JP2005005391A - 半導体装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】半導体装置10は、半導体素子11とヒートシンク12の間に熱応力を緩和する中間層13を設けて形成される。好ましくは、半導体素子11とヒートシンク12の間に熱応力を緩和する中間層を含む積層板14を設けて形成される。半導体素子11は、パワートランジスタやパワーFET、またIGBTなどのパワーデバイスであり、シリコン半導体などで形成されている。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体装置に関し、特に、半導体素子の発熱による装置の反りを抑止する半導体装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、電力変換や電力制御、または、大電力の増幅・発振等の目的でパワーデバイスと呼ばれる半導体素子を用いることが多い。この半導体素子には、バイポーラトランジスタやIGBT、パワーIC、MOSFET等があり、いずれも変換や制御の効率が高く小型であるという利点を備える。
【0003】
しかし、上記半導体素子は、大電流が流れるゆえに発熱量が高く、自身の発する熱により破壊や特性の変化が起こるおそれがあり、効率的に冷却する必要がある。このため、これまで様々な冷却構造が提案されてきた。
【0004】
図2は、冷却構造を備えた従来の半導体装置の一例を示す。半導体装置100は、半導体素子101とヒートシンク102の間に絶縁板103と金属板104を設けて形成される。半導体素子101は、パワートランジスタやパワーFET、またIGBTなどのパワーデバイスであり、シリコン半導体などで形成されている。半導体素子101が動作するときには、ジュール熱により熱が発生し温度が上昇する。半導体素子101の温度が上昇するとオン抵抗が増加し、フィードバック制御などを行っているときには、さらに電流を流そうとして電圧がかけられ、電流が流れ、それによりジュール熱が増大し、温度がさらに上昇する。それにより、半導体素子101の損傷が発生してしまう。それを防ぐために、半導体装置100には、ヒートシンク102が設けられている。
【0005】
ヒートシンク102は、熱伝導度の良い銅やアルミニウムなどにより形成されており、半導体素子101から発生する熱を放熱するものである。それにより、半導体素子101の温度の上昇を防ぐことができる。それゆえ、放熱面積を大きくするように形成している。
【0006】
絶縁板103は、半導体素子101とヒートシンク102の電気的絶縁をとるためのものである。そのため、SiNなどの熱伝導性は良いが、電気的絶縁性を有する物質を用いる。
【0007】
金属板104は、半導体素子101と絶縁板103を支持するためのものであり、また、ヒートシンク102に半導体素子101からの熱を伝導するためのものである。そのために、熱伝導性が良く、また、強固のものである銅板などを用いる。
【0008】
ヒートシンク102は、半導体素子101で発生し、絶縁板103と金属板104を伝導してきた熱を放散するためのものであり、空気との接触面積を大きくする構造としており、銅やアルミニウムやモリブデン、または、それらの合金などから形成されている。これらの半導体素子101と絶縁板103と金属板104とヒートシンク102は、半田やろう材などにより接合されている。
【0009】
この従来の半導体装置では、半導体素子の熱膨張係数に比べ銅やアルミニウム等の金属の熱膨張係数が大きいため、半導体素子の発熱に伴い膨張した金属により熱応力が発生し、装置自体が湾曲し、剥がれやクラック等が生じるという欠点があった。このような欠点を解決するため、絶縁基板とヒートシンクとの間の接合材を工夫し、強固に接合する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。この接合材には活性元素を含む硬ろう材を用いている。
【0010】
【特許文献1】
特開2002−43482公報(第6−7頁、第1図、第2図)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述した従来の半導体装置においては、金属とその他の素材により熱膨張係数の違いがあるため、半導体素子が発熱した場合に装置に反りが生じ、結果として剥がれやクラック等が生じるという欠点があった。したがって、半導体素子に高負荷をかけられずに、本来の性能を発揮できなかったり、水冷装置やファン等の強制空冷装置が必要になり、機器が大型化したりする問題があった。また、特許文献1に記載の技術を用いた場合、接合材自身の熱伝導率が悪いため、ヒートシンクに熱を伝え拡散するという半導体装置の性能を損じ、結果的に半導体素子が効率的に冷却されないために半導体素子本来の性能を発揮できなかった。また、接合材は高価であり、半導体装置のコストアップの要因となっていた。
【0012】
本発明の目的は、上記問題を解決するため、半導体素子が発熱したときの反りを少なくした半導体装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段および作用】
本発明に係る半導体装置は、上記の目的を達成するために、次のように構成される。
【0014】
第1の半導体装置(請求項1に対応)は、半導体素子とヒートシンクの間に熱応力を緩和する中間層を設けたことで特徴づけられる。
【0015】
第1の半導体装置によれば、半導体素子とヒートシンクの間に熱応力を緩和する中間層を設けたため、半導体素子によって発生する熱により生じる半導体素子の熱膨張とヒートシンクの熱膨張の違いによる熱応力を中間層により緩和することができ、半導体装置の反りを低減することができる。
【0016】
第2の半導体装置(請求項2に対応)は、半導体素子とヒートシンクの間に熱応力を緩和する中間層を含む積層板を設けたことで特徴づけられる。
【0017】
第2の半導体装置によれば、半導体素子とヒートシンクの間に熱応力を緩和する中間層を含む積層板を設けたため、半導体素子によって発生する熱により生じる半導体素子の熱膨張と積層板の各層の熱膨張とヒートシンクの熱膨張の違いによる熱応力を中間層により緩和することができ、半導体装置の反りを低減することができる。
【0018】
第3の半導体装置(請求項3に対応)は、上記の構成において、好ましくは積層板は、半導体素子と接合する第1の金属板と、その第1の金属板の半導体素子と反対側に接合する熱応力を緩和する中間層と、中間層の第1の金属板との接合面と反対側に接合する第2の金属板と、その第2の金属板の中間層との接合面の反対側に接合する絶縁体と、その絶縁体の第2の金属板との接合面の反対側に接合する第3の金属板からなることで特徴づけられる。
【0019】
第3の半導体装置によれば、積層板は、半導体素子と接合する第1の金属板と、その第1の金属板の半導体素子と反対側に接合する熱応力を緩和する中間層と、中間層の第1の金属板との接合面と反対側に接合する第2の金属板と、その第2の金属板の中間層との接合面の反対側に接合する絶縁体と、その絶縁体の第2の金属板との接合面の反対側に接合する第3の金属板からなるため、半導体素子によって発生する熱により生じる半導体素子の熱膨張と積層板の各層の熱膨張とヒートシンクの熱膨張の違いによる熱応力を中間層により緩和することができ、半導体装置の反りを低減することができる。また、積層板には金属板を含むので熱伝導性が良く、半導体素子により生じる熱を良好にヒートシンクに伝導することができ、良好に放熱することができる。
【0020】
第4の半導体装置(請求項4に対応)は、上記の構成において、好ましくは第2の金属板の厚さと第3の金属板の厚さが等しいことで特徴づけられる。
【0021】
第4の半導体装置によれば、第2の金属板の厚さと第3の金属板の厚さが等しいため、熱衝撃耐久性を良好にすることができ、積層板の各層の剥がれをなくすことができる。
【0022】
第5の半導体装置(請求項5に対応)は、上記の構成において、好ましくは熱応力を緩和する中間層は、カーボン・銅複合材料からなることで特徴づけられる。
【0023】
第5の半導体装置によれば、熱応力を緩和する中間層は、カーボン・銅複合材料からなるため、ヤング率が小さいカーボン・銅複合材料からなる中間層に熱応力が集中して、半導体素子の熱膨張と積層板の各層の熱膨張と、ヒートシンクの熱膨張の差による半導体装置の反りを低減することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0025】
図1は、本実施形態に係る半導体装置の断面図である。半導体装置10は、半導体素子11とヒートシンク12の間に熱応力を緩和する中間層13を設けて形成される。好ましくは、半導体素子11とヒートシンク12の間に熱応力を緩和する中間層を含む積層板14を設けて形成される。半導体素子11は、パワートランジスタやパワーFET、またIGBTなどのパワーデバイスであり、シリコン半導体などで形成されている。半導体素子11が動作するときには、ジュール熱により熱が発生し温度が上昇する。半導体素子11の温度が上昇するとオン抵抗が増加し、フィードバック制御などを行っているときには、さらに電流を流そうとして電圧がかけられ、電流が流れ、それによりジュール熱が増大し、温度がさらに上昇する。それにより、半導体素子11の損傷が発生してしまう。それを防ぐために、半導体装置10には、ヒートシンク12が設けられている。
【0026】
ヒートシンク12は、熱伝導度の良い銅やアルミニウムやモリブデン、または、それらの合金などにより形成されており、半導体素子11から発生する熱を放熱するものである。それにより、半導体素子11の温度の上昇を防ぐことができる。それゆえ、放熱面積を大きくするように形成している。
【0027】
積層板14は、半導体素子11で発生した熱をヒートシンクまで伝導させ放熱するところである。この積層板14は、半導体素子11と半田やろう材などの接合材によって接合する第1の金属板15と、その第1の金属板15の半導体素子11と反対側に半田やろう材などの接合材によって接合する熱応力を緩和する中間層13と、その中間層13の第1の金属板15との接合面と反対側に半田やろう材などの接合材によって接合する第2の金属板17と、その第2の金属板17の中間層13との接合面の反対側に半田やろう材などの接合材によって接合した絶縁体18と、その絶縁体18の第2の金属板17との接合面の反対側に半田やろう材などの接合材によって接合する第3の金属板19からなっている。第1の金属板15の半導体素子11を接合する側の面には表面にNiメッキ20を施してある。Niメッキ20は、半導体素子のろう付け性やワイヤボンド性を確保するためのものである。第1の金属板15は、半導体素子11のろう付け性やワイヤボンド性を確保し、また、熱を面方向へ拡散するためのものである。そのために、比較的薄いが熱伝導度の高い銅板などを用いる。
【0028】
中間層13は、半導体素子11で発生する熱による、半導体素子11の熱膨張と積層板14の各層の熱膨張と、ヒートシンク12の熱膨張の差による熱応力を緩和するためのものである。そのために、積層面方向の弾性定数が小さい材料を用い、例えば、カーボン・銅複合材料を用いる。
【0029】
第2の金属板17は、半導体素子11で発生し、第1の金属板15と中間層13を通して伝導する熱を一時的に溜め、そして、下面に接合した絶縁体18と第3の金属板19を介してヒートシンク12に熱を伝導するためのものである。そのために、比較的厚く、熱伝導度の高い銅板などを用いる。
【0030】
絶縁体18は、半導体素子11とヒートシンク12の電気的絶縁をとるためのものである。そのため、SiNなどの熱伝導性は良いが、電気的絶縁性を有する物質を用いる。
【0031】
第3の金属板19は、上部の積層構造を支持するためのものであり、また、ヒートシンク12に半導体素子11からの熱を伝導するためのものである。そのために、熱伝導性が良く、また、強固のものである銅板などを用いる。また、第3の金属板の厚さと第2の金属板の厚さの差をなくすほうが好ましい。
【0032】
ヒートシンク12は、半導体素子11で発生し、上部の積層構造を伝導してきた熱を放散するためのものであり、空気との接触面積を大きくする構造としており、銅やアルミニウムやモリブデン、または、それらの合金などから形成されている。
【0033】
なお、これらの板材は、Mgの粉をまぶしたTi−Cu箔を挟み、N2の雰囲気中で加圧の上、アニールすることによって接合しても良い。
【0034】
次に、本実施形態に係る半導体装置10の作用を説明する。半導体装置10の半導体素子11の動作中に発生する熱は、第1の金属板15に伝導し、また、第1の金属板15は熱伝導性が良いので、第1の金属板15の面方向にも広がり伝導する。また、第1の金属板15の温度も上昇する。それにより、温度発生前より熱膨張する。第1の金属板15内に伝導した熱は、中間層13に伝導し、また、中間層13も温度上昇する。中間層13に伝導した熱は、第2の金属板17に伝導し、また、第2の金属板17の温度が上昇し、熱膨張する。第2の金属板17に伝導した熱は、絶縁体18と第3の金属板19を伝導し、ヒートシンク12まで伝導し、ヒートシンク12により、放散し、それにより、半導体素子11の熱は、放散し、温度上昇の量を少なくすることができる。
【0035】
このとき、半導体素子11、第1の金属板15、中間層13、第2の金属板17、絶縁体18、第3の金属板19、ヒートシンク12の温度は、半導体素子11が発熱する前よりも高温になる。これにより、各層はそれぞれの物質の熱膨張係数で熱膨張しようとする。そのとき、熱応力が発生する。面方向で弾性係数が小さいカーボン・銅複合材料で形成された中間層13により、その熱応力が緩和され、半導体装置10に発生する熱応力が低減され、反りを低減することができる。
【0036】
実験計画法により、分離・明確にした要因効果から、適当な厚さのカーボン・銅複合材料を中間層として設けることで、積層板は、第1の金属板の厚さと第2の金属板の厚さと第3の金属板の厚さを調整することで反りを少なくすることができることが分かった。また、第2の金属板と第3の金属板の厚さの差がないものでは熱衝撃耐久性があることが分かった。このように、熱応力を緩和する中間層を半導体素子とヒートシンクの間に設けたことで、半導体装置の熱による反りを低減することができる。
【0037】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように本発明によれば、次の効果を奏する。
【0038】
半導体素子とヒートシンクの間に熱応力を緩和する中間層を設けたため、半導体素子によって発生する熱により生じる半導体素子の熱膨張とヒートシンクの熱膨張の違いによる熱応力を中間層により緩和することができ、半導体装置の反りを低減することができる。
【0039】
また、半導体素子とヒートシンクの間に熱応力を緩和する中間層を含む積層板を設けたため、半導体素子によって発生する熱により生じる半導体素子の熱膨張と積層板の各層の熱膨張とヒートシンクの熱膨張の違いによる熱応力を中間層により緩和することができ、半導体装置の反りを低減することができる。
【0040】
さらに、積層板は、半導体素子と接合する第1の金属板と、その第1の金属板の半導体素子と反対側に接合する熱応力を緩和する中間層と、中間層の第1の金属板との接合面と反対側に接合する第2の金属板と、その第2の金属板の中間層との接合面の反対側に接合する絶縁体と、その絶縁体の第2の金属板との接合面の反対側に接合する金属板からなるため、半導体素子によって発生する熱により生じる半導体素子の熱膨張と積層板の各層の熱膨張とヒートシンクの熱膨張の違いによる熱応力を中間層により緩和することができ、半導体装置の反りを低減することができる。また、積層板には金属板を含むので熱伝導性が良く、半導体素子により生じる熱を良好にヒートシンクに伝導することができ、良好に放熱することができる。
【0041】
また、熱応力を緩和する中間層は、カーボン・銅複合材料からなるため、ヤング率が小さいカーボン・銅複合材料からなる中間層に熱応力が集中して、半導体素子の熱膨張と積層板の各層の熱膨張と、ヒートシンクの熱膨張の差による半導体装置の反りを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る半導体装置の断面図である。
【図2】従来の半導体装置の断面図である。
【符号の説明】
10 半導体装置
11 半導体素子
12 ヒートシンク
13 中間層
14 積層板
15 第1の金属板
17 第2の金属板
18 絶縁体
19 第3の金属板
Claims (5)
- 半導体素子とヒートシンクの間に熱応力を緩和する中間層を設けたことを特徴とする半導体装置。
- 半導体素子とヒートシンクの間に熱応力を緩和する中間層を含む積層板を設けたことを特徴とする半導体装置。
- 前記積層板は、前記半導体素子と接合する第1の金属板と、
その第1の金属板の前記半導体素子と反対側に接合する前記熱応力を緩和する中間層と、
前記中間層の前記第1の金属板との接合面と反対側に接合する第2の金属板と、
その第2の金属板の前記中間層との接合面の反対側に接合する絶縁体と、
その絶縁体の前記第2の金属板との接合面の反対側に接合する第3の金属板からなることを特徴とする請求項2記載の半導体装置。 - 前記第2の金属板の厚さと前記第3の金属板の厚さが等しいことを特徴とする請求項3記載の半導体装置。
- 前記熱応力を緩和する中間層は、カーボン・銅複合材料からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導体装置。
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