JP2005006028A - 温度補償型圧電発振器 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡単な回路構成でしかも温度補償精度が高く、それにより低ノイズ化が図れて低コストが可能な携帯電話等に適した温度補償方式を提供する。
【解決手段】この温度補償方式は、水晶振動子11を備えた水晶発振回路12と、両端の電位差により容量が変化する可変容量ダイオード14と、各回路をアイソレーションする高抵抗16〜22と、コンデンサ1、2、4、5と、周囲温度を検出する温度センサ部101と、温度センサ部101の電圧に基づいて温度補償電圧を発生する補償電圧発生回路102、103と、補償電圧発生回路102、103の基準となる電圧を供給する基準電圧発生部104とを備えて構成される。
【選択図】 図1
【解決手段】この温度補償方式は、水晶振動子11を備えた水晶発振回路12と、両端の電位差により容量が変化する可変容量ダイオード14と、各回路をアイソレーションする高抵抗16〜22と、コンデンサ1、2、4、5と、周囲温度を検出する温度センサ部101と、温度センサ部101の電圧に基づいて温度補償電圧を発生する補償電圧発生回路102、103と、補償電圧発生回路102、103の基準となる電圧を供給する基準電圧発生部104とを備えて構成される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水晶振動子等の圧電振動子を使用した圧電発振器に関し、特に簡単な回路構成によってATカット水晶振動子の発振周波数の温度補償が可能な温度補償型圧電発振器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
携帯電話に代表される陸上移動体通信器の使用エリアは拡大の一途を辿っている。それと同時に、携帯電話の普及もすさまじく技術開発競争は激化している。携帯電話に使用される水晶発振器も小型化、ローコスト化、更に高性能化が要求されている。特にGPSシステムとの共存を要求されるシステムでは温度特性が優れているだけでなく、低ノイズ化が強く要求されている。
図9に携帯電話に使用されている水晶振動子(At−Cut)の切断角度の違いによる温度特性を示す。図に示す様に振動子の温度特性は3次関数に近い特性を示すが、これだけでは特性上十分ではなくこの特性以上の高い周波数安定度が得られるよう温度補償を行っていた。
従来の温度補償方式は大きく直接温度補償方式と間接温度補償方式に分けることができる。図10は直接温度補償方式の補償回路の1例を示す図である。この方式は発振回路の発振ループ内にサーミスタと抵抗及びコンデンサにより補償回路を構成し、サーミスタの温度による抵抗変化をリアクタンスに変換し温度補償するもので、回路構成は非常にシンプルである。
また間接温度補償方式は、温度補償特性を得るための温度補償電圧を発生させる関数発生部を発振回路ループ外に設け、温度補償電圧を発振ループ内に設けた可変容量ダイオードに印加し温度補償を行うものである。そして温度補償電圧を発生する方法には、IC化技術を駆使し半導体の接合電位の温度特性を使用し多次関数を発生させる方式、補償電圧を予めメモリに保存し、温度変化に基づき電圧を印加するデジタル温度補償方式、演算増幅器を用いた分割線近似方式等がある。いずれにしても、補正電圧発生回路が非常に複雑になり、そのため回路からの雑音発生が大きく低ノイズ化が難しいといった問題がある。
【0003】
図11は従来技術として特許第3253207号に開示されている温度補償水晶発振器のブロック図である。本方式では温度センサ部101より温度に応じて変化する電圧出力を電圧関数発生回路102〜106へ入力する。5つの電圧関数発生回路を設けたので、電圧加算器107は各電圧関数発生回路からの計5本の入力電圧を合成し得られた図12に示す様な折れ線関数の電圧を可変容量ダイオード14へ入力している。図13に2つの演算増幅器110、111で構成された1つの電圧関数発生回路を示す。
図14は従来技術として実開昭61−95104号公報に開示されている温度補償水晶発振器のブロック図である。図15は動作説明図を示す。図15に示すように温度センサ201からの入力信号により電圧関数発生回路202の出力電圧は水晶振動子の3次曲線変化を呈する周波数温度特性の低温側頂点温度まで温度上昇と共に飽和電圧に達するまで単調上昇し、頂点温度以上の温度範囲では飽和電圧(一定電圧)となる。同様に電圧関数発生回路203の出力電圧は水晶振動子の周波数温度特性の高温側頂点温度まで一定でその頂点温度以上で温度上昇と共に単調上昇する。それぞれの出力電圧をダイオードD14、15のアノードに印加するので低温側では温度上昇に伴い容量が低下し、その結果、発振周波数を高くする。電圧関数発生回路202、203の出力電圧が共に一定である温度範囲内では、容量変化が無いので周波数の変化制御は行なわれず、高温側では温度上昇に伴い容量が増大し、その結果発振周波数を低下させる。また温度補償用コンデンサC16、17、18、19としては温度上昇に対し容量が単調に減少するような特性のものを用いて周波数が単調に上昇するよう制御する。即ち、先ほどの電圧関数発生回路202、203の出力電圧が共に一定である温度範囲内では、発振周波数は温度補償用コンデンサの影響により上昇する。尚、低温側、高温側ともこのコンデンサの影響を受けて周波数は上昇しているがコンデンサの影響を加味した変化量を補償していることは言うまでもない。
このように総合的には振動子の3次曲線を補償することができるが、本方式では頂点間温度の補正を容量、温度特性共にばらつきが大きい温度補償用コンデンサに頼った補償方式であるため、当然補償精度のばらつきが大きく量産化に適さないといった問題がある。
【特許文献1】特許第3253207号
【特許文献2】実開昭61−95104号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記の直接温度補償方式では回路は非常にシンプルであり、低ノイズという利点はあるが、補償曲線が頂点を持たない温度上昇に対し一方向増加の近3次曲線となるため、特に低温側、高温側の両サイドで極端に周波数補償量が増加するため優れた温度特性を得られ難いといった問題がある。
また特許文献1については、発振周波数温度特性に対し3次補償曲線をもとめ、曲線上に交点をもつ最適な直線補償方式を求め、全ての直線を任意に設定するという複雑な方法を取り入れているため、振動子の温度特性に非常に柔軟な対応が可能であり、優れた温度特性を得ることができるが、個々の直線電圧に対応した電圧関数発生回路が必要であるので回路構成が非常に複雑となり必然的にコストアップ、及び回路から発生するノイズが大きく位相雑音特性を悪化させる問題がある。
また特許文献2では簡易な直線補償方式を取り入れており、低ノイズ化は図られているが、温度補償コンデンサという、個体間の電気的特性のばらつきが大きいデバイスを使用しているため量産化に適さないと言う問題点がある。
本発明は、かかる課題に鑑み、簡単な回路構成でしかも温度補償精度が高く、それにより低ノイズ化が図れて低コストが可能な携帯電話等に適した温度補償方式を提供することを目的する。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明はかかる課題を解決するために、請求項1は、所定の周波数で励振される圧電素子を備えた圧電振動子と、該圧電素子に電流を流して励振させる発振用増幅器と、温度変化による発振周波数の変化を補償する周波数温度補償回路と、を備えた圧電発振器であって、前記周波数温度補償回路は、周囲温度によりパラメータが変化する温度検出部と、該温度検出部により変化したパラメータに基づいて2種類の異なる電圧を発生する温度補償用電圧発生部と、所定の基準電圧を発生する基準電圧発生部と、前記温度補償用電圧発生部の出力電圧に基づいて容量が変化する可変容量素子と、を備え、前記温度補償用電圧発生部は、前記圧電素子が有する温度特性の低温側の起点より前記低温側頂点を越えた点まで飽和電圧の略1/2の電圧を保持し、前記低温側頂点を越えた点より高温側頂点の手前まで単調増加し、前記高温側頂点の手前より前記飽和電圧により一定値となる電圧を連続的に発生する第1の制御電圧発生部と、前記圧電素子が有する温度特性の低温側の起点より前記低温側頂点の手前まで最低電圧から単調増加し、前記低温側頂点の手前より前記高温側頂点を越えた点まで前記飽和電圧の略1/2の電圧を保持し、前記高温側頂点を越えた点より前記高温側の終点まで単調増加して前記飽和電圧に達する電圧を連続的に発生する第2の制御電圧発生部とを備え、前記第1の制御電圧発生部及び第2の制御電圧発生部の出力端を前記可変容量素子の両端に印加することにより、前記圧電発振器の負荷容量を変化させて前記圧電振動子の発振周波数の温度特性を補償することを特徴とする。
ATカットによる水晶振動子の温度特性は略3次関数的に変化する。この温度特性に対して、理想的には相反する特性をもつように、発振ループ内の負荷容量を変化させて補正することである。しかし、この特性を持つ回路を実現することは不可能ではないが、現実的に回路構成が非常に複雑となり、その分コストアップを避けることができず、さらに回路の複雑さからくる位相特性の劣化が問題となる。従って、回路構成は可能な限り簡単な程良いのは言うまでもない。しかし、従来の回路では低温と高温の端部での特性が実際より異なった特性となり、正確に補正することができなかった。そこで本発明では、合成した時に近似3次関数的に変化する2種類の電圧を発生させ、その電圧を可変容量素子の両端に印加することにより、可能な限りATカットによる水晶振動子の温度特性に近づけるものである。
かかる発明によれば、合成した時に近似3次関数的に変化する2種類の制御電圧を発生させ、その電圧を可変容量素子の両端に印加するので、可変容量素子の容量変化によりATカットによる水晶振動子の温度特性を正確に補正することができる。
【0006】
請求項2は、前記第1の制御電圧発生部及び第2の制御電圧発生部の出力端のノイズを同レベルで且つ同相、若しくは異なるレベルで且つ同相になるようにしてノイズによる位相雑音を低減することを特徴とする。
前記第1の制御電圧発生部及び第2の制御電圧発生部の出力端の電圧が同じ発生源から発生されれば、その信号線に重畳されるノイズの位相は同相となる。また、ノイズレベルも大きく変化しないで略同レベルとなる。従って、これらの制御電圧を可変容量素子の両端に印加すると、ノイズによる電位差が発生しないので、相対的なノイズレベルを低下することができる。
かかる発明によれば、温度補償制御電圧を可変容量素子の両端に印加するので、ノイズの位相が同相になってノイズによる電位差がゼロとなり、発振回路の位相雑音を低減することができる。
請求項3は、前記第1の制御電圧発生部及び第2の制御電圧発生部の出力端を前記可変容量素子の両端に印加することにより、前記可変容量素子の両端にはATカット水晶振動子の発振周波数偏差の近似3次関数に対し、温度変化に対して平行な2種類の温度補償電圧を含む5種類の直線温度補償電圧を発生することを特徴とする。
第1の制御電圧発生部からは、1種類の折れ線電圧と飽和電源電圧とグランド電圧の2種類の電圧を含めた3種類の電圧を発生し、第2の制御電圧発生部からは、2種類の折れ線電圧と飽和電源電圧の1/2の電圧を含めた3種類の電圧を発生し、全体として5種類の直線温度補償電圧を発生する。これらの電圧を可変容量素子の両端に印加すると、近似3次関数に近い電位差を発生する。それにより、可変容量素子の容量が変化して発振回路の負荷容量を変化させる。
かかる発明によれば、5種類の直線温度補償電圧を可変容量素子の両端に印加することで、近似3次関数に近い電位差を発生することができるので、簡易な回路構成により温度補償を実現することができ、コスト的にも安価に実現することができる。
請求項4は、前記可変容量素子はバラクタ、可変容量ダイオード若しくは、印加電圧により容量が可変する半導体デバイスを用いたことを特徴とする。
容量が外部の印加電圧により変化すれば可変容量素子として、可変容量ダイオード、接合型FETのゲート、ソース又はゲート、ドレイン容量、MOS型FETのゲート、ソース又はゲート、ドレイン容量、バイポーラトランジスタのベース、エミッタ容量、又はベース、コレクタ容量を用いても本発明の発振器を構成することができる。
かかる発明によれば、可変容量素子として可変容量ダイオードや印加電圧により容量が可変する半導体デバイスを用いることもできるので、回路構成に幅が拡がり、それに伴って回路特性のバリエーションが広くなる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
図1は本発明の実施形態に係る温度補償方式のブロック図である。この温度補償方式は、水晶振動子11を備えた水晶発振回路12と、両端の電位差により容量が変化する可変容量ダイオード14と、各回路をアイソレーションする高抵抗16〜22と、コンデンサ1、2、4、5と、周囲温度を検出する温度センサ部101と、温度センサ部101の電圧に基づいて温度補償電圧を発生する補償電圧発生回路102、103と、補償電圧発生回路102、103の基準となる電圧を供給する基準電圧発生部104とを備えて構成される。
図2は図1の温度補償方式の動作を説明する説明図である。本実施形態では、温度センサ出力のほぼ常温、即ち振動子温度特性の変曲点温度に設定する。図の▲2▼に示す補償電圧発生回路102は低温側(a点)から水晶振動子の周波数温度特性の低温側頂点温度を越えた温度(c点)まで約1/2Vccの一定電圧であり温度(c点)より高温側頂点の手前(d点)まで温度上昇と共に単調増加し、温度点dにて飽和電圧Vccに達する。補償電圧発生回路102の出力電圧を抵抗16、17で分圧され且つ抵抗18を介して可変容量ダイオード14のカソードに入力する。また図の▲3▼に示す補償電圧発生回路103は低温側(a点)より水晶振動子の周波数温度特性の低温側頂点温度の手前(b点)まで単調増加し、温度(b点)にて飽和電圧の約1/2Vccに達する。その後、温度(b点)から、高温側頂点を越えた(e点)まで継続、再度高温側(f点)まで単調増加し温度(f点)にて飽和電圧Vccに達する。補償電圧発生回路103の出力電圧は抵抗19、20、21から成る分圧回路にて分圧され、且つ抵抗22を介して可変容量ダイオード14のアノードに入力する。その結果図の▲4▼に示す可変容量ダイオード14のカソード、アノードの両端の電位差は、補償電圧発生回路102の出力電圧と補償電圧発生回路103の出力電圧の差に基づくものであるから、(a点)から(b点)まで単調減少して(b点)から(c点)の間で一定となり(c点)から(d点)まで増加して(d点)から(e点)の間で再度一定であり、(e点)から(f点)まで単調減少する。そして、このような制御電圧に基づく可変容量ダイオード14の端子間容量の制御によって、特性▲5▼のごとく周波数を変化させることができるので、この周波数変化と図の▲1▼に示す補償前の振動子11の周波数温度特性とが相殺し、図の▲6▼に示す補償操作後の発振周波数の温度特性が得られる。
【0008】
図3は本発明の温度補償方式の実施形態の一例を示す回路図である。図4は、図3の温度補償方式の実施回路定数を記した図である。前記図1のブロック図に示される温度センサ部101は、抵抗R1、R2、R3、R4、R5、ダイオードD1、演算増幅器IC1で構成され、温度変化に対するD1の順方向電位の変化(約−2mV/℃)を演算増幅器IC1により同相アンプして、出力端子(a)から温度検出信号を出力する。また補償電圧発生部102は抵抗R10、R11、演算増幅器IC2で構成され、可変容量ダイオード14のカソードに印加する温度補償電圧を発生する。補償電圧発生部103は抵抗R12、R13、演算増幅器IC3、及び抵抗R14、R15、演算増幅器IC4で構成され、可変容量ダイオード14のアノード入力の温度補償電圧を発生する。基準電圧発生部104は抵抗R6、R7、R8、R9で構成し、IC2、IC3、IC4の(+)入力の基準電圧を発生する。R7、R8の接続点電位は出力端子(a)に発生した電源電圧Vccのほぼ1/2とし、演算増幅器IC2の非反転入力端子(+)に入力する。温度センサ部101の出力信号はIC2の反転入力端子(−)に入力する。尚ほぼ常温時に、即ち振動子温度特性の変曲点温度で非反転入力端子(+)の電位と反転入力端子(−)の電位とが同電位となるように設定する。IC2の利得はR11/R10で与えられ、利得の設定は補償電圧発生回路102の出力が図2の低温側頂点から高温側シフトした点まで最低飽和電圧を維持、単調増加後高温側頂点より低温側へシフトした点で最大飽和電圧になり一定電圧を維持する傾斜となるように行う。IC2の出力端子(b)に発生した出力電圧と電源電圧Vccとの電圧差をR16とR17で分圧して得られた。分圧出力(e)は抵抗R18を介して可変容量ダイオードD2のカソードへ接続される。C4はパスコンデンサであり、C4とR16、R17でローパスフィルタを構成して高周波成分(ノイズ成分)をカットする。またR6とR7の接続点の電圧は、IC3の非反転入力端子(+)に入力する。反転入力端子(−)は出力端子(a)点に接続する。利得はR13/R12で与えられ、IC3の動作範囲で温度補償の最適な近似を与える傾斜に設定する。R8とR9の接続点の電圧は、IC4の(+)に入力する。(−)入力は(a)点に接続、利得はR15/R14で与えられ、IC4の動作範囲で温度補償の最適な近似を与える傾斜に設定する。IC3の出力とIC4の出力は抵抗R19とR20を経由して接続し、抵抗R22を介してGNDに接続分圧される。分圧出力(f)は抵抗R22を介して可変容量ダイオードD2のアノードに接続される。C5はパスコンデンサでありR19、R20、R21でローパスフィルタを構成しており高周波成分をカットする。また、D2のカソード、アノードはそれぞれC1、C2を介してXtalを含む発振回路の発振ループに入力される。
【0009】
図4に実施例回路例の1つとしてシミュレーション時の定数と、図1のブロック図との関係を示す。
補償電圧発生部101:R1、3、4=10kΩ、R2=6.5Ω、R5=可変調整、D1=1S953、IC1=TC75S51FU、
補償電圧発生部102:R10=10kΩ、R11=30kΩ、IC2=TC75S51FU、
補償電圧発生部103:R12=10kΩ、R13=140kΩ、IC3=TC75S51FU、R14=10kΩ、R15=140kΩ、IC4=TC75S51FU、
基準電圧発生部104:R6=9.6kΩ、R7=11.1kΩ、R8=11.3kΩ、R9=8kΩ、
R16、17、18、21、22=100kΩ、R19、20=200kΩ、D2=MA2S304、C3、4、5=0.1μF、Xtal=13MHz、γ=240、C0=1.35pF、Cp=40pF、Cs=35pF、Vcc=3.0V
図5は、図4の回路定数でのシミュレーション結果を示す図である。また本発明の温度補償方式の補償電圧発生部の各部の電圧変化を示す。温度センサ部101の出力(a)点の電圧変化、補償電圧発生部102(b)点の電圧変化、補償電圧発生部103(c)点(d)点の電圧変化を示す。Δt[℃]の0℃は振動子の変曲点温度で基準化しており、本実施例では変局点温度はΔt=28℃である。
この図から明らかなように、(a)点は0.02V/℃で単調減少、Δt=0℃で1.45Vを示す。この電圧はIC2の(+)入力である。(b)点はΔt=−25℃より、0Vから0.06V/℃で単調増加、Δt=26℃で飽和電圧3Vとなる。(c)点はΔt=−59℃より、0Vから0.14V/℃で単調増加、Δt=−36℃で飽和電圧3Vとなる。(d)点はΔt=37℃より、0Vから0.14V/℃で単調増加、Δt=59℃で飽和電圧3Vとなる。
【0010】
図6は本発明の変曲点温度を基準とする温度補償シミュレーション結果を示す図である。この図から明らかなように、(e)点は1.5V継続、Δt=−25℃より、0.03V/℃で単調増加、Δt=26℃で飽和電圧3Vとなる。(f)点はΔt=−59℃より、0Vから0.07V/℃で単調増加、Δt=−36℃で飽和電圧1.5VとなりΔt=37℃まで継続、再度0.07V/℃で単調増加、Δt=59℃で飽和電圧3Vとなる。D2のカソード、アノード間電位VD2は(e)点と(f)点の電位差で示され、Δt=−59℃で1.5Vより0.07V/℃で単調減少、Δt=−36℃で0V、Δt=−25℃より0.03V/℃で単調増加、Δt=26℃で1.5V、Δt=37℃より−0.07V/℃単調減少、Δt=59℃で0Vとなる。
図7は本発明の変曲点温度を基準とする温度補償特性と3次近似式シミュレーション結果を示す図である。可変容量ダイオードD2のカソード、アノード間の温度補償電圧による容量変化、並列容量Cp及び発振回路容量を含む直列容量Cs、振動子のパラメータγ、C0より発振周波数の温度補償量をシミュレーションした特性、さらに3次式近似シミュレーション結果を示す。この図から明らかなように、かなり良い3次式近似を得ている。
図8は温度補償のシミュレーション結果を示す図である。この図は振動子の温度特性を示し、更に上記温度補償特性と温度補償による周波数偏差を示す。図より周囲温度−30℃から+80℃の変化において発振周波数偏差±2ppmを得ることができる。これにより現在市場より要求されている一般的温度特性±2.5ppm@−20〜70℃を十分満足できる。
【0011】
【発明の効果】
以上記載のごとく請求項1の発明によれば、合成した時に近似3次関数的に変化する2種類の制御電圧を発生させ、その電圧を可変容量素子の両端に印加するので、可変容量素子の容量変化によりATカットによる水晶振動子の温度特性を正確に補正することができる。
また請求項2では、温度補償制御電圧を可変容量素子の両端に印加するので、ノイズの位相が同相になってノイズによる電位差がゼロとなり、発振回路の位相雑音を低減することができる。
また請求項3では、5種類の直線温度補償電圧を可変容量素子の両端に印加することで、近似3次関数に近い電位差を発生することができるので、簡易な回路構成により温度補償を実現することができ、コスト的にも安価に実現することができる。
また請求項4では、可変容量素子として可変容量ダイオードや印加電圧により容量が可変する半導体デバイスを用いることもできるので、回路構成に幅が拡がり、それに伴って回路特性のバリエーションが広くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る温度補償方式のブロック図である。
【図2】本発明の図1の温度補償方式の動作を説明する説明図である。
【図3】本発明の温度補償方式の実施形態の一例を示す回路図である。
【図4】本発明の図3の温度補償方式の実施回路定数を表す図である。
【図5】本発明の図4の回路定数でのシミュレーション結果を示す図である。
【図6】本発明の変曲点温度を基準とする温度補償シミュレーション結果を示す図である。
【図7】本発明の変曲点温度を基準とする温度補償特性と3次近似式シミュレーション結果を示す図である。
【図8】本発明の温度補償のシミュレーション結果を示す図である。
【図9】携帯電話に使用されている水晶振動子(At−Cut)の切断角度の違いによる温度特性を示す図である。
【図10】従来の直接温度補償方式の補償回路の1例を示す図である。
【図11】従来技術として特許第3253207号に開示されている温度補償水晶発振器のブロック図である。
【図12】従来の温度補償方式を説明するための図である。
【図13】従来の温度補償方式の電圧関数発生回路図である。
【図14】従来技術として実開昭61−95104号公報に開示されている温度補償水晶発振器のブロック図である。
【図15】従来の温度補償方式を説明するための図である。
【符号の説明】
1、2、4、5 コンデンサ、11 水晶振動子、12 水晶発振回路、14可変容量ダイオード、16〜22 高抵抗、101 温度センサ部、102、103 補償電圧発生回路、104 基準電圧発生部
【発明の属する技術分野】
本発明は、水晶振動子等の圧電振動子を使用した圧電発振器に関し、特に簡単な回路構成によってATカット水晶振動子の発振周波数の温度補償が可能な温度補償型圧電発振器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
携帯電話に代表される陸上移動体通信器の使用エリアは拡大の一途を辿っている。それと同時に、携帯電話の普及もすさまじく技術開発競争は激化している。携帯電話に使用される水晶発振器も小型化、ローコスト化、更に高性能化が要求されている。特にGPSシステムとの共存を要求されるシステムでは温度特性が優れているだけでなく、低ノイズ化が強く要求されている。
図9に携帯電話に使用されている水晶振動子(At−Cut)の切断角度の違いによる温度特性を示す。図に示す様に振動子の温度特性は3次関数に近い特性を示すが、これだけでは特性上十分ではなくこの特性以上の高い周波数安定度が得られるよう温度補償を行っていた。
従来の温度補償方式は大きく直接温度補償方式と間接温度補償方式に分けることができる。図10は直接温度補償方式の補償回路の1例を示す図である。この方式は発振回路の発振ループ内にサーミスタと抵抗及びコンデンサにより補償回路を構成し、サーミスタの温度による抵抗変化をリアクタンスに変換し温度補償するもので、回路構成は非常にシンプルである。
また間接温度補償方式は、温度補償特性を得るための温度補償電圧を発生させる関数発生部を発振回路ループ外に設け、温度補償電圧を発振ループ内に設けた可変容量ダイオードに印加し温度補償を行うものである。そして温度補償電圧を発生する方法には、IC化技術を駆使し半導体の接合電位の温度特性を使用し多次関数を発生させる方式、補償電圧を予めメモリに保存し、温度変化に基づき電圧を印加するデジタル温度補償方式、演算増幅器を用いた分割線近似方式等がある。いずれにしても、補正電圧発生回路が非常に複雑になり、そのため回路からの雑音発生が大きく低ノイズ化が難しいといった問題がある。
【0003】
図11は従来技術として特許第3253207号に開示されている温度補償水晶発振器のブロック図である。本方式では温度センサ部101より温度に応じて変化する電圧出力を電圧関数発生回路102〜106へ入力する。5つの電圧関数発生回路を設けたので、電圧加算器107は各電圧関数発生回路からの計5本の入力電圧を合成し得られた図12に示す様な折れ線関数の電圧を可変容量ダイオード14へ入力している。図13に2つの演算増幅器110、111で構成された1つの電圧関数発生回路を示す。
図14は従来技術として実開昭61−95104号公報に開示されている温度補償水晶発振器のブロック図である。図15は動作説明図を示す。図15に示すように温度センサ201からの入力信号により電圧関数発生回路202の出力電圧は水晶振動子の3次曲線変化を呈する周波数温度特性の低温側頂点温度まで温度上昇と共に飽和電圧に達するまで単調上昇し、頂点温度以上の温度範囲では飽和電圧(一定電圧)となる。同様に電圧関数発生回路203の出力電圧は水晶振動子の周波数温度特性の高温側頂点温度まで一定でその頂点温度以上で温度上昇と共に単調上昇する。それぞれの出力電圧をダイオードD14、15のアノードに印加するので低温側では温度上昇に伴い容量が低下し、その結果、発振周波数を高くする。電圧関数発生回路202、203の出力電圧が共に一定である温度範囲内では、容量変化が無いので周波数の変化制御は行なわれず、高温側では温度上昇に伴い容量が増大し、その結果発振周波数を低下させる。また温度補償用コンデンサC16、17、18、19としては温度上昇に対し容量が単調に減少するような特性のものを用いて周波数が単調に上昇するよう制御する。即ち、先ほどの電圧関数発生回路202、203の出力電圧が共に一定である温度範囲内では、発振周波数は温度補償用コンデンサの影響により上昇する。尚、低温側、高温側ともこのコンデンサの影響を受けて周波数は上昇しているがコンデンサの影響を加味した変化量を補償していることは言うまでもない。
このように総合的には振動子の3次曲線を補償することができるが、本方式では頂点間温度の補正を容量、温度特性共にばらつきが大きい温度補償用コンデンサに頼った補償方式であるため、当然補償精度のばらつきが大きく量産化に適さないといった問題がある。
【特許文献1】特許第3253207号
【特許文献2】実開昭61−95104号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記の直接温度補償方式では回路は非常にシンプルであり、低ノイズという利点はあるが、補償曲線が頂点を持たない温度上昇に対し一方向増加の近3次曲線となるため、特に低温側、高温側の両サイドで極端に周波数補償量が増加するため優れた温度特性を得られ難いといった問題がある。
また特許文献1については、発振周波数温度特性に対し3次補償曲線をもとめ、曲線上に交点をもつ最適な直線補償方式を求め、全ての直線を任意に設定するという複雑な方法を取り入れているため、振動子の温度特性に非常に柔軟な対応が可能であり、優れた温度特性を得ることができるが、個々の直線電圧に対応した電圧関数発生回路が必要であるので回路構成が非常に複雑となり必然的にコストアップ、及び回路から発生するノイズが大きく位相雑音特性を悪化させる問題がある。
また特許文献2では簡易な直線補償方式を取り入れており、低ノイズ化は図られているが、温度補償コンデンサという、個体間の電気的特性のばらつきが大きいデバイスを使用しているため量産化に適さないと言う問題点がある。
本発明は、かかる課題に鑑み、簡単な回路構成でしかも温度補償精度が高く、それにより低ノイズ化が図れて低コストが可能な携帯電話等に適した温度補償方式を提供することを目的する。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明はかかる課題を解決するために、請求項1は、所定の周波数で励振される圧電素子を備えた圧電振動子と、該圧電素子に電流を流して励振させる発振用増幅器と、温度変化による発振周波数の変化を補償する周波数温度補償回路と、を備えた圧電発振器であって、前記周波数温度補償回路は、周囲温度によりパラメータが変化する温度検出部と、該温度検出部により変化したパラメータに基づいて2種類の異なる電圧を発生する温度補償用電圧発生部と、所定の基準電圧を発生する基準電圧発生部と、前記温度補償用電圧発生部の出力電圧に基づいて容量が変化する可変容量素子と、を備え、前記温度補償用電圧発生部は、前記圧電素子が有する温度特性の低温側の起点より前記低温側頂点を越えた点まで飽和電圧の略1/2の電圧を保持し、前記低温側頂点を越えた点より高温側頂点の手前まで単調増加し、前記高温側頂点の手前より前記飽和電圧により一定値となる電圧を連続的に発生する第1の制御電圧発生部と、前記圧電素子が有する温度特性の低温側の起点より前記低温側頂点の手前まで最低電圧から単調増加し、前記低温側頂点の手前より前記高温側頂点を越えた点まで前記飽和電圧の略1/2の電圧を保持し、前記高温側頂点を越えた点より前記高温側の終点まで単調増加して前記飽和電圧に達する電圧を連続的に発生する第2の制御電圧発生部とを備え、前記第1の制御電圧発生部及び第2の制御電圧発生部の出力端を前記可変容量素子の両端に印加することにより、前記圧電発振器の負荷容量を変化させて前記圧電振動子の発振周波数の温度特性を補償することを特徴とする。
ATカットによる水晶振動子の温度特性は略3次関数的に変化する。この温度特性に対して、理想的には相反する特性をもつように、発振ループ内の負荷容量を変化させて補正することである。しかし、この特性を持つ回路を実現することは不可能ではないが、現実的に回路構成が非常に複雑となり、その分コストアップを避けることができず、さらに回路の複雑さからくる位相特性の劣化が問題となる。従って、回路構成は可能な限り簡単な程良いのは言うまでもない。しかし、従来の回路では低温と高温の端部での特性が実際より異なった特性となり、正確に補正することができなかった。そこで本発明では、合成した時に近似3次関数的に変化する2種類の電圧を発生させ、その電圧を可変容量素子の両端に印加することにより、可能な限りATカットによる水晶振動子の温度特性に近づけるものである。
かかる発明によれば、合成した時に近似3次関数的に変化する2種類の制御電圧を発生させ、その電圧を可変容量素子の両端に印加するので、可変容量素子の容量変化によりATカットによる水晶振動子の温度特性を正確に補正することができる。
【0006】
請求項2は、前記第1の制御電圧発生部及び第2の制御電圧発生部の出力端のノイズを同レベルで且つ同相、若しくは異なるレベルで且つ同相になるようにしてノイズによる位相雑音を低減することを特徴とする。
前記第1の制御電圧発生部及び第2の制御電圧発生部の出力端の電圧が同じ発生源から発生されれば、その信号線に重畳されるノイズの位相は同相となる。また、ノイズレベルも大きく変化しないで略同レベルとなる。従って、これらの制御電圧を可変容量素子の両端に印加すると、ノイズによる電位差が発生しないので、相対的なノイズレベルを低下することができる。
かかる発明によれば、温度補償制御電圧を可変容量素子の両端に印加するので、ノイズの位相が同相になってノイズによる電位差がゼロとなり、発振回路の位相雑音を低減することができる。
請求項3は、前記第1の制御電圧発生部及び第2の制御電圧発生部の出力端を前記可変容量素子の両端に印加することにより、前記可変容量素子の両端にはATカット水晶振動子の発振周波数偏差の近似3次関数に対し、温度変化に対して平行な2種類の温度補償電圧を含む5種類の直線温度補償電圧を発生することを特徴とする。
第1の制御電圧発生部からは、1種類の折れ線電圧と飽和電源電圧とグランド電圧の2種類の電圧を含めた3種類の電圧を発生し、第2の制御電圧発生部からは、2種類の折れ線電圧と飽和電源電圧の1/2の電圧を含めた3種類の電圧を発生し、全体として5種類の直線温度補償電圧を発生する。これらの電圧を可変容量素子の両端に印加すると、近似3次関数に近い電位差を発生する。それにより、可変容量素子の容量が変化して発振回路の負荷容量を変化させる。
かかる発明によれば、5種類の直線温度補償電圧を可変容量素子の両端に印加することで、近似3次関数に近い電位差を発生することができるので、簡易な回路構成により温度補償を実現することができ、コスト的にも安価に実現することができる。
請求項4は、前記可変容量素子はバラクタ、可変容量ダイオード若しくは、印加電圧により容量が可変する半導体デバイスを用いたことを特徴とする。
容量が外部の印加電圧により変化すれば可変容量素子として、可変容量ダイオード、接合型FETのゲート、ソース又はゲート、ドレイン容量、MOS型FETのゲート、ソース又はゲート、ドレイン容量、バイポーラトランジスタのベース、エミッタ容量、又はベース、コレクタ容量を用いても本発明の発振器を構成することができる。
かかる発明によれば、可変容量素子として可変容量ダイオードや印加電圧により容量が可変する半導体デバイスを用いることもできるので、回路構成に幅が拡がり、それに伴って回路特性のバリエーションが広くなる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
図1は本発明の実施形態に係る温度補償方式のブロック図である。この温度補償方式は、水晶振動子11を備えた水晶発振回路12と、両端の電位差により容量が変化する可変容量ダイオード14と、各回路をアイソレーションする高抵抗16〜22と、コンデンサ1、2、4、5と、周囲温度を検出する温度センサ部101と、温度センサ部101の電圧に基づいて温度補償電圧を発生する補償電圧発生回路102、103と、補償電圧発生回路102、103の基準となる電圧を供給する基準電圧発生部104とを備えて構成される。
図2は図1の温度補償方式の動作を説明する説明図である。本実施形態では、温度センサ出力のほぼ常温、即ち振動子温度特性の変曲点温度に設定する。図の▲2▼に示す補償電圧発生回路102は低温側(a点)から水晶振動子の周波数温度特性の低温側頂点温度を越えた温度(c点)まで約1/2Vccの一定電圧であり温度(c点)より高温側頂点の手前(d点)まで温度上昇と共に単調増加し、温度点dにて飽和電圧Vccに達する。補償電圧発生回路102の出力電圧を抵抗16、17で分圧され且つ抵抗18を介して可変容量ダイオード14のカソードに入力する。また図の▲3▼に示す補償電圧発生回路103は低温側(a点)より水晶振動子の周波数温度特性の低温側頂点温度の手前(b点)まで単調増加し、温度(b点)にて飽和電圧の約1/2Vccに達する。その後、温度(b点)から、高温側頂点を越えた(e点)まで継続、再度高温側(f点)まで単調増加し温度(f点)にて飽和電圧Vccに達する。補償電圧発生回路103の出力電圧は抵抗19、20、21から成る分圧回路にて分圧され、且つ抵抗22を介して可変容量ダイオード14のアノードに入力する。その結果図の▲4▼に示す可変容量ダイオード14のカソード、アノードの両端の電位差は、補償電圧発生回路102の出力電圧と補償電圧発生回路103の出力電圧の差に基づくものであるから、(a点)から(b点)まで単調減少して(b点)から(c点)の間で一定となり(c点)から(d点)まで増加して(d点)から(e点)の間で再度一定であり、(e点)から(f点)まで単調減少する。そして、このような制御電圧に基づく可変容量ダイオード14の端子間容量の制御によって、特性▲5▼のごとく周波数を変化させることができるので、この周波数変化と図の▲1▼に示す補償前の振動子11の周波数温度特性とが相殺し、図の▲6▼に示す補償操作後の発振周波数の温度特性が得られる。
【0008】
図3は本発明の温度補償方式の実施形態の一例を示す回路図である。図4は、図3の温度補償方式の実施回路定数を記した図である。前記図1のブロック図に示される温度センサ部101は、抵抗R1、R2、R3、R4、R5、ダイオードD1、演算増幅器IC1で構成され、温度変化に対するD1の順方向電位の変化(約−2mV/℃)を演算増幅器IC1により同相アンプして、出力端子(a)から温度検出信号を出力する。また補償電圧発生部102は抵抗R10、R11、演算増幅器IC2で構成され、可変容量ダイオード14のカソードに印加する温度補償電圧を発生する。補償電圧発生部103は抵抗R12、R13、演算増幅器IC3、及び抵抗R14、R15、演算増幅器IC4で構成され、可変容量ダイオード14のアノード入力の温度補償電圧を発生する。基準電圧発生部104は抵抗R6、R7、R8、R9で構成し、IC2、IC3、IC4の(+)入力の基準電圧を発生する。R7、R8の接続点電位は出力端子(a)に発生した電源電圧Vccのほぼ1/2とし、演算増幅器IC2の非反転入力端子(+)に入力する。温度センサ部101の出力信号はIC2の反転入力端子(−)に入力する。尚ほぼ常温時に、即ち振動子温度特性の変曲点温度で非反転入力端子(+)の電位と反転入力端子(−)の電位とが同電位となるように設定する。IC2の利得はR11/R10で与えられ、利得の設定は補償電圧発生回路102の出力が図2の低温側頂点から高温側シフトした点まで最低飽和電圧を維持、単調増加後高温側頂点より低温側へシフトした点で最大飽和電圧になり一定電圧を維持する傾斜となるように行う。IC2の出力端子(b)に発生した出力電圧と電源電圧Vccとの電圧差をR16とR17で分圧して得られた。分圧出力(e)は抵抗R18を介して可変容量ダイオードD2のカソードへ接続される。C4はパスコンデンサであり、C4とR16、R17でローパスフィルタを構成して高周波成分(ノイズ成分)をカットする。またR6とR7の接続点の電圧は、IC3の非反転入力端子(+)に入力する。反転入力端子(−)は出力端子(a)点に接続する。利得はR13/R12で与えられ、IC3の動作範囲で温度補償の最適な近似を与える傾斜に設定する。R8とR9の接続点の電圧は、IC4の(+)に入力する。(−)入力は(a)点に接続、利得はR15/R14で与えられ、IC4の動作範囲で温度補償の最適な近似を与える傾斜に設定する。IC3の出力とIC4の出力は抵抗R19とR20を経由して接続し、抵抗R22を介してGNDに接続分圧される。分圧出力(f)は抵抗R22を介して可変容量ダイオードD2のアノードに接続される。C5はパスコンデンサでありR19、R20、R21でローパスフィルタを構成しており高周波成分をカットする。また、D2のカソード、アノードはそれぞれC1、C2を介してXtalを含む発振回路の発振ループに入力される。
【0009】
図4に実施例回路例の1つとしてシミュレーション時の定数と、図1のブロック図との関係を示す。
補償電圧発生部101:R1、3、4=10kΩ、R2=6.5Ω、R5=可変調整、D1=1S953、IC1=TC75S51FU、
補償電圧発生部102:R10=10kΩ、R11=30kΩ、IC2=TC75S51FU、
補償電圧発生部103:R12=10kΩ、R13=140kΩ、IC3=TC75S51FU、R14=10kΩ、R15=140kΩ、IC4=TC75S51FU、
基準電圧発生部104:R6=9.6kΩ、R7=11.1kΩ、R8=11.3kΩ、R9=8kΩ、
R16、17、18、21、22=100kΩ、R19、20=200kΩ、D2=MA2S304、C3、4、5=0.1μF、Xtal=13MHz、γ=240、C0=1.35pF、Cp=40pF、Cs=35pF、Vcc=3.0V
図5は、図4の回路定数でのシミュレーション結果を示す図である。また本発明の温度補償方式の補償電圧発生部の各部の電圧変化を示す。温度センサ部101の出力(a)点の電圧変化、補償電圧発生部102(b)点の電圧変化、補償電圧発生部103(c)点(d)点の電圧変化を示す。Δt[℃]の0℃は振動子の変曲点温度で基準化しており、本実施例では変局点温度はΔt=28℃である。
この図から明らかなように、(a)点は0.02V/℃で単調減少、Δt=0℃で1.45Vを示す。この電圧はIC2の(+)入力である。(b)点はΔt=−25℃より、0Vから0.06V/℃で単調増加、Δt=26℃で飽和電圧3Vとなる。(c)点はΔt=−59℃より、0Vから0.14V/℃で単調増加、Δt=−36℃で飽和電圧3Vとなる。(d)点はΔt=37℃より、0Vから0.14V/℃で単調増加、Δt=59℃で飽和電圧3Vとなる。
【0010】
図6は本発明の変曲点温度を基準とする温度補償シミュレーション結果を示す図である。この図から明らかなように、(e)点は1.5V継続、Δt=−25℃より、0.03V/℃で単調増加、Δt=26℃で飽和電圧3Vとなる。(f)点はΔt=−59℃より、0Vから0.07V/℃で単調増加、Δt=−36℃で飽和電圧1.5VとなりΔt=37℃まで継続、再度0.07V/℃で単調増加、Δt=59℃で飽和電圧3Vとなる。D2のカソード、アノード間電位VD2は(e)点と(f)点の電位差で示され、Δt=−59℃で1.5Vより0.07V/℃で単調減少、Δt=−36℃で0V、Δt=−25℃より0.03V/℃で単調増加、Δt=26℃で1.5V、Δt=37℃より−0.07V/℃単調減少、Δt=59℃で0Vとなる。
図7は本発明の変曲点温度を基準とする温度補償特性と3次近似式シミュレーション結果を示す図である。可変容量ダイオードD2のカソード、アノード間の温度補償電圧による容量変化、並列容量Cp及び発振回路容量を含む直列容量Cs、振動子のパラメータγ、C0より発振周波数の温度補償量をシミュレーションした特性、さらに3次式近似シミュレーション結果を示す。この図から明らかなように、かなり良い3次式近似を得ている。
図8は温度補償のシミュレーション結果を示す図である。この図は振動子の温度特性を示し、更に上記温度補償特性と温度補償による周波数偏差を示す。図より周囲温度−30℃から+80℃の変化において発振周波数偏差±2ppmを得ることができる。これにより現在市場より要求されている一般的温度特性±2.5ppm@−20〜70℃を十分満足できる。
【0011】
【発明の効果】
以上記載のごとく請求項1の発明によれば、合成した時に近似3次関数的に変化する2種類の制御電圧を発生させ、その電圧を可変容量素子の両端に印加するので、可変容量素子の容量変化によりATカットによる水晶振動子の温度特性を正確に補正することができる。
また請求項2では、温度補償制御電圧を可変容量素子の両端に印加するので、ノイズの位相が同相になってノイズによる電位差がゼロとなり、発振回路の位相雑音を低減することができる。
また請求項3では、5種類の直線温度補償電圧を可変容量素子の両端に印加することで、近似3次関数に近い電位差を発生することができるので、簡易な回路構成により温度補償を実現することができ、コスト的にも安価に実現することができる。
また請求項4では、可変容量素子として可変容量ダイオードや印加電圧により容量が可変する半導体デバイスを用いることもできるので、回路構成に幅が拡がり、それに伴って回路特性のバリエーションが広くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る温度補償方式のブロック図である。
【図2】本発明の図1の温度補償方式の動作を説明する説明図である。
【図3】本発明の温度補償方式の実施形態の一例を示す回路図である。
【図4】本発明の図3の温度補償方式の実施回路定数を表す図である。
【図5】本発明の図4の回路定数でのシミュレーション結果を示す図である。
【図6】本発明の変曲点温度を基準とする温度補償シミュレーション結果を示す図である。
【図7】本発明の変曲点温度を基準とする温度補償特性と3次近似式シミュレーション結果を示す図である。
【図8】本発明の温度補償のシミュレーション結果を示す図である。
【図9】携帯電話に使用されている水晶振動子(At−Cut)の切断角度の違いによる温度特性を示す図である。
【図10】従来の直接温度補償方式の補償回路の1例を示す図である。
【図11】従来技術として特許第3253207号に開示されている温度補償水晶発振器のブロック図である。
【図12】従来の温度補償方式を説明するための図である。
【図13】従来の温度補償方式の電圧関数発生回路図である。
【図14】従来技術として実開昭61−95104号公報に開示されている温度補償水晶発振器のブロック図である。
【図15】従来の温度補償方式を説明するための図である。
【符号の説明】
1、2、4、5 コンデンサ、11 水晶振動子、12 水晶発振回路、14可変容量ダイオード、16〜22 高抵抗、101 温度センサ部、102、103 補償電圧発生回路、104 基準電圧発生部
Claims (4)
- 所定の周波数で励振される圧電素子を備えた圧電振動子と、該圧電素子に電流を流して励振させる発振用増幅器と、温度変化による発振周波数の変化を補償する周波数温度補償回路と、を備えた圧電発振器であって、
前記周波数温度補償回路は、周囲温度によりパラメータが変化する温度検出部と、該温度検出部により変化したパラメータに基づいて2種類の異なる電圧を発生する温度補償用電圧発生部と、所定の基準電圧を発生する基準電圧発生部と、前記温度補償用電圧発生部の出力電圧に基づいて容量が変化する可変容量素子と、を備え、
前記温度補償用電圧発生部は、前記圧電素子が有する温度特性の低温側の起点より前記低温側頂点を越えた点まで飽和電圧の略1/2の電圧を保持し、前記低温側頂点を越えた点より高温側頂点の手前まで単調増加し、前記高温側頂点の手前より前記飽和電圧により一定値となる電圧を連続的に発生する第1の制御電圧発生部と、前記圧電素子が有する温度特性の低温側の起点より前記低温側頂点の手前まで最低電圧から単調増加し、前記低温側頂点の手前より前記高温側頂点を越えた点まで前記飽和電圧の略1/2の電圧を保持し、前記高温側頂点を越えた点より前記高温側の終点まで単調増加して前記飽和電圧に達する電圧を連続的に発生する第2の制御電圧発生部とを備え、
前記第1の制御電圧発生部及び第2の制御電圧発生部の出力端を前記可変容量素子の両端に印加することにより、前記圧電発振器の負荷容量を変化させて前記圧電振動子の発振周波数の温度特性を補償することを特徴とする温度補償型圧電発振器。 - 前記第1の制御電圧発生部及び第2の制御電圧発生部の出力端のノイズを同レベルで且つ同相、若しくは異なるレベルで且つ同相になるようにしてノイズによる位相雑音を低減することを特徴とする請求項1に記載の温度補償型圧電発振器。
- 前記第1の制御電圧発生部及び第2の制御電圧発生部の出力端を前記可変容量素子の両端に印加することにより、前記可変容量素子の両端にはATカット水晶振動子の発振周波数偏差の近似3次関数に対し、温度変化に対して平行な2種類の温度補償電圧を含む5種類の直線温度補償電圧を発生することを特徴とする請求項1又は2に記載の温度補償型圧電発振器。
- 前記可変容量素子はバラクタ、可変容量ダイオード若しくは、印加電圧により容量が可変する半導体デバイスを用いたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の温度補償型圧電発振器。
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
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A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20060525 |
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A761 | Written withdrawal of application |
Effective date: 20070807 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 |