JP2005002224A - 生分解性とガスバリア性とを兼備する共重合ポリエステルコンポジットフィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】生分解性とガスバリア性とを兼備する共重合ポリエステルコンポジットフィルムを提供すること。
【解決手段】ジオール成分として特定のジオール体を含む芳香族ポリエステル共重合体と、膨潤性層状珪酸塩とから主としてなる共重合ポリエステル複合材料を溶融製膜する。
【選択図】 なし
【解決手段】ジオール成分として特定のジオール体を含む芳香族ポリエステル共重合体と、膨潤性層状珪酸塩とから主としてなる共重合ポリエステル複合材料を溶融製膜する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、膨潤性層状珪酸塩を芳香族ポリエステル共重合体中に均一に分散させてなる共重合ポリエステルコンポジッドフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略記することがある。)、ポリエチレンナフタレート(以下、PENと略記することがある。)、ポリブチレンテレフタレート(以下、PBTと略記することがある。)などの芳香族ポリエステルは優れた耐熱性や機械的性質、耐薬品性などを有しているため、繊維、フィルム、樹脂などとして広範囲で使用されている。
【0003】
また、芳香族ポリエステルポリマー単独では機械物性、耐熱性が不十分な場合には、無機質充填剤を強化剤として用いることにより向上させる試みもなされている(例えば、特許文献1参照。)。しかし機械物性、耐熱性を十分満足させるためには強化剤を大量に添加する必要があり、この場合強度や耐熱性は向上するものの、靭性や表面性が大きく低下し更には比重が大きくなるという問題がある。この原因として、無機質充填材の分散不良及び分散粒子のサイズの大きさが考えられる。そこで最近になって無機質充填材を分子レベルで分散させることで、非常に少量の含有量で、高度の強靭性、強度、ガスバリア性、更には熱安定性や難燃性を同時に付与させる研究が盛んに行われている。更に最近では、このような分子レベルの分散を実現した複合材料において生分解性の向上など新しい機能を付与するという、非常に興味深い報告もなされている。
【0004】
この技術を一般の芳香族ポリエステルに適用することができれば、機械強度、耐熱性及びガスバリア性の向上、更には生分解性の向上などによって、フィルム用途やボトル用途への適用や、生分解性が向上することから農業用資材用途への適用など、幅広い展開が期待できるが、現在の所このような分子レベルの分散複合体が実現したと言う例は極めて少ない。
【0005】
ところで、上記無機質充填剤のひとつとして膨潤性層状珪酸塩が知られている。膨潤性層状珪酸塩は厚さ1nmの単位層が数百枚程度積層しており、ポリマー中に均一に分散したとしても分子レベルで分散することはこれまで不可能であったが、第4級アンモニウム塩で処理した膨潤性層状珪酸塩が、脂肪族ポリアミド中に分子レベルで分散させることが可能であることが報告され(特許文献2参照。)、その後ポリイミド(特許文献3、4及び5等参照。)、エポキシ化合物(非特許文献1参照。)、ポリスチレン(非特許文献2参照)、ポリプロピレン(非特許文献3参照。)においても同様な報告がなされてきた。
【0006】
そして、芳香族ポリエステルにおいても均一分散させる方法が各種提案されているものの(例えば、特許文献6、7及び8参照。)、脂肪族ポリアミドの様に分子レベルでの均一分散は達成されていない。
【0007】
芳香族ポリエステルは脂肪族ポリアミドと異なり分子鎖中にエステル結合や芳香環を有するという構造上の特性から、膨潤性層状珪酸塩を単に第4級アンモニウム塩で処理した程度では、分子レベルでの均一分散は達成されないことが考えられる。
【0008】
また前記したように、膨潤性層状珪酸塩を分子レベルで分散させることで生分解性の向上という新しい報告がなされている(非特許文献4参照。)。
【0009】
他方、脂肪族ポリエステルの生分解については周知の域に達しているものの、芳香族ポリエステルの分解については困難とされてきた(非特許文献5参照。)。その原因として芳香族ポリエステルは、▲1▼分解菌がほとんどいない、▲2▼脂肪族ポリエステルと比べて吸水率が低いため分解菌が付着しにくいことが考えられる。
【0010】
また、仮に充分な親水性や生物分解性を共重合による改質によって付与することが出来たとしても、このような共重合体からなる成形品やフィルム、繊維は多くの場合、共重合成分を導入することによってガスバリア性や力学特性が低下する場合が多い。
【0011】
【特許文献1】
特開昭51−24653号公報
【0012】
【特許文献2】
特開昭62−74957号公報
【0013】
【特許文献3】
特開平4−33955号公報
【0014】
【特許文献4】
特開平9−194723号公報
【0015】
【特許文献5】
特開平9−208822号公報
【0016】
【特許文献6】
特開平3−62846号公報
【0017】
【特許文献7】
特開平7−166036号公報
【0018】
【特許文献8】
国際公開第99/03914号パンフレット
【0019】
【非特許文献1】
「ケミストリーオブマテリアルズ」(”Chemistry of Materials”),1994年,第5巻,p.1064
【0020】
【非特許文献2】
「ジャーナルオブザアメリカンケミカルソサエティ」(”Journal of the American Chemical Society”),1999年,第121巻,p.1615
【0021】
【非特許文献3】
「ジャーナルオブアプライドポリマーサイエンス」(”Journal of Applied Polymer Science”),1997年,第63巻,p.137
【0022】
【非特許文献4】
「アンテック’99、バイオデグレーデブルプラスティックス99カンファレンスプロシーディング」(ANTEC(Annual Technical Conference)’99,Biodegradable Plastics 99 Conference proceeding”),ソサエティオブプラスティックスエンジニアズ,(”SOCIETY OF PLASTICS ENGINEERS”)1999年、VolumeII、p.1628〜1632
【0023】
【非特許文献5】
「実用化進む生分解性プラスチック」,工業調査会,1990年,p.262〜276
【0024】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記従来技術が有していた問題点を解消し、生分解性とガスバリア性とを兼備する共重合ポリエステルコンポジットフィルムを提供することにある。更に、本発明の他の目的は、上記共重合ポリエステルコンポジッドフィルムの製造方法を提供することにある。
【0025】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、芳香族ポリエステルに特定のジオール体を共重合することにより、膨潤性層状珪酸塩が該ポリエステル中に分子レベルで均一分散することを見出し、更にこれを溶融製膜したフィルムは生分解性とガスバリア性とを高い水準で兼備することを見出し本発明を完成するに至った。
【0026】
即ち、本発明の目的は、
(1)ジオール成分として下記一般式(I)で表されるジオール体を含む芳香族ポリエステル共重合体と、(2)膨潤性層状珪酸塩と、から主としてなる、生分解性とガスバリア性とを兼備する共重合ポリエステルコンポジットフィルムによって達成される。
【0027】
【化3】
【0028】
更に、本発明の他の目的は、
(1)ジオール成分として前記一般式(I)で表されるジオール体を含む芳香族ポリエステル共重合体と、(2)膨潤性層状珪酸塩と、から主としてなる共重合ポリエステル複合材料を溶融製膜する、生分解性とガスバリア性とを兼備する共重合ポリエステルコンポジットフィルムの製造方法によって達成することができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のフィルムは、(1)ジオール成分として前記一般式(I)で表されるジオール体を含む芳香族ポリエステル共重合体と、(2)膨潤性層状珪酸塩とから主としてなる。
【0030】
ここで、「主として」とは、該(1)成分と(2)成分との合計がフィルムを構成する全成分を基準として80重量%以上、好ましくは90重量%以上、特に好ましくは95重量%以上を占めることをいう。
【0031】
本発明で使用される、芳香族ポリエステル共重合体とは、芳香族ポリエステルに下記一般式(I)で表されるジオール体を含むものである。
【0032】
【化4】
【0033】
式(I)中、R2は具体的には、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基が例示されるが、2種以上、例えばエチレン基とプロピレン基とを有する共重合体であってもよい。またnが30未満であると、膨潤性層状珪酸塩の分散性が悪く、140を超えると熱安定性及び成形性に問題が生じる。
【0034】
このようなジオール体の好ましい具体例としては、ポリオキシエチレングリコールメチル1,2−ジヒドロキシプロピルエーテル、ポリオキシエチレングリコールフェニル1,2−ジヒドロキシプロピルエーテル、ポリオキシエチレングリコールイソプロピル1,2−ジヒドロキシプロピルエーテル、ポリオキシエチレングリコールn−ブチル1,2−ジヒドロキシプロピルエーテル、ポリオキシエチレングリコールオクチルフェニル1,2−ジヒドロキシプロピルエーテル、ポリオキシエチレングリコールノニルフェニル1,2−ジヒドロキシプロピルエーテル、ポリオキシエチレングリコールセチル1,2−ジヒドキシプロピルエーテル、ポリオキシプロピレングリコールメチル1,2−ジヒドロキシプロピルエーテル、ポリオキシプロピレングリコールフェニル1,2−ジヒドロキシプロピルエーテル、ポリオキシプロピレングリコールn−ブチル1,2−ジヒドロキシプロピルエーテル、ポリオキシプロピレングリコールオクチルフェニル1,2−ジヒドロキシプロピルエーテル、ポリオキシプロピレングリコールノニルフェニル1,2−ジヒドロキシプロピルエーテル、ポリオキシテトラメチレングリコールメチル1,2−ジヒドロキシプロピルエーテル、ポリオキシエチルグリコール/ポリオキシプロピレングリコール共重合体のメチル1,2−ジヒドロキシプロピルエーテル等のポリオキシエチレングリコール誘導体を挙げることができる。
【0035】
上記化合物は1種を単独で使用しても、また2種以上を併用してもよい。該ジオール成分としては、前記一般式(I)で表されるポリオキシエチレングリコールが、全ジオール成分を基準として、0.1〜10mol%を占め、アルキレングリコールが90〜99.9mol%を占めることが好ましい。
【0036】
上記のジオール体を含む芳香族ポリエステルとしては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート−テレフタレート共重合体、ポリブチレンイソフタレート−テレフタレート共重合体、ポリシクロヘキシレンジメチレンイソフタレート−テレフタレート共重合体などを挙げることができるが、上記ポリエステルは、溶液粘度(ηsp/c)が0.6〜1.2のものを用いるのが好ましい。
【0037】
次に、本発明において使用される膨潤性層状珪酸塩とは、陽イオン交換能を有し更に層間に水を取り込んで膨潤する性質を示す層状珪酸塩であればいずれを用いてもよく、例えばスメクタイト系粘土鉱物、膨潤性マイカが挙げられる。スメクタイト系粘土鉱物としては、例えば、ヘクトライト、サポナイト、スチブンサイト、バイデライト、モンモリロナイト等の天然産出物又は化学的に合成したもの、またこれらの置換体、誘導体、あるいは混合物を挙げることができる。また膨潤性マイカは化学的に合成したものであって、層間に例えばLiイオン、Naイオンを持った合成膨潤性雲母又はこれらの置換体、誘導体あるいは混合物が挙げることができる。該膨潤性層状珪酸塩としては、特に、モンモリロナイト又は膨潤性マイカを用いることが好ましい。これらは単独で用いても二種以上を併用してもどちらでもよい。
【0038】
本発明では、上記膨潤性層状珪酸塩を有機オニウムイオンによって処理したものを用いるのが好ましく、該有機オニウムイオンとして、第4級アンモニウムイオンを用いることが好ましく、特に、下記一般式(II)
【0039】
【化5】
【0040】
の構造で示される第4級アンモニウムイオンが好ましい。ここで、炭素数1〜30のアルキル基としては、炭素数1〜18のアルキル基が好ましい。
【0041】
具体的にはドデシルトリメチルアンモニムクロライド、テトラデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、オレイルトリメチルアンモニウムクロライド、ジドデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジテトラデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジヘキサデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジオレイルジメチルアンモニウムクロライドドデシルジメチルベンジルアンモニムクロライド、テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、オレイルジメチルベンジルクロライド、ヒドロキシポリオキシエチレンドデシルジメチルアンモニウムクロライド、ヒドロキシポリオキシエチレンテトラデシルジメチルアンモニウムクロライド、ヒドロキシポリオキシエチレンヘキサデシルジメチルアンモニウムクロライド、ヒドロキシポリオキシエチレンオクタデシルジメチルアンモニウムクロイド、ヒドロキシポリオキシエチレンオレイルジメチルアンモニウムクロライド、ジヒドロキシポリオキシエチレンドデシルメチルアンモニウムクロライド、ジヒドロキシポリオキシエチレンテトラデシルメチルアンモニウムクロライド、ジヒドロキシポリオキシエチレンヘキサデシルメチルアンモニウムクロライド、ジヒドロキシポリオキシエチレンオクタデシルメチルアンモニウムクロライド、ジヒドロキシポリオキシエチレンオレイルメチルアンモニウムクロライドが挙げられる。
【0042】
膨潤性層状珪酸塩の前記有機オニウムイオンでの処理方法は、通常、膨潤性層状珪酸塩1重量部と有機オニウムイオン1〜10重量部とを水中で混合した後、乾燥させることによって行う。ここで、使用する水の量は、膨潤性層状珪酸塩の1〜100倍である。また混合するときの温度は、30℃〜70℃であり、混合時間は0.5〜2時間が好ましい。乾燥条件としては、70〜100℃で3日間常圧乾燥後に、2日間真空乾燥させることが好ましい。
【0043】
本発明における芳香族ポリエステルとは、芳香環を重合体の連鎖単位に有する芳香族ポリエステルであって、二官能性芳香族カルボン酸とジオールとを主成分とする縮合反応により得られる重合体であり、この芳香族ポリエステルの原料モノマーとしては、公知のポリエステル原料であるすべての芳香族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸エステル、ヒドロキシカルボン酸及びジオールが使用可能である。
【0044】
例えば、芳香族ジカルボン酸としてはテレフタル酸、オルトフタル酸、クロルフタル酸、ニトロフタル酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、2,2’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルメタンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルフォンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルイソプロピリデンジカルボン酸、1,2−ビス(4−カルボキシフェノキシ)−エタン、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−テトラブチルフォスフォニウムスルホイソフタル酸等を挙げることができ、芳香族ジカルボン酸エステルとしては、上記の芳香族ジカルボン酸のメチルエステルを好ましい例として挙ることができる。
【0045】
また、ヒドロキシカルボン酸としては、p−ヒドロキシ安息香酸、p−(ヒドロキシエトキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、4’−ヒドロキシ−ビフェニル−4−カルボン酸等を挙げることができる。
【0046】
他方、ジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,2−ジメチルプロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、オクタメチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ヒドロキノン、レゾルシノール、ビスフェノールA及び2,2−ビス(2’−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパンが挙げられる。
【0047】
本発明のフィルムは、酸素透過係数が0.1×10−8〜15×10−8mol・m/(m2・s・Pa)の範囲にあることが好ましい。この範囲内にあれば十分なガスバリア性を有するとともに、生分解性が低下することも無い。
【0048】
また、水蒸気透過度が150〜250g/(m2・24Hr)の範囲にあることが好ましい。この範囲内にあれば十分なガスバリア性を有するとともに、生分解性が低下することも無い。
【0049】
更に、生分解性が、10%以上であることが好ましく、特に20%以上であることが好ましい。ここで、本発明で言う生分解性(又は生分解率)とは、活性汚泥中に浸漬させた後の芳香族ポリエステル共重合体の溶液粘度低下率を意味し、上記の範囲内であれば、目視での形状変化並びに機械強度の低下を確認することができる。
【0050】
次に、本発明のフィルム製造のための好ましい方法につき説明する。
本発明の製造方法においては、(1)ジオール成分として前記一般式(I)で表されるジオール体を含む芳香族ポリエステル共重合体と、(2)膨潤性層状珪酸塩と、から主としてなる共重合ポリエステル複合材料を溶融製膜する。
【0051】
該芳香族ポリエステル共重合体を得るには、前述したように公知のポリエステル原料であるすべての芳香族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸エステル、ヒドロキシカルボン酸及びジオールが使用可能であり、また公知の製造方法をいずれも用いることができる。
【0052】
芳香族ポリエステルを得るにあたって、例えば、エステル交換反応を経由して得る方法としては、ジカルボン酸アルキルエステル原料とジオール原料とを180〜250℃の温度で酢酸カルシウムなどのエステル交換反応触媒の存在下に、アルコールを留出しながらエステル交換反応を行う。次に250〜290℃で、二酸化ゲルマニウム、三酸化アンチモンなどの重合触媒の存在下に66.67Pa以下の減圧下にてジオールを留出しながら、1〜5時間溶融重合を行い、ポリエステルを得る。得られたポリエステルの溶液粘度(ηsp/c)は0.6〜1.2である。
【0053】
更に、前記一般式(I)で表されるジオール体を前記芳香族ポリエステルに共重合するには、例えば、前述したエステル交換反応を経由した後で重合反応させる場合には、芳香族ポリエステルの合成が完了するまでの任意の段階、例えば第1段階であるエステル交換の反応開始前、反応中、反応終了後、第2段階である溶融重合反応の反応完結前までの任意の段階で添加し、添加後重縮合反応を完結すればよい。
【0054】
ここで、前記ジオール体の添加量は余りに少ないと膨潤性層状珪酸塩の分散性が低下することから、共重合ポリエステルに対して、0.1〜10mol%の範囲であることが好ましく、0.5〜5mol%の範囲が特に好ましい。
【0055】
上記芳香族ポリエステル共重合体は、溶液粘度(ηsp/c)が0.6〜1.2のものを用いるのが好ましい。
【0056】
次いで、得られた上記芳香族ポリエステル共重合体と前記膨潤性層状珪酸塩とを混合してポリマー中に分子レベルで均一分散させて共重合ポリエステル複合材料とするが、この方法として例えば、膨潤性層状珪酸塩を、▲1▼芳香族ポリエステル共重合体の重合反応時に系内に添加し均一分散させるか、若しくは▲2▼芳香族ポリエステル共重合体と膨潤性層状珪酸塩とを溶融混練するか、または▲3▼溶液分散により分散させる方法を採用することができる。
【0057】
ここで、本発明で言う分子レベルでの均一分散とはX線解析で測定した膨潤性層状珪酸塩のミラー指数(001)面の底面反射に由来する回折ピークが消失することを意味する。即ち、膨潤性層状珪酸塩が一枚一枚層剥離しているか若しくは、2〜5層の多層物が平行若しくはランダムに混在している状態を言う。
【0058】
本発明の共重合ポリエステル複合材料における膨潤性層状珪酸塩の含有率は、該複合材料の全重量を基準として0.5〜10%であることが好ましく、特に1〜5%であるとより高い分散性が得られる。
【0059】
次いで、本発明のフィルムを製造するにあたっては、前出の方法で作成した共重合ポリエステル複合材料を溶融製膜すればよく、具体的には、ルーダーなどの押し出し機を通して、Iダイ、Tダイ等のキャスティングダイから押し出し成形してフィルム状物を形成する方法、ブロー製膜機などでoダイを用いて製膜する方法などを採用することができ、キャスティングダイから押し出し成形したシート状物は更に延伸処理を行うことが好ましい。延伸を行う場合には、一軸延伸であっても二軸延伸であってもどちらでも良いが、得られるフィルムが等方性を有する二軸延伸とすることが好ましい。
【0060】
延伸倍率(ブロー製膜の場合にはブロー比)は物性を出すために重要な要素であり、1.0倍から15倍の範囲が好ましい。この範囲にあるときには、配向結晶構造を十分に発達できるため、更に高強度を発現することができるとともに、生産性も高いものとなる。
【0061】
更に、延伸の後に任意の張力をかけながら熱処理を行うと、物性を一段と発現させることが可能であり好ましい。このときの温度としては、フィルムの結晶化温度にもよるが、50℃から250℃の範囲で設定すればよい。
【0062】
【発明の効果】
本発明によれば、芳香族ポリエステルに上記ジオール体を共重合することにより、膨潤性層状珪酸塩が芳香族ポリエステル共重合体中に分子レベルで均一分散された共重合ポリエステルコンポジットフィルムを得ることができる。このような共重合ポリエステルコンポジットフィルムは、透明性に優れ、高い生分解性を示すとともに高いガスバリア性が期待できるので、食品包装用、薬品包装用、農業用資材、ボトル等に有用である。
【0063】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はこれによって何等限定を受けるものでは無い。なお、実施例中の各値は以下の方法に従って求めた。
溶液粘度測定
試料0.12gをフェノール(関東化学株式会社製)/1,1’,2,2’−テトラクロロエタン(関東化学株式会社製)=60/40(重量比)の溶媒10ミリリットルに溶解し、35℃で測定を行って求めた比粘度より、溶媒100ミリリットル中のポリマー1g当たりの比粘度に換算して求めた。
膨潤性層状珪酸塩の層間距離測定
膨潤性層状珪酸塩の層間距離は、広角X線解析装置(理学電機株式会社製「CN2155」)を用い、共重合ポリエステル複合材料の層状珪酸塩のミラー指数(001)面の底面反射に由来する回折ピークより求めた。
生分解性テスト
JIS K 6950(2000)、6.2.2に記載された方法に従って活性汚泥を調整した。汚泥の温度は50℃とした。
この活性汚泥中にサンプルを浸漬し、50℃で2週間、酸素バブリングを行いつつ生分解させ、処理前後の溶融粘度の値より、溶融粘度低下率を求め、その値を生分解率とした。
フィルムの弾性率、伸度
JIS K 7127記載の方法に準拠して求めた。
酸素透過係数
JIS K7126 B法記載の方法に準じ、酸素透過度試験機(MOCON,Inc.製「OX−TRAN2/20」)によって試験温度23℃、試験湿度50%RHにて行った。
水蒸気透過度
JIS K 7129記載の方法に準じ、水蒸気透過度試験機(MOCON,Inc.製「PERMATRAN−W600」)によって試験温度40℃、試験湿度90%RHにおいて実施した。
【0064】
[参考例1]芳香族ポリエステル共重合体の合成:
テレフタル酸ジメチル(関東化学株式会社製)2910g(15mol)、エチレングリコール(関東化学株式会社製)1853g(30mol)、酢酸カルシウム一水和物1.8g(0.01mol)を仕込み、窒素ガス雰囲気下4時間かけて140℃〜220℃まで昇温して生成するメタノールを系外に留去しながらエステル交換反応を行った。エステル交換終了後、安定剤としてリン酸トリメチル1.65g(0.012mol)を加えた。
【0065】
そして、10分後に三酸化アンチモン1.2g(0.004mol)を添加し、同時に過剰のエチレングリコールを留去しながら240℃まで昇温した。昇温後、平均分子量2000(n=43)のポリオキシエチレングリコールメチル1,2−ジヒドロキシプロピルエーテル(日本油脂株式会社製)を300g(ジメチルテレフタレートに対し、ポリオキシエチレングリコールメチル1,2−ジヒドロキシプロピルエーテル1mol%共重合)添加した後、60分間かけて0.1MPaから133Paまで減圧すると同時に90分間かけて240℃〜280℃まで昇温した。133Pa以下の減圧下、重合温度280℃で更に120分間重合反応させた時点で、酸化防止剤(チバガイギー社製「イルガノックス1010」を真空保持したままの状態で添加し、その後更に30分間重合反応させて、目的とする芳香族ポリエステル共重合体を得た。
【0066】
このようにして得られた芳香族ポリエステル共重合体と膨潤性層状ケイ酸塩とをフェノール/1,1’,2,2’−テトラクロロエタン=60/40(重量比)溶媒に溶解し、溶媒を乾固してシート状物を作製した。得られたシート状物の膨潤性層状ケイ酸塩の分散度をX線回折から判定したところ層状構造特有の3.4nmのピークが消え、分子レベルで均一に分散していることが確認された。
【0067】
[参考例2]膨潤性層状珪酸塩の4級アンモニウムイオン処理:
モンモリロナイト(クニミネ工業株式会社製)100g、ジヒドロキシポリオキシエチレンオレイルメチルアンモニウムクロライド(竹本油脂株式会社製)100gに水10リットルを加え、室温で2時間撹拌を行い、ろ過により粗生成物を得た。更に、水10リットルで3回洗浄を行った後、100℃で3日間熱風乾燥、2日間真空乾燥を行い4級アンモニウムイオン処理されたモンモリロナイト(層間距離=3.4nm)を得た。確認は、X線解析によって行った。
【0068】
[実施例1]
参考例1の操作で得た芳香族ポリエステル共重合体を2375g、参考例2の操作で得たモンモリロナイト(第4級アンモニウムイオン処理済み)125g(得られる芳香族ポリエステル複合材料を基準として5重量%)を290℃の二軸押し出しルーダーを用いて溶融混練して得た芳香族ポリエステル複合材料を得た。
【0069】
得られた前記複合材料を、幅150mm、クリアランス200μmのTダイを通して40℃に保ったキャスティングロールに押し出してフィルムを得た。平均滞留時間は7.5分間であり、フィルムの溶液粘度(ηsp/c)は0.71であった。
【0070】
このフィルムをバッチ式の二軸延伸機にて80℃で2.5×2.5の倍率で二軸延伸し、更に150℃で5分間、熱セットし、延伸フィルムを得た。得られたフィルムの物性を表1に示す。
【0071】
[比較例1]
上記芳香族ポリエステル共重合体のみを実施例1に記載の方法にてTダイ押し出しし、更に同様に延伸してフィルムを得た。得られたフィルムの物性を表1に示す。
【0072】
【表1】
【0073】
[比較例2]
参考例1の操作によって得られた芳香族ポリエステル共重合体5.0gと、参考例2の操作によって得られた膨潤性層状珪酸塩0.26gとをフェノール/1,1’,2,2’−テトラクロロエタン=6/4(重量比)混合溶媒50ミリリットルに溶解し、テフロン板にキャストし80℃で1時間熱風乾燥、24時間真空乾燥を行い厚さ50μmのフィルムを得た。製造時に溶媒の回収設備が必要となり、コスト面で高くなるとともに、得られたフィルムには球晶が発生し、透明性の面で問題であり、延伸も不可であった。
【発明の属する技術分野】
本発明は、膨潤性層状珪酸塩を芳香族ポリエステル共重合体中に均一に分散させてなる共重合ポリエステルコンポジッドフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略記することがある。)、ポリエチレンナフタレート(以下、PENと略記することがある。)、ポリブチレンテレフタレート(以下、PBTと略記することがある。)などの芳香族ポリエステルは優れた耐熱性や機械的性質、耐薬品性などを有しているため、繊維、フィルム、樹脂などとして広範囲で使用されている。
【0003】
また、芳香族ポリエステルポリマー単独では機械物性、耐熱性が不十分な場合には、無機質充填剤を強化剤として用いることにより向上させる試みもなされている(例えば、特許文献1参照。)。しかし機械物性、耐熱性を十分満足させるためには強化剤を大量に添加する必要があり、この場合強度や耐熱性は向上するものの、靭性や表面性が大きく低下し更には比重が大きくなるという問題がある。この原因として、無機質充填材の分散不良及び分散粒子のサイズの大きさが考えられる。そこで最近になって無機質充填材を分子レベルで分散させることで、非常に少量の含有量で、高度の強靭性、強度、ガスバリア性、更には熱安定性や難燃性を同時に付与させる研究が盛んに行われている。更に最近では、このような分子レベルの分散を実現した複合材料において生分解性の向上など新しい機能を付与するという、非常に興味深い報告もなされている。
【0004】
この技術を一般の芳香族ポリエステルに適用することができれば、機械強度、耐熱性及びガスバリア性の向上、更には生分解性の向上などによって、フィルム用途やボトル用途への適用や、生分解性が向上することから農業用資材用途への適用など、幅広い展開が期待できるが、現在の所このような分子レベルの分散複合体が実現したと言う例は極めて少ない。
【0005】
ところで、上記無機質充填剤のひとつとして膨潤性層状珪酸塩が知られている。膨潤性層状珪酸塩は厚さ1nmの単位層が数百枚程度積層しており、ポリマー中に均一に分散したとしても分子レベルで分散することはこれまで不可能であったが、第4級アンモニウム塩で処理した膨潤性層状珪酸塩が、脂肪族ポリアミド中に分子レベルで分散させることが可能であることが報告され(特許文献2参照。)、その後ポリイミド(特許文献3、4及び5等参照。)、エポキシ化合物(非特許文献1参照。)、ポリスチレン(非特許文献2参照)、ポリプロピレン(非特許文献3参照。)においても同様な報告がなされてきた。
【0006】
そして、芳香族ポリエステルにおいても均一分散させる方法が各種提案されているものの(例えば、特許文献6、7及び8参照。)、脂肪族ポリアミドの様に分子レベルでの均一分散は達成されていない。
【0007】
芳香族ポリエステルは脂肪族ポリアミドと異なり分子鎖中にエステル結合や芳香環を有するという構造上の特性から、膨潤性層状珪酸塩を単に第4級アンモニウム塩で処理した程度では、分子レベルでの均一分散は達成されないことが考えられる。
【0008】
また前記したように、膨潤性層状珪酸塩を分子レベルで分散させることで生分解性の向上という新しい報告がなされている(非特許文献4参照。)。
【0009】
他方、脂肪族ポリエステルの生分解については周知の域に達しているものの、芳香族ポリエステルの分解については困難とされてきた(非特許文献5参照。)。その原因として芳香族ポリエステルは、▲1▼分解菌がほとんどいない、▲2▼脂肪族ポリエステルと比べて吸水率が低いため分解菌が付着しにくいことが考えられる。
【0010】
また、仮に充分な親水性や生物分解性を共重合による改質によって付与することが出来たとしても、このような共重合体からなる成形品やフィルム、繊維は多くの場合、共重合成分を導入することによってガスバリア性や力学特性が低下する場合が多い。
【0011】
【特許文献1】
特開昭51−24653号公報
【0012】
【特許文献2】
特開昭62−74957号公報
【0013】
【特許文献3】
特開平4−33955号公報
【0014】
【特許文献4】
特開平9−194723号公報
【0015】
【特許文献5】
特開平9−208822号公報
【0016】
【特許文献6】
特開平3−62846号公報
【0017】
【特許文献7】
特開平7−166036号公報
【0018】
【特許文献8】
国際公開第99/03914号パンフレット
【0019】
【非特許文献1】
「ケミストリーオブマテリアルズ」(”Chemistry of Materials”),1994年,第5巻,p.1064
【0020】
【非特許文献2】
「ジャーナルオブザアメリカンケミカルソサエティ」(”Journal of the American Chemical Society”),1999年,第121巻,p.1615
【0021】
【非特許文献3】
「ジャーナルオブアプライドポリマーサイエンス」(”Journal of Applied Polymer Science”),1997年,第63巻,p.137
【0022】
【非特許文献4】
「アンテック’99、バイオデグレーデブルプラスティックス99カンファレンスプロシーディング」(ANTEC(Annual Technical Conference)’99,Biodegradable Plastics 99 Conference proceeding”),ソサエティオブプラスティックスエンジニアズ,(”SOCIETY OF PLASTICS ENGINEERS”)1999年、VolumeII、p.1628〜1632
【0023】
【非特許文献5】
「実用化進む生分解性プラスチック」,工業調査会,1990年,p.262〜276
【0024】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記従来技術が有していた問題点を解消し、生分解性とガスバリア性とを兼備する共重合ポリエステルコンポジットフィルムを提供することにある。更に、本発明の他の目的は、上記共重合ポリエステルコンポジッドフィルムの製造方法を提供することにある。
【0025】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、芳香族ポリエステルに特定のジオール体を共重合することにより、膨潤性層状珪酸塩が該ポリエステル中に分子レベルで均一分散することを見出し、更にこれを溶融製膜したフィルムは生分解性とガスバリア性とを高い水準で兼備することを見出し本発明を完成するに至った。
【0026】
即ち、本発明の目的は、
(1)ジオール成分として下記一般式(I)で表されるジオール体を含む芳香族ポリエステル共重合体と、(2)膨潤性層状珪酸塩と、から主としてなる、生分解性とガスバリア性とを兼備する共重合ポリエステルコンポジットフィルムによって達成される。
【0027】
【化3】
【0028】
更に、本発明の他の目的は、
(1)ジオール成分として前記一般式(I)で表されるジオール体を含む芳香族ポリエステル共重合体と、(2)膨潤性層状珪酸塩と、から主としてなる共重合ポリエステル複合材料を溶融製膜する、生分解性とガスバリア性とを兼備する共重合ポリエステルコンポジットフィルムの製造方法によって達成することができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のフィルムは、(1)ジオール成分として前記一般式(I)で表されるジオール体を含む芳香族ポリエステル共重合体と、(2)膨潤性層状珪酸塩とから主としてなる。
【0030】
ここで、「主として」とは、該(1)成分と(2)成分との合計がフィルムを構成する全成分を基準として80重量%以上、好ましくは90重量%以上、特に好ましくは95重量%以上を占めることをいう。
【0031】
本発明で使用される、芳香族ポリエステル共重合体とは、芳香族ポリエステルに下記一般式(I)で表されるジオール体を含むものである。
【0032】
【化4】
【0033】
式(I)中、R2は具体的には、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基が例示されるが、2種以上、例えばエチレン基とプロピレン基とを有する共重合体であってもよい。またnが30未満であると、膨潤性層状珪酸塩の分散性が悪く、140を超えると熱安定性及び成形性に問題が生じる。
【0034】
このようなジオール体の好ましい具体例としては、ポリオキシエチレングリコールメチル1,2−ジヒドロキシプロピルエーテル、ポリオキシエチレングリコールフェニル1,2−ジヒドロキシプロピルエーテル、ポリオキシエチレングリコールイソプロピル1,2−ジヒドロキシプロピルエーテル、ポリオキシエチレングリコールn−ブチル1,2−ジヒドロキシプロピルエーテル、ポリオキシエチレングリコールオクチルフェニル1,2−ジヒドロキシプロピルエーテル、ポリオキシエチレングリコールノニルフェニル1,2−ジヒドロキシプロピルエーテル、ポリオキシエチレングリコールセチル1,2−ジヒドキシプロピルエーテル、ポリオキシプロピレングリコールメチル1,2−ジヒドロキシプロピルエーテル、ポリオキシプロピレングリコールフェニル1,2−ジヒドロキシプロピルエーテル、ポリオキシプロピレングリコールn−ブチル1,2−ジヒドロキシプロピルエーテル、ポリオキシプロピレングリコールオクチルフェニル1,2−ジヒドロキシプロピルエーテル、ポリオキシプロピレングリコールノニルフェニル1,2−ジヒドロキシプロピルエーテル、ポリオキシテトラメチレングリコールメチル1,2−ジヒドロキシプロピルエーテル、ポリオキシエチルグリコール/ポリオキシプロピレングリコール共重合体のメチル1,2−ジヒドロキシプロピルエーテル等のポリオキシエチレングリコール誘導体を挙げることができる。
【0035】
上記化合物は1種を単独で使用しても、また2種以上を併用してもよい。該ジオール成分としては、前記一般式(I)で表されるポリオキシエチレングリコールが、全ジオール成分を基準として、0.1〜10mol%を占め、アルキレングリコールが90〜99.9mol%を占めることが好ましい。
【0036】
上記のジオール体を含む芳香族ポリエステルとしては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート−テレフタレート共重合体、ポリブチレンイソフタレート−テレフタレート共重合体、ポリシクロヘキシレンジメチレンイソフタレート−テレフタレート共重合体などを挙げることができるが、上記ポリエステルは、溶液粘度(ηsp/c)が0.6〜1.2のものを用いるのが好ましい。
【0037】
次に、本発明において使用される膨潤性層状珪酸塩とは、陽イオン交換能を有し更に層間に水を取り込んで膨潤する性質を示す層状珪酸塩であればいずれを用いてもよく、例えばスメクタイト系粘土鉱物、膨潤性マイカが挙げられる。スメクタイト系粘土鉱物としては、例えば、ヘクトライト、サポナイト、スチブンサイト、バイデライト、モンモリロナイト等の天然産出物又は化学的に合成したもの、またこれらの置換体、誘導体、あるいは混合物を挙げることができる。また膨潤性マイカは化学的に合成したものであって、層間に例えばLiイオン、Naイオンを持った合成膨潤性雲母又はこれらの置換体、誘導体あるいは混合物が挙げることができる。該膨潤性層状珪酸塩としては、特に、モンモリロナイト又は膨潤性マイカを用いることが好ましい。これらは単独で用いても二種以上を併用してもどちらでもよい。
【0038】
本発明では、上記膨潤性層状珪酸塩を有機オニウムイオンによって処理したものを用いるのが好ましく、該有機オニウムイオンとして、第4級アンモニウムイオンを用いることが好ましく、特に、下記一般式(II)
【0039】
【化5】
【0040】
の構造で示される第4級アンモニウムイオンが好ましい。ここで、炭素数1〜30のアルキル基としては、炭素数1〜18のアルキル基が好ましい。
【0041】
具体的にはドデシルトリメチルアンモニムクロライド、テトラデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、オレイルトリメチルアンモニウムクロライド、ジドデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジテトラデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジヘキサデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジオレイルジメチルアンモニウムクロライドドデシルジメチルベンジルアンモニムクロライド、テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、オレイルジメチルベンジルクロライド、ヒドロキシポリオキシエチレンドデシルジメチルアンモニウムクロライド、ヒドロキシポリオキシエチレンテトラデシルジメチルアンモニウムクロライド、ヒドロキシポリオキシエチレンヘキサデシルジメチルアンモニウムクロライド、ヒドロキシポリオキシエチレンオクタデシルジメチルアンモニウムクロイド、ヒドロキシポリオキシエチレンオレイルジメチルアンモニウムクロライド、ジヒドロキシポリオキシエチレンドデシルメチルアンモニウムクロライド、ジヒドロキシポリオキシエチレンテトラデシルメチルアンモニウムクロライド、ジヒドロキシポリオキシエチレンヘキサデシルメチルアンモニウムクロライド、ジヒドロキシポリオキシエチレンオクタデシルメチルアンモニウムクロライド、ジヒドロキシポリオキシエチレンオレイルメチルアンモニウムクロライドが挙げられる。
【0042】
膨潤性層状珪酸塩の前記有機オニウムイオンでの処理方法は、通常、膨潤性層状珪酸塩1重量部と有機オニウムイオン1〜10重量部とを水中で混合した後、乾燥させることによって行う。ここで、使用する水の量は、膨潤性層状珪酸塩の1〜100倍である。また混合するときの温度は、30℃〜70℃であり、混合時間は0.5〜2時間が好ましい。乾燥条件としては、70〜100℃で3日間常圧乾燥後に、2日間真空乾燥させることが好ましい。
【0043】
本発明における芳香族ポリエステルとは、芳香環を重合体の連鎖単位に有する芳香族ポリエステルであって、二官能性芳香族カルボン酸とジオールとを主成分とする縮合反応により得られる重合体であり、この芳香族ポリエステルの原料モノマーとしては、公知のポリエステル原料であるすべての芳香族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸エステル、ヒドロキシカルボン酸及びジオールが使用可能である。
【0044】
例えば、芳香族ジカルボン酸としてはテレフタル酸、オルトフタル酸、クロルフタル酸、ニトロフタル酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、2,2’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルメタンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルフォンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルイソプロピリデンジカルボン酸、1,2−ビス(4−カルボキシフェノキシ)−エタン、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−テトラブチルフォスフォニウムスルホイソフタル酸等を挙げることができ、芳香族ジカルボン酸エステルとしては、上記の芳香族ジカルボン酸のメチルエステルを好ましい例として挙ることができる。
【0045】
また、ヒドロキシカルボン酸としては、p−ヒドロキシ安息香酸、p−(ヒドロキシエトキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、4’−ヒドロキシ−ビフェニル−4−カルボン酸等を挙げることができる。
【0046】
他方、ジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,2−ジメチルプロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、オクタメチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ヒドロキノン、レゾルシノール、ビスフェノールA及び2,2−ビス(2’−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパンが挙げられる。
【0047】
本発明のフィルムは、酸素透過係数が0.1×10−8〜15×10−8mol・m/(m2・s・Pa)の範囲にあることが好ましい。この範囲内にあれば十分なガスバリア性を有するとともに、生分解性が低下することも無い。
【0048】
また、水蒸気透過度が150〜250g/(m2・24Hr)の範囲にあることが好ましい。この範囲内にあれば十分なガスバリア性を有するとともに、生分解性が低下することも無い。
【0049】
更に、生分解性が、10%以上であることが好ましく、特に20%以上であることが好ましい。ここで、本発明で言う生分解性(又は生分解率)とは、活性汚泥中に浸漬させた後の芳香族ポリエステル共重合体の溶液粘度低下率を意味し、上記の範囲内であれば、目視での形状変化並びに機械強度の低下を確認することができる。
【0050】
次に、本発明のフィルム製造のための好ましい方法につき説明する。
本発明の製造方法においては、(1)ジオール成分として前記一般式(I)で表されるジオール体を含む芳香族ポリエステル共重合体と、(2)膨潤性層状珪酸塩と、から主としてなる共重合ポリエステル複合材料を溶融製膜する。
【0051】
該芳香族ポリエステル共重合体を得るには、前述したように公知のポリエステル原料であるすべての芳香族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸エステル、ヒドロキシカルボン酸及びジオールが使用可能であり、また公知の製造方法をいずれも用いることができる。
【0052】
芳香族ポリエステルを得るにあたって、例えば、エステル交換反応を経由して得る方法としては、ジカルボン酸アルキルエステル原料とジオール原料とを180〜250℃の温度で酢酸カルシウムなどのエステル交換反応触媒の存在下に、アルコールを留出しながらエステル交換反応を行う。次に250〜290℃で、二酸化ゲルマニウム、三酸化アンチモンなどの重合触媒の存在下に66.67Pa以下の減圧下にてジオールを留出しながら、1〜5時間溶融重合を行い、ポリエステルを得る。得られたポリエステルの溶液粘度(ηsp/c)は0.6〜1.2である。
【0053】
更に、前記一般式(I)で表されるジオール体を前記芳香族ポリエステルに共重合するには、例えば、前述したエステル交換反応を経由した後で重合反応させる場合には、芳香族ポリエステルの合成が完了するまでの任意の段階、例えば第1段階であるエステル交換の反応開始前、反応中、反応終了後、第2段階である溶融重合反応の反応完結前までの任意の段階で添加し、添加後重縮合反応を完結すればよい。
【0054】
ここで、前記ジオール体の添加量は余りに少ないと膨潤性層状珪酸塩の分散性が低下することから、共重合ポリエステルに対して、0.1〜10mol%の範囲であることが好ましく、0.5〜5mol%の範囲が特に好ましい。
【0055】
上記芳香族ポリエステル共重合体は、溶液粘度(ηsp/c)が0.6〜1.2のものを用いるのが好ましい。
【0056】
次いで、得られた上記芳香族ポリエステル共重合体と前記膨潤性層状珪酸塩とを混合してポリマー中に分子レベルで均一分散させて共重合ポリエステル複合材料とするが、この方法として例えば、膨潤性層状珪酸塩を、▲1▼芳香族ポリエステル共重合体の重合反応時に系内に添加し均一分散させるか、若しくは▲2▼芳香族ポリエステル共重合体と膨潤性層状珪酸塩とを溶融混練するか、または▲3▼溶液分散により分散させる方法を採用することができる。
【0057】
ここで、本発明で言う分子レベルでの均一分散とはX線解析で測定した膨潤性層状珪酸塩のミラー指数(001)面の底面反射に由来する回折ピークが消失することを意味する。即ち、膨潤性層状珪酸塩が一枚一枚層剥離しているか若しくは、2〜5層の多層物が平行若しくはランダムに混在している状態を言う。
【0058】
本発明の共重合ポリエステル複合材料における膨潤性層状珪酸塩の含有率は、該複合材料の全重量を基準として0.5〜10%であることが好ましく、特に1〜5%であるとより高い分散性が得られる。
【0059】
次いで、本発明のフィルムを製造するにあたっては、前出の方法で作成した共重合ポリエステル複合材料を溶融製膜すればよく、具体的には、ルーダーなどの押し出し機を通して、Iダイ、Tダイ等のキャスティングダイから押し出し成形してフィルム状物を形成する方法、ブロー製膜機などでoダイを用いて製膜する方法などを採用することができ、キャスティングダイから押し出し成形したシート状物は更に延伸処理を行うことが好ましい。延伸を行う場合には、一軸延伸であっても二軸延伸であってもどちらでも良いが、得られるフィルムが等方性を有する二軸延伸とすることが好ましい。
【0060】
延伸倍率(ブロー製膜の場合にはブロー比)は物性を出すために重要な要素であり、1.0倍から15倍の範囲が好ましい。この範囲にあるときには、配向結晶構造を十分に発達できるため、更に高強度を発現することができるとともに、生産性も高いものとなる。
【0061】
更に、延伸の後に任意の張力をかけながら熱処理を行うと、物性を一段と発現させることが可能であり好ましい。このときの温度としては、フィルムの結晶化温度にもよるが、50℃から250℃の範囲で設定すればよい。
【0062】
【発明の効果】
本発明によれば、芳香族ポリエステルに上記ジオール体を共重合することにより、膨潤性層状珪酸塩が芳香族ポリエステル共重合体中に分子レベルで均一分散された共重合ポリエステルコンポジットフィルムを得ることができる。このような共重合ポリエステルコンポジットフィルムは、透明性に優れ、高い生分解性を示すとともに高いガスバリア性が期待できるので、食品包装用、薬品包装用、農業用資材、ボトル等に有用である。
【0063】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はこれによって何等限定を受けるものでは無い。なお、実施例中の各値は以下の方法に従って求めた。
溶液粘度測定
試料0.12gをフェノール(関東化学株式会社製)/1,1’,2,2’−テトラクロロエタン(関東化学株式会社製)=60/40(重量比)の溶媒10ミリリットルに溶解し、35℃で測定を行って求めた比粘度より、溶媒100ミリリットル中のポリマー1g当たりの比粘度に換算して求めた。
膨潤性層状珪酸塩の層間距離測定
膨潤性層状珪酸塩の層間距離は、広角X線解析装置(理学電機株式会社製「CN2155」)を用い、共重合ポリエステル複合材料の層状珪酸塩のミラー指数(001)面の底面反射に由来する回折ピークより求めた。
生分解性テスト
JIS K 6950(2000)、6.2.2に記載された方法に従って活性汚泥を調整した。汚泥の温度は50℃とした。
この活性汚泥中にサンプルを浸漬し、50℃で2週間、酸素バブリングを行いつつ生分解させ、処理前後の溶融粘度の値より、溶融粘度低下率を求め、その値を生分解率とした。
フィルムの弾性率、伸度
JIS K 7127記載の方法に準拠して求めた。
酸素透過係数
JIS K7126 B法記載の方法に準じ、酸素透過度試験機(MOCON,Inc.製「OX−TRAN2/20」)によって試験温度23℃、試験湿度50%RHにて行った。
水蒸気透過度
JIS K 7129記載の方法に準じ、水蒸気透過度試験機(MOCON,Inc.製「PERMATRAN−W600」)によって試験温度40℃、試験湿度90%RHにおいて実施した。
【0064】
[参考例1]芳香族ポリエステル共重合体の合成:
テレフタル酸ジメチル(関東化学株式会社製)2910g(15mol)、エチレングリコール(関東化学株式会社製)1853g(30mol)、酢酸カルシウム一水和物1.8g(0.01mol)を仕込み、窒素ガス雰囲気下4時間かけて140℃〜220℃まで昇温して生成するメタノールを系外に留去しながらエステル交換反応を行った。エステル交換終了後、安定剤としてリン酸トリメチル1.65g(0.012mol)を加えた。
【0065】
そして、10分後に三酸化アンチモン1.2g(0.004mol)を添加し、同時に過剰のエチレングリコールを留去しながら240℃まで昇温した。昇温後、平均分子量2000(n=43)のポリオキシエチレングリコールメチル1,2−ジヒドロキシプロピルエーテル(日本油脂株式会社製)を300g(ジメチルテレフタレートに対し、ポリオキシエチレングリコールメチル1,2−ジヒドロキシプロピルエーテル1mol%共重合)添加した後、60分間かけて0.1MPaから133Paまで減圧すると同時に90分間かけて240℃〜280℃まで昇温した。133Pa以下の減圧下、重合温度280℃で更に120分間重合反応させた時点で、酸化防止剤(チバガイギー社製「イルガノックス1010」を真空保持したままの状態で添加し、その後更に30分間重合反応させて、目的とする芳香族ポリエステル共重合体を得た。
【0066】
このようにして得られた芳香族ポリエステル共重合体と膨潤性層状ケイ酸塩とをフェノール/1,1’,2,2’−テトラクロロエタン=60/40(重量比)溶媒に溶解し、溶媒を乾固してシート状物を作製した。得られたシート状物の膨潤性層状ケイ酸塩の分散度をX線回折から判定したところ層状構造特有の3.4nmのピークが消え、分子レベルで均一に分散していることが確認された。
【0067】
[参考例2]膨潤性層状珪酸塩の4級アンモニウムイオン処理:
モンモリロナイト(クニミネ工業株式会社製)100g、ジヒドロキシポリオキシエチレンオレイルメチルアンモニウムクロライド(竹本油脂株式会社製)100gに水10リットルを加え、室温で2時間撹拌を行い、ろ過により粗生成物を得た。更に、水10リットルで3回洗浄を行った後、100℃で3日間熱風乾燥、2日間真空乾燥を行い4級アンモニウムイオン処理されたモンモリロナイト(層間距離=3.4nm)を得た。確認は、X線解析によって行った。
【0068】
[実施例1]
参考例1の操作で得た芳香族ポリエステル共重合体を2375g、参考例2の操作で得たモンモリロナイト(第4級アンモニウムイオン処理済み)125g(得られる芳香族ポリエステル複合材料を基準として5重量%)を290℃の二軸押し出しルーダーを用いて溶融混練して得た芳香族ポリエステル複合材料を得た。
【0069】
得られた前記複合材料を、幅150mm、クリアランス200μmのTダイを通して40℃に保ったキャスティングロールに押し出してフィルムを得た。平均滞留時間は7.5分間であり、フィルムの溶液粘度(ηsp/c)は0.71であった。
【0070】
このフィルムをバッチ式の二軸延伸機にて80℃で2.5×2.5の倍率で二軸延伸し、更に150℃で5分間、熱セットし、延伸フィルムを得た。得られたフィルムの物性を表1に示す。
【0071】
[比較例1]
上記芳香族ポリエステル共重合体のみを実施例1に記載の方法にてTダイ押し出しし、更に同様に延伸してフィルムを得た。得られたフィルムの物性を表1に示す。
【0072】
【表1】
【0073】
[比較例2]
参考例1の操作によって得られた芳香族ポリエステル共重合体5.0gと、参考例2の操作によって得られた膨潤性層状珪酸塩0.26gとをフェノール/1,1’,2,2’−テトラクロロエタン=6/4(重量比)混合溶媒50ミリリットルに溶解し、テフロン板にキャストし80℃で1時間熱風乾燥、24時間真空乾燥を行い厚さ50μmのフィルムを得た。製造時に溶媒の回収設備が必要となり、コスト面で高くなるとともに、得られたフィルムには球晶が発生し、透明性の面で問題であり、延伸も不可であった。
Claims (12)
- 酸素透過係数が0.1×10−8〜15×10−8mol・m/(m2・s・Pa)の範囲にある、請求項1記載のフィルム。
- 水蒸気透過度が150〜250g/(m2・24Hr)の範囲にある、請求項1記載のフィルム。
- 前記ジオール成分のうち、前記一般式(I)で表されるポリオキシエチレングリコール誘導体が0.1〜10mol%を占め、アルキレングリコールが90〜99.9mol%を占める、請求項1記載のフィルム。
- 前記膨潤性層状珪酸塩が、有機オニウムイオンで処理されたものである、請求項1記載のフィルム。
- 前記有機オニウムイオンが第4級アンモニウムイオンである、請求項5記載のフィルム。
- 前記膨潤性層状珪酸塩が、モンモリロナイト及び/又は膨潤性マイカである、請求項1記載のフィルム。
- (1)ジオール成分として前記一般式(I)で表されるジオール体を含む芳香族ポリエステル共重合体と、(2)膨潤性層状珪酸塩と、から主としてなる共重合ポリエステル複合材料を溶融製膜する、請求項1記載のフィルムの製造方法。
- 溶融製膜して得られたフィルムを延伸処理する、請求項9記載の製造方法。
- 延伸処理を、1軸方向又は2軸方向へ延伸することによって行う、請求項10記載の製造方法。
- 延伸処理倍率を1.0〜15倍の範囲とする、請求項11記載の製造方法。
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JP2003167612A JP2005002224A (ja) | 2003-06-12 | 2003-06-12 | 生分解性とガスバリア性とを兼備する共重合ポリエステルコンポジットフィルム |
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KR102148518B1 (ko) * | 2020-04-20 | 2020-08-27 | (주)도일에코텍 | 몬모릴로나이트를 포함하는 생분해성 배리어 필름 및 이에 의하여 제조된 식품 포장지 |
-
2003
- 2003-06-12 JP JP2003167612A patent/JP2005002224A/ja active Pending
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