JP2005009164A - 汚染土壌の浄化可能なアスファルトプラント - Google Patents

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Abstract

【課題】既設のアスファルトプラントに対して低コストにて汚染土壌の浄化も可能とする。
【解決手段】ドライヤ1は正回転・逆回転の切り換え自在として骨材と汚染土壌の兼用の加熱手段とし、ドライヤ1の骨材排出シュート19と反対に位置する排出側下側部に土壌排出シュート20を配設する。そして、汚染土壌の浄化処理時にはドライヤ1を逆回転させながら汚染土壌を投入し、ドラム10内で浄化処理して土壌排出シュート20から排出し、次工程の土壌冷却装置6へと供給する。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、道路舗装材であるアスファルト混合物を製造するアスファルトプラントに関し、特に、軽油、重油などの油分を含んだ汚染土壌も浄化処理可能としたアスファルトプラントに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、産業活動に伴って各事業所の敷地内やその周辺地域の土壌が油などの揮発性汚染物質の廃液によって汚染され、その土壌の地下を流れる地下水にまで汚染が及んでいるといったことが取り沙汰されて問題となっている。このように油を含有する土壌を処理するために、一つの方法として、その土壌を掘削して汚染土壌の浄化処理プラントにて加熱処理し、土壌にしみ込んでいる揮発性汚染物質を燃焼分解させることによって土壌の浄化処理を行うようにしたものがある。
【0003】
ところが、汚染土壌の浄化処理専用のプラントを新たに設置するとなると、環境面に配慮してそれなりの面積の敷地も確保しなければならないし、また装置コストも高額となり、経済的負担も大きい。そこで、本出願人は、汚染土壌を加熱浄化処理する装置としてアスファルト混合物製造用のアスファルトプラントの利用に着目した。アスファルトプラントの設置工場は環境に配慮したそれなりの敷地面積を有し、また土壌汚染を加熱浄化できそうな加熱装置等も設備されており、これらの設備を利用して汚染土壌の浄化可能なアスファルトプラントを構築すれば、少ない設備投資で汚染土壌の浄化処理が実現できると考え、これに関して本出願人は既に特許出願している(特開2003−80226号公報)。
【0004】
特開2003−80226号公報には、アスファルトプラントの骨材加熱用ドライヤに汚染土壌を供給して加熱浄化処理し、加熱浄化処理を終えた土壌をドライヤの排出シュートを介してプラントのバケットエレベータに投入し、バケットエレベータによってプラント上部まで一旦持ち上げた後、バケットエレベータ上部の排出シュート途中に備えた分岐シュートから排出させて加熱浄化処理した土壌を取り出すようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のようにバケットエレベータ上部の排出シュート途中に分岐シュートを備えようとすれば、非常に長いシュートを要するため装置構成が大がかりとなり、コストを抑えることが難しいという問題がある。また、ドライヤの排出シュートに振り分け手段を配設するという方法が考えられるが、装置コストは比較的に安価で済むものの、実際のプラントではドライヤとバケットエレベータ間は非常に近接していて構造的に難しい。
【0006】
本発明は上記の点に鑑み、既設のアスファルトプラントに対して簡単な改造で、低コストにて汚染土壌の浄化も可能とするアスファルトプラントを提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明の汚染土壌の浄化可能なアスファルトプラントにあっては、骨材を加熱乾燥する回転式のドライヤを備え、該ドライヤの排出側下側部に配設した骨材排出シュートから排出する加熱骨材を搬送装置によってプラント本体へと供給するアスファルトプラントにおいて、前記ドライヤは正回転・逆回転の切り換え自在として骨材と汚染土壌の兼用の加熱手段とし、前記骨材排出シュートと反対に位置するドライヤの排出側下側部に土壌排出シュートを配設し、ドライヤの逆回転時に投入した土壌が土壌排出シュートから排出されるようにしたことを特徴としている。
【0008】
また、前記ドライヤの土壌排出シュートから排出される土壌を土壌冷却装置に供給するようにしたことを特徴としている。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明に係る汚染土壌の浄化可能なアスファルトプラントによれば、ドライヤを正回転・逆回転の切り換え自在としており、骨材を加熱する通常運転時にはドライヤを正回転し、加熱した骨材を骨材排出シュートから排出し、搬送装置によってプラント本体へと供給する。一方、汚染土壌のを浄化処理時には、先ず、ドライヤを骨材加熱時とは逆の回転に切り換えた後、このドラム内に汚染土壌を供給していく。ドラム内に供給した汚染土壌は、ドラム内を転動流下する間にバーナからの熱風に晒され、土壌中の油などの揮発性汚染物質は揮発分離、または燃焼分解され、更には土壌微粒分に付着したまま排ガスと同伴して下流へと導出されるなどして浄化されていく。そして、浄化処理された土壌は土壌排出シュートから排出されていき、次工程へと送られて処理される。
【0010】
このように、ドライヤを正回転・逆回転の切り換え自在とし、骨材排出シュートと反対位置に土壌排出シュートを設置するだけで、骨材と汚染土壌の両方を加熱処理することができ、装置構成がシンプルで低コストにて汚染土壌の浄化可能なアスファルトプラントを実現できる。
【0011】
また、前記ドライヤの土壌排出シュートから排出される土壌を土壌冷却装置に供給するようにすれば、加熱浄化処理した高温の土壌を所定温度まで冷却処理し、取り扱い易い状態に調整できる。
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0012】
図1はアスファルトプラントに汚染土壌浄化処理設備を追加して汚染土壌の浄化も可能にしたアスファルトプラントの概要図である。図1において、公知のアスファルトプラントとして本来備えている主な装置は、骨材を加熱するドライヤ1、加熱した骨材をプラント本体上部まで持ち上げる搬送装置2、篩い分け・貯蔵・計量・混合機能を備えたプラント本体3、前記ドライヤ1に供給する骨材を貯蔵する骨材貯蔵ホッパ4、ドライヤ1から導出される微粒分を捕捉する集塵機5等である。
【0013】
一方、汚染土壌を浄化処理するのにアスファルトプラントに追加した主な設備は、ドライヤ1にて加熱した高温の土壌を取り扱い易い温度まで低下させる土壌冷却装置6、汚染土壌加熱浄化時にドライヤ1から飛散した揮発性油分を燃焼除去する脱臭炉7、ドライヤ1に供給する汚染土壌を貯蔵する汚染土壌貯蔵ホッパ8等である。
【0014】
また、ドライヤ1はアスファルト混合物の素材である骨材、或いは汚染土壌を加熱する兼用の加熱装置として使用される。このドライヤ1は、内周部に多数の掻き上げ羽根9を周設した円筒状のドラム10を機台11上に回転自在に傾斜支持し、正回転・逆回転の切り換え自在とした駆動装置12にて所定の速度で正回転・逆回転させるようにしており、ドラム10の一端部の排出ホッパ13に配設したバーナ14よりドラム10内に熱風を送り込む一方、他端部の投入ホッパ15には排気煙道16を連結し、該排気煙道16下流に介在させた排風機17にて排ガスを吸引してドラム10内を通過する高温ガス流を維持すると共に、バグフィルタなどの集塵機5を経由させて排ガス中の微粒分を捕捉して煙突18より放出している。
【0015】
また、前記排出ホッパ13の両側面部の所定高さ位置には、図2及び図3のように、骨材排出シュート19と土壌排出シュート20をそれぞれ備えており、骨材排出シュート19を搬送装置2の投入口へ連結し、他方の土壌排出シュート20をスクリューコンベヤ21の投入口に連結している。なお、図1では土壌排出シュート20を土壌冷却装置6に直接連結した例を示している。
【0016】
そして、図3に示すように、骨材加熱時にはドラム10をA方向に回転(正回転)させ、排出ホッパ13内に位置する図示しない排出羽根によって図中の右上がりに傾斜した点線で示すように骨材Cを掻き上げて骨材排出シュート19から排出させる。また、汚染土壌加熱浄化時にはドラム10をB方向に回転(逆回転)させ、図示しない排出羽根によって図中の左上がりに傾斜した点線で示すように土壌Bを掻き上げて土壌排出シュート20から排出させる。
【0017】
なお、ドライヤ1と搬送装置2とは通常、図2及び図3に示すように、近接して設置されている場合が多く、新たに振り分け装置などを設置させようとしても困難であるが、土壌排出シュート20を取り付ける側はスペース的に余裕があって改造はしやすい。また、ドラム10内の掻き上げ羽根9はドラム逆回転時にも所望量の材料を掻き上げられるように配慮する。
【0018】
土壌冷却装置6は、ケーシング22内に撹拌羽根23を適宜間隔で取り付けた軸体24を貫通させて両端部を回転自在に軸支し、駆動装置(図示せず)にて所定速度で回転させるようにすると共に、ケーシング22の一端に土壌の投入口25を、他端に排出口26を備えている。
【0019】
また、前記ケーシング22には水噴霧ノズル27を備えており、ケーシング22内に投入した高温の土壌を撹拌羽根23にて撹拌しながら図示しない水供給源より供給する水を水噴霧ノズル27から噴霧し、適当に湿潤、冷却して取り扱いに適した状態として排出口26から順次排出する。また、ケーシング22にて発生する水蒸気は排気ダクト28を介して排気煙道16へと導出している。
【0020】
脱臭炉7は、バーナ29によって排ガス中に含まれる油などの揮発性汚染物質を燃焼分解してから煙突18より排気するもので、排ガス熱を有効利用するために熱交換器30、31を配設している。熱交換器30はドライヤ1から脱臭炉7へ導入する排ガスの予熱を、また熱交換器31は燃焼用空気供給ファン32から脱臭炉7のバーナ29へ供給する燃焼用空気の予熱を図っている。なお、脱臭炉7は汚染土壌加熱時には必要だが、骨材加熱時には不要であるので、このときには排ガスをバイパス回路33によって脱臭炉7を経由しないで煙突18へ直接流すようにすると好ましい。
【0021】
しかして、上記構成としたアスファルトプラントにおいては、アスファルト混合物を製造していないときに汚染土壌を浄化処理する。汚染土壌を浄化処理するときには、先ず、ドライヤ1のドラム10の回転方向を骨材加熱時とは反対方向へ切り換えた後、汚染土壌貯蔵ホッパ8から汚染土壌をベルトコンベヤを介してドライヤ1のドラム内10に投入し、バーナ14からの熱風に晒して汚染土壌を所定温度まで加熱する。この加熱によって汚染土壌中の揮発性汚染物質は、揮発分離または燃焼分解される一方、ドライヤ1内を通過するガス流に乗って土壌中の揮発性汚染物質を多く含む微粒分がドライヤ1下流へと飛散し、汚染土壌中の汚染物質が減少して浄化される。
【0022】
そして、ドライヤ1から導出される排ガスは集塵機5へと導かれ、汚染物質を多く含む微粒分が捕捉される。そして集塵機5を通過した排ガスは、脱臭炉7へと導かれて炉内の高温雰囲気に晒され、排ガス中に残る揮発性汚染物質が完全に燃焼分解される。
【0023】
一方、ドラム10内の土壌は、排出ホッパ13の側面部に備えた土壌排出シュート20から排出され、スクリューコンベヤ21を経由するなどして土壌冷却装置6に投入されていく。そして、土壌冷却装置6に投入された土壌は、撹拌羽根23によって撹拌されながら水噴霧ノズル27より水を噴霧され、適当に湿潤・冷却されて取り扱いに適した状態となって順次排出される。
【0024】
このように、既設のアスファルトプラントのドライヤ1に対して正回転・逆回転の切り換え自在とすると共に、土壌排出シュート20を取り付けるごく小規模の改造を行うだけなので、比較的簡単に行え、かつ低コストにて汚染土壌の浄化処理が可能なアスファルトプラントを実現させることができる。
【0025】
なお、上記実施例では、土壌冷却装置6として連続式ミキサのような混合機を採用したが、何らこれに限定するものではなく、例えば、ロータリーキリン方式のものを採用することもできる。また、土壌を加熱浄化する加熱装置として骨材加熱用のドライヤを使用したが、アスファルト舗装廃材加熱用のドライヤを使用しても良いことは勿論である。
【0026】
【発明の効果】
以上のように本発明の汚染土壌の浄化可能なアスファルトプラントによれば、骨材を加熱乾燥する回転式のドライヤを備え、該ドライヤの排出側下側部に配設した骨材排出シュートから排出する加熱骨材を搬送装置によってプラント本体へと供給するアスファルトプラントにおいて、前記ドライヤは正回転・逆回転の切り換え自在として骨材と汚染土壌の兼用の加熱手段とし、前記骨材排出シュートと反対に位置するドライヤの排出側下側部に土壌排出シュートを配設し、ドライヤの逆回転時に投入した土壌が土壌排出シュートから排出されるようにしたので、骨材と汚染土壌の両方を加熱処理することができ、装置構成がシンプルで低コストにて汚染土壌の浄化可能なアスファルトプラントを実現できる。
【0027】
また、ドライヤの土壌排出シュートから排出される土壌を土壌冷却装置に供給するようにしたので、加熱浄化処理した高温の土壌を所定温度まで冷却処理し、取り扱い易い状態に調整できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る汚染土壌の浄化可能なアスファルトプラントの概容を説明する図である。
【図2】本発明に係る汚染土壌の浄化可能なアスファルトプラントの一実施例を示す図である。
【図3】図2の要部拡大図である。
【符号の説明】
1…ドライヤ 2…搬送装置
3…プラント本体 4…骨材貯蔵ホッパ
5…集塵機 6…土壌冷却装置
7…脱臭炉 8…汚染土壌貯蔵ホッパ
10…ドラム 12…駆動装置
13…排出ホッパ 15…投入ホッパ
19…骨材排出シュート 20…土壌排出シュート

Claims (2)

  1. 骨材を加熱乾燥する回転式のドライヤを備え、該ドライヤの排出側下側部に配設した骨材排出シュートから排出する加熱骨材を搬送装置によってプラント本体へと供給するアスファルトプラントにおいて、前記ドライヤは正回転・逆回転の切り換え自在として骨材と汚染土壌の兼用の加熱手段とし、前記骨材排出シュートと反対に位置するドライヤの排出側下側部に土壌排出シュートを配設し、ドライヤの逆回転時に投入した土壌が土壌排出シュートから排出されるようにしたことを特徴とする汚染土壌の浄化可能なアスファルトプラント。
  2. ドライヤの土壌排出シュートから排出される土壌を土壌冷却装置に供給するようにしたことを特徴とする請求項1記載の汚染土壌の浄化可能なアスファルトプラント。
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