JP2005009924A - 温度センサ回路の故障診断装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】抵抗体経由短絡故障の発生を診断することができる温度センサ回路の故障診断装置を提供すること。
【解決手段】温度により抵抗値が変化する温度センサを用いた温度センサ回路の故障診断装置であって、前記温度センサ回路を診断するため、前記温度センサを抵抗要素を介してグランドに接続する診断モードへと切り替えるモード切替手段と、前記診断モードにおける前記温度センサ回路の出力に基づいて、温度センサ回路の故障の有無を判定する故障判定手段と、を備える温度センサ回路の故障診断装置を提供する。
【選択図】図7
【解決手段】温度により抵抗値が変化する温度センサを用いた温度センサ回路の故障診断装置であって、前記温度センサ回路を診断するため、前記温度センサを抵抗要素を介してグランドに接続する診断モードへと切り替えるモード切替手段と、前記診断モードにおける前記温度センサ回路の出力に基づいて、温度センサ回路の故障の有無を判定する故障判定手段と、を備える温度センサ回路の故障診断装置を提供する。
【選択図】図7
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両に搭載される温度センサ回路の故障診断に関し、特にセンサ読み値に対する実温度値の特性異常の原因となる抵抗体経由短絡故障の発生を診断することができる温度センサ回路の故障診断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両等に搭載される内燃機関には、高温を原因とする内燃機関の破損等を防止するために、数々の温度センサ回路が取り付けられており、これらの温度センサ回路からの出力に基づいて内燃機関の温度管理・制御が行われる。よって、温度センサ回路の出力特性が異常であったり温度センサ回路が故障している場合には、内燃機関の適切な温度管理・制御を行うことが不可能となり、最悪の場合には内燃機関の破損を招く。
【0003】
このような温度センサ回路の故障や異常を検知するために、これまでもいくつかの温度センサ回路の故障診断装置・方法が開示されている。下に示す特許文献1には、推定される発熱量に基づいて制限時間を設定し、制限時間内に水温センサの検出値が所定値に達しないときに故障判定を下す手法が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、ECUにエンジンの前回停止時から今回の停止時間を計測する計測手段を有し、今回始動時に停止時間に応じた判定温度を設定すると共に、始動時の検出温度がこの判定温度よりも高いときに温度センサが故障していると判定する温度センサの診断装置が開示されている。
【0005】
さらに、特許文献3では、ECU内において、プルアップ抵抗値を、スイッチ等の切替手段を用いて変化させ、温度センサ回路内の断線故障を診断する手法が開示されている。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−45851号公報
【0007】
【特許文献2】
特開2000−230453号公報
【0008】
【特許文献3】
特開平9−99708号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
温度センサ回路の故障形態の一つとして、電源ラインとグランドライン間に、ある抵抗値を有して短絡する抵抗体経由短絡故障がある(図1)。この故障形態は、正常時のセンサ読み値に対する実温度特性のグラフの傾きに対し、その傾きが角度が小さくなる特性となる故障形態である。また、この発生した抵抗体の抵抗値Rsgが小さいほど傾き角度が小さくなり、温度検知範囲において非常に広範囲にて誤差を発生させる。
【0010】
ところで、前述の従来技術による温度センサ回路の故障検知手法であるが、特許文献1の手法は、外気温・燃焼状態によっては検知が不可能となったり、検知に時間を要するなどの欠点を有する。また、特許文献2の手法では、停止時間・外気条件・運転時の暖機状態などにより検出部位の温度変化は大きく異なり、故障検知が正確に行えないという課題を有する。特許文献3に示す方法は、分圧手段の抵抗(プルアップ抵抗)を変化させることにより、断線時と非断線時とで出力特性が異なるように回路構成し診断に用いているが(図2)、この診断回路では、抵抗体経由短絡故障発生時の診断時において正常/特性異常を問わず出力電圧がほぼ0となっており(図3(b))、抵抗体経由短絡故障による特性異常が発生しているか否かを判別することができない。
【0011】
以上のように温度センサ回路の故障・異常検知の手法においてはいくつかの欠点を有し、さらに抵抗体経由故障を原因とする特性異常を検知する特別の手法が存在しなかったことから、正確に抵抗体経由故障を検知する手法が望まれていた。
【0012】
従って、本発明は、上述の特性異常の原因となる抵抗体経由短絡故障の発生を診断することができる温度センサ回路の故障診断装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の温度センサ回路の故障診断装置は、請求項1の発明によると、温度により抵抗値が変化する温度センサを用いた温度センサ回路の故障診断装置であって、前記温度センサ回路を診断するため、前記温度センサを抵抗要素を介してグランドに接続する診断モードへと切り替えるモード切替手段と、前記診断モードにおける前記温度センサ回路の出力に基づいて、温度センサ回路の故障の有無を判定する故障判定手段と、を備える。
【0014】
この発明によると、温度センサとグランドとの間の通常の温度検出回路から診断用抵抗を有する回路へと切り替えることができ、温度センサ回路からの出力に基づいて温度センサ回路故障を診断することができるため、電源ライン−グランド間の抵抗体経由短絡故障から生ずる温度センサ回路の出力の特性異常を検出することができる。
【0015】
また、請求項2の温度センサ回路の故障診断装置は、前記故障判定手段が、前記診断モードにおける前記温度センサ回路の出力が所定値よりも大きいときに故障が発生していると判定する。
【0016】
また、請求項3の温度センサ回路の故障診断装置は、前記故障判定手段が、前記診断モードへの切替前および切替後における温度センサ回路の出力に基づいて、前記温度センサ回路の故障の有無を判定する。
【0017】
また、請求項4の温度センサ回路の故障診断装置は、診断モードへの切替前の出力に対する、温度センサ回路の正常時における診断モードへの切替前の出力から診断モードへの切替後の出力を差し引いた正常時変化量を記憶する記憶手段をさらに備える。
【0018】
また、請求項5の温度センサ回路の故障診断装置は、前記故障判定手段が、診断モードへの切替前の出力から、診断モードへの切替後の出力、および診断モードへの切替前の出力における前記正常時変化量を差し引いた値の絶対値が所定の基準値を超えているときに、前記温度センサ回路故障が発生していると判定する。
【0019】
【発明の実施の形態】
ここでは、最初に抵抗体経由短絡故障を診断する手法について説明し、最後に具体的な実施の方法である水温センサ回路故障診断プロセスについて説明する。
【0020】
1.電源ライン−GND(グランド)ライン間の抵抗体経由短絡故障の診断手法
本発明は、図4に示すように、サーミスタとGNDラインの間に診断用の抵抗が切替可能に接続する構成をとる。この診断用の抵抗へと切り替えることにより後述する特性が発揮され、電源ライン−GNDライン間の抵抗体経由短絡故障の診断が可能となるが、この原理について説明する。以下の説明において「通常時」とは、図4に示すようにサーミスタとGNDラインの間が診断用の抵抗Rdに接続されておらず、GNDへと直結する接続線が接続されている状態であって、通常の温度検出時の状態をいう。一方、「診断時」とは、サーミスタとGNDの間が診断用の抵抗Rdに接続されている時の状態をいう。また「正常」とは、温度センサ回路において抵抗体経由短絡故障が発生しておらず、上述の特性異常を生じない状態をいう。そして、「抵抗体経由短絡故障」とは、サーミスタとは並列に、電源ライン−GNDライン間に、ある抵抗値を有する短絡が発生し、その結果温度センサ回路から正常な出力値が出力されない故障状態をいう。図5(b)を参照すると、通常時において抵抗体経由短絡故障が発生しているときは、実温度に対するセンサの読み値のグラフが、正常時の特性よりも傾きが緩慢となり、傾き角度が小さいことがわかる。
【0021】
次に、診断用抵抗Rdへとスイッチを切替え、診断モードにおいてセンサ読みを計測すると、抵抗体経由短絡故障時の実温度に対するセンサ読み値のグラフは、正常時のセンサ読み値のグラフから上部に離れて位置している(図5(c))。また、この傾向は短絡抵抗Rsg値が小さいほど顕著となっている。
【0022】
図3(b)および図3(c)の結果から、横軸を「通常時(診断前)のセンサの読み」、縦軸を「切替後センサ読み変化量」(通常時のセンサ読み値から、診断時のセンサ読み値を差し引いた値)として、実温度を消去したグラフを作成すると、抵抗体Rsgの抵抗値が大きくなる毎に、通常時センサ読みの−40から100にわたって正常時のグラフより右側にスライドしたグラフが作成される。このように、短絡抵抗値が低いほど、正常の時のグラフからの差異が「切替後センサ読み変化量」に現れるため、変化量を正常時のものと比較することで抵抗体経由短絡故障の有無を判断することができる。
【0023】
また、再び図5(c)を参照すると、診断時における抵抗体経由短絡故障時のセンサ読み値は、短絡抵抗値が小さいほど正常時のセンサ読み値から離れていることから、簡易的には、診断時のセンサ読み値が正常時のセンサ読み値から所定値以上離れているという条件でも抵抗体経由短絡故障の発生の有無を診断することができる。
【0024】
2. サーミスタの抵抗増加等異常時における抵抗体経由短絡故障の診断
図6を参照しつつ、サーミスタ(温度センサ)の抵抗増加等の異常と、電源ライン−グランドライン間の抵抗体経由短絡故障が同時に発生した場合の診断について説明する。
【0025】
図6(a)に示すように温度センサ回路において抵抗体経由短絡故障が発生しており、なおかつサーミスタの抵抗増加等の特性異常が発生する場合がある。しかしながら本手法によれば、このようにサーミスタ抵抗増加等の特性異常と抵抗体経由短絡故障が同時に発生した場合であっても、抵抗体経由短絡故障の検知が可能である。
【0026】
サーミスタ抵抗増加特性異常が発生し、なおかつ抵抗体経由短絡故障が発生したときの通常時における実温度に対するセンサ読み値のグラフが図6(b)である。また、図6(c)は、サーミスタ抵抗増加特性異常が発生し、かつ抵抗体経由短絡故障が発生した時の診断時における実温度に対するセンサの読みのグラフである。そして、前述と同様に図6(b)および(c)に基づいて、横軸を「通常時(診断前)センサ読み」とし、縦軸を「切替後センサ読み変化量」として作成したグラフが図6(d)である。この図からも分かるとおり、このようなサーミスタ抵抗増加等の特性異常を併発しているときの抵抗体経由短絡故障であっても、抵抗体短絡故障時のセンサ読み変化量のグラフは、正常時のセンサ読み変化量のグラフから離れて位置しているため、前述と同様に、センサ読み変化量における正常時のグラフからの離れ量をみることによって、抵抗体短絡故障の発生の有無を診断することができる。
【0027】
3. 故障診断プロセス
以下に図7および図8を参照しつつ、水温センサ回路を例にした本発明による故障診断のプロセスを説明する。
【0028】
まず、水温センサ回路の構成について説明する。水温センサ回路は、検出温度により抵抗値が変化するサーミスタ705を有しており、このサーミスタ505の一端が、プルアップ抵抗708に直列に接続されている。そして、サーミスタ505とプルアップ抵抗708との共通接続点が、入力インタエース701に接続されており、この共通接続点からの出力電圧に基づいて水温が検出可能となっている。また、サーミスタ705とグランド709の間には、診断モード回路を形成するための診断用抵抗706、または通常の計測モード回路を形成するための接続線707がスイッチ710によって切替可能に接続されている。尚、このスイッチ710は、トランジスタなどを用いて構成することができ、後述する故障判定部702からの制御信号によってスイッチ切替えができるようになっている。
【0029】
次に、この水温センサ回路故障診断プロセスにおいて使用する電子制御ユニット(ECU)700について説明する。ECUは、水温センサ回路故障診断専用のECUを設けることとしてもよいが、本実施形態では、エンジン系統を制御するECU700に後述する水温センサ回路故障診断機能が組み込まれている。ECU700は、演算を実行するプロセッサ、各種データを一時記憶する記憶領域およびプロセッサによる演算の作業領域を提供するランダム・アクセス・メモリ(RAM)、プロセッサが実行するプログラムおよび演算に使用する各種のデータが予め格納されている読み取り専用メモリ(ROM)、およびプロセッサによる演算の結果およびエンジン系統の各部から得られたデータのうち保存しておくべきものを格納する書き換え可能な不揮発性メモリを備えている。不揮発性メモリは、システム停止後も常時電圧供給されるバックアップ機能付きRAMで実現することができる。また、読み取り専用メモリ(ROM)には、後述の通常時(診断前)センサ読みに対する「切替後センサ読み変化量」(図10)の正常時のデータなどが予め格納されている。
【0030】
図7は、このようなハードウェア構成のECU700を機能ブロックの形で示している。入力インタフェース701は、ECU700とエンジン系統の各部とのインタフェース部であり、エンジン系統の様々な箇所から送られてくる車両の運転状態を示す情報を受け取って信号処理を行い、アナログ情報はデジタル信号に変換し、これらを故障判定部702に渡す。図では、水温センサ回路704からの出力のみが接続されているが、これに限定されるものではなく、その他種々の情報が入力される。
【0031】
出力インタフェース703は、故障判定部702からの制御信号を受け取り、水温センサ回路をスイッチ切り替えするためのモード切替信号を出力する機能を有する。ここでは、モード切替信号用の出力のみが接続されているが、これに限定されるものではなく、その他回路を制御するコントローラなども接続することもできる。
【0032】
次に水温センサ回路故障診断プロセスについて説明する。
【0033】
最初に、メインプログラムより水温センサ回路故障診断プロセスが呼び出されると、故障判定部702は、水温センサ回路故障診断プロセスの実行許可がされているか否かを判断する。ここで、水温センサ回路診断プロセスの実行許可がされているときは、実行許可フラグ(F_JUD_OK)が1に予めセットされている。ここでは、実行許可フラグが1にセットされているため、故障判定部702は、プロセスをS702へと進める。一方、実行許可フラグが0である場合、故障判定部702は、直ちに本プロセスを終了する。
【0034】
プロセスをS802へと進めると、故障判定部702は、切替フラグ(F_DIGN_ECT_SENSOR)が1であるか否かを判断する。ここで、切替フラグは、水温センサ回路が通常モードであるか診断モードであるかを示すフラグであって、この診断モードフラグに1がセットされると故障判定部702からの制御信号により、スイッチ710は自動的に診断用抵抗706へと切替わるようになっている。初期状態において本回路は通常モードであり、切替フラグは0にセットされているため、故障判定部702は、通常時の水温値を入力インタフェース701を介して取得し、この水温値をメモリの変数TW_CHKに代入する(S803)。そして、故障判定部702は、センサ読みがTW_CHK(通常時水温)であるときの正常時の切替後センサ読み変化量(図10)をROMから読み出し、メモリ上の変数DTW_CHKに代入する(S804)。そして、切替フラグを1にセットする(S805)。ここで、上述の通り切替フラグ(F_DIGN_ECT_SENSOR)に1がセットされると、故障判定部702は、制御信号を送信してスイッチ510を切替えスイッチ510が診断用抵抗506へと接続する。そして、本プロセスを終了する。
【0035】
次に、再びメインプログラムから水温センサ回路故障診断プロセスが呼び出されるが、実行許可フラグ(F_JUD_OK)が1であり、さらに切替フラグが1であるから、故障判定部702は、プロセスをS806へと進め、カウンタCNTが所定値GO_VALUEより大きいか否かを判断する。ここで、GO_VALUE値には予め所定の数値が設定されており、カウンタCNTの初期値は0である。よって、現時点においてカウンタCNTはGO_VALUE値を超えていないから、故障判定部702は、プロセスをS607へと進めカウンタCNTのカウンタを1だけ増分する。そして、本プロセスを終了する。
【0036】
次に再度メインプログラムから水温センサ故障診断プロセスが呼び出されることとなるが、上述のように水温センサ故障診断フラグが1かつ切替フラグが1でありつつも、カウンタCNTが所定値GO_VALUE値を超えない状態が続く。しかしながらカウンタCNTは、S707が実行される毎に1ずつ増分するため、所定の回数だけ本プロセスを実行すると、カウンタCNTはGO_VALUE値を超え、S806からS808以降の診断プロセスへと進むことになる。このようにカウンタが所定値を超えるまで診断プロセスに進めないこととしているのは、切替フラグ成立後所定時間は後述の診断処理を行わないためである。
【0037】
S806において、カウンタCNTがGO_VALUE値を超えると、故障判定部702は、プロセスをS808へと進める。プロセスをS808へと進めると、故障判定部702は、診断回路切替後の水温値を入力インタフェース701を介して水温センサ回路から取得し、この水温値をメモリの変数TW_DIGNに代入する(S808)。そして、故障判定部702は、通常時のセンサ読み値(TW_CHK)をメモリから読み出し、この値から診断時回路切替後の水温値(TW_DIGN)を減算し、その減算した値をメモリの変数DTWへと代入する(S809)。次に、故障判定部702は、変数DTWから、読み出した切替後センサ読み変化量DTW_CHKの差を算出し、その演算結果の絶対値が所定のしきい値を超えているか否かを判断する(S810)。ここでは、しきい値は3℃に設定されている。よって、DTWからのDWT_CHKの差の絶対値が3℃を超えていた場合、故障判定部702は、水温センサの故障を表す水温センサNGフラグ(F_TW_SENSOR_NG)を1にセットして(S811)、本プロセスを終了する。一方、しきい値である3℃を超えていない場合には、故障判定部702は、水温センサが正常であることを表す水温センサOKフラグ(F_TW_SENSOR_OK)を1にセットして(S812)、本プロセスを終了する。
【0038】
この発明によると、温度センサとGNDとの間の診断用の抵抗へと切替え、水温センサ回路からの出力に基づいて水温センサ回路故障を診断することができるため、水温センサ回路における電源ライン−GND間の抵抗体経由短絡故障から生ずる水温センサ回路の出力の特性異常を検出することができる。さらに、診断を行うに際し、切替前(通常時)および切替後(診断時)の温度が取得できればよいため、車両が運転状態であるか、ソーク状態であるかなどの環境条件によらず、任意のタイミングで温度センサ回路の出力の特性異常を検出することができる。
【0039】
4. 簡易な方法による故障診断プロセス
次に簡易な方法による故障診断プロセスについて説明する。これは、「電源ライン−GNDライン間の抵抗体経由短絡故障の診断手法」において説明したとおり、診断時における抵抗体経由短絡故障時のセンサ読み値が、短絡抵抗値が小さいほど正常値のセンサ読み値から離れている(図5(c))という原理に基づくものである。
【0040】
図9のフローチャートを参照しつつ、本プロセスについて説明するが、このプロセスは図8のS803,S804が削除され、S809,S810がS907へと置き換わったものである。従って、異なる部分のみを説明し、同じ部分については説明を省略する。
【0041】
S909において、故障判定部702は、ROMから、予め記録されている所定のセンサ読みしきい値Threshold2を読み出す。そして、故障判定部702は、診断時回路におけるセンサ読み値TW_DIGNがセンサ読みしきい値threshold2を超えているか否かを判断する。そして、超えているときは、故障判定部702は、特性異常が発生しているとしてF_TW_SENSOR_NGに1を設定し(S910)、超えていない場合には、TW_SENSOR_OKに1を設定する(S911)。そして、本プロセスを終了する。
【0042】
【発明の効果】
この発明によると、温度センサとグランドとの間の通常の温度検出回路から診断用抵抗を有する回路へと切り替えることができ、温度センサ回路からの出力に基づいて温度センサ回路故障を診断することができるため、電源ライン−グランド間の抵抗体経由短絡故障から生ずる温度センサ回路の出力の特性異常を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来技術における温度センサ回路、および温度センサ回路からの出力特性を表す図。
【図2】従来技術による故障検知方法を表す図。
【図3】従来技術により特性異常故障を診断した場合の図。
【図4】本発明による温度センサ回路、および温度センサ回路からの出力特性を表す図。
【図5】本発明の温度センサ回路における抵抗体短絡故障を表す図。
【図6】本発明の温度センサ回路における、サーミスタ特性異常時の抵抗体短絡故障を表す図。
【図7】本発明における実施形態である温度センサ故障診断装置を表す図。
【図8】本発明における温度センサ回路故障診断プロセスを表すフローチャート図。
【図9】本発明における第2の温度センサ回路故障診断プロセスを表すフローチャート図。
【図10】正常時の切替後センサ読み変化量を表す図。
【符号の説明】
701 入力インタフェース
702 故障判定部
703 出力インタフェース
704 温度センサ回路
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両に搭載される温度センサ回路の故障診断に関し、特にセンサ読み値に対する実温度値の特性異常の原因となる抵抗体経由短絡故障の発生を診断することができる温度センサ回路の故障診断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両等に搭載される内燃機関には、高温を原因とする内燃機関の破損等を防止するために、数々の温度センサ回路が取り付けられており、これらの温度センサ回路からの出力に基づいて内燃機関の温度管理・制御が行われる。よって、温度センサ回路の出力特性が異常であったり温度センサ回路が故障している場合には、内燃機関の適切な温度管理・制御を行うことが不可能となり、最悪の場合には内燃機関の破損を招く。
【0003】
このような温度センサ回路の故障や異常を検知するために、これまでもいくつかの温度センサ回路の故障診断装置・方法が開示されている。下に示す特許文献1には、推定される発熱量に基づいて制限時間を設定し、制限時間内に水温センサの検出値が所定値に達しないときに故障判定を下す手法が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、ECUにエンジンの前回停止時から今回の停止時間を計測する計測手段を有し、今回始動時に停止時間に応じた判定温度を設定すると共に、始動時の検出温度がこの判定温度よりも高いときに温度センサが故障していると判定する温度センサの診断装置が開示されている。
【0005】
さらに、特許文献3では、ECU内において、プルアップ抵抗値を、スイッチ等の切替手段を用いて変化させ、温度センサ回路内の断線故障を診断する手法が開示されている。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−45851号公報
【0007】
【特許文献2】
特開2000−230453号公報
【0008】
【特許文献3】
特開平9−99708号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
温度センサ回路の故障形態の一つとして、電源ラインとグランドライン間に、ある抵抗値を有して短絡する抵抗体経由短絡故障がある(図1)。この故障形態は、正常時のセンサ読み値に対する実温度特性のグラフの傾きに対し、その傾きが角度が小さくなる特性となる故障形態である。また、この発生した抵抗体の抵抗値Rsgが小さいほど傾き角度が小さくなり、温度検知範囲において非常に広範囲にて誤差を発生させる。
【0010】
ところで、前述の従来技術による温度センサ回路の故障検知手法であるが、特許文献1の手法は、外気温・燃焼状態によっては検知が不可能となったり、検知に時間を要するなどの欠点を有する。また、特許文献2の手法では、停止時間・外気条件・運転時の暖機状態などにより検出部位の温度変化は大きく異なり、故障検知が正確に行えないという課題を有する。特許文献3に示す方法は、分圧手段の抵抗(プルアップ抵抗)を変化させることにより、断線時と非断線時とで出力特性が異なるように回路構成し診断に用いているが(図2)、この診断回路では、抵抗体経由短絡故障発生時の診断時において正常/特性異常を問わず出力電圧がほぼ0となっており(図3(b))、抵抗体経由短絡故障による特性異常が発生しているか否かを判別することができない。
【0011】
以上のように温度センサ回路の故障・異常検知の手法においてはいくつかの欠点を有し、さらに抵抗体経由故障を原因とする特性異常を検知する特別の手法が存在しなかったことから、正確に抵抗体経由故障を検知する手法が望まれていた。
【0012】
従って、本発明は、上述の特性異常の原因となる抵抗体経由短絡故障の発生を診断することができる温度センサ回路の故障診断装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の温度センサ回路の故障診断装置は、請求項1の発明によると、温度により抵抗値が変化する温度センサを用いた温度センサ回路の故障診断装置であって、前記温度センサ回路を診断するため、前記温度センサを抵抗要素を介してグランドに接続する診断モードへと切り替えるモード切替手段と、前記診断モードにおける前記温度センサ回路の出力に基づいて、温度センサ回路の故障の有無を判定する故障判定手段と、を備える。
【0014】
この発明によると、温度センサとグランドとの間の通常の温度検出回路から診断用抵抗を有する回路へと切り替えることができ、温度センサ回路からの出力に基づいて温度センサ回路故障を診断することができるため、電源ライン−グランド間の抵抗体経由短絡故障から生ずる温度センサ回路の出力の特性異常を検出することができる。
【0015】
また、請求項2の温度センサ回路の故障診断装置は、前記故障判定手段が、前記診断モードにおける前記温度センサ回路の出力が所定値よりも大きいときに故障が発生していると判定する。
【0016】
また、請求項3の温度センサ回路の故障診断装置は、前記故障判定手段が、前記診断モードへの切替前および切替後における温度センサ回路の出力に基づいて、前記温度センサ回路の故障の有無を判定する。
【0017】
また、請求項4の温度センサ回路の故障診断装置は、診断モードへの切替前の出力に対する、温度センサ回路の正常時における診断モードへの切替前の出力から診断モードへの切替後の出力を差し引いた正常時変化量を記憶する記憶手段をさらに備える。
【0018】
また、請求項5の温度センサ回路の故障診断装置は、前記故障判定手段が、診断モードへの切替前の出力から、診断モードへの切替後の出力、および診断モードへの切替前の出力における前記正常時変化量を差し引いた値の絶対値が所定の基準値を超えているときに、前記温度センサ回路故障が発生していると判定する。
【0019】
【発明の実施の形態】
ここでは、最初に抵抗体経由短絡故障を診断する手法について説明し、最後に具体的な実施の方法である水温センサ回路故障診断プロセスについて説明する。
【0020】
1.電源ライン−GND(グランド)ライン間の抵抗体経由短絡故障の診断手法
本発明は、図4に示すように、サーミスタとGNDラインの間に診断用の抵抗が切替可能に接続する構成をとる。この診断用の抵抗へと切り替えることにより後述する特性が発揮され、電源ライン−GNDライン間の抵抗体経由短絡故障の診断が可能となるが、この原理について説明する。以下の説明において「通常時」とは、図4に示すようにサーミスタとGNDラインの間が診断用の抵抗Rdに接続されておらず、GNDへと直結する接続線が接続されている状態であって、通常の温度検出時の状態をいう。一方、「診断時」とは、サーミスタとGNDの間が診断用の抵抗Rdに接続されている時の状態をいう。また「正常」とは、温度センサ回路において抵抗体経由短絡故障が発生しておらず、上述の特性異常を生じない状態をいう。そして、「抵抗体経由短絡故障」とは、サーミスタとは並列に、電源ライン−GNDライン間に、ある抵抗値を有する短絡が発生し、その結果温度センサ回路から正常な出力値が出力されない故障状態をいう。図5(b)を参照すると、通常時において抵抗体経由短絡故障が発生しているときは、実温度に対するセンサの読み値のグラフが、正常時の特性よりも傾きが緩慢となり、傾き角度が小さいことがわかる。
【0021】
次に、診断用抵抗Rdへとスイッチを切替え、診断モードにおいてセンサ読みを計測すると、抵抗体経由短絡故障時の実温度に対するセンサ読み値のグラフは、正常時のセンサ読み値のグラフから上部に離れて位置している(図5(c))。また、この傾向は短絡抵抗Rsg値が小さいほど顕著となっている。
【0022】
図3(b)および図3(c)の結果から、横軸を「通常時(診断前)のセンサの読み」、縦軸を「切替後センサ読み変化量」(通常時のセンサ読み値から、診断時のセンサ読み値を差し引いた値)として、実温度を消去したグラフを作成すると、抵抗体Rsgの抵抗値が大きくなる毎に、通常時センサ読みの−40から100にわたって正常時のグラフより右側にスライドしたグラフが作成される。このように、短絡抵抗値が低いほど、正常の時のグラフからの差異が「切替後センサ読み変化量」に現れるため、変化量を正常時のものと比較することで抵抗体経由短絡故障の有無を判断することができる。
【0023】
また、再び図5(c)を参照すると、診断時における抵抗体経由短絡故障時のセンサ読み値は、短絡抵抗値が小さいほど正常時のセンサ読み値から離れていることから、簡易的には、診断時のセンサ読み値が正常時のセンサ読み値から所定値以上離れているという条件でも抵抗体経由短絡故障の発生の有無を診断することができる。
【0024】
2. サーミスタの抵抗増加等異常時における抵抗体経由短絡故障の診断
図6を参照しつつ、サーミスタ(温度センサ)の抵抗増加等の異常と、電源ライン−グランドライン間の抵抗体経由短絡故障が同時に発生した場合の診断について説明する。
【0025】
図6(a)に示すように温度センサ回路において抵抗体経由短絡故障が発生しており、なおかつサーミスタの抵抗増加等の特性異常が発生する場合がある。しかしながら本手法によれば、このようにサーミスタ抵抗増加等の特性異常と抵抗体経由短絡故障が同時に発生した場合であっても、抵抗体経由短絡故障の検知が可能である。
【0026】
サーミスタ抵抗増加特性異常が発生し、なおかつ抵抗体経由短絡故障が発生したときの通常時における実温度に対するセンサ読み値のグラフが図6(b)である。また、図6(c)は、サーミスタ抵抗増加特性異常が発生し、かつ抵抗体経由短絡故障が発生した時の診断時における実温度に対するセンサの読みのグラフである。そして、前述と同様に図6(b)および(c)に基づいて、横軸を「通常時(診断前)センサ読み」とし、縦軸を「切替後センサ読み変化量」として作成したグラフが図6(d)である。この図からも分かるとおり、このようなサーミスタ抵抗増加等の特性異常を併発しているときの抵抗体経由短絡故障であっても、抵抗体短絡故障時のセンサ読み変化量のグラフは、正常時のセンサ読み変化量のグラフから離れて位置しているため、前述と同様に、センサ読み変化量における正常時のグラフからの離れ量をみることによって、抵抗体短絡故障の発生の有無を診断することができる。
【0027】
3. 故障診断プロセス
以下に図7および図8を参照しつつ、水温センサ回路を例にした本発明による故障診断のプロセスを説明する。
【0028】
まず、水温センサ回路の構成について説明する。水温センサ回路は、検出温度により抵抗値が変化するサーミスタ705を有しており、このサーミスタ505の一端が、プルアップ抵抗708に直列に接続されている。そして、サーミスタ505とプルアップ抵抗708との共通接続点が、入力インタエース701に接続されており、この共通接続点からの出力電圧に基づいて水温が検出可能となっている。また、サーミスタ705とグランド709の間には、診断モード回路を形成するための診断用抵抗706、または通常の計測モード回路を形成するための接続線707がスイッチ710によって切替可能に接続されている。尚、このスイッチ710は、トランジスタなどを用いて構成することができ、後述する故障判定部702からの制御信号によってスイッチ切替えができるようになっている。
【0029】
次に、この水温センサ回路故障診断プロセスにおいて使用する電子制御ユニット(ECU)700について説明する。ECUは、水温センサ回路故障診断専用のECUを設けることとしてもよいが、本実施形態では、エンジン系統を制御するECU700に後述する水温センサ回路故障診断機能が組み込まれている。ECU700は、演算を実行するプロセッサ、各種データを一時記憶する記憶領域およびプロセッサによる演算の作業領域を提供するランダム・アクセス・メモリ(RAM)、プロセッサが実行するプログラムおよび演算に使用する各種のデータが予め格納されている読み取り専用メモリ(ROM)、およびプロセッサによる演算の結果およびエンジン系統の各部から得られたデータのうち保存しておくべきものを格納する書き換え可能な不揮発性メモリを備えている。不揮発性メモリは、システム停止後も常時電圧供給されるバックアップ機能付きRAMで実現することができる。また、読み取り専用メモリ(ROM)には、後述の通常時(診断前)センサ読みに対する「切替後センサ読み変化量」(図10)の正常時のデータなどが予め格納されている。
【0030】
図7は、このようなハードウェア構成のECU700を機能ブロックの形で示している。入力インタフェース701は、ECU700とエンジン系統の各部とのインタフェース部であり、エンジン系統の様々な箇所から送られてくる車両の運転状態を示す情報を受け取って信号処理を行い、アナログ情報はデジタル信号に変換し、これらを故障判定部702に渡す。図では、水温センサ回路704からの出力のみが接続されているが、これに限定されるものではなく、その他種々の情報が入力される。
【0031】
出力インタフェース703は、故障判定部702からの制御信号を受け取り、水温センサ回路をスイッチ切り替えするためのモード切替信号を出力する機能を有する。ここでは、モード切替信号用の出力のみが接続されているが、これに限定されるものではなく、その他回路を制御するコントローラなども接続することもできる。
【0032】
次に水温センサ回路故障診断プロセスについて説明する。
【0033】
最初に、メインプログラムより水温センサ回路故障診断プロセスが呼び出されると、故障判定部702は、水温センサ回路故障診断プロセスの実行許可がされているか否かを判断する。ここで、水温センサ回路診断プロセスの実行許可がされているときは、実行許可フラグ(F_JUD_OK)が1に予めセットされている。ここでは、実行許可フラグが1にセットされているため、故障判定部702は、プロセスをS702へと進める。一方、実行許可フラグが0である場合、故障判定部702は、直ちに本プロセスを終了する。
【0034】
プロセスをS802へと進めると、故障判定部702は、切替フラグ(F_DIGN_ECT_SENSOR)が1であるか否かを判断する。ここで、切替フラグは、水温センサ回路が通常モードであるか診断モードであるかを示すフラグであって、この診断モードフラグに1がセットされると故障判定部702からの制御信号により、スイッチ710は自動的に診断用抵抗706へと切替わるようになっている。初期状態において本回路は通常モードであり、切替フラグは0にセットされているため、故障判定部702は、通常時の水温値を入力インタフェース701を介して取得し、この水温値をメモリの変数TW_CHKに代入する(S803)。そして、故障判定部702は、センサ読みがTW_CHK(通常時水温)であるときの正常時の切替後センサ読み変化量(図10)をROMから読み出し、メモリ上の変数DTW_CHKに代入する(S804)。そして、切替フラグを1にセットする(S805)。ここで、上述の通り切替フラグ(F_DIGN_ECT_SENSOR)に1がセットされると、故障判定部702は、制御信号を送信してスイッチ510を切替えスイッチ510が診断用抵抗506へと接続する。そして、本プロセスを終了する。
【0035】
次に、再びメインプログラムから水温センサ回路故障診断プロセスが呼び出されるが、実行許可フラグ(F_JUD_OK)が1であり、さらに切替フラグが1であるから、故障判定部702は、プロセスをS806へと進め、カウンタCNTが所定値GO_VALUEより大きいか否かを判断する。ここで、GO_VALUE値には予め所定の数値が設定されており、カウンタCNTの初期値は0である。よって、現時点においてカウンタCNTはGO_VALUE値を超えていないから、故障判定部702は、プロセスをS607へと進めカウンタCNTのカウンタを1だけ増分する。そして、本プロセスを終了する。
【0036】
次に再度メインプログラムから水温センサ故障診断プロセスが呼び出されることとなるが、上述のように水温センサ故障診断フラグが1かつ切替フラグが1でありつつも、カウンタCNTが所定値GO_VALUE値を超えない状態が続く。しかしながらカウンタCNTは、S707が実行される毎に1ずつ増分するため、所定の回数だけ本プロセスを実行すると、カウンタCNTはGO_VALUE値を超え、S806からS808以降の診断プロセスへと進むことになる。このようにカウンタが所定値を超えるまで診断プロセスに進めないこととしているのは、切替フラグ成立後所定時間は後述の診断処理を行わないためである。
【0037】
S806において、カウンタCNTがGO_VALUE値を超えると、故障判定部702は、プロセスをS808へと進める。プロセスをS808へと進めると、故障判定部702は、診断回路切替後の水温値を入力インタフェース701を介して水温センサ回路から取得し、この水温値をメモリの変数TW_DIGNに代入する(S808)。そして、故障判定部702は、通常時のセンサ読み値(TW_CHK)をメモリから読み出し、この値から診断時回路切替後の水温値(TW_DIGN)を減算し、その減算した値をメモリの変数DTWへと代入する(S809)。次に、故障判定部702は、変数DTWから、読み出した切替後センサ読み変化量DTW_CHKの差を算出し、その演算結果の絶対値が所定のしきい値を超えているか否かを判断する(S810)。ここでは、しきい値は3℃に設定されている。よって、DTWからのDWT_CHKの差の絶対値が3℃を超えていた場合、故障判定部702は、水温センサの故障を表す水温センサNGフラグ(F_TW_SENSOR_NG)を1にセットして(S811)、本プロセスを終了する。一方、しきい値である3℃を超えていない場合には、故障判定部702は、水温センサが正常であることを表す水温センサOKフラグ(F_TW_SENSOR_OK)を1にセットして(S812)、本プロセスを終了する。
【0038】
この発明によると、温度センサとGNDとの間の診断用の抵抗へと切替え、水温センサ回路からの出力に基づいて水温センサ回路故障を診断することができるため、水温センサ回路における電源ライン−GND間の抵抗体経由短絡故障から生ずる水温センサ回路の出力の特性異常を検出することができる。さらに、診断を行うに際し、切替前(通常時)および切替後(診断時)の温度が取得できればよいため、車両が運転状態であるか、ソーク状態であるかなどの環境条件によらず、任意のタイミングで温度センサ回路の出力の特性異常を検出することができる。
【0039】
4. 簡易な方法による故障診断プロセス
次に簡易な方法による故障診断プロセスについて説明する。これは、「電源ライン−GNDライン間の抵抗体経由短絡故障の診断手法」において説明したとおり、診断時における抵抗体経由短絡故障時のセンサ読み値が、短絡抵抗値が小さいほど正常値のセンサ読み値から離れている(図5(c))という原理に基づくものである。
【0040】
図9のフローチャートを参照しつつ、本プロセスについて説明するが、このプロセスは図8のS803,S804が削除され、S809,S810がS907へと置き換わったものである。従って、異なる部分のみを説明し、同じ部分については説明を省略する。
【0041】
S909において、故障判定部702は、ROMから、予め記録されている所定のセンサ読みしきい値Threshold2を読み出す。そして、故障判定部702は、診断時回路におけるセンサ読み値TW_DIGNがセンサ読みしきい値threshold2を超えているか否かを判断する。そして、超えているときは、故障判定部702は、特性異常が発生しているとしてF_TW_SENSOR_NGに1を設定し(S910)、超えていない場合には、TW_SENSOR_OKに1を設定する(S911)。そして、本プロセスを終了する。
【0042】
【発明の効果】
この発明によると、温度センサとグランドとの間の通常の温度検出回路から診断用抵抗を有する回路へと切り替えることができ、温度センサ回路からの出力に基づいて温度センサ回路故障を診断することができるため、電源ライン−グランド間の抵抗体経由短絡故障から生ずる温度センサ回路の出力の特性異常を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来技術における温度センサ回路、および温度センサ回路からの出力特性を表す図。
【図2】従来技術による故障検知方法を表す図。
【図3】従来技術により特性異常故障を診断した場合の図。
【図4】本発明による温度センサ回路、および温度センサ回路からの出力特性を表す図。
【図5】本発明の温度センサ回路における抵抗体短絡故障を表す図。
【図6】本発明の温度センサ回路における、サーミスタ特性異常時の抵抗体短絡故障を表す図。
【図7】本発明における実施形態である温度センサ故障診断装置を表す図。
【図8】本発明における温度センサ回路故障診断プロセスを表すフローチャート図。
【図9】本発明における第2の温度センサ回路故障診断プロセスを表すフローチャート図。
【図10】正常時の切替後センサ読み変化量を表す図。
【符号の説明】
701 入力インタフェース
702 故障判定部
703 出力インタフェース
704 温度センサ回路
Claims (6)
- 温度により抵抗値が変化する温度センサを用いた温度センサ回路の故障診断装置であって、
前記温度センサ回路を診断するため、前記温度センサを抵抗要素を介してグランドに接続する診断モードへと切り替えるモード切替手段と、
前記診断モードにおける前記温度センサ回路の出力に基づいて、温度センサ回路の故障の有無を判定する故障判定手段と、
を備える温度センサ回路の故障診断装置。 - 前記故障判定手段が、前記診断モードにおける前記温度センサ回路の出力が所定値よりも大きいときに故障が発生していると判定する、請求項1記載の温度センサ回路の故障診断装置。
- 前記故障判定手段が、前記診断モードへの切替前および切替後における温度センサ回路の出力に基づいて、前記温度センサ回路の故障の有無を判定する、請求項1記載の温度センサ回路の故障診断装置。
- 診断モードへの切替前の出力に対する、温度センサ回路の正常時における診断モードへの切替前の出力から診断モードへの切替後の出力を差し引いた正常時変化量を記憶する記憶手段をさらに備える、請求項1または請求項3に記載の温度センサ回路の故障診断装置。
- 前記故障判定手段が、診断モードへの切替前の出力から、診断モードへの切替後の出力、および診断モードへの切替前の出力における前記正常時変化量を差し引いた値の絶対値が所定の基準値を超えているときに、前記温度センサ回路故障が発生していると判定する、請求項4記載の温度センサ回路の故障診断装置。
- 温度により抵抗値が変化する温度センサを用いた温度センサ回路の故障診断方法であって、
診断モード切替前における前記温度センサ回路の出力を取得するステップと、
前記温度センサ回路を診断するため、前記温度センサを抵抗要素を介してグランドに接続する診断モードへと切り替えるステップと、
診断モード切替後における前記温度センサ回路の出力を取得するステップと、
前記診断モード切替前および前記診断モード切替後の温度センサ回路からの出力に基づいて抵抗体経由短絡故障の有無を判定するステップと、
を含む温度センサ回路の故障診断方法。
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