JP2005006029A - 温度補償型圧電発振器 - Google Patents
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Abstract
【課題】、簡単な回路構成でしかも温度補償精度が高く、それにより低ノイズ化が図れて低コストが可能な携帯電話等に適した温度補償方式を提供する。
【解決手段】この温度補償方式は、水晶振動子11を備えた水晶発振回路12と、両端の電位差により容量が変化する可変容量ダイオード14と、周囲温度を検出する温度センサ部101と、温度センサ部101の電圧に基づいて近似3次関数電圧を発生する関数発生部102と、関数発生部102と温度センサ部101の信号を合成して信号のノイズを除去するローパスフィルタ部103と、関数発生部102とローパスフィルタ部103の基準となる電圧を供給する基準電圧発生部104とを備えて構成される。
【選択図】 図1
【解決手段】この温度補償方式は、水晶振動子11を備えた水晶発振回路12と、両端の電位差により容量が変化する可変容量ダイオード14と、周囲温度を検出する温度センサ部101と、温度センサ部101の電圧に基づいて近似3次関数電圧を発生する関数発生部102と、関数発生部102と温度センサ部101の信号を合成して信号のノイズを除去するローパスフィルタ部103と、関数発生部102とローパスフィルタ部103の基準となる電圧を供給する基準電圧発生部104とを備えて構成される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水晶振動子等の圧電振動子を使用した圧電発振器に関し、特に簡単な回路構成によってATカット水晶振動子の発振周波数の温度補償が可能な温度補償型圧電発振器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
携帯電話に代表される陸上移動体通信器の通信可能エリアは拡大の一途を辿っている。それと同時に、携帯電話の普及もすさまじく技術開発競争は激化している。携帯電話に使用される水晶発振器も小型化、ローコスト化、更に高性能化が要求されている。特にGPSシステムとの共存を要求されるシステムでは温度特性が優れているだけでなく、低ノイズ化が強く要求されている。
図4に携帯電話に使用されている水晶振動子(At−Cut)の切断角度の違いによる温度特性を示す。図に示す様に振動子の温度特性は3次関数に近い特性を示すが、これだけでは特性上十分な周波数安定度ではなくこの特性を相殺するような温度補償が必要となる。
従来の温度補償方式は大きく直接温度補償方式と間接温度補償方式に分けることができる。図13は直接温度補償方式の補償回路の1例を示す図である。この方式は発振回路の発振ループ内にサーミスタと抵抗及びコンデンサにより補償回路を構成し、サーミスタの温度による抵抗変化をリアクタンスに変換し温度補償するもので、回路構成は非常にシンプルである。そして補償曲線は3次曲線に近いものであるが、頂点を持たない単一増加であるため補償温度範囲の高温側、低温側の限界付近で補償量が極端に増加する。そのため補償精度に限界があり優れた温度特性を得ることが難しいといった問題がある。
また間接温度補償方式は、温度補償特性を得るための電圧を発生させる関数発生部を発振回路ループ外に設け、発生電圧を発振ループ内に設けた可変容量ダイオードに印加し温度補償を行うものである。そして温度補償電圧を発生する方法には、サーミスタと抵抗等により構成し、又はIC化技術を駆使し半導体の接合電位の温度特性を使用し多次関数を発生させる方式、補償電圧を予めメモリに保存し、温度変化に基づき電圧を印加するデジタル温度補償方式、演算増幅器を用いた分割線近似方式等がある。
【0003】
図14は従来技術として特許第3253207号に開示されている温度補償水晶発振器のブロック図である。本方式では温度センサ部101より温度変化を電圧変化に変換し電圧関数発生回路102〜106へ入力する。この5つの発生回路は、計5本の近似直線電圧を出力し、これらを電圧加算器107に入力することにより図15に示すような折れ線関数の電圧を発生させ、それを可変容量ダイオード14へ入力している。尚、図16に2つの演算増幅器110、111で構成された1つの分割回路を示す。
図17は従来技術として実開昭61−95104号公報に開示されている温度補償水晶発振器のブロック図である。図18に説明図を示し説明する。温度センサ201からの入力により電圧関数発生回路202の出力は3次曲線の低温側頂点まで単調上昇し飽和し一定電圧となる。同様に電圧関数発生回路203は高温側頂点まで一定でその後単調上昇する。それぞれの出力はダイオードD14、15のアノードに印加され容量を可変する。よってその変化は低温側で容量が低下、周波数を高くする。頂点間は電圧が一定で容量変化無し、高温側では容量が大、周波数を低下させる。また温度補償用コンデンサC16、17、18、19は温度上昇に対し容量が単調に減少するため周波数は単調に上昇する。即ち、先ほどの頂点間の周波数はこのコンデンサの影響により周波数が上昇する。尚、低温側、高温側ともこのコンデンサの影響を受けて周波数は上昇しているがコンデンサの影響を加味した変化量を補償していることは言うまでもない。
このように総合的には振動子の3次曲線を補償することができるが、本方式では頂点間温度の補正を容量、温度特性共にばらつきが大きい温度補償用コンデンサに頼った補償方式であるため、当然補償精度のばらつきが大きく量産化に適さないといった問題がある。
【特許文献1】特許第3253207号
【特許文献2】実開昭61−95104号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記の直接温度補償方式では回路は非常にシンプルであり、低ノイズという利点はあるが、補償曲線が頂点を持たない温度上昇に対し一方向増加の近3次曲線となるため、低温側、高温側の両サイドで極端に周波数補償量が増加するため優れた温度特性を得にくいといった問題がある。
また特許文献1については、発振周波数温度特性に対し3次補償曲線をもとめ、曲線上に交点をもつ最適な直線補償方式を求め、全ての直線電圧を個別に設定するという複雑な方法を取り入れているため、振動子の温度特性に非常に柔軟な対応が可能であり、優れた温度特性を得ることができるが、複数の電圧関数発生回路が必要であることから回路構成が非常に複雑となるため必然的にコストアップ、及び補償回路から発生するノイズが大きくなり位相雑音特性を悪化させる問題がある。
本発明は、かかる課題に鑑み、簡単な回路構成でしかも温度補償精度が高く、それにより低ノイズ化が図れて低コストが可能な携帯電話等に適した温度補償方式を提供することを目的する。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明はかかる課題を解決するために、請求項1は、所定の周波数で励振される圧電素子を備えた圧電振動子と、該圧電素子に電流を流して励振させる発振用増幅器と、温度変化による発振周波数の変化を補償する周波数温度補償回路と、を備えた圧電発振器であって、前記周波数温度補償回路は、周囲温度を検出して電圧変化に変換する温度センサ部と、該温度センサ部からの入力電圧に基づいて近似3次関数を発生する関数発生部と、前記センサ部と関数発生部との出力値を合成して反転増幅し、更に低ノイズ化を図るローパスフィルタ部と、所定の電位を有する基準電圧を発生する基準電圧発生部と、前記ローパスフィルタ部の出力電圧に基づいて容量が変化する可変容量素子と、を備え、前記関数発生部は、前記圧電素子が有する3次関数の温度特性の低温側の起点から高温側の終点までの各変曲点において、夫々増幅利得を変化させることにより、単調増加近似3次関数の電圧を出力し、該単調増加近似3次関数電圧と前記温度センサ部からの出力電圧とを合成して前記ローパスフィルタ部を介して前記可変容量素子に印加することにより、前記圧電発振器の負荷容量を変化させて前記圧電振動子の発振周波数の温度特性を補償することを特徴とする。
ATカットによる水晶振動子の温度特性は略3次関数的に変化する。この温度特性に対して、理想的には相反する特性をもつように、発振ループ内の負荷容量を変化させて補正することである。しかし、この特性を持つ回路を実現することは不可能ではないが、現実的に回路構成が非常に複雑となり、その分コストアップを避けることができず、さらに回路の複雑さからくる位相特性の劣化が問題となる。従って、回路構成は可能な限り簡単な程良いのは言うまでもない。しかし、従来の回路では低温と高温の端部での特性が実際より異なった特性となり、正確に補正することができなかった。そこで本発明では、関数発生部に備えた演算増幅器の増幅利得を、圧電素子が有する3次関数の温度特性の低温側の起点から高温側の終点までの各変曲点において変化させることにより、単調増加近似3次関数的に変化する電圧を生成し、その電圧とセンサ部の出力電圧を合成することにより近似3次関数の電圧を発生させ、その電圧をローパスフィルタを介して反転増幅して可変容量素子に印加して可能な限りATカットによる水晶振動子の温度特性に近づけるものである。
かかる発明によれば、関数発生部の出力とセンサ部の出力電圧を合成した時に近似3次関数的に変化する制御電圧を発生させ、ローパスフィルタを介して可変容量素子に印加するので、可変容量素子の容量変化によりATカットによる水晶振動子の温度特性を正確に補正することができる。
【0006】
請求項2は、前記関数発生部は、複数の抵抗素子と、順方向電圧値により順方向抵抗が変化する2つの可変抵抗素子と、帰還抵抗を有する演算増幅器とを備え、前記2つの可変抵抗素子の極性が異なるように並列接続し、前記温度センサ部の出力電圧に基づいて前記2つの可変抵抗素子の順方向抵抗を変化させることにより、前記帰還抵抗との比率を変えて前記演算増幅器の利得を変化させることを特徴とする。
関数を発生する手段は各種あるが、本発明では可変抵抗素子と演算増幅器を使用して発生させる。基本的には、演算増幅器の利得が帰還抵抗とセンサ出力間の抵抗の比で決定されることを利用して、帰還抵抗を固定にしてセンサ出力間の抵抗を温度により可変することにより実現している。そしてセンサ出力間の抵抗を温度により可変にする一つの方法として、可変抵抗素子の順方向抵抗が順方向電圧により変化することを利用する。
かかる発明によれば、関数発生の手段が可変抵抗素子と演算増幅器を使用して可変抵抗素子と演算増幅器の帰還抵抗の比により演算増幅器の利得を変化させて単調増加近似3次関数の電圧を発生するので、簡単な回路構成で比較的正確な3次関数の電圧を発生することができる。
請求項3は、前記関数発生部は、前記圧電素子が有する3次関数の温度特性の低温側の起点から低温側の変曲点に亘り、単位温度あたりの電圧が大きく変化するように利得を制御し、且つ前記低温側変曲点を越えた点より高温側変曲点に亘り、単位温度あたりの電圧が小さく変化するように利得を制御し、更に前記高温側変曲点を越えた点より前記高温側の終点に亘り、単位温度あたりの電圧が大きく変化するように利得を制御することにより、前記単調増加近似3次関数の電圧を出力することを特徴とする。
圧電素子が有する3次関数の温度特性は2つの変曲点を有する。従って、この変曲点毎に演算増幅器の利得が変化するように制御すれば、単調増加近似3次関数の電圧を生成することが可能である。
かかる発明によれば、演算増幅器の利得制御により単調増加近似3次関数の電圧を生成するので、制御が容易となり回路構成が簡略化される。
【0007】
請求項4は、前記ローパスフィルタ部は、前記関数発生部と前記温度センサ部からの出力電圧とを合成することにより、前記単調増加近似3次関数から2つの変曲点を有する近似3次関数に変換した出力電圧を生成することを特徴とする。
関数発生部から発生する近似3次関数は、センサ部の電圧変化と逆に単調増加しながら変化する電圧である。従って、単調増加する直流分をキャンセルする必要がある。そこで本発明では、センサ部から発生される温度変化に応じた直線的に変化する電圧と、関数発生部から発生する単調増加近似3次関数を抵抗により合成することにより直流分をキャンセルすることができる。
かかる発明によれば、センサ部との電圧と関数発生部の出力電圧を合成するので、単調増加近似3次関数から近似3次関数へ変換することができる。
請求項5は、前記ローパスフィルタ部は、演算増幅器の出力を容量素子を介して該演算増幅器の同相入力に帰還することにより、補償電圧に重畳する高周波雑音を遮断するローパスフィルタを構成することを特徴とする。
関数発生部の出力電圧には高周波のノイズが含まれており、このノイズは位相雑音となり位相特性を悪化させる原因となる。そこで高周波のノイズを除去するためにローパスフィルタを同時に構成し、さらに反転増幅して近似3次関数に変換した出力電圧を生成している。
かかる発明によれば、演算増幅器の出力を容量素子を介してこの演算増幅器の同相入力に帰還するので、アクティブ・ローパスフィルタを構成し、位相特性を改善することができる。
請求項6は、前記可変抵抗素子としてpin接合型ダイオードを用いたことを特徴とする。
pin接合型ダイオードは、逆方向バイアスでは電圧を幅広い高抵抗のi層で受けるために高い逆耐圧が得られ、順方向バイアスではpあるいはn領域からi層に注入される少数キャリアが高抵抗層の伝導度高めるために順方向電圧降下は余り大きくならない特徴がある。従って、信号の減衰量を少なくて済むようになる。
かかる発明によれば、可変抵抗素子としてpin接合型ダイオードを用いるので、抵抗変化に対する信号の減衰量を少なくすることができる。
請求項7は、前記可変容量素子はバラクタ、可変容量ダイオード若しくは、印加電圧により容量が可変する半導体デバイスを用いたことを特徴とする。
容量が外部の印加電圧により変化すれば、可変容量素子として、可変容量ダイオード、接合型FETのゲート・ソース又はゲート・ドレイン容量、MOS型FETのゲート・ソース又はゲート・ドレイン容量、バイポーラトランジスタのベース・エミッタ容量、又はベース・コレクタ容量を用いても本発明の発振器を構成することができる。
かかる発明によれば、可変容量素子として可変容量ダイオードや印加電圧により容量が可変する半導体デバイスを用いることもできるので、回路構成に幅が拡がり、それに伴って回路特性のバリエーションが広くなる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
図1は本発明の実施形態に係る温度補償方式のブロック図である。この温度補償方式は、水晶振動子11を備えた水晶発振回路12と、両端の電位差により容量が変化する可変容量ダイオード14と、周囲温度を検出する温度センサ部101と、温度センサ部101の電圧に基づいて近似3次関数電圧を発生する関数発生部102と、関数発生部102と温度センサ部101の信号を合成して信号のノイズを除去するアクティブローパスフィルタ部103と、関数発生部102とローパスフィルタ部103内の差動アンプの基準電圧を供給する基準電圧発生部104とを備えて構成される。
図2は図1の温度補償方式の動作を説明する図である。▲1▼は発振回路12の水晶振動子11の温度特性、▲2▼は温度センサ部101の出力電圧、▲3▼は関数発生部102の出力電圧、▲4▼はローパスフィルタ部103の出力電圧、▲5▼は可変容量ダイオード14の出力補償容量変化に伴う発振周波数の変化を表す。
【0009】
図3は図1の実施形態に係る温度補償方式の具体的な回路例を表す図である。
同図に示すように抵抗R1、R2、ダイオードD1、オペアンプIC1が温度センサ部101を構成し、抵抗R3、R4、R6、R7が基準電圧発生部104を構成し、pinダイオードD2、D3、抵抗R8、R9、オペアンプIC2、帰還抵抗R10が関数発生部102を構成し、オペアンプIC3、抵抗R11、R12、R13、R14、コンデンサC2、C1がローパスフィルタ部103を構成する。
即ち、この回路は、定電圧に接続された抵抗R1とダイオードD1を直列に接続し、カソードから抵抗R2を介して接地する。そしてダイオードD1のカソード端をオペアンプIC1の(+)側端子(非反転入力端子)に接続し、(−)側端子(反転入力端子)は定電圧と接地間に直列接続された抵抗R3とR4の接続点と接続する。オペアンプIC1の出力端子は3つに分岐しており、その分岐路の1つは帰還抵抗R5を介し(−)側端子と接続し、更にオペアンプIC2の2つ目の分岐路はpinダイオードD2、D3を極性を異なるように接続した接続点に接続し、3つ目の分岐路は抵抗R12を介してオペアンプIC3の(−)側と接続される。またpinダイオードD2のアノードには抵抗R8を、D3のカソードには抵抗R9を夫々直列に接続してさらに両直列回路を並列接続し、その接続点の一端とオペアンプIC2の(−)側端子(反転入力端子)と接続される。更にオペアンプIC2の(−)側端子を帰還抵抗R10を介し、オペアンプIC2の出力端子と接続し、オペアンプIC2の(+)側端子は定電圧と接地間に直列接続された抵抗R6とR7の接続点と接続する。またオペアンプIC2の出力端子は抵抗R11を介してオペアンプIC3の(−)側端子(反転入力端子)と接続され、また、オペアンプIC3の(−)側端子は帰還抵抗R13によりオペアンプIC3の出力端子と接続されている。更にオペアンプIC3の出力端子はコンデンサC2を介して(+)側端子に接続され、またオペアンプIC3の(+)側端子は、抵抗R14を介して抵抗R6と接続され抵抗R14と抵抗R6との接続点をコンデンサC1により接地する。またオペアンプIC3の出力電圧は抵抗R15を介して可変容量ダイオードD4のカソードに印加され、アノード側は抵抗R16を介して接地されている。そしてこの可変容量ダイオードD4は、その端子間容量が発振器の負荷容量となるように発振器内に接続される。
【0010】
次に図1、図2、図3を参照して本実施形態の温度補償方式の動作について説明する。温度センサ部101の出力電圧は、図2に示す▲2▼のように温度上昇に対し単調減少し、動作電圧のセンター電位のときのc点の温度が振動子の変曲点温度となるように設定する。また基準電圧発生部104の出力は、動作電圧のセンター電位に設定する。関数発生部102のオペアンプIC2の(+)入力端子に接続する。またセンサ部101のオペアンプIC1の出力は可変抵抗素子3(D3)のアノードに接続し、同カソードに抵抗R9を直列接続しオペアンプIC2の(−)入力に接続される。また温度センサ部101のオペアンプIC1の出力は可変抵抗素子4(D2)のカソードに接続し、同アノードに抵抗R8を直列接続しオペアンプIC2の(−) 入力に接続される。そして▲1▼の振動子の温度特性より、変曲点温度(c点)より低温側(図2のa点)では、温度センサ部101のオペアンプIC1の出力電圧はセンサ電圧(オペアンプIC2の出力電圧)より高圧であり、電流は温度センサ部よりpinダイオードD3及び抵抗R9を経由して関数発生部102のオペアンプIC2の(−)入力端子へ流れる。このときオペアンプIC1の出力端子とオペアンプIC2の出力端子(オペアンプIC2の(−)入力端子)間の電位差が大きいので温度センサ部の出力電圧は高圧で、可変抵抗素子D3の順電流値が大きくなり、その結果、温度が低い状態であるほど同アノード・カソード間の抵抗値は小さくなるので、関数発生部102のオペアンプIC2の利得は大きく、単位温度あたりの電圧変化は大きくなる。そしてこのとき、オペアンプIC2の出力電圧は、温度変化による直接的なバイアスの制御と、可変抵抗素子D3による利得の制御とが相乗して動くので図2の▲3▼のa〜c間の如く非線形な変化となる。尚、このときの、オペアンプIC2の利得は、帰還抵抗R10と(D3+R9)の合成抵抗値との比で決まる。
【0011】
次に周囲温度が変曲点温度に近づくに従い、関数発生部102のオペアンプIC2の利得が低下するものの、その出力電圧は、僅かに上昇し続けやがて変曲点温度(c点)に達したときオペアンプIC1の出力電圧とオペアンプIC2の出力電圧とが等しくなる。単位温度あたりの電圧変化は小さくなる。
そして変曲点温度(c点)より高温側では、温度センサ部101のオペアンプIC1の出力電圧の低下に伴いオペアンプIC2の出力電圧が低下し、更にこのときオペアンプIC2の(−)入力端子の電圧はセンター電位(オペアンプIC2の(+)電位と等しい)よりわずかに低下する程度なので、オペアンプIC1の出力電圧よりオペアンプIC2の(−)側入力端子電圧の方が高くなり、可変抵抗素子D2及び抵抗R8を経由し順電流が流れる。従って、温度が変曲点温度より高い状態であるほどアノード・カソード間の抵抗値は小さくなり関数発生部102のオペアンプIC2の利得は大きくなり、単位温度あたりの電圧変化は大きくなる。そしてこのときオペアンプIC2の出力電圧は温度変化による直接的なバイアスの制御と可変抵抗素子D2による利得の制御とが相乗して働くので図2の▲3▼のc〜e間の如く非線形な変化となる。以上の結果、関数発生部102の出力は▲3▼に示す単調増加近似3次関数を示す。
次にローパスフィルタ部103は、オペアンプIC3を使用するアクティブ・ローパスフィルタを構成する。即ちオペアンプIC3の出力をコンデンサC2を介し同オペアンプIC3の(+)入力へ同相帰還することにより、補償電圧に重畳する高周波ノイズを遮断する。同時に、関数発生部102の出力と温度センサ部101の出力を抵抗R11、R12で合成し、同オペアンプIC3の(−)側入力端子に入力された補償電圧を反転増幅する。またオペアンプIC3の(+)側入力端子は抵抗R14を介して基準電圧発生部(抵抗R6、R7で構成)に接続し、関数発生部102のオペアンプIC2の(+)側入力電圧と同じく動作電圧のセンター電位に設定される。そしてローパスフィルタ部103の出力は、温度センサ部101の出力と関数発生部102の出力とを差動増幅したものであるから、図2の▲4▼に示すような関数発生部103の出力の単調増加近似3次関数か2つの頂点をもつ近似3次関数的電圧となる。このようなローパスフィルタ部103の出力電圧は可変容量ダイオードD4の容量値を可変して図2の▲5▼に示すごとく発振器の周波数を制御するよう動くので図2の▲1▼に示す振動子の発生する温度特性と図2の▲5▼に示す周波数制御による周波数可変特性とが相殺し、優れた発振器の温度特性を発生する。
【0012】
図5は、本発明の関数発生部102の回路図である。この回路ではR6/R7=100kΩ、R8/R9=0Ω、R10=7.2kΩ、R11=10kΩ、D1/D2=Pin Diode JDP2S04E、IC2=TC75S51FU、VCC=3V、C4=1μFとした。
図6は、図5の関数発生部102の入出力特性を示す図である。縦軸に出力電圧Vout(Vdc)を表し、横軸に入力電圧Vin(Vdc)を表す。この図から入力電圧が低い範囲(0V〜1.0V)では、入力電圧が高くなるに従い可変抵抗素子D2のアノード・カソード間の順電流は小さくなり、その結果、同アノード・カソード間の抵抗値は大きくなり関数発生部102のオペアンプIC2の利得は低下して、単位入力電圧あたりの出力電圧変化は小さくなる。また入力電圧が1V〜2Vの範囲では、関数発生部102のオペアンプIC2の利得はほとんど変化しない。そして入力電圧がセンター電位を超えて2V〜3Vの範囲では、入力電圧が高くなるに従い可変抵抗素子D3のアノード・カソード間の順電流は大きくなり、その結果、同アノード・カソード間の抵抗値は小さくなり関数発生部102のオペアンプIC2の利得は上昇して、単位入力電圧あたりの出力電圧変化は大きくなる。
【0013】
次に図3の実施形態に係る温度補償方式の具体的な回路の実施定数例を示し、そのシミュレーション結果について説明する。
尚、R1=6.5kΩ、R2/R3/R4/R11/R12=10kΩ、R5=可変、R6/R7/R14/R15/R16=100kΩ、R8/R9=0Ω、R10=7.2kΩ、R13=51kΩ、C1/C2/C3=10000pF、D1=1S953、D2/D3=Pin Diode:JDP2S04E、D4=MA2S304、IC1/IC2/IC3=TC75S51FU、Cp=51pF、Cs=40pF、Xtal:At−Cut μ(切断角度)=2°51′、Freq=13MHz、C0=1.35pF、γ=240、ここで、C0:振動子の電極間容量、C1:振動子の直列共振容量、γ=C0/C1:容量比とし、R8/R9は補償特性の微調整用であり、本シミュレーションでは0Ωとした。
図7は、温度に対する可変容量ダイオードへの入力電圧及び水晶振動子の補償周波数偏差を示す図である。この図から温度変化に対する補償周波数偏差の変化30と可変容量ダイオードへの入力電圧の変化31が良く追従していることが解る。これは、本発明の温度補償回路が実際のATカットの水晶振動子の温度補償を精度良く行えることを示唆している。
【0014】
図8はダイオードとしてJDP2S04Eを使用した場合の振動子の温度特性と温度補償周波数偏差及び補償のシミュレーション結果を示す図である。縦軸に温度補償周波数偏差Δdf/f(ppm)を表し、横軸は温度t(℃)を表す。この図から特性32は振動子の温度特性を表し、特性33は本発明による温度補償周波数偏差の特性を表し、特性34は補償結果の特性を表す。この結果より、現在温度補償発振器では通常仕様で−20〜70℃(Aで囲まれた範囲)で±2.5ppm以内の結果が示されているので、本発明回路では十分この仕様を満足できる。
図9は、本発明の図3に使用されるpinダイオード(JDP2S04E)の特性図である。同図(a)縦軸に順方向抵抗を表し、横軸に順方向電圧を表す。この図から順方向電圧の上昇に伴って、順方向抵抗が低下することが解る。尚、同図(b)は横軸を順電流とした場合の特性図である。
図10は、本発明回路のローパスフィルタ部103のシミュレーション回路であり、図11はシミュレーション結果を示す図である。この図から、本発明回路に示す定数では遮断周波数は10Hzであり、1KHzでほぼ20dBの減衰を示すことが解る。この周波数特性は、温度変動に対する補償の追従性、また高周波減衰特性としては十分である。尚、図10の定数は
R11’=5kΩ、R6/R7/R13/R14=100kΩ、C1/C2/C3=10000pF、IC3=TC75S51FUとする。
図12はダイオードとして1S953を使用した場合の振動子の温度特性と温度補償周波数偏差及び補償のシミュレーション結果を示す図である。縦軸に温度補償周波数偏差Δdf/f(ppm)を表し、横軸は温度t(℃)を表す。この図から特性35は振動子の温度特性を表し、特性36は本発明による温度補償周波数偏差の特性を表し、特性37は補償結果の特性を表す。この結果より、現在温度補償発振器では通常仕様で−20〜70℃(Bで囲まれた範囲)で±2.5ppm以内の結果が示されているので、本発明回路では十分この仕様を満足できる。
【0015】
【発明の効果】
以上記載のごとく請求項1の発明によれば、関数発生部の出力とセンサ部の出力電圧を合成した時に近似3次関数的に変化する制御電圧を発生させ、ローパスフィルタを介して可変容量素子に印加するので、可変容量素子の容量変化によりATカットによる水晶振動子の温度特性を正確に補正することができる。
また請求項2では、関数発生の手段が可変抵抗素子と演算増幅器を使用して可変抵抗素子と演算増幅器の帰還抵抗の比により演算増幅器の利得を変化させて単調増加近似3次関数の電圧を発生するので、簡単な回路構成で比較的正確な3次関数の電圧を発生することができる。
また請求項3では、演算増幅器の利得制御により単調増加近似3次関数の電圧を生成するので、制御が容易となり回路構成が簡略化される。
また請求項4では、センサ部との電圧と関数発生部の出力電圧を合成するので、単調増加近似3次関数から近似3次関数へ変換することができる。
また請求項5では、演算増幅器の出力を容量素子を介してこの演算増幅器の同相入力に帰還するので、アクティブ・ローパスフィルタを構成し、位相雑音特性を改善することができる。
また請求項6では、可変抵抗素子としてpin接合型ダイオードを用いるので、抵抗変化に対する信号の減衰量を少なくすることができる。
また請求項7では、可変容量素子として可変容量ダイオードや印加電圧により容量が可変する半導体デバイスを用いることもできるので、回路構成に幅が拡がり、それに伴って回路特性のバリエーションが広くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る温度補償方式のブロック図である。
【図2】本発明の図1の温度補償方式の動作を説明する説明図である。
【図3】本発明の温度補償方式の実施形態の一例を示す回路図である。
【図4】携帯電話に使用されている水晶振動子(At−Cut)の切断角度の違いによる温度特性を示す図である。
【図5】本発明の関数発生部102の回路図である。
【図6】本発明の図5の関数発生部102の入出力特性を示す図である。
【図7】本発明の温度に対する可変容量ダイオードへの入力電圧及び水晶振動子の補償周波数偏差を示す図である。
【図8】本発明のダイオードとしてJDP2S04Eを使用した場合の振動子の温度特性と温度補償周波数偏差及び補償のシミュレーション結果を示す図である。
【図9】本発明の図3に使用されるpinダイオード(JDP2S04E)の特性図である。
【図10】本発明のローパスフィルタ部103のシミュレーション回路図である。
【図11】本発明のローパスフィルタ部のシミュレーション結果を示す図である。
【図12】本発明のダイオードとして1S953を使用した場合の振動子の温度特性と温度補償周波数偏差及び補償のシミュレーション結果を示す図である。
【図13】従来の直接温度補償方式の補償回路の一例を示す図である。
【図14】従来技術として実開昭61−95104号公報に開示されている温度補償水晶発振器のブロック図である。
【図15】従来の温度補償方式を説明するための図である。
【図16】従来の2つの演算増幅器110、111で構成された1つの分割回路を示す図である。
【図17】従来技術として実開昭61−95104号公報に開示されている温度補償水晶発振器のブロック図である。
【図18】実開昭61−95104号公報の動作を説明する説明図である。
【符号の説明】
1、2 コンデンサ、3、4 電圧可変抵抗素子、11 水晶振動子、12 水晶発振回路、14 可変容量ダイオード、101 温度センサ部、102 関数発生部、103 ローパスフィルタ部、104 基準電圧発生部
【発明の属する技術分野】
本発明は、水晶振動子等の圧電振動子を使用した圧電発振器に関し、特に簡単な回路構成によってATカット水晶振動子の発振周波数の温度補償が可能な温度補償型圧電発振器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
携帯電話に代表される陸上移動体通信器の通信可能エリアは拡大の一途を辿っている。それと同時に、携帯電話の普及もすさまじく技術開発競争は激化している。携帯電話に使用される水晶発振器も小型化、ローコスト化、更に高性能化が要求されている。特にGPSシステムとの共存を要求されるシステムでは温度特性が優れているだけでなく、低ノイズ化が強く要求されている。
図4に携帯電話に使用されている水晶振動子(At−Cut)の切断角度の違いによる温度特性を示す。図に示す様に振動子の温度特性は3次関数に近い特性を示すが、これだけでは特性上十分な周波数安定度ではなくこの特性を相殺するような温度補償が必要となる。
従来の温度補償方式は大きく直接温度補償方式と間接温度補償方式に分けることができる。図13は直接温度補償方式の補償回路の1例を示す図である。この方式は発振回路の発振ループ内にサーミスタと抵抗及びコンデンサにより補償回路を構成し、サーミスタの温度による抵抗変化をリアクタンスに変換し温度補償するもので、回路構成は非常にシンプルである。そして補償曲線は3次曲線に近いものであるが、頂点を持たない単一増加であるため補償温度範囲の高温側、低温側の限界付近で補償量が極端に増加する。そのため補償精度に限界があり優れた温度特性を得ることが難しいといった問題がある。
また間接温度補償方式は、温度補償特性を得るための電圧を発生させる関数発生部を発振回路ループ外に設け、発生電圧を発振ループ内に設けた可変容量ダイオードに印加し温度補償を行うものである。そして温度補償電圧を発生する方法には、サーミスタと抵抗等により構成し、又はIC化技術を駆使し半導体の接合電位の温度特性を使用し多次関数を発生させる方式、補償電圧を予めメモリに保存し、温度変化に基づき電圧を印加するデジタル温度補償方式、演算増幅器を用いた分割線近似方式等がある。
【0003】
図14は従来技術として特許第3253207号に開示されている温度補償水晶発振器のブロック図である。本方式では温度センサ部101より温度変化を電圧変化に変換し電圧関数発生回路102〜106へ入力する。この5つの発生回路は、計5本の近似直線電圧を出力し、これらを電圧加算器107に入力することにより図15に示すような折れ線関数の電圧を発生させ、それを可変容量ダイオード14へ入力している。尚、図16に2つの演算増幅器110、111で構成された1つの分割回路を示す。
図17は従来技術として実開昭61−95104号公報に開示されている温度補償水晶発振器のブロック図である。図18に説明図を示し説明する。温度センサ201からの入力により電圧関数発生回路202の出力は3次曲線の低温側頂点まで単調上昇し飽和し一定電圧となる。同様に電圧関数発生回路203は高温側頂点まで一定でその後単調上昇する。それぞれの出力はダイオードD14、15のアノードに印加され容量を可変する。よってその変化は低温側で容量が低下、周波数を高くする。頂点間は電圧が一定で容量変化無し、高温側では容量が大、周波数を低下させる。また温度補償用コンデンサC16、17、18、19は温度上昇に対し容量が単調に減少するため周波数は単調に上昇する。即ち、先ほどの頂点間の周波数はこのコンデンサの影響により周波数が上昇する。尚、低温側、高温側ともこのコンデンサの影響を受けて周波数は上昇しているがコンデンサの影響を加味した変化量を補償していることは言うまでもない。
このように総合的には振動子の3次曲線を補償することができるが、本方式では頂点間温度の補正を容量、温度特性共にばらつきが大きい温度補償用コンデンサに頼った補償方式であるため、当然補償精度のばらつきが大きく量産化に適さないといった問題がある。
【特許文献1】特許第3253207号
【特許文献2】実開昭61−95104号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記の直接温度補償方式では回路は非常にシンプルであり、低ノイズという利点はあるが、補償曲線が頂点を持たない温度上昇に対し一方向増加の近3次曲線となるため、低温側、高温側の両サイドで極端に周波数補償量が増加するため優れた温度特性を得にくいといった問題がある。
また特許文献1については、発振周波数温度特性に対し3次補償曲線をもとめ、曲線上に交点をもつ最適な直線補償方式を求め、全ての直線電圧を個別に設定するという複雑な方法を取り入れているため、振動子の温度特性に非常に柔軟な対応が可能であり、優れた温度特性を得ることができるが、複数の電圧関数発生回路が必要であることから回路構成が非常に複雑となるため必然的にコストアップ、及び補償回路から発生するノイズが大きくなり位相雑音特性を悪化させる問題がある。
本発明は、かかる課題に鑑み、簡単な回路構成でしかも温度補償精度が高く、それにより低ノイズ化が図れて低コストが可能な携帯電話等に適した温度補償方式を提供することを目的する。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明はかかる課題を解決するために、請求項1は、所定の周波数で励振される圧電素子を備えた圧電振動子と、該圧電素子に電流を流して励振させる発振用増幅器と、温度変化による発振周波数の変化を補償する周波数温度補償回路と、を備えた圧電発振器であって、前記周波数温度補償回路は、周囲温度を検出して電圧変化に変換する温度センサ部と、該温度センサ部からの入力電圧に基づいて近似3次関数を発生する関数発生部と、前記センサ部と関数発生部との出力値を合成して反転増幅し、更に低ノイズ化を図るローパスフィルタ部と、所定の電位を有する基準電圧を発生する基準電圧発生部と、前記ローパスフィルタ部の出力電圧に基づいて容量が変化する可変容量素子と、を備え、前記関数発生部は、前記圧電素子が有する3次関数の温度特性の低温側の起点から高温側の終点までの各変曲点において、夫々増幅利得を変化させることにより、単調増加近似3次関数の電圧を出力し、該単調増加近似3次関数電圧と前記温度センサ部からの出力電圧とを合成して前記ローパスフィルタ部を介して前記可変容量素子に印加することにより、前記圧電発振器の負荷容量を変化させて前記圧電振動子の発振周波数の温度特性を補償することを特徴とする。
ATカットによる水晶振動子の温度特性は略3次関数的に変化する。この温度特性に対して、理想的には相反する特性をもつように、発振ループ内の負荷容量を変化させて補正することである。しかし、この特性を持つ回路を実現することは不可能ではないが、現実的に回路構成が非常に複雑となり、その分コストアップを避けることができず、さらに回路の複雑さからくる位相特性の劣化が問題となる。従って、回路構成は可能な限り簡単な程良いのは言うまでもない。しかし、従来の回路では低温と高温の端部での特性が実際より異なった特性となり、正確に補正することができなかった。そこで本発明では、関数発生部に備えた演算増幅器の増幅利得を、圧電素子が有する3次関数の温度特性の低温側の起点から高温側の終点までの各変曲点において変化させることにより、単調増加近似3次関数的に変化する電圧を生成し、その電圧とセンサ部の出力電圧を合成することにより近似3次関数の電圧を発生させ、その電圧をローパスフィルタを介して反転増幅して可変容量素子に印加して可能な限りATカットによる水晶振動子の温度特性に近づけるものである。
かかる発明によれば、関数発生部の出力とセンサ部の出力電圧を合成した時に近似3次関数的に変化する制御電圧を発生させ、ローパスフィルタを介して可変容量素子に印加するので、可変容量素子の容量変化によりATカットによる水晶振動子の温度特性を正確に補正することができる。
【0006】
請求項2は、前記関数発生部は、複数の抵抗素子と、順方向電圧値により順方向抵抗が変化する2つの可変抵抗素子と、帰還抵抗を有する演算増幅器とを備え、前記2つの可変抵抗素子の極性が異なるように並列接続し、前記温度センサ部の出力電圧に基づいて前記2つの可変抵抗素子の順方向抵抗を変化させることにより、前記帰還抵抗との比率を変えて前記演算増幅器の利得を変化させることを特徴とする。
関数を発生する手段は各種あるが、本発明では可変抵抗素子と演算増幅器を使用して発生させる。基本的には、演算増幅器の利得が帰還抵抗とセンサ出力間の抵抗の比で決定されることを利用して、帰還抵抗を固定にしてセンサ出力間の抵抗を温度により可変することにより実現している。そしてセンサ出力間の抵抗を温度により可変にする一つの方法として、可変抵抗素子の順方向抵抗が順方向電圧により変化することを利用する。
かかる発明によれば、関数発生の手段が可変抵抗素子と演算増幅器を使用して可変抵抗素子と演算増幅器の帰還抵抗の比により演算増幅器の利得を変化させて単調増加近似3次関数の電圧を発生するので、簡単な回路構成で比較的正確な3次関数の電圧を発生することができる。
請求項3は、前記関数発生部は、前記圧電素子が有する3次関数の温度特性の低温側の起点から低温側の変曲点に亘り、単位温度あたりの電圧が大きく変化するように利得を制御し、且つ前記低温側変曲点を越えた点より高温側変曲点に亘り、単位温度あたりの電圧が小さく変化するように利得を制御し、更に前記高温側変曲点を越えた点より前記高温側の終点に亘り、単位温度あたりの電圧が大きく変化するように利得を制御することにより、前記単調増加近似3次関数の電圧を出力することを特徴とする。
圧電素子が有する3次関数の温度特性は2つの変曲点を有する。従って、この変曲点毎に演算増幅器の利得が変化するように制御すれば、単調増加近似3次関数の電圧を生成することが可能である。
かかる発明によれば、演算増幅器の利得制御により単調増加近似3次関数の電圧を生成するので、制御が容易となり回路構成が簡略化される。
【0007】
請求項4は、前記ローパスフィルタ部は、前記関数発生部と前記温度センサ部からの出力電圧とを合成することにより、前記単調増加近似3次関数から2つの変曲点を有する近似3次関数に変換した出力電圧を生成することを特徴とする。
関数発生部から発生する近似3次関数は、センサ部の電圧変化と逆に単調増加しながら変化する電圧である。従って、単調増加する直流分をキャンセルする必要がある。そこで本発明では、センサ部から発生される温度変化に応じた直線的に変化する電圧と、関数発生部から発生する単調増加近似3次関数を抵抗により合成することにより直流分をキャンセルすることができる。
かかる発明によれば、センサ部との電圧と関数発生部の出力電圧を合成するので、単調増加近似3次関数から近似3次関数へ変換することができる。
請求項5は、前記ローパスフィルタ部は、演算増幅器の出力を容量素子を介して該演算増幅器の同相入力に帰還することにより、補償電圧に重畳する高周波雑音を遮断するローパスフィルタを構成することを特徴とする。
関数発生部の出力電圧には高周波のノイズが含まれており、このノイズは位相雑音となり位相特性を悪化させる原因となる。そこで高周波のノイズを除去するためにローパスフィルタを同時に構成し、さらに反転増幅して近似3次関数に変換した出力電圧を生成している。
かかる発明によれば、演算増幅器の出力を容量素子を介してこの演算増幅器の同相入力に帰還するので、アクティブ・ローパスフィルタを構成し、位相特性を改善することができる。
請求項6は、前記可変抵抗素子としてpin接合型ダイオードを用いたことを特徴とする。
pin接合型ダイオードは、逆方向バイアスでは電圧を幅広い高抵抗のi層で受けるために高い逆耐圧が得られ、順方向バイアスではpあるいはn領域からi層に注入される少数キャリアが高抵抗層の伝導度高めるために順方向電圧降下は余り大きくならない特徴がある。従って、信号の減衰量を少なくて済むようになる。
かかる発明によれば、可変抵抗素子としてpin接合型ダイオードを用いるので、抵抗変化に対する信号の減衰量を少なくすることができる。
請求項7は、前記可変容量素子はバラクタ、可変容量ダイオード若しくは、印加電圧により容量が可変する半導体デバイスを用いたことを特徴とする。
容量が外部の印加電圧により変化すれば、可変容量素子として、可変容量ダイオード、接合型FETのゲート・ソース又はゲート・ドレイン容量、MOS型FETのゲート・ソース又はゲート・ドレイン容量、バイポーラトランジスタのベース・エミッタ容量、又はベース・コレクタ容量を用いても本発明の発振器を構成することができる。
かかる発明によれば、可変容量素子として可変容量ダイオードや印加電圧により容量が可変する半導体デバイスを用いることもできるので、回路構成に幅が拡がり、それに伴って回路特性のバリエーションが広くなる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
図1は本発明の実施形態に係る温度補償方式のブロック図である。この温度補償方式は、水晶振動子11を備えた水晶発振回路12と、両端の電位差により容量が変化する可変容量ダイオード14と、周囲温度を検出する温度センサ部101と、温度センサ部101の電圧に基づいて近似3次関数電圧を発生する関数発生部102と、関数発生部102と温度センサ部101の信号を合成して信号のノイズを除去するアクティブローパスフィルタ部103と、関数発生部102とローパスフィルタ部103内の差動アンプの基準電圧を供給する基準電圧発生部104とを備えて構成される。
図2は図1の温度補償方式の動作を説明する図である。▲1▼は発振回路12の水晶振動子11の温度特性、▲2▼は温度センサ部101の出力電圧、▲3▼は関数発生部102の出力電圧、▲4▼はローパスフィルタ部103の出力電圧、▲5▼は可変容量ダイオード14の出力補償容量変化に伴う発振周波数の変化を表す。
【0009】
図3は図1の実施形態に係る温度補償方式の具体的な回路例を表す図である。
同図に示すように抵抗R1、R2、ダイオードD1、オペアンプIC1が温度センサ部101を構成し、抵抗R3、R4、R6、R7が基準電圧発生部104を構成し、pinダイオードD2、D3、抵抗R8、R9、オペアンプIC2、帰還抵抗R10が関数発生部102を構成し、オペアンプIC3、抵抗R11、R12、R13、R14、コンデンサC2、C1がローパスフィルタ部103を構成する。
即ち、この回路は、定電圧に接続された抵抗R1とダイオードD1を直列に接続し、カソードから抵抗R2を介して接地する。そしてダイオードD1のカソード端をオペアンプIC1の(+)側端子(非反転入力端子)に接続し、(−)側端子(反転入力端子)は定電圧と接地間に直列接続された抵抗R3とR4の接続点と接続する。オペアンプIC1の出力端子は3つに分岐しており、その分岐路の1つは帰還抵抗R5を介し(−)側端子と接続し、更にオペアンプIC2の2つ目の分岐路はpinダイオードD2、D3を極性を異なるように接続した接続点に接続し、3つ目の分岐路は抵抗R12を介してオペアンプIC3の(−)側と接続される。またpinダイオードD2のアノードには抵抗R8を、D3のカソードには抵抗R9を夫々直列に接続してさらに両直列回路を並列接続し、その接続点の一端とオペアンプIC2の(−)側端子(反転入力端子)と接続される。更にオペアンプIC2の(−)側端子を帰還抵抗R10を介し、オペアンプIC2の出力端子と接続し、オペアンプIC2の(+)側端子は定電圧と接地間に直列接続された抵抗R6とR7の接続点と接続する。またオペアンプIC2の出力端子は抵抗R11を介してオペアンプIC3の(−)側端子(反転入力端子)と接続され、また、オペアンプIC3の(−)側端子は帰還抵抗R13によりオペアンプIC3の出力端子と接続されている。更にオペアンプIC3の出力端子はコンデンサC2を介して(+)側端子に接続され、またオペアンプIC3の(+)側端子は、抵抗R14を介して抵抗R6と接続され抵抗R14と抵抗R6との接続点をコンデンサC1により接地する。またオペアンプIC3の出力電圧は抵抗R15を介して可変容量ダイオードD4のカソードに印加され、アノード側は抵抗R16を介して接地されている。そしてこの可変容量ダイオードD4は、その端子間容量が発振器の負荷容量となるように発振器内に接続される。
【0010】
次に図1、図2、図3を参照して本実施形態の温度補償方式の動作について説明する。温度センサ部101の出力電圧は、図2に示す▲2▼のように温度上昇に対し単調減少し、動作電圧のセンター電位のときのc点の温度が振動子の変曲点温度となるように設定する。また基準電圧発生部104の出力は、動作電圧のセンター電位に設定する。関数発生部102のオペアンプIC2の(+)入力端子に接続する。またセンサ部101のオペアンプIC1の出力は可変抵抗素子3(D3)のアノードに接続し、同カソードに抵抗R9を直列接続しオペアンプIC2の(−)入力に接続される。また温度センサ部101のオペアンプIC1の出力は可変抵抗素子4(D2)のカソードに接続し、同アノードに抵抗R8を直列接続しオペアンプIC2の(−) 入力に接続される。そして▲1▼の振動子の温度特性より、変曲点温度(c点)より低温側(図2のa点)では、温度センサ部101のオペアンプIC1の出力電圧はセンサ電圧(オペアンプIC2の出力電圧)より高圧であり、電流は温度センサ部よりpinダイオードD3及び抵抗R9を経由して関数発生部102のオペアンプIC2の(−)入力端子へ流れる。このときオペアンプIC1の出力端子とオペアンプIC2の出力端子(オペアンプIC2の(−)入力端子)間の電位差が大きいので温度センサ部の出力電圧は高圧で、可変抵抗素子D3の順電流値が大きくなり、その結果、温度が低い状態であるほど同アノード・カソード間の抵抗値は小さくなるので、関数発生部102のオペアンプIC2の利得は大きく、単位温度あたりの電圧変化は大きくなる。そしてこのとき、オペアンプIC2の出力電圧は、温度変化による直接的なバイアスの制御と、可変抵抗素子D3による利得の制御とが相乗して動くので図2の▲3▼のa〜c間の如く非線形な変化となる。尚、このときの、オペアンプIC2の利得は、帰還抵抗R10と(D3+R9)の合成抵抗値との比で決まる。
【0011】
次に周囲温度が変曲点温度に近づくに従い、関数発生部102のオペアンプIC2の利得が低下するものの、その出力電圧は、僅かに上昇し続けやがて変曲点温度(c点)に達したときオペアンプIC1の出力電圧とオペアンプIC2の出力電圧とが等しくなる。単位温度あたりの電圧変化は小さくなる。
そして変曲点温度(c点)より高温側では、温度センサ部101のオペアンプIC1の出力電圧の低下に伴いオペアンプIC2の出力電圧が低下し、更にこのときオペアンプIC2の(−)入力端子の電圧はセンター電位(オペアンプIC2の(+)電位と等しい)よりわずかに低下する程度なので、オペアンプIC1の出力電圧よりオペアンプIC2の(−)側入力端子電圧の方が高くなり、可変抵抗素子D2及び抵抗R8を経由し順電流が流れる。従って、温度が変曲点温度より高い状態であるほどアノード・カソード間の抵抗値は小さくなり関数発生部102のオペアンプIC2の利得は大きくなり、単位温度あたりの電圧変化は大きくなる。そしてこのときオペアンプIC2の出力電圧は温度変化による直接的なバイアスの制御と可変抵抗素子D2による利得の制御とが相乗して働くので図2の▲3▼のc〜e間の如く非線形な変化となる。以上の結果、関数発生部102の出力は▲3▼に示す単調増加近似3次関数を示す。
次にローパスフィルタ部103は、オペアンプIC3を使用するアクティブ・ローパスフィルタを構成する。即ちオペアンプIC3の出力をコンデンサC2を介し同オペアンプIC3の(+)入力へ同相帰還することにより、補償電圧に重畳する高周波ノイズを遮断する。同時に、関数発生部102の出力と温度センサ部101の出力を抵抗R11、R12で合成し、同オペアンプIC3の(−)側入力端子に入力された補償電圧を反転増幅する。またオペアンプIC3の(+)側入力端子は抵抗R14を介して基準電圧発生部(抵抗R6、R7で構成)に接続し、関数発生部102のオペアンプIC2の(+)側入力電圧と同じく動作電圧のセンター電位に設定される。そしてローパスフィルタ部103の出力は、温度センサ部101の出力と関数発生部102の出力とを差動増幅したものであるから、図2の▲4▼に示すような関数発生部103の出力の単調増加近似3次関数か2つの頂点をもつ近似3次関数的電圧となる。このようなローパスフィルタ部103の出力電圧は可変容量ダイオードD4の容量値を可変して図2の▲5▼に示すごとく発振器の周波数を制御するよう動くので図2の▲1▼に示す振動子の発生する温度特性と図2の▲5▼に示す周波数制御による周波数可変特性とが相殺し、優れた発振器の温度特性を発生する。
【0012】
図5は、本発明の関数発生部102の回路図である。この回路ではR6/R7=100kΩ、R8/R9=0Ω、R10=7.2kΩ、R11=10kΩ、D1/D2=Pin Diode JDP2S04E、IC2=TC75S51FU、VCC=3V、C4=1μFとした。
図6は、図5の関数発生部102の入出力特性を示す図である。縦軸に出力電圧Vout(Vdc)を表し、横軸に入力電圧Vin(Vdc)を表す。この図から入力電圧が低い範囲(0V〜1.0V)では、入力電圧が高くなるに従い可変抵抗素子D2のアノード・カソード間の順電流は小さくなり、その結果、同アノード・カソード間の抵抗値は大きくなり関数発生部102のオペアンプIC2の利得は低下して、単位入力電圧あたりの出力電圧変化は小さくなる。また入力電圧が1V〜2Vの範囲では、関数発生部102のオペアンプIC2の利得はほとんど変化しない。そして入力電圧がセンター電位を超えて2V〜3Vの範囲では、入力電圧が高くなるに従い可変抵抗素子D3のアノード・カソード間の順電流は大きくなり、その結果、同アノード・カソード間の抵抗値は小さくなり関数発生部102のオペアンプIC2の利得は上昇して、単位入力電圧あたりの出力電圧変化は大きくなる。
【0013】
次に図3の実施形態に係る温度補償方式の具体的な回路の実施定数例を示し、そのシミュレーション結果について説明する。
尚、R1=6.5kΩ、R2/R3/R4/R11/R12=10kΩ、R5=可変、R6/R7/R14/R15/R16=100kΩ、R8/R9=0Ω、R10=7.2kΩ、R13=51kΩ、C1/C2/C3=10000pF、D1=1S953、D2/D3=Pin Diode:JDP2S04E、D4=MA2S304、IC1/IC2/IC3=TC75S51FU、Cp=51pF、Cs=40pF、Xtal:At−Cut μ(切断角度)=2°51′、Freq=13MHz、C0=1.35pF、γ=240、ここで、C0:振動子の電極間容量、C1:振動子の直列共振容量、γ=C0/C1:容量比とし、R8/R9は補償特性の微調整用であり、本シミュレーションでは0Ωとした。
図7は、温度に対する可変容量ダイオードへの入力電圧及び水晶振動子の補償周波数偏差を示す図である。この図から温度変化に対する補償周波数偏差の変化30と可変容量ダイオードへの入力電圧の変化31が良く追従していることが解る。これは、本発明の温度補償回路が実際のATカットの水晶振動子の温度補償を精度良く行えることを示唆している。
【0014】
図8はダイオードとしてJDP2S04Eを使用した場合の振動子の温度特性と温度補償周波数偏差及び補償のシミュレーション結果を示す図である。縦軸に温度補償周波数偏差Δdf/f(ppm)を表し、横軸は温度t(℃)を表す。この図から特性32は振動子の温度特性を表し、特性33は本発明による温度補償周波数偏差の特性を表し、特性34は補償結果の特性を表す。この結果より、現在温度補償発振器では通常仕様で−20〜70℃(Aで囲まれた範囲)で±2.5ppm以内の結果が示されているので、本発明回路では十分この仕様を満足できる。
図9は、本発明の図3に使用されるpinダイオード(JDP2S04E)の特性図である。同図(a)縦軸に順方向抵抗を表し、横軸に順方向電圧を表す。この図から順方向電圧の上昇に伴って、順方向抵抗が低下することが解る。尚、同図(b)は横軸を順電流とした場合の特性図である。
図10は、本発明回路のローパスフィルタ部103のシミュレーション回路であり、図11はシミュレーション結果を示す図である。この図から、本発明回路に示す定数では遮断周波数は10Hzであり、1KHzでほぼ20dBの減衰を示すことが解る。この周波数特性は、温度変動に対する補償の追従性、また高周波減衰特性としては十分である。尚、図10の定数は
R11’=5kΩ、R6/R7/R13/R14=100kΩ、C1/C2/C3=10000pF、IC3=TC75S51FUとする。
図12はダイオードとして1S953を使用した場合の振動子の温度特性と温度補償周波数偏差及び補償のシミュレーション結果を示す図である。縦軸に温度補償周波数偏差Δdf/f(ppm)を表し、横軸は温度t(℃)を表す。この図から特性35は振動子の温度特性を表し、特性36は本発明による温度補償周波数偏差の特性を表し、特性37は補償結果の特性を表す。この結果より、現在温度補償発振器では通常仕様で−20〜70℃(Bで囲まれた範囲)で±2.5ppm以内の結果が示されているので、本発明回路では十分この仕様を満足できる。
【0015】
【発明の効果】
以上記載のごとく請求項1の発明によれば、関数発生部の出力とセンサ部の出力電圧を合成した時に近似3次関数的に変化する制御電圧を発生させ、ローパスフィルタを介して可変容量素子に印加するので、可変容量素子の容量変化によりATカットによる水晶振動子の温度特性を正確に補正することができる。
また請求項2では、関数発生の手段が可変抵抗素子と演算増幅器を使用して可変抵抗素子と演算増幅器の帰還抵抗の比により演算増幅器の利得を変化させて単調増加近似3次関数の電圧を発生するので、簡単な回路構成で比較的正確な3次関数の電圧を発生することができる。
また請求項3では、演算増幅器の利得制御により単調増加近似3次関数の電圧を生成するので、制御が容易となり回路構成が簡略化される。
また請求項4では、センサ部との電圧と関数発生部の出力電圧を合成するので、単調増加近似3次関数から近似3次関数へ変換することができる。
また請求項5では、演算増幅器の出力を容量素子を介してこの演算増幅器の同相入力に帰還するので、アクティブ・ローパスフィルタを構成し、位相雑音特性を改善することができる。
また請求項6では、可変抵抗素子としてpin接合型ダイオードを用いるので、抵抗変化に対する信号の減衰量を少なくすることができる。
また請求項7では、可変容量素子として可変容量ダイオードや印加電圧により容量が可変する半導体デバイスを用いることもできるので、回路構成に幅が拡がり、それに伴って回路特性のバリエーションが広くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る温度補償方式のブロック図である。
【図2】本発明の図1の温度補償方式の動作を説明する説明図である。
【図3】本発明の温度補償方式の実施形態の一例を示す回路図である。
【図4】携帯電話に使用されている水晶振動子(At−Cut)の切断角度の違いによる温度特性を示す図である。
【図5】本発明の関数発生部102の回路図である。
【図6】本発明の図5の関数発生部102の入出力特性を示す図である。
【図7】本発明の温度に対する可変容量ダイオードへの入力電圧及び水晶振動子の補償周波数偏差を示す図である。
【図8】本発明のダイオードとしてJDP2S04Eを使用した場合の振動子の温度特性と温度補償周波数偏差及び補償のシミュレーション結果を示す図である。
【図9】本発明の図3に使用されるpinダイオード(JDP2S04E)の特性図である。
【図10】本発明のローパスフィルタ部103のシミュレーション回路図である。
【図11】本発明のローパスフィルタ部のシミュレーション結果を示す図である。
【図12】本発明のダイオードとして1S953を使用した場合の振動子の温度特性と温度補償周波数偏差及び補償のシミュレーション結果を示す図である。
【図13】従来の直接温度補償方式の補償回路の一例を示す図である。
【図14】従来技術として実開昭61−95104号公報に開示されている温度補償水晶発振器のブロック図である。
【図15】従来の温度補償方式を説明するための図である。
【図16】従来の2つの演算増幅器110、111で構成された1つの分割回路を示す図である。
【図17】従来技術として実開昭61−95104号公報に開示されている温度補償水晶発振器のブロック図である。
【図18】実開昭61−95104号公報の動作を説明する説明図である。
【符号の説明】
1、2 コンデンサ、3、4 電圧可変抵抗素子、11 水晶振動子、12 水晶発振回路、14 可変容量ダイオード、101 温度センサ部、102 関数発生部、103 ローパスフィルタ部、104 基準電圧発生部
Claims (7)
- 所定の周波数で励振される圧電素子を備えた圧電振動子と、該圧電素子に電流を流して励振させる発振用増幅器と、温度変化による発振周波数の変化を補償する周波数温度補償回路と、を備えた圧電発振器であって、
前記周波数温度補償回路は、周囲温度を検出して電圧変化に変換する温度センサ部と、該温度センサ部からの入力電圧に基づいて近似3次関数を発生する関数発生部と、前記センサ部と関数発生部との出力値を合成して反転増幅し、更に低ノイズ化を図るローパスフィルタ部と、所定の電位を有する基準電圧を発生する基準電圧発生部と、前記ローパスフィルタ部の出力電圧に基づいて容量が変化する可変容量素子と、を備え、
前記関数発生部は、前記圧電素子が有する3次関数の温度特性の低温側の起点から高温側の終点までの各変曲点において、夫々増幅利得を変化させることにより、単調増加近似3次関数の電圧を出力し、該単調増加近似3次関数電圧と前記温度センサ部からの出力電圧とを合成して前記ローパスフィルタ部を介して前記可変容量素子に印加することにより、前記圧電発振器の負荷容量を変化させて前記圧電振動子の発振周波数の温度特性を補償することを特徴とする温度補償型圧電発振器。 - 前記関数発生部は、複数の抵抗素子と、順方向電圧値により順方向抵抗が変化する2つの可変抵抗素子と、帰還抵抗を有する演算増幅器とを備え、
前記2つの可変抵抗素子の極性が異なるように並列接続し、前記温度センサ部の出力電圧に基づいて前記2つの可変抵抗素子の順方向抵抗を変化させることにより、前記帰還抵抗との比率を変えて前記演算増幅器の利得を変化させることを特徴とする請求項1に記載の温度補償型圧電発振器。 - 前記関数発生部は、前記圧電素子が有する3次関数の温度特性の低温側の起点から低温側の変曲点に亘り、単位温度あたりの電圧が大きく変化するように利得を制御し、且つ前記低温側変曲点を越えた点より高温側変曲点に亘り、単位温度あたりの電圧が小さく変化するように利得を制御し、更に前記高温側変曲点を越えた点より前記高温側の終点に亘り、単位温度あたりの電圧が大きく変化するように利得を制御することにより、前記単調増加近似3次関数の電圧を出力することを特徴とする請求項1又は2に記載の温度補償型圧電発振器。
- 前記ローパスフィルタ部は、前記関数発生部と前記温度センサ部からの出力電圧とを合成することにより、前記単調増加近似3次関数から2つの変曲点を有する近似3次関数に変換した出力電圧を生成することを特徴とする請求項1に記載の温度補償型圧電発振器。
- 前記ローパスフィルタ部は、演算増幅器の出力を容量素子を介して該演算増幅器の同相入力に帰還することにより、補償電圧に重畳する高周波雑音を遮断するローパスフィルタを構成することを特徴とする請求項1又は4に記載の温度補償型圧電発振器。
- 前記可変抵抗素子としてpin接合型ダイオードを用いたことを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の温度補償型圧電発振器。
- 前記可変容量素子はバラクタ、可変容量ダイオード若しくは、印加電圧により容量が可変する半導体デバイスを用いたことを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の温度補償型圧電発振器。
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-
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