JP2005008066A - 車輌の旋回特性推定装置 - Google Patents

車輌の旋回特性推定装置 Download PDF

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Abstract

【課題】実旋回状態量の変化度合が小さい場合や旋回特性の推定に悪影響を及ぼす変量が大きい場合にも、正確に且つ確実に車輌の旋回特性を推定する。
【解決手段】車輌が旋回を開始すると(S20)、ヨーレートγの変化度合が小さいほど大きくなり、車速の変化度合や路面のカントが大きいほど小さくなるよう、忘却係数αが設定され(S40〜100)、操舵角θの如き旋回走行データに基づいて各制御サイクル毎に伝達関数を推定するためのパラメータa及びbが忘却係数をαとして演算されることによりスタビリティファクタKhの推定値Khj及び旋回応答時定数係数Tpの推定値Tpjが演算され(S110)、車輌が旋回を終了すると(S120)、推定値Khj及びTpjに基づきスタビリティファクタKh及び旋回応答時定数係数Tpが演算される(S130)。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車輌の旋回特性推定装置に係り、更に詳細には車輌が旋回する際の規範旋回状態量と実旋回状態量との間の伝達関数を推定し、該伝達関数に基づき車輌の旋回特性を推定する車輌の旋回特性推定装置に係る。
【0002】
【従来の技術】
自動車等の車輌の旋回特性を推定する車輌の旋回特性推定装置の一つとして、例えば下記の特許文献1に記載されている如く、車輌の走行中にセンサにより車速、操舵角、ヨーレートを検出し、これらの検出値に基づき車輌の旋回特性としてスタビリティファクタを推定する車輌の旋回特性推定装置が従来より知られている。
【0003】
かかる旋回特性推定装置によれば、車輌の実際の旋回状況に基づきスタビリティファクタが推定されるので、一定値に設定されたスタビリティファクタを使用して車輌の規範ヨーレートが演算される場合に比して、規範ヨーレートを正確に演算し、これにより規範ヨーレート及び車輌の実際のヨーレートに基づく車輌の制御を正確に実行することができる。
【特許文献1】
特開平10−258720号公報
【特許文献2】
特願2002−187678号明細書及び図面
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし上述の如く車輌の実際の旋回状況に基づきスタビリティファクタを推定する従来の旋回特性推定装置に於いては、車輌の定常旋回状態が継続しヨーレートの変化が小さい場合、車速の変化が大きい場合、路面のカントが大きい場合の如く、車輌の旋回走行状況によってはスタビリティファクタを正確に推定することが困難である。
【0005】
この問題は、例えば本願出願人の出願にかかる出願公開前の上記特許文献2に記載されている如く、車輌の規範ヨーレートと車輌の実際のヨーレートとの間の伝達関数を一次遅れの伝達関数として推定し、該伝達関数に基づきスタビリティファクタの如き車輌の旋回特性を推定する場合に特に顕著である。
【0006】
本願発明者は、上述の問題について鋭意検討を行った結果、特に上述の先願の方法の具体例に於いては、規範ヨーレートから実ヨーレートヘの伝達関数を特定する場合に一次遅れ系の伝達関数が仮定され、その伝達関数が離散系の伝達関数に変換され、そのパラメータが一定の複数データ数の規範ヨーレート及び実ヨーレートに基づきARXモデル等によって推定されることにより規範ヨーレートから実ヨーレートヘの伝達関数が特定されると共にスタビリティファクタが推定されるが、ヨーレートの変化が小さい場合には、伝達関数を特定するパラメータを演算するための連立方程式が同様のものになるため、最小二乗法では伝達関数を特定するパラメータの解が得られ難くなり、演算が不安定になることが上述の問題の原因であることを究明した。
【0007】
また本願発明者は、車速の変化が大きい場合や路面のカントが大きい場合には、規範ヨーレートや実ヨーレートに車速の変化やカントに起因する誤差成分が混入し、そのため伝達関数を特定するパラメータの推定値が真値よりずれてしまい、これに起因して伝達関数及びスタビリティファクタを正確に特定することができなくなることが上述の問題の原因であることを究明した。
【0008】
本発明は、車輌が旋回走行する際の規範旋回状態量と実旋回状態量との間の伝達関数を推定し、該伝達関数に基づき車輌の旋回特性を推定する際に於ける上述の如き問題に鑑みてなされたものであり、本発明の主要な課題は、伝達関数の推定に供される規範旋回状態量及び実旋回状態量のデータ数を車輌の旋回走行状況に応じて変更することにより、車輌の旋回走行状況に拘らず、特に実旋回状態量の変化の度合が小さい場合や旋回特性の推定に悪影響を及ぼす変量が大きい場合にも、従来に比して正確に且つ確実に車輌の旋回特性を推定することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上述の主要な課題は、本発明によれば、車輌が旋回する際の車輌走行データに基づき規範旋回状態量を推定し、規範旋回状態量と実旋回状態量との間の伝達関数を推定し、該伝達関数に基づき車輌の旋回特性を推定する車輌の旋回特性推定装置であって、前記実旋回状態量の変化の度合が小さいときには前記実旋回状態量の変化の度合が大きいときに比して前記伝達関数の推定に供される前記規範旋回状態量及び前記実旋回状態量のデータ数を増大させることを特徴とする車輌の旋回特性推定装置(請求項1)又は車輌が旋回する際の車輌走行データに基づき規範旋回状態量を推定し、規範旋回状態量と実旋回状態量との間の伝達関数を推定し、該伝達関数に基づき車輌の旋回特性を推定する車輌の旋回特性推定装置であって、前記旋回特性の推定に悪影響を及ぼすパラメータが大きいときには前記パラメータが小さいときに比して前記伝達関数の推定に供される前記規範旋回状態量及び前記実旋回状態量のデータ数を低減することを特徴とする車輌の旋回特性推定装置(請求項4)によって達成される。
【0010】
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1の構成に於いて、前記実旋回状態量の変化の度合が小さいときには前記実旋回状態量の変化の度合が大きいときに比して前記伝達関数の推定に於ける忘却係数を大きくすることにより前記データ数を増大させるよう構成される(請求項2の構成)。
【0011】
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項2の構成に於いて、車輌が旋回する際の車輌走行データに基づき所定の時間毎に規範旋回状態量を推定し、所定の時間毎に複数データ数の規範旋回状態量及び実旋回状態量に基づき規範旋回状態量と実旋回状態量との間の伝達関数を推定するためのパラメータを演算し、該パラメータに基づき車輌の旋回特性を推定し、前記実旋回状態量の変化の度合が小さいときには前記実旋回状態量の変化の度合が大きいときに比して前記パラメータの演算に於ける忘却係数を大きくすることにより前記データ数を増大させるよう構成される(請求項3の構成)。
【0012】
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項4の構成に於いて、前記旋回特性の推定に悪影響を及ぼす変量が大きいときには前記変量が小さいときに比して前記伝達関数の推定に於ける忘却係数を小さくすることにより前記データ数を低減するよう構成される(請求項5の構成)。
【0013】
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項5の構成に於いて、車輌が旋回する際の車輌走行データに基づき所定の時間毎に規範旋回状態量を推定し、所定の時間毎に複数データ数の規範旋回状態量及び実旋回状態量に基づき規範旋回状態量と実旋回状態量との間の伝達関数を推定するためのパラメータを演算し、該パラメータに基づき車輌の旋回特性を推定し、前記変量が大きいときには前記変量が小さいときに比して前記パラメータの演算に於ける忘却係数を小さくすることにより前記データ数を低減するよう構成される(請求項6の構成)。
【0014】
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項4乃至6の構成に於いて、前記変量は車速の変化の度合であるよう構成される(請求項7の構成)。
【0015】
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項4乃至6の構成に於いて、前記変量は路面のカントであるよう構成される(請求項8の構成)。
【0016】
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1乃至8の構成に於いて、前記規範旋回状態量は車輌の規範ヨーレートであり、前記実旋回状態量は車輌の実ヨーレートであるよう構成される(請求項9の構成)。
【0017】
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1乃至9の構成に於いて、車輌の旋回特性はスタビリティファクタを含むよう構成される(請求項10の構成)。
【0018】
【発明の作用及び効果】
上記請求項1の構成によれば、車輌が旋回する際の車輌走行データに基づき規範旋回状態量が推定され、規範旋回状態量と実旋回状態量との間の伝達関数が推定され、該伝達関数に基づき車輌の旋回特性が推定されるが、実旋回状態量の変化の度合が小さいときには実旋回状態量の変化の度合が大きいときに比して伝達関数の推定に供される規範旋回状態量及び実旋回状態量のデータ数が増大されるので、実旋回状態量の変化の度合が小さい状況に於いてもデータ数が増大されない従来の旋回特性推定装置の場合に比して、規範旋回状態量と実旋回状態量との間の伝達関数を正確に且つ確実に推定することができ、これにより車輌の旋回特性を正確に且つ確実に推定することができる。
【0019】
また上記請求項2の構成によれば、実旋回状態量の変化の度合が小さいときには実旋回状態量の変化の度合が大きいときに比して伝達関数の推定に於ける忘却係数を大きくすることによりデータ数が増大されるので、実旋回状態量の変化の度合が小さいときには実旋回状態量の変化の度合が大きいときに比して伝達関数の推定に供される規範旋回状態量及び実旋回状態量のデータ数を確実に増大させることができる。
【0020】
また上記請求項3の構成によれば、車輌が旋回する際の車輌走行データに基づき所定の時間毎に規範旋回状態量が推定され、所定の時間毎に複数データ数の規範旋回状態量及び実旋回状態量に基づき規範旋回状態量と実旋回状態量との間の伝達関数を推定するためのパラメータが演算され、該パラメータに基づき車輌の旋回特性が推定され、実旋回状態量の変化の度合が小さいときには実旋回状態量の変化の度合が大きいときに比して前記パラメータの演算に於ける忘却係数を大きくすることによりデータ数が増大されるので、実旋回状態量の変化の度合が小さいときにも伝達関数を推定するためのパラメータを正確に且つ確実に演算することができ、これにより車輌の旋回特性を正確に且つ確実に推定することができる。
【0021】
また上記請求項4の構成によれば、車輌が旋回する際の車輌走行データに基づき規範旋回状態量が推定され、規範旋回状態量と実旋回状態量との間の伝達関数が推定され、該伝達関数に基づき車輌の旋回特性が推定されるが、旋回特性の推定に悪影響を及ぼす変量が大きいときには前記変量が小さいときに比して伝達関数の推定に供される規範旋回状態量及び実旋回状態量のデータ数が低減されるので、旋回特性の推定に悪影響を及ぼす変量が大きいときにはその影響を確実に低減することができ、これにより旋回特性の推定に悪影響を及ぼす変量が大きいときにも規範旋回状態量及び実旋回状態量のデータ数が低減されない従来の旋回特性推定装置の場合に比して、規範旋回状態量と実旋回状態量との間の伝達関数を正確に且つ確実に推定することができ、これにより車輌の旋回特性を正確に且つ確実に推定することができる。
【0022】
また上記請求項5の構成によれば、旋回特性の推定に悪影響を及ぼす変量が大きいときには前記変量が小さいときに比して伝達関数の推定に於ける忘却係数を小さくすることによりデータ数が低減されるので、旋回特性の推定に悪影響を及ぼす変量が大きいときには前記変量が小さいときに比して伝達関数の推定に供される規範旋回状態量及び実旋回状態量のデータ数を確実に低減することができる。
【0023】
また上記請求項6の構成によれば、車輌が旋回する際の車輌走行データに基づき所定の時間毎に規範旋回状態量が推定され、所定の時間毎に複数データ数の規範旋回状態量及び実旋回状態量に基づき規範旋回状態量と実旋回状態量との間の伝達関数を推定するためのパラメータが演算され、該パラメータに基づき車輌の旋回特性が推定され、旋回特性の推定に悪影響を及ぼす変量が大きいときには該変量が小さいときに比して前記パラメータの演算に於ける忘却係数を小さくすることによりデータ数が低減されるので、旋回特性の推定に悪影響を及ぼす変量が大きいときにも伝達関数を推定するためのパラメータを正確に且つ確実に演算することができ、これにより車輌の旋回特性を正確に且つ確実に推定することができる。
【0024】
また上記請求項7の構成によれば、前記変量は車速の変化の度合であるので、車速の変化の度合が大きい場合に、そのことが原因で車輌の旋回特性が不正確に推定される虞れを確実に低減することができる。
【0025】
また上記請求項8の構成によれば、前記変量は路面のカントであるので、路面のカントが大きい場合に、そのことが原因で車輌の旋回特性が不正確に推定される虞れを確実に低減することができる。
【0026】
また上記請求項9の構成によれば、規範旋回状態量は車輌の規範ヨーレートであり、実旋回状態量は車輌の実ヨーレートであるので、車輌の旋回走行状況に拘らず、規範ヨーレートと実ヨーレートとの間の伝達関数を正確に且つ確実に推定することができ、これによりスタビリティファクタの如き車輌の旋回特性を正確に且つ確実に推定することができる。
【0027】
また上記請求項10の構成によれば、車輌の旋回特性はスタビリティファクタを含むので、車輌の旋回走行状況に拘らず、車輌の旋回特性としてスタビリティファクタを正確に且つ確実に推定することができる。
【0028】
【課題解決手段の好ましい態様】
図6に示された車輌の二輪モデルに於いて、車輌の質量及びヨー慣性モーメントをそれぞれM及びIとし、車輌の横加速度をGyとし、前輪100f及び後輪100rのコーナリングフォースをそれぞれFf及びFrとし、前輪100fの実舵角をδとし、車輌の重心102と前輪車軸及び後輪車軸との間の距離をそれぞれLf及びLrとし、車輌のホイールベースをL(=Lf+Lr)とし、車輌のヨーレートをγとし、前輪及び後輪のスリップ角をそれぞれβf及びβrとし、前輪及び後輪のコーナリングパワーをKf及びKrとし、車体のスリップ角をβとし、車速をVとし、車輌のヨー角速度(ヨーレートγの微分値)をγdとすると、車輌の力及びモーメントの釣合い等により下記の式1〜6が成立する。
MGy=Ff+Fr ……(1)
Iγd=LfFf−LbFr ……(2)
Ff=Kfβf ……(3)
Fr=Krβr ……(4)
βf=δ−β+(Lf/V)γ ……(5)
βr=−β+(Lr/V)γ ……(6)
【0029】
上記式1〜6より下記の式7が成立する。
【数1】
Figure 2005008066
【0030】
車速Vが実質的に一定であると仮定し、ラプラス演算子をsとして上記式7をラプラス変換し、ヨーレートγについて整理することにより、下記の式8〜10が得られる。
【数2】
Figure 2005008066
【0031】
上記式9のKhはスタビリティファクタであり、上記式10のTpは車速依存の時定数をもつ一次遅れ系の車速Vにかかる係数(本明細書に於いては操舵応答時定数係数と呼ぶ)である。これらの値は車輌のヨー運動に関する操舵応答を特徴付けるパラメータ、即ち車輌の旋回特性である。また上記式8は前輪の実舵角δ、車速V、横加速度Gyより車輌のヨーレートγを演算する式であり、この線形化モデルより演算されるヨーレートをヨーレートについての規範旋回状態量、即ち規範ヨーレートとする。
【0032】
上記式8に於けるスタビリティファクタKh及び操舵応答時定数係数Tpを推定するための推定モデルとして、ARXモデル(auto−regressive exogenous model)を使用し、推定アルゴリズムに逐次最小二乗法を使用する。上記式8により一次遅れ系であることが解っているので、u(k)を時刻kでの入力とし、y(k)を出力とし、e(k)を白色雑音として、ARXモデルを下記の式11の通りとする。
y(k)+ay(k−1)=bu(k)+e(k) ……(11)
【0033】
ここで時間シフトオペレータz−1を使用すると、上記式11は下記の式12の通り変形することができ、従って下記の式13が成立する。
【数3】
Figure 2005008066
【0034】
上記式13のu(k)に前輪の実舵角δ、車速V、横加速度Gyに基づいて上記式8に従って演算される規範ヨーレートを与え、y(k)に実ヨーレートγを与え、規範ヨーレートから実ヨーレートへの離散時間伝達関数のパラメータa及びbを推定することにより、上記式8に於けるスタビリティファクタKh及び操舵応答時定数係数Tpを推定することができる。
【0035】
即ち動特性に関して上記式13と上記式8とを比較すると、時定数をTとし、演算のサイクルタイムをτとして、下記の式14及び式15が成立し、よって下記の式16が成立するので、パラメータaを求めることにより操舵応答時定数係数Tpを求めることができる。尚時定数Tは車速Vに応じて変化し、式15は離散系のパラメータaと連続系の時定数Tとの関係を示している。
【数4】
Figure 2005008066
【0036】
またスタビリティファクタの初期値をKhiとし、真のスタビリティファクタをKhとして定常項に注目すると、規範ヨーレートγt及び実ヨーレートγについてそれぞれ下記の式17及び18が成立し、定常ゲインをGとすると、下記の式19及び20が成立する。
【数5】
Figure 2005008066
【0037】
上記式17及び18を上記式19に代入することにより下記の式21が成立し、下記の式21に上記式20を代入することにより下記の式22が成立し、よってパラメータa及びbを求めることによりスタビリティファクタKhを求めることができる。
【数6】
Figure 2005008066
【0038】
従って本発明の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1乃至10の構成に於いて、規範旋回状態量は車輌の規範ヨーレートであり、実旋回状態量は車輌の実ヨーレートであり、車輌の旋回特性はスタビリティファクタ及び操舵応答の時定数に関連する値であるよう構成される(好ましい態様1)。
【0039】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1乃至10の構成に於いて、規範ヨーレートより実ヨーレートへの伝達関数を推定するためのパラメータを演算し、そのパラメータに基づき車輌の旋回特性を推定するよう構成される(好ましい態様2)。
【0040】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記好ましい態様2の構成に於いて、規範ヨーレートγt及び実ヨーレートγに基づき上記式13に従ってパラメータa及びbを演算し、パラメータa及びbに基づき上記式22に従ってスタビリティファクタKhを演算し、パラメータaに基づき上記式16に従って操舵応答時定数係数Tpを演算するよう構成される(好ましい態様4)。
【0041】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1乃至3の構成に於いて、旋回特性の推定に悪影響を及ぼす変量が大きいときには前記変量が小さいときに比して伝達関数の推定に供される規範旋回状態量及び実旋回状態量のデータ数を低減するよう構成される(好ましい態様5)。
【0042】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記好ましい態様5の構成に於いて、旋回特性の推定に悪影響を及ぼす変量が大きいときには前記変量が小さいときに比して伝達関数の推定に於ける忘却係数を小さくすることによりデータ数を低減するよう構成される(好ましい態様6)。
【0043】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記好ましい態様6の構成に於いて、車輌が旋回する際の車輌走行データに基づき所定の時間毎に規範旋回状態量を推定し、所定の時間毎に複数データ数の規範旋回状態量及び実旋回状態量に基づき規範旋回状態量と実旋回状態量との間の伝達関数を推定するためのパラメータを演算し、該パラメータに基づき車輌の旋回特性を推定し、前記変量が大きいときには前記変量が小さいときに比して前記パラメータの演算に於ける忘却係数を小さくすることにより前記データ数を低減するよう構成される(好ましい態様7)。
【0044】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記好ましい態様7の構成に於いて、実旋回状態量の変化の度合が小さいときには実旋回状態量の変化の度合が大きいときに比して大きくなるよう実旋回状態量の変化の度合に基づく係数を演算し、旋回特性の推定に悪影響を及ぼす変量が大きいときには前記変量が小さいときに比して小さくなるよう変量に基づく係数を演算し、忘却係数の標準値と実旋回状態量の変化の度合に基づく係数と変量に基づく係数との積として忘却係数を演算するよう構成される(好ましい態様8)。
【0045】
【発明の実施の形態】
以下に添付の図を参照しつつ、本発明を好ましい実施の形態(以下単に実施形態という)について詳細に説明する。
【0046】
図1は本発明による車輌の挙動制御装置に適用された旋回特性推定装置の一つの実施形態を示す概略構成図である。
【0047】
図1に於いて、10FL及び10FRはそれぞれ車輌12の左右の前輪を示し、10RL及び10RRはそれぞれ左右の後輪を示している。操舵輪である左右の前輪10FL及び10FRは運転者によるステアリングホイール14の転舵に応答して駆動されるラック・アンド・ピニオン式のパワーステアリング装置16によりタイロッド18L 及び18R を介して操舵される。
【0048】
各車輪の制動力は制動装置20の油圧回路22によりホイールシリンダ24FR、24FL、24RR、24RLの制動圧が制御されることによって制御されるようになっている。図には示されていないが、油圧回路22はオイルリザーバ、オイルポンプ、種々の弁装置等を含み、各ホイールシリンダの制動圧は通常時には運転者によるブレーキペダル26の踏み込み操作に応じて駆動されるマスタシリンダ28により制御され、また必要に応じて後に説明する如く電子制御装置30により制御される。
【0049】
車輪10FR〜10RLのホイールシリンダにはそれぞれ対応するホイールシリンダの圧力Pi(i=fr、fl、rr、rl)を検出する圧力センサ32FR〜32RLが設けられ、ステアリングホイール14が連結されたステアリングコラムには操舵角θを検出する操舵角センサ34が設けられている。
【0050】
また車輌12にはそれぞれ車輌のヨーレートγを検出するヨーレートセンサ36、車輌の前後加速度Gxを検出する前後加速度センサ38、車輌の横加速度Gyを検出する横加速度センサ40が設けられている。尚操舵角センサ34、ヨーレートセンサ36及び横加速度センサ40は車輌の左旋回方向を正としてそれぞれ操舵角、ヨーレート及び横加速度を検出する。
【0051】
図示の如く、圧力センサ32FR〜32RLにより検出された圧力Piを示す信号、操舵角センサ34により検出された操舵角θを示す信号、ヨーレートセンサ36により検出されたヨーレートγを示す信号、前後加速度センサ38により検出された前後加速度Gxを示す信号、横加速度センサ40により検出された横加速度Gyを示す信号は電子制御装置30に入力される。
【0052】
尚図には詳細に示されていないが、電子制御装置30は例えばCPUとROMとEEPROMとRAMとバッファメモリと入出力ポート装置とを有し、これらが双方向性のコモンバスにより互いに接続された一般的な構成のマイクロコンピュータを含んでいる。EEPROMは上記式8による規範ヨーレートγ(s)の演算に使用されるスタビリティファクタKhの初期値Khi及び旋回応答時定数係数Tpの初期値Tpiを記憶しており、これらの初期値は車輌の出荷時に車輌毎に設定され、後に詳細に説明する如く車輌が旋回状態にあるときの車輌の走行データに基づいて演算される推定値に書き換えられることによって適宜更新される。
【0053】
電子制御装置30は、後述の如く図2に示されたフローチャートに従い、車輌が旋回を開始すると、操舵角の如き旋回走行データに基づいて各制御サイクル毎に上述の如く上記式13のパラメータa及びbを推定することによりスタビリティファクタKhの推定値Khj及び旋回応答時定数係数Tpの推定値Tpjを演算し、それらをバッファメモリに記憶する。
【0054】
尚バッファメモリは、車輌の旋回開始より旋回終了までを一旋回として各旋回毎にそれぞれ最大でn個のスタビリティファクタの推定値Khj及び旋回応答時定数係数の推定値Tpj(演算された順にj=1,2,…,n)を記憶し、n個以上の各推定値が演算されるようになると、最も古い推定値を破棄し、常にn個のスタビリティファクタの推定値Khj及び旋回応答時定数係数の推定値Tpjを記憶する。
【0055】
また電子制御装置30は、車輌の旋回が終了すると、最新の推定値を含む最大でn個の推定値Khjについて移動平均値Khaを演算してバッファメモリに記憶する(最大m個)。そして電子制御装置30は、最大でm個の移動平均値Khaの移動平均値Khaaを演算し、所定の条件が成立したときには、EEPROMに記憶されているスタビリティファクタの初期値Khiを移動平均値Khaaに書き換えて更新する。
【0056】
同様に、電子制御装置30は、車輌の旋回が終了すると、最新の推定値を含む最大でn個の推定値Tpjについて移動平均値Tpaを演算してバッファメモリに記憶する(最大m個)。そして電子制御装置30は、最大でm個の移動平均値Tpaの移動平均値Tpaaを演算し、所定の条件が成立したときには、EEPROMに記憶されている旋回応答時定数係数の初期値Tpiを移動平均値Tpaaに書き換えて更新する。
【0057】
また電子制御装置30は、EEPROMに記憶されているスタビリティファクタの初期値Khi及び最後に演算された移動平均値Khaの重みWk1及びWk2(それぞれ0以上1以下であり、それらの和は1である)に基づく重み和としてスタビリティファクタKhを演算し、EEPROMに記憶されている旋回応答時定数係数の初期値Tpi及び最後に演算された移動平均値Tpaの重みWt1及びWt2(それぞれ0以上1以下であり、それらの和も1である)に基づく重み和として旋回応答時定数係数Tpを演算し、これらのスタビリティファクタKh及び旋回応答時定数係数Tpを使用して上記式8に従って規範ヨーレートγ(s)を目標ヨーレートγtとして演算する。
【0058】
そして電子制御装置30は、ヨーレート検出値γと目標ヨーレートγtとの偏差としてヨーレート偏差Δγを演算し、該ヨーレート偏差Δγの大きさが上記基準値γo(正の値)を越えているか否かの判別により車輌の旋回挙動が悪化しているか否かを判定し、車輌の旋回挙動が悪化しているときには車輌の旋回挙動が安定化するよう挙動制御を実行する。
【0059】
次に図2に示されたフローチャートを参照して図示の実施形態に於けるスタビリティファクタKh及び操舵応答時定数係数Tpの推定演算ルーチンについて説明する。尚図2に示されたフローチャートによる制御は図には示されていないイグニッションスイッチの閉成により開始され、所定の時間毎に繰返し実行される。
【0060】
まずステップ10に於いては操舵角θを示す信号等の読み込みが行われ、ステップ20に於いては例えばヨーレートセンサ36により検出された車輌の実ヨーレートγの絶対値がその基準値γs(0に近い正の定数)未満の状況より基準値γs以上の状況へ変化したか否かの判別により、車輌が旋回を開始したか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ10へ戻り、肯定判別が行われたときにはステップ30へ進む。
【0061】
ステップ30に於いてはEEPROMに記憶されているスタビリティファクタKh、旋回応答時定数係数Tp等の初期値の読み込みが行われ、ステップ40に於いては例えばヨーレートセンサ36により検出された車輌の実ヨーレートγの時間微分値としてヨーレートの変化率γdが演算され、ステップ50に於いてはヨーレートの変化率γdの絶対値が小さいほど係数Kyが大きくなるよう、ヨーレートの変化率γdの絶対値に基づき図3に示されたグラフに対応するマップより係数Kyが演算される。
【0062】
ステップ60に於いては例えば車速センサ34により検出された車速Vの時間微分値として車速の変化率Vdが演算され、ステップ70に於いては車速の変化率Vdの絶対値が大きいほど係数Kvが小さくなるよう、車速の変化率Vdの絶対値に基づき図4に示されたグラフに対応するマップより係数Kvが演算される。
【0063】
ステップ80に於いては例えば車輌の実ヨーレートγと車速Vとの積と車輌の横加速度Gyとの偏差Gy−γVのロータパスフィルタ処理値の如く、当技術分野に於いて公知の要領にて路面のカントCが演算され、ステップ90に於いては路面のカントCの絶対値が大きいほど係数Kcが小さくなるよう、路面のカントCの絶対値に基づき図5に示されたグラフに対応するマップより係数Kcが演算される。
【0064】
ステップ100に於いては忘却係数の標準値をαo(0.5よりも大きく1よりも小さい正の定数)として下記の式23に従って忘却係数αが係数Ky、Kv、Kcと標準値αoとの積として演算される。尚忘却係数αはパラメータa及びb等の演算が不安定にならないよう、0<α≦1を満たす値に演算される。また下記の式23に従って演算された忘却係数αは所定の下限値以下にならないよう下限ガード処理に付されてもよい。
α=Ky・Kv・Kc・αo ……(23)
【0065】
ステップ110に於いてはステアリングギヤ比をNsとして前輪の実舵角δがθ/Nsにて演算され、忘却係数をαとして上記式13に於ける内部演算パラメータa及びbが推定されることにより、それぞれ上記式22及び16により表わされるスタビリティファクタKh及び操舵応答時定数係数Tpが演算され、それぞれKhk及びTpk(演算された順にk=1,2,…)としてバッファメモリに記憶される。
【0066】
ステップ120に於いては例えば車輌の実ヨーレートγの絶対値がその基準値γs未満になったか否かの判別により、車輌の旋回が終了したか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ40へ戻り、肯定判別が行われたときにはステップ130へ進む。
【0067】
尚図示の実施形態に於いては、車輌の旋回が開始し終了したか否かの判別は車輌の実ヨーレートγを旋回判定指標値として行われるようになっているが、操舵角θ(又は前輪の実舵角δ)又は車輌の横加速度Gyを旋回判定指標値として行われてもよく、また実ヨーレートγ、操舵角θ(又は前輪の実舵角δ)、車輌の横加速度Gyの少なくとも二つの値の組合せを旋回判定指標値として行われてもよい。
【0068】
ステップ130に於いては上記ステップ110に於いて演算された最大でn個のスタビリティファクタKh及び旋回応答時定数係数Tpの推定値Khj及びTpjについてそれぞれ移動平均値Kha及びTpaが演算され、最大でm個の移動平均値Kha及びTpaの移動平均値Khaa及びTpaaが演算され、所定の条件が成立したときには、EEPROMに記憶されているスタビリティファクタの初期値Khi及び旋回応答時定数係数の初期値Tpiがそれぞれ移動平均値Khaa及びTpaaに書き換えられることにより更新される。
【0069】
以上の説明より解る如く、図示の実施形態によれば、車輌が旋回を開始しステップ20に於いて肯定判別が行われると、ステップ110に於いて操舵角θの如き旋回走行データに基づいて各制御サイクル毎に上述の如く上記式13のパラメータa及びbが推定されることによりスタビリティファクタKhの推定値Khj及び旋回応答時定数係数Tpの推定値Tpjが演算され、それらの推定値がバッファメモリに記憶される。
【0070】
そして車輌が旋回を終了しステップ120に於いて肯定判別が行われると、ステップ130に於いて最大でn個のスタビリティファクタKh及び旋回応答時定数係数Tpの推定値Khj及びTpjについてそれぞれ移動平均値Kha及びTpaが演算され、最大でm個の移動平均値Kha及びTpaの移動平均値Khaa及びTpaaが演算され、所定の条件が成立したときには、EEPROMに記憶されているスタビリティファクタの初期値Khi及び旋回応答時定数係数の初期値Tpiがそれぞれ移動平均値Khaa及びTpaaに書き換えられることにより更新される。
【0071】
特にステップ40及び50に於いてヨーレートの変化率γdの絶対値が小さいほど係数Kyが大きくなるよう、ヨーレートの変化率γdの絶対値に基づき係数Kyが演算され、ステップ60及び70に於いて車速の変化率Vdの絶対値が大きいほど係数Kvが小さくなるよう、車速の変化率Vdの絶対値に基づき係数Kvが演算され、ステップ80及び90に於いて路面のカントCの絶対値が大きいほど係数Kcが小さくなるよう、路面のカントCの絶対値に基づき係数Kcが演算され、ステップ100に於いて忘却係数αが係数Ky、Kv、Kcと標準値αoとの積として演算され、ステップ110に於いて忘却係数をαとして上記式13に於ける内部演算パラメータa及びbが推定されることにより、スタビリティファクタKhの推定値Khj及び旋回応答時定数係数Tpの推定値Tpjが演算される。
【0072】
従って図示の実施形態によれば、実ヨーレートγの変化の度合が小さいときには実ヨーレートγの変化の度合が大きいときに比して伝達関数を推定するためのパラメータa及びbの演算に供される規範ヨーレートγt及び実ヨーレートγのデータ数を確実に増大させることができ、実ヨーレートγの変化の度合が小さい状況に於いてもデータ数が増大されない従来の旋回特性推定装置の場合に比して、パラメータa及びbを正確に且つ確実に推定することができ、これにより車輌の旋回特性としてのスタビリティファクタKh及び操舵応答時定数係数Tpを正確に且つ確実に推定することができる。
【0073】
また図示の実施形態によれば、旋回特性の推定に悪影響を及ぼす変量である車速の変化率Vd若しくは路面のカントCの大きさが大きいときには、これらの変量が小さいときに比して伝達関数を推定するためのパラメータa及びbの演算に供される規範ヨーレートγt及び実ヨーレートγのデータ数を確実に低減することができ、旋回特性の推定に悪影響を及ぼす変量が大きいときにもデータ数が低減されない従来の旋回特性推定装置の場合に比して、変量による悪影響を低減してパラメータa及びbを正確に且つ確実に推定することができ、これにより車輌の旋回特性としてのスタビリティファクタKh及び操舵応答時定数係数Tpを正確に且つ確実に推定することができる。
【0074】
以上に於いては本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
【0075】
例えば上述の実施形態に於いては、ステップ40及び50に於いてヨーレートの変化率γdの絶対値に基づき係数Kyが演算され、ステップ60及び70に於いて車速の変化率Vdの絶対値に基づき係数Kvが演算され、ステップ80及び90に於いて路面のカントCの絶対値に基づき係数Kcが演算され、ステップ100に於いて忘却係数αが係数Ky、Kv、Kcと標準値αoとの積として演算されるようになっているが、係数Ky、Kv、Kcの何れかが省略されてもよい。
【0076】
また上述の実施形態に於いては、車輌が旋回を終了すると、ステップ130に於いて最大でn個のスタビリティファクタKh及び旋回応答時定数係数Tpの推定値Khj及びTpjについてそれぞれ移動平均値Kha及びTpaが演算され、最大でm個の移動平均値Kha及びTpaの移動平均値Khaa及びTpaaが演算され、スタビリティファクタKh及び旋回応答時定数係数Tpの推定値Khj及びTpjについて所定の条件が成立したときには、EEPROMに記憶されているスタビリティファクタの初期値Khi及び旋回応答時定数係数の初期値Tpiがそれぞれ移動平均値Khaa及びTpaaに書き換えられることにより更新されるようになっているが、スタビリティファクタの推定値Khj及び旋回応答時定数係数の推定値Tpjに基づくスタビリティファクタKh及び旋回応答時定数係数Tpの演算は、例えば移動平均値Kha等のローパスフィルタ処理や平均値の如く、任意の態様にて行われてよい。
【0077】
また上述の実施形態に於いては、車速の変化率Vdの絶対値が大きい場合や路面のカントCの絶対値が大きい場合に演算されたスタビリティファクタの推定値Khj及び旋回応答時定数係数の推定値Khj及びTpjについてそれぞれ移動平均値Kha及びTpaを演算する際の重みが低減されてもよく、Kha及びTpaの移動平均値Khaa及びTpaaが演算される際に、車速の変化率Vdの絶対値が大きい場合や路面のカントCの絶対値が大きい場合に演算されたKha及びTpaの重みが低減されてもよい。
【0078】
また上述の実施形態に於いては、規範旋回状態量及び実旋回状態量はそれぞれ車輌の規範ヨーレート及び実ヨーレートであるが、規範旋回状態量及び実旋回状態量は規範ヨーレート及び実ヨーレートをそれぞれ車速Vにて除算し変換係数を乗算した値として得られる操舵輪の規範舵角及び実舵角であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による車輌の挙動制御装置に適用された旋回特性推定装置の一つの実施形態を示す概略構成図である。
【図2】図示の実施形態に於けるスタビリティファクタKh及び旋回応答時定数係数Tpの推定演算ルーチンを示すフローチャートである。
【図3】ヨーレートの変化率γdの絶対値と係数Kyとの関係を示すグラフである。
【図4】車速の変化率Vdの絶対値と係数Kvとの関係を示すグラフである。
【図5】路面のカントCの絶対値と係数Kcとの関係を示すグラフである。
【図6】規範ヨーレート、スタビリティファクタ、操舵応答時定数係数を推定するための車輌の二輪モデルを示す説明図である。
【符号の説明】
10FR〜10RL…車輪
20…制動装置
28…マスタシリンダ
30…電子制御装置
32FR〜32RL…圧力センサ
34…操舵角センサ
36…ヨーレートセンサ
38…前後加速度センサ
40…横加速度センサ

Claims (10)

  1. 車輌が旋回する際の車輌走行データに基づき規範旋回状態量を推定し、規範旋回状態量と実旋回状態量との間の伝達関数を推定し、該伝達関数に基づき車輌の旋回特性を推定する車輌の旋回特性推定装置であって、前記実旋回状態量の変化の度合が小さいときには前記実旋回状態量の変化の度合が大きいときに比して前記伝達関数の推定に供される前記規範旋回状態量及び前記実旋回状態量のデータ数を増大させることを特徴とする車輌の旋回特性推定装置。
  2. 前記実旋回状態量の変化の度合が小さいときには前記実旋回状態量の変化の度合が大きいときに比して前記伝達関数の推定に於ける忘却係数を大きくすることにより前記データ数を増大させることを特徴とする請求項1に記載の車輌の旋回特性推定装置。
  3. 車輌が旋回する際の車輌走行データに基づき所定の時間毎に規範旋回状態量を推定し、所定の時間毎に複数データ数の規範旋回状態量及び実旋回状態量に基づき規範旋回状態量と実旋回状態量との間の伝達関数を推定するためのパラメータを演算し、該パラメータに基づき車輌の旋回特性を推定し、前記実旋回状態量の変化の度合が小さいときには前記実旋回状態量の変化の度合が大きいときに比して前記パラメータの演算に於ける忘却係数を大きくすることにより前記データ数を増大させることを特徴とする請求項2に記載の車輌の旋回特性推定装置。
  4. 車輌が旋回する際の車輌走行データに基づき規範旋回状態量を推定し、規範旋回状態量と実旋回状態量との間の伝達関数を推定し、該伝達関数に基づき車輌の旋回特性を推定する車輌の旋回特性推定装置であって、前記旋回特性の推定に悪影響を及ぼす変量が大きいときには前記変量が小さいときに比して前記伝達関数の推定に供される前記規範旋回状態量及び前記実旋回状態量のデータ数を低減することを特徴とする車輌の旋回特性推定装置。
  5. 前記旋回特性の推定に悪影響を及ぼす変量が大きいときには前記変量が小さいときに比して前記伝達関数の推定に於ける忘却係数を小さくすることにより前記データ数を低減することを特徴とする請求項4に記載の車輌の旋回特性推定装置。
  6. 車輌が旋回する際の車輌走行データに基づき所定の時間毎に規範旋回状態量を推定し、所定の時間毎に複数データ数の規範旋回状態量及び実旋回状態量に基づき規範旋回状態量と実旋回状態量との間の伝達関数を推定するためのパラメータを演算し、該パラメータに基づき車輌の旋回特性を推定し、前記変量が大きいときには前記変量が小さいときに比して前記パラメータの演算に於ける忘却係数を小さくすることにより前記データ数を低減することを特徴とする請求項5に記載の車輌の旋回特性推定装置。
  7. 前記変量は車速の変化の度合であることを特徴とする請求項4乃至6に記載の車輌の旋回特性推定装置。
  8. 前記変量は路面のカントであることを特徴とする請求項4乃至6に記載の車輌の旋回特性推定装置。
  9. 前記規範旋回状態量は車輌の規範ヨーレートであり、前記実旋回状態量は車輌の実ヨーレートであることを特徴とする請求項1乃至8に記載の車輌の旋回特性推定装置。
  10. 車輌の旋回特性はスタビリティファクタを含むことを特徴とする請求項1乃至9に記載の車輌の旋回特性推定装置。
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