JP2005008818A - 硬質ポリウレタンフォーム用ポリオール組成物及び硬質ポリウレタンフォームの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくともポリオール化合物、発泡剤、整泡剤、触媒とを含有し、ポリイソシアネート化合物を含むイソシアネート成分と混合して発泡硬化させて硬質ポリウレタンフォームを形成する硬質ポリウレタンフォーム用ポリオール組成物であって、発泡剤成分は1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)であり、DMA、NMP、GBL、MPAからなる群から選択される少なくとも1種の相溶化剤、及び1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(HFC−365mfc)を所定範囲の比率で含有するポリオール組成物とする。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、発泡剤成分として、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)を必須成分として含有する硬質ポリウレタンフォームポリオール組成物及び硬質ポリウレタンフォームの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
優れた断熱材である硬質ポリウレタンフォームの発泡剤としては、現在、オゾン層破壊係数の小さな1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン(HCFC−141b)が使用されている。HCFC−141bは、オゾン層破壊係数は小さい発泡剤であるがゼロではなく、地球環境保護の観点から2003年末には全廃されることが決定している。
【0003】
HCFC−141bに替わる発泡剤を使用した硬質ポリウレタンフォームの製造方法としては、n−ペンタンもしくはシクロペンタン等の低沸点炭化水素を使用した技術(特許文献1等)、塩素を含まない低沸点ハロゲン化炭化水素化合物であるHFC−245faないしHFC−365mfcを使用した技術(特許文献2)が公知である。
【0004】
【特許文献1】
特許第3181700号公報
【特許文献2】
特開2002−201251号公報
【発明が解決しようとする課題】
しかし、n−ペンタンもしくはシクロペンタン等の低沸点炭化水素は、可燃性の高い化合物であり、これらの化合物を発泡剤として含有するポリオール組成物の製造工程、該ポリオール組成物を使用する硬質ポリウレタンフォームの製造工程並びに該硬質ポリウレタンフォームの廃棄物を粉砕処理する廃棄物処理工程などにおいて厳重な火災防止対策が必要であり、従来の硬質ポリウレタンフォームの製造工場等においても設備を更新する必要があり、しかも防災対策を含む設備費用が大変高額になるという問題を有する。またペンタン類を発泡剤として使用した硬質ポリウレタンフォームの難燃性は従来品のHCFC−141bを発泡剤として使用したものより劣るものとなる。
【0005】
HFC−365mfcは、日本の消防法の基準で非危険物に登録されているが、ドイツ規格では−27℃において引火点が確認されており、これを発泡剤として含有するポリオール組成物は、その組成によっては消防法に定める危険物第4類第1石油類に該当するとされた例もあり、HCFC−141bを発泡剤としたポリオール組成物と危険物として同等の取扱い、貯蔵ができないという問題を有する。またHFC−365mfcはポリオール組成物の主成分であるポリオール化合物との相溶性が悪いという問題も有する。
【0006】
これに対して、HFC−245faは、引火の危険性はなく、危険物として取扱う必要がない発泡剤であるが、沸点が15℃であり、常温での蒸気圧が高いものである。そのため、HFC−245faを発泡剤として使用すると、ポリオール組成物を収容するドラム缶や石油缶等の容器が、特に夏場において膨れるという問題並びに開栓時に発泡剤の気化によりポリオール組成物原液が吹き出したり、発泡剤が揮散してその含有量が減少し、所定密度の硬質ポリウレタンフォームが得られない等の問題を生じる。
【0007】
特許文献2には、発泡剤としてHFC−245faとHFC−365mfcとを併用する技術が開示されているが、蒸気圧を抑制する効果は十分ではなく、さらに改善が求められている。
【0008】
本発明の目的は、発泡剤としてHFC−245faを使用しつつ、その蒸気圧を抑制した硬質ポリウレタンフォーム用ポリオール組成物ならびに硬質ポリウレタンフォームの製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、少なくともポリオール化合物、発泡剤、整泡剤、触媒とを含有し、ポリイソシアネート化合物を含むイソシアネート成分と混合して発泡硬化させて硬質ポリウレタンフォームを形成する硬質ポリウレタンフォーム用ポリオール組成物であって、
前記発泡剤の主成分は、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)であり、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)、N−メチルピロリドン(NMP)、γ−ブチロラクトン(GBL)、メトキシプロピルアセテート(MPA)からなる群から選択される少なくとも1種の相溶化剤、及び1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(HFC−365mfc)を含有し、前記HFC−245fa/HFC−365mfc≧60/40(重量比)であり、(HFC−245fa+HFC−365mfc)/(相溶化剤)=95/5〜60/40(重量比)であることを特徴とする。
【0010】
発泡剤としてHFC−245faを使用すると共にDMA,NMP,GBL,MPAからなる群から選択される少なくとも1種の相溶化剤と必要に応じてHFC−365mfcとを添加することにより、発泡特性や得られる硬質ポリウレタンフォームの物理特性、断熱性等を維持したまま、HFC−245faの蒸気圧を抑制することができた。
【0011】
HFC−365mfcは沸点が40.2℃の化合物であり、HFC−245faとの相溶性がよく、発泡剤としての作用も有し、その蒸気圧を低下させる作用をも有するものである。
【0012】
HFC−245fa/HFC−365mfc重量比が60/40未満の場合には、HFC−365mfcの含有率が高くなる結果、引火点が低下し、ポリオール組成物が危険物第4類のなかでも、引火性の高い石油類に認定される場合が生じる。HFC−365mfcは使用しなくてもよい。
【0013】
また(HFC−245fa+HFC−365mfc)/(相溶化剤)重量比が95/5を超えると、相溶化剤の比率が少なくなりすぎてその添加効果が十分に発揮されなくなり、該重量比が60/40未満になると相溶化剤の比率が多くなりすぎてフォームの物理特性が低下する場合が生じる。(HFC−245fa+HFC−365mfc)/(相溶化剤)重量比はより好ましくは85/15〜70/30である。
【0014】
相溶化剤は、HFC−245fa、並びにHFC−365mfcとポリオール化合物の双方に対して優れた相溶性を有し、その結果、相溶化剤の使用により発泡剤とポリオール化合物との相溶性が改善され、特に上記の組成範囲とした場合に、フォームの気泡の均一性が向上し、いわゆるセル荒れが改善されると共に面材との接着性も改善される優れた効果が得られる。
【0015】
相溶化剤は、HFC−245fa、並びに必要に応じて添加するHFC−365mfcと予め混合して発泡剤組成物自体として蒸気圧低下させたものをポリオール化合物等の成分と混合してもよく、個々の成分をポリオール化合物等の成分と混合してポリオール組成物としてもよい。
【0016】
別の本発明は、イソシアネート成分とポリオール組成物とを混合して発泡、硬化させて硬質ポリウレタンフォームとする硬質ポリウレタンフォームの製造方法であって、
前記ポリオール組成物は少なくともポリオール化合物、発泡剤、整泡剤、触媒とを含有し、
前記発泡剤の主成分は、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)であり、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)、N−メチルピロリドン(NMP)、γ−ブチロラクトン(GBL)、メトキシプロピルアセテート(MPA)からなる群から選択される少なくとも1種の相溶化剤、及び1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(HFC−365mfc)を含有し、前記HFC−245fa/HFC−365mfc≧60/40(重量比)であり、(HFC−245fa+HFC−365mfc)/相溶化剤=95/5〜60/40(重量比)であることを特徴とする。
【0017】
係る製造方法により、HCFC−141bを発泡剤として使用した場合と同じ製造装置を、防火対策のための大幅な改造をすることなく使用し、HFC−245faを発泡剤の主成分として使用した硬質ポリウレタンフォームを製造することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の硬質ポリウレタン用ポリオール組成物は、発泡剤以外に少なくともポリオール化合物、整泡剤、触媒とを含有する。
ポリオール化合物としては、公知の硬質ポリウレタンフォーム用ポリオール化合物を限定なく使用できる。係るポリオール化合物としては、第3級アミノ基含有ポリオール化合物、脂肪族ポリオール、芳香族ポリオール等が例示される。
【0019】
第3級アミノ基含有ポリオール化合物は、第1級ないしは第2級アミンを開始剤としてアルキレンオキサイド、具体的にはプロピレンオキサイド(PO)、エチレンオキサイド(EO)、スチレンオキサイド(SO)、テトラヒドロフラン等の1種以上を開環付加重合させて得られる多官能性のポリオール化合物である。
【0020】
第3級アミノ基含有ポリオール化合物の開始剤である第1級ないしは第2級アミン開始剤としては、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン等の脂肪族第1級ないし第2級モノアミン類、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン等の脂肪族第1級ないし第2級ポリアミン類、アニリン、ジフェニルアミン、トルエンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、N−メチルアニリン等の芳香族第1級ないし第2級モノないしポリアミン類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等のアルカノールアミン類が例示される。
【0021】
脂肪族ポリオールは、ポリオール開始剤として脂肪族ないし脂環族多官能性活性水素化合物にアルキレンオキサイド、具体的にはプロピレンオキサイド(PO)、エチレンオキサイド(EO)、スチレンオキサイド(SO)、テトラヒドロフラン等の環状エーテルの1種以上を開環付加重合させて得られる多官能性のオリゴマーである。
【0022】
脂肪族ポリオールのポリオール開始剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等のグリコール類、トリメチロールプロパン、グリセリン等のトリオール類、ペンタエリスリトール等の4官能アルコール類、ソルビトール、シュークロース等の多価アルコール類、水等が例示される。
【0023】
芳香族ポリオールは分子内に芳香環を有する多官能性の活性水素化合物に上述のアルキレンオキサイドを付加する方法により得られるポリオール化合物、芳香族ポリカルボン酸と多価アルコールのエステルであるポリオール化合物等が例示される。
【0024】
多官能性の活性水素化合物に上述のアルキレンオキサイドを付加して得られるポリオール化合物としては、ヒドロキノン、ビスフェノールA等にPO,EO,SOの少なくとも1種を開環付加した化合物が具体的に例示される。
【0025】
芳香族ポリカルボン酸と多価アルコールのエステルとしては、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸等とエチレングリコール、ジエチレングリコール等との水酸基末端のエステルポリオールが具体的に例示される。
【0026】
上記のポリオール化合物は、水酸基価が200〜600mgKOH/gであることが好ましい。これらのポリオール化合物の中でも、第3級アミノ基含有ポリオール化合物、脂肪族ポリオールを使用すると、ポリオール組成物の粘度を低下させる効果が得られる。
【0027】
本発明の硬質ポリウレタンフォーム用ポリオール組成物に使用する触媒としては、硬質ポリウレタンフォーム用の公知の触媒は限定なく使用可能である。具体的には、トリエチレンジアミン、N−メチルモルホリン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、ジアザビシクロウンデセン(DBU)等の第3級アミン類、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、オクチル酸錫等の金属系触媒がウレタン化反応触媒として例示される。
【0028】
発泡剤として、少量の水を添加使用して得られる硬質ポリウレタンフォームの特性を改善することは、好ましい態様である。
【0029】
ポリウレタン分子の構造において難燃性向上に寄与するイソシアヌレート結合を形成する触媒の使用も好ましく、例えば酢酸カリウム、オクチル酸カリウムが例示できる。上述の第3級アミン触媒の中にもイソシアヌレート環形成反応をも促進するものがある。イソシアヌレート結合生成を促進する触媒とウレタン結合生成を促進する触媒を併用してもかまわない。
【0030】
整泡剤としては、硬質ポリウレタンフォーム用の公知の整泡剤が限定なく使用可能である。整泡剤としては、通常ポリジメチルシロキサン並びにポリジメチルシロキサンとポリアルキレンオキサイドのグラフト共重合体もしくはブロック共重合体が使用される。ポリアルキレンオキサイドとしては、平均分子量が5000〜8000のポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのランダム共重合体ないしブロック共重合体が使用される。
【0031】
本発明の硬質ポリウレタンフォーム用ポリオール組成物には、当業者に周知の難燃剤、着色剤、酸化防止剤等が使用可能である。
【0032】
難燃剤としては、ハロゲン含有化合物、有機リン酸エステル類、三酸化アンチモン、水酸化アルミニウム等の金属化合物が例示される。
【0033】
これらの難燃剤は、例えば有機リン酸エステルは過剰に添加すると得られる硬質ポリウレタンフォームの物理的特性が低下することが有り、また三酸化アンチモン等の金属化合物粉末を過剰に添加するとフォームの発泡挙動に影響が表れるなどの問題を生じる場合が有り、その添加量はかかる問題を生じない範囲に制限される。
【0034】
有機リン酸エステル類は、可塑剤としての作用も有し、従って硬質ポリウレタンフォームの脆性改良の効果も奏することから、好適な添加剤である。またポリオール組成物の粘度低下効果も有する。かかる有機リン酸エステル類としては、リン酸のハロゲン化アルキルエステル、アルキルリン酸エステルやアリールリン酸エステル、ホスホン酸エステル等が使用可能であり、具体的にはトリス(2−クロロエチル)ホスフェート(CLP、大八化学製)、トリス(β−クロロプロピル)ホスフェート(TMCPP、大八化学製)、トリブトキシエチルホスフェート(TBXP,大八化学製)、トリブチルホスフェート、トリエチルホスフェート、クレジルフェニルホスフェート、ジメチルメチルホスホネート等が例示でき、これらの1種以上が使用可能である。有機リン酸エステル類の添加量はポリオール化合物の合計100重量部に対して5〜30重量部であることが好ましい。この範囲を越えると難燃効果、可塑化効果が十分に得られなかったり、フォームの機械的強度が低下するなどの問題が生じる場合が発生する。
【0035】
ポリオール組成物と混合、反応させて硬質ポリウレタンフォームを形成するポリイソシアネート化合物としては、取扱の容易性、反応の速さ、得られる硬質ポリウレタンフォームの物理特性が優れていること、低コストであることなどから、液状MDIを使用する。液状MDIとしては、クルード(粗製)MDI(c−MDI)(44V−10,44V−20等(住友バイエルウレタン社製))、ウレトンイミン含有MDI(ミリオネートMTL;日本ポリウレタン工業製)等が使用される。これらのポリイソシアネート化合物のなかでも、形成される硬質ポリウレタンフォームの機械的強度などの物理的特性が優れており、しかも低価格であるといる点で、クルード(粗製)MDIの使用が特に好ましい。
【0036】
液状MDIに加えて、他のポリイソシアネート化合物を併用してもよい。かかるポリイソシアネート化合物としては、ポリウレタンの技術分野において周知のジないしポリイソシアネート化合物は限定なく使用可能である。
【0037】
本発明の硬質ポリウレタンフォーム用ポリオール組成物は、スラブストックフォーム、サンドイッチパネル等の連続生産される硬質ポリウレタンフォーム、射出成形される硬質ポリウレタンフォームサンドイッチパネル、スプレーフォームなどの製造に使用可能である。
【0038】
【実施例】
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例等について説明する。
ポリオール組成物は、使用した発泡剤組成物の組成を変更した以外は、同じ組成のものを使用した。発泡剤組成物以外の成分と配合比率は以下の通りである。
【表1】
上記組成物のポリオール化合物100重量部に対する発泡剤組成物の組成(発泡剤組成物を100重量%としたときの各成分の重量%)及び添加量(ポリオール化合物合計100重量部に対する重量部)は、表2〜4に記載した。発泡剤組成物の添加量は、フリー発泡時の硬質ポリウレタンフォームの密度が25kg/m3 となるように調整した。
【0039】
硬質ポリウレタンフォームは、常法により作製した。即ち表1に記載の組成において、イソシアネート成分を除く成分と発泡剤組成物を混合撹拌してポリオール組成物を調整し、20℃に温度調整し、次いで20℃に温度調整したポリオール成分とNCO/OH当量比が1.70となる比率で混合撹拌し、発泡硬化させて硬質ポリウレタンフォームを得た。
【0040】
発泡剤組成物としては、表2〜表4に示した組成にて予め混合した組成物を使用した。
【0041】
<評価>
(絶対蒸気圧)
所定配合比率にて調整したポリオール組成物原液を100ml容量のSUS製容器に50g仕込み、容器を完全に密閉状態にして液体窒素により凍結脱気後、40℃の恒温槽に静置し、蒸気圧(絶対圧)Pを測定した。減圧率は以下の式により計算した。P0 は、発泡剤が245faのみ(比較例2)の蒸気圧である。
減圧率(%)=100(P0 −P)/P0
(圧縮強度)
容器中にて自由発泡させたフォームから50mm×50mm×50mmの立方体を切り出し、JIS−A−9511(発泡プラスチック保温材)に準拠して測定した。
(寸法安定性)
容器中にて自由発泡させたフォームから100mm×100mm×100mmの立方体を切り出し、−30℃の雰囲気下に24時間放置して寸法変化量を測定した。
(接着性)
クラフト紙面材の上に自由発泡させたフォームを作成し、図1に示したようにフォームと接着している面材を裏面から幅5cmの切欠きを入れて端部を引き剥がし、バネ秤を使用して引っ張り、接着強度を測定した。図1における矢印方向が引っ張り測定方向である。
(気泡安定性)
容器中にて自由発泡させたフォームを目視にて観察した。評価は発泡剤としてHCFC−141bを使用した従来のフォームと比較して行い、評価結果を以下の基準により表示した。
○:セルが均一で細かく、HCFC−141b発泡品と同等である。
△:セル荒れがあり、HCFC−141b発泡品よりやや劣る。
×:セル荒れがひどく、発泡不良である。
【0042】
<評価結果>
評価結果は、表2〜表4の下段に示した。表2に示した発泡剤組成物は、HFC−245faとγ−ブチロラクトとを予め混合した組成物であり、表3に示した発泡剤組成物は、HFC−245fa、HFC−365mfc及びγ−ブチロラクトンの3成分、表4に示した発泡剤組成物は、HFC−245fa、HFC−365mfc及び相溶化剤であるメトキシプロピルアセテート、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミドを予め混合した組成物である。これらの結果から、本発明の発泡剤組成物とすることにより、発泡剤の蒸気圧が大きく低下し、従来のHCFC−141bを使用したポリオール組成物と同等の取扱いが可能になると共に、面材との接着性、気泡安定性も改善されたものとなった。ただし、HCFC−141bを発泡剤として使用したフォームの寸法安定性は−17%であるので、(HFC−245fa+HFC−365mfc)/γ−ブチロラクトンが60/40(重量比)未満(γ−ブチロラクトンが多すぎる比較例1)、(HFC−245fa+HFC−365mfc)/γ−ブチロラクトン比は90/10であるがHFC−245fa/HFC−365mfc(重量比)が60/40未満(HFC−365mfcが多すぎる比較例3)の場合には、いずれもHCFC−141bを発泡剤として使用したフォームより寸法安定性が低下している。また相溶化剤を使用しなかった比較例2では、接着性が満足できる物ではなかった。
【0043】
【表2】
【表3】
【表4】
【図面の簡単な説明】
【図1】硬質ポリウレタンフォームと面材との接着強度を測定する方法を示した図
Claims (2)
- 少なくともポリオール化合物、発泡剤、整泡剤、触媒とを含有し、ポリイソシアネート化合物を含むイソシアネート成分と混合して発泡硬化させて硬質ポリウレタンフォームを形成する硬質ポリウレタンフォーム用ポリオール組成物であって、
前記発泡剤の主成分は、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)であり、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)、N−メチルピロリドン(NMP)、γ−ブチロラクトン(GBL)、メトキシプロピルアセテート(MPA)からなる群から選択される少なくとも1種の相溶化剤、及び1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(HFC−365mfc)を含有し、前記HFC−245fa/HFC−365mfc≧60/40(重量比)であり、(HFC−245fa+HFC−365mfc)/(相溶化剤)=95/5〜60/40(重量比)であることを特徴とする硬質ポリウレタンフォーム用ポリオール組成物。 - イソシアネート成分とポリオール組成物とを混合して発泡、硬化させて硬質ポリウレタンフォームとする硬質ポリウレタンフォームの製造方法であって、
前記ポリオール組成物は少なくともポリオール化合物、発泡剤、整泡剤、触媒とを含有し、
前記発泡剤の主成分は、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)であり、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)、N−メチルピロリドン(NMP)、γ−ブチロラクトン(GBL)、メトキシプロピルアセテート(MPA)からなる群から選択される少なくとも1種の相溶化剤、及び1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(HFC−365mfc)を含有し、前記HFC−245fa/HFC−365mfc≧60/40(重量比)であり、(HFC−245fa+HFC−365mfc)/相溶化剤=95/5〜60/40(重量比)であることを特徴とする硬質ポリウレタンフォームの製造方法。
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