JP2005007775A - 液体吐出装置、液体吐出方法、及び、液体吐出システム - Google Patents
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Abstract
【課題】媒体から外れたインクの山積みを検出する。
【解決手段】媒体に対して液体を吐出する吐出ヘッドと、前記吐出ヘッドにより吐出され前記媒体上に着弾しない前記液体を堆積する溝部とを備えた液体吐出装置において、前記溝部に堆積した液体の堆積量を検出するセンサを設けることを特徴とする。
【選択図】 図13
【解決手段】媒体に対して液体を吐出する吐出ヘッドと、前記吐出ヘッドにより吐出され前記媒体上に着弾しない前記液体を堆積する溝部とを備えた液体吐出装置において、前記溝部に堆積した液体の堆積量を検出するセンサを設けることを特徴とする。
【選択図】 図13
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェットプリンタなど、媒体に対して液体を吐出する液体吐出装置、及び、液体吐出システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
媒体に向けて液体を吐出する液体吐出装置の1つとして、インクジェットプリンタが知られている。このインクジェットプリンタは、紙等の媒体に対して液体としてインクを吐出して印刷を施すようになっている。最近、このようなインクジェットプリンタにおいて、媒体の縁、ギリギリに対してインクを打ち込み、媒体から外れたインクは、吸収材を備えた回収部で回収する印刷機能が設けられている。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−103586号公報
【0004】
【特許文献2】
特開2001−219553号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような印刷にあっては、次のような問題があった。すなわち、吐出されるインクの中には、浸透性の低いものや固化し易いものなどがある。このようなインクが媒体から外れて、インク回収部の吸収材の上に到達したときに、吸収材の中になかなか浸透せず、そのまま残留してしまう場合があり得る。このようにインクが蓄積して山積みされると、吸収材の上にインクが順次山積みとなり、最終的には、印刷される媒体を汚す虞があった。
本発明は、このような事情に鑑みたものであって、媒体から外れたインクの山積みを検出することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するための主たる発明は、媒体に対して液体を吐出する吐出ヘッドと、前記吐出ヘッドにより吐出され前記媒体上に着弾しない前記液体を堆積する溝部とを備えた液体吐出装置において、前記溝部に堆積した液体の堆積量を検出するセンサを設けることを特徴とする液体吐出装置である。
本発明の他の特徴は、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【0007】
【発明の実施の形態】
===開示の概要===
本明細書及び添付図面の記載により少なくとも以下の事項が明らかとなる。
媒体に対して液体を吐出する吐出ヘッドと、前記吐出ヘッドにより吐出され前記媒体上に着弾しない前記液体を堆積する溝部とを備えた液体吐出装置において、前記溝部に堆積した液体の堆積量を検出するセンサを設けることを特徴とする液体吐出装置。
このような液体吐出装置にあっては、溝部に堆積した液体の堆積量を検出するセンサが設けられているので、溝部に液体が堆積して山積みになり、印刷される媒体が汚れるのを防ぐことができる。
【0008】
前記センサは、前記吐出ヘッドにより前記媒体上に液体が吐出される前に、前記溝部に堆積した液体の堆積量を検出することが好ましい。
このような液体吐出装置にあっては、前記センサは、前記吐出ヘッドにより前記媒体上に液体が吐出される前に、前記溝部に堆積した液体の堆積量を検出するので、前記媒体が汚されるのを未然に防ぐことができる。
【0009】
前記センサは、前記溝部に対向する位置に設けられていることが好ましい。
このような液体吐出装置にあっては、前記センサは、前記溝部に対向する位置に設けられているので、前記溝部に堆積した液体の堆積量を検出することができる。
【0010】
前記センサは、前記吐出ヘッドを移動させるキャリッジに設けられていることが好ましい。
このような液体吐出装置にあっては、前記センサは、前記吐出ヘッドを移動させるキャリッジに設けられているので、キャリッジの移動にともない前記溝部に堆積した前記液体の堆積量を検出することができる。
【0011】
前記キャリッジは、前記媒体の幅に応じた範囲を移動することが好ましい。
このような液体吐出装置にあっては、前記キャリッジは、前記媒体の幅に応じた範囲を移動するので、検出処理の時間を短縮することができる。
【0012】
前記センサは、前記溝部に堆積した液体に光を発する発光部材と、前記液体より反射された光を受光するための受光部材とを備え、前記受光部材の受光量に基づいて、前記溝部に堆積した液体の堆積量を検出することが好ましい。
このような液体吐出装置にあっては、前記センサは、発光部材と受光部材とを備え、前記受光部材の受光量に基づいて、前記溝部に堆積した液体の堆積量を検出するので、液体の堆積量を高精度で検出することができる。
【0013】
前記媒体を搬送する搬送部をさらに備え、前記媒体は、前記搬送部によって搬送される際、前記溝部上を通過することが好ましい。
このような液体吐出装置にあっては、前記媒体を搬送する搬送部をさらに備え、前記媒体は、前記搬送部によって搬送される際、前記溝部上を通過するので、前記溝部に堆積した液体の堆積量を検出することが、より重要となる。
【0014】
前記センサにより検出された前記液体の堆積量が予め定められた閾値に達したか否かを判定する判定部と、前記判定部により、前記液体の堆積量が予め定められた閾値に達したと判定された場合、その旨を報知する報知部とをさらに備えることが好ましい。
このような液体吐出装置にあっては、前記センサにより検出された前記液体の堆積量が予め定められた閾値に達したか否かを判定する判定部と、前記判定部により、前記液体の堆積量が予め定められた閾値に達したと判定された場合、その旨を報知する報知部とをさらに備えているので、ユーザーは、前記溝部に堆積した液体の堆積量が予め定められた閾値に達したことをすぐに知ることができ、前記溝部をメンテナンスすることによって、印刷される媒体を汚すのを防ぐことができる。
【0015】
前記溝部は、前記液体を吸収する吸収材をさらに備えることが好ましい。
このような吸収材を備えれば、前記溝部に堆積した液体を吸収材に吸収して保持しておくことができる。
【0016】
前記吐出ヘッドにより吐出される前記液体がインクであることが好ましい。
このような液体吐出装置にあっては、前記液体吐出ヘッドにより吐出される前記液体がインクである場合がある。このようなインクであれば、媒体からインクが外れることによって生じる悪影響を防止することができる。
【0017】
前記インクは、透明無色のインク、及び、有彩色のインクであることが好ましい。
前記インクは、透明無色のインク、及び、有彩色のインクであり、例えば、透明無色のクリアインクにより、有彩色の発光色を良くすることができる。
【0018】
また、媒体に対して液体を吐出する吐出ヘッドと、前記吐出ヘッドにより吐出され前記媒体上に着弾しない前記液体を堆積する溝部とを備えた液体吐出装置において、前記溝部に堆積した液体の堆積量を検出するセンサを設け、前記センサは、前記吐出ヘッドにより前記媒体上に液体が吐出される前に、前記溝部に堆積した液体の堆積量を検出し、前記センサは、前記溝部に対向可能に設けられ、前記センサは、前記吐出ヘッドを移動させるキャリッジに設けられ、前記キャリッジは、前記媒体の幅に応じた範囲を移動し、前記センサは、前記溝部に堆積した液体に光を発する発光部材と、前記液体より反射された光を受光するための受光部材とを備え、前記受光部材の受光量に基づいて、前記溝部に堆積した液体の堆積量を検出し、前記媒体を搬送する搬送部をさらに備え、前記媒体は、前記搬送部によって搬送される際、前記溝部上を通過し、前記センサにより検出された前記液体の堆積量が予め定められた閾値に達したか否かを判定する判定部と、前記判定部により、前記液体の堆積量が予め定められた閾値に達したと判定された場合、その旨を報知する報知部とをさらに備え、前記溝部は、前記液体を吸収する吸収材をさらに備え、前記吐出ヘッドにより吐出される前記液体がインクであり、前記インクは、透明無色のインク、及び、有彩色のインクであることを特徴とする液体吐出装置も実現可能である。
このようにすれば、既述の総ての効果を奏するため、本発明の目的が最も有効に達成される。
【0019】
また、媒体に対して液体を吐出する液体吐出方法であって、前記媒体上に着弾しない前記液体を堆積する溝部に堆積した前記液体の堆積量を検出することを特徴とする液体吐出方法も実現可能である。
このようにして実現された液体吐出方法は、従来方法よりも優れた方法となる。
【0020】
また、コンピュータ本体と、このコンピュータ本体に接続可能な液体吐出装置とを具備した液体吐出システムであって、前記液体吐出装置は、媒体に対して液体を吐出する吐出ヘッドと、前記吐出ヘッドにより吐出され前記媒体上に着弾しない前記液体を堆積する溝部とを備えた液体吐出装置において、前記溝部に堆積した液体の堆積量を検出するセンサを設けることを特徴とする液体吐出システムも実現可能である。
このようにして実現された液体吐出システムは、システム全体として従来システムよりも優れたシステムとなる。
【0021】
===液体吐出装置の概要===
本発明に係る印刷装置として、インクジェットプリンタを例にとり、その概要について説明する。図1〜図7は、そのインクジェットプリンタ1の一実施形態の概要を説明するための図である。図1は、そのインクジェットプリンタ1の一実施形態の外観を示す。図2は、そのインクジェットプリンタ1のブロック構成を示し、図3は、そのインクジェットプリンタ1のキャリッジ、および、その周辺部を示す。図4は、インクジェットプリンタ1のキャリッジに設けられた反射型光学センサの一例を説明するための模式図である。図5は、そのインクジェットプリンタ1の搬送部、およびその周辺部を示し、図6は、吐出ヘッドの下面部に設けられたインクの吐出ノズルの配列を示し、図7は、吐出ノズルの駆動回路を示したものである。
【0022】
このインクジェットプリンタ1は、図1に示すように、背面から供給された印刷用紙等の被印刷体を前面から排出する構造を備えており、その前面部には操作パネル2、および排紙部3が設けられ、その背面部には給紙部4が設けられ、その側面部にはスピーカ75が設けられている。操作パネル2には、各種操作ボタン5、表示ランプ6、および表示パネル74が設けられている。また、排紙部3には、不使用時に排紙口を塞ぐ排紙トレー7が設けられている。給紙部4には、カット紙(図示しない)を保持する給紙トレー8が設けられている。なお、インクジェットプリンタ1は、カット紙など単票状の印刷紙のみならず、ロール紙などの連続した被印刷体にも印刷できるような給紙構造を備えていても良い。
【0023】
このインクジェットプリンタ1は、その主要部として、図2、図3、及び、図5に示すように、紙搬送ユニット10と、インク吐出ユニット20と、クリーニングユニット30と、キャリッジユニット40と、計測器群50と、制御ユニット60とを備えている。
【0024】
媒体を搬送する搬送部の一例としての紙搬送ユニット10は、印刷媒体である例えば紙等の媒体を印刷可能な位置に送り込み、印刷時に所定の方向(図2において紙面に垂直な方向(以下、紙搬送方向という))に所定の移動量で紙を移動させるためのものである。すなわち、紙搬送ユニット10は、紙等の媒体を搬送する搬送機構として機能する。紙搬送ユニット10は、図5に示すように、紙挿入口11A及びロール紙挿入口11Bと、給紙モータ(不図示)と、給紙ローラ13と、プラテン14と、紙搬送モータ(以下、PFモータという)15と、紙搬送モータドライバ(以下、PFモータドライバという)16と、搬送ローラ17Aと排紙ローラ17Bと、フリーローラ18Aとフリーローラ18Bとを有する。ただし、紙搬送ユニット10が搬送機構として機能するためには、必ずしも、これらの構成要素を全て要するというわけではない。
【0025】
紙挿入口11Aは、媒体である用紙Sを挿入するところである。給紙モータ(不図示)は、紙挿入口11Aに挿入された紙Sをプリンタ1内に搬送するモータであり、パルスモータで構成される。給紙ローラ13は、紙挿入口11に挿入された紙をプリンタ1内に自動的に搬送するローラであり、給紙モータ12によって駆動される。給紙ローラ13は、略D形の横断面形状を有している。給紙ローラ13の円周部分の周囲長さは、PFモータ15までの搬送距離よりも長く設定されているので、この円周部分を用いて被印刷体をPFモータ15まで搬送できる。なお、給紙ローラ13の回転駆動力と分離パッド(不図示)の摩擦抵抗とによって、複数の媒体が一度に給紙されることを防いでいる。
【0026】
プラテン14は、印刷中の紙Sを支持する支持手段である。プラテン14は、図2に示すように、吐出ヘッドにより吐出され媒体上に着弾しない液体を堆積する溝部80を備えている。PFモータ15は、図2および図5に示すように、媒体である例えば紙を紙搬送方向に送り出すモータであり、DCモータで構成される。PFモータドライバ16は、PFモータ15の駆動を行うためのものである。搬送ローラ17Aは、給紙ローラ13によってプリンタ内に搬送された紙Sを印刷可能な領域まで送り出すローラであり、PFモータ15によって駆動される。フリーローラ18A(図5参照)は、搬送ローラ17Aと対向する位置に設けられ、紙Sを搬送ローラ17Aとの間に挟むことによって紙Sを搬送ローラ17Aに向かって押さえる。
【0027】
排紙ローラ17B(図5参照)は、印刷が終了した紙Sをプリンタの外部に排出するローラである。排紙ローラ17Bは、不図示の歯車により、PFモータ15によって駆動される。フリーローラ18Bは、排紙ローラ17Bと対向する位置に設けられ、紙Sを排紙ローラ17Bとの間に挟むことによって紙Sを排紙ローラ17Bに向かって押さえる。
【0028】
インク吐出ユニット20は、被印刷体である例えば紙にインクを吐出するためのものである。インク吐出ユニット20は、図2に示すように、吐出ヘッド21と、ヘッドドライバ22とを有する。吐出ヘッド21は、インク吐出部であるノズルを複数有し、各ノズルから断続的にインクを吐出する。ヘッドドライバ22は、吐出ヘッド21を駆動して、吐出ヘッド21から断続的にインクを吐出させるためのものである。
【0029】
クリーニングユニット30は、図3にも示すように、吐出ヘッド21のノズルの目詰まりを防止するためのものである。クリーニングユニット30は、ポンプ装置31と、キャッピング装置35とを有する。ポンプ装置31は、吐出ヘッド21のノズルの目詰まりを防止するため、ノズルからインクを吸い出すものであり、ポンプモータ32とポンプモータドライバ33とを有する。ポンプモータ32は、吐出ヘッド21のノズルからインクを吸引する。ポンプモータドライバ33は、ポンプモータ32を駆動する。キャッピング装置35は、吐出ヘッド21のノズルの目詰まりを防止するため、印刷を行わないとき(待機時)に、吐出ヘッド21のノズルを封止する。
【0030】
キャリッジユニット40は、図2、および図3に示すように、吐出ヘッド21を所定の方向(図2において紙面の左右方向(以下、走査方向という))に走査移動させるためのものである。キャリッジユニット40は、キャリッジ41と、キャリッジモータ(以下、CRモータという)42と、キャリッジモータドライバ(以下、CRモータドライバという)43と、プーリ44と、タイミングベルト45と、ガイドレール46とを有する。キャリッジ41は、走査方向に移動可能であって、吐出ヘッド21を固定している(したがって、吐出ヘッド21のノズルは、走査方向に沿って移動しながら、断続的にインクを吐出する)。また、キャリッジ41は、インクを収容するインクカートリッジ48、49を着脱可能に保持している。さらに、キャリッジ41は、溝部80に堆積した液体の堆積量を検出するセンサの一例としての反射型光学センサ54Aを備えている。反射型光学センサ54Aは、溝部80に対向可能にキャリッジ41に設けられている。図2においては、代表として、反射型光学センサ54Aが示されているが、実際には、図14に示される様に、反射型光学センサ54A、54B、及び、54Cの3つのセンサを有している。反射型光学センサ54A、54B、及び、54Cと溝部80の位置関係については、後に、図14を参照して詳しく説明する。CRモータ42は、キャリッジ41を走査方向に移動させるモータであり、DCモータで構成される。CRモータドライバ43は、CRモータ42を駆動するためのものである。プーリ44は、CRモータ42の回転軸に取付けられている。タイミングベルト45は、プーリ44によって駆動される。ガイドレール46は、キャリッジ41を走査方向に案内する。
【0031】
計測器群50には、リニア式エンコーダ51と、ロータリー式エンコーダ52と、紙検出センサ53と、反射型光学センサ54A、54B、及び、54Cがある。リニア式エンコーダ51は、キャリッジ41の位置を検出するためのものである。ロータリー式エンコーダ52は、搬送ローラ17Aの回転量を検出するためのものである。なお、エンコーダの構成等については、後述する。紙検出センサ53は、印刷される紙の先端の位置を検出するためのものである。この紙検出センサ53は、給紙ローラ13が搬送ローラ17Aに向かって紙を搬送する途中で、紙の先端の位置を検出できる位置に設けられている。なお、紙検出センサ53は、機械的な機構によって紙の先端を検出するメカニカルセンサである。詳しく言うと、紙検出センサ53は紙搬送方向に回転可能なレバーを有し、このレバーは紙の搬送経路内に突出するように配置されている。そのため、紙の先端がレバーに接触し、レバーが回転させられるので、紙検出センサ53は、このレバーの動きを検出することによって、紙の先端の位置を検出する。反射型光学センサ54A、54B、及び、54Cは、キャリッジ41に取付けられている。反射型光学センサ54A、54B、及び、54Cは、発光部材と受光部材を有する光学センサであり、紙によって反射された光を検出することにより、反射型光学センサ54A、54B、及び、54Cの位置における紙の有無を検出する。そして、反射型光学センサ54A、54B、及び、54Cは、キャリッジ41によって移動しながら紙の端部の位置を検出し、紙の幅を検出する。また、反射型光学センサ54A、54B、及び、54Cは、キャリッジ41の位置によって、紙の先端を検出できる。反射型光学センサ54A、54B、及び、54Cは、光学センサなので、紙検出センサ53よりも位置検出の精度が高い。さらに、反射型光学センサ54A、54B、及び、54Cは、溝部80に堆積したインクによって反射された光を検出することにより、インク堆積量を検出する。
【0032】
制御ユニット60は、プリンタの制御を行うためのものである。制御ユニット60は、CPU61と、タイマ62と、インターフェース部63と、ASIC64と、メモリ65と、DCコントローラ66と、反射型光学センサ制御回路68と、溝部80に堆積したインクの堆積量が予め定められた閾値に達したと判定された場合、その旨を報知する報知部の一例としての報知制御回路73とを有する。CPU61は、プリンタ全体の制御を行うためのものであり、DCコントローラ66、PFモータドライバ16、CRモータドライバ43、ポンプモータドライバ32およびヘッドドライバ22に制御指令を与える。タイマ62は、CPU61に対して周期的に割り込み信号を発生する。インターフェース部63は、プリンタの外部に設けられたホストコンピュータ67との間でデータの送受信を行う。ASIC64は、ホストコンピュータ67からインターフェース部63を介して送られてくる印刷情報に基づいて、印刷の解像度や吐出ヘッドの駆動波形等を制御する。メモリ65は、ASIC64及びCPU61のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものであり、RAM、EEPROM等の記憶手段を有する。DCコントローラ66は、CPU61から送られてくる制御指令と計測器群50からの出力に基づいて、PFモータドライバ16及びCRモータドライバ43を制御する。反射型光学センサ制御回路68は、反射型光学センサ54A、54B、及び、54Cを構成する発光部材541A、541B、541C、及び、受光部材542A、542B、542Cを制御する。なお、反射型光学センサ制御回路68は、受光部材542A、542B、及び、542Cから得られる反射光の大きさに応じた電気信号を測定するための電気信号測定部69を有している。報知制御回路73は、溝部80に堆積したインク堆積量が予め定められた閾値に達した場合、報知を行うための制御信号を出力するものであり、CPU61と接続されている。報知制御回路73は、電気信号測定部69の測定結果が供給されたとき、CPU61の制御に従って、表示用および音声用の報知制御信号の少なくとも一方を出力可能である。また、表示パネル74は、表示用の制御信号が供給されて、「溝部にインクが溜まりました!メンテナンスが必要です!」等の内容を表示するものである。表示パネル74は、例えば、LCD、有機EL等で構成される。スピーカ75は、音声用の報知信号が供給されて、「溝部にインクが溜まりました!メンテナンスが必要です!」等の音声を出力するものである。なお、スピーカ75は、インクジェットプリンタ1とは別体のものを使用してもよい。
【0033】
このようなインクジェットプリンタ1では、印刷時において、用紙Sが搬送ローラ17Aにより間欠的に所定の搬送量で搬送され、その間欠的な搬送の合間にキャリッジ41が、搬送ローラ17Aによる搬送方向に対して交差する方向、即ちここでは走査方向に沿って移動しながら、吐出ヘッド21から用紙Sに向けてインクを吐出する。この吐出されたインクによって、用紙S上にはドットが形成され、当該ドットが多数形成されて用紙S上に画像が形成される。
【0034】
===反射型光学センサの構成例===
図4は、キャリッジ41に設けられた反射型光学センサの一例を説明するための模式図である。ここでは、代表として、反射型光学センサ54Aについて説明する。反射型光学センサ54Aは、光を発する発光ダイオード等の発光部材541Aと、発光部材が発する光を受光するフォトトランジスタ等の受光部材542Aとを有している。反射型光学センサ54Aは、溝部80に堆積したインクによって反射された光を検出することにより、インク堆積量を検出するためのものである。
【0035】
なお、発光部材541Aは、上記の発光ダイオードに限定されるものではなく、光を発することによって本発明を実現するための要素を構成できる部材であれば如何なる部材を採用してもよい。
また、受光部材542Aは、上記のフォトトランジスタに限定されるものではなく、発光部材541Aからの光を受光することによって本発明を実現するための要素を構成できる部材であれば如何なる部材を採用してもよい。
【0036】
発光部材541Aが発した指向性を有する入射光は、溝部に堆積したインクに照射される。インクに照射された入射光は反射される。このときの反射光は、受光部材542Aで受光され、反射光の大きさに応じた出力値としての電気信号に変換される。すなわち、堆積したインクの堆積量によって入射光を反射する位置(高さ)が異なるため、受光部が受光する反射光の大きさは異なるので(後述)、受光部材542Aから得られる電気信号の大きさに応じて、反射型光学センサ54Aの入射方向にあるインク量を検出することが可能となる。受光部材542Aから得られる電気信号の大きさは、電気信号測定部69において測定される。
【0037】
以上においては、反射型光学センサ54Aを例にとって説明したが、反射型光学センサ54B、54Cについても反射型光学センサ54Aと同じ構成である。この場合、反射型光学センサ54Aの発光部材541A、受光部材542Aを、それぞれ反射型光学センサ54Bの発光部材541B、受光部材542B、反射型光学センサ54Cの発光部材541C、受光部材542Cに、それぞれ対応させればよい。
【0038】
===吐出ヘッド21の吐出機構===
図6は、吐出ヘッド21の下面部に設けられたインクの吐出ノズルの配列を示した図である。吐出ヘッド21の下面部には、同図に示すように、透明無色のクリアインク、ブラックインク(K)、シアンインク(C)、マゼンタインク(M)およびイエロインク(Y)の各色ごとにそれぞれ複数のノズル♯1〜♯13からなるノズル列211が設けられている。なお、これらの色のうち、ブラックインク(K)は無彩色に、シアンインク(C)、マゼンタインク(M)およびイエロインク(Y)は有彩色に該当する。また、透明無色のクリアインクは、無彩色、および有彩色の発色光を良くする。各ノズル♯1〜♯13は、用紙Sの搬送方向に沿って直線状に配列されている。各ノズル列211は、吐出ヘッド21の移動方向(走査方向)に沿って相互に間隔をあけて平行に配置されている。各ノズル♯1〜♯13には、インク滴を吐出するための駆動素子としてピエゾ素子(図示外)が設けられている。
【0039】
ピエゾ素子は、その両端に設けられた電極間に所定時間幅の電圧を印加すると、電圧の印加時間に応じて伸張し、インクの流路の側壁を変形させる。これによって、インクの流路の体積がピエゾ素子の伸縮に応じて収縮し、この収縮分に相当するインクが、インク滴となって各色の各ノズル♯1〜♯13から吐出される。
【0040】
図7は、各ノズル♯1〜♯13の駆動回路を示したものである。この駆動回路は、同図に示すように、原駆動信号発生部221と、複数のマスク回路222と、駆動信号補正回路223とを備えている。原駆動信号発生部221は、各ノズル♯1〜♯13に共通して用いられる原信号ODRVを生成する。この原信号ODRVは、一画素分の主走査期間内(キャリッジ41が一画素の間隔を横切る時間内)において、図中下部に示すように、第1パルスW1と第2パルスW2の2つのパルスを含む信号である。原駆動信号発生部221で生成された原信号ODRVは、各マスク回路222に出力される。
【0041】
マスク回路222は、吐出ヘッド21のノズル♯1〜♯13をそれぞれ駆動する複数のピエゾ素子に対応して設けられている。各マスク回路222には、原信号発生部221から原信号ODRVが入力されるとともに、印刷信号PRT(i)が入力される。この印刷信号PRT(i)は、画素に対応する画素データであり、一画素に対して2ビットの情報を有する2値信号である。マスク回路222は、印刷信号PRT(i)のレベルに応じて、原信号ODRVを遮断したり通過させたりする。すなわち、印刷信号PRT(i)がレベル『0』のときには、原信号ODRVのパルスを遮断する一方、印刷信号PRT(i)がレベル『1』のときには、原信号ODRVの対応するパルスをそのまま通過させて駆動信号DRVとして駆動信号補正回路223に出力する。
【0042】
駆動信号補正回路223は、マスク回路222からの駆動信号DRVの波形のタイミングをずらして補正をする。ここで補正される駆動信号DRVの波形のタイミングのずらし幅は、CPU61等からの指示によって適宜調節される。すなわち、駆動信号補正回路223は、CPU61等からの指示によって駆動信号DRVの波形を所望のタイミングにずらすことができる。駆動信号補正回路223により補正された駆動信号DRVは、各ノズル♯1〜♯13のピエゾ素子に向けて出力される。各ノズル♯1〜♯13のピエゾ素子は、駆動信号補正回路223からの駆動信号DRVに基づき駆動してインクの吐出を行う。なお、これら原駆動信号発生部221と、複数のマスク回路222と、駆動信号補正回路223とを備えた駆動回路が、本発明の吐出制御手段に相当する。
【0043】
本実施形態に係るインクジェットプリンタ1では、このようなノズル♯1〜♯13の駆動回路が、各ノズル列211ごと、即ち、クリアインク、ブラックインク(K)、シアンインク(C)、マゼンタインク(M)およびイエロインク(Y)の各ノズル列211(クリア)、211(K)、211(C)、211(M)、211(Y)ごとに各々設けられ、各ノズル列ごとに個別にピエゾ素子の駆動が行われるようになっている。
【0044】
なお、本実施形態では、吐出ヘッドから吐出されるインクが、ブラックインク(K)、シアンインク(C)、マゼンタインク(M)およびイエロインク(Y)の各色のインクであったが、本発明にあっては、これらに限らず、これら以外の他の色のインクを吐出したりする場合も含む。この他に、本発明では、印刷における利用を目的に、これらのインクとともに使用される特殊な機能を有する液体などについても便宜上「インク」ということにする。
【0045】
===ホストの処理===
図8は、ホスト67の処理を概略的に説明する図である。同図に示すように、ホスト67は、プリンタ1に接続されたコンピュータ本体90と、表示装置93とを備えている。コンピュータ本体90には、プリンタ1の動作を制御する「プリンタドライバ」と呼ばれるコンピュータプログラム96が搭載されている。プリンタドライバ96は、同図に示すように、ホスト67に搭載された所定のオペレーティングシステムの下で、アプリケーションプログラム95が動作している。オペレーティングシステムには、ビデオドライバ91やプリンタドライバ96が組み込まれており、アプリケーションプログラム95からは、これらのドライバを介して、インクジェットプリンタ1に転送するための印刷データPDが出力される。画像のレタッチなどを行うアプリケーションプログラム95は、処理対象の画像に対して所望の処理を行い、また、ビデオドライバ91を介して表示装置93に画像を表示している。
【0046】
アプリケーションプログラム95が印刷命令を発すると、コンピュータ本体90のプリンタドライバ96が、画像データをアプリケーションプログラム95から受け取り、これをインクジェットプリンタ1に供給する印刷データPDに変換する。プリンタドライバ96の内部には、解像度変換モジュール97と、色変換モジュール98と、ハーフトーンモジュール99と、ラスタライザ100と、ユーザーインターフェース表示モジュール101と、UIプリンタインターフェースモジュール102と、色変換ルックアップテーブルLUTと、が備えられている。
【0047】
解像度変換モジュール97は、アプリケーションプログラム95で形成されたカラー画像データの解像度を、印刷解像度に変換する役割を果たす。こうして解像度変換された画像データは、まだRGBの3つの色成分からなる画像情報である。色変換モジュール98は、色変換ルックアップテーブルLUTを参照しつつ、各画素毎に、RGB画像データを、インクジェットプリンタ1が利用可能な複数のインク色の多階調データに変換する。
【0048】
色変換された多階調データは、例えば256階調の階調値を有している。ハーフトーンモジュール99は、いわゆるハーフトーン処理を実行してハーフトーン画像データを生成する。このハーフトーン画像データは、ラスタライザ100によりインクジェットプリンタ1に転送すべきデータ順に並べ替えられ、最終的な印刷データPDとしてインクジェットプリンタ1に出力される。印刷データPDは、各主走査時のドットの形成状態を示すラスタデータと、副走査送り量を示すデータと、を含んでいる。
【0049】
ユーザーインターフェース表示モジュール101は、印刷に関係する種々のユーザーインターフェースウィンドウを表示する機能と、それらのウィンドウ内におけるユーザーの入力を受け取る機能とを有している。
UIプリンタインターフェースモジュール102は、ユーザーインターフェース(UI)とプリンタ1間のインターフェースを取る機能を有している。ユーザーがユーザーインターフェースにより指示した命令を解釈して、インクジェットプリンタ1へ各種コマンドCOMを送信したり、逆に、インクジェットプリンタ1から受信したコマンドCOMを解釈して、ユーザーインターフェースへ各種表示を行ったりする。
【0050】
なお、プリンタドライバ96は、各種コマンドCOMを送受信する機能、印刷データPDをインクジェットプリンタ1に供給する機能等を実現する。このようなプリンタドライバ96の機能を実現するためのプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録された形態で供給される。このような記録媒体としては、フレキシブルディスクやCD−ROM、光磁気ディスク、ICカード、ROMカートリッジ、パンチカード、バーコードなどの符号が印刷された印刷物、ホスト67の内部記憶装置(RAMやROMなどのメモリ)および外部記憶装置等の、ホスト67が読み取り可能な種々の媒体を利用できる。また、このようなコンピュータプログラムを、インターネットを介してコンピュータ本体90にダウンロードすることも可能である。
【0051】
===縁無し印刷===
本実施形態に係るインクジェットプリンタ1にあっては、印刷モードとして、通常の印刷を行う通常印刷モードの他に、媒体の縁、ギリギリに対してインクを打ち込む「縁無し印刷」を行う縁無し印刷モードを備えている。
通常印刷モードは、印刷領域Pが用紙S上に収まるように印刷を行うモードである。図9は、通常印刷モードにおける印刷領域Pと用紙Sとのサイズの関係を示したものである。同図に示すように、印刷領域Pは用紙S内に納まるように設定され、用紙Sの外周部、即ち左右両側縁部及び上下両側縁部には、余白が形成される。
【0052】
プリンタドライバ96は、通常印刷モードが設定されていた場合、アプリケーションプログラムから与えられた画像データに基づき、印刷領域Pが用紙Sに収まるように印刷データPDを生成する。ここで、印刷領域Pを用紙S内に納めることができないような画像データを処理する場合には、画像データにより表される画像の一部を印刷対象から除外したり、またその画像を縮小処理するなどして用紙Sに収まるようにすることもある。
【0053】
一方、「縁無し印刷モード」は、用紙Sに余白が形成されないように印刷を行うモードである。インクは、用紙Sから外れる領域にも吐出される。図10は、「縁無し印刷モード」における印刷領域Pと用紙Sとのサイズの関係を示したものである。同図に示すように、「紙無し印刷モード」では、印刷領域Pが用紙Sよりも大きくなるように設定される。用紙Sの周縁部、即ち左右両側縁部および上下両側縁部には、余白が形成されていない。
【0054】
プリンタドライバ96は、「縁無し印刷モード」が設定されていた場合には、印刷領域Pが用紙Sからはみ出るような印刷データPDを生成することができる。ここで、印刷領域Pが用紙Sよりも小さくなるような画像データを処理する場合には、印刷領域Pが用紙S全体に行き渡るように印刷領域Pを拡大したりすることができる。これによって、縁の無い見栄えに優れた印刷を行うことができる。
【0055】
<打ち捨てられるインクの処理>
「縁無し印刷モード」において用紙Sから外れて打ち捨てられるインクは、プラテン14を汚す等の悪影響を及ぼす虞がある。このため、本実施形態に係るプリンタ1では、吐出ヘッドにより吐出され媒体上に着弾しない液体を堆積する溝部80を備えている。
【0056】
図11は、その溝部80の一例を示したものである。図11は、溝部80を示す断面図である。溝部80は、図11に示すように、プラテン14上に断面凹形の形状として形成されている。その溝部80は、キャリッジ41の移動方向に沿って直線状に設けられている。図11の例では、溝部80は、用紙Sの搬送されてくる用紙搬送方向上流部、及び、用紙搬送方向下流部に、それぞれ設けられている。その溝部80内には、打ち捨てられたインクを吸収する吸収材84が設けられている。この吸収材84は、スポンジなどをはじめとする、インクの吸収が可能な各種材料により形成されている。打ち捨てられたインクは、この吸収材84の上に到達して吸収材84に吸収され得るようになっている。
【0057】
しかしながら、以下に示す▲1▼〜▲3▼のインクが溝部80に回収されると、溝部80の吸収材84になかなか浸透せずに残留してしまう虞がある。インクが吸収材84上に残留してしまうと、インクが蓄積されて、そのうち山積みとなり、印刷時に用紙Sが汚れてしまうというようなことが予想される。このようなインクとは、次のようなインクである。
▲1▼他のインクに比べて浸透性が低いインク
▲2▼他のインクと接触することによって浸透性が低くなるインク
▲3▼他のインクと接触することによって他のインクの浸透性を低くするインク
【0058】
ここで、「▲1▼浸透性が低いインク」とは、例えば紙やスポンジなどの一般に液体に対する吸収性を有する素材に対して浸透性が低いインクのことである。具体的には、例えば分子が大きいことなどの理由により、吸収性を有する素材に対して全く浸透性の無いものをはじめ、その素材に対して浸透性はあるものの、その浸透速度は遅く、浸透に相当な時間がかかるものも含む。もちろん、そのインクの組成物全体が、浸透性が低い場合に限らず、その組成物の一部でも浸透性が低ければ、「浸透性の低いインク」となる。例えば、インクの溶媒は浸透性が高いが、それに含まれている色材などは浸透性が低い場合などがある。
【0059】
また、「▲2▼他のインクと接触することにより浸透性が低くなるインク」とは、単独では浸透性は高いものの、他のインクと接触することによって性質が変化して、浸透性が低くなってしまうインクのことである。具体的には、他のインクと接触することによって化学反応を起こして浸透性が低くなるインクなどがある。このようなインクについては、「▲1▼浸透性が低いインク」と同様、紙等に対して全く浸透性の無くなるものをはじめ、その素材に対して浸透性はあるものの、その浸透速度は遅く、浸透に相当な時間がかかるものも含む。もちろん、ここでも、接触後の組成物全体が、浸透性が低い場合に限らず、その組成物の一部でも浸透性が低ければ、「浸透性の低いインク」となる。
【0060】
また、「▲3▼他のインクと接触することによってその他のインクの浸透性を低くする性質を有するインク」としては、例えば、他のインクと接触することによって、その他のインクと化学反応を起こし、その他のインクと凝集物を生成するような他のインクの凝集を促進させるようなインクがある。
【0061】
本実施の形態においては、上述した▲1▼、及び、▲2▼の性質を有するクリアインクが吐出ヘッド21から吐出され溝部80に堆積する。
【0062】
また、この溝部80により回収されるインクは、吐出ヘッド21に設けられたノズル#1〜#13のうち、溝部80と対向して配置されたノズル#1〜#4、及び、#10〜#13から吐出されるインクのみである。他のノズル、即ちノズル#5〜#9については、溝部80に対して対向して配置されておらず、したがって、吐出されたインクを溝部80で回収することはできない。つまり、「縁無し印刷」においては、ノズル#5〜#9は使用せず、ノズル#1〜#4、及び、#10〜#13のみが使用されて印刷が行われる。そして、「縁無し印刷」において、ノズル#1〜#4、及び、#10〜#13から吐出され用紙Sに着弾しないインクが、溝部80に堆積する。
【0063】
===印刷処理===
次に、図12乃至図17を参照して印刷処理について説明する。図12は印刷処理を説明するフローチャートであり、図13は液体堆積量検出処理を説明するフローチャートであり、図14はキャリッジが移動する様子を説明する説明図であり、図15Aは溝部にまだインクがあまり堆積していない場合に、反射型光学センサが溝部に堆積したインク量を検出する様子を説明する説明図であり、図15Bは溝部にインクが堆積している場合に、反射型光学センサが溝部に堆積したインク量を検出する様子を説明する説明図であり、図16はキャリッジが媒体の幅に応じた範囲を移動することを説明する説明図であり、図17はキャリッジが移動し、反射型光学センサが溝部と対向している様子を説明する説明図である。
【0064】
まず、最初に、印刷処理について、図12を参照して説明する。ユーザーがアプリケーションプログラム95等において印刷を行う旨を指示する(ステップS11)。本指示を受け取ったアプリケーションプログラム95が、印刷命令を発すると、コンピュータ90のプリンタドライバ96が、画像データをアプリケーションプログラム95から受け取り、これを各主走査時のドットの形成状態を示すラスタデータとキャリッジ移動方向送り量を示すデータとを含む印刷データPDに変換する。さらに、プリンタドライバ96は、かかる印刷データPDを各種コマンドCOMとともに、インクジェットプリンタ1に供給する。インクジェットプリンタ1は、これらを、インターフェース部63により受信した後に、CPU61又はDCコントローラ66へ送信する。
【0065】
また、ユーザーは用紙Sのサイズや縁なし印刷を行う旨をユーザーインターフェース表示モジュール101に指示することが可能である。ユーザーによる当該指示は、ユーザーインターフェース表示モジュール101により受け取られ、UIプリンタインターフェースモジュール102へ送られる。UIプリンタインターフェースモジュール102は、指示された命令を解釈して、インクジェットプリンタ1へコマンドCOMを送信する。インクジェットプリンタ1は、コマンドCOMをインターフェース部63により受信した後に、CPU61又はDCコントローラ66へ送信する。
【0066】
そして、処理は、ステップS12に進み、液体堆積量検出処理が実行される。次に、液体堆積量検出処理について、図13を参照して説明する。
DCコントローラ66は、反射型光学センサ制御回路68に指令し、キャリッジ41に備えられた反射型光学センサ54A、54B、及び、54Cを制御し、当該反射型光学センサの発光部材からプラテン14に向けて光を発する(ステップS31)。
そしてDCコントローラ66は、キャリッジ41を移動させる(ステップS32)。キャリッジ41の移動は、CRモータドライバ43によりCRモータ42を駆動させて実行される。
【0067】
図14に示されるように、溝部80は、用紙Sの搬送されてくる用紙搬送方向上流部に直線上に設けられた上流側溝部80A、用紙搬送方向下流部に直線上に設けられた下流側溝部80B、プラテン14の左端部に用紙搬送方向に沿って直線上に設けられた左側溝部80C、及び、プラテン14の右端部に用紙搬送方向に沿って直線上に設けられた右側溝部80Dから構成される。
【0068】
反射型光学センサ54A、及び、54Bは、それぞれ溝部80A、及び、溝部80Bに対向するようにキャリッジ41に設けられている。したがって、反射型光学センサ54A、及び、54Bは、キャリッジ41が走査方向に移動することによって、溝部80A、及び、溝部80Bの全域に亘って、インクの堆積量を検出することができる。
【0069】
そして、反射型光学センサ54Cは、キャリッジ41の用紙搬送方向中央部に設けられている。したがって、キャリッジ41が移動し、反射型光学センサ54Cが、溝部80C、及び、溝部80Dと対向する位置になったとき、溝部80C、及び、溝部80Dに堆積したインクの堆積量を検出することができる。この場合、キャリッジ41の用紙搬送方向上流部から下流部まで、矩形のラインセンサを設ければ、溝部80C、及び、溝部80Dの全域に亘って、インクの堆積量を検出することができる。
【0070】
なお、図14においては、反射型光学センサ54A、54B、及び、54Cは、それぞれ、キャリッジ41の右端部に設けられているが、右端部に限らず、キャリッジ41の中央部、あるいは左端部に設けられていてもよい。発光部材から照射された光は、溝部80に堆積したインクによって反射される。このときの反射光は、受光部材によって受光される。受光部材によって受光された反射光は、電気信号測定部69によって、電気信号に変換される。
【0071】
図15Aに示されるように、例えば、反射型光学センサ54Aの発光部材541Aから溝部80に堆積したインクまでの距離h1が大きい場合、すなわち、溝部80にまだインクがあまり堆積していない場合、受光部材542Aには、反射光は入射せず、拡散光しか入射しない。したがって、受光部材542Aが受光する光量は少なく、このとき、電気信号測定部69によって変換された電気信号の電圧、例えば、V1は、小さい値となる。
【0072】
一方、図15Bに示されるように、例えば、反射型光学センサ54Aの発光部材541Aから溝部80に堆積したインクまでの距離h2が小さい場合、すなわち、溝部80にインクが堆積している場合、受光部材542Aには、反射光が入射する。したがって、受光部材542Aが受光する光量は大きく、このとき、電気信号測定部69によって変換された電気信号の電圧、例えば、V2は大きい値となる。よって、電圧V2は、電圧V1より大きい関係にある。
【0073】
したがって、受光部材542Aによって受光され、電気信号測定部69によって電気信号に変換された信号電圧と、発光部材541Aから溝部80に堆積したインクまでの距離との関係を予め求めておけば、信号電圧に基づいて、発光部材541Aから溝部80に堆積したインクまでの距離、すなわち、溝部80に堆積したインク量を検出することが可能である。例えば、溝部80に堆積したインク堆積量がプラテン14と水平線上になる位置になったときに、電気信号測定部69によって電気信号に変換された信号電圧を、閾値として予めEEPROMに記憶しておけば、信号電圧が閾値を超えたか否かで、インク堆積量がプラテン14と水平線上になる位置に達したか否かを判定することができる。
【0074】
以上においては、反射型光学センサ54Aを例にとって説明したが、反射型光学センサ54B、54Cの場合にも同様の関係が成立する。この場合、反射型光学センサ54Aの発光部材541A、受光部材542Aを、それぞれ反射型光学センサ54Bの発光部材541B、受光部材542B、反射型光学センサ54Cの発光部材541C、受光部材542Cに、それぞれ対応させればよい。
【0075】
CPU61は、電気信号測定部69によって変換された信号電圧と、EEPROMに格納されている閾値とを比較する(ステップS33)。このように、CPU61は、反射型光学センサ54A、54B、及び、54Cにより検出されたインクの堆積量が予め定められた閾値に達したか否かを判定する判定部として機能する。
【0076】
CPU61が、電気信号測定部69によって変換された信号電圧がEEPROMに格納されている閾値より大きいと判定した場合、すなわち、溝部80に堆積したインク堆積量がプラテン14と水平線上になる位置まで達した場合(ステップS33においてNoと判定された場合)、CPU61は、報知制御回路73を制御し、報知を行うための制御信号を出力させる。報知制御回路73は、CPU61の制御に従って、表示用および音声用の報知制御信号の少なくとも一方を出力可能する(ステップS36)。例えば、表示パネル74は、表示用の制御信号が供給されて、「溝部にインクが溜まりました!メンテナンスが必要です!」等の内容を表示する。または、スピーカ75から、「溝部にインクが溜まりました!メンテナンスが必要です!」等の内容の音声を出力させることもできる。ステップS36の処理の後、CPU61は、キャリッジ41の移動を停止させる(ステップS37)。
【0077】
このように、溝部80に堆積したインクの堆積量が予め定められた閾値に達したと判定された場合、表示パネル74、およびスピーカ75により、その旨がすぐにユーザーに報知される。したがって、ユーザーは、溝部80に堆積したインクの堆積量が予め定められた閾値に達したことをすぐに知ることができる。そして、ユーザーは、溝部80をメンテナンスすることによって、印刷される媒体を汚すことを防ぐことができる。
【0078】
CPU61が、電気信号測定部69によって変換された信号電圧がEEPROMに格納されている閾値より小さいと判定した場合、すなわち、溝部80に堆積したインク堆積量がプラテン14と水平線上になる位置まで達していない場合(ステップS33においてYesと判定された場合)、CPU61は、キャリッジ41が、用紙Sの紙幅を移動したか否かを判定する。
【0079】
CPU61がこのように判定する理由は、例えば、図16に示されるように、用紙Sが溝部80C、及び、溝部80A、80Bの一部分にかぶさらないような場合、用紙Sがかぶさらない部分に堆積したインク堆積量が、たとえ、プラテン14と水平線上になる位置まで達したとしても、用紙Sとは干渉しないため、用紙Sが汚れてしまうというようなことはないからである。キャリッジ41が移動する用紙Sの紙幅は、予めEEPROMに記憶しておけばよい。そして、CPU61は、キャリッジ41がEEPROMに記憶された用紙Sの紙幅を移動したか否かを判定すればよい。このようにすることによって、溝部80A、及び、溝部80Bの全域に亘ってキャリッジ41を移動させる必要はない。したがって、キャリッジ41を移動させる時間を短縮することができる。
【0080】
キャリッジ41が用紙Sの紙幅を移動していないと、CPU61が判定した場合(ステップS34においてNoと判定された場合)、処理は、ステップS32に戻る。キャリッジ41が用紙Sの紙幅を移動したと、CPU61が判定した場合(ステップS34においてYesと判定された場合)、用紙Sの紙幅に亘って、溝部80に堆積したインク堆積量がプラテン14と水平線上になる位置まで達していない。したがって、CPU61は、報知制御回路73を制御し、報知を行うための制御信号を出力させる。報知制御回路73は、CPU61の制御に従って、表示用および音声用の報知制御信号の少なくとも一方を出力可能する(ステップS35)。例えば、表示パネル74は、表示用の制御信号が供給されて、「印刷可能です!」等の内容を表示する。または、スピーカ75から、「印刷可能です!」等の内容の音声を出力させることもできる。
【0081】
ステップS35の処理が終了した後、処理は、図12の印刷処理に戻り、インクジェットプリンタ1は、DCコントローラ66に送信された命令に基づいて、紙送りモータドライバ16によりPFモータ15を駆動させる等して、用紙Sの給紙を行う(ステップS13)。
そして、CPU61は、ヘッドドライバ22により吐出ヘッド21を駆動させて、インクを吐出させる(ステップS14)。
CPU61は、図17に示すように反射型光学センサ54Cが、溝部80C、もしくは、溝部80Dと対向しているか否かを判定する(ステップS15)。
例えば、リニア式エンコーダ51によってキャリッジ41の位置を検出することができるので、リニア式エンコーダ51の出力に基づいて、反射型光学センサ54Cが、溝部80C、もしくは、溝部80Dと対向しているか否かを判定すればよい。
【0082】
ステップS15において、CPU61が、反射型光学センサ54Cが溝部80C、もしくは、溝部80Dと対向していないと判定した場合(ステップS15においてNoと判定された場合)、印刷途中であるので、処理はステップS14に戻る。
ステップS15において、CPU61が、反射型光学センサ54Cが溝部80C、もしくは、溝部80Dと対向していると判定した場合(ステップS15においてYesと判定された場合)、反射型光学センサ54Cの受光部材542Cによって受光され、電気信号測定部69によって変換された信号電圧とEEPROMに格納されている閾値とを比較する(ステップS16)。
【0083】
ステップS16において、CPU61が、電気信号測定部69によって変換された信号電圧がEEPROMに格納されている閾値より小さいと判定した場合、すなわち、溝部80C、もしくは、溝部80Dに堆積したインク堆積量がプラテン14と水平線上になる位置まで達していない場合(ステップS16においてYesと判定された場合)、CPU61は、ステップS13の処理において給紙された用紙Sの印刷が終了したか否かを判定する(ステップS17)。給紙された用紙Sの印刷が終了したか否かの判定は、用紙Sが溝部80Bにかぶさっているか否かを判定すればよい。例えば、溝部80Bに対向して設けられた反射型光学センサ54Bの受光部材542Bで受光され、電気信号測定部69によって電気信号に変換された信号電圧と、発光部材541Bからプラテン14上の用紙Sまでの距離との関係を予め求めておけば、信号電圧に基づいて、発光部材541Bからプラテン14上の用紙Sまでの距離を検出することが可能である。そして、用紙Sが溝部80Bにかぶさる位置になったときに、電気信号測定部69によって電気信号に変換された信号電圧を、閾値としてEEPROMに記憶しておけば、用紙Sが溝部80Bにかぶさっているか否かを判定することが可能である。
【0084】
CPU61は、電気信号測定部69によって変換された電気信号の電圧と、EEPROMに格納されている閾値とを比較する。CPU61が、用紙Sが溝部80Bにかぶさっている、すなわち、用紙Sの印刷が終了していないと判定した場合(ステップS17においてNoと判定された場合)、印刷途中であるので、処理はステップS14に戻る。CPU61が、用紙Sが溝部80Bにかぶさっていない、すなわち、用紙Sの印刷が終了したと判定した場合(ステップS17においてYesと判定された場合)、CPU61は、印刷すべき画像データはあるか否かを判定する(ステップS18)。CPU61が、印刷すべき画像データはあると判定した場合(ステップS18においてYesと判定された場合)、処理はステップS12に戻り、再び、液体堆積量検出処理が実行される。
【0085】
ステップS16において、CPU61が、電気信号測定部69によって変換された信号電圧がEEPROMに格納されている閾値より大きいと判定した場合、すなわち、溝部80B、もしくは、もしくは、溝部80Cに堆積したインク堆積量がプラテン14と水平線上になる位置まで達した場合(ステップS16においてNoと判定された場合)、CPU61は、報知制御回路73を制御し、報知を行うための制御信号を出力させる。報知制御回路73は、CPU61の制御に従って、表示用および音声用の報知制御信号の少なくとも一方を出力可能する(ステップS21)。例えば、表示パネル74は、表示用の制御信号が供給されて、「溝部にインクが溜まりました!メンテナンスが必要です!」等の内容を表示する。または、スピーカ75から、「溝部にインクが溜まりました!メンテナンスが必要です!」等の内容の音声を出力させることもできる。
【0086】
ステップS18において、印刷すべき画像データはない場合(ステップS18においてNoと判定された場合)、又は、ステップS21の処理の後、CPU61は、インクの吐出を中止する(ステップS19)、そして、CPU61は、キャリッジ41の移動を停止させ、印刷を中止する(ステップS20)。
【0087】
このように、印刷処理が開始される際、及び、1枚目の用紙Sの印刷が終了した際に、それぞれ、溝部80に堆積したインクの堆積量が予め定められた閾値に達したか否かが判定されるので、溝部80に堆積するインクの堆積量が予め定められた閾値を超えた状態で印刷が実行され、印刷される媒体を汚すことを防ぐことができる。
【0088】
===液体吐出システム等の構成===
次に、本発明に係る液体吐出システムの一例として、液体吐出装置としてインクジェットプリンタを備えた印刷システムを例にして説明する。
【0089】
図18は、液体吐出システムの外観構成を示した説明図である。液体吐出システム1000は、コンピュータ本体1102と、表示装置1104と、プリンタ1106と、入力装置1108と、読取装置1110とを備えている。コンピュータ本体1102は、本実施形態ではミニタワー型の筐体に収納されているが、これに限られるものではない。表示装置1104は、CRT(Cathode Ray Tube:陰極線管)やプラズマディスプレイや液晶表示装置等が用いられるのが一般的であるが、これに限られるものではない。プリンタ1106は、上記に説明されたプリンタが用いられている。入力装置1108は、本実施形態ではキーボード1108Aとマウス1108Bが用いられているが、これに限られるものではない。読取装置1110は、本実施形態ではフレキシブルディスクドライブ装置1110AとCD−ROMドライブ装置1110Bが用いられているが、これに限られるものではなく、例えばMO(Magnet Optical)ディスクドライブ装置やDVD(Digital Versatile Disk)等の他のものであっても良い。
【0090】
図19は、図18に示した液体吐出システムの構成を示すブロック図である。コンピュータ本体1102が収納された筐体内にRAM等の内部メモリ1202と、ハードディスクドライブユニット1204等の外部メモリがさらに設けられている。
【0091】
上述したプリンタの動作を制御するコンピュータプログラムは、例えばインターネット等の通信回線を経由して、プリンタ1106に接続されたコンピュータ1000等にダウンロードさせることができるほか、コンピュータによる読み取り可能な記録媒体に記録して配布等することもできる。記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスクFD、CD−ROM、DVD−ROM、光磁気ディスクMO、ハードディスク、メモリ等の各種記録媒体を用いることができる。なお、このような記憶媒体に記憶された情報は、各種の読取装置1110によって、読み取り可能である。
【0092】
なお、以上の説明においては、プリンタ1106が、コンピュータ本体1102、表示装置1104、入力装置1108、及び、読取装置1110と接続されてコンピュータシステムを構成した例について説明したが、これに限られるものではない。例えば、コンピュータシステムが、コンピュータ本体1102とプリンタ1106から構成されても良く、コンピュータシステムが表示装置1104、入力装置1108及び読取装置1110のいずれかを備えていなくても良い。また、例えば、プリンタ1106が、コンピュータ本体1102、表示装置1104、入力装置1108、及び、読取装置1110のそれぞれの機能又は機構の一部を持っていても良い。一例として、プリンタ1106が、画像処理を行う画像処理部、各種の表示を行う表示部、及び、デジタルカメラ等により撮影された画像データを記録した記録メディアを着脱するための記録メディア着脱部等を有する構成としても良い。
【0093】
また、上述した実施形態において、プリンタを制御するコンピュータプログラムが、制御ユニット60の記憶媒体であるメモリ65に取り込まれていても良い。そして、制御ユニット60が、メモリ65に格納されたコンピュータプログラムを実行することにより、上述した実施形態におけるプリンタの動作を達成しても良い。
【0094】
このようにして実現された液体吐出システムは、システム全体として従来システムよりも優れたシステムとなる。
【0095】
===その他の実施の形態===
以上、一実施形態に基づき、本発明に係るプリンタ等の印刷装置について説明したが、上記の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更または改良され得るとともに、本発明には、その等価物が含まれることは言うまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に係る液体吐出装置に含まれるものである。
【0096】
また、本実施形態において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部又は全部をソフトウェアによって置き換えてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部をハードウェアによって置き換えてもよい。
また、本実施形態において、反射型光学センサを使用して被印刷体の印刷が終了したか否かを判定したが、印刷データがなくなったか否かで判定するようにしてもよい。
また、媒体上に着弾しない液体を堆積する溝部80内に打ち捨てられたインクを吸収する吸収材84を設けなくてもよい。
また、被印刷体は、印刷紙Sの他に、布やフィルムなどであってもよい。
また、本実施形態において、反射型光学センサは、反射型光学センサ54A、54B、及び、54Cの3つのセンサから構成されるが、1つのセンサで構成してもよい。
また、液体吐出装置側にて行っていた処理の一部をホスト側にて行ってよく、また液体吐出装置とホストの間に専用の処理装置を介設して、この処理装置にて処理の一部を行わせるようにしてもよい。
【0097】
<液体吐出装置について>
本発明の液体吐出装置としては、前述したインクジェットプリンタ等の印刷装置をはじめ、これらの他に、例えば、カラーフィルタ製造装置、染色装置、微細加工装置、半導体製造装置、表面加工装置、三次元造型機、液体気化装置、有機EL製造装置(特に高分子EL製造装置)、ディスプレイ製造装置、成膜装置、DNAチップ製造装置等に適用することも可能である。
【0098】
<液体について>
本発明の液体としては、前述したインク、例えば染料インクや顔料インクに限定されるものではなく、例えば、金属材料、有機材料(特に高分子材料)、磁性材料、導電性材料、配線材料、成膜材料、電子インク、加工液、遺伝子溶液等を含む(水も含む)を適用することもできる。また、液体の成分については、溶媒として水の他に溶剤など、液体を構成するものを含む。
【0099】
<媒体について>
媒体については、前述した用紙として、普通紙やマット紙、カット紙、光沢紙、ロール紙、用紙、写真用紙、ロールタイプ写真用紙等をはじめ、これらの他に、OHPフィルムや光沢フィルム等のフィルム材や布材、金属板材などであっても構わない。すなわち、液体の吐出対象となり得るものであれば、どのような媒体であっても構わない。
【0100】
【発明の効果】
本発明にあっては、媒体から外れたインクの山積みを検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】インクジェットプリンタの一実施形態を示した斜視図。
【図2】インクジェットプリンタの全体構成の説明図。
【図3】インクジェットプリンタのキャリッジ等を示す図。
【図4】インクジェットプリンタのキャリッジに設けられた反射型光学センサを示す図。
【図5】インクジェットプリンタの搬送機構を示す図。
【図6】ヘッドにおけるノズルの配列を示す説明図。
【図7】ヘッド駆動回路内の構成を示すブロック図。
【図8】ホスト側の処理を説明するための説明図。
【図9】通常印刷時の印刷領域と用紙との関係を説明する説明図。
【図10】縁無し印刷時の印刷領域と用紙との関係を説明する説明図。
【図11】溝部を示す断面図。
【図12】印刷処理を説明するフローチャート。
【図13】液体堆積量検出処理を説明するフローチャート。
【図14】キャリッジを移動させて印刷する様子を説明する説明図。
【図15】図15Aは溝部にまだインクがあまり堆積していない場合に、反射型光学センサが溝部に堆積したインク量を検出する様子を説明する説明図。図15Bは溝部にインクが堆積している場合に、反射型光学センサが溝部に堆積したインク量を検出する様子を説明する説明図。
【図16】キャリッジが媒体の幅に応じた範囲を移動することを説明する説明図。
【図17】キャリッジが移動し、反射型光学センサが溝部と対向している様子を説明する説明図。
【図18】コンピュータシステムの外観構成図。
【図19】コンピュータシステムの構成を示すブロック図。
【符号の説明】
1 インクジェットプリンタ 2 操作パネル
3 排紙部 4 給紙部
5 操作ボタン 6 表示ランプ
7 排紙トレー 8 給紙トレー
10 紙搬送ユニット 13 給紙ローラ
14 プラテン 15 紙搬送モータ(PFモータ)
16 紙搬送モータドライバ(PFモータドライバ)
17A 搬送ローラ 17B 排紙ローラ
18A・18B フリーローラ 20 インク吐出ユニット
21 ヘッド 211 ノズル列
22 ヘッドドライバ 221 原駆動信号発生部
222 マスク回路 223 駆動信号補正回路
30 クリーニングユニット 31 ポンプ装置
32 ポンプモータ 33 ポンプモータドライバ
35 キャッピング装置 40 キャリッジユニット
41 キャリッジ 42 キャリッジモータ(CRモータ)
43 キャリッジモータドライバ(CRモータドライバ)
44 プーリ 45 タイミングベルト
46 ガイドレール 50 計測器群
51 リニア式エンコーダ 511 リニアスケール
52 ロータリー式エンコーダ 53 紙検出センサ
54A 反射型光学センサ 54B 反射型光学センサ
54C 反射型光学センサ 541A 発光部材
541B 発光部材 541C 発光部材
542A 受光部材 542B 受光部材
542C 受光部材 60 制御ユニット
61 CPU 62 タイマ
63 インターフェース部 64 ASIC
65 メモリ 66 DCコントローラ
67 ホストコンピュータ 68 反射型光学センサ制御回路
69 電気信号測定部 73 報知制御回路
74 表示パネル 75 スピーカ
80 インク回収部 80 溝部
84 吸収材 90 コンピュータ本体
91 ビデオドライバ 93 表示装置
95 アプリケーションプログラム 96 プリンタドライバ
97 解像度変換モジュール 98 色変換モジュール
99 ハーフトーンモジュール 100 ラスタライザ
101 ユーザーインターフェース表示モジュール
102 UIプリンタインターフェースモジュール
1000 液体吐出システム 1102 コンピュータ本体
1104 表示装置 1106 プリンタ
1108 入力装置 1108A キーボード
1108B マウス 1110 読取装置
1110A フレキシブルディスクドライブ装置
1110B CD−ROMドライブ装置
1202 内部メモリ
1204 ハードディスクドライブユニット
S 媒体(用紙)
P 印刷領域
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェットプリンタなど、媒体に対して液体を吐出する液体吐出装置、及び、液体吐出システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
媒体に向けて液体を吐出する液体吐出装置の1つとして、インクジェットプリンタが知られている。このインクジェットプリンタは、紙等の媒体に対して液体としてインクを吐出して印刷を施すようになっている。最近、このようなインクジェットプリンタにおいて、媒体の縁、ギリギリに対してインクを打ち込み、媒体から外れたインクは、吸収材を備えた回収部で回収する印刷機能が設けられている。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−103586号公報
【0004】
【特許文献2】
特開2001−219553号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような印刷にあっては、次のような問題があった。すなわち、吐出されるインクの中には、浸透性の低いものや固化し易いものなどがある。このようなインクが媒体から外れて、インク回収部の吸収材の上に到達したときに、吸収材の中になかなか浸透せず、そのまま残留してしまう場合があり得る。このようにインクが蓄積して山積みされると、吸収材の上にインクが順次山積みとなり、最終的には、印刷される媒体を汚す虞があった。
本発明は、このような事情に鑑みたものであって、媒体から外れたインクの山積みを検出することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するための主たる発明は、媒体に対して液体を吐出する吐出ヘッドと、前記吐出ヘッドにより吐出され前記媒体上に着弾しない前記液体を堆積する溝部とを備えた液体吐出装置において、前記溝部に堆積した液体の堆積量を検出するセンサを設けることを特徴とする液体吐出装置である。
本発明の他の特徴は、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【0007】
【発明の実施の形態】
===開示の概要===
本明細書及び添付図面の記載により少なくとも以下の事項が明らかとなる。
媒体に対して液体を吐出する吐出ヘッドと、前記吐出ヘッドにより吐出され前記媒体上に着弾しない前記液体を堆積する溝部とを備えた液体吐出装置において、前記溝部に堆積した液体の堆積量を検出するセンサを設けることを特徴とする液体吐出装置。
このような液体吐出装置にあっては、溝部に堆積した液体の堆積量を検出するセンサが設けられているので、溝部に液体が堆積して山積みになり、印刷される媒体が汚れるのを防ぐことができる。
【0008】
前記センサは、前記吐出ヘッドにより前記媒体上に液体が吐出される前に、前記溝部に堆積した液体の堆積量を検出することが好ましい。
このような液体吐出装置にあっては、前記センサは、前記吐出ヘッドにより前記媒体上に液体が吐出される前に、前記溝部に堆積した液体の堆積量を検出するので、前記媒体が汚されるのを未然に防ぐことができる。
【0009】
前記センサは、前記溝部に対向する位置に設けられていることが好ましい。
このような液体吐出装置にあっては、前記センサは、前記溝部に対向する位置に設けられているので、前記溝部に堆積した液体の堆積量を検出することができる。
【0010】
前記センサは、前記吐出ヘッドを移動させるキャリッジに設けられていることが好ましい。
このような液体吐出装置にあっては、前記センサは、前記吐出ヘッドを移動させるキャリッジに設けられているので、キャリッジの移動にともない前記溝部に堆積した前記液体の堆積量を検出することができる。
【0011】
前記キャリッジは、前記媒体の幅に応じた範囲を移動することが好ましい。
このような液体吐出装置にあっては、前記キャリッジは、前記媒体の幅に応じた範囲を移動するので、検出処理の時間を短縮することができる。
【0012】
前記センサは、前記溝部に堆積した液体に光を発する発光部材と、前記液体より反射された光を受光するための受光部材とを備え、前記受光部材の受光量に基づいて、前記溝部に堆積した液体の堆積量を検出することが好ましい。
このような液体吐出装置にあっては、前記センサは、発光部材と受光部材とを備え、前記受光部材の受光量に基づいて、前記溝部に堆積した液体の堆積量を検出するので、液体の堆積量を高精度で検出することができる。
【0013】
前記媒体を搬送する搬送部をさらに備え、前記媒体は、前記搬送部によって搬送される際、前記溝部上を通過することが好ましい。
このような液体吐出装置にあっては、前記媒体を搬送する搬送部をさらに備え、前記媒体は、前記搬送部によって搬送される際、前記溝部上を通過するので、前記溝部に堆積した液体の堆積量を検出することが、より重要となる。
【0014】
前記センサにより検出された前記液体の堆積量が予め定められた閾値に達したか否かを判定する判定部と、前記判定部により、前記液体の堆積量が予め定められた閾値に達したと判定された場合、その旨を報知する報知部とをさらに備えることが好ましい。
このような液体吐出装置にあっては、前記センサにより検出された前記液体の堆積量が予め定められた閾値に達したか否かを判定する判定部と、前記判定部により、前記液体の堆積量が予め定められた閾値に達したと判定された場合、その旨を報知する報知部とをさらに備えているので、ユーザーは、前記溝部に堆積した液体の堆積量が予め定められた閾値に達したことをすぐに知ることができ、前記溝部をメンテナンスすることによって、印刷される媒体を汚すのを防ぐことができる。
【0015】
前記溝部は、前記液体を吸収する吸収材をさらに備えることが好ましい。
このような吸収材を備えれば、前記溝部に堆積した液体を吸収材に吸収して保持しておくことができる。
【0016】
前記吐出ヘッドにより吐出される前記液体がインクであることが好ましい。
このような液体吐出装置にあっては、前記液体吐出ヘッドにより吐出される前記液体がインクである場合がある。このようなインクであれば、媒体からインクが外れることによって生じる悪影響を防止することができる。
【0017】
前記インクは、透明無色のインク、及び、有彩色のインクであることが好ましい。
前記インクは、透明無色のインク、及び、有彩色のインクであり、例えば、透明無色のクリアインクにより、有彩色の発光色を良くすることができる。
【0018】
また、媒体に対して液体を吐出する吐出ヘッドと、前記吐出ヘッドにより吐出され前記媒体上に着弾しない前記液体を堆積する溝部とを備えた液体吐出装置において、前記溝部に堆積した液体の堆積量を検出するセンサを設け、前記センサは、前記吐出ヘッドにより前記媒体上に液体が吐出される前に、前記溝部に堆積した液体の堆積量を検出し、前記センサは、前記溝部に対向可能に設けられ、前記センサは、前記吐出ヘッドを移動させるキャリッジに設けられ、前記キャリッジは、前記媒体の幅に応じた範囲を移動し、前記センサは、前記溝部に堆積した液体に光を発する発光部材と、前記液体より反射された光を受光するための受光部材とを備え、前記受光部材の受光量に基づいて、前記溝部に堆積した液体の堆積量を検出し、前記媒体を搬送する搬送部をさらに備え、前記媒体は、前記搬送部によって搬送される際、前記溝部上を通過し、前記センサにより検出された前記液体の堆積量が予め定められた閾値に達したか否かを判定する判定部と、前記判定部により、前記液体の堆積量が予め定められた閾値に達したと判定された場合、その旨を報知する報知部とをさらに備え、前記溝部は、前記液体を吸収する吸収材をさらに備え、前記吐出ヘッドにより吐出される前記液体がインクであり、前記インクは、透明無色のインク、及び、有彩色のインクであることを特徴とする液体吐出装置も実現可能である。
このようにすれば、既述の総ての効果を奏するため、本発明の目的が最も有効に達成される。
【0019】
また、媒体に対して液体を吐出する液体吐出方法であって、前記媒体上に着弾しない前記液体を堆積する溝部に堆積した前記液体の堆積量を検出することを特徴とする液体吐出方法も実現可能である。
このようにして実現された液体吐出方法は、従来方法よりも優れた方法となる。
【0020】
また、コンピュータ本体と、このコンピュータ本体に接続可能な液体吐出装置とを具備した液体吐出システムであって、前記液体吐出装置は、媒体に対して液体を吐出する吐出ヘッドと、前記吐出ヘッドにより吐出され前記媒体上に着弾しない前記液体を堆積する溝部とを備えた液体吐出装置において、前記溝部に堆積した液体の堆積量を検出するセンサを設けることを特徴とする液体吐出システムも実現可能である。
このようにして実現された液体吐出システムは、システム全体として従来システムよりも優れたシステムとなる。
【0021】
===液体吐出装置の概要===
本発明に係る印刷装置として、インクジェットプリンタを例にとり、その概要について説明する。図1〜図7は、そのインクジェットプリンタ1の一実施形態の概要を説明するための図である。図1は、そのインクジェットプリンタ1の一実施形態の外観を示す。図2は、そのインクジェットプリンタ1のブロック構成を示し、図3は、そのインクジェットプリンタ1のキャリッジ、および、その周辺部を示す。図4は、インクジェットプリンタ1のキャリッジに設けられた反射型光学センサの一例を説明するための模式図である。図5は、そのインクジェットプリンタ1の搬送部、およびその周辺部を示し、図6は、吐出ヘッドの下面部に設けられたインクの吐出ノズルの配列を示し、図7は、吐出ノズルの駆動回路を示したものである。
【0022】
このインクジェットプリンタ1は、図1に示すように、背面から供給された印刷用紙等の被印刷体を前面から排出する構造を備えており、その前面部には操作パネル2、および排紙部3が設けられ、その背面部には給紙部4が設けられ、その側面部にはスピーカ75が設けられている。操作パネル2には、各種操作ボタン5、表示ランプ6、および表示パネル74が設けられている。また、排紙部3には、不使用時に排紙口を塞ぐ排紙トレー7が設けられている。給紙部4には、カット紙(図示しない)を保持する給紙トレー8が設けられている。なお、インクジェットプリンタ1は、カット紙など単票状の印刷紙のみならず、ロール紙などの連続した被印刷体にも印刷できるような給紙構造を備えていても良い。
【0023】
このインクジェットプリンタ1は、その主要部として、図2、図3、及び、図5に示すように、紙搬送ユニット10と、インク吐出ユニット20と、クリーニングユニット30と、キャリッジユニット40と、計測器群50と、制御ユニット60とを備えている。
【0024】
媒体を搬送する搬送部の一例としての紙搬送ユニット10は、印刷媒体である例えば紙等の媒体を印刷可能な位置に送り込み、印刷時に所定の方向(図2において紙面に垂直な方向(以下、紙搬送方向という))に所定の移動量で紙を移動させるためのものである。すなわち、紙搬送ユニット10は、紙等の媒体を搬送する搬送機構として機能する。紙搬送ユニット10は、図5に示すように、紙挿入口11A及びロール紙挿入口11Bと、給紙モータ(不図示)と、給紙ローラ13と、プラテン14と、紙搬送モータ(以下、PFモータという)15と、紙搬送モータドライバ(以下、PFモータドライバという)16と、搬送ローラ17Aと排紙ローラ17Bと、フリーローラ18Aとフリーローラ18Bとを有する。ただし、紙搬送ユニット10が搬送機構として機能するためには、必ずしも、これらの構成要素を全て要するというわけではない。
【0025】
紙挿入口11Aは、媒体である用紙Sを挿入するところである。給紙モータ(不図示)は、紙挿入口11Aに挿入された紙Sをプリンタ1内に搬送するモータであり、パルスモータで構成される。給紙ローラ13は、紙挿入口11に挿入された紙をプリンタ1内に自動的に搬送するローラであり、給紙モータ12によって駆動される。給紙ローラ13は、略D形の横断面形状を有している。給紙ローラ13の円周部分の周囲長さは、PFモータ15までの搬送距離よりも長く設定されているので、この円周部分を用いて被印刷体をPFモータ15まで搬送できる。なお、給紙ローラ13の回転駆動力と分離パッド(不図示)の摩擦抵抗とによって、複数の媒体が一度に給紙されることを防いでいる。
【0026】
プラテン14は、印刷中の紙Sを支持する支持手段である。プラテン14は、図2に示すように、吐出ヘッドにより吐出され媒体上に着弾しない液体を堆積する溝部80を備えている。PFモータ15は、図2および図5に示すように、媒体である例えば紙を紙搬送方向に送り出すモータであり、DCモータで構成される。PFモータドライバ16は、PFモータ15の駆動を行うためのものである。搬送ローラ17Aは、給紙ローラ13によってプリンタ内に搬送された紙Sを印刷可能な領域まで送り出すローラであり、PFモータ15によって駆動される。フリーローラ18A(図5参照)は、搬送ローラ17Aと対向する位置に設けられ、紙Sを搬送ローラ17Aとの間に挟むことによって紙Sを搬送ローラ17Aに向かって押さえる。
【0027】
排紙ローラ17B(図5参照)は、印刷が終了した紙Sをプリンタの外部に排出するローラである。排紙ローラ17Bは、不図示の歯車により、PFモータ15によって駆動される。フリーローラ18Bは、排紙ローラ17Bと対向する位置に設けられ、紙Sを排紙ローラ17Bとの間に挟むことによって紙Sを排紙ローラ17Bに向かって押さえる。
【0028】
インク吐出ユニット20は、被印刷体である例えば紙にインクを吐出するためのものである。インク吐出ユニット20は、図2に示すように、吐出ヘッド21と、ヘッドドライバ22とを有する。吐出ヘッド21は、インク吐出部であるノズルを複数有し、各ノズルから断続的にインクを吐出する。ヘッドドライバ22は、吐出ヘッド21を駆動して、吐出ヘッド21から断続的にインクを吐出させるためのものである。
【0029】
クリーニングユニット30は、図3にも示すように、吐出ヘッド21のノズルの目詰まりを防止するためのものである。クリーニングユニット30は、ポンプ装置31と、キャッピング装置35とを有する。ポンプ装置31は、吐出ヘッド21のノズルの目詰まりを防止するため、ノズルからインクを吸い出すものであり、ポンプモータ32とポンプモータドライバ33とを有する。ポンプモータ32は、吐出ヘッド21のノズルからインクを吸引する。ポンプモータドライバ33は、ポンプモータ32を駆動する。キャッピング装置35は、吐出ヘッド21のノズルの目詰まりを防止するため、印刷を行わないとき(待機時)に、吐出ヘッド21のノズルを封止する。
【0030】
キャリッジユニット40は、図2、および図3に示すように、吐出ヘッド21を所定の方向(図2において紙面の左右方向(以下、走査方向という))に走査移動させるためのものである。キャリッジユニット40は、キャリッジ41と、キャリッジモータ(以下、CRモータという)42と、キャリッジモータドライバ(以下、CRモータドライバという)43と、プーリ44と、タイミングベルト45と、ガイドレール46とを有する。キャリッジ41は、走査方向に移動可能であって、吐出ヘッド21を固定している(したがって、吐出ヘッド21のノズルは、走査方向に沿って移動しながら、断続的にインクを吐出する)。また、キャリッジ41は、インクを収容するインクカートリッジ48、49を着脱可能に保持している。さらに、キャリッジ41は、溝部80に堆積した液体の堆積量を検出するセンサの一例としての反射型光学センサ54Aを備えている。反射型光学センサ54Aは、溝部80に対向可能にキャリッジ41に設けられている。図2においては、代表として、反射型光学センサ54Aが示されているが、実際には、図14に示される様に、反射型光学センサ54A、54B、及び、54Cの3つのセンサを有している。反射型光学センサ54A、54B、及び、54Cと溝部80の位置関係については、後に、図14を参照して詳しく説明する。CRモータ42は、キャリッジ41を走査方向に移動させるモータであり、DCモータで構成される。CRモータドライバ43は、CRモータ42を駆動するためのものである。プーリ44は、CRモータ42の回転軸に取付けられている。タイミングベルト45は、プーリ44によって駆動される。ガイドレール46は、キャリッジ41を走査方向に案内する。
【0031】
計測器群50には、リニア式エンコーダ51と、ロータリー式エンコーダ52と、紙検出センサ53と、反射型光学センサ54A、54B、及び、54Cがある。リニア式エンコーダ51は、キャリッジ41の位置を検出するためのものである。ロータリー式エンコーダ52は、搬送ローラ17Aの回転量を検出するためのものである。なお、エンコーダの構成等については、後述する。紙検出センサ53は、印刷される紙の先端の位置を検出するためのものである。この紙検出センサ53は、給紙ローラ13が搬送ローラ17Aに向かって紙を搬送する途中で、紙の先端の位置を検出できる位置に設けられている。なお、紙検出センサ53は、機械的な機構によって紙の先端を検出するメカニカルセンサである。詳しく言うと、紙検出センサ53は紙搬送方向に回転可能なレバーを有し、このレバーは紙の搬送経路内に突出するように配置されている。そのため、紙の先端がレバーに接触し、レバーが回転させられるので、紙検出センサ53は、このレバーの動きを検出することによって、紙の先端の位置を検出する。反射型光学センサ54A、54B、及び、54Cは、キャリッジ41に取付けられている。反射型光学センサ54A、54B、及び、54Cは、発光部材と受光部材を有する光学センサであり、紙によって反射された光を検出することにより、反射型光学センサ54A、54B、及び、54Cの位置における紙の有無を検出する。そして、反射型光学センサ54A、54B、及び、54Cは、キャリッジ41によって移動しながら紙の端部の位置を検出し、紙の幅を検出する。また、反射型光学センサ54A、54B、及び、54Cは、キャリッジ41の位置によって、紙の先端を検出できる。反射型光学センサ54A、54B、及び、54Cは、光学センサなので、紙検出センサ53よりも位置検出の精度が高い。さらに、反射型光学センサ54A、54B、及び、54Cは、溝部80に堆積したインクによって反射された光を検出することにより、インク堆積量を検出する。
【0032】
制御ユニット60は、プリンタの制御を行うためのものである。制御ユニット60は、CPU61と、タイマ62と、インターフェース部63と、ASIC64と、メモリ65と、DCコントローラ66と、反射型光学センサ制御回路68と、溝部80に堆積したインクの堆積量が予め定められた閾値に達したと判定された場合、その旨を報知する報知部の一例としての報知制御回路73とを有する。CPU61は、プリンタ全体の制御を行うためのものであり、DCコントローラ66、PFモータドライバ16、CRモータドライバ43、ポンプモータドライバ32およびヘッドドライバ22に制御指令を与える。タイマ62は、CPU61に対して周期的に割り込み信号を発生する。インターフェース部63は、プリンタの外部に設けられたホストコンピュータ67との間でデータの送受信を行う。ASIC64は、ホストコンピュータ67からインターフェース部63を介して送られてくる印刷情報に基づいて、印刷の解像度や吐出ヘッドの駆動波形等を制御する。メモリ65は、ASIC64及びCPU61のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものであり、RAM、EEPROM等の記憶手段を有する。DCコントローラ66は、CPU61から送られてくる制御指令と計測器群50からの出力に基づいて、PFモータドライバ16及びCRモータドライバ43を制御する。反射型光学センサ制御回路68は、反射型光学センサ54A、54B、及び、54Cを構成する発光部材541A、541B、541C、及び、受光部材542A、542B、542Cを制御する。なお、反射型光学センサ制御回路68は、受光部材542A、542B、及び、542Cから得られる反射光の大きさに応じた電気信号を測定するための電気信号測定部69を有している。報知制御回路73は、溝部80に堆積したインク堆積量が予め定められた閾値に達した場合、報知を行うための制御信号を出力するものであり、CPU61と接続されている。報知制御回路73は、電気信号測定部69の測定結果が供給されたとき、CPU61の制御に従って、表示用および音声用の報知制御信号の少なくとも一方を出力可能である。また、表示パネル74は、表示用の制御信号が供給されて、「溝部にインクが溜まりました!メンテナンスが必要です!」等の内容を表示するものである。表示パネル74は、例えば、LCD、有機EL等で構成される。スピーカ75は、音声用の報知信号が供給されて、「溝部にインクが溜まりました!メンテナンスが必要です!」等の音声を出力するものである。なお、スピーカ75は、インクジェットプリンタ1とは別体のものを使用してもよい。
【0033】
このようなインクジェットプリンタ1では、印刷時において、用紙Sが搬送ローラ17Aにより間欠的に所定の搬送量で搬送され、その間欠的な搬送の合間にキャリッジ41が、搬送ローラ17Aによる搬送方向に対して交差する方向、即ちここでは走査方向に沿って移動しながら、吐出ヘッド21から用紙Sに向けてインクを吐出する。この吐出されたインクによって、用紙S上にはドットが形成され、当該ドットが多数形成されて用紙S上に画像が形成される。
【0034】
===反射型光学センサの構成例===
図4は、キャリッジ41に設けられた反射型光学センサの一例を説明するための模式図である。ここでは、代表として、反射型光学センサ54Aについて説明する。反射型光学センサ54Aは、光を発する発光ダイオード等の発光部材541Aと、発光部材が発する光を受光するフォトトランジスタ等の受光部材542Aとを有している。反射型光学センサ54Aは、溝部80に堆積したインクによって反射された光を検出することにより、インク堆積量を検出するためのものである。
【0035】
なお、発光部材541Aは、上記の発光ダイオードに限定されるものではなく、光を発することによって本発明を実現するための要素を構成できる部材であれば如何なる部材を採用してもよい。
また、受光部材542Aは、上記のフォトトランジスタに限定されるものではなく、発光部材541Aからの光を受光することによって本発明を実現するための要素を構成できる部材であれば如何なる部材を採用してもよい。
【0036】
発光部材541Aが発した指向性を有する入射光は、溝部に堆積したインクに照射される。インクに照射された入射光は反射される。このときの反射光は、受光部材542Aで受光され、反射光の大きさに応じた出力値としての電気信号に変換される。すなわち、堆積したインクの堆積量によって入射光を反射する位置(高さ)が異なるため、受光部が受光する反射光の大きさは異なるので(後述)、受光部材542Aから得られる電気信号の大きさに応じて、反射型光学センサ54Aの入射方向にあるインク量を検出することが可能となる。受光部材542Aから得られる電気信号の大きさは、電気信号測定部69において測定される。
【0037】
以上においては、反射型光学センサ54Aを例にとって説明したが、反射型光学センサ54B、54Cについても反射型光学センサ54Aと同じ構成である。この場合、反射型光学センサ54Aの発光部材541A、受光部材542Aを、それぞれ反射型光学センサ54Bの発光部材541B、受光部材542B、反射型光学センサ54Cの発光部材541C、受光部材542Cに、それぞれ対応させればよい。
【0038】
===吐出ヘッド21の吐出機構===
図6は、吐出ヘッド21の下面部に設けられたインクの吐出ノズルの配列を示した図である。吐出ヘッド21の下面部には、同図に示すように、透明無色のクリアインク、ブラックインク(K)、シアンインク(C)、マゼンタインク(M)およびイエロインク(Y)の各色ごとにそれぞれ複数のノズル♯1〜♯13からなるノズル列211が設けられている。なお、これらの色のうち、ブラックインク(K)は無彩色に、シアンインク(C)、マゼンタインク(M)およびイエロインク(Y)は有彩色に該当する。また、透明無色のクリアインクは、無彩色、および有彩色の発色光を良くする。各ノズル♯1〜♯13は、用紙Sの搬送方向に沿って直線状に配列されている。各ノズル列211は、吐出ヘッド21の移動方向(走査方向)に沿って相互に間隔をあけて平行に配置されている。各ノズル♯1〜♯13には、インク滴を吐出するための駆動素子としてピエゾ素子(図示外)が設けられている。
【0039】
ピエゾ素子は、その両端に設けられた電極間に所定時間幅の電圧を印加すると、電圧の印加時間に応じて伸張し、インクの流路の側壁を変形させる。これによって、インクの流路の体積がピエゾ素子の伸縮に応じて収縮し、この収縮分に相当するインクが、インク滴となって各色の各ノズル♯1〜♯13から吐出される。
【0040】
図7は、各ノズル♯1〜♯13の駆動回路を示したものである。この駆動回路は、同図に示すように、原駆動信号発生部221と、複数のマスク回路222と、駆動信号補正回路223とを備えている。原駆動信号発生部221は、各ノズル♯1〜♯13に共通して用いられる原信号ODRVを生成する。この原信号ODRVは、一画素分の主走査期間内(キャリッジ41が一画素の間隔を横切る時間内)において、図中下部に示すように、第1パルスW1と第2パルスW2の2つのパルスを含む信号である。原駆動信号発生部221で生成された原信号ODRVは、各マスク回路222に出力される。
【0041】
マスク回路222は、吐出ヘッド21のノズル♯1〜♯13をそれぞれ駆動する複数のピエゾ素子に対応して設けられている。各マスク回路222には、原信号発生部221から原信号ODRVが入力されるとともに、印刷信号PRT(i)が入力される。この印刷信号PRT(i)は、画素に対応する画素データであり、一画素に対して2ビットの情報を有する2値信号である。マスク回路222は、印刷信号PRT(i)のレベルに応じて、原信号ODRVを遮断したり通過させたりする。すなわち、印刷信号PRT(i)がレベル『0』のときには、原信号ODRVのパルスを遮断する一方、印刷信号PRT(i)がレベル『1』のときには、原信号ODRVの対応するパルスをそのまま通過させて駆動信号DRVとして駆動信号補正回路223に出力する。
【0042】
駆動信号補正回路223は、マスク回路222からの駆動信号DRVの波形のタイミングをずらして補正をする。ここで補正される駆動信号DRVの波形のタイミングのずらし幅は、CPU61等からの指示によって適宜調節される。すなわち、駆動信号補正回路223は、CPU61等からの指示によって駆動信号DRVの波形を所望のタイミングにずらすことができる。駆動信号補正回路223により補正された駆動信号DRVは、各ノズル♯1〜♯13のピエゾ素子に向けて出力される。各ノズル♯1〜♯13のピエゾ素子は、駆動信号補正回路223からの駆動信号DRVに基づき駆動してインクの吐出を行う。なお、これら原駆動信号発生部221と、複数のマスク回路222と、駆動信号補正回路223とを備えた駆動回路が、本発明の吐出制御手段に相当する。
【0043】
本実施形態に係るインクジェットプリンタ1では、このようなノズル♯1〜♯13の駆動回路が、各ノズル列211ごと、即ち、クリアインク、ブラックインク(K)、シアンインク(C)、マゼンタインク(M)およびイエロインク(Y)の各ノズル列211(クリア)、211(K)、211(C)、211(M)、211(Y)ごとに各々設けられ、各ノズル列ごとに個別にピエゾ素子の駆動が行われるようになっている。
【0044】
なお、本実施形態では、吐出ヘッドから吐出されるインクが、ブラックインク(K)、シアンインク(C)、マゼンタインク(M)およびイエロインク(Y)の各色のインクであったが、本発明にあっては、これらに限らず、これら以外の他の色のインクを吐出したりする場合も含む。この他に、本発明では、印刷における利用を目的に、これらのインクとともに使用される特殊な機能を有する液体などについても便宜上「インク」ということにする。
【0045】
===ホストの処理===
図8は、ホスト67の処理を概略的に説明する図である。同図に示すように、ホスト67は、プリンタ1に接続されたコンピュータ本体90と、表示装置93とを備えている。コンピュータ本体90には、プリンタ1の動作を制御する「プリンタドライバ」と呼ばれるコンピュータプログラム96が搭載されている。プリンタドライバ96は、同図に示すように、ホスト67に搭載された所定のオペレーティングシステムの下で、アプリケーションプログラム95が動作している。オペレーティングシステムには、ビデオドライバ91やプリンタドライバ96が組み込まれており、アプリケーションプログラム95からは、これらのドライバを介して、インクジェットプリンタ1に転送するための印刷データPDが出力される。画像のレタッチなどを行うアプリケーションプログラム95は、処理対象の画像に対して所望の処理を行い、また、ビデオドライバ91を介して表示装置93に画像を表示している。
【0046】
アプリケーションプログラム95が印刷命令を発すると、コンピュータ本体90のプリンタドライバ96が、画像データをアプリケーションプログラム95から受け取り、これをインクジェットプリンタ1に供給する印刷データPDに変換する。プリンタドライバ96の内部には、解像度変換モジュール97と、色変換モジュール98と、ハーフトーンモジュール99と、ラスタライザ100と、ユーザーインターフェース表示モジュール101と、UIプリンタインターフェースモジュール102と、色変換ルックアップテーブルLUTと、が備えられている。
【0047】
解像度変換モジュール97は、アプリケーションプログラム95で形成されたカラー画像データの解像度を、印刷解像度に変換する役割を果たす。こうして解像度変換された画像データは、まだRGBの3つの色成分からなる画像情報である。色変換モジュール98は、色変換ルックアップテーブルLUTを参照しつつ、各画素毎に、RGB画像データを、インクジェットプリンタ1が利用可能な複数のインク色の多階調データに変換する。
【0048】
色変換された多階調データは、例えば256階調の階調値を有している。ハーフトーンモジュール99は、いわゆるハーフトーン処理を実行してハーフトーン画像データを生成する。このハーフトーン画像データは、ラスタライザ100によりインクジェットプリンタ1に転送すべきデータ順に並べ替えられ、最終的な印刷データPDとしてインクジェットプリンタ1に出力される。印刷データPDは、各主走査時のドットの形成状態を示すラスタデータと、副走査送り量を示すデータと、を含んでいる。
【0049】
ユーザーインターフェース表示モジュール101は、印刷に関係する種々のユーザーインターフェースウィンドウを表示する機能と、それらのウィンドウ内におけるユーザーの入力を受け取る機能とを有している。
UIプリンタインターフェースモジュール102は、ユーザーインターフェース(UI)とプリンタ1間のインターフェースを取る機能を有している。ユーザーがユーザーインターフェースにより指示した命令を解釈して、インクジェットプリンタ1へ各種コマンドCOMを送信したり、逆に、インクジェットプリンタ1から受信したコマンドCOMを解釈して、ユーザーインターフェースへ各種表示を行ったりする。
【0050】
なお、プリンタドライバ96は、各種コマンドCOMを送受信する機能、印刷データPDをインクジェットプリンタ1に供給する機能等を実現する。このようなプリンタドライバ96の機能を実現するためのプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録された形態で供給される。このような記録媒体としては、フレキシブルディスクやCD−ROM、光磁気ディスク、ICカード、ROMカートリッジ、パンチカード、バーコードなどの符号が印刷された印刷物、ホスト67の内部記憶装置(RAMやROMなどのメモリ)および外部記憶装置等の、ホスト67が読み取り可能な種々の媒体を利用できる。また、このようなコンピュータプログラムを、インターネットを介してコンピュータ本体90にダウンロードすることも可能である。
【0051】
===縁無し印刷===
本実施形態に係るインクジェットプリンタ1にあっては、印刷モードとして、通常の印刷を行う通常印刷モードの他に、媒体の縁、ギリギリに対してインクを打ち込む「縁無し印刷」を行う縁無し印刷モードを備えている。
通常印刷モードは、印刷領域Pが用紙S上に収まるように印刷を行うモードである。図9は、通常印刷モードにおける印刷領域Pと用紙Sとのサイズの関係を示したものである。同図に示すように、印刷領域Pは用紙S内に納まるように設定され、用紙Sの外周部、即ち左右両側縁部及び上下両側縁部には、余白が形成される。
【0052】
プリンタドライバ96は、通常印刷モードが設定されていた場合、アプリケーションプログラムから与えられた画像データに基づき、印刷領域Pが用紙Sに収まるように印刷データPDを生成する。ここで、印刷領域Pを用紙S内に納めることができないような画像データを処理する場合には、画像データにより表される画像の一部を印刷対象から除外したり、またその画像を縮小処理するなどして用紙Sに収まるようにすることもある。
【0053】
一方、「縁無し印刷モード」は、用紙Sに余白が形成されないように印刷を行うモードである。インクは、用紙Sから外れる領域にも吐出される。図10は、「縁無し印刷モード」における印刷領域Pと用紙Sとのサイズの関係を示したものである。同図に示すように、「紙無し印刷モード」では、印刷領域Pが用紙Sよりも大きくなるように設定される。用紙Sの周縁部、即ち左右両側縁部および上下両側縁部には、余白が形成されていない。
【0054】
プリンタドライバ96は、「縁無し印刷モード」が設定されていた場合には、印刷領域Pが用紙Sからはみ出るような印刷データPDを生成することができる。ここで、印刷領域Pが用紙Sよりも小さくなるような画像データを処理する場合には、印刷領域Pが用紙S全体に行き渡るように印刷領域Pを拡大したりすることができる。これによって、縁の無い見栄えに優れた印刷を行うことができる。
【0055】
<打ち捨てられるインクの処理>
「縁無し印刷モード」において用紙Sから外れて打ち捨てられるインクは、プラテン14を汚す等の悪影響を及ぼす虞がある。このため、本実施形態に係るプリンタ1では、吐出ヘッドにより吐出され媒体上に着弾しない液体を堆積する溝部80を備えている。
【0056】
図11は、その溝部80の一例を示したものである。図11は、溝部80を示す断面図である。溝部80は、図11に示すように、プラテン14上に断面凹形の形状として形成されている。その溝部80は、キャリッジ41の移動方向に沿って直線状に設けられている。図11の例では、溝部80は、用紙Sの搬送されてくる用紙搬送方向上流部、及び、用紙搬送方向下流部に、それぞれ設けられている。その溝部80内には、打ち捨てられたインクを吸収する吸収材84が設けられている。この吸収材84は、スポンジなどをはじめとする、インクの吸収が可能な各種材料により形成されている。打ち捨てられたインクは、この吸収材84の上に到達して吸収材84に吸収され得るようになっている。
【0057】
しかしながら、以下に示す▲1▼〜▲3▼のインクが溝部80に回収されると、溝部80の吸収材84になかなか浸透せずに残留してしまう虞がある。インクが吸収材84上に残留してしまうと、インクが蓄積されて、そのうち山積みとなり、印刷時に用紙Sが汚れてしまうというようなことが予想される。このようなインクとは、次のようなインクである。
▲1▼他のインクに比べて浸透性が低いインク
▲2▼他のインクと接触することによって浸透性が低くなるインク
▲3▼他のインクと接触することによって他のインクの浸透性を低くするインク
【0058】
ここで、「▲1▼浸透性が低いインク」とは、例えば紙やスポンジなどの一般に液体に対する吸収性を有する素材に対して浸透性が低いインクのことである。具体的には、例えば分子が大きいことなどの理由により、吸収性を有する素材に対して全く浸透性の無いものをはじめ、その素材に対して浸透性はあるものの、その浸透速度は遅く、浸透に相当な時間がかかるものも含む。もちろん、そのインクの組成物全体が、浸透性が低い場合に限らず、その組成物の一部でも浸透性が低ければ、「浸透性の低いインク」となる。例えば、インクの溶媒は浸透性が高いが、それに含まれている色材などは浸透性が低い場合などがある。
【0059】
また、「▲2▼他のインクと接触することにより浸透性が低くなるインク」とは、単独では浸透性は高いものの、他のインクと接触することによって性質が変化して、浸透性が低くなってしまうインクのことである。具体的には、他のインクと接触することによって化学反応を起こして浸透性が低くなるインクなどがある。このようなインクについては、「▲1▼浸透性が低いインク」と同様、紙等に対して全く浸透性の無くなるものをはじめ、その素材に対して浸透性はあるものの、その浸透速度は遅く、浸透に相当な時間がかかるものも含む。もちろん、ここでも、接触後の組成物全体が、浸透性が低い場合に限らず、その組成物の一部でも浸透性が低ければ、「浸透性の低いインク」となる。
【0060】
また、「▲3▼他のインクと接触することによってその他のインクの浸透性を低くする性質を有するインク」としては、例えば、他のインクと接触することによって、その他のインクと化学反応を起こし、その他のインクと凝集物を生成するような他のインクの凝集を促進させるようなインクがある。
【0061】
本実施の形態においては、上述した▲1▼、及び、▲2▼の性質を有するクリアインクが吐出ヘッド21から吐出され溝部80に堆積する。
【0062】
また、この溝部80により回収されるインクは、吐出ヘッド21に設けられたノズル#1〜#13のうち、溝部80と対向して配置されたノズル#1〜#4、及び、#10〜#13から吐出されるインクのみである。他のノズル、即ちノズル#5〜#9については、溝部80に対して対向して配置されておらず、したがって、吐出されたインクを溝部80で回収することはできない。つまり、「縁無し印刷」においては、ノズル#5〜#9は使用せず、ノズル#1〜#4、及び、#10〜#13のみが使用されて印刷が行われる。そして、「縁無し印刷」において、ノズル#1〜#4、及び、#10〜#13から吐出され用紙Sに着弾しないインクが、溝部80に堆積する。
【0063】
===印刷処理===
次に、図12乃至図17を参照して印刷処理について説明する。図12は印刷処理を説明するフローチャートであり、図13は液体堆積量検出処理を説明するフローチャートであり、図14はキャリッジが移動する様子を説明する説明図であり、図15Aは溝部にまだインクがあまり堆積していない場合に、反射型光学センサが溝部に堆積したインク量を検出する様子を説明する説明図であり、図15Bは溝部にインクが堆積している場合に、反射型光学センサが溝部に堆積したインク量を検出する様子を説明する説明図であり、図16はキャリッジが媒体の幅に応じた範囲を移動することを説明する説明図であり、図17はキャリッジが移動し、反射型光学センサが溝部と対向している様子を説明する説明図である。
【0064】
まず、最初に、印刷処理について、図12を参照して説明する。ユーザーがアプリケーションプログラム95等において印刷を行う旨を指示する(ステップS11)。本指示を受け取ったアプリケーションプログラム95が、印刷命令を発すると、コンピュータ90のプリンタドライバ96が、画像データをアプリケーションプログラム95から受け取り、これを各主走査時のドットの形成状態を示すラスタデータとキャリッジ移動方向送り量を示すデータとを含む印刷データPDに変換する。さらに、プリンタドライバ96は、かかる印刷データPDを各種コマンドCOMとともに、インクジェットプリンタ1に供給する。インクジェットプリンタ1は、これらを、インターフェース部63により受信した後に、CPU61又はDCコントローラ66へ送信する。
【0065】
また、ユーザーは用紙Sのサイズや縁なし印刷を行う旨をユーザーインターフェース表示モジュール101に指示することが可能である。ユーザーによる当該指示は、ユーザーインターフェース表示モジュール101により受け取られ、UIプリンタインターフェースモジュール102へ送られる。UIプリンタインターフェースモジュール102は、指示された命令を解釈して、インクジェットプリンタ1へコマンドCOMを送信する。インクジェットプリンタ1は、コマンドCOMをインターフェース部63により受信した後に、CPU61又はDCコントローラ66へ送信する。
【0066】
そして、処理は、ステップS12に進み、液体堆積量検出処理が実行される。次に、液体堆積量検出処理について、図13を参照して説明する。
DCコントローラ66は、反射型光学センサ制御回路68に指令し、キャリッジ41に備えられた反射型光学センサ54A、54B、及び、54Cを制御し、当該反射型光学センサの発光部材からプラテン14に向けて光を発する(ステップS31)。
そしてDCコントローラ66は、キャリッジ41を移動させる(ステップS32)。キャリッジ41の移動は、CRモータドライバ43によりCRモータ42を駆動させて実行される。
【0067】
図14に示されるように、溝部80は、用紙Sの搬送されてくる用紙搬送方向上流部に直線上に設けられた上流側溝部80A、用紙搬送方向下流部に直線上に設けられた下流側溝部80B、プラテン14の左端部に用紙搬送方向に沿って直線上に設けられた左側溝部80C、及び、プラテン14の右端部に用紙搬送方向に沿って直線上に設けられた右側溝部80Dから構成される。
【0068】
反射型光学センサ54A、及び、54Bは、それぞれ溝部80A、及び、溝部80Bに対向するようにキャリッジ41に設けられている。したがって、反射型光学センサ54A、及び、54Bは、キャリッジ41が走査方向に移動することによって、溝部80A、及び、溝部80Bの全域に亘って、インクの堆積量を検出することができる。
【0069】
そして、反射型光学センサ54Cは、キャリッジ41の用紙搬送方向中央部に設けられている。したがって、キャリッジ41が移動し、反射型光学センサ54Cが、溝部80C、及び、溝部80Dと対向する位置になったとき、溝部80C、及び、溝部80Dに堆積したインクの堆積量を検出することができる。この場合、キャリッジ41の用紙搬送方向上流部から下流部まで、矩形のラインセンサを設ければ、溝部80C、及び、溝部80Dの全域に亘って、インクの堆積量を検出することができる。
【0070】
なお、図14においては、反射型光学センサ54A、54B、及び、54Cは、それぞれ、キャリッジ41の右端部に設けられているが、右端部に限らず、キャリッジ41の中央部、あるいは左端部に設けられていてもよい。発光部材から照射された光は、溝部80に堆積したインクによって反射される。このときの反射光は、受光部材によって受光される。受光部材によって受光された反射光は、電気信号測定部69によって、電気信号に変換される。
【0071】
図15Aに示されるように、例えば、反射型光学センサ54Aの発光部材541Aから溝部80に堆積したインクまでの距離h1が大きい場合、すなわち、溝部80にまだインクがあまり堆積していない場合、受光部材542Aには、反射光は入射せず、拡散光しか入射しない。したがって、受光部材542Aが受光する光量は少なく、このとき、電気信号測定部69によって変換された電気信号の電圧、例えば、V1は、小さい値となる。
【0072】
一方、図15Bに示されるように、例えば、反射型光学センサ54Aの発光部材541Aから溝部80に堆積したインクまでの距離h2が小さい場合、すなわち、溝部80にインクが堆積している場合、受光部材542Aには、反射光が入射する。したがって、受光部材542Aが受光する光量は大きく、このとき、電気信号測定部69によって変換された電気信号の電圧、例えば、V2は大きい値となる。よって、電圧V2は、電圧V1より大きい関係にある。
【0073】
したがって、受光部材542Aによって受光され、電気信号測定部69によって電気信号に変換された信号電圧と、発光部材541Aから溝部80に堆積したインクまでの距離との関係を予め求めておけば、信号電圧に基づいて、発光部材541Aから溝部80に堆積したインクまでの距離、すなわち、溝部80に堆積したインク量を検出することが可能である。例えば、溝部80に堆積したインク堆積量がプラテン14と水平線上になる位置になったときに、電気信号測定部69によって電気信号に変換された信号電圧を、閾値として予めEEPROMに記憶しておけば、信号電圧が閾値を超えたか否かで、インク堆積量がプラテン14と水平線上になる位置に達したか否かを判定することができる。
【0074】
以上においては、反射型光学センサ54Aを例にとって説明したが、反射型光学センサ54B、54Cの場合にも同様の関係が成立する。この場合、反射型光学センサ54Aの発光部材541A、受光部材542Aを、それぞれ反射型光学センサ54Bの発光部材541B、受光部材542B、反射型光学センサ54Cの発光部材541C、受光部材542Cに、それぞれ対応させればよい。
【0075】
CPU61は、電気信号測定部69によって変換された信号電圧と、EEPROMに格納されている閾値とを比較する(ステップS33)。このように、CPU61は、反射型光学センサ54A、54B、及び、54Cにより検出されたインクの堆積量が予め定められた閾値に達したか否かを判定する判定部として機能する。
【0076】
CPU61が、電気信号測定部69によって変換された信号電圧がEEPROMに格納されている閾値より大きいと判定した場合、すなわち、溝部80に堆積したインク堆積量がプラテン14と水平線上になる位置まで達した場合(ステップS33においてNoと判定された場合)、CPU61は、報知制御回路73を制御し、報知を行うための制御信号を出力させる。報知制御回路73は、CPU61の制御に従って、表示用および音声用の報知制御信号の少なくとも一方を出力可能する(ステップS36)。例えば、表示パネル74は、表示用の制御信号が供給されて、「溝部にインクが溜まりました!メンテナンスが必要です!」等の内容を表示する。または、スピーカ75から、「溝部にインクが溜まりました!メンテナンスが必要です!」等の内容の音声を出力させることもできる。ステップS36の処理の後、CPU61は、キャリッジ41の移動を停止させる(ステップS37)。
【0077】
このように、溝部80に堆積したインクの堆積量が予め定められた閾値に達したと判定された場合、表示パネル74、およびスピーカ75により、その旨がすぐにユーザーに報知される。したがって、ユーザーは、溝部80に堆積したインクの堆積量が予め定められた閾値に達したことをすぐに知ることができる。そして、ユーザーは、溝部80をメンテナンスすることによって、印刷される媒体を汚すことを防ぐことができる。
【0078】
CPU61が、電気信号測定部69によって変換された信号電圧がEEPROMに格納されている閾値より小さいと判定した場合、すなわち、溝部80に堆積したインク堆積量がプラテン14と水平線上になる位置まで達していない場合(ステップS33においてYesと判定された場合)、CPU61は、キャリッジ41が、用紙Sの紙幅を移動したか否かを判定する。
【0079】
CPU61がこのように判定する理由は、例えば、図16に示されるように、用紙Sが溝部80C、及び、溝部80A、80Bの一部分にかぶさらないような場合、用紙Sがかぶさらない部分に堆積したインク堆積量が、たとえ、プラテン14と水平線上になる位置まで達したとしても、用紙Sとは干渉しないため、用紙Sが汚れてしまうというようなことはないからである。キャリッジ41が移動する用紙Sの紙幅は、予めEEPROMに記憶しておけばよい。そして、CPU61は、キャリッジ41がEEPROMに記憶された用紙Sの紙幅を移動したか否かを判定すればよい。このようにすることによって、溝部80A、及び、溝部80Bの全域に亘ってキャリッジ41を移動させる必要はない。したがって、キャリッジ41を移動させる時間を短縮することができる。
【0080】
キャリッジ41が用紙Sの紙幅を移動していないと、CPU61が判定した場合(ステップS34においてNoと判定された場合)、処理は、ステップS32に戻る。キャリッジ41が用紙Sの紙幅を移動したと、CPU61が判定した場合(ステップS34においてYesと判定された場合)、用紙Sの紙幅に亘って、溝部80に堆積したインク堆積量がプラテン14と水平線上になる位置まで達していない。したがって、CPU61は、報知制御回路73を制御し、報知を行うための制御信号を出力させる。報知制御回路73は、CPU61の制御に従って、表示用および音声用の報知制御信号の少なくとも一方を出力可能する(ステップS35)。例えば、表示パネル74は、表示用の制御信号が供給されて、「印刷可能です!」等の内容を表示する。または、スピーカ75から、「印刷可能です!」等の内容の音声を出力させることもできる。
【0081】
ステップS35の処理が終了した後、処理は、図12の印刷処理に戻り、インクジェットプリンタ1は、DCコントローラ66に送信された命令に基づいて、紙送りモータドライバ16によりPFモータ15を駆動させる等して、用紙Sの給紙を行う(ステップS13)。
そして、CPU61は、ヘッドドライバ22により吐出ヘッド21を駆動させて、インクを吐出させる(ステップS14)。
CPU61は、図17に示すように反射型光学センサ54Cが、溝部80C、もしくは、溝部80Dと対向しているか否かを判定する(ステップS15)。
例えば、リニア式エンコーダ51によってキャリッジ41の位置を検出することができるので、リニア式エンコーダ51の出力に基づいて、反射型光学センサ54Cが、溝部80C、もしくは、溝部80Dと対向しているか否かを判定すればよい。
【0082】
ステップS15において、CPU61が、反射型光学センサ54Cが溝部80C、もしくは、溝部80Dと対向していないと判定した場合(ステップS15においてNoと判定された場合)、印刷途中であるので、処理はステップS14に戻る。
ステップS15において、CPU61が、反射型光学センサ54Cが溝部80C、もしくは、溝部80Dと対向していると判定した場合(ステップS15においてYesと判定された場合)、反射型光学センサ54Cの受光部材542Cによって受光され、電気信号測定部69によって変換された信号電圧とEEPROMに格納されている閾値とを比較する(ステップS16)。
【0083】
ステップS16において、CPU61が、電気信号測定部69によって変換された信号電圧がEEPROMに格納されている閾値より小さいと判定した場合、すなわち、溝部80C、もしくは、溝部80Dに堆積したインク堆積量がプラテン14と水平線上になる位置まで達していない場合(ステップS16においてYesと判定された場合)、CPU61は、ステップS13の処理において給紙された用紙Sの印刷が終了したか否かを判定する(ステップS17)。給紙された用紙Sの印刷が終了したか否かの判定は、用紙Sが溝部80Bにかぶさっているか否かを判定すればよい。例えば、溝部80Bに対向して設けられた反射型光学センサ54Bの受光部材542Bで受光され、電気信号測定部69によって電気信号に変換された信号電圧と、発光部材541Bからプラテン14上の用紙Sまでの距離との関係を予め求めておけば、信号電圧に基づいて、発光部材541Bからプラテン14上の用紙Sまでの距離を検出することが可能である。そして、用紙Sが溝部80Bにかぶさる位置になったときに、電気信号測定部69によって電気信号に変換された信号電圧を、閾値としてEEPROMに記憶しておけば、用紙Sが溝部80Bにかぶさっているか否かを判定することが可能である。
【0084】
CPU61は、電気信号測定部69によって変換された電気信号の電圧と、EEPROMに格納されている閾値とを比較する。CPU61が、用紙Sが溝部80Bにかぶさっている、すなわち、用紙Sの印刷が終了していないと判定した場合(ステップS17においてNoと判定された場合)、印刷途中であるので、処理はステップS14に戻る。CPU61が、用紙Sが溝部80Bにかぶさっていない、すなわち、用紙Sの印刷が終了したと判定した場合(ステップS17においてYesと判定された場合)、CPU61は、印刷すべき画像データはあるか否かを判定する(ステップS18)。CPU61が、印刷すべき画像データはあると判定した場合(ステップS18においてYesと判定された場合)、処理はステップS12に戻り、再び、液体堆積量検出処理が実行される。
【0085】
ステップS16において、CPU61が、電気信号測定部69によって変換された信号電圧がEEPROMに格納されている閾値より大きいと判定した場合、すなわち、溝部80B、もしくは、もしくは、溝部80Cに堆積したインク堆積量がプラテン14と水平線上になる位置まで達した場合(ステップS16においてNoと判定された場合)、CPU61は、報知制御回路73を制御し、報知を行うための制御信号を出力させる。報知制御回路73は、CPU61の制御に従って、表示用および音声用の報知制御信号の少なくとも一方を出力可能する(ステップS21)。例えば、表示パネル74は、表示用の制御信号が供給されて、「溝部にインクが溜まりました!メンテナンスが必要です!」等の内容を表示する。または、スピーカ75から、「溝部にインクが溜まりました!メンテナンスが必要です!」等の内容の音声を出力させることもできる。
【0086】
ステップS18において、印刷すべき画像データはない場合(ステップS18においてNoと判定された場合)、又は、ステップS21の処理の後、CPU61は、インクの吐出を中止する(ステップS19)、そして、CPU61は、キャリッジ41の移動を停止させ、印刷を中止する(ステップS20)。
【0087】
このように、印刷処理が開始される際、及び、1枚目の用紙Sの印刷が終了した際に、それぞれ、溝部80に堆積したインクの堆積量が予め定められた閾値に達したか否かが判定されるので、溝部80に堆積するインクの堆積量が予め定められた閾値を超えた状態で印刷が実行され、印刷される媒体を汚すことを防ぐことができる。
【0088】
===液体吐出システム等の構成===
次に、本発明に係る液体吐出システムの一例として、液体吐出装置としてインクジェットプリンタを備えた印刷システムを例にして説明する。
【0089】
図18は、液体吐出システムの外観構成を示した説明図である。液体吐出システム1000は、コンピュータ本体1102と、表示装置1104と、プリンタ1106と、入力装置1108と、読取装置1110とを備えている。コンピュータ本体1102は、本実施形態ではミニタワー型の筐体に収納されているが、これに限られるものではない。表示装置1104は、CRT(Cathode Ray Tube:陰極線管)やプラズマディスプレイや液晶表示装置等が用いられるのが一般的であるが、これに限られるものではない。プリンタ1106は、上記に説明されたプリンタが用いられている。入力装置1108は、本実施形態ではキーボード1108Aとマウス1108Bが用いられているが、これに限られるものではない。読取装置1110は、本実施形態ではフレキシブルディスクドライブ装置1110AとCD−ROMドライブ装置1110Bが用いられているが、これに限られるものではなく、例えばMO(Magnet Optical)ディスクドライブ装置やDVD(Digital Versatile Disk)等の他のものであっても良い。
【0090】
図19は、図18に示した液体吐出システムの構成を示すブロック図である。コンピュータ本体1102が収納された筐体内にRAM等の内部メモリ1202と、ハードディスクドライブユニット1204等の外部メモリがさらに設けられている。
【0091】
上述したプリンタの動作を制御するコンピュータプログラムは、例えばインターネット等の通信回線を経由して、プリンタ1106に接続されたコンピュータ1000等にダウンロードさせることができるほか、コンピュータによる読み取り可能な記録媒体に記録して配布等することもできる。記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスクFD、CD−ROM、DVD−ROM、光磁気ディスクMO、ハードディスク、メモリ等の各種記録媒体を用いることができる。なお、このような記憶媒体に記憶された情報は、各種の読取装置1110によって、読み取り可能である。
【0092】
なお、以上の説明においては、プリンタ1106が、コンピュータ本体1102、表示装置1104、入力装置1108、及び、読取装置1110と接続されてコンピュータシステムを構成した例について説明したが、これに限られるものではない。例えば、コンピュータシステムが、コンピュータ本体1102とプリンタ1106から構成されても良く、コンピュータシステムが表示装置1104、入力装置1108及び読取装置1110のいずれかを備えていなくても良い。また、例えば、プリンタ1106が、コンピュータ本体1102、表示装置1104、入力装置1108、及び、読取装置1110のそれぞれの機能又は機構の一部を持っていても良い。一例として、プリンタ1106が、画像処理を行う画像処理部、各種の表示を行う表示部、及び、デジタルカメラ等により撮影された画像データを記録した記録メディアを着脱するための記録メディア着脱部等を有する構成としても良い。
【0093】
また、上述した実施形態において、プリンタを制御するコンピュータプログラムが、制御ユニット60の記憶媒体であるメモリ65に取り込まれていても良い。そして、制御ユニット60が、メモリ65に格納されたコンピュータプログラムを実行することにより、上述した実施形態におけるプリンタの動作を達成しても良い。
【0094】
このようにして実現された液体吐出システムは、システム全体として従来システムよりも優れたシステムとなる。
【0095】
===その他の実施の形態===
以上、一実施形態に基づき、本発明に係るプリンタ等の印刷装置について説明したが、上記の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更または改良され得るとともに、本発明には、その等価物が含まれることは言うまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に係る液体吐出装置に含まれるものである。
【0096】
また、本実施形態において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部又は全部をソフトウェアによって置き換えてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部をハードウェアによって置き換えてもよい。
また、本実施形態において、反射型光学センサを使用して被印刷体の印刷が終了したか否かを判定したが、印刷データがなくなったか否かで判定するようにしてもよい。
また、媒体上に着弾しない液体を堆積する溝部80内に打ち捨てられたインクを吸収する吸収材84を設けなくてもよい。
また、被印刷体は、印刷紙Sの他に、布やフィルムなどであってもよい。
また、本実施形態において、反射型光学センサは、反射型光学センサ54A、54B、及び、54Cの3つのセンサから構成されるが、1つのセンサで構成してもよい。
また、液体吐出装置側にて行っていた処理の一部をホスト側にて行ってよく、また液体吐出装置とホストの間に専用の処理装置を介設して、この処理装置にて処理の一部を行わせるようにしてもよい。
【0097】
<液体吐出装置について>
本発明の液体吐出装置としては、前述したインクジェットプリンタ等の印刷装置をはじめ、これらの他に、例えば、カラーフィルタ製造装置、染色装置、微細加工装置、半導体製造装置、表面加工装置、三次元造型機、液体気化装置、有機EL製造装置(特に高分子EL製造装置)、ディスプレイ製造装置、成膜装置、DNAチップ製造装置等に適用することも可能である。
【0098】
<液体について>
本発明の液体としては、前述したインク、例えば染料インクや顔料インクに限定されるものではなく、例えば、金属材料、有機材料(特に高分子材料)、磁性材料、導電性材料、配線材料、成膜材料、電子インク、加工液、遺伝子溶液等を含む(水も含む)を適用することもできる。また、液体の成分については、溶媒として水の他に溶剤など、液体を構成するものを含む。
【0099】
<媒体について>
媒体については、前述した用紙として、普通紙やマット紙、カット紙、光沢紙、ロール紙、用紙、写真用紙、ロールタイプ写真用紙等をはじめ、これらの他に、OHPフィルムや光沢フィルム等のフィルム材や布材、金属板材などであっても構わない。すなわち、液体の吐出対象となり得るものであれば、どのような媒体であっても構わない。
【0100】
【発明の効果】
本発明にあっては、媒体から外れたインクの山積みを検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】インクジェットプリンタの一実施形態を示した斜視図。
【図2】インクジェットプリンタの全体構成の説明図。
【図3】インクジェットプリンタのキャリッジ等を示す図。
【図4】インクジェットプリンタのキャリッジに設けられた反射型光学センサを示す図。
【図5】インクジェットプリンタの搬送機構を示す図。
【図6】ヘッドにおけるノズルの配列を示す説明図。
【図7】ヘッド駆動回路内の構成を示すブロック図。
【図8】ホスト側の処理を説明するための説明図。
【図9】通常印刷時の印刷領域と用紙との関係を説明する説明図。
【図10】縁無し印刷時の印刷領域と用紙との関係を説明する説明図。
【図11】溝部を示す断面図。
【図12】印刷処理を説明するフローチャート。
【図13】液体堆積量検出処理を説明するフローチャート。
【図14】キャリッジを移動させて印刷する様子を説明する説明図。
【図15】図15Aは溝部にまだインクがあまり堆積していない場合に、反射型光学センサが溝部に堆積したインク量を検出する様子を説明する説明図。図15Bは溝部にインクが堆積している場合に、反射型光学センサが溝部に堆積したインク量を検出する様子を説明する説明図。
【図16】キャリッジが媒体の幅に応じた範囲を移動することを説明する説明図。
【図17】キャリッジが移動し、反射型光学センサが溝部と対向している様子を説明する説明図。
【図18】コンピュータシステムの外観構成図。
【図19】コンピュータシステムの構成を示すブロック図。
【符号の説明】
1 インクジェットプリンタ 2 操作パネル
3 排紙部 4 給紙部
5 操作ボタン 6 表示ランプ
7 排紙トレー 8 給紙トレー
10 紙搬送ユニット 13 給紙ローラ
14 プラテン 15 紙搬送モータ(PFモータ)
16 紙搬送モータドライバ(PFモータドライバ)
17A 搬送ローラ 17B 排紙ローラ
18A・18B フリーローラ 20 インク吐出ユニット
21 ヘッド 211 ノズル列
22 ヘッドドライバ 221 原駆動信号発生部
222 マスク回路 223 駆動信号補正回路
30 クリーニングユニット 31 ポンプ装置
32 ポンプモータ 33 ポンプモータドライバ
35 キャッピング装置 40 キャリッジユニット
41 キャリッジ 42 キャリッジモータ(CRモータ)
43 キャリッジモータドライバ(CRモータドライバ)
44 プーリ 45 タイミングベルト
46 ガイドレール 50 計測器群
51 リニア式エンコーダ 511 リニアスケール
52 ロータリー式エンコーダ 53 紙検出センサ
54A 反射型光学センサ 54B 反射型光学センサ
54C 反射型光学センサ 541A 発光部材
541B 発光部材 541C 発光部材
542A 受光部材 542B 受光部材
542C 受光部材 60 制御ユニット
61 CPU 62 タイマ
63 インターフェース部 64 ASIC
65 メモリ 66 DCコントローラ
67 ホストコンピュータ 68 反射型光学センサ制御回路
69 電気信号測定部 73 報知制御回路
74 表示パネル 75 スピーカ
80 インク回収部 80 溝部
84 吸収材 90 コンピュータ本体
91 ビデオドライバ 93 表示装置
95 アプリケーションプログラム 96 プリンタドライバ
97 解像度変換モジュール 98 色変換モジュール
99 ハーフトーンモジュール 100 ラスタライザ
101 ユーザーインターフェース表示モジュール
102 UIプリンタインターフェースモジュール
1000 液体吐出システム 1102 コンピュータ本体
1104 表示装置 1106 プリンタ
1108 入力装置 1108A キーボード
1108B マウス 1110 読取装置
1110A フレキシブルディスクドライブ装置
1110B CD−ROMドライブ装置
1202 内部メモリ
1204 ハードディスクドライブユニット
S 媒体(用紙)
P 印刷領域
Claims (14)
- 媒体に対して液体を吐出する吐出ヘッドと、
前記吐出ヘッドにより吐出され前記媒体上に着弾しない前記液体を堆積する溝部と
を備えた液体吐出装置において、
前記溝部に堆積した液体の堆積量を検出するセンサを設ける
ことを特徴とする液体吐出装置。 - 請求項1に記載の液体吐出装置において、
前記センサは、前記吐出ヘッドにより前記媒体上に液体が吐出される前に、前記溝部に堆積した液体の堆積量を検出する
ことを特徴とする液体吐出装置。 - 請求項1又は請求項2に記載の液体吐出装置において、
前記センサは、前記溝部に対向可能に設けられている
ことを特徴とする液体吐出装置。 - 請求項1乃至請求項3に記載の液体吐出装置において、
前記センサは、前記吐出ヘッドを移動させるキャリッジに設けられている
ことを特徴とする液体吐出装置。 - 請求項4に記載の液体吐出装置において、
前記キャリッジは、前記媒体の幅に応じた範囲を移動する
ことを特徴とする液体吐出装置。 - 請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の液体吐出装置において、
前記センサは、前記溝部に堆積した液体に光を発する発光部材と、前記液体より反射された光を受光するための受光部材とを備え、
前記受光部材の受光量に基づいて、前記溝部に堆積した液体の堆積量を検出する
ことを特徴とする液体吐出装置。 - 請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の液体吐出装置において、
前記媒体を搬送する搬送部をさらに備え、
前記媒体は、前記搬送部によって搬送される際、前記溝部上を通過する
ことを特徴とする液体吐出装置。 - 請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の液体吐出装置において、
前記センサにより検出された前記液体の堆積量が予め定められた閾値に達したか否かを判定する判定部と、
前記判定部により、前記液体の堆積量が予め定められた閾値に達したと判定された場合、その旨を報知する報知部と
をさらに備えることを特徴とする液体吐出装置。 - 請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の液体吐出装置において、
前記溝部は、前記液体を吸収する吸収材を
さらに備えることを特徴とする液体吐出装置。 - 請求項1乃至9のいずれか1項に記載の液体吐出装置において、
前記吐出ヘッドにより吐出される前記液体がインクである
ことを特徴とする液体吐出装置。 - 請求項10に記載の液体吐出装置において、
前記インクは、透明無色のインク、及び、有彩色のインクである
ことを特徴とする液体吐出装置。 - 媒体に対して液体を吐出する吐出ヘッドと、
前記吐出ヘッドにより吐出され前記媒体上に着弾しない前記液体を堆積する溝部と
を備えた液体吐出装置において、
前記溝部に堆積した液体の堆積量を検出するセンサを設け、
前記センサは、前記吐出ヘッドにより前記媒体上に液体が吐出される前に、前記溝部に堆積した液体の堆積量を検出し、
前記センサは、前記溝部に対向可能に設けられ、
前記センサは、前記吐出ヘッドを移動させるキャリッジに設けられ、
前記キャリッジは、前記媒体の幅に応じた範囲を移動し、
前記センサは、前記溝部に堆積した液体に光を発する発光部材と、前記液体より反射された光を受光するための受光部材とを備え、
前記受光部材の受光量に基づいて、前記溝部に堆積した液体の堆積量を検出し、
前記媒体を搬送する搬送部をさらに備え、前記媒体は、前記搬送部によって搬送される際、前記溝部上を通過し、
前記センサにより検出された前記液体の堆積量が予め定められた閾値に達したか否かを判定する判定部と、
前記判定部により、前記液体の堆積量が予め定められた閾値に達したと判定された場合、その旨を報知する報知部と
をさらに備え、
前記溝部は、前記液体を吸収する吸収材を
さらに備え、
前記吐出ヘッドにより吐出される前記液体がインクであり、
前記インクは、透明無色のインク、及び、有彩色のインクである
ことを特徴とする液体吐出装置。 - 媒体に対して液体を吐出する液体吐出方法であって、
前記媒体上に着弾しない前記液体を堆積する溝部に堆積した前記液体の堆積量を検出する
ことを特徴とする液体吐出方法。 - コンピュータ本体と、このコンピュータ本体に接続可能な液体吐出装置とを具備した液体吐出システムであって、前記液体吐出装置は、媒体に対して液体を吐出する吐出ヘッドと、前記吐出ヘッドにより吐出され前記媒体上に着弾しない前記液体を堆積する溝部とを備えた液体吐出装置において、
前記溝部に堆積した液体の堆積量を検出するセンサを設けることを特徴とする液体吐出システム。
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JP2003175393A JP2005007775A (ja) | 2003-06-19 | 2003-06-19 | 液体吐出装置、液体吐出方法、及び、液体吐出システム |
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Cited By (2)
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JP2009166438A (ja) * | 2008-01-18 | 2009-07-30 | Ricoh Co Ltd | 画像形成装置 |
JP2019048440A (ja) * | 2017-09-12 | 2019-03-28 | キヤノン株式会社 | インクジェット記録装置 |
-
2003
- 2003-06-19 JP JP2003175393A patent/JP2005007775A/ja active Pending
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