JP2005001281A - 感熱記録紙 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】炭素数8〜36のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルケニル基、ヒドロキシアルケニル基又はアシル基を有し、アミド結合、エーテル結合又はエステル結合を有する化合物を含有する低密度化剤を製紙工程に添加して、紙の密度を低下させた、密度低下率が2%以上、ステキヒト・サイズ度が10秒以上の低密度紙の表面に、常温において無色又は淡色で熱時発色する感熱記録層を設けてなることを特徴とする感熱記録紙。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、感熱記録紙に関する。さらに詳しくは、本発明は、低密度紙を感熱発色記録層の支持体に使用した熱応答性、断熱性及び発色性に優れた高感度の感熱記録紙に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常、感熱記録紙は、その感熱発色記録層に、発色物質として無色又は淡色のラクトン系、ラクタム系、スピロピラン系などのロイコ染料と、この発色物質と反応して発色させる顕色物質とを、それぞれ別個にボールミルやサンドミルで微粉砕して溶媒に分散させ、結合剤を加えて、必要に応じて同様に微粉砕した増感物質、ワックス、界面活性剤、消泡剤、無機顔料などを添加し、紙に塗布し、乾燥することにより製造される。従来、顕色物質としては、ビスフェノール類などの各種のフェノール性化合物が用いられ、特にコストパフォーマンスの優れたビスフェノールA(2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン)、4−イソプロポキシ−4’−ヒドロキシジフェニルスルホン、ジヒドロキシジフェニルスルホンなどが多く用いられている。しかし、これらの顕色物質を単独で用いると発色感度が不十分であるために、顕色物質の発色温度を下げることを目的として増感物質が添加される。増感物質としては、例えば、パラフィンワックスなどの炭化水素化合物、ステアリン酸アミドなどのアミド類、テレフタル酸ジメチルなどのエステル類、トルエンスルホンアミドなどのスルホンアミド類、2−ベンジルオキシナフタレンなどのエーテル類などがある。しかし、このような増感物質には、地肌カブリが少なく白色度に優れること、熱応答性に優れ少ない熱量で高濃度に発色すること、さらに、発色により得られた画像の保存性に優れることなどの特性が要求されている。
さまざまな情報を熱で記録した感熱記録紙は、水、油、可塑剤、熱、光などにより画像部の退色、白紙部の着色や変色が生ずるので、画像部保存性と白紙部保存性は重要な要求特性である。また、用途の広がりにより高温条件下におかれるようになり、従来は60℃程度と想定されていた温度環境条件を超える特性が必要となってきた。例えば、商品にPOSシステムのバーコードラベルを貼付するような場合、感熱記録紙の裏面へ永久粘着加工を施し、剥離紙を仮着させた感熱記録粘着紙が使われている。しかし、かかる剥離紙を必要とする永久粘着紙は、工場現場ラインで物品にラベルなどとして貼付する際の操業性や生産性に劣り、高価格であるという問題点がある。また、接着面を加熱して活性化し、常温まで降温しても粘着性を持続して失活しないサーマルディレード粘着型接着剤は、感熱記録紙の裏側、すなわちサーマルディレード粘着層側を熱風や赤外線などで加熱して粘着性を現出させ、暫時のちに物品へ圧着するために、感熱発色層側の熱による地肌カブリは軽減される。しかし、軽微な地肌カブリでも、バーコードラベルなどに応用した場合には誤読、誤動作の原因となるおそれがあるために、熱による地肌カブリを極力防ぐ必要が生じ、このような問題を解決するために、ささまざまな試みがなされている。
例えば、支持体としての紙の一方の面上に感熱発色記録層、他方の面上にサーマルディレードタック層を設け、少なくともいずれかの層間に、微小中空球粒子又はポーラスな顔料を主成分とする層を設けた感熱記録用サーマルディレードタックシートが提案されている(特許文献1)。また、軽微な発色カブリを防止する感熱記録用サーマルディレードタックシートとして、密度0.3g/cm3以下の低密度の嵩高紙になるように、パルプと発泡性粒子を混抄したのち、加熱して発泡させた多孔発泡紙を支持体とする感熱記録用シートが提案されている(特許文献2)。しかし、発泡性粒子は、膨張剤として揮発性有機溶剤を含むために、爆発、引火の危険性と、作業環境の悪化が懸念される。断熱性を有するために高感度である感熱記録シートとして、微細繊維とカールドファイバーを含有し、密度が0.05〜0.45g/cm3である低密度シートを支持体とする感熱記録シートが提案されている(特許文献3)。しかし、この感熱シートは、使用するパルプが限定されるという問題がある。さらに、感熱記録紙などの原紙として使用することができる嵩高紙として、モノエステル体含有率が20質量%以下である多価アルコールと飽和脂肪酸とのエステル化合物を嵩高サイズ剤として用いた嵩高紙が提案されている(特許文献4)。しかし、この脂肪酸エステル化合物は疎水性が強く、非イオン活性剤、アニオン活性剤、カチオン活性剤などの界面活性剤を使用しなければ、水に分散あるいは乳化することが困難であり、この界面活性剤を使用することにより、サイズ度を低下させる欠点を有している。
著しくサイズ度の低下した低密度紙を支持体とし、無色又は淡色で熱時発色する感熱発色層を支持体上に設けると、親水性の高いポリエーテル基などが存在するために、感熱発色層が支持体上から支持体内に深く浸透する。このようにして得られた感熱記録紙は、感熱発色層の深度が深く、情報である熱エネルギーを有効に利用することができない。つまり、感熱記録紙の熱応答性が低下し、さらに、裏面からの熱エネルギーに対して活性化しやすく、熱による発色で地肌カブリが発生する原因となる。
【特許文献1】
実開平1−125482号公報(第1頁)
【特許文献2】
特開平7−156546号公報(第2頁)
【特許文献3】
特開平10−219588号公報(第2頁、第7頁)
【特許文献4】
特開2002−285494号公報(第2頁、第4頁)
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、低密度紙を感熱発色記録層の支持体に使用した熱応答性、断熱性及び発色性に優れた高感度の感熱記録紙を提供することを目的としてなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、炭素数8〜36のアルキル基などを有し、アミド結合、エーテル結合又はエステル結合を有する化合物を含有する低密度化剤を用いて密度を低下させた密度低下率が2%以上、ステキヒト・サイズ度が10秒以上の低密度紙を支持体とすることにより、熱応答性、断熱性及び発色性に優れた高感度の感熱記録紙が得られることを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)炭素数8〜36のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルケニル基、ヒドロキシアルケニル基又はアシル基を有し、アミド結合、エーテル結合又はエステル結合を有する化合物を含有する低密度化剤を製紙工程に添加して、紙の密度を低下させた、密度低下率が2%以上、ステキヒト・サイズ度が10秒以上の低密度紙の表面に、常温において無色又は淡色で熱時発色する感熱記録層を設けてなることを特徴とする感熱記録紙、
(2)低密度化剤が、一般式[1]で表される化合物と、エピハロヒドリン若しくはグリシジルエーテル及び/又はそれらから誘導された化合物とを反応して得られる化合物を含有する第1項記載の感熱記録紙、
(A1)n−Y−(Z)m ・・・[1]
(ただし、式中、Yは(n+m)個の活性水素を有するモノアミン、ポリアミン、ポリアルキレンイミン又はその誘導体から活性水素を除いた残基であり、A1はアシル基、ヒドロキシル基を有するアシル基又はアミノ基を有するアシル基であって、これらのアシル基の少なくとも1つは炭素数8〜36であり、Zは水素、アルキル基、アルケニル基、アルキルエーテル基、アシル基又は−(B1O)pA2(ここで、B1は炭素数2〜4のアルキレン基、フェニルエチレン基又はフェノキシメチルエチレン基であり、A2は水素又は炭素数2〜36のアシル基であり、pは1〜20である。)であり、nは1以上であり、mは0以上であり、n+m=1〜100であり、nが2以上の場合複数個のA1は同一でも異なっていてもよく、mが2以上の場合複数個のZは同一でも異なっていてもよい。)、
(3)低密度化剤が、多価カルボン酸又は該酸無水物と、炭素数8〜36のアルコール及び炭素数8〜36のアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物との反応生成物であって、平均して多価カルボン酸が有する又は該酸無水物に由来する1分子当たり0.7個以上のカルボキシル基がエステル化又はアミド化され、0.3個以上のカルボキシル基が遊離カルボキシル基である化合物又はその遊離カルボキシル基が中和されて塩となった化合物を含有する第1項記載の感熱記録紙、
(4)低密度化剤が、多価アルコールと炭素数8〜36の脂肪酸又はヒドロキシカルボン酸とのエステル化合物であって、ヒドロキシル基を有する該エステル化合物の該ヒドロキシル基に、アニオン基を導入してなる化合物又はその塩を含有する第1項記載の感熱記録紙、
(5)低密度化剤が、炭素数8〜36の脂肪族炭化水素基とイミダゾリン環構造とを有する化合物を含有する第1項記載の感熱記録紙、
(6)低密度化剤が、一般式[2]で表されるスルホコハク酸誘導体を含有する第1項記載の感熱記録紙、
【化4】
(ただし、式中、R1及びR2は、いずれか一方又は両方が、炭素数8〜36のアルキル基、アルケニル基、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアルケニル基又はR3(OB2)q−(ここでR3は炭素数8〜36のアルキル基、アルケニル基、ヒドロキシアルキル基又はヒドロキシアルケニル基であり、B2は炭素数2〜4のアルキレン基であり、qは1〜20である。)であり、R1及びR2の一方のみが上記の基であるとき、他方は、水素、アンモニウム、第四級アンモニウム、アルカリ金属又はアルカリ土類金属であり、Mは水素、アンモニウム、第四級アンモニウム、アルカリ金属又はアルカリ土類金属である。)、
(7)低密度化剤が、一般式[3]で表される化合物を含有する第1項記載の感熱記録紙、
【化5】
(ただし、式中、R4は炭素数8〜36のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルケニル基又はヒドロキシルアルケニル基であり、R5は炭素数7〜35のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルケニル基又はヒドロキシルアルケニル基であり、B3は炭素数2〜4のアルキレン基であり、rは1〜20である。)、及び、
(8)低密度化剤が、一般式[4]又は一般式[5]で表される化合物を含有する第1項記載の感熱記録紙、
【化6】
(ただし、式中、R6、R9及びR10は炭素数8〜36のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルケニル基又はヒドロキシルアルケニル基であり、R7、R8及びR11は炭素数7〜35のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルケニル基又はヒドロキシルアルケニル基であり、B4、B5及びB6は炭素数2〜4のアルキレン基であり、s、u及びvは1〜20である。)、
を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の感熱記録紙は、炭素数8〜36のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルケニル基、ヒドロキシアルケニル基又はアシル基を有し、アミド結合、エーテル結合又はエステル結合を有する化合物を含有する低密度化剤を製紙工程に添加して紙の密度を低下させた、密度低下率が2%以上、ステキヒト・サイズ度が10秒以上の低密度紙の表面に、常温において無色又は淡色で熱時発色する感熱記録層を有する。アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルケニル基、ヒドロキシアルケニル基又はアシル基の炭素数が7以下であると、得られる低密度紙の断熱性が不十分となり、ステキヒト・サイズ度の低下が極めて大きくなるおそれがある。アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルケニル基、ヒドロキシアルケニル基又はアシル基の炭素数が37以上であると、化合物の取り扱いが困難になるおそれがある。
本発明において、密度低下率とは、JIS P 8118にしたがって紙の密度を測定し、紙料に低密度化剤を添加して抄紙して得られた低密度紙の密度をD1、低密度化剤を添加しない以外は同じ紙料を用いて抄紙して得られた紙の密度をD0とするとき、次式により算出される値である。
密度低下率(%)={(D0−D1)/D0}×100
本発明において、感熱記録紙の製造に用いられる低密度紙の密度低下率が2%未満であると、感熱記録紙の断熱性と発色性が不良になるおそれがある。なお、本発明において、発色性とは、感熱記録紙の裏面から熱を受けたとき、表面の感熱記録層の印字情報と白地肌が保存される性質をいう。
本発明において、ステキヒト・サイズ度は、JIS P 8122にしたがって測定される値である。本発明において、感熱記録紙の支持体として用いられる低密度紙のステキヒト・サイズ度が10秒未満であると、感熱記録層が支持体の内部深くまで浸透して形成され、熱応答性が低下して、同じ印字エネルギーにより発色する色濃度が薄くなり、また、発色性が低下して、裏面から熱を受けたときに表面の感熱記録層が発色しやすくなるおそれがある。
本発明の感熱記録紙は、熱応答性に優れ、小さい印字エネルギーで濃色に発色し、小電流や高速印字にも十分対応することができるので、携帯端末や高速度のプリンター用の感熱記録紙などとして好適に用いることができる。また、本発明の感熱記録紙は、断熱性と発色性に優れる。つまり、裏面から熱を受けたときの印字情報の保存性と白地肌の保存性に優れるので、サーマルディレードタック層などを設けた感熱記録紙などとして好適に用いることができる。
【0006】
本発明において、低密度紙を支持体として、その表面に形成する感熱記録層は、発色物質、顕色物質及び増感物質を含有することが好ましい。発色物質としては、無色又は淡色のロイコ染料を好適に用いることができる。本発明に用いる無色又は淡色のロイコ染料に特に制限はなく、例えば、クリスタルバイオレットラクトン、マラカイトグリーンラクトン、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−アミノフタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−(p−トルエンスルホンアミド)フタリド、3,3−ビス(2−(p−ジメチルアミノフェニル)−2−(4−メトキシフェニル)ビニル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3−ジメチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−ジメチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−フェニルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7,8−ジベンゾフルオラン、3−ジエチルアミノ−5−メチル−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(o,p−ジメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジプロピルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジアミルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−ベンゾ[a]フルオラン、3−ジブチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−N,N−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N,N−ジブチルアミノ−7−フルオロアニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−プロピル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソブチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−シクロヘキシル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、2−(N−メチル−N−フェニル)アミノ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−テトラヒドロフルフリル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、1,3,3−トリメチル−6’−クロロ−8’−メトキシインドリノベンゾスピロピランなどを挙げることができる。これらの中で、フルオラン構造を有するロイコ染料は、発色性が良好なので好適に用いることができ、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン及び3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオランを特に好適に用いることができる。
【0007】
本発明に用いる顕色物質に特に制限はなく、例えば、4−ヒドロキシ安息香酸エステル類及びそれらの縮合体、4−ヒドロキシフタル酸ジエステル類、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタンなどのビスフェノールA及びその誘導体、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンなどのビスフェノールS類、4−イソプロペニルオキシ−4’−ヒドロキシジフェニルスルホン、4−ベンジルオキシ−4’−ヒドロキシジフェニルスルホンなどのビスフェノールS誘導体類、N−トシル−p−アミノフェノールなどのスルホンアミド類、ビス(4−メチルフェニルスルホニルアミノカルボニルアミノフェニル)メタンなどの尿素基とスルホニル基を有する化合物及びその多量体、尿素基とスルホニル基とウレタン基を有する化合物及びそれらの多量体、活性白土などの無機化合物などを挙げることができる。本発明の感熱記録紙において、顕色物質の含有量に特に制限はないが、発色物質100質量部に対して50〜700質量部であることが好ましく、100〜500質量部であることがより好ましい。顕色物質の含有量が発色物質100質量部に対して50質量部未満であると、感熱記録紙の発色性が不十分となるおそれがある。顕色物質の含有量が発色物質100質量部に対して700質量部を超えると、使用量に見合う発色濃度が得られないおそれがある。
【0008】
本発明に用いる増感物質に特に制限はなく、例えば、ステアリン酸アミド、ステアリン酸メチロールアミド、オレイン酸アミド、パルミチン酸アミド、ヤシ油脂肪酸アミドなどの脂肪酸アミド、1,2−ビスフェノキシエタン、1,2−ビス(m−トリルオキシ)エタン、1,4−ジメトキシナフタレン、1,4−ジベンジルオキシナフタレン、ベンジルオキシチオフェニルエーテル、2−ベンジルオキシナフタレン、1,2−ビス(フェノキシメチル)ベンゼンなどのエーテル類、シュウ酸ジベンジル、シュウ酸ジ(4−メチルベンジル)、シュウ酸ジ(4−クロロベンジル)、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニルエステルなどのエステル類、トルエンスルホンアミドなどのスルホンアミド類、m−ターフェニル、p−ベンジルビフェニルなどの炭化水素化合物、各種ワックス類、芳香族カルボン酸とアミンとの縮合物、高級直鎖グリコール類、高級ケトン類、ビス(4−(2−プロペニルオキシ)フェニル)スルホンなどのビスフェノールS誘導体、ビスフェノールA誘導体、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジルなどのp−ヒドロキシ安息香酸エステル類、テレフタル酸ジベンジルなどのフタル酸ジエステル類などを挙げることができる。感熱発色層に増感物質を含有させることにより、発色性をさらに向上させ、低い印字エネルギーで高濃度に発色させることが可能となる。本発明において、増感物質の含有量は、顕色物質100質量部に対して20〜1,000質量部であることが好ましく、40〜400質量部であることがより好ましい。増感物質の含有量が顕色物質100質量部に対して20質量部未満であると、感熱記録紙の発色性が不十分となるおそれがある。増感物質の含有量が顕色物質100質量部に対して1,000質量部を超えると、発色濃度が低下するおそれがある。
【0009】
本発明においては、低密度化剤に含有させる低密度化剤用化合物として、一般式[1]で表される化合物と、エピハロヒドリン若しくはグリシジルエーテル及び/又はそれらから誘導された化合物とを反応して得られる化合物を用いることができる。
(A1)n−Y−(Z)m ・・・[1]
ただし、一般式[1]において、Yは(n+m)個の活性水素を有するモノアミン、ポリアミン、ポリアルキレンイミン又はその誘導体から活性水素を除いた残基であり、A1はアシル基、ヒドロキシル基を有するアシル基又はアミノ基を有するアシル基であって、これらのアシル基の少なくとも1つは炭素数8〜36であり、Zは水素、アルキル基、アルケニル基、アルキルエーテル基、アシル基又は−(B1O)pA2(ここで、B1は炭素数2〜4のアルキレン基、フェニルエチレン基又はフェノキシメチルエチレン基であり、A2は水素又は炭素数2〜36のアシル基であり、pは1〜20である。)であり、nは1以上であり、mは0以上であり、n+m=1〜100であり、nが2以上の場合複数個のA1は同一でも異なっていてもよく、mが2以上の場合複数個のZは同一でも異なっていてもよい。
本発明において、一般式[1]における残基Yを与える化合物としては、例えば、ステアリルアミン、オレイルアミン、ジステアリルモノメチルアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、アミノエチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、メラミン、ポリエチレンイミンなどを挙げることができる。一般式[1]におけるA1で表されるアシル基としては、例えば、ラウロイル基、ステアロイル基、イソステアロイル基、ベヘノイル基、オレオイル基、ラクトイル基、リシノレオイル基、グリシル基、アラニル基などを挙げることができる。一般式[1]で表される化合物と反応させるエピハロヒドリンとしては、例えば、エピクロルヒドリン、エピブロムヒドリンなどを挙げることができる。一般式[1]で表される化合物と反応させるグリシジルエーテルとしては、例えば、アリルグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテルなどを挙げることができる。
【0010】
本発明においては、低密度化剤に含有させる低密度化剤用化合物として、多価カルボン酸又は該酸無水物と、炭素数8〜36のアルコール及び炭素数8〜36のアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物との反応生成物であって、平均して多価カルボン酸が有する又は該酸無水物に由来する1分子当たり0.7個以上のカルボキシル基がエステル化又はアミド化され、0.3個以上のカルボキシル基が遊離カルボキシル基である化合物又はその遊離カルボキシル基が中和されて塩となった化合物を用いることができる。
本発明に用いる多価カルボン酸又は該酸無水物としては、例えば、マレイン酸、アジピン酸、フタル酸、トリメリット酸、それらの無水物、α−オレフィンと無水マレイン酸の共重合体などを挙げることができる。炭素数8〜36のアルコールとしては、例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコールなどを挙げることができる。炭素数8〜36のアミンとしては、例えば、ラウリルアミン、ミリスチルアミン、セチルアミン、ステアリルアミンなどを挙げることができる。遊離カルボキシル基を中和するために用いる化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、エタノールアミン、トリエタノールアミンなどを挙げることができる。
【0011】
本発明においては、低密度化剤に含有させる低密度化剤用化合物として、多価アルコールと炭素数8〜36の脂肪酸又はヒドロキシカルボン酸とのエステル化合物であって、ヒドロキシル基を有する該エステル化合物の該ヒドロキシル基に、アニオン基を導入してなる化合物又はその塩を用いることができる。
本発明に用いる多価アルコールとしては、例えば、トリメチロールプロパン、ジグリセリン、グリセリンのエチレンオキシド付加物、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなどを挙げることができる。炭素数8〜36の脂肪酸としては、例えば、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸、トール油脂肪酸などを挙げることができる。炭素数8〜36のヒドロキシカルボン酸としは、例えば、12−ヒドロキシラウリン酸、2−ヒドロキシステアリン酸などを挙げることができる。ヒドロキシル基にアニオン基を導入するために用いる化合物としては、例えば、硫酸、スルファミン酸、オキシ塩化リン、無水マレイン酸、無水フタル酸、モノクロル酢酸などを挙げることができる。アニオン基を中和して塩とするために用いる化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、アンモニア、エタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミンなどを挙げることができる。
【0012】
本発明においては、低密度化剤に含有させる低密度化剤用化合物として、炭素数8〜36の脂肪族炭化水素基とイミダゾリン環構造とを有する化合物を用いることができる。
本発明に用いる炭素数8〜36の脂肪族炭化水素基とイミダゾリン環構造とを有する化合物は、例えば、ステアリン酸、オレイン酸、トール油脂肪酸などの脂肪酸とジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミンなどのポリエチレンポリアミンとをモル比2:1で反応させてビス(脂肪酸アミド)とし、得られたビス(脂肪酸アミド)を加熱して脱水環化することにより、製造することができる。
【0013】
本発明においては、低密度化剤に含有させる低密度化剤用化合物として、一般式[2]で表されるスルホコハク酸誘導体を用いることができる。
【化7】
ただし、一般式[2]において、R1及びR2は、いずれか一方又は両方が、炭素数8〜36のアルキル基、アルケニル基、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアルケニル基又はR3(OB2)q−(ここでR3は炭素数8〜36のアルキル基、アルケニル基、ヒドロキシアルキル基又はヒドロキシアルケニル基であり、B2は炭素数2〜4のアルキレン基であり、qは1〜20である。)であり、R1及びR2の一方のみが上記の基であるとき、他方は、水素、アンモニウム、第四級アンモニウム、アルカリ金属又はアルカリ土類金属であり、Mは水素、アンモニウム、第四級アンモニウム、アルカリ金属又はアルカリ土類金属である。
一般式[2]で表される化合物は、例えば、無水マレイン酸とステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール、ステアリルアルコールのエチレンオキシド付加物などのアルコールとの反応により得られるマレイン酸エステルの二重結合に、亜硫酸水素塩、ピロ亜硫酸塩、亜硫酸ガスなどを反応させてスルホン酸基を導入し、必要に応じて、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、エタノールアミン、トリエタノールアミンなどで中和することにより、製造することができる。
【0014】
本発明においては、低密度化剤に含有させる低密度化剤用化合物として、一般式[3]で表される化合物を用いることができる。
【化8】
ただし、一般式[3]において、R4は炭素数8〜36のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルケニル基又はヒドロキシルアルケニル基であり、R5は炭素数7〜35のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルケニル基又はヒドロキシルアルケニル基であり、B3は炭素数2〜4のアルキレン基であり、rは1〜20である。
一般式[3]で表される化合物は、例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコールなどの高級アルコールに、エチレンオキシド、プロピレンオキシドなどのアルキレンオキシドを付加反応させ、さらにラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸、エルカ酸、ヤシ脂肪酸、ヒマ脂肪酸、トール油脂肪酸などの脂肪酸と脱水エステル化反応することにより、製造することができる。
【0015】
本発明においては、低密度化剤に含有させる低密度化剤用化合物として、一般式[4]又は一般式[5]で表される化合物を用いることができる。
【化9】
ただし、一般式[4]及び一般式[5]において、R6、R9及びR10は炭素数8〜36のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルケニル基又はヒドロキシルアルケニル基であり、R7、R8及びR11は炭素数7〜35のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルケニル基又はヒドロキシルアルケニル基であり、B4、B5及びB6は炭素数2〜4のアルキレン基であり、s、u及びvは1〜20である。
一般式[4]で表される化合物は、例えば、2−エチルヘキシルアミン、オクチルアミン、ラウリルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン、ベヘニルアミン、ココナッツアミンなどの第一級アミンに、エチレンオキシド、プロピレンオキシドなどのアルキレンオキシドを付加反応させ、さらにパルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸、ヤシ脂肪酸、トール油脂肪酸などの脂肪酸と脱水エステル化反応することにより、製造することができる。一般式[5]で表される化合物は、ジラウリルアミン、ジステアリルアミンなどの第二級アミンに、エチレンオキシド、プロピレンオキシドなどのアルキレンオキシドを付加反応させ、さらにエルカ酸、トール油脂肪酸などの脂肪酸と脱水エステル化反応することにより、製造することができる。
【0016】
本発明において、感熱記録層の形成に使用する結合剤に特に制限はなく、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体、ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール、シリコーン変性ポリビニルアルコール、アマイド変性ポリビニルアルコール、スルホン酸変性ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール類、ゼラチン、カゼイン、でんぷん、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリルアミド、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリアミド樹脂、水系ポリウレタン樹脂、石油樹脂、テルペン樹脂などを挙げることができる。
本発明の感熱記録紙においては、感熱発色層に画像安定化物質を含有させることができる。含有させる画像安定化物質に特に制限はなく、例えば、4−ベンジルオキシ−4’−(2−メチルグリシジルオキシ)ジフェニルスルホン、4,4’−ブチリデンビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、2,2’−ジ−t−ブチリル−5,5’−ジメチル−4,4’−スルホニルフェノール、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1−[4’−(4’’−ベンジルオキシフェニルスルホニル)フェノキシ]−2,3−エポキシプロパンなどを挙げることができる。
本発明の感熱記録紙においては、必要に応じて、感熱発色層に填料を含有させることができる。填料としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、カオリン、焼成カオリン、ケイソウ土、タルク、酸化チタン、水酸化アルミニウムなどの無機充填剤や、スチレンマイクロボール、ナイロンパウダー、尿素−ホルマリン樹脂フィラーなどの有機充填剤などを挙げることができる。
本発明の感熱記録紙においては、必要に応じて、他の添加剤を感熱発色層に含有させることができる。このような添加剤としては、例えば、ステアリン酸エステルワックス、ポリエチレンワックス、ステアリン酸亜鉛などの滑剤、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系の紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールなどのトリアゾール系の紫外線吸収剤、グリオキサールなどの耐水化剤、分散剤、消泡剤、酸化防止剤、蛍光染料などを挙げることができる。
【0017】
本発明において、低密度化剤を添加する製紙工程に特に制限はなく、例えば、離解工程、叩解工程、薬品などを配合する調成工程、抄紙前などを挙げることができる。また、古紙の場合には、再生処理工程などを挙げることができる。低密度化剤の形態に特に制限はなく、例えば、炭素数8〜36のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルケニル基、ヒドロキシアルケニル基又はアシル基を有し、アミド結合、エーテル結合又はエステル結合を有する化合物をそのまま低密度化剤とすることができ、あるいは、該化合物に微量の界面活性剤、水、溶剤などを配合し、水に自己乳化する製剤とすることもでき、さらに水、溶剤などに溶解、分散又は乳化した低密度化剤とすることもできる。
本発明においては、紙料に他の薬品を添加することができる。他の薬品としては、例えば、湿潤紙力剤、乾燥紙力剤、澱粉、ポリビニルアルコールなどの紙力剤や、ドライヤー剥離剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤、脱墨剤、サイズ剤、紙質改善剤、填料、顔料、染料、消泡剤などを挙げることができる。
本発明に用いる低密度紙は、植物繊維及び/又はその他の繊維をからみ合わせ膠着することによって得られる薄層物である。使用するパルプなどの原料に特に制限はなく、例えば、広葉樹、針葉樹などから得られる木材パルプ、バガス、ケナフ、竹パルプなどの植物繊維、レーヨンなどの再生繊維、ポリエステルなどの合成繊維、繊維状無機材料などを挙げることができる。また、パルプモールドなどの繊維材料も使用することができる。
【0018】
本発明の感熱記録紙の製造方法に特に制限はなく、例えば、発色物質、顕色物質、増感物質、画像安定化物質及び必要に応じて用いられるその他の添加剤を、適当な結合剤とともに、水性媒体などの媒体中に分散させて感熱発色層の塗布液を調製し、この塗布液を低密度紙に塗布し、乾燥することにより製造することができる。発色物質、顕色物質及び増感物質を含有する分散液は、発色物質を含有する分散液、顕色物質を含有する分散液及び増感物質を含有する分散液をそれぞれ別々に調製したのち、これらの分散液を混合することにより調製することが好ましい。各分散液中において、発色物質、顕色物質及び増感物質は、微粒子化して分散していることが望ましいので、これらの分散液の調製には、サンドミル、ボールミル、ビーズミル、コロイダルミルなどを用いることが好ましい。
本発明の感熱記録紙においては、必要に応じて、シリカ、炭酸カルシウム、カオリン、焼成カオリン、ケイソウ土、タルク、酸化チタン、水酸化アルミニウムなどの無機充填剤や、スチレンマイクロボール、ナイロンパウダー、尿素−ホルマリン樹脂フィラー、合成樹脂中空粒状粉、多孔質樹脂粒状粉、でんぷん粉、セルロース粉などの有機充填剤などを含むアンダーコート層を設けることができる。さらに、必要に応じて、感熱発色層の上に、セルロース誘導体類、ポリビニルアルコール又はその誘導体類、ポリアクリル酸又はその誘導体類などの水溶性樹脂や、スチレン−ブタジエン共重合体、テルペン樹脂などの水溶性エマルジョンや、非水溶性樹脂、又は、それら樹脂に填料、イソシアネート類、紫外線吸収剤、不飽和化合物などのモノマーやオリゴマーと架橋剤を加えてオーバーコート層を形成することができる。
本発明の感熱記録紙は、色調の異なる発色物質をそれぞれ感熱発色層として多層形成した多色感熱記録紙とすることができる。
【0019】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
なお、実施例及び比較例において、作製した感熱記録紙は次の方法により評価した。
(1)密度低下率
JIS P 8118にしたがって、紙料に低密度化剤を添加して抄紙して得られた低密度紙の密度D1及び同じ紙料に低密度化剤を添加することなく抄紙して得られた紙の密度D0を測定し、次式により密度低下率を算出する。
密度低下率(%)={(D0−D1)/D0}×100
(2)ステキヒト・サイズ度
JIS P 8122にしたがって測定する。
(3)熱応答性
感熱印字装置[(株)大倉電機]を用い、感熱記録紙の感熱記録層側から、パルス巾3msで、0.07mJ/dot毎に印字エネルギーを高めて発色を行う。その中で、0.28mJ/dotの印字エネルギーで得られた画像の色濃度を、マクベス濃度計を用いて測定し、熱応答性とする。
(4)断熱性
熱傾斜試験機[(株)東洋精機製作所]を用いて、95℃に加熱した熱盤を、感熱記録紙の感熱記録層側から0.2MPaの圧力で5秒間接触させ、接触面の感熱記録層の色濃度Q1をマクベス濃度計を用いて測定する。また、95℃に加熱した熱盤を、感熱記録紙の裏面すなわち感熱記録層の反対側の面に0.2MPaの圧力で5秒間接触させ、接触面の反対側の感熱記録層の色濃度Q2をマクベス濃度計を用いて測定する。色濃度Q1と色濃度Q2の差ΔCを、断熱性とする。ΔCの値が大きい程、優れている。
ΔC = Q1 − Q2
(5)発色性
感熱記録紙の感熱記録層の発色前の色濃度Q0を測定したのち、熱傾斜試験機[(株)東洋精機製作所]を用いて、95℃に加熱した熱盤を、感熱記録紙の裏面すなわち感熱記録層の反対側の面に0.2MPaの圧力で5秒間接触させ、接触面の反対側の感熱記録層の色濃度Q3をマクベス色濃度計を用いて測定する。色濃度Q3と色濃度Q0の差ΔBを、発色性とする。ΔBの値が小さい程、優れている。
ΔB = Q3 − Q0
【0020】
実施例1
温度計と窒素ガス吹き込み管を取り付けた4つ口フラスコに、ステアリン酸284g(1モル)とオレイン酸282g(1モル)の混合物を仕込み、窒素ガスを吹き込みながら徐々に加熱昇温し、100〜110℃でトリエチレンテトラミン146g(1モル)を1時間かけて滴下した。さらに徐々に温度を上げ、窒素ガスを吹き込みながら、200〜220℃で5時間脱水アミド化反応を行い、中間体化合物を得た。冷却後、コンデンサーを取り付けて、90℃に加熱したのち、エピクロルヒドリン139g(1.5モル)を90〜100℃に保ちながら滴下した。滴下終了後さらに90〜100℃で4時間反応して、低密度化剤用の化合物を得た。
広葉樹晒しクラフトパルプと針葉樹晒しクラフトパルプを質量比70/30に配合し、カナダ標準型ろ水度420mLに叩解してパルプスラリーを調製した。このパルプスラリーをケミスターラーを用いて撹拌しながら、上記の低密度化剤用化合物を水に乳化分散した低密度化剤を、該化合物がパルプに対して0.75質量%になるように添加し、5分後にカチオン化澱粉をパルプに対して1.0質量%添加し、さらにその5分後にサイズ剤[荒川化学工業(株)、サイズパインK−903]をパルプに対して1.0質量%添加した。その後10分間撹拌を継続して、紙料の調成を終了した。
この紙料を、試験用角型シートマシンを用いて坪量80g/m2に抄紙した。次いで、プレス機を用いて700kPaで5分プレス処理を行い、さらに試験用のヤンキードライヤーを用いて105℃で3分乾燥し、低密度紙を得た。得られた低密度紙は、密度0.566g/cm3、サイズ度109秒であった。また、低密度化剤を添加することなく抄紙して得られた紙の密度は0.623g/cm3であり、低密度化率は9.1%であった。
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン40質量部、10質量%ポリビニルアルコール水溶液80質量部及び水40質量部を、サンドミルを用いて4時間微粉砕して分散させることにより、発色物質分散液(A液)を調製した。
4−イソプロポキシ−4’−ヒドロキシジフェニルスルホン28質量部、10質量%ポリビニルアルコール水溶液120質量部及び水52質量部を、サンドミルを用いて4時間微粉砕して分散させることにより、顕色物質分散液(B液)を調製した。
1,2−ビス(フェニルオキシメチル)ベンゼン28質量部、10質量%ポリビニルアルコール水溶液120質量部及び水52質量部を、サンドミルを用いて4時間微粉砕して分散させることにより、増感物質分散液(C液)を調製した。
さらに、B液60質量部、C液60質量部、10質量%ポリビニルアルコール水溶液16質量部及びカオリン12.2質量部を、ディスパーを用いて撹拌混合し、D液を調製した。
次いで、A液11.3質量部及びD液100質量部を混合して、感熱発色層の塗布液を調製し、坪料65g/m2の上質紙に、乾燥塗布量が約6g/m2となるように塗布し、風乾し、カレンダー処理して感熱記録紙を得た。
得られた感熱記録紙は、熱応答性が、印字エネルギー0.28mJ/dotのとき色濃度0.98であり、断熱性が、感熱記録層側から熱を加えたときの感熱記録層の色濃度Q11.10と裏面から熱を加えたときの感熱記録層の色濃度Q20.12の色濃度差ΔC0.98であり、発色性が、発色前の感熱記録層の色濃度Q00.04と裏面から熱を加えたときの感熱記録層の色濃度Q20.13の色濃度差ΔB0.09であった。
【0021】
実施例2
温度計と窒素ガス吹き込み管を取り付けた4つ口フラスコに、ステアリン酸568g(2モル)を仕込み、窒素ガスを吹き込みながらで徐々に加熱昇温し、100〜110℃でジエチレントリアミン103g(1モル)を1時間かけて滴下した。さらに、徐々に温度を上げ、窒素ガスを吹き込みながら、150〜160℃で5時間脱水アミド化反応を行い、中間体化合物を得た。冷却後、コンデンサーを取り付けて90℃に加熱したのち、エビクロルヒドリン92.5g(1モル)を、90〜100℃に保ちながら滴下した。滴下終了後、90〜100℃に保ちながら、4時間反応して低密度化剤用化合物を得た。
得られた低密度化剤用化合物を用いて、実施例1と同様にして、低密度紙及び感熱記録紙を作製して評価を行った。
実施例3
温度計と窒素ガス吹き込み管を取り付けた4つ口フラスコに、無水マレイン酸98g(1モル)を仕込み、窒素ガスを吹き込みながら、加熱して90℃でステアリルアミンとラウリルアミンの混合物(質量比1/1)220g(1モル)を、1時間かけて徐々に添加し、さらに100〜110℃で3時間反応を行った。得られたマレイン酸のラウリル/ステアリルアミドをモノエタノールアミンで中和して、低密度化剤用化合物を得た。
得られた低密度化剤用化合物を用いて、実施例1と同様にして、低密度紙及び感熱記録紙を作製して評価を行った。
実施例4
温度計と窒素ガス吹き込み管を取り付けた4つ口フラスコに、アルケニル無水コハク酸[新日本理化(株)、リカシッドDDSA]266g(1モル)を仕込み、窒素ガスを吹き込みながら、ステアリルアルコール270g(1モル)を添加して、100〜110℃で4時間反応を行った。得られたアルケニル無水コハク酸のステアリルエステルを、水酸化ナトリウムを用いて中和し、低密度化剤用化合物を得た。
得られた低密度化剤用化合物を用いて、実施例1と同様にして、低密度紙及び感熱記録紙を作製して評価を行った。
【0022】
実施例5
脱水管、温度計及び窒素ガス吹き込み管を取り付けた4つ口フラスコに、ペンタエリスリトール136g(1モル)、ステアリン酸568g(2モル)及びパラトルエンスルホン酸0.4gを仕込み、窒素ガスを吹き込みながら、200〜220℃で5時間脱水エステル化反応を行い、中間体化合物を得た。この中間体化合物に、無水マレイン酸196g(2モル)を添加し、窒素ガスを吹き込みながら、80〜100℃で2時間反応を行い、ペンタエリスリトールのステアリン酸/マレイン酸エステル化物を得た。得られたエステル化物をトリエタノールアミンを用いて中和し、低密度化剤用化合物を得た。
得られた低密度化剤用化合物を用いて、実施例1と同様にして、低密度紙及び感熱記録紙を作製して評価を行った。
実施例6
脱水管、温度計及び窒素ガス吹き込み管を取り付けた4つ口フラスコに、ステアリン酸とベヘニン酸の混合物(質量比1/1)618g(2モル)を仕込み、窒素ガスを吹き込みながら、100〜110℃でジエチレントリアミン103g(1モル)を1時間かけて滴下した。さらに、徐々に温度を上げ200〜220℃で4時間脱水アミド化反応を行なった、得られたジエチレントリアミンのステアリン酸/ベヘニン酸アミドを、酢酸を用いて中和し、低密度化剤用化合物を得た。
得られた低密度化剤用化合物を用いて、実施例1と同様にして、低密度紙及び感熱記録紙を作製して評価を行った。
実施例7
脱水管、温度計及び窒素ガス吹き込み管を取り付けた4つ口フラスコに、無水マレイン酸98g(1モル)とステアリルアルコールとオレイルアルコールの混合物(質量比1/1)269g(1モル)を仕込み、窒素ガスを吹き込みながら、80〜100℃で2時間反応を行い、マレイン酸ステアリル/オレイルエステルを得た。このエステル化合物をガラスオートクレーブに入れ、水50gと亜硫酸水素ナトリウム104g(1.0モル)を添加し、密閉して加熱した。ゲージ圧が98kPaを超えたとき、49kPaまでガス抜きを行いながら昇温し、80〜120℃で5時間反応し、スルホコハク酸モノエステルのナトリウム塩とし、さらにトリエタノールアミンで中和して、低密度化剤用化合物を得た。
得られた低密度化剤用化合物を用いて、実施例1と同様にして、低密度紙及び感熱記録紙を作製して評価を行った。
【0023】
実施例8
耐圧反応容器に、合成アルコール[三菱化学(株)、ドバノール、炭素数14及び15のアルコールが主成分]220gと水酸化ナトリウム1.0gを仕込み、内部を窒素ガスで置換し、130℃に昇温し、プロピレンオキシド174g(3モル)とエチレンオキシド88g(2モル)を、反応温度140〜150℃、圧力392kPa以下を保ちながら、約5時間で耐圧反応容器に送り込み、合成アルコールのプロピレンオキシド3モル、エチレンオキシド2モルのブロック付加物を得た。リン酸を用いて水酸化ナトリウムを中和し、真空脱水を行い、析出した結晶をろ別して、合成アルコールのプロピレンオキシド3モル、エチレンオキシド2モルのブロック付加物480gを得た。
脱水管、温度計及び窒素ガス吹き込み管を取り付けた4つ口フラスコに、このブロック付加物241g(0.5モル)、ステアリン酸142g(0.5モル)及びパラトルエンスルホン酸0.5gを仕込み、窒素ガス気流下、180〜240℃で5時間脱水エステル化反応を行い、合成アルコールのプロピレンオキシド−エチレンオキシドブロック付加物のステアリン酸エステルである低密度化剤用化合物を得た。
得られた低密度化剤用化合物を用いて、実施例1と同様にして、低密度紙及び感熱記録紙を作製して評価を行った。
実施例9
耐圧反応容器に、ステアリルアルコールとオレイルアルコールの混合物(質量比1/1)269g(1モル)と水酸化ナトリウム1.0gを仕込み、内部を窒素ガスで置換し、130℃に昇温し、プロピレンオキシド174g(3モル)とエチレンオキシド132g(3モル)の混合物を、反応温度140〜150℃、圧力392kPa以下を保ちながら、5時間で耐圧反応容器に送り込み、ステアリルアルコールとオレイルアルコールの混合物のプロピレンオキシド3モル、エチレンオキシド3モルのランダム付加物を得た。リン酸で水酸化ナトリウムを中和し、真空脱水を行い、析出した結晶をろ別して、ステアリルアルコールとオレイルアルコールの混合物のプロピレンオキシド3モル、エチレンオキシド3モルのランダム付加物574gを得た。
脱水管、温度計及び窒素ガス吹き込み管を取り付けた4つ口フラスコに、このランダム付加物287g(0.5モル)、オレイン酸141g(0.5モル)及びパラトルエンスルホン酸0.5gを仕込み、窒素ガス気流下、180〜240℃で4時間脱水エステル化反応を行い、ステアリルアルコールとオレイルアルコールの混合物のプロピレンオキシド−エチレンオキシドブロック付加物のオレイン酸エステルである低密度化剤用化合物を得た。
得られた低密度化剤用化合物を用いて、実施例1と同様にして、低密度紙及び感熱記録紙を作製して評価を行った。
【0024】
実施例10
耐圧反応容器に、ステアリルアミン269g(1モル)を仕込み、内部を窒素ガスで置換し、130℃に昇温し、エチレンオキシド88g(2モル)を反応温度140〜150℃、圧力392kPa以下を保ちながら、2時間で耐圧反応容器に送り込んだ。次いで、80℃以下に冷却したのち、水酸化ナトリウム1.0gを加え、内部を窒素ガスで置換し、130℃に昇温し、プロピレンオキシド232g(4モル)を反応温度140〜150℃、圧力392kPa以下を保ちながら、4時間で耐圧反応容器に送り込んだ。リン酸で水酸化ナトリウムを中和し、真空脱水を行い、析出した結晶をろ別して、ステアリルアミンのエチレンオキシド2モル、プロピレンオキシド4モルのブロック付加物589gを得た。
脱水管、温度計及び窒素ガス吹き込み管を取り付けた4つ口フラスコに、このブロック付加物295g(0.5モル)、ラウリン酸200g(1モル)及びパラトルエンスルホン酸0.7gを仕込み、窒素ガス気流下、180〜240℃で5時間脱水エステル化反応を行い、ステアリルアミンのエチレンオキシド−プロピレンオキシドブロック付加物のラウリン酸の2モルエステル化物である低密度化剤用化合物を得た。
得られた低密度化剤用化合物を用いて、実施例1と同様にして、低密度紙及び感熱記録紙を作製して評価を行った。
【0025】
実施例11
実施例1で得られた低密度化剤用化合物の乳化分散液を、該化合物の添加量がパルプに対して0.5質量%になるように添加した以外は、実施例1と同様にして、低密度紙及び感熱記録紙を作製して評価を行った。
実施例12
実施例1で得られた低密度化剤用化合物の乳化分散液を、該化合物の添加量がパルプに対して0.25質量%になるように添加した以外は、実施例1と同様にして、低密度紙及び感熱記録紙を作製して評価を行った。
実施例13
実施例4で得られた低密度化剤用化合物の乳化分散液を、該化合物の添加量がパルプに対して0.5質量%になるように添加した以外は、実施例1と同様にして、低密度紙及び感熱記録紙を作製して評価を行った。
実施例14
実施例4で得られた低密度化剤用化合物の乳化分散液を、該化合物の添加量がパルプに対して0.25質量%になるように添加した以外は、実施例1と同様にして、低密度紙及び感熱記録紙を作製して評価を行った。
実施例15
実施例5で得られた低密度化剤用化合物の乳化分散液を、該化合物の添加量がパルプに対して0.5質量%になるように添加した以外は、実施例1と同様にして、低密度紙及び感熱記録紙を作製して評価を行った。
実施例16
実施例5で得られた低密度化剤用化合物の乳化分散液を、該化合物の添加量がパルプに対して0.25質量%になるように添加した以外は、実施例1と同様にして、低密度紙及び感熱記録紙を作製して評価を行った。
実施例17
実施例6で得られた低密度化剤用化合物の乳化分散液を、該化合物の添加量がパルプに対して0.5質量%になるように添加した以外は、実施例1と同様にして、低密度紙及び感熱記録紙を作製して評価を行った。
実施例18
実施例6で得られた低密度化剤用化合物の乳化分散液を、該化合物の添加量がパルプに対して0.25質量%になるように添加した以外は、実施例1と同様にして、低密度紙及び感熱記録紙を作製して評価を行った。
実施例19
実施例8で得られた低密度化剤用化合物の乳化分散液を、該化合物の添加量がパルプに対して0.5質量%になるように添加した以外は、実施例1と同様にして、低密度紙及び感熱記録紙を作製して評価を行った。
実施例20
実施例8で得られた低密度化剤用化合物の乳化分散液を、該化合物の添加量がパルプに対して0.25質量%になるように添加した以外は、実施例1と同様にして、低密度紙及び感熱記録紙を作製して評価を行った。
実施例21
実施例9で得られた低密度化剤用化合物の乳化分散液を、該化合物の添加量がパルプに対して0.5質量%になるように添加した以外は、実施例1と同様にして、低密度紙及び感熱記録紙を作製して評価を行った。
実施例22
実施例10で得られた低密度化剤用化合物の乳化分散液を、該化合物の添加量がパルプに対して0.25質量%になるように添加した以外は、実施例1と同様にして、低密度紙及び感熱記録紙を作製して評価を行った。
【0026】
比較例1
低密度化剤用化合物の乳化分散液を添加しない以外は、実施例1と同様にして、低密度紙を作製した。得られた低密度紙は、密度0.623g/cm3、サイズ度80秒であった。
さらに、実施例1と同様にして、感熱記録紙を作製して評価を行った。得られた感熱記録紙は、熱応答性が、印字エネルギー0.28mJ/dotのとき色濃度1.10であり、断熱性が、感熱記録層側から熱を加えたときの感熱記録層の色濃度Q11.15と裏面から熱を加えたときの感熱記録層の色濃度Q20.70の色濃度差ΔC0.45であり、発色性が、発色前の感熱記録層の色濃度Q00.04と裏面から熱を加えたときの感熱記録層の色濃度Q20.70の色濃度差ΔB0.66であった。
比較例2
ステアリルアルコールとオレイルアルコールの混合物(質量比1/1)のプロピレンオキシド3モル、エチレンオキシド3モルのランダム付加物を低密度化剤用化合物として用いた以外は、実施例1と同様にして、低密度紙及び感熱記録紙を作製して評価を行った。
比較例3
合成アルコール[三菱化学(株)、ドバノール、炭素数14及び15のアルコールが主成分]のプロピレンオキシド3モル、エチレンオキシド2モルのブロック付加物を低密度化剤用化合物として用いた以外は、実施例1と同様にして、低密度紙及び感熱記録紙を作製して評価を行った。
比較例4
ペンタエリスリトールのステアリン酸ジエステルは水にまったく乳化分散しないので、ペンタエリスリトールのステアリン酸ジエステルに、ラウリルアルコールのエチレンオキシド10モル、プロピレンオキシド7.5モルランダム付加物10質量%を配合し、熱水を用いて予備乳化し、さらにホモジナイザーを用いて300kPaで1パスして低密度化剤用化合物の乳化分散液を調製した。この乳化分散液を、ペンタエリスリトールのステアリン酸ジエステルの添加量がパルプに対して0.75質量%になるように添加した以外は、実施例1と同様にして、低密度紙及び感熱記録紙を作製して評価を行った。
比較例5
低密度化剤用化合物の乳化分散液の代わりに、ステアリン酸ナトリウムの水溶液を、ステアリン酸ナトリウムの添加量がパルプに対して0.75質量%になるように添加した以外は、実施例1と同様にして、低密度紙及び感熱記録紙を作製して評価を行った。
【0027】
比較例6
実施例1で得られた低密度化剤用化合物の乳化分散液を、該化合物の添加量がパルプに対して0.1質量%になるように添加した以外は、実施例1と同様にして、低密度紙及び感熱記録紙を作製して評価を行った。
比較例7
実施例4で得られた低密度化剤用化合物の乳化分散液を、該化合物の添加量がパルプに対して0.1質量%になるように添加した以外は、実施例1と同様にして、低密度紙及び感熱記録紙を作製して評価を行った。
比較例8
実施例5で得られた低密度化剤用化合物の乳化分散液を、該化合物の添加量がパルプに対して0.1質量%になるように添加した以外は、実施例1と同様にして、低密度紙及び感熱記録紙を作製して評価を行った。
比較例9
実施例6で得られた低密度化剤用化合物の乳化分散液を、該化合物の添加量がパルプに対して0.1質量%になるように添加した以外は、実施例1と同様にして、低密度紙及び感熱記録紙を作製して評価を行った。
比較例10
実施例7で得られた低密度化剤用化合物の乳化分散液を、該化合物の添加量がパルプに対して0.1質量%になるように添加した以外は、実施例1と同様にして、低密度紙及び感熱記録紙を作製して評価を行った。
比較例11
実施例8で得られた低密度化剤用化合物の乳化分散液を、該化合物の添加量がパルプに対して1.5質量%になるように添加した以外は、実施例1と同様にして、低密度紙及び感熱記録紙を作製して評価を行った。
比較例12
実施例9で得られた低密度化剤用化合物の乳化分散液を、該化合物の添加量がパルプに対して1.5質量%になるように添加した以外は、実施例1と同様にして、低密度紙及び感熱記録紙を作製して評価を行った。
実施例1〜22及び比較例1〜12の結果を、第1表に示す。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】
【表3】
【0031】
第1表に見られるように、炭素数8〜36のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルケニル基、ヒドロキシアルケニル基又はアシル基を有し、アミド結合、エーテル結合又はエステル結合を有する化合物を含有する低密度化剤を製紙工程に添加して紙の密度を低下させた密度低下率が2%以上、ステキヒト・サイズ度が10秒以上の低密度紙の表面に感熱記録層を形成した実施例1〜22の感熱記録紙は、熱応答性が良好で、印字エネルギー0.28mJ/dotで濃色に発色し、断熱性が良好で、感熱記録層側を加熱したときの感熱記録層の色濃度と裏面から加熱したときの感熱記録層の色濃度の差が大きく、発色性が良好で、裏面から加熱しても表面の感熱記録層が濃色に発色しない。
低密度化剤を添加することなく抄紙して得られた紙の表面に感熱記録層を形成した比較例1の感熱記録紙は、熱応答性に優れるが、断熱性と発色性は不良である。密度低下率が2%以上であっても、ステキヒト・サイズ度が10秒未満の低密度紙を用いた比較例2〜4及び比較例11〜12の感熱記録紙は、熱応答性が低く、断熱性も不良である。ステキヒト・サイズ度が10秒以上であっても、密度低下率が2%未満の低密度紙を用いた比較例5〜10の感熱記録紙は、熱応答性は良好であるが、断熱性がやや劣り、発色性が不良である。
【0032】
【発明の効果】
本発明の感熱記録紙は、密度低下率2%以上、ステキヒト・サイズ度10秒以上の低密度紙を感熱発色記録層の支持体として使用するので、熱応答性、断熱性及び発色性が良好である。本発明の感熱記録紙は、小さい印字エネルギーで濃色に発色し、小電流や高速印字にも十分対応することができるので、携帯端末や高速度のプリンター用の感熱記録紙などとして好適に用いることができる。また、本発明の感熱記録紙は、裏面から熱を受けたときの印字情報の保存性と白地肌の保存性に優れるので、サーマルディレードタック層などを設けた感熱記録紙などとして好適に用いることができる。
Claims (8)
- 炭素数8〜36のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルケニル基、ヒドロキシアルケニル基又はアシル基を有し、アミド結合、エーテル結合又はエステル結合を有する化合物を含有する低密度化剤を製紙工程に添加して、紙の密度を低下させた、密度低下率が2%以上、ステキヒト・サイズ度が10秒以上の低密度紙の表面に、常温において無色又は淡色で熱時発色する感熱記録層を設けてなることを特徴とする感熱記録紙。
- 低密度化剤が、一般式[1]で表される化合物と、エピハロヒドリン若しくはグリシジルエーテル及び/又はそれらから誘導された化合物とを反応して得られる化合物を含有する請求項1記載の感熱記録紙。
(A1)n−Y−(Z)m ・・・[1]
(ただし、式中、Yは(n+m)個の活性水素を有するモノアミン、ポリアミン、ポリアルキレンイミン又はその誘導体から活性水素を除いた残基であり、A1はアシル基、ヒドロキシル基を有するアシル基又はアミノ基を有するアシル基であって、これらのアシル基の少なくとも1つは炭素数8〜36であり、Zは水素、アルキル基、アルケニル基、アルキルエーテル基、アシル基又は−(B1O)pA2(ここで、B1は炭素数2〜4のアルキレン基、フェニルエチレン基又はフェノキシメチルエチレン基であり、A2は水素又は炭素数2〜36のアシル基であり、pは1〜20である。)であり、nは1以上であり、mは0以上であり、n+m=1〜100であり、nが2以上の場合複数個のA1は同一でも異なっていてもよく、mが2以上の場合複数個のZは同一でも異なっていてもよい。) - 低密度化剤が、多価カルボン酸又は該酸無水物と、炭素数8〜36のアルコール及び炭素数8〜36のアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物との反応生成物であって、平均して多価カルボン酸が有する又は該酸無水物に由来する1分子当たり0.7個以上のカルボキシル基がエステル化又はアミド化され、0.3個以上のカルボキシル基が遊離カルボキシル基である化合物又はその遊離カルボキシル基が中和されて塩となった化合物を含有する請求項1記載の感熱記録紙。
- 低密度化剤が、多価アルコールと炭素数8〜36の脂肪酸又はヒドロキシカルボン酸とのエステル化合物であって、ヒドロキシル基を有する該エステル化合物の該ヒドロキシル基に、アニオン基を導入してなる化合物又はその塩を含有する請求項1記載の感熱記録紙。
- 低密度化剤が、炭素数8〜36の脂肪族炭化水素基とイミダゾリン環構造とを有する化合物を含有する請求項1記載の感熱記録紙。
- 低密度化剤が、一般式[2]で表されるスルホコハク酸誘導体を含有する請求項1記載の感熱記録紙。
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