JP6476591B2 - (2R)−2−フルオロ−2−C−メチル−D−リボノ−γ−ラクトン類の製造方法 - Google Patents

(2R)−2−フルオロ−2−C−メチル−D−リボノ−γ−ラクトン類の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、(2R)−2−フルオロ−2−C−メチル−D−リボノ−γ−ラクトン類の製造方法に関する。
(2R)−2−フルオロ−2−C−メチル−D−リボノ−γ−ラクトン類の製造方法は既に幾つか報告されており、その中で(2R)−2−フルオロ−2−C−メチル−D−リボノ−γ−ラクトン前駆体の製造方法に関する報告もされている。大量規模での製造にも適した手法としては環状硫酸エステル体への開環フッ素化が挙げられ、本出願人は1,2−ジオール類と有機塩基の存在下におけるスルフリルフルオリドとの反応を開示している(特許文献1)。この反応では立体選択的にフッ素原子を導入することで、(2R)−2−フルオロ−2−C−メチル−D−リボノ−γ−ラクトン前駆体を再現良く得ることができる。一方、2−フルオロプロピオン酸エチルと塩基存在下における(R)−(+)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−カルボキシアルデヒドとのアルドール反応によりジアステレオマー混合物として(2R)−2−フルオロ−2−C−メチル−D−リボノ−γ−ラクトン前駆体を得た後、酵素による基質選択的加水分解反応を行うことでジアステレオマーの分離を行う方法が報告されている(特許文献2、非特許文献1)。さらに、2−フルオロプロピオン酸エチルの代わりに3−(2−フルオロ−1−オキソプロピル)−2(3H)−ベンズオキサゾロンを用いて、塩基存在下の(R)−(+)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−カルボキシアルデヒドとのアルドール反応における(2R)−2−フルオロ−2−C−メチル−D−リボノ−γ−ラクトン前駆体の選択性を上げる手法も報告されている(特許文献3)。
Figure 0006476591
国際公開2011/152155号パンフレット 米国公開2008/0145901号公報 米国公開2008/0177079号公報 Tetrahedron: Asymmetry(英国)、2009年、第20巻、p.305−312.
本発明の目的は、(2R)−2−フルオロ−2−C−メチル−D−リボノ−γ−ラクトン類の製造方法を提供することにある。
特許文献1の方法では、本願発明の原料基質でもある1,2−ジオール類が開示されているが、この化合物は公知の方法により製造可能とは言え、多くはWittig反応、金属試薬を用いる立体選択的ジヒドロキシ化反応の工程を要し、コストの削減がいくぶん困難であった。
一方、特許文献2、非特許文献1および特許文献3の方法では、立体選択的な製法に比べ工程が短縮できコスト面でも有利であるが、アルドール反応において低温を必要とし、また反応の選択性や収率において改善すべき問題は残されている。特許文献2、非特許文献1の方法は、(2R)−2−フルオロ−2−C−メチル−D−リボノ−γ−ラクトン前駆体のジアステレオマー混合物を、工業的に採用し難い、酵素による基質選択的加水分解反応による精製操作を施していることから、(2R)−2−フルオロ−2−C−メチル−D−リボノ−γ−ラクトンまたはその前駆体を高収率で得る方法も限られている。さらに特許文献3の方法では、使用する原料の製造においてカラムクロマトグラフィーによる精製が必要であり、収率が低く、工業的手法に適しているとはいえない。
このように、従来の2−フルオロプロピオン酸誘導体と塩基存在下における(R)−(+)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−カルボキシアルデヒドとのアルドール反応によりジアステレオマー混合物として(2R)−2−フルオロ−2−C−メチル−D−リボノ−γ−ラクトン前駆体を得る手法では、反応の最適化に対する手法が限られている。従って、コストおよび生産性に優れた(2R)−2−フルオロ−2−C−メチル−D−リボノ−γ−ラクトン類の製造のために、その前駆体の製造方法及び精製方法の開発が強く望まれていた。
本発明者らは、上記の課題を踏まえて鋭意検討した結果、2−ブロモ−2−フルオロプロピオン酸誘導体とD−グリセルアルデヒド誘導体を用いたレフォルマトスキー反応により、光学活性2−フルオロ−2−C−メチル−D−リボノ−γ−ラクトン前駆体のジアステレオマー混合物を得、続いて該混合物を酸性条件下で脱保護、ラクトン化させることにより一般式[6]で表されるジヒドロキシラクトンのジアステレオマー混合物を得、更に得られた該混合物を再結晶精製することで、効率的なジアステレオマーの分離が可能となり、光学活性2−フルオロ−2−C−メチル−D−リボノ−γ−ラクトンを容易に製造できることを見出した。
レフォルマトスキー反応において、2−フルオロ−2−ハロプロピオン酸誘導体のハロゲンおよび誘導体部位、金属または金属塩およびその活性化法は任意に選択することができる。また、必要に応じて適当な添加剤を加えることもできる。
レフォルマトスキー反応で得られた光学活性2−フルオロ−2−C−メチル−D−リボノ−γ−ラクトン前駆体のジアステレオマー混合物は、酸性条件下で脱保護、ラクトン化させることにより一般式[6]で表されるジヒドロキシラクトンのジアステレオマー混合物を効率良く得ることができ、ジヒドロキシラクトンのジアステレオマー混合物は再結晶により効率よく分割され、所望のジアステレオマー((2R)−2−フルオロ−2−C−メチル−D−リボノ−γ−ラクトン)のみを収率よく得ることができる。
再結晶溶媒としてはアルコール系、ニトリル系、エステル系、エーテル系、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素系、ケトン系、水を用いることができ、これらを単独または組み合わせて用いることで、高い収率で再現良く高純度の(2R)−2−フルオロ−2−C−メチル−D−リボノ−γ−ラクトンを得る知見を得た。さらに、ここで得られた当該ラクトンはアシル化反応を行うことにより、対応する保護体を収率良く得ることができる。
なお、本発明では「再結晶精製」と「アシル化反応」を行う順番にも特徴がある。すなわち、ジアステレオマーを、混合する3,5位がアシル化された(2R)−2−フルオロ−2−C−メチル−D−リボノ−γ−ラクトン類から再結晶を行う、すなわち、最初にアシル化を行った後に再結晶を行っても目的の立体配置を持つ生成物を効率よく分離することはできなかった(後述の比較例を参照)。この結果は、3、5位がヒドロキシル基である場合(3,5位がアシル化されていない場合)と3,5位がアシル化された場合とでは、ジアステレオマーの分離における挙動が明らかに異なることを示唆しており、特に(2R)−2−フルオロ−2−C−メチル−D−リボノ−γ−ラクトン類と(2S)−2−フルオロ−2−C−メチル−D−リボノ−γ−ラクトン類の分離においては挙動に顕著な差が見られた。
この様に、レフォルマトスキー反応をはじめ、種々の工程を組み合わせることにより、(2R)−2−フルオロ−2−C−メチル−D−リボノ−γ−ラクトン類の新規な製造方法を見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は[発明1]−[発明15]を含む、(2R)−2−フルオロ−2−C−メチル−D−リボノ−γ−ラクトン類の製造方法を提供する。
[発明1]
以下の工程を含む、一般式[1]:
Figure 0006476591
[式中、Rはアシル基を表す]
で表される(2R)−2−フルオロ−2−C−メチル−D−リボノ−γ−ラクトン類の製造方法。
[第1工程]
一般式[2]:
Figure 0006476591
[式中、Rはアルキル基または置換アルキル基を表し、Aは酸素原子、窒素原子または硫黄原子を、Xはハロゲン原子を表す]
で表される2−フルオロ−2−ハロプロピオン酸誘導体を、溶媒中、金属または金属塩と反応させることにより、一般式[3]:
Figure 0006476591
[式中、R、AおよびXは一般式[2]に同じ。Mは金属原子を表す]
で表される有機金属化合物を得、続いて得られた該有機金属化合物を、一般式[4]:
Figure 0006476591
[式中、PおよびPはそれぞれヒドロキシル基の保護基を表す]
で表されるD−グリセルアルデヒド誘導体と反応させることにより、一般式[5]:
Figure 0006476591
[式中、Rはアルキル基または置換アルキル基を表し、Aは酸素原子、窒素原子または硫黄原子を、PおよびPはそれぞれヒドロキシル基の保護基を表す。*は不斉炭素を表す。]
で示される光学活性2−フルオロ−2−C−メチル−D−リボノ−γ−ラクトン前駆体のジアステレオマー混合物を得る工程。
[第2工程]
第1工程で得られた該ジアステレオマー混合物を酸性条件下で脱保護し、続いてラクトン化させることにより、一般式[6]:
Figure 0006476591
[式中、*は不斉炭素を表す。]
で表されるジヒドロキシラクトンのジアステレオマー混合物を得る工程。
[第3工程]
第2工程で得られたジヒドロキシラクトンのジアステレオマー混合物を再結晶することにより、一般式[6a]:
Figure 0006476591
で表される(2R)−2−フルオロ−2−C−メチル−D−リボノ−γ−ラクトンを分離精製する工程。
[第4工程]
第3工程で得られた(2R)−2−フルオロ−2−C−メチル−D−リボノ−γ−ラクトンをアシル化し、一般式[1]で表される(2R)−2−フルオロ−2−C−メチル−D−リボノ−γ−ラクトン類を製造する工程。
[発明2]
第1工程において、光学活性2−フルオロ−2−C−メチル−D−リボノ−γ−ラクトン前駆体のジアステレオマー混合物が、一般式[5a]、一般式[5b]、一般式[5c]または一般式[5d]:
Figure 0006476591
[式中、R、A、PおよびPはそれぞれ一般式[5]に同じ。]
で表される化合物を含む、発明1に記載の製造方法。
[発明3]
第1工程において、一般式[2]におけるRが、炭素数が1から6の直鎖または枝分れのアルキル基または置換アルキル基である、発明1に記載の製造方法。
[発明4]
第1工程において、一般式[4]におけるPおよびPが、イソプロピリデン基またはシクロヘキシリデン基である、発明1に記載の製造方法。
[発明5]
第1工程において、一般式[1]におけるRが、ベンゾイル基、ホルミル基、またはアセチル基である、発明1に記載の製造方法。
[発明6]
第1工程において、光学活性2−フルオロ−2−C−メチル−D−リボノ−γ−ラクトン前駆体のジアステレオマー混合物の製造が、反応系内に予め金属もしくは金属塩と溶媒とを加えた後に、2−フルオロ−2−ハロプロピオン酸誘導体とD−グリセルアルデヒド誘導体とを加えることにより行う、発明1乃至5の何れかに記載の製造方法。
[発明7]
第1工程において、金属が亜鉛、リチウム、マグネシウム、カドミウム、バリウム、インジウム、ゲルマニウム、ニッケル、コバルト、またはセリウムであり、金属塩がヨウ化サマリウム(II)、塩化クロム(II)、塩化チタン(II)、テルル化二ナトリウム、塩化ジエチルアルミニウムまたは塩化セリウム(III)である、発明1乃至6の何れかに記載の製造方法。
[発明8]
第1工程において、2−フルオロ−2−ハロプロピオン酸誘導体と、金属または金属塩とを溶媒中で反応させる際、反応系内に活性化剤を共存させることを特徴とする、発明1乃至7の何れかに記載の製造方法。
[発明9]
活性化剤が塩化水素、ヨウ素、1,2−ジブロモエタン、クロロトリメチルシラン、ハロゲン化銅(I)、ハロゲン化水銀、カリウム、ナトリウムナフタレニド、リチウムナフタレニドまたはカリウム−グラファイト薄膜である、発明8に記載の製造方法。
[発明10]
有機金属化合物とD−グリセルアルデヒド誘導体とを反応させる際、反応系内に更に添加剤を共存させることを特徴とする、発明1乃至9の何れかに記載の製造方法。
[発明11]
添加剤が、三フッ化ホウ素、ジエチル塩化アルミニウム、または臭化亜鉛である、発明10に記載の製造方法。
[発明12]
第2工程において、ラクトン前駆体のジアステレオマー混合物を、酸性条件下で脱保護し、続いてラクトン化させる際、用いる酸が酢酸、硫酸、塩酸、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、またはトリフルオロ酢酸である、発明1乃至11の何れかに記載の製造方法。
[発明13]
第2工程において、ジヒドロキシラクトンのジアステレオマー混合物が、一般式[6a]、一般式[6b]、一般式[6c]または一般式[6d]:
Figure 0006476591
で表される化合物を含む、発明1乃至12の何れかに記載の製造方法。
[発明14]
第3工程において、ジヒドロキシラクトンのジアステレオマー混合物の再結晶に用いる溶媒が、アルコール系、芳香族炭化水素系、エステル系、ニトリル系、エーテル系、ハロゲン化炭化水素系、ケトン系、水、および脂肪族炭化水素系からなる群より選ばれる少なくとも1種の溶媒である、発明1乃至13の何れかに記載の製造方法。
[発明15]
第3工程において、ジヒドロキシラクトンのジアステレオマー混合物の再結晶に用いる溶媒が、イソプロパノール、トルエン、酢酸エチルまたはn−ヘプタンである、発明1乃至14の何れかに記載の製造方法。
本発明が従来技術に比べて有利な点を以下に述べる。
本発明では、2−フルオロ−2−ハロプロピオン酸誘導体とD−グリセルアルデヒド誘導体によるレフォルマトスキー反応によりジアステレオマー混合物である(2R)−2−フルオロ−2−C−メチル−D−リボノ−γ−ラクトン前駆体を製造できることを明らかにした。特許文献2、特許文献3および非特許文献1に対しては、従来のアルドール反応とは異なる機構による製造方法であり、さらに、2−フルオロ−2−ハロプロピオン酸誘導体におけるハロゲンおよび誘導体部位、溶媒、金属または金属塩および活性化法、添加剤等の反応条件を最適化することで(2R)−2−フルオロ−2−C−メチル−D−リボノ−γ−ラクトン前駆体の選択性および収率の改善の余地が見込まれる。これは同時に、特許文献3に表される手法とは異なる手法での反応の最適化が可能であることを示している。
さらに特許文献2、特許文献3および非特許文献1におけるアルドール反応では低温を必要とするが本発明においては反応時に低温を必要としないため、工業的製法として有利といえる。
さらに特許文献2、および非特許文献1に対して、本発明は工業的に実施容易な再結晶のみで精製が可能である点が有利である。
本発明の(2R)−2−フルオロ−2−C−メチル−D−リボノ−γ−ラクトン類の製造方法について詳細に説明する。
本発明は、一般式[2]で表される2−フルオロ−2−ハロプロピオン酸誘導体に対して溶媒中、金属または金属塩、また必要に応じて添加剤を用いてレフォルマトスキー反応を行い一般式[3]で表される有機金属化合物を得、続いて、該有機金属化合物と一般式[4]で表されるD−グリセルアルデヒド誘導体と反応させることで一般式[5]で表される光学活性2−フルオロ−2−C−メチル−D−リボノ−γ−ラクトン前駆体のジアステレオマー混合物を得るものである(第1工程)。さらに、得られた混合物は、酸性条件下でジヒドロキシラクトンのジアステレオマー混合物に変換され(第2工程)、再結晶することにより一般式[6a]で表される(2R)−2−フルオロ−2−C−メチル−D−リボノ−γ−ラクトンのみが製造できる(第3工程)。また、該ラクトンに対しアシル化反応を行うことにより、一般式[1]で表される(2R)−2−フルオロ−2−C−メチル−D−リボノ−γ−ラクトン類に誘導する(第4工程)工程を含むものである。
本発明はレフォルマトスキーによって開発されたレフォルマトスキー反応を応用したものである。レフォルマトスキー反応とは、α−ブロモカルボン酸誘導体と亜鉛粉末とから有機亜鉛試薬を得、これをカルボニル化合物と反応させて、β−ヒドロキシカルボニル化合物またはそれから脱水されたα,β−不飽和カルボニル化合物を製造する反応である。
まず、第1工程について説明する。第1工程は、前述したように、2−フルオロ−2−ハロプロピオン酸誘導体と、金属または金属塩とを反応させることにより対応する有機金属化合物を得、続いて得られた該有機金属化合物と、D−グリセルアルデヒド誘導体とを反応させることにより、光学活性2−フルオロ−2−C−メチル−D−リボノ−γ−ラクトン前駆体のジアステレオマー混合物を得る工程である。
一般式[2]で表される2−フルオロ−2−ハロプロピオン酸誘導体のRは、アルキル基または置換アルキル基を表す。アルキル基は、炭素数が1から12の、直鎖または枝分れの鎖式、または環式(炭素数が3以上の場合)を採ることができる。置換アルキル基は、該アルキル基の任意の炭素原子上に、任意の数でさらに任意の組み合わせで置換基を有する。係る置換基としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素のハロゲン原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の低級アルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の低級アルコキシ基等が挙げられる。本明細書において“低級”は炭素数が1から6を意味し、直鎖または枝分れの鎖式、または環式(炭素数が3以上の場合)を採ることができる。その中でも炭素数が1から4のアルキル基または置換アルキル基が好ましく、メチル基またはエチル基が特に好ましい。
一般式[2]におけるAは酸素原子または窒素原子または硫黄原子を表し、前述のRの定義とあわせ、具体的な構造の例は以下の通りである(なお、式中の波線は結合部位である)。
Figure 0006476591
一般式[2]で表される2−フルオロ−2−ハロプロピオン酸誘導体のXはハロゲン原子を表す。ハロゲン原子は塩素、臭素、ヨウ素を採ることができる。その中でも塩素、臭素が好ましく、特に臭素が好ましい。
本工程で用いる金属としては、亜鉛、リチウム、マグネシウム、カドミウム、バリウム、インジウム、ゲルマニウム、ニッケル、コバルト、セリウムなどが挙げられ、金属塩としてはヨウ化サマリウム(II)、塩化クロム(II)、塩化チタン(II)、テルル化二ナトリウム、塩化ジエチルアルミニウム、塩化セリウム(III)などが挙げられる。このほかレフォルマトスキー反応に通常用いられる金属および金属塩を用いることができる。これらの中で亜鉛、インジウム、ヨウ化サマリウム(II)、塩化クロム(II)、塩化チタン(II)が好ましく、特に亜鉛、ヨウ化サマリウム(II)、塩化クロム(II)が好ましい。また、これらの金属および金属塩を単独でまたは組み合わせて用いることができる。
金属または金属塩の形状は2−フルオロ−2−ハロプロピオン酸誘導体との反応が迅速かつ安全に進行すればよく、粒状、粉末状、顆粒状、フレーク状、砂状など特に限定されない。また金属または金属塩の使用量は、2−フルオロ−2−ハロプロピオン酸誘導体1molに対し、1〜10mol用いればよく、1〜5molが好ましく、特に1〜3molが好ましい。
使用する金属の活性化が必要となることがあるが、この際、金属を活性化させるための活性化剤としては、亜鉛を例とすると塩化水素、ヨウ素、1,2−ジブロモエタン、クロロトリメチルシラン、ハロゲン化銅(I)、ハロゲン化水銀などによる酸化皮膜除去、超音波照射による酸化皮膜除去、またハロゲン化亜鉛溶液に対しカリウム、ナトリウムナフタレニド、リチウムナフタレニド、カリウム−グラファイト薄膜などの還元剤を作用させ亜鉛の微粉末懸濁液を生成するなどによって活性化できる。その他金属、金属塩についてもそれぞれにあわせた通常の手法によって活性化されたものを用いることができる。
なお、本工程において、反応系内に、選択性を向上させたり反応基質を活性化することにより変換率を向上させたりすることを目的として添加剤を加えることができる。添加剤としては三フッ化ホウ素、リチウムクロリド、ジエチル塩化アルミニウム、二塩化エチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリメチルアルミニウム、臭化亜鉛、塩化亜鉛、ほう酸トリメチル、トリフェニルホスフィン、塩化ニッケル、塩化銅、塩化鉄など、通常用いられる添加剤を用いることができ、その他反応に影響を及ぼさない限り特に限定されない。
本工程では、溶媒を用いることができる。溶媒としては、n-ヘキサン、n-ヘプタン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素系、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素系、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、t-ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジグリムなどのエーテル系、ジクロロメタン、クロロホルムなどのハロゲン化脂肪族炭化水素系、クロロベンゼン、ベンゾトリフルオリドなどのハロゲン化芳香族炭化水素系、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール系、アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル系、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド系、水などが挙げられる。このほか溶媒として反応に影響を及ぼさない限り特に限定されない。これらの中でトルエン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、クロロホルム、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジグリムが好ましく、特にジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンが好ましい。また、これらの溶媒を単独でまたは組み合わせて用いることができる。
溶媒の使用量は、一般式[4]で表されるD−グリセルアルデヒド誘導体1mol当たり、0.05から20Lの範囲で行えば良く、0.1から10Lが好ましい。
本工程では、一般式[2]で表される2−フルオロ−2−ハロプロピオン酸誘導体に対して金属または金属塩とを反応させ、一般式[3]で表される有機金属化合物を得る。ここで、有機金属化合物におけるA、Rは一般式[2]で表される2−フルオロ−2−ハロプロピオン酸誘導体のそれと同じである。
一般式[2]で表される2−フルオロ−2−ハロプロピオン酸誘導体の使用量は、後述の一般式[4]で表されるD−グリセルアルデヒド誘導体1mol当たり、0.1から10molの範囲で行えば良く、0.5から5molが好ましい。
一般式[4]で表されるD−グリセルアルデヒド誘導体のPおよびPは、それぞれヒドロキシル基の保護基を表す。係る保護基としては、Protective Groups in Organic Synthesis、Third Edition、1999、John Wiley & Sons、Inc.に記載されたもの等が挙げられる。PとPは同じ保護基または異なる保護基を採ることができ、さらに同時に1つの保護基を採ることもできる。その中でも同時に1つの保護基を採るものが好ましく(下記参照)、イソプロピリデン基、シクロヘキシリデン基で保護されたものが特に好ましい。
Figure 0006476591
本工程における反応温度は、−20から+200℃の範囲で行えば良く、−10から+150℃が好ましく、0から+100℃が特に好ましい。
反応時間は、24時間以内の範囲で行えば良く、原料基質および反応条件により異なるため、ガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、核磁気共鳴等の分析手段により反応の進行状況を追跡し、原料基質が殆ど消失した時点を終点とすることが好ましい。
本工程における反応容器への仕込み方法に特に制限はなく、当業者が適宜調整できるが、反応系内に予め金属もしくは金属塩を含む溶媒を共存させた後に、2−フルオロ−2−ハロプロピオン酸誘導体とD−グリセルアルデヒド誘導体とを加える方法が好ましい。それぞれを個々に加えても良いが、溶媒に各誘導体を混合させた後、各誘導体を含む溶液を反応容器へ加えることは、特に好ましい態様の一つである。
一般式[5]で表される光学活性2−フルオロ−2−C−メチル−D−リボノ−γ−ラクトン前駆体のジアステレオマー混合物のPおよびPは、一般式[4]で表されるD−グリセルアルデヒド誘導体におけるそれと同じであり、反応を通して変わらない。また、一般式[5]のAとRについても、一般式[2]で表される2−フルオロ−2−ハロプロピオン酸誘導体のそれと同じであり、反応を通して変わらない。
本工程で得られる光学活性2−フルオロ−2−C−メチル−D−リボノ−γ−ラクトン前駆体のジアステレオマー混合物は、一般式[5a]、一般式[5b]、一般式[5c]または一般式[5d]で表される化合物を含むジアステレオマー混合物として得られる。
なお、ここで言う「光学活性2−フルオロ−2−C−メチル−D−リボノ−γ−ラクトン前駆体のジアステレオマー混合物」とは、具体的な構造を以下に示すが、4種類の立体配置が異なる化合物(式[5a]−式[5d])のことを言う。
Figure 0006476591
次に第2工程について説明する。第2工程は、第1工程で得られた光学活性2−フルオロ−2−C−メチル−D−リボノ−γ−ラクトン前駆体のジアステレオマー混合物を酸性条件下で脱保護し、続いてラクトン化させることにより、一般式[6]で表されるジヒドロキシラクトンのジアステレオマー混合物を得る工程である。
一般式[5]で示される光学活性2−フルオロ−2−C−メチル−D−リボノ−γ−ラクトン前駆体のジアステレオマー混合物を酸性条件下にて反応させることにより、脱保護が進行した後に、連続して速やかにラクトン化反応が進行し、一般式[6]で示されるジヒドロキシラクトンのジアステレオマー混合物を得ることが出来る。
なお、ここで言う「ジヒドロキシラクトンのジアステレオマー混合物」は、具体的な構造を以下に示すが、4種類の立体配置が異なる化合物(式[6a]−式[6d])のことを言う。
Figure 0006476591
本工程において酸性条件下で反応を行うにあたり、用いる酸としては酢酸、硫酸、塩酸、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸が挙げられる。酸はこれらに限定されるものではなく、有機合成において一般的に用いられるものも挙げられる。その中でも酢酸、硫酸、塩酸が特に好ましい。これらの酸は単独または組み合わせて用いることができる。
酸の使用量は、一般式[5]で示されるラクトン前駆体のジアステレオマー混合物1モルに対して0.05モル以上用いればよく、0.1モルから50モルが好ましく、0.2モルから20モルが特に好ましい。
反応溶媒としてはメタノール、エタノールなどのアルコール系、N,N−ジメチルホルムアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等のアミド系、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系、水、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。その中でもメタノール、エタノール、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、水、テトラヒドロフランおよびジメチルスルホキシドが好ましく、メタノール、エタノール、アセトニトリル、水およびテトラヒドロフランが特に好ましい。これらの反応溶媒は単独でまたは組み合わせて用いることができる。
反応温度は、−20から+150℃の範囲で行えば良く、−10から+125℃が好ましく、0から+100℃が特に好ましい。
反応時間は、96時間以内の範囲で行えば良く、原料基質および反応条件により異なるため、ガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、核磁気共鳴等の分析手段により反応の進行状況を追跡し、原料基質が殆ど消失した時点を終点とすることが好ましい。
次に第3工程について説明する。第3工程は、第2工程で得られたジヒドロキシラクトンのジアステレオマー混合物を再結晶することにより、一般式[6a]で表される(2R)−2−フルオロ−2−C−メチル−D−リボノ−γ−ラクトンを分離精製する工程である。
ジヒドロキシラクトンのジアステレオマー混合物は、工業的に実施容易な再結晶操作により、一般式[6a]で表される光学活性2−フルオロ−2−C−メチル−D−リボノ−γ−ラクトンを単離できる。
再結晶に用いる溶媒としては、n−ペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素系、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素系、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、t−ブチルメチルエーテル、ジi−プロピルエーテル、1,4−ジオキサン等のエーテル系、アセトン、メチルエチルケトン、メチルi−ブチルケトン等のケトン系、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール等のアルコール系、水等が挙げられる。これらの溶媒は単独でまたは組み合わせて用いることができる。その中でも、イソプロパノール/トルエン、イソプロパノール/酢酸エチル、イソプロパノール/トルエン/n−ヘプタン、イソプロパノール/酢酸エチル/n−ヘプタン、アセトニトリル/トルエン、アセトニトリル/トルエン/n−ヘプタンが好ましく、イソプロパノール/トルエン/n−ヘプタンまたはイソプロパノール/酢酸エチル/n−ヘプタンが特に好ましい。再結晶溶媒の使用量としては、一般式[6]で表される光学活性2−フルオロ−2−C−メチル−D−リボノ−γ−ラクトンの混合物1gに対して通常0.5mL以上用いればよく、1〜30mLが好ましく、特に2〜10mLがより好ましい。
再結晶の方法としては特に制限はないが、加熱溶解し、放置または攪拌下、徐々に降温しながら、−20〜+20℃の範囲内で、1〜48時間かけて、結晶を十分に析出させ、析出した結晶を濾過する方法が好適に採用される。結晶化の際に、種結晶を使用することも可能である。
本工程で得られた(2R)−2−フルオロ−2−C−メチル−D−リボノ−γ−ラクトンは、続く次工程、すなわち、塩基の存在下、アシル化反応することにより一般式[1]で示される(2R)−2−フルオロ−2−C−メチル−D−リボノ−γ−ラクトン類に誘導できる(第4工程)。
第4工程で用いるアシル化反応は、アセチル化、ベンゾイル化、ホルミル化等が挙げられる。アシル化剤としては、アセチル化においては無水酢酸、アセチルクロリドなどがあり、またホルミル化においてはギ酸などがあり、またベンゾイル化においてはベンゾイルクロリド、安息香酸無水物、シアン化ベンゾイル、トリフルオロメタンスルホン酸ベンゾイルなどがあるが、これらに限定されない。本発明では、アシル化反応のうち、好ましくはアセチル化、ベンゾイル化反応であり、より好ましくはベンゾイル化反応である。ベンゾイル化反応における具体的な試剤は、前述した試剤のうち、ベンゾイルクロリドが特に好ましい。
アシル化剤の使用量は、(2R)−2−フルオロ−2−C−メチル−D−リボノ−γ−ラクトン1モルに対し、通常1〜20モルであるが、2〜10モルが好ましく、2〜5モルがより好ましい。アシル化反応に用いる反応溶媒としては、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素系、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、t−ブチルメチルエーテル、ジi−プロピルエーテル、1,4−ジオキサン等のエーテル系、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系等が挙げられる。これらの反応溶媒は、反応条件により適宜選択して用いればよく、単独でまたは組み合わせて用いることができる。また、用いることができる塩基として、例えば、アンモニア、トリエチルアミン、ピリジン、ルチジン、コリジン、N,N−ジメチルアニリン等のアミン類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム等の水酸化物類、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム等のアルカリ金属の炭酸塩もしくは炭酸水素塩類、等が挙げられる。これらの塩基は、1種単独又は2種以上を混合して用いることができる。反応温度は、反応条件により適切な反応温度を選択できるが、通常0〜30℃で行うと良い。
一般式[1]で示される(2R)−2−フルオロ−2−C−メチル−D−リボノ−γ−ラクトン類のRはアシル基を示す。アシル基は、ベンゾイル基、ホルミル基、アセチル基などが挙げられ、これらは前述したアシル化剤に対応する。
実施例により本発明の実施の形態を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例1から実施例12を行った。Meはメチル基を表す。
[実施例1]
200ml三つ口ナスフラスコに亜鉛17.00g(260.0mmol、2.0eq)、テトラヒドロフラン40mlを加え、攪拌しながらクロロトリメチルシラン1.84g(16.9mmol、0.13eq)を加えて10分間室温で撹拌を行った。その後、内温を57℃に加熱し、溶液中に、下記式:
Figure 0006476591
で表される2−ブロモ−2−フルオロプロピオン酸メチル48.10g(260.0mmol、2.0eq)と、蒸留して間もない下記式:
Figure 0006476591
で表される(R)−(+)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−カルボキシアルデヒド16.92g(130.0mmol)をテトラヒドロフラン 25mlとともに80分かけて滴下し、滴下後さらに57℃で1時間反応した。反応液は氷浴にて冷却し、飽和塩化アンモニウム水溶液500mlを加えて15分攪拌後、酢酸エチル500mlにて2回抽出し、得られた有機層を真空乾燥することで下記式[5a−1]、式[5b−1]、式[5c−1]および式[5d−1]:
Figure 0006476591
で表される(2R)−2−フルオロ−2−C−メチル−D−リボノ−γ−ラクトン前駆体を含むジアステレオマー混合物38.93g[[5a−1]:52.2mmol、[5b−1]:36.7mmol、[5c−1]+[5d−1]:27.5mmol(19F−NMRによる内部標準法で定量)]を得た。ジアステレオマーを含む合計収率は89%で、(2R)−2−フルオロ−2−C−メチル−D−リボノ−γ−ラクトン前駆体(式[5a−1])の収率は40%であった。粗生成物(当該ジアステレオマー混合物)の19F−NMRを下に示す。
19F−NMR[基準物質;C、重溶媒;CDCl]、[5a−1]:δ ppm;−9.35(m、1F)、[5b−1]:δ ppm;−7.28(m、1F)、[5c−1]または[5d−1]:δ ppm;−4.05(m、1F)、−2.40(m、1F)。
[実施例2〜6]
反応条件を変えて実施例1と同様に行い、実施例1〜6の結果を表1にまとめた。実施例3〜6に関しては、表中に示す添加剤を反応系中に予め加えて反応を行った。
Figure 0006476591
Figure 0006476591
[実施例7]
100ml三つ口ナスフラスコに亜鉛4.65g(71.1mmol、1.2eq)、テトラヒドロフラン20mlを加え、攪拌しながらヨウ素0.77g(3.0mmol、0.05eq)を加えて10分間加熱還流した。溶液を加熱還流させてい
るところへ、下記式:
Figure 0006476591
で表される2−ブロモ−2−フルオロプロピオン酸シクロヘキシル18.25g(72.1mmol、1.2eq)と、下記式:
Figure 0006476591
で表される(R)−(+)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−カルボキシアルデヒド7.91g(60.8mmol)をテトラヒドロフラン 10mlとともに2時間かけて滴下し、滴下後さらに1時間加熱還流した。反応液は氷浴にて冷却し、飽和塩化アンモニウム水溶液250mlを加えて15分攪拌後、酢酸エチル250mlにて2回抽出し、得られた有機層を真空乾燥することで下記式[5a−2]、[5b−2]、[5c−2]および[5d−2]:
Figure 0006476591
で表される(2R)−2−フルオロ−2−C−メチル−D−リボノ−γ−ラクトン前駆体を含むジアステレオマー混合物19.32g[[5a−2]:20.9mmol、[5b−2]:14.6mmol、[5c−2]+[5d−2]:9.1mmol(19F−NMRによる内部標準法で定量)]を得た。ジアステレオマーを含む合計収率は73%で、(2R)−2−フルオロ−2−C−メチル−D−リボノ−γ−ラクトン前駆体(式[5a−2])の収率は34%であった。粗生成物(当該ジアステレオマー混合物)の19F−NMRを下に示す。
19F−NMR[基準物質;C、重溶媒;CDCl]、[5a−2]:δ ppm;−7.66(m、1F)、[5b−2]:δ ppm;−8.11(m、1F)、[5c−2]または[5d−2]:δ ppm;−4.65(m、1F)、−1.88(m、1F)。
[実施例8]
100ml三つ口ナスフラスコに亜鉛0.31g(4.70mmol、1.2eq)、テトラヒドロフラン4mlを加え、攪拌しながらクロロトリメチルシラン0.055g(0.51mmol、0.13eq)を加えて10分間室温で攪拌した。その後、内温を57℃に加熱し、溶液中に、下記式:
Figure 0006476591
で表される2−ブロモ−2−フルオロプロピオン酸メチル0.87g(4.70mmol、1.2eq)と、下記式:
Figure 0006476591
で表される(R)−シクロヘキシリデングリセルアルデヒド0.67g(3.9mmol)をテトラヒドロフラン 2.5mlとともに1時間かけて滴下し、滴下後さらに57℃で1時間反応した。反応液は氷浴にて冷却し、飽和塩化アンモニウム水溶液20mlを加えて15分攪拌後、酢酸エチル20mlにて2回抽出し、得られた有機層を真空乾燥することで下記式[5a−3]、[5b−3]、[5c−3]および[5d−3]:
Figure 0006476591
で表される(2R)−2−フルオロ−2−C−メチル−D−リボノ−γ−ラクトン前駆体を含むジアステレオマー混合物1.01g[[5a−3]:1.08mmol、[5b−3]:0.77mmol、[5c−3]+[5d−3]:0.54mmol(19F−NMRによる内部標準法で定量)]を得た。ジアステレオマーを含む合計収率は61%で、(2R)−2−フルオロ−2−C−メチル−D−リボノ−γ−ラクトン前駆体(式[5a−3])の収率は28%であった。粗生成物(当該ジアステレオマー混合物)の19F−NMRを下に示す。
19F−NMR[基準物質;C、重溶媒;CDCl]、[5a−3]:δ ppm;−8.86(m、1F)、[5b−3]:δ ppm;−7.69(m、1F)、[5c−3]または[5d−3]:δ ppm;−3.21(m、1F)、−1.82(m、1F)。
[実施例9]
100ml三つ口ナスフラスコに亜鉛4.08g(62.4mmol、2.0eq)、テトラヒドロフラン15mlを加え、攪拌しながらクロロトリメチルシラン0.44g(4.1mmol、0.13eq)を加えて10分間室温で攪拌した。その後加熱し、溶液を57℃に加熱し、溶液に、下記式:
Figure 0006476591
で表される2−ブロモ−2−フルオロプロピオン酸誘導体14.88g(62.4mmol、2.0eq)と、下記式:
Figure 0006476591
で表される(R)−(+)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−カルボキシアルデヒド4.06g(31.2mmol)をテトラヒドロフラン 10mlとともに30分かけて滴下し、滴下後さらに57℃で1時間撹拌した。反応液は室温まで冷却し、飽和塩化アンモニウム水溶液100mlを加えて、酢酸エチル150mlにて2回抽出し、得られた有機層を減圧濃縮し、真空乾燥することで下記式[5a−4]、[5b−4]、[5c−4]および[5d−4]:
Figure 0006476591
で表される(2R)−2−フルオロ−2−C−メチル−D−リボノ−γ−ラクトン前駆体を含むジアステレオマー混合物13.80g[[5a−4]:13.9mmol、[5b−4]:11.0mmol、[5c−4]+[5d−4]:6.2mmol(19F−NMRによる内部標準法で定量)]を得た。ジアステレオマーを含む合計収率は100%で、(2R)−2−フルオロ−2−C−メチル−D−リボノ−γ−ラクトン前駆体(式[5a−4])の収率は45%であった。粗生成物(当該ジアステレオマー混合物)の19F−NMRを下に示す。
19F−NMR[基準物質;C、重溶媒;CDOD]、[5a−4]:δ ppm;2.16(m、1F)、[5b−4]:δ ppm;2.90(m、1F)、[5c−4]または[5d−4]:δ ppm;3.76(m、1F)、8.83(m、1F)。
[実施例10]
実施例1で得られた下記式[5a−1]、式[5b−1]、式[5c−1]および式[5d−1]:
Figure 0006476591
で示されるラクトン前駆体の混合物38.93g[[5a−1]:52.2mmol、[5b−1]:36.7mmol、[5c−1]+[5d−1]:27.5mmol(19F−NMRによる内部標準法で定量)]に、水145ml(0.8L/mol)、酢酸103.9g(1.7mmol、15eq)を加え、90℃で1時間攪拌した。反応終了液は減圧濃縮し、トルエン30mlで5回共沸減圧濃縮し、真空乾燥することにより、下記式[6a]、式[6b]、式[6c]および式[6d]:
Figure 0006476591
で示されるジヒドロキシラクトンの混合物28.90gを得た。粗生成物の19F−NMRを下に示す。
19F−NMR[基準物質;C、重溶媒;CDCN]、[6a]:δ ppm;−6.60(m、1F)、[6b]:δ ppm;6.51(m、1F)、[6c]または[6d]:δ ppm;−8.70(m、1F)、7.70(m、1F)。
上記で得られたジヒドロキシラクトンの混合物28.50gをイソプロパノール12ml(0.4vol)と酢酸エチル49ml(1.7vol)、n−ヘプタン61ml(2.1vol)の混合溶媒から再結晶し、濾取した結晶を氷冷したn−ヘプタン25mlで洗浄し、真空乾燥することにより、上記式[6a]で示される(2R)−2−フルオロ−2−C−メチル−D−リボノ−γ−ラクトンの淡褐色結晶を7.10g(43.3mmol)得た。収率は83.0%であった。結晶のガスクロマトグラフィー純度は94.8%であった。
上記で得られた式[6a]で示される(2R)−2−フルオロ−2−C−メチル−D−リボノ−γ−ラクトン7.10g(43.3mmol)に、アセトニトリル43ml(1.0L/mol)とピリジン6.85g(86.6mmol、2.30eq)を加えて、ベンゾイルクロリド13.33g(94.8mmol、2.19eq)を氷冷下で加えて、室温で2時間攪拌した。反応終了液に水180mlを氷冷下で加え、室温で10分攪拌し、酢酸エチル350mlで抽出し、回収有機層を5%炭酸水素ナトリウム水溶液100mlで洗浄し、5%食塩水100mlで洗浄し、減圧濃縮し、真空乾燥することにより下記式[1a]:
Figure 0006476591
で示される(2R)−2−フルオロ−2−C−メチル−D−リボノ−γ−ラクトン類を14.49g得た。
[実施例11]
実施例6で得られた下記式[5a−1]、式[5b−1]、式[5c−1]および式[5d−1]:
Figure 0006476591
で示されるラクトン前駆体の混合物35.03g[[5a−1]:54.8mmol、[5b−1]:40.1mmol、[5c−1]+[5d−1]:4.1mmol(19F−NMRによる内部標準法で定量)]に、水124ml(0.8L/mol)、酢酸89.1g(1.48mmol、15eq)を加え、90℃で1時間攪拌した。反応終了液は減圧濃縮し、トルエン50mlで5回共沸減圧濃縮し、真空乾燥することにより、下記式[6a]、式[6b]、式[6c]および式[6d]:
Figure 0006476591
で示されるジヒドロキシラクトンの混合物29.27gを得た。粗生成物の19F−NMRは実施例10と同様であった。
上記で得られたジヒドロキシラクトンの混合物29.27gをイソプロパノール12ml(0.4vol)と酢酸エチル50ml(1.7vol)、n−ヘプタン61ml(2.1vol)の混合溶媒から再結晶し、濾取した結晶を氷冷したn−ヘプタン25mlで洗浄し、真空乾燥することにより、上記式[6a]で示される(2R)−2−フルオロ−2−C−メチル−D−リボノ−γ−ラクトンの淡褐色結晶を7.55g(46.0mmol)得た。収率は83.9%であった。結晶のガスクロマトグラフィー純度は95.2%であった。
上記で得られた式[6a]で示される(2R)−2−フルオロ−2−C−メチル−D−リボノ−γ−ラクトン7.55g(46.0mmol)に、アセトニトリル46ml(1.0L/mol)とピリジン8.37g(105.8mmol、2.30eq)を加えて、ベンゾイルクロリド14.17g(100.8mmol、2.19eq)を氷冷下で加えて、室温で2時間攪拌した。反応終了液に水180mlを氷冷下で加え、室温で10分攪拌し、酢酸エチル350mlで抽出し、回収有機層を5%炭酸水素ナトリウム水溶液100mlで洗浄し、5%食塩水100mlで洗浄し、減圧濃縮し、真空乾燥することにより下記式[1a]:
Figure 0006476591
で示される(2R)−2−フルオロ−2−C−メチル−D−リボノ−γ−ラクトン類を15.49g得た。
[実施例12]
実施例9で得られた下記式[5a−4]、式[5b−4]、式[5c−4]および式[5d−4]:
Figure 0006476591
で示されるラクトン前駆体のジアステレオマー混合物13.80g[[5a−4]:13.9mmol、[5b−4]:11.0mmol、[5c−4]+[5d−4]:6.2mmol(19F−NMRによる内部標準法で定量)]に、水39ml(0.8L/mol)、酢酸18.7g(311mmol、10eq)を加え、90℃で1時間攪拌した。反応終了液は減圧濃縮し、トルエン30mlで5回共沸減圧濃縮し、真空乾燥することにより、下記式[6a]、式[6b]、式[6c]および式[6d]:
Figure 0006476591
で示されるジヒドロキシラクトンのジアステレオマー混合物8.72gを得た。粗生成物の19F−NMRは実施例10と同様であった。
上記で得られたジヒドロキシラクトンのジアステレオマー混合物6.84gをイソプロパノール10.3ml(1.5vol)とトルエン34.2ml(5vol)、n−ヘプタン6.8ml(1vol)の混合溶媒から再結晶し、濾取した結晶を氷冷したn−ヘプタン6.8mlで洗浄し、真空乾燥することにより、上記式[6a]で示される(2R)−2−フルオロ−2−C−メチル−D−リボノ−γ−ラクトンの淡褐色結晶を1.40g(8.5mmol)得た。収率は78.8%であった。結晶のガスクロマトグラフィー純度は99.7%で、主な不純物である上記式[6b]で示されるジアステレオマーは0.3%であった。
上記で得られた式[6a]で示される(2R)−2−フルオロ−2−C−メチル−D−リボノ−γ−ラクトン1.40g(8.5mmol)に、アセトニトリル9ml(1.0L/mol)とピリジン1.55g(19.6mmol、2.30eq)を加えて、ベンゾイルクロリド2.62g(18.6mmol、2.19eq)を氷冷下で加えて、室温で2時間攪拌した。反応終了液に水40mlを氷冷下で加え、室温で10分攪拌し、酢酸エチル50mlで抽出し、回収有機層を5%炭酸水素ナトリウム水溶液10mlで洗浄し、5%食塩水10mlで洗浄し、減圧濃縮し、真空乾燥することにより下記式[1a]:
Figure 0006476591
で示される(2R)−2−フルオロ−2−C−メチル−D−リボノ−γ−ラクトン類を3.02g得た。
[比較例1]
100mlナスフラスコに下記式[5a−1]、式[5b−1]、式[5c−1]および式[5d−1]:
Figure 0006476591
で示されるラクトン前駆体のジアステレオマー混合物79.03g[[5a−1]:73.6mmol、[5b−1]:62.1mmol、[5c−1]+[5d−1]:30.4mmol(19F−NMRによる内部標準法で定量)]、メタノール83ml(0.5L/mol)、12N塩酸5.1ml(61.4mmol、0.37eq)を加え、室温で18時間攪拌した。反応終了液は減圧濃縮し、トルエン55mlで5回共沸減圧濃縮し、真空乾燥することにより、下記式[6a]、[6b]および[6c]、[6d]
Figure 0006476591
で示されるジヒドロキシラクトンのジアステレオマー混合物70.27gを得た。粗生成物の19F−NMRは実施例10と同様であった。
上記で得られたジヒドロキシラクトンの混合物70.27g(便宜上166.1mmolとする)に、アセトニトリル166.1ml(1L/mol)、とピリジン30.29g(382.9mmol、2.31eq)を加えて、ベンゾイルクロリド51.60g(367.1mmol、2.21eq)を氷冷下で加えて、室温で2時間攪拌した。反応終了液に水150mlを氷冷下で加え、室温で10分攪拌し、酢酸エチル300mlで抽出し、回収有機層を5%炭酸水素ナトリウム水溶液150mlで洗浄し、5%食塩水150mlで洗浄し、減圧濃縮し、真空乾燥することにより下記式[1a]および[1b]−[1d]
Figure 0006476591
で示される(2R)−2−フルオロ−2−C−メチル−D−リボノ−γ−ラクトン類を含むジアステレオマー混合物131.74g[[1a]:75.7mmol、[1b]:69.8mmol、[1c]+[1d]:24.2mmol(19F−NMRによる内部標準法で定量)]を得た。次いで、該混合物を酢酸エチル197ml(1.5vol)、イソプロパノール197ml(1.5vol)、n−ヘプタン1180ml(9vol)の混合溶媒から再結晶し、濾取した結晶を氷冷したメタノール132mlで洗浄し、真空乾燥することにより白色結晶 40.36gを得た。この結晶をガスクロマトグラフィーにより分析したところ[1a]:61%、[1b]:33%が含まれていた。この結晶40.36gを用いて再度、酢酸エチル60ml(1.5vol)、イソプロパノール60ml(1.5vol)、n−ヘプタン364ml(9vol)の混合溶媒から再結晶し、濾取した結晶を氷冷したメタノール81mlで洗浄し、真空乾燥することにより白色結晶33.25gを得た。この結晶をガスクロマトグラフィーにより分析したところ[1a]:67%、[1b]:33%が含まれていた。
このように、第3工程の再結晶工程と第4工程のアシル化工程とを逆にした場合、目的物である(2R)−2−フルオロ−2−C−メチル−D−リボノ−γ−ラクトン類以外の生成物の割合が増加し、[1a]を効率的に得られないことがわかる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施形態に対し適宜変更、改良可能であることはいうまでもない。
本発明で対象とする(2R)−2−フルオロ−2−C−メチル−D−リボノ−γ−ラクトン類は、抗ウイルス活性を有する2’−デオキシ−2’−フルオロ−2’−C−メチルシチジンの重要中間体として利用できる。

Claims (12)

  1. 以下の工程を含む、一般式[1]:
    Figure 0006476591
    [式中、Rはアシル基を表す]
    で表される(2R)−2−フルオロ−2−C−メチル−D−リボノ−γ−ラクトン類の製造方法。
    [第1工程]
    一般式[2]:
    Figure 0006476591
    [式中、−C(=O)−A−R は、 アルキル基または置換アルキル基を表し、A酸素原子または硫黄原子を表すか、または、下記の構造の何れかであり、
    Figure 0006476591
    はハロゲン原子を表す]
    で表される2−フルオロ−2−ハロプロピオン酸誘導体を、溶媒中、金属または金属塩と反応させることにより、一般式[3]:
    Figure 0006476591
    [式中、R、AおよびXは一般式[2]に同じ。Mは金属原子を表す]
    で表される有機金属化合物を得、続いて得られた該有機金属化合物を、一般式[4]:
    Figure 0006476591
    [式中、PおよびPは同時に1つの保護基を採り、該保護基はメチレン基、エチリデン基、イソプロピリデン基、シクロペンチリデン基、シクロヘキシリデン基またはベンジリデン基を表す。]
    で表されるD−グリセルアルデヒド誘導体と反応させることにより、一般式[5]:
    Figure 0006476591
    [式中、−C(=O)−A−R は、 アルキル基または置換アルキル基を表し、A酸素原子または硫黄原子を表すか、または、下記の構造の何れかであり、
    Figure 0006476591
    およびPは同時に1つの保護基を採り、該保護基はメチレン基、エチリデン基、イソプロピリデン基、シクロペンチリデン基、シクロヘキシリデン基またはベンジリデン基を表す。*は不斉炭素を表す。]
    で示される光学活性2−フルオロ−2−C−メチル−D−リボノ−γ−ラクトン前駆体のジアステレオマー混合物を得る工程。
    [第2工程]
    第1工程で得られた該ジアステレオマー混合物を酸性条件下で脱保護し、続いてラクトン化させることにより、一般式[6]:
    Figure 0006476591
    [式中、*は不斉炭素を表す。]
    で表されるジヒドロキシラクトンのジアステレオマー混合物を得る工程。
    [第3工程]
    第2工程で得られたジヒドロキシラクトンのジアステレオマー混合物を再結晶することにより、一般式[6a]:
    Figure 0006476591
    で表される(2R)−2−フルオロ−2−C−メチル−D−リボノ−γ−ラクトンを分離精製する工程。
    [第4工程]
    第3工程で得られた(2R)−2−フルオロ−2−C−メチル−D−リボノ−γ−ラクトンをアシル化し、一般式[1]で表される(2R)−2−フルオロ−2−C−メチル−D−リボノ−γ−ラクトン類を製造する工程。

  2. 第1工程において、光学活性2−フルオロ−2−C−メチル−D−リボノ−γ−ラクトン前駆体のジアステレオマー混合物が、一般式[5a]、一般式[5b]、一般式[5c]または一般式[5d]:
    Figure 0006476591
    [式中、R、A、PおよびPはそれぞれ一般式[5]に同じ。]
    で表される化合物を含む、請求項1に記載の製造方法。
  3. 第1工程において、一般式[2]におけるRが、炭素数が1から6の直鎖または枝分れのアルキル基または置換アルキル基である、請求項1に記載の製造方法。
  4. 第1工程において、一般式[1]におけるRが、ベンゾイル基、ホルミル基、またはアセチル基である、請求項1に記載の製造方法。
  5. 第1工程において、光学活性2−フルオロ−2−C−メチル−D−リボノ−γ−ラクトン前駆体のジアステレオマー混合物の製造が、反応系内に予め金属もしくは金属塩と溶媒とを加えた後に、2−フルオロ−2−ハロプロピオン酸誘導体とD−グリセルアルデヒド誘導体とを加えることにより行う、請求項1乃至の何れかに記載の製造方法。
  6. 第1工程において、金属が亜鉛、リチウム、マグネシウム、カドミウム、バリウム、インジウム、ゲルマニウム、ニッケル、コバルト、またはセリウムであり、金属塩がヨウ化サマリウム(II)、塩化クロム(II)、塩化チタン(II)、テルル化二ナトリウム、塩化ジエチルアルミニウムまたは塩化セリウム(III)である、請求項1乃至の何れかに記載の製造方法。
  7. 第1工程において、2−フルオロ−2−ハロプロピオン酸誘導体と、金属または金属塩とを溶媒中で反応させる際、反応系内に塩化水素、ヨウ素、1,2−ジブロモエタン、クロロトリメチルシラン、ハロゲン化銅(I)、ハロゲン化水銀、カリウム、ナトリウムナフタレニド、リチウムナフタレニドまたはカリウム−グラファイト薄膜を共存させることを特徴とする、請求項1乃至の何れかに記載の製造方法。
  8. 有機金属化合物とD−グリセルアルデヒド誘導体とを反応させる際、反応系内に更に三フッ化ホウ素、ジエチル塩化アルミニウム、または臭化亜鉛を共存させることを特徴とする、請求項1乃至の何れかに記載の製造方法。
  9. 第2工程において、ラクトン前駆体のジアステレオマー混合物を、酸性条件下で脱保護し、続いてラクトン化させる際、用いる酸が酢酸、硫酸、塩酸、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、またはトリフルオロ酢酸である、請求項1乃至の何れかに記載の製造方法。
  10. 第2工程において、ジヒドロキシラクトンのジアステレオマー混合物が、一般式[6a]、一般式[6b]、一般式[6c]または一般式[6d]:
    Figure 0006476591
    で表される化合物を含む、請求項1乃至の何れかに記載の製造方法。
  11. 第3工程において、ジヒドロキシラクトンのジアステレオマー混合物の再結晶に用いる溶媒が、アルコール系、芳香族炭化水素系、エステル系、ニトリル系、エーテル系、ハロゲン化炭化水素系、ケトン系、水、および脂肪族炭化水素系からなる群より選ばれる少なくとも1種の溶媒である、請求項1乃至10の何れかに記載の製造方法。
  12. 第3工程において、ジヒドロキシラクトンのジアステレオマー混合物の再結晶に用いる溶媒が、イソプロパノール、トルエン、酢酸エチルまたはn−ヘプタンである、請求項1乃至11の何れかに記載の製造方法。
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