JP2005003902A - 有機エレクトロルミネッセンス装置、及びその駆動方法、並びに電子機器 - Google Patents
有機エレクトロルミネッセンス装置、及びその駆動方法、並びに電子機器 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】電界の印加により発光する発光層を有する発光素子(有機EL素子)3を具備した有機エレクトロルミネッセンス装置において、前記発光素子3に、画素選択期間内で順バイアス電圧と逆バイアス電圧とを交互にスイッチングして印加する素子制御部(素子駆動手段)CONTが設けられており、前記素子制御部CONTにより印加される前記順バイアス電圧により前記発光素子3が定電流駆動され、続いて印加される前記逆バイアス電圧の波高値が、前記順バイアス電圧とほぼ同一の波高値である構成とした。
【選択図】 図3
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス装置、及びその駆動方法、並びに電子機器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
次世代の表示装置として、有機エレクトロルミネッセンス表示装置(有機EL表示装置)が期待されている。有機EL表示装置は、発光層を上下の電極間に挟持した有機EL素子を基板面内に複数配列して構成され、各有機EL素子を独立に駆動制御することで所望の表示を行うようになっている。この有機EL表示装置では、駆動初期には高輝度で発光することが可能であるが、連続的に発光を行うと徐々に効率が低下し、輝度が低下するという問題を有していた。そこで、有機EL素子の長寿命化を図るべく、有機EL素子を交流駆動とした有機EL装置(特許文献1参照)や、正弦波の交流駆動とした有機EL装置(特許文献2参照)が提案されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平8−180972号公報
【特許文献2】
特開2000−30862号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記各文献に記載の技術によれば、上記個別の問題点について一応の解決手段を提供することが可能であると思われる。しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、点灯に費やせる期間を長くでき、比較的高輝度の表示が可能であると考えられるものの、その分逆バイアス電圧の波高値が高くなり、逆バイアス電圧による有機EL素子の絶縁破壊を起こし易くなるという問題点を有している。一方、特許文献2に記載の技術では、順方向の電流、ないし逆バイアス電圧についてリミットを設け、有機EL素子の絶縁破壊の防止を図っている。しかし、交流駆動波形として正弦波を用いるため、大容量表示に対応できる駆動波形を印加するのは、駆動にICを用いる以上かなり難しい。また、上記特許文献1,2に記載の技術では、駆動時に完全な交流電界(波高値、電荷総量において順逆で同等となる電界)を印加することができないため、駆動中に素子内部に電荷の偏りが発生し、電極、電荷注入輸送層、発光層の分解を引き起こすおそれがある。そのため、表示装置として充分な寿命を確保することが極めて困難になる。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みて成されたものであって、有機EL素子の長寿命化を実現した有機エレクトロルミネッセンス装置、及びその駆動方法を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の有機エレクトロルミネッセンス装置は、電界の印加により発光する発光層を有する有機EL素子を具備した有機エレクトロルミネッセンス装置であって、前記有機EL素子に、画素選択期間内で順バイアス電圧と逆バイアス電圧とを交互にスイッチングして印加する素子駆動手段が設けられており、前記素子駆動手段により印加される前記順バイアス電圧により前記有機EL素子が定電流駆動され、続いて印加される前記逆バイアス電圧の波高値が、直前に印加された前記順バイアス電圧の波高値とほぼ同一の波高値とされていることを特徴とする。
本発明では、回路的にみてダイオードと等価な有機EL素子において、円滑に電流が流れる方向(順方向)に印加される電圧を前記順バイアス電圧とし、逆に電流がほとんど流れない方向(逆方向)に印加される電圧を前記逆バイアス電圧としている。
上記構成によれば、前記素子駆動手段から印加される順バイアス電圧により前記有機EL素子が定電流駆動されるとともに、前記逆バイアス電圧の印加によって、発光動作に伴い有機EL素子に蓄積された電荷を解放することができる。これにより、有機EL素子の発光輝度制御を良好に行うことができるとともに、印加された順バイアス電圧に応じて蓄積した電荷を同電圧の逆バイアス電圧により解放するので、発光層における電荷のバランスがとれ、効果的に有機EL素子の寿命を延ばすことが可能である。従って、本構成によれば、長期間に渡り使用可能な有機エレクトロルミネッセンス装置を提供することができる。
【0007】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス装置では、前記素子駆動手段により前記有機EL素子に印加される逆バイアス電圧の波高値が、その直前に前記有機EL素子に印加された順バイアス電圧の波高値未満であることが好ましい。
有機EL素子に印加される逆バイアス電圧は、回路的に見てダイオードを成す有機EL素子の逆方向に印加される電圧であるため、過大な逆電圧は素子破損の原因となるおそれがある。そこで、上記のように直前に印加された順バイアス電圧より低い逆バイアス電圧を印加する構成とすることで、逆バイアス電圧による素子の破損の可能性を低減しつつ、有機EL素子の寿命を延ばす効果を得ることが可能になる。
【0008】
次に、本発明の有機エレクトロルミネッセンス装置は、電界の印加により発光する発光層を有する有機EL素子を具備した有機エレクトロルミネッセンス装置であって、前記有機EL素子に、画素選択期間内で順バイアス電圧と逆バイアス電圧とを交互にスイッチングして印加する素子駆動手段が設けられており、前記素子駆動手段により印加される前記順バイアス電圧により前記有機EL素子が定電流駆動され、前記逆バイアス電圧の波高値が、前記順バイアス電圧の波高値以下の一定の波高値であることを特徴とする。
この構成によれば、上記逆バイアス電圧の印加により、発光動作に伴って有機EL素子に蓄積した電荷の解放を行うことができ、かつ有機EL素子に印加される逆バイアス電圧が、順バイアス電圧の波高値以下の一定の波高値とされていることで、逆バイアス電圧の印加による有機EL素子の破損を防止した、長寿命の有機エレクトロルミネッセンス装置を提供することができる。
尚、上記順バイアス電圧は、有機EL素子の劣化による輝度低下に伴い、経時的に徐々に上昇していくため、上記逆バイアス電圧の波高値は、実質的には駆動初期における順バイアス電圧の波高値以下として設定される。
【0009】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス装置では、前記逆バイアス電圧の波高値が、前記順バイアス電圧の波高値未満であることが好ましい。
この構成によれば、上記逆バイアス電圧の印加による素子破損の可能性をさらに低減でき、長寿命の有機エレクトロルミネッセンス装置を提供することができる。
【0010】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス装置では、前記有機EL素子の階調方式が、電流階調である構成とすることができる。
また本発明の有機エレクトロルミネッセンス装置では、前記有機EL素子の階調方式が、時間階調である構成とすることもできる。
上記いずれの階調方式においても、本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス装置では、順バイアス電圧を印加するサブフレームに続くサブフレームにて逆バイアス電圧の印加を行うことができるので、逆バイアス電圧による有機EL素子の長寿命化効果を得ることができる。
【0011】
次に、本発明の有機エレクトロルミネッセンス装置の駆動方法は、電界の印加により発光する発光層を有する有機EL素子を具備した有機エレクトロルミネッセンス装置の駆動方法であって、1フレームを複数のサブフレームに分割し、1サブフレームにおいて順バイアス電圧を印加することにより前記有機EL素子を定電流駆動し、続くサブフレームにおいて前サブフレームで印加した前記順バイアス電圧の波高値とほぼ同一の波高値の逆バイアス電圧を印加することを特徴とする。
この駆動方法によれば、前記順バイアス電圧により前記有機EL素子を定電流駆動するとともに、前記逆バイアス電圧の印加によって、発光動作に伴い有機EL素子に蓄積された電荷を解放することができる。これにより、有機EL素子の発光輝度制御を良好に行うことができ、また、印加された順バイアス電圧に応じて蓄積した電荷を同電圧の逆バイアス電圧により解放することで、発光層における電荷のバランスがとれ、効果的に有機EL素子の寿命を延ばすことが可能になる。
【0012】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス装置の駆動方法では、前記逆バイアス電圧の波高値を、直前に印加した前記順バイアス電圧の波高値以下とすることが好ましい。
この駆動方法によれば、逆バイアス電圧の印加による有機EL素子の破損を効果的に防止しつつ、長期間に渡り有機エレクトロルミネッセンス装置を駆動することができる。
【0013】
次に、本発明の有機エレクトロルミネッセンス装置の駆動方法は、電界の印加により発光する発光層を有する有機EL素子を具備した有機エレクトロルミネッセンス装置の駆動方法であって、1フレームを複数のサブフレームに分割し、1サブフレームにおいて順バイアス電圧を印加することにより前記有機EL素子を定電流駆動し、続くサブフレームにおいて前記有機EL素子に、一定の波高値の前記逆バイアス電圧を印加することを特徴とする。
この駆動方法によれば、上記逆バイアス電圧の印加により、発光動作に伴って有機EL素子に蓄積した電荷の解放を行うことができ、また有機EL素子に印加される逆バイアス電圧を、順バイアス電圧の波高値以下の一定の波高値としたことで、逆バイアス電圧の印加による有機EL素子の破損を防止することができる。
【0014】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス装置の駆動方法では、前記逆バイアス電圧の波高値を、前記順バイアス電圧の波高値未満とすることが好ましい。この駆動方法によれば、逆バイアス電圧印加による素子破損の可能性をさらに低減できる。
【0015】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス装置の駆動方法では、前記有機EL素子の階調方式を、電流階調とすることができる。
また本発明の有機エレクトロルミネッセンス装置の駆動方法では、前記有機EL素子の階調方式を、時間階調とすることもできる。
上記いずれの階調方式も、本発明に係る駆動方法に好適に用いることができ、いずれの階調方式においても、順バイアス電圧を印加するサブフレームに続くサブフレームにて前記逆バイアス電圧を有機EL素子に印加でき、素子の発光寿命を延ばすことができる。
【0016】
次に、本発明の電子機器は、先に記載の本発明の有機エレクトロルミネッセンス装置を備えたことを特徴とする。この構成によれば、有機EL素子の発光動作に伴い前記発光層に蓄積される電荷を、前記逆バイアス電圧の印加により減少させることで、素子の長寿命化を実現した本発明の有機エレクトロルミネッセンス装置を備えたことで、長寿命の表示部を備えた電子機器を提供することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の有機エレクトロルミネッセンス装置について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施の形態である有機エレクトロルミネッセンス装置の概略断面図である。以下の説明では有機エレクトロルミネッセンス(EL;electroluminescence)装置を適宜「有機EL装置」と称する。また、以下の説明では、有機EL装置として、発光層からの発光光を基板側から取り出す形態である所謂「ボトムエミッション型」の有機EL装置を例にして説明する。
【0018】
図1に示す有機EL装置1は、光を透過可能な基板2と、基板2の一方の面に設けられた複数の発光素子(有機EL素子)3と、これらの発光素子3とそれぞれ電気的に接続された素子制御部(素子駆動手段)CONTと、基板2の素子形成面側に披着された封止基板12とを主体として構成されている。
発光素子3は、一対の電極(陽極4及び陰極7)に挟持された有機エレクトロルミネッセンス材料からなる発光層(EL層)6と正孔注入/輸送層5とを備えており、陽極4にて素子駆動手段としての素子制御部CONTと電気的に接続されている。図示した3つの発光層6はそれぞれ赤色(R)、緑色(G)、及び青色(B)の3色の発光層により構成され、これら3色の発光素子3(ドット)が、有機EL装置1の1画素を構成している。
また、封止基板12と基板2とは図示略の接着層を介して接着されており、封止基板12及び接着層により有機EL素子3が封止されている。また、封止基板12の内面側に、封止された空間の水分を除去するための乾燥剤が配設されている。先に記載のように、図1に示す有機EL装置1は発光層6からの発光を基板2側から装置外部に取り出す形態(ボトムエミッション型、基板側発光型)である。
【0019】
図2は、図1に示す有機EL装置1のうち、1色(例えば青色(B))の発光層6を含む要部を拡大して示す部分断面構成図である。図2に示すように、基板2上に、陽極4と、正孔注入/輸送層5と、発光層6と、陰極7とが順次積層され、陽極4及び陰極7を介して発光素子3(発光層6)に所定値の電界を印加する素子制御部(素子駆動手段)CONTが電気的に接続されている。この素子制御部CONTは、本実施形態において、図示略の電源装置から供給される電力を、当該発光素子3の階調に応じて適宜スイッチングすることにより発光素子3の発光状態を制御するものであり、一例を挙げるならば、表示回路から供給されるデータに応じて発光素子3への印加電圧情報を出力する第1のスイッチング素子と、第1のスイッチング素子から出力される印加電圧情報に基づき、電源線から発光素子へ電圧を印加する第2のスイッチング素子とを備えた構成とすることができる。
【0020】
また、係る素子制御部CONTを介して発光素子3に電力を供給する電源装置は、回路的に見てダイオードを成す発光素子3の順方向と、逆方向とにパルス状の電圧をそれぞれ印加可能に構成されており、一例を示すならば、図3に示すように、定電圧源Eと定電流源Jとが、オシレータ等の整流回路Oを備えたスイッチング回路Sに接続された構成の電源装置を用いることができる。
図3に示す電源装置は、前記定電圧源Eと定電流源Jとを、前記スイッチング回路Sにおいて整流回路Oから供給される所定の波形に基づき周期的に切り替えることで、素子制御部CONTに対して周期的なパルス電圧を供給できるようになっている。そして、本実施形態の場合、上記定電流源Jが発光素子3に順バイアス電圧を供給し、定電圧源Eが発光素子3に逆バイアス電圧を供給するようになっており、各発光色の発光素子3毎に異なる逆バイアス電圧を印加可能に構成されている。
このように、発光素子3を発光させるための順バイアス電圧は定電流駆動とし、逆バイアス電圧は定電圧で印加するように構成することで、発光素子3に対して過大な逆バイアス電圧が印加されるのを防止でき、逆バイアス電圧による発光素子3の破損を防止することができる。
【0021】
また、本実施形態の有機EL装置1では、図3に示すように、さらに各発光素子3の電荷注入総量を記憶する電荷注入量記憶手段Mを備えた構成とすることができる。そして、この電荷注入量記憶手段Mに蓄積された電荷注入総量に基づき前記素子駆動手段CONTにより各発光素子3に対して印加される逆バイアス電圧を決定する構成とすれば、駆動時間の経過とともに輝度が低下する有機EL素子を、その駆動履歴に応じて制御することが可能になる。
【0022】
基板2はガラス等を形成材料とし発光層6から発光する光に対して透過性を有する透明基板であり、陽極4はインジウム錫酸化物(ITO:Indium Tin Oxide)等を形成材料とし発光層6から発光する光に対して透過性を有する透明電極である。正孔注入/輸送層5及び発光層6は有機エレクトロルミネッセンス材料により形成されている。陰極7はアルミニウム(Al)やマグネシウム(Mg)、金(Au)、銀(Ag)等の金属を形成材料とし発光層6から発光する光に対して反射性を有する反射電極である。また、陰極7と発光層6との間にフッ化リチウム(LiF)やカルシウム(Ca)等を設けることができる。上述したように、本実施形態における有機EL装置1は、発光層6から発光した光を陽極4及び基板2を介して有機EL装置1外部に取り出す形態である所謂「ボトムエミッション型」の有機EL装置である。
【0023】
本実施形態の有機EL装置1では、素子制御部CONTから、例えば図4に示すような略矩形波状の波形にて電圧が供給されて各発光素子3の発光を行うようになっており、1選択期間(すなわち1フレーム)を複数の期間(サブフレーム)に分割するとともに、前記各サブフレームにおいてそれぞれ順バイアス電圧の印加又は逆バイアス電圧の印加が行われるようになっている。
素子制御部CONTにより陽極4及び陰極7を介して発光素子3に順バイアス電圧が印加されると、陽極4から正孔注入/輸送層5を介して発光層6に正孔が注入されるとともに、陰極7から発光層6に電子が注入される。そして、陽極4側から注入された正孔と陰極7側から注入された電子とが発光層6内で再結合し、再結合した際に発生するエネルギーにより発光層6内における周囲の分子が励起され、励起状態の励起分子が基底状態に失括する際の差分エネルギーが光として放出される。この発光層6内における正孔と電子との再結合領域が発光層6の発光領域8となる。
【0024】
そして、上記順バイアス電圧の印加に続いて逆バイアス電圧の印加が行われると、ダイオードを成す発光素子3では電流がほとんど流れず、発光が停止される。また、このような逆バイアス電圧の印加を行うと、上記発光動作により発光層6に生じた電荷の蓄積を減少させることができ、これにより前記電荷の蓄積に起因して生じる発光素子3の劣化を効果的に防止できるようになっている。
このようにして、本実施形態の有機EL装置1では、発光素子3のオン/オフを周期的に繰り返すことで表示を行うとともに、効果的に発光素子3に蓄積した電荷の解放を行い、素子の劣化を回復するようになっている。
【0025】
本実施形態の有機EL装置1は、階調表示を行うための駆動方式として、電流階調方式、時間階調方式のいずれも適用できる。電流階調方式では、前記サブフレームにおいて発光素子3に印加する順バイアス電圧を調整し、もって1フレーム内で発光素子3に流れる電流値を調整することにより、発光素子3の輝度を増減させて階調表示を行う。また、時間階調方式では、前記サブフレームにおける発光素子3の発光時間(順バイアス電圧の印加時間)を増減させることで階調表示を行う。
いずれの駆動方式により駆動した場合にも、本実施形態の有機EL装置1は、前記発光動作を行うサブフレームの後のサブフレームにおいて逆バイアス電圧を印加するようになっており、係る逆バイアス電圧印加によって蓄積電荷を解放する作用により発光素子3の劣化を防止しつつ、表示の色バランスを維持することができるようになっている。
【0026】
以上の構成を備えた本実施形態のEL装置1は、各発光素子3に備えられた素子制御部CONTにより発光素子3の駆動を行うことで、発光素子3への逆バイアス電圧の印加による素子の破損を効果的に防止しつつ、発光素子3の発光寿命を著しく向上させることができるようになっている。以下、本発明に係る駆動方法の各実施の形態とともに、さらに詳細に説明する。
【0027】
<駆動方法の第1実施形態>
まず、本発明に係る有機EL装置の駆動方法の第1実施形態について、図4を参照して説明する。図4は、本駆動方法を適用した有機EL装置1において、素子制御部CONTから発光素子3に印加される電圧波形を示す説明図である。
本実施形態の駆動方法は、複数の発光色の発光素子3を備えた有機EL装置1において、素子制御部CONTにより発光素子3に対して順逆のバイアス電圧をスイッチングしながら印加するとともに、逆バイアス電圧の印加に際して、直前に印加した順バイアス電圧とほぼ同一の波高値の逆バイアス電圧を印加する方法である。
【0028】
有機EL素子である発光素子3は、順方向に印加される電界によって、発光層6に電荷の蓄積を生じ、それに起因して経時的に発光輝度が低下する。すなわち、図4に示すように、発光初期では電圧Va0により駆動していたとしても、定電流駆動するため、駆動電圧が徐々に上昇し、ある程度駆動時間が経過した時点では、より高い駆動電圧Vaが発光素子3に印加されるようになる。そして、このような駆動電圧Vaの上昇に伴い、発光層6に蓄積される電荷量も大きくなるため、本実施形態では、上記駆動電圧Vaの上昇に応じた波高値の逆バイアス電圧(Vb0〜Vb)を、発光素子3に対して印加するようになっている。この駆動方法によれば、順バイアス電圧の波高値とほぼ同一の波高値の逆バイアス電圧を印加するので、発光層6における電荷の蓄積と解放とのバランスをとることができ、発光素子3の寿命を延ばすことができる。また、図1に示すようなカラー表示の有機エレクトロルミネッセンス装置に適用すれば、各発光色の発光素子3の輝度低下の違いによる色バランスの変化を効果的に抑制することができ、長期間に渡り良好な色バランスを保持できるという効果も得られる。
【0029】
(第1の実施例)
本発明者は、先の実施形態の有機EL装置1を基本構成とする有機EL装置を作製し、各色の発光素子3を直流駆動した場合と、順逆のバイアス電圧を周期的に印加して駆動した場合の各発光素子3の寿命について検証を行った。その検証結果について以下に報告する。
本例では、ガラス基板2上に、ITOからなる陽極4をパターン形成し、この陽極4上にバイエル社製BytronP(商品名)を用いて正孔注入/輸送層5を形成し、この上に各色(赤、緑、青)の発光材料R1,G1,B1を成膜して発光層6を形成した後、陰極7を形成して封止基板12により発光素子3を封止して有機EL装置を作製した。そして、作製した有機EL装置に、図4に示す駆動波形の電圧を印加して、各色の発光素子3の寿命を測定した。測定結果を表1に示す。
尚、上記測定に際して各発光素子3に印加した順バイアス電圧Vaは、各発光素子3を定電流駆動するべく5V〜9Vの範囲内で適宜変化させた。また、逆バイアス電圧Vbは6Vとした。直流定電流駆動における印加電圧は、4.5V〜8.5Vの範囲内で適宜変化させた。
表1から明らかなように、各色の発光素子3に対して、順逆のバイアス電圧を周期的に印加する構成とすることで、発光素子3の輝度半減期を約2〜4倍程度にまで延ばすことが可能である。
【0030】
【表1】
【0031】
<駆動方法の第2実施形態>
次に、本発明に係る有機EL装置の駆動方法の第2実施形態について、図5を参照して説明する。図5は、本駆動方法を適用した有機EL装置1において、素子制御部CONTから発光素子3に印加される電圧波形を示す説明図である。
本実施形態の駆動方法は、先の第1実施形態の駆動方法同様に、複数色の発光素子3を備えた前記有機EL装置1に適用できる。そして、図5に示すように、発光素子3を定電流駆動するべく印加された順バイアス電圧Vaに続いて印加される逆バイアス電圧Vbとして、順バイアス電圧Vaより低い波高値の逆バイアス電圧Vbを発光素子3に対して印加する駆動方法である。
【0032】
有機EL素子を成す発光素子3は、順方向に印加される電界によって、発光層6に電荷の蓄積を生じ、それに起因して経時的に発光輝度が低下し、定電流駆動するための駆動電圧が徐々に上昇する。先の第1実施形態の駆動方法では、上記電圧上昇に応じて逆バイアス電圧の波高値も上昇させることとしたが、逆バイアス電圧Vbは、ダイオードを成す発光素子3の逆方向に印加されるため、順バイアス電圧Vaの波高値と一致させると、発光素子3の耐圧を超えてしまうことも考えられる。そこで、本実施形態では、駆動初期の順バイアス電圧Vaに基づきそれより低い波高値の逆バイアス電圧Vbを設定し、駆動期間中は前記設定された一定の逆バイアス電圧Vbを発光素子3に対して印加するようになっている。
この駆動方法によれば、発光素子3の劣化に伴い徐々に上昇する順バイアス電圧Vaによらず、一定の波高値の逆バイアス電圧Vbを印加するので、逆バイアス電圧Vbの印加により発光素子3に破損を生じさせることがない。従って、本駆動方法によれば、特に発光素子3の寿命後期において大きな寿命延長効果を得ることができ、もって発光素子の長寿命化を実現できる。
【0033】
(第2の実施例)
本発明者は、上記駆動方法の第2実施形態を適用することによる効果を、先の実施形態の有機EL装置1を基本構成とし、上記第2実施形態の駆動方法を適用した有機EL装置を作製して、その発光寿命を測定することにより検証している。その検証結果について以下に報告する。
本例では、ガラス基板2上に、ITOからなる陽極4をパターン形成し、この陽極4上にバイエル社製BytronP(商品名)を用いて正孔注入/輸送層5を形成し、この上に各色(赤、緑、青)の発光材料R1,G1,B1を成膜して発光層6を形成した後、陰極7を形成して封止基板12により発光素子3を封止して有機EL装置を作製した。
そして、作製した有機EL装置に、図5に示す駆動波形の電圧を印加して、各色の発光素子3の寿命を測定した。その測定結果を表2に示す。また、表2には、比較のために各発光素子3を直流定電流駆動した場合の輝度半減期も併記している。尚、上記発光寿命の測定において、各発光素子3に印加された逆バイアス電圧は、駆動初期において設定した6Vで一定とした。
表2から明らかなように、本実施形態の駆動方法を適用することで、各発光素子3の輝度半減期を2〜5倍程度にまで延ばすことができ、長寿命の有機EL装置を提供することができる。
表1と表2を比較すると、本実施形態の駆動方法により有機EL装置1を駆動することで先の第1実施形態の駆動方法を適用した場合に比して、より発光素子3の長寿命化を実現できている。先の第1実施例では、発光素子3の寿命後期における逆バイアス電圧Vbが大きくなりすぎたために、発光素子3の劣化が逆に早まり、第2実施例に比して寿命が短くなったと考えられる。
【0034】
【表2】
【0035】
<駆動方法の第3実施形態>
次に、本発明に係る有機EL装置の駆動方法の第3実施形態について、図6を参照して説明する。図6は、本駆動方法を適用した有機EL装置1において素子制御部CONTから発光素子3に印加される電圧波形を示す説明図である。
本実施形態の駆動方法は、複数の発光色の発光素子3を備えた有機EL装置において、図6に示すように、素子制御部CONTにより発光素子3に供給される順バイアス電圧Vaのサブフレーム内における印加時間(パルス幅)を調整することで、発光素子3の階調を制御するものであり、いわゆる時間階調方式を適用した駆動方法である。すなわち、発光素子3を高輝度で発光させる場合には、順バイアス電圧Vaによる発光時間を長くし、低輝度で発光させる場合には、前記発光時間を短くすることにより、各発光素子3の階調制御を行うものである。
【0036】
本実施形態の駆動方法においても、図6に示すように、1つのサブフレームで順バイアス電圧Vaの印加による素子の発光動作を行った後、続くサブフレームにおいて逆バイアス電圧Vbの印加を行うので、発光動作に伴う発光層6での電荷の蓄積を減少させることができ、発光素子3の発光寿命を延ばすことができる。
【0037】
本実施形態の駆動方法では、図6に示すように、逆バイアス電圧Vbについても、パルス幅が可変となっているが、逆バイアス電圧Vbの波高値を、直前のサブフレームの順バイアス電圧Vaの波高値と同一とする場合には、逆バイアス電圧Vbの印加時間は、直前の順バイアス電圧Vaの印加時間に合わせた印加時間とする。仮に逆バイアス電圧Vbの印加時間を駆動期間で固定したとすると、順バイアス電圧Vaは、画素の階調に応じて上下するため、大きな順バイアス電圧Vaが印加された際に、逆バイアス電圧Vbの印加による蓄積電荷の解放が充分に行われず、例えば比較的高輝度で発光を続けた特定画素の輝度が低下し、焼き付きを生じるおそれがある。
【0038】
また、本実施形態の駆動方法においても、先の第2実施形態の駆動方法と同様に、逆バイアス電圧Vbの波高値を、駆動初期の順バイアス電圧に基づき設定した一定の波高値とすることができ、この場合にも、逆バイアス電圧Vbの印加による発光素子3の破損が生じなくなるという利点が得られる。
【0039】
上記実施の形態では、ボトムエミッション型の有機EL装置を例示して説明したが、本発明は、図7に示す形態の有機EL装置にも問題なく適用できる。図7は、発光層6からの発光を基板2と反対側(封止基板12側)から装置外部に取り出す形態(トップエミッション型、封止側発光型)の有機EL装置である。
トップエミッション型の有機EL装置においては、基板2は不透明であってもよく、その場合、アルミナ等のセラミック、ステンレス等の金属シートに表面酸化などの絶縁処理を施したもの、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂などを用いることができる。また、陽極4は、カルシウム(Ca)、アルミニウム(Al)やマグネシウム(Mg)、金(Au)、銀(Ag)等からなる金属電極が好ましい。これら金属電極は発光層6からの発光光に対する反射性を有しており、発光層6からの発光光を封止基板12側に反射する。また、陰極7は、ITO等の透明電極により形成される。
【0040】
<有機EL装置の具体例>
以下、有機EL装置の具体的な構成例について図1を参照して説明する。
図1に示した有機EL装置1において、基板2の形成材料としては、光を透過可能な透明あるいは半透明材料、例えば、透明なガラス、石英、サファイア、あるいはポリエステル、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリエーテルケトンなどの透明な合成樹脂などが挙げられる。特に、基板2の形成材料としては、安価なガラスが好適に用いられる。
【0041】
陽極4は、インジウム錫酸化物(ITO:Indium Tin Oxide)等からなる透明電極であって光を透過可能である。正孔注入/輸送層5は、例えば、高分子系材料として、ポリチオフェン、ポリスチレンスルホン酸、ポリピロール、ポリアニリン及びこの誘導体などが好ましい構成材料として例示される。また、低分子系材料を使用する場合は、正孔注入層と正孔輸送層を積層して形成するのが好ましく、正孔注入層の形成材料としては、例えば銅フタロシアニン(CuPc)や、ポリテトラヒドロチオフェニルフェニレンであるポリフェニレンビニレン、1,1−ビス−(4−N,N−ジトリルアミノフェニル)シクロヘキサン、トリス(8−ヒドロキシキノリノール)アルミニウム等が挙げられるが、特に銅フタロシアニン(CuPc)を用いるのが好ましい。また、正孔輸送層としては、トリフェニルアミン誘導体(TPD)、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体等からなる。具体的には、特開昭63−70257号、同63−175860号公報、特開平2−135359号、同2−135361号、同2−209988号、同3−37992号、同3−152184号公報に記載されているもの等が例示されるが、トリフェニルジアミン誘導体が好ましく、中でも4,4’−ビス(N(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ)ビフェニルが好適とされる。なお、正孔輸送層または正孔注入層のいずれか一方を形成してもよい。
【0042】
発光層6の形成材料としては、高分子発光体や低分子の有機発光色素、すなわち各種の蛍光物質や燐光物質などの発光物質が使用可能である。発光物質となる共役系高分子の中ではアリーレンビニレン又はポリフルオレン構造を含むものなどが特に好ましい。低分子発光体では、例えばナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、ペリレン誘導体、ポリメチン系、キサテン系、クマリン系、シアニン系などの色素類、8−ヒドロキノリンおよびその誘導体の金属錯体、芳香族アミン、テトラフェニルシクロペンタジエン誘導体等、または特開昭57−51781、同59−194393号公報等に記載されている公知のものが使用可能である。陰極7はカルシウム(Ca)、アルミニウム(Al)やマグネシウム(Mg)、金(Au)、銀(Ag)等からなる金属電極が好ましい。
【0043】
なお、陰極7と発光層6との間に、必要に応じて電子輸送層や電子注入層を設けてもよい。電子輸送層の形成材料としては、特に限定されることなく、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタンおよびその誘導体、ベンゾキノンおよびその誘導体、ナフトキノンおよびその誘導体、アントラキノンおよびその誘導体、テトラシアノアンスラキノジメタンおよびその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレンおよびその誘導体、ジフェノキノン誘導体、8−ヒドロキシキノリンおよびその誘導体の金属錯体等が例示される。具体的には、先の正孔輸送層の形成材料と同様に、特開昭63−70257号、同63−175860号公報、特開平2−135359号、同2−135361号、同2−209988号、同3−37992号、同3−152184号公報に記載されているもの等が例示され、特に2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、ベンゾキノン、アントラキノン、トリス(8−キノリノール)アルミニウムが好適とされる。
【0044】
封止基板12としては、例えばガラス基板を用いるが、透明でガスバリア性に優れていれば例えば、プラスチック、プラスチックのラミネートフィルム、ラミネート成型基板等のガラス基板以外の部材、またはガラスのラミネートフィルム等を用いてもよい。また、保護層として紫外線を吸収する部材を用いることもできる。
【0045】
図1又は図7に示す有機EL装置1の発光層6を含む機能層は液滴吐出法(インクジェット法)を用いて形成することができる。液滴吐出法を用いて機能層を形成する際には、該機能層が形成されるべき領域に開口部13を有するバンク14が形成される。そして、液滴吐出装置の吐出ヘッドより、前記機能層形成用材料を含む液体材料がバンク14の開口部13に対して吐出されることにより、所定の位置に機能層が形成される。
【0046】
ここで、液滴吐出装置の吐出ヘッドはインクジェットヘッドを含む。インクジェット方式としては、圧電体素子の体積変化により流動体を吐出させるピエゾジェット方式であっても、エネルギー発生素子として電気熱変換体を用いた方式であってもよい。なお、液滴吐出装置としてはディスペンサー装置でもよい。また、液体材料とは、吐出ヘッドのノズルから吐出可能な粘度を備えた媒体をいう。水性であると油性であるとを問わない。ノズル等から吐出可能な流動性(粘度)を備えていれば十分で、固体物質が混入していても全体として流動体であればよい。また、液体材料に含まれる固体物質は融点以上に加熱されて溶解されたものでも、溶媒中に微粒子として分散させたものでもよく、溶媒の他に染料や顔料その他の機能性材料を添加したものであってもよい。
【0047】
図示は省略したが、本実施形態の有機EL装置1はアクティブマトリクス型であり、実際には複数のデータ線と複数の走査線とが平面視略格子状に基板2上に形成される。そして、これらのデータ線や走査線に区画されてマトリクス状に配置された各画素毎に、スイッチングトランジスタやドライビングトランジスタ等の駆動用TFTを介して発光素子3が接続されている。そして、データ線や走査線を介して駆動信号が供給されると電極間に電流が流れ、発光素子3の発光層6が発光して基板2の外面側に光が射出され、そのドット(画素)が点灯する。
【0048】
<表示装置>
図8は実施形態に係る有機EL装置1を、アクティブマトリクス型の表示装置(電気光学装置)に適用した場合の一例を示すものである。図8に示すように、基板上に、複数の走査線131と、これら走査線131に対して交差する方向に延びる複数の信号線132と、これら信号線132に並列に延びる複数の電源線133とがそれぞれ配線されたもので、走査線131及び信号線132の各交点毎に、画素(画素領域素)ARが設けられて構成されたものである。
【0049】
信号線132に対しては、シフトレジスタ、レベルシフタ、ビデオライン、アナログスイッチ等を備えるデータ線駆動回路390が設けられている。
一方、走査線131に対しては、シフトレジスタ、レベルシフタ等を備える走査線駆動回路380が設けられている。また、画素領域ARの各々には、走査線131を介して走査信号がゲート電極に供給される第1のトランジスタ322と、この第1のトランジスタ322を介して信号線132から供給される画像信号を保持する保持容量capと、保持容量capによって保持された画像信号がゲート電極に供給される第2のトランジスタ324と、この第2のトランジスタ324を介して電源線133に電気的に接続したときに電源線133から駆動電流が流れ込む画素電極(陽極)4と、この画素電極4と対向電極(陰極)7との間に挟み込まれる発光層6とが設けられている。
【0050】
このような構成のもとに、走査線131が駆動されて第1のトランジスタ322がオンとなると、そのときの信号線132の電位が保持容量capに保持され、該保持容量capの状態に応じて、第2のトランジスタ324の導通状態が決まる。そして、第2のトランジスタ324のチャネルを介して電源線133から画素電極4に電流が流れ、さらに発光層6を通じて対向電極7に電流が流れることにより、発光層6はこれを流れる電流量に応じて発光するようになる。
【0051】
図9は、図8に示した回路構成を備えた表示装置の全体構成を示す平面図である。図9に示すように、ガラス等からなる透明な基板2と、マトリクス状に配置された発光素子3を具備して基板2上に形成された発光素子部11を具備している。上記発光素子部11には、R,G,B各色の発光素子3が配列されている。
基板2中央部の発光素子部11が表示領域2aとされ、その外側を取り囲む領域が非表示領域2cとされている。非表示領域2cには、前述の電源線133(133R、133G、133B)が配線されている。また表示領域2aの両側には、前述の走査線駆動回路380、380が配置されている。更に、走査線駆動回路380、380の両側には、走査線駆動回路380、380に接続される駆動回路用制御信号配線105aと駆動回路用電源配線105bとが設けられている。表示領域2aの図9中上側には製造途中や出荷時の表示装置の品質、欠陥の検査を行う検査回路106が配設されている。また、配線115aは、基板2上に形成された陰極用配線112aや、上記信号配線105a、電源配線105b等と、フレキシブル基板115上に設けられた駆動IC116とを電気的に接続するように引き回されている。
上記構成を備えた表示装置は、本発明に係る有機EL装置を主体として構成されていることで、R,G,B各色の発光素子3の寿命を延ばすことができ、長期間に渡り使用可能な表示装置とされている。
【0052】
<電子機器>
次に、上記実施形態の有機EL装置を備えた電子機器の例について説明する。図10は上述した実施形態に係る有機EL装置を備えたモバイル型のパーソナルコンピュータ(情報処理装置)の構成を示す斜視図である。同図において、パーソナルコンピュータ1100は、キーボード1102を備えた本体部1104と、上述したエレクトロルミネッセンス表示装置1106を備えた表示装置ユニットとから構成されている。このため、発光寿命が長く、また各色の発光素子(画素)間で寿命差が小さい、色バランスに優れる表示部を備えた電子機器を提供することができる。
【0053】
なお、上述した例に加えて、他の例として、携帯電話、腕時計型電子機器、液晶テレビ、ビューファインダ型やモニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、電子ペーパー、タッチパネルを備えた機器等が挙げられる。本発明の有機EL装置は、こうした電子機器の表示部としても適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施形態の有機EL装置の断面構成図。
【図2】図2は、同、1色の発光素子を示す断面構成図。
【図3】図3は、同、電源装置の一構成例を示す図。
【図4】図4は、駆動方法の第1実施形態に係る電圧波形図。
【図5】図5は、駆動方法の第2実施形態に係る電圧波形図。
【図6】図6は、駆動方法の第3実施形態に係る電圧波形図。
【図7】図7は、他の形態の有機EL装置を示す断面構成図。
【図8】図8は、実施形態に係る有機EL装置を主体として構成されたアクティブマトリクス型の表示装置を示すブロック図。
【図9】図9は、同、表示装置の平面構成図。
【図10】図10は、本発明の電子機器の一例を示す斜視構成図。
【符号の説明】
1…有機エレクトロルミネッセンス装置(EL装置)、2…基板、3…発光素子(有機EL素子)、4…陽極、5…正孔注入/輸送層、6…発光層、7…陰極、8…発光領域、11…発光素子部、12…封止基板、13…開口部、14…バンク、CONT…素子制御部(素子駆動手段)、M…電荷注入量記憶手段、J…定電流源、E…定電圧源、O…整流回路、S…スイッチング回路、Va…駆動電圧、Vb…逆バイアス電圧
Claims (13)
- 電界の印加により発光する発光層を有する有機EL素子を具備した有機エレクトロルミネッセンス装置であって、
前記有機EL素子に、画素選択期間内で順バイアス電圧と逆バイアス電圧とを交互にスイッチングして印加する素子駆動手段が設けられており、
前記素子駆動手段により印加される前記順バイアス電圧により前記有機EL素子が定電流駆動され、続いて印加される前記逆バイアス電圧の波高値が、直前に印加された前記順バイアス電圧の波高値とほぼ同一の波高値とされていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス装置。 - 前記素子駆動手段により前記有機EL素子に印加される逆バイアス電圧の波高値が、その直前に前記有機EL素子に印加された順バイアス電圧の波高値未満であることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
- 電界の印加により発光する発光層を有する有機EL素子を具備した有機エレクトロルミネッセンス装置であって、
前記有機EL素子に、画素選択期間内で順バイアス電圧と逆バイアス電圧とを交互にスイッチングして印加する素子駆動手段が設けられており、
前記素子駆動手段により印加される前記順バイアス電圧により前記有機EL素子が定電流駆動され、前記逆バイアス電圧の波高値が、前記順バイアス電圧の波高値以下の一定の波高値であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス装置。 - 前記逆バイアス電圧の波高値が、前記順バイアス電圧の波高値未満であることを特徴とする請求項3に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
- 前記有機EL素子の階調方式が、電流階調であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
- 前記有機EL素子の階調方式が、時間階調であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
- 電界の印加により発光する発光層を有する有機EL素子を具備した有機エレクトロルミネッセンス装置の駆動方法であって、
1フレームを複数のサブフレームに分割し、1サブフレームにおいて順バイアス電圧を印加することにより前記有機EL素子を定電流駆動し、続くサブフレームにおいて前サブフレームで印加した前記順バイアス電圧の波高値とほぼ同一の波高値の逆バイアス電圧を印加することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス装置の駆動方法。 - 前記逆バイアス電圧の波高値を、直前に印加した前記順バイアス電圧の波高値以下とすることを特徴とする請求項7に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置の駆動方法。
- 電界の印加により発光する発光層を有する有機EL素子を具備した有機エレクトロルミネッセンス装置の駆動方法であって、
1フレームを複数のサブフレームに分割し、1サブフレームにおいて順バイアス電圧を印加することにより前記有機EL素子を定電流駆動し、続くサブフレームにおいて前記有機EL素子に、一定の波高値の前記逆バイアス電圧を印加することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス装置の駆動方法。 - 前記逆バイアス電圧の波高値を、前記順バイアス電圧の波高値未満とすることを特徴とする請求項9に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置の駆動方法。
- 前記有機EL素子の階調方式を、電流階調とすることを特徴とする請求項7ないし10のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置の駆動方法。
- 前記有機EL素子の階調方式を、時間階調とすることを特徴とする請求項7ないし10のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置の駆動方法。
- 請求項1ないし6のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置を備えたことを特徴とする電子機器。
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