JP2005000569A - ステントの縮径保持方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ステントの縮径保持操作を、特別な技術を要することなく、手術現場で容易に行うことができ、ステントの拡張操作もスムーズに行えるようにしたステントの縮径保持方法を提供する。
【解決手段】金属線材11をジグザグ状に屈曲させてステント保持具10を形成し、ステント42を縮径させて、その外周を上記ステント保持具10で包み込んで縮径状態を保持させる。こうして縮径されたステントを管状器官の治療箇所に挿入し、金属線材11を引っ張って解除させることにより、ステントを拡張させて管状器官内に留置させることができる。ステント保持具10は、金属線材11をジグザグ状に屈曲した平面的な形状に成形されており、金属線材11の折り返し部11cから折り返し部11cに至る並列した線状部分11dを湾曲させることにより、ステントの外周を包み込むことが好ましい。また、金属線材11の折り返し部から折り返し部に至る長さは、ステント42の縮径状態での円周以上の長さとすることが好ましい。
【選択図】 図3
【解決手段】金属線材11をジグザグ状に屈曲させてステント保持具10を形成し、ステント42を縮径させて、その外周を上記ステント保持具10で包み込んで縮径状態を保持させる。こうして縮径されたステントを管状器官の治療箇所に挿入し、金属線材11を引っ張って解除させることにより、ステントを拡張させて管状器官内に留置させることができる。ステント保持具10は、金属線材11をジグザグ状に屈曲した平面的な形状に成形されており、金属線材11の折り返し部11cから折り返し部11cに至る並列した線状部分11dを湾曲させることにより、ステントの外周を包み込むことが好ましい。また、金属線材11の折り返し部から折り返し部に至る長さは、ステント42の縮径状態での円周以上の長さとすることが好ましい。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば血管、尿管、胆管、気管などの人体の管状器官に挿入、配置されるステントの縮径保持方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、血管、尿管、胆管、気管などの人体の管状器官における治療のため、それらの患部にステントを挿入し配置することが行われている。例えば血管の狭窄部にステントを配置して拡張したり、動脈瘤が形成された箇所にステントを配置して動脈瘤の破裂を防止する治療方法が知られている。特に動脈瘤の治療においては、ステントの外周にグラフトという織布を被覆してなるグラフト付きステントが使用されている。
【0003】
ステントの挿入方法としては、血管等の管状器官内に経皮的にカテーテルを挿入し、このカテーテルを通してステントを管状器官内に押出して留置させる方法も採用されているが、治療箇所がそのような方法では挿入しにくいような位置にあったり、治療箇所が複数あってカテーテルを通して挿入する方法では作業性が悪いような場合には、外科的に体を切開して管状器官の患部に直接ステントを挿入する方法が採用されている。
【0004】
このように、管状器官の患部に直接ステントを挿入する場合でも、管状器官の切り口等からステントを挿入するために、ステントを縮径させた状態に保持する必要があった。しかしながら、ステントは、管状器官内に留置されたときに拡張して管状器官内壁に固定されるため、縮径させた状態に保持するためには、外部から拘束する必要がある。
【0005】
このような目的のため、下記特許文献1には、拡張可能なインプラントを潰された状態に一時的に拘束して展開部位へ送給する送給装置であって、拡張可能なインプラントを取り巻くように構成されて、該インプラントを、哺乳類の身体管腔を通して送給する間、潰れ状態に維持するシート材と、該シート材の複数部分を互いに連結して、該インプラントを該潰れ状態に維持する連結部材とを具備する装置が開示されている。
【0006】
また、下記特許文献2には、基部側端と末端とを備えたステントと、 折りたたまれた状態に前記ステントを保持するために解放可能に前記ステントに結合されたラインとを具備し、前記ラインは、前記ステントが前記基部側端から前記末端への方向に漸進的に拡張するように、解放されるべく配置されている、医療装置が開示されている。また、前記ラインが、袋を結ぶ結び目(sack knot)の構成をなして配置され、好ましくはヘリンボンパターンを有するものであることが記載されている。
【0007】
【特許文献1】
特表2001−506902号公報
【特許文献2】
特表2000−503559号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ステントを縮径保持させるための従来の方法では、糸のような線材によって縛り付け、この線材を引っ張ることによって開放する構成であったため、縛り方の技術を習得する必要があり、また、線材を引っ張ったときに、線材がスムーズに解けない可能性もあった。
【0009】
したがって、本発明の目的は、ステントの縮径保持操作を、特別な技術を要することなく、手術現場で容易に行うことができ、ステントの拡張操作もスムーズに行えるようにしたステントの縮径保持方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の第1は、ステントを縮径させて、その外周をジグザグ状に屈曲させた金属線材で包み込むことを特徴とするステントの縮径保持方法を提供するものである。
【0011】
上記発明によれば、ステントを縮径させて、その外周をジグザグ状に屈曲させた金属線材で包み込むようにしたので、特別な技術を要せずに、手術現場で容易に、ステントを縮径保持させることができる。また、縮径保持させたステントを管状器官の治療箇所に挿入した後、金属線材の端部を引っ張ることにより、ジグザグ状に屈曲した金属線材が絡まることなくスムーズに引き出され、ステントを容易に拡張させることができる。
【0012】
本発明の第2は、上記第1の発明において、前記金属線材をジグザグ状に屈曲した平面的な形状に成形した後、前記金属線材の折り返し部から折り返し部に至る並列した線状部分を湾曲させることにより、前記ステントの外周を包み込むステントの縮径保持方法を提供するものである。
【0013】
上記発明によれば、金属線材の折り返し部から折り返し部に至る並列した線状部分によって、縮径させたステントをほぼ等間隔で保持することができ、縮径状態でのステントの柔軟性が保たれやすくなり、金属線材の端部を引っ張って引き出すときに、ステントの端部側から徐々に拡張させることができる。
【0014】
本発明の第3は、上記第1又は第2の発明において、前記金属線材の折り返し部から折り返し部に至る長さは、前記ステントの前記縮径状態での円周以上の長さとするステントの縮径保持方法を提供するものである。
【0015】
上記発明によれば、縮径状態のステントをしっかりと保持することができる。
【0016】
本発明の第4は、上記第1〜3の発明のいずれかにおいて、前記ステントの中心に芯材を挿入し、前記ステントをこの芯材の外周に当接させながら縮径させ、その外周を前記金属線材で包み込むステントの縮径保持方法を提供するものである。
【0017】
上記発明によれば、ステントを芯材の外周に当接させながら縮径させることによって縮径させやすくなり、金属線材で縮径保持させた後、この芯材を持ってステントを管状器官内に挿入することができ、ステントを拡張させるために金属線材を引っ張るときに、芯材によってステントが移動しないように抑えつつ引っ張ることができる。
【0018】
本発明の第5は、上記第1〜4の発明のいずれかにおいて、前記金属線材の折り返し部に線状部材を引き掛け、この線状部材を引っ張りながら、前記金属線材を前記ステントの外周に巻き付けて包み込むステントの縮径保持方法を提供するものである。
【0019】
上記発明によれば、縮径させたステントの外周を金属線材で包み込むときに、線状部材を引っ張ることによって金属線材を引き締め、金属線材がステントの外周に密着するように包み込ませることができる。
【0020】
本発明の第6は、上記第1〜5の発明のいずれかにおいて、前記ステントは、その外周及び/又は内周に筒状カバーを有するグラフト付きステントであるステントの縮径保持方法を提供するものである。
【0021】
上記発明によれば、ステントの外周及び/又は内周が筒状カバーで覆われているので、例えば血管の動脈瘤の治療などに適用することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を図面につき詳しく説明する。本発明は、これらの実施の形態のみに限定されるものではない。
【0023】
図1、2には、本発明の方法に用いられるジグザグ状に屈曲させた金属線材からなるステント保持具の例が示されている。
【0024】
図1(A)のステント保持具10は、金属線材11を平面上にてジグザグ状に屈曲して構成されている。金属線材11は、丸く屈曲された遠位端11aと、近位端11bとを有し、それらの間に、折り返し部11cによってジグザグ状に屈曲された部分を有している。そして、折り返し部11cから折り返し部11cに至る部分は、金属線材11がほぼ平行に並列した並列部11dをなしている。
【0025】
図1(B)のステント保持具20は、並列部11dの中央に、屈曲部11eが形成されており、それによって、並列部11dは、「く」の字形に曲げられてほぼ平行に並列した状態になっている。そして、近位端11bは、「く」の字形の屈曲形状の内側方向に引き出されており、それによってステントの縮径状態を解除させるために金属線材11を引っ張るとき、金属線材11が絡まることなくスムーズに引き出されるようにしている。
【0026】
図1(C)のステント保持具30は、並列部11dの中央に、S字状かつ段状に屈曲された部分11fを有し、それによって折り返し部11cの内周の間隔P1は狭くされ、外周の間隔P2は広くされている。その結果、縮径させたステントの外周を包み込んだとき、広い間隔P2の部分に狭い間隔P1の部分が入り込むため、金属線材11どうしの重なりを防ぐことができる。
【0027】
なお、図1(A)、(B)及び(C)において、金属線材11の折り返し部11cから折り返し部11cに至る幅Wは、後述するステントの縮径状態での周長よりも長いことが好ましく、上記周長の1.1〜1.5倍であることがより好ましい。また、ジグザグ状に屈曲した部分の長さXは、特に限定されないが、ステントの縮径状態での長さより若干長めであることが好ましい。更に、並列部11dの配列間隔Pは、ステントの拡径状態の径や縮径状態の径などにより適宜決められる。
【0028】
図2に示すように、金属線材11は、同図(A)に示すような丸線であってもよく、同図(B)に示すような平線であってもよい。また、同図(C)に示すように、丸線からなる金属線材11の外周に、樹脂膜12が被覆されたものであってもよく、同図(D)に示すように、平線からなる金属線材11の外周に上記のような樹脂膜12が被覆されたものであってもよい。更に、同図(E)に示すように、丸線からなる金属線材11の外周に樹脂膜12が被覆され、該樹脂膜12の周方向に対向する部分が外方に延出されてフィン状部分12aをなすものであってもよい。上記樹脂膜12としては、生体適合性を有するものが好ましく、例えばフッ素樹脂、シリコン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂等が採用される。
【0029】
金属線材11としては、生体適合性があって、ステントを縮径状態に保持できる剛性を有する金属であればいずれも使用できる。例えば熱処理による形状記憶効果や、超弾性が付与される形状記憶合金が好ましく採用されるが、用途によってはステンレス、タンタル、チタン、白金、金、タングステンなどを用いてもよい。形状記憶合金としては、Ni−Ti系、Cu−Al−Ni系、Cu−Zn−Al系などが好ましく使用される。また、形状記憶合金の表面に金、白金などをメッキ等の手段で被覆したものであってもよい。
【0030】
形状記憶合金を用いる場合、通電、温風、温水等の加熱によって直線状等に形状復帰させるようにしてもよい。これによれば、金属線材11によってステントを縮径状態に保持させて管状器官内に挿入した後、金属線材11を通電、温風、温水等の加熱手段により加熱させることにより、金属線材11を直線状に復帰させてステントを速やかに拡張させることができる。
【0031】
また、図1の折り返し部11cを局部的に焼きなまして剛性を低下させ、金属線材11の近位端11bを引っ張って引き出すときに、折り返し部11cが速やかに直線状に伸びるようにしてもよい。
【0032】
図3,4には、グラフト付きステントを上記ステント保持具10で縮径保持させる方法の一実施形態が示されている。
【0033】
このグラフト付きステント40は、金属線材41をメッシュ状かつ筒状に編んで形成したステント42と、このステント42の外周に被覆された筒状カバー(グラフト)43とを有している。なお、筒状カバー43は、ステント42の内周に被覆されていてもよく、内周と外周の両方に被覆されていてもよい。
【0034】
金属線材41の材料としては、熱処理による形状記憶効果や、超弾性が付与される形状記憶合金が好ましく採用されるが、用途によってはステンレス、タンタル、チタン、白金、金、タングステンなどを用いてもよい。形状記憶合金としては、Ni−Ti系、Cu−Al−Ni系、Cu−Zn−Al系などが好ましく使用される。また、形状記憶合金の表面に金、白金などをメッキ等の手段で被覆したものであってもよい。金属線材41の太さは、特に限定されないが、例えば血管用ステント等の場合には、0.08〜1mmが好ましい。
【0035】
筒状カバー43は、熱可塑性樹脂を押出し成形、ブロー成形などの成形方法で円筒状に形成したもの、円筒状に形成した熱可塑性樹脂の繊維の編織物、円筒状に形成した熱可塑性樹脂の不織布、円筒状に形成した可撓性樹脂のシートや多孔質シートなどを用いることができる。編織物としては、平織、綾織などの公知の編物や織物を用いることができる。また、筒状カバー43としては、クリンプ加工などのヒダの付いたものを使用することもできる。また、筒状カバー43は、カバーの側部に穴を設けたものを使用することができる。
【0036】
これらの中でも、筒状カバー43としては、特に円筒状に形成した熱可塑性樹脂の繊維の編織物、更には円筒状に形成した熱可塑性樹脂の繊維の平織りの織物が、強度及び有孔度、生産性が優れるため好ましい。
【0037】
熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−α−オレフィン共重合体などのポリオレフィン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートなどのポリエステル、ポリ弗化エチレンやポリ弗化プロピレンなどのフッ素樹脂などの耐久性と組織反応の少ない樹脂などを用いることができる。
【0038】
特に、化学的に安定で耐久性が大きく、組織反応の少ない、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリ弗化エチレンやポリ弗化プロピレンなどのフッ素樹脂を好ましく用いることができる。
【0039】
上記筒状カバー43は、上記実施形態においては、ステント42の両端部に縫着されているが、接着、溶着等によって固着することもできる。この場合、ステント20の縮径や拡径を妨げないように、ステント42への固着箇所を選定する必要がある。
【0040】
筒状カバー43や、該カバーを構成する繊維、更にステント42を構成する金属線材41は、ヘパリン、コラーゲン、アセチルサリチル酸、ゼラチン等の抗血栓性材料で被覆処理されているものを用いることもできる。
【0041】
また、上記グラフト付きステント40の適当な箇所、例えば両端部等には、X線不透過性材料が固着されていてもよい。X線不透過性材料としては、例えば金、白金、イリジウム、タンタル、タングステン、銀等や、それらを含有する合金などが好ましく使用される。X線不透過性材料は、ステント20に、半田付け、ろう付け、溶着、接着、カシメ等の手段で固着することができる。
【0042】
本発明の方法は、上記のようなグラフト付きステント40に好適であるが、筒状カバー43を有しないステントに適用することもできる。本発明の方法が好適なステント又はグラフト付きステントは、その外径が2〜50mm、長さが1〜20cm程度である。
【0043】
本発明の方法は、上記のようなグラフト付きステント40をステント保持具10で縮径保持させる。すなわち、図3(A)に示すように、まず、グラフト付きステント40内に芯材となるシース50を挿入する。そして、同図(B)に示すように、シース50の外周にグラフト付きステント40を押し付けて縮径させ、その外周を前記ステント保持具10で包み込んでいく。この場合、縮径させたグラフト付きステント40を、前記ステント保持具10の並列部11dの中央に沿って配置し、上記並列部11dをグラフト付きステント40の外周に沿って円弧状に湾曲させながら包み込んでいく。
【0044】
こうして図4(A)、(B)に示すように、縮径させたグラフト付きステント40をステント保持具10で包み込んでいくことにより、グラフト付きステント40は、ステント保持具10で縮径された状態を保持され、管状器官内に挿入しやすい形状となる。なお、ステント保持具10で保持させた後、芯材としたシース50は抜き出してもよいが、グラフト付きステント40を管状器官に挿入するときの支持具としてそのまま利用することもできる。
【0045】
図5には、上記ステント保持具10の金属線材11の近位端11bの取出し方を変えたそれぞれ異なる例が示されている。同図(A)の例は、グラフト付きステント40の先端側からステント保持具10で包み込んでいき、グラフト付きステント40の基端側まで包み込んだ後、金属線材11の近位端11bをシース50に沿って基部側に引き出したものである。
【0046】
同図(B)の例は、グラフト付きステント40の基端側からステント保持具10で包み込んでいき、グラフト付きステント40の先端まで包み込んだ後、金属線材11の近位端11bをシース50の先端開口部に挿入し、シース50の基端開口部から取出したものである。
【0047】
同図(C)の例は、グラフト付きステント40の先端側からステント保持具10で包み込んでいき、グラフト付きステント40の基端側まで包み込んだ後、金属線材11の近位端11bをシース50の周壁に形成した孔51に挿入し、シース50の基端開口部から取出したものである。
【0048】
図6には、グラフト付きステント40をステント保持具10で包み込む方法の他の実施形態が示されている。この実施形態では、同図(A)に示すように、ステント保持具10の折り返し部11cに糸等の線状部材13をそれぞれ引き掛け、このステント保持具10の並列部11dを縮径させたグラフト付きステント40の外周にあてがい、同図(B)に示すように、線状部材13で金属線材11を引っ張りながら、縮径させたグラフト付きステント40の外周に、ステント保持具10の並列部11dを巻き付けて包み込む。
【0049】
この方法によれば、線状部材13で金属線材11を引っ張りながら包み込むので、金属線材11がグラフト付きステント40の外周に密着し、より小さく縮径させて保持することができる。
【0050】
図7〜9には、こうして縮径保持されたグラフト付きステント40を、血管60内に挿入し、血管60内の動脈瘤61を治療する方法を示している。
【0051】
すなわち、上記のような方法でステント保持具10によって縮径保持させたグラフト付きステント40をシース50の先端部に装着した状態で、シース50を保持しながら血管60内に挿入する。この血管60内への挿入は、外科的に体を切り開いて血管60の患部に近い位置に孔を開け、そこから挿入することによって行うことができるが、カテーテル等を通して経皮的に行うことも可能である。その場合、シース50内には、更にガイドワイヤー53を挿入することもできる。
【0052】
図7図(A)に示すように、こうしてシース50の先端部に保持されたグラフト付きステント40を血管60内に挿入し、同図(B)に示すように、上記グラフト付きステント40を動脈瘤61の内周に配置する。そして、図8に示すように、この状態で金属線材11の近位端11bを引っ張ることにより、グラフト付きステント40の基端側から金属線材11が徐々に解け、グラフト付きステント40が拡張していく。その結果、グラフト付きステント40は、自己拡張力によって血管60の内壁に圧接されて固定されていく。
【0053】
なお、図9(A)は、グラフト付きステント40を外科的に血管60内に挿入した状態を示し、同図(B)は、グラフト付きステント40を拡張させて血管60内に留置した状態を示している。
【0054】
本発明においては、グラフト付きステント40として、筒状カバー43の一端のみをステント42に縫着等の手段で連結し、筒状カバー43の他の部分はステント42に連結せずに吹流しのような構造としたものを採用することもできる。この場合、ステント42と、筒状カバー43とを、それぞれ別々の金属線材11で縮径保持させておき、筒状カバー43の縮径状態の開放と、ステント42の縮径状態の開放とを異なるタイミングで行わせることもできる。
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ステントを縮径させて、その外周をジグザグ状に屈曲させた金属線材で包み込むようにしたので、特別な技術を要せずに、手術現場で容易に、ステントを縮径保持させることができる。また、縮径保持させたステントを管状器官の治療箇所に挿入した後、金属線材の端部を引っ張ることにより、ジグザグ状に屈曲した金属線材が絡まることなくスムーズに引き出され、ステントを容易に拡張させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A),(B),(C)は、本発明の方法に用いられるステント保持具のそれぞれ異なる実施形態を示す平面図である。
【図2】(A),(B),(C),(D),(E)は、同ステント保持具に用いられる金属線材のそれぞれ異なる例を示す平面図である。
【図3】(A),(B)は、本発明によるステントの縮径保持方法の前半の工程を示す説明図である。
【図4】(A),(B)は、本発明によるステントの縮径保持方法の後半の工程を示す説明図である。
【図5】(A),(B),(C)は、本発明によるステントの縮径保持方法において、金属線材の近位端の取出し方を変えた、それぞれ異なる実施形態を示す部分断面図である。
【図6】(A),(B)は、本発明によるステントの縮径保持方法の他の実施形態を示す説明図である。
【図7】(A),(B)は、本発明の方法で縮径保持されたグラフト付きステントを血管の動脈瘤の内側に挿入する工程を示す説明図である。
【図8】本発明の方法で縮径保持されたグラフト付きステントを血管内で徐々に拡張させて配置する状態を示す説明図である。
【図9】(A)は本発明の方法で縮径保持されたグラフト付きステントを血管内に挿入する状態を示す説明図、(B)は同グラフト付きステントを拡張させて血管内に留置した状態を示す説明図である。
【符号の説明】
10、20、30 ステント保持具
11 金属線材
11a 遠位端
11b 近位端
11c 折り返し部
11d 並列部
13 線状部材
40 グラフト付きステント
41 金属線材
42 ステント
43 筒状カバー
50 シース
51 孔
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば血管、尿管、胆管、気管などの人体の管状器官に挿入、配置されるステントの縮径保持方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、血管、尿管、胆管、気管などの人体の管状器官における治療のため、それらの患部にステントを挿入し配置することが行われている。例えば血管の狭窄部にステントを配置して拡張したり、動脈瘤が形成された箇所にステントを配置して動脈瘤の破裂を防止する治療方法が知られている。特に動脈瘤の治療においては、ステントの外周にグラフトという織布を被覆してなるグラフト付きステントが使用されている。
【0003】
ステントの挿入方法としては、血管等の管状器官内に経皮的にカテーテルを挿入し、このカテーテルを通してステントを管状器官内に押出して留置させる方法も採用されているが、治療箇所がそのような方法では挿入しにくいような位置にあったり、治療箇所が複数あってカテーテルを通して挿入する方法では作業性が悪いような場合には、外科的に体を切開して管状器官の患部に直接ステントを挿入する方法が採用されている。
【0004】
このように、管状器官の患部に直接ステントを挿入する場合でも、管状器官の切り口等からステントを挿入するために、ステントを縮径させた状態に保持する必要があった。しかしながら、ステントは、管状器官内に留置されたときに拡張して管状器官内壁に固定されるため、縮径させた状態に保持するためには、外部から拘束する必要がある。
【0005】
このような目的のため、下記特許文献1には、拡張可能なインプラントを潰された状態に一時的に拘束して展開部位へ送給する送給装置であって、拡張可能なインプラントを取り巻くように構成されて、該インプラントを、哺乳類の身体管腔を通して送給する間、潰れ状態に維持するシート材と、該シート材の複数部分を互いに連結して、該インプラントを該潰れ状態に維持する連結部材とを具備する装置が開示されている。
【0006】
また、下記特許文献2には、基部側端と末端とを備えたステントと、 折りたたまれた状態に前記ステントを保持するために解放可能に前記ステントに結合されたラインとを具備し、前記ラインは、前記ステントが前記基部側端から前記末端への方向に漸進的に拡張するように、解放されるべく配置されている、医療装置が開示されている。また、前記ラインが、袋を結ぶ結び目(sack knot)の構成をなして配置され、好ましくはヘリンボンパターンを有するものであることが記載されている。
【0007】
【特許文献1】
特表2001−506902号公報
【特許文献2】
特表2000−503559号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ステントを縮径保持させるための従来の方法では、糸のような線材によって縛り付け、この線材を引っ張ることによって開放する構成であったため、縛り方の技術を習得する必要があり、また、線材を引っ張ったときに、線材がスムーズに解けない可能性もあった。
【0009】
したがって、本発明の目的は、ステントの縮径保持操作を、特別な技術を要することなく、手術現場で容易に行うことができ、ステントの拡張操作もスムーズに行えるようにしたステントの縮径保持方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の第1は、ステントを縮径させて、その外周をジグザグ状に屈曲させた金属線材で包み込むことを特徴とするステントの縮径保持方法を提供するものである。
【0011】
上記発明によれば、ステントを縮径させて、その外周をジグザグ状に屈曲させた金属線材で包み込むようにしたので、特別な技術を要せずに、手術現場で容易に、ステントを縮径保持させることができる。また、縮径保持させたステントを管状器官の治療箇所に挿入した後、金属線材の端部を引っ張ることにより、ジグザグ状に屈曲した金属線材が絡まることなくスムーズに引き出され、ステントを容易に拡張させることができる。
【0012】
本発明の第2は、上記第1の発明において、前記金属線材をジグザグ状に屈曲した平面的な形状に成形した後、前記金属線材の折り返し部から折り返し部に至る並列した線状部分を湾曲させることにより、前記ステントの外周を包み込むステントの縮径保持方法を提供するものである。
【0013】
上記発明によれば、金属線材の折り返し部から折り返し部に至る並列した線状部分によって、縮径させたステントをほぼ等間隔で保持することができ、縮径状態でのステントの柔軟性が保たれやすくなり、金属線材の端部を引っ張って引き出すときに、ステントの端部側から徐々に拡張させることができる。
【0014】
本発明の第3は、上記第1又は第2の発明において、前記金属線材の折り返し部から折り返し部に至る長さは、前記ステントの前記縮径状態での円周以上の長さとするステントの縮径保持方法を提供するものである。
【0015】
上記発明によれば、縮径状態のステントをしっかりと保持することができる。
【0016】
本発明の第4は、上記第1〜3の発明のいずれかにおいて、前記ステントの中心に芯材を挿入し、前記ステントをこの芯材の外周に当接させながら縮径させ、その外周を前記金属線材で包み込むステントの縮径保持方法を提供するものである。
【0017】
上記発明によれば、ステントを芯材の外周に当接させながら縮径させることによって縮径させやすくなり、金属線材で縮径保持させた後、この芯材を持ってステントを管状器官内に挿入することができ、ステントを拡張させるために金属線材を引っ張るときに、芯材によってステントが移動しないように抑えつつ引っ張ることができる。
【0018】
本発明の第5は、上記第1〜4の発明のいずれかにおいて、前記金属線材の折り返し部に線状部材を引き掛け、この線状部材を引っ張りながら、前記金属線材を前記ステントの外周に巻き付けて包み込むステントの縮径保持方法を提供するものである。
【0019】
上記発明によれば、縮径させたステントの外周を金属線材で包み込むときに、線状部材を引っ張ることによって金属線材を引き締め、金属線材がステントの外周に密着するように包み込ませることができる。
【0020】
本発明の第6は、上記第1〜5の発明のいずれかにおいて、前記ステントは、その外周及び/又は内周に筒状カバーを有するグラフト付きステントであるステントの縮径保持方法を提供するものである。
【0021】
上記発明によれば、ステントの外周及び/又は内周が筒状カバーで覆われているので、例えば血管の動脈瘤の治療などに適用することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を図面につき詳しく説明する。本発明は、これらの実施の形態のみに限定されるものではない。
【0023】
図1、2には、本発明の方法に用いられるジグザグ状に屈曲させた金属線材からなるステント保持具の例が示されている。
【0024】
図1(A)のステント保持具10は、金属線材11を平面上にてジグザグ状に屈曲して構成されている。金属線材11は、丸く屈曲された遠位端11aと、近位端11bとを有し、それらの間に、折り返し部11cによってジグザグ状に屈曲された部分を有している。そして、折り返し部11cから折り返し部11cに至る部分は、金属線材11がほぼ平行に並列した並列部11dをなしている。
【0025】
図1(B)のステント保持具20は、並列部11dの中央に、屈曲部11eが形成されており、それによって、並列部11dは、「く」の字形に曲げられてほぼ平行に並列した状態になっている。そして、近位端11bは、「く」の字形の屈曲形状の内側方向に引き出されており、それによってステントの縮径状態を解除させるために金属線材11を引っ張るとき、金属線材11が絡まることなくスムーズに引き出されるようにしている。
【0026】
図1(C)のステント保持具30は、並列部11dの中央に、S字状かつ段状に屈曲された部分11fを有し、それによって折り返し部11cの内周の間隔P1は狭くされ、外周の間隔P2は広くされている。その結果、縮径させたステントの外周を包み込んだとき、広い間隔P2の部分に狭い間隔P1の部分が入り込むため、金属線材11どうしの重なりを防ぐことができる。
【0027】
なお、図1(A)、(B)及び(C)において、金属線材11の折り返し部11cから折り返し部11cに至る幅Wは、後述するステントの縮径状態での周長よりも長いことが好ましく、上記周長の1.1〜1.5倍であることがより好ましい。また、ジグザグ状に屈曲した部分の長さXは、特に限定されないが、ステントの縮径状態での長さより若干長めであることが好ましい。更に、並列部11dの配列間隔Pは、ステントの拡径状態の径や縮径状態の径などにより適宜決められる。
【0028】
図2に示すように、金属線材11は、同図(A)に示すような丸線であってもよく、同図(B)に示すような平線であってもよい。また、同図(C)に示すように、丸線からなる金属線材11の外周に、樹脂膜12が被覆されたものであってもよく、同図(D)に示すように、平線からなる金属線材11の外周に上記のような樹脂膜12が被覆されたものであってもよい。更に、同図(E)に示すように、丸線からなる金属線材11の外周に樹脂膜12が被覆され、該樹脂膜12の周方向に対向する部分が外方に延出されてフィン状部分12aをなすものであってもよい。上記樹脂膜12としては、生体適合性を有するものが好ましく、例えばフッ素樹脂、シリコン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂等が採用される。
【0029】
金属線材11としては、生体適合性があって、ステントを縮径状態に保持できる剛性を有する金属であればいずれも使用できる。例えば熱処理による形状記憶効果や、超弾性が付与される形状記憶合金が好ましく採用されるが、用途によってはステンレス、タンタル、チタン、白金、金、タングステンなどを用いてもよい。形状記憶合金としては、Ni−Ti系、Cu−Al−Ni系、Cu−Zn−Al系などが好ましく使用される。また、形状記憶合金の表面に金、白金などをメッキ等の手段で被覆したものであってもよい。
【0030】
形状記憶合金を用いる場合、通電、温風、温水等の加熱によって直線状等に形状復帰させるようにしてもよい。これによれば、金属線材11によってステントを縮径状態に保持させて管状器官内に挿入した後、金属線材11を通電、温風、温水等の加熱手段により加熱させることにより、金属線材11を直線状に復帰させてステントを速やかに拡張させることができる。
【0031】
また、図1の折り返し部11cを局部的に焼きなまして剛性を低下させ、金属線材11の近位端11bを引っ張って引き出すときに、折り返し部11cが速やかに直線状に伸びるようにしてもよい。
【0032】
図3,4には、グラフト付きステントを上記ステント保持具10で縮径保持させる方法の一実施形態が示されている。
【0033】
このグラフト付きステント40は、金属線材41をメッシュ状かつ筒状に編んで形成したステント42と、このステント42の外周に被覆された筒状カバー(グラフト)43とを有している。なお、筒状カバー43は、ステント42の内周に被覆されていてもよく、内周と外周の両方に被覆されていてもよい。
【0034】
金属線材41の材料としては、熱処理による形状記憶効果や、超弾性が付与される形状記憶合金が好ましく採用されるが、用途によってはステンレス、タンタル、チタン、白金、金、タングステンなどを用いてもよい。形状記憶合金としては、Ni−Ti系、Cu−Al−Ni系、Cu−Zn−Al系などが好ましく使用される。また、形状記憶合金の表面に金、白金などをメッキ等の手段で被覆したものであってもよい。金属線材41の太さは、特に限定されないが、例えば血管用ステント等の場合には、0.08〜1mmが好ましい。
【0035】
筒状カバー43は、熱可塑性樹脂を押出し成形、ブロー成形などの成形方法で円筒状に形成したもの、円筒状に形成した熱可塑性樹脂の繊維の編織物、円筒状に形成した熱可塑性樹脂の不織布、円筒状に形成した可撓性樹脂のシートや多孔質シートなどを用いることができる。編織物としては、平織、綾織などの公知の編物や織物を用いることができる。また、筒状カバー43としては、クリンプ加工などのヒダの付いたものを使用することもできる。また、筒状カバー43は、カバーの側部に穴を設けたものを使用することができる。
【0036】
これらの中でも、筒状カバー43としては、特に円筒状に形成した熱可塑性樹脂の繊維の編織物、更には円筒状に形成した熱可塑性樹脂の繊維の平織りの織物が、強度及び有孔度、生産性が優れるため好ましい。
【0037】
熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−α−オレフィン共重合体などのポリオレフィン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートなどのポリエステル、ポリ弗化エチレンやポリ弗化プロピレンなどのフッ素樹脂などの耐久性と組織反応の少ない樹脂などを用いることができる。
【0038】
特に、化学的に安定で耐久性が大きく、組織反応の少ない、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリ弗化エチレンやポリ弗化プロピレンなどのフッ素樹脂を好ましく用いることができる。
【0039】
上記筒状カバー43は、上記実施形態においては、ステント42の両端部に縫着されているが、接着、溶着等によって固着することもできる。この場合、ステント20の縮径や拡径を妨げないように、ステント42への固着箇所を選定する必要がある。
【0040】
筒状カバー43や、該カバーを構成する繊維、更にステント42を構成する金属線材41は、ヘパリン、コラーゲン、アセチルサリチル酸、ゼラチン等の抗血栓性材料で被覆処理されているものを用いることもできる。
【0041】
また、上記グラフト付きステント40の適当な箇所、例えば両端部等には、X線不透過性材料が固着されていてもよい。X線不透過性材料としては、例えば金、白金、イリジウム、タンタル、タングステン、銀等や、それらを含有する合金などが好ましく使用される。X線不透過性材料は、ステント20に、半田付け、ろう付け、溶着、接着、カシメ等の手段で固着することができる。
【0042】
本発明の方法は、上記のようなグラフト付きステント40に好適であるが、筒状カバー43を有しないステントに適用することもできる。本発明の方法が好適なステント又はグラフト付きステントは、その外径が2〜50mm、長さが1〜20cm程度である。
【0043】
本発明の方法は、上記のようなグラフト付きステント40をステント保持具10で縮径保持させる。すなわち、図3(A)に示すように、まず、グラフト付きステント40内に芯材となるシース50を挿入する。そして、同図(B)に示すように、シース50の外周にグラフト付きステント40を押し付けて縮径させ、その外周を前記ステント保持具10で包み込んでいく。この場合、縮径させたグラフト付きステント40を、前記ステント保持具10の並列部11dの中央に沿って配置し、上記並列部11dをグラフト付きステント40の外周に沿って円弧状に湾曲させながら包み込んでいく。
【0044】
こうして図4(A)、(B)に示すように、縮径させたグラフト付きステント40をステント保持具10で包み込んでいくことにより、グラフト付きステント40は、ステント保持具10で縮径された状態を保持され、管状器官内に挿入しやすい形状となる。なお、ステント保持具10で保持させた後、芯材としたシース50は抜き出してもよいが、グラフト付きステント40を管状器官に挿入するときの支持具としてそのまま利用することもできる。
【0045】
図5には、上記ステント保持具10の金属線材11の近位端11bの取出し方を変えたそれぞれ異なる例が示されている。同図(A)の例は、グラフト付きステント40の先端側からステント保持具10で包み込んでいき、グラフト付きステント40の基端側まで包み込んだ後、金属線材11の近位端11bをシース50に沿って基部側に引き出したものである。
【0046】
同図(B)の例は、グラフト付きステント40の基端側からステント保持具10で包み込んでいき、グラフト付きステント40の先端まで包み込んだ後、金属線材11の近位端11bをシース50の先端開口部に挿入し、シース50の基端開口部から取出したものである。
【0047】
同図(C)の例は、グラフト付きステント40の先端側からステント保持具10で包み込んでいき、グラフト付きステント40の基端側まで包み込んだ後、金属線材11の近位端11bをシース50の周壁に形成した孔51に挿入し、シース50の基端開口部から取出したものである。
【0048】
図6には、グラフト付きステント40をステント保持具10で包み込む方法の他の実施形態が示されている。この実施形態では、同図(A)に示すように、ステント保持具10の折り返し部11cに糸等の線状部材13をそれぞれ引き掛け、このステント保持具10の並列部11dを縮径させたグラフト付きステント40の外周にあてがい、同図(B)に示すように、線状部材13で金属線材11を引っ張りながら、縮径させたグラフト付きステント40の外周に、ステント保持具10の並列部11dを巻き付けて包み込む。
【0049】
この方法によれば、線状部材13で金属線材11を引っ張りながら包み込むので、金属線材11がグラフト付きステント40の外周に密着し、より小さく縮径させて保持することができる。
【0050】
図7〜9には、こうして縮径保持されたグラフト付きステント40を、血管60内に挿入し、血管60内の動脈瘤61を治療する方法を示している。
【0051】
すなわち、上記のような方法でステント保持具10によって縮径保持させたグラフト付きステント40をシース50の先端部に装着した状態で、シース50を保持しながら血管60内に挿入する。この血管60内への挿入は、外科的に体を切り開いて血管60の患部に近い位置に孔を開け、そこから挿入することによって行うことができるが、カテーテル等を通して経皮的に行うことも可能である。その場合、シース50内には、更にガイドワイヤー53を挿入することもできる。
【0052】
図7図(A)に示すように、こうしてシース50の先端部に保持されたグラフト付きステント40を血管60内に挿入し、同図(B)に示すように、上記グラフト付きステント40を動脈瘤61の内周に配置する。そして、図8に示すように、この状態で金属線材11の近位端11bを引っ張ることにより、グラフト付きステント40の基端側から金属線材11が徐々に解け、グラフト付きステント40が拡張していく。その結果、グラフト付きステント40は、自己拡張力によって血管60の内壁に圧接されて固定されていく。
【0053】
なお、図9(A)は、グラフト付きステント40を外科的に血管60内に挿入した状態を示し、同図(B)は、グラフト付きステント40を拡張させて血管60内に留置した状態を示している。
【0054】
本発明においては、グラフト付きステント40として、筒状カバー43の一端のみをステント42に縫着等の手段で連結し、筒状カバー43の他の部分はステント42に連結せずに吹流しのような構造としたものを採用することもできる。この場合、ステント42と、筒状カバー43とを、それぞれ別々の金属線材11で縮径保持させておき、筒状カバー43の縮径状態の開放と、ステント42の縮径状態の開放とを異なるタイミングで行わせることもできる。
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ステントを縮径させて、その外周をジグザグ状に屈曲させた金属線材で包み込むようにしたので、特別な技術を要せずに、手術現場で容易に、ステントを縮径保持させることができる。また、縮径保持させたステントを管状器官の治療箇所に挿入した後、金属線材の端部を引っ張ることにより、ジグザグ状に屈曲した金属線材が絡まることなくスムーズに引き出され、ステントを容易に拡張させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A),(B),(C)は、本発明の方法に用いられるステント保持具のそれぞれ異なる実施形態を示す平面図である。
【図2】(A),(B),(C),(D),(E)は、同ステント保持具に用いられる金属線材のそれぞれ異なる例を示す平面図である。
【図3】(A),(B)は、本発明によるステントの縮径保持方法の前半の工程を示す説明図である。
【図4】(A),(B)は、本発明によるステントの縮径保持方法の後半の工程を示す説明図である。
【図5】(A),(B),(C)は、本発明によるステントの縮径保持方法において、金属線材の近位端の取出し方を変えた、それぞれ異なる実施形態を示す部分断面図である。
【図6】(A),(B)は、本発明によるステントの縮径保持方法の他の実施形態を示す説明図である。
【図7】(A),(B)は、本発明の方法で縮径保持されたグラフト付きステントを血管の動脈瘤の内側に挿入する工程を示す説明図である。
【図8】本発明の方法で縮径保持されたグラフト付きステントを血管内で徐々に拡張させて配置する状態を示す説明図である。
【図9】(A)は本発明の方法で縮径保持されたグラフト付きステントを血管内に挿入する状態を示す説明図、(B)は同グラフト付きステントを拡張させて血管内に留置した状態を示す説明図である。
【符号の説明】
10、20、30 ステント保持具
11 金属線材
11a 遠位端
11b 近位端
11c 折り返し部
11d 並列部
13 線状部材
40 グラフト付きステント
41 金属線材
42 ステント
43 筒状カバー
50 シース
51 孔
Claims (6)
- ステントを縮径させて、その外周をジグザグ状に屈曲させた金属線材で包み込むことを特徴とするステントの縮径保持方法。
- 前記金属線材をジグザグ状に屈曲した平面的な形状に成形した後、前記金属線材の折り返し部から折り返し部に至る並列した線状部分を湾曲させることにより、前記ステントの外周を包み込む請求項1記載のステントの縮径保持方法。
- 前記金属線材の折り返し部から折り返し部に至る長さは、前記ステントの前記縮径状態での円周以上の長さとする請求項1又は2記載のステントの縮径保持方法。
- 前記ステントの中心に芯材を挿入し、前記ステントをこの芯材の外周に当接させながら縮径させ、その外周を前記金属線材で包み込む請求項1〜3のいずれか1つに記載のステントの縮径保持方法。
- 前記金属線材の折り返し部に線状部材を引き掛け、この線状部材を引っ張りながら、前記金属線材を前記ステントの外周に巻き付けて包み込む請求項1〜4のいずれか1つに記載のステントの縮径保持方法。
- 前記ステントは、その外周及び/又は内周に筒状カバーを有するグラフト付きステントである請求項1〜5のいずれか1つに記載のステントの縮径保持方法。
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