JP2011079705A - 活性炭の製造方法及びその装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】炭素質原料を炭化処理した炭化物にアルカリ金属水酸化物を混合してなるスラリーを、水蒸気を含む不活性ガス雰囲気中に連続供給しつつ、10秒〜30秒間、800℃〜900℃に加熱可能にする反応部を備える。
【選択図】図1
Description
本発明は、この新知見に基づきなされたものであって、下記特徴構成を備える。
本発明の活性炭の製造方法の特徴構成は、
炭素質原料を炭化処理して炭化物にする炭化処理工程を行い、
次に該炭化物にアルカリ金属水酸化物及び水を混合してスラリーにする混合工程を行い、
次に当該スラリーを反応容器に連続供給しつつ、水蒸気を含む不活性ガス雰囲気中、10秒〜30秒間、800℃〜900℃に加熱する反応工程を行い、
得られた反応物(活性炭)を水洗する水洗工程を行い、
次に水洗した反応物(活性炭)を乾燥する乾燥工程を行うことにある。
つまり、通常の炭素質原料は、不活性ガス雰囲気で400℃〜1000℃、好ましくは500℃〜700℃に加熱されると、炭素質原料に含まれる酸素や水素が除去され、炭化物となる。
したがって、上述の炭化処理工程を行うことにより、炭素質原料に含まれる酸素や水素を除去し、炭素含有率の高い炭化物を得る。これにより、その後のアルカリ金属水酸化物との反応効率を向上させ、前記炭化物より高比表面積の活性炭を製造するのに寄与する。
また、上述の活性炭の製造方法において、前記混合工程において、炭化物1質量部に対して、アルカリ金属水酸化物を1質量部〜10質量部混合するとともに、水を1質量部〜50質量部混合することが好ましい。
アルカリ金属水酸化物は、後の賦活反応で炭化物を賦活させるために必要であり、炭化物1質量部に対し、1質量部〜10質量部、好ましくは3質量部〜4質量部用いる。
アルカリ金属酸化物が1質量部より少ない場合、賦活が十分に行われず、高比表面積の活性炭を得ることができない。逆に、アルカリ金属水酸化物が10質量部より多い場合、アルカリ金属水酸化物が過剰となり、未反応のアルカリ金属水酸化物が生成物に含まれやすくなり、上述の洗浄工程の処理が困難になるので好ましくない。
水が1質量部より少ない場合、スラリー化が困難であり、混合物の流動性が低いため、ポンプで反応器に供給することが困難であり、水が50質量部より多い場合、反応器内で水を全量蒸発させるために熱ロスが大きくなる。また、全量蒸発させたとしても、反応器内のガス流量が過大になり、試料の反応器内滞留時間を長くとることが困難になる。つまり、水は原料をスラリーとするに足る分量あれば充分であり、水分量が多すぎると反応時間の制御が困難であるため、炭化物1質量部に対し、1質量部〜50質量部、好ましくは5質量部〜15質量部とする。
また、本発明の活性炭の製造装置の特徴構成は
炭素質材料を炭化処理した炭化物にアルカリ金属水酸化物を混合してなるスラリーを、水蒸気を含む不活性ガス雰囲気中に連続供給しつつ、10秒〜30秒間、800℃〜900℃に加熱可能にする反応部を備えた点にある。
つまり、上述の活性炭の製造方法を行うに当たり、前記スラリーを前記反応部に供給すると、前記スラリーに含まれる炭化物は、前記アルカリ金属水酸化物により賦活される環境に置かれる。そして、スラリー中の水分が水蒸気として前記反応部内に放出されつつ連続的にその環境で加熱され、前記炭化物は、前記アルカリ金属水酸化物により賦活される。すると、前記スラリー中から生じた水蒸気は、連続的に供給されるスラリーを、水蒸気を含む不活性ガス雰囲気中に保持するために用いられ、同じ環境を維持したまま連続的な反応を維持するのに用いられる。そのため、前記反応部内では、水蒸気を含む不活性ガス雰囲気を維持しつつ、賦活反応を連続的に行い、生成物(活性炭)を連続的に製造することが出来る。
上述の活性炭の製造装置は、さらに、
炭素質原料を炭化処理して炭化物にする炭化処理部を備え、
該炭化物にアルカリ金属水酸化物及び水を混合してスラリーにする混合部を備え、
前記反応部から連続排出される反応物を水洗する水洗部を備え、
水洗された反応物を乾燥する乾燥部を備えることが好ましい。
つまり、反応部に投入されるスラリーが、前記炭化処理部及び混合部で調整されるから、調整されたスラリーが連続的に反応部に供給される状態が容易に実現される。また、前記反応物で賦活された活性炭は、前記反応部から連続的に排出されて、前記水洗部にて水洗されるとともに、前記乾燥部で乾燥される工程を順に経ることになるから、炭素質原料から製品としての活性炭までを連続して製造することが出来る活性炭製造装置となる。
また上述の構成において、前記反応部が、
スラリーを連続的に落下投入する投入部と、前記投入部の下側に反応物を連続排出する排出部とを備えた縦型反応器を備えるとともに、
前記縦型反応器を800℃〜900℃に加熱する加熱部を備え、
前記投入部には不活性ガスもしくは不活性ガスと水蒸気との混合ガスを導入し、前記縦型反応器内部雰囲気を調整するとともに、前記スラリーが投入部から排出部に達するまでの反応時間を調整可能にするガス導入部を備えることが好ましい。
つまり、前記反応部は、縦型反応器からなり、スラリーが上部の投入部から落下投入され、下部の排出部から排出されるまでに、前記縦型反応器内で前記加熱部によりスラリーが加熱され賦活反応が進行される。そのため、前記スラリーは、容易に搬送させられながら前記縦型反応器内で連続的に反応し、反応終了後排出される構成となる。したがって、上述の構成によると、簡便な構成でありながら、先述の活性炭の製造方法を効率よく行える。
また、本発明の活性炭の製造装置の特徴構成は、
炭素質原料を炭化処理した炭化物にアルカリ金属水酸化物を混合してなるスラリーを、連続的に落下投入する投入部と、前記投入部の下側に反応物を連続排出する排出部とを備えた縦型反応器を備え、
前記投入部に不活性ガスもしくは不活性ガスと水蒸気との混合ガスを導入するガス導入部を備え、
前記縦型反応器内部を、前記炭化物を賦活可能にする加熱装置を備えた点にある。
つまり、前記縦型反応器は、種々反応条件を容易に制御できるから、スラリーが上部の投入部から落下投入され、下部の排出部から排出されるまでに、前記縦型反応器内で前記加熱部によりスラリーが加熱され賦活反応が進行される。そのため、前記スラリーは、容易に搬送させられながら前記縦型反応器内で連続的に反応し、反応終了後排出される構成となる。
本発明の活性炭の製造装置は、
炭素質原料を炭化処理して炭化物にする炭化処理部としての炭化炉1を備え、
炭化炉において生成した炭化物にアルカリ金属水酸化物及び水を混合してスラリーにする混合部としての混合タンク2を備え、
前記スラリーを、アルカリ賦活反応する反応部3を備える。
水洗された反応物を乾燥する乾燥部5を備える。
前記縦型反応器30を800℃〜900℃に加熱する加熱部33を備え、
前記投入部31には窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガスまたはその不活性ガスと水蒸気の混合ガスを導入して、前記縦型反応器30内部雰囲気を調整するとともに、前記スラリーが投入部31から排出部32に達するまでの反応時間を調整可能にするガス導入部34を備える。
アルカリ金属を除去した活性炭は水洗によって水を含んでいるため、乾燥する(乾燥工程#5)。100℃〜300℃の温度で水分を蒸発させることにより、乾燥させる。温度が高い場合、試料の着火の恐れがあるため、減圧もしくは不活性雰囲気で乾燥しても良い。
炭化工程:ヤシ殻を550℃で炭化処理して炭化物を得た。
混合工程:ヤシ殻の炭化物1質量部に対し水酸化ナトリウムを3.3質量部、水を10質量部混合し、スラリーを作製した。
反応工程:スラリーを、大気圧条件下不活性雰囲気(窒素ガス導入)で850℃に加熱した滞留時間20秒の縦型反応器上部からスラリーポンプで連続的に導入し、かつ、スラリー中に含まれる水分が、すべて縦型反応器上部で蒸発するように加熱部を設定した状態で賦活反応を行った。このとき、スラリーポンプの流量、導入する不活性ガス流量、スラリー中の水分量との関係から計算すると、水蒸気分圧は0.7となっていた。
水洗工程:反応器下部から生成物を取り出し、水洗によって水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムを除去し、水分を含む活性炭を得た。
乾燥工程:水分を含む活性炭を真空乾燥機中120℃で一昼夜乾燥することによって活性炭を得た。
得られた活性炭は収率65.3%であり、その比表面積は2657m2/gであった。高比表面積の活性炭が得られた。
反応工程の加熱温度を900℃とする以外は実施例1と同様の方法で活性炭を製造した。
得られた活性炭は収率57.4%であり、その比表面積は2839m2/gであった。高比表面積の活性炭が得られた。
反応工程の加熱温度を800℃とする以外は実施例1と同様の方法で活性炭を製造した。得られた活性炭は収率75.4%であり、その比表面積は2202m2/gであった。高比表面積の活性炭が得られた。
原料をコーヒー粕とする以外は実施例1と同様の方法で活性炭を製造した。得られた活性炭は収率54.2%であり、その比表面積は2296m2/gであった。高比表面積の活性炭が得られた。
原料をバガスとする以外は実施例1と同様の方法で活性炭を製造した。得られた活性炭は収率49.2%であり、その比表面積は2351m2/gであった。高比表面積の活性炭が得られた。
縦型反応器の滞留時間を10秒とする以外は実施例1と同様の方法で活性炭を製造した。得られた活性炭は収率76.9%であり、その比表面積は2118m2/gであった。高比表面積の活性炭が得られた。
縦型反応器の滞留時間を30秒とする以外は実施例1と同様の方法で活性炭を製造した。得られた活性炭は収率58.9%であり、その比表面積は2818m2/gであった。高比表面積の活性炭が得られた。
スラリーポンプの流量を調節して反応工程の水素分圧を0.9(実施例8),0.5(実施例9)とした以外は、実施例1と同様の方法で活性炭を製造した。得られた活性炭は収率63.2%(実施例8)、66.8%(実施例9)であり、その比表面積は2553m2/g(実施例8),2721m2/g(実施例9)であった。いずれも高比表面積の活性炭が得られた。
反応工程の加熱温度を750℃とする以外は実施例1と同様の方法で活性炭を製造した。得られた活性炭は収率84.8%であり、その比表面積は1554m2/gであった。
反応工程の加熱温度を950℃とする以外は実施例1と同様の方法で活性炭を製造した。得られた活性炭は収率51.6%であり、その比表面積は1533m2/gであった。
縦型反応器の滞留時間を5秒とする以外は実施例1と同様の方法で活性炭を製造した。得られた活性炭は収率87.2%であり、その比表面積は1354m2/gであった。
上記縦型反応器を、従来の活性炭の製造方法に用いられる加熱炉(図3参照)に変更して種々条件下で活性炭を製造した。
炭化工程:ヤシ殻を550℃で炭化処理して炭化物を得た。
混合工程:ヤシ殻の炭化物1質量部に対し水酸化ナトリウムを5.0質量部、水を10質量部混合し、スラリー状試料を作製した。
反応工程:スラリー状試料を、不活性雰囲気で700℃に加熱した滞留時間9300秒の加熱炉に、コンベヤ搬送により連続的に導入し、賦活反応を行った。
水洗工程:反応器下部から生成物を取り出し、水洗によって水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムを除去し、水分を含む活性炭を得た。
乾燥工程:水分を含む活性炭を真空乾燥機中120℃で一昼夜乾燥することによって活性炭を得た。
得られた活性炭の収率は40%であり、その比表面積は2820m2/gであった。高比表面積の活性炭が得られた。
比較例4における炭素質原料をコーヒー粕(比較例5)、バガス(比較例6)とし、同様に活性炭を製造した。
得られた活性炭はそれぞれ、収率23.3%、比表面積2296m2/g、(比較例5)、収率16.7%、比表面積2352m2/g(比較例6)であった。
比較例4における賦活反応温度を900℃とし、同様に活性炭を製造した。
得られた活性炭は、収率39.2%比表面積1813m2/gであった。
比較例4におけるアルカリ金属水酸化物使用量を3.3質量部とし、同様に活性炭を製造した。
得られた活性炭は、収率64.7%比表面積2245m2/gであった。
比較例4における賦活反応時間を20秒とし、賦活反応温度を850℃とし、同様に活性炭を製造した。
得られた活性炭は、収率87.2%比表面積1235m2/gであった。
Claims (6)
- 炭素質原料を炭化処理して炭化物にする炭化処理工程を行い、
次に該炭化物にアルカリ金属水酸化物及び水を混合してスラリーにする混合工程を行い、
次に当該スラリーを反応容器に連続供給しつつ、水蒸気を含む不活性ガス雰囲気中、10秒〜30秒間、800℃〜900℃に加熱する反応工程を行い、
次に得られた生成物を水洗する水洗工程を行い、
次に水洗した生成物を乾燥する乾燥工程を行うことを特徴とする
活性炭の製造方法。 - 前記混合工程において、炭化物1質量部に対して、アルカリ金属水酸化物を1質量部〜10質量部混合するとともに、水を1質量部〜50質量部混合する請求項1に記載の活性炭の製造方法。
- 炭素質原料を炭化処理した炭化物にアルカリ金属水酸化物を混合してなるスラリーを、水蒸気を含む不活性ガス雰囲気中に連続供給しつつ、10秒〜30秒間、800℃〜900℃に加熱可能にする反応部を備えた活性炭の製造装置。
- 請求項3に記載の活性炭の製造装置であって、
炭素質原料を炭化処理して炭化物にする炭化処理部を備え、
該炭化物にアルカリ金属水酸化物及び水を混合してスラリーにする混合部を備え、
前記反応部から連続排出される反応物を水洗する水洗部を備え、
水洗された反応物を乾燥する乾燥部を備えた
活性炭の製造装置。 - 前記反応部が、
スラリーを連続的に落下投入する投入部と、前記投入部の下側に反応物を連続排出する排出部とを備えた縦型反応器を備えるとともに、
前記縦型反応器を800℃〜900℃に加熱する加熱部を備え、
前記投入部には、不活性ガスもしくは不活性ガスと水蒸気との混合ガスを導入し、前記縦型反応器内部雰囲気を調整するとともに、前記スラリーが投入部から排出部に達するまでの反応時間を調整可能にするガス導入部を備えた
請求項3または4に記載の活性炭の製造装置。 - 炭素質原料を炭化処理した炭化物にアルカリ金属水酸化物を混合してなるスラリーを、連続的に落下投入する投入部と、前記投入部の下側に反応物を連続排出する排出部とを備えた縦型反応器を備え、
前記投入部に不活性ガスもしくは不活性ガスと水蒸気との混合ガスを導入するガス導入部を備え、
前記縦型反応器内部を、前記炭化物を賦活可能にする加熱装置を備えた活性炭の製造装置。
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