JP2005000726A - 回転塗布装置および回転塗布方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】被処理基板上に均一に塗布液を塗布できるとともに、簡単な構成で、スピンコート法による処理時間を短縮することが出来る回転塗布装置および回転塗布方法を提供する。
【解決手段】被処理基板11を高速回転させて、被処理基板11上に塗布液を拡散および乾燥させる回転塗布装置であって、被処理基板11の表面に気体を吹き付け、上記塗布液を乾燥させる気体吹き出し装置51を備え、気体吹き出し装置51においては、被処理基板11表面に吹き付ける気体の風量が、被処理基板11の回転中心から遠ざかるにつれて少なくなるようにした。気体吹き出し装置51の気体吹き出し口53は、被処理基板11の回転中心Sを中心とした被処理基板11の内接円Cに対応する範囲内にのみ設ける。
【選択図】 図1
【解決手段】被処理基板11を高速回転させて、被処理基板11上に塗布液を拡散および乾燥させる回転塗布装置であって、被処理基板11の表面に気体を吹き付け、上記塗布液を乾燥させる気体吹き出し装置51を備え、気体吹き出し装置51においては、被処理基板11表面に吹き付ける気体の風量が、被処理基板11の回転中心から遠ざかるにつれて少なくなるようにした。気体吹き出し装置51の気体吹き出し口53は、被処理基板11の回転中心Sを中心とした被処理基板11の内接円Cに対応する範囲内にのみ設ける。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、スピンコート法を用いて被処理基板上に塗布液を拡散、乾燥させる回転塗布装置および回転塗布方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、半導体製造工程において、スピンコート法を用いた塗布液の拡散、乾燥が行なわれている。このスピンコート法を用いた塗布工程を含む半導体製造工程の一例として、アクティブマトリクス型液晶表示装置の基板の製造工程を次に示す。
【0003】
被処理基板上に非晶質半導体である被処理層が、たとえばプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法またはLPCVD(Low Pressure Chemical Vapor Deposition)法によって1000〜1500Å程度の膜厚で形成され、上記被処理層上に酸化液の働きにより酸化膜を形成する。次に、結晶化促進液を酸化膜上に滴下し、スピンコート法により拡散、乾燥させることによって、酸化膜上に触媒元素の注入または添加された層を形成する。次に、このように処理された被処理基板を加熱炉に搬送し結晶化が始まる温度、たとえば550℃以上で加熱されて被処理層である非晶質シリコンの結晶化が行なわれ、この非晶質シリコン層が多結晶シリコン層とされる。この被処理基板の多結晶シリコン層を、薄膜トランジスタの活性領域として使用し、薄膜トランジスタを有するアクティブマトリクス型液晶表示装置の基板が完成する。
【0004】
このようなスピンコート法においては、まず被処理基板を高速回転させ、被処理基板の中央に結晶化促進液となる触媒溶液などの塗布液を滴下する。するとその結晶化促進液は、遠心力によって回転半径方向に拡散し、被処理基板の周縁部に達したのち、余剰な結晶化促進液が被処理基板から離脱し、被処理基板上に残った結晶化促進液によって液膜が形成される。そして、この液膜を被処理基板上で乾燥させると、被処理基板上に触媒物質が滞留する。
【0005】
被処理基板が角型であって、前述のように被処理基板の回転状態で結晶化促進液を供給して塗布した場合、内接円の領域内では、遠心力によって均一に溶液が伸ばされて広がる。しかし、各角部では周囲の空気との相対速度が大きく、液膜の乾燥が前記内接円の領域内に比べて早くなるため、結果的に被処理基板の各角部近傍での触媒物質の析出濃度が、上記内接円の領域内に比べて高くなるという問題がある。
【0006】
このような問題を解決する従来技術として、次のようなものがある(特許文献1参照)。この従来技術では、回転軸に真空吸着により被処理基板を保持する吸着テーブルが設けられ、この吸着テーブルに上記被処理基板を載置して吸着テーブルに装着された処理カップと、上方に配置された蓋とにより上記被処理基板を覆い、これらが同方向に回転する。これにより上記被処理基板の周囲の空気も同方向に回転させ、上記被処理基板に対し空気抵抗を小さくし、上記被処理基板に塗布された余分な溶液を飛散し易くして、上記被処理基板上面に液滞留による隆起部が形成されないようにした、いわゆるカップ方式の回転塗布装置が開示されている。
【0007】
【特許文献1】
実開昭64−48171号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記の特許文献1に開示された従来の技術では、被処理基板上の触媒物質の濃度を均一化することができるが、処理カップも同時に回転させるため、回転する部材が増加する。そのため、回転軸を回転駆動するためのモータなどを含む回転駆動源への負荷が大きく、消費電力も大きいという問題がある。また、被処理基板の周囲の空気も吸着テーブルおよび処理カップと共に回転する為、基板に対する周囲の空気の相対速度が小さく、その結果、基板上に塗布された溶液の乾燥が遅くなり、処理時間が長いという問題がある。
【0009】
この発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、被処理基板上に均一に塗布液を塗布できるとともに、簡単な構成で、スピンコート法による処理時間を短縮することができる回転塗布装置および回転塗布方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明に基づいた回転塗布装置に従えば、被処理基板を高速回転させて、上記被処理基板上に塗布液を拡散および乾燥させる回転塗布装置であって、上記塗布液を乾燥させるため、上記被処理基板の表面に気体を吹き付けるための気体吹き出し口を有する気体吹き出し装置を備え、上記被処理基板の表面に気体を吹き付け、上記塗布液を乾燥させる気体吹き出し装置を備え、上記気体吹き出し装置においては、上記被処理基板表面に吹き付ける気体の風量が、上記被処理基板の回転中心から遠ざかるにつれて少なくなるようにした。
【0011】
上記回転塗布装置によれば、上記塗布液を乾燥させる気体吹き出し装置を備え、上記気体吹き出し装置においては、上記被処理基板表面に気体を吹き付けるので、吹きつけられる気体により塗布液の乾燥が促進され、塗布液を短時間で乾燥させることができる。また、気体の風量が、上記被処理基板の回転中心から遠ざかるにつれて少なくなるようにしたので、被処理基板上の回転中心部付近と、外周部とで周囲の空気に対する相対速度の差を少なくすることができる。これにより塗布液の乾燥時間の差に起因する塗布量のばらつきを少なくすることができる。その結果、処理時間を短縮することが出来るとともに、被処理基板上に均一に塗布液を塗布することができる。
【0012】
上記回転塗布装置において好ましくは、上記気体吹き出し装置の気体吹き出し口は、被処理基板の回転中心を中心とした被処理基板の内接円に対応する範囲内にのみ設けられている。被処理基板が、角型の場合、被処理基板の回転中心を中心とした内接円に対応する範囲と、その範囲外の角部とで特に周囲の空気に対する相対速度の差が大きくなるが、この内接円に対応する範囲内にのみ気体吹き出し口を設けたので、内接円内と、角部との周囲の空気に対する相対速度の差を小さくすることができる。これにより、塗布液の乾燥時間を短縮することができるとともに、被処理基板全体の乾燥速度が均一化され、被処理基板上に均一に塗布液を塗布することができる。
【0013】
上記回転塗布装置においてさらに好ましくは、上記気体吹き出し口は複数の小孔により構成され、上記小孔は被処理基板の回転中心から遠ざかるにつれて単位面積あたりの個数が減少するよう分布している。
【0014】
上記回転塗布装置においてさらに好ましくは、上記気体吹き出し口は複数の小孔により構成され、上記小孔は被処理基板の回転中心から遠ざかるにつれて、開口面積が縮小するように構成されている。
【0015】
上記回転塗布装置においてさらに好ましくは、上記被処理基板の回転中心近傍から外方に向かって延びるスリットによって構成され、上記スリットは被処理基板の回転中心から遠ざかるにつれてその幅が縮小するように構成されている。
【0016】
上記各構成によれば、気体の風量が、上記被処理基板の回転中心から遠ざかるにつれて少なくなるようにすることができる。
【0017】
この発明に基づいた回転塗布方法に従えば、被処理基板を高速回転させて、上記被処理基板上の塗布液を拡散させる工程と、高速回転する上記被処理基板の表面に気体を吹き付け、上記塗布液を乾燥させる工程とを備え、上記塗布液を乾燥させる工程においては、上記被処理基板表面に吹き付ける気体の風量が、上記被処理基板の回転中心から遠ざかるにつれて少なくなるようにした。
【0018】
上記回転塗布方法に従えば、高速回転する上記被処理基板の表面に気体を吹き付け、上記塗布液を乾燥させるので、塗布液を短時間で乾燥させることができる。また、気体の風量が、上記被処理基板の回転中心から遠ざかるにつれて少なくなるようにしたので、被処理基板上の回転中心部付近と、外周部とで周囲の空気に対する相対速度の差を少なくすることができる。これにより塗布液の乾燥時間の差に起因する塗布量のばらつきを少なくすることができる。その結果、被処理基板上に均一に塗布液を塗布できるとともに、処理時間を短縮することが出来る。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本実施の形態における回転塗布装置および回転塗布方法について、図を参照しながら説明する。
【0020】
(実施の形態1)
以下、本実施の形態における回転塗布装置および回転塗布方法について、図1から図4を参照して説明する。なお、図1は、本実施の形態における回転塗布装置の主要部の構造を示す斜視図であり、図2は、同主要部の構造を示す縦断面図であり、図3は、気体吹き出し口の形状を示す、気体用ノズルを被処理基板側から見上げた図であり、図4は、被処理基板の処理工程を示す断面工程図である。
【0021】
本実施の形態の回転塗布装置は、図4に示すような被処理基板11の被処理層12に、連続粒界結晶シリコン(Continuous Grain Silicon;略称CGS)の結晶化工程における触媒析出によって膜を生成するものである。なお、本実施の形態において、被処理基板11に結晶化促進液(触媒溶液)を塗布するとは、被処理基板11の被処理層12に触媒物質を析出させるか、または触媒物質を含有する膜を成膜することをいう。
【0022】
(回転塗布装置の構造)
図1を参照して、回転塗布装置の構造について説明する。
【0023】
本実施の形態の回転塗布装置は、被処理基板11を水平に保持する保持部材21と、保持部材21を鉛直な回転中心軸Sまわりに矢印A方向に回転させる回転駆動源であるモータ31と、保持部材21の上面に被処理基板11を負圧で真空吸着する吸引装置35と、保持部材21の上方に配置され、保持部材21上に保持された被処理基板11表面の回転中心軸S近傍に、塗布液である結晶化促進液を供給する為の液体用ノズル41と、この液体用ノズル41に結晶化促進液を供給する結晶化促進液供給装置46と、被処理基板11に乾燥用の気体を吹き付けて供給する気体吹き出し装置51とを備える。さらに、本実施の形態の回転塗布装置は、廃液を回収する廃液回収装置(図示せず)と、ゴミの侵入や飛散した塗布液が装置外に漏れるのを防止するケーシング(図示せず)とを備える。以下これらについて説明する。
【0024】
保持部材21は、矩形の平板状に形成され、その表面が水平となるようにモータ31の駆動軸32に保持されている。この駆動軸32には、保持部材21に連通する通気孔が形成され、この通気孔には、吸引装置35が接続される。
【0025】
液体用ノズル41は、作動位置と待機位置との間を進退自在にアーム42により支持されており、図2に示すように、作動位置において回転中心軸S上に位置する。この液体用ノズル41には、結晶化促進液を供給する結晶化促進液供給装置46が接続されているが、ここで供給される結晶化促進液は、触媒物質であるNiイオンを含む溶液である。この結晶化促進液は、たとえば純水を溶媒とする酢酸ニッケルの水溶液であってもよく、またはNiの硝酸塩を用い、溶媒としてエタノールを用いた溶液などであってもよい。結晶化促進液の溶媒は、純水またはエタノールに限定されるものではない。結晶化促進液であるNiイオンを含む溶液に含まれるNiの量は、溶液の重量に対する重量比率として、1ppm以上15ppm以下とすることが望ましい。1ppm未満では、非晶質半導体の結晶化を促進する効果が得られない。また15ppmを超えると、非晶質半導体を結晶化させることによって得られる半導体の特性が低下する。結晶化促進液供給装置46は、滴下される結晶化促進液の流量または滴下速度を制御する液体流量調整装置を備えている。この液体流量調整装置は、可変絞り弁などの流量制御弁を有し、結晶化促進液の流量を、たとえば1cc/分〜200cc/分の範囲で調整する。
【0026】
気体吹き出し装置51は、気体吹き出し口53を有する気体用ノズル52と、この気体用ノズルに乾燥用気体を供給する乾燥用気体供給装置59とを備える。気体用ノズル52は、作動位置と待機位置との間を進退自在に図示しないアームにより支持されている。気体ノズル52は、図1および図2に示す作動位置において、回転中心軸S上から、被処理基板11の回転中心軸Sを中心とした内接円Cの円弧に至るように水平に構成されている。気体用ノズル52は、直線状の管体で構成され、その下面には、被処理基板11に臨む複数の小孔54で構成された気体吹き出し口53が設けられている。
【0027】
小孔54の間隔は、被処理基板11の回転中心軸S寄りが密になっており、回転中心軸Sから遠くなるにつれて疎になるように構成されている。言い換えれば、小孔54は、被処理基板11の回転中心軸Sから遠ざかるにつれて単位面積あたりの個数が減少するよう分布している。これにより、風量分布は、回転中心軸S寄りが多く、回転中心軸Sから離れるにつれて少なくなる。
【0028】
気体用ノズル52に供給される乾燥用気体は、乾燥用気体供給装置59から供給され、気体吹き出し口53の小孔54から被処理基板11の被処理層12表面の、被処理基板11の回転中心軸Sを中心とする内接円Cの領域に、予め定める流量で吹き付けられる。この乾燥用気体としては、相対湿度で0.0001%〜10%に調整された乾燥された空気、または窒素ガスが用いられる。ここで相対湿度とは、飽和水蒸気量に対して実際に含まれる水蒸気の割合をいう。乾燥用気体供給装置59には、乾燥用気体の流量を調整することができるように、可変絞り弁などの流量制御弁によって実現される気体流量調整装置が備えられている。
【0029】
(回転塗布方法)
次に、この被処理基板11に対して、結晶化促進液を本実施の形態の回転塗布装置を用いて塗布する方法について説明する。
【0030】
この回転塗布を行なうに先だって、平板状基材13と非晶質半導体で構成した被処理層12の積層体(図4(A))表面に、酸化膜14を形成して、被処理基板11を製造しておく(図4(B))。この被処理基板11を、保持部材21上に載置する。被処理基板11としては、たとえば正方形、長方形のほか、三角形などの多角形の基板が用いられる。本実施の形態では、0.7〜1.0mmの矩形状の被処理基板11が用いられる。そして、吸引装置35を作動させ、被処理基板11の下面を保持部材21上に負圧で真空吸着する。続いて、モータ31を回転させるとともに、液体用ノズル41を図1および図2に示す作動位置に移動させ、液体用ノズル41から所定の結晶化促進液を所定量滴下する。このとき、気体用ノズル56は、待機位置に位置しており、両者が交錯することはない。滴下された結晶化促進液は、回転の遠心力により回転中心軸Sから半径方向に拡散し、被処理基板11全体に広がり液膜15が形成される(図4(C))。
【0031】
結晶化促進液の滴下が終わると気体用ノズル56を作動位置に移動し、被処理基板11の表面に、乾燥用気体を吹き付ける。その流量は、回転中心軸S側が多く、回転中心軸Sから離れるに従って減少するように設定している。また、上記気体流量調整装置によっても、気体吹き出し装置51の気体吹き出し口53全体から吹き出す乾燥用気体の流量を調節する。
【0032】
このように乾燥用気体の流量を調整可能に構成することで、塗布液の種類、乾燥時間、乾燥用気体の湿度及び塗布処理により形成される膜厚などの各種の塗布処理条件の変更に容易に対処することができる。また乾燥用気体の流量の調整は、保持部材21の回転を停止させた状態だけでなく、モータ31によって保持部材21を回転中心軸Sまわりに回転させた状態でも調整可能である。乾燥用気体の流量が調整できない回転塗布装置で、塗布液を被処理基板11の上面に塗布する場合には、最適な乾燥用気体の流量を調整する為に、頻繁にモータ31をオン/オフして、保持部材21を回転させ、または停止させて、乾燥用気体との相対速度を調節する必要がある。しかし、このように気体流量調整装置を備えている場合には、最適な乾燥用気体の流量を容易にかつ高精度で検出して設定することができるので、モータ31の回転は一定のままで各種処理条件の変更に対処することができる。
【0033】
このようにして、結晶化促進液の溶媒が蒸発すると、被処理基板11の表面に触媒物質の膜16が成膜される(図4(D))。
【0034】
(作用・効果)
上記回転塗布装置および回転塗布方法によれば、被処理基板11が回転することによって、被処理基板11の表面の全体に乾燥用気体を吹き付けることができる。このように、被処理基板11に対して気体を吹き付けることによって、被処理基板11を単に回転させる場合に比べて、被処理基板11表面に対して周方向に移動する乾燥用気体の相対的な速度を高める流速促進効果を得ることができる。これにより、結晶化促進液の乾燥時間を短縮することができる。
【0035】
また、被処理基板11を高速回転させると、回転中心軸Sから回転半径方向に離れるにつれて、被処理基板11に対する空気の周方向の相対速度は高くなる。しかし、この実施の形態では、気体吹き出し口53から吹き出す乾燥用気体の風量が被処理基板11の回転中心軸S側が多く、被処理基板11の回転中心軸Sから遠ざかるにつれて少なくなるように設定されている。その結果、被処理基板11の回転半径方向内方寄りの部分と、回転半径方向外方寄りの部分において乾燥速度に大きな差が生じない。
【0036】
さらに、被処理基板11の4つの角部11a、11b、11c、11dにおいては、そもそも周囲の空気との相対速度が大きく、回転中心軸Sを中心とする被処理基板11の内接円Cの範囲より乾燥速度が速くなる。しかし、この実施の形態においては、回転中心軸Sを中心とする被処理基板11の内接円Cの範囲に対応する位置にのみ気体吹き出し口53を設けたので、乾燥速度が速い被処理基板11の4つの角部11a、11b、11c、11dと、乾燥用気体を吹きつけられることで、乾燥が促進される回転中心軸Sを中心とする内接円C内の領域とで、乾燥速度に大きな差が生じない。これによって被処理基板11の回転による遠心力の作用によって一様に塗布された結晶化促進液の液膜は、全体がほぼ同時に乾燥して、均一な厚さの膜を高精度で、しかも短時間で形成することができ、処理時間を短縮して、生産性を向上することができる。
【0037】
また、結晶化促進液の液膜が乾燥する速度は、接する乾燥用気体の湿度が小さいほど早くなるので、気体吹き出し装置51から被処理基板11に吹き付けられる乾燥用気体の湿度を下げることによって、より小流量の乾燥用気体で同等の乾燥効果を得ることができる。
【0038】
(実施の形態2)
実施の形態1では、気体用ノズル52に形成される気体吹き出し口53を複数の小孔54で構成し、その小孔54の間隔を被処理基板11の回転中心軸S側を密にし、被処理基板11の回転中心軸Sから遠ざかるにつれて疎にすることにより風量分布に差を付けていた。これに対し、本実施の形態では、図5に示すように、気体吹き出し口53を回転中心軸S側から、外周部側に向かって分布する複数の小孔54により構成し、小孔54の孔径(開口面積)を被処理基板11の回転中心軸S側を大きく、被処理基板11の回転中心軸Sから遠ざかるにつれて小さくすることにより風量分布に差を付けた。この場合にも前述と同様の効果を得ることができる。
【0039】
(実施の形態3)
また、他の実施の形態として図6に示すように、気体用ノズル52に形成される気体吹き出し口53をスリット状に形成し、スリットの開口幅Wを被処理基板11の回転中心軸S側を広く、被処理基板11の回転中心軸Sから遠ざかるにつれて狭くすることにより風量分布に差を付けた場合にも前述と同様の効果を得ることができる。
【0040】
上記実施の形態では、吹き出し口53を、被処理基板11の回転中心軸Sを中心とする内接円Cに対応する位置にのみ設けたが、その範囲外にも設けても良い。たとえば、被処理基板11が、縦横比が大きく異なる細長い長方形の場合には、内接円Cの外側の領域においても、内接円Cに近い領域と、角部に近い領域とで周囲の空気に対する相対速度に大きな差が生じる。これにより、これらの領域間で、乾燥速度に大きな差が生じる。このような場合には、吹き出し口53を、内接円Cに対応する範囲外にも設け、さらにその吹き出し口53からの風量が、内接円C付近から角部に向かうにしたがって減少するようにする。このように構成することで、内接円Cの外側の領域においても、内接円C付近と角部との間の乾燥速度の差を小さくすることができ、均一な厚さの膜を形成することができる。
【0041】
なお、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施の形態のみによって解釈されるのではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に基づいた実施の形態1における回転塗布装置の主要部の構造を示す斜視図である。
【図2】この発明に基づいた実施の形態1における回転塗布装置の主要部の構造を示す縦断面図である。
【図3】この発明に基づいた実施の形態1における回転塗布装置の気体吹き出し口の形状を示す、気体用ノズルを被処理基板側から見上げた図である。
【図4】この発明に基づいた実施の形態1における被処理基板の処理工程を示す断面工程図である。
【図5】この発明に基づいた実施の形態2における回転塗布装置の気体吹き出し口の形状を示す、気体用ノズルを被処理基板側から見上げた図である。
【図6】この発明に基づいた実施の形態3における回転塗布装置の気体吹き出し口の形状を示す、気体用ノズルを被処理基板側から見上げた図である。
【符号の説明】
11 被処理基板、51 気体吹き出し装置、53 気体吹き出し口、54 小孔。
【発明の属する技術分野】
この発明は、スピンコート法を用いて被処理基板上に塗布液を拡散、乾燥させる回転塗布装置および回転塗布方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、半導体製造工程において、スピンコート法を用いた塗布液の拡散、乾燥が行なわれている。このスピンコート法を用いた塗布工程を含む半導体製造工程の一例として、アクティブマトリクス型液晶表示装置の基板の製造工程を次に示す。
【0003】
被処理基板上に非晶質半導体である被処理層が、たとえばプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法またはLPCVD(Low Pressure Chemical Vapor Deposition)法によって1000〜1500Å程度の膜厚で形成され、上記被処理層上に酸化液の働きにより酸化膜を形成する。次に、結晶化促進液を酸化膜上に滴下し、スピンコート法により拡散、乾燥させることによって、酸化膜上に触媒元素の注入または添加された層を形成する。次に、このように処理された被処理基板を加熱炉に搬送し結晶化が始まる温度、たとえば550℃以上で加熱されて被処理層である非晶質シリコンの結晶化が行なわれ、この非晶質シリコン層が多結晶シリコン層とされる。この被処理基板の多結晶シリコン層を、薄膜トランジスタの活性領域として使用し、薄膜トランジスタを有するアクティブマトリクス型液晶表示装置の基板が完成する。
【0004】
このようなスピンコート法においては、まず被処理基板を高速回転させ、被処理基板の中央に結晶化促進液となる触媒溶液などの塗布液を滴下する。するとその結晶化促進液は、遠心力によって回転半径方向に拡散し、被処理基板の周縁部に達したのち、余剰な結晶化促進液が被処理基板から離脱し、被処理基板上に残った結晶化促進液によって液膜が形成される。そして、この液膜を被処理基板上で乾燥させると、被処理基板上に触媒物質が滞留する。
【0005】
被処理基板が角型であって、前述のように被処理基板の回転状態で結晶化促進液を供給して塗布した場合、内接円の領域内では、遠心力によって均一に溶液が伸ばされて広がる。しかし、各角部では周囲の空気との相対速度が大きく、液膜の乾燥が前記内接円の領域内に比べて早くなるため、結果的に被処理基板の各角部近傍での触媒物質の析出濃度が、上記内接円の領域内に比べて高くなるという問題がある。
【0006】
このような問題を解決する従来技術として、次のようなものがある(特許文献1参照)。この従来技術では、回転軸に真空吸着により被処理基板を保持する吸着テーブルが設けられ、この吸着テーブルに上記被処理基板を載置して吸着テーブルに装着された処理カップと、上方に配置された蓋とにより上記被処理基板を覆い、これらが同方向に回転する。これにより上記被処理基板の周囲の空気も同方向に回転させ、上記被処理基板に対し空気抵抗を小さくし、上記被処理基板に塗布された余分な溶液を飛散し易くして、上記被処理基板上面に液滞留による隆起部が形成されないようにした、いわゆるカップ方式の回転塗布装置が開示されている。
【0007】
【特許文献1】
実開昭64−48171号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記の特許文献1に開示された従来の技術では、被処理基板上の触媒物質の濃度を均一化することができるが、処理カップも同時に回転させるため、回転する部材が増加する。そのため、回転軸を回転駆動するためのモータなどを含む回転駆動源への負荷が大きく、消費電力も大きいという問題がある。また、被処理基板の周囲の空気も吸着テーブルおよび処理カップと共に回転する為、基板に対する周囲の空気の相対速度が小さく、その結果、基板上に塗布された溶液の乾燥が遅くなり、処理時間が長いという問題がある。
【0009】
この発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、被処理基板上に均一に塗布液を塗布できるとともに、簡単な構成で、スピンコート法による処理時間を短縮することができる回転塗布装置および回転塗布方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明に基づいた回転塗布装置に従えば、被処理基板を高速回転させて、上記被処理基板上に塗布液を拡散および乾燥させる回転塗布装置であって、上記塗布液を乾燥させるため、上記被処理基板の表面に気体を吹き付けるための気体吹き出し口を有する気体吹き出し装置を備え、上記被処理基板の表面に気体を吹き付け、上記塗布液を乾燥させる気体吹き出し装置を備え、上記気体吹き出し装置においては、上記被処理基板表面に吹き付ける気体の風量が、上記被処理基板の回転中心から遠ざかるにつれて少なくなるようにした。
【0011】
上記回転塗布装置によれば、上記塗布液を乾燥させる気体吹き出し装置を備え、上記気体吹き出し装置においては、上記被処理基板表面に気体を吹き付けるので、吹きつけられる気体により塗布液の乾燥が促進され、塗布液を短時間で乾燥させることができる。また、気体の風量が、上記被処理基板の回転中心から遠ざかるにつれて少なくなるようにしたので、被処理基板上の回転中心部付近と、外周部とで周囲の空気に対する相対速度の差を少なくすることができる。これにより塗布液の乾燥時間の差に起因する塗布量のばらつきを少なくすることができる。その結果、処理時間を短縮することが出来るとともに、被処理基板上に均一に塗布液を塗布することができる。
【0012】
上記回転塗布装置において好ましくは、上記気体吹き出し装置の気体吹き出し口は、被処理基板の回転中心を中心とした被処理基板の内接円に対応する範囲内にのみ設けられている。被処理基板が、角型の場合、被処理基板の回転中心を中心とした内接円に対応する範囲と、その範囲外の角部とで特に周囲の空気に対する相対速度の差が大きくなるが、この内接円に対応する範囲内にのみ気体吹き出し口を設けたので、内接円内と、角部との周囲の空気に対する相対速度の差を小さくすることができる。これにより、塗布液の乾燥時間を短縮することができるとともに、被処理基板全体の乾燥速度が均一化され、被処理基板上に均一に塗布液を塗布することができる。
【0013】
上記回転塗布装置においてさらに好ましくは、上記気体吹き出し口は複数の小孔により構成され、上記小孔は被処理基板の回転中心から遠ざかるにつれて単位面積あたりの個数が減少するよう分布している。
【0014】
上記回転塗布装置においてさらに好ましくは、上記気体吹き出し口は複数の小孔により構成され、上記小孔は被処理基板の回転中心から遠ざかるにつれて、開口面積が縮小するように構成されている。
【0015】
上記回転塗布装置においてさらに好ましくは、上記被処理基板の回転中心近傍から外方に向かって延びるスリットによって構成され、上記スリットは被処理基板の回転中心から遠ざかるにつれてその幅が縮小するように構成されている。
【0016】
上記各構成によれば、気体の風量が、上記被処理基板の回転中心から遠ざかるにつれて少なくなるようにすることができる。
【0017】
この発明に基づいた回転塗布方法に従えば、被処理基板を高速回転させて、上記被処理基板上の塗布液を拡散させる工程と、高速回転する上記被処理基板の表面に気体を吹き付け、上記塗布液を乾燥させる工程とを備え、上記塗布液を乾燥させる工程においては、上記被処理基板表面に吹き付ける気体の風量が、上記被処理基板の回転中心から遠ざかるにつれて少なくなるようにした。
【0018】
上記回転塗布方法に従えば、高速回転する上記被処理基板の表面に気体を吹き付け、上記塗布液を乾燥させるので、塗布液を短時間で乾燥させることができる。また、気体の風量が、上記被処理基板の回転中心から遠ざかるにつれて少なくなるようにしたので、被処理基板上の回転中心部付近と、外周部とで周囲の空気に対する相対速度の差を少なくすることができる。これにより塗布液の乾燥時間の差に起因する塗布量のばらつきを少なくすることができる。その結果、被処理基板上に均一に塗布液を塗布できるとともに、処理時間を短縮することが出来る。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本実施の形態における回転塗布装置および回転塗布方法について、図を参照しながら説明する。
【0020】
(実施の形態1)
以下、本実施の形態における回転塗布装置および回転塗布方法について、図1から図4を参照して説明する。なお、図1は、本実施の形態における回転塗布装置の主要部の構造を示す斜視図であり、図2は、同主要部の構造を示す縦断面図であり、図3は、気体吹き出し口の形状を示す、気体用ノズルを被処理基板側から見上げた図であり、図4は、被処理基板の処理工程を示す断面工程図である。
【0021】
本実施の形態の回転塗布装置は、図4に示すような被処理基板11の被処理層12に、連続粒界結晶シリコン(Continuous Grain Silicon;略称CGS)の結晶化工程における触媒析出によって膜を生成するものである。なお、本実施の形態において、被処理基板11に結晶化促進液(触媒溶液)を塗布するとは、被処理基板11の被処理層12に触媒物質を析出させるか、または触媒物質を含有する膜を成膜することをいう。
【0022】
(回転塗布装置の構造)
図1を参照して、回転塗布装置の構造について説明する。
【0023】
本実施の形態の回転塗布装置は、被処理基板11を水平に保持する保持部材21と、保持部材21を鉛直な回転中心軸Sまわりに矢印A方向に回転させる回転駆動源であるモータ31と、保持部材21の上面に被処理基板11を負圧で真空吸着する吸引装置35と、保持部材21の上方に配置され、保持部材21上に保持された被処理基板11表面の回転中心軸S近傍に、塗布液である結晶化促進液を供給する為の液体用ノズル41と、この液体用ノズル41に結晶化促進液を供給する結晶化促進液供給装置46と、被処理基板11に乾燥用の気体を吹き付けて供給する気体吹き出し装置51とを備える。さらに、本実施の形態の回転塗布装置は、廃液を回収する廃液回収装置(図示せず)と、ゴミの侵入や飛散した塗布液が装置外に漏れるのを防止するケーシング(図示せず)とを備える。以下これらについて説明する。
【0024】
保持部材21は、矩形の平板状に形成され、その表面が水平となるようにモータ31の駆動軸32に保持されている。この駆動軸32には、保持部材21に連通する通気孔が形成され、この通気孔には、吸引装置35が接続される。
【0025】
液体用ノズル41は、作動位置と待機位置との間を進退自在にアーム42により支持されており、図2に示すように、作動位置において回転中心軸S上に位置する。この液体用ノズル41には、結晶化促進液を供給する結晶化促進液供給装置46が接続されているが、ここで供給される結晶化促進液は、触媒物質であるNiイオンを含む溶液である。この結晶化促進液は、たとえば純水を溶媒とする酢酸ニッケルの水溶液であってもよく、またはNiの硝酸塩を用い、溶媒としてエタノールを用いた溶液などであってもよい。結晶化促進液の溶媒は、純水またはエタノールに限定されるものではない。結晶化促進液であるNiイオンを含む溶液に含まれるNiの量は、溶液の重量に対する重量比率として、1ppm以上15ppm以下とすることが望ましい。1ppm未満では、非晶質半導体の結晶化を促進する効果が得られない。また15ppmを超えると、非晶質半導体を結晶化させることによって得られる半導体の特性が低下する。結晶化促進液供給装置46は、滴下される結晶化促進液の流量または滴下速度を制御する液体流量調整装置を備えている。この液体流量調整装置は、可変絞り弁などの流量制御弁を有し、結晶化促進液の流量を、たとえば1cc/分〜200cc/分の範囲で調整する。
【0026】
気体吹き出し装置51は、気体吹き出し口53を有する気体用ノズル52と、この気体用ノズルに乾燥用気体を供給する乾燥用気体供給装置59とを備える。気体用ノズル52は、作動位置と待機位置との間を進退自在に図示しないアームにより支持されている。気体ノズル52は、図1および図2に示す作動位置において、回転中心軸S上から、被処理基板11の回転中心軸Sを中心とした内接円Cの円弧に至るように水平に構成されている。気体用ノズル52は、直線状の管体で構成され、その下面には、被処理基板11に臨む複数の小孔54で構成された気体吹き出し口53が設けられている。
【0027】
小孔54の間隔は、被処理基板11の回転中心軸S寄りが密になっており、回転中心軸Sから遠くなるにつれて疎になるように構成されている。言い換えれば、小孔54は、被処理基板11の回転中心軸Sから遠ざかるにつれて単位面積あたりの個数が減少するよう分布している。これにより、風量分布は、回転中心軸S寄りが多く、回転中心軸Sから離れるにつれて少なくなる。
【0028】
気体用ノズル52に供給される乾燥用気体は、乾燥用気体供給装置59から供給され、気体吹き出し口53の小孔54から被処理基板11の被処理層12表面の、被処理基板11の回転中心軸Sを中心とする内接円Cの領域に、予め定める流量で吹き付けられる。この乾燥用気体としては、相対湿度で0.0001%〜10%に調整された乾燥された空気、または窒素ガスが用いられる。ここで相対湿度とは、飽和水蒸気量に対して実際に含まれる水蒸気の割合をいう。乾燥用気体供給装置59には、乾燥用気体の流量を調整することができるように、可変絞り弁などの流量制御弁によって実現される気体流量調整装置が備えられている。
【0029】
(回転塗布方法)
次に、この被処理基板11に対して、結晶化促進液を本実施の形態の回転塗布装置を用いて塗布する方法について説明する。
【0030】
この回転塗布を行なうに先だって、平板状基材13と非晶質半導体で構成した被処理層12の積層体(図4(A))表面に、酸化膜14を形成して、被処理基板11を製造しておく(図4(B))。この被処理基板11を、保持部材21上に載置する。被処理基板11としては、たとえば正方形、長方形のほか、三角形などの多角形の基板が用いられる。本実施の形態では、0.7〜1.0mmの矩形状の被処理基板11が用いられる。そして、吸引装置35を作動させ、被処理基板11の下面を保持部材21上に負圧で真空吸着する。続いて、モータ31を回転させるとともに、液体用ノズル41を図1および図2に示す作動位置に移動させ、液体用ノズル41から所定の結晶化促進液を所定量滴下する。このとき、気体用ノズル56は、待機位置に位置しており、両者が交錯することはない。滴下された結晶化促進液は、回転の遠心力により回転中心軸Sから半径方向に拡散し、被処理基板11全体に広がり液膜15が形成される(図4(C))。
【0031】
結晶化促進液の滴下が終わると気体用ノズル56を作動位置に移動し、被処理基板11の表面に、乾燥用気体を吹き付ける。その流量は、回転中心軸S側が多く、回転中心軸Sから離れるに従って減少するように設定している。また、上記気体流量調整装置によっても、気体吹き出し装置51の気体吹き出し口53全体から吹き出す乾燥用気体の流量を調節する。
【0032】
このように乾燥用気体の流量を調整可能に構成することで、塗布液の種類、乾燥時間、乾燥用気体の湿度及び塗布処理により形成される膜厚などの各種の塗布処理条件の変更に容易に対処することができる。また乾燥用気体の流量の調整は、保持部材21の回転を停止させた状態だけでなく、モータ31によって保持部材21を回転中心軸Sまわりに回転させた状態でも調整可能である。乾燥用気体の流量が調整できない回転塗布装置で、塗布液を被処理基板11の上面に塗布する場合には、最適な乾燥用気体の流量を調整する為に、頻繁にモータ31をオン/オフして、保持部材21を回転させ、または停止させて、乾燥用気体との相対速度を調節する必要がある。しかし、このように気体流量調整装置を備えている場合には、最適な乾燥用気体の流量を容易にかつ高精度で検出して設定することができるので、モータ31の回転は一定のままで各種処理条件の変更に対処することができる。
【0033】
このようにして、結晶化促進液の溶媒が蒸発すると、被処理基板11の表面に触媒物質の膜16が成膜される(図4(D))。
【0034】
(作用・効果)
上記回転塗布装置および回転塗布方法によれば、被処理基板11が回転することによって、被処理基板11の表面の全体に乾燥用気体を吹き付けることができる。このように、被処理基板11に対して気体を吹き付けることによって、被処理基板11を単に回転させる場合に比べて、被処理基板11表面に対して周方向に移動する乾燥用気体の相対的な速度を高める流速促進効果を得ることができる。これにより、結晶化促進液の乾燥時間を短縮することができる。
【0035】
また、被処理基板11を高速回転させると、回転中心軸Sから回転半径方向に離れるにつれて、被処理基板11に対する空気の周方向の相対速度は高くなる。しかし、この実施の形態では、気体吹き出し口53から吹き出す乾燥用気体の風量が被処理基板11の回転中心軸S側が多く、被処理基板11の回転中心軸Sから遠ざかるにつれて少なくなるように設定されている。その結果、被処理基板11の回転半径方向内方寄りの部分と、回転半径方向外方寄りの部分において乾燥速度に大きな差が生じない。
【0036】
さらに、被処理基板11の4つの角部11a、11b、11c、11dにおいては、そもそも周囲の空気との相対速度が大きく、回転中心軸Sを中心とする被処理基板11の内接円Cの範囲より乾燥速度が速くなる。しかし、この実施の形態においては、回転中心軸Sを中心とする被処理基板11の内接円Cの範囲に対応する位置にのみ気体吹き出し口53を設けたので、乾燥速度が速い被処理基板11の4つの角部11a、11b、11c、11dと、乾燥用気体を吹きつけられることで、乾燥が促進される回転中心軸Sを中心とする内接円C内の領域とで、乾燥速度に大きな差が生じない。これによって被処理基板11の回転による遠心力の作用によって一様に塗布された結晶化促進液の液膜は、全体がほぼ同時に乾燥して、均一な厚さの膜を高精度で、しかも短時間で形成することができ、処理時間を短縮して、生産性を向上することができる。
【0037】
また、結晶化促進液の液膜が乾燥する速度は、接する乾燥用気体の湿度が小さいほど早くなるので、気体吹き出し装置51から被処理基板11に吹き付けられる乾燥用気体の湿度を下げることによって、より小流量の乾燥用気体で同等の乾燥効果を得ることができる。
【0038】
(実施の形態2)
実施の形態1では、気体用ノズル52に形成される気体吹き出し口53を複数の小孔54で構成し、その小孔54の間隔を被処理基板11の回転中心軸S側を密にし、被処理基板11の回転中心軸Sから遠ざかるにつれて疎にすることにより風量分布に差を付けていた。これに対し、本実施の形態では、図5に示すように、気体吹き出し口53を回転中心軸S側から、外周部側に向かって分布する複数の小孔54により構成し、小孔54の孔径(開口面積)を被処理基板11の回転中心軸S側を大きく、被処理基板11の回転中心軸Sから遠ざかるにつれて小さくすることにより風量分布に差を付けた。この場合にも前述と同様の効果を得ることができる。
【0039】
(実施の形態3)
また、他の実施の形態として図6に示すように、気体用ノズル52に形成される気体吹き出し口53をスリット状に形成し、スリットの開口幅Wを被処理基板11の回転中心軸S側を広く、被処理基板11の回転中心軸Sから遠ざかるにつれて狭くすることにより風量分布に差を付けた場合にも前述と同様の効果を得ることができる。
【0040】
上記実施の形態では、吹き出し口53を、被処理基板11の回転中心軸Sを中心とする内接円Cに対応する位置にのみ設けたが、その範囲外にも設けても良い。たとえば、被処理基板11が、縦横比が大きく異なる細長い長方形の場合には、内接円Cの外側の領域においても、内接円Cに近い領域と、角部に近い領域とで周囲の空気に対する相対速度に大きな差が生じる。これにより、これらの領域間で、乾燥速度に大きな差が生じる。このような場合には、吹き出し口53を、内接円Cに対応する範囲外にも設け、さらにその吹き出し口53からの風量が、内接円C付近から角部に向かうにしたがって減少するようにする。このように構成することで、内接円Cの外側の領域においても、内接円C付近と角部との間の乾燥速度の差を小さくすることができ、均一な厚さの膜を形成することができる。
【0041】
なお、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施の形態のみによって解釈されるのではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に基づいた実施の形態1における回転塗布装置の主要部の構造を示す斜視図である。
【図2】この発明に基づいた実施の形態1における回転塗布装置の主要部の構造を示す縦断面図である。
【図3】この発明に基づいた実施の形態1における回転塗布装置の気体吹き出し口の形状を示す、気体用ノズルを被処理基板側から見上げた図である。
【図4】この発明に基づいた実施の形態1における被処理基板の処理工程を示す断面工程図である。
【図5】この発明に基づいた実施の形態2における回転塗布装置の気体吹き出し口の形状を示す、気体用ノズルを被処理基板側から見上げた図である。
【図6】この発明に基づいた実施の形態3における回転塗布装置の気体吹き出し口の形状を示す、気体用ノズルを被処理基板側から見上げた図である。
【符号の説明】
11 被処理基板、51 気体吹き出し装置、53 気体吹き出し口、54 小孔。
Claims (6)
- 被処理基板を高速回転させて、前記被処理基板上に塗布液を拡散および乾燥させる回転塗布装置であって、
前記塗布液を乾燥させるため、前記被処理基板の表面に気体を吹き付けるための気体吹き出し口を有する気体吹き出し装置を備え、
前記気体吹き出し装置においては、前記被処理基板表面に吹き付ける気体の風量が、前記被処理基板の回転中心から遠ざかるにつれて少なくなるようにしたことを特徴とする回転塗布装置。 - 前記気体吹き出し口は、被処理基板の回転中心を中心とした被処理基板の内接円に対応する範囲内にのみ設けられている、請求項1に記載の回転塗布装置。
- 前記気体吹き出し口は複数の小孔により構成され、前記小孔は被処理基板の回転中心から遠ざかるにつれて単位面積あたりの個数が減少するよう分布している、請求項1または2に記載の回転塗布装置。
- 前記気体吹き出し口は複数の小孔により構成され、前記小孔は被処理基板の回転中心から遠ざかるにつれて、開口面積が縮小するように構成されている、請求項1〜3のいずれかに記載の回転塗布装置。
- 前記気体吹き出し口は、前記被処理基板の回転中心近傍から外方に向かって延びるスリットによって構成され、前記スリットは被処理基板の回転中心から遠ざかるにつれてその開口幅が縮小するように構成されている、請求項1〜4のいずれかに記載の回転塗布装置。
- 被処理基板を高速回転させて、前記被処理基板上の塗布液を拡散させる工程と、
高速回転する前記被処理基板の表面に気体を吹き付け、前記塗布液を乾燥させる工程と、を備え、
前記塗布液を乾燥させる工程においては、前記被処理基板表面に吹き付ける気体の風量が、前記被処理基板の回転中心から遠ざかるにつれて少なくなるようにしたことを特徴とする回転塗布方法。
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KR100820578B1 (ko) * | 2006-09-15 | 2008-04-08 | 정보통신연구진흥원 | 재정집행통합관리시스템과 이에 사용되는 프로그램을기록한 컴퓨터로 읽을 수 있는 기록매체 |
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2003
- 2003-06-09 JP JP2003163810A patent/JP2005000726A/ja active Pending
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