JP2005008468A - 誘電体磁器組成物及びこれを用いた積層セラミック部品 - Google Patents

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Abstract

【課題】AgやCu等との低抵抗導体の同時焼成ができる800℃〜1000℃の温度により焼成でき、かつ焼成して得られた誘電体磁器のQ×f値が9000(GHz)以上と大きく、更に共振周波数fの温度係数τの絶対値が30ppm/℃以下で比誘電率εを20〜45の範囲で自由に調整できる誘電体磁器組成物を提供する。
【解決手段】本発明の誘電体磁器組成物は、一般式xCaNb−yZnTiNb−zTiOと表され、CaNb、ZnTiNb、TiOを頂点とする三角座標において組成を(x、y、z)で表したとき、4つの組成点A(0、0.46、0.54)、B(0、0.54、0.46)、C(0.90、0、0.10)、D(0.65、0、0.35)を頂点とする四角形の範囲内(但し、x=0またはy=0を除く)にある主成分100重量部に対して、ガラスを3重量部以上30重量部以下配合せしめてなる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、焼成して得られる誘電体磁器の比誘電率εが20〜45程度で、マイクロ波やミリ波などの高周波領域でのQ値が大きく、更に共振周波数fの温度係数τの絶対値も小さく、且つ低抵抗導体であるAgやCu等との同時焼成が可能な誘電体磁器組成物、並びに誘電体磁器、及びそれを用いた積層誘電体フィルタや積層誘電体基板等の積層セラミック部品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、通信網の急激な発展に伴い、通信に使用する周波数が拡大すると同時にマイクロ波領域やミリ波領域などの高周波領域に及んでいる。高周波用の誘電体磁器組成物としては、無負荷Q値が大きく、更に共振周波数fの温度係数τの絶対値が小さい材料が求められている。一方、マイクロ波回路やミリ波回路の大きさは、比誘電率εが大きくなるほど小型化が可能である。しかし、マイクロ波領域以上の高周波領域に関しては、比誘電率εが大き過ぎると、回路が小さくなりすぎ加工精度の要求が厳しくなり、かつ電極の印刷精度の影響を受けやすくなるため、用途によって共振器が小さくなり過ぎないように、適度な比誘電率εの材料が要求される。また、誘電体磁器の上に導電体を印刷したアンテナ素子を作製する場合には、優れたアンテナ特性を発揮するには、誘電体磁器の比誘電率は小さいものが要求される。また、内部に回路を有する積層部品を設計する場合は、特性に応じて特定の範囲の比誘電率を有する材料が要求される。
【0003】
また最近、誘電体磁器組成物を積層した積層誘電体フィルターや積層誘電体基板等の積層セラミック部品が開発されており、誘電体磁器組成物と内部電極との同時焼成による積層化が行われている。しかしながら、前記誘電体磁器組成物は焼成温度が1300℃以上と高いため内部電極との同時焼成を行うことは困難な面があり、積層化構造とするためには電極材料として高温に耐える白金(Pt)等の高価な材料に限定されていた。このため、電極材料として低抵抗導体で、且つ安価な銀(Ag)、Ag−Pd、及びCu等を使用して、1000℃以下の低温で同時焼成が可能な誘電体磁器組成物が求められている。
【0004】
また、誘電体磁器を積層して、内部に回路を構成する場合、設計に応じた誘電率等を自由に調整できる誘電体磁器組成物が求められている。
【0005】
従来、比誘電率εが20から45程度の誘電体磁器組成物としては、BaO−TiO−Nd系誘電体磁器組成物(特許文献1参照)や、CaMg1/3Nb2/3−CaTiO系誘電体磁器組成物(特許文献2参照)が知られているが、焼成温度が1000℃を超えているか、または1000℃以下の焼成温度では、十分大きいQ値が得られない。
【0006】
【特許文献1】
特開昭60−35406号公報。
【0007】
【特許文献2】
特開平9−59062号公報。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記の問題を解消し、AgやCu等との低抵抗導体の同時焼成による内挿化、多層化ができる800℃〜1000℃の温度により焼成でき、かつ焼成して得られた誘電体磁器の比誘電率εが20〜45程度で、Q×f値が9000(GHz)以上と大きく、更に共振周波数fの温度係数τの絶対値が30ppm/℃以下である誘電体磁器組成物を提供することにある。また、このように、高いQ×f値と安定した共振周波数fの温度係数τを維持したまま、比誘電率εを20〜45の範囲で自由に調整できる誘電体磁器組成物を提供することにある。さらに、このような誘電体磁器組成物を焼成して得られる誘電体層とAg或いはCuを主成分とする内部電極とを有する積層フィルタや積層誘電体基板等の積層セラミック部品を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、一般式xCaNb−yZnTiNb−zTiOと表され、CaNb、ZnTiNb、TiOを頂点とする三角座標において下記組成点A、B、C、D
A; x=0、y=0.46、z=0.54
B; x=0、y=0.54、z=0.46
C; x=0.90、y=0、z=0.10
D; x=0.65、y=0、z=0.35
を頂点とする四角形の範囲内(但し、x=0またはy=0を除く)にある主成分100重量部に対して、ガラスを3重量部以上30重量部以下配合せしめてなる誘電体磁器組成物に関する。
【0010】
前記誘電体磁器組成物において、前記ガラスは、ZnO系ガラス、SiO系ガラス、B系ガラス、PbO系ガラス及びSiO、Al、ZnO、B、PbO、Bi、BaO、SrO、SnO、ZrOの群から選択される2種以上の金属酸化物からなるガラスから選択される少なくとも一種であることが好ましい。
【0011】
さらに、前記ガラスの成分が、SiOが2〜92wt%、Alが0〜15wt%、ZnOが0〜70wt%、Bが2〜40wt%、BaOが0〜10wt%、CaOが0〜2wt%であることが好ましい。
【0012】
また、本発明は、前記誘電体磁器組成物を800〜1000℃の焼成温度で焼成して得られる、CaNb(Fermsmite)ZnTiNb(Ixiolite)、及びTiO(Rutile)の各結晶相とガラス相とを含む誘電体磁器に関する。
【0013】
さらに、本発明は、複数の誘電体層と、該誘電体層間に形成された内部電極と、該内部電極に電気的に接続された外部電極とを備える積層セラミック部品において、前記誘電体層が前記の誘電体磁器組成物を焼成して得られる誘電体磁器にて構成され、前記内部電極がCu単体若しくはAg単体、又はCu若しくはAgを主成分とする合金材料にて形成されている積層セラミック部品に関する。
【0014】
本発明における誘電体磁器組成物は、1000℃以下の焼成温度で焼結ができるため、低抵抗導体であるAgやCu等と同時焼成が可能な磁器を提供することができる。また、本発明における誘電体磁器組成物を焼成することにより共振周波数f(GHz)とQ値の積であるQ×f値が9000(GHz)以上と大きい値を示し、誘電損失の小さい磁器を提供することができる。そして、本発明における誘電体磁器組成物は、共振周波数の温度変化率(τ)の絶対値が30ppm/℃以下の、温度による影響の少ない磁器を提供できる。更に、比誘電率εが20〜45程度で、本発明の誘電体磁器組成物を用いた高周波用素子や回路は小さくなりすぎることはなく適度な大きさに保つことが可能になり,加工精度や生産性の面で優れている。このように、高いQ×f値と安定した共振周波数fの温度係数τを維持したまま、比誘電率εを20〜45の範囲で自由に調整できる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の誘電体磁器組成物について具体的に説明する。
【0016】
図1に、本発明の誘電体磁器組成物主成分の範囲を示す三成分系組成図を示す。本発明の誘電体磁器組成物の主成分は、一般式xCaNb−yZnTiNb−zTiOと表され、図1に示すCaNb、ZnTiNb、TiOを頂点とする三角座標において下記組成点A、B、C、D
A; x=0、y=0.46、z=0.54
B; x=0、y=0.54、z=0.46
C; x=0.90、y=0、z=0.10
D; x=0.65、y=0、z=0.35
を頂点とする四角形の範囲内(但し、x=0またはy=0を除く)にある。
【0017】
主成分が、図1で示す前記B点とC点を結ぶ線上の組成よりzが小さくなると、焼成して得られる誘電体磁器の共振周波数の温度変化率(τ)の絶対値が30ppm/℃より大きくなるため好ましくない。また、主成分が、図1で示す前記D点とA点を結ぶ線上の組成よりzが大きくなると共振周波数の温度変化率(τ)の絶対値が30ppm/℃より大きくなるため好ましくない。
【0018】
また、本発明の誘電体磁器組成物を800〜1000℃の焼成温度で焼成する過程において、例えばZnTiO、ZnTiなどのZnとTiの化合物の結晶相が一部ガラス成分との反応で生じてもかまわず、同様な効果を示す。
【0019】
本発明の誘電体磁器組成物では、ガラス成分を所定量含有することを特徴とする。ここで、ガラスとは非結晶質の固体物質で、溶融により得られたものをいい粉末ガラスまたはガラス粉末とはガラスを粉砕して粉末状にしたものを指す。なお、ガラスの中に一部結晶化したものを含む結晶化ガラスもガラスに含まれる。
【0020】
本発明の誘電体磁器組成物に配合されるガラスとしては、ZnO系ガラス、SiO系ガラス、B系ガラス、PbO系ガラス、その他金属酸化物からなるガラスが挙げられる。ZnO系ガラスは、ZnOを含有するガラスであり、ZnO−Al−BaO−SiO、ZnO−Al−RO−SiO(但しここでROはNaO、KO)、などが例示される。SiO系ガラスは、SiOを含有するガラスであり、SiO−Al−RO、SiO−Al−BaO、などが例示される。B系ガラスはB−SiO−ZnO、B−Al−RO、などが例示される。PbO系ガラスは、PbOを含有するガラスであり、PbO−SiO、PbO−B、PbO−Pを含有するガラスや、RO−PbO−SiO,RO−CaO−PbO−SiO、RO−ZnO−PbO−SiO、RO−Al−PbO−SiOを含有するガラスなどが例示される。
【0021】
さらに、本発明に用いるガラスとしては、ZnO系ガラス、SiO系ガラスPbO系ガラスの他にも、各種金属酸化物からなるガラスも使用することができ、SiO、Al、ZnO、PbO、Bi、BaO、SrO、CaO、SnO、Bの群から選択される2種以上の金属酸化物からなるガラスも用いられる。ガラスは非晶質ガラスや結晶質ガラスのどちらを用いてもよい。PbOを含有すると焼成温度は低下する傾向にあるが、無負荷Q値が低下する傾向にあり、ガラス中のPbO成分の含有量は、30重量%以下が好ましい。また、ガラス中にZnOとAlとBaOとSiO及びBを成分とするガラスは、高い無負荷Q値を得ることができる点から本発明に用いるガラスとして特に好適である。
【0022】
特に好ましい具体的ガラス組成として、SiOが2〜92wt%、Alが0〜15wt%、ZnOが0〜70wt%、Bが2〜40wt%、BaOが0〜10wt%、CaOが0〜2wt%であるガラス組成物が例示される。このガラス組成物を使用すれば主成分との反応も少なく安定した特性の誘電体磁器を得ることができる。
【0023】
本発明の誘電体磁器組成物は,セラミックスの母材となる前記主成分100重量部に対して、ガラス成分量が3重量部未満では焼成温度が1000℃を超えて高くなり、30重量部を超える場合にはQ×f値が9000(GHz)より小さくなるか、あるいはガラスが溶出して良好な焼結体を得ることができなくなるため好ましくない。ガラスの含有量は、さらに好ましくは、4重量部〜20重量部であり、焼成温度が低く、特に低融点金属であるAgと同時焼成する場合においてマイグレーション等の不具合が生じにくくなるとともに、Q×f値が高い利点がある。
【0024】
本発明の誘電体磁器は、前記誘電体磁器組成物の紛末を、好ましくは800〜1000℃で焼成することにより得られる。得られる誘電体磁器は、CaNb(Fermsmite)、ZnTiNb(Ixiolite)、及びTiO(Rutile)の各結晶相とガラス相とを含む。焼成後の誘電体磁器の結晶相及びガラス相の組成は、前記誘電体磁器組成物を構成する結晶成分とガラス成分の各組成に近いが、焼成時に、結晶粒子の表面とガラス成分とが一部反応することにより、強固な焼結体を形成すると共に、前記のようにZnTiO、ZnTiなどのZnとTiの化合物の結晶相を生成することもある。
【0025】
本発明の誘電体磁器は、共振周波数f(GHz)とQ値の積であるQ×f値が9000(GHz)以上と大きい値を示し、誘電損失の小さい磁器を提供することができる。また、共振周波数の温度変化率(τ)の絶対値が30ppm/℃以下の、温度による影響が少なく、更に、比誘電率εが20〜45程度で容易に調整でき、本発明の誘電体磁器を用いた高周波用素子や回路は小さくなりすぎることはなく適度な大きさに保つことが可能になり、加工精度や生産性の面で優れている。
【0026】
本発明の誘電体磁器組成物及びこれを焼成して得られる誘電体磁器の好適な製造方法の一例を次に示す。本発明の誘電体磁器組成物の主成分を構成するCaNbの粉末は、酸化ニオブ(Nb)、炭酸カルシウム(CaCO)の各粉末を1:1のモル比で、水、アルコール等の溶媒と共に湿式混合し、続いて、水、アルコールを除去した後、大気雰囲気中にて800〜1200℃の温度で2時間仮焼することにより得られる。
【0027】
また、同様に、本発明の誘電体磁器組成物の主成分を構成するZnTiNbの粉末は、酸化亜鉛(ZnO)、酸化チタン(TiO)、及び酸化ニオブ(Nb)の各粉末を1:1:1のモル比で、水、アルコール等の溶媒と共に湿式混合し、続いて、水、アルコールを除去した後、大気雰囲気中にて800〜1200℃の温度で2時間仮焼することにより得られる。
【0028】
本発明の誘電体磁器組成物は、このようにして得られたCaNb仮焼粉末とZnTiNb仮焼粉末に酸化チタン(TiO)粉末と所定量のガラス粉末を混合することにより得られる。
【0029】
本発明の誘電体磁器を得る場合の好ましい製法としては、上記のようにして得られたCaNb仮焼粉末とZnTiNb仮焼粉末に酸化チタン(TiO)粉末と所定量のガラス粉末を加え、水、アルコール等の溶媒と共に湿式混合し、続いて、水、アルコールを除去した後、得られた粉末にポリビニルアルコールの如き有機バインダー及び水を混合して均質にし、乾燥、粉砕した後、加圧成形(圧力10〜100MPa程度)する。そして得られた成型物を空気の如き酸素含有ガス雰囲気下にて800〜1000℃で焼成することにより本発明の誘電体磁器が得られる。なお、亜鉛、チタン、ニオブ、カルシウムの原料としては、ZnO、TiO、Nb、CaCOの酸化物の他に、仮焼時に酸化物となる炭酸塩、水酸化物、有機金属化合物等を使用することができる。
【0030】
図2にこのようにして得られた本発明のCaNbO−ZnTiNb−TiOの結晶、及びガラス相からなる誘電体磁器組成物のX線回折図を示す。なお、出発原料を酸化物とした製造方法、或いは出発原料として仮焼時に酸化物となる炭酸塩、水酸化物、有機金属化合物等を用いた製造方法を用いた場合においても、前記のような目的とする結晶構造を得ることが可能である。
【0031】
本発明の誘電体磁器組成物は、適当な形状、及びサイズに成形、焼成、加工することにより誘電体共振器として利用できる。また、本発明の誘電体磁器組成物にポリビニルブチラール等の樹脂、フタル酸ジブチル等の可塑剤、及びトルエン等の有機溶剤とを混合した後、ドクターブレード法等によるシート成形を行い、得られたシートと導体とを積層化、一体焼成することにより、各種積層セラミック部品を製造することができる。積層セラミック部品としては積層セラミックコンデンサ、LCフィルタ、誘電体基板などが挙げられる。
【0032】
本発明の積層セラミック部品は、複数の誘電体層と、該誘電体層間に形成された内部電極と、該内部電極に電気的に接続された外部電極とを備えており、前記誘電体層が前記誘電体磁器組成物を焼成して得られる誘電体磁器にて構成され、前記内部電極がCu単体若しくはAg単体、又はCu若しくはAgを主成分とする合金材料にて形成されている。本発明の積層セラミック部品は、誘電体磁器組成物を含有する誘電体層と、Cu単体若しくはAg単体、又はCu若しくはAgを主成分とする合金材料とを同時焼成することにより得られる。
【0033】
上記積層セラミック部品の実施形態の一例として、例えば図3に示したトリプレートタイプの共振器が挙げられる。
【0034】
図3は、本発明に係る実施形態の一例であるトリプレートタイプの共振器を示す模式的斜視図である。図3に示すように、トリプレートタイプの共振器は、複数の誘電体層と、該誘電体層間に形成された内部電極2と、該内部電極に電気的に接続された外部電極3とを備える積層セラミック部品である。トリプレートタイプの共振器は、内部電極2を中央部に配置して複数枚の誘電体層1を積層して得られる。内部電極2は、図3に示した第1の面Aからこれに対向する第2の面Bまで貫通するように形成されており、第1の面Aのみ開放面で、第1の面Aを除く共振器の5面には外部電極3が形成されており、第2の面Bにおいて内部電極2と外部電極3が接続されている。内部電極2の材料は、CuまたはAgあるいは、それらを主成分として構成されている。本発明の誘電体磁器組成物では低温で焼成が可能なため、これらの内部電極の材料が使用できる。
【0035】
【実施例】
実施例1
CaCOとNbのモル比が1:1の割合になるように各粉末を秤量した後、エタノール、ZrOボールと共にボールミルに入れ、24時間湿式混合した後に溶媒を脱媒乾燥した。続いて、ZnOとTiOとNbのモル比が1:1:1の割合になるように各粉末を秤量した後、エタノール、ZrOボールと共にボールミルに入れ、24時間湿式混合した後に溶媒を脱媒乾燥した。各々の乾燥後の混合粉末を大気雰囲気中にて1100℃の温度で2時間仮焼してCaNbO、ZnTiNbの各結晶粉末を得た。続いて、得られたCaNbO粉末、ZnTiNb粉末とTiOの粉末とをCaNbOが20mol%,ZnTiNbが35mol%、TiOが45mol%となるように各粉末を秤量して主成分母材とした。
【0036】
さらに、この主成分母材100重量部に対して、SiOが8.0wt%、Alが15.0wt%、ZnOが63.0wt%、BaOが5.8wt%、CaOが1.2wt%、Bが7.0wt%で構成されているガラス粉末が4.3重量部となるように、前記主成分母材の粉末と前記ガラス粉末とを所定量(全量として150g)を秤量し、エタノール、ZrOボールと共にボールミルに入れ、24時間湿式混合した後、溶媒を脱媒乾燥した。
【0037】
得られた混合粉を粉砕した後、適量のポリビニルアルコール溶液を加えて乾燥した後に直径10mm、厚さ4mmのペレットに成形し、空気雰囲気中、880℃の温度で2時間焼成して本発明の組成を有する誘電体磁器を得た。
【0038】
こうして得られた磁器組成物のセラミックスを、直径8mm、厚み3mmの大きさに加工した後、誘電共振法によって測定し、共振周波数5〜8GHzにおけるQ×f値、比誘電率ε、及び共振周波数の温度係数τを求めた。その結果を表1に示す。
【0039】
また、前記主成分母材とガラス粉末とを混合、脱媒して得られた乾燥混合粉100gに対して、結合剤としてポリビニルブチラール9g、可塑剤としてフタル酸ジブチル6g及び溶剤としてトルエン60gとイソプロピルアルコール30gを添加しドクターブレード法により厚さ100μmのグリーンシートを作製した。特定のグリーンシートの表面には、スクリーン印刷機を用いてAg電極を所定の電極パターンに印刷した。内部電極としてAgを印刷した層が厚み方向の中央部にくるように配置し、グリーンシートを、65℃の温度で20MPaの圧力を加える熱圧着により、20層積層した。得られた積層体を880℃で2時間焼成した後、幅5.0mm、高さ1.6mm、長さ6mmに加工し、外部電極を形成して図3に示すようなトリプレートタイプの共振器を作製した。
【0040】
得られたトリプレートタイプの共振器について共振周波数2GHzで無負荷Q値を評価した。その結果、焼成温度は900℃で、比誘電率ε37、共振周波数の温度係数τは6ppm/℃で無負荷Q値は230であった。このように、本発明に係る誘電体磁器組成物を使用することにより、優れた特性を有するトリプレートタイプの共振器が得られた。
【0041】
【表1】
Figure 2005008468
【0042】
実施例2〜13
実施例1と同様の方法にて、得られた主成分母材粉末及びガラス粉末を表1に示した組成比になるように配合し、混合後、実施例1と同一条件で成形し、空気雰囲気下において、表1に示したように880℃〜900℃の温度にて2時間焼成して誘電体磁器を作製し、実施例1と同様な方法で特性を評価した。その結果を表1に示す。実施例6で得られた誘電体磁器のX線回折図を図2に示す。
【0043】
参考例1〜4
参考までに、本発明の主成分の範囲の基準となる2成分の組成点A,B,C,Dの配合で、実施例1と同様に誘電体磁器を作製し、特性を測定した。結果を表1に示す。
【0044】
比較例1〜9
実施例1と同様の方法で、得られた主成分母材粉末及びガラス粉末を表1に示した配合量で混合後、実施例1と同一条件で成形し、空気雰囲気下において表1に示したように880〜900℃の温度にて2時間焼成して誘電体磁器を作製し、実施例1と同様な方法で特性を評価した。その結果を表1に示す。
【0045】
実施例14〜16、比較例10
主成分である母材粉末100重量部に対しガラス粉末を10重量部とし、得られた主成分母材粉末及びガラス粉末を表1に示した配合量で混合後、実施例1と同一条件で成形し、空気雰囲気下において表1に示したように860℃の温度にて2時間焼成して誘電体磁器を作製し、実施例1と同様な方法で特性を評価した。その結果を表1に示す。
【0046】
実施例17、比較例11、12
主成分である母材粉末100重量部に対しガラス粉末を20〜60重量部とし、得られた主成分母材粉末及びガラス粉末を表1に示した配合量で混合後、実施例1と同一条件で成形し、空気雰囲気下において表1に示したように860℃の温度にて2時間焼成して誘電体磁器を作製し、実施例1と同様な方法で特性を評価した。その結果を表1に示す。ガラス量が多いとQ×f値が低下し、さらに、ガラス量が多いと比較例12のようにガラスが溶出した。
【0047】
実施例18,19
実施例1とは別の組成のガラス粉末を使用し、主成分母材粉末及びガラス粉末を表1に示した配合量で混合後、実施例1と同一条件で成形し、空気雰囲気下において表1に示したように860〜880℃の温度にて2時間焼成して誘電体磁器を作製し、実施例1と同様な方法で特性を評価した。その結果を表1に示す。
【0048】
【発明の効果】
本発明によれば、1000℃以下の焼成温度で焼結が可能であり、比誘電率εが20〜45程度で、高周波領域でのQ値が大きく、更に共振周波数の温度変化率(τ)の絶対値が30ppm/℃以下の誘電体磁器の得られる誘電体磁器組成物を提供することができる。本発明の3成分からなる主成分を使用することで、Q×f値が大きく、τの絶対値が小さいまま、比誘電率を20〜45の範囲で容易に調整することが可能である。また、1000℃以下の焼成温度で焼結ができるため、焼成に要する電力費が低減されるとともに、比較的安価で低抵抗導体であるAgやCu等と同時焼成が可能であり、さらにこれを内部電極とした積層部品を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の誘電体磁器組成物主成分の範囲を示す三成分系組成図である。
【図2】実施例6で得られた本発明の誘電体磁器のX線回折図である。
【図3】本発明に係る積層セラミック部品の実施形態の模式的斜視図である。
【符号の説明】
1 誘電体層
2 内部電極
3 外部電極

Claims (5)

  1. 一般式xCaNb−yZnTiNb−zTiOと表され、CaNb、ZnTiNb、TiOを頂点とする三角座標において下記組成点A、B、C、D
    A; x=0、y=0.46、z=0.54
    B; x=0、y=0.54、z=0.46
    C; x=0.90、y=0、z=0.10
    D; x=0.65、y=0、z=0.35
    を頂点とする四角形の範囲内(但し、x=0またはy=0を除く)にある主成分100重量部に対して、ガラスを3重量部以上30重量部以下配合せしめてなる誘電体磁器組成物。
  2. 前記ガラスが、ZnO系ガラス、SiO系ガラス、B系ガラス、PbO系ガラス及びSiO、Al、ZnO、B、PbO、Bi、BaO、SrO、SnO、ZrOの群から選択される2種以上の金属酸化物からなるガラスから選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項1記載の誘電体磁器組成物。
  3. 前記ガラスの成分が、SiOが2〜92wt%、Alが0〜15wt%、ZnOが0〜70wt%、Bが2〜40wt%、BaOが0〜10wt%、CaOが0〜2wt%であることを特徴とする請求項1記載の誘電体磁器組成物。
  4. 請求項1〜3記載の誘電体磁器組成物を800〜1000℃の焼成温度で焼成して得られる、CaNb(Fermsmite)、ZnTiNb(Ixiolite)、及びTiO(Rutile)の各結晶相とガラス相とを含む誘電体磁器。
  5. 複数の誘電体層と、該誘電体層間に形成された内部電極と、該内部電極に電気的に接続された外部電極とを備える積層セラミック部品において、前記誘電体層が前記請求項1記載の誘電体磁器組成物を焼成して得られる誘電体磁器にて構成され、前記内部電極がCu単体若しくはAg単体、又はCu若しくはAgを主成分とする合金材料にて形成されていることを特徴とする積層セラミック部品。
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