JP2005001121A - ボード成形品の製造方法 - Google Patents

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JP2005001121A JP2003163635A JP2003163635A JP2005001121A JP 2005001121 A JP2005001121 A JP 2005001121A JP 2003163635 A JP2003163635 A JP 2003163635A JP 2003163635 A JP2003163635 A JP 2003163635A JP 2005001121 A JP2005001121 A JP 2005001121A
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Hiroyuki Kato
浩之 加藤
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Abstract

【課題】開口部を有するボード成形品の部品点数を減少させ、またこのボード成形品の成形型の構造を簡略化する。
【解決手段】第1工程では加熱軟化された表皮32を表皮成形型20の表皮成形面21に吸引密着させ、第2工程では表皮成形面に吸引密着された表皮の開口部よりも広い範囲にバリア材35を当接設置し、第3工程では基材成形型10と表皮成形型を互いに接近させシート材及びバリア材と基材成形型の基材成形面11の間に加熱軟化されたボード基材31を圧縮充填して所定形状に成形すると同時にその表面に表皮を接着する。第4工程ではボード基材だけを表皮と反対側からバリア材の直前まで切断して基材開口31cを形成し、第5工程では基材開口より小さい表皮開口32bを表皮に形成し、第6工程ではバリア材を取り除き、第7工程では表皮の基材開口より内側に突出する部分を基材開口の内縁を巻き込む。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、加熱軟化された基材の素材を圧縮して所定形状のボード基材に成形すると同時にその表面に表皮を接着して開口部を有するボード成形品を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
このようなボード成形品の製造方法としては、表皮成形面に表皮となる加熱軟化されたシート材が吸引密着された表皮成形型を基材成形面が形成された基材成形型に接近させ、表皮成形面に吸引密着されたシート材と基材成形面の間に加熱軟化された基材の素材を圧縮充填して同素材を所定形状に成形すると同時に成形されたボード基材の表面に表皮を接着して、図6の右側に示すような、ボード基材2の表面を表皮3により覆ってなるボード成形品(ドアトリム)1を形成し、そのポケット部Pの上側に、物を出し入れするための開口4を形成することが行われていた。このようなボード成形品1では、開口4からボード基材2と表皮3の切り口が露出して見苦しいという問題があるので、図6の左側に部分的に示すように、合成樹脂などにより成形した別物のポケット5を取り付けてこのような問題を解決していた。しかしながらこの方法では、型成形された相当大形のポケット5を別に必要とするので、製造コストが増大するという問題がある。
【0003】
このような問題を解決する手段としては、ボード基材2に形成した開口の内縁に、表皮3を巻き込み接着して開口部の切り口を隠すことが考えられる。これはボード基材2のみを予め成形した後に、別工程で表皮3を接着する場合には可能であるが、上述のように製造コスト低減のために、基材の素材を圧縮して所定形状のボード基材に成形すると同時にその表面に表皮を接着する場合には、通常は開口4を形成する際にボード基材と表皮を同時に切断することになるので、開口の内縁に表皮を巻き込み接着するようにするには相当な工夫を要する。
【0004】
このような、ボード基材の成形と同時にその表面に表皮を接着し、しかも開口の内縁に表皮を巻き込み接着する手段としては、表皮材がセットされる方の型に内蔵された刃物ブロックを進出させることにより、その表皮カット刃で表皮材を切断するとともに巻き込み用の表皮片を形成し、かつ刃物ブロックを後退させることで表皮材を型の内部側に引き込み、その状態でボード基材の成形および前記表皮材の接着を終えた後、刃物ブロックを進出させることによりその基材カット刃でボード基材に開口部を形成するための加工を行い、その後に開口部の縁を被うように表皮片をボード基材の裏側に巻き込むようにする製造方法がある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平2003−62826号公報(段落〔0007〕〜〔0011〕、図3〜図10)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながらこの特許文献1の技術では、表皮材およびボード基材を切断するための刃物ブロック、これに対応して設けた支持体及びこれらを作動させるためのシリンダ等を各成形型に内蔵しているので成形装置の構成部品が多くなり高価なものとなる。また各シリンダ装置を作動させるためのエア供給装置およびエア配管が必要となるので、成形装置の設備費が増大し、ボード成形品のコストアップをまねくという問題がある。
【0007】
本発明は、基材の素材を圧縮して所定形状のボード基材に成形すると同時にその表面に表皮を接着する際に、形成すべき開口部よりも広い範囲に冷却硬化後のボード基材及び表皮から剥離可能なバリア材を介在させて成形することにより、このような各問題を解決することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段および発明の作用・効果】
このために、本発明によるボード成形品の製造方法は、加熱軟化された基材の素材を圧縮して所定形状のボード基材に成形すると同時にその表面に表皮を接着して開口部を有するボード成形品を製造する方法において、ボード基材を成形する基材成形面が形成された基材成形型と、この基材成形型に対し接近離隔可能に設けられ基材成形面と対向して表皮を成形する表皮成形面が形成された表皮成形型を使用して行う、表皮成形型の表皮成形面に表皮となる加熱軟化されたシート材を吸引密着させる第1工程と、表皮成形面に吸引密着されたシート材の開口部よりも広い範囲に冷却硬化後の基材の素材及びシート材から剥離可能なバリア材を当接設置する第2工程と、両成形型を互いに接近させ表皮成形面に吸引密着されたシート材及びバリア材と基材成形面の間に加熱軟化された基材の素材を圧縮充填して同素材を所定形状のボード基材に成形すると同時に成形されたボード基材の表面に表皮を接着する第3工程と、第1〜第3工程により表皮が接着されて成形されたボード基材を各成形型から取り外して穴明け機の支持台にセットして行う、ボード基材だけを表皮と反対側からバリア材の直前まで同バリア材を下敷きとして切断して開口部と対応する基材開口を形成する第4工程と、この第4工程と前後して表皮に基材開口より小さい表皮開口を形成する第5工程と、この第5工程と前後してバリア材を取り除く第6工程と、表皮の基材開口より内側に突出する部分を基材開口の内縁を巻き込むように折り曲げて接着する第7工程よりなることを特徴とするものである。
【0009】
このような本発明によれば、ボード基材に形成された基材開口の切り口は表皮を巻き込み接着することにより隠され、別物の部材を必要としないので、製造コストを低下させることができる。また基材成形型及び表皮成形型を使用して表皮が接着されたボード基材を成形する第1〜第3工程とは別に、穴明け機の支持台にセットして基材開口を形成する第4工程を設けたので、第1〜第3工程に必要な各成形型には刃物ブロック等やこれらを作動させるシリンダ等が不要となり、各成形型のための設備費が増大することはない。なおボード基材に基材開口を形成する第4工程は、この種のボード成形品の成形の後で通常行われる穴明け機による後加工の一部として行うことができるので、これによる加工費の上昇は僅かで足りる。
【0010】
前項に記載のボード成形品の製造方法のバリア材は、金属板よりなるものとすることが好ましい。このようにすれば、バリア材の剛性が高いので第2工程におけるバリア材の取り扱いは容易であり、またこのバリア材は反復して使用できるので製造コストの上昇を抑えることができる。さらに、基材開口の周囲となるボード基材の表皮側は剛性があるバリア材を下敷きとして使用することによりしっかり支えられるので、基材開口の穴明けは容易に行われる。
【0011】
前各項に記載のボード成形品の製造方法において、表皮成形面には、バリア材が当接設置される位置と対応する範囲にバリア材の厚さとほゞ同じ深さの凹部を形成することが好ましい。このようにすれば、バリア材の存在がボード基材の表面に影響を及ぼさないのでボード基材の表面にバリア材を境界とする段差が生じることはない。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に、図1〜図5に示す実施の形態により、本発明によるボード成形品の製造方法の説明をする。この実施の形態によるボード成形品の製造方法に使用する製造装置は、図1および図2に示すように、互いに接近離隔可能に設けられた下型(基材成形型)10と上型(表皮成形型)20からなるもので、下型10の周囲にはカッタ16が設けられ、上型20には吸引装置25が設けられている。この実施の形態により製造されるボード成形品30は、図4に示すように、使用状態で上側となる位置に開口部POが設けられたポケット部Pとアームレスト部Rが形成されたドアトリムであり、ボード基材31の表面に表皮32を接着して覆ったものである。ポケット開口(開口部)POは、ボード基材31に形成した基材開口31cの内縁を表皮32により巻き込み接着したものである。
【0013】
図1及び図2に示すように、基台19の中央部の上側に固定された下型10の上面には、ボード基材31の裏面を成形する基材成形面11が形成され、この下型10の外側を囲むように基台19上に取り付けられた台枠15の上側には、作動装置(図示省略)により作動されて基材の素材31Aの外周の不要部分を切除する複数のカッタ16が設けられている。基材成形面11には、ポケット成形用突部11Pとアームレスト成形用突部11Rが形成されている。
【0014】
下型10に対し接近離隔可能に設けられた上型20には、下型10の基材成形面11と対向する中央部に表皮32の表面を成形する表皮成形面21が、また外周部には表皮成形面21の外側を取り囲む周辺面22がそれぞれ形成され、表皮成形面21と連なる周辺面22の内側には下方に突出する突条22aが形成されている。表皮成形面21には、ポケット成形用突部11Pと対応するポケット成形用凹部21Pと、アームレスト成形用突部11Rと対応するアームレスト成形用凹部21Rが形成されている。上型20には、表皮成形面21に開口される多数の細孔25aと、真空ポンプと真空タンクと開閉弁からなる真空源25cと、この両者25a,25cを接続する吸引通路25bからなる吸引装置25が設けられている。また上型20には、シート材32Aの周辺部を周辺面22に密着保持する保持枠23が設けられている。
【0015】
この実施の形態では、ドアトリム30のポケット部Pの上側にポケット開口(開口部)PO(図4参照)を形成するためにバリア材35を使用している。バリア材35は、図3及び図5に示すように、鉄板を略長方形に形成したもので、その輪郭形状はポケット開口POよりも多少大である。バリア材35の一側面には外周より少し内側に沿って略長方形の浅い溝35bが形成され、この溝35b内にはゴムなどの柔軟弾性体よりなる刃先保護材36が接着などにより設けられ、またバリア材35の中央には長手方向に沿って細長い孔35aが形成されている。バリア材35を形成する鉄板は磁化可能であり、またバリア材35及び刃先保護材36は何れも冷却硬化後のボード基材31及び表皮32から容易に剥離可能である。刃先保護材36の外側の輪郭はポケット開口POよりも大であり、内側の輪郭はポケット開口POよりも小である。
【0016】
図1及び図2に示すように、上型20のポケット成形用凹部21Pの一部には、ドアトリム30のポケット部Pの上側となるポケット開口(開口部)POと対応する位置に、ポケット開口POよりも多少広い範囲にわたり、バリア材35の厚さとほゞ同じ深さの凹部21aが形成されている。凹部21aの輪郭形状はシート材32Aの厚さと同程度だけバリア材35の輪郭形状よりも大とし、加熱軟化されたシート材32Aが表皮成形面21の内面に吸引密着された状態で、バリア材35はシート材32Aの内面により形成された凹部内に当接され、シート材32Aを通してその磁力により上型20に吸引密着される。これにより、バリア材35の内面とバリア材35が設けられていない部分のシート材32Aの内面とはほゞ連続した一つの面となる。
【0017】
図3(a) は、両成形型10,20により成形されたドアトリム30に各種の穴明けを行う穴明け機40の一部を示すものである。穴明け機40の支持台41は、下型10のポケット成形用突部11Pに相当する突部41Pを有しており、両成形型10,20により成形されたままでバリア材35が設けられたドアトリム30は、ポケット部Pが突部41Pを覆うように支持台41にかぶせられて、複数のクランプ装置45により締め付け固定される。突部41P内には、その一側となる基材開口31cが形成される部分に向かってこの基材開口31cと同一断面形状の案内面42が形成され、この案内面42内に軸線方向摺動自在に案内支持された穴明けカッタ43は、作動シリンダ44のピストンロッド44aの先端に固定されて往復動されるようになっている。穴明けカッタ43の基材開口31c側の全周には、刃先43aが突出して形成されている。作動シリンダ44のストロークは、刃先43aが刃先保護材36と当接した時点で停止されるように調整されている。穴明け機40は、本来はドアトリムにインサイドハンドル穴、ウインドレギュレータハンドル穴、スイッチベース取付穴などをあけるものであるが、ポケット部Pの基材開口31cをあける部分のみを示し、その他の部分は記載を省略した。
【0018】
ボード基材31となる素材31Aは、細かい粒子状の熱可塑性樹脂(例えばポリプロピレン樹脂)に天然繊維(例えばケナフ繊維)を混入したものを加熱して、内部に多少の空隙は残っているが取り扱い可能な程度の強度を有する平板状に予備成形したプレボード熱可塑性樹脂と天然繊維の混合比率は例えば30:70(重量比)である。また表皮32となるシート材32Aは、予め成形された柔軟な熱可塑性樹脂(例えばポリプロピレン樹脂)のシートであり、その表面にしぼ模様(細かい凹凸模様)を形成したものでもよい。
【0019】
次に上述した実施の形態の作動の説明をする。第1工程では、図1の二点鎖線32Bに示すように、先ず加熱軟化させたシート材32Aをその周辺部の全周が上型20の突条22aに当接されるようにして、保持枠23によりシート材41Aの全周を上型20の周辺面22に密着保持させ、表皮成形面21とシート材32Aの間の空気を吸引装置25により吸引して、図1の実線に示すように、シート材32Aを表皮成形面21に吸引密着させる。
【0020】
次いで第2工程では、表皮成形面21の凹部21a内に吸引密着されたシート材32Aに形成された凹部内にバリア材35を当接させ、バリア材35はその磁力によりシート材32Aを通して上型20に吸着されて設置される(図1参照)。バリア材35の当接設置はロボットまたは手作業により行われるが、シート材32Aに形成された凹部に対し行われるので、手作業の場合でもバリア材35の位置決めは容易である。この状態では、前述のように、バリア材35の内面とバリア材35が設けられていない部分のシート材32Aの内面とはほゞ連続した一つの面となる。
【0021】
続く第3工程では、図1に示すように、加熱軟化させた基材の素材31Aを下型10の基材成形面11上に載せてから、上型20を下型10に接近させて、加熱軟化された基材の素材31Aを上型20の表皮成形面21に吸引密着されたシート材32A及びバリア材35と下型10の基材成形面11の間に圧縮充填して基材の素材31Aを所定形状のボード基材31に成形する。そして図2に示すように基材の素材31Aが基材成形面11とシート材32Aとバリア材35の間に隙間なく圧縮充填されたところで両型10,20の接近を停止する。この成形により直接接触されるボード基材31と表皮32は互いに融着されて接着される。しかし刃先保護材36を含むバリア材35とボード基材31及び表皮32は、一時的に粘着されるが冷却硬化後は簡単に剥離可能である。引き続きカッタ16を矢印に示すように移動させて基材の素材31Aの周辺の不要部分を切除し、取り扱い可能な程度に冷却したところでボード基材31の表面が表皮32により覆われたドアトリム30を取り出す。次いで、ボード基材31の周辺から外向きに突出される表皮32は、巻き込みに必要な端縁部32aを残して切除される。
【0022】
続く第4工程では、図3(a) に示すように、ドアトリム30は、穴明け機40の支持台41の突部41Pにポケット部Pをかぶせ、複数のクランプ装置45により締め付け固定される。この際にバリア材35付近の内側となるボード基材31は、予め再加熱して軟化させておくことが好ましい。そして穴明けカッタ43を作動シリンダ44によりバリア材35に向けて前進させて、二点鎖線43Aに示すように、穴明けカッタ43の刃先43aをボード基材31に食い込ませ、刃先43aが刃先保護材36と当接した位置で停止させて、穴明けカッタ43を後退させる。これによりボード基材31には基材開口31cと対応するノッチ31bが形成され(図3(b) 参照)、バリア材35中央の孔35aからボード基材31を内向きに押すことによりノッチ31bより内側の部分は除去されて、ポケット開口POと対応する基材開口31cが形成される。穴明けカッタ43の刃先43aは刃先保護材36と当接する位置まで前進されるので、これにより形成されるノッチ31bによりボード基材31は実質的に完全に切断され、刃先保護材36はゴムなどの柔軟弾性体よりなるものなので、刃先43aが痛むこともない。
【0023】
続く第5工程及び第6工程では、図3(c) に示すように、バリア材35を覆っている表皮32に基材開口31cより小さい表皮開口32bを形成し(第5工程)、バリア材35をボード基材31から剥離して表皮開口32bから取り出す(第6工程)。この実施の形態の表皮開口32bは細長い長方形で、その内縁は次の第7工程における巻き込み代の分だけ基材開口31cより内側に突出しており、またバリア材35の取り出し及び巻き込みを容易にするために、表皮開口32bの四隅には外向きに延びる切込みが形成されている。基材開口31cの幅が狭い場合は、表皮開口32bは幅のないスリットとすることもある。
【0024】
そして第7工程では、図3(d) に示すように、表皮32の基材開口31cより内側に突出する部分を基材開口31cの内縁を巻き込むように裏側に折り曲げて接着する。この接着はボード基材31の基材開口31c付近及び表皮32の表皮開口32bの内側に接着剤を塗布して行ってもよいし、基材開口31c付近及び表皮開口32bの内側付近を再加熱し軟化させて融着することにより行ってもよい。またこれと同時に、表皮32の端縁部32aをボード基材31の周囲の端縁フランジ部31aを巻き込むように裏側に折り曲げて接着する。ポケット部Pと対応するドアトリム30の裏面は、接着などにより当て板33を取り付けて塞がれる。
【0025】
上述した実施の形態によれば、ドアトリム30のボード基材31に形成される基材開口31cの切り口は表皮32を巻き込み接着することにより隠され、合成樹脂により成形されたポケット等の別物の部材を必要としないので、製造コストを低下させることができる。また製造に必要な各成形型10,20には、特許文献1のように刃物ブロック等やこれらを作動させるシリンダ等が不要であるので、各成形型10,20は簡単なものとなり、設備費が増大することはない。なおボード基材31に基材開口31cを形成する第4工程は、この種のドアトリム30に本来必要な後加工であるインサイドハンドル穴、ウインドレギュレータハンドル穴、スイッチベース取付穴などを行う穴明け機40を利用して行うことができるので、これによる加工費の上昇は僅かで足りる。
【0026】
上述した実施の形態では、磁化した鉄板よりなるバリア材35を使用し、また上型20の表皮成形面21には、バリア材35が当接設置される位置と対応する範囲にバリア材35の厚さとほゞ同じ深さの凹部21aを形成しており、このようにすれば、バリア材35は剛性があるものとなるので、第2工程におけるバリア材35の取り扱いは容易となり、手作業によりバリア材35をシート材32A上に設置する際の位置決めも容易になる。また基材開口31cの外側となる部分がバリア材35によりしっかり支えられるので、基材開口31cの穴明けは確実に行われる。また、バリア材35の内面とバリア材35が設けられていない部分のシート材32Aの内面とは連続した一つの面となるので、基材開口31cの周辺となるボード基材31の表面にバリア材35を境界とする段差が生じることはなく、従ってバリア材35を取り除いて表皮32の基材開口31cより内側に突出する部分を基材開口31cの内縁を巻き込み接着する際に、基材開口31c付近となる表皮成形面21の表面に段差が生じることはないので開口部POの付近の仕上がりを良好にすることができる。さらに、バリア材35は成形の都度反復して使用できるので製造コストの上昇を抑えることができる。
【0027】
しかしながら本発明はこれに限られるものではなく、例えばバリア材35は磁化した鉄板の代わりにこれと同形状に切断したマグネットシートを使用してもよく、その場合は磁化した鉄板の場合と全く同様にして実施することができる。あるいは加熱軟化されたボード基材31または表皮32と一時的に粘着は可能であるが冷却硬化後は簡単に剥離される素材よりなる薄板またはフィルムをバリア材として使用することも可能である。また表皮32に比してバリア材がある程度以上薄ければ、上型20の表皮成形面21に凹部21aを設けることも不要である。
【0028】
また上述した実施の形態では、ボード基材31に形成したノッチ31bの内側の部分を取り除いて基材開口31cを形成(第4工程)した後に、表皮32に表皮開口32bを形成(第5工程)し、次いでバリア材35を取り除く(第6工程)ものとして説明したが、ボード基材31に形成したノッチ31bの内側の部分を取り除く前に、表皮32に表皮開口32bを形成(第5工程)し、バリア材35を取り除いた(第6工程)後で、基材開口31cを形成(第4工程)するようにしてもよい。なおこの場合は、バリア材35には孔35aを設けない方がよい。あるいは、フィルムをバリア材として使用した場合は、ボード基材31に形成したノッチ31bの内側の部分を取り除いて基材開口31cを形成(第4工程)した後に、基材開口31cからバリア材35を剥離して取り除き(第6工程)、その後に表皮32に表皮開口32bを形成(第5工程)するようにしてもよい。
【0029】
また、表皮開口32bを形成する第5工程は、上述した実施の形態では、第4工程の後で行うものとしたが、バリア材35に設ける孔35aを表皮開口32bより大きなものとし、穴明けカッタ43の中央部に刃先43aよりも高く表皮開口32bを形成する刃先を設けて、第5工程を第4工程と同時に行うようにしてもよい。
【0030】
なお、上述した実施の形態では、穴明けカッタ43によるボード基材31の基材開口31c(及び表皮32の表皮開口32b)の形成は、穴明けカッタ43のみにより行っているが、ボード基材31及び表皮32の基材開口31c及び表皮開口32bが形成される部分の表皮32側を穴明け機40に一部により支持するようにして行ってもよく、そのようにすれば基材開口31c及び表皮開口32bの形成はより確実に行われる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるボード成形品の製造方法の一実施形態の第1工程及び第2工程を示す全体断面図である。
【図2】図1に示す実施形態の第3工程を示す全体断面図である。
【図3】図1に示す実施形態の第4工程〜第7工程を示す要部の部分拡大断面図である。
【図4】図1に示す実施形態により製造されたボード成形品(ドアトリム)を示す全体斜視図である。
【図5】図1に示す実施形態において使用するバリア材を示す下方から見た斜視図である。
【図6】従来技術により製造されたドアトリムの一例を示す断面図である。
【符号の説明】
10…基材成形型(下型)、11…基材成形面、20…表皮成形型(上型)、21…表皮成形面、21a…凹部、31…ボード基材、31c…基材開口、31A…基材の素材、32…表皮、32b…表皮開口、32A…シート材、35…バリア材、40…穴明け機、41…支持台、PO…開口部。

Claims (3)

  1. 加熱軟化された基材の素材を圧縮して所定形状のボード基材に成形すると同時にその表面に表皮を接着して開口部を有するボード成形品を製造する方法において、前記ボード基材を成形する基材成形面が形成された基材成形型と、この基材成形型に対し接近離隔可能に設けられ前記基材成形面と対向して前記表皮を成形する表皮成形面が形成された表皮成形型を使用して行う、前記表皮成形型の表皮成形面に前記表皮となる加熱軟化されたシート材を吸引密着させる第1工程と、前記表皮成形面に吸引密着された前記シート材の前記開口部よりも広い範囲に冷却硬化後の前記基材の素材及びシート材から剥離可能なバリア材を当接設置する第2工程と、前記両成形型を互いに接近させ前記表皮成形面に吸引密着された前記シート材及びバリア材と前記基材成形面の間に加熱軟化された前記基材の素材を圧縮充填して同素材を所定形状のボード基材に成形すると同時に成形された前記ボード基材の表面に前記表皮を接着する第3工程と、前記第1〜第3工程により前記表皮が接着されて成形された前記ボード基材を前記各成形型から取り外して穴明け機の支持台にセットして行う、前記表皮が接着されて成形された前記ボード基材だけを前記表皮と反対側から前記バリア材の直前まで同バリア材を下敷きとして切断して前記開口部と対応する基材開口を形成する第4工程と、この第4工程と前後して前記表皮に前記基材開口より小さい表皮開口を形成する第5工程と、この第5工程と前後して前記バリア材を取り除く第6工程と、前記表皮の前記基材開口より内側に突出する部分を前記基材開口の内縁を巻き込むように折り曲げて接着する第7工程よりなることを特徴とするボード成形品の製造方法。
  2. 請求項1に記載のボード成形品の製造方法において、前記バリア材は金属板よりなることを特徴とするボード成形品の製造方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載のボード成形品の製造方法において、前記表皮成形面には、前記バリア材が当接設置される位置と対応する範囲に前記バリア材の厚さとほゞ同じ深さの凹部を形成したことを特徴とするボード成形品の製造方法。
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