JP2005008064A - 開閉体の水抜き構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】インナパネル10とアウタパネル20の少なくとも周縁部どうしを接合して構成され、車体後端の開口を開閉するテールゲート1の水抜き構造であって、上記アウタパネルよりも内側で当該アウタパネルのハンドル開口部23近傍に対応する箇所に、開口部23,13を介して外部から侵入して来た水を受け止める水受け部41が設けられ、パネル空間S1の下端側に、谷部を有して車幅方向に延びる収集リブ16が設けられており、水受け部から収集リブに水を誘導する誘導路がパネル空間に設けられる一方、上記収集リブの谷部には、該谷部の水を外部に排出する排出穴が形成されている。
【選択図】 図4
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、車体に形成した所定の開口を開閉可能に覆う開閉体であって、インナパネルとアウタパネルの少なくとも周縁部どうしを接合して構成された開閉体の水抜き構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、自動車等の車両の車体に形成した所定の開口を開閉可能に覆うドア等の開閉体は、通常、内板部材(インナパネル)と外板部材(アウタパネル)とを組み合わせ、両者間に空間部(パネル空間)を形成すると共に両パネルの周縁部および近傍どうしを接合して形成されている。尚、車室内に面するインナパネルの内側は、例えば合成樹脂で形成されたカバー体(内装トリム)で覆われるのが一般的である。
【0003】
例えば、車体後端部に後方へ開口する開口部を設けた車両では、この車体後端部の開口を上下方向へ開閉可能に覆う、所謂、リフトゲート,テールゲート,リヤゲート若しくはバックドア等と呼ばれる開閉体(以下、これら開閉体を総称して「テールゲート」と言うものとする。)が設けられ、該テールゲートは、上述のように、インナパネルとアウタパネルの少なくとも周縁部どうしを接合し、両者間にパネル空間を設けて構成される。尚、近年では、かかるテールゲートについても、インナ及びアウタのパネル材を合成樹脂製としたものが、実用に供されるようになりつつある。
【0004】
周知のように、かかる開閉体には、通常、開閉操作を行うためのハンドル(所謂、アウタハンドル)が設けられ、このアウタハンドルを取り付けるための開口部がアウタパネルに形成されている。この場合、ハンドル操作のために、取り付けたアウタハンドルと開口部の特定周縁部との間には所定量の間隙(つまり、ハンドルを回動操作するのに要する隙間)が必要であり、アウタハンドルの取付部を完全に液密にシール(封止)することは構造的に非常に困難である。
【0005】
また、開閉体には、その施解錠を行うためのキーシリンダが設けられ、このキーシリンダを取り付けるための開口部がアウタパネルに形成されている。この場合についても、キーシリンダ取付部を(つまり、キーシリンダ外周部と開口部周縁との間を)完全に液密にシールすることは難しく、また、仮に完全にシールできたとしても、キーシリンダの外側端面にはキー穴が設けられているので、キーシリンダ全体としては、やはり完全なシールを行うことはできない。
【0006】
以上のように、車両の開閉体のアウタパネルには完全に液密にシールできない部分が存在するが、インナパネルとアウタパネルとを組み立てその周縁部どうしを接合した完成状態では、かなり激しい降雨時などでも、雨水がパネル空間内に侵入することがないように構成されている。
しかしながら、例えば洗車時など、予期せぬ方向から勢い良く水がかかった場合には、上記アウタハンドル取付部やキーシリンダ取付部などから、開閉体のパネル空間内に水が侵入することがある。
【0007】
このように開閉体のパネル空間内に水が侵入して溜まった場合には、開閉体を開けた際に、パネル空間内に溜まっていた水が開閉体の下端部分などから垂れ落ちることとなり、ユーザに不快感を及ぼす等の不具合を生じる。特に、車体後端の開口を上下に開閉するテールゲートの場合には、当該テールゲートを上方に開操作をした際に、その下端部分などから水が垂れ落ちると、操作者の衣服等や荷室内の荷物等を濡らしてしまう、という不具合があった。
【0008】
かかる問題に関連して、例えば特許文献1には、アウタパネルにキーシリンダが設けられた自動車用ドアにおいて、インナパネルが隣接する第1および第2のインナパネルで形成され、パネル空間内の水を排水する排水部材が両インナパネルの接続部にまたがって配設された排水機能付き自動車ドアが開示されている。
また、例えば特許文献2には、ドア開時にキーシリンダの車室内側端部と対向位置する凹部を有し、且つ、ドア閉時には水を車外に導くガイド部を有し、キーシリンダとキーシリンダ・ロッドとの連結部位周辺を車室内側から覆うカバープレートをバックドアの内側に設けた自動車のバックドア排水装置が開示されている。
【0009】
【特許文献1】
特許第3214323号公報
【特許文献2】
特許第3240386号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
開閉体のパネル空間内に溜まった水を車外に排出させる場合、パネル空間の下端部に対応する部位に設けた排水用開口から排出させるのが一般的であるが、開閉体のパネル空間の下端部を構成する部分は、通常、略水平に形成されているので、内部に溜まった水をスムースに車外へ排出させることが難しいという問題があった。
これに対して、上記特許文献1や特許文献2に開示されるように、アウタハンドル取付部やキーシリンダ取付部など、開閉体のパネル空間内への水の侵入箇所から排水用開口まで直接に水を導くようにすることが考えられるが、この場合には、実際には構造が複雑で製造コストも高くなるという難点がある。
【0011】
また、車種によっては、車室内のエアを車外側に導き得るエア・エクストラクタとしてのエアベント穴がインナパネルに設けられたものがあり、このようなエアベント穴が、開閉体の車体への取付部に車室内とパネル空間内とを連通させるように設けられている場合には、やはり洗車時などに、上記エアベント穴を介して開閉体のパネル空間内に水が侵入する惧れがある。
【0012】
この発明は、上記技術的課題に鑑みてなされたもので、、アウタハンドル取付部やキーシリンダ取付部、更にはエアベント穴などから、開閉体のパネル空間内へ侵入し溜まった水を、比較的簡単な構成で確実に車外に排出させることができるようにすることを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
このため、本願発明に係る開閉体の水抜き構造は、インナパネルとアウタパネルの少なくとも周縁部どうしを接合して構成され、車体に形成した所定の開口を開閉可能に覆う開閉体の水抜き構造であって、上記アウタパネルよりも内側において当該アウタパネルに設けられた所定の開口部の近傍に対応する箇所に、上記開口部を介して外部から侵入して来た水を受け止める水受け部が設けられ、上記インナパネルとアウタパネルとで形成されたパネル空間の下端側に、少なくとも谷部を有して車幅方向に延びる収集リブが設けられており、上記パネル空間に上記水受け部から上記収集リブに水を誘導する誘導路が設けられる一方、上記収集リブの谷部には、該谷部の水を外部に排出する排出穴が形成されていることを特徴としたものである。
【0014】
上記所定の開口部が、開閉体の開閉ハンドルを取り付ける開口部である場合には、該開口部の下側近傍に対応する箇所に上記水受け部が設けられる。
また、上記所定の開口部が、開閉体のキーシリンダを取り付ける開口部である場合も、該開口部の下側近傍に対応する箇所に上記水受け部が設けられる。
【0015】
以上の場合において、上記インナパネル及びアウタパネルはともに合成樹脂製で、上記収集リブ及び上記誘導路は、上記インナパネル及びアウタパネルの何れか一方と一体に形成されていることが好ましい。
【0016】
また、本願の他の発明に係る開閉体の水抜き構造は、インナパネルとアウタパネルの少なくとも周縁部どうしを接合して構成され、車体に形成した所定の開口を開閉可能に覆う開閉体の水抜き構造であって、上記インナパネルとアウタパネルの間に形成されたパネル空間において、上記インナパネルに設けられた所定の開口部の近傍に対応する箇所に、上記開口部を介して外部から侵入して来た水を受け止める水受け部が設けられ、上記パネル空間内に上記水受け部からパネル空間の下端側に水を誘導する誘導路が設けられる一方、上記パネル空間の下端側には、上記誘導路で誘導されて来た水を外部に排出する排出穴が形成されている、ことを特徴としたものである。
【0017】
上記所定の開口部が、車室内のエアを外部に逃がすエアベント穴である場合には、上記パネル空間の上記エアベント穴に対向する箇所に上記水受け部が設けられる。
この場合において、上記誘導路は、上記インナパネルと一体的に形成されて上記水受け部から上記排出穴の少なくとも近傍まで延びる誘導リブを備えていることが好ましい。
【0018】
以上の場合において、上記インナパネル及びアウタパネルはともに合成樹脂製で、上記誘導リブは、上記インナパネルと一体成形されていることが、より好ましい。
また、以上の場合において、より好ましくは、上記開閉体は、車体後端の開口部を開閉可能に覆うテールゲートである。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、自動車の車体後部に形成され後方へ向かって開口する開口部を上下方向へ開閉可能に覆う開閉体としてのテールゲートの水抜き構造に適用した場合を例にとって、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
図1及び図2は、それぞれ上記自動車のテールゲートのアウタパネル及びインナパネルを示す正面説明図である。また、図3は、上記図2のインナパネル下部の一部分を拡大して示す正面説明図である。尚、これら説明図は何れも、テールゲートを車体に取り付けた場合に、車両後方から見て概略的に示したものである。
【0020】
上記テールゲートは、所定形状およびサイズの内板部材10(インナパネル)と外板部材20(アウタパネル)とを組み合わせ、両パネル10,20の周縁部およびその近傍どうしを接合することにより、両者10,20間に空間部S1(パネル空間:後述する図4及び図5参照)を有して形成される。尚、上記テールゲートの中央開口部(具体的には、アウタパネル20の中央開口部20H)には、シール部材を介してリヤウインドウガラス(共に不図示)が支持される。
【0021】
図1から分かるように、上記アウタパネル20の下部(リヤウインドウガラス用の中央開口部20Hよりも下方部分)における略中央部分には車体内方に向かって凹む中央凹部21が形成され、この中央凹部21の所定領域には、車両のライセンスプレート(所謂、ナンバプレート)が取り付けられる。
また、この中央凹部21の所定箇所には、キーシリンダ36(後述する図8参照)を取り付けるためのキーシリンダ開口部29が形成されている。更に、中央凹部21の左右側方にはランプ取付部22が設けられている。インナパネル10にも、これに対応したランプ取付部12が設けられている。
【0022】
上記インナ及びアウタの両パネル10及び20は、より好ましくは、共に合成樹脂を材料として成形されており、その周縁部およびその近傍どうしは、例えば接着剤を用いて接合されている。
上記インナパネル10の合成樹脂材料としては、例えば、ガラス強化繊維が約40%配合されたポリプロピレン(PP)樹脂を用いた。また、アウタパネル20の合成樹脂材料としては、ポリカーボネイト(PC)樹脂およびアセチルニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)樹脂を原料とした樹脂材料を用いた。更に、接着剤としてはウレタン樹脂系のものを用いた。
【0023】
図4及び図5は、それぞれ図3におけるY4−Y4線およびY5−Y5線に沿った断面説明図である。これらの図に示されるように、インナパネル10のリヤウインドウガラス用の中央開口部10Hよりも下方部分の内側には、該インナパネル10の車室内側を覆うカバー体30(インナカバー)が配設されている。
【0024】
該インナカバー30は、当該カバー30で覆われた部分について、所謂、内装トリムの役割を果たすもので、車室内側からインナパネル10に組み付けられ、その周縁部近傍の適所複数箇所を例えばネジ部材を用いてインナパネル10に締結することにより、両者10,30間に空間部S2(カバー空間)を有してインナパネル10に固定されている。上記インナカバー30も合成樹脂製で、例えばPP樹脂を材料に用いて成形されている。
【0025】
尚、このインナカバー30,インナ及びアウタのパネル材10及び20の各樹脂材料、並びにインナ及びアウタのパネル材10及び20どうしを接合する接着剤としては、上記の例示されたものに限られるものではなく、他の種々の適切な材料を用いることができることは言うまでもない。
【0026】
また、具体的には図示しなかったが、上記自動車の車体後部では、車体ルーフの後端側において車幅方向へ延びるリヤヘッダの上側に、一対のヒンジユニットが固定され、このヒンジユニットを介して、テールゲート1の上端側が車体ルーフの後端部分に取り付けられている。これにより、テールゲート1が、車体後部の開口部を上下方向へ開閉可能に覆うように、車体ルーフの後端部分に上下方向へ回動可能に支持されている。
【0027】
図4から良く分かるように、アウタパネル20の中央凹部21の上端には、テールゲート1のアウタハンドル31を取り付けるためのハンドル開口部23が形成され、インナパネル10にも、これに対応してハンドル開口部13が設けられている。上記アウタハンドル31のレバー部材32(ハンドルレバー)は、枢支軸32sによって揺動可能に支持され、その先端側にはハンドルロッド33の上端部が係合している。
【0028】
インナパネル10の上記ハンドル開口部13の比較的近傍には、内側(車室側)に膨出する膨出部14が形成されており、この膨出部14の内側にワイパ装置(不図示)を支持するブラケット34の一端側が取り付けられている。上記ハンドルロッド33は、上記膨出部14を挿通して上下方向に延びている。
尚、上記図4及び図5並びに後述する断面説明図において、破線表示の三角印は、接着剤の適用箇所を示している。
【0029】
本実施の形態では、上記アウタパネル20よりも内側において、上記アウタパネル20に設けられたハンドル開口部23の近傍に対応する箇所に、上記開口部23,13を介して外部から侵入して来た水を受け止める水受け部41(第1水受け部)が設けられている。
より具体的に説明すれば、インナパネル10とインナカバー30の間に形成されたカバー空間S2において、インナパネル10のハンドル開口部13の下側近傍に、上記水受け部41(第1水受け部)が設けられている。
【0030】
尚、インナパネル10及び/又はアウタパネル20の断面形状やパネル空間S1の構造、或いはアウタハンドル31のテールゲート1への取付構造などによっては、上記ような水受け部をインナパネルとアウタパネルで構成されるパネル空間内に設けることも可能である。
【0031】
上記水受け部41は、図7から良く分かるように、車幅方向に延びてインナパネル10の内壁面との間に横溝42gを形成する横ガイド壁42と、上下方向に延びてインナパネル10の内壁面との間に縦溝43gを形成する縦ガイド壁43とで構成されている。上記縦溝43gの下端部は、インナパネル10に形成された排水穴15(図3参照)に連通している。
【0032】
この水受け部41は、より好ましくは、インナパネル10の成形時に一体成形されている。これにより、構造および製造工程がより簡素化され、コスト低減も図ることができる。尚、この代わりに、水受け部をインナパネルとは別体で製作し、インナパネルに対して、接着もしくは溶着等によって一体化するようにしても良い。
【0033】
ハンドル開口部23,13を介して外部から侵入して来た水は、図7において破線曲線で示されるように、上記水受け部41のガイド壁42,43で受け止められ、横溝42g及び縦溝43gで収集される。そして、縦溝43gの下端部に設けられた上記排水穴15から、パネル空間S1内に排出されるようになっている。
【0034】
上記パネル空間S1内の下端側には、上記のようにしてパネル空間S1内に排出されて来た水を収集するために、少なくとも1つの谷部17を有して車幅方向延びる収集リブ16が設けられている。
該収集リブ16は、谷部17に向かって所定角度で立ち下がる傾斜部を有している。上記排水穴15からパネル空間S1内に排出された水は、インナパネル10の外表面とアウタパネル20の内表面の少なくとも何れか一方によって誘導されて収集リブ16に向かって落下し、上記収集リブ16により谷部17に向かって収集される。
【0035】
尚、この場合には、インナパネル10に設けられた上記排水穴15並びにインナパネル10の外表面及び/又はアウタパネル20の内表面が、本願請求項に記載した「誘導路」の主要部を構成している。
【0036】
上記収集リブ16は、より好ましくは、インナパネル10の成形時に一体成形されている。これにより、構造および製造工程がより簡素化され、コスト低減も図ることができる。尚、この代わりに、収集リブをインナパネルとは別体で製作し、インナパネルに対して、接着もしくは溶着等によって一体化するようにしても良い。
【0037】
収集リブ16の上記谷部17の直下には、図5及び図6に示されるように、該谷部17に収集された水を外部に排出するためのドレン穴18が形成されている。
ハンドル開口部23,13を介して外部から侵入して来た水は、上述のように、水受け部41で受け止められた後、収集リブ16で谷部17に収集され、最終的にはこのドレン穴18から車外に排出される。
【0038】
図8は、図3におけるY8−Y8線に沿った断面説明図で、キーシリンダ36の取付部を示している。この図8から良く分かるように、インナパネル10及びアウタパネル20にキーシリンダ36を取り付けるための開口部19及び29が形成されている。
このキーシリンダ取付部分についても、上記アウタパネル20よりも内側において、当該アウタパネル20に設けられたキーシリンダ開口部29の近傍に対応する箇所に、上記開口部29,19を介して外部から侵入して来た水を受け止める水受け部45(第2水受け部)が設けられている。
【0039】
より具体的に説明すれば、インナパネル10のキーシリンダ開口部19の下側近傍の一部を切り欠いて、その切欠片がカバー空間S2側に張り出すように構成されている。この切欠片で成る第2水受け部45は、正面視で略三日月形に構成されると共に、パネル空間S1側に向かって所定の傾斜角度で立ち下がるように設けられている。
【0040】
この第2水受け部45は、より好ましくは、インナパネル10の成形時に一体成形されている。これにより、構造および製造工程がより簡素化され、コスト低減も図ることができる。尚、この代わりに、このような水受け部をインナパネルとは別体で製作し、インナパネルに対して、接着もしくは溶着等によって一体化するようにしても良い。
【0041】
キーシリンダ開口部29,19を介して外部から侵入して来た水(水滴w)は、上記水受け部45で受け止められ、インナパネル10の外表面によって誘導されて収集リブ16に向かって落下し、上記収集リブ16により谷部17に向かって収集される。そして、最終的には、この谷部17に設けられたドレン穴18から車外に排出されるようになっている。
尚、この場合には、インナパネル10の外表面が、本願請求項に記載した「誘導路」の主要部を構成している。
【0042】
以上、説明したように、本実施の形態によれば、パネル空間S1の下端側に少なくとも1つの谷部17を有して車幅方向延びる収集リブ16が設けられ、上記水受け部41又は45から収集リブ16に水を誘導する誘導路がパネル空間S1内に設けられる一方、上記収集リブ16の谷部17に外部への排出穴18(ドレン穴)が形成されている。
そして、アウタパネル20の開口部23又は29を介して外部から侵入して来た水は、上記水受け部41又は45で受け止められた後、上記誘導路10及び/又は20で収集リブ16に誘導され、この収集リブ16の谷部17に収集され、この谷部17の直下に形成されたドレン穴18からスムースに外部へ排出される。
【0043】
つまり、パネル空間の下端部を構成する略水平な部分から水を排出させていた従来に比して、パネル空間S1内の水を非常にスムースに車外へ排出させることができる。これにより、テールゲート1を開けた際に、パネル空間S1内に溜まっていた水がテールゲート1の下端部分などから垂れ落ちてユーザに不快感を及ぼす等の不具合や、当該テールゲートを上方に開操作をした際に、その下端部分などから水が垂れ落ちて操作者の衣服等や荷室内の荷物等を濡らしてしまうという不具合の発生を、比較的簡単な構成で確実に防止することができるのである。
【0044】
尚、以上の実施の形態では、収集リブ16には唯一つの谷部17が設けられていたが、図9に示されるように、収集リブ46の途中部に山部49を設け、谷部47を2箇所に、従って、ドレン穴48も2箇所に設けるようにしても良い。この場合には、パネル空間S1内の水をより一層スムースに車外に排出することができる。
【0045】
また、本実施の形態では、車室内のエアを車外側に導き得るエア・エクストラクタとしてのエアベント穴51(図2参照)が、インナパネル10の上部において左右側部に設けられている。
図10は上記エアベント穴51を拡大して示すインナパネルの正面説明図、また、図11,図12および図13は、それぞれ図10におけるY11−Y11線,Y12−Y12線およびY13−Y13線に沿った断面説明図である。
【0046】
これらの図に示すように、上記インナパネル10とアウタパネル20の間に形成されたパネル空間S1において、インナパネル10上部の左右側部に設けられたエアベント穴51の近傍に対応する箇所、より具体的には、パネル空間S1の上記エアベント穴51に対向する箇所には、上記エアベント穴51を介して外部から侵入して来た水を受け止める水受け部52(第3水受け部)が設けられている。
上記各エアベント穴51は、テールゲート1を車体2に取り付けた状態で、テールゲート1のインナパネル10と車体パネル2との間の間隙部S3と、テールゲート1のパネル空間S1とを連通させる位置に設けられている。
【0047】
また、上記パネル空間S1内には、上記第3水受け部52からパネル空間S1の下端側に水を誘導する誘導路としての誘導リブ53,54が設けられている。これら誘導リブ53,54は対を成すように平行に設けられ、インナパネル10内面と共に、インナパネル10の周縁部に沿って上下方向に延びる溝部を構成している。
【0048】
これら誘導リブ53,54は、より好ましくは、インナパネル10の成形時に一体成形されている。これにより、構造および製造工程がより簡素化され、コスト低減も図ることができる。尚、この代わりに、このような誘導リブをインナパネルとは別体で製作し、インナパネルに対して、接着もしくは溶着等によって一体化するようにしても良い。
【0049】
一方、上記パネル空間S1の下端側には、上記誘導リブ53,54で誘導されて来た水を外部に排出するドレン穴55が形成されており、上記誘導リブ53,54は、このドレン穴55の少なくとも近傍まで延びている。
従って、エアベント穴51からパネル空間S1内に侵入して来た水は、より確実に第3水受け部52からドレン穴55の少なくとも近傍まで誘導され、このドレン穴55から車外に排出される。
【0050】
以上のように、テールゲート1のパネル空間S1において、インナパネル10に設けられたエアベント穴51の近傍に対応する箇所に水受け部52が設けられると共に、この水受け部52からパネル空間S1の下端側に水を誘導する誘導リブ53,54が設けられる一方、パネル空間S1の下端側には、誘導リブ53,54で誘導されて来た水を外部に排出するドレン穴55が形成されている。
【0051】
従って、インナパネル10のエアベント穴51を介してパネル空間S1内に侵入して来た水は、上記水受け部52で受けられた後、図10において破線曲線で示されるように、上記誘導リブ53,54でパネル空間S1の下端側に誘導され、この下端側に形成されたドレン穴55からスムースに外部へ排出されるようになっており、パネル空間S1内に水が溜まることが、比較的簡単な構成で確実に防止される。
【0052】
尚、上述の実施の形態は、自動車のテールゲート1についてのものであったが、本発明は、かかる場合に限定されるものではなく、車両に設けられる他の開閉体についても有効に適用し得るものである。
【0053】
このように、本発明は、上述の実施態様に限定されるものではない。また、その要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良あるいは設計上の変更が可能であることは言うまでもない。
【0054】
【発明の効果】
本願発明によれば、開閉体のアウタパネルよりも内側において当該アウタパネルに設けられた開口部の近傍に対応する箇所に水受け部が設けられると共に、パネル空間の下端側に少なくとも谷部を有して車幅方向延びる収集リブが設けられ、上記水受け部から収集リブに水を誘導する誘導路がパネル空間内に設けられる一方、上記収集リブの谷部に外部への排出穴が形成されており、アウタパネルの上記開口部を介して外部から侵入して来た水は、上記水受け部で受けられた後、上記誘導路で収集リブに誘導され、この収集リブの谷部に収集され、この谷部に形成された排出穴からスムースに外部へ排出される。
つまり、パネル空間の下端部を構成する略水平な部分から水を排出させていた従来に比して、パネル空間内の水を非常にスムースに車外へ排出させることができる。これにより、開閉体を開けた際に、パネル空間内に溜まっていた水が開閉体の下端部分などから垂れ落ちてユーザに不快感を及ぼす等の不具合発生を、比較的簡単な構成で確実に防止することができる。
【0055】
この場合において、アウタパネルに設けられた所定の開口部が開閉体の開閉ハンドルを取り付ける開口部である場合には、該開口部の下側近傍に対応する箇所に上記水受け部が設けられることで、当該開口部を介して外部から侵入して来た水を確実に受け止め、誘導路および収集リブを介して谷部に収集し、谷部の排出穴からスムースに外部へ排出させることができる。
【0056】
また、上記の場合において、アウタパネルに設けられた所定の開口部が開閉体のキーシリンダを取り付ける開口部である場合には、該開口部の下側近傍に対応する箇所に上記水受け部が設けられることで、当該開口部を介して外部から侵入して来た水を確実に受け止め、誘導路および収集リブを介して谷部に収集し、谷部の排出穴からスムースに外部へ排出させることができる。
【0057】
以上の場合において、より好ましくは、上記インナパネル及びアウタパネルはともに合成樹脂製で、上記収集リブ及び誘導路がインナパネル及びアウタパネルの何れか一方と一体に形成されることにより、構造をより簡素化でき、また、インナパネル又はアウタパネルの成形時に上記収集リブや誘導路を一体成形することで、製造工程もより簡素化してコスト低減を図ることができる。
【0058】
本願の他の発明によれば、開閉体のパネル空間において、インナパネルに設けられた所定の開口部の近傍に対応する箇所に水受け部が設けられると共に、上記水受け部からパネル空間の下端側に水を誘導する誘導路が設けられる一方、上記パネル空間の下端側には、上記誘導路で誘導されて来た水を外部に排出する排出穴が形成されており、インナパネルの上記開口部を介してパネル空間内に侵入して来た水は、上記水受け部で受けられた後、上記誘導路でパネル空間の下端側に誘導され、この下端側に形成された排出穴からスムースに外部へ排出される。
これにより、開閉体を開けた際に、パネル空間内に溜まっていた水が開閉体の下端部分などから垂れ落ちてユーザに不快感を及ぼす等の不具合発生を、比較的簡単な構成で確実に防止することができる。
【0059】
上記所定の開口部が、車室内のエアを外部に逃がすエアベント穴である場合には、パネル空間の上記エアベント穴に対向する箇所に水受け部が設けられることにより、エアベント穴を介してパネル空間内に侵入して来た水を確実に受け止め、誘導路から排出穴を経て車外に排出させることができる。
【0060】
この場合において、上記誘導路は、好ましくは、上記インナパネルと一体的に形成されて上記水受け部から排出穴の少なくとも近傍まで延びる誘導リブを備えることにより、エアベント穴を介してパネル空間内に侵入して来た水を、より確実に水受け部から排出穴の少なくとも近傍まで誘導することができる。
【0061】
以上の場合において、より好ましくは、上記インナパネル及びアウタパネルはともに合成樹脂製で、上記誘導リブがインナパネルと一体成形されることにより、構造をより簡素化でき、また、製造工程もより簡素化してコスト低減を図ることができる。
【0062】
また、以上の場合において、上記開閉体が、車体後端の開口部を開閉可能に覆うテールゲートである場合には、このテールゲートを開けた際に、パネル空間内に溜まっていた水がテールゲートの下端部分などから垂れ落ちてユーザに不快感を及ぼす等の不具合や、当該テールゲートを上方に開操作をした際に、その下端部分などから水が垂れ落ちて操作者の衣服等や荷室内の荷物等を濡らしてしまうという不具合の発生を、比較的簡単な構成で確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る自動車のテールゲートのアウタパネルを示す正面説明図である。
【図2】上記テールゲートのインナパネルを示す正面説明図である。
【図3】図2のインナパネル下部の一部分を拡大して示す正面説明図である。
【図4】図3におけるY4−Y4線に沿ったインナパネルの断面説明図である。
【図5】図3におけるY5−Y5線に沿ったインナパネル断面説明図である。
【図6】図5におけるY6−Y6矢印方向から見て示したドレン穴の矢視図である。
【図7】上記インナパネル内面側に設けた水受け部の斜視図である。
【図8】図3におけるY8−Y8線に沿ったインナパネルの断面説明図である。
【図9】収集リブの一変形例を示すインナパネルの正面説明図である。
【図10】エアベント穴を拡大して示すインナパネルの正面説明図である。
【図11】図10におけるY11−Y11線に沿ったインナパネルの断面説明図である。
【図12】図10におけるY12−Y12線に沿ったインナパネル断面説明図である。
【図13】図10におけるY13−Y13線に沿ったインナパネルの断面説明図である。
【符号の説明】
1…テールゲート
10…インナパネル
13…(インナパネルの)ハンドル開口部
16,46…収集リブ
17,47…谷部
18,48,55…ドレン穴
19…(インナパネルの)キーシリンダ開口部
20…アウタパネル
23…(アウタパネルの)ハンドル開口部
29…(アウタパネルの)キーシリンダ開口部
31…アウタハンドル
36…キーシリンダ
41…第1水受け部
45…第2水受け部
51…エアベント穴
52…第3水受け部
53,54…誘導リブ
S1…パネル空間
w…水滴
Claims (9)
- インナパネルとアウタパネルの少なくとも周縁部どうしを接合して構成され、車体に形成した所定の開口を開閉可能に覆う開閉体の水抜き構造であって、
上記アウタパネルよりも内側において当該アウタパネルに設けられた所定の開口部の近傍に対応する箇所に、上記開口部を介して外部から侵入して来た水を受け止める水受け部が設けられ、
上記インナパネルとアウタパネルとで形成されたパネル空間の下端側に、少なくとも谷部を有して車幅方向に延びる収集リブが設けられており、
上記パネル空間に上記水受け部から上記収集リブに水を誘導する誘導路が設けられる一方、上記収集リブの谷部には、該谷部の水を外部に排出する排出穴が形成されている、
ことを特徴とする開閉体の水抜き構造。 - 上記所定の開口部は、開閉体の開閉ハンドルを取り付ける開口部であり、該開口部の下側近傍に対応する箇所に上記水受け部が設けられていることを特徴とする請求項1記載の開閉体の水抜き構造。
- 上記所定の開口部は、開閉体のキーシリンダを取り付ける開口部であり、該開口部の下側近傍に対応する箇所に上記水受け部が設けられていることを特徴とする請求項1記載の開閉体の水抜き構造。
- 上記インナパネル及びアウタパネルはともに合成樹脂製で、上記収集リブ及び上記誘導路は、上記インナパネル及びアウタパネルの何れか一方と一体に形成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか一に記載の開閉体の水抜き構造。
- インナパネルとアウタパネルの少なくとも周縁部どうしを接合して構成され、車体に形成した所定の開口を開閉可能に覆う開閉体の水抜き構造であって、
上記インナパネルとアウタパネルの間に形成されたパネル空間において、上記インナパネルに設けられた所定の開口部の近傍に対応する箇所に、上記開口部を介して外部から侵入して来た水を受け止める水受け部が設けられ、
上記パネル空間内に上記水受け部からパネル空間の下端側に水を誘導する誘導路が設けられる一方、上記パネル空間の下端側には、上記誘導路で誘導されて来た水を外部に排出する排出穴が形成されている、
ことを特徴とする開閉体の水抜き構造。 - 上記所定の開口部は、車室内のエアを外部に逃がすエアベント穴であり、上記パネル空間の上記エアベント穴に対向する箇所に上記水受け部が設けられていることを特徴とする請求項5記載の開閉体の水抜き構造。
- 上記誘導路は、上記インナパネルと一体的に形成されて上記水受け部から上記排出穴の少なくとも近傍まで延びる誘導リブを備えていることを特徴とする請求項6記載の開閉体の水抜き構造。
- 上記インナパネル及びアウタパネルはともに合成樹脂製で、上記誘導リブは、上記インナパネルと一体成形されていることを特徴とする請求項5〜7の何れか一に記載の開閉体の水抜き構造。
- 上記開閉体は、車体後端の開口部を開閉可能に覆うテールゲートであることを特徴とする請求項1〜8の何れか一に記載の開閉体の水抜き構造。
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