JP2004336373A - 温度補償型圧電発振器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】コルピッツ発振回路の発振用トランジスタQ1のベースからコンデンサC11を介してバラクタB1の正極端子とバラクタB2の負極端子の接続点に接続し、更に抵抗R5を介して温度補償用制御電圧発生回路2の基準電圧線3に接続する。またバラクタB1の負極端子から直列にコンデンサC14を接続し、その接続点から抵抗R6を介して温度補償用制御電圧発生回路2の低温制御電圧線4に接続する。コンデンサC14の他端は水晶振動子XとバラクタB2の正極端子に接続し、その接続点から抵抗R7を介して温度補償用制御電圧発生回路2の高温制御電圧線5に接続する。そして水晶振動子Xの他端は接地される。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水晶振動子等の圧電振動子を使用した圧電発振器に関し、特に簡単な回路構成によって周波数の温度補償が可能な温度補償発振器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、水晶振動子等の圧電振動子に対して発振回路、温度補償回路等を付加した圧電発振器では周波数安定度は勿論のこと、小型化、低価格化等の要求が厳しく、更には、通信方式のデジタル化が進むにつれて、従来問題とならなかった雑音比特性(C/N特性)の向上が望まれている。圧電発振器の出力周波数は種々の要因で変化するが、比較的周波数の安定度が高い水晶発振器においても、周囲温度、電源電圧及び出力負荷等の条件変化による周波数変動があり、これ等に対応する手段は種々のものが提案されている。例えば温度変化に関しては水晶発振器に温度補償回路を付加し、この温度補償水晶発振器(以下、TCXOと記す)の発振ループの負荷容量を変化させて、水晶振動子固有の温度−周波数特性変動を相殺するように前記負荷容量を温度変化に対して制御するものがあり、大きく分けて3つの補償方法がある。
【0003】
第1の補償方法は、図6に示すように、直接温度補償方式と称される方法であって、図のようにサーミスタとコンデンサから構成される補償回路を、水晶振動子Xと直列に接続することにより構成したものである。一般的に、補償回路は温度センサ(サーミスタ等)とコンデンサとを並列に接続したものを基本構成とする高温部補償回路と低温部補償回路を直列に接続したものであり、構成が単純で、小型化が容易であることから、携帯電話等の分野で広く用いられている。第2は図7に示すように、間接温度補償方式と称される方法であって、図のように可変容量ダイオードDを水晶振動子Xと直列に接続すると共に、補償回路を高周波阻止抵抗Rを介して可変容量ダイオードDの両端に接続したものである。この方法はサーミスタと抵抗とで構成される補償回路において発生する直流電圧を、前記高周波阻止抵抗Rを介して前記可変容量ダイオードDに加え、その回路の周波数変化量が水晶振動子Xの温度特性と逆特性になるようにすることにより、水晶発振器の温度特性を補償するものである。第3はデジタル型補償と称されている方法であって、図示を省略するが、第2の補償方法で示した補償回路を温度センサ、半導体メモリ、A/Dコンバータ、D/Aコンバータ等を用いてデジタル的に処理する補償方式である。これらTCXOにより、携帯電話等の通信端末機用の基準周波数源に要求されている周波数安定度(例えば温度範囲−25〜75℃で±2〜2.5ppm)が実現されている。また一方、AFC(自動周波数制御)や変調機能を持たせるために、可変容量素子を発振ループ中に備えたものも多用されており、上述した間接型TCXOやデジタル型TCXOにおいては、この可変容量素子を温度補償に流用するものも知られている。
【0004】
また雑音比特性(C/N特性)を改善した従来例として、特開平11−251836号公報には、制御電圧発生回路から水晶発振回路へ伝達される雑音成分を除去して、位相雑音の少ない温度補償型発振器について開示されている。それによると、温度検出回路と、制御電圧発生回路と、周波数調整回路と、発振回路を備え、温度補償型発振器においては制御電圧発生回路から周波数調整回路を介して発振回路へ伝達される雑音成分が発振回路の発振出力の位相雑音を増加させるので、制御電圧発生回路と周波数調整回路の間にローパスフィルタを入れて、制御電圧発生回路から周波数調整回路へ伝達される雑音成分を除去するとしている。
【特許文献1】特開平11−251836号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の温度補償発振器は何れも以下の欠点を有していた。即ち、サーミスタと容量素子との並列回路により温度補償を行う直接温度補償方式では、回路が簡単であるという特徴はあるが、サーミスタの抵抗値が発振ループに挿入されることになるので、本来水晶振動子が有する高いQがそのまま維持されず、雑音抑圧の能力が低下することになる。また、温度によってサーミスタの抵抗値が変化するため発振出力レベルが大幅に変動する問題がある。従来このレベル変動を防止するために、発振用増幅器のトランジスタのコレクタに抵抗素子を挿入するように変形したコレクタ接地回路とすることによって、発振振幅値を飽和させ、これにより、出力レベルの変動を抑圧していた。しかし、このような回路方式では、コレクタ抵抗の存在によって実際にトランジスタに供給される電源電圧が減少することから低電圧化に限界があり、また、低消費電流化への妨げとなっていた。
また、間接温度補償方式では、回路構成が複雑であることから低価格化に限界があり、直接温度補償方式の出現と共に、一部の分野にしか使用されなくなった。しかも、高感度の可変容量を必要とすることから、必然的に雑音混入が避けられず、低雑音化の要求に対して十分対応しきれるものではない。即ち、間接温度補方式は、ATカット水晶振動子等の3次曲線の周波数変化を補償するために、温度変化に対して3次曲線的に変化する制御電圧信号を、発振ループ中に挿入した高感度の可変容量ダイオード等に印加するものであるが、この制御電圧信号に重畳した種々雑音が、そのまま発振信号に混入し、C/N特性の低下をもたらせていた。
また特許文献1は、温度補償制御電圧を発振回路のバラクタに印加して、温度補償する方式において、制御電圧から発生するノイズをローパスフィルタにより除去して絶対ノイズを低減することで位相雑音の改善をおこなうものではあるが、フィルタによるノイズの除去能力には限界があり、C/N特性の改善策としては不十分であった。
本発明は、かかる課題に鑑み、可変容量素子の容量特性の非線形部分を積極的に利用して温度補償を行うことにより、補償回路構成を簡素化し、水晶発振器の小型化を図ると共に、前記可変容量素子に印加する制御電圧のノイズレベルと位相を同相にすることにより、ノイズによる位相雑音劣化を減少する温度補償型圧電発振器を提供することを目的する。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明はかかる課題を解決するために、請求項1は、所定の周波数で励振される圧電素子を備えた圧電振動子と、該圧電素子に電流を流して励振させる発振用増幅器と、温度変化による発振周波数の変化を補償する周波数温度補償回路と、を備えた圧電発振器であって、前記周波数温度補償回路は、周囲温度によりパラメータが変化する温度検出部と、該温度検出部により変化したパラメータに基づいて電圧を発生する温度補償用電圧発生部と、該温度補償用電圧発生部の出力電圧に基づいて容量が変化する複数の可変容量素子と、を備え、前記温度補償用電圧発生部は、所定の電位を有する基準電圧を発生する基準制御電圧発生部と、前記圧電素子の温度特性の常温を中心として低温側の温度特性を補償する電圧を発生する低温制御電圧発生部と、高温側の温度特性を補償する電圧を発生する高温制御電圧発生部と、を備え、前記複数の可変容量素子の夫々の両端に印加する前記各制御電圧発生部のノイズを同レベルで且つ同相、若しくは異なるレベルで且つ同相になるようにしたことを特徴とする。
基本的に温度補償回路は、周囲温度を検出する温度検出部と、例えば温度検出部がサーミスタにより構成されていれば、抵抗分圧により電圧変化として取り出し、その電圧変化に基づいて常温より低い温度範囲で電圧が上昇するように制御する低温制御電圧発生部と、逆に常温より高い温度範囲で電圧が上昇するように制御する高温制御電圧発生部とがある。これらの電圧が同じ発生源から発生されれば、その信号線に重畳されるノイズの位相は同相となる。また、ノイズレベルも大きく変化しないで略同レベルとなる。従って、これらの制御電圧を可変容量素子の両端に印加すると、ノイズによる電位差が発生しないので、相対的なノイズレベルを低下することができる。
かかる発明によれば、温度補償制御電圧を可変容量素子の両端に印加するので、ノイズの位相が同相になってノイズによる電位差がゼロとなり、発振回路の位相雑音を低減することができる。
なお、本明細書において、圧電素子とは、圧電基板の主面に励振電極、リード端子を形成した素子を指称し、圧電振動子とは、この圧電素子自体、或いは圧電素子を気密封止した電子部品を指称する。
【0007】
請求項2は、前記複数の可変容量素子は、前記圧電素子の温度特性の常温を中心として低温側の温度特性を補償する低温部補償用可変容量素子と、高温側の温度特性を補償する高温部補償用可変容量素子であり、前記低温部補償用可変容量素子は前記常温近傍及びそれ以下の温度において、前記圧電発振器の負荷容量が減少するように前記温度補償用電圧発生手段により制御されると共に、前記高温部補償用可変容量ダイオードは前記常温近傍及びそれ以上の温度において、前記圧電発振器の負荷容量が増加するように前記温度補償用電圧発生手段により制御されることを特徴とする。
可変容量素子例えば、MOSバラクタの特性は、印加電圧の上昇と共に非線形に容量値が増加する特性を持っている。従って、常温を基準として低温側に対しては温度が低下すると出力電圧が上昇し、高温側に対しては温度が上昇すると出力電圧が上昇するようにして、その電圧をMOSバラクタに印加すれば、常温を基準として温度が低下すれば容量が減少して周波数を高めるように働き、逆に常温を基準として温度が上昇すれば容量が増加して周波数を低めるように働く。
かかる発明によれば、可変容量素子を周波数温度補償回路に組み込むことにより、温度変化を電圧変化として可変容量素子に印加するので、水晶振動子の温度特性をより細かく補償することができる。
【0008】
請求項3は、前記低温部補償用可変容量素子と前記高温部補償用可変容量素子とを極性を異なるように並列接続した並列回路を、前記発振器の発振ループに挿入し、前記低温部補償用可変容量素子と高温部補償用可変容量素子との接続点に前記基準制御電圧発生部の出力端を抵抗を介して接続し、前記低温部補償用可変容量素子の他端に前記低温制御電圧発生部の出力端を抵抗を介して接続すると共に、前記高温部補償用可変容量素子の他端に前記高温制御電圧発生部の出力端を抵抗を介して接続することにより、ノイズによる位相雑音を低減することを特徴とする。
温度補償の基本は、発振ループ内に可変容量素子を挿入し、その可変容量素子の素子容量が温度によって変化するようにし、その容量変化が発振ループの負荷容量の一部として働くようにすることである。本発明の可変容量素子は、低温側を補償するものと、高温側を補償するものを2つ用意して、夫々の極性を逆にして並列に接続する。
かかる発明によれば、可変容量素子に低温側を補償するものと、高温側を補償するものを2つ用意して、夫々の極性を逆にして並列に接続するので、低温側と高温側の制御電圧を常温を基準として対照的に構成することができ、回路構成が簡略化される。
【0009】
請求項4は、前記低温部補償用可変容量素子と前記高温部補償用可変容量素子とを極性を異なるように並列接続した並列回路の何れか一方の可変容量素子に直列に容量素子を接続し、前記低温制御電圧発生部の出力電圧と前記高温制御電圧発生部の出力電圧を直流的に分離することを特徴とする。
低温側と高温側何れかの可変容量素子に直列に固定容量素子を接続することにより、高温側の電圧と低温側の電圧を直流的にカットする役目を持たせることができる。
かかる発明によれば、基準電圧に対して低温側と高温側の電圧を直流的にカットして個別に印加できるので、温度変化に対して正確な制御電圧を印加することができる。
請求項5は、前記可変容量素子はバラクタ、可変容量ダイオード若しくは、印加電圧により容量が可変する半導体デバイスを用いたことを特徴とする。
容量が外部の印加電圧により変化すれば可変容量素子として、可変容量ダイオード、接合型FETのゲート・ソース又はゲート・ドレイン容量、MOS型FETのゲート・ソース又はゲート・ドレイン容量、バイポーラトランジスタのベース・エミッタ容量、又はベース・コレクタ容量を用いても本発明の発振器を構成することができる。
かかる発明によれば、可変容量素子として可変容量ダイオードや印加電圧により容量が可変する半導体デバイスを用いることもできるので、回路構成に幅が拡がり、それに伴って回路特性のバリエーションが広くなる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
まず本発明の実施形態を説明する前に、温度補償回路の主たる構成要素であるMOSバラクタについて説明しておく。図1は、可変容量素子のMOSバラクタに印加する電圧と可変容量との一般的な関係を表す図であり、縦軸に可変容量値(C)、横軸に印加電圧値(端子間電圧値)(VC)を表す。印加電圧値(VC)を直線的に変化させると、可変容量値(C)は図のように非線形に変化する(特性10)。つまり、印加電圧値0Vを中間としてプラス電位側及びマイナス電位値にそれぞれ非線形に変化する特性となり、VCがマイナス電位となると可変容量値(C)が減少して所定の電位から略一定の容量値となり、電圧変化に対して容量変化がほとんど無くなる。また、VCがプラス電位となると、可変容量値(C)が増加して所定の電位から略一定の容量値となり、電圧変化に対して容量変化がほとんど無くなる。そして、本発明に基づく水晶発振器は、後述するようにこのようなMOSバラクタの印加電圧と容量の関係(非線形特性)を利用して水晶振動子の温度補償を行ったものである。
図2は本発明の一実施形態に係る温度補償型水晶発振器の回路図である。この温度補償型水晶発振器は、発振用トランジスタQ1のベース・接地間にコンデンサC11を介して負荷容量の一部となるコンデンサC12とコンデンサC13との直列回路を挿入接続し、この直列回路の接続中点と発振用トランジスタQ1のエミッタとを接続し、更に接続中点と接地間との間にエミッタ抵抗R2を挿入接続する。更に、発振用トランジスタQ1のベースに抵抗R3及び抵抗R4とから成るベースバイアス回路を接続する。またコンデンサC11とコンデンサC12の接続点からMOSバラクタB1(以下、バラクタB1と称す)の正極端子とMOSバラクタB2(以下、バラクタB2と称す)の負極端子の接続点に接続し、更に抵抗R5を介して温度補償用制御電圧発生回路2の基準電圧線3に接続する。またバラクタB1の負極端子から直列にコンデンサC14を接続し、その接続点から抵抗R6を介して温度補償用制御電圧発生回路2の低温制御電圧線4に接続する。コンデンサC14の他端は水晶振動子XとバラクタB2の正極端子に接続し、その接続点から抵抗R7を介して温度補償用制御電圧発生回路2の高温制御電圧線5に接続する。そして水晶振動子Xの他端は接地される。また、温度補償用制御電圧発生回路2には、温度検出回路1が接続されている。
【0011】
次に図2の温度補償型水晶発振器の動作を図3及び図4を参照して説明する。
図3は、バラクタB1、バラクタB2に印加される制御電圧と周囲温度との関係を表す図であり、縦軸に制御電圧、横軸に周囲温度を表す。尚、以下の説明に於いて、図1、図2と同じ構成要素には同じ参照番号が付されている。本実施形態では説明を簡単にするために、常温を+25℃として、常温を中心に低温側−30℃、高温側+80℃として同一幅の温度変化をするものとする。まず、温度補償用制御電圧発生回路2の基準電圧線3には、温度に関係なく一定電圧値Vcの制御電圧30が出力されている。また温度補償用制御電圧発生回路2の低温制御電圧線4には、温度が−30℃のときに制御電圧が所望の正極性値を有するVmであり、更に、+25℃で制御電圧が0Vになるように温度変化に対して直線的に変化する制御電圧40が発生し、制御電圧30と制御電圧40とが交差する温度をPとする。また温度補償用制御電圧発生回路2の高温制御電圧線5には、温度が+25℃のとき制御電圧が0Vで、温度が+80℃のときに制御電圧がVmになるように直線的に変化する制御電圧50が発生し、制御電圧30と制御電圧50とが交差する温度をQとする。ここで、電圧Vmと一定電圧Vcとの電位差をVaとする。そしてバラクタB1は正極端子15に制御電圧30が印加され、負極端子13には制御電圧40が印加される。またバラクタB2は負極端子16に制御電圧30が印加され、正極端子14には制御電圧50が印加される。このように、低温制御電圧線4には、−30℃から+25℃までは制御電圧40のように直線変化し、+25℃以上は0Vを維持するような制御電圧が発生する。また高温制御電圧線5には、−30℃から+25℃までは0Vを維持し、+25℃から+80℃までは制御電圧50のように変化するような制御電圧が発生する。
【0012】
図4は、バラクタB1、及びバラクタB2の端子間電圧とバラクタB1、バラクタB2の容量値との関係を表す図であり、周囲温度との関係と併せて表している。縦軸はバラクタB1、バラクタB2の容量値を表し、横軸は制御電圧と、制御電圧に対応する周囲温度を表す。この図は図3と対応して参照するとわかり易い。つまり、図3で周囲温度が−30℃から高温側へ変化したときに、バラクタB1の端子15の電位は、−30℃〜Pの間では端子13の電位を基準にしてマイナス電位であり−30℃で−Va、P点で0Vとなる。そして、P〜+25℃の間では、端子13の電位がVcより低電位となるので、端子13の電位を基準とした端子15の電位は、プラス電位となり+25℃以上で+Vcとなる。このように制御電圧40が電圧Vmから0Vまで変化することによりバラクタB1の端子間電位が−Vaから+Vcまで制御されるので、バラクタB1の容量が図4の曲線11のように変化する。ここで制御電圧が−Vaのときの容量をCb、0のときをC0、+VcのときをCaとする。
同じく、図3で周囲温度が+25℃から+80℃に変化したときに、+25℃〜Qまでの間ではバラクタB2の端子14の電位は端子16の電位を基準としてマイナス電位となり+25℃で−Vcとなる。そしてQ点で0Vとなる。そして、Q〜+80℃の間では端子14の電位がVcより高電位となるので、端子13の電位を基準とした端子14の電位は、プラス電位となり+80℃で+Vaとなる。このように制御電圧50が電圧0VからVmまで変化することにより、バラクタB2の端子間電位が、−Vcから+Vaまで制御されるのでバラクタB2の容量が図4の曲線12のように変化する。ここで制御電圧が−Vcのときの容量をCb、0VのときをC0、+VaのときをCaとする。
以上の動作により、図2の回路により本実施形態の発振回路が温度補償されることを説明する。バラクタB1は直流カット用のコンデンサC14と直列に接続されているため、常温での合成容量CB1はバラクタB1の容量をCb1とすると、CB1=Cb1×C14/(Cb1+C14)となる。ここでバラクタB1の感度を高めるにはC14の値をCb1に比べて大きくする必要がある。仮にC14の値がCb1に比べて十分に大きければ、CB1=Cb1となる。ここではCB1=Cb1であることを前提に説明する。例えば、常温(+25℃)のとき、図3から低温制御電圧線4に発生した0Vの電圧が、抵抗R6を介してバラクタB1の負極端子に印加される。また、高温制御電圧線5には同じく0Vの電圧が発生し、抵抗R7を介してバラクタB2の正極端子に印加されている。このときバラクタB1とバラクタB2の接続点には、基準電圧線3から基準電圧Vcが印加されている。従って、図4から明らかなように、常温(+25℃)のときは、バラクタB1の容量はCaであり、バラクタB2の容量はCbとなり、発振ループ(補償回路)の負荷容量はCa+Cbとなる。
【0013】
次に低温側の動作について説明する。例えば、周囲温度が−30℃の場合、図3から図2の低温制御電圧線4にはVmの電圧が発生し、抵抗R6を介してバラクタB1の負極端子に印加されている。また、高温制御電圧線5には0Vの電圧が発生し、抵抗R7を介してバラクタB2の正極端子に印加されている。このときバラクタB1とバラクタB2の接続点には、基準電圧線3から基準電圧Vcが印加されている。従って、図4から明らかなように、−30℃のときは、バラクタB1の容量はCbであり、バラクタB2の容量もCbとなり、発振ループの負荷容量は2Cbとなる。つまり、全体の負荷容量が減少するため発振周波数は高くなり、低温時の発振周波数の低下を補正することができる。そして、−30℃から温度が上昇すると、図4の曲線11のように容量が増加して、それに伴って発振ループの負荷容量も増加して発振周波数は徐々に低下する。
次に高温側の動作について説明する。例えば、周囲温度が+80℃の場合、図3から図2の低温制御電圧線4に発生した0Vの電圧が、抵抗R6を介してバラクタB1の負極端子に印加される。また、高温制御電圧線5にはVmの電圧が発生し、抵抗R7を介してバラクタB2の正極端子に印加されている。このときバラクタB1とバラクタB2の接続点には、基準電圧線3から基準電圧Vcが印加されている。従って、図4から明らかなように、+80℃のときは、バラクタB1の容量はCaであり、バラクタB2の容量もCaとなり、発振ループ(補償回路)の負荷容量は2Caとなる。つまり、全体の負荷容量が増加するため発振周波数は低くなり、高温時の発振周波数の上昇を補正することができる。そして、+80℃から温度が下降すると、図4の曲線12のように容量が減少して、それに伴って発振ループの負荷容量も減少して発振周波数は徐々に上昇する。
【0014】
図5は、本発明の発振回路の1kHzでの位相雑音特性を表す図である。この図では比較のためにMOSバラクタを使用した従来の発振器の特性と併せて表している。縦軸に位相雑音C/N(dBc/Hz)を表し、横軸に温度を表す。この図から明らかなように、従来の発振器の特性20は、常温(+25℃)を中心として低温側と高温側で位相雑音のレベルが上昇し、常温(R点)で最小値を示している。この理由は、温度が高温、低温部の両側になるほど、MOSバラクタの容量変化が大きい領域を使うため、周波数可変感度が大きくなっていき、その分、位相雑音が劣化するためである。これに対して本発明に基づく発振器では、図2のように温度補償用制御電圧発生回路2から出力される基準電圧線3、低温制御電圧線4、及び高温制御電圧線5の電圧の位相を同じにすることにより、各線に重畳するノイズの位相も同じになる。従って、例えばバラクタB1の両端に接続された基準電圧線3と低温制御電圧線4に同相のノイズが重畳した場合、もしノイズのレベルが同じであれば電位差として現れないので、次段の発振回路には位相雑音として現れることは無くなる。このように、温度が高温、低温部の両側のMOSバラクタの変化領域を使用して周波数可変感度が大きくなっても、位相雑音の劣化を低減することができる(特性21)。
尚、本発明では可変容量素子としてバラクタを例にとり説明したが、容量が外部の印加電圧により変化すれば、可変容量ダイオード、接合型FETのゲート・ソース又はゲート・ドレイン容量、MOS型FETのゲート・ソース又はゲート・ドレイン容量、バイポーラトランジスタのベース・エミッタ容量、又はベース・コレクタ容量を用いても本発明の発振器を構成することができる。
【0015】
【発明の効果】
以上記載のごとく請求項1の発明によれば、温度補償制御電圧を可変容量素子の両端に印加するので、ノイズの位相が同相になってノイズによる電位差がゼロとなり、発振回路の位相雑音を低減することができる。
また請求項2では、可変容量素子を周波数温度補償回路に組み込むことにより、温度変化を電圧変化として可変容量素子に印加するので、水晶振動子の温度特性をより細かく補償することができる。
また請求項3では、可変容量素子に低温側を補償するものと、高温側を補償するものを2つ用意して、夫々の極性を逆にして並列に接続するので、低温側と高温側の制御電圧を常温を基準として対照的に構成することができ、回路構成が簡略化される。
また請求項4では、基準電圧に対して低温側と高温側の電圧を直流的にカットして個別に印加できるので、温度変化に対して正確な制御電圧を印加することができる。
また請求項5では、可変容量素子として可変容量ダイオードや印加電圧により容量が可変する半導体デバイスを用いることもできるので、回路構成に幅が拡がり、それに伴って回路特性のバリエーションが広くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の可変容量素子のMOSバラクタと可変容量の関係を表す図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る温度補償型水晶発振器の回路図である。
【図3】本発明のバラクタB1、バラクタB2に印加される制御電圧と周囲温度との関係を表す図である。
【図4】本発明の可変容量とバラクタB1、バラクタB2に印加される制御電圧との関係を表す図である。
【図5】本発明の発振回路の1KHzでの位相雑音特性を表す図である。
【図6】従来のサーミスタによる温度補償回路の部分回路図である。
【図7】従来の可変容量素子による温度補償回路の部分回路図である。
【符号の説明】
1 温度検出回路、2 温度補償用制御電圧発生回路、B1、B2 バラクタ、X 水晶振動子
Claims (5)
- 所定の周波数で励振される圧電素子を備えた圧電振動子と、該圧電素子に電流を流して励振させる発振用増幅器と、温度変化による発振周波数の変化を補償する周波数温度補償回路と、を備えた圧電発振器であって、
前記周波数温度補償回路は、周囲温度によりパラメータが変化する温度検出部と、該温度検出部により変化したパラメータに基づいて電圧を発生する温度補償用電圧発生部と、該温度補償用電圧発生部の出力電圧に基づいて容量が変化する複数の可変容量素子と、を備え、
前記温度補償用電圧発生部は、所定の電位を有する基準電圧を発生する基準制御電圧発生部と、前記圧電素子の温度特性の常温を中心として低温側の温度特性を補償する電圧を発生する低温制御電圧発生部と、高温側の温度特性を補償する電圧を発生する高温制御電圧発生部と、を備え、
前記複数の可変容量素子の夫々の両端に印加する前記各制御電圧発生部のノイズを同相になるようにしたことを特徴とする温度補償型圧電発振器。 - 前記複数の可変容量素子は、前記圧電素子の温度特性の常温を中心として低温側の温度特性を補償する低温部補償用可変容量素子と、高温側の温度特性を補償する高温部補償用可変容量素子であり、前記低温部補償用可変容量素子は前記常温近傍及びそれ以下の温度において、前記圧電発振器の負荷容量が減少するように前記温度補償用電圧発生手段により制御されると共に、前記高温部補償用可変容量ダイオードは前記常温近傍及びそれ以上の温度において、前記圧電発振器の負荷容量が増加するように前記温度補償用電圧発生手段により制御されることを特徴とする請求項1に記載の温度補償型圧電発振器。
- 前記低温部補償用可変容量素子と前記高温部補償用可変容量素子とを極性を異なるように並列接続した並列回路を、前記発振器の発振ループに挿入し、前記低温部補償用可変容量素子と高温部補償用可変容量素子との接続点に前記基準制御電圧発生部の出力端を抵抗を介して接続し、前記低温部補償用可変容量素子の他端に前記低温制御電圧発生部の出力端を抵抗を介して接続すると共に、前記高温部補償用可変容量素子の他端に前記高温制御電圧発生部の出力端を抵抗を介して接続することにより、ノイズによる位相雑音を低減することを特徴とする請求項1又は2に記載の温度補償型圧電発振器。
- 前記低温部補償用可変容量素子と前記高温部補償用可変容量素子とを極性を異なるように並列接続した並列回路の何れか一方の可変容量素子に直列に容量素子を接続し、前記低温制御電圧発生部の出力電圧と前記高温制御電圧発生部の出力電圧を直流的に分離することを特徴とする請求項3に記載の温度補償型圧電発振器。
- 前記可変容量素子はバラクタ、可変容量ダイオード若しくは、印加電圧により容量が可変する半導体デバイスを用いたことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の温度補償型圧電発振器。
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