JP2004266820A - 圧電発振回路 - Google Patents

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Abstract

【課題】 安価でかつ実用的な回路構成により、温度補償を行う圧電発振回路を提供する。
【解決手段】 インバータ11の両端に並列に接続された帰還抵抗13により反転増幅回路を構成し、この反転増幅回路の入出力端に水晶振動子14が接続されており、これにより構成される発振回路と基準電位の間に固定の負荷容量を与えるために、発振用のコンデンサ15,16が接続されている。またインバータの出力端子側と接地端子間であって、コンデンサ16に並列にダイオード17が接続されている。ダイオード17は一般整流用のダイオードを用い、電流の流れに対し逆方向になるよう、アノード側を接地端子と接続している。
【選択図】 図1

Description

本発明は携帯電話等の通信機器あるいは電子機器等に用いられる圧電発振器等の圧電発振回路に関するものであり、特に低コストで簡便な温度補償を行う圧電発振回路に関するものである。
圧電発振器は、安定して精度の高い発振周波数を得ることができるため、電子機器等の基準周波数源として多種の分野で使用されている。ここで用いる圧電振動子はATカット水晶振動子を用いることが多い。ATカット水晶振動子は周知のとおりその周波数温度特性が3次曲線で表される特性を有しており、高温側では公称周波数に対し漸次周波数が高くなる特性を示し、低温側では公称周波数に対し漸次周波数が低くなる特性を示す。またこの圧電振動子を用いた圧電発振器も同様の周波数温度特性を示す。このような温度変化に対する周波数変化をできるだけ抑制するために、各種の温度補償回路が考えられ、実用に供されている。例えば実公平4−41606号においては水晶発振回路に直接補償型の温度補償回路を接続して、周波数変化を抑制し温度補償している。具体的には実公平4−41606号の従来例1で開示されているように、サーミスタとコンデンサの組み合わせによる温度補償回路を低温側、高温側に分けて形成したり、あるいは実公平4−41606号の実施例に開示されているように、負の1次温度係数を持つ温度補償コンデンサと、サーミスタとコンデンサが並列に形成された高温側補償回路を水晶振動子に対して直列に接続している。このような構成により、低温から高温までの比較的広い温度範囲において温度補償された水晶発振回路を得ることができる。
しかしながらこのような構成においては、補償回路を構成する部品点数が多くなること、あるいは温度補償用コンデンサのように汎用されていない特殊設計品の部品を用いることが必要となり、補償回路全体のコストが高くなるという問題点があった。
ところで、圧電発振回路を構成する場合、圧電振動子と発振回路を一体的に格納した圧電発振器を用いる場合と、例えば顧客側が発振回路の形成された実装基板を用意し、当該実装基板上の発振回路に合致した特性の圧電振動子を搭載することにより圧電発振回路を構成する場合がある。しかしながら後者の場合、各構成部品の周波数温度特性を十分に考慮した設計を行っていても、負荷容量の変動等により圧電振動子の実装後、所望の特性から外れることがあった。このような場合において複雑な温度補償回路は必要ないが、例えば高温領域等の特定の温度範囲においてのみ温度補償する等簡便な構成で温度補償をする構成が求められ、また安価な構成が要求されることがあった。
実公平4−41606号公報
本発明は上記問題点を解決するためになされたもので、安価でかつ実用的な回路構成により、温度補償を行うことを特徴とする圧電発振回路を提供することを目的としている。
本発明による圧電発振回路は温度補償素子としてダイオードを用いたものである。具体的構成としてはコルピッツ型のトランジスタ圧電発振回路に温度補償素子としてダイオードを用いた構成であり、請求項1に示すように、トランジスタと、前記トランジスタのコレクタに電源を供給する電源端子と、前記トランジスタのエミッタに接続された出力端子と、前記トランジスタのベースに接続された水晶振動子と、前記トランジスタのベースとコレクタ間に接続して発振器のバイアスを形成する抵抗と、前記トランジスタのベースと接地端子間に接続して発振器のバイアスを形成する抵抗と、前記トランジスタのエミッタと接地端子間に接続したダイオードと、前記トランジスタのエミッタとベース間に接続して帰還回路を形成するコンデンサと、を具備したことを特徴としている。
ダイオード、例えばシリコンダイオードは温度上昇とともに抵抗が下がるという特性を有しており、これを容量としてみた場合容量は増す方向に動作する。請求項1によれば、圧電発振回路の環境温度が上昇した場合、ダイオードの容量成分が増加するという特性を用いて、圧電発振回路において周波数決定定数である容量値を大きくし、これにより高温側の周波数上昇を抑制し、温度補償を行うことができる。また、逆に圧電発振回路の環境温度が低下した場合、ダイオードの容量成分が減少するという特性も有している。従って上記高温側とは反対の作用により低温側においては、周波数低下を抑制し、温度補償することができる。 なお、本発明で用いるダイオードは汎用品を適用すればよく、何ら特別な定数設定等が求められるものではない。従って安価なものを適用することができる。
また本発明はインバータを用いた圧電発振回路に適用してもよく、請求項2に示すように、インバータと、前記インバータの入力端子と出力端子間に各々並列に接続された圧電振動子および帰還抵抗と、当該インバータの入力端子と出力端子それぞれと接地端子間に接続された各々のコンデンサと、前記コンデンサの一方または両方に対し並列に、かつアノード側が接地端子と接続されるよう配置されたダイオードと、を具備してなる圧電発振回路であってもよい。
請求項2においても同様に、圧電発振回路の環境温度が上昇した場合、ダイオードの容量成分が増加するという特性を用いて、圧電発振回路において周波数決定定数である容量値を大きくし、これにより高温側の周波数上昇を抑制し、温度補償を行うことができる。また、逆に圧電発振回路の環境温度が低下した場合、ダイオードの容量成分が減少するという特性を用いて、上記高温側とは反対の作用により、低温側においては周波数低下を抑制し温度補償することができる。
次に本発明品と従来品の比較データを示す。図2は圧電発振回路に温度補償素子としてダイオードを用いた場合(本発明品)と、ダイオードを用いない場合(従来品)との比較データを示す。なお、図2において本発明品は■印でプロットし、かつ実線で表示しており、また従来品は▲印でプロットし、かつ点線で表示している。比較に用いた圧電発振回路は図1に示す構成であり、インバータを用い、インバータに帰還抵抗を並列接続した反転増幅回路の入出力端に水晶振動子が接続されている。水晶振動子はその周波数が32MHzのATカット水晶振動子を用い、また各々10pFの発振用のコンデンサ15,16を用いている。図2から、従来品(点線表示)においては周囲温度が60℃以上になると周波数偏差がかなり大きくなり、80℃では約20ppm周波数変動しているのに対し、本発明品(実線表示)においては、高温環境下でも周波数偏差が大きく抑制され、ゆるやかな変動にとどまっていることが理解できる。また低温側においても−40℃になると周波数低下を抑制し、温度補償の効果を得ていることが理解できる。
次に本発明品と従来品の比較データの他の例を示す。図5は圧電発振回路に温度補償素子としてダイオードを用いた場合と、ダイオードを用いない場合(従来品)との比較データを示す。なお、図5において本発明品は■印でプロットし、かつ実線で表示しており、また従来品は▲印でプロットし、かつ点線で表示している。比較に用いた圧電発振回路は図4に示す構成であり、ダイオードをインバータの入力側と出力側に設けた構成であり、インバータに帰還抵抗を並列接続した反転増幅回路の入出力端に水晶振動子が接続されている。水晶振動子はその周波数が20MHzのATカット水晶振動子を用い、また各々10pFの発振用のコンデンサ15,16を用いている。
図5から、従来品(点線表示)においては周囲温度が60℃以上になると周波数偏差がかなり大きくなり、80℃では数10ppm周波数変動しているのに対し、本発明品(実線表示)においては、高温環境下でも周波数偏差が大きく抑制され、ゆるやかな変動にとどまっていることが理解できる。また低温側においても従来品(点線表示)においては周囲温度が−10℃以上になると周波数偏差がかなり大きくなり、−40℃では30ppm周波数変動しているのに対し、本発明品(実線表示)においては、−40℃でも10数ppm程度の周波数偏差に収まっており、低温環境下でも周波数偏差が大きく抑制され、ゆるやかな変動にとどまっていることが理解できる。
さらに請求項1または2記載の圧電発振回路において、前記ダイオードに代えて抵抗値1MΩ以上の高抵抗を用いてもよい。1MΩ以上の高抵抗を当該位置に配置することにより、実用的な容量成分を確保することができる。また抵抗は周知のとおり、温度上昇に伴いその抵抗値が低下するとともに、容量成分は増加するという特性を有している。これにより圧電発振回路としては周波数決定定数である容量値が大きくなり、よって高温側の周波数上昇を抑制し、温度補償を行うことができる。また、逆に圧電発振回路の環境温度が低下した場合、抵抗値の容量成分が減少するという特性も有している。従って上記高温側とは反対の作用により低温側においては、周波数低下を抑制し、温度補償することができる。
なお、当該高抵抗の抵抗値は10MΩまでが好ましく、これ以上になると汎用品の範疇から離れた特別仕様品になる可能性が高く、コスト高になる。
本発明によれば、汎用のダイオードを用いることにより、周囲温度上昇時に圧電発振回路において周波数決定定数である容量値を大きくし、これにより高温側の周波数上昇を抑制し、温度補償を行うことができる。また、逆に圧電発振回路の環境温度が低下した場合、ダイオードの容量成分が減少するという特性も有している。従って上記高温側とは反対の作用により低温側においては、周波数低下を抑制し、温度補償することができる。従って、安価でかつ実用的な回路構成により、温度補償を行う圧電発振回路を得ることができる。
本発明の実施の形態を水晶発振回路を例にとり図1とともに説明する。図1は本発明の実施形態を示す水晶発振回路を示す図である。インバータ11はCMOSインバータを用い、インバータ11の両端に並列に接続された帰還抵抗13により反転増幅回路を構成している。当該帰還抵抗13は基本波発振回路に用いる場合は、500KΩ〜1MΩの高抵抗を用いている。またこの反転増幅回路の入出力端に水晶振動子14が接続されており、これにより構成される発振回路と基準電位の間に固定の負荷容量を与えるために、発振用のコンデンサ15,16が接続されている。コンデンサ15は各々インバータの入力側と接地端子間、コンデンサ16は出力端子側と接地端子間に接続され、発振回路の発振条件を設定している。またインバータ11の出力端子側と接地端子間であって、コンデンサ16に並列にダイオード17が接続されている。ダイオード17は一般整流用のダイオードを用い、電流の流れに対し逆方向になるよう、アノード側を接地端子と接続している。
上記構成により、圧電発振回路の周囲温度が上昇した際、ダイオードの容量成分が増加するという特性により、圧電発振回路の容量値を大きくし、これにより高温側の周波数上昇を抑制し、温度補償を行う。また、逆に圧電発振回路の環境温度が低下した場合、ダイオードの容量成分が減少するという特性も有している。従って上記高温側とは反対の作用により、低温側においては周波数低下を抑制し温度補償することができる。なお、インバータ11の出力はバッファ用のインバータ12を介して出力端子T2から温度補償された信号が出力される。
なお、本実施の形態において、ダイオード17をコンデンサ16に対して並列に接続した構成を例示したが、他方のコンデンサ15側に並列に接続してもよいし、すなわち、図1において、インバータの入力端子側と接地端子間であって、電流の流れに対し逆方向となるよう、アノード側を接地端子と接続し、かつコンデンサ15に対し並列にダイオード17を接続してもよい。
また両方のコンデンサにダイオードを並列接続してもよい。すなわち、インバータの入力端子側であるコンデンサ15に対し並列にダイオード18を接続し、インバータの出力端子側であるコンデンサ6に対し並列にダイオード17を接続してもよい。
図4にインバータの入力端子側および出力端子側の両方にダイオードを接続した水晶発振回路例を示している。図4に示す発振回路は基本構成は図1に示す構成と類似しているが、インバータの入力端子側にもダイオードを接続している。インバータ11はCMOSインバータを用い、インバータ11の両端に並列に接続された帰還抵抗13により反転増幅回路を構成している。当該帰還抵抗13は基本波発振回路に用いる場合は、500KΩ〜1MΩの高抵抗を用いている。またこの反転増幅回路の入出力端に水晶振動子14が接続されており、これにより構成される発振回路と基準電位の間に固定の負荷容量を与えるために、発振用のコンデンサ15,16が接続されている。
コンデンサ15はインバータ11の入力側と接地端子間、コンデンサ16はインバータと出力端子側と接地端子間に接続され、発振回路の発振条件を設定している。またインバータ11の出力端子側と接地端子間であって、コンデンサ16に並列にダイオード17が接続されている。さらにインバータ11の入力端子側と接地端子間であって、コンデンサ15に並列にダイオード18が接続されている。これら各ダイオード17、18は一般整流用のダイオードを用い、電流の流れに対し逆方向になるよう、アノード側を接地端子と接続している。
上記構成により、圧電発振回路の周囲温度が上昇した際、ダイオードの容量成分が増加するという特性により、圧電発振回路の容量値を大きくし、これにより高温側の周波数上昇を抑制し、温度補償を行う。また、逆に圧電発振回路の環境温度が低下した場合、ダイオードの容量成分が減少するという特性により圧電発振回路の容量値が小さくなり、上記高温側とは反対の作用により、低温側においては周波数低下を抑制し温度補償することができる。さらに、両コンデンサにダイオードを接続することによって、温度補償の効果をより高めることができる。なお、インバータ11の出力はバッファ用のインバータ12を介して出力端子T2から温度補償された信号が出力される。
ところでインバータの出力側に対し入力側は容量変化に対する周波数変化が大きいことが知られており、インバータの入力側に容量を形成することにより、比較的大きな温度補償(周波数偏差)を得ることができ、逆にインバータの出力側に容量を形成することにより、細かな調整を行うことができる。
このような特性を用いて、要求される温度補償量、補償特性等に応じてインバータの入力側あるいは出力側にダイオードを並列配置してもよい。例えば、図示していないが図4の変形例として、インバータの入力側にあたるコンデンサ15に対して1つのダイオードを並列接続し、またインバータの出力側にあたるコンデンサ16側においては2つのダイオードを並列接続した回路を前記コンデンサ16に並列接続する構成としてもよい。以上のように所望の温度補償量、補償特性に応じてダイオードの接続構成、数を調整することにより、安価でより精度の高い温度補償を行うことが可能となる。
さらにダイオードに代えて高抵抗を用いてもよい。抵抗は周知のとおり、温度上昇に伴いその抵抗値が低下するとともに、容量成分は増加するという特性を有している。これにより圧電発振回路としては周波数決定定数である容量値が大きくなり、よって高温側の周波数上昇を抑制し、温度補償を行うことができる。また、逆に圧電発振回路の環境温度が低下した場合、高抵抗の容量成分が減少するという特性に基づいて、上記高温側とは反対の作用により低温側においては、周波数低下を抑制し、温度補償することができる。
本発明による他の実施の形態について、図3とともに説明する。図3においては、コルピッツ型のトランジスタ回路を示しており、当該トランジスタ発振回路にダイオード28を接続して温度補償した構成を示している。トランジスタ21のコレクタ21cには電源端子T1が、エミッタ21eには出力端子T2が接続され、またベース21bには水晶振動子22が接続されている。また当該ベース21bとコレクタ21c間には抵抗23,24が接続され、またエミッタ21eと接地端子間にも抵抗25が接続され、これら抵抗は圧電発振回路にバイアスを与えている。さらにベースとエミッタ間にはコンデンサ26,27が形成され、帰還回路を形成している。このようなコルピッツ型のトランジスタ発振回路において、トランジスタのエミッタと接続端子間にダイオード28を設けている。当該ダイオード28の周囲温度上昇に伴って容量が増すという特性に基づいて、圧電発振回路の容量値を大きくし、高温側の周波数上昇を抑制し、温度補償を行う。また、逆に圧電発振回路の環境温度が低下した場合、ダイオードの容量成分が減少するという特性に基づいて、上記高温側とは反対の作用により低温側においては、周波数低下を抑制し、温度補償することができる。
なお、ダイオード28に代えて1MΩ以上の高抵抗を設けてもよい。
温度補償された水晶発振回路等の圧電発振回路の量産に適用できる。
第1の実施の形態を示す圧電発振回路図 比較データを示すグラフ 第1の実施の形態を示す圧電発振回路図 第1の実施の形態を示す圧電発振回路図 他の比較データを示すグラフ
符号の説明
11 インバータ
14,22 水晶振動子(圧電振動子)
17,28 ダイオード

Claims (3)

  1. トランジスタと、前記トランジスタのコレクタに電源を供給する電源端子と、前記トランジスタのエミッタに接続された出力端子と、前記トランジスタのベースに接続された水晶振動子と、前記トランジスタのベースとコレクタ間に接続して圧電発振器のバイアスを形成する抵抗と、前記トランジスタのベースと接地端子間に接続して圧電発振器のバイアスを形成する抵抗と、前記トランジスタのエミッタと接地端子間であって、かつアノード側が接地端子と接続されるよう配置されたダイオードと、前記トランジスタのエミッタとベース間に接続して帰還回路を形成するコンデンサと、を具備してなる圧電発振回路。
  2. インバータと、前記インバータの入力側と出力側間に各々並列に接続された圧電振動子および帰還抵抗と、当該インバータの入力端子と出力端子それぞれと接地端子間に接続された各々のコンデンサと、前記コンデンサの一方または両方に対し並列に、かつアノード側が接地端子と接続されるよう配置されたダイオードと、を具備してなる圧電発振回路。
  3. 前記ダイオードに代えて抵抗値1MΩ以上の高抵抗を用いたことを特徴とする請求項1または2記載の圧電発振回路。

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