JP2005009703A - 吸放出体及びそれを用いた冷温熱システム - Google Patents
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Abstract
【課題】発生する熱量が大きく、速やかに再生可能な吸放出体およびそれを用いた冷温熱システムを提供する。
【解決手段】ナノサイズの孔径を有する多孔質体の表面に、所定温度で相転移を生じ、この相転移によって被吸着体に対する親和性が変化する感温性高分子材料からなる薄膜を形成した吸放出体、およびこの吸放出体を使用する冷温熱システム。
【選択図】 図1
【解決手段】ナノサイズの孔径を有する多孔質体の表面に、所定温度で相転移を生じ、この相転移によって被吸着体に対する親和性が変化する感温性高分子材料からなる薄膜を形成した吸放出体、およびこの吸放出体を使用する冷温熱システム。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱刺激に対して可逆的な相転移を示す感温性高分子材料からなる薄膜を多孔質体表面に形成した、被吸着体の吸放出体および前記吸放出体において発生する熱エネルギーを利用する冷温熱システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、シリカゲル、活性アルミナ、ゼオライト、活性炭等の吸着剤を利用した昇温・冷熱生成システムである、吸着ヒートポンプシステムは、室内の湿度を調節しながら冷房を行う手段として用いられている。吸着ヒートポンプシステムの利点としては、100℃以下の低温熱源のみでの駆動が可能であること、可逆性に優れていること、再生に必要なエネルギーが小さいこと、熱源温度の低下による能力低下が小さいこと、材料が安定で取り扱いが容易なこと、および稼動時に副生成物が発生しないことが挙げられる。一方、このようなシステムは、吸着剤への水の吸着量が少ないため、蓄熱密度や昇温幅が小さい、吸着剤によっては吸湿させた水分を除去するために200℃以上の非常に高い温度が必要となる、などの課題を有する。
【0003】
これらの課題を克服するために、例えば、アニオン交換性基およびカチオン交換性基を有する両性イオン交換体のような有機化合物からなる高吸放湿性高分子を吸着剤として用いることで、50〜70℃のような低温で吸着剤の再生(吸着水の脱離)が行える除湿空調装置が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
さらに、蓄熱密度を大きくするために、細径化を促進させた活性炭を用いて吸着水分量を増加することや、このような吸着ヒートポンプ用活性炭の効率的な製造方法も提案されている(特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−262621号公報
【特許文献2】
特開2002−235965号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の除湿空調装置等に用いられている吸着剤は、雰囲気温度が40℃以上といった比較的高温時あるいは相対湿度が10%RH以下といった低湿度雰囲気下、すなわち絶対水分量の少ない条件において、雰囲気から水分を取り込む能力が小さい。また、本質的に水分を吸着するサイト数(場所)に限界があることから、吸着剤による絶対的な水分の吸着量も少ないという課題が存在する。
【0007】
このことを解決するために、吸着剤を微細構造として表面積を増やし、絶対的な吸着量を増やすことも考えられる。しかし、水分が細孔を拡散して吸着剤の内部へ移動したり、逆に吸着剤の内部から外部に移動したりするために要する時間も長くかかることになる。従って、システムの出力が安定するまでに、長時間が必要とされるといった課題も存在する。
【0008】
一方、吸着剤の細孔径が大きい場合には、細孔径が小さい場合と比較して、表面積が小さくなるため、絶対的な水分の吸着量が減るだけでなく、細孔内における水の飽和蒸気圧が大気中での水の飽和蒸気圧と比較して大きくなる。そのため、一旦吸着した水分子も、そこに留まることなく、再度気化してしまうという問題が生じる。
【0009】
低湿度の雰囲気においても充分な吸水特性を得るために、吸着剤中にイオン性の置換基や親水性の置換基を導入すると、ゼオライトのような無機材料の場合には、吸水能力が向上する。しかし、一旦吸着させた水分を脱着させて吸着剤を再生させる際に、高い温度を必要とし、吸着剤から完全に水分を除去することができなかったりもする。また、有機材料の場合には、取り込める水分量が大きくても、材料中を水分子が拡散するのに時間がかかるため、速やかな吸着および脱着ができないという問題が生じる。
【0010】
そこで、本発明は、絶対水分量が少ない条件下であっても、充分に雰囲気より水分子を取り込むことができ、かつ吸着した水分子を速やかに脱着させることができ、効率よく熱の放出および吸収を行うことができる吸放出体を提供する。また、本発明は、そのような吸放出体を用いた冷温熱システムを提供する。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、被吸着体の吸着および脱着により熱を吸収または放出する吸放出体に関し、この吸放出体は、
(a)ナノサイズの孔径を有する細孔を備える多孔質体、および
(b)前記多孔質体の表面上に形成された感温性高分子材料からなる薄膜、
を具備する。ここで、前記感温性高分子材料は、所定温度で相転移する性質を有し、前記相転移により、被吸着体に対する親和性が変化する。
【0012】
上記吸放出体において、多孔質体は、シリカゲル、酸化チタン、活性アルミナ、およびカーボンからなる群より選択されることが好ましい。
【0013】
上記吸放出体において、多孔質体の細孔の数平均孔径が、50nm以下であることが好ましい。
【0014】
上記吸放出体において、感温性高分子材料は、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(N−イソプロピルメタクリルアミド)、ポリ(N−エチルメタクリルアミド)、およびポリ(N−エチルアクリルアミド)からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0015】
被吸着体が水である場合、上記感温性高分子材料は、前記相転移により、親水性から疎水性または疎水性から親水性に変化することが好ましい。
【0016】
本発明は、また、冷温熱システムに関し、このシステムは、
(1)被吸着体を含む1つ以上の被吸着体貯蔵部、
(2)前記被吸着体貯蔵部内の被吸着体を加熱または冷却するための1つ以上の第1熱交換器、
(3)前記被吸着体の吸着および脱着により熱を吸収または放出する吸放出体、
(4)前記吸放出体を加熱または冷却するための1つ以上の第2熱交換器、
(5)前記吸放出体を収容するための1つ以上の反応容器、ならびに
(6)前記被吸着体貯蔵部と前記反応容器とを接続するためのバルブを備えた配管、を備える。ここで、前記吸放出体は、
(a)ナノサイズの孔径を有する細孔を備える多孔質体、および
(b)前記多孔質体の表面上に形成された感温性高分子材料からなる薄膜からなり、前記感温性高分子材料は、所定温度で相転移する性質を有し、前記相転移により、被吸着体に対する親和性が変化する。
【0017】
上記システムにおいて、配管の内部は、被吸着体の蒸気で充満していることが好ましい。
【0018】
上記システムにおいて、被吸着体は、水であることが好ましい。
【0019】
【発明の実施の形態】
最初に、本発明の熱を吸収または放出するための吸放出体10を、図1を参照しながら説明する。
図1は、吸放出体の1実施形態を示す断面概念図である。
【0020】
本発明の吸放出体10は、図1に示されるように、ナノサイズの孔径を有する細孔12を備える多孔質体11と、多孔質体11の表面上に形成された感温性高分子材料からなる薄膜13からなる。この吸放出体に被吸着体が吸着することにより吸着熱が発生し、この吸放出体に熱が移動する。また、吸放出体に熱が吸収されることにより、被吸着体が吸放出体から放出される。
【0021】
本発明において使用される多孔質体11は、ナノサイズの孔径を有する細孔を備える材料から構成される。このような多孔質体11としては、シリカゲル、ゼオライト、活性アルミナ、活性炭、モレキュラーシーブ、カーボン、カーボン繊維、活性白土、骨炭、多孔質ガラス、陽極酸化アルミニウム材、酸化チタン、酸化カルシウム等の無機酸化物からなる微粉末、チタン酸カルシウム、ニオブ酸ナトリウム等のぺロブスキー型酸化鉱物、セピオライト、カオリナイト、モンモリロナイト、サポナイト等の粘土鉱物、イオン交換樹脂等の合成吸着樹脂等が挙げられる。これらの中でも特に、細孔径を制御しながら作製することが容易であるため、シリカゲル、酸化チタン、活性アルミナ、およびカーボンからなる群より選択されるいずれかを用いることが好ましい。
また、この多孔質体の比表面積は、500〜1000m/gの範囲にあることが好ましい。
【0022】
また、細孔12の数平均孔径は、50nm以下であることが好ましい。これは、孔径が小さいほど、細孔内における被吸着体の飽和蒸気圧が小さくなり、細孔内に存在する被吸着体分子の脱着が起こりにくくなるからである。この数平均孔径は、10nm以下であることがさらに好ましい。
【0023】
多孔質体11は、支持基材(例えば、ステンレス材など)の表面に担持されてもよい。
【0024】
多孔質体11の表面上に形成された薄膜13は、感温性高分子材料からなる。この感温性高分子材料としては、所定温度で相転移する性質を有し、この相転移によって、被吸着体に対する親和性が変化するものを、特に限定されることなく使用することができる。
また、薄膜13は、被吸着体に対して不溶化することが好ましい。この不溶化は、例えば、薄膜13を構成する感温性高分子材料を、3次元的に架橋することによって行うことができる。
【0025】
例えば、被吸着体が水の場合には、この感温性高分子材料としては、所定温度で相転移を起こして、親水性から疎水性になるものを使用することができる。
【0026】
上記のような高分子材料の中でも、アクリルアミド系の高分子材料が、好ましい。これは、モノマーの重合が容易であり、架橋反応によって高分子鎖の3次元化も容易に行えるからである。具体的には、ポリ(N−エチルアクリルアミド)、ポリ(N−エチルメタクリルアミド)、ポリ(N−n−プロピルアクリルアミド)、ポリ(N−n−プロピルメタクリルアミド)、ポリ(N−iso−プロピルアクリルアミド)、ポリ(N−iso−プロピルメタクリルアミド)、ポリ(N−シクロプロピルアクリルアミド)、ポリ(N−シクロプロピルメタクリルアミド)、ポリ(N−メチル−N−エチルアクリルアミド)、ポリ(N,N−ジエチルアクリルアミド)、ポリ(N−メチル−N−イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(N−メチル−N−n−プロピルアクリルアミド)、ポリ(N−アクリロイルピロリジン)、ポリ(N−アクリロイルピぺリジン)等を単独で、またはこれらを混合して使用することが好ましい。さらに、上記のような感温性高分子材料を構成するモノマーの2種以上を共重合した共重合体を使用してもよい。このため、本発明では、相転移温度が異なる種々の感温性高分子材料を使用することが可能となる。これにより、使用する目的に応じた温度範囲内の相転移温度を有する感温性高分子材料を選択することが可能となり、本発明の吸放出体を種々の温度範囲で使用することが可能となる。
【0027】
これらの中でも、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(N−イソプロピルメタクリルアミド)、ポリ(N−エチルメタクリルアミド)、およびポリ(N−エチルアクリルアミド)からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。これは、このような感温性高分子材料が、100℃以下の低温で再生を行うことができるからである。
【0028】
また、本発明において、薄膜を構成する感温性高分子材料の相転移温度は、30〜80℃の範囲にあることが好ましい。
また、薄膜の厚みは、20nm以下であることが好ましい。
【0029】
上記のように、本発明では、吸放出体10がナノサイズの孔径を有する多数の細孔を備えるので、この吸放出体の比表面積を大きくすることができる。吸放出体の比表面積を増加させることによって、被吸着体を吸着するサイトを増加させることができるので、被吸着体の吸着による発熱量を増加させることができる。
【0030】
さらに、多孔質体11の表面上には、感温性高分子材料からなる薄膜13が形成されている。薄膜13が、相転移温度より低い温度において、被吸着体に対して親和性を有する場合、被吸着体により、吸放出体の表面がぬれると、以下に示されるケルビン式中の接触角θが90度よりも小さくなる。このため、細孔12内部における被吸着体の飽和蒸気圧は、反応容器内部での被吸着体の飽和蒸気圧よりも小さくなる。従って、毛管凝縮効果によって細孔12内部へと押し込まれ凝縮した被吸着体は、細孔12内部における被吸着体の飽和蒸気圧と反応容器内部での被吸着体の飽和蒸気圧との相対的な関係より、低湿度雰囲気下においても、細孔12から再放出されることがない。つまり、吸放出体は、細孔12内部に存在する被吸着体を保持することができる。
【0031】
【数1】
【0032】
ここで、被吸着体としては、上記吸放出体に吸着した場合に熱を発生し、所定の温度でこの薄膜が相転移を起こした場合に、その吸脱着特性が変化するものであればよい。例えば、水、メタノールやエタノールのようなアルコール類ならびにアルコールと水との混合物、アンモニアならびにアンモニアと水との混合物、二酸化炭素およびエチレン等が挙げられる。これらのなかでも、被吸着体としては、水が特に好ましい。
【0033】
吸着による発熱が終了すると、吸放出体10から被吸着体を放出させて、吸放出体を再生する必要がある。この感温性高分子材料からなる薄膜13は、吸放出体からの被吸着体の放出を促進することができる。例えば、吸放出体10を薄膜13の相転移温度よりも高い温度にすることによって、薄膜13が相転移を起こして、瞬時に収縮する。このため、被吸着体が吸放出体から速やかに吐き出される。さらに、物理的な収縮だけではなく、薄膜13の化学的な表面性状が親水性から疎水性へと変化することで、被吸着体に対する親和性がなくなる。従って、被吸着体と細孔内表面との接触角θは90度より大きくなり、上記ケルビン式から理解されるように、細孔内の被吸着体の蒸気圧は、細孔外部の蒸気圧より大きくなる。このため、吸放出体10から被吸着体が速やかに放出されることとなる。また、このような機構によることで、吸放出体を再生する温度を感温性高分子材料の相転移温度にすることができ、吸放出体から被吸着体を脱離させる際に、吸放出体の外部より非常に大きな熱量を加えて吸着エネルギーを与えなくても、低温でも、速やかに、被吸着体が吸放出体から放出される。
【0034】
次に、本発明の吸放出体の製造方法について、説明する。ここでは、多孔質体として、乾燥ゲルからなる多孔質シリカを使用する場合について説明する。
最初に、多孔質シリカの作製方法について、説明する。
【0035】
多孔質シリカの作製方法は、大きく分けて、(イ)湿潤ゲルを得る工程と(ロ)この湿潤ゲルを乾燥する工程からなる。
【0036】
湿潤ゲルを得る方法としては、シリカの原料を溶媒中でのゾル−ゲル反応によって合成して、湿潤ゲルを得る方法が挙げられる。この合成の際には、必要に応じて触媒を用いる。この合成過程において、溶媒中で原料が反応しながらシリカの微粒子を形成し、その微粒子が集まって網目状骨格を形成して、湿潤ゲルが得られる。
【0037】
具体的には、所定の密度の多孔質シリカを得るように固体成分である原料と溶媒との組成比を決定する。所定の組成比に調製した溶液に、必要に応じて触媒や粘度調整剤などを加えて攪拌し、注型または塗布等により、所望の使用形態にする。この状態で一定時間放置してゲル化させることにより、シリカの湿潤ゲルが得られる。製造時の温度条件としては、通常の作業温度である室温近傍でもよいし、必要に応じて溶媒の沸点以下の温度でもよい。
【0038】
上記シリカの原料としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、トリメトキシメチルシラン、およびジメトキシジメチルシラン等のアルコキシシラン化合物またはこれらのオリゴマー化合物、もしくはケイ酸ナトリウム(ケイ酸ソーダ)およびケイ酸カリウム等の水ガラス化合物、あるいはコロイダルシリカなどを単独で用いても良いし、またはこれらを混合して用いてもよい。
【0039】
溶媒としては、シリカの原料が溶解して、シリカ形成を可能にするものであればよく、例えば、水、またはメタノール、エタノール、プロパノール、アセトン、トルエン、もしくはヘキサンなどの一般的な有機溶媒を単独で用いてもよいし、これらを混合して用いてもよい。
【0040】
触媒としては、水、または塩酸、硫酸、および硝酸などの酸、またはアンモニア、ピリジン、水酸化ナトリウム、および水酸化カリウムなどの塩基を用いることができる。
【0041】
粘度調整剤としては、湿潤ゲルを所定の使用形態にできるものであれば、特に限定されることなく使用することができ、例えば、エチレングリコール、グリセリン、ポリビニールアルコール、およびシリコーン油などが挙げられる。
【0042】
次に、湿潤ゲルから乾燥ゲルを得る乾燥方法について説明する。
この乾燥方法として、自然乾燥、加熱乾燥、および減圧乾燥等の通常の乾燥方法、あるいは超臨界乾燥法または凍結乾燥法などを用いることができる。一般に、乾燥ゲルを低密度にするために湿潤ゲル中の固体成分量を少なくすると、ゲル強度が低下する。また、通常、ただ単に乾燥するだけの乾燥法では、溶媒蒸発時のストレスによってゲルが収縮してしまう。一方、超臨界乾燥法や凍結乾燥法では、湿潤ゲルに含まれる溶媒の相状態を液体状態から変化させることによって、気液界面を無くすことができる。このため、溶媒の表面張力によるゲル骨格へのストレスを無くして、乾燥時のゲルの収縮を防ぐことができる。従って、乾燥時の収縮を防ぐことができる超臨界乾燥や凍結乾燥を、低密度の乾燥ゲルからなる多孔質シリカを得るために使用することが好ましい。
【0043】
さらに、乾燥時のゲルの収縮を抑えることができるために、湿潤ゲルにおいて、ゲルの固体成分の表面に、例えば、アルコキシ系シラン処理剤やシリコーン系シラン処理剤あるいはアルコール系処理剤等の表面処理剤による疎水化処理を行うことも好ましい。
【0044】
以下に、例として、超臨界乾燥法について説明する。
上記超臨界乾燥を行う際に用いる溶媒として、湿潤ゲルに含まれる溶媒を用いることができる。また、必要に応じて、湿潤ゲルに含まれる溶媒を、超臨界乾燥において扱いやすい溶媒に置換することもできる。置換する溶媒としては、湿潤ゲルにおいて直接超臨界流体となることができるものであればよく、例えば、メタノール、エタノールやイソプロピルアルコールなどのアルコール類、二酸化炭素、および水が挙げられる。また、これらの超臨界流体を用いて溶出しやすく、取り扱いやすいアセトン、酢酸イソアミル、ヘキサンなどの有機溶媒によって、予め湿潤ゲル中に含まれる溶媒を置換してもよい。
【0045】
上記超臨界乾燥は、オートクレーブなどの圧力容器中で、超臨界乾燥条件として、例えばメタノールでは、圧力をその臨界条件である臨界圧力8.09MPaとし、温度を臨界温度239.4℃以上にし、温度一定の状態で圧力を徐々に減少させながら実施される。また、二酸化炭素の場合には、圧力を臨界圧力7.38MPaとし、温度を臨界温度31.1℃以上にして、同様に温度一定の状態で圧力を徐々に減少させながら乾燥を行う。
【0046】
乾燥に必要な時間は、超臨界流体によって湿潤ゲル中の溶媒が1回以上入れ替わる時間またはそれ以上であればよい。
【0047】
ここでは、多孔質体としての多孔質シリカを、金属アルコキシド化合物からなる原料を、加水分解反応およびそれに続く脱水反応により得るゾル−ゲル法について説明した。しかし、多孔質体としては、多孔質シリカ以外にも、上記のような材料を使用することができる。さらに、多孔質体であるナノサイズの細孔を有する微細粒子を、より大きなサイズの構造体に担持させてもよい。
【0048】
さらに、多孔質体の作製方法についても、上記ゾル−ゲル法以外に、蒸着法、スパッタ法、クラスターイオンビーム法、および分子線エピタキシー法等の気相法、ゾル−ゲル法以外の液相法、メソポーラスシリカの合成法として代表される界面活性剤を鋳型とした水熱合成法などを使用することができる。
【0049】
また、カーボンを主材とした多孔質体の製造方法については、特に限定されないが、未炭化原料を加熱分解した後に、水蒸気、酸素、二酸化炭素またはこれらの混合ガスを用いて1000〜1400Kで賦活する方法、未炭化原料に塩化亜鉛、リン酸またはリン酸塩、水酸化カリウム等を混練して不活性ガス雰囲気中650〜1000Kで焼成する方法、ならびにピッチ、ポリアクリロニトリル、セルロース、またはフェノール樹脂等を繊維状にした後、炭化・賦活処理を行う作製方法が挙げられる。
【0050】
次に、上記のように作製された多孔質体表面に、感温性高分子材料からなる薄膜が形成される。
この薄膜は、
(ハ)溶媒および前記溶媒中に含まれる感温性高分子材料の原料となるモノマーからなる反応溶液を、多孔質体に塗布する工程、および
(ニ)モノマーを重合して、薄膜を形成する工程、
を包含する方法によって、多孔質体の表面上に形成される。
また、上記反応溶液は、重合開始剤および/または架橋剤を含んでもよい。
【0051】
感温性高分子材料の原料となるモノマーは、市販されているモノマーを使用してもよいし、例えば、以下に示されるような反応スキーム(1)に従って合成されたモノマーを使用してもよい。
【0052】
【化1】
【0053】
本発明において使用されるモノマーとしては、N−エチルアクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−n−プロピルアクリルアミド、N−n−プロピルメタクリルアミド、N−iso−プロピルアクリルアミド、N−iso−プロピルメタクリルアミド、N−シクロプロピルアクリルアミド、N−シクロプロピルメタクリルアミド、N−メチル−N−エチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−メチル−N−イソプロピルアクリルアミド、N−メチル−N−n−プロピルアクリルアミド、N−アクリロイルピロリジン、およびN−アクリロイルピぺリジン等が挙げられる。これらのモノマーは、単独で用いてもよいし、2種以上のモノマーを混合して用いてもよい。
【0054】
細孔内に反応溶液を浸透させる方法としては、例えば、連通孔を有する多孔質体に反応溶液を滴下し、その反対側を減圧状態にすることにより、反応溶液からなる被膜を細孔壁面に形成してもよい。また、形成される薄膜の厚さは、反応溶液中のモノマー濃度の調整、および滴下量の調整によって制御することが可能である。さらに、薄膜の形成後に未反応のモノマーを有機溶剤等によって洗浄することも可能である。
【0055】
重合方法としては、有機溶媒中でのラジカル重合、水溶液中でのレドックス重合、イオン重合、および紫外線またはガンマ線等の放射線を使用する放射線重合法などが挙げられる。これらの中でも、有機溶媒中でのラジカル重合および水溶液中でのレドックス重合が好ましい。これは、これらの重合方法は、反応の制御が容易で、かつ副反応が少ないからである。
【0056】
使用される重合開始剤として、特に限定されることなく、当該分野で一般的なものを使用することができる。このとき、重合開始剤は、用いられる重合方法によって、選択される。特に、ラジカル重合の場合には、重合開始剤を使用しなくても加熱のみで重合を行うことができるが、重合開始剤を使用したほうが良好な結果が得られる。このラジカル重合のための重合開始剤としては、ラジカル重合を開始する能力を有するものであればよく、例えば、無機過酸化物、有機過酸化物、それらの過酸化物と還元剤との組み合わせ及びアゾ化合物等が挙げられる。具体的には、過酸化物としては、過酸化水素、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシド、過安息香酸ブチル、およびジラウロイルパーオキシド等、還元剤としては、亜硫酸塩、鉄、銅、コバルト等の塩、アスコルビン酸等の有機酸、およびアニリン等の有機アミン類、アゾ化合物としては、α,α’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、1,1’−アゾビスシクロヘキサン−1−カルボニトリル等が挙げられる。
【0057】
薄膜は、被吸着体に対して不溶化される。この不溶化は、例えば、感温性高分子材料を3次元的に架橋することによって、行われる。この3次元的な架橋は、モノマーの重合時に行ってもよいし、モノマーを重合してポリマーとした後、このポリマーを架橋することによって行ってもよい。重合時に架橋する方法としては、特に限定されないが、分子中に少なくとも2個の二重結合を有する架橋剤とモノマーとを共重合する方法、および単量体濃度を大きくして急激な重合反応を起こさせる方法が挙げられる。また、重合後に架橋する方法としては、特に限定されないが、光や放射線を照射する方法、水酸基あるいはアミノ基を導入したポリマーとエピクロルヒドリンまたはグルタールアルデヒド等の多官能性化合物とを反応させる方法、ならびにイオン性の官能基を導入したポリマーに多価金属イオンを添加してイオン結合性複合体にする方法が挙げられる。
【0058】
上記架橋剤としては、特に限定されないが、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N,N’−ジアリルアクリルアミド、N,N’−ジアクリロイルイミド、N,N’−ジメタクリロイルイミド、トリアリルホルマール、ジアリルナフタレート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、グリセロールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、およびジビニルベンゼン等のジビニル誘導体等の架橋性単量体を用いることができる。特に、アクリロイル基、メタクリロイル基、および/またはアリル基を合計で2箇所以上有する化合物が好ましい。
【0059】
反応溶液に用いられる溶媒としては、特に限定されることなく、反応に関与しないものを使用することができる。例えば、水、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、イソブタノール、およびヘキサノール等のアルコール類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセト二トリル、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等が挙げられる。
【0060】
次に、本発明の吸放出体を使用する冷温熱システムの1つの実施形態を、図2を参照しながら説明する。
図2は、本発明の冷温熱システムの一実施形態を示す概略図である。
【0061】
本発明の冷温熱システムは、被吸着体20を含む被吸着体貯蔵部21、被吸着体貯蔵部21内の被吸着体20を加熱または冷却するための第1熱交換器22、被吸着体20の吸着および脱着により熱を放出または吸収する吸放出体10、吸放出体10を加熱または冷却するための第2熱交換器23、吸放出体10を収容するための反応容器24、ならびに被吸着体貯蔵部21と反応容器24とを接続するためのバルブ26を備えた配管25を備える。
【0062】
本発明のシステムにおいて使用される被吸着体貯蔵部21としては、特に限定されることなく、被吸着体を貯蔵することができるものを使用することができる。
【0063】
第1熱交換器22としては、特に制限されることなく、被吸着体20の温度を制御できるものを使用することができる。ここで、第1熱交換器22において使用される熱媒体は、液体でもよいし、気体でもよい。
【0064】
反応容器24としては、特に限定されることなく、吸放出体10および第2熱交換器23を収納できるものを使用することができる。
配管25としては、特に限定されることなく、当該分野で公知のものを使用することができる。
バルブ26としては、特に限定されることなく、反応容器24と被吸着体貯蔵部21との間の被吸着体20の移動を遮断することができるものを、使用することができる。
【0065】
第2熱交換器23としては、特に限定されることなく、第2熱交換器23内を流れる熱媒体と吸放出体10との間で熱を交換できるものを使用することができる。さらに、第2熱交換器23は、冷却または加熱の両方ができるように、2重管構造を有することが好ましい。
さらに、第2熱交換器23は、伝熱効率を高めるために、吸放出体10と第2熱交換器23との接触面積(すなわち伝熱面積)が大きくなるような構造を有することが好ましい。例えば、スパイラル構造、第2熱交換器23上に直接吸放出体10が形成された構造、あるいは第2熱交換器23にフィンが形成され、このフィンおよび第2熱交換器23の両方に吸放出体10が接している構造等が挙げられる。
【0066】
被吸着体20としては、水、メタノールやエタノールのようなアルコール類ならびにアルコールと水との混合物、アンモニアならびにアンモニアと水との混合物、二酸化炭素およびエチレン等が挙げられる。
【0067】
次に、本実施形態の冷温熱システムの作動について、説明する。
最初に、上記のような構成の冷温熱システムを、バルブ26を開いた状態で、真空ポンプを用いて減圧状態にする。次に、バルブ26を閉じ、被吸着体貯蔵部21に貯められた被吸着体20を、第1熱交換器22によって加熱する。このとき、被吸着体貯蔵部21中では、被吸着体20が、加熱温度における飽和蒸気圧に達するまで気化する。反応容器24の内部は被吸着体貯蔵部21と比較して減圧状態にあるで、気化した被吸着体20が、バルブ26を開くことにより、被吸着体貯蔵部21から反応容器24内に入る。
【0068】
次に、この気化した被吸着体20が吸放出体10に吸着する。この吸着により、吸着熱に見合った熱量が、吸放出体10に移動する。このとき、吸放出体10は、上記のように、被吸着体の吸着量を大きくすることができるので、この発熱量は大きくなる。
【0069】
この発生した熱は、吸放出体10の温度を上昇させると共に、吸放出体10に密着して配置される第2熱交換器23へと熱が伝わる。第2熱交換器23内部を流れる熱媒体に、この熱が伝えられるので、熱媒体の温度を高めることができる。ここで、熱媒体としては、空気のような気体、または水等の液体を使用することができる。
【0070】
吸放出体10への被吸着体20の吸着が終了して、熱が取り出せなくなった後、この吸放出体10が、再生される。
【0071】
まず、バルブ26を開いた状態で、吸放出体10の薄膜13の相転移温度以上の温度を有する熱媒体を第2熱交換器23に流す。これにより、薄膜13が収縮し、吸着した被吸着体20が、吸放出体10から速やかに放出され、気化する。さらに、第1熱交換器22を使用して、被吸着体貯蔵部21内の被吸着体20を冷却することで、気化した被吸着体20の凝縮を促進することができる。このように、本発明の冷温熱システムでは、吸放出体10の再生と同時に被吸着体20の回収を速やかに行うことができる。
【0072】
さらに、吸放出体10の再生のとき、第2熱交換器23内を移動する熱媒体の温度は、吸着された被吸着体20の気化によって熱を奪われるので、下がる。このため、本発明の冷温熱システムは、冷却のためにも使用することができる。
【0073】
また、上記冷温熱システムの作動時には、バルブ26より被吸着体貯蔵部21の空間を含めた空間部またはバルブ26より反応容器24の空間を含めた空間部に被吸着体20の蒸気が充満していることが好ましい。これは、バルブの開閉と同時に、吸放出体に吸着する被吸着体20の移動が、被吸着体貯蔵部21から反応容器24へ、または反応容器24から被吸着体貯蔵部21へと速やかに行われるからである。これにより、反応容器24内部における被吸着体20の吸放出体10への吸脱着も速やかに行われる。
【0074】
本実施の形態では、被吸着体貯蔵部21と反応容器24とが配管25を介して上下に配置されているが、被吸着体貯蔵部21と反応容器24とは、配管25を介して横に配置されてもよい。
【0075】
次に、本発明の冷温熱システムの別の実施形態を、図3を参照しながら説明する。
図3は、本発明の冷温熱システムの別の実施形態を示す概略図である。
【0076】
この実施形態において、本発明の冷温熱システムは、吸放出体10および10’、被吸着体30、2つの被吸着体貯蔵部31および32、2つの第1熱交換器33および34、2つの第2熱交換器35および36、2つの反応容器37および38、ならびにバルブ39、40、41または42を、それぞれ備えた配管43からなる。
【0077】
本実施形態において、第1熱交換器33は、被吸着体30を加熱するためだけに使用される。また、第1熱交換器34は、被吸着体30を冷却するためだけに使用される。また、被吸着体貯蔵部31と32とは、逆止弁44を備える配管45によって、接続されている。これにより、被吸着体30は、被吸着体貯蔵部32から31への一方向にしか、移動することができない。
【0078】
次に、本実施の形態における、冷温熱システムの作動について説明する。
最初に、図3に示されるような構成の冷温熱システムを、すべてのバルブを開いた状態で、真空ポンプを用いて減圧状態にする。次に、すべてのバルブを閉じ、被吸着体貯蔵部31に貯められた被吸着体30を、第1熱交換器33を用いて加熱する。このとき、被吸着体貯蔵部31中では、被吸着体30が、加熱温度における蒸気圧に達するまで気化する。次に、バルブ39を開くことにより、被吸着体貯蔵部31から反応容器38内に、気化した被吸着体30が入り、吸放出体10に吸着する。
【0079】
吸放出体10への被吸着体30の吸着が終了した後は、バルブ39を閉じる。次いで、被吸着体貯蔵部31と反応容器37とを繋ぐバルブ40を開いて、反応容器37内の吸放出体10’に被吸着体30を吸着させる。このとき、反応容器38と被吸着体貯蔵部32とを繋ぐバルブ41を開いて、反応容器38内の吸放出体10の再生を上記のように行う。
【0080】
本実施形態のように、一方の吸放出体に被吸着体が吸着する間に、他方の吸放出体を再生するという操作を繰り返すことによって、本発明の冷温熱システムは、加熱または冷却を連続して行うことができる。
【0081】
また、本発明のシステムでは、上記以外に、2つ以上の吸着される吸放出体と2つ以上の再生される吸放出体を組み合わせて、連続的な加熱または冷却を行うこともできる。
【0082】
【実施例】
《実施例1》
吸放出体Aの作製
(イ)多孔質体の形成
多孔質体原料のテトラメトキシシランとエタノールとアンモニア水溶液(0.1規定)を、テトラメトキシシランとエタノールとアンモニアとのモル比が1対3対4となるように混合し、ゲル化させて、シリカ湿潤ゲルを得た。このシリカ湿潤ゲルを、圧力0.05MPa、温度50℃で3時間維持し、その後、圧力を大気圧にすることによって減圧乾燥して、乾燥ゲルである多孔質シリカからなる多孔質体を得た。この多孔質体は、別途測定したところ、約200kg/m3の密度を有し、約92%の空孔率を有した。ここで、空孔率とは、多孔質体表面の単位見かけ面積あたりに孔が占めている面積の割合をいう。なお、密度は、比重の測定や一定体積の多孔質体の重量を測定すること等によって、求めることができる。
【0083】
また、窒素吸着法であるブルナウアー・エメット・テラー(BET)法で測定した比表面積の値は、約600m2/gであり、数平均孔径は約10nmであった。
【0084】
(ロ)薄膜の形成
感温性高分子材料の原料となるN−エチルアクリルアミドを、アクリル酸クロリド(Aldrich Chemical Company Inc.製)及びエチルアミン(東京化成工業(株)製)を用い、上記反応スキーム(1)に従って合成した。このとき、合成を行う温度を、10℃とした。次に、溶媒であるベンゼンに、合成したN−エチルアクリルアミドを、1.0mol/lとなるように溶解し、重合開始剤であるα,α’−アゾビスイソブチロニトリルを、0.05mol/lとなるように添加して、反応溶液を作製した。この反応溶液を、上記多孔質シリカ膜に含浸させた後、室温で、24時間放置して、多孔質体の表面上に感温性高分子の薄膜を形成させて、吸放出体Aを得た。ここで、このポリ(N−エチルアクリルアミド)からなる薄膜の相転移温度は、72℃であった。
【0085】
《実施例2》
吸放出体Bの作製
(イ)多孔質体の作製
多孔質体原料として、ケイ酸ソーダを用いた。まず、水溶液中のシリカ成分濃度が14重量%であるケイ酸ソーダ水溶液を陽イオン交換樹脂(スチレン/ジビニルベンゼンコポリマー)を含むジャケット付きカラムを使用して、ナトリウムイオンを水素イオンに変換して、pH2程度のケイ酸水溶液を得た。その後、このケイ酸水溶液に、pH7前後になるように、規定度1.0のアンモニア水溶液を添加して、ゲル化を行った。次いで、50℃で24時間エージングを行い、シリカ湿潤ゲルを得た。このシリカ湿潤ゲルを、圧力0.05MPa、温度40℃で5時間維持し、その後、圧力を大気圧にし、室温付近まで降温することによって減圧乾燥し、乾燥ゲルからなる多孔質シリカからなる多孔質体を得た。この多孔質体は、別途測定したところ、約240kg/m3の密度を有し、約92%の空孔率を有した。
【0086】
また、窒素吸着法であるBET法で測定した比表面積の値は約670m2/gであり、数平均孔径は約5nmであった。
【0087】
(ロ)薄膜の形成
感温性高分子の原料として、市販のN−イソプロピルアクリルアミド(イーストマンコダック社製)を用いた。溶媒であるテトラヒドロフランに、上記N−イソプロピルアクリルアミドを、1.0mol/lの濃度になるように溶解して、反応溶液を作製した。この反応溶液を、上記多孔質体上にマイクロピペットにて滴下しながら含浸させた。次いで、ガンマ線の照射によりN−イソプロピルアクリルアミドを重合し、薄膜を形成させて、吸放出体Bを得た。ここで、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)からなる薄膜の相転移温度は、30.9℃であった。
【0088】
《実施例3》
吸放出体Cの作製
(イ)多孔質体の作製
多孔質体原料として、テトライソプロポキシチタンを用いた。テトライソプロポキシチタン72gをエタノール500ml中に溶解した。ジエタノールアミン26g及び純水10mlを添加しながら、この溶液を攪拌して、チタニア湿潤ゲルを得た。このチタニア湿潤ゲルを、圧力0.05MPa、温度50℃で3時間維持し、その後、圧力を大気圧にして、室温まで降温することにより減圧乾燥して、乾燥ゲルである多孔質チタニアからなる多孔質体を得た。この多孔質体は、別途測定したところ、約230kg/m3の密度を有し、約90%の空孔率を有した。
【0089】
窒素吸着法であるBET法で測定した比表面積の値は約600m2/gであり、平均細孔直径は約8nmであった。
【0090】
(ロ)薄膜の形成
感温性高分子の原料である、N−エチルメタクリルアミドを、メタクリル酸クロリド(Aldrich Chemical Company Inc.製)及びエチルアミン(東京化成工業(株)製)を用いて、上記反応スキーム(1)に従って合成した。このときの反応温度を、10℃とした。次に、溶媒であるテトラヒドロフランに、上記N−エチルメタクリルアミドを1.0mol/lとなるように溶解して、反応溶液を得た。この反応溶液を、上記多孔質体上にマイクロピペットにて滴下しながら含浸させた。次いで、ガンマ線の照射により、N−エチルメタクリルアミドを重合し、薄膜を形成させて、吸放出体を得た。ここで、ポリ(N−エチルメタクリルアミド)からなる薄膜の相転移温度は、50.0℃であった。
【0091】
《実施例4》
実施例1にて作製した吸放出体Aを用いて、図2に示されるような冷温熱システムを構築した。この実施例では、被吸着体として水を用いた。
実験を始める前に、バルブ26を開いた状態で、冷温熱システム内を真空ポンプを用いて減圧状態とした。
【0092】
冷温熱システムを減圧した後、バルブ26を閉じた。次いで、被吸着体貯蔵部21内の温度を15℃の水を用いて一定にしたのち、バルブ26を開き、吸放出体へ水蒸気を吸着させた。このとき、第2熱交換器23に50℃の温水を流すと、反応容器24から出る際に、その温度は70℃となっていた。吸放出体10への水蒸気の吸着が終わった後、被吸着体貯蔵部21内の水を10℃に冷却しながら、第2熱交換器23に75℃の温水を流した。このとき、吸放出体において吸着水分子の急激な脱離反応が起き、第2熱交換器23を流れる水の温度が、反応容器24を出る際に、56℃まで低下した。
【0093】
《実施例5》
実施例2にて作製した吸放出体Bを用いて、図3に示されるような冷温熱システムを構築した。本実施例においても、被吸着体として水を用いた。
実施例4の場合と同様に、実験を始める前に、すべてのバルブを開いた状態で、冷温熱システム内を真空ポンプを用いて減圧状態とした。
【0094】
この冷温熱システムを減圧した後、すべてのバルブを閉じた。次いで、被吸着体貯蔵部31内の水の温度を、30℃の温水を第1熱交換器33に流すことによって、一定にした。次いで、バルブ39を開いて、反応容器38内の吸放出体10に水蒸気を吸着させた。このとき、第2熱交換器35に5℃の冷水を流すと、反応容器38から出る際、その温度は、25℃となっていた。
【0095】
水の吸着が終了した後、バルブ39を閉じる。次いで、被吸着体貯蔵部31と反応容器37とを繋ぐバルブ40を開いて、反応容器37内の吸放出体10’に水蒸気を吸着させた。同時に、反応容器38と被吸着体貯蔵部32とを繋ぐバルブ41を開いた。このとき、被吸着体貯蔵部32内の水を5℃に冷却しながら、第2熱交換器35内に35℃の水を流した。このとき、吸放出体10において吸着水分子の急激な脱離反応が起き、第2熱交換器35を流れる水の温度が、反応容器38を出る際に、10℃まで低下した。さらに、この反応容器38内の吸放出体10は、反応容器37内の吸放出体10’への水蒸気の吸着が終了するまでに、再生された。
【0096】
上記実施例5から、感温性高分子材料を適切に選択することによって、本発明の吸放出体を、35℃以下の低温で再生することが可能であり、かつその再生が速やかに行われることが理解される。
さらに、上記実施例4および5から、理解されるように、感温性高分子材料を適切に選択することによって、特定の目的において必要とされる温度感温性を有する、高感度の冷温熱システムが提供することが可能である。
【0097】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、被吸着体量が少ない条件下であっても充分に吸放出体がおかれている雰囲気より被吸着体を取り込むことができ、吸着した被吸着体を速やかに脱離させることができる吸放出体を提供することが可能となる。また、この吸放出体を用いて冷温熱システムを提供することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の吸放出体の一実施形態を示す断面概念図である。
【図2】本発明の冷温熱システムの一実施形態を示す概略図である。
【図3】本発明の冷温熱システムの別の実施形態を示す概略図である。
【符号の説明】
10、10’吸放出体
11 多孔質体
12 細孔
13 感温性高分子材料からなる薄膜
20、30 被吸着体
21、31、32 被吸着体貯蔵部
22、33、34 第1熱交換器
23、35、36 第2熱交換器
24、37、38 反応容器
25、43、45 配管
26、39、40、41、42 バルブ
44 逆止弁
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱刺激に対して可逆的な相転移を示す感温性高分子材料からなる薄膜を多孔質体表面に形成した、被吸着体の吸放出体および前記吸放出体において発生する熱エネルギーを利用する冷温熱システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、シリカゲル、活性アルミナ、ゼオライト、活性炭等の吸着剤を利用した昇温・冷熱生成システムである、吸着ヒートポンプシステムは、室内の湿度を調節しながら冷房を行う手段として用いられている。吸着ヒートポンプシステムの利点としては、100℃以下の低温熱源のみでの駆動が可能であること、可逆性に優れていること、再生に必要なエネルギーが小さいこと、熱源温度の低下による能力低下が小さいこと、材料が安定で取り扱いが容易なこと、および稼動時に副生成物が発生しないことが挙げられる。一方、このようなシステムは、吸着剤への水の吸着量が少ないため、蓄熱密度や昇温幅が小さい、吸着剤によっては吸湿させた水分を除去するために200℃以上の非常に高い温度が必要となる、などの課題を有する。
【0003】
これらの課題を克服するために、例えば、アニオン交換性基およびカチオン交換性基を有する両性イオン交換体のような有機化合物からなる高吸放湿性高分子を吸着剤として用いることで、50〜70℃のような低温で吸着剤の再生(吸着水の脱離)が行える除湿空調装置が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
さらに、蓄熱密度を大きくするために、細径化を促進させた活性炭を用いて吸着水分量を増加することや、このような吸着ヒートポンプ用活性炭の効率的な製造方法も提案されている(特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−262621号公報
【特許文献2】
特開2002−235965号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の除湿空調装置等に用いられている吸着剤は、雰囲気温度が40℃以上といった比較的高温時あるいは相対湿度が10%RH以下といった低湿度雰囲気下、すなわち絶対水分量の少ない条件において、雰囲気から水分を取り込む能力が小さい。また、本質的に水分を吸着するサイト数(場所)に限界があることから、吸着剤による絶対的な水分の吸着量も少ないという課題が存在する。
【0007】
このことを解決するために、吸着剤を微細構造として表面積を増やし、絶対的な吸着量を増やすことも考えられる。しかし、水分が細孔を拡散して吸着剤の内部へ移動したり、逆に吸着剤の内部から外部に移動したりするために要する時間も長くかかることになる。従って、システムの出力が安定するまでに、長時間が必要とされるといった課題も存在する。
【0008】
一方、吸着剤の細孔径が大きい場合には、細孔径が小さい場合と比較して、表面積が小さくなるため、絶対的な水分の吸着量が減るだけでなく、細孔内における水の飽和蒸気圧が大気中での水の飽和蒸気圧と比較して大きくなる。そのため、一旦吸着した水分子も、そこに留まることなく、再度気化してしまうという問題が生じる。
【0009】
低湿度の雰囲気においても充分な吸水特性を得るために、吸着剤中にイオン性の置換基や親水性の置換基を導入すると、ゼオライトのような無機材料の場合には、吸水能力が向上する。しかし、一旦吸着させた水分を脱着させて吸着剤を再生させる際に、高い温度を必要とし、吸着剤から完全に水分を除去することができなかったりもする。また、有機材料の場合には、取り込める水分量が大きくても、材料中を水分子が拡散するのに時間がかかるため、速やかな吸着および脱着ができないという問題が生じる。
【0010】
そこで、本発明は、絶対水分量が少ない条件下であっても、充分に雰囲気より水分子を取り込むことができ、かつ吸着した水分子を速やかに脱着させることができ、効率よく熱の放出および吸収を行うことができる吸放出体を提供する。また、本発明は、そのような吸放出体を用いた冷温熱システムを提供する。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、被吸着体の吸着および脱着により熱を吸収または放出する吸放出体に関し、この吸放出体は、
(a)ナノサイズの孔径を有する細孔を備える多孔質体、および
(b)前記多孔質体の表面上に形成された感温性高分子材料からなる薄膜、
を具備する。ここで、前記感温性高分子材料は、所定温度で相転移する性質を有し、前記相転移により、被吸着体に対する親和性が変化する。
【0012】
上記吸放出体において、多孔質体は、シリカゲル、酸化チタン、活性アルミナ、およびカーボンからなる群より選択されることが好ましい。
【0013】
上記吸放出体において、多孔質体の細孔の数平均孔径が、50nm以下であることが好ましい。
【0014】
上記吸放出体において、感温性高分子材料は、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(N−イソプロピルメタクリルアミド)、ポリ(N−エチルメタクリルアミド)、およびポリ(N−エチルアクリルアミド)からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0015】
被吸着体が水である場合、上記感温性高分子材料は、前記相転移により、親水性から疎水性または疎水性から親水性に変化することが好ましい。
【0016】
本発明は、また、冷温熱システムに関し、このシステムは、
(1)被吸着体を含む1つ以上の被吸着体貯蔵部、
(2)前記被吸着体貯蔵部内の被吸着体を加熱または冷却するための1つ以上の第1熱交換器、
(3)前記被吸着体の吸着および脱着により熱を吸収または放出する吸放出体、
(4)前記吸放出体を加熱または冷却するための1つ以上の第2熱交換器、
(5)前記吸放出体を収容するための1つ以上の反応容器、ならびに
(6)前記被吸着体貯蔵部と前記反応容器とを接続するためのバルブを備えた配管、を備える。ここで、前記吸放出体は、
(a)ナノサイズの孔径を有する細孔を備える多孔質体、および
(b)前記多孔質体の表面上に形成された感温性高分子材料からなる薄膜からなり、前記感温性高分子材料は、所定温度で相転移する性質を有し、前記相転移により、被吸着体に対する親和性が変化する。
【0017】
上記システムにおいて、配管の内部は、被吸着体の蒸気で充満していることが好ましい。
【0018】
上記システムにおいて、被吸着体は、水であることが好ましい。
【0019】
【発明の実施の形態】
最初に、本発明の熱を吸収または放出するための吸放出体10を、図1を参照しながら説明する。
図1は、吸放出体の1実施形態を示す断面概念図である。
【0020】
本発明の吸放出体10は、図1に示されるように、ナノサイズの孔径を有する細孔12を備える多孔質体11と、多孔質体11の表面上に形成された感温性高分子材料からなる薄膜13からなる。この吸放出体に被吸着体が吸着することにより吸着熱が発生し、この吸放出体に熱が移動する。また、吸放出体に熱が吸収されることにより、被吸着体が吸放出体から放出される。
【0021】
本発明において使用される多孔質体11は、ナノサイズの孔径を有する細孔を備える材料から構成される。このような多孔質体11としては、シリカゲル、ゼオライト、活性アルミナ、活性炭、モレキュラーシーブ、カーボン、カーボン繊維、活性白土、骨炭、多孔質ガラス、陽極酸化アルミニウム材、酸化チタン、酸化カルシウム等の無機酸化物からなる微粉末、チタン酸カルシウム、ニオブ酸ナトリウム等のぺロブスキー型酸化鉱物、セピオライト、カオリナイト、モンモリロナイト、サポナイト等の粘土鉱物、イオン交換樹脂等の合成吸着樹脂等が挙げられる。これらの中でも特に、細孔径を制御しながら作製することが容易であるため、シリカゲル、酸化チタン、活性アルミナ、およびカーボンからなる群より選択されるいずれかを用いることが好ましい。
また、この多孔質体の比表面積は、500〜1000m/gの範囲にあることが好ましい。
【0022】
また、細孔12の数平均孔径は、50nm以下であることが好ましい。これは、孔径が小さいほど、細孔内における被吸着体の飽和蒸気圧が小さくなり、細孔内に存在する被吸着体分子の脱着が起こりにくくなるからである。この数平均孔径は、10nm以下であることがさらに好ましい。
【0023】
多孔質体11は、支持基材(例えば、ステンレス材など)の表面に担持されてもよい。
【0024】
多孔質体11の表面上に形成された薄膜13は、感温性高分子材料からなる。この感温性高分子材料としては、所定温度で相転移する性質を有し、この相転移によって、被吸着体に対する親和性が変化するものを、特に限定されることなく使用することができる。
また、薄膜13は、被吸着体に対して不溶化することが好ましい。この不溶化は、例えば、薄膜13を構成する感温性高分子材料を、3次元的に架橋することによって行うことができる。
【0025】
例えば、被吸着体が水の場合には、この感温性高分子材料としては、所定温度で相転移を起こして、親水性から疎水性になるものを使用することができる。
【0026】
上記のような高分子材料の中でも、アクリルアミド系の高分子材料が、好ましい。これは、モノマーの重合が容易であり、架橋反応によって高分子鎖の3次元化も容易に行えるからである。具体的には、ポリ(N−エチルアクリルアミド)、ポリ(N−エチルメタクリルアミド)、ポリ(N−n−プロピルアクリルアミド)、ポリ(N−n−プロピルメタクリルアミド)、ポリ(N−iso−プロピルアクリルアミド)、ポリ(N−iso−プロピルメタクリルアミド)、ポリ(N−シクロプロピルアクリルアミド)、ポリ(N−シクロプロピルメタクリルアミド)、ポリ(N−メチル−N−エチルアクリルアミド)、ポリ(N,N−ジエチルアクリルアミド)、ポリ(N−メチル−N−イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(N−メチル−N−n−プロピルアクリルアミド)、ポリ(N−アクリロイルピロリジン)、ポリ(N−アクリロイルピぺリジン)等を単独で、またはこれらを混合して使用することが好ましい。さらに、上記のような感温性高分子材料を構成するモノマーの2種以上を共重合した共重合体を使用してもよい。このため、本発明では、相転移温度が異なる種々の感温性高分子材料を使用することが可能となる。これにより、使用する目的に応じた温度範囲内の相転移温度を有する感温性高分子材料を選択することが可能となり、本発明の吸放出体を種々の温度範囲で使用することが可能となる。
【0027】
これらの中でも、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(N−イソプロピルメタクリルアミド)、ポリ(N−エチルメタクリルアミド)、およびポリ(N−エチルアクリルアミド)からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。これは、このような感温性高分子材料が、100℃以下の低温で再生を行うことができるからである。
【0028】
また、本発明において、薄膜を構成する感温性高分子材料の相転移温度は、30〜80℃の範囲にあることが好ましい。
また、薄膜の厚みは、20nm以下であることが好ましい。
【0029】
上記のように、本発明では、吸放出体10がナノサイズの孔径を有する多数の細孔を備えるので、この吸放出体の比表面積を大きくすることができる。吸放出体の比表面積を増加させることによって、被吸着体を吸着するサイトを増加させることができるので、被吸着体の吸着による発熱量を増加させることができる。
【0030】
さらに、多孔質体11の表面上には、感温性高分子材料からなる薄膜13が形成されている。薄膜13が、相転移温度より低い温度において、被吸着体に対して親和性を有する場合、被吸着体により、吸放出体の表面がぬれると、以下に示されるケルビン式中の接触角θが90度よりも小さくなる。このため、細孔12内部における被吸着体の飽和蒸気圧は、反応容器内部での被吸着体の飽和蒸気圧よりも小さくなる。従って、毛管凝縮効果によって細孔12内部へと押し込まれ凝縮した被吸着体は、細孔12内部における被吸着体の飽和蒸気圧と反応容器内部での被吸着体の飽和蒸気圧との相対的な関係より、低湿度雰囲気下においても、細孔12から再放出されることがない。つまり、吸放出体は、細孔12内部に存在する被吸着体を保持することができる。
【0031】
【数1】
【0032】
ここで、被吸着体としては、上記吸放出体に吸着した場合に熱を発生し、所定の温度でこの薄膜が相転移を起こした場合に、その吸脱着特性が変化するものであればよい。例えば、水、メタノールやエタノールのようなアルコール類ならびにアルコールと水との混合物、アンモニアならびにアンモニアと水との混合物、二酸化炭素およびエチレン等が挙げられる。これらのなかでも、被吸着体としては、水が特に好ましい。
【0033】
吸着による発熱が終了すると、吸放出体10から被吸着体を放出させて、吸放出体を再生する必要がある。この感温性高分子材料からなる薄膜13は、吸放出体からの被吸着体の放出を促進することができる。例えば、吸放出体10を薄膜13の相転移温度よりも高い温度にすることによって、薄膜13が相転移を起こして、瞬時に収縮する。このため、被吸着体が吸放出体から速やかに吐き出される。さらに、物理的な収縮だけではなく、薄膜13の化学的な表面性状が親水性から疎水性へと変化することで、被吸着体に対する親和性がなくなる。従って、被吸着体と細孔内表面との接触角θは90度より大きくなり、上記ケルビン式から理解されるように、細孔内の被吸着体の蒸気圧は、細孔外部の蒸気圧より大きくなる。このため、吸放出体10から被吸着体が速やかに放出されることとなる。また、このような機構によることで、吸放出体を再生する温度を感温性高分子材料の相転移温度にすることができ、吸放出体から被吸着体を脱離させる際に、吸放出体の外部より非常に大きな熱量を加えて吸着エネルギーを与えなくても、低温でも、速やかに、被吸着体が吸放出体から放出される。
【0034】
次に、本発明の吸放出体の製造方法について、説明する。ここでは、多孔質体として、乾燥ゲルからなる多孔質シリカを使用する場合について説明する。
最初に、多孔質シリカの作製方法について、説明する。
【0035】
多孔質シリカの作製方法は、大きく分けて、(イ)湿潤ゲルを得る工程と(ロ)この湿潤ゲルを乾燥する工程からなる。
【0036】
湿潤ゲルを得る方法としては、シリカの原料を溶媒中でのゾル−ゲル反応によって合成して、湿潤ゲルを得る方法が挙げられる。この合成の際には、必要に応じて触媒を用いる。この合成過程において、溶媒中で原料が反応しながらシリカの微粒子を形成し、その微粒子が集まって網目状骨格を形成して、湿潤ゲルが得られる。
【0037】
具体的には、所定の密度の多孔質シリカを得るように固体成分である原料と溶媒との組成比を決定する。所定の組成比に調製した溶液に、必要に応じて触媒や粘度調整剤などを加えて攪拌し、注型または塗布等により、所望の使用形態にする。この状態で一定時間放置してゲル化させることにより、シリカの湿潤ゲルが得られる。製造時の温度条件としては、通常の作業温度である室温近傍でもよいし、必要に応じて溶媒の沸点以下の温度でもよい。
【0038】
上記シリカの原料としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、トリメトキシメチルシラン、およびジメトキシジメチルシラン等のアルコキシシラン化合物またはこれらのオリゴマー化合物、もしくはケイ酸ナトリウム(ケイ酸ソーダ)およびケイ酸カリウム等の水ガラス化合物、あるいはコロイダルシリカなどを単独で用いても良いし、またはこれらを混合して用いてもよい。
【0039】
溶媒としては、シリカの原料が溶解して、シリカ形成を可能にするものであればよく、例えば、水、またはメタノール、エタノール、プロパノール、アセトン、トルエン、もしくはヘキサンなどの一般的な有機溶媒を単独で用いてもよいし、これらを混合して用いてもよい。
【0040】
触媒としては、水、または塩酸、硫酸、および硝酸などの酸、またはアンモニア、ピリジン、水酸化ナトリウム、および水酸化カリウムなどの塩基を用いることができる。
【0041】
粘度調整剤としては、湿潤ゲルを所定の使用形態にできるものであれば、特に限定されることなく使用することができ、例えば、エチレングリコール、グリセリン、ポリビニールアルコール、およびシリコーン油などが挙げられる。
【0042】
次に、湿潤ゲルから乾燥ゲルを得る乾燥方法について説明する。
この乾燥方法として、自然乾燥、加熱乾燥、および減圧乾燥等の通常の乾燥方法、あるいは超臨界乾燥法または凍結乾燥法などを用いることができる。一般に、乾燥ゲルを低密度にするために湿潤ゲル中の固体成分量を少なくすると、ゲル強度が低下する。また、通常、ただ単に乾燥するだけの乾燥法では、溶媒蒸発時のストレスによってゲルが収縮してしまう。一方、超臨界乾燥法や凍結乾燥法では、湿潤ゲルに含まれる溶媒の相状態を液体状態から変化させることによって、気液界面を無くすことができる。このため、溶媒の表面張力によるゲル骨格へのストレスを無くして、乾燥時のゲルの収縮を防ぐことができる。従って、乾燥時の収縮を防ぐことができる超臨界乾燥や凍結乾燥を、低密度の乾燥ゲルからなる多孔質シリカを得るために使用することが好ましい。
【0043】
さらに、乾燥時のゲルの収縮を抑えることができるために、湿潤ゲルにおいて、ゲルの固体成分の表面に、例えば、アルコキシ系シラン処理剤やシリコーン系シラン処理剤あるいはアルコール系処理剤等の表面処理剤による疎水化処理を行うことも好ましい。
【0044】
以下に、例として、超臨界乾燥法について説明する。
上記超臨界乾燥を行う際に用いる溶媒として、湿潤ゲルに含まれる溶媒を用いることができる。また、必要に応じて、湿潤ゲルに含まれる溶媒を、超臨界乾燥において扱いやすい溶媒に置換することもできる。置換する溶媒としては、湿潤ゲルにおいて直接超臨界流体となることができるものであればよく、例えば、メタノール、エタノールやイソプロピルアルコールなどのアルコール類、二酸化炭素、および水が挙げられる。また、これらの超臨界流体を用いて溶出しやすく、取り扱いやすいアセトン、酢酸イソアミル、ヘキサンなどの有機溶媒によって、予め湿潤ゲル中に含まれる溶媒を置換してもよい。
【0045】
上記超臨界乾燥は、オートクレーブなどの圧力容器中で、超臨界乾燥条件として、例えばメタノールでは、圧力をその臨界条件である臨界圧力8.09MPaとし、温度を臨界温度239.4℃以上にし、温度一定の状態で圧力を徐々に減少させながら実施される。また、二酸化炭素の場合には、圧力を臨界圧力7.38MPaとし、温度を臨界温度31.1℃以上にして、同様に温度一定の状態で圧力を徐々に減少させながら乾燥を行う。
【0046】
乾燥に必要な時間は、超臨界流体によって湿潤ゲル中の溶媒が1回以上入れ替わる時間またはそれ以上であればよい。
【0047】
ここでは、多孔質体としての多孔質シリカを、金属アルコキシド化合物からなる原料を、加水分解反応およびそれに続く脱水反応により得るゾル−ゲル法について説明した。しかし、多孔質体としては、多孔質シリカ以外にも、上記のような材料を使用することができる。さらに、多孔質体であるナノサイズの細孔を有する微細粒子を、より大きなサイズの構造体に担持させてもよい。
【0048】
さらに、多孔質体の作製方法についても、上記ゾル−ゲル法以外に、蒸着法、スパッタ法、クラスターイオンビーム法、および分子線エピタキシー法等の気相法、ゾル−ゲル法以外の液相法、メソポーラスシリカの合成法として代表される界面活性剤を鋳型とした水熱合成法などを使用することができる。
【0049】
また、カーボンを主材とした多孔質体の製造方法については、特に限定されないが、未炭化原料を加熱分解した後に、水蒸気、酸素、二酸化炭素またはこれらの混合ガスを用いて1000〜1400Kで賦活する方法、未炭化原料に塩化亜鉛、リン酸またはリン酸塩、水酸化カリウム等を混練して不活性ガス雰囲気中650〜1000Kで焼成する方法、ならびにピッチ、ポリアクリロニトリル、セルロース、またはフェノール樹脂等を繊維状にした後、炭化・賦活処理を行う作製方法が挙げられる。
【0050】
次に、上記のように作製された多孔質体表面に、感温性高分子材料からなる薄膜が形成される。
この薄膜は、
(ハ)溶媒および前記溶媒中に含まれる感温性高分子材料の原料となるモノマーからなる反応溶液を、多孔質体に塗布する工程、および
(ニ)モノマーを重合して、薄膜を形成する工程、
を包含する方法によって、多孔質体の表面上に形成される。
また、上記反応溶液は、重合開始剤および/または架橋剤を含んでもよい。
【0051】
感温性高分子材料の原料となるモノマーは、市販されているモノマーを使用してもよいし、例えば、以下に示されるような反応スキーム(1)に従って合成されたモノマーを使用してもよい。
【0052】
【化1】
【0053】
本発明において使用されるモノマーとしては、N−エチルアクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−n−プロピルアクリルアミド、N−n−プロピルメタクリルアミド、N−iso−プロピルアクリルアミド、N−iso−プロピルメタクリルアミド、N−シクロプロピルアクリルアミド、N−シクロプロピルメタクリルアミド、N−メチル−N−エチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−メチル−N−イソプロピルアクリルアミド、N−メチル−N−n−プロピルアクリルアミド、N−アクリロイルピロリジン、およびN−アクリロイルピぺリジン等が挙げられる。これらのモノマーは、単独で用いてもよいし、2種以上のモノマーを混合して用いてもよい。
【0054】
細孔内に反応溶液を浸透させる方法としては、例えば、連通孔を有する多孔質体に反応溶液を滴下し、その反対側を減圧状態にすることにより、反応溶液からなる被膜を細孔壁面に形成してもよい。また、形成される薄膜の厚さは、反応溶液中のモノマー濃度の調整、および滴下量の調整によって制御することが可能である。さらに、薄膜の形成後に未反応のモノマーを有機溶剤等によって洗浄することも可能である。
【0055】
重合方法としては、有機溶媒中でのラジカル重合、水溶液中でのレドックス重合、イオン重合、および紫外線またはガンマ線等の放射線を使用する放射線重合法などが挙げられる。これらの中でも、有機溶媒中でのラジカル重合および水溶液中でのレドックス重合が好ましい。これは、これらの重合方法は、反応の制御が容易で、かつ副反応が少ないからである。
【0056】
使用される重合開始剤として、特に限定されることなく、当該分野で一般的なものを使用することができる。このとき、重合開始剤は、用いられる重合方法によって、選択される。特に、ラジカル重合の場合には、重合開始剤を使用しなくても加熱のみで重合を行うことができるが、重合開始剤を使用したほうが良好な結果が得られる。このラジカル重合のための重合開始剤としては、ラジカル重合を開始する能力を有するものであればよく、例えば、無機過酸化物、有機過酸化物、それらの過酸化物と還元剤との組み合わせ及びアゾ化合物等が挙げられる。具体的には、過酸化物としては、過酸化水素、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシド、過安息香酸ブチル、およびジラウロイルパーオキシド等、還元剤としては、亜硫酸塩、鉄、銅、コバルト等の塩、アスコルビン酸等の有機酸、およびアニリン等の有機アミン類、アゾ化合物としては、α,α’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、1,1’−アゾビスシクロヘキサン−1−カルボニトリル等が挙げられる。
【0057】
薄膜は、被吸着体に対して不溶化される。この不溶化は、例えば、感温性高分子材料を3次元的に架橋することによって、行われる。この3次元的な架橋は、モノマーの重合時に行ってもよいし、モノマーを重合してポリマーとした後、このポリマーを架橋することによって行ってもよい。重合時に架橋する方法としては、特に限定されないが、分子中に少なくとも2個の二重結合を有する架橋剤とモノマーとを共重合する方法、および単量体濃度を大きくして急激な重合反応を起こさせる方法が挙げられる。また、重合後に架橋する方法としては、特に限定されないが、光や放射線を照射する方法、水酸基あるいはアミノ基を導入したポリマーとエピクロルヒドリンまたはグルタールアルデヒド等の多官能性化合物とを反応させる方法、ならびにイオン性の官能基を導入したポリマーに多価金属イオンを添加してイオン結合性複合体にする方法が挙げられる。
【0058】
上記架橋剤としては、特に限定されないが、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N,N’−ジアリルアクリルアミド、N,N’−ジアクリロイルイミド、N,N’−ジメタクリロイルイミド、トリアリルホルマール、ジアリルナフタレート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、グリセロールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、およびジビニルベンゼン等のジビニル誘導体等の架橋性単量体を用いることができる。特に、アクリロイル基、メタクリロイル基、および/またはアリル基を合計で2箇所以上有する化合物が好ましい。
【0059】
反応溶液に用いられる溶媒としては、特に限定されることなく、反応に関与しないものを使用することができる。例えば、水、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、イソブタノール、およびヘキサノール等のアルコール類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセト二トリル、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等が挙げられる。
【0060】
次に、本発明の吸放出体を使用する冷温熱システムの1つの実施形態を、図2を参照しながら説明する。
図2は、本発明の冷温熱システムの一実施形態を示す概略図である。
【0061】
本発明の冷温熱システムは、被吸着体20を含む被吸着体貯蔵部21、被吸着体貯蔵部21内の被吸着体20を加熱または冷却するための第1熱交換器22、被吸着体20の吸着および脱着により熱を放出または吸収する吸放出体10、吸放出体10を加熱または冷却するための第2熱交換器23、吸放出体10を収容するための反応容器24、ならびに被吸着体貯蔵部21と反応容器24とを接続するためのバルブ26を備えた配管25を備える。
【0062】
本発明のシステムにおいて使用される被吸着体貯蔵部21としては、特に限定されることなく、被吸着体を貯蔵することができるものを使用することができる。
【0063】
第1熱交換器22としては、特に制限されることなく、被吸着体20の温度を制御できるものを使用することができる。ここで、第1熱交換器22において使用される熱媒体は、液体でもよいし、気体でもよい。
【0064】
反応容器24としては、特に限定されることなく、吸放出体10および第2熱交換器23を収納できるものを使用することができる。
配管25としては、特に限定されることなく、当該分野で公知のものを使用することができる。
バルブ26としては、特に限定されることなく、反応容器24と被吸着体貯蔵部21との間の被吸着体20の移動を遮断することができるものを、使用することができる。
【0065】
第2熱交換器23としては、特に限定されることなく、第2熱交換器23内を流れる熱媒体と吸放出体10との間で熱を交換できるものを使用することができる。さらに、第2熱交換器23は、冷却または加熱の両方ができるように、2重管構造を有することが好ましい。
さらに、第2熱交換器23は、伝熱効率を高めるために、吸放出体10と第2熱交換器23との接触面積(すなわち伝熱面積)が大きくなるような構造を有することが好ましい。例えば、スパイラル構造、第2熱交換器23上に直接吸放出体10が形成された構造、あるいは第2熱交換器23にフィンが形成され、このフィンおよび第2熱交換器23の両方に吸放出体10が接している構造等が挙げられる。
【0066】
被吸着体20としては、水、メタノールやエタノールのようなアルコール類ならびにアルコールと水との混合物、アンモニアならびにアンモニアと水との混合物、二酸化炭素およびエチレン等が挙げられる。
【0067】
次に、本実施形態の冷温熱システムの作動について、説明する。
最初に、上記のような構成の冷温熱システムを、バルブ26を開いた状態で、真空ポンプを用いて減圧状態にする。次に、バルブ26を閉じ、被吸着体貯蔵部21に貯められた被吸着体20を、第1熱交換器22によって加熱する。このとき、被吸着体貯蔵部21中では、被吸着体20が、加熱温度における飽和蒸気圧に達するまで気化する。反応容器24の内部は被吸着体貯蔵部21と比較して減圧状態にあるで、気化した被吸着体20が、バルブ26を開くことにより、被吸着体貯蔵部21から反応容器24内に入る。
【0068】
次に、この気化した被吸着体20が吸放出体10に吸着する。この吸着により、吸着熱に見合った熱量が、吸放出体10に移動する。このとき、吸放出体10は、上記のように、被吸着体の吸着量を大きくすることができるので、この発熱量は大きくなる。
【0069】
この発生した熱は、吸放出体10の温度を上昇させると共に、吸放出体10に密着して配置される第2熱交換器23へと熱が伝わる。第2熱交換器23内部を流れる熱媒体に、この熱が伝えられるので、熱媒体の温度を高めることができる。ここで、熱媒体としては、空気のような気体、または水等の液体を使用することができる。
【0070】
吸放出体10への被吸着体20の吸着が終了して、熱が取り出せなくなった後、この吸放出体10が、再生される。
【0071】
まず、バルブ26を開いた状態で、吸放出体10の薄膜13の相転移温度以上の温度を有する熱媒体を第2熱交換器23に流す。これにより、薄膜13が収縮し、吸着した被吸着体20が、吸放出体10から速やかに放出され、気化する。さらに、第1熱交換器22を使用して、被吸着体貯蔵部21内の被吸着体20を冷却することで、気化した被吸着体20の凝縮を促進することができる。このように、本発明の冷温熱システムでは、吸放出体10の再生と同時に被吸着体20の回収を速やかに行うことができる。
【0072】
さらに、吸放出体10の再生のとき、第2熱交換器23内を移動する熱媒体の温度は、吸着された被吸着体20の気化によって熱を奪われるので、下がる。このため、本発明の冷温熱システムは、冷却のためにも使用することができる。
【0073】
また、上記冷温熱システムの作動時には、バルブ26より被吸着体貯蔵部21の空間を含めた空間部またはバルブ26より反応容器24の空間を含めた空間部に被吸着体20の蒸気が充満していることが好ましい。これは、バルブの開閉と同時に、吸放出体に吸着する被吸着体20の移動が、被吸着体貯蔵部21から反応容器24へ、または反応容器24から被吸着体貯蔵部21へと速やかに行われるからである。これにより、反応容器24内部における被吸着体20の吸放出体10への吸脱着も速やかに行われる。
【0074】
本実施の形態では、被吸着体貯蔵部21と反応容器24とが配管25を介して上下に配置されているが、被吸着体貯蔵部21と反応容器24とは、配管25を介して横に配置されてもよい。
【0075】
次に、本発明の冷温熱システムの別の実施形態を、図3を参照しながら説明する。
図3は、本発明の冷温熱システムの別の実施形態を示す概略図である。
【0076】
この実施形態において、本発明の冷温熱システムは、吸放出体10および10’、被吸着体30、2つの被吸着体貯蔵部31および32、2つの第1熱交換器33および34、2つの第2熱交換器35および36、2つの反応容器37および38、ならびにバルブ39、40、41または42を、それぞれ備えた配管43からなる。
【0077】
本実施形態において、第1熱交換器33は、被吸着体30を加熱するためだけに使用される。また、第1熱交換器34は、被吸着体30を冷却するためだけに使用される。また、被吸着体貯蔵部31と32とは、逆止弁44を備える配管45によって、接続されている。これにより、被吸着体30は、被吸着体貯蔵部32から31への一方向にしか、移動することができない。
【0078】
次に、本実施の形態における、冷温熱システムの作動について説明する。
最初に、図3に示されるような構成の冷温熱システムを、すべてのバルブを開いた状態で、真空ポンプを用いて減圧状態にする。次に、すべてのバルブを閉じ、被吸着体貯蔵部31に貯められた被吸着体30を、第1熱交換器33を用いて加熱する。このとき、被吸着体貯蔵部31中では、被吸着体30が、加熱温度における蒸気圧に達するまで気化する。次に、バルブ39を開くことにより、被吸着体貯蔵部31から反応容器38内に、気化した被吸着体30が入り、吸放出体10に吸着する。
【0079】
吸放出体10への被吸着体30の吸着が終了した後は、バルブ39を閉じる。次いで、被吸着体貯蔵部31と反応容器37とを繋ぐバルブ40を開いて、反応容器37内の吸放出体10’に被吸着体30を吸着させる。このとき、反応容器38と被吸着体貯蔵部32とを繋ぐバルブ41を開いて、反応容器38内の吸放出体10の再生を上記のように行う。
【0080】
本実施形態のように、一方の吸放出体に被吸着体が吸着する間に、他方の吸放出体を再生するという操作を繰り返すことによって、本発明の冷温熱システムは、加熱または冷却を連続して行うことができる。
【0081】
また、本発明のシステムでは、上記以外に、2つ以上の吸着される吸放出体と2つ以上の再生される吸放出体を組み合わせて、連続的な加熱または冷却を行うこともできる。
【0082】
【実施例】
《実施例1》
吸放出体Aの作製
(イ)多孔質体の形成
多孔質体原料のテトラメトキシシランとエタノールとアンモニア水溶液(0.1規定)を、テトラメトキシシランとエタノールとアンモニアとのモル比が1対3対4となるように混合し、ゲル化させて、シリカ湿潤ゲルを得た。このシリカ湿潤ゲルを、圧力0.05MPa、温度50℃で3時間維持し、その後、圧力を大気圧にすることによって減圧乾燥して、乾燥ゲルである多孔質シリカからなる多孔質体を得た。この多孔質体は、別途測定したところ、約200kg/m3の密度を有し、約92%の空孔率を有した。ここで、空孔率とは、多孔質体表面の単位見かけ面積あたりに孔が占めている面積の割合をいう。なお、密度は、比重の測定や一定体積の多孔質体の重量を測定すること等によって、求めることができる。
【0083】
また、窒素吸着法であるブルナウアー・エメット・テラー(BET)法で測定した比表面積の値は、約600m2/gであり、数平均孔径は約10nmであった。
【0084】
(ロ)薄膜の形成
感温性高分子材料の原料となるN−エチルアクリルアミドを、アクリル酸クロリド(Aldrich Chemical Company Inc.製)及びエチルアミン(東京化成工業(株)製)を用い、上記反応スキーム(1)に従って合成した。このとき、合成を行う温度を、10℃とした。次に、溶媒であるベンゼンに、合成したN−エチルアクリルアミドを、1.0mol/lとなるように溶解し、重合開始剤であるα,α’−アゾビスイソブチロニトリルを、0.05mol/lとなるように添加して、反応溶液を作製した。この反応溶液を、上記多孔質シリカ膜に含浸させた後、室温で、24時間放置して、多孔質体の表面上に感温性高分子の薄膜を形成させて、吸放出体Aを得た。ここで、このポリ(N−エチルアクリルアミド)からなる薄膜の相転移温度は、72℃であった。
【0085】
《実施例2》
吸放出体Bの作製
(イ)多孔質体の作製
多孔質体原料として、ケイ酸ソーダを用いた。まず、水溶液中のシリカ成分濃度が14重量%であるケイ酸ソーダ水溶液を陽イオン交換樹脂(スチレン/ジビニルベンゼンコポリマー)を含むジャケット付きカラムを使用して、ナトリウムイオンを水素イオンに変換して、pH2程度のケイ酸水溶液を得た。その後、このケイ酸水溶液に、pH7前後になるように、規定度1.0のアンモニア水溶液を添加して、ゲル化を行った。次いで、50℃で24時間エージングを行い、シリカ湿潤ゲルを得た。このシリカ湿潤ゲルを、圧力0.05MPa、温度40℃で5時間維持し、その後、圧力を大気圧にし、室温付近まで降温することによって減圧乾燥し、乾燥ゲルからなる多孔質シリカからなる多孔質体を得た。この多孔質体は、別途測定したところ、約240kg/m3の密度を有し、約92%の空孔率を有した。
【0086】
また、窒素吸着法であるBET法で測定した比表面積の値は約670m2/gであり、数平均孔径は約5nmであった。
【0087】
(ロ)薄膜の形成
感温性高分子の原料として、市販のN−イソプロピルアクリルアミド(イーストマンコダック社製)を用いた。溶媒であるテトラヒドロフランに、上記N−イソプロピルアクリルアミドを、1.0mol/lの濃度になるように溶解して、反応溶液を作製した。この反応溶液を、上記多孔質体上にマイクロピペットにて滴下しながら含浸させた。次いで、ガンマ線の照射によりN−イソプロピルアクリルアミドを重合し、薄膜を形成させて、吸放出体Bを得た。ここで、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)からなる薄膜の相転移温度は、30.9℃であった。
【0088】
《実施例3》
吸放出体Cの作製
(イ)多孔質体の作製
多孔質体原料として、テトライソプロポキシチタンを用いた。テトライソプロポキシチタン72gをエタノール500ml中に溶解した。ジエタノールアミン26g及び純水10mlを添加しながら、この溶液を攪拌して、チタニア湿潤ゲルを得た。このチタニア湿潤ゲルを、圧力0.05MPa、温度50℃で3時間維持し、その後、圧力を大気圧にして、室温まで降温することにより減圧乾燥して、乾燥ゲルである多孔質チタニアからなる多孔質体を得た。この多孔質体は、別途測定したところ、約230kg/m3の密度を有し、約90%の空孔率を有した。
【0089】
窒素吸着法であるBET法で測定した比表面積の値は約600m2/gであり、平均細孔直径は約8nmであった。
【0090】
(ロ)薄膜の形成
感温性高分子の原料である、N−エチルメタクリルアミドを、メタクリル酸クロリド(Aldrich Chemical Company Inc.製)及びエチルアミン(東京化成工業(株)製)を用いて、上記反応スキーム(1)に従って合成した。このときの反応温度を、10℃とした。次に、溶媒であるテトラヒドロフランに、上記N−エチルメタクリルアミドを1.0mol/lとなるように溶解して、反応溶液を得た。この反応溶液を、上記多孔質体上にマイクロピペットにて滴下しながら含浸させた。次いで、ガンマ線の照射により、N−エチルメタクリルアミドを重合し、薄膜を形成させて、吸放出体を得た。ここで、ポリ(N−エチルメタクリルアミド)からなる薄膜の相転移温度は、50.0℃であった。
【0091】
《実施例4》
実施例1にて作製した吸放出体Aを用いて、図2に示されるような冷温熱システムを構築した。この実施例では、被吸着体として水を用いた。
実験を始める前に、バルブ26を開いた状態で、冷温熱システム内を真空ポンプを用いて減圧状態とした。
【0092】
冷温熱システムを減圧した後、バルブ26を閉じた。次いで、被吸着体貯蔵部21内の温度を15℃の水を用いて一定にしたのち、バルブ26を開き、吸放出体へ水蒸気を吸着させた。このとき、第2熱交換器23に50℃の温水を流すと、反応容器24から出る際に、その温度は70℃となっていた。吸放出体10への水蒸気の吸着が終わった後、被吸着体貯蔵部21内の水を10℃に冷却しながら、第2熱交換器23に75℃の温水を流した。このとき、吸放出体において吸着水分子の急激な脱離反応が起き、第2熱交換器23を流れる水の温度が、反応容器24を出る際に、56℃まで低下した。
【0093】
《実施例5》
実施例2にて作製した吸放出体Bを用いて、図3に示されるような冷温熱システムを構築した。本実施例においても、被吸着体として水を用いた。
実施例4の場合と同様に、実験を始める前に、すべてのバルブを開いた状態で、冷温熱システム内を真空ポンプを用いて減圧状態とした。
【0094】
この冷温熱システムを減圧した後、すべてのバルブを閉じた。次いで、被吸着体貯蔵部31内の水の温度を、30℃の温水を第1熱交換器33に流すことによって、一定にした。次いで、バルブ39を開いて、反応容器38内の吸放出体10に水蒸気を吸着させた。このとき、第2熱交換器35に5℃の冷水を流すと、反応容器38から出る際、その温度は、25℃となっていた。
【0095】
水の吸着が終了した後、バルブ39を閉じる。次いで、被吸着体貯蔵部31と反応容器37とを繋ぐバルブ40を開いて、反応容器37内の吸放出体10’に水蒸気を吸着させた。同時に、反応容器38と被吸着体貯蔵部32とを繋ぐバルブ41を開いた。このとき、被吸着体貯蔵部32内の水を5℃に冷却しながら、第2熱交換器35内に35℃の水を流した。このとき、吸放出体10において吸着水分子の急激な脱離反応が起き、第2熱交換器35を流れる水の温度が、反応容器38を出る際に、10℃まで低下した。さらに、この反応容器38内の吸放出体10は、反応容器37内の吸放出体10’への水蒸気の吸着が終了するまでに、再生された。
【0096】
上記実施例5から、感温性高分子材料を適切に選択することによって、本発明の吸放出体を、35℃以下の低温で再生することが可能であり、かつその再生が速やかに行われることが理解される。
さらに、上記実施例4および5から、理解されるように、感温性高分子材料を適切に選択することによって、特定の目的において必要とされる温度感温性を有する、高感度の冷温熱システムが提供することが可能である。
【0097】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、被吸着体量が少ない条件下であっても充分に吸放出体がおかれている雰囲気より被吸着体を取り込むことができ、吸着した被吸着体を速やかに脱離させることができる吸放出体を提供することが可能となる。また、この吸放出体を用いて冷温熱システムを提供することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の吸放出体の一実施形態を示す断面概念図である。
【図2】本発明の冷温熱システムの一実施形態を示す概略図である。
【図3】本発明の冷温熱システムの別の実施形態を示す概略図である。
【符号の説明】
10、10’吸放出体
11 多孔質体
12 細孔
13 感温性高分子材料からなる薄膜
20、30 被吸着体
21、31、32 被吸着体貯蔵部
22、33、34 第1熱交換器
23、35、36 第2熱交換器
24、37、38 反応容器
25、43、45 配管
26、39、40、41、42 バルブ
44 逆止弁
Claims (8)
- 被吸着体の吸着および脱着により熱を吸収または放出する吸放出体であって、前記吸放出体は、
(a)ナノサイズの孔径を有する細孔を備える多孔質体、および
(b)前記多孔質体の表面上に形成された感温性高分子材料からなる薄膜、
を具備し、
前記感温性高分子材料は、所定温度で相転移する性質を有し、前記相転移により、被吸着体に対する親和性が変化する、吸放出体。 - 前記多孔質体が、シリカゲル、酸化チタン、活性アルミナ、およびカーボンからなる群より選択される、請求項1に記載の吸放出体。
- 前記細孔の数平均孔径が、50nm以下である、請求項1に記載の吸放出体。
- 前記感温性高分子材料が、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(N−イソプロピルメタクリルアミド)、ポリ(N−エチルメタクリルアミド)、およびポリ(N−エチルアクリルアミド)からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の吸放出体。
- 前記被吸着体が水であり、前記感温性高分子材料は、前記相転移により、親水性から疎水性または疎水性から親水性に変化する、請求項1に記載の吸放出体。
- 冷温熱システムであって、前記システムは、
(1)被吸着体を含む1つ以上の被吸着体貯蔵部、
(2)前記被吸着体貯蔵部内の被吸着体を加熱または冷却するための1つ以上の第1熱交換器、
(3)前記被吸着体の吸着および脱着により熱を吸収または放出する吸放出体、
(4)前記吸放出体を加熱または冷却するための1つ以上の第2熱交換器、
(5)前記吸放出体を収容するための1つ以上の反応容器、ならびに
(6)前記被吸着体貯蔵部と前記反応容器とを接続するためのバルブを備えた配管、を備え、
前記吸放出体は、
(a)ナノサイズの孔径を有する細孔を備える多孔質体、および
(b)前記多孔質体の表面上に形成された感温性高分子材料からなる薄膜からなり、前記感温性高分子材料は、所定温度で相転移する性質を有し、前記相転移により、被吸着体に対する親和性が変化する、冷温熱システム。 - 前記配管の内部が、前記被吸着体の蒸気で充満している、請求項6に記載の冷温熱システム。
- 前記被吸着体が、水である、請求項6または7に記載の冷温熱システム。
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