JP2005003883A - 現像剤及びその製造方法 - Google Patents

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真一 仲野
Yasuhiro Shibai
康博 芝井
Keiichi Kikawa
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Abstract

【課題】顔料の分散性が良く、かつ処理量を増加させることの可能な現像剤の製造方法を提供する。
【解決手段】少なくとも結着樹脂と顔料及び顔料表面処理剤を含む現像剤の製造法において、結着樹脂と顔料および顔料表面処理剤を有機溶媒に溶解あるいは分散した混合溶媒と、超臨界あるいは亜臨界流体を連続して混合させる工程と、前記混合溶媒を結着樹脂、顔料及び顔料表面処理剤に対して貧溶媒化させ、結着樹脂を顔料表面処理剤で処理した顔料表面に析出させる工程を含むことにより、均一な結着樹脂皮膜形成を図ることを特徴とする現像剤の製造方法。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、電子写真プロセスやイオンフロー方式により、像担持体上に形成された静電潜像を現像するための現像剤及びその製造方法に関わるものである。
【0002】
【従来の技術】
レーザープリンター、LED(Light Emitting Diode)プリンターやデジタル複写機の電子写真方式を用いた画像形成装置は、感光体表面を一様に帯電させ、画像情報に対してレーザービームやLED等により光照射して所望の静電潜像を形成し、現像部により、この静電潜像を現像剤によって可視化して可視画像を形成し、これを記録材に固定して画像を得るものである。
【0003】
近年、画像形成装置に対する小型化の要求はますます高まってきている。電子写真方式の画像形成装置においては、小型化を達成する上で、画像形成装置中における現像剤の占める割合がかなり大きい。特に、近年のネットワーク環境においては、複数の人間が1台の画像形成装置を使用し、その印字量も膨大であるため、使用者の使い勝手の良さを配慮した場合、現像剤を大容量にて内蔵する必要がある。
【0004】
一方、近年、カラー画像出力に対する要求も増加しており、カラー画像形成装置では、3色または4色の現像剤を使用するため、現像剤の占める容積は画像形成装置中において、より大きなものとなる。更には、カラー画像の場合、多色の重ね合わせにより色再現を行うが、このとき、記録材(例えば紙やOHPシート等)上の現像剤量が多くなり、これを熱定着させる場合、モノクロ画像に比べて、多量の熱量を必要とするため、定着部の大型化が必要となる。
【0005】
また、現像剤の製造方法については、より省エネルギーで、環境に対する影響の小さい手法が要求されている。現在の現像剤の製造方法としては、従来からの溶融混練粉砕法や、近年では液体溶媒中での重合法(懸濁法、乳化法、分散法、等)によるものが主流である。
【0006】
例えば、乾式現像法に用いられる現像剤は熱可塑性樹脂(結着樹脂)、顔料(着色剤)、離型剤などを主成分とし、これに必要に応じて、磁性粉、帯電荷制御剤、流動性向上剤などを添加して製造される。そして、これらの現像剤の製造方法としては、下記特許文献1に代表されるように、原料を全て一度に混合して混練機などにより加熱、溶融、分散を行い均一な組成物とした後、これを冷却して、粉砕、分級することにより体積平均粒径10μm程度の現像剤を製造する方法が一般的に採用されている。
【0007】
特にカラー画像の形成に用いられる電子写真用カラー現像剤は、一般に、バインダー樹脂中に各種の有彩色顔料を分散含有させて構成される。この場合、使用する現像剤に要求される性能は、黒色画像を得る場合に比べ厳しいものとなる。即ち、現像剤としては、衝撃や湿度等の外的要因に対する機械的電気的安定性に加え、適正な色彩の発現(着色度)やオーバーヘッドプロジェクター(OHP)に用いたときの光透過性(透明性)が必要となる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
着色剤として顔料を用いるものとしては、下記特許文献2及び3に記載のものがある。しかしながら、顔料系のカラー現像剤は耐光性については優れているものの、反面、結着樹脂に対する顔料の分散性が悪いため、着色度(発色性)や透明性が劣るという問題がある。
【0009】
結着樹脂に対する顔料の分散性を向上する方法としては、
(1)バインダー樹脂としてポリエステル樹脂(樹脂A)を用い、当該樹脂Aよりも高い分子量のポリエステル樹脂(樹脂B)により顔料をあらかじめ被覆し、この被覆された顔料を樹脂A中に分散させてカラー現像剤を得る技術(下記特許文献4)。
【0010】
(2)樹脂と顔料用樹脂とを溶融混練して得られる加工顔料が結着樹脂中に分散含有されてなり、前記顔料用樹脂の重量平均分子量が前記結着樹脂の重量平均分子量よりも小さく、前記結着樹脂の重量平均分子量が10万以上であることを特徴とするカラー現像剤(下記特許文献5)。
【0011】
(3)結着樹脂と顔料の混合物をあらかじめ有機溶剤と共に結着樹脂の溶融温度よりも低い温度で1段目の混練を行い、更に結着樹脂、帯電制御剤を加えて2段目の加熱溶融混練してカラー現像剤を得る技術、等が提案されている(下記特許文献6)。
【0012】
(4)現像剤に用いられる顔料において、現像剤の主構成成分である結着樹脂よりも融点が低く、かつ溶融粘度の小さな低分子物質を吸油(吸収)させた現像剤用顔料であり、低分子物質の吸油量が50g(/顔料100g)以上、顔料に対する低分子物質の吸油率が飽和吸油量の100〜300%である。低分子物質の融点+20℃における溶融粘度が0.1Pa・s以下である。又、これらによる現像剤顔料の前処理方法、現像剤さらには現像剤の製造方法(下記特許文献7)。
【0013】
しかしながら、特許文献4〜7に記載の方法でも、いずれも十分な顔料の分散は得られず、着色度、透明性が劣っているのが現状である。更に、モノクロ用の黒現像剤においては、黒色着色剤としてカーボン7〜15重量部用いるのが通常であり、その製造方法は、混練前にカーボンの粉体を他の原材料と混合した後、溶融混練する方法が一般的である。黒現像剤はカラー現像剤と違い、透明性は要求されないため、着色度を上げるためにはカーボン量を増加するという方法が採用される。しかしながら、この導電性のカーボンを増加することは、現像剤の体積固有抵抗値を低下することになるため、帯電量の安定上好ましくない。したがって、カーボンは十分に分散させて、現像剤の体積固有抵抗値を高くする必要がある。
【0014】
カーボンの分散を向上させる方法としては、前記カラー現像剤のような2段混練はコスト高になるため行われず、(5)混練時の処理量を下げる方法が一般的であるが、その他、(6)混練時の樹脂温度を下げる方法や、(7)混練後の圧廷冷却方法を規定するものが提案されている。しかしながら、(5)、(6)、(7)は、いずれも処理量が少なくなるためコストが高くなるという問題がある。
【0015】
着色剤として顔料を用いるものとしては、下記特許文献8及び9に記載のものがある。しかしながら、顔料系のカラー現像剤は耐光性については優れているものの、反面、結着樹脂に対する顔料の分散性が悪いため、着色度(発色性)や透明性が劣るという問題がある。
【0016】
下記特許文献10には、超臨界流体二酸化炭素ベースのトナー表面添加剤の製造方法に関する技術が開示されている。しかしながら特許文献10に開示の技術は、抽出時間を短縮させるには不十分であり、いずれも処理量が少なくなるためコストが高くなるという問題がある。
【0017】
【特許文献1】
特開平1−304467号公報
【特許文献2】
特開昭49−46951号公報
【特許文献3】
特開昭52−17023号公報
【特許文献4】
特開昭62−280755号公報
【特許文献5】
特開平2−66561号公報
【特許文献6】
特開平9−101632号公報
【特許文献7】
特開2000−81736号公報
【特許文献8】
特開昭49−46951号公報
【特許文献9】
特開昭52−17023号公報
【特許文献10】
特開平10−133417号公報
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような事情に鑑み、超臨界あるいは亜臨界流体を用いた貧溶媒化法を用いることにより顔料の分散性が良く、かつ処理量を増加させることの可能な製造方法を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意研究した結果、超臨界あるいは亜臨界流体を用いる現像剤の製造法において、結着樹脂等を溶解あるいは分散した混合溶媒と、超臨界あるいは亜臨界流体を連続して混合させ、混合溶媒を結着樹脂等に対して貧溶媒化させ、結着樹脂を顔料表面処理剤で処理した顔料表面に析出させることにより、均一な結着樹脂皮膜が形成されることを見出し、本発明に到達した。
【0020】
即ち、第1に、本発明は、現像剤の製造方法の発明であり、少なくとも結着樹脂と顔料及び顔料表面処理剤を含む現像剤の製造法において、結着樹脂と顔料および顔料表面処理剤を有機溶媒に溶解あるいは分散した混合溶媒と、超臨界あるいは亜臨界流体を連続して混合させ、前記混合溶媒を結着樹脂と顔料及び顔料表面処理剤に対して貧溶媒化させ、結着樹脂を顔料表面処理剤で処理した顔料表面に析出させることにより、均一な結着樹脂皮膜形成を図ることを特徴とする現像剤の製造方法である。
【0021】
本方法によれば、次のような作用・効果が生まれる。即ち、結着樹脂を顔料表面処理剤で処理した顔料表面に析出させることにより、顔料分散性を保持したまま結着樹脂による内包化が達成可能となる。又、本発明では急速膨張法と比較して樹脂種を限定せず、幅広い樹脂種を選択可能であるため、透明性が高く色再現性の高い着色粒子を得ることが出来る。又、スプレードライ法のように特殊なノズルの使用や有機溶媒の乾燥速度を速め、粒子同士の融着を防ぐために加熱する必要がないため、プロセス及び機器の削減による設備費の低減及び製造コストの低減と、熱に敏感な顔料分散剤まで応用が可能となる。更に、トナー中への空洞の発生がないことから、耐久性の高い着色粒子を得られる。更に、超微粒子から大粒子まで粒径のコントロールが可能であり、それらの粒子を均一な品質で得ることが可能である。
【0022】
本発明において、前記超臨界あるいは亜臨界流体は不活性ガスであることが好ましい。これにより、結着樹脂等に付着している有機溶媒の乾燥時間を早められることから、粒子同士の凝集あるいは捕集タンク内に粒子が付着することなく、容易に生産することが可能となる。
【0023】
本発明において、前記超臨界あるいは亜臨界流体は二酸化炭素であることが好ましい。これにより、残留溶剤等の問題がなく、保存性の高い着色粒子が得られる。さらに二酸化炭素は臨界点が約32℃と比較的低く、樹脂と少し親和することで樹脂を軟化させることができるため、高温加熱を必要としないことから、製造エネルギーコストが少なく、また加熱により発生する顔料同士の再凝集をふせぐことができ、さらに環境に優しい方法で着色粒子を提供可能となる。
【0024】
本発明において、前記結着樹脂の重量平均分子量(Mw)を10000以上とするが好ましい。これにより、高温高圧設定で導入される超臨界あるいは亜臨界流体と接触させた際に前記顔料の流動性が向上し、前記顔料同士の再凝集が発生するのを防ぐことが出来るため、高分散した着色粒子を提供可能となる。
【0025】
第2に、本発明は、上記第1の発明によって製造された現像剤である。
本発明の現像剤は、透明性が高く色再現性の高い着色粒子であり、又、トナー中への空洞の発生がないことから、耐久性の高い着色粒子であり、さらに、超微粒子から大粒子まで粒径がコントロールされた均一な品質である。
【0026】
【発明の実施形態】
本発明の実施の第一形態に係る現像剤について、その製造方法に基づき説明する。
【0027】
物質の温度・圧力をある一定条件(臨界点)以上に設定すると、気相と液相とでの密度が等しい状態の流体となり、この臨界点近傍以上の温度・圧力下での流体が超臨界流体と呼ばれている。また、超臨界点未満であっても、臨界点に近い条件でも超臨界流体に近い状態となり、このような流体を亜臨界流体と呼ぶ。
【0028】
超臨界流体あるいは亜臨界流体(以下の、超臨界流体の記載では、特に断らないかぎり亜臨界流体も含むものとする)中では、気体の性質と液体の性質が共に現れる。例えば、密度は液体に近く(気体の数100倍程度)、粘度は気体に近く(液体の1/10ないし1/100程度)、拡散係数も液体の1/10ないし1/100程度、熱伝導度は液体に近い(気体の100倍程度)とすることができる。
【0029】
超臨界流体は、一般的に非常に物を溶かす力が大きく、温度・圧力の変化により物質の溶解力を大幅に変化させることができる性質を有している。これは、反応溶媒や抽出溶媒としては非常に優れたものであり、近年、物質の分離・抽出・精製等の分野で盛んに研究がされている。例として、コーヒーにおけるカフェイン抽出や、廃棄物の分離・抽出等が挙げられる。
【0030】
また、超臨界流体中に、所望の物質を溶解し、急速膨張〔RESS法(Rapid Expansion of Supercritical Solution)〕させたり、貧溶媒や界面活性剤を添加したりすることで、超臨界流体中における溶質分の溶解度が大幅に低下し、この作用によって溶解していた物質が析出することを利用した微粒子の作製等も行われている。
【0031】
超臨界流体を用いて、微粒子を作製する方法としては、例えば上記特許文献10に記載されている技術がある。但し、この方法は、あくまで現像剤に外添される微粒子の製造方法に関するものであり、現像剤自身の製造方法については、何ら記載されていない。
【0032】
本発明者らは、超臨界流体に関する前述のような性質に着目し、これを現像剤作製への適用を種々試み、本発明を見出した。すなわち、前述したように現像剤を用いる電子写真方式の画像形成装置における小型化を達成するのに、現像剤の着色力を高めることが重要である。この場合に、現像剤中の着色剤成分量を増加させる際に着色剤成分の分散性を向上させなければならない。
【0033】
ここで、本発明のごとく、結着樹脂等を有機溶媒に溶解あるいは分散した混合溶媒と、超臨界あるいは亜臨界流体を連続して混合させ、混合溶媒を結着樹脂等に対して貧溶媒化させ、結着樹脂を顔料表面処理剤で処理した顔料表面に析出させることにより、均一な結着樹脂皮膜形成を図ることが可能となる。
【0034】
上記超臨界流体として使用可能な物質としては、例えば、CO、N、CH、C、CFH、NH、CFCl、CHOH、COH、HO等が挙げられる。
【0035】
上記結着樹脂成分としては、現像剤に用いられる樹脂であれば特に限定されない。例えば、ポリスチレン、スチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/アクリル共重合体などのスチレン系樹脂や、ポリエチレン、ポリエチレン/酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン/ビニルアルコール共重合体などのエチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレー現像剤などのアクリル系樹脂、また、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂、アリルフタレート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、マレイン酸系樹脂等を用いることができる。上記結着樹脂成分の、重量平均分子量は、10から10の範囲内が望ましい。
【0036】
上記着色剤成分としては、有機顔料や無機顔料等が含まれる。例えば、カーボンブラックや、アニリンブルー、カルコオイルブルー、クロームイエロー、ウルトラマリンイエロー、メチレンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、ローズベンガル、ジスアゾイエロー、カーミン6B、キナクリドン系顔料等が挙げられる。上記顔料の粒子径(1次粒子)は、40nm〜400nm、好ましくは、100nm〜200nmである。
【0037】
次に、結着樹脂と顔料および顔料表面処理剤を有機溶媒に溶解あるいは分散した混合溶媒と、超臨界あるいは亜臨界流体を連続して混合させ、前記有機溶剤溶液を結着樹脂と顔料及び顔料表面処理剤に対して貧溶媒化させ、結着樹脂を顔料表面処理剤で処理した顔料表面に析出させる機構についての説明を行う。
【0038】
(実施の形態1)
本発明に係る上記温度制御方法の一例について説明する。本発明の現像剤を作製するための製造装置としては、例えば図1に示すにような構成が挙げられる。まず、超臨界あるいは亜臨界流体とする物質が充填されたボンベ1より、バルブ5を介して捕集容器8に向け超臨界あるいは亜臨界流体が供給される。この流体は加圧ポンプ2により所望の圧力に高められる。また、反応容器3内には現像剤材料となる結着樹脂成分と着色剤成分、更に有機溶媒が封入されており、加圧ポンプ4より、バルブ6を介して捕集容器8に供給される。この反応容器3は図示していないが例えばヒーターや恒温水槽等で所望の温度となるよう構成されている。また、前記のバルブ5により、所望の圧力となるように調整される。このようにして捕集容器8においては超臨界流体あるいは亜臨界流体、結着樹脂成分、着色剤成分が混合された状態となる。
【0039】
このような状態を維持し、図1に示すノズル7の手前で混合させることにより、捕集容器8到達時には有機溶剤が貧溶媒化される。ただし、ノズル7は二流体ノズルを使用しても良い。このとき、有機溶剤中に溶解していた各溶質の溶解度は、それぞれ著しく低下し、その結果、各溶質が微粒子状にそれぞれ析出する。これら現像剤微粒子は、ノズル7を介して、捕集容器8にて採取され、3μm〜7μmの体積平均粒子径を有するものである。
【0040】
この後、このような現像剤に対し、必要に応じて、流動性等を調整するために、シリカ等の微粉体等を公知の手法(例えば、乾式のミキサー等)により外添処理し、最終の現像剤を作製してもよい。
【0041】
【実施例】
以下、本発明について具体的な各実施例に基づき説明するが、本発明は以下の各実施例に限定されるものではない。
【0042】
(実施例1)
本実施例の現像剤の製造には、図1に示すような現像剤製造装置を用いた。反応容器3の容積は、例えば1000cmのものである。本実施例では、超臨界流体としてエタノールを用いた。
【0043】
ポリエステル系樹脂(大日本インキ化学工業株式会社、商品名:FZ−100、Mw=16000)200重量部に、メチルエチルケトン210重量部を加え、よく溶解した後に、表面処理剤(EFKA CHEMICALS製、商品名:EFKA−4047)60重量部を用いて前処理したカーボンブラック(三菱化学株式会社製、商品名:MA100)40重量部を添加し、フィルミックス56型(特殊機化工業製)に投入し、40m/sで5分間分散させて、分散終了後、メチルエチルケトンにより、固形分を50%に調整し、樹脂溶液混合物を得た。
【0044】
ガスボンベ1より供給された超臨界エタノールは加圧ポンプ2にて260℃、7Mpaまで昇温昇圧され、バルブ5を介してノズル7手前で樹脂溶液混合物と接触させて捕集容器8に導入される。
【0045】
この後、流動性等を調整するためにシリカ(日本エアロジル株式会社製、商品名:R742)0.1重量部を公知の手法(例えば、乾式のミキサー等)により外添処理し、最終の現像剤を得る。
【0046】
こうして作製された現像剤は、顔料の含有量が高く、かつ、顔料の分散性が優れていることから、少量でも所望の印字濃度が得られ、所定の印字枚数を得るのに必要な現像剤量も従来の現像剤(例えば公知の溶融混練粉砕法)を用いた場合に比べ、数分の1で済み、現像剤交換サイクルを短くすることなく、使い勝手の良い、小型の画像形成装置を提供することができる。
【0047】
従来法(例えば公知の溶融混練粉砕法)で、本実施例2のような高濃度の顔料を含有させて作製した現像剤の場合、画像品位としては地カブリの発生や、使用環境により現像剤帯電量の不安定さが増し、良好な画像形成装置が阻害される。
【0048】
また、従来法では、長期使用により現像剤粒子が解砕して微紛が発生したり、粒径分布が変化し、画像品位が劣化したりするという不具合を生じる。しかしながら、本発明を適用した現像剤では、上記のような不具合を防止でき、良好な画像形成が安定して得られる。
【0049】
(実施例2)
前記超臨界流体としてNを使用し、加圧ポンプ2にて40℃、20Mpaに設定すること以外は実施例1と同様にして行った。
【0050】
こうすることで、結着樹脂等に付着している有機溶媒の乾燥時間を早められることから粒子同士の凝集あるいは捕集タンク内に粒子が付着することなく、容易に生産することが可能となる。
【0051】
(実施例3)
前記超臨界流体としてCOを使用し、加圧ポンプ2にて40℃、20Mpaに設定すること以外は実施例1と同様にして行った。
【0052】
こうすることにより、残留溶剤等の問題がなく、保存性の高い着色粒子が得られる。さらに二酸化炭素は臨界点が約32℃と比較的低く、樹脂と少し親和することで樹脂を軟化させることができるため、高温加熱を必要としないことから製造エネルギーコストが少なく、また加熱により発生する顔料同士の再凝集をふせぐことができ、さらに環境に優しい方法で着色粒子を提供可能となる。
【0053】
(比較例1)
比較例1に関わるトナーの製造には、図2に示すようなトナー製造装置を用いた。反応容器9の容積は、例えば1000cmのものである。本実施例1では、超臨界流体とするガスとして二酸化炭素を用いる。また、エントレーナーとしては、エタノール(一般的な試薬用の市販品である)を用いた。
【0054】
結着樹脂成分としてはポリエステル系樹脂(大日本インキ化学工業株式会社、商品名:FZ−100)を50g、これを100重量部とした場合、顔料としてカーボンブラック(三菱化学株式会社製、商品名:MA100)を10重量部ないし30重量部を反応容器9内にあらかじめ投入しておく。なお、常温・常圧条件下において、上記エントレーナーは、結着樹脂成分と非相溶な関係のものである。
【0055】
ガスボンベ1より供給された、二酸化炭素ガスは加圧ポンプ2にて昇圧され、バルブ6を介して反応容器9に導入される。エントレーナー3であるエタノールも加圧ポンプ4を介して反応容器9に200ml導入する。
【0056】
ここで、排出用の減圧バルブ11は閉じたままであり、高圧状態の二酸化炭素導入により、反応容器9内の圧力が上昇する。また、ヒーター10にて反応容器9内の温度を調整する。本実施例1では、320Kに調整する。
【0057】
反応容器9内の圧力が7.3MPa以上にて、反応容器9内は超臨界状態となる。本実施例1では、各バルブ5、6を調整して反応容器9内の圧力を20MPaに設定し、反応容器9内の、少なくとも結着樹脂成分を溶解させた状態に設定する。
【0058】
この状態を、例えば20分間維持した後、減圧バルブ11を開けて、反応容器9内の混合溶液をノズル12より粒子捕集箱13内に排出することで急速膨張させると、略球状に析出した結着樹脂成分中に顔料がほぼ均一に分散されて含有されたトナー微粒子は捕集箱13内に堆積して捕集される。
【0059】
このとき、上記混合溶液に含まれている超臨界流体としての二酸化炭素と、エントレーナーとしてのエタノールは、図示していない回収機構により二酸化炭素とエタノールとに互いに分離され、それぞれ再利用される。
【0060】
本比較例1では、超臨界二酸化炭素に溶解する樹脂が制限される。この後、流動性等を調整するためにシリカ(日本エアロジル株式会社製、商品名:R742)0.1重量部を公知の手法(例えば、乾式のミキサー等)により外添処理し、最終のトナーを得る。
【0061】
(比較例2)
前記超臨界流体として酸素を使用し、加圧ポンプ2にて40℃、20Mpaに設定すること以外は実施例1と同様にして行った。
【0062】
(比較例3)
前記ポリエステル系樹脂と異なるポリエステル系樹脂(大日本インキ化学工業株式会社、商品名:FL−55、Mw=6500)を使用すること以外は実施例1と同様に行った。
【0063】
こうすることで、高温高圧設定で導入される超臨界あるいは亜臨界流体と接触させた際に前記顔料の流動性が向上し、前記顔料同士の再凝集が発生するため、高分散成の悪い着色粒子を提供可能となる。
【0064】
[画像評価]
実施例1〜3、比較例1〜3で作成した各現像剤100質量部に対し、平均粒径80μmのフェライトキャリアを配合し、現像剤濃度4%の二成分現像剤を作成した。得られた現像剤を、電子写真複写機(型番AR−450Mシャープ(株)製)によって、初期及び原稿濃度6%の原稿を10000枚連続複写したのちに、50mm×50mmのべた画像の画像出しを行い、その画像部及び非画像部の濃度を濃度計(型番RD−918マクベス社製)にて測定を行った。また、上記初期及び10000枚連続複写した後の現像剤を電子写真複写機の現像器内よりサンプリングし、その帯電量をブローオフ法によって測定した。帯電安定性とは初期及び10000枚連続複写後における帯電量の変化率の少なさを示す。着色度については次のように測定した。
【0065】
画像濃度については、1.4以上を「◎」(極めて良好)、1.4〜1.2「○」(良好)、1.2以下を「×」(不良)として3段階で評価した。
カブリについては、0.8以下を「◎」(極めて良好)、1.2〜0.8「○」(良好)、1.2以上を「×」(不良)として3段階で評価した。
【0066】
帯電安定性については、1万枚目の帯電量が初期の帯電量の100〜80%の場合を「◎」(極めて良好)、80〜60%を「○」(良好)、60%以下を「×」(不良)とし、3段階で評価した。
現像剤製造方法と画像品位の関係を表1にまとめた。
【0067】
【表1】
Figure 2005003883
表1に示すように、超臨界流体として二酸化炭素を使用した場合が画像濃度、カブリ、帯電安定性について良好であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の現像剤製造に用いる現像剤製造装置の模式図である。
【図2】本発明の現像剤製造と比較する現像剤製造装置の模式図である。
【符号の説明】
1:ボンベ、2:加圧ポンプ、3:反応容器、4:加圧ポンプ、5:バルブ、6:バルブ、7:ノズル、8:捕集容器。

Claims (5)

  1. 少なくとも結着樹脂と顔料及び顔料表面処理剤を含む現像剤の製造法において、結着樹脂と顔料および顔料表面処理剤を有機溶媒に溶解あるいは分散した混合溶媒と、超臨界あるいは亜臨界流体を連続して混合させる工程と、前記混合溶媒を結着樹脂、顔料及び顔料表面処理剤に対して貧溶媒化させ、結着樹脂を顔料表面処理剤で処理した顔料表面に析出させる工程を含むことを特徴とする現像剤の製造方法。
  2. 前記超臨界あるいは亜臨界流体は不活性ガスであることを特徴とする請求項1記載の現像剤製造方法。
  3. 前記超臨界あるいは亜臨界流体は二酸化炭素であることを特徴とする請求項1又は2記載の現像剤の製造方法。
  4. 前記結着樹脂の重量平均分子量(Mw)が10000以上であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の現像剤の製造方法。
  5. 請求項1ないし4のいずれかに記載の方法で製造された現像剤。
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