JP2005009784A - 冷却貯蔵庫 - Google Patents

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Seiki Nagao
清貴 長尾
Hitoshi Hoshino
仁 星野
Hiromichi Mogi
弘道 茂木
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Abstract

【課題】冷気ダクト内に紫外線を照射するランプを設け、この紫外線によって励起された光触媒フィルタにより臭い分子を分解する冷蔵庫がある。このランプに対面するフィルタ面では光触媒作用による消臭効果は期待できるが、ランプに対面しないフィルタの裏側面ではランプから発する紫外線が直接届かず消臭効果は少ない。そこで、フィルタの裏側では紫外線を受ける量が少ない場合にも、フィルタの表側と裏側では異なる臭いを消臭するようにして、フィルタの表裏両面での消臭作用が効果的に行える冷却貯蔵庫を提供する。
【解決手段】冷気が通過するフィルタが紫外線を照射するランプに対向配置され、フィルタのランプとの対面側には紫外線によって冷気中の臭い分子を分解して消臭する光触媒が含まれ、フィルタの対面側の裏側には紫外線を受けなくても冷気中の別の臭いを消臭する消臭剤が含まれた特徴を有する。
【選択図】 図5

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷却貯蔵庫内を循環する冷気中に含まれる臭いを減少させる装置を備えた冷却貯蔵庫に関する。
【0002】
【従来の技術】
冷蔵庫内を循環する冷気が通る冷気ダクト内に紫外線を照射し庫内に可視光を照射するランプと、ダクト内に設けられ前記紫外線を受ける光触媒フィルタとを備え、光触媒フィルタはコルゲート型若しくは格子状ハニカム型であり、ランプから発する紫外線によって励起された光触媒により、フィルタの吸着剤により集められた臭い分子が分解される冷蔵庫がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2003−106752号公報(P1〜3、図2、図4)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1の方法では、ランプに対面するフィルタ面では光触媒作用による消臭効果は期待できるが、ランプに対面しないフィルタの裏側面では、ランプから発する紫外線が直接届かず、ダクトの壁によって反射する紫外線によって励起するだけであるためその作用は極めて弱い。このため、フィルタの表面積が消臭には有効に働いていない。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みて、フィルタの表側と裏側を消臭のために有効に機能させる技術を提供するものである。そして、フィルタの裏側では紫外線を受ける量が少ない場合にも、フィルタの表側と裏側では異なる臭いを消臭するようにして、フィルタの表裏両面での消臭作用が効果的に行える冷却貯蔵庫を提供する。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、冷気通路の冷気が通過する複数の通過孔を形成したフィルタが紫外線を照射するランプに対向配置され、前記フィルタの前記ランプとの対面側には、前記ランプからの紫外線によって前記冷気中の臭い分子を分解して消臭する光触媒が含まれ、前記フィルタの前記対面側の裏側には前記紫外線を受けなくても前記冷気中の別の臭いを消臭する消臭剤が含まれた特徴を有する。このため、紫外線が当たるフィルタの表側では光触媒が有効に作用して消臭効果が得られ、紫外線が当たり難いフィルタの裏側では、冷気中の別の臭いを消臭でき、冷却貯蔵庫内の複数の臭いをフィルタの両面を有効に利用して消臭できるものとなる。
【0007】
また、前記フィルタの前記ランプとの対面側には、前記ランプからの紫外線によって前記冷気中のメチルメルカプタンを分解して消臭する光触媒が存在し、前記フィルタの前記対面側の裏側には前記紫外線を受けなくても前記冷気中のアンモニア臭を消臭する消臭剤が存在することを特徴とする。このため、紫外線が当たるフィルタの表側では光触媒が有効に作用して、玉葱や腐敗した魚の臭いなどのような悪臭となるメチルメルカプタンを分解して消臭し、紫外線が当たり難いフィルタの裏側では、冷気中の別の臭いであるアンモニア臭を消臭でき、冷却貯蔵庫内の複数の臭いをフィルタの両面を有効に利用して消臭できるものとなる。
【0008】
また本発明は、冷気通路の冷気が通過する複数の通過孔を形成したフィルタが紫外線を照射するランプに対向配置され、前記フィルタは粉末状活性炭が含まれた基材によって前記複数の通過孔が存するハニカム状又はコルゲート状に形成され、前記フィルタの前記ランプとの対面側の表面には、前記ランプからの紫外線によって前記冷気中の臭い分子を分解消臭する酸化チタンが無機質のバインダに担持されて存在し、前記フィルタの前記対面側の裏側には、前記紫外線を受けなくても前記冷気中の別の臭いを消臭する消臭剤が含まれたことを特徴とする。このため、ハニカム状又はコルゲート状によって多数の通過孔が形成され、基材に含まれた粉末状活性炭による冷気浄化作用と共に、この通過孔の紫外線が当たるフィルタの表側では、酸化チタンがその作用を失うことなく機能し、紫外線が当たり難いフィルタの裏側では、冷気中の別の臭いを消臭でき、冷却貯蔵庫内の複数の臭いをフィルタの両面を有効に利用して消臭できるものとなる。
【0009】
また本発明は、冷気通路の冷気が通過する複数の通過孔を形成したフィルタが紫外線を照射するランプに対向配置され、前記フィルタは粉末状活性炭が含まれた基材によって前記複数の通過孔が存するハニカム状又はコルゲート状に形成され、前記フィルタの前記ランプとの対面側の表面には、前記ランプからの紫外線によって前記冷気中の臭い分子を分解消臭する光触媒が存在し、前記フィルタの前記対面側の裏側には、前記紫外線を受けなくても前記冷気中の別の臭いを消臭する消臭剤が存在し、前記フィルタの前記ランプとの対面側の表面と前記光触媒フィルタの前記対面側の裏側の表面色を異ならしめたことを特徴とする。
【0010】
このため、基材に含まれた粉末状活性炭による冷気浄化作用と共に、紫外線が当たるフィルタの表側では光触媒が有効に作用して消臭効果が得られ、紫外線が当たり難いフィルタの裏側では、冷気中の別の臭いを消臭でき、冷却貯蔵庫内の複数の臭いをフィルタの両面を有効に利用して消臭できるものとなる。そして、フィルタの表側と裏側の色が異なるため、フィルタをランプに対して設置する面を見定めることが容易となる。この色は、フィルタ60の表側は白色系とし、裏側はその反対色の活性炭の黒色系とすることにより、フィルタの設置方向を間違える虞が極めて少なく、冷却貯蔵庫へ正確な向きに組み込みできることとなる。
【0011】
また本発明では、前記光触媒を酸化チタンとし、前記消臭剤をアスコルビン酸、クエン酸の少なくともいずれかにしたことを特徴とする。このため、酸化チタンによって玉葱や腐敗した魚の臭いなどのような悪臭となるメチルメルカプタンを分解して消臭し、一方のアスコルビン酸又はクエン酸によってアンモニア臭を消臭できるため、冷却貯蔵庫内の複数の臭いに対してフィルタの両面を有効に消臭作用面として利用できるものとなる。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について説明する。各図は本発明の実施形態を示しており、図1は本発明冷蔵庫の正面図、図2は本発明冷蔵庫の縦断側面図、図3は本発明の冷蔵庫本体を正面から見た説明図、図4は本発明冷蔵庫のダクト構成部分の分解斜視図、図5は本発明冷蔵庫のフィルタ設置部分を拡大した縦断側面図である。
【0013】
本発明は冷凍庫、冷蔵庫、冷凍冷蔵庫等の冷却貯蔵庫に関し、その一つである冷蔵庫に基づき本発明を説明する。ここで、1は本発明の冷却貯蔵庫の一つである冷蔵庫であり、全面開口の本体2内を区画して複数の貯蔵室を形成し、これら各貯蔵室の前面は扉で開閉できる構成である。冷蔵庫本体2は、外箱(外壁板)2Aと内箱(内壁板)2Bとの間に発泡断熱材2Cを充填した断熱構造である。冷蔵庫本体2内には、上から冷蔵室3、野菜室4、上冷凍室5と製氷室7、下冷凍室6が区画されて設けられ、冷蔵室3内底部にはその上方の冷蔵室3と区画板(区画壁)8にて区画された特定低温室9が設けられている。上冷凍室5は冷気量調節装置を手動操作して冷蔵室とすることもできるので、切り換え室と称することもできる。
【0014】
冷蔵室3の前面開口は、冷蔵庫本体2の一側部にヒンジ装置にて横方向に回動する回動式の冷蔵室扉10にて開閉される。野菜室4の前面開口は、野菜室4内に設けた左右のレール又はローラ装置21によって前後方向へ引き出し可能に支持した野菜容器15と共に前方へ引き出される引き出し式扉11にて閉塞されている。上冷凍室5と下冷凍室6はそれぞれ野菜室4と同様に、冷凍室内に設けた左右のレールに対して、それぞれ前後方向へ引き出し可能に支持した容器16、17と共に前方へ引き出される引き出し式扉12、13にて閉塞されている。
【0015】
製氷室7内には、上部に自動製氷機18を設けその下部に貯氷容器19を配置している。貯氷容器19は、野菜室4と同様に、製氷室7内の左右壁に設けた左右のレールに対してそれぞれ前後方向へ引き出し可能に支持されており、製氷室7の前面開口を開閉する引き出し式扉14と共に前方へ引き出される仕組みである。20は自動製氷機18へ供給する製氷用水を貯める給水容器であり、冷蔵室3内において特定低温室9の横に形成した小室に配置されており、冷蔵室3の前面扉10を開いて前方へ取り出し自在である。製氷用水は給水容器20からポンプによって吸い上げられて給水パイプを介して自動製氷機18の製氷皿22へ供給される。
【0016】
24は冷凍システムの冷媒の圧縮機、25は冷凍システムの冷媒の凝縮器である。26は凝縮器25の熱によって後述の除霜水を蒸発させるための蒸発皿であり、凝縮器25上に載置して冷蔵庫本体2の前面下部から引き出し自在である。圧縮機24、凝縮器25、蒸発皿26は、冷蔵庫本体2の下部に設けた機械室28に設置されている。29、30は冷凍システムの冷媒の蒸発器(冷却器)である。31は第1蒸発器(冷却器)29で冷却した冷気を上冷凍室5、下冷凍室6及び製氷室7へ循環する第1送風機、32は第2蒸発器(冷却器)30で冷却した冷気を冷蔵室3、野菜室4及び特定低温室9へ循環する第2送風機である。33は第1蒸発器(冷却器)29の除霜用ガラス管ヒータ、34は、第2蒸発器(冷却器)30の除霜用ガラス管ヒータである。第1蒸発器(冷却器)29の除霜水は排水管を通って蒸発皿26へ導かれてそこで蒸発する。また第2蒸発器(冷却器)30の除霜水は下方の露受け部47で受けられて排水管48を通って蒸発皿26へ導かれてそこで蒸発する。35は第2蒸発器(冷却器)30で冷却された冷気が第2送風機32から導かれる冷気ダクトであり、冷蔵室3の上壁に幅広く配置されその前端は冷蔵室3の前面開口部の上面に形成した冷気吹き出し口36へ連通している。この冷気吹き出し口36から吹き出す冷気は、冷蔵室3の前面開口部を矢印のように上から下へ流れる冷気カーテン37を形成する。第1蒸発器(冷却器)29で冷却した冷気と第2蒸発器(冷却器)30で冷却した冷気は、夫々第1送風機31及び第2送風機32によって矢印のように循環して各室を所定温度に冷却する。
【0017】
このような構成において、各室の温度は、冷蔵室3が約3〜4℃、野菜室4が約2〜6℃に保たれ、上冷凍室5と下冷凍室6と更に製氷室7が約−18℃〜−20℃である。また、冷蔵室扉10の内側に設けた貯蔵棚38上は5〜8℃である。特定低温室9は、0℃よりも高い約1℃のチルド室であったり、0℃よりも低く食品の凍結温度よりも高い約0〜−1℃の氷温室であったり、また、食品の表面に薄い氷の層が形成される程度の約−3℃の部分凍結室であったりする。このように特定低温室9は、食品を特定の温度領域内で冷却保存するためのものであり、他の室に比して厳しい温度制御が要求される。
【0018】
第2蒸発器(冷却器)30で冷却した冷気を第2送風機32によって冷蔵室3と野菜室4とに循環させる冷気循環経路の形成に関し、冷蔵室3の背面部には図4に示すダクト構成を設けている。これにおいて、40は冷蔵室3の背面板、41は冷気通路部材である第1ダクト部材、42は冷気通路部材である第2ダクト部材である。第2ダクト部材42は発泡スチロールにて成形されていて、背面板40の裏側に形成した左右一対のリブ間に嵌り合って保持されている。背面板40、第1ダクト部材41及び第2ダクト部材42は冷気通路部材を構成し、これらの組み合わせによって、第1ダクト部材41の左右部分41Aと第2ダクト部材42の左右部分42Aとの間には、冷蔵室3の背面板40の裏側に左右に位置する冷気通路43A、43Bが形成される。44は冷蔵室3の天井板45の上面に配置されて天井板45と共に冷気ダクト35を形成する冷気通路部材としてのダクト部材である。
【0019】
第2蒸発器(冷却器)30で冷却した冷気は、第2送風機32によって冷蔵室3と野菜室4とに循環される。その経路は、第2送風機32を通過した冷気は、一部が前方の供給口46から冷気ダクト35を通って冷気吹き出し口36から吹き出す。また第2送風機32を通過した冷気の他の部分は、冷蔵室3の背面板40の裏側の左右の冷気通路43A、43Bを通って、冷蔵室3の背面板40に形成した冷気吹き出し口39から冷蔵室3へ吹き出し、冷気通路43A、43Bを更に下方へ流れつつ一部分の冷気が冷気吹き出し口39Aから特定低温室9へ吹き出す。
【0020】
左右の冷気通路43A、43Bを更に下方へ流れた冷気は、冷気出口50から冷蔵室3と野菜室4との間に形成した冷気通路51へ供給される。冷気通路51は、冷蔵室3と野菜室4との間の仕切り板52と野菜室4の天井板53との間に形成される。仕切り板52は冷蔵室3の底壁を構成している。野菜室4の天井板53は、野菜容器15の上面開口を略塞ぐ位置に配置されており、野菜室4の前方へ取り外し可能に野菜室4の左右壁等に支持している。また、冷蔵室3の冷気は、仕切り板52に形成した冷気出口56から冷気通路51へ流れる。
【0021】
冷気通路51へ供給された冷気は、冷気通路51の前端の出口54から野菜室4へ流下し、野菜容器15と扉11との間に形成された空間から野菜容器15の周囲に形成された空間を通って、野菜室4の背面に形成した冷気吸い込み口55から吸い込まれる。
【0022】
冷蔵室3の裏側の左右冷気通路43A、43Bの間には、背面板40と本体2との間に冷気帰還の冷気通路57が形成されている。冷気吸い込み口55から吸い込まれた冷気は、冷気通路57へ流れて第2蒸発器(冷却器)30の下側へ流入し、再び第2蒸発器(冷却器)30によって冷却されて上記の循環を行う。
【0023】
60は冷気通路57の帰還冷気が通過する複数の通過孔61を形成したフィルタであり、冷気通路57を横切るように冷気通路57の横幅方向に長く延びた板状をなす。背面板40は後方へ屈曲した段部62を形成しており、この段部62によって、帰還冷気が通過する冷気通路57は前方へ屈曲した状態となる。フィルタ60は、この段部62より上部の背面板40と略並列状態になるように、この段部62上に略垂直状態に立った状態で取り付けられ、冷気通路57の帰還冷気が前後方向に通過するように冷気通路57の帰還冷気と交差する態勢となる。フィルタ60は粉末状活性炭が含まれた基材によって複数の通過孔61が存するハニカム状又はコルゲート状に成形されている。図4の形態では、フィルタ60は、冷気通路57の帰還冷気が前後方向に通過するように縦方向に配置され、冷気通路57を流れる帰還冷気が矢印のようにスムースに流れるように、通過孔61は冷気通路57に沿うように斜め上方に向いた状態である。
【0024】
63はフィルタ60へ紫外線を照射するランプであり、冷蔵室3側に位置してフィルタ60と対向配置されるように背面板40を貫通した状態に取り付けられている。フィルタ60へは紫外線を照射するが冷蔵室3へは紫外線を照射しないようにするために、ランプ63のフィルタ60側の面は石英ガラスで形成されている。そして、ランプ63の冷蔵室3側の面は通常のガラスであるソーダガラスで形成され、この内面には蛍光体が塗布されている。このため、ランプ63の冷蔵室3側の面からは有害な紫外線が照射されないように遮断されると共に、冷蔵室3側には可視光が通過する。冷蔵室3に露出したランプ63の面には、淡い青色などの着色を施すことによって、冷蔵室3の前面扉10を開いたとき、その着色光によってランプ63が点灯していることを確認できると共に、冷蔵室3内の装飾にもなる。
【0025】
このような構成において、本発明では、フィルタ60のランプ63との対面側である表側には、ランプ63からの紫外線によって冷気通路57を流れる帰還冷気中のメチルメルカプタンを分解して消臭する光触媒が存在し、フィルタ60のランプ63との対面側の反対側、即ちフィルタ60の裏側には、ランプ63からの紫外線を受けなくても冷気中のアンモニア臭を消臭する消臭剤が存在する構成である。
【0026】
その一つとして、前記光触媒は酸化チタンであり、前記消臭剤はアスコルビン酸、クエン酸の少なくともいずれかである。このため、紫外線が当たるフィルタ60の表側では酸化チタンが有効に作用して、玉葱や腐敗した魚の臭いなどのような悪臭となるメチルメルカプタンを分解して消臭し、一方のアスコルビン酸又はクエン酸によってアンモニア臭を消臭できるため、冷却貯蔵庫1内の複数の臭いに対してフィルタ60の両面を有効に消臭作用面として利用できるものとなる。
【0027】
より詳しくは、フィルタ60のランプ63との対面側には、ランプ63からの紫外線によって、冷気通路57を流れる帰還冷気中の臭い分子であるメチルメルカプタンを分解して消臭するための光触媒と臭いの吸着剤としての疎水性ゼオライトが存在する。またフィルタ60のランプ63との対面側の裏側(図5の右側面)には、ランプ63からの紫外線を受けなくても冷気通路57を流れる帰還冷気中の別の臭いであるアンモニアを消臭する消臭剤として、L−アスコルビン酸と臭いの吸着剤としての疎水性ゼオライトが存在する。このため、紫外線が当たるフィルタ60の表側では光触媒が有効に作用して消臭効果が得られ、紫外線が当たり難いフィルタ60の裏側では、冷気中の別の臭いを消臭でき、フィルタ60の両面を有効に利用できるものとなる。
【0028】
また本発明は、冷気通路57の冷気が通過する複数の通過孔61を形成したフィルタ60が紫外線を照射するランプ63に対向配置され、フィルタ60は粉末状活性炭が含まれた基材によって複数の通過孔61が存するハニカム状又はコルゲート状に形成されている。そして、フィルタ60のランプ63との対面側の表面には、ランプ63からの紫外線によって冷気通路57の冷気中の臭い分子を分解消臭する酸化チタンが無機質のバインダに担持されて存在し、フィルタ60の前記対面側の裏側には、ランプ63からの紫外線を受けなくても前記冷気中の別の臭いを消臭する消臭剤として、アスコルビン酸及び又はクエン酸を配置している。
【0029】
これにより、ハニカム状又はコルゲート状によって多数の通過孔61が形成され、この通過孔61の紫外線が当たるフィルタ60の表側では、酸化チタンがその作用を失うことなく機能し、紫外線が当たり難いフィルタ60の裏側では、冷気中の別の臭いであるアンモニア臭をアスコルビン酸、クエン酸が消臭でき、フィルタ60の両面を有効に利用できるものとなる。
【0030】
また本発明は、複数の通過孔61を形成したフィルタ60が紫外線を照射するランプ63に対向配置され、フィルタ60は粉末状活性炭が含まれた基材によって複数の通過孔61が存するハニカム状又はコルゲート状に形成され、フィルタ60のランプ63との対面側の表面には、ランプ63からの紫外線によって前記冷気中の臭い分子を分解消臭する光触媒が含まれ、フィルタ60の前記対面側の裏側には、前記紫外線を受けなくても前記冷気中の別の臭いを消臭する消臭剤が含まれ、フィルタ60のランプ63との対面側の表面とフィルタ60の前記対面側の裏側の表面色とを異ならしめた構成である。
【0031】
このため、紫外線が当たるフィルタ60の表側では光触媒が有効に作用して消臭効果が得られ、紫外線が当たり難いフィルタ60の裏側では、冷気中の別の臭いを消臭でき、フィルタ60の両面を有効に利用できるものとなる。そして、フィルタ60の表側と裏側の色が異なるため、フィルタ60をランプ63に対して設置する面を見定めることが容易となり、冷蔵庫1への組み込み状態を正確にできる効果がある。この色は、フィルタ60の表側は白色系とし、裏側はその反対色の活性炭の黒色系とすることにより、フィルタ60の設置方向を間違える虞が極めて少なくなる。
【0032】
本発明の一つの実施形態として、酸化チタンを疎水性ゼオライトに担持させたものをフィルタ60のランプ63との対面側である表側に塗布や吹き付け等により付着配置させ、また、L−アスコルビン酸を疎水性ゼオライトに担持させたものをフィルタ60のランプ63との対面側の反対側、即ちフィルタ60の裏側に塗布や吹き付け等により付着配置させている。この実施形態では、臭いの吸着剤である疎水性ゼオライトで酸化チタンとL−アスコルビン酸を担持させたが、この疎水性ゼオライトに代わって活性炭を採用してもよい。
【0033】
このように、フィルタ60のランプ63との対面側では、臭い分子を物理吸収した後に光触媒で分解する。一方、フィルタ60のランプ63との対面側の反対側、即ちフィルタ60の裏側では、臭い分子を物理吸収した後に食用可能な酸と化学吸着反応を起し消臭する。
【0034】
上記実施形態では、酸化チタンはフィルタ60の裏側には配置せずに酸化チタンの使用量を減じた構成としている。また、L−アスコルビン酸はフィルタ60のランプ63との対面側には配置していない。それは、L−アスコルビン酸をフィルタ60のランプ63との対面側に配置しても、酸化チタンにより分解され効果がないからである。
【0035】
また、本発明は、上記実施形態の冷蔵庫に限定されず、冷凍庫又は冷凍冷蔵庫にも適用でき、本発明の技術的範囲を逸脱しない限り種々の形態が考えられ、それに係る種々の実施形態を包含するものである。
【0036】
【発明の効果】
本発明によれば、紫外線が当たるフィルタの表側では光触媒が有効に作用して消臭効果が得られ、紫外線が当たり難いフィルタの裏側では、冷気中の別の臭いを消臭でき、冷却貯蔵庫内の複数の臭いをフィルタの両面を有効に利用して消臭できるものとなる。
【0037】
そして、請求項2によって、紫外線が当たるフィルタの表側では光触媒が有効に作用して、玉葱や腐敗した魚の臭いなどのような悪臭となるメチルメルカプタンを分解して消臭し、紫外線が当たり難いフィルタの裏側では、冷気中の別の臭いであるアンモニア臭を消臭でき、冷却貯蔵庫内の複数の臭いをフィルタの両面を有効に利用して消臭できるものとなる。
【0038】
そして、請求項3によって、ハニカム状又はコルゲート状によって多数の通過孔が形成され、基材に含まれた粉末状活性炭による冷気浄化作用と共に、この通過孔の紫外線が当たるフィルタの表側では、酸化チタンがその作用を失うことなく機能し、紫外線が当たり難いフィルタの裏側では、冷気中の別の臭いを消臭でき、冷却貯蔵庫内の複数の臭いをフィルタの両面を有効に利用して消臭できるものとなる。
【0039】
そして、請求項4によって、基材に含まれた粉末状活性炭による冷気浄化作用と共に、紫外線が当たるフィルタの表側では光触媒が有効に作用して消臭効果が得られ、紫外線が当たり難いフィルタの裏側では、冷気中の別の臭いを消臭でき、冷却貯蔵庫内の複数の臭いをフィルタの両面を有効に利用して消臭できるものとなる。そして、フィルタの表側と裏側の色が異なるため、フィルタをランプに対して設置する面を見定めることが容易となる。この色は、フィルタ60の表側は白色系とし、裏側はその反対色の活性炭の黒色系とすることにより、フィルタの設置方向を間違える虞が極めて少なく、冷却貯蔵庫へ正確な向きに組み込みできることとなる。
【0040】
そして、請求項5及び6によって、光触媒を酸化チタンとし、消臭剤をアスコルビン酸、クエン酸の少なくともいずれかにしたことにより、酸化チタンによって玉葱や腐敗した魚の臭いなどのような悪臭となるメチルメルカプタンを分解して消臭し、一方のアスコルビン酸又はクエン酸によってアンモニア臭を消臭できるため、冷却貯蔵庫内の複数の臭いに対してフィルタの両面を有効に消臭作用面として利用できるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明冷蔵庫の正面図である。
【図2】本発明冷蔵庫の縦断側面図である。
【図3】本発明の冷蔵庫本体を正面から見た説明図である。
【図4】本発明冷蔵庫のダクト構成部分の分解斜視図である。
【図5】本発明冷蔵庫のフィルタ設置部分を拡大した縦断側面図である。
【符号の説明】
1……冷蔵庫
2……冷蔵庫本体
3……冷蔵室
4……野菜室
10……冷蔵室扉
30……蒸発器(冷却器)
32……送風機
40……冷蔵室の背面板
57……冷気通路
60……フィルタ
61……通過孔
62……背面板の段部
63……ランプ

Claims (6)

  1. 冷気通路の冷気が通過する複数の通過孔を形成したフィルタが紫外線を照射するランプに対向配置され、前記フィルタの前記ランプとの対面側には、前記ランプからの紫外線によって前記冷気中の臭い分子を分解して消臭する光触媒が存在し、前記フィルタの前記対面側の裏側には前記紫外線を受けなくても前記冷気中の別の臭いを消臭する消臭剤が存在することを特徴とする冷却貯蔵庫。
  2. 冷気通路の冷気が通過する複数の通過孔を形成したフィルタが紫外線を照射するランプに対向配置され、前記フィルタの前記ランプとの対面側には、前記ランプからの紫外線によって前記冷気中のメチルメルカプタンを分解して消臭する光触媒が存在し、前記フィルタの前記対面側の裏側には前記紫外線を受けなくても前記冷気中のアンモニア臭を消臭する消臭剤が存在することを特徴とする冷却貯蔵庫。
  3. 冷気通路の冷気が通過する複数の通過孔を形成したフィルタが紫外線を照射するランプに対向配置され、前記フィルタは粉末状活性炭が含まれた基材によって前記複数の通過孔が存するハニカム状又はコルゲート状に形成され、前記フィルタの前記ランプとの対面側の表面には、前記ランプからの紫外線によって前記冷気中の臭い分子を分解消臭する酸化チタンが無機質のバインダに担持されて存在し、前記フィルタの前記対面側の裏側には、前記紫外線を受けなくても前記冷気中の別の臭いを消臭する消臭剤が存在することを特徴とする冷却貯蔵庫。
  4. 冷気通路の冷気が通過する複数の通過孔を形成したフィルタが紫外線を照射するランプに対向配置され、前記フィルタは粉末状活性炭が含まれた基材によって前記複数の通過孔が存するハニカム状又はコルゲート状に形成され、前記フィルタの前記ランプとの対面側の表面には、前記ランプからの紫外線によって前記冷気中の臭い分子を分解消臭する光触媒が存在し、前記フィルタの前記対面側の裏側には、前記紫外線を受けなくても前記冷気中の別の臭いを消臭する消臭剤が存在し、前記フィルタの前記ランプとの対面側の表面と前記光触媒フィルタの前記対面側の裏側の表面色を異ならしめたことを特徴とする冷却貯蔵庫。
  5. 前記消臭剤をアスコルビン酸、クエン酸の少なくともいずれかにしたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の冷却貯蔵庫。
  6. 前記光触媒を酸化チタンとしたことを特徴とする請求項1、2及び4のいずれかに記載の冷却貯蔵庫。
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