JP2005003468A - フローセンサ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】半導体基板上に高濃度不純物をドープして形成された蛇行状または中心折返しのスパイラル状の抵抗体と、この抵抗体の下部に形成された中空部からなり、前記抵抗体は抵抗体の両電極の近くの両端で支持されて中空部に保持されている。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、赤外線ガス検出器用フローセンサに関するものであり、より詳細には非分散型赤外線ガス分析計(NDIR)の検出器として用いられる赤外線ガス検出器用フローセンサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
測定対象ガスと同じ吸収特性を示すガスが充填されると共に、測定セルに対して互いに直列的または並列的に配置される2つのガス室と、両ガス室を連通させるガス通路と、当該ガス通路にガス通路を遮るように設けられたフローセンサとを備えた赤外線ガス分析計が知られている。このような赤外線ガス分析計のフローセンサとして例えば、特開2002−81982号公報に開示された熱式のフローセンサを用いたものがある。
【0003】
図15(a,b)は従来の熱式のフローセンサ30の一例を示す平面図(a)および(a)図のI−I断面図(b)である。これらの図において、21はシリコン基板20の表裏両面に形成された膜厚500nm程度のシリコン酸化膜(SiO2)である。
【0004】
22は酸化膜21の表面側の表面に形成されたNi金属膜などからなる蛇行状の抵抗体(ヒータ)であり、このNi金属膜22は酸化膜21上にスパッタ法などにより膜厚2μm程度に形成されている。
【0005】
23はシリコン基板の裏面および酸化膜20をエッチングして形成された中空であり、抵抗体22は蛇行部の折り返し点のそれぞれの両端で支持され、途中は中空に浮いた状態になっている。22bは抵抗体の両端に接続して形成された電極、23aはシリコン基板21の裏面および酸化膜20をエッチングすることにより形成された貫通孔である。
【0006】
上述の構成において、電極22b間に電圧を印加して抵抗体(ヒータ)22を加熱しておき、貫通孔23aを介してガスを通過させると抵抗体22の温度が低下する。その温度変化を検出してガス流量を計測する。
【0007】
【特許文献】
特開平2002−081982号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、ガス流による熱線の温度変化を検出する方式においては、次の要件がきわめて重要である。
1)熱線からガスへ効率よく熱を伝達する構造であること。
2)熱線の発熱を、熱線支持部などの余計な部分に逃がさない構造であること。
3)熱線である抵抗体の抵抗値を制御(増大)すること。
(一定温度に加熱するために必要な、抵抗体印加電圧を増大させることで、流れに対する抵抗体温度変化を、より高感度に捉えるようにする)
【0009】
従来の微小流量計センサに用いられてきた発熱体の材質は、ニッケル線、あるいは白金線による細線である。限られたガス流通路に敷設できる金属抵抗体の抵抗値は低いため、流通路上に蛇行(ミアンダ)形状が多用される。
【0010】
このようなミアンダ形状を、ガス流通路上に浮かせる構造としては、前述の特開2002−81982号公報に見られるように、折り返しパターンの一本毎に両端を基板接地したような構造が採用されていた。
【0011】
しかしながら、折り返しパターンの一本毎に両端を基板接地ミアンダの各抵抗線の両端部を基板に支持する構成は、抵抗体の発熱が各折り返し部の支持部から基板へ熱が逃げやすく、抵抗体の熱が基板等に拡散して効果的に加熱されないという課題があった。このため大きな電流を流す必要があり、消費電力が増大するという課題があった。
【0012】
また、ガスへの熱の放出効率が低いため、流量計としての感度が低下するという課題があった。
更に、抵抗体材料として、金属を用いるため、比抵抗が低く限られたガス流通路上に形成することによる抵抗線の長さの制約があること、および線幅の加工限界から細くすることに限界があるため抵抗値を大きく設計できず、従来の金属線流量計の例では、約40Ω程度の抵抗値しか得られないという課題があった。
【0013】
このため検出回路を構成する上で、加熱のための印加電圧は3V程度しか印加できず信号量が小さい。信号量を大きくしようとして印加電圧を増加させると、発熱も大きくなり、寿命の観点からも好ましくない。また、発熱が激しいため計測精度が劣化するなどの影響が出てくるという課題があった。
【0014】
本発明はこのような問題点に着目したものであり、その目的は、ミアンダ型熱線抵抗体の支持方法を改良し、ガスへの熱放熱の効率を格段に改良するとともに、半導体材料に対して不純物導入技術(比抵抗制御)を適用することにより、抵抗体形状やサイズに制約されることなく必要な抵抗値が得られ、製造プロセスが容易で量産化に適し、素子の応用発展性にも優れたフローセンサを実現することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明のフローセンサは請求項1においては、
半導体基板上に高濃度不純物をドープして形成された蛇行状または中心折返しのスパイラル状の抵抗体と、この抵抗体の下部に形成された中空部からなり、前記抵抗体は抵抗体の両電極の近くの両端で支持されて中空部に保持されたことを特徴としている。
【0016】
また、請求項2においては、半導体基板としてSOI基板を用いたことを特徴とし、請求項3においては、NまたはP型シリコン基板を用いたことを特徴としている。
これにより、一般的な半導体製造プロセスを用いることができ、品質の安定した素子を高い歩留まりで生産できる。
【0017】
本発明の請求項4においては、請求項1〜3のいずれかに記載のフローセンサにおいて、2枚の半導体基板上に前記抵抗体を形成し、これら半導体基板をスペーサを挟んで対向して配置し、前記抵抗体をガスの流れ方向に対して直角方向に配置したことを特徴としている。これにより、微小流量領域での流量計信号量のリニアリティの改善を図ることができる。
【0018】
本発明の請求項5および6においては、請求項1〜4のいずれかに記載のフローセンサにおいて、
半導体基板上に2個の前記抵抗体を形成し、一つの抵抗体をガス流路が貫通するように配置し、他方の抵抗体をガスの流れが貫通しないように流れ阻止部材を設けたことたことを特徴としている。
これにより、フローセンサと参照用の外付け抵抗器の温度および温度係数の違いに基づく測定誤差を少なくすることができる。
【0019】
本発明の請求項7および8においては、請求項1〜4のいずれかに記載のフローセンサにおいて、
2枚の半導体基板上にそれぞれ2個の抵抗体を形成し、これら半導体基板をスペーサを挟んで配置して対向する2組の抵抗体を構成し、一組の抵抗体をガス流路が貫通するように配置し、他の組の抵抗体をガスの流れが貫通しないように流れ阻止部材を設け、これら抵抗体がブリッジ回路の構成要素となるように配置したことを特徴としている。
これにより、外部の温度変動にもガスセル内部の温度変動にも強く、安定したブリッジ出力を得ることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
図1(a,b)は本発明のフローセンサ25の実施形態の一例を示す構成図であり、(a)は平面図、(b)は製作工程の概略を示す断面図である。これらの図において、SOI基板1を構成するSi基板2の表面には酸化膜(SiO2)3が形成され、この酸化膜3の上には単結晶からなるSi活性層4が形成されている。
【0021】
本実施例ではこのSi活性層4に高濃度(およそ1×1020/cm− 3程度)の不純物としてボロンをドープして蛇行状の抵抗体(ヒータ)5を形成している。抵抗体5の両端にはAl電極部6,7が設けられ抵抗体5の下部のSi基板2とSi酸化膜3は選択的に除去されて中空部8が形成されている。
【0022】
このような構造の抵抗体は、一般的な半導体製造プロセスを用いて製造することができ、品質の安定した素子を高い歩留まりで生産できる。また、抵抗体5を蛇行状パターンにしているので、抵抗値を大きくできる。そして、抵抗体5の下部に中空部8を形成し、このパターンを両端の2箇所のみで支持しているので、抵抗体5をSOI基板1から熱的にほぼ絶縁分離することができ、熱コンダクタンスは極めて小さくなり、熱断熱特性を大幅に改善できる。
【0023】
図1の構造の抵抗体(ヒータ)5は、例えば以下のような概略工程で製造する。
(1) SOI基板1の裏面に8の中空部のエッチング工程で使用するマスク用の図示しないSi酸化膜を成膜し、SOI基板1のSi活性層4に不純物(例えばボロン)をドープする。
(2) SOI基板1の裏側のSi酸化膜をパターニングし、中間のSi酸化膜3をエッチングストップ層として用い、ヒドラジン等のアルカリ溶液でSi基板2に対する異方性エッチングを行って中空部8(ダイアフラム)を形成し、更にダイアフラム8の多層構造による応力の変形を避けるため、ダイアフラム裏面側のSi酸化膜3を弗酸系のエッチング液で除去する。
【0024】
(3)電極用の金属(例えばAl)を蒸着して電極6,7としてパターニングし、レジストを塗布する。
(4)レジスト膜の抵抗体パターンフォトリソを行い、これをマスクとして異方性ドライエッチングを行う。
(5)レジストアッシングを行って完成する。
【0025】
試作例の各部の寸法は、抵抗体(ヒータ)5の領域が例えば660μm×660μm、抵抗体5の蛇行状パターンの折り返し抵抗本数23本、ライン幅10μm、厚さ1.7μmであり、基板への熱の逃げ通路の総面積Sは、
S=10×1.7×2=34μm2となる。
【0026】
これに対し、従来例では、ミアンダ形状は、折り返し抵抗体数:24本、幅:20μm、厚さ:2.5μmであり、基板への熱の逃げ通路の総面積Sは、
S=20×2.5×24×2=2400μm2である。
【0027】
図2は、従来例と、本発明による抵抗体のミアンダ支持構造の熱特性を実測したものであり、抵抗体へ投入する消費電力を、窒素中および真空中で計測した結果をまとめたものである。真空中で計測した消費電力は、抵抗体の支持部への熱を表わし、窒素中での消費電力は、抵抗体支持部とガスへの熱の合計を表している。
【0028】
図によれば、支持部への逃げ熱量が金属(Ni)では63.0mWに対し、両端支持の本発明では1.8mWとなっている。また、窒素ガスへの逃げ熱量は
金属(Ni)では9.3mWに対し、両端支持の本発明では3.5mWとなっており、ガスへの伝熱割合は金属(Ni)の13%に対して本発明のフローセンサでは66%となっている。
【0029】
上述より明らかなように、本発明のフローセンサ25では従来例に比較して熱断熱特性が格段に改善される。この結果、消費電力をきわめて小さくできること、および余計な部分への熱の逃げがないため、熱外乱を抑制することができる。
【0030】
本発明のフローセンサ25は支持部を極小化しているため、抵抗体5が温度変化して熱膨張による歪が発生するが、抵抗体および基板材料がともに同じシリコンなので、形状の崩れや破壊などの影響を除去することができる。
【0031】
次に本発明のフローセンサ25を単一熱線構成のブリッジ回路に応用した場合について説明する。
ブリッジ回路の出力Voutは、4辺の抵抗体の抵抗値が同じ場合、
Vout = (Vb/4)×(ΔR/R) Vb:ブリッジ印加電圧 (式1)
と与えられる。
【0032】
抵抗値の変化率(ΔR/R)に関与するのは、熱線の温度変化と抵抗体の抵抗温度係数である。熱線の温度変化は、ガス流量の大きさ、ガスの熱伝導、センサ部の構造などが冷却の程度に関与する。
【0033】
一方、抵抗体の抵抗温度係数により温度変化した抵抗体の抵抗値変化の大きさが決まる。流量計の性能向上としては、この温度係数の大小が関与するが、実用的な不純物濃度のシリコン半導体材料の温度係数は、0.002〜0.004/℃と、金属とほぼ同等レベルであることが知られている。
したがって、式1より感度向上に関しては、印加するブリッジ電圧が大きいことがきわめて重要な因子であることがわかる。
【0034】
図3は、従来の赤外線ガス分析計内部で使用されているフローセンサの抵抗体流量特性と、本発明のフローセンサ25の半導体(シリコン)抵抗体の流量特性を比較測定した実験値を示すものである。
【0035】
測定回路は前述と同様単一熱線を含むブリッジ回路を用いた。この結果によれば、ほぼ同等の加熱温度(70℃〜80℃)を得るために必要なブリッジ印加電圧は、ニッケル線は3.2V、一方シリコン抵抗線は16.5Vであった。シリコン抵抗線の抵抗値が室温時8.6kΩ、加熱時9.762kΩであり、ニッケルの抵抗値が室温で37.13Ω,加熱時42.9Ωに比較しておよそ230倍も高いので、ニッケルに比べ、約5倍高いブリッジ電圧が印加できる。
【0036】
図4は流量計としての感度を示すブリッジ回路の出力と流量の関係をシリコンとニッケルについて実験した結果を示すものである。20cc/minではシリコンは157mVの出力に対しニッケルでは28mVの出力しか得られず、100cc/minではシリコンは406mVの出力に対しニッケルでは112mVの出力であり、流量信号も、ほぼシリコン熱線の方が4〜5倍の出力を得た。したがって、本提案による比抵抗の大きな材料を用いることで、熱線流量計の感度の向上が実現できることがわかる。
【0037】
図5(a,b)は本発明のフローセンサ25aの実施形態の他の例を示す構成図である。図において、図(a)は平面図、図(b)は(a)図のA‐A断面図である。この実施例においては、n型のSi基板9上に高濃度不純物をドープしたSi単結晶層をエピタキシャル成長させた後に蛇行状パターンに形成した抵抗体(ヒータ)5が形成され、この抵抗体5の両端には電極6,7が形成されている。抵抗体5の下部には中空部8が形成されていて、抵抗体5は両端のみで支持されている。これら抵抗体5および電極6,7以外のSi基板9の表面にはSi酸化膜10が形成されている。
【0038】
このような構造のフローセンサ25aも、図1のフローセンサ25と同様に一般的な半導体製造プロセスを用いて製造することができ、品質の安定したフローセンサを高い歩留まりで生産できる。また、抵抗体5も図1と同様に蛇行状パターンにしているので、ヒータとしての抵抗値を大きくできる。そして、抵抗体5の下部にも図1と同様に中空部8を形成しているので、抵抗体5をSi基板10から熱的にほぼ絶縁分離することができ、熱コンダクタンスは極めて小さくなり、熱断熱特性を大幅に改善できる。
【0039】
図6は図1に示すフローセンサ25をスペーサ13を挟んで対向して配置し、ガス流路11の内部に設置した状態を示す図であり、図7はこのフローセンサの信号取り出し回路例を示す配線図である。
【0040】
図7に示すようにガス流路11の外部に参照抵抗26aと26bを配置し、流路11内にフローセンサ25a,25bを配置して4つの抵抗を形成する。抵抗体(ヒータ)5a,5bの接続点を接地して参照抵抗26aと26bの接続点にブリッジ電圧を印加する。このようにブリッジ回路を形成し流路内にガスを流すと、参照抵抗26aと抵抗体(ヒータ)5aの接続点および参照抵抗26bと抵抗体(ヒータ)5bの接続点からブリッジ出力が得られる。
【0041】
図8の(イ)で示す線は図15の形状でニッケル熱線を用いた抵抗値42Ωのフローセンサ2つを0.5mm間隔で対向して配置したフローセンサと423Ωの参照抵抗2本で構成されたブリッジ回路に10Vのブリッジ電圧を印加し窒素を流した場合の流量特性例を示すものである。1cc/minの流量でおよそ0.9mV程度の出力が得られる。参照抵抗がニッケル線より抵抗値を大きくなっており、このことは見かけ上の出力が大きく(約2倍)なることに注意が必要である。なお、消費電力は400mWであった。
【0042】
これに対して、図8の(ロ)で示す線は図1の形状で前述の抵抗体とは別のパターンの抵抗値5.6kΩの単結晶シリコンを用いた2つのフローセンサを0.5mm間隔で対向して配置し、5.6kΩの参照抵抗2本で構成したブリッジ回路に10Vのブリッジ電圧を印加し窒素を流した場合の流量特性例を示すものである。1cc/minの流量で5.7mV程度の出力が得られる。消費電力は18mWであった。
【0043】
この実験から
流量感度 ニッケル:単結晶シリコン=1:6
消費電力 ニッケル:単結晶シリコン=22:1
となり、単結晶シリコンはニッケルに比べて実質感度は6倍以上で消費電力は1/22と大きく性能が向上していることが分かる。
【0044】
図9は流路内部に一つの単結晶シリコンフローセンサを配置した場合(線イ,ロ)と2つのフローセンサを0.5mm間隔で対向して配置し5.6kΩの参照抵抗2本で構成したブリッジ回路の場合(線ハ)の流量特性を示すもので、2つのフローセンサを対向して配置することで流量1.3cc/min以下の微小流量領域でリニアリティが大きく改善されることが分かる。
【0045】
ところで、図6に示すフローセンサは2つのフローセンサ25a,25bがガスセル内部に配置され、外付けの参照抵抗とブリッジ回路を構成するので、フローセンサの抵抗値にあわせた参照抵抗の選択や調整用の可変抵抗器が必要になる。
また、ガスセル内部(フローセンサ)の温度とガスセル外部(参照用の外付け抵抗)が異なるため、フローセンサと参照抵抗の抵抗温度係数の違いと温度の違いから影響を受けやすい。
【0046】
図10(a,b)はこのような影響を除去した本発明の他の実施例を示す平面図(a)および図(a)のA‐A断面構成図である。
この実施例ではフローセンサとして動作する抵抗体(ヒータ)5aと参照抵抗として動作する抵抗体(ヒータ)5bが同一チップ上に同一形状で2つ配置されている。なお、抵抗体の作製方法は図1で示すものと同様なのでここでの説明は省略する。
【0047】
このような構成によれば、抵抗値などの電気的特性と発熱や熱の逃げなどの熱的特性を一致させることができる。
そして、2つの抵抗体が形成された2つのフローセンサを図11(a)や図11(b)に示すようなスペーサ(厚さ0.5mm)13aを挟んで対向させガス流路11の内部に配置してブリッジ回路を形成する。図11(c)は図11(a,b)のB‐B断面を示す図である。
【0048】
ここでは一組のヒータを流れ阻止部材14で覆う構成とする。この結果、覆われた参照抵抗26a,26b側のガスの流れは遮られ、抵抗体(ヒータ)5a,5b側から遮蔽された空間15流れ込んだガスが滞留した状態となる。
図12はこのような構成のフローセンサを4つの抵抗を有するフルブリッジ回路として構成した例を示すものである。
【0049】
このような構成によれば、すべての単結晶シリコンの抵抗体が同一プロセスで作製されているため抵抗値が均一で、従来のように外部の参照抵抗の抵抗値を調整する必要がない。また、抵抗調整などの組み立て工数の低減が可能である。
【0050】
さらに、同一ガスセル内に電気的特性と熱的特性が揃った単結晶シリコンの抵抗体が配置されているため、従来のように外部に参照抵抗を配置した構成より温度変動に強いものとなる。
【0051】
例えば100ppm/℃の温度係数をもった抵抗器を外部に配置して、ガスセル内と外部の温度差が10℃ある場合は、外部の抵抗器は0.1%の抵抗変化が発生するが、すべての抵抗体がガスセル内部に配置されていると、外部の温度変動にもガスセル内部の温度変動にも強く、安定したブリッジ出力を得ることができる。
【0052】
ブリッジ回路の応用例としては、図13に示すような2つの抵抗体を形成したフローセンサをガスセル内に入れて一方のみにガスの流れが生じるように構成したハーフブリッジ、図14に示すような2つの抵抗体を形成したフローセンサをガスセル内に入れて一方のみにガスの流れが生じるように構成し外部に参照抵抗を用いたフルブリッジなどの応用がある。
【0053】
本発明の以上の説明は、説明および例示を目的として特定の好適な実施例を示したに過ぎない。したがって本発明はその本質から逸脱せずに多くの変更、変形をなし得ることは当業者に明らかである。例えば、実施例では赤外線分析用のフローセンサとして説明したが、熱磁気式酸素計の微小流量計や空調など様々な分野の微小流量計への応用が可能である。特許請求の範囲の欄の記載により定義される本発明の範囲は、その範囲内の変更、変形を包含するものとする。
【0054】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のフローセンサは
(1)比抵抗制御により、形状、寸法が同等とするならば、格段に大きな抵抗値を実現できる。
(2)半導体リソグラフィ技術により、高精度な形状、長さ、幅を形成でき、抵抗値設計の自由度が広い。
(3)抵抗値の制御が容易で、特性の揃った抵抗体を複数得ることが出来る。
(4)抵抗体以外の必要のない部分へ加熱を抑制でき、消費電力を低減させることができる。
(5)抵抗体のみの加熱状態を実現できるので、ガスの流れ方向の温度分布が急峻になり、検出感度が向上する。
【0055】
半導体製造プロセスを用いることから、増幅回路を素子と同一の基板上に作り込んだり、アレイ化にして流れの分布計測用センサとして用いることができるなどの発展性も得られる。また、外付け抵抗器を用いずにブリッジ回路を構成することで、組み立て工数の低減、ブリッジ対辺の抵抗値マッチング、抵抗体をガスセル内部に配置することで外部温度の影響を低減することができる。
【0056】
またフローセンサとして動作する熱線と参照抵抗として動作する熱線が同一チップ上に配置され、同一形状のため、抵抗値などの電気的特性と発熱や熱の逃げなどの熱的特性を一致させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るフローセンサの実施形態の一例を示す図である。
【図2】従来例と、本発明による抵抗体の支持構造の熱特性を示す図である。
【図3】従来のフローセンサと本発明のフローセンサの流量特性を比較した図である。
【図4】ブリッジ回路の出力と流量の関係をシリコンとニッケルについて実験した結果を示す図である。
【図5】本発明に係るフローセンサの他の実施形態の一例を示す図である。
【図6】フローセンサをスペーサ10を挟んで対向して配置し、ガス流路の内部に設置した状態を示す図である。
【図7】フローセンサの信号取り出し回路例を示す配線図である。
【図8】フローセンサ2つを対向して配置した場合の流量特性例を示す図である。
【図9】流路内部に一つの単結晶シリコンフローセンサを配置した場合と2つのフローセンサを対向して配置した場合の流量特性を示す図である。
【図10】本発明の他の実施例を示す図である。
【図11】2つのフローセンサをスペーサを挟んで対向させガス流路の内部に配置してブリッジ回路を形成した図である。
【図12】フローセンサを4つの抵抗を有するフルブリッジ回路として構成した例を示す図である
【図13】2つの抵抗体を形成したフローセンサでハーフブリッジを構成した例を示す図である
【図14】2つの抵抗体を形成したフローセンサでフルブリッジを構成した例を示す図である
【図15】従来例を示す図である。
【符号の説明】
1 SOI基板
2 Si基板
3 SiO2絶縁層
4 Si活性層
5 抵抗体(ヒータ)
6,7 電極
8 中空
10 シリコン酸化膜
11 ガス流路
14 流れ阻止部材
15 空間(ガス溜り)
25 フローセンサ
26 参照抵抗
Claims (8)
- 半導体基板上に高濃度不純物をドープして形成された蛇行状または中心折返しのスパイラル状の抵抗体と、この抵抗体の下部に形成された中空部からなり、前記抵抗体は抵抗体の両電極の近くの両端で支持されて中空部に保持されたことを特徴とするフローセンサ。
- 半導体基板はSOI基板であることを特徴とする請求項1記載のフローセンサ。
- 半導体基板はNまたはP型シリコン基板であることを特徴とする請求項1記載のフローセンサ。
- 2枚の半導体基板上に前記抵抗体をそれぞれ形成し、これら半導体基板をスペーサを挟んで対向して平行に配置し、これら半導体基板をガスの流れが貫通するように配置したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のフローセンサ。
- 半導体基板上に2個の前記抵抗体を形成し、一つの抵抗体をガス流路が貫通するように配置し他方の抵抗体をガスの流れが貫通しないように隔離して配置したことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のフローセンサ。
- 他方の抵抗体をガスの流れが貫通しないように流れ阻止部材を設けたことを特徴とする請求項5に記載のフローセンサ。
- 2枚の半導体基板上にそれぞれ2個の抵抗体を形成し、これら半導体基板をスペーサを挟んで配置して対向する2組の抵抗体を構成し、一組の抵抗体をガス流路が貫通するように配置し他の組の抵抗体をガスの流れが貫通しないように隔離して配置し、これら抵抗体がブリッジ回路の構成要素となるように配置したことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のフローセンサ。
- 他の組の抵抗体をガスの流れが貫通しないように流れ阻止部材を設けたことを特徴とする請求項7に記載のフローセンサ。
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