JP2005007878A - 芸術品の画像の複製及び品質向上方法 - Google Patents

Abstract

【課題】オリジナルの芸術作品の質感的／色調的コントラストを含む、オリジナル作品の複製を製作すること。
【解決手段】具体的には、異なる材料の様々な層を所定の順序で複製に組み込む。初めはベース基材である。次に、この基材に、オリジナルのコントラストに対応するインク・デポジットを有するレリーフ層が適用される。次いで、このレリーフ層にコンピュータ化されたカラー印刷層が組み合わされて、複製が製作される。基材が反射性の表面を有する場合、基材とレリーフ層との間に白色層を追加して、複製の反射率を選択的に低減させることができる。
【選択図】図４

Description

本発明は、一般に、オリジナルの芸術作品の複製（ｒｅｐｒｏｄｕｃｔｉｏｎ）に関する。より詳細には、本発明は、芸術作品をそれが初めに公開されたときのように模写（ｒｅｐｌｉｃａｔｅ）する方法、及びその製品に関する。本発明は、特に、これだけに限るものではないが、オリジナルの芸術作品の色調的／質感的コントラストが効果的に組み込まれた複製を製作する方法として有用である。

すべての芸術作品は、形、美、及び一風変わった知覚若しくは独特の知覚を示すもの／示すことを作製又は実施するものである。美術品の場合、作品の特徴は、その純粋な美的価値によって区別される。より詳細には、美術絵画に関する限り、特定の作品の美的価値は、その表現だけでなく、芸術家によって作品に組み込まれたコントラストにも見出される。これらのコントラストは、質感的又は色調的な性質の場合があり、これには、芸術品を非凡で独特なものにする、陰影（ｓｈａｄｉｎｇ）、奥行き（ｄｅｐｔｈ）、及び鮮明さ（ｄｅｆｉｎｉｔｉｏｎ）が含まれる。

オリジナルの芸術品の複製は、オリジナル作品自体と同様、やはり価値のあるものである。ただし、複製の価値は、主にその複製の表現がどれだけオリジナル作品に忠実であるかによって決まる。例えば、油絵の複製では、芸術家によって作り上げられたオリジナル作品のコントラストを精確に組み込むことができれば、複製の価値が大きく向上する可能性がある。特定の芸術作品によっては、これらのコントラストの数及び種類が豊富なことがあり、これには、筆遣いや色の多様性など、微妙な差異が含まれる。ほぼ言うまでもなく、美術作品に非常に多くのものを追加するコントラストがしばしば微妙なものであるので、複製がきわめて困難なことが多い。

ここ数年にわたり、視覚的な作品を複製する様々なデバイス及び技術が開発されてきた。本明細書で特に興味深いものは、原画の色を精確に複製できる、いわゆるカラー印刷装置である。一般に、カラー印刷は、それぞれの色が所定の順序で別々に印刷される、いくつかの印刷プロセスのいずれかによって達成される。精確に見当合わせして刷を重ねれば、原画と色が一致した画像が構築される。近年、カラー印刷プロセスは、印刷プロセスにコンピュータ制御を組み込むことによって大きく改善されている。

カラー印刷プロセスは、非常に効果的であるが、当該印刷プロセスで使用されるインクの物理的特性の理由から多少の限界がある。この点で特に重要であるのが、使用されるインクの粘度又は流動抵抗である。通常、動作上の理由から、カラー印刷プロセスで使用されるインクは、粘度がかなり低く、すなわち薄く、流動しやすい。ゆえに、カラー印刷プロセスを使用してオリジナルの芸術作品の色を精確に複製できるが、得られるのは本質的に２次元的な表現のものである。したがって、カラー印刷プロセスだけでは、美術作品の精確な表現にきわめて重要な３次元的コントラストが生み出されない。

カラー印刷プロセスで使用するのに必要な粘度よりもはるかに高い粘度を有するインクを使用して、複製された芸術作品に３次元的な効果を与えることができることが知られている。具体的には、スクリーン印刷プロセスを用いて、複製された芸術作品にきわめて粘稠なインク（すなわち、いわゆる「濃い」インク）を効果的に組み込むことができることが知られている。例えば、Ｌｏｎｇｏｂａｒｄｉの「Ｓｉｇｎ ｗｉｔｈ Ｔｒａｎｓｐａｒｅｎｔ Ｓｕｂｓｔｒａｔｅ」という名称の米国特許第４，９３３，２１８号は、スクリーン印刷を使用して、芸術品に「きわめて濃いインクの畝」を組み込むことによって、芸術品における３次元的効果を達成することを開示している。しかし、この畝だけでは、美術作品に見られる質感的／色調的コントラストが再現されない。

前述のことを踏まえて、本発明の目的は、オリジナルの芸術作品に表現されている質感的／色調的コントラストを含む、オリジナル芸術作品の複製及びその製造方法を提供することである。本発明の他の目的は、スクリーン印刷プロセスとカラー印刷プロセスとを併用し、それらを組み合わせて、美術作品に見られるコントラストを再現し、そのようなコントラストをオリジナルの複製に組み込む、オリジナル芸術作品の複製及びその製造方法を提供することである。本発明の他の目的は、実施が容易で、比較的費用効果の高い、オリジナル芸術作品の複製及びその製造方法を提供することである。

本発明によれば、芸術家によってオリジナルの芸術品に創り出された質感的／色調的コントラストが表現されている、オリジナル芸術作品の複製を製作する方法が開示される。概要を述べれば、本発明について開示される方法及び製品は、様々な材料の層を製作して組み合わせるものである。重要なことには、これら様々な層の組合せが、後でカラー印刷プロセスの基盤としての役割を果たす。

本発明では、ほぼ平らな表面を有するベース基材が設けられている。表面は、反射性又は非反射性にすることができ、さらにいずれか所望の色にすることができる。またベース基材は、紙源（ｐａｐｅｒ ｓｔｏｃｋ）で作製することができ、あるいはアルミニウム・シーティングなど、反射性材料で作製することもできる。さらに、紙源で作製されている場合、ベース基材をコーティングされたもの又はコーティングのないものにすることができ、あるいは金属箔で被覆することもできる。

本発明の重要な態様は、基材の表面にレリーフ層が適用されていることである。重要なことには、このレリーフ層が、芸術家によってオリジナル芸術作品に創り出されたコントラストに対応するように寸法設定かつ配置された、インク・デポジットを有する。このレリーフ層に、インク・デポジットが上に置かれた透明なプラスチック・シートが含まれることが好ましい。これで、この透明プラスチック・シートをインク・デポジットと共にベース基材の表面上に直接接合させることができる。あるいは、必ずしも透明プラスチック・シートを使用する必要はなく、代わりにインク・デポジットをベース基材上に直接置くこともできる。いずれの場合にも、レリーフ層のインク・デポジットは、濃い、きわめて粘稠なインクを使用して、スクリーン印刷プロセスによって製作される。

スクリーン印刷後、レリーフ層の粘稠なインク・デポジットを、さらにブラシやスパチュラなどの他のツールを使用して、手で微調整することができる。これら様々なツールを使用する際の目的は、複製に組み込まれるコントラストを微調整することである。例えば、具体的に油絵の場合には、複製に筆遣いの効果を与えるようにコントラストを微調整することができる。さらに、複製に追加的な質感、奥行き、及び鮮明さを与えるために、インク・デポジットに透明又は色付きのインクを選択的に用いてレリーフ層を作製することができる。

ベース基材の表面が反射性のときには、常に本発明に任意の白色層を使用することができる。使用される場合、この白色層は、基材の反射表面とレリーフ層との間に位置決めされて、反射表面の選択された部分の反射率を低減させる不透明性を与える。レリーフ層と同様に、この白色層がスクリーン印刷プロセスによって製作されることが好ましい。またレリーフ層と同様に、白色層に透明基材を含めることもでき、これをベース基材の表面に接合させることができる。白色層が使用される場合、レリーフ層は、当該白色層の上に適用されることになる。

前述のように様々な層が組み合わされた後で、レリーフ層にかぶせてカラー印刷層が位置決めされ、複製される芸術作品の色を複製に模写する。本発明のすべての実施例で、レリーフ層が、基材の表面とカラー印刷層との間に配置されることが好ましい。このように組み合わせると、レリーフ層のインク・デポジットが、オリジナルの芸術作品に見られるコントラストとしてカラー印刷層の色の模写に組み込まれる。

本発明に想定されるように、カラー印刷層の位置決めは、コンピュータ化することができる。具体的には、コンピュータ・プログラムの命令に従ってレリーフ層上に付着された様々な色の付いた複数のインク・ドットを、カラー印刷層に含めることになる。また、カラー印刷層をレリーフ層と見当合わせするにも、コンピュータ・プログラムが使用される。

本発明の新規の特徴並びに本発明自体については、構造及び操作の両方に関し、以下の説明と併せて添付図面を参照すれば最も良く理解されよう。図面では、類似の参照番号は、類似の部品を指す。

初めに図１を参照すると、本発明に従って製造された美術品の複製の全体が１０で示されている。より詳細には、複製１０の構造は、図２を参照すれば最も良く理解される。図２から、複製１０に、本質的にベース基材１２が含まれており、ベース基材１２の上に白色層１４が置かれていることがわかる。さらに、ベース基材１２の上には、レリーフ層１６及びカラー印刷層１８も重ねられており、ベース基材１２とカラー印刷層１８との間に白色層１４及びレリーフ層１６が設置されている。複製１０の実際の構造は、恐らく、図２と図３を相互参照し、各部分の構造を個別に考慮することによって、最も良く理解される。

本発明の目的では、ベース基材１２は、紙源、金属シーティング（例えば、アルミニウム）、又は関連技術で公知の他のいずれか適したタイプの材料で作製することができる。ベース基材１２は、所望の形状にすることができる（図３に示した長方形は、単なる一例にすぎない）が、ベース基材１２に使用される材料に関わらず、ベース基材１２がほぼ平らな表面２０を有することが好ましい。本発明に想定されるように、表面２０は、反射性又は非反射性にすることができる。

ベース基材１２の表面２０が反射性の場合、複製１０に白色層１４を含めることができる。ただし、白色層１４の使用は、任意である。使用される場合、白色層１４には、透明プラスチック・シート２４上に選択的に置くことのできる白色の不透明インク２２が含まれる。次いで、白色層１４がベース基材１２の表面２０に当てて置かれ、白色インク２２が表面２０の選択された部分を覆う。あるいは、白色層１４に必ずしも透明シート２４を含める必要はなく、代わりに表面２０の選択された部分に白色インク２２を直接適用することもできる。いずれの場合にも、白色層１４の白色インク２２の目的は、表面２０の選択された部分の反射率を効果的に低減させる不透明性を与えることである。この白色層１４が任意であることを思い出されたい。ベース基材１２の表面２０が反射性でない場合、白色層１４が必ずしも必要でないことがある。

図３は、レリーフ層１６に粘稠なインク２６のデポジットが含まれることを示す。インク２６が透明で、比較的高い粘度を有することが好ましい。ただし、インク２６を色付きにすることもできる。重要なことには、色に関わらず、インク２６が、必要に応じてインク２６のデポジットを構成できるような粘度でなければならない。具体的には、レリーフ層１６内のインク２６のデポジットが、レリーフ層１６内で範囲、深さ、及び向きを変更可能でなければならない。本明細書の目的は、インク２６のデポジットによって、オリジナルの芸術品に見られる質感的／色調的コントラストを模写又は模倣することである。

また、図３に示したように、インク２６のデポジットを透明プラスチック・シート２８上に置くこともできる。ただし、前述した白色層１４と同様に、レリーフ層１６に必ずしも透明シート２８を含める必要はない。透明シート２８の有無に関わらず、いずれの場合にも、レリーフ層１６内のインク２６のデポジットが白色層１４にかぶせて置かれる。白色層１４が使用されない場合、レリーフ層１６をベース基材１２の表面２０に直接当てて置くことができる。

さらに図３を参照すると、カラー印刷層１８が他の層１４（使用される場合）及び１６を覆うことが理解される。カラー印刷層１８の唯一の目的は、複製される芸術品の色を忠実に模写することである。オリジナルの芸術品の色の多様性が、コンピュータ・アートで周知の技術に従って作成／記述されたコンピュータ・プログラムによって、カラー印刷層１８内に模写されることが好ましい。したがって、本発明の複製１０に想定されるように、カラー印刷層１８は、公知のコンピュータ技術を使用してデジタル処理で色付けされる。

ここで図４を参照すると、本発明による複製１０を製造するプロセスの略図が示されている。図４を参照すると、使用される場合には、白色層１４が表面２０の上に置かれてベース基材１２’を製作することが理解されるはずである。これが、白色インク２２がメッシュ３０の上に位置決めされたマスク（図示せず）を通過する、スクリーン印刷プロセスによって実施されることが好ましい。関連技術で周知のように、このプロセスの結果、白色インク２２は、マスクで覆われていない表面２０の選択された部分だけに適用されることになる。

白色層１４が使用されない場合にも、ベース基材１２”を製作するためにレリーフ層１６が適用される。図４に示したように、レリーフ層１６は、粘稠なインク２６を使用して、様々な方式でベース基材１２”に適用することができる。具体的には、スクリーン印刷プロセスを使用して、粘稠なインク２６のデポジットをベース基材１２に適用することができる。図４では、このスクリーン印刷プロセスが、メッシュ３２によって表されており、当該メッシュ３２は、白色層１４に関して上記で開示したのと同様の方式で、マスク（図示せず）と併せて使用することができる。スクリーン印刷プロセスの代わりに、又はスクリーン印刷プロセスに加えて、粘稠なインク２６のデポジットを、ブラシ３４若しくはスパチュラ３６を用いてベース基材１２に手で適用することもできる。この作業に使用される特定のツールに関わらず、オリジナルの芸術品に見られるコントラストを複製１０のレリーフ層１６内の粘稠なインク２６のデポジットによって模写することが最も重要である。前述したように、これらのコントラストは、色調的及び質感的な性質のものである。

レリーフ層１６がベース基材１２”に適用された後で、カラー印刷層１８が組み込まれて複製１０を製作する。具体的には、図４に示したように、複製１０にカラー印刷層１８を組み込むプロセスは、コンピュータ化されている。周知のカラー印刷プロセスと同様に、本発明は、様々な色の付いた複数のインク３８の使用を想定しており、図４に示した色付きインク３８ａ、３８ｂ、及び３８ｃは、その単なる一例にすぎない。これらの色付きインク３８の個々の供給源、並びにコンピュータ４０は、それぞれ噴霧器４２に連結される。より具体的には、コンピュータ４０は、噴霧器４２に電気的に接続されており、事前に作成されたコンピュータ・プログラム（図示せず）に従って、噴霧器４２を通過する各色付きインク３８の流れを制御してカラー印刷層１８を製作する。したがって、本発明による複製１０には、前面から背面へと、順に、カラー印刷層１８、レリーフ層１６、白色層１４（任意）、及び基材１２が含まれる。

本明細書で詳細に示し、開示した、特定の「芸術品の画像の複製及び品質向上方法」は、本明細書で前述した目的を十分に達成し、利点をもたらすことができるが、それが単に現時点で好ましい本発明の実施例の一例にすぎず、特許請求の範囲に記載した以外、本明細書で示した構造又は設計の詳細に制限されるものではないことを理解すべきである。

本発明による美術作品の複製の立面図である。 図１の線２−２に沿った複製の断面図である。 組み合わせて組み込まれるように位置決めされた複製の様々な層を示す、本発明による美術品の複製の分解斜視図である。 本発明による美術品の複製の製造方法の略図である。

符号の説明

１０ 複製
１２ ベース基材
１４ 白色層
１６ レリーフ層
１８ カラー印刷層
２０ ベース基材の表面
２２ 不透明インク、白色インク
２４、２８ 透明プラスチック・シート
２６ インク
３０、３２ メッシュ
３４ ブラシ
３６ スパチュラ
３８ 色付きインク
４０ コンピュータ
４２ 噴霧器

Claims (4)

1. オリジナル芸術作品の複製であって、前記オリジナル芸術作品に質感的／色調的コントラストが含まれており、前記複製が、
   表面を有するベース基材と、
   前記芸術作品の色を模写するカラー印刷層と、
   前記オリジナル芸術作品のコントラストに対応するように寸法設定かつ配置されたインク・デポジットを有するレリーフ層とを含んでおり、前記レリーフ層が前記基材の表面に適用され、前記表面と前記カラー印刷層との間に配置されることで、前記レリーフ層の前記インク・デポジットが前記オリジナル芸術作品に見られるコントラストとして前記カラー印刷層に組み込まれ、前記複製にこれらの組合せが表現される、複製。
2. 前記レリーフ層が、上にインク・デポジットが設けられた透明基材を含む、請求項１に記載の複製。
3. 前記ベース基材の表面が反射性であり、前記複製が、前記基材の反射表面と前記レリーフ層との間に位置決めされた、前記反射表面の選択された部分の反射率を低減させる不透明性を与える白色層をさらに含む、請求項１に記載の複製。
4. オリジナル芸術作品の複製を製作する方法であって、前記オリジナル芸術作品に質感的／色調的コントラストが含まれており、前記複製方法が、
   表面を有するベース基材を提供するステップと、
   前記基材の表面に、前記オリジナル芸術作品のコントラストに対応するように寸法設定かつ配置されたインク・デポジットを有するレリーフ層を適用するステップと、
   前記芸術作品の色を前記複製に模写するカラー印刷層を、前記レリーフ層にかぶせて位置決めするステップとを含んでおり、前記レリーフ層が前記基材の表面と前記カラー印刷層との間に配置されることで、前記レリーフ層の前記インク・デポジットが前記オリジナル芸術作品に見られるコントラストとして前記カラー印刷層に組み込まれ、前記複製にこれらの組合せが表現される、方法。

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