JP2005002211A - 稲わらパルプを原料としたカルボキシメチルセルロース塩およびその製造方法 - Google Patents

稲わらパルプを原料としたカルボキシメチルセルロース塩およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】未反応繊維を含み、錠剤用崩壊剤などに適したカルボキシメチルセルロース塩(CMC塩)を得る。
【解決手段】原料パルプに稲わらパルプを用いてCMC塩を製造する。これによって、錠剤用崩壊剤などの用途に用いられる未反応繊維を0.5重量%以上含むCMC塩を得ることができる。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、未反応繊維(フリーファイバー)を含有するカルボキシメチルセルロース(CMC)塩およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
CMC塩は、増粘剤、分散剤、保護コロイド剤などとして、食品、医薬、香粧品、繊維、土木、建築、水産などの分野で広く使用されている水溶性の高分子である。CMC塩は、セルロースからなる原料に、アルカリの存在下でモノクロル酢酸などのエーテル化剤(カルボキシメチルエーテル化剤)を作用させて製造される(非特許文献1参照)。一般に、CMC塩の糊液は、粘弾性が高いという特性により、前記各種の用途において、重宝されている。
【0003】
従来、たとえば、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC−Na)は、水溶液としたときに均一な溶液となることが求められるため、未溶解物(未反応繊維)が混在することは好ましくなく、そのため、反応条件、原単位、使用原料を選択して製造されている。ところが、未反応繊維を含有するCMC−Naも用途によっては有用であり、不均一な反応物であるために、錠剤用崩壊剤などに求められる機能を有している。しかし、未反応繊維を含有するCMC−Naは、通常の製造法では得られにくいものであり、たとえば、特許文献1では、エーテル化度0.2〜0.5、酸化度0.01〜0.2の崩壊性の強いCMC−Naとエーテル化度0.8〜2.0の粘結性の強いCMC−Naの2種類のCMC−Naを個別に調製し、混合することにより、錠剤用崩壊剤を製造している。
【0004】
【非特許文献1】
「化学大辞典2」共立出版(株)、化学大辞典編集委員会編、1981年12月15日、578頁
【特許文献1】
特開2000−239186号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明では、未反応繊維を含有し、錠剤用崩壊剤などに適した不均一な溶液を得ることのできるCMC塩、該CMC塩の製造方法、および、該CMC塩からなる錠剤用崩壊剤を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、原料パルプに稲わらパルプを用いて得られるCMC塩に関する。
【0007】
前記CMC塩は、未反応繊維を0.5重量%以上含有することが好ましい。
【0008】
また、本発明は、原料パルプに稲わらパルプを用いるCMC塩の製造方法に関する。
【0009】
前記製造方法において、原料パルプは、稲わらパルプを20重量%以上含有することが好ましい。
【0010】
前記製造方法によって得られるCMC塩のエーテル化度は0.4以上であることが好ましい。
【0011】
さらに、本発明は、前記CMC塩からなる錠剤用崩壊剤に関する。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明のCMC塩は、原料パルプとして、稲わらパルプまたは稲わらパルプとそのほかのパルプを混合したパルプを用いる。なお、CMC塩の製造に稲わらパルプを使用することは、これまでに知られていない。
【0013】
稲わらは、木材についで重要なパルプ原料であり、脱穀後の麦わらや縄の廃品がもっぱらパルプ原料として利用される。稲わらは麦わらよりもケイ酸の含有量が多い点を除けば、麦わらとほぼ同様に使用することができる。
【0014】
稲わらパルプの製造方法としては、主にさらしパルプ(漂白パルプ)と同様の製造方法があげられる。さらしパルプの製造方法としては、ソーダ法、硫酸塩法、中性亜硫酸塩法、塩素法などが実施されている。
【0015】
ソーダ法では、切断したわらに対し、約12%の水酸化ナトリウムを加え、105℃で5時間蒸煮する。さらしパルプの歩留は36〜40%である。また、ソーダ法によってわらパルプを製造するときには、ナトリウム分回収工程のカセイ化の際、原料中のケイ酸がケイ酸カルシウムの膠状沈澱をつくって炭酸石灰の沈澱を妨げるため、ナトリウム分回収率が木材パルプの製造に比べて低い65〜80%となる。ソーダ法の変法として、水酸化ナトリウムに若干の硫黄を含む薬液を使う例も多くあり、この場合のさらしパルプの歩留は、ソーダ法を採用した場合の歩留よりも若干多くなる。しかし、真の硫酸塩法をわらパルプの製造方法に採用している例は少ない。
【0016】
イタリアでは、塩素法の一種であるPomilio法によって、わらパルプが製造されている。わらは8%の水酸化ナトリウムを含む薬液で、130℃で約1.5時間蒸煮されたのち、塩素ガスで処理され、再び少量の水酸化ナトリウムを含む液で抽出される。この場合、さらしパルプの歩留は36〜38%である。
【0017】
中性亜硫酸塩法では、原料に対して約10%の亜硫酸ナトリウムと約5%の水酸化ナトリウムを含む薬液を用い、160℃で約8時間蒸煮する。蒸煮直後のパルプの歩留は約56%、さらしパルプの歩留は42%である。水酸化ナトリウムの代わりにソーダ灰を使う方法も提唱され、この方法ではパルプの歩留が若干向上する(「セルロースハンドブック」(株)朝倉書店、114頁参照)。
【0018】
本発明では、たとえば、新潟産稲わらを原料に、中性亜硫酸塩法でラボ製造した稲わらパルプを使用することができる。
【0019】
原料パルプとして、稲わらパルプ以外にそのほかのパルプを用いる場合、そのほかのパルプとしては、たとえば、リンターパルプ、針葉樹材を主としたN材パルプ、広葉樹材を主としたL材パルプが用いられる。この場合、稲わらパルプが原料パルプの20重量%以上、より好ましくは50重量%以上、とくに好ましくは80重量%以上となるように配合する。稲わらパルプが原料パルプの20重量%未満では、稲わらパルプ配合の特徴が出ない傾向がある。
【0020】
原料パルプは、チップ状、綿状に粉砕して、あるいはシート状のまま用いることができるが、後述する薬剤(アルカリ、エーテル化剤など)との反応を促進させるためには、粉砕して用いることが好ましい。
【0021】
本発明のCMC塩は、稲わらパルプを含む原料パルプにアルカリを作用させてアルカリセルロースを製造したのち、エーテル化剤を用いてエーテル化反応させることにより、得ることができる。CMC塩を得るための反応(アルカリセルロース化およびエーテル化)は、含水有機溶媒中で行なうことが好ましい。含水有機溶媒中で反応させると、水のアタックにより、原料パルプ中のセルロースの結晶化領域が破壊されるためである。
【0022】
前記有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)、n−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコールなどのアルコール;アセトン、エチルメチルケトン、ジエチルケトンなどのケトン;ジオキサン、ジエチルエーテルなどのエーテルなどが使用される。これらの中では、入手の容易さ、低価格、取り扱いやすさ、セルロースの反応性などの点から、IPAが好ましい。さらに、エタノール/ベンゼン、エタノール/トルエン、IPA/ベンゼンなどの混合溶媒が使用される。
【0023】
含水有機溶媒中の水と有機溶媒の重量比は、たとえば、10:90〜40:60、好ましくは15:85〜30:70とすることができる。水の量が少ないと、水によるセルロース分子へのアタックが弱くなるため、セルロースの結晶化領域の破壊が少なくなり、得られるCMC塩の水溶液の透明性が低下する傾向がある。一方、水の量が多いと、水とエーテル化剤とのあいだで副反応が進み、エーテル化剤の有効利用率が低下する傾向がある。
【0024】
含水有機溶媒の使用量は、原料パルプに対して、重量比で、たとえば、2.5〜10倍、好ましくは3〜8倍とすることができる。含水有機溶媒の使用量が少ないと、含水有機溶媒と原料パルプ中のセルロースとが充分に撹拌混合されなくなるため、撹拌時の反応機に対する負荷が大きくなり、また、均一反応に支障をきたす傾向がある。一方、含水有機溶媒の使用量が多いと、原料経費が高くなる傾向がある。
【0025】
アルカリセルロース化に用いるアルカリとしては、通常、アルカリ金属水酸化物が好ましく、たとえば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどの1価の金属の水酸化物があげられる。本発明においては、価格および得られるCMC塩の特性の点から、水酸化ナトリウムを用いることが好ましい。
【0026】
アルカリの使用量は、たとえば、原料パルプ中のセルロースのグルコース単位量に対して、モル比で、1.5〜6.0倍、好ましくは2.0〜4.0倍とすることができる。アルカリの使用量が少ないと、アルカリセルロースを充分に生成させることができず、エーテル化が不充分となる傾向があり、多くても、とくに支障はないが、アルカリを浪費することになり、また、得られるCMC塩の水溶液の粘度が低下する傾向がある。
【0027】
アルカリセルロース化は、たとえば、30〜50℃、好ましくは30〜40℃で、たとえば、30〜60分間、好ましくは40〜50分間行なわれる。アルカリセルロース化の反応温度が低いと、または、反応時間が短いと、アルカリセルロースを充分に生成させることができない傾向がある。反応温度が高いと、または、反応時間が長いと、得られるCMC塩の水溶液の粘度が低下する傾向がある。
【0028】
つぎに、得られたアルカリセルロースにエーテル化剤を反応させて、エーテル化する。エーテル化は、通常、アルカリ過剰下で進行させる。エーテル化剤としては、たとえば、モノクロル酢酸、モノクロル酢酸ナトリウム、モノクロル酢酸メチル、モノクロル酢酸エチルなどが使用される。エーテル化剤の使用量は、目的とするCMC塩のエーテル化度によって決定され、とくに制限はないが、通常、原料パルプ中のグルコース単位量に対して、モル比で、0.5〜6倍、とくに2〜4倍とすることができる。
【0029】
エーテル化は、たとえば、75〜100℃、好ましくは80〜90℃で、たとえば、50〜120分間、好ましくは50〜90分間行なわれる。エーテル化の反応温度が低いと、エーテル化が不充分になる傾向があり、高いと、反応溶媒の沸点をこえる場合がある。反応時間が短いと、エーテル化が不充分になる傾向があり、長くてもとくに支障はないが、時間の浪費となり、得られるCMC塩の粘度が低下する傾向がある。
【0030】
アルカリセルロース化ののち、アルカリ過剰下でエーテル化反応を進行させた場合、反応終了時に、有機酸を添加することにより、過剰のアルカリを中和させる。有機酸としては、たとえば、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、スルファミン酸、プロピオン酸、ギ酸などが使用される。これらのなかでも、液状品である点および中和調整のしやすさの点から、酢酸が好ましい。
【0031】
本発明の製造方法によって得られるCMC塩には、未反応繊維が含まれる。ここで、未反応繊維とは、カルボキシメチル化されない繊維素またはカルボキシメチル化が充分になされない繊維素に由来するものである。未反応繊維は、CMC塩中に、好ましくは0.5重量%以上、より好ましくは1.0重量%以上、とくに好ましくは2.0重量%以上含まれる。未反応繊維が0.5重量%未満では、錠剤の打錠時の圧力に対して充分な強度が得られない。未反応繊維は多い方が好ましいが、上限としては、10重量%になる。10重量%をこえると、CMCがもつ粘着力が失われ、打錠時のひび割れなどが発生する。
【0032】
本発明の製造方法によって得られるCMC塩は、エーテル化度が、好ましくは0.4以上、より好ましくは0.4〜0.8、とくに好ましくは0.4〜0.6である。エーテル化度が0.4未満では、錠剤打錠時に強度が不足して錠剤のカケが発生し、0.8をこえると、CMCの未反応繊維素を残した反応が難しくなる傾向がある。CMC塩のエーテル化度は、たとえば、エーテル化剤の使用量により制御することができる。
【0033】
また、本発明の製造方法によって得られるCMC塩の1%水溶液粘度は、たとえば、10〜10000mPa・s、好ましくは100〜2000mPa・sである。CMC塩の1%水溶液粘度は、たとえば、エーテル化の反応温度、反応時間などにより制御することができる。
【0034】
本発明の製造方法によって得られるCMC塩は、精製、乾燥したのち粉砕し、錠剤用崩壊剤として利用することができる。粉砕したCMC塩の平均粒子径は、180μm全通であることが好ましい。180μm以上の粗粒子では、錠剤成分と粒度差があるために均一に混入できず、また、錠剤のひび割れが発生する傾向がある。平均粒子径は、より小さい方が好ましいが、50μm全通品などは粉砕コスト高となり、好ましくない。また、前記CMC塩は錠剤中に1〜20重量%、好ましくは5〜10重量%用いられる。CMC塩が1重量%未満では、錠剤の強度および崩壊性を保持することができず、20重量%をこえると、錠剤成分量が減少するため、好ましくない。
【0035】
【実施例】
以下、実施例によって、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0036】
実施例1〜6および比較例1〜3
<CMC−Naの製造>
2軸の撹拌翼を備えた容量3リットルのニーダー型反応機に、家庭用ミキサーなどで粉砕したパルプ100gを仕込んだ。原料パルプとして、稲わらパルプと通常のパルプとを用いる場合には、粉砕した各パルプを、表1に示した所定割合となるように計量して、合計が100gになるように仕込んだ。なお、稲わらパルプとしては、新潟産稲わらを原料に中性亜硫酸塩法でラボ製造した稲わらパルプを使用した。通常のパルプとしては、日本製紙(株)製のL−DPTおよびN−DSPを2:1の重量比で配合させたものを使用した。IPA:水を70:30(重量比)に調整した反応溶媒400g(IPA280g、水120g)に、表1に示した所定量の水酸化ナトリウムを溶解させて40℃に調整した溶液を、反応機内に添加し、60分間撹拌し、アルカリセルロースを生成させた。
【0037】
そののち、表1に示した所定量のモノクロル酢酸を等重量のIPAに溶解させた溶液を、30〜50℃で60分間かけて、反応熱を抑えながら仕込んだ。仕込後、30分間かけて85℃に昇温し、75〜90℃でエーテル化反応を60分間行なった。反応機には冷却管を設置してIPAの気化発散を防止した。こののち、過剰の水酸化ナトリウムを酢酸で中和してpH7〜8とし、スラリー状の中和物を反応機より取り出し、遠心分離してIPAを除去した。
【0038】
得られた粗CMC−Naを、70%のメタノール水溶液で洗浄し、副生物の食塩、グリコール酸ナトリウム、酢酸ナトリウムを除去した。この洗浄操作を2回繰り返した。洗浄したCMC−Naを、90〜105℃で4時間乾燥させ、粉砕して、試料(製品CMC−Na)を得た。
【0039】
<CMC−Naの分析方法>
得られた各試料(製品CMC−Na)について、以下の特性を測定し、評価した。結果を表1に示す。
【0040】
(1)エーテル化度
試料約1gを精秤し、ろ紙に包んで磁製ルツボの中に入れ、600℃で灰化させた。生成したナトリウム化合物に0.1N硫酸をフェノールフタレインを指示薬として滴定し、以下の式を用いてエーテル化度を計算した。以下の式中、Aは、中和に要した0.1N硫酸の量(ml)、fは、0.1N硫酸の力価を示す。
【0041】
エーテル化度=(162×A×f)÷(10000−80×A×f)
【0042】
(2)1%水溶液粘度
300mlのトールビーカーに、約2.5gの試料を精秤し、次式を用いて求めた1%水溶液を得るために必要な溶解水量の水へ加え、ガラス棒にて分散させた。
溶解水量(g)=試料(g)÷(99−水分(%))
【0043】
得られた水溶液を一昼夜放置し、マグネチックスターラーで約5分間撹拌して完全な溶液としたのち、30分間25℃の恒温水槽に入れて、溶液を25℃とした。この溶液をガラス棒でゆるやかにかき混ぜ、BM型粘度計の適当なローターおよびガードを取り付け、回転数60rpmで3分後の目盛りを読み取った。読み取り目盛りから、以下の式を用いて粘度を求めた。式中、kは、ローターと回転数によって決まる換算乗数である。
粘度(mPa・s)=読み取り目盛×k
【0044】
(3)未反応繊維量
試料20gを精秤して1000mlビーカーに採取した。純水1000mlを添加して試料をガラス棒で分散させたのち、35%過酸化水素水10mlを添加し、煮沸することにより、CMC−Na分を分解させた。冷却後、200#(74μm)ポリエステルろ布で吸引ろ過し、ろ布上の残渣量を求めた。
【0045】
【数1】
Figure 2005002211
【0046】
【表1】
Figure 2005002211
【0047】
<錠剤の作製>
アスコルビン酸(試薬1級)、微結晶セルロース(アビセルPH101、旭化成工業(株)製)、乳糖(試薬)、合成したCMC−Na、タルク(試薬)およびステアリン酸マグネシウム(試薬)を、以下の組成比で使用して、錠剤を打錠法により作製し評価した。なお、打錠条件は、錠剤径12mmφ、厚さ5mm、重量約900mgで、打錠圧4トンとした。
【0048】
(錠剤組成)
アスコルビン酸 40.0
アビセルPH101 35.0
乳糖 17.0
CMC−Na 3.0
タルク 4.5
ステアリン酸マグネシウム 0.5
計 100.0(重量%)
【0049】
<錠剤の分析方法>
得られた錠剤を、以下の評価方法にしたがって評価した。結果を表2に示す。
【0050】
(1)表面状態
打錠後の錠剤を目視で比較し、以下の基準で評価した。
◎:キメが細かく艶がありカケがない。
○:カケはないがキメ、艶にやや劣る。
△:カケはないが、表面が粗くキメ、艶に劣る。
×:カケがあり、表面が粗い。
【0051】
(2)成型強度
錠剤20gを秤量して、ストロープの粉化率試験機にて10分間回転させた。回転終了後、錠剤を取り出して10メッシュ篩で粉化したものを除いた重量を測定し、次式により成型強度を計算した。
【0052】
【数2】
Figure 2005002211
【0053】
(3)硬度
キヤ式硬度計を用いて、5個の試料について測定を行ない、その平均値を硬度(kg)とした。
【0054】
(4)崩壊性
500mlのビーカーに局方第一液(人工胃液)500mlを取り、錠剤2個を投入した。攪拌翼で錠剤に羽根があたらないように、50rpmで回転を与え、完全に分散するのに要する時間(秒)を測定した。
【0055】
【表2】
Figure 2005002211
【0056】
比較例4〜6
日本製紙(株)製のN−DSPおよび日本製紙ケミカル(株)製のL−DSPを原料としてエーテル化度の高いCMC−Naとエーテル化度の低いCMC−Naをそれぞれ製造し、それらを混合したCMC−Naを用いて、錠剤を作製した。
【0057】
<CMC−Naの製造>
5リットル二軸ニーダー型反応機に、表3に示す量の水酸化ナトリウムを水400gとIPA1600gの混合溶媒に溶解したものを仕込んだのち、ニーダーを攪拌させながらチップ状の原料パルプ(パルプ材種の異なるものを真空乾燥させて無水物とした)200gを5分間かけて投入し、25℃で30分間攪拌した。
【0058】
つづいて、表3に示す量のモノクロル酢酸を水20gとIPA80gの混合溶媒に溶解したものを、10分間かけて添加した。添加後20分間攪拌したのち、77℃まで昇温して90分間反応させた。反応終了後、50℃まで冷却し、過剰の水酸化ナトリウムを25%酢酸でpH7.0〜7.2に中和した。
【0059】
得られた粗CMC−Na全量を80%のメタノール水溶液10リットル(室温(約25℃))で30分間洗浄する操作を3回繰り返すことにより、精製した。精製後、減圧濾過機でCMC−Naを絞り、湿潤状のCMC−Naを加熱乾燥機で乾燥し、揮発分を10%以下にした。
【0060】
なお、エーテル化度の低いCMC−Naについては、精製時に以下の処理をして酸化度を調整した。洗浄操作の3回目に酢酸を所定量添加して、CMC−Naの1%水溶液pHを5.5〜6.5とし、そののち、減圧濾過機でCMC−Naを絞り、加熱乾燥を実施した。さらに、120〜130℃で60分加熱をした。
表3に、CMC−Naの製造条件を示す。
【0061】
得られたCMC−Naを粉砕機で粉砕し、177μmの篩にかけた通過品を試料とした。
【0062】
【表3】
Figure 2005002211
【0063】
得られた各試料(製品CMC−Na)について、実施例1〜6および比較例1〜3と同様の方法で1%水溶液粘度およびエーテル化度の評価を行なった。また、以下の方法で酸化度を測定した。結果を表4に示す。
【0064】
(1)酸化度
試料0.8〜1.2gを300ml三角フラスコに精秤し、水約20mlを加えて溶かした。これに1/10N水酸化カリウム20mlをピペットで加え、10分間煮沸した。そののち、冷却してフェノールフタレイン指示薬を加えて1/10N硫酸で滴定した。同時に空試験を行なって、次式により酸化度を求めた。
【0065】
【数3】
Figure 2005002211
【0066】
【数4】
Figure 2005002211
【0067】
<錠剤の作製>
つぎに、高エーテル化度CMC−Naおよび低エーテル化度CMC−Naを、70:30の重量比で混合したCMC−Naを用いて、実施例1〜6および比較例1〜3と同様の方法で錠剤を作製し、表面状態、形成強度および硬度の評価を行なった。結果を表4に示す。
【0068】
【表4】
Figure 2005002211
【0069】
【発明の効果】
本発明によれば、未反応繊維を含有し、錠剤用崩壊剤として有用なCMC塩を得ることができる。

Claims (6)

  1. 原料パルプに稲わらパルプを用いて得られるカルボキシメチルセルロース塩。
  2. 未反応繊維を0.5重量%以上含有する請求項1記載のカルボキシメチルセルロース塩。
  3. 原料パルプに稲わらパルプを用いるカルボキシメチルセルロース塩の製造方法。
  4. 原料パルプが、稲わらパルプを20重量%以上含有する請求項3記載のカルボキシメチルセルロース塩の製造方法。
  5. カルボキシメチルセルロース塩のエーテル化度が0.4以上である請求項3または4記載のカルボキシメチルセルロース塩の製造方法。
  6. 請求項1または2記載のカルボキシメチルセルロース塩からなる錠剤用崩壊剤。
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