JP2005005302A - 半導体製造方法および製造装置 - Google Patents
半導体製造方法および製造装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2005005302A JP2005005302A JP2003163811A JP2003163811A JP2005005302A JP 2005005302 A JP2005005302 A JP 2005005302A JP 2003163811 A JP2003163811 A JP 2003163811A JP 2003163811 A JP2003163811 A JP 2003163811A JP 2005005302 A JP2005005302 A JP 2005005302A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- substrate
- cup
- catalyst
- catalyst solution
- film
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Coating Apparatus (AREA)
- Recrystallisation Techniques (AREA)
- Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)
Abstract
【課題】結晶化する触媒をムラや密度差なく均一に塗布することにより、形成される半導体の電気的特性が高く、電気的特性の面内におけるばらつきが少なく、しかも歩留まりが高い、半導体製造方法および製造装置を提供する。
【解決手段】本発明の半導体製造方法は、基板表面上に非結晶シリコン膜を形成する第一工程と、触媒溶液を該シリコン膜上に塗布する第二工程と、該触媒溶液の溶媒を乾燥して前記基板上に触媒を析出させる第三工程とを包含する半導体製造方法であって、前記第二工程において、前記シリコン膜上に触媒溶液を滴下し、次いで、前記基板と、該基板を固定した基板テーブルとを内包するためのカップを略密閉し、その後、該カップを回転させて、回転の遠心力により基板の全面に液膜を形成する工程を行なうことを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明の半導体製造方法は、基板表面上に非結晶シリコン膜を形成する第一工程と、触媒溶液を該シリコン膜上に塗布する第二工程と、該触媒溶液の溶媒を乾燥して前記基板上に触媒を析出させる第三工程とを包含する半導体製造方法であって、前記第二工程において、前記シリコン膜上に触媒溶液を滴下し、次いで、前記基板と、該基板を固定した基板テーブルとを内包するためのカップを略密閉し、その後、該カップを回転させて、回転の遠心力により基板の全面に液膜を形成する工程を行なうことを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体装置の製造方法および製造装置に関し、より詳細には、結晶性を有するシリコン半導体薄膜の製造方法および製造装置において、触媒を用いて非晶質シリコンを結晶化する際における触媒の塗布を均一に行なうことができるシリコン半導体薄膜の製造方法および製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
薄膜トランジスタ(TFT)などに使用する半導体として、薄膜半導体が知られている。この薄膜半導体は、基板上に薄膜の半導体を形成した構成であり、薄膜の半導体として使用する材料は、取り扱いおよび作製の容易性などの観点から、非晶質シリコン膜が用いられている。
【0003】
しかしながら、その電気的特性は低いために、このシリコン膜が結晶性を有するようにする必要がある。かかる結晶性を有するシリコン膜としては、多結晶シリコン、ポリシリコン、微結晶シリコンなどが挙げられる。また、このような結晶性シリコン膜の製造方法のひとつに、まず、基板上に非晶質のシリコン膜を形成し、次いで、この非晶質シリコン膜上に、酸化膜を形成し、その後、Niなどの結晶化を促進する触媒を含んだ溶液を、酸化膜を介して非晶質シリコン膜上に塗布し、これを加熱して、非晶質シリコンを結晶化するものがある。ここで、酸化膜は、触媒溶液との濡れ性を良好にするためのものである。
【0004】
上記結晶性シリコン膜の製造方法において、触媒の均一な塗布は、結晶化の均一性に直接的に影響を及ぼすという観点から、極めて重要な工程である。下記特許文献1には、触媒の塗布の方法として、触媒元素を含む溶液をスピンコーターを用いて塗布する方法が開示されている。この方法は、フォトレジスト膜やゾルゲル薄膜などの形成方法として広く用いられており、塗布完了後に基板全面を覆う膜を形成するものである。また、この方法で塗布を行う際に用いる溶液は、通常、粘度の比較的高いレジスト溶液や高分子溶液等である。レジストや高分子溶液などのような高粘度の溶液の塗布では、塗布完了後には、基板全面に膜が形成されており、塗布途中で一旦液膜が形成された後は、部分的に液がなくなったりすることはない。
【0005】
しかし、上記スピンコーターを用いる方法において、塗布する溶液の粘度が小さい場合には、レジスト溶液などと液の流動特性や塗布後の溶質の分布が大きく違うので、低粘性の触媒溶液の塗布には使用し難い。すなわち、触媒濃度が1から100ppm程度の希薄溶液を触媒溶液として使用する場合は、溶媒の蒸発により、溶質である触媒が基板表面に点在する状態であるので、部分的な乾燥が起こってしまう。これにより、局所的に触媒が凝集して析出したり、触媒が存在しないところが発生してしまう。また一旦乾燥して触媒が析出したところに、未乾燥の溶液が流れていくと、析出した触媒が再溶解してその部分の触媒析出密度が低下してしまう。したがって、このように触媒溶液を均一に塗布する為には塗布工程中の溶液の乾燥状態を制御する必要がある。
【0006】
また、液晶表示装置の製造工程で用いられる矩形のガラス基板で対角1mを超えるような大型基板を用いる場合は、基板上の基板四隅での風きりにより部分的に乾燥が進んでムラとなったり、基板中央と周辺部で回転による周速の違いから周辺部が先に乾燥し、中央の未乾燥溶液が周辺部へ放射状に流れて、放射状ムラが発生しやすく、均一塗布を行うことは困難である。
【0007】
このような触媒の分布にムラがある状態で、結晶化を行った場合の基板の概略平面図を図3に示す。図3に示すように、触媒の分布にムラがある状態では、後工程において、放射状に生じる結晶化ムラ10や、基板四隅の風きり部の結晶化ムラ11が生じる。このような結晶化ムラはその後に基板上に形成される半導体の特性が不均一になり、また、動作不良を生じる原因となる。
【0008】
さらに触媒溶液の溶媒を蒸発させて触媒を析出させる工程においては、基板の四隅において回転による風きりで溶媒の蒸発が促進され、基板中央に比べて析出する触媒の濃度が高くなるという問題がある。図4(A)は、触媒が均一に塗布されてない基板において、所定の地点を矢印線分で表わす概略図であり、図4(B)は、図4(A)の矢印線分上の地点と触媒析出密度との関係を表わすグラフである。図4(A)の矢印線分12、13の場所の触媒析出密度を計測すると、図4(B)に示すように、矢印線分12上の場所では触媒析出密度の分布が、実線14のように基板中心からはなれてもあまり変化しないのに対し、矢印線分13の場所では図4(B)の点線15のように基板の隅付近において、急激に密度が増加する。この様に触媒析出密度に差がある状態で、後工程の結晶化を行うと、基板四隅付近とそれ以外の場所で、結晶化の状態が異なり、これも半導体特性の不均一の原因となってしまう。
【0009】
【特許文献1】
特開平10−256155号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記技術の課題を解決するためのものであり、大型ガラス基板上に形成した非結晶シリコン薄膜を結晶化する半導体製造方法において、結晶化する触媒をムラや密度差なく均一に塗布することにより、形成される半導体の電気的特性が高く、電気的特性の面内におけるばらつきが少なく、しかも歩留まりが高い、半導体製造方法および製造装置を提供する。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、基板表面上に非結晶シリコン膜を形成する第一工程と、触媒溶液を該シリコン膜上に塗布する第二工程と、該触媒溶液の溶媒を乾燥して前記基板上に触媒を析出させる第三工程とを包含する半導体製造方法であって、前記第二工程において、前記シリコン膜上に触媒溶液を滴下し、次いで、前記基板と、該基板を固定した基板テーブルとを内包するためのカップを略密閉し、その後、該カップを回転させて、回転の遠心力により基板の全面に液膜を形成する工程を行なうことを特徴とする半導体製造方法を提供する。
【0012】
本発明では、触媒溶液を基板上に滴下して、カップを回転させて基板全面に液膜を均一に形成する際に、カップが略密閉されているので、カップ内の基板周辺の気体も基板とともに回転することができ、従来の技術では生じていた、基板の四隅などの周辺部分において風きりなどが発生せず、乾燥ムラや中央部との濃度差も生じることはない。
【0013】
また、基板と周辺の気体も一緒に回転するので、基板上の触媒溶液に対して回転による相対的な風が無く、基板のみを回転させる場合に比べて触媒溶液の蒸発は少なく、部分的に溶液が乾燥して基板表面が露出してしまうことなく、所望の触媒析出濃度が得られる膜厚の溶液膜を基板全面に形成することができる。
【0014】
好ましくは、前記第二工程における前記触媒溶液の液膜形成工程が、第一回転速度で前記カップを回転することにより、前記触媒溶液を基板全面に拡散する工程と、該拡散工程の後に、前記第一回転速度より速い第二回転速度まで加速して、所望の膜厚の液膜を形成する工程と、該所望の膜厚形成工程の後、前記第二回転速度より遅い第三回転速度まで減速する工程を包含する。
【0015】
かかるように、第一回転数で回転することにより、溶液の飛び散りなどを生じることなく触媒溶液を基板全面に拡散することができ、第二回転数による回転により、所望の触媒析出密度が得られるような膜厚になるように、余分な溶液の振り切りと液膜の薄膜化を行なうことができ、第三回転数による回転により、所望の液膜が得られた状態で回転による遠心力を下げ、周辺部の乾燥が中央部に比べて促進しないようにすることができる。
【0016】
好ましくは、前記第三工程において、前記カップの略密閉状態を解放して、気体を該カップ内に流入させることにより、前記触媒溶液の溶媒を蒸発させる工程を行なう。かかる手法を用いることにより、溶液中の溶媒の蒸発が促進され溶質を基板上に析出させることができる。また、すでに所望の膜厚の液膜が形成され、液の流動が収まっている状態で蒸発するので、放射状のムラが発生することは無い。好ましくは、前記第三回転速度は、5〜150rpmである。また、前記液膜形成工程における第三速度まで減速する工程は、基板上の塗布溶液が乾燥して基板が露出する前に行なわれることが好ましい。
【0017】
本発明はまた、基板と、該基板を保持するための基板テーブルと、該基板および該基板テーブルを内包し、かつ該基板テーブルと同期して回転可能なカップと、塗布溶液を前記基板上に滴下するための塗布ノズルと、気体を該カップ内に供給するための給気口と、該給気口に気体を供給するための送風手段とを備えた半導体製造装置を提供する。
【0018】
好ましくは、前記カップは上部カップと下部カップからなり、該上部カップは基板の上方に位置しかつ上下方向に移動可能であり、該下部カップは基板の下方に位置しており、前記上部カップと前記下部カップとを接触させることにより、該カップ内を略密閉することが可能である。かかる装置を用いることにより、均一な液膜の塗布および乾燥を行なうことができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の半導体製造方法は、基板表面上に非結晶シリコン膜を形成する第一工程と、触媒溶液を該シリコン膜上に塗布する第二工程と、該触媒溶液の溶媒を乾燥して前記基板上に触媒を析出させる第三工程とを包含する。以下それぞれの工程について説明する。
【0020】
(第一工程)
本発明における第一工程は、基板表面上に非結晶シリコン膜を形成する工程である。つまり、この工程は、触媒溶液を塗布する前の処理として、基板上にアモルファスシリコンを作製するものである。本発明においては、かかるアモルファスシリコンを結晶化する。以下に、上記非結晶シリコン膜形成工程についてより詳細に説明する。
【0021】
まず、CVD(化学蒸着法)を用いて、アモルファスシリコンを基板表面上に成膜する。ここで使用する基板は、ガラス基板などの公知のものを使用することができる。また、ここで使用する基板の寸法は、製品化する対象に応じて適宜選択することができるが、たとえば一例をあげるならば、620×750mm2などである。次いで、成膜された表面を洗浄する。洗浄の手順はまず基板を100rpmで回転させながら濃度100ppm程度のオゾン水を基板表面にかけて、オゾン水の酸化作用によりSiO2膜を形成する。次に0.5%のフッ化水素水をかけて基板表面に形成されたSiO2膜を除去する。このとき基板表面に付着した異物やアモルファスシリコンの成膜後の時間経過で生じる自然酸化膜も一緒に除去し、清浄なアモルファスシリコン膜の表面が露出する。続いて再度オゾン水をかけることにより、露出したアモルファスシリコン膜表面に、清浄なSiO2酸化膜が形成される。酸化膜を形成することにより、接触角が10度以下の水の濡れ性がよい状態となる。このような処理を施した基板を、次の第二工程において使用する。
【0022】
(第二工程)
本発明における第二工程は、第一工程において作製されたアモルファスシリコン膜が形成された基板の上に、触媒溶液を塗布する工程である。本発明においては、かかる触媒溶液を基板に対して均一に塗布するものである。この工程について図を用いて説明する。
【0023】
この第二工程において用いる装置が、図1に示されている。図1は、本発明の半導体製造装置の概略断面図である。図1中において、基板8を保持する基板テーブル1と、基板テーブル1を内包するカップ2と、基板テーブル1とカップ2を同軸で回転させるモータ3と、筐体4と、筐体4にダウンフローを発生させるためのHEPAフィルターユニット6と、カップに気体送風するための送風ユニット7と、ダウンフローを排気するための排気口5と、基板8上に塗布溶液を滴下する塗布ノズル9とを備える。なお、図中の矢印は、気体の流れの方向を示す。
【0024】
図1中のカップ2は、上カップ2aと下カップ2bで構成される。上カップ2aは、図示しない昇降機構によって上下に移動可能である。上カップ2aが上方にある場合は、上カップ2aは下カップ2bと分離されており、モータ3を回転すると、上カップ2aは回転しないが、下カップ2bは回転する。また、上カップ2aが下カップ2bと接触している場合は、カップ内を略密閉することができ、モータ3を回転することにより、上カップ2aと下カップ2bとを一緒に回転することができる。
【0025】
また、上カップ2aには中央付近に給気口2dが設けられ、送風ユニット7で発生させた気流を、給気口2dの上方からカップ2内に向かって導入することができる。下カップ2bには排液口2cが設けられ、基板8から離脱した塗布液がカップ2から排出されるように、下カップ2bの底面外周部に開口している。
【0026】
HEPAフィルターユニット6は、筐体4内に清浄なダウンフローを供給するものである。排気口5はHEPAフィルターユニット6により供給された気体を排気するとともに、カップ2の排液口から排出される余分な塗布液をも筐体外に排出する。
【0027】
送風ユニット7は、HEPAフィルターユニット6によって供給された気流の一部を、強制的にカップ2の給気口2dに送風する。カップ2内に送り込まれた気流は排液口2cから押し出され、排気口5から排出される。
【0028】
塗布ノズル9は、上カップ2aが上方にあるときに、基板8の上に移動して塗布液を基板8上に滴下する。
【0029】
次いで、この装置を用いて、本発明における第二工程を実行する手段を説明する。
【0030】
まず、上記第一工程において作製された基板8を、上で説明した装置の基板テーブル1上に設置する。次いで、塗布ノズル9を基板8の上方に移動させて、触媒溶液を基板8の中央に滴下する。かかる触媒溶液は、結晶化の触媒としてNiをベースとするものが好ましい。たとえば、溶媒として純水を用い、溶質には水溶性の高い酢酸Niを用いた、酢酸ニッケル水溶液が挙げられるが、これに限定されない。また、滴下する量は、基板の寸法に応じて適宜選択する必要があるが、たとえば、上記第一工程において使用したような620×750mm2の基板を用いる場合は、約300cc滴下することが好ましい。また、上記酢酸ニッケル水溶液の濃度は、好ましくは、10ppmである。
【0031】
その後、上カップ2aを下方に移動させて下カップ2bと連結し、基板テーブル1と基板8とを内包して、カップ2を略密閉状態とする。ここで略密閉状態とは、カップ内の気体が、カップを回転させたときにカップと一緒に回転する程度に密閉するという意味である。次に、基板テーブル1、これに保持された基板8およびカップ2を一体として、第一回転速度で回転させ、触媒溶液を基板8の全面に拡散させる。
【0032】
次いで、第二回転数まで回転数を上げ、触媒溶液を数μm程度の液膜に薄膜化させる。液膜の厚さは回転数によって変化するが、後工程の加熱による結晶化工程で必要となる触媒の表面濃度によって、触媒溶液の濃度から必要となる液膜の膜厚が計算される。このとき、過剰となった触媒溶液は、排液口2cを通って排気口5から排出される。
【0033】
その後、液膜が乾燥し、基板表面が露出する前に、第三の回転数まで減速する。液膜が乾燥する前に減速することにより、回転による遠心力を軽減し、先に乾燥した部分に未乾燥部分から液が流れて、析出した触媒が流され、触媒の分布にムラが生じるのを防ぐことができる。
【0034】
本発明における第二工程において、第一回転速度、第二回転速度および第三回転速度の関係について、図2を用いて説明する。図2は、第一回転速度、第二回転速度および第三回転速度と、時間との関係の一例を示すグラフである。
【0035】
第一回転速度は、基板8上に塗布された触媒溶液を第一回転速度に基づく遠心力により、基板全体に拡散するためのものである。好ましい第一回転速度は、10〜100rpmである。10rpm未満であると、回転による遠心力が不足し滴下した触媒溶液が基板全面に広がらなくなるからであり、100rpmを超えると、遠心力によって基板外に振り切られる液が多くなり基板全面に液膜を形成するのに必要な液量が増大するからである。たとえば、620×750mm2の基板を用い、10ppmの酢酸ニッケル水溶液を約300cc滴下する場合には、好ましい第一回転速度は、約15rpmであるが、これに限定されない。かかる第一回転数での回転を維持する時間は、回転数および基板の大きさなどの諸条件により適宜設定する必要があるが、上記の条件の場合は、液膜が基板の四隅まで確実に広がるよう約30秒が好ましい。
【0036】
次いで、第一回転速度での拡散が終わった後、第二回転速度まで加速する。第二回転速度まで加速することにより、基板上の液が遠心力により振り切られるからであり、また、液の粘性、基板と液との濡れ性および回転による遠心力に依存する膜厚の液膜を、基板上に形成できるからである。かかる加速の加速度は、10〜50rpm/sであることが好ましい。10rpm/s未満であると、加速に時間がかかり、かつ基板周辺の乾燥が進んでしまうからであり、50rpm/sを超えると基板の回転に液膜がついていかず、振切りが十分におこなわれなくなって薄膜にならなくなるからである。また、第二回転速度は、400〜1000rpmが好ましい。400rpm未満であると、振切りが十分におこなわれなくなって薄膜にならなくなるからであり、1000rpmを超えると基板周辺の乾燥がすすんでしまい未乾燥部分から液が流れて、析出した触媒が流され、触媒の分布にムラが生じるからである。また、たとえば上記の条件の場合、第二回転速度の一例を挙げると、図2に示されるように、900rpmにすることができ、かかる回転速度の維持時間は約5秒程度である。
【0037】
第二回転速度での液膜形成が終わると、第三回転速度まで減速する。液膜が乾燥する前に減速することにより、回転による遠心力を軽減し、先に乾燥した部分に未乾燥部分から液が流れて、析出した触媒が流され、触媒の分布にムラが生じるのを防ぐことができる。かかる加速の加速度は、50〜250rpm/sであることが好ましい。50rpm/s未満であると、時間がかかるとともに、基板周辺の乾燥がすすんでしまい未乾燥部分から液が流れて、析出した触媒が流され、触媒の分布にムラが生じるとなるからであり、250rpm/sを超えると減速により基板に力がかかり破損する恐れがあるからである。ここで、上記第三回転速度まで減速する際の加速度は絶対値で示されており、第三回転速度は、第二回転速度から減速されるものであるから、当該加速度は負の値を有するものである。
【0038】
また、第三回転速度は、5〜150rpmが好ましい。5rpm未満であると、気流のバラツキによって生じる基板面内の乾燥のバラツキを回転によって平均化する効果が働かなくなるからであり、150rpmを超えると回転による遠心力によって、先に乾燥した部分に未乾燥部分から液が流れて、析出した触媒が流され触媒の分布にムラが生じる恐れがあるからである。また、たとえば上記の条件の場合、第三回転速度の一例を挙げると、図2に示されるように、50rpmにすることができる。
【0039】
(第三工程)
本発明における第三工程では、上記第三回転数での回転を所定時間維持したまま、送風ユニット7を作動させて給気口2dから気流をカップ2内に流入し、基板表面の触媒溶液を乾燥して触媒を析出させる。たとえば、上記の如く基板を使用する場合は、図2に示されるように、約60秒間第三回転速度で維持する。かかるようにすることで均一に触媒を塗布することができる。
【0040】
その後、カップ2の回転を停止させ、送風ユニット7を停止し、上カップ2aを元にあった上方の位置まで移動して、触媒塗布が完了された基板8を取り出す。
【0041】
表面に塗布された触媒の分布は、全反射蛍光X線測定法により触媒元素の表面密度として測定することができ、上記の条件で8〜10×1012atoms/cm2程度である。
【0042】
【発明の効果】
上記のとおり、本発明の半導体製造方法および製造装置によれば、対角で1mを超えるような大型基板においても触媒溶液の均一な塗布と乾燥を行い、面内の密度が均一な触媒の析出を達成することができる。これにより、ガラス基板上に形成した非結晶シリコン薄膜の均一な結晶化を達成し、電気的特性が高く、電気的特性の面内におけるばらつきが少なく、高い歩留まりの半導体を製造する方法および製造装置を、本発明は提供する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の半導体製造装置の概略断面図である。
【図2】第一回転速度、第二回転速度および第三回転速度の関係の一例を示すグラフである。
【図3】触媒の分布にムラがある状態で結晶化を行なった場合の基板の概略平面図である。
【図4】(A)は、触媒が均一に塗布されてない基板において、所定の地点を矢印線分で表わす概略図であり、(B)は、(A)の矢印線分上の地点と触媒析出密度との関係を表わすグラフである。
【符号の説明】
1 基板テーブル、2 カップ、2a 上カップ、2b 下カップ、2c 排液口、2d 給気口、3 モータ、4 筐体、5 排気口、6 フィルターユニット、7 送風ユニット、8 基板、9 塗布ノズル、10 放射状の結晶化ムラ、11 風きり部の結晶化ムラ、12 基板上の端部中央、13 基板上の隅。
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体装置の製造方法および製造装置に関し、より詳細には、結晶性を有するシリコン半導体薄膜の製造方法および製造装置において、触媒を用いて非晶質シリコンを結晶化する際における触媒の塗布を均一に行なうことができるシリコン半導体薄膜の製造方法および製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
薄膜トランジスタ(TFT)などに使用する半導体として、薄膜半導体が知られている。この薄膜半導体は、基板上に薄膜の半導体を形成した構成であり、薄膜の半導体として使用する材料は、取り扱いおよび作製の容易性などの観点から、非晶質シリコン膜が用いられている。
【0003】
しかしながら、その電気的特性は低いために、このシリコン膜が結晶性を有するようにする必要がある。かかる結晶性を有するシリコン膜としては、多結晶シリコン、ポリシリコン、微結晶シリコンなどが挙げられる。また、このような結晶性シリコン膜の製造方法のひとつに、まず、基板上に非晶質のシリコン膜を形成し、次いで、この非晶質シリコン膜上に、酸化膜を形成し、その後、Niなどの結晶化を促進する触媒を含んだ溶液を、酸化膜を介して非晶質シリコン膜上に塗布し、これを加熱して、非晶質シリコンを結晶化するものがある。ここで、酸化膜は、触媒溶液との濡れ性を良好にするためのものである。
【0004】
上記結晶性シリコン膜の製造方法において、触媒の均一な塗布は、結晶化の均一性に直接的に影響を及ぼすという観点から、極めて重要な工程である。下記特許文献1には、触媒の塗布の方法として、触媒元素を含む溶液をスピンコーターを用いて塗布する方法が開示されている。この方法は、フォトレジスト膜やゾルゲル薄膜などの形成方法として広く用いられており、塗布完了後に基板全面を覆う膜を形成するものである。また、この方法で塗布を行う際に用いる溶液は、通常、粘度の比較的高いレジスト溶液や高分子溶液等である。レジストや高分子溶液などのような高粘度の溶液の塗布では、塗布完了後には、基板全面に膜が形成されており、塗布途中で一旦液膜が形成された後は、部分的に液がなくなったりすることはない。
【0005】
しかし、上記スピンコーターを用いる方法において、塗布する溶液の粘度が小さい場合には、レジスト溶液などと液の流動特性や塗布後の溶質の分布が大きく違うので、低粘性の触媒溶液の塗布には使用し難い。すなわち、触媒濃度が1から100ppm程度の希薄溶液を触媒溶液として使用する場合は、溶媒の蒸発により、溶質である触媒が基板表面に点在する状態であるので、部分的な乾燥が起こってしまう。これにより、局所的に触媒が凝集して析出したり、触媒が存在しないところが発生してしまう。また一旦乾燥して触媒が析出したところに、未乾燥の溶液が流れていくと、析出した触媒が再溶解してその部分の触媒析出密度が低下してしまう。したがって、このように触媒溶液を均一に塗布する為には塗布工程中の溶液の乾燥状態を制御する必要がある。
【0006】
また、液晶表示装置の製造工程で用いられる矩形のガラス基板で対角1mを超えるような大型基板を用いる場合は、基板上の基板四隅での風きりにより部分的に乾燥が進んでムラとなったり、基板中央と周辺部で回転による周速の違いから周辺部が先に乾燥し、中央の未乾燥溶液が周辺部へ放射状に流れて、放射状ムラが発生しやすく、均一塗布を行うことは困難である。
【0007】
このような触媒の分布にムラがある状態で、結晶化を行った場合の基板の概略平面図を図3に示す。図3に示すように、触媒の分布にムラがある状態では、後工程において、放射状に生じる結晶化ムラ10や、基板四隅の風きり部の結晶化ムラ11が生じる。このような結晶化ムラはその後に基板上に形成される半導体の特性が不均一になり、また、動作不良を生じる原因となる。
【0008】
さらに触媒溶液の溶媒を蒸発させて触媒を析出させる工程においては、基板の四隅において回転による風きりで溶媒の蒸発が促進され、基板中央に比べて析出する触媒の濃度が高くなるという問題がある。図4(A)は、触媒が均一に塗布されてない基板において、所定の地点を矢印線分で表わす概略図であり、図4(B)は、図4(A)の矢印線分上の地点と触媒析出密度との関係を表わすグラフである。図4(A)の矢印線分12、13の場所の触媒析出密度を計測すると、図4(B)に示すように、矢印線分12上の場所では触媒析出密度の分布が、実線14のように基板中心からはなれてもあまり変化しないのに対し、矢印線分13の場所では図4(B)の点線15のように基板の隅付近において、急激に密度が増加する。この様に触媒析出密度に差がある状態で、後工程の結晶化を行うと、基板四隅付近とそれ以外の場所で、結晶化の状態が異なり、これも半導体特性の不均一の原因となってしまう。
【0009】
【特許文献1】
特開平10−256155号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記技術の課題を解決するためのものであり、大型ガラス基板上に形成した非結晶シリコン薄膜を結晶化する半導体製造方法において、結晶化する触媒をムラや密度差なく均一に塗布することにより、形成される半導体の電気的特性が高く、電気的特性の面内におけるばらつきが少なく、しかも歩留まりが高い、半導体製造方法および製造装置を提供する。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、基板表面上に非結晶シリコン膜を形成する第一工程と、触媒溶液を該シリコン膜上に塗布する第二工程と、該触媒溶液の溶媒を乾燥して前記基板上に触媒を析出させる第三工程とを包含する半導体製造方法であって、前記第二工程において、前記シリコン膜上に触媒溶液を滴下し、次いで、前記基板と、該基板を固定した基板テーブルとを内包するためのカップを略密閉し、その後、該カップを回転させて、回転の遠心力により基板の全面に液膜を形成する工程を行なうことを特徴とする半導体製造方法を提供する。
【0012】
本発明では、触媒溶液を基板上に滴下して、カップを回転させて基板全面に液膜を均一に形成する際に、カップが略密閉されているので、カップ内の基板周辺の気体も基板とともに回転することができ、従来の技術では生じていた、基板の四隅などの周辺部分において風きりなどが発生せず、乾燥ムラや中央部との濃度差も生じることはない。
【0013】
また、基板と周辺の気体も一緒に回転するので、基板上の触媒溶液に対して回転による相対的な風が無く、基板のみを回転させる場合に比べて触媒溶液の蒸発は少なく、部分的に溶液が乾燥して基板表面が露出してしまうことなく、所望の触媒析出濃度が得られる膜厚の溶液膜を基板全面に形成することができる。
【0014】
好ましくは、前記第二工程における前記触媒溶液の液膜形成工程が、第一回転速度で前記カップを回転することにより、前記触媒溶液を基板全面に拡散する工程と、該拡散工程の後に、前記第一回転速度より速い第二回転速度まで加速して、所望の膜厚の液膜を形成する工程と、該所望の膜厚形成工程の後、前記第二回転速度より遅い第三回転速度まで減速する工程を包含する。
【0015】
かかるように、第一回転数で回転することにより、溶液の飛び散りなどを生じることなく触媒溶液を基板全面に拡散することができ、第二回転数による回転により、所望の触媒析出密度が得られるような膜厚になるように、余分な溶液の振り切りと液膜の薄膜化を行なうことができ、第三回転数による回転により、所望の液膜が得られた状態で回転による遠心力を下げ、周辺部の乾燥が中央部に比べて促進しないようにすることができる。
【0016】
好ましくは、前記第三工程において、前記カップの略密閉状態を解放して、気体を該カップ内に流入させることにより、前記触媒溶液の溶媒を蒸発させる工程を行なう。かかる手法を用いることにより、溶液中の溶媒の蒸発が促進され溶質を基板上に析出させることができる。また、すでに所望の膜厚の液膜が形成され、液の流動が収まっている状態で蒸発するので、放射状のムラが発生することは無い。好ましくは、前記第三回転速度は、5〜150rpmである。また、前記液膜形成工程における第三速度まで減速する工程は、基板上の塗布溶液が乾燥して基板が露出する前に行なわれることが好ましい。
【0017】
本発明はまた、基板と、該基板を保持するための基板テーブルと、該基板および該基板テーブルを内包し、かつ該基板テーブルと同期して回転可能なカップと、塗布溶液を前記基板上に滴下するための塗布ノズルと、気体を該カップ内に供給するための給気口と、該給気口に気体を供給するための送風手段とを備えた半導体製造装置を提供する。
【0018】
好ましくは、前記カップは上部カップと下部カップからなり、該上部カップは基板の上方に位置しかつ上下方向に移動可能であり、該下部カップは基板の下方に位置しており、前記上部カップと前記下部カップとを接触させることにより、該カップ内を略密閉することが可能である。かかる装置を用いることにより、均一な液膜の塗布および乾燥を行なうことができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の半導体製造方法は、基板表面上に非結晶シリコン膜を形成する第一工程と、触媒溶液を該シリコン膜上に塗布する第二工程と、該触媒溶液の溶媒を乾燥して前記基板上に触媒を析出させる第三工程とを包含する。以下それぞれの工程について説明する。
【0020】
(第一工程)
本発明における第一工程は、基板表面上に非結晶シリコン膜を形成する工程である。つまり、この工程は、触媒溶液を塗布する前の処理として、基板上にアモルファスシリコンを作製するものである。本発明においては、かかるアモルファスシリコンを結晶化する。以下に、上記非結晶シリコン膜形成工程についてより詳細に説明する。
【0021】
まず、CVD(化学蒸着法)を用いて、アモルファスシリコンを基板表面上に成膜する。ここで使用する基板は、ガラス基板などの公知のものを使用することができる。また、ここで使用する基板の寸法は、製品化する対象に応じて適宜選択することができるが、たとえば一例をあげるならば、620×750mm2などである。次いで、成膜された表面を洗浄する。洗浄の手順はまず基板を100rpmで回転させながら濃度100ppm程度のオゾン水を基板表面にかけて、オゾン水の酸化作用によりSiO2膜を形成する。次に0.5%のフッ化水素水をかけて基板表面に形成されたSiO2膜を除去する。このとき基板表面に付着した異物やアモルファスシリコンの成膜後の時間経過で生じる自然酸化膜も一緒に除去し、清浄なアモルファスシリコン膜の表面が露出する。続いて再度オゾン水をかけることにより、露出したアモルファスシリコン膜表面に、清浄なSiO2酸化膜が形成される。酸化膜を形成することにより、接触角が10度以下の水の濡れ性がよい状態となる。このような処理を施した基板を、次の第二工程において使用する。
【0022】
(第二工程)
本発明における第二工程は、第一工程において作製されたアモルファスシリコン膜が形成された基板の上に、触媒溶液を塗布する工程である。本発明においては、かかる触媒溶液を基板に対して均一に塗布するものである。この工程について図を用いて説明する。
【0023】
この第二工程において用いる装置が、図1に示されている。図1は、本発明の半導体製造装置の概略断面図である。図1中において、基板8を保持する基板テーブル1と、基板テーブル1を内包するカップ2と、基板テーブル1とカップ2を同軸で回転させるモータ3と、筐体4と、筐体4にダウンフローを発生させるためのHEPAフィルターユニット6と、カップに気体送風するための送風ユニット7と、ダウンフローを排気するための排気口5と、基板8上に塗布溶液を滴下する塗布ノズル9とを備える。なお、図中の矢印は、気体の流れの方向を示す。
【0024】
図1中のカップ2は、上カップ2aと下カップ2bで構成される。上カップ2aは、図示しない昇降機構によって上下に移動可能である。上カップ2aが上方にある場合は、上カップ2aは下カップ2bと分離されており、モータ3を回転すると、上カップ2aは回転しないが、下カップ2bは回転する。また、上カップ2aが下カップ2bと接触している場合は、カップ内を略密閉することができ、モータ3を回転することにより、上カップ2aと下カップ2bとを一緒に回転することができる。
【0025】
また、上カップ2aには中央付近に給気口2dが設けられ、送風ユニット7で発生させた気流を、給気口2dの上方からカップ2内に向かって導入することができる。下カップ2bには排液口2cが設けられ、基板8から離脱した塗布液がカップ2から排出されるように、下カップ2bの底面外周部に開口している。
【0026】
HEPAフィルターユニット6は、筐体4内に清浄なダウンフローを供給するものである。排気口5はHEPAフィルターユニット6により供給された気体を排気するとともに、カップ2の排液口から排出される余分な塗布液をも筐体外に排出する。
【0027】
送風ユニット7は、HEPAフィルターユニット6によって供給された気流の一部を、強制的にカップ2の給気口2dに送風する。カップ2内に送り込まれた気流は排液口2cから押し出され、排気口5から排出される。
【0028】
塗布ノズル9は、上カップ2aが上方にあるときに、基板8の上に移動して塗布液を基板8上に滴下する。
【0029】
次いで、この装置を用いて、本発明における第二工程を実行する手段を説明する。
【0030】
まず、上記第一工程において作製された基板8を、上で説明した装置の基板テーブル1上に設置する。次いで、塗布ノズル9を基板8の上方に移動させて、触媒溶液を基板8の中央に滴下する。かかる触媒溶液は、結晶化の触媒としてNiをベースとするものが好ましい。たとえば、溶媒として純水を用い、溶質には水溶性の高い酢酸Niを用いた、酢酸ニッケル水溶液が挙げられるが、これに限定されない。また、滴下する量は、基板の寸法に応じて適宜選択する必要があるが、たとえば、上記第一工程において使用したような620×750mm2の基板を用いる場合は、約300cc滴下することが好ましい。また、上記酢酸ニッケル水溶液の濃度は、好ましくは、10ppmである。
【0031】
その後、上カップ2aを下方に移動させて下カップ2bと連結し、基板テーブル1と基板8とを内包して、カップ2を略密閉状態とする。ここで略密閉状態とは、カップ内の気体が、カップを回転させたときにカップと一緒に回転する程度に密閉するという意味である。次に、基板テーブル1、これに保持された基板8およびカップ2を一体として、第一回転速度で回転させ、触媒溶液を基板8の全面に拡散させる。
【0032】
次いで、第二回転数まで回転数を上げ、触媒溶液を数μm程度の液膜に薄膜化させる。液膜の厚さは回転数によって変化するが、後工程の加熱による結晶化工程で必要となる触媒の表面濃度によって、触媒溶液の濃度から必要となる液膜の膜厚が計算される。このとき、過剰となった触媒溶液は、排液口2cを通って排気口5から排出される。
【0033】
その後、液膜が乾燥し、基板表面が露出する前に、第三の回転数まで減速する。液膜が乾燥する前に減速することにより、回転による遠心力を軽減し、先に乾燥した部分に未乾燥部分から液が流れて、析出した触媒が流され、触媒の分布にムラが生じるのを防ぐことができる。
【0034】
本発明における第二工程において、第一回転速度、第二回転速度および第三回転速度の関係について、図2を用いて説明する。図2は、第一回転速度、第二回転速度および第三回転速度と、時間との関係の一例を示すグラフである。
【0035】
第一回転速度は、基板8上に塗布された触媒溶液を第一回転速度に基づく遠心力により、基板全体に拡散するためのものである。好ましい第一回転速度は、10〜100rpmである。10rpm未満であると、回転による遠心力が不足し滴下した触媒溶液が基板全面に広がらなくなるからであり、100rpmを超えると、遠心力によって基板外に振り切られる液が多くなり基板全面に液膜を形成するのに必要な液量が増大するからである。たとえば、620×750mm2の基板を用い、10ppmの酢酸ニッケル水溶液を約300cc滴下する場合には、好ましい第一回転速度は、約15rpmであるが、これに限定されない。かかる第一回転数での回転を維持する時間は、回転数および基板の大きさなどの諸条件により適宜設定する必要があるが、上記の条件の場合は、液膜が基板の四隅まで確実に広がるよう約30秒が好ましい。
【0036】
次いで、第一回転速度での拡散が終わった後、第二回転速度まで加速する。第二回転速度まで加速することにより、基板上の液が遠心力により振り切られるからであり、また、液の粘性、基板と液との濡れ性および回転による遠心力に依存する膜厚の液膜を、基板上に形成できるからである。かかる加速の加速度は、10〜50rpm/sであることが好ましい。10rpm/s未満であると、加速に時間がかかり、かつ基板周辺の乾燥が進んでしまうからであり、50rpm/sを超えると基板の回転に液膜がついていかず、振切りが十分におこなわれなくなって薄膜にならなくなるからである。また、第二回転速度は、400〜1000rpmが好ましい。400rpm未満であると、振切りが十分におこなわれなくなって薄膜にならなくなるからであり、1000rpmを超えると基板周辺の乾燥がすすんでしまい未乾燥部分から液が流れて、析出した触媒が流され、触媒の分布にムラが生じるからである。また、たとえば上記の条件の場合、第二回転速度の一例を挙げると、図2に示されるように、900rpmにすることができ、かかる回転速度の維持時間は約5秒程度である。
【0037】
第二回転速度での液膜形成が終わると、第三回転速度まで減速する。液膜が乾燥する前に減速することにより、回転による遠心力を軽減し、先に乾燥した部分に未乾燥部分から液が流れて、析出した触媒が流され、触媒の分布にムラが生じるのを防ぐことができる。かかる加速の加速度は、50〜250rpm/sであることが好ましい。50rpm/s未満であると、時間がかかるとともに、基板周辺の乾燥がすすんでしまい未乾燥部分から液が流れて、析出した触媒が流され、触媒の分布にムラが生じるとなるからであり、250rpm/sを超えると減速により基板に力がかかり破損する恐れがあるからである。ここで、上記第三回転速度まで減速する際の加速度は絶対値で示されており、第三回転速度は、第二回転速度から減速されるものであるから、当該加速度は負の値を有するものである。
【0038】
また、第三回転速度は、5〜150rpmが好ましい。5rpm未満であると、気流のバラツキによって生じる基板面内の乾燥のバラツキを回転によって平均化する効果が働かなくなるからであり、150rpmを超えると回転による遠心力によって、先に乾燥した部分に未乾燥部分から液が流れて、析出した触媒が流され触媒の分布にムラが生じる恐れがあるからである。また、たとえば上記の条件の場合、第三回転速度の一例を挙げると、図2に示されるように、50rpmにすることができる。
【0039】
(第三工程)
本発明における第三工程では、上記第三回転数での回転を所定時間維持したまま、送風ユニット7を作動させて給気口2dから気流をカップ2内に流入し、基板表面の触媒溶液を乾燥して触媒を析出させる。たとえば、上記の如く基板を使用する場合は、図2に示されるように、約60秒間第三回転速度で維持する。かかるようにすることで均一に触媒を塗布することができる。
【0040】
その後、カップ2の回転を停止させ、送風ユニット7を停止し、上カップ2aを元にあった上方の位置まで移動して、触媒塗布が完了された基板8を取り出す。
【0041】
表面に塗布された触媒の分布は、全反射蛍光X線測定法により触媒元素の表面密度として測定することができ、上記の条件で8〜10×1012atoms/cm2程度である。
【0042】
【発明の効果】
上記のとおり、本発明の半導体製造方法および製造装置によれば、対角で1mを超えるような大型基板においても触媒溶液の均一な塗布と乾燥を行い、面内の密度が均一な触媒の析出を達成することができる。これにより、ガラス基板上に形成した非結晶シリコン薄膜の均一な結晶化を達成し、電気的特性が高く、電気的特性の面内におけるばらつきが少なく、高い歩留まりの半導体を製造する方法および製造装置を、本発明は提供する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の半導体製造装置の概略断面図である。
【図2】第一回転速度、第二回転速度および第三回転速度の関係の一例を示すグラフである。
【図3】触媒の分布にムラがある状態で結晶化を行なった場合の基板の概略平面図である。
【図4】(A)は、触媒が均一に塗布されてない基板において、所定の地点を矢印線分で表わす概略図であり、(B)は、(A)の矢印線分上の地点と触媒析出密度との関係を表わすグラフである。
【符号の説明】
1 基板テーブル、2 カップ、2a 上カップ、2b 下カップ、2c 排液口、2d 給気口、3 モータ、4 筐体、5 排気口、6 フィルターユニット、7 送風ユニット、8 基板、9 塗布ノズル、10 放射状の結晶化ムラ、11 風きり部の結晶化ムラ、12 基板上の端部中央、13 基板上の隅。
Claims (7)
- 基板表面上に非結晶シリコン膜を形成する第一工程と、触媒溶液を該シリコン膜上に塗布する第二工程と、該触媒溶液の溶媒を乾燥して前記基板上に触媒を析出させる第三工程とを包含する半導体製造方法であって、
前記第二工程において、前記シリコン膜上に触媒溶液を滴下し、次いで、前記基板と、該基板を固定した基板テーブルとを内包するためのカップを略密閉し、その後、該カップを回転させて、回転の遠心力により基板の全面に液膜を形成する工程を行なうことを特徴とする、半導体製造方法。 - 前記第二工程における前記触媒溶液の液膜形成工程が、
第一回転速度で前記カップを回転することにより、前記触媒溶液を基板全面に拡散する工程と、
該拡散工程の後に、前記第一回転速度より速い第二回転速度まで加速して、所望の膜厚の液膜を形成する工程と、
該所望の膜厚形成工程の後、前記第二回転速度より遅い第三回転速度まで減速する工程と
を包含することを特徴とする、請求項1に記載の半導体製造方法。 - 前記第三工程において、前記カップの略密閉状態を解放して、気体を該カップ内に流入させることにより、前記触媒溶液の溶媒を蒸発させる工程を行なうことを特徴とする、請求項1または2に記載の半導体製造方法。
- 前記第三回転速度が、5〜150rpmであることを特徴とする、請求項2または3に記載の半導体製造方法。
- 前記液膜形成工程における第三速度まで減速する工程は、基板上の塗布溶液が乾燥して基板が露出する前に行なわれることを特徴とする、請求項2〜4のいずれかに記載の半導体製造方法。
- 基板と、該基板を保持するための基板テーブルと、該基板および該基板テーブルを内包し、かつ該基板テーブルと同期して回転可能なカップと、塗布溶液を前記基板上に滴下するための塗布ノズルと、気体を該カップ内に供給するための給気口と、該給気口に気体を供給するための送風手段とを備えた半導体製造装置。
- 前記カップは上部カップと下部カップからなり、該上部カップは基板の上方に位置しかつ上下方向に移動可能であり、該下部カップは基板の下方に位置しており、前記上部カップと前記下部カップとを接触させることにより、該カップ内を略密閉することを特徴とする、請求項6に記載の半導体製造装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003163811A JP2005005302A (ja) | 2003-06-09 | 2003-06-09 | 半導体製造方法および製造装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003163811A JP2005005302A (ja) | 2003-06-09 | 2003-06-09 | 半導体製造方法および製造装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005005302A true JP2005005302A (ja) | 2005-01-06 |
Family
ID=34090811
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003163811A Pending JP2005005302A (ja) | 2003-06-09 | 2003-06-09 | 半導体製造方法および製造装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2005005302A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011062739A (ja) * | 2009-09-18 | 2011-03-31 | Disco Abrasive Syst Ltd | レーザー加工装置 |
JP2011062740A (ja) * | 2009-09-18 | 2011-03-31 | Disco Abrasive Syst Ltd | レーザー加工装置 |
JP2013038184A (ja) * | 2011-08-05 | 2013-02-21 | Tokyo Electron Ltd | 液処理装置 |
JP2015099853A (ja) * | 2013-11-19 | 2015-05-28 | 株式会社ジャパンディスプレイ | 多結晶化方法 |
-
2003
- 2003-06-09 JP JP2003163811A patent/JP2005005302A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011062739A (ja) * | 2009-09-18 | 2011-03-31 | Disco Abrasive Syst Ltd | レーザー加工装置 |
JP2011062740A (ja) * | 2009-09-18 | 2011-03-31 | Disco Abrasive Syst Ltd | レーザー加工装置 |
JP2013038184A (ja) * | 2011-08-05 | 2013-02-21 | Tokyo Electron Ltd | 液処理装置 |
JP2015099853A (ja) * | 2013-11-19 | 2015-05-28 | 株式会社ジャパンディスプレイ | 多結晶化方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US5912049A (en) | Process liquid dispense method and apparatus | |
TWI498171B (zh) | 塗佈處理方法、電腦記憶媒體及塗佈處理裝置 | |
TWI459157B (zh) | 塗布處理方法、塗布處理裝置及電腦可讀取之記憶媒體 | |
JP3752149B2 (ja) | 塗布処理装置 | |
CN108067401B (zh) | 涂敷方法 | |
JPH10125581A (ja) | 塗布液塗布方法 | |
JP7235594B2 (ja) | 基板処理方法および基板処理装置 | |
KR102006059B1 (ko) | 스핀 코팅 프로세스에서 결함 제어를 위한 덮개 플레이트 | |
JP3315608B2 (ja) | 塗布液塗布方法 | |
WO2006068127A1 (ja) | エピタキシャルシリコンウェハの製造方法 | |
US5985364A (en) | Method of exhaust control for spin-on films with reduced defects | |
JP2005005302A (ja) | 半導体製造方法および製造装置 | |
CN111905988B (zh) | 光刻胶的涂胶方法 | |
CN110941143A (zh) | 光阻旋涂装置以及光阻旋涂方法 | |
JP2009272493A (ja) | 塗布装置及び塗布方法並びに記憶媒体 | |
US9793111B2 (en) | Spin coating method and manufacturing method of electronic component | |
JP2004165494A (ja) | 半導体製造方法および製造装置 | |
JP4454215B2 (ja) | 溶液塗布方法 | |
JP2005005303A (ja) | 溶液塗布方法および溶液塗布装置 | |
JP7138493B2 (ja) | 基板液処理方法、記憶媒体および基板液処理装置 | |
JP2004128214A (ja) | 回転塗布装置および回転塗布方法 | |
JP3361656B2 (ja) | 塗布液塗布方法 | |
CN115365085B (zh) | 涂布处理方法及涂布处理装置 | |
WO2020170630A1 (ja) | ドーパント拡散処理の前処理方法および基板処理装置 | |
JP2005000726A (ja) | 回転塗布装置および回転塗布方法 |