JP2005001967A - 球状炭素微粉の製造方法及び電気二重層キャパシタ - Google Patents
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Abstract
【課題】ディレードコーカーで製造した生コークスを原料として、高静電容量を発現する電気二重層キャパシタの分極性電極用炭素材料を製造する。
【解決手段】石油系又は石炭系の重質油を原料としてディレードコーカーで製造した生コークスを球状粉砕した後に、アルカリ賦活処理又は酸化性ガス賦活処理するか、生コークスをアルカリ賦活処理又は酸化性ガス賦活処理した後に球状粉砕して、球状炭素微粉を製造する。この多孔質炭素微粉からは、電気二重層キャパシタに使用したとき静電容量が20F/ml以上の分極性電極が得られる。
【選択図】 なし
【解決手段】石油系又は石炭系の重質油を原料としてディレードコーカーで製造した生コークスを球状粉砕した後に、アルカリ賦活処理又は酸化性ガス賦活処理するか、生コークスをアルカリ賦活処理又は酸化性ガス賦活処理した後に球状粉砕して、球状炭素微粉を製造する。この多孔質炭素微粉からは、電気二重層キャパシタに使用したとき静電容量が20F/ml以上の分極性電極が得られる。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気二重層キャパシタに用いたときの充填密度が高く、体積あたりの容量が高い球状炭素微粉と、これを使用した電気二重層キャパシタに関する。
【0002】
【従来の技術】
電気二重層とは、固体と液体など二つの異なる層が接触すると、その境界面にプラスとマイナスの電荷が存在する状態をいう。この原理を利用し電気を貯蔵したものが、電気二重層キャパシタである。通常使われる電池に比べ、急速充電が可能なこと、化学反応を伴わないので繰り返し充放電による劣化が少ないこと、メンテナンスフリー等非常に優れた特性を示す素子である。
【0003】
電気二重層キャパシタの用途はコンピュータ用のメモリーバックアップに利用されつつあるし、自動車などのパワー用途分野でもハイブリッドカーへの応用展開が活発化している。また、電気二重層キャパシタに活性炭等の多孔質炭素材料を使用することはで知られている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
電気二重層キャパシタでは非常に優れた特性を持つがエネルギー密度が低いことが電池との違いである。電気二重層キャパシタでは界面に形成される電気二重層は静電容量Cで示される。静電容量を改善するためにいろいろな検討がなされてきた。電気二重層は固体と液体の界面で発生するために固体の表面積を増やし界面を増やすことが試みられてきた。また、電気二重層キャパシタに使用される静電容量を増加させるために充填密度を向上させる方法も試みられてきた。
【0005】
充填密度を向上させるために近年生コークス製造時に発生するメソフェースを取出したメソカーボンマイクロビーズを使用する方法(例えば特許文献2、特許文献3参照)が報告されている。これは、メソフェースがコーキング時に合体してバルクメソフェースになる前に抽出で取出したものであり、球形の生コークスである。このメソカーボンマイクロビーズを賦活処理して表面積を増加させることで、重量あたりの静電容量を向上させると共に、球形による形状のために体積あたりの静電容量を発現させるものである。しかし、メソカーボンマイクロビーズは製造設備に多大のコストがかかりすぎるなどの問題があった。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−319837号公報
【特許文献2】
特開2001−302225号公報
【特許文献3】
特開2001−302226号公報
【特許文献4】
特開2001−118753号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、比較的安価に、且つ工業的に大量に製造することが可能な生コークスを原料として、静電容量の高い電気二重層キャパシタを与える球状炭素微粉の製造方法を提供することである。また、他の目的は体積あたりの静電容量の高い電気二重層キャパシタを提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記の課題を解決するため鋭意研究を行った結果、コールタールピッチあるいは石油系重油等の重質油から製造される生コークスを球状に粉砕した後に賦活処理すること、または生コークスを賦活した後に球状粉砕することで体積あたりの静電容量の高い電気二重層キャパシタを製造可能であることを見出し、本発明に到った。
【0009】
本発明は、ディレードコーカーで製造した生コークスを球状に粉砕した後に、アルカリ賦活及び酸化性ガス賦活から選択される1種又は2種の賦活処理をすること、または、生コークスをアルカリ賦活及び酸化性ガス賦活から選択される1種又は2種の賦活処理をした後に球状に粉砕することを特徴とする球状炭素微粉の製造方法である。
ここで、生コークスが石炭系重質油及び石油系重質油から選択される少なくとも1種を原料としてディレードコーカーで製造したものであること、粉砕した生コークスの円形度が1から5であること、粉砕した平均粒径が1mm以下であること、又は賦活処理温度が生コークスの製造温度を超える温度であることは、本発明の好ましい態様の一つである。
【0010】
また、本発明は、前記の製造方法によって得られた球状炭素微粉からなる多孔質炭素材料であって、電気二重層キャパシタ用の電極材料に使用したとき、体積あたりの静電容量が20F/ml以上であることを特徴とする多孔質炭素材料である。更に、本発明は、前記の球状炭素材料を電極とする電気二重層キャパシタである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明で使用する生コークスは、ピッチ、瀝青物、重油等と称される石炭系又は石油系の重質油をディレードコーカーでコーキングすることにより得られる。原料の重質油にはキノリン不溶分(QI)が含まれるが、1wt%程度以下に脱QIすると異方性の生コークスが得られ、数%以上であると等方性の生コークスが得られるが、異方性の生コークスが電極用炭素材料として優れる傾向が認められる。しかし、等方性の生コークスであっても電極用炭素材料として優れるものが得られるので、30wt%程度までのQIの存在は差し支えない。また、この生コークスはピッチコークス(特に、ニードルコークス)を製造する際の中間体として多量に得られるので、これを使用することが可能である。ディレードコーカーの運転条件は公知の範囲で差し支えなく、通常、400〜600℃程度、5〜50時間程度の条件でディレードコーキングが行われる。ディレードコーキング条件は、好ましくは450〜550℃程度、15〜25時間程度であり、揮発分を5〜15%程度含有する。生コークスは、揮発分を持つことから賦活処理が可能となり、さらに球状粉砕を行うために、充填密度が向上し、体積あたりの静電容量が改善される。
【0012】
この生コークスを粉砕する。粉砕機は特に球状になるものであれば制限するものでなく、市販の球状粉砕機でも良いし、粉砕後にミキサー等の中で攪拌し円形度が1から5の間になるように球形化を行っても良い。円形度は、次式で表され、粒子の周囲長)の二乗を粒子の投影面積で除したのち、4πでさらに除して計算される。
円形度 φ=(周囲長)2/(投影面積)×(1/4π)
円の円形度が1を示す指数である。この測定は、市販の画像解析装置で可能である。最終的には電気二重層キャパシタに必要な粒子径にあわせて球状粉砕した後に賦活処理するか、賦活処理の後に球状粉砕すれば良い。粉砕粒度は、賦活処理を効果的に行うために平均粒径が1mm以下とすることがよく、これ以上の粒径で賦活処理しても効果が小さい。
【0013】
生コークスはディレードコーキング温度が低い場合は、揮発分が高くなり、高温で行う賦活処理時に融着現象が起こり、粉体のまま取出すことができなくなる。このような場合には、表面を酸化して融着現象を抑えることが可能である。酸化は酸化性のガスや液体であれば特に限定するものではなく、コストの面から見れば気体であれば空気、液体であれば硫酸が望ましい。
【0014】
粉砕した生コークスの賦活処理では、アルカリ賦活又は酸化性ガス賦活又は両者の処理を行う。賦活処理温度は、特に限定するものではないが通常400℃以上の高温が必要である。アルカリ賦活の場合は、ディレードコーカーでのコーキング温度を超える温度が好ましく、より好ましくは600〜1000℃である。1000℃を超える温度では、コスト的に増大する。賦活処理時間は、賦活処理温度によって変化するが、通常0.1〜10hr、好ましくは0.5〜5hr程度である。酸化性ガス賦活の場合は、賦活処理温度は400〜700℃程度であり、賦活処理時間は賦活処理温度や酸化性ガスの種類によって変化するが、通常0.05〜5hr、好ましくは0.1〜1hr程度である。
【0015】
アルカリ賦活は、KOH、NaOH、K2CO3等のアルカリを生コークス粉に混合して行う。生コークス粉とアルカリの混合は、固体混合であっても、アルカリ水溶液を含浸させる方法であってもよい。生コークス粉とアルカリの混合割合(重量比)は、0.5〜10程度、好ましくは1〜5程度である。雰囲気は不活性ガス雰囲気が通常であるが、水蒸気等が存在してもよい。酸化性ガス賦活は、空気、酸素、二酸化炭素などの酸化性ガスの存在下で加熱を行う公知の方法を採用できる。また、水蒸気等が存在してもよい。また、上記2つの賦活処理を組合せてもよいし、水蒸気賦活処理を組合せてもよいし、処理条件が合致すれば同時に行ってもよいし、順次行ってもよい。これらの賦活処理の組合せは、生コークスの構造や性状及び目的とされる比表面積や細孔分布とから、考慮し決定すればよい。
【0016】
生コークス粉末を賦活処理して得た球状炭素微粉は、冷却、アルカリを混合した場合はアルカリ除去のための水洗、粉砕等がされた後、キャパシタ用炭素材料として使用することができる。この炭素微粉は、比表面積が100〜2200m2/g程度で、中心細孔径が1〜20μm程度で、平均粒径が1〜40μm程度であることが好ましい。また、この多孔質炭素微粉は、後記する実施例に記載する方法により静電容量を測定したとき、静電容量が20F/ml以上、好ましくは25F/ml以上であることがよい。
【0017】
キャパシタとしては、多孔質炭素材料を使用した電極、電解液及びセパレータを構成要素として含む公知の電気二重層キャパシタがある。このようなキャパシタは、前記特許文献1〜3やその他(例えは特許文献4参照)に詳細に記載されているのでこれが参照される。多孔質炭素材料を使用した電極は例えば、前記多孔質炭素材料に、導電材としてのアセチレンブラック、結合材としてのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)及び溶媒を混合してペースト状にし、これを圧縮成形し、加熱乾燥して所定の電極形状にすることにより得ることができる。分極性電極は、例えば、前記電極の片面にアルミニウム等の金属を溶射又は圧接して導電性集電材層を設けたり、前記ペースト状物をアルミニウム等の金属箔に塗布し、加熱乾燥することにより得ることができる。
【0018】
【実施例】
以下の実施例によって本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこの実施例によって何ら限定されるものではない。また、%はwt%である。
【0019】
実施例1
キノリン不溶分(QI)を0.1%以下にした軟ピッチからなる原料精製した石炭系重質油を原料とし、ディレードコーカーで500℃で24hrのコーキングをして異方性生コークスを得た。この生コークスを、奈良式ハイブリダイゼーションシステムで平均粒径32μmに球状粉砕した。ペレット状の水酸化ナトリウムを異方性生コークスに対し4重量倍配合し、均一に混合した後、アルゴン気流下で800℃、2hr賦活処理を行った。その後、これを冷却、水洗、乾燥して球状炭素微粉からなる炭素材料を得た。得られた炭素材料の円形度と比表面積と静電容量の測定結果を表1に示す。
【0020】
実施例2
原料中のQI分を1%にコントロールした石炭系重質油を原料とし、ディレードコーカーで480℃コーキングして等方性生コークスを得た。この生コークスを、3mm以下に粉砕した後ペレット状の水酸化ナトリウムを異方性生コークスに対し4重量倍配合し、アルゴン気流下で900℃、2hr賦活処理を行った。得られた炭素材を奈良式ハイブリダイゼーションシステムで平均粒径32μmに球状粉砕した。得られた炭素材料の円形度と比表面積と静電容量の測定結果を表1に示す。
【0021】
比較例
市販の活性炭を粒径30μmに粉砕して得た炭素材料の円形度と表面積測定結果と静電容量の測定結果を表1に示す。
【0022】
表面積の測定は、ユアサ アイオニクス製のAUTOSORB1−C装置によりBET表面積を求めた。
【0023】
円形度の測定は、edec製 IMAGE MAX Model ED−1611で求めた。
【0024】
静電容量の測定は、賦活処理して得られた炭素材とカーボンブラック(ケッチェンブラック)、PTFEを8:1:1になるようにして電極を調製した。電気容量はこれら二枚を重ね合わせキャパシタを作成した。作成したキャパシタの放電電流2.4mA、24mAから静電容量を求めた。電解液はEt4NBF4を用い、放電容量Cは、TOYO SYSTEM製TOSCAT−3000K装置を用い、次の式の放電勾配より求めた。
C=I×(T2−T1)/(V1−V2)
V1:充電電圧の80%となる値
V2:充電電圧の40%となる値
T1:V1における時間
T2:V2における時間
I:放電電量
【0025】
【表1】
【0026】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、ディレードコーカーで製造した生コークスを原料として、体積あたりの高静電容量を発現する電気二重層キャパシタ用分極性電極材料を安価に製造が可能となる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気二重層キャパシタに用いたときの充填密度が高く、体積あたりの容量が高い球状炭素微粉と、これを使用した電気二重層キャパシタに関する。
【0002】
【従来の技術】
電気二重層とは、固体と液体など二つの異なる層が接触すると、その境界面にプラスとマイナスの電荷が存在する状態をいう。この原理を利用し電気を貯蔵したものが、電気二重層キャパシタである。通常使われる電池に比べ、急速充電が可能なこと、化学反応を伴わないので繰り返し充放電による劣化が少ないこと、メンテナンスフリー等非常に優れた特性を示す素子である。
【0003】
電気二重層キャパシタの用途はコンピュータ用のメモリーバックアップに利用されつつあるし、自動車などのパワー用途分野でもハイブリッドカーへの応用展開が活発化している。また、電気二重層キャパシタに活性炭等の多孔質炭素材料を使用することはで知られている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
電気二重層キャパシタでは非常に優れた特性を持つがエネルギー密度が低いことが電池との違いである。電気二重層キャパシタでは界面に形成される電気二重層は静電容量Cで示される。静電容量を改善するためにいろいろな検討がなされてきた。電気二重層は固体と液体の界面で発生するために固体の表面積を増やし界面を増やすことが試みられてきた。また、電気二重層キャパシタに使用される静電容量を増加させるために充填密度を向上させる方法も試みられてきた。
【0005】
充填密度を向上させるために近年生コークス製造時に発生するメソフェースを取出したメソカーボンマイクロビーズを使用する方法(例えば特許文献2、特許文献3参照)が報告されている。これは、メソフェースがコーキング時に合体してバルクメソフェースになる前に抽出で取出したものであり、球形の生コークスである。このメソカーボンマイクロビーズを賦活処理して表面積を増加させることで、重量あたりの静電容量を向上させると共に、球形による形状のために体積あたりの静電容量を発現させるものである。しかし、メソカーボンマイクロビーズは製造設備に多大のコストがかかりすぎるなどの問題があった。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−319837号公報
【特許文献2】
特開2001−302225号公報
【特許文献3】
特開2001−302226号公報
【特許文献4】
特開2001−118753号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、比較的安価に、且つ工業的に大量に製造することが可能な生コークスを原料として、静電容量の高い電気二重層キャパシタを与える球状炭素微粉の製造方法を提供することである。また、他の目的は体積あたりの静電容量の高い電気二重層キャパシタを提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記の課題を解決するため鋭意研究を行った結果、コールタールピッチあるいは石油系重油等の重質油から製造される生コークスを球状に粉砕した後に賦活処理すること、または生コークスを賦活した後に球状粉砕することで体積あたりの静電容量の高い電気二重層キャパシタを製造可能であることを見出し、本発明に到った。
【0009】
本発明は、ディレードコーカーで製造した生コークスを球状に粉砕した後に、アルカリ賦活及び酸化性ガス賦活から選択される1種又は2種の賦活処理をすること、または、生コークスをアルカリ賦活及び酸化性ガス賦活から選択される1種又は2種の賦活処理をした後に球状に粉砕することを特徴とする球状炭素微粉の製造方法である。
ここで、生コークスが石炭系重質油及び石油系重質油から選択される少なくとも1種を原料としてディレードコーカーで製造したものであること、粉砕した生コークスの円形度が1から5であること、粉砕した平均粒径が1mm以下であること、又は賦活処理温度が生コークスの製造温度を超える温度であることは、本発明の好ましい態様の一つである。
【0010】
また、本発明は、前記の製造方法によって得られた球状炭素微粉からなる多孔質炭素材料であって、電気二重層キャパシタ用の電極材料に使用したとき、体積あたりの静電容量が20F/ml以上であることを特徴とする多孔質炭素材料である。更に、本発明は、前記の球状炭素材料を電極とする電気二重層キャパシタである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明で使用する生コークスは、ピッチ、瀝青物、重油等と称される石炭系又は石油系の重質油をディレードコーカーでコーキングすることにより得られる。原料の重質油にはキノリン不溶分(QI)が含まれるが、1wt%程度以下に脱QIすると異方性の生コークスが得られ、数%以上であると等方性の生コークスが得られるが、異方性の生コークスが電極用炭素材料として優れる傾向が認められる。しかし、等方性の生コークスであっても電極用炭素材料として優れるものが得られるので、30wt%程度までのQIの存在は差し支えない。また、この生コークスはピッチコークス(特に、ニードルコークス)を製造する際の中間体として多量に得られるので、これを使用することが可能である。ディレードコーカーの運転条件は公知の範囲で差し支えなく、通常、400〜600℃程度、5〜50時間程度の条件でディレードコーキングが行われる。ディレードコーキング条件は、好ましくは450〜550℃程度、15〜25時間程度であり、揮発分を5〜15%程度含有する。生コークスは、揮発分を持つことから賦活処理が可能となり、さらに球状粉砕を行うために、充填密度が向上し、体積あたりの静電容量が改善される。
【0012】
この生コークスを粉砕する。粉砕機は特に球状になるものであれば制限するものでなく、市販の球状粉砕機でも良いし、粉砕後にミキサー等の中で攪拌し円形度が1から5の間になるように球形化を行っても良い。円形度は、次式で表され、粒子の周囲長)の二乗を粒子の投影面積で除したのち、4πでさらに除して計算される。
円形度 φ=(周囲長)2/(投影面積)×(1/4π)
円の円形度が1を示す指数である。この測定は、市販の画像解析装置で可能である。最終的には電気二重層キャパシタに必要な粒子径にあわせて球状粉砕した後に賦活処理するか、賦活処理の後に球状粉砕すれば良い。粉砕粒度は、賦活処理を効果的に行うために平均粒径が1mm以下とすることがよく、これ以上の粒径で賦活処理しても効果が小さい。
【0013】
生コークスはディレードコーキング温度が低い場合は、揮発分が高くなり、高温で行う賦活処理時に融着現象が起こり、粉体のまま取出すことができなくなる。このような場合には、表面を酸化して融着現象を抑えることが可能である。酸化は酸化性のガスや液体であれば特に限定するものではなく、コストの面から見れば気体であれば空気、液体であれば硫酸が望ましい。
【0014】
粉砕した生コークスの賦活処理では、アルカリ賦活又は酸化性ガス賦活又は両者の処理を行う。賦活処理温度は、特に限定するものではないが通常400℃以上の高温が必要である。アルカリ賦活の場合は、ディレードコーカーでのコーキング温度を超える温度が好ましく、より好ましくは600〜1000℃である。1000℃を超える温度では、コスト的に増大する。賦活処理時間は、賦活処理温度によって変化するが、通常0.1〜10hr、好ましくは0.5〜5hr程度である。酸化性ガス賦活の場合は、賦活処理温度は400〜700℃程度であり、賦活処理時間は賦活処理温度や酸化性ガスの種類によって変化するが、通常0.05〜5hr、好ましくは0.1〜1hr程度である。
【0015】
アルカリ賦活は、KOH、NaOH、K2CO3等のアルカリを生コークス粉に混合して行う。生コークス粉とアルカリの混合は、固体混合であっても、アルカリ水溶液を含浸させる方法であってもよい。生コークス粉とアルカリの混合割合(重量比)は、0.5〜10程度、好ましくは1〜5程度である。雰囲気は不活性ガス雰囲気が通常であるが、水蒸気等が存在してもよい。酸化性ガス賦活は、空気、酸素、二酸化炭素などの酸化性ガスの存在下で加熱を行う公知の方法を採用できる。また、水蒸気等が存在してもよい。また、上記2つの賦活処理を組合せてもよいし、水蒸気賦活処理を組合せてもよいし、処理条件が合致すれば同時に行ってもよいし、順次行ってもよい。これらの賦活処理の組合せは、生コークスの構造や性状及び目的とされる比表面積や細孔分布とから、考慮し決定すればよい。
【0016】
生コークス粉末を賦活処理して得た球状炭素微粉は、冷却、アルカリを混合した場合はアルカリ除去のための水洗、粉砕等がされた後、キャパシタ用炭素材料として使用することができる。この炭素微粉は、比表面積が100〜2200m2/g程度で、中心細孔径が1〜20μm程度で、平均粒径が1〜40μm程度であることが好ましい。また、この多孔質炭素微粉は、後記する実施例に記載する方法により静電容量を測定したとき、静電容量が20F/ml以上、好ましくは25F/ml以上であることがよい。
【0017】
キャパシタとしては、多孔質炭素材料を使用した電極、電解液及びセパレータを構成要素として含む公知の電気二重層キャパシタがある。このようなキャパシタは、前記特許文献1〜3やその他(例えは特許文献4参照)に詳細に記載されているのでこれが参照される。多孔質炭素材料を使用した電極は例えば、前記多孔質炭素材料に、導電材としてのアセチレンブラック、結合材としてのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)及び溶媒を混合してペースト状にし、これを圧縮成形し、加熱乾燥して所定の電極形状にすることにより得ることができる。分極性電極は、例えば、前記電極の片面にアルミニウム等の金属を溶射又は圧接して導電性集電材層を設けたり、前記ペースト状物をアルミニウム等の金属箔に塗布し、加熱乾燥することにより得ることができる。
【0018】
【実施例】
以下の実施例によって本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこの実施例によって何ら限定されるものではない。また、%はwt%である。
【0019】
実施例1
キノリン不溶分(QI)を0.1%以下にした軟ピッチからなる原料精製した石炭系重質油を原料とし、ディレードコーカーで500℃で24hrのコーキングをして異方性生コークスを得た。この生コークスを、奈良式ハイブリダイゼーションシステムで平均粒径32μmに球状粉砕した。ペレット状の水酸化ナトリウムを異方性生コークスに対し4重量倍配合し、均一に混合した後、アルゴン気流下で800℃、2hr賦活処理を行った。その後、これを冷却、水洗、乾燥して球状炭素微粉からなる炭素材料を得た。得られた炭素材料の円形度と比表面積と静電容量の測定結果を表1に示す。
【0020】
実施例2
原料中のQI分を1%にコントロールした石炭系重質油を原料とし、ディレードコーカーで480℃コーキングして等方性生コークスを得た。この生コークスを、3mm以下に粉砕した後ペレット状の水酸化ナトリウムを異方性生コークスに対し4重量倍配合し、アルゴン気流下で900℃、2hr賦活処理を行った。得られた炭素材を奈良式ハイブリダイゼーションシステムで平均粒径32μmに球状粉砕した。得られた炭素材料の円形度と比表面積と静電容量の測定結果を表1に示す。
【0021】
比較例
市販の活性炭を粒径30μmに粉砕して得た炭素材料の円形度と表面積測定結果と静電容量の測定結果を表1に示す。
【0022】
表面積の測定は、ユアサ アイオニクス製のAUTOSORB1−C装置によりBET表面積を求めた。
【0023】
円形度の測定は、edec製 IMAGE MAX Model ED−1611で求めた。
【0024】
静電容量の測定は、賦活処理して得られた炭素材とカーボンブラック(ケッチェンブラック)、PTFEを8:1:1になるようにして電極を調製した。電気容量はこれら二枚を重ね合わせキャパシタを作成した。作成したキャパシタの放電電流2.4mA、24mAから静電容量を求めた。電解液はEt4NBF4を用い、放電容量Cは、TOYO SYSTEM製TOSCAT−3000K装置を用い、次の式の放電勾配より求めた。
C=I×(T2−T1)/(V1−V2)
V1:充電電圧の80%となる値
V2:充電電圧の40%となる値
T1:V1における時間
T2:V2における時間
I:放電電量
【0025】
【表1】
【0026】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、ディレードコーカーで製造した生コークスを原料として、体積あたりの高静電容量を発現する電気二重層キャパシタ用分極性電極材料を安価に製造が可能となる。
Claims (7)
- ディレードコーカーで製造した生コークスを円形度が1から5になるように粉砕後、アルカリ賦活及び酸化性ガス賦活から選択される1種又は2種の賦活処理をすることを特徴とする球状炭素微粉の製造方法。
- ディレードコーカーで製造した生コークスをアルカリ賦活及び酸化性ガス賦活から選択される1種又は2種の賦活処理をした後に、円形度が1から5になるように粉砕する球状炭素微粉の製造方法。
- 生コークスが、石炭系重質油及び石油系重質油から選択される少なくとも1種を原料としてディレードコーカーで製造したものである請求項1および2記載の球状炭素微粉の製造方法。
- 粉砕した生コークスの平均粒径が、1mm以下である請求項1および2記載の球状炭素微粉の製造方法。
- 賦活処理温度が、生コークスの製造温度を超える温度である請求項1および2記載の多孔質炭素微粉の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法によって得られた球状炭素微粉からなる炭素材料であって、電気二重層キャパシタ用の電極材料に使用したとき、体積あたりの静電容量が20F/ml以上であることを特徴とするキャパシタ用多孔質炭素材料。
- 請求項5記載の球状炭素材料を電極としたことを特徴とする電気二重層キャパシタ。
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JP2003169947A JP2005001967A (ja) | 2003-06-13 | 2003-06-13 | 球状炭素微粉の製造方法及び電気二重層キャパシタ |
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JP2011079705A (ja) * | 2009-10-07 | 2011-04-21 | Osaka Gas Chem Kk | 活性炭の製造方法及びその装置 |
WO2014136936A1 (ja) * | 2013-03-07 | 2014-09-12 | Jx日鉱日石エネルギー株式会社 | 電気二重層キャパシタ電極用活性炭およびその製造方法 |
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2003
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