JP2005010360A - 感光性ポリイミド系樹脂組成物およびこれを用いた電子部品 - Google Patents
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Abstract
【課題】銅および銅合金に対して、残膜防止効果および膜密着効果を有する電子材料用のポリイミド系樹脂組成物およびこれを用いた電子部品を提供する。
【解決手段】感光性を有するポリイミド系樹脂と、トリアゾール又はその誘導体を含有してなる感光性ポリイミド系樹脂組成物。前記トリアゾール又はその誘導体が、1.2.3−ベンゾトリアゾール又はその誘導体である感光性ポリイミド系樹脂組成物。前記感光性ポリイミド系樹脂組成物を用いた電子部品。
【選択図】 なし
【解決手段】感光性を有するポリイミド系樹脂と、トリアゾール又はその誘導体を含有してなる感光性ポリイミド系樹脂組成物。前記トリアゾール又はその誘導体が、1.2.3−ベンゾトリアゾール又はその誘導体である感光性ポリイミド系樹脂組成物。前記感光性ポリイミド系樹脂組成物を用いた電子部品。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、銅および銅合金に対して残膜防止効果、膜密着効果を有する電子材料用の感光性ポリイミド系樹脂組成物、およびこれを用いた電子部品に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリイミド樹脂は耐熱性に優れ、その性質がゆえに幅広く使用されている。特に半導体材料としては、封止剤とチップの間の保護膜(バッファーコート)として用いられている。最近では半導体製造プロセス短縮のために、ポリイミド樹脂自体に感光性を付与し、塗布、露光、現像により容易にレリーフパターンを形成できるようにした感光性ポリイミドが主流となりつつある。
【0003】
ポリイミド系樹脂は、半導体素子などの分野で幅広く使用されているが、従来のポリイミド系樹脂は、導体材料として汎用されている銅及び銅合金などの金属に対して腐食性を示すという問題を有している。その原因としては、ポリイミド前駆体のポリアミド酸に含まれるカルボキシル基が銅や銅合金と反応してこれらを腐食させることが挙げられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、ポリイミドワニスを用いて、多層配線板用層間絶縁膜を形成させる場合、硬化後に塗膜と接触する銅または銅合金に、腐食作用による銅イオンの発生が起こり、絶縁不良、断線、ショート、金属部位の錆、膜の密着性の低下、膜の物性劣化などといった種々の問題を引き起こす。
【0005】
また、感光性ポリイミド系樹脂を用いて、金属配線または金属層が形成された基板上にレジスト膜を形成する場合、樹脂のカルボキシル基と銅または銅合金との反応に起因して、現像時に未露光部に残膜が発生するという問題があった。
【0006】
本発明は、銅および銅合金に対して、残膜防止効果および膜密着効果を有する電子材料用のポリイミド系樹脂組成物およびこれを用いた電子部品を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、感光性を有するポリイミド系樹脂と、トリアゾール又はその誘導体を含有してなる感光性ポリイミド系樹脂組成物に関する。
また本発明は、前記トリアゾール又はその誘導体が、1.2.3−ベンゾトリアゾール又はその誘導体である感光性ポリイミド系樹脂組成物に関する。
また、本発明は、前記感光性ポリイミド系樹脂組成物を用いた電子部品に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明者らは感光性を有するポリイミド系樹脂にトリアゾールまたはこれらの誘導体を含有させると、良好な感光特性を損なうことなく、前記目的を達成できることを見いだした。
これらの感光性ポリイミド系樹脂組成物は、一般に、ポリイミド系樹脂、トリアゾール又はその誘導体、及びその他の成分を溶剤に均一に溶解した溶液として使用される。
【0009】
本発明における感光性を有するポリイミド系樹脂としては、例えば、ポリイミド前駆体であるポリアミド酸と、前記ポリアミド酸のカルボキシル基とイオン結合性を有するアミノ基及び感光基(例えば、エチレン性不飽和二重結合)を有する化合物とからなる、イオン結合型感光性ポリイミド前駆体、側鎖にエステル結合を介してエチレン性不飽和二重結合を有する感光性ポリアミド酸エステル、側鎖にアミド結合を介してエチレン性不飽和二重結合を有する感光性ポリアミド酸アミド等があげられる。
これらの感光性を有するポリイミド前駆体は、一般に光ラジカル開始剤を併せて使用する。
【0010】
トリアゾール又はその誘導体としては、例えば、1,2,3−ベンゾトリアゾール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール等があげられるが、1.2.3−ベンゾトリアゾール又はその誘導体であると残膜防止効果が高く好ましい。
1.2.3−ベンゾトリアゾール又はその誘導体は下記の一般式(I)で示されるものが好ましい。
【化1】
(I)
(ただし、RおよびR’は水素原子またはアミノ基であり、RとR’は同一でも異なっていても良い。)
【0011】
感光性を有するポリイミド系樹脂と、トリアゾールおよびその誘導体から選ばれる少なくとも一種の化合物との配合比は、ポリイミド系樹脂に100重量部に対して、トリアゾールおよびその誘導体が0.01〜1重量部であることが好ましい。
【0012】
本発明の感光性ポリイミド前駆体樹脂組成物における、感光性を有するポリイミド系樹脂は、例えば、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとから得られるポリイミド前駆体ポリマ構造に感光性基が付与された構造のものが挙げられる。
【0013】
テトラカルボン酸二無水物としては、例えばピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5,6−ピリジンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物等のテトラカルボン酸二酸無水物が単独で又は2種以上を組み合わせて使用される。
【0014】
その中でも、2つ以上の芳香族環の間の結合のうち少なくとも1つ以上がエーテル基、メチレン基、カルボニル基を有するテトラカルボン酸二酸無水物が好ましく、エーテル基を有するテトラカルボン酸二酸無水物がより好ましい。これらのうち、ピロメリット酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物などは剛直なポリマー構造をつくり、高耐熱性、低熱膨張性には有利であるが、熱圧着性、光透過性には不利である。また、芳香族環の間の結合がエーテル基、メチレン基、カルボニル基を有するテトラカルボン酸二酸無水物は熱圧着性、光透過性は良いが、高耐熱性、低熱膨張性には不利である。特に熱圧着性をもち、i線透過性が良好なものはビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物のような芳香族環の間の結合がエーテル基を有するテトラカルボン酸二酸無水物である。
【0015】
ジアミンとしては、例えば、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、ベンジシン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、1,5−ナフタレンジアミン、2,6−ナフタレンジアミン、ビス(4−アミノフェノキシフェニル)スルホン、ビス(3−アミノフェノキシフェニル)スルホン、ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン等の芳香族ジアミン化合物等が挙げられ、その中でも、2つ以上の芳香族環の間の結合のうち少なくとも1つ以上がエーテル基、メチレン基、カルボニル基を有する芳香族ジアミン化合物が好ましく、エーテル基を有する芳香族ジアミン化合物がより好ましい。
これらもテトラカルボン酸二酸無水物と同様にフェニレンジアミン、ナフタレンジアミンなどは剛直なポリマー構造をつくり、高耐熱性、低熱膨張性には有利であるが、熱圧着性、光透過性には不利である。一方、ジアミノジフェニルエーテル、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホンなどは熱圧着性、光透過性は良いが、高耐熱性、低熱膨張性には不利である。特に熱圧着性をもち、i線透過性が良好なものはジアミノジフェニルエーテルのような芳香族環の間の結合がエーテル基を有する芳香族ジアミンである。
【0016】
本発明において、イオン結合型感光性ポリイミド系樹脂の場合、感光基は、たとえば2−(N,N,ジメチルアミノ)エチルアクリレート、2−(N,N,ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、3−(N,N,ジメチルアミノ)プロピルアクリレート、3−(N,N,ジメチルアミノ)プロピルメタクリレート、4−(N,N,ジメチルアミノ)ブチルアクリレート、4−(N,N,ジメチルアミノ)ブチルメタクリレート、5−(N,N,ジメチルアミノ)ペンチルアクリレート、5−(N,N,ジメチルアミノ)ペンチルメタクリレート、6−(N,N,ジメチルアミノ)ヘキシルアクリレート、6−(N,N,ジメチルアミノ)ヘキシルメタクリレート、2−(N,N,ジメチルアミノ)エチルシンナメート、3−(N,N,ジメチルアミノ)プロピルシンナメート、ソルビタン酸−2−(N,N,ジメチルアミノ)エチル、ソルビタン酸−3−(N,N,ジメチルアミノ)プロピル、ソルビタン酸−4−(N,N,ジメチルアミノ)ブチル、2−アミノエチルアクリレート、2−アミノエチルメタクリレート、3−アミノプロピルアクリレート、3−アミノプロピルメタクリレート、4−アミノブチルアクリレート、4−アミノブチルメタクリレート、5−アミノペンチルアクリレート、5−アミノペンチルメタクリレート、6−アミノヘキシルアクリレート、6−アミノヘキシルメタクリレート、2−アミノエチルシンナメート、3−アミノプロピルシンナメート、ソルビタン酸−2−アミノエチル、ソルビタン酸−3−アミノプロピル、ソルビタン酸−4−アミノブチル等の、アミノ基と感光性基を有する化合物を配合することで形成できる。
【0017】
これらの配合量は、配合する前のポリマ成分のカルボキシル基に対して、0.1〜3当量、より好ましくは0.5〜2.2当量の範囲で配合すると好ましい。
【0018】
本発明における光ラジカル開始剤としては、たとえば4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、2−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸ブチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチル、2,2−ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、ベンジル−β−メトキシエチルアセタール、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸メチル、ミヒラースケトン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、4’−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、ブチルトリクロロアセトフェノン、ブチルジクロロアセトフェノン、アジドベンズアルデヒド、アジドアセトフェノン、アジドベンゾイン酸、アジドベンザルアセトフェノン、アジドベンザルアセトン、4,4’−ジアジドカルコン、1,3−ビス−(4’−アジドベンザル)−アセトン、2,6−ビス−(4’−アジドベンザル)−シクロヘキサノン、2,6−ビス−(4’−アジドベンザル)−4−メチルシクロヘキサノン、1,3−ビス−(4’−アジドベンザル)−2−プロパノン−2’−スルホン酸、1,3−ビス−(4’−アジドベンザル)−2,2’−ジスルホン酸ナトリウム、4,4’−ジアジドスチルベン−2,2’−ジスルホン酸、1,3−ビス−(4’−アジドシンナミリデン)−2−プロパノン、アジドピレン、3−スルホニルアジド安息香酸、4−スルホニルアジド安息香酸、2,6−ビス−(4’−アジドベンザル)−シクロヘキサノン−2,2’−ジスルホン酸ナトリウム、2,6−ビス−(4’−アジドベンザル)−メチル−シクロヘキサノン−2,2’−ジスルホン酸ナトリウム、キサントン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、クロロチオキサントン2−イソプロピルチオキサントン、ジベンゾスベロン、2,5−ビス−(4’ジエチルアミノベンザル)シクロペンタノン、1−アセチルアミノ−4−ニトロナフタレン、5−ニトロアセナフテン、1−ニトロピレン、α,α−ジクロロ−4−フェノキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、クマリン化合物、チタノセン化合物、ビイミダゾール、ベンジル等が挙げられ、その中でも、ベンゾフェノン、ベンゾイン、ベンジルジメチルケタール、キサントン、ビイミダゾール、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン等が好ましく、ベンゾフェノン、ビイミダゾールがより好ましい。
【0019】
本発明における光ラジカル開始剤の配合量は、どのような感光剤を用いるかによって大きく異なるが、感光性を有するポリイミド系樹脂100重量部(但しイオン結合型感光性ポリイミド系樹脂の場合、アミノ基と感光性基を有する化合物の配合前の、ポリアミド酸としての量)に対し、0.1〜20重量部とすることが好ましい。この配合量が少ない時には感度が弱く、多いときには最終硬化膜の性質が悪化する傾向がある。また露光波長において吸収強度の高い感光剤では、露光の際光が塗膜の深部にまで到達せず、表面付近のみで硬化することになる。
このため、露光波長において吸収強度の強くない感光剤を用いるか、あるいは吸収強度の高い感光剤を使用する場合は、その配合量を少なくする必要がある。
【0020】
本発明の感光性ポリイミド前駆体樹脂組成物には、上記成分の他に、シリコン基板に対する接着性増強剤としてシランカップリング剤を用いることができる。
また、ジアミンの一部にジアミノシロキサンを用いてベースポリマーを変性して接着性増強効果を付与することができる。
【0021】
また、上記成分の他に、必要に応じて感光特性を向上するために2つ以上の光重合性オレフィン二重結合を含む架橋剤を使用することができる。2つ以上の光重合性オレフィン二重結合を含む架橋剤としてはテトラエチレングリコールジメタクリレート等多数ある。その使用量としては、感光性を有するポリイミド系樹脂(但しイオン結合型感光性ポリイミド系樹脂の場合、アミノ基と感光性基を有する化合物の配合前の、ポリアミド酸としての量)100重量部に対し、0.1〜20重量部とすることが好ましい。
【0022】
本発明の感光性ポリイミド前駆体樹脂組成物に、現像時間を短縮する目的でベンゼンスルホン酸アミドやベンゼンスルホン酸アニリド等の溶解促進剤を用いることも可能である。これららの添加量としては、感光性を有するポリイミド系樹脂(但しイオン結合型感光性ポリイミド系樹脂の場合、アミノ基と感光性基を有する化合物の配合前の、ポリアミド酸としての量)100重量部に対し、0.1〜40重量部とすることが好ましい。
【0023】
以上、説明した本発明の感光性ポリイミド系樹脂組成物は、例えば、超LSI等の半導体素子のバッファーコート膜、α線遮蔽膜、層間絶縁膜等として使用することができ、特に厚膜形成用に好適である。特にこれら用途のうちバッファーコート膜として使用する場合、本発明の感光性ポリイミド系樹脂組成物は、塗布、プリベイク、露光、現像によりレリーフパターンを得た後、加熱により硬化した膜は熱圧着性を有するため、LOC構造の半導体素子に用いる場合は、LOCテープを必要とせずにチップを直接リードフレームに熱圧着することによりLOC構造を得ることができる。ここでレリーフパターンを得る工程では通常のホトリソグラフィー工程に従う。
【0024】
現像液としては、N−メチル−2−ピロリドン、N−アセチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルトリアミド、ジメチルイミダゾリジノン、N−アセチル−ε−カプロラクタム等の非プロトン性極性溶媒が単独、ポリアミック酸の貧溶媒であるメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ベンゼン、トルエン、キシレン、メチルセロソルブ、水等との混合液が用いられる。また、リンス液としては、ポリアミック酸の貧溶媒であるメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ベンゼン、トルエン、キシレン、メチルセロソルブ、水等が用いられる。
レリーフパターンを得た後加熱によりポリマー膜を硬化させるが、イオン結合型の場合、はじめにポリイミド前駆体であるポリアミック酸のカルボキシル基にイオン結合した感光基が脱離し、ついでポリアミック酸の閉環脱水反応が起こりイミド化するものと考えられる。このときの加熱温度は150から450℃の範囲で行われることが望ましい。
【0025】
本発明の感光性ポリイミド系樹脂組成物を用いてテープレスLOCパッケージを製造する場合は、本発明の感光性ポリイミド系樹脂組成物をパッシベーションまで加工されたウエハ上に、塗布、プリベイク、露光、現像によりボンディングパッド、ヒューズ等のレリーフパターンを得た後、加熱(フルキュア)により硬化し、所定の大きさにダイシングしたチップを加熱、LOC用のリードフレームに熱圧着し、通常の方法で素子を封止してパッケージとして完成する工程をとることで、テープレスLOCパッケージを製造できる。
【0026】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明するが、これらに限定されるものではない。窒素流下で37.09gの4,4’−ジアミノジフェニルエーテル及び2.42gの1,3−ビス(3−アミノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンを300gのN−メチル−2−ピロリドンに溶解し、アミン溶液を調整する。この溶液を氷冷し、約15℃に保ち撹拌下で60.49gの粉状のビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物を加え、3時間撹拌反応させ、約280ポイズのポリアミド酸溶液を得た。この溶液に3−(N,N,ジメチルアミノ)プロピルメタクリレートをビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物の2倍当量と、1,2,3−ベンゾトリアゾールを0.1g加え、3μmのフィルターにて加圧ろ過し、これをワニスAとした。ワニスAをシリコンウエハ上にスピナを用いて塗布し、95℃のホットプレートで120秒、120℃のホットプレートで120秒プリベイクし、厚み45μmの塗膜を得た。このウエハをi線ステッパーを用い、露光量を200〜1000mJ/cm2とし、露光した。さらにこのウエハを110℃のホットプレートで150秒加熱し、パドル式の現像装置を用い、N−メチル−2−ピロリドン、メタノールの混合溶液で現像、エタノールでリンスし、レリーフパターンを得た。
【0027】
【発明の効果】
本発明の感光性ポリイミド系樹脂組成物は、銅および銅合金に対する残膜防止効果、膜密着効果に優れ、かつ、感光特性も優れるものであり、優れた電子部品を提供するものである。
【発明の属する技術分野】
本発明は、銅および銅合金に対して残膜防止効果、膜密着効果を有する電子材料用の感光性ポリイミド系樹脂組成物、およびこれを用いた電子部品に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリイミド樹脂は耐熱性に優れ、その性質がゆえに幅広く使用されている。特に半導体材料としては、封止剤とチップの間の保護膜(バッファーコート)として用いられている。最近では半導体製造プロセス短縮のために、ポリイミド樹脂自体に感光性を付与し、塗布、露光、現像により容易にレリーフパターンを形成できるようにした感光性ポリイミドが主流となりつつある。
【0003】
ポリイミド系樹脂は、半導体素子などの分野で幅広く使用されているが、従来のポリイミド系樹脂は、導体材料として汎用されている銅及び銅合金などの金属に対して腐食性を示すという問題を有している。その原因としては、ポリイミド前駆体のポリアミド酸に含まれるカルボキシル基が銅や銅合金と反応してこれらを腐食させることが挙げられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、ポリイミドワニスを用いて、多層配線板用層間絶縁膜を形成させる場合、硬化後に塗膜と接触する銅または銅合金に、腐食作用による銅イオンの発生が起こり、絶縁不良、断線、ショート、金属部位の錆、膜の密着性の低下、膜の物性劣化などといった種々の問題を引き起こす。
【0005】
また、感光性ポリイミド系樹脂を用いて、金属配線または金属層が形成された基板上にレジスト膜を形成する場合、樹脂のカルボキシル基と銅または銅合金との反応に起因して、現像時に未露光部に残膜が発生するという問題があった。
【0006】
本発明は、銅および銅合金に対して、残膜防止効果および膜密着効果を有する電子材料用のポリイミド系樹脂組成物およびこれを用いた電子部品を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、感光性を有するポリイミド系樹脂と、トリアゾール又はその誘導体を含有してなる感光性ポリイミド系樹脂組成物に関する。
また本発明は、前記トリアゾール又はその誘導体が、1.2.3−ベンゾトリアゾール又はその誘導体である感光性ポリイミド系樹脂組成物に関する。
また、本発明は、前記感光性ポリイミド系樹脂組成物を用いた電子部品に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明者らは感光性を有するポリイミド系樹脂にトリアゾールまたはこれらの誘導体を含有させると、良好な感光特性を損なうことなく、前記目的を達成できることを見いだした。
これらの感光性ポリイミド系樹脂組成物は、一般に、ポリイミド系樹脂、トリアゾール又はその誘導体、及びその他の成分を溶剤に均一に溶解した溶液として使用される。
【0009】
本発明における感光性を有するポリイミド系樹脂としては、例えば、ポリイミド前駆体であるポリアミド酸と、前記ポリアミド酸のカルボキシル基とイオン結合性を有するアミノ基及び感光基(例えば、エチレン性不飽和二重結合)を有する化合物とからなる、イオン結合型感光性ポリイミド前駆体、側鎖にエステル結合を介してエチレン性不飽和二重結合を有する感光性ポリアミド酸エステル、側鎖にアミド結合を介してエチレン性不飽和二重結合を有する感光性ポリアミド酸アミド等があげられる。
これらの感光性を有するポリイミド前駆体は、一般に光ラジカル開始剤を併せて使用する。
【0010】
トリアゾール又はその誘導体としては、例えば、1,2,3−ベンゾトリアゾール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール等があげられるが、1.2.3−ベンゾトリアゾール又はその誘導体であると残膜防止効果が高く好ましい。
1.2.3−ベンゾトリアゾール又はその誘導体は下記の一般式(I)で示されるものが好ましい。
【化1】
(I)
(ただし、RおよびR’は水素原子またはアミノ基であり、RとR’は同一でも異なっていても良い。)
【0011】
感光性を有するポリイミド系樹脂と、トリアゾールおよびその誘導体から選ばれる少なくとも一種の化合物との配合比は、ポリイミド系樹脂に100重量部に対して、トリアゾールおよびその誘導体が0.01〜1重量部であることが好ましい。
【0012】
本発明の感光性ポリイミド前駆体樹脂組成物における、感光性を有するポリイミド系樹脂は、例えば、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとから得られるポリイミド前駆体ポリマ構造に感光性基が付与された構造のものが挙げられる。
【0013】
テトラカルボン酸二無水物としては、例えばピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5,6−ピリジンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物等のテトラカルボン酸二酸無水物が単独で又は2種以上を組み合わせて使用される。
【0014】
その中でも、2つ以上の芳香族環の間の結合のうち少なくとも1つ以上がエーテル基、メチレン基、カルボニル基を有するテトラカルボン酸二酸無水物が好ましく、エーテル基を有するテトラカルボン酸二酸無水物がより好ましい。これらのうち、ピロメリット酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物などは剛直なポリマー構造をつくり、高耐熱性、低熱膨張性には有利であるが、熱圧着性、光透過性には不利である。また、芳香族環の間の結合がエーテル基、メチレン基、カルボニル基を有するテトラカルボン酸二酸無水物は熱圧着性、光透過性は良いが、高耐熱性、低熱膨張性には不利である。特に熱圧着性をもち、i線透過性が良好なものはビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物のような芳香族環の間の結合がエーテル基を有するテトラカルボン酸二酸無水物である。
【0015】
ジアミンとしては、例えば、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、ベンジシン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、1,5−ナフタレンジアミン、2,6−ナフタレンジアミン、ビス(4−アミノフェノキシフェニル)スルホン、ビス(3−アミノフェノキシフェニル)スルホン、ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン等の芳香族ジアミン化合物等が挙げられ、その中でも、2つ以上の芳香族環の間の結合のうち少なくとも1つ以上がエーテル基、メチレン基、カルボニル基を有する芳香族ジアミン化合物が好ましく、エーテル基を有する芳香族ジアミン化合物がより好ましい。
これらもテトラカルボン酸二酸無水物と同様にフェニレンジアミン、ナフタレンジアミンなどは剛直なポリマー構造をつくり、高耐熱性、低熱膨張性には有利であるが、熱圧着性、光透過性には不利である。一方、ジアミノジフェニルエーテル、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホンなどは熱圧着性、光透過性は良いが、高耐熱性、低熱膨張性には不利である。特に熱圧着性をもち、i線透過性が良好なものはジアミノジフェニルエーテルのような芳香族環の間の結合がエーテル基を有する芳香族ジアミンである。
【0016】
本発明において、イオン結合型感光性ポリイミド系樹脂の場合、感光基は、たとえば2−(N,N,ジメチルアミノ)エチルアクリレート、2−(N,N,ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、3−(N,N,ジメチルアミノ)プロピルアクリレート、3−(N,N,ジメチルアミノ)プロピルメタクリレート、4−(N,N,ジメチルアミノ)ブチルアクリレート、4−(N,N,ジメチルアミノ)ブチルメタクリレート、5−(N,N,ジメチルアミノ)ペンチルアクリレート、5−(N,N,ジメチルアミノ)ペンチルメタクリレート、6−(N,N,ジメチルアミノ)ヘキシルアクリレート、6−(N,N,ジメチルアミノ)ヘキシルメタクリレート、2−(N,N,ジメチルアミノ)エチルシンナメート、3−(N,N,ジメチルアミノ)プロピルシンナメート、ソルビタン酸−2−(N,N,ジメチルアミノ)エチル、ソルビタン酸−3−(N,N,ジメチルアミノ)プロピル、ソルビタン酸−4−(N,N,ジメチルアミノ)ブチル、2−アミノエチルアクリレート、2−アミノエチルメタクリレート、3−アミノプロピルアクリレート、3−アミノプロピルメタクリレート、4−アミノブチルアクリレート、4−アミノブチルメタクリレート、5−アミノペンチルアクリレート、5−アミノペンチルメタクリレート、6−アミノヘキシルアクリレート、6−アミノヘキシルメタクリレート、2−アミノエチルシンナメート、3−アミノプロピルシンナメート、ソルビタン酸−2−アミノエチル、ソルビタン酸−3−アミノプロピル、ソルビタン酸−4−アミノブチル等の、アミノ基と感光性基を有する化合物を配合することで形成できる。
【0017】
これらの配合量は、配合する前のポリマ成分のカルボキシル基に対して、0.1〜3当量、より好ましくは0.5〜2.2当量の範囲で配合すると好ましい。
【0018】
本発明における光ラジカル開始剤としては、たとえば4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、2−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸ブチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチル、2,2−ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、ベンジル−β−メトキシエチルアセタール、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸メチル、ミヒラースケトン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、4’−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、ブチルトリクロロアセトフェノン、ブチルジクロロアセトフェノン、アジドベンズアルデヒド、アジドアセトフェノン、アジドベンゾイン酸、アジドベンザルアセトフェノン、アジドベンザルアセトン、4,4’−ジアジドカルコン、1,3−ビス−(4’−アジドベンザル)−アセトン、2,6−ビス−(4’−アジドベンザル)−シクロヘキサノン、2,6−ビス−(4’−アジドベンザル)−4−メチルシクロヘキサノン、1,3−ビス−(4’−アジドベンザル)−2−プロパノン−2’−スルホン酸、1,3−ビス−(4’−アジドベンザル)−2,2’−ジスルホン酸ナトリウム、4,4’−ジアジドスチルベン−2,2’−ジスルホン酸、1,3−ビス−(4’−アジドシンナミリデン)−2−プロパノン、アジドピレン、3−スルホニルアジド安息香酸、4−スルホニルアジド安息香酸、2,6−ビス−(4’−アジドベンザル)−シクロヘキサノン−2,2’−ジスルホン酸ナトリウム、2,6−ビス−(4’−アジドベンザル)−メチル−シクロヘキサノン−2,2’−ジスルホン酸ナトリウム、キサントン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、クロロチオキサントン2−イソプロピルチオキサントン、ジベンゾスベロン、2,5−ビス−(4’ジエチルアミノベンザル)シクロペンタノン、1−アセチルアミノ−4−ニトロナフタレン、5−ニトロアセナフテン、1−ニトロピレン、α,α−ジクロロ−4−フェノキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、クマリン化合物、チタノセン化合物、ビイミダゾール、ベンジル等が挙げられ、その中でも、ベンゾフェノン、ベンゾイン、ベンジルジメチルケタール、キサントン、ビイミダゾール、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン等が好ましく、ベンゾフェノン、ビイミダゾールがより好ましい。
【0019】
本発明における光ラジカル開始剤の配合量は、どのような感光剤を用いるかによって大きく異なるが、感光性を有するポリイミド系樹脂100重量部(但しイオン結合型感光性ポリイミド系樹脂の場合、アミノ基と感光性基を有する化合物の配合前の、ポリアミド酸としての量)に対し、0.1〜20重量部とすることが好ましい。この配合量が少ない時には感度が弱く、多いときには最終硬化膜の性質が悪化する傾向がある。また露光波長において吸収強度の高い感光剤では、露光の際光が塗膜の深部にまで到達せず、表面付近のみで硬化することになる。
このため、露光波長において吸収強度の強くない感光剤を用いるか、あるいは吸収強度の高い感光剤を使用する場合は、その配合量を少なくする必要がある。
【0020】
本発明の感光性ポリイミド前駆体樹脂組成物には、上記成分の他に、シリコン基板に対する接着性増強剤としてシランカップリング剤を用いることができる。
また、ジアミンの一部にジアミノシロキサンを用いてベースポリマーを変性して接着性増強効果を付与することができる。
【0021】
また、上記成分の他に、必要に応じて感光特性を向上するために2つ以上の光重合性オレフィン二重結合を含む架橋剤を使用することができる。2つ以上の光重合性オレフィン二重結合を含む架橋剤としてはテトラエチレングリコールジメタクリレート等多数ある。その使用量としては、感光性を有するポリイミド系樹脂(但しイオン結合型感光性ポリイミド系樹脂の場合、アミノ基と感光性基を有する化合物の配合前の、ポリアミド酸としての量)100重量部に対し、0.1〜20重量部とすることが好ましい。
【0022】
本発明の感光性ポリイミド前駆体樹脂組成物に、現像時間を短縮する目的でベンゼンスルホン酸アミドやベンゼンスルホン酸アニリド等の溶解促進剤を用いることも可能である。これららの添加量としては、感光性を有するポリイミド系樹脂(但しイオン結合型感光性ポリイミド系樹脂の場合、アミノ基と感光性基を有する化合物の配合前の、ポリアミド酸としての量)100重量部に対し、0.1〜40重量部とすることが好ましい。
【0023】
以上、説明した本発明の感光性ポリイミド系樹脂組成物は、例えば、超LSI等の半導体素子のバッファーコート膜、α線遮蔽膜、層間絶縁膜等として使用することができ、特に厚膜形成用に好適である。特にこれら用途のうちバッファーコート膜として使用する場合、本発明の感光性ポリイミド系樹脂組成物は、塗布、プリベイク、露光、現像によりレリーフパターンを得た後、加熱により硬化した膜は熱圧着性を有するため、LOC構造の半導体素子に用いる場合は、LOCテープを必要とせずにチップを直接リードフレームに熱圧着することによりLOC構造を得ることができる。ここでレリーフパターンを得る工程では通常のホトリソグラフィー工程に従う。
【0024】
現像液としては、N−メチル−2−ピロリドン、N−アセチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルトリアミド、ジメチルイミダゾリジノン、N−アセチル−ε−カプロラクタム等の非プロトン性極性溶媒が単独、ポリアミック酸の貧溶媒であるメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ベンゼン、トルエン、キシレン、メチルセロソルブ、水等との混合液が用いられる。また、リンス液としては、ポリアミック酸の貧溶媒であるメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ベンゼン、トルエン、キシレン、メチルセロソルブ、水等が用いられる。
レリーフパターンを得た後加熱によりポリマー膜を硬化させるが、イオン結合型の場合、はじめにポリイミド前駆体であるポリアミック酸のカルボキシル基にイオン結合した感光基が脱離し、ついでポリアミック酸の閉環脱水反応が起こりイミド化するものと考えられる。このときの加熱温度は150から450℃の範囲で行われることが望ましい。
【0025】
本発明の感光性ポリイミド系樹脂組成物を用いてテープレスLOCパッケージを製造する場合は、本発明の感光性ポリイミド系樹脂組成物をパッシベーションまで加工されたウエハ上に、塗布、プリベイク、露光、現像によりボンディングパッド、ヒューズ等のレリーフパターンを得た後、加熱(フルキュア)により硬化し、所定の大きさにダイシングしたチップを加熱、LOC用のリードフレームに熱圧着し、通常の方法で素子を封止してパッケージとして完成する工程をとることで、テープレスLOCパッケージを製造できる。
【0026】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明するが、これらに限定されるものではない。窒素流下で37.09gの4,4’−ジアミノジフェニルエーテル及び2.42gの1,3−ビス(3−アミノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンを300gのN−メチル−2−ピロリドンに溶解し、アミン溶液を調整する。この溶液を氷冷し、約15℃に保ち撹拌下で60.49gの粉状のビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物を加え、3時間撹拌反応させ、約280ポイズのポリアミド酸溶液を得た。この溶液に3−(N,N,ジメチルアミノ)プロピルメタクリレートをビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物の2倍当量と、1,2,3−ベンゾトリアゾールを0.1g加え、3μmのフィルターにて加圧ろ過し、これをワニスAとした。ワニスAをシリコンウエハ上にスピナを用いて塗布し、95℃のホットプレートで120秒、120℃のホットプレートで120秒プリベイクし、厚み45μmの塗膜を得た。このウエハをi線ステッパーを用い、露光量を200〜1000mJ/cm2とし、露光した。さらにこのウエハを110℃のホットプレートで150秒加熱し、パドル式の現像装置を用い、N−メチル−2−ピロリドン、メタノールの混合溶液で現像、エタノールでリンスし、レリーフパターンを得た。
【0027】
【発明の効果】
本発明の感光性ポリイミド系樹脂組成物は、銅および銅合金に対する残膜防止効果、膜密着効果に優れ、かつ、感光特性も優れるものであり、優れた電子部品を提供するものである。
Claims (3)
- 感光性を有するポリイミド系樹脂と、トリアゾール又はその誘導体を含有してなる感光性ポリイミド系樹脂組成物。
- トリアゾール又はその誘導体が、1.2.3−ベンゾトリアゾール又はその誘導体である請求項1記載の感光性ポリイミド系樹脂組成物。
- 請求項1〜2記載の感光性ポリイミド系樹脂組成物を用いた電子部品。
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