JP2005003371A - 原子炉格納容器の水素除去方法および装置 - Google Patents

原子炉格納容器の水素除去方法および装置 Download PDF

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Abstract

【課題】水素と窒素の反応触媒の本来の性能を発揮させて水素を効果的に除去し、水素による原子炉格納容器の内圧上昇を抑制することのできる原子炉格納容器の水素除去方法および装置を提供する。
【解決手段】原子炉格納容器内に設けられ上部および下部に開口部を有する筐体と、前記筐体内の前記下部の開口部寄りに設けられ酸素と水素から水を生成する水素/酸素触媒と、前記水素/酸素触媒の上部に設けられ窒素と水素からアンモニアを生成する水素/窒素触媒とを備えている構成とする。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、原子炉の事故時に原子炉格納容器内に発生する水素を除去する原子炉格納容器の水素除去方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
原子炉事故が発生すると原子炉格納容器内に水素が発生する。従来の原子炉格納容器の構造は図10に示すようになっている。原子炉格納容器21は原子炉炉心22を収容する原子炉圧力容器23を格納している。原子炉圧力容器23を包囲する上部ドライウェル24と下部ドライウェル25、および、上部ドライウェル24とベント管26を介して接続され内部に水を貯蔵したサプレッションプール27aを備えたウェットウェル27が形成されている。また、原子炉圧力容器23を包囲して生体遮蔽壁28が設置されている。
【0003】
上記のような構成の原子炉格納容器21内において、原子炉圧力容器23に接続された主蒸気管29等の原子炉一次冷却系配管が万が一破断した場合、原子炉格納容器21内の上部ドライウェル24に高温・高圧の原子炉一次冷却材(水)が放出され、上部ドライウェル24内の圧力・温度が急激に上昇する。上部ドライウェル24に放出された高温・高圧の冷却材は、上部ドライウェル24内の気体と混合して、ベント管26を通してサプレッションプール27aの水中に放出されて冷却される。こうして原子炉圧力容器23から放出される熱エネルギーの多くはこのサプレッションプール27aにおいて吸収される。
【0004】
原子炉圧力容器23内には非常用炉心冷却系によりサプレッションプール27aの水が注入されて炉心22が冷却されるが、この冷却水は長期的には炉心22から崩壊熱を吸収し、破断した配管の破断口からドライウェルへ流出される。このため、上部ドライウェル24内の圧力・温度は常にウェットウェル27よりも高い状態となる。このような長期的事象下で軽水炉型原子力発電所の原子炉内では冷却材である水が放射線分解され、水素ガスと酸素ガスが発生する。
【0005】
さらに、燃料被覆管の温度が上昇する場合には水蒸気と燃料被覆管材料のジルコニウムとの間で反応(Metal−Water反応)が起こり、短時間で水素ガスが発生する。こうして発生する水素ガスが破断した配管の破断口等から原子炉格納容器21内に放出され、原子炉格納容器21内の水素ガス濃度は次第に上昇する。また、水素ガスは非凝縮性であるから、原子炉格納容器21内の圧力も上昇する。
【0006】
この状態に対し何等有効な対策を行うことができずに水素ガス濃度が4vol%かつ酸素濃度が5vol%以上に上昇すると、すなわち可燃性ガス濃度が可燃限界を越えたときには、気体は可燃状態となる。さらに水素ガス濃度が上昇すると爆発等の急激な反応が起きる可能性がある。
【0007】
こうした事態への有効な対策として、従来の沸騰水型原子力発電設備の場合には、圧力抑制式の原子炉格納容器内を窒素ガスで置換し酸素濃度を低く維持することにより、Metal−Water反応により短時間で大量に発生する水素ガスに対しても原子炉格納容器内が可燃性雰囲気となることを防止し、固有の安全性を達成している。
【0008】
また、再結合器及びブロアを有する可燃性ガス濃度制御装置を原子炉格納容器外に設置して、原子炉格納容器内の気体を原子炉格納容器外に吸引し、昇温させて水素ガスと酸素ガスを再結合させて水に戻し、残りの気体を冷却してから原子炉格納容器内へ戻すことで、可燃性ガス濃度の上昇を抑制している。
【0009】
さらに、上述の装置とは異なり外部電源を必要とせず、静的に可燃性ガス濃度を制御する装置として、水素の酸化触媒を用いて再結合反応を促進させる触媒式再結合装置を原子炉格納容器内に複数配置する方法が開発されている。こうした可燃性ガス除去装置は、例えば下記の特許文献1や特許文献2に記載されている。
【0010】
また、主に原子力発電所に用いられ事故時に原子炉格納容器内に発生する水素を窒素との触媒反応で除去する方法が開発されている。こうした可燃性ガス除去装置は、例えば特許文献3や特許文献4に記載されている。
【0011】
【特許文献1】
特表平5−507553号公報
【特許文献2】
特開平5−188196号公報
【特許文献3】
特開平11−166996号公報
【特許文献4】
特開2001−56391号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
Metal−Water反応によって大量の水素が発生する事象下において、上述の水素と酸素の再結合による従来の水素処理方法では、低酸素状態で水素の除去を行うことが困難である。水素除去が出来ない場合、格納容器内圧力を低減することができず、事故を収束に導くことが困難となる。この場合、現行のシステムでは格納容器内雰囲気を環境に放出して格納容器内圧力を低減し、事故を収束することが計画されているが、同時に放射性廃棄物を環境に放出する恐れがある。そこで酸素濃度が低く再結合を行うのが難しい場合にも水素を除去する方法として、水素吸蔵合金の利用が提案されている。
【0013】
しかし、水素吸蔵合金が吸蔵する水素の重量は高々その合金重量の数%にすぎない。例えば、TiFe合金の吸蔵水素量は合金重量の約1.8%である。よって、大量の水素発生に対処するには膨大な量の水素吸蔵合金が必要とされる。また、水素を窒素との触媒反応で除去する場合、特にRu金属を使用する触媒においては、空気中にある酸素により水素と窒素の反応が阻害されるため、触媒本来の性能が発揮されず格納容器内の水素を除去しきれない可能性が生じる。
【0014】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、水素と窒素の反応触媒の本来の性能を発揮させて水素を効果的に除去し、水素による原子炉格納容器の内圧上昇を抑制することのできる原子炉格納容器の水素除去方法および装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、原子炉格納容器内に設置され窒素と水素からアンモニアを生成する触媒を脱酸素処理を施したのちに前記原子炉格納容器内雰囲気中の窒素と水素からアンモニアを生成する反応を行わせる構成とする。
【0016】
請求項2の発明は、原子炉格納容器内に設けられ上部および下部に開口部を有する筐体と、前記筐体内の前記下部の開口部寄りに設けられ酸素と水素から水を生成する水素/酸素触媒と、前記水素/酸素触媒の上部に設けられ窒素と水素からアンモニアを生成する水素/窒素触媒とを備えている構成とする。
【0017】
請求項3の発明は、前記水素/窒素触媒の担持体はSiO、Al、TiO、ZrO、C、およびゼオライトの中から選択される少なくとも一つの物質から成り、前記担持体の比表面積は5m/g以上である構成とする。
【0018】
請求項4の発明は、前記水素/窒素触媒の活性種はRu、Pd、Pt、Ir、W、Ag、Au、Rh、Reの中から選択される少なくとも一つの物質から成り、前記触媒における活性種の含有率は0.1wt%から30wt%である構成とする。
【0019】
請求項5の発明は、前記水素/窒素触媒はCeO、La、MgO、KO、NaO、CaO、CsNO3の中から選択される少なくとも一つの物質を助触媒とし、前記触媒における前記助触媒の含有率は1wt%から50wt%である構成とする。
【0020】
請求項6の発明は、前記筐体は前記上部および下部の開口部の近傍に筐体の内外を連通する配管および弁を備えている構成とする。
請求項7の発明は、前記筐体は前記開口部を開閉する扉を有する密閉構造であり、筐体内を窒素または不活性ガスで置換する構成とする。
【0021】
請求項8の発明は、前記開口部は、前記筐体の電源損失または急激な温度上昇または筐体外面への水分付着を関知したときに自動的に開閉する扉を備えている構成とする。
【0022】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の第1の実施の形態の水素除去装置の構成図である。本実施の形態の水素除去装置は、酸素と水素から水を生成する水素/酸素触媒層1と、窒素と水素からアンモニアを生成する水素/窒素触媒層2と、触媒層1と触媒層2を内蔵し且つ雰囲気ガスの自然循環流路を形成する筐体3とからなる。筐体3は底部と上部に蓋付の開口部4a,4bと脱酸素処理を施すための弁および配管5a,5bを備えている。
【0023】
原子炉格納容器内に本実施の形態の水素除去装置を設置したのちに、水素と窒素の混合ガスを導入して触媒表面に吸着した酸素を除去する。すなわち、触媒層1及び触媒層2を収容し筐体3の開口部4aと4bを閉じた状態で、弁および配管5aを介して約300℃程度まで昇温した窒素と水素の混合ガスを12時間程度通気する。混合ガスは弁および配管5bから排出される。このときの窒素と水素の混合割合は1:1程度である。
【0024】
水−ジルコニウム反応によって大量の水素が発生した場合、雰囲気中の水素と酸素が触媒層1の作用によって結合して水が生成される。このとき、酸素分子1モルと水素分子2モルが反応して2モルの水分子を生成する。したがってガス状分子のモル数が3分の2に減少するため体積も3分の2に減少する。この反応は発熱反応であるため、筐体3内のガスは浮力を伴って上部の蓋付開口部4bから排出される。また、原子炉格納容器内の雰囲気ガスは底部の蓋付開口部4aから筐体3内部へと取り込まれる。このように触媒反応熱を駆動源とする自然循環流によって雰囲気ガスを触媒層1,2に導くために動的機器を必要せず、装置の小型化、コスト削減、メンテナンスが容易であるなどの特長がある。
【0025】
触媒層1で発生した熱は上昇流を伴って触媒層2へ行き、水素と窒素が触媒層2の作用によって結合しアンモニアが生成される。これらの作用により雰囲気中の水素、窒素、酸素全てが水蒸気あるいはアンモニアになる。
【0026】
図2は本発明の第1の実施の形態の水素除去装置に関して、アンモニア合成反応触媒の脱酸素前処理の有無による水素除去割合の違いを示すグラフである。同図に示す如く脱酸素処理の有無により水素除去率に顕著な影響が現れる。
【0027】
アンモニア合成反応は
3H + N→ 2NH
で表され、触媒反応において触媒表面に水素なり窒素が吸着してアンモニア生成反応が成り立つ。触媒表面に酸素が吸着している場合には、その後に窒素などの不活性ガスで置換したとしても、触媒に吸着した酸素を取り除くことができない。このため、触媒表面の酸素を水素に結合させ酸素除去を行うことで、アンモニア生成反応本来の性能が得られる。
【0028】
図3は、水素の酸化触媒だけを用いた水素除去装置による格納容器内圧力低減効果と本発明の第1の実施の形態による格納容器内圧力低減効果との比較を示している。水素の酸化触媒だけを用いた場合(HO生成)には、酸素不足により大量の水素が除去されずに残留するため、格納容器内圧力はほとんど低下しない。一方、本発明(NH生成)によれば格納容器内に大量に存在する窒素を利用するため、水素を大量に除去することが可能であり、格納容器内圧力低減効果は顕著である。
【0029】
更に、アンモニア生成触媒(水素/窒素触媒)と共に水素酸化触媒を使用することにより、水素酸化反応の反応熱を利用してアンモニア生成触媒を昇温し、触媒活性を向上させると共に、酸素を消費することで格納容器内雰囲気が可燃限界に到達するのを防止することができる。水素酸化触媒はアンモニア生成触媒と混合して使用するか、あるいはアンモニア生成触媒の上流側に水素酸化触媒を配置して使用する。また、アンモニア生成触媒のなかにはそれ自体が水素の酸化触媒でもあるものがある。
【0030】
図4はアンモニア生成触媒の比表面積と活性(反応率)との関係を示したものである。触媒活性が高い領域は比表面積が5m/g−cat以上の範囲であり、この範囲では水素除去効率が高く、速やかに水素を除去することができるといえる。
【0031】
図5は、Alをアンモニア生成触媒(水素/窒素触媒)の担持体として各種金属(Ru,Pd,Pt,Ir,W,Ag,Au,Rh,Re)の担持量と触媒活性(反応率)との関係を示したものである。触媒活性種の含有率が0.1wt%から30wt%では触媒活性が高く、速やかに水素を除去することができるといえるといえる。さらに、この実施例では単体の例を示したが、上記各種金属の複数を混合して使用してもよいのはもちろんである。なお、水素/窒素触媒の担持体としてはSiO、TiO、ZrO、C(活性炭)およびゼオライトの中から選択される少なくとも一つの物質を用いることができる。
【0032】
図6は各種助触媒(CeO,La,MgO,CaO,CsNO)の含有率とアンモニア生成触媒の活性との関係を示したものである。Alを担持体とした場合の助触媒の含有率が1wt%から50wt%のものを示す。この図より、助触媒を用いることによって水素除去を効率的に行うことができること、およびCeO,La,MgOが特によいことがわかる。なお、図6に記載した物質のほかに、KO、NaOも助触媒として用いることができる。さらに、この実施例では単体の例を示したが、上記各種金属の複数を混合して使用してもよいのはもちろんである。
【0033】
水素と窒素からアンモニアを生成するモデル反応機構は下記のようになる(J.R.Jennings,゛Catalytic Ammonia Synthesis,Fundamentals and Parctice゛,Plenum Press,New York,1991)。
【0034】
N(g)+*→N*(分子状前駆体) (1)
*+*→2N*(解離律速) (2)
N*+H*→NH*+* (3)
NH*+H*→NH*+* (4)
NH*+H*→NH*+* (5)
NH*→NH(g)* (6)
NH(g)+2*→2H* (7)
【0035】
サイト(*)は1種類で全ての吸着手が競争吸着する。これにより、触媒表面における反応は窒素の解離が律速である。従って、触媒表面に窒素および水素以外の物質が吸着している場合は、このモデル反応機構以前に吸着物質の脱離操作が必要となる。
【0036】
例えばアルミナを担持体とし、触媒活性種にRu、助触媒としてCsからなる触媒を大気中に曝した後、窒素だけの置換では触媒本来の性能は得られず、図7に示す様に水素と窒素の混合ガスにより触媒表面の酸素と反応させることで、触媒本来の性能が得られる。その後反応の律速となる窒素を注入することで水素除去性能が発揮され、速やかに水素を除去することができる。
【0037】
以上のように本発明の第1の実施の形態によれば、炉心を内包する原子炉圧力容器を包囲する原子炉格納容器内部に配置され、前記格納容器内雰囲気中の窒素と水素からアンモニアを生成する触媒に、脱酸素処理を施すことにより、原子炉事故後に予測される原子炉格納容器内雰囲気条件において、触媒毒となる酸素を除去し触媒本来のアンモニア合成反応を行わせることができる。
【0038】
また、触媒担体、触媒活性種、助触媒などから組み合わされた触媒が、大気中の酸素を吸着した場合に、水素と窒素混合気体により水素と酸素の再結合反応により脱酸素し、その後窒素により置換処理を施すことにより、原子炉事故後に予測される原子炉格納容器内雰囲気条件において、酸素の妨害を受けずにアンモニア合成反応を効率よく行わせることができる。
その結果、水素による原子炉格納容器の内圧上昇を抑制することができる。
【0039】
図8は本発明の第2の実施の形態の水素除去装置の構成図である。筐体3の上下二方向にある開口部4a,4bは格納容器中の雰囲気ガスの通気を可能とし、パッキン7a,7bを具備する蓋6a,6bにより密閉できる。そして、窒素および不活性ガスを置換する弁および配管5a,5bにより筐体3中を窒素および不活性ガスで加圧置換する。これにより、格納容器雰囲気中の酸素による妨害を受けず、触媒水素除去効率を高く維持することができる。
【0040】
この第2の実施の形態によれば、触媒担体、触媒活性種、助触媒などから組み合わされた触媒が、酸素を吸着していない場合に、不活性化ガス置換処理を施すことにより、原子炉事故後に予測される原子炉格納容器内雰囲気条件において、酸素の妨害を受けずアンモニア合成反応を効率的に行わせ、原子炉格納容器内の圧力上昇を抑制することができる。
【0041】
図9は本発明の第3の実施の形態の水素除去装置の構成図である。筐体3の開口部4a,4bには蓋開閉機構10が設けられている。蓋開閉機構10は内部にバネと蓋6bを閉めるための治具を有し、治具は例えば「コ」の字形をしており、一端にバネを配置し他端に筐体3の蓋6bを掛ける構造である。バネを配置した一端の反対側は通電時に「開」となる電磁弁9からの圧縮空気により押される構造となっている。
【0042】
この状態で筐体3の蓋6a,6bを閉めた状態に保ち、電源8aや温度8b,湿度センサー8cの信号を受けて圧縮空気を通気している電磁弁9が遮断されると、前記したバネによりコの字形の治具が蓋6bから外れ、蓋押上バネ11によって筐体3の蓋6bが開放される構造となっている。
【0043】
各種センサーについては、原子炉格納容器内事故後であるため、雰囲気温度が100℃以上となる場合や、多量の水蒸気を放出したことで各種容器が凝縮水に曝される場合、また電源損失などにより開閉機構10が作動する。
【0044】
筐体3の上下二方向にある開口部4a,4bは筐体3に取り付けられた押上バネ11を押さえて蓋6a,6bを閉じ、蓋の施錠を電磁弁9を介して開閉機構10により行う。この状態において、筐体3の外側に取り付けてある温度センサー8b、湿度センサー8c、あるいは電源8aが損失すると電磁弁9は閉じ、開閉機構10への駆動空気が切断され開錠する。これによって蓋4a,4bが自然落下あるいはバネ11の力で開き、水素除去装置としての準備が完了する。
【0045】
この第3の実施の形態によれば、前記格納容器内雰囲気ガスの流路を形成する筐体を具備し、筐体の二方向に自動的に開閉する扉を有する密閉構造を有し、かつ不活性化ガス、特に窒素による加圧置換されていることにより、原子炉事故後に予測される原子炉格納容器内雰囲気条件において、酸素の妨害を受けずアンモニア合成反応速度が速い水素除去装置を得ることができる。
【0046】
また筐体が、電源損失または急激な温度上昇または筐体外面への水分付着を関知したときに自動的に開閉する扉を具備し、扉の開閉は自由落下による開閉であることにより、システム立ち上げのためのセンサー不具合事象においても、誤動作なく立ち上げを可能とし、原子炉事故時のシステム立ち上げを完了させる。原子炉事故後に予測される原子炉格納容器内雰囲気条件において、酸素の妨害を受けずアンモニア合成反応速度が速い水素除去装置を得ることができる。
【0047】
このようにこの第3の実施の形態によれば、原子炉格納容器内の雰囲気ガスおよび大気中の酸素に触媒が曝されず、触媒本来の性能を発揮することから、水−ジルコニウム反応によって大量の水素が発生するような状況においても、水素による原子炉格納容器の加圧を緩和することができる。
【0048】
【発明の効果】
本発明によれば、水素と窒素の反応触媒の本来の性能を発揮させて水素を効果的に除去し、水素による原子炉格納容器の内圧上昇を抑制することのできる原子炉格納容器の水素除去方法および装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の原子炉格納容器の水素除去装置を示す斜視図。
【図2】触媒の前処理有り無しによる水素除去率の違いを示し、本発明の作用効果を説明するグラフ。
【図3】利用する反応によるガス圧力低下の違いを示し、本発明の作用効果を説明するグラフ。
【図4】触媒の比表面積と反応率の関係を示し、本発明の作用効果を説明するグラフ。
【図5】触媒の含有率と反応率の関係を示し、本発明の作用効果を説明するグラフ。
【図6】助触媒の含有率と反応率の関係を示し、本発明の作用効果を説明するグラフ。
【図7】触媒の水素処理時間と水素除去率の関係を示し、本発明の作用効果を説明するグラフ。
【図8】本発明の第2の実施の形態の原子炉格納容器の水素除去装置を示す斜視図。
【図9】本発明の第3の実施の形態の原子炉格納容器の水素除去装置を示す斜視図。
【図10】原子炉格納容器の概略断面図。
【符号の説明】
1…水素/酸素触媒層、2…水素/窒素触媒層、3…筐体、4a,4b…蓋付開口部、5a,5b…弁および配管、6a,6b…蓋、7a,7b…パッキン、8a…電源、8b…温度センサー、8c…湿度センサー、9…電磁弁、10…蓋開閉機構、11…蓋押上バネ、21…原子炉格納容器、22…原子炉炉心、23…原子炉圧力容器、24…上部ドライウェル、25…下部ドライウェル、26…ベント管、27…ウェットウェル、27a…サプレッションプール、28…生体遮蔽壁、29…主蒸気管。

Claims (8)

  1. 原子炉格納容器内に設置され窒素と水素からアンモニアを生成する触媒を脱酸素処理を施したのちに前記原子炉格納容器内雰囲気中の窒素と水素からアンモニアを生成する反応を行わせることを特徴とする原子炉格納容器の水素除去方法。
  2. 原子炉格納容器内に設けられ上部および下部に開口部を有する筐体と、前記筐体内の前記下部の開口部寄りに設けられ酸素と水素から水を生成する水素/酸素触媒と、前記水素/酸素触媒の上部に設けられ窒素と水素からアンモニアを生成する水素/窒素触媒とを備えていることを特徴とする原子炉格納容器の水素除去装置。
  3. 前記水素/窒素触媒の担持体はSiO、Al、TiO、ZrO、C、およびゼオライトの中から選択される少なくとも一つの物質から成り、前記担持体の比表面積は5m/g以上であることを特徴とする請求項2記載の原子炉格納容器の水素除去装置。
  4. 前記水素/窒素触媒の活性種はRu、Pd、Pt、Ir、W、Ag、Au、Rh、Reの中から選択される少なくとも一つの物質から成り、前記触媒における活性種の含有率は0.1wt%から30wt%であることを特徴とする請求項2記載の原子炉格納容器の水素除去装置。
  5. 前記水素/窒素触媒はCeO、La、MgO、KO、NaO、CaO、CsNO3の中から選択される少なくとも一つの物質を助触媒とし、前記触媒における前記助触媒の含有率は1wt%から50wt%であることを特徴とする請求項2記載の原子炉格納容器の水素除去装置。
  6. 前記筐体は前記上部および下部の開口部の近傍に筐体の内外を連通する配管および弁を備えていることを特徴とする請求項2記載の原子炉格納容器の水素除去装置。
  7. 前記筐体は前記開口部を開閉する扉を有する密閉構造であり、前記筐体内を窒素または不活性ガスで置換することを特徴とする請求項2記載の原子炉格納容器の水素除去装置。
  8. 前記開口部は、前記筐体の電源損失または急激な温度上昇または筐体外面への水分付着を関知したときに自動的に開閉する扉を備えていることを特徴とする請求2記載の原子炉格納容器の水素除去装置。
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