力体701との接着が不十分である場合、その部分の電気的抵抗が大きくなり、その部分で損失が発生するために光起電力素子の発電量が低下する。
【0030】
本発明が解決しようとする課題は、上記金属細線702の曲がりの発生や、部分的な接着不良を抑えることによって光起電力素子のジュール損失や発電量の低下を防ぐことである。
【0031】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための手段である本発明の光起電力素子の製造方法は、
光起電力体上に金属細線の両端を固定してなる複合体を熱板の主面から突出した複数の可動支持体の上に載置する第一の工程と、前記熱板に対向させた弾性シ−トの反対向面に加わる圧力が対向面に加わる圧力よりも高い状態で、前記弾性シ−トを前記複合体の上に押し当てる第二の工程とを含む光起電力素子の製造方法において、
前記弾性シ−トが前記複合体に接触する前に、前記可動支持体が前記熱板に埋没することを特徴とする。
【0032】
また、光起電力体上に金属細線の両端を固定してなる複合体を熱板の主面から突出した複数の可動支持体の上に載置する第一の工程と、前記熱板に対向させた弾性シ−トの反対向面に加わる圧力が対向面に加わる圧力よりも高い状態で、前記弾性シ−トを前記複合体の上に押し当てる第二の工程とを含む光起電力素子の製造方法において、
複数の前記可動支持体は互いに連動して、同時に前記熱板に埋没することを特徴とする。
【0033】
また、光起電力体上に金属細線の両端を固定してなる複合体を熱板の主面から突出した複数の可動支持体の上に載置する第一の工程と、前記熱板に対向させた弾性シ−トの反対向面に加わる圧力が対向面に加わる圧力よりも高い状態で、前記弾性シ−トを前記複合体の上に押し当てる第二の工程とを含む光起電力素子の製造方法において、
前記複合体に前記弾性シ−トを押し当てるまでの間、前記複合体の端部が前記複合体の中央部よりも下方に下がった状態で保持保持すること特徴とする。
また、複数の前記可動支持体の支持力に差を設けたことを特徴とする。
【0034】
さらに、上記課題を解決するための手段である本発明の光起電力素子の製造装置は、
光起電力体上に金属細線の両端を固定してなる複合体を熱板の主面から突出した複数の可動支持体の上に載置する第一の手段と、前記熱板に対向させた弾性シ−トの反対向面に加わる圧力が対向面に加わる圧力よりも高い状態で、前記弾性シ−トを前記複合体の上に押し当てる第二の手段とを有する光起電力素子の製造装置において、
前記弾性シ−トが前記複合体に接触する前に、前記可動支持体が前記熱板に埋没することを特徴とする。
【0035】
また、光起電力体上に金属細線の両端を固定してなる複合体を熱板の主面から突出した複数の可動支持体の上に載置する第一の手段と、前記熱板に対向させた弾性シ−トの反対向面に加わる圧力が対向面に加わる圧力よりも高い状態で、前記弾性シ−トを前記複合体の上に押し当てる第二の手段とを有する光起電力素子の製造装置において、
複数の前記可動支持体は互いに連動して、同時に前記熱板に埋没することを特徴とする。
【0036】
また、光起電力体上に金属細線の両端を固定してなる複合体を熱板の主面から突出した複数の可動支持体の上に載置する第一の手段と、前記熱板に対向させた弾性シ−トの反対向面に加わる圧力が対向面に加わる圧力よりも高い状態で、前記弾性シ−トを前記複合体の上に押し当てる第二の手段とを含む光起電力素子の製造装置において、
前記複合体に前記弾性シ−トを押し当てるまでの間、前記複合体の端部が前記複合体の中央部よりも下方に下がった状態で保持保持する手段を有することを特徴とする。
【0037】
また、複数の前記可動支持体の支持力に差を設けたことを特徴とする。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を説明する。
【0039】
図9は第一の実施の形態を説明する図である。図9は本発明を模式的に表すものである。図9は図8と同様に図7のYY断面図に相当する図である。
【0040】
図9の実施の形態では、可動支持体905は弾性シ−ト906が複合体903に接触する前に、熱板904に埋没するため、図8(c)ような段階が無い。したがって、金属細線902の張力緩和を防止することが可能である。ただし、図9(b)の段階で複合体903が熱板904に接触するため、金属細線902を光起電力体901の上に固定する前に複合体903の本格的加熱が始まってしまう。金属細線902を光起電力体901に押し付けないまま加熱が進行した場合、金属細線901の熱膨張や、その両端の固定力の緩和等によって、金属細線902の張力緩和が発生する可能性がある。したがって、可動支持体905が熱板904に埋没するタイミングは弾性シ−ト906が光起電力体901に接触する直前であることが好ましい。より具体的には複合体903が熱板904に接触してから、弾性シ−ト906が複合体903に接触するまでの間に、複合体903の温度が熱板904の温度の50%に満たない方が好ましい。
【0041】
図10に他の実施の態様例を示す。図10は図8と同様に図7のYY断面図に相当する図である。
【0042】
図10の態様例では、熱板1004には複数の可動支持体1005が設けられている。かつ図10(a)乃至(d)において、前記複数の可動支持体1005は不図示の手段によって互いに連動して、同時に熱板1004に埋没する様になっている。可動支持体1005が連動して沈降すれば、複合体1003の中央部が凹状に変形することなく平板状態を保つことが可能であるため、金属細線1002の張力緩和が発生しない。したがって、金属細線1002の曲りを防ぐことが可能になる。
【0043】
図11に別の実施の態様例を示す。図11は図8と同様に図7のXX断面図、及びYY断面図に相当する図である。図の様に複合体1103の端部が複合体1103の中央部よりも下方に下がった状態で保持することによって、その表面に固定されている金属細線1102に適度な張力を加えることが可能である。より好ましくは複合体1103を受光面側に1123が凸状に反らせるようにした方が金属細線1102の張力が高まる。この張力は金属細線1102を直線に保つ力となるため、金属細線1102が曲がることを防ぐことが可能となる。
【0044】
複合体1103を受光面側に凸状に反らせる方法としては複合体1103の非受光面側の中央部に少なくとも支持部材を設け、前記中央部以外の領域の支持部材は、支持部材の数が少ない、及びまたは、支持部材の高さが、中央部と比較して低い、及びまたは、支持部材が全く存在しないようにすれば良い。例えば、図11の様に複合体1103の四隅付近に支持体を配置しない方法や、端部1123付近を支持する支持体の支持力を、中央部を支持するものと比較して弱いものにすることでも可能である。なお、前記中央部とは、弾性シートが複合体と接触し、複合体が変形し始める時に、弾性シートが複合体と接触している領域を示す。
【0045】
以下に上述の用語の説明をする。
【0046】
(光起電力体)
入射する光のエネルギ−を電力に変換する作用を有するものである。
【0047】
光起電力体は光のエネルギ−を電力に変換する層である光起電力層単独体であっても、光起電力層と、光起電力層の形状を維持するための基板、電流を流すための電極層、光を反射させるための層等との複合体であってもよいが、本発明でより効果の大きいのは、伝導性の高い薄型基板を有するものであり、このような光起電力体に適用することが好ましい。
【0048】
一般的には光起電力層は半導体接合からなる。半導体は材料の面で大きくシリコン系と、ガリウム砒素や硫化カドミウムに代表される化合物半導体系とに分けられる。また接合のバンド構造の面で、単純な同種のp型半導体とn型半導体との接合であるpn接合型、禁制帯の異なる異種半導体の接合からなるヘテロ接合型、半導体と金属のショットキ−バリア型に分類される。結晶構造の面での分類では結晶系、アモルファス系に分類される。層構造の面では接合一層からなるシングル、接合二層を重ねて直列化したタンデム、さらに三層を重ねたトリプル等が公知である。
【0049】
基板は導電性、絶縁性どちらでも良い。導電性基板としてはステンレスやアルミ等の金属基板が好適に用いられる。絶縁基板としてはガラス、セラミック、樹脂による基板が挙げられる。
【0050】
電流を流すための層は光起電力体の光入射側である場合は、ITO、Sn2O3等の透明導電性酸化物層が用いられる。反光入射側である場合は、銀、アルミ等の太陽光に対して反射率の高く、導電率の高い層が用いられる。また、太陽光を反射させるための層としてはZnO層を用いることが公知である。
【0051】
光起起電力素子の製造方法に関する本発明の効果は、光起電力層の材質、形状、製法によって失われるものでは無い。
【0052】
(金属細線)
金属細線は、線材として工業的に安定に供給されているものが好ましく、かつ、前記金属細線を形成する金属体の材質としては、比抵抗が10−4Ωcm以下の金属を用いることが望ましい。例えば、銅、銀、金、白金、アルミニウム、モリブデン、タングステンなどの材料が、比抵抗が小さいため好適に用いられる。中でも、銅が、電気抵抗が低いうえに安価であることから望ましい。また、前記金属細線はこれらの金属の合金であってもよい。前記金属細線の表面には、所望に応じて、腐食防止、酸化防止、電気的導通の改良などの目的で薄い金属層や樹脂層を形成したものでもよい。該表面金属層としては、例えば、銀、パラジュ−ム、銀とパラジュ−ムの合金、金などの腐食されにくい貴金属や、ニッケル、錫などの耐食性のよい金属を用いることができる。なかでも、金、銀、錫が湿度などの影響を受けにくいため、当該金属層として好適に用いられる。前記金属層の形成方法としては、例えば、メッキ法、クラッド法が好適に用いられる。
【0053】
金属細線を被覆する導電性樹脂の厚みは、所望に応じて決定されるものであるが、例えば断面が円形の金属細線であれば、直径の1%から10%の厚みが好適である。電気的導通、耐食性の効果、金属層厚みを考慮して金属層の比抵抗は、10−6Ωcm以上100Ωcm以下が好適である。前記金属細線の断面形状は円形が好適であるが、矩形であってもよく所望に応じて適宜選択される。前記金属細線の直径は、電気抵抗ロスとシャド−ロスとの和が最小となるように設定して選択されればよい。前記金属細線は公知の伸線機によって所望の直径に成型して作製できる。伸線機を通過した金属細線は硬質であるが、伸び易さや曲げ易さなどの所望の特性に応じて公知の方法でアニ−ルし、軟質にしてもよい。本発明の効果は金属細線の種類によって失われるものではないが、本発明は金属細線が曲がって光起電力体の主面に圧着されることを防ぐためのものであるから、本発明の効果は曲がり易い金属細線に対して高いと言える。材質は銅、銀が挙げられる。また、芯線の周りに熱膨張率の異なる金属の皮膜を有する場合も、熱を加えた場合に熱膨張率の差によって金属細線に反り、捩れが発生し易い。
【0054】
(複合体)
光起電力体上に金属細線の両端を固定したものである。
【0055】
本発明は金属細線の熱圧着方法に関するものであるため、光起電力体と金属細線を熱圧着する際に、光起電力体、金属細線、もしくはその両方に接着機能を有する部材を設ける必要がある。接着機能を有する部材としては半田に代表される低融点金属や導電性樹脂が好適である。導電性樹脂を光起電力体上に設ける方法としては、低融点金属の微粉末を樹脂中に分散させたものをスクリ−ン印刷、ディスペンサ−による塗布等の方法で光起電力体上に塗る方法が公知である。また、金属細線表面に設ける方法としては、ロ−ラ−やスプレ−で金属細線表面に塗布する方法や、塗布後にフェルトやダイスで絞り、炉で乾燥させる方法が挙げられる。また、低融点金属を金属細線に設ける方法としては溶融メッキが挙げられる。ここで言う導電性樹脂とは導電性のフィラ−をバインダ−樹脂の中に分散させたものである。フィラ−としては銀、銅等の金属粉末や、ITO、ZnO、SnO2、In2O3、TiO2等の酸化物粉末、カ−ボン、グラファイト粉末等が挙げられる。また、バインダ−樹脂としては金属細線に被覆を形成しやすく、作業性に優れ、柔軟性があり、耐候性に優れた樹脂が好ましい。具体的には、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノ−ル樹脂、ポリビニルホルマ−ル樹脂、アルキド樹脂あるいはこれらを変性した樹脂などの熱硬化性樹脂が好適な材料として挙げられる。とりわけ、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノ−ル樹脂はエナメル線用絶縁被覆材料として用いられており柔軟性や生産性の面で優れた材料である。しかも、耐湿性、接着性の面でも光起電力素子の集電電極用材料として好適に用いられる。この他、ブチラ−ル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、メラミン樹脂、ブチラ−ル樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂などの熱可塑性樹脂を用いることもできる。これらの中、ブチラ−ル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂が柔軟性、耐湿性、接着性の面で優れた材料で光起電力素子の集電電極用材料として好適に用いられる。本発明の効果はこれら導電性樹脂の種類によらない。
【0056】
金属細線の両端を光起電力体の主面に固定する方法としては、金属細線と光起電力体との間に樹脂、低融点金属等を介する方法や、樹脂、低融点金属等によって金属細線を光起電力体に押さえつけることによって固定する方法がある。
【0057】
樹脂は接着樹脂や粘着樹脂が公知である。具体的には接着樹脂、粘着樹脂としては、例えば、アクリル系、ゴム系、シリコ−ン系、ポリビニルエ−テル系、エポキシ系、ポリウレタン系、ナイロン系、ポリアミド系、無機系、または複合型接着剤などが挙げられる。これらの中で、特に接着性、タック、保持力、耐電性、耐湿性などに優れているものとして、アクリル系、シリコ−ン系接着剤が好適に用いられる。さらに、作業性、量産性を高めるために、基材と上記接着剤を重ねた構成の粘着テ−プ、両面粘着テ−プを用いることも可能である。その際の基材としては、集電電極を加熱形成する時の耐熱性が要求され、例えば、ポリイミド、PETなどが用いられる。
【0058】
低融点金属としては半田、錫、鉛、インジウム等が公知である。
【0059】
また、金属細線に導電性樹脂被覆が施されている場合には、その導電性樹脂被覆を除去し、金属細線を直に光起電力体に溶接、ヒュ−ジング、ワイヤボンディング等の手法で固定してもよい。
【0060】
上記の方法の中から光起電力体の主面を構成する材質、主面の凹凸等に適した方法を選ぶことが可能である。
【0061】
(熱板)
加熱された板状部材である。材質としては金属、樹脂、セラミック、ガラス等が挙げられる。これら板状部材を加熱する方法としては、抵抗加熱、赤外線加熱、電磁誘導加熱、オイルヒ−タ加熱、熱風加熱等公知の方法が利用可能である。しかし、制御が容易で安価であることから抵抗加熱が好適に用いられる。温度を計測しフィ−ドバック制御をすることも容易である。また、加熱安定性を高めるために熱容量の高い物体を熱浴として用意し、そこから熱を供給することも可能である。本発明の効果はこれら加熱方法や、加熱の方向によって失われるものではないが、弾性シ−トによって金属細線を光起電力体の主面上に押し当てるまでの間に加熱がより進行する方法であるほど、効果が顕著であると言える。特に金属板に抵抗ヒ−タを組み込んだ加熱手段の場合は効果的である。
【0062】
また、この熱板に複合体を吸着するためのエア吸着穴の設置や、電磁石の埋め込みを行ってもよい。
【0063】
(可動支持体)
熱板の主面から突出するように設けられ、かつ、熱板に埋没するように可動する部材である。また、オ−トハンド等の取置手段によって熱板の上に複合体を戴置する際と、熱板の上から複合体を取り除く際に、複合体の取置を容易に行うために、複合体を熱板の上表面から一定距離押し上げる作用を有する部材である。材質は樹脂、金属、セラミック、ガラス等が挙げられるが、複合体の加熱のタイミングを遅らせるためには熱伝導率の小さいものが好ましい。また、同様の目的で複合体の形状は複合体との接触面積が小さく、可動支持体との接触は面接触よりも線接触、点接触が好ましい。例えば図12(a)に示すような複数の線状体であっても良いし、(b)に示す様に網状体でも良い。また、(c)の様にピンでも良く、さらに(d)の様に隆起する平板状であっても良い。図(c)の様なピンの形状としては円柱、円錐、ド−ム型等公知のピンが使用可能である。
【0064】
さらに光起電力体をより強固に固定するために、吸着、粘着等の固定機構を有しても良い。光起電力体が磁性を有する場合は、これら稼動支持体は磁石であっても良い。
【0065】
可動支持体の可動動力源は金属や樹脂の弾性を利用するものが公知である。具体的には金属、樹脂からなるスプリングバネ、板バネが挙げられる。さらにバネの代わりに気体や液体を利用したシリンダ−構造も可能である。特に金属によるスプリングバネが安価であり、容易に用いることが可能な点で好ましい。また、磁気を利用した駆動も可能である。
【0066】
(弾性シ−ト)
弾性シ−トは、耐熱性、耐久性に優れたシ−トが使用される。具体的には、シリコンゴム、フッ素ゴム、ネオプレンゴムなどの弾性を有する材料が好適に用いられる。弾性シ−トの厚みは、所望に応じて設計されるものであるが、500μmから2mm程度が好適である。弾性シ−ト表面には、金属細線の導電性樹脂被覆が弾性シ−トに付着するのを防ぐためと、弾性シ−トが加熱された際に出てくるオイルなどが光起電力体に付着するのを防ぐための副シ−トを貼付してもよい。具体的には、100μm程度の厚みのPTFE,ETFE,PFAなどの公知の高分子シ−トが用いられる。また、強度を向上するために、これらの材料にガラス繊維を含浸させたものでもよい。弾性シ−トによって金属細線を光起電力体に押し当てる力は、第一気体と第二気体の圧力差によって調節可能である。その意味で本発明の効果は弾性シ−トの種類によらないと言えるが、好ましくは第一気体と第二気体の圧力差が0.01乃至0.5MPaの範囲である場合はPTFE、ETFE、PFA等の適度な弾性係数を有する材質で、厚みが0.05乃至1mmの弾性シ−トが好適である。
【0067】
弾性シ−トの熱板との反対向面に加わる圧力が対向面に加わる圧力よりも大きい状態を形成する方法は、弾性シ−トを内壁とする体積一定の密閉された空間にバルブを通じてポンプによって気体を押しこみ加圧する方法、弾性シ−トを内壁とする密閉された空間に気体を入れ、密閉された空間の体積を小さくする方法、密閉された空間の気体を加熱する方法等、公知の方法が利用可能である。また、圧力差は任意の圧力差が適宜用いられる。本発明の効果はこれらの方法や圧力差の選択によって失われるものではないが、PTFE、ETFE、PFA等の適度な弾性係数を有する材質で、厚みが0.05乃至1mmの弾性シ−トを使用する場合、圧力差は0.01乃至0.5MPaの範囲が好適である。
【0068】
(光起電力素子)
光起電力体に電力を取り出すための電極を形成したものである。本発明の光起電力素子は金属細線からなる電極を有するものであるが、金属細線からなる電極の他に導電性ペ−ストを印刷してなる電極、金属箔を固定してなる電極、金属材料を蒸着、スパッタ等の成膜方法で膜状に形成してなる電極、半田等の低融点金属を印刷した後にリフロ−させてなる電極等が組合されていてよい。
【0069】
【実施例】
本発明の光起電力素子の電極製造方法について実施例に基づいて詳しく説明する。
【0070】
(実施例1)
本例の光起電力素子の電極製造方法を図1に示す。図1(a)乃至(f)は本例の工程を段階的に示したものである。各段階の図は各々、熱圧着装置の平面図およびそのXX断面、YY断面を示したものである。図は簡略化して示したものであり、真空ポンプ、配管、脱気溝、吸着用穴、Oリング等は従来例と同様のものを使用した。以下図に従って本例を説明する。
【0071】
図1(a)は本例の熱板104の平面図である。図の様に本例の熱板104には穴が設けられ、熱板104表面のこの穴から可動支持体105が突出している。可動支持体105はテフロン(登録商標)樹脂製で形状は図示のような鍔付き帽子型である。帽子の頭の直径は10mmのものを使用した。可動支持体105はバネによって常時、上部へ突き上げられている状態にある。また、熱板104には複合体103を吸着するための吸着穴(不図示)と、弾性シ−ト106と熱板104の間を脱気するための脱気溝(不図示)が設けられている。さらに本例の熱板104には不図示の電熱ヒ−タ−が埋め込まれており、熱板105はこの電熱ヒ−タ−によって常時210℃になるように制御されている。
【0072】
本例の複合体は図5と同様のものを使用した。
【0073】
以下の方法によって、本例の複合体103を製作した。
【0074】
まず、第一に次の要領で本例の光起電力体101を準備した。
【0075】
基板として表面を洗浄した厚さ0.15mmのSUS430からなるロ−ル状ステンレス基板を用意した。次に基板の表面上にタングステン、銀、酸化亜鉛の薄膜層(厚さ1μm以下)を公知のスパッタ法によって作製した。次に公知の電析法によって厚み約2μmの酸化亜鉛の層を形成し、さらに公知のCVD法によってn層、i層、p層の3層からなる厚さ約3μmの微結晶シリコン層を2層と、n層、i層、p層の3層からなる厚さ1μm以下のアモルファスシリコン層とを重ね光起電力層を形成した。最後に公知のスパッタ法によって厚さ70nmのITO層を形成した。この基板を切断することにより、光起電力体101(239mm×356mm)を作製した。この光起電力体101に対して、次の処理を行うことにより基板端部における光起電力層の短絡を防止した。
【0076】
まず、光起電力体101の表面上に、ITO層のエッチング剤(FeCl3)含有ペ−ストを基板の外周に沿ってスクリ−ン印刷した後、純水洗浄することにより、ITO層の一部を除去しITO層からなる上部電極と、基板、タングステン、銀、酸化亜鉛からなる下部電極との電気的な分離を確実にした。
【0077】
第二に次の要領で金属細線102を準備した。原材料として直径4〜5mmの銅線の外周に厚み50μmの銀箔を貼り付けたものを準備した。次にそれを伸線装置により直径100μmの芯線に整形した。この芯線を連続的に作製しボビンに500g巻き取った。整形後の銀の被覆は厚み約1μmであった。次にエナメル線用のロ−ルコ−タ装置により芯線の周りに導電性フィラ−を含有する樹脂からなる被覆を形成した。被覆は完全硬化した内層と、金属細線102を光起電力層上に接着固定するための外層の二層構造にした。
【0078】
内層の形成方法は以下の通りである。まず芯線をボビンから巻き出し内層形成処理槽を通した。内層形成処理槽は内層用のフィラ−を含有した樹脂を巻き上げている回転ロ−ルと、フェルトよりなる。内層形成処理層に通された芯線はまず、回転ロ−ルに接触する。この際に回転ロ−ルが巻き上げている樹脂が芯線に塗布される。さらに芯線はフェルトに接触する。この際に余分な樹脂が除去される。さらに芯線は加熱炉を通過する。この際に塗布された樹脂が完全に硬化する。樹脂の塗布量の偏芯を防ぐために、この塗布、除去、硬化の一連の工程を複数回行った。芯線の巻き取り側で樹脂が塗布された芯線の外径を測定し、その値をフィ−ドバックさせて樹脂の粘度を調整した。フィ−ドバックの機構は、樹脂の粘度を低下させて回転ロ−ルが巻き上げる樹脂量が下げ、塗布量が減少させる機構である。樹脂の粘度調整は溶剤のキシレンを加えることで行った。使用した樹脂の構成は次の通りである。フィラ−として直径が30±20nmのカ−ボンブラックを使用した。カ−ボンブラックは体積密度35%に調整した。フィラ−と樹脂の混合比は、混合物の重量を100として、ブチラ−ル樹脂6.4重量部、クレゾ−ル樹脂、フェノ−ル樹脂、芳香族炭化水素系樹脂4.2重量部、硬化材としてジオ−ルイソシアネ−ト18重量部、溶剤としてキシレン18重量部、ジエチレングリコ−ルモノメチルエ−テルを12重量部、シクロヘキサノンを3.6重量部、さらにカップリング剤としてγ−メルカプトプロピルトリメトキシシランを0.7重量部ペイントシェ−カ−で混合分散して作製した。以上のようにして完成した内層の被覆の厚みは約5μm、抵抗率は約0.5Ωcmであった。
【0079】
外層の形成方法は以下の通りである。内層が塗布された芯線を外層形成処理槽に通した。外層形成処理槽は外層用のフィラ−を含有した樹脂を巻き上げている回転ロ−ルと、ダイスよりなる。外層形成処理層に通された芯線はまず、回転ロ−ルに接触する。この際に回転ロ−ルが巻き上げている樹脂が芯線に塗布される。さらに芯線はダイスを通過する。この際に余分な樹脂が除去される。さらに芯線は加熱炉を通過する。この際に塗布された樹脂の溶剤が蒸発し樹脂が半硬化する。樹脂の塗布量の偏芯を防ぐために、この塗布、除去、硬化の一連の工程を複数回行った。回数を重ねるごとにダイスの穴径は大きくし、最終的に外層の厚みは20μmとした。使用した樹脂の構成は次の通りである。フィラ−として直径が30±20nmのカ−ボンブラックを使用した。カ−ボンブラックを35重量部、ウレタン樹脂41重量部、フェノキシ樹脂14重量部、硬化材として水素添加ジフェニルメタンジイソシアネ−ト6重量部、溶剤として芳香族系溶剤4重量部、さらにカップリング剤としてγ−メルカプトプロピルトリメトキシシランを0.7重量部ペイントシェ−カ−で混合分散して作製した。以上のようにして完成した外層の被覆の抵抗率は約0.5Ωcmであった。
【0080】
第二に準備した金属細線102を長さ350mmに裁断し、反りや、捩れを除去した直線状の金属細線102を複数本用意した。反りや、捩れを除去する方法は、金属細線102を接触する二つの回転ゴムロ−ラの間を通す方法を採用した。
【0081】
第三に次の要領で、光起電力体101上に導電性樹脂被覆を有する金属細線102を複数本ならべて固定した。用意した金属細線102の両端を光起電力体101の端部表面に両面テ−プ107を介して固定した。使用した両面テ−プ107ポリイミドを基材として両面にアクリル粘着樹脂を塗布したものである。金属細線102を両面テ−プ107に固定する際には、金属細線102に0.49Nの張力を加えながら固定した。
【0082】
こうして形成した複合体103を、熱圧着装置に挿入し、光起電力体101上に金属細線102を固定した。図1(a)乃至(d)は図(a)以降の工程が進行する様子を段階的に示したものである。図(b)は上記熱板104の上に、上記複合体103を爪付きオ−トハンドによって戴置した状態をXX断面によって示したものである。可動支持体105は熱板104の表面から10mm突出しているため、容易にオ−トハンドによって戴置することが可能であった。熱板104の上方には弾性シ−ト106と、チャンバ−109と、弾性シ−ト106とチャンバ−109とで形成される気密空間を配置した。さらに、この気密空間には、フレキシブル配管(付図示)を通して加圧ポンプを接続した。この段階で既に加圧ポンプは作動しており、前述の気密空間が外気よりも+10kPaで加圧されるように設定した。チャンバ−109は金属チャンバ−であり、弾性シ−トは厚さ50μmのPTFE製シ−トを使用した。またチャンバ−109と弾性シ−ト106との間にはOリングを設けた。
【0083】
図(b)の段階では可動支持体105は沈降せず、複合体103は熱板104に接触していなかった。そのため複合体103は熱板104からの放射熱、可動支持体105による伝導熱、外気の対流による熱移動によって加熱されている状態にあった。この状態での複合体103の昇温速度は緩く、戴置初期で約5℃/sとなる。
【0084】
図(c)は一定量チャンバ−109を下降させている状態である。この時、不図示の配管を通してによって全ての可動支持体105内部の空気を脱気し、大気圧を可動支持体105に印加した。この大気圧におされて可動支持体105内部のバネが圧縮され可動支持体105は弾性シ−ト106が複合体103に接触する前に、熱板104に完全に沈降した。これによって、複合体103が熱板104に接触したため、複合体103に熱板104から直接熱が伝導した。この時の複合体の昇温速度を測定したところ、複合体103と熱板104の接触直後で36℃/sとなる。
【0085】
図(d)から図(f)の段階にかけて、金属細線102の中央部から両端に向けた、より広範な範囲が、光起電力体101に押し付けられて固定された。この時、金属細線102は両端部に向けて、扱かれるように光起電力体101上に押さえつけられたため、直線形状を維持したまま、光起電力体101上に固定された。(d)乃至(f)の間は0.5秒程度であった。
【0086】
さらに真空ポンプ88によって、前述の複合体吸着用穴、脱気溝の内部を排気した。しかし、弾性シ−ト106と複合体103、および熱板104との間には殆ど空間が無かったため、排気量は従来の方法と比較して、格段に少ないものであった。この図(f)の段階で金属細線102は全長に渡って光起電力体101に押し付けられて固定された。
【0087】
さらに複合体103と熱板104とが接触した状態を60秒保持した。この間にカ−ボンペ−ストが硬化し、金属細線102はカ−ボンペ−ストによって光起電力体上に固定された。
【0088】
次にチャンバ−109を上昇させて図(b)の状態に戻した。同時に、可動支持体105内部への脱気を停止させた。そのため、可動支持体105内部のバネが伸長し、複合体103と熱板104が、再度10mm離れることによって複合体103の加熱は終了した。複合体103と熱板104が自動的に再度10mm離れたことによって容易に熱板104上から複合体103を除去することが出来た。
【0089】
その後複合体に公知のバスバ−電極を形成し光起電力素子を完成させた。
同じ方法により複数枚の光起電力体に金属細線を熱圧着して、金属細線に一定基準以上の曲がりが発生する確率を調べたところ極めて少なかった。
【0090】
(実施例2)
図2は本例を示す図である。図2(a)乃至(f)は本例の工程を段階的に示したものである。図2の熱圧着装置に、複合体203として実施例1と同じ物を使用した。図2の可動支持体205は全て連結部材226によって連結されており、全ての可動支持体が互いに連動して熱板204に埋没するように設計した。図2の平面図において、エリア227は弾性シ−ト206が複合体203に接触しているエリアを示したものである。図の様に工程が進行するにつれて接触エリア227は広がった。段階(c)において中心の可動支持体205に弾性シ−ト206が接触し、それ以降の段階において中心の可動支持体205が弾性シ−ト206に押し下げられることに連動して、その他全ての可動支持体205が押し下げられた。これにより複合体は平板状態を保つことが可能であり、金属細線202が曲がりを抑える効果があった。実施例1と同様に複数枚の光起電力体に金属細線を熱圧着して、金属細線に一定基準以上の曲がりが発生する確率を調べたところ極めて少なかった。実施例1においては、支持部材を脱気する装置が必要となるが、本発明ではそのような装置は必要なく、装置コストを抑えることが可能な点でメリットがある。
【0091】
(実施例3)
図4に本例を示す。本例の複合体403は実施例1と同じものを使用した。本例の可動支持体405は、金属細線402に沿った方向における複合体403の端部のうち4隅みにあたる部分を支持しないように配置されている。これにより図4(d)の段階においてYY断面に図示したように光起電力体401の端部が下方に下がり、弾性シート206が、複合体203の中央部に接触しても、複合体の変形を抑制することが出来る。そのため金属細線402の張力が緩むことを防ぐ効果があった。
【0092】
実施例1と同様に複数枚の光起電力体に金属細線を熱圧着して、金属細線に一定基準以上の曲がりが発生する確率を調べたところ極めて少なかった。実施例2では可動支持体を連結する部材が必要であるが、本例ではそのような部材が必要なく、さらにまた装置コストを抑えることが可能な点でさらにメリットがある。
【0093】
(比較例1)
本例は実施例1と同様の複合体を使用した。また、本例の熱圧着装置は特開2003−039554記載の図7に示した従来の熱圧着装置を使用した。図7の段階(c)から(d)にかけて、気密空間620内部を、脱気溝612を通して脱気する際に、圧力変動が大きく金属細線602が曲がった状態で光起電力体601上に固定されてしまうことが多かった。
【0094】
【発明の効果】
本発明によって、導電性樹脂の被覆を有する金属細線からなるを光起電力体の主面上に熱圧着してなる集電電極の形成方法において、金属細線の曲がりの発生を抑えることが可能となる。これによって、金属細線の曲がりによる出力低下のない光起電力素子を歩留まり良く生産することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を説明する図である。
【図2】本発明の実施例を説明する図である。
【図3】本発明との比較例を説明する図である。
【図4】本発明の実施例を説明する図である。
【図5】光起電力素子を説明する図である。
【図6】従来技術を説明する図である。
【図7】従来技術を説明する図である。
【図8】本発明の実施の形態を説明する図である。
【図9】本発明の実施の形態を説明する図である。
【図10】本発明の課題を説明する図である。
【図11】本発明の実施の形態を説明する図である。
【図12】本発明の実施の形態を説明する図である。
【符号の説明】
101、201、301、401、501、701、801、901、1001、1101 光起電力体
102、202、302、402、502、702、802、902、1002、1102 金属細線
103、203、303、403、503、703、803、903、1003、1103 複合体
104、204、304、404、604、704、804、904、1004、1104 熱板
105、205、305、405、605、705、805、905、1005、1105 可動支持体
106、206、306、406、606、706、806、906、1006、1106 弾性シ−ト
507 テ−プ
508 バスバ−電極
109、209、309、409、609、709 チャンバ−
610 穴
611 バネ
612、712 溝
613、713 脱気口
614、714 配管
615、715 配管
616、716 バルブ
617、717 バルブ
618、718 真空ポンプ
619、719 Oリング
720 気密空間
721 皺
822、1122 空間
1123 端部
226 連結体
【発明の属する技術分野】
本発明は光起電力素子の製造方法および製造装置に関し、より詳細には光起電力体の表面に金属細線からなる集電電極を有する光起電力素子の製造方法および製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
光起電力素子の電極構造は主に、電流を集めるための比較的細い金属からなる櫛歯状や格子状の集電電極と、この集電電極によって集められた電流を集めるためのバスバ−と呼ばれる比較的太い金属からなる電極とからなる。電極材料としては銀や銅のように比抵抗の低い材料が好適に用いられる。
【0003】
これら電極の形成方法の中で、特に集電電極の形成には蒸着法、メッキ法、スクリ−ン印刷法が好適に用いられる。
【0004】
しかし、蒸着法では堆積速度が遅いこと、真空プロセスを用いるためスル−プットが低いこと、また、線状のパタ−ンを形成するためにはマスキングが必要であり、またマスク部分に堆積した金属は無駄になる等の問題点がある。
【0005】
一方、スクリ−ン印刷法では、印刷に使用する導電性ペ−ストの比抵抗が、最も低いものでも4.0×10−5Ωcmであり、低抵抗な電極が得にくい問題がある。一般には純粋なバルクの銀よりも1桁抵抗が高くなる。
【0006】
さらに蒸着法やスクリ−ン印刷法の場合、仮に集電電極の面積を変えずに抵抗を下げるために電極の厚みを厚くすることが必要であるが、実用的に可能な厚みは蒸着法の場合、1μm以下、印刷法の場合10μm〜20μmである。このような厚みでは必然的に集電電極の幅が200μm以上となりアスペクト比(縦横の比)が非常に小さくなり、シャド−ロスが大きくなってしまう問題がある。
【0007】
これらに対し、特開2003−039554号公報(特許文献1)に開示されるように、金属細線を、導電性粒子を含む樹脂で被覆した集電電極が知られている。この発明は導電性の良い銅等の金属細線を用いるため長い集電電極を形成した場合でも電気抵抗ロスが少なく、またアスペクト比が1:1とできるためシャド−ロスも小さくすることが可能である。また、これらの発明では、細線の固定は導電性樹脂を用いて簡便な方法で行われている。
【0008】
図5、図6及び図7に従来の金属細線を使用した集電電極形成方法の模式図を示す。以下図に従って従来例を説明する。
【0009】
図5の501は光が入射すると起電力を生じる光起電力体である。図5の(a)は光起電力体501の平面図であり、図5の(b)は光起電力体501の側面図である。光起電力体501の主面上の端部に両面粘着テ−プ507を貼り付け、かつ、導電性樹脂被覆を施した金属細線502を複数本並べて各金属細線の端部を両面粘着テ−プ507に固定している。この時金属細線502に適度に張力を加えた状態で固定し、金属細線502が直線状態で固定されるようにしている。さらに、その上に銅箔からなるバスバ−電極508を貼り付けて複合体503を形成している。
【0010】
特開2003−039554号公報ではこの複合体503を加熱圧着装置に入れて処理することで金属細線502を光起電力体501に熱圧着させている。
【0011】
図6は特開2003−039554号公報の加熱圧着装置の図である。加熱圧着装置は熱板604とチャンバ−609に弾性シ−ト606を取り付けたものとからなる。図6(a)は加熱圧着装置を図6(b)のZZ間の点線で切断した場合の断面を上かから見た図であり、熱板604の平面図である。図6(b)は加熱圧着装置を図6(a)のXX間で切断した場合の断面図である。さらに図6(c)は加熱圧着装置を図6(a)のYY間で切断した場合の断面図である。チャンバ−609は熱板604に重なるように上下する。また、熱板604には弾性シ−ト吸着溝612が形成されている。チャンバ−609が熱板に重なった時にOリング619が弾性シ−ト吸着溝612に嵌り、熱板604と弾性シ−ト606との間に気密空間が形成される。さらに、熱板604には脱気口613が設けられている。これは熱板604と弾性シ−ト606との間に形成される前述の気密空間の内部を脱気するためのものである。弾性シ−ト吸着溝612および脱気口613は夫々、配管614、615、及びバルブ616、617を通して真空ポンプ618に接続されている。図6(c)の拡大図に示した様に熱板604には複数箇所の穴610が開けられ、可動支持体605が熱板604の主面から突出している。可動支持体605はバネ611によって外部から力が加わらない限り常時突出するようになっている。
【0012】
図7は、図5の複合体503を図6の加熱圧着装置によって処理する工程を示したものである。この処理工程は(a)、(b)、(c)、(d)と順を追って進む。図7の左半分は図6の加熱圧着装置のXX断面を示したものであり、右半分は同じく図6の加熱圧着装置のYY断面を示した図である。
【0013】
図7(a)は、不図示のオ−トハンドによって複合体703を、熱板704の表面から突出した複数の可動支持体705の上に載せた状態の図である。ここで熱板704は不図示の手段によって常時加熱されている。この時、可動支持体705はバネ611(図6参照)によって上方に押し上げられた状態にあるため、複合体703は熱板704から浮いた状態にあり、複合体703の温度上昇は小さい状態にある。
【0014】
図7(b)は、チャンバ−709に取り付けた弾性シ−ト706と複合体703とが接触するまでチャンバ−709を下降させた状態の図である。
【0015】
図7(c)は、チャンバ−709に取り付けたOリング719が熱板704に設けられた弾性シ−ト吸着溝712に嵌るまで、チャンバ−709を下降させた状態の図である。さらにチャンバ−709の下降と同時にバルブ716を開け、配管714及び弾性シ−ト吸着溝712内部を真空ポンプ718によって脱気し、弾性シ−ト706を熱板704に吸着させている。これにより複合体703は、弾性シ−ト706と熱板704とで囲まれた気密空間720に包まれた状態となっている。この状態においても、複合体703は熱板704から浮いた状態にあり、まだ複合体703の温度上昇は小さい状態にある。
【0016】
図7(d)は、さらにバルブ717を開け、配管715、脱気口713、及び図7(c)で形成された気密空間720内部を真空ポンプ718によって脱気した状態の図である。この状態で弾性シ−ト706は複合体703に密着した状態にあり、したがって金属細線702もまた、光起電力体701上に固定された状態となっている。さらに、この時、可動支持体705を上方に押し上げていたバネが大気圧によって圧縮され、複合体703は熱板704に接触する。これにより、複合体703の温度が熱板704の温度に向かって急激に上昇し、金属細線702と光起電力体701との接着現象が進行する。
【0017】
図7(d)の状態のまま、金属細線702が光起電力体701上に接着された状態になるまで所定の時間保持し、チャンバ−709を上昇させると、バネ611が伸長し複合体703と熱板704とが離れて複合体703の温度が低下する。ここで、金属細線702と光起電力体701との熱圧着が完了する。
【0018】
この方法では、熱板704は常時加熱されており、複合体703を熱板704に置くことで、光起電力体701と金属細線702の加熱を行い、また、複合体703を熱板608上から取り去ることで加熱を終了している。この様にすることで光起電力体601を短時間に加熱冷却することが可能になるため、この方法は量産性の面で優れた方法と言える。さらに、この方法では、光起電力体701を熱板704の上に戴置する際と、光起電力体701を熱板704の上から取り去る際に、光起電力体703が可動支持体705によって熱板704から浮いた状態にあるために、例えば爪を有するハンドによって容易に戴置、および除去することが可能である点においても優れた方法と言える。
【0019】
【特許文献1】
特開2003−039554号公報
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の方法では金属細線702を光起電力体701上に熱圧着する際に金属細線702が曲がって光起電力体701上に接着される場合や、部分的に接着が不十分になる場合があった。
【0021】
従来の方法では図7(c)の段階においても、まだ金属細線702は光起電力体701に固定された両端部以外の部分は固定されていない状態にある。金属細線702には予め張力が加えられえており直線状態にあるものの、金属細線702は弾性を有するために弦の様に振動可能な状態にある。図7(c)から(d)にかけて気密空間720を脱気する際、気密空間720内部の気体の圧力変動や、気体の流れによって、金属細線702が振動する。その状態で弾性シ−ト706が金属細線702を光金電力体701上に押し付けるため、場合によっては金属細線702が曲がった状態で光起電力体701上に固定されることがあった。
【0022】
また、図7(c)から(d)にかけて気密空間720を脱気し、弾性シ−ト706を複合体703および熱板704に密着させる際に、弾性シ−ト706に弛みが生じた場合は図7(d)の拡大図に示すような弾性シ−ト706の皺721が発生することがあった。この場合、皺721の下では金属細線702の光起電力体701への押圧力が弱まるため、金属細線702と光起電力体701との接着が不十分になる。
【0023】
これに対して、我々は、金属細線702の曲がりの原因となる、弾性シ−ト706と熱板704との間の気密空間720を脱気する際の金属細線702の振動をなくし、弾性シートの弛みを生じさせない方法として図8に示した方法を思いついた。図8は図7のYY断面に相当する断面図である。図8(a)は、光起電力体801上に金属細線802の両端を固定してなる複合体803を、熱板804の主面から突出した可動支持体805の上に載置する第一の工程が終了した状態を示している。図8(b)乃至(d)において、弾性シ−ト806を複合体803に連続的に押し当てていく様子が、段階的に示されている。図8(b)乃至(d)の段階に一貫して、弾性シ−ト806の熱板804との反対向面、即ち図の上面に加わる圧力は、弾性シ−ト806の熱板804との対向面、即ち図の下面に加わる圧力よりも高い状態に不図示の手段によって維持されている。したがって、弾性シ−トは図8に示したように下に膨らむ。下に凸に膨らんだ弾性シ−トは図8(b)の段階において、金属細線802の中心部分(図のA部)に接触し、圧力を及ぼす。このため金属細線802の中心部分が、まず光起電力体801に固定される。さらに図8(b)乃至(d)において、金属細線802が中心部分(図のA部)から両端に向けて連続的に扱く様にして固定される。この時に弾性シ−ト806と熱板804の間の気体は図8の両側に押し出される。
【0024】
この方法では図7の従来の方法と異なり、弾性シ−ト806と熱板804との間の空間を脱気する必要が無いため、金属細線804が振動することがない。また、仮に図7と同様に熱板804に脱気口を設けて図8(d)の工程の後に弾性シ−ト806と熱板804との間の気体を脱気するとしても、その時には弾性シ−ト806によって金属細線802は光起電力体801に押しつけられているために振動することがない。従って金属細線802が曲がって光起電力体801上に曲がって固定されることが抑制される。
【0025】
また、図8(a)乃至(d)において常に、弾性シ−ト806の上面に加わる圧力が、下面に加わる圧力よりも高い状態であるため、弾性シ−ト806には常に張力が加わった状態にある。この状態で弾性シ−ト806を中央部(図8のA部)より周囲に向けて、複合体803および熱板804に、連続的に押し付けるために、弾性シ−ト806には従来のような弛みが発生しない。したがって、弾性シ−ト806には皺が発生せず、金属細線802と光起電力体801との接着も十分行われる。
【0026】
しかし、図8の方法では光起電力体に剛性が足りない薄型基板を有する光起電力体のようなケースでは、以下の理由で金属細線が曲がって接着される可能性が残されている事が判明した。
【0027】
すなわち、下に膨らんだ弾性シ−ト806によって複合体803を押し下げるため、図8(c)に示したように、複合体803中央部は凹状に変形し熱板804の中央部付近の可動支持体805が先に沈みこんでしまう。この中央部の凹状の変形によって、複合体803の表面に固定された金属細線802の張力が緩和されてしまう。この張力が緩和した状態で弾性シ−ト806によって光起電力体801上に金属細線802が固定されてしまうため、金属細線802は曲がって固定されうる。
【0028】
金属細線702が曲がって光起電力体701上に接着された場合、集電経路が長くなることによって、ジュール損失が大きくなる。さらに、金属細線702が光起電力体701の光入射面上に曲がって接着される場合は、金属細線702が光入射面に形成する影の面積が大きくなるために光起電力素子の発電量が低下する。
【0029】
また金属細線702と光起電力体701との接着が不十分である場合、その部分の電気的抵抗が大きくなり、その部分で損失が発生するために光起電力素子の発電量が低下する。
【0030】
本発明が解決しようとする課題は、上記金属細線702の曲がりの発生や、部分的な接着不良を抑えることによって光起電力素子のジュール損失や発電量の低下を防ぐことである。
【0031】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための手段である本発明の光起電力素子の製造方法は、
光起電力体上に金属細線の両端を固定してなる複合体を熱板の主面から突出した複数の可動支持体の上に載置する第一の工程と、前記熱板に対向させた弾性シ−トの反対向面に加わる圧力が対向面に加わる圧力よりも高い状態で、前記弾性シ−トを前記複合体の上に押し当てる第二の工程とを含む光起電力素子の製造方法において、
前記弾性シ−トが前記複合体に接触する前に、前記可動支持体が前記熱板に埋没することを特徴とする。
【0032】
また、光起電力体上に金属細線の両端を固定してなる複合体を熱板の主面から突出した複数の可動支持体の上に載置する第一の工程と、前記熱板に対向させた弾性シ−トの反対向面に加わる圧力が対向面に加わる圧力よりも高い状態で、前記弾性シ−トを前記複合体の上に押し当てる第二の工程とを含む光起電力素子の製造方法において、
複数の前記可動支持体は互いに連動して、同時に前記熱板に埋没することを特徴とする。
【0033】
また、光起電力体上に金属細線の両端を固定してなる複合体を熱板の主面から突出した複数の可動支持体の上に載置する第一の工程と、前記熱板に対向させた弾性シ−トの反対向面に加わる圧力が対向面に加わる圧力よりも高い状態で、前記弾性シ−トを前記複合体の上に押し当てる第二の工程とを含む光起電力素子の製造方法において、
前記複合体に前記弾性シ−トを押し当てるまでの間、前記複合体の端部が前記複合体の中央部よりも下方に下がった状態で保持保持すること特徴とする。
また、複数の前記可動支持体の支持力に差を設けたことを特徴とする。
【0034】
さらに、上記課題を解決するための手段である本発明の光起電力素子の製造装置は、
光起電力体上に金属細線の両端を固定してなる複合体を熱板の主面から突出した複数の可動支持体の上に載置する第一の手段と、前記熱板に対向させた弾性シ−トの反対向面に加わる圧力が対向面に加わる圧力よりも高い状態で、前記弾性シ−トを前記複合体の上に押し当てる第二の手段とを有する光起電力素子の製造装置において、
前記弾性シ−トが前記複合体に接触する前に、前記可動支持体が前記熱板に埋没することを特徴とする。
【0035】
また、光起電力体上に金属細線の両端を固定してなる複合体を熱板の主面から突出した複数の可動支持体の上に載置する第一の手段と、前記熱板に対向させた弾性シ−トの反対向面に加わる圧力が対向面に加わる圧力よりも高い状態で、前記弾性シ−トを前記複合体の上に押し当てる第二の手段とを有する光起電力素子の製造装置において、
複数の前記可動支持体は互いに連動して、同時に前記熱板に埋没することを特徴とする。
【0036】
また、光起電力体上に金属細線の両端を固定してなる複合体を熱板の主面から突出した複数の可動支持体の上に載置する第一の手段と、前記熱板に対向させた弾性シ−トの反対向面に加わる圧力が対向面に加わる圧力よりも高い状態で、前記弾性シ−トを前記複合体の上に押し当てる第二の手段とを含む光起電力素子の製造装置において、
前記複合体に前記弾性シ−トを押し当てるまでの間、前記複合体の端部が前記複合体の中央部よりも下方に下がった状態で保持保持する手段を有することを特徴とする。
【0037】
また、複数の前記可動支持体の支持力に差を設けたことを特徴とする。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を説明する。
【0039】
図9は第一の実施の形態を説明する図である。図9は本発明を模式的に表すものである。図9は図8と同様に図7のYY断面図に相当する図である。
【0040】
図9の実施の形態では、可動支持体905は弾性シ−ト906が複合体903に接触する前に、熱板904に埋没するため、図8(c)ような段階が無い。したがって、金属細線902の張力緩和を防止することが可能である。ただし、図9(b)の段階で複合体903が熱板904に接触するため、金属細線902を光起電力体901の上に固定する前に複合体903の本格的加熱が始まってしまう。金属細線902を光起電力体901に押し付けないまま加熱が進行した場合、金属細線901の熱膨張や、その両端の固定力の緩和等によって、金属細線902の張力緩和が発生する可能性がある。したがって、可動支持体905が熱板904に埋没するタイミングは弾性シ−ト906が光起電力体901に接触する直前であることが好ましい。より具体的には複合体903が熱板904に接触してから、弾性シ−ト906が複合体903に接触するまでの間に、複合体903の温度が熱板904の温度の50%に満たない方が好ましい。
【0041】
図10に他の実施の態様例を示す。図10は図8と同様に図7のYY断面図に相当する図である。
【0042】
図10の態様例では、熱板1004には複数の可動支持体1005が設けられている。かつ図10(a)乃至(d)において、前記複数の可動支持体1005は不図示の手段によって互いに連動して、同時に熱板1004に埋没する様になっている。可動支持体1005が連動して沈降すれば、複合体1003の中央部が凹状に変形することなく平板状態を保つことが可能であるため、金属細線1002の張力緩和が発生しない。したがって、金属細線1002の曲りを防ぐことが可能になる。
【0043】
図11に別の実施の態様例を示す。図11は図8と同様に図7のXX断面図、及びYY断面図に相当する図である。図の様に複合体1103の端部が複合体1103の中央部よりも下方に下がった状態で保持することによって、その表面に固定されている金属細線1102に適度な張力を加えることが可能である。より好ましくは複合体1103を受光面側に1123が凸状に反らせるようにした方が金属細線1102の張力が高まる。この張力は金属細線1102を直線に保つ力となるため、金属細線1102が曲がることを防ぐことが可能となる。
【0044】
複合体1103を受光面側に凸状に反らせる方法としては複合体1103の非受光面側の中央部に少なくとも支持部材を設け、前記中央部以外の領域の支持部材は、支持部材の数が少ない、及びまたは、支持部材の高さが、中央部と比較して低い、及びまたは、支持部材が全く存在しないようにすれば良い。例えば、図11の様に複合体1103の四隅付近に支持体を配置しない方法や、端部1123付近を支持する支持体の支持力を、中央部を支持するものと比較して弱いものにすることでも可能である。なお、前記中央部とは、弾性シートが複合体と接触し、複合体が変形し始める時に、弾性シートが複合体と接触している領域を示す。
【0045】
以下に上述の用語の説明をする。
【0046】
(光起電力体)
入射する光のエネルギ−を電力に変換する作用を有するものである。
【0047】
光起電力体は光のエネルギ−を電力に変換する層である光起電力層単独体であっても、光起電力層と、光起電力層の形状を維持するための基板、電流を流すための電極層、光を反射させるための層等との複合体であってもよいが、本発明でより効果の大きいのは、伝導性の高い薄型基板を有するものであり、このような光起電力体に適用することが好ましい。
【0048】
一般的には光起電力層は半導体接合からなる。半導体は材料の面で大きくシリコン系と、ガリウム砒素や硫化カドミウムに代表される化合物半導体系とに分けられる。また接合のバンド構造の面で、単純な同種のp型半導体とn型半導体との接合であるpn接合型、禁制帯の異なる異種半導体の接合からなるヘテロ接合型、半導体と金属のショットキ−バリア型に分類される。結晶構造の面での分類では結晶系、アモルファス系に分類される。層構造の面では接合一層からなるシングル、接合二層を重ねて直列化したタンデム、さらに三層を重ねたトリプル等が公知である。
【0049】
基板は導電性、絶縁性どちらでも良い。導電性基板としてはステンレスやアルミ等の金属基板が好適に用いられる。絶縁基板としてはガラス、セラミック、樹脂による基板が挙げられる。
【0050】
電流を流すための層は光起電力体の光入射側である場合は、ITO、Sn2O3等の透明導電性酸化物層が用いられる。反光入射側である場合は、銀、アルミ等の太陽光に対して反射率の高く、導電率の高い層が用いられる。また、太陽光を反射させるための層としてはZnO層を用いることが公知である。
【0051】
光起起電力素子の製造方法に関する本発明の効果は、光起電力層の材質、形状、製法によって失われるものでは無い。
【0052】
(金属細線)
金属細線は、線材として工業的に安定に供給されているものが好ましく、かつ、前記金属細線を形成する金属体の材質としては、比抵抗が10−4Ωcm以下の金属を用いることが望ましい。例えば、銅、銀、金、白金、アルミニウム、モリブデン、タングステンなどの材料が、比抵抗が小さいため好適に用いられる。中でも、銅が、電気抵抗が低いうえに安価であることから望ましい。また、前記金属細線はこれらの金属の合金であってもよい。前記金属細線の表面には、所望に応じて、腐食防止、酸化防止、電気的導通の改良などの目的で薄い金属層や樹脂層を形成したものでもよい。該表面金属層としては、例えば、銀、パラジュ−ム、銀とパラジュ−ムの合金、金などの腐食されにくい貴金属や、ニッケル、錫などの耐食性のよい金属を用いることができる。なかでも、金、銀、錫が湿度などの影響を受けにくいため、当該金属層として好適に用いられる。前記金属層の形成方法としては、例えば、メッキ法、クラッド法が好適に用いられる。
【0053】
金属細線を被覆する導電性樹脂の厚みは、所望に応じて決定されるものであるが、例えば断面が円形の金属細線であれば、直径の1%から10%の厚みが好適である。電気的導通、耐食性の効果、金属層厚みを考慮して金属層の比抵抗は、10−6Ωcm以上100Ωcm以下が好適である。前記金属細線の断面形状は円形が好適であるが、矩形であってもよく所望に応じて適宜選択される。前記金属細線の直径は、電気抵抗ロスとシャド−ロスとの和が最小となるように設定して選択されればよい。前記金属細線は公知の伸線機によって所望の直径に成型して作製できる。伸線機を通過した金属細線は硬質であるが、伸び易さや曲げ易さなどの所望の特性に応じて公知の方法でアニ−ルし、軟質にしてもよい。本発明の効果は金属細線の種類によって失われるものではないが、本発明は金属細線が曲がって光起電力体の主面に圧着されることを防ぐためのものであるから、本発明の効果は曲がり易い金属細線に対して高いと言える。材質は銅、銀が挙げられる。また、芯線の周りに熱膨張率の異なる金属の皮膜を有する場合も、熱を加えた場合に熱膨張率の差によって金属細線に反り、捩れが発生し易い。
【0054】
(複合体)
光起電力体上に金属細線の両端を固定したものである。
【0055】
本発明は金属細線の熱圧着方法に関するものであるため、光起電力体と金属細線を熱圧着する際に、光起電力体、金属細線、もしくはその両方に接着機能を有する部材を設ける必要がある。接着機能を有する部材としては半田に代表される低融点金属や導電性樹脂が好適である。導電性樹脂を光起電力体上に設ける方法としては、低融点金属の微粉末を樹脂中に分散させたものをスクリ−ン印刷、ディスペンサ−による塗布等の方法で光起電力体上に塗る方法が公知である。また、金属細線表面に設ける方法としては、ロ−ラ−やスプレ−で金属細線表面に塗布する方法や、塗布後にフェルトやダイスで絞り、炉で乾燥させる方法が挙げられる。また、低融点金属を金属細線に設ける方法としては溶融メッキが挙げられる。ここで言う導電性樹脂とは導電性のフィラ−をバインダ−樹脂の中に分散させたものである。フィラ−としては銀、銅等の金属粉末や、ITO、ZnO、SnO2、In2O3、TiO2等の酸化物粉末、カ−ボン、グラファイト粉末等が挙げられる。また、バインダ−樹脂としては金属細線に被覆を形成しやすく、作業性に優れ、柔軟性があり、耐候性に優れた樹脂が好ましい。具体的には、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノ−ル樹脂、ポリビニルホルマ−ル樹脂、アルキド樹脂あるいはこれらを変性した樹脂などの熱硬化性樹脂が好適な材料として挙げられる。とりわけ、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノ−ル樹脂はエナメル線用絶縁被覆材料として用いられており柔軟性や生産性の面で優れた材料である。しかも、耐湿性、接着性の面でも光起電力素子の集電電極用材料として好適に用いられる。この他、ブチラ−ル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、メラミン樹脂、ブチラ−ル樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂などの熱可塑性樹脂を用いることもできる。これらの中、ブチラ−ル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂が柔軟性、耐湿性、接着性の面で優れた材料で光起電力素子の集電電極用材料として好適に用いられる。本発明の効果はこれら導電性樹脂の種類によらない。
【0056】
金属細線の両端を光起電力体の主面に固定する方法としては、金属細線と光起電力体との間に樹脂、低融点金属等を介する方法や、樹脂、低融点金属等によって金属細線を光起電力体に押さえつけることによって固定する方法がある。
【0057】
樹脂は接着樹脂や粘着樹脂が公知である。具体的には接着樹脂、粘着樹脂としては、例えば、アクリル系、ゴム系、シリコ−ン系、ポリビニルエ−テル系、エポキシ系、ポリウレタン系、ナイロン系、ポリアミド系、無機系、または複合型接着剤などが挙げられる。これらの中で、特に接着性、タック、保持力、耐電性、耐湿性などに優れているものとして、アクリル系、シリコ−ン系接着剤が好適に用いられる。さらに、作業性、量産性を高めるために、基材と上記接着剤を重ねた構成の粘着テ−プ、両面粘着テ−プを用いることも可能である。その際の基材としては、集電電極を加熱形成する時の耐熱性が要求され、例えば、ポリイミド、PETなどが用いられる。
【0058】
低融点金属としては半田、錫、鉛、インジウム等が公知である。
【0059】
また、金属細線に導電性樹脂被覆が施されている場合には、その導電性樹脂被覆を除去し、金属細線を直に光起電力体に溶接、ヒュ−ジング、ワイヤボンディング等の手法で固定してもよい。
【0060】
上記の方法の中から光起電力体の主面を構成する材質、主面の凹凸等に適した方法を選ぶことが可能である。
【0061】
(熱板)
加熱された板状部材である。材質としては金属、樹脂、セラミック、ガラス等が挙げられる。これら板状部材を加熱する方法としては、抵抗加熱、赤外線加熱、電磁誘導加熱、オイルヒ−タ加熱、熱風加熱等公知の方法が利用可能である。しかし、制御が容易で安価であることから抵抗加熱が好適に用いられる。温度を計測しフィ−ドバック制御をすることも容易である。また、加熱安定性を高めるために熱容量の高い物体を熱浴として用意し、そこから熱を供給することも可能である。本発明の効果はこれら加熱方法や、加熱の方向によって失われるものではないが、弾性シ−トによって金属細線を光起電力体の主面上に押し当てるまでの間に加熱がより進行する方法であるほど、効果が顕著であると言える。特に金属板に抵抗ヒ−タを組み込んだ加熱手段の場合は効果的である。
【0062】
また、この熱板に複合体を吸着するためのエア吸着穴の設置や、電磁石の埋め込みを行ってもよい。
【0063】
(可動支持体)
熱板の主面から突出するように設けられ、かつ、熱板に埋没するように可動する部材である。また、オ−トハンド等の取置手段によって熱板の上に複合体を戴置する際と、熱板の上から複合体を取り除く際に、複合体の取置を容易に行うために、複合体を熱板の上表面から一定距離押し上げる作用を有する部材である。材質は樹脂、金属、セラミック、ガラス等が挙げられるが、複合体の加熱のタイミングを遅らせるためには熱伝導率の小さいものが好ましい。また、同様の目的で複合体の形状は複合体との接触面積が小さく、可動支持体との接触は面接触よりも線接触、点接触が好ましい。例えば図12(a)に示すような複数の線状体であっても良いし、(b)に示す様に網状体でも良い。また、(c)の様にピンでも良く、さらに(d)の様に隆起する平板状であっても良い。図(c)の様なピンの形状としては円柱、円錐、ド−ム型等公知のピンが使用可能である。
【0064】
さらに光起電力体をより強固に固定するために、吸着、粘着等の固定機構を有しても良い。光起電力体が磁性を有する場合は、これら稼動支持体は磁石であっても良い。
【0065】
可動支持体の可動動力源は金属や樹脂の弾性を利用するものが公知である。具体的には金属、樹脂からなるスプリングバネ、板バネが挙げられる。さらにバネの代わりに気体や液体を利用したシリンダ−構造も可能である。特に金属によるスプリングバネが安価であり、容易に用いることが可能な点で好ましい。また、磁気を利用した駆動も可能である。
【0066】
(弾性シ−ト)
弾性シ−トは、耐熱性、耐久性に優れたシ−トが使用される。具体的には、シリコンゴム、フッ素ゴム、ネオプレンゴムなどの弾性を有する材料が好適に用いられる。弾性シ−トの厚みは、所望に応じて設計されるものであるが、500μmから2mm程度が好適である。弾性シ−ト表面には、金属細線の導電性樹脂被覆が弾性シ−トに付着するのを防ぐためと、弾性シ−トが加熱された際に出てくるオイルなどが光起電力体に付着するのを防ぐための副シ−トを貼付してもよい。具体的には、100μm程度の厚みのPTFE,ETFE,PFAなどの公知の高分子シ−トが用いられる。また、強度を向上するために、これらの材料にガラス繊維を含浸させたものでもよい。弾性シ−トによって金属細線を光起電力体に押し当てる力は、第一気体と第二気体の圧力差によって調節可能である。その意味で本発明の効果は弾性シ−トの種類によらないと言えるが、好ましくは第一気体と第二気体の圧力差が0.01乃至0.5MPaの範囲である場合はPTFE、ETFE、PFA等の適度な弾性係数を有する材質で、厚みが0.05乃至1mmの弾性シ−トが好適である。
【0067】
弾性シ−トの熱板との反対向面に加わる圧力が対向面に加わる圧力よりも大きい状態を形成する方法は、弾性シ−トを内壁とする体積一定の密閉された空間にバルブを通じてポンプによって気体を押しこみ加圧する方法、弾性シ−トを内壁とする密閉された空間に気体を入れ、密閉された空間の体積を小さくする方法、密閉された空間の気体を加熱する方法等、公知の方法が利用可能である。また、圧力差は任意の圧力差が適宜用いられる。本発明の効果はこれらの方法や圧力差の選択によって失われるものではないが、PTFE、ETFE、PFA等の適度な弾性係数を有する材質で、厚みが0.05乃至1mmの弾性シ−トを使用する場合、圧力差は0.01乃至0.5MPaの範囲が好適である。
【0068】
(光起電力素子)
光起電力体に電力を取り出すための電極を形成したものである。本発明の光起電力素子は金属細線からなる電極を有するものであるが、金属細線からなる電極の他に導電性ペ−ストを印刷してなる電極、金属箔を固定してなる電極、金属材料を蒸着、スパッタ等の成膜方法で膜状に形成してなる電極、半田等の低融点金属を印刷した後にリフロ−させてなる電極等が組合されていてよい。
【0069】
【実施例】
本発明の光起電力素子の電極製造方法について実施例に基づいて詳しく説明する。
【0070】
(実施例1)
本例の光起電力素子の電極製造方法を図1に示す。図1(a)乃至(f)は本例の工程を段階的に示したものである。各段階の図は各々、熱圧着装置の平面図およびそのXX断面、YY断面を示したものである。図は簡略化して示したものであり、真空ポンプ、配管、脱気溝、吸着用穴、Oリング等は従来例と同様のものを使用した。以下図に従って本例を説明する。
【0071】
図1(a)は本例の熱板104の平面図である。図の様に本例の熱板104には穴が設けられ、熱板104表面のこの穴から可動支持体105が突出している。可動支持体105はテフロン(登録商標)樹脂製で形状は図示のような鍔付き帽子型である。帽子の頭の直径は10mmのものを使用した。可動支持体105はバネによって常時、上部へ突き上げられている状態にある。また、熱板104には複合体103を吸着するための吸着穴(不図示)と、弾性シ−ト106と熱板104の間を脱気するための脱気溝(不図示)が設けられている。さらに本例の熱板104には不図示の電熱ヒ−タ−が埋め込まれており、熱板105はこの電熱ヒ−タ−によって常時210℃になるように制御されている。
【0072】
本例の複合体は図5と同様のものを使用した。
【0073】
以下の方法によって、本例の複合体103を製作した。
【0074】
まず、第一に次の要領で本例の光起電力体101を準備した。
【0075】
基板として表面を洗浄した厚さ0.15mmのSUS430からなるロ−ル状ステンレス基板を用意した。次に基板の表面上にタングステン、銀、酸化亜鉛の薄膜層(厚さ1μm以下)を公知のスパッタ法によって作製した。次に公知の電析法によって厚み約2μmの酸化亜鉛の層を形成し、さらに公知のCVD法によってn層、i層、p層の3層からなる厚さ約3μmの微結晶シリコン層を2層と、n層、i層、p層の3層からなる厚さ1μm以下のアモルファスシリコン層とを重ね光起電力層を形成した。最後に公知のスパッタ法によって厚さ70nmのITO層を形成した。この基板を切断することにより、光起電力体101(239mm×356mm)を作製した。この光起電力体101に対して、次の処理を行うことにより基板端部における光起電力層の短絡を防止した。
【0076】
まず、光起電力体101の表面上に、ITO層のエッチング剤(FeCl3)含有ペ−ストを基板の外周に沿ってスクリ−ン印刷した後、純水洗浄することにより、ITO層の一部を除去しITO層からなる上部電極と、基板、タングステン、銀、酸化亜鉛からなる下部電極との電気的な分離を確実にした。
【0077】
第二に次の要領で金属細線102を準備した。原材料として直径4〜5mmの銅線の外周に厚み50μmの銀箔を貼り付けたものを準備した。次にそれを伸線装置により直径100μmの芯線に整形した。この芯線を連続的に作製しボビンに500g巻き取った。整形後の銀の被覆は厚み約1μmであった。次にエナメル線用のロ−ルコ−タ装置により芯線の周りに導電性フィラ−を含有する樹脂からなる被覆を形成した。被覆は完全硬化した内層と、金属細線102を光起電力層上に接着固定するための外層の二層構造にした。
【0078】
内層の形成方法は以下の通りである。まず芯線をボビンから巻き出し内層形成処理槽を通した。内層形成処理槽は内層用のフィラ−を含有した樹脂を巻き上げている回転ロ−ルと、フェルトよりなる。内層形成処理層に通された芯線はまず、回転ロ−ルに接触する。この際に回転ロ−ルが巻き上げている樹脂が芯線に塗布される。さらに芯線はフェルトに接触する。この際に余分な樹脂が除去される。さらに芯線は加熱炉を通過する。この際に塗布された樹脂が完全に硬化する。樹脂の塗布量の偏芯を防ぐために、この塗布、除去、硬化の一連の工程を複数回行った。芯線の巻き取り側で樹脂が塗布された芯線の外径を測定し、その値をフィ−ドバックさせて樹脂の粘度を調整した。フィ−ドバックの機構は、樹脂の粘度を低下させて回転ロ−ルが巻き上げる樹脂量が下げ、塗布量が減少させる機構である。樹脂の粘度調整は溶剤のキシレンを加えることで行った。使用した樹脂の構成は次の通りである。フィラ−として直径が30±20nmのカ−ボンブラックを使用した。カ−ボンブラックは体積密度35%に調整した。フィラ−と樹脂の混合比は、混合物の重量を100として、ブチラ−ル樹脂6.4重量部、クレゾ−ル樹脂、フェノ−ル樹脂、芳香族炭化水素系樹脂4.2重量部、硬化材としてジオ−ルイソシアネ−ト18重量部、溶剤としてキシレン18重量部、ジエチレングリコ−ルモノメチルエ−テルを12重量部、シクロヘキサノンを3.6重量部、さらにカップリング剤としてγ−メルカプトプロピルトリメトキシシランを0.7重量部ペイントシェ−カ−で混合分散して作製した。以上のようにして完成した内層の被覆の厚みは約5μm、抵抗率は約0.5Ωcmであった。
【0079】
外層の形成方法は以下の通りである。内層が塗布された芯線を外層形成処理槽に通した。外層形成処理槽は外層用のフィラ−を含有した樹脂を巻き上げている回転ロ−ルと、ダイスよりなる。外層形成処理層に通された芯線はまず、回転ロ−ルに接触する。この際に回転ロ−ルが巻き上げている樹脂が芯線に塗布される。さらに芯線はダイスを通過する。この際に余分な樹脂が除去される。さらに芯線は加熱炉を通過する。この際に塗布された樹脂の溶剤が蒸発し樹脂が半硬化する。樹脂の塗布量の偏芯を防ぐために、この塗布、除去、硬化の一連の工程を複数回行った。回数を重ねるごとにダイスの穴径は大きくし、最終的に外層の厚みは20μmとした。使用した樹脂の構成は次の通りである。フィラ−として直径が30±20nmのカ−ボンブラックを使用した。カ−ボンブラックを35重量部、ウレタン樹脂41重量部、フェノキシ樹脂14重量部、硬化材として水素添加ジフェニルメタンジイソシアネ−ト6重量部、溶剤として芳香族系溶剤4重量部、さらにカップリング剤としてγ−メルカプトプロピルトリメトキシシランを0.7重量部ペイントシェ−カ−で混合分散して作製した。以上のようにして完成した外層の被覆の抵抗率は約0.5Ωcmであった。
【0080】
第二に準備した金属細線102を長さ350mmに裁断し、反りや、捩れを除去した直線状の金属細線102を複数本用意した。反りや、捩れを除去する方法は、金属細線102を接触する二つの回転ゴムロ−ラの間を通す方法を採用した。
【0081】
第三に次の要領で、光起電力体101上に導電性樹脂被覆を有する金属細線102を複数本ならべて固定した。用意した金属細線102の両端を光起電力体101の端部表面に両面テ−プ107を介して固定した。使用した両面テ−プ107ポリイミドを基材として両面にアクリル粘着樹脂を塗布したものである。金属細線102を両面テ−プ107に固定する際には、金属細線102に0.49Nの張力を加えながら固定した。
【0082】
こうして形成した複合体103を、熱圧着装置に挿入し、光起電力体101上に金属細線102を固定した。図1(a)乃至(d)は図(a)以降の工程が進行する様子を段階的に示したものである。図(b)は上記熱板104の上に、上記複合体103を爪付きオ−トハンドによって戴置した状態をXX断面によって示したものである。可動支持体105は熱板104の表面から10mm突出しているため、容易にオ−トハンドによって戴置することが可能であった。熱板104の上方には弾性シ−ト106と、チャンバ−109と、弾性シ−ト106とチャンバ−109とで形成される気密空間を配置した。さらに、この気密空間には、フレキシブル配管(付図示)を通して加圧ポンプを接続した。この段階で既に加圧ポンプは作動しており、前述の気密空間が外気よりも+10kPaで加圧されるように設定した。チャンバ−109は金属チャンバ−であり、弾性シ−トは厚さ50μmのPTFE製シ−トを使用した。またチャンバ−109と弾性シ−ト106との間にはOリングを設けた。
【0083】
図(b)の段階では可動支持体105は沈降せず、複合体103は熱板104に接触していなかった。そのため複合体103は熱板104からの放射熱、可動支持体105による伝導熱、外気の対流による熱移動によって加熱されている状態にあった。この状態での複合体103の昇温速度は緩く、戴置初期で約5℃/sとなる。
【0084】
図(c)は一定量チャンバ−109を下降させている状態である。この時、不図示の配管を通してによって全ての可動支持体105内部の空気を脱気し、大気圧を可動支持体105に印加した。この大気圧におされて可動支持体105内部のバネが圧縮され可動支持体105は弾性シ−ト106が複合体103に接触する前に、熱板104に完全に沈降した。これによって、複合体103が熱板104に接触したため、複合体103に熱板104から直接熱が伝導した。この時の複合体の昇温速度を測定したところ、複合体103と熱板104の接触直後で36℃/sとなる。
【0085】
図(d)から図(f)の段階にかけて、金属細線102の中央部から両端に向けた、より広範な範囲が、光起電力体101に押し付けられて固定された。この時、金属細線102は両端部に向けて、扱かれるように光起電力体101上に押さえつけられたため、直線形状を維持したまま、光起電力体101上に固定された。(d)乃至(f)の間は0.5秒程度であった。
【0086】
さらに真空ポンプ88によって、前述の複合体吸着用穴、脱気溝の内部を排気した。しかし、弾性シ−ト106と複合体103、および熱板104との間には殆ど空間が無かったため、排気量は従来の方法と比較して、格段に少ないものであった。この図(f)の段階で金属細線102は全長に渡って光起電力体101に押し付けられて固定された。
【0087】
さらに複合体103と熱板104とが接触した状態を60秒保持した。この間にカ−ボンペ−ストが硬化し、金属細線102はカ−ボンペ−ストによって光起電力体上に固定された。
【0088】
次にチャンバ−109を上昇させて図(b)の状態に戻した。同時に、可動支持体105内部への脱気を停止させた。そのため、可動支持体105内部のバネが伸長し、複合体103と熱板104が、再度10mm離れることによって複合体103の加熱は終了した。複合体103と熱板104が自動的に再度10mm離れたことによって容易に熱板104上から複合体103を除去することが出来た。
【0089】
その後複合体に公知のバスバ−電極を形成し光起電力素子を完成させた。
同じ方法により複数枚の光起電力体に金属細線を熱圧着して、金属細線に一定基準以上の曲がりが発生する確率を調べたところ極めて少なかった。
【0090】
(実施例2)
図2は本例を示す図である。図2(a)乃至(f)は本例の工程を段階的に示したものである。図2の熱圧着装置に、複合体203として実施例1と同じ物を使用した。図2の可動支持体205は全て連結部材226によって連結されており、全ての可動支持体が互いに連動して熱板204に埋没するように設計した。図2の平面図において、エリア227は弾性シ−ト206が複合体203に接触しているエリアを示したものである。図の様に工程が進行するにつれて接触エリア227は広がった。段階(c)において中心の可動支持体205に弾性シ−ト206が接触し、それ以降の段階において中心の可動支持体205が弾性シ−ト206に押し下げられることに連動して、その他全ての可動支持体205が押し下げられた。これにより複合体は平板状態を保つことが可能であり、金属細線202が曲がりを抑える効果があった。実施例1と同様に複数枚の光起電力体に金属細線を熱圧着して、金属細線に一定基準以上の曲がりが発生する確率を調べたところ極めて少なかった。実施例1においては、支持部材を脱気する装置が必要となるが、本発明ではそのような装置は必要なく、装置コストを抑えることが可能な点でメリットがある。
【0091】
(実施例3)
図4に本例を示す。本例の複合体403は実施例1と同じものを使用した。本例の可動支持体405は、金属細線402に沿った方向における複合体403の端部のうち4隅みにあたる部分を支持しないように配置されている。これにより図4(d)の段階においてYY断面に図示したように光起電力体401の端部が下方に下がり、弾性シート206が、複合体203の中央部に接触しても、複合体の変形を抑制することが出来る。そのため金属細線402の張力が緩むことを防ぐ効果があった。
【0092】
実施例1と同様に複数枚の光起電力体に金属細線を熱圧着して、金属細線に一定基準以上の曲がりが発生する確率を調べたところ極めて少なかった。実施例2では可動支持体を連結する部材が必要であるが、本例ではそのような部材が必要なく、さらにまた装置コストを抑えることが可能な点でさらにメリットがある。
【0093】
(比較例1)
本例は実施例1と同様の複合体を使用した。また、本例の熱圧着装置は特開2003−039554記載の図7に示した従来の熱圧着装置を使用した。図7の段階(c)から(d)にかけて、気密空間620内部を、脱気溝612を通して脱気する際に、圧力変動が大きく金属細線602が曲がった状態で光起電力体601上に固定されてしまうことが多かった。
【0094】
【発明の効果】
本発明によって、導電性樹脂の被覆を有する金属細線からなるを光起電力体の主面上に熱圧着してなる集電電極の形成方法において、金属細線の曲がりの発生を抑えることが可能となる。これによって、金属細線の曲がりによる出力低下のない光起電力素子を歩留まり良く生産することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を説明する図である。
【図2】本発明の実施例を説明する図である。
【図3】本発明との比較例を説明する図である。
【図4】本発明の実施例を説明する図である。
【図5】光起電力素子を説明する図である。
【図6】従来技術を説明する図である。
【図7】従来技術を説明する図である。
【図8】本発明の実施の形態を説明する図である。
【図9】本発明の実施の形態を説明する図である。
【図10】本発明の課題を説明する図である。
【図11】本発明の実施の形態を説明する図である。
【図12】本発明の実施の形態を説明する図である。
【符号の説明】
101、201、301、401、501、701、801、901、1001、1101 光起電力体
102、202、302、402、502、702、802、902、1002、1102 金属細線
103、203、303、403、503、703、803、903、1003、1103 複合体
104、204、304、404、604、704、804、904、1004、1104 熱板
105、205、305、405、605、705、805、905、1005、1105 可動支持体
106、206、306、406、606、706、806、906、1006、1106 弾性シ−ト
507 テ−プ
508 バスバ−電極
109、209、309、409、609、709 チャンバ−
610 穴
611 バネ
612、712 溝
613、713 脱気口
614、714 配管
615、715 配管
616、716 バルブ
617、717 バルブ
618、718 真空ポンプ
619、719 Oリング
720 気密空間
721 皺
822、1122 空間
1123 端部
226 連結体
Claims (8)
- 光起電力体上に金属細線の両端を固定してなる複合体を熱板の主面から突出した複数の可動支持体の上に載置する第一の工程と、前記熱板に対向させた弾性シ−トの反対向面に加わる圧力が対向面に加わる圧力よりも高い状態で、前記弾性シ−トを前記複合体の上に押し当てる第二の工程とを含む光起電力素子の製造方法において、
前記弾性シ−トが前記複合体に接触する前に、前記可動支持体が前記熱板に埋没することを特徴とする光起電力素子の製造方法。 - 光起電力体上に金属細線の両端を固定してなる複合体を熱板の主面から突出した複数の可動支持体の上に載置する第一の工程と、前記熱板に対向させた弾性シ−トの反対向面に加わる圧力が対向面に加わる圧力よりも高い状態で、前記弾性シ−トを前記複合体の上に押し当てる第二の工程とを含む光起電力素子の製造方法において、
複数の前記可動支持体は互いに連動して、同時に前記熱板に埋没することを特徴とする光起電力素子の製造方法。 - 光起電力体上に金属細線の両端を固定してなる複合体を熱板の主面から突出した複数の可動支持体の上に載置する第一の工程と、前記熱板に対向させた弾性シ−トの反対向面に加わる圧力が対向面に加わる圧力よりも高い状態で、前記弾性シ−トを前記複合体の上に押し当てる第二の工程とを含む光起電力素子の製造方法において、
前記複合体に前記弾性シ−トを押し当てるまでの間、前記複合体の端部が前記複合体の中央部よりも下方に下がった状態で保持すること特徴とする光起電力素子の製造方法。 - 複数の前記可動支持体の支持力に差を設けたことを特徴とする請求項3に記載の光起電力素子の製造方法。
- 光起電力体上に金属細線の両端を固定してなる複合体を熱板の主面から突出した複数の可動支持体の上に載置する第一の手段と、前記熱板に対向させた弾性シ−トの反対向面に加わる圧力が対向面に加わる圧力よりも高い状態で、前記弾性シ−トを前記複合体の上に押し当てる第二の手段とを有する光起電力素子の製造装置において、
前記弾性シ−トが前記複合体に接触する前に、前記可動支持体が前記熱板に埋没することを特徴とする光起電力素子の製造装置。 - 光起電力体上に金属細線の両端を固定してなる複合体を熱板の主面から突出した複数の可動支持体の上に載置する第一の手段と、前記熱板に対向させた弾性シ−トの反対向面に加わる圧力が対向面に加わる圧力よりも高い状態で、前記弾性シ−トを前記複合体の上に押し当てる第二の手段とを有する光起電力素子の製造装置において、
複数の前記可動支持体は互いに連動して、同時に前記熱板に埋没することを特徴とする光起電力素子の製造装置。 - 光起電力体上に金属細線の両端を固定してなる複合体を熱板の主面から突出した複数の可動支持体の上に載置する第一の手段と、前記熱板に対向させた弾性シ−トの反対向面に加わる圧力が対向面に加わる圧力よりも高い状態で、前記弾性シ−トを前記複合体の上に押し当てる第二の手段とを含む光起電力素子の製造装置において、
前記複合体に前記弾性シ−トを押し当てるまでの間、前記複合体の端部が前記複合体の中央部よりも下方に下がった状態で保持する手段を有することを特徴とする光起電力素子の製造装置。 - 複数の前記可動支持体の支持力に差を設けたことを特徴とする請求項7に記載の光起電力素子の製造装置。
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