JP2005008533A - α−トリフルオロメチル−β−ヒドロキシカルボニル化合物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】医薬、農薬および光学材料の重要中間体であるα−トリフルオロメチル−β−ヒドロキシカルボニル化合物の工業的な製造方法を提供する。
【解決手段】α−トリフルオロメチルカルボニル化合物とアルデヒドを、四塩化チタンと有機塩基の存在下に縮合させることにより、α−トリフルオロメチル−β−ヒドロキシカルボニル化合物を製造する。本製造方法は、高価な試薬を必要とせず、操作も簡便で、反応の選択性も高く、分離の難しい不純物も殆ど副生しないことから、α−トリフルオロメチル−β−ヒドロキシカルボニル化合物を工業的に製造するための優れた方法である。
【選択図】なし
【解決手段】α−トリフルオロメチルカルボニル化合物とアルデヒドを、四塩化チタンと有機塩基の存在下に縮合させることにより、α−トリフルオロメチル−β−ヒドロキシカルボニル化合物を製造する。本製造方法は、高価な試薬を必要とせず、操作も簡便で、反応の選択性も高く、分離の難しい不純物も殆ど副生しないことから、α−トリフルオロメチル−β−ヒドロキシカルボニル化合物を工業的に製造するための優れた方法である。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、医薬、農薬および光学材料の重要中間体であるα−トリフルオロメチル−β−ヒドロキシカルボニル化合物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
α−トリフルオロメチル−β−ヒドロキシカルボニル化合物の製造方法としては、α−トリフルオロメチルエノラートとアルデヒドを縮合させる方法が考えられる。しかしながら、α位にトリフルオロメチル基を持つエノラートでは、フッ化物イオンの脱離が起こり易く、目的とする縮合反応が良好に進行しないという問題点があった(スキーム1参照)。
【0003】
【化5】
【0004】
そこで多くの研究者によって、エノラートの対イオンである金属カチオン種の検討が詳細に行われ、目的とする縮合反応が進行するようになった。このような金属エノラートの代表例としては、▲1▼シリルエノラート(非特許文献1、非特許文献2)、▲2▼亜鉛エノラート(非特許文献3)、▲3▼アルミニウムエノラート(非特許文献4)、▲4▼ホウ素エノラート(非特許文献5、非特許文献6)が報告されている。
【0005】
本発明で対象とする、α−トリフルオロメチルカルボニル化合物とアルデヒドを、四塩化チタンと有機塩基の存在下に縮合させることを特徴とする、α−トリフルオロメチル−β−ヒドロキシカルボニル化合物の製造方法は未だ報告されていない。
【0006】
【非特許文献1】
Tetrahedron Letters,(英国),1984年,第25巻,第36号,p.3987〜3990
【非特許文献2】
日本化学会誌,(日本),1985年,第11号,p.2202〜2204
【非特許文献3】
Chemistry Letters,(日本),1987年,p.1971〜1974
【非特許文献4】
J.Org.Chem.,(米国),1990年,第55巻,第10号,p.3107〜3114
【非特許文献5】
Chemistry Letters,(日本),1990年,p.211〜214
【非特許文献6】
Bull.Chem.Soc.Jpn.,(日本),1990年,第63巻,第4号,p.1191〜1195
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、医薬、農薬および光学材料の重要中間体であるα−トリフルオロメチル−β−ヒドロキシカルボニル化合物の工業的な製造方法を提供することにある。
【0008】
上記の非特許文献1から非特許文献6の各種金属エノラートを調製するには、非常に高価な反応試薬を必要としたり、操作が煩雑であるため、工業的な観点からは実用的な方法とは言い難いものであった。高価な反応試薬としては、例えば、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート、リチウムアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、ジブチルボロントリフレートを必要としたり、また、アルミニウムエノラートの調製には、一度リン酸エステルを経由する必要があったり、亜鉛エノラートの調製には、発ガン物質である1,4−ジオキサンを反応溶媒として用いる必要があった。
【0009】
このようにα−トリフルオロメチル−β−ヒドロキシカルボニル化合物を工業的に製造できる方法が強く望まれていた。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、下記のように課題を解決するための手段を見出した。
【0011】
本発明者らは、α−トリフルオロメチルカルボニル化合物とアルデヒドを、四塩化チタンと有機塩基の存在下に縮合させることにより、α−トリフルオロメチル−β−ヒドロキシカルボニル化合物が収率良く得られることを見出した。特に本製造方法では、高価な反応試薬を一切必要とせず、操作も簡便で、反応の選択性も高く、分離の難しい不純物も殆ど副生しないことから、α−トリフルオロメチル−β−ヒドロキシカルボニル化合物を工業的に製造するための極めて有効な方法である。
【0012】
すなわち、本発明は、一般式[1]
【0013】
【化6】
【0014】
[式中、R1は水素、アルキル基、アルコキシ基、アリール基から選ばれる基を表し、R2は水素、ハロゲン、アルキル基、アリール基から選ばれる基を表す]で示されるα−トリフルオロメチルカルボニル化合物と、一般式[2]
【0015】
【化7】
【0016】
[式中、R3は水素、アルキル基、ハロアルキル基、アリール基から選ばれる基を表す]で示されるアルデヒドを、四塩化チタンと有機塩基の存在下に縮合させることを特徴とする、一般式[3]
【0017】
【化8】
【0018】
[式中、R1、R2およびR3は上記と同じ]で示されるα−トリフルオロメチル−β−ヒドロキシカルボニル化合物の製造方法を提供する。
【0019】
また、本発明は、一般式[2]で示されるアルデヒドが、式[4]
【0020】
【化9】
【0021】
で示されるトリフルオロアセトアルデヒドである、上記の製造方法を提供する。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明のα−トリフルオロメチル−β−ヒドロキシカルボニル化合物の製造方法について詳細に説明する。本発明はスキーム2で示される。
【0023】
【化10】
【0024】
本発明は、α−トリフルオロメチルカルボニル化合物とアルデヒドを、四塩化チタンと有機塩基の存在下に縮合させることによりなる。
【0025】
一般式[1]で示されるα−トリフルオロメチルカルボニル化合物のR1としては、水素、アルキル基、アルコキシ基、アリール基が挙げられる。
【0026】
ここで言うアルキル基とは、炭素数1から12の直鎖状または分枝状のアルキル基を表し、該アルキル基の水素が、低級アルキル基(R−)、低級アルコキシ基(RO−;Rは低級アルキル基を表す)、低級アミノ基(R2N−;Rは独立に水素または低級アルキル基を表す)、低級チオアルキル基(RS−;Rは低級アルキル基を表す)、低級ハロアルキル基(CnX(2n+1)−;nは炭素数を表し、Xはフッ素、塩素または臭素を表す)、低級ハロアルコキシ基(CnX(2n+1)O−;nは炭素数を表し、Xはフッ素、塩素または臭素を表す)、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を表す)、水酸基または保護された水酸基(HO−またはPO−;Pは保護基を表す)、アミノ基または保護されたアミノ基(H2N−、PHN−またはP2N−;Pは独立に保護基を表す)、低級アルキル基または水素が置換した不飽和結合(R−C(R)=C(R)−またはR−C三C−;Rは独立に水素または低級アルキル基を表す)、置換または無置換のフェニル基、置換または無置換のナフチル基、置換または無置換の芳香族含酸素ヘテロ環(縮合骨格も含む)、置換または無置換の芳香族含窒素ヘテロ環(縮合骨格も含む)、または置換または無置換の芳香族含硫黄ヘテロ環(縮合骨格も含む)により、任意の位置に、任意の数で、さらに任意の組み合わせで置換されていても良い。“低級”とは、炭素数1から6の直鎖状または分枝状を表し、“保護基(P)”は、Protective Groups in Organic Synthesis,Third Edition,Wiley−Interscience,1999に記載された保護基から任意に選ぶことができ、“不飽和結合(二重結合)の幾何異性”はE体またはZ体の両方が採れ、“置換または無置換”の“置換”とは、該芳香環または芳香族ヘテロ環の水素が、低級アルキル基(R−)、低級アルコキシ基(RO−;Rは低級アルキル基を表す)、低級アミノ基(R2N−;Rは独立に水素または低級アルキル基を表す)、低級チオアルキル基(RS−;Rは低級アルキル基を表す)、低級ハロアルキル基(CnX(2n+1)−;nは炭素数を表し、Xはフッ素、塩素または臭素を表す)、低級ハロアルコキシ基(CnX(2n+1)O−;nは炭素数を表し、Xはフッ素、塩素または臭素を表す)、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を表す)、水酸基または保護された水酸基(HO−またはPO−;Pは保護基を表す)、アミノ基または保護されたアミノ基(H2N−、PHN−またはP2N−;Pは独立に保護基を表す)、または低級アルキル基または水素が置換した不飽和結合(R−C(R)=C(R)−またはR−C三C−;Rは独立に水素または低級アルキル基を表す)により、任意の位置に、任意の数で、さらに任意の組み合わせで置換されていても良い。“低級”、“保護基(P)”および“不飽和結合(二重結合)の幾何異性”は、上記と同じである。
【0027】
ここで言うアルコキシ基とは、炭素数1から12の直鎖状または分枝状のアルコキシ基を表す。
【0028】
ここで言うアリール基とは、置換または無置換のフェニル基、置換または無置換のナフチル基、置換または無置換の芳香族含酸素ヘテロ環(縮合骨格も含む)、置換または無置換の芳香族含窒素ヘテロ環(縮合骨格も含む)、または置換または無置換の芳香族含硫黄ヘテロ環(縮合骨格も含む)を表し、該芳香環または芳香族ヘテロ環の水素が、低級アルキル基(R−)、低級アルコキシ基(RO−;Rは低級アルキル基を表す)、低級アミノ基(R2N−;Rは独立に水素または低級アルキル基を表す)、低級チオアルキル基(RS−;Rは低級アルキル基を表す)、低級ハロアルキル基(CnX(2n+1)−;nは炭素数を表し、Xはフッ素、塩素または臭素を表す)、低級ハロアルコキシ基(CnX(2n+1)O−;nは炭素数を表し、Xはフッ素、塩素または臭素を表す)、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を表す)、水酸基または保護された水酸基(HO−またはPO−;Pは保護基を表す)、アミノ基または保護されたアミノ基(H2N−、PHN−またはP2N−;Pは独立に保護基を表す)、または低級アルキル基または水素が置換した不飽和結合(R−C(R)=C(R)−またはR−C三C−;Rは独立に水素または低級アルキル基を表す)により、任意の位置に、任意の数で、さらに任意の組み合わせで置換されていても良い。“低級”、“保護基(P)”および“不飽和結合(二重結合)の幾何異性”は、上記と同じである。
【0029】
一般式[1]で示されるα−トリフルオロメチルカルボニル化合物のR2としては、水素、ハロゲン、アルキル基、アリール基が挙げられる。
【0030】
ここで言うハロゲンとは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を表す。
【0031】
ここで言うアルキル基とは、一般式[1]で示されるα−トリフルオロメチルカルボニル化合物のR1で示したアルキル基と同じである。
【0032】
ここで言うアリール基とは、一般式[1]で示されるα−トリフルオロメチルカルボニル化合物のR1で示したアリール基と同じである。
【0033】
また、一般式[1]で示されるα−トリフルオロメチルカルボニル化合物のR1とR2が一緒になって環が形成されていても良い。
【0034】
ここで示した化合物の中には新規化合物も含まれるが、Bull.Chem.Soc.Jpn.,(日本),1991年,第64巻,第5号,p.1542〜1553等を参考にして同様に製造することができる。
【0035】
一般式[2]で示されるアルデヒドのR3としては、水素、アルキル基、ハロアルキル基、アリール基が挙げられる。
【0036】
ここで言うアルキル基とは、一般式[1]で示されるα−トリフルオロメチルカルボニル化合物のR1で示したアルキル基と同じである。
【0037】
ここで言うハロアルキル基とは、低級ハロアルキル基(CnX(2n+1)−;nは炭素数で1から6の直鎖状または分枝状を表し、Xはフッ素、塩素または臭素を表す)を表す。
【0038】
ここで言うアリール基とは、一般式[1]で示されるα−トリフルオロメチルカルボニル化合物のR1で示したアリール基と同じである。
【0039】
一般式[2]で示されるアルデヒドの使用量としては、一般式[1]で示されるα−トリフルオロメチルカルボニル化合物1モルに対して1モル以上を使用すればよく、通常は1〜10モルが好ましく、特に1〜5モルがより好ましい。
【0040】
四塩化チタンの使用量としては、一般式[1]で示されるα−トリフルオロメチルカルボニル化合物1モルに対して1モル以上を使用すればよく、通常は1〜10モルが好ましく、特に1〜5モルがより好ましい。
【0041】
有機塩基としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリn−ブチルアミン、ジメチルラウリルアミン、ジメチルアミノピリジン、N,N−ジメチルアニリン、ジメチルベンジルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセ−7−エン、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、ピリジン、2,4−ルチジン、2,5−ルチジン、2,6−ルチジン、3,4−ルチジン、3,5−ルチジン、2,4,6−トリメチルピリジン、ピリミジン、ピリダジン等が挙げられる。その中でもトリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリn−ブチルアミン、ジメチルラウリルアミン、ジメチルアミノピリジン、N,N−ジメチルアニリン、ジメチルベンジルアミン、ピリジン、2,4−ルチジン、2,5−ルチジン、2,6−ルチジン、3,4−ルチジン、3,5−ルチジンおよび2,4,6−トリメチルピリジンが好ましく、特にトリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリn−ブチルアミン、ジメチルラウリルアミン、ジメチルアミノピリジン、N,N−ジメチルアニリンおよびジメチルベンジルアミンがより好ましい。これらの有機塩基は、単独または組み合わせて使用することができる。
【0042】
有機塩基の使用量としては、一般式[1]で示されるα−トリフルオロメチルカルボニル化合物1モルに対して1モル以上を使用すればよく、通常は1〜10モルが好ましく、特に1〜5モルがより好ましい。
【0043】
反応溶媒としては、n−ペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素系、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素系、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、t−ブチルメチルエーテル等のエーテル系、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系、ヘキサメチルリン酸トリアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール等のアルコール系、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。その中でもn−ヘプタン、トルエン、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、i−プロパノールおよびジメチルスルホキシドが好ましく、特にトルエン、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミドおよびアセトニトリルがより好ましい。これらの反応溶媒は、単独または組み合わせて使用することができる。
【0044】
反応溶媒の使用量としては、特に制限はないが、一般式[1]で示されるα−トリフルオロメチルカルボニル化合物1モルに対して0.1L以上を使用すればよく、通常は0.2〜100Lが好ましく、特に0.3〜50Lがより好ましい。
【0045】
一般式[1]で示されるα−トリフルオロメチルカルボニル化合物、一般式[2]で示されるアルデヒド、四塩化チタンと有機塩基の添加順序としては、特に制限はないが、通常は、一般式[1]で示されるα−トリフルオロメチルカルボニル化合物を反応溶媒に溶解し、四塩化チタンと有機塩基を加えて一定時間反応させ、この反応溶液に、一般式[2]で示されるアルデヒドを加えて縮合反応を行うことが好ましい。
【0046】
本反応は、水分を嫌うため、アルゴンまたは窒素雰囲気下で行うことが好ましい。
【0047】
温度条件としては、−120〜+100℃であり、通常は−110〜+75℃が好ましく、特に−100〜+50℃がより好ましい。
【0048】
反応時間としては、0.1〜72時間であるが、反応基質および反応条件により異なるため、ガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、NMR等の分析手段により反応の進行状況を追跡して原料が殆ど消失した時点を終点とすることが好ましい。
【0049】
後処理としては、特に制限はないが、反応終了後、通常の後処理操作を行うことにより粗生成物を得ることができる。目的の一般式[3]で示されるα−トリフルオロメチル−β−ヒドロキシカルボニル化合物の内、R2が水素の場合には、副反応の脱フッ化水素酸を防ぐ目的で、後処理操作において液性のpHを強塩基性(>11)にすることは好ましくない。粗生成物は、必要に応じて、活性炭処理、蒸留、再結晶、カラムクロマトグラフィー等の精製操作を行うことにより、目的の一般式[3]で示されるα−トリフルオロメチル−β−ヒドロキシカルボニル化合物を高い化学純度で得ることができる。また、目的の一般式[3]で示されるα−トリフルオロメチル−β−ヒドロキシカルボニル化合物のα位とβ位の立体相対配置は、シン体またはアンチ体が存在するが、採用した反応基質および反応条件により、その生成比は異なる。
【0050】
【実施例】
以下、実施例により本発明の実施の形態を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0051】
[参考例1] 1,1,1−トリフルオロ−4,4−ジメチル−5−フェニル−3−ペンタノンの合成
[参考例1−1]
水素化カリウム(乾燥したn−ヘキサンで3回洗浄したものを使用) 2.7g(67mmol)を乾燥したテトラヒドロフラン 100mlに懸濁し、アルゴン雰囲気下、0℃で、下記式
【0052】
【化11】
【0053】
で示される3−メチル−2−ブタノン 6.6ml(61mmol)を加え、室温(25℃)で1時間撹拌し、再び0℃に冷却し、下記式
【0054】
【化12】
【0055】
で示されるベンジルブロマイド 7.6ml(64mmol)を加え、室温(25℃)で21時間撹拌した。反応終了液に、水を加え、ジエチルエーテルで3回抽出し、回収有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下濃縮し、下記式
【0056】
【化13】
【0057】
で示される3,3−ジメチル−4−フェニル−2−ブタノンの粗生成物を得た。粗生成物はシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:n−ヘキサン:酢酸エチル=20:1)により精製し、3,3−ジメチル−4−フェニル−2−ブタノンの精製品 7.3g(41mmol)を得た。収率は68%であった。1H−NMRスペクトルおよび13C−NMRスペクトルを下に示す。
1H−NMR(基準物質:TMS,溶媒:CDCl3)、δ ppm:1.12(s,6H),2.11(s,3H),2.81(s,2H),7.09(ddd,J=1.5,2.3,6.0Hz,2H),7.16〜7.30(m,3H).
13C−NMR(基準物質:TMS,溶媒:CDCl3)、δ ppm:24.2,26.1,45.3,48.6,126.3,128.0,130.2,137.7,213.8。
【0058】
[参考例1−2]
ジイソプロピルアミン 11.1ml(79.4mmol)を乾燥したテトラヒドロフラン 75mlに溶解し、アルゴン雰囲気下、−78℃で、n−ブチルリチウム(1.56Mのn−ヘキサン溶液) 46.3ml(72.2mmol)を加え、0℃で30分間撹拌し、再び−78℃に冷却し、参考例1−1と同様に合成した3,3−ジメチル−4−フェニル−2−ブタノンの精製品 8.47g(48.1mmol)を加え、同温度で1.7時間撹拌し、下記式
【0059】
【化14】
【0060】
で示されるクロロトリメチルシラン 10.9ml(86.6mmol)を加えた。同温度で15分間撹拌し、さらに室温(25℃)で17時間撹拌した。反応終了液に、氷水および少量の炭酸水素ナトリウムの水溶液を加え、n−ヘキサンで3回抽出し、回収有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮し、下記式
【0061】
【化15】
【0062】
で示される3,3−ジメチル−4−フェニル−2−トリメチルシリルオキシ−1−ブテンの粗生成物を得た。粗生成物は精製することなく次工程に供した。収率は定量的であった。1H−NMRスペクトルおよび13C−NMRスペクトルを下に示す。
1H−NMR(基準物質:TMS,溶媒:CDCl3)、δ ppm:0.26(s,9H),0.99(s,6H),2.68(s,2H),3.91(d,J=1.5Hz,1H),3.94(d,J=1.5Hz,1H),7.10〜7.27(m,5H).
13C−NMR(基準物質:TMS,溶媒:CDCl3)、δ ppm:0.2,25.8,40.7,45.8,87.5,125.8,127.4,130.4,139.3,164.8。
【0063】
[参考例1−3]
乾燥したn−ヘキサン 500mlに、アルゴン雰囲気下、−78℃で、下記式
【0064】
【化16】
【0065】
で示されるトリフルオロメチルアイオダイド 56.4g(289mmol)を加え、さらに3,3−ジメチル−4−フェニル−2−トリメチルシリルオキシ−1−ブテンの粗生成物の全量(48.1mmol)、2,6−ルチジン 6.20ml(52.9mmol)とトリエチルボラン(1.02Mのn−ヘキサン溶液) 11.8ml(12.0mmol)を同温度で加え、室温(25℃)まで昇温し、2日間撹拌した。反応終了液を減圧下濃縮し、残査に、12N塩酸の水溶液 25mlとテトラヒドロフラン 100mlを加え、0℃で30分間撹拌した。ジエチルエーテルで3回抽出し、回収有機層を飽和の炭酸水素ナトリウムの水溶液、引き続いて食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下濃縮し、下記式
【0066】
【化17】
【0067】
で示される1,1,1−トリフルオロ−4,4−ジメチル−5−フェニル−3−ペンタノンの粗生成物を得た。粗生成物はシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:n−ヘキサン:塩化メチレン=3:1)により精製し、1,1,1−トリフルオロ−4,4−ジメチル−5−フェニル−3−ペンタノンの精製品 0.90g(3.7mmol)を得た。参考例1−2と参考例1−3のトータル収率は8%であった。1H−NMRスペクトル、13C−NMRスペクトルおよび19F−NMRスペクトルを下に示す。
1H−NMR(基準物質:TMS,溶媒:CDCl3)、δ ppm:1.16(s,6H),2.81(s,2H),3.17(q,J=9.9Hz,2H),7.07(ddd,J=1.7,2.1,6.3Hz,2H),7.19〜7.32(m,3H).
13C−NMR(基準物質:TMS,溶媒:CDCl3)、δ ppm:23.8,41.4(q,J=28.1Hz),45.3,48.9,123.9(q,J=277.1Hz),126.8,128.2,130.2,136.8,205.2.
19F−NMR(基準物質:CF3C6H5,−63.24ppmとする,溶媒:CDCl3)、δ ppm:−63.0(t,J=9.8Hz)。
【0068】
[実施例1] 5−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−1,5−ジフェニル−4−トリフルオロメチル−3−ペンタノンの合成
下記式
【0069】
【化18】
【0070】
で示される1,1,1−トリフルオロ−4,4−ジメチル−5−フェニル−3−ペンタノン 17.1mg(0.07mmol)の塩化メチレン溶液(塩化メチレン使用量 0.7ml)に、アルゴン雰囲気下、−78℃で四塩化チタン 9.2μl(0.084mmol)とトリエチルアミン 13.7μl(0.098mmol)を加え、同温度で15分間撹拌し、この反応溶液に、下記式
【0071】
【化19】
【0072】
で示されるベンズアルデヒド 8.5μl(0.084mmol)を加え、同温度で1日間撹拌した。反応終了液に同温度でリン酸緩衝液(pH7)を加えて反応を止め、ジエチルエーテルで3回抽出し、回収有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮し、下記式
【0073】
【化20】
【0074】
で示されるα−トリフルオロメチル−β−ヒドロキシカルボニル化合物の粗生成物を得た。粗生成物はシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:n−ヘキサン:アセトン=10:1)により精製し、α−トリフルオロメチル−β−ヒドロキシカルボニル化合物の精製品 11.2mgを得た。収率は46%であった。ジアステレオマー過剰率は99%deであった。1H−NMRスペクトル、13C−NMRスペクトルおよび19F−NMRスペクトルを下に示す。
1H−NMR(基準物質:TMS,溶媒:CDCl3)、δ ppm:0.89(s,3H),1.01(s,3H),2.63(d,J=13.5Hz,1H),2.73(d,J=13.5Hz,1H),3.15(d,J=5.7Hz,1H),4.18(dq,J=6.6,8.1Hz,1H),5.27(dd,J=6.0,6.3Hz,1H),7.07〜7.10(m,2H),7.16〜7.42(m,8H).
13C−NMR(基準物質:TMS,溶媒:CDCl3)、δ ppm:22.9,23.2,43.3,49.4,54.9(q,J=24.4Hz),72.6(q,J=2.4Hz),123.4(q,J=282.6Hz),126.5,126.6,128.0,128.8,128.9,131.1,137.2,140.9,211.2.
19F−NMR(基準物質:CF3C6H5,−63.24ppmとする,溶媒:CDCl3)、δ ppm:メジャーのジアステレオマー/−62.6(d,J=7.9Hz),マイナーのジアステレオマー/−61.4(d,J=7.9Hz)。
【0075】
[実施例2] 5−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−1−フェニル−4,5−ビス(トリフルオロメチル)−3−ペンタノンの合成
下記式
【0076】
【化21】
【0077】
で示される1,1,1−トリフルオロ−4,4−ジメチル−5−フェニル−3−ペンタノン 17.1mg(0.07mmol)の塩化メチレン溶液(塩化メチレン使用量 0.7ml)に、アルゴン雰囲気下、−78℃で四塩化チタン 9.2μl(0.084mmol)とトリエチルアミン 13.7μl(0.098mmol)を加え、同温度で15分間撹拌し、この反応溶液に、下記式
【0078】
【化22】
【0079】
で示されるトリフルオロアセトアルデヒドを過剰量加え、同温度で1日間撹拌した。トリフルオロアセトアルデヒドは、有機合成化学協会誌,(日本),1999年,第57巻,第10号,p.898〜899記載の方法により予め調製し、−78℃で冷却下保存したものを使用した。反応終了液に同温度でリン酸緩衝液(pH7)を加えて反応を止め、ジエチルエーテルで3回抽出し、回収有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮し、下記式
【0080】
【化23】
【0081】
で示されるα−トリフルオロメチル−β−ヒドロキシカルボニル化合物の粗生成物を得た。粗生成物はシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:n−ヘキサン:アセトン=10:1)により精製し、α−トリフルオロメチル−β−ヒドロキシカルボニル化合物の精製品 14.4mgを得た。収率は60%であった。ジアステレオマー過剰率は82%deであった。α位とβ位の立体相対配置は、シン体:アンチ体=9:91であった。1H−NMRスペクトル、13C−NMRスペクトルおよび19F−NMRスペクトルを下に示す。
1H−NMR(基準物質:TMS,溶媒:CDCl3)、δ ppm:1.15(s,3H),1.17(s,3H),2.77(d,J=13.2Hz,1H),2.90(d,J=13.5Hz,1H),4.19(dq,J=2.8,7.7Hz,1H),4.44〜4.58(m,2H),7.10〜7.16(m,2H),7.21〜7.33(m,3H).
13C−NMR(基準物質:TMS,溶媒:CDCl3)、δ ppm:23.3,23.7,43.8,45.9(q,J=26.9Hz),50.1,69.6(qq,J=33.0,3.7Hz),122.9(q,J=283.2Hz),123.8(q,J=284.5Hz),126.9,128.2,131.2,136.5,211.8.
19F−NMR(基準物質:CF3C6H5,−63.24ppmとする,溶媒:CDCl3)、δ ppm:メジャーのジアステレオマー/−77.7(dd,J=2.3,3.4Hz,3F),−63.0(dd,J=2.6,7.9Hz,3F),マイナーのジアステレオマー/−77.3(dd,J=2.3,6.8Hz,3F),−60.6(dd,J=2.3,7.9Hz,3F)。
【0082】
【発明の効果】
医薬、農薬および光学材料の重要中間体であるα−トリフルオロメチル−β−ヒドロキシカルボニル化合物の工業的に有利な製造方法を提供する。
【発明の属する技術分野】
本発明は、医薬、農薬および光学材料の重要中間体であるα−トリフルオロメチル−β−ヒドロキシカルボニル化合物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
α−トリフルオロメチル−β−ヒドロキシカルボニル化合物の製造方法としては、α−トリフルオロメチルエノラートとアルデヒドを縮合させる方法が考えられる。しかしながら、α位にトリフルオロメチル基を持つエノラートでは、フッ化物イオンの脱離が起こり易く、目的とする縮合反応が良好に進行しないという問題点があった(スキーム1参照)。
【0003】
【化5】
【0004】
そこで多くの研究者によって、エノラートの対イオンである金属カチオン種の検討が詳細に行われ、目的とする縮合反応が進行するようになった。このような金属エノラートの代表例としては、▲1▼シリルエノラート(非特許文献1、非特許文献2)、▲2▼亜鉛エノラート(非特許文献3)、▲3▼アルミニウムエノラート(非特許文献4)、▲4▼ホウ素エノラート(非特許文献5、非特許文献6)が報告されている。
【0005】
本発明で対象とする、α−トリフルオロメチルカルボニル化合物とアルデヒドを、四塩化チタンと有機塩基の存在下に縮合させることを特徴とする、α−トリフルオロメチル−β−ヒドロキシカルボニル化合物の製造方法は未だ報告されていない。
【0006】
【非特許文献1】
Tetrahedron Letters,(英国),1984年,第25巻,第36号,p.3987〜3990
【非特許文献2】
日本化学会誌,(日本),1985年,第11号,p.2202〜2204
【非特許文献3】
Chemistry Letters,(日本),1987年,p.1971〜1974
【非特許文献4】
J.Org.Chem.,(米国),1990年,第55巻,第10号,p.3107〜3114
【非特許文献5】
Chemistry Letters,(日本),1990年,p.211〜214
【非特許文献6】
Bull.Chem.Soc.Jpn.,(日本),1990年,第63巻,第4号,p.1191〜1195
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、医薬、農薬および光学材料の重要中間体であるα−トリフルオロメチル−β−ヒドロキシカルボニル化合物の工業的な製造方法を提供することにある。
【0008】
上記の非特許文献1から非特許文献6の各種金属エノラートを調製するには、非常に高価な反応試薬を必要としたり、操作が煩雑であるため、工業的な観点からは実用的な方法とは言い難いものであった。高価な反応試薬としては、例えば、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート、リチウムアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、ジブチルボロントリフレートを必要としたり、また、アルミニウムエノラートの調製には、一度リン酸エステルを経由する必要があったり、亜鉛エノラートの調製には、発ガン物質である1,4−ジオキサンを反応溶媒として用いる必要があった。
【0009】
このようにα−トリフルオロメチル−β−ヒドロキシカルボニル化合物を工業的に製造できる方法が強く望まれていた。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、下記のように課題を解決するための手段を見出した。
【0011】
本発明者らは、α−トリフルオロメチルカルボニル化合物とアルデヒドを、四塩化チタンと有機塩基の存在下に縮合させることにより、α−トリフルオロメチル−β−ヒドロキシカルボニル化合物が収率良く得られることを見出した。特に本製造方法では、高価な反応試薬を一切必要とせず、操作も簡便で、反応の選択性も高く、分離の難しい不純物も殆ど副生しないことから、α−トリフルオロメチル−β−ヒドロキシカルボニル化合物を工業的に製造するための極めて有効な方法である。
【0012】
すなわち、本発明は、一般式[1]
【0013】
【化6】
【0014】
[式中、R1は水素、アルキル基、アルコキシ基、アリール基から選ばれる基を表し、R2は水素、ハロゲン、アルキル基、アリール基から選ばれる基を表す]で示されるα−トリフルオロメチルカルボニル化合物と、一般式[2]
【0015】
【化7】
【0016】
[式中、R3は水素、アルキル基、ハロアルキル基、アリール基から選ばれる基を表す]で示されるアルデヒドを、四塩化チタンと有機塩基の存在下に縮合させることを特徴とする、一般式[3]
【0017】
【化8】
【0018】
[式中、R1、R2およびR3は上記と同じ]で示されるα−トリフルオロメチル−β−ヒドロキシカルボニル化合物の製造方法を提供する。
【0019】
また、本発明は、一般式[2]で示されるアルデヒドが、式[4]
【0020】
【化9】
【0021】
で示されるトリフルオロアセトアルデヒドである、上記の製造方法を提供する。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明のα−トリフルオロメチル−β−ヒドロキシカルボニル化合物の製造方法について詳細に説明する。本発明はスキーム2で示される。
【0023】
【化10】
【0024】
本発明は、α−トリフルオロメチルカルボニル化合物とアルデヒドを、四塩化チタンと有機塩基の存在下に縮合させることによりなる。
【0025】
一般式[1]で示されるα−トリフルオロメチルカルボニル化合物のR1としては、水素、アルキル基、アルコキシ基、アリール基が挙げられる。
【0026】
ここで言うアルキル基とは、炭素数1から12の直鎖状または分枝状のアルキル基を表し、該アルキル基の水素が、低級アルキル基(R−)、低級アルコキシ基(RO−;Rは低級アルキル基を表す)、低級アミノ基(R2N−;Rは独立に水素または低級アルキル基を表す)、低級チオアルキル基(RS−;Rは低級アルキル基を表す)、低級ハロアルキル基(CnX(2n+1)−;nは炭素数を表し、Xはフッ素、塩素または臭素を表す)、低級ハロアルコキシ基(CnX(2n+1)O−;nは炭素数を表し、Xはフッ素、塩素または臭素を表す)、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を表す)、水酸基または保護された水酸基(HO−またはPO−;Pは保護基を表す)、アミノ基または保護されたアミノ基(H2N−、PHN−またはP2N−;Pは独立に保護基を表す)、低級アルキル基または水素が置換した不飽和結合(R−C(R)=C(R)−またはR−C三C−;Rは独立に水素または低級アルキル基を表す)、置換または無置換のフェニル基、置換または無置換のナフチル基、置換または無置換の芳香族含酸素ヘテロ環(縮合骨格も含む)、置換または無置換の芳香族含窒素ヘテロ環(縮合骨格も含む)、または置換または無置換の芳香族含硫黄ヘテロ環(縮合骨格も含む)により、任意の位置に、任意の数で、さらに任意の組み合わせで置換されていても良い。“低級”とは、炭素数1から6の直鎖状または分枝状を表し、“保護基(P)”は、Protective Groups in Organic Synthesis,Third Edition,Wiley−Interscience,1999に記載された保護基から任意に選ぶことができ、“不飽和結合(二重結合)の幾何異性”はE体またはZ体の両方が採れ、“置換または無置換”の“置換”とは、該芳香環または芳香族ヘテロ環の水素が、低級アルキル基(R−)、低級アルコキシ基(RO−;Rは低級アルキル基を表す)、低級アミノ基(R2N−;Rは独立に水素または低級アルキル基を表す)、低級チオアルキル基(RS−;Rは低級アルキル基を表す)、低級ハロアルキル基(CnX(2n+1)−;nは炭素数を表し、Xはフッ素、塩素または臭素を表す)、低級ハロアルコキシ基(CnX(2n+1)O−;nは炭素数を表し、Xはフッ素、塩素または臭素を表す)、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を表す)、水酸基または保護された水酸基(HO−またはPO−;Pは保護基を表す)、アミノ基または保護されたアミノ基(H2N−、PHN−またはP2N−;Pは独立に保護基を表す)、または低級アルキル基または水素が置換した不飽和結合(R−C(R)=C(R)−またはR−C三C−;Rは独立に水素または低級アルキル基を表す)により、任意の位置に、任意の数で、さらに任意の組み合わせで置換されていても良い。“低級”、“保護基(P)”および“不飽和結合(二重結合)の幾何異性”は、上記と同じである。
【0027】
ここで言うアルコキシ基とは、炭素数1から12の直鎖状または分枝状のアルコキシ基を表す。
【0028】
ここで言うアリール基とは、置換または無置換のフェニル基、置換または無置換のナフチル基、置換または無置換の芳香族含酸素ヘテロ環(縮合骨格も含む)、置換または無置換の芳香族含窒素ヘテロ環(縮合骨格も含む)、または置換または無置換の芳香族含硫黄ヘテロ環(縮合骨格も含む)を表し、該芳香環または芳香族ヘテロ環の水素が、低級アルキル基(R−)、低級アルコキシ基(RO−;Rは低級アルキル基を表す)、低級アミノ基(R2N−;Rは独立に水素または低級アルキル基を表す)、低級チオアルキル基(RS−;Rは低級アルキル基を表す)、低級ハロアルキル基(CnX(2n+1)−;nは炭素数を表し、Xはフッ素、塩素または臭素を表す)、低級ハロアルコキシ基(CnX(2n+1)O−;nは炭素数を表し、Xはフッ素、塩素または臭素を表す)、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を表す)、水酸基または保護された水酸基(HO−またはPO−;Pは保護基を表す)、アミノ基または保護されたアミノ基(H2N−、PHN−またはP2N−;Pは独立に保護基を表す)、または低級アルキル基または水素が置換した不飽和結合(R−C(R)=C(R)−またはR−C三C−;Rは独立に水素または低級アルキル基を表す)により、任意の位置に、任意の数で、さらに任意の組み合わせで置換されていても良い。“低級”、“保護基(P)”および“不飽和結合(二重結合)の幾何異性”は、上記と同じである。
【0029】
一般式[1]で示されるα−トリフルオロメチルカルボニル化合物のR2としては、水素、ハロゲン、アルキル基、アリール基が挙げられる。
【0030】
ここで言うハロゲンとは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を表す。
【0031】
ここで言うアルキル基とは、一般式[1]で示されるα−トリフルオロメチルカルボニル化合物のR1で示したアルキル基と同じである。
【0032】
ここで言うアリール基とは、一般式[1]で示されるα−トリフルオロメチルカルボニル化合物のR1で示したアリール基と同じである。
【0033】
また、一般式[1]で示されるα−トリフルオロメチルカルボニル化合物のR1とR2が一緒になって環が形成されていても良い。
【0034】
ここで示した化合物の中には新規化合物も含まれるが、Bull.Chem.Soc.Jpn.,(日本),1991年,第64巻,第5号,p.1542〜1553等を参考にして同様に製造することができる。
【0035】
一般式[2]で示されるアルデヒドのR3としては、水素、アルキル基、ハロアルキル基、アリール基が挙げられる。
【0036】
ここで言うアルキル基とは、一般式[1]で示されるα−トリフルオロメチルカルボニル化合物のR1で示したアルキル基と同じである。
【0037】
ここで言うハロアルキル基とは、低級ハロアルキル基(CnX(2n+1)−;nは炭素数で1から6の直鎖状または分枝状を表し、Xはフッ素、塩素または臭素を表す)を表す。
【0038】
ここで言うアリール基とは、一般式[1]で示されるα−トリフルオロメチルカルボニル化合物のR1で示したアリール基と同じである。
【0039】
一般式[2]で示されるアルデヒドの使用量としては、一般式[1]で示されるα−トリフルオロメチルカルボニル化合物1モルに対して1モル以上を使用すればよく、通常は1〜10モルが好ましく、特に1〜5モルがより好ましい。
【0040】
四塩化チタンの使用量としては、一般式[1]で示されるα−トリフルオロメチルカルボニル化合物1モルに対して1モル以上を使用すればよく、通常は1〜10モルが好ましく、特に1〜5モルがより好ましい。
【0041】
有機塩基としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリn−ブチルアミン、ジメチルラウリルアミン、ジメチルアミノピリジン、N,N−ジメチルアニリン、ジメチルベンジルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセ−7−エン、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、ピリジン、2,4−ルチジン、2,5−ルチジン、2,6−ルチジン、3,4−ルチジン、3,5−ルチジン、2,4,6−トリメチルピリジン、ピリミジン、ピリダジン等が挙げられる。その中でもトリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリn−ブチルアミン、ジメチルラウリルアミン、ジメチルアミノピリジン、N,N−ジメチルアニリン、ジメチルベンジルアミン、ピリジン、2,4−ルチジン、2,5−ルチジン、2,6−ルチジン、3,4−ルチジン、3,5−ルチジンおよび2,4,6−トリメチルピリジンが好ましく、特にトリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリn−ブチルアミン、ジメチルラウリルアミン、ジメチルアミノピリジン、N,N−ジメチルアニリンおよびジメチルベンジルアミンがより好ましい。これらの有機塩基は、単独または組み合わせて使用することができる。
【0042】
有機塩基の使用量としては、一般式[1]で示されるα−トリフルオロメチルカルボニル化合物1モルに対して1モル以上を使用すればよく、通常は1〜10モルが好ましく、特に1〜5モルがより好ましい。
【0043】
反応溶媒としては、n−ペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素系、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素系、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、t−ブチルメチルエーテル等のエーテル系、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系、ヘキサメチルリン酸トリアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール等のアルコール系、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。その中でもn−ヘプタン、トルエン、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、i−プロパノールおよびジメチルスルホキシドが好ましく、特にトルエン、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミドおよびアセトニトリルがより好ましい。これらの反応溶媒は、単独または組み合わせて使用することができる。
【0044】
反応溶媒の使用量としては、特に制限はないが、一般式[1]で示されるα−トリフルオロメチルカルボニル化合物1モルに対して0.1L以上を使用すればよく、通常は0.2〜100Lが好ましく、特に0.3〜50Lがより好ましい。
【0045】
一般式[1]で示されるα−トリフルオロメチルカルボニル化合物、一般式[2]で示されるアルデヒド、四塩化チタンと有機塩基の添加順序としては、特に制限はないが、通常は、一般式[1]で示されるα−トリフルオロメチルカルボニル化合物を反応溶媒に溶解し、四塩化チタンと有機塩基を加えて一定時間反応させ、この反応溶液に、一般式[2]で示されるアルデヒドを加えて縮合反応を行うことが好ましい。
【0046】
本反応は、水分を嫌うため、アルゴンまたは窒素雰囲気下で行うことが好ましい。
【0047】
温度条件としては、−120〜+100℃であり、通常は−110〜+75℃が好ましく、特に−100〜+50℃がより好ましい。
【0048】
反応時間としては、0.1〜72時間であるが、反応基質および反応条件により異なるため、ガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、NMR等の分析手段により反応の進行状況を追跡して原料が殆ど消失した時点を終点とすることが好ましい。
【0049】
後処理としては、特に制限はないが、反応終了後、通常の後処理操作を行うことにより粗生成物を得ることができる。目的の一般式[3]で示されるα−トリフルオロメチル−β−ヒドロキシカルボニル化合物の内、R2が水素の場合には、副反応の脱フッ化水素酸を防ぐ目的で、後処理操作において液性のpHを強塩基性(>11)にすることは好ましくない。粗生成物は、必要に応じて、活性炭処理、蒸留、再結晶、カラムクロマトグラフィー等の精製操作を行うことにより、目的の一般式[3]で示されるα−トリフルオロメチル−β−ヒドロキシカルボニル化合物を高い化学純度で得ることができる。また、目的の一般式[3]で示されるα−トリフルオロメチル−β−ヒドロキシカルボニル化合物のα位とβ位の立体相対配置は、シン体またはアンチ体が存在するが、採用した反応基質および反応条件により、その生成比は異なる。
【0050】
【実施例】
以下、実施例により本発明の実施の形態を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0051】
[参考例1] 1,1,1−トリフルオロ−4,4−ジメチル−5−フェニル−3−ペンタノンの合成
[参考例1−1]
水素化カリウム(乾燥したn−ヘキサンで3回洗浄したものを使用) 2.7g(67mmol)を乾燥したテトラヒドロフラン 100mlに懸濁し、アルゴン雰囲気下、0℃で、下記式
【0052】
【化11】
【0053】
で示される3−メチル−2−ブタノン 6.6ml(61mmol)を加え、室温(25℃)で1時間撹拌し、再び0℃に冷却し、下記式
【0054】
【化12】
【0055】
で示されるベンジルブロマイド 7.6ml(64mmol)を加え、室温(25℃)で21時間撹拌した。反応終了液に、水を加え、ジエチルエーテルで3回抽出し、回収有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下濃縮し、下記式
【0056】
【化13】
【0057】
で示される3,3−ジメチル−4−フェニル−2−ブタノンの粗生成物を得た。粗生成物はシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:n−ヘキサン:酢酸エチル=20:1)により精製し、3,3−ジメチル−4−フェニル−2−ブタノンの精製品 7.3g(41mmol)を得た。収率は68%であった。1H−NMRスペクトルおよび13C−NMRスペクトルを下に示す。
1H−NMR(基準物質:TMS,溶媒:CDCl3)、δ ppm:1.12(s,6H),2.11(s,3H),2.81(s,2H),7.09(ddd,J=1.5,2.3,6.0Hz,2H),7.16〜7.30(m,3H).
13C−NMR(基準物質:TMS,溶媒:CDCl3)、δ ppm:24.2,26.1,45.3,48.6,126.3,128.0,130.2,137.7,213.8。
【0058】
[参考例1−2]
ジイソプロピルアミン 11.1ml(79.4mmol)を乾燥したテトラヒドロフラン 75mlに溶解し、アルゴン雰囲気下、−78℃で、n−ブチルリチウム(1.56Mのn−ヘキサン溶液) 46.3ml(72.2mmol)を加え、0℃で30分間撹拌し、再び−78℃に冷却し、参考例1−1と同様に合成した3,3−ジメチル−4−フェニル−2−ブタノンの精製品 8.47g(48.1mmol)を加え、同温度で1.7時間撹拌し、下記式
【0059】
【化14】
【0060】
で示されるクロロトリメチルシラン 10.9ml(86.6mmol)を加えた。同温度で15分間撹拌し、さらに室温(25℃)で17時間撹拌した。反応終了液に、氷水および少量の炭酸水素ナトリウムの水溶液を加え、n−ヘキサンで3回抽出し、回収有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮し、下記式
【0061】
【化15】
【0062】
で示される3,3−ジメチル−4−フェニル−2−トリメチルシリルオキシ−1−ブテンの粗生成物を得た。粗生成物は精製することなく次工程に供した。収率は定量的であった。1H−NMRスペクトルおよび13C−NMRスペクトルを下に示す。
1H−NMR(基準物質:TMS,溶媒:CDCl3)、δ ppm:0.26(s,9H),0.99(s,6H),2.68(s,2H),3.91(d,J=1.5Hz,1H),3.94(d,J=1.5Hz,1H),7.10〜7.27(m,5H).
13C−NMR(基準物質:TMS,溶媒:CDCl3)、δ ppm:0.2,25.8,40.7,45.8,87.5,125.8,127.4,130.4,139.3,164.8。
【0063】
[参考例1−3]
乾燥したn−ヘキサン 500mlに、アルゴン雰囲気下、−78℃で、下記式
【0064】
【化16】
【0065】
で示されるトリフルオロメチルアイオダイド 56.4g(289mmol)を加え、さらに3,3−ジメチル−4−フェニル−2−トリメチルシリルオキシ−1−ブテンの粗生成物の全量(48.1mmol)、2,6−ルチジン 6.20ml(52.9mmol)とトリエチルボラン(1.02Mのn−ヘキサン溶液) 11.8ml(12.0mmol)を同温度で加え、室温(25℃)まで昇温し、2日間撹拌した。反応終了液を減圧下濃縮し、残査に、12N塩酸の水溶液 25mlとテトラヒドロフラン 100mlを加え、0℃で30分間撹拌した。ジエチルエーテルで3回抽出し、回収有機層を飽和の炭酸水素ナトリウムの水溶液、引き続いて食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下濃縮し、下記式
【0066】
【化17】
【0067】
で示される1,1,1−トリフルオロ−4,4−ジメチル−5−フェニル−3−ペンタノンの粗生成物を得た。粗生成物はシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:n−ヘキサン:塩化メチレン=3:1)により精製し、1,1,1−トリフルオロ−4,4−ジメチル−5−フェニル−3−ペンタノンの精製品 0.90g(3.7mmol)を得た。参考例1−2と参考例1−3のトータル収率は8%であった。1H−NMRスペクトル、13C−NMRスペクトルおよび19F−NMRスペクトルを下に示す。
1H−NMR(基準物質:TMS,溶媒:CDCl3)、δ ppm:1.16(s,6H),2.81(s,2H),3.17(q,J=9.9Hz,2H),7.07(ddd,J=1.7,2.1,6.3Hz,2H),7.19〜7.32(m,3H).
13C−NMR(基準物質:TMS,溶媒:CDCl3)、δ ppm:23.8,41.4(q,J=28.1Hz),45.3,48.9,123.9(q,J=277.1Hz),126.8,128.2,130.2,136.8,205.2.
19F−NMR(基準物質:CF3C6H5,−63.24ppmとする,溶媒:CDCl3)、δ ppm:−63.0(t,J=9.8Hz)。
【0068】
[実施例1] 5−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−1,5−ジフェニル−4−トリフルオロメチル−3−ペンタノンの合成
下記式
【0069】
【化18】
【0070】
で示される1,1,1−トリフルオロ−4,4−ジメチル−5−フェニル−3−ペンタノン 17.1mg(0.07mmol)の塩化メチレン溶液(塩化メチレン使用量 0.7ml)に、アルゴン雰囲気下、−78℃で四塩化チタン 9.2μl(0.084mmol)とトリエチルアミン 13.7μl(0.098mmol)を加え、同温度で15分間撹拌し、この反応溶液に、下記式
【0071】
【化19】
【0072】
で示されるベンズアルデヒド 8.5μl(0.084mmol)を加え、同温度で1日間撹拌した。反応終了液に同温度でリン酸緩衝液(pH7)を加えて反応を止め、ジエチルエーテルで3回抽出し、回収有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮し、下記式
【0073】
【化20】
【0074】
で示されるα−トリフルオロメチル−β−ヒドロキシカルボニル化合物の粗生成物を得た。粗生成物はシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:n−ヘキサン:アセトン=10:1)により精製し、α−トリフルオロメチル−β−ヒドロキシカルボニル化合物の精製品 11.2mgを得た。収率は46%であった。ジアステレオマー過剰率は99%deであった。1H−NMRスペクトル、13C−NMRスペクトルおよび19F−NMRスペクトルを下に示す。
1H−NMR(基準物質:TMS,溶媒:CDCl3)、δ ppm:0.89(s,3H),1.01(s,3H),2.63(d,J=13.5Hz,1H),2.73(d,J=13.5Hz,1H),3.15(d,J=5.7Hz,1H),4.18(dq,J=6.6,8.1Hz,1H),5.27(dd,J=6.0,6.3Hz,1H),7.07〜7.10(m,2H),7.16〜7.42(m,8H).
13C−NMR(基準物質:TMS,溶媒:CDCl3)、δ ppm:22.9,23.2,43.3,49.4,54.9(q,J=24.4Hz),72.6(q,J=2.4Hz),123.4(q,J=282.6Hz),126.5,126.6,128.0,128.8,128.9,131.1,137.2,140.9,211.2.
19F−NMR(基準物質:CF3C6H5,−63.24ppmとする,溶媒:CDCl3)、δ ppm:メジャーのジアステレオマー/−62.6(d,J=7.9Hz),マイナーのジアステレオマー/−61.4(d,J=7.9Hz)。
【0075】
[実施例2] 5−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−1−フェニル−4,5−ビス(トリフルオロメチル)−3−ペンタノンの合成
下記式
【0076】
【化21】
【0077】
で示される1,1,1−トリフルオロ−4,4−ジメチル−5−フェニル−3−ペンタノン 17.1mg(0.07mmol)の塩化メチレン溶液(塩化メチレン使用量 0.7ml)に、アルゴン雰囲気下、−78℃で四塩化チタン 9.2μl(0.084mmol)とトリエチルアミン 13.7μl(0.098mmol)を加え、同温度で15分間撹拌し、この反応溶液に、下記式
【0078】
【化22】
【0079】
で示されるトリフルオロアセトアルデヒドを過剰量加え、同温度で1日間撹拌した。トリフルオロアセトアルデヒドは、有機合成化学協会誌,(日本),1999年,第57巻,第10号,p.898〜899記載の方法により予め調製し、−78℃で冷却下保存したものを使用した。反応終了液に同温度でリン酸緩衝液(pH7)を加えて反応を止め、ジエチルエーテルで3回抽出し、回収有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮し、下記式
【0080】
【化23】
【0081】
で示されるα−トリフルオロメチル−β−ヒドロキシカルボニル化合物の粗生成物を得た。粗生成物はシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:n−ヘキサン:アセトン=10:1)により精製し、α−トリフルオロメチル−β−ヒドロキシカルボニル化合物の精製品 14.4mgを得た。収率は60%であった。ジアステレオマー過剰率は82%deであった。α位とβ位の立体相対配置は、シン体:アンチ体=9:91であった。1H−NMRスペクトル、13C−NMRスペクトルおよび19F−NMRスペクトルを下に示す。
1H−NMR(基準物質:TMS,溶媒:CDCl3)、δ ppm:1.15(s,3H),1.17(s,3H),2.77(d,J=13.2Hz,1H),2.90(d,J=13.5Hz,1H),4.19(dq,J=2.8,7.7Hz,1H),4.44〜4.58(m,2H),7.10〜7.16(m,2H),7.21〜7.33(m,3H).
13C−NMR(基準物質:TMS,溶媒:CDCl3)、δ ppm:23.3,23.7,43.8,45.9(q,J=26.9Hz),50.1,69.6(qq,J=33.0,3.7Hz),122.9(q,J=283.2Hz),123.8(q,J=284.5Hz),126.9,128.2,131.2,136.5,211.8.
19F−NMR(基準物質:CF3C6H5,−63.24ppmとする,溶媒:CDCl3)、δ ppm:メジャーのジアステレオマー/−77.7(dd,J=2.3,3.4Hz,3F),−63.0(dd,J=2.6,7.9Hz,3F),マイナーのジアステレオマー/−77.3(dd,J=2.3,6.8Hz,3F),−60.6(dd,J=2.3,7.9Hz,3F)。
【0082】
【発明の効果】
医薬、農薬および光学材料の重要中間体であるα−トリフルオロメチル−β−ヒドロキシカルボニル化合物の工業的に有利な製造方法を提供する。
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