JP2004538253A - タキサンのメトロノーム的な投与 - Google Patents
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Abstract
本発明は、動物における腫瘍の増殖を抑制するタキサンについてのメトロノーム的な投与方式を提供する。
Description
【0001】
(関連出願)
本出願は、米国仮出願番号60/271,944号(2001年2月28日)の35§119(e)に基づく利益を主張する。
【0002】
(背景技術)
従来、癌の処置ための化学療法薬物投与方式は、「最大寛容性用量(MTDs)」のこれら細胞毒性薬物を用いて処置することによってできるだけ多数の腫瘍細胞を殺すように設計されてきた(ハナハン(Hanahan)らによるJ. Clinical Invest. 2000 105(8): 1045-1047)。このMTD投与方式(dosing regime)はまた、通常誘発療法と呼ばれる。しかしながら、これらのMTDsの投与から生じる健康な組織内での増殖性細胞による損傷に関係する毒性副作用はこれらの薬物の使用に重要な制約を与える。有効に毒性を平衡化させるために、従来の投与スケジュールは、MTDまたはほとんどMTDでの細胞毒性薬の間欠的な使用、続く正常な細胞を回収するための休止期間を要求する(HanahanらによるJ. Clinical Invest. 2000 105(8): 1045-1047)。しかしながら、この標準的なMTD投与方式は患者の生活の質を大きく損なうだけでなく、ほんの短命な応答を与え、続いて該細胞毒性薬物に対して抵抗性であるより攻撃的な癌が再発し得ることが多い。
【0003】
従って、別の療法が活発に探求されている。1つの別方法は、腫瘍細胞そのものとは対照的に該腫瘍の血管を形成する脈管構造の細胞を標的とする。血管形成とは、既存の脈管構造からの血管の生成のプロセスであって、このものは既存の内皮の補充および拡張を含む。血管形成は、雌性の生殖周期および創傷の治癒において自然に生じる生理学的なプロセスである。しかしながら、機能性微小血管系の確立は腫瘍の増殖および散在にとって重要であるので、血管形成もまた癌において生じる。
【0004】
最近の前臨床研究は、細胞毒性薬物であるシクロホスファミド(BrowderらによるCancer Res. 2000 60: 1878-1886)およびビンブラスチン、並びに非細胞毒性VEGF受容体−2抗体(クレメント(Klement)らによるJ. Clinical Invest. 2000 105(8): R15-R24)を、療法の210日目まで中断せずにより短い間隔で投与することの有効性を示している。
【0005】
ブラウダー(Browder)らは、薬物耐性なルイス:ルング(Lewis Lung)癌腫を有するマウスに、毎日または3、4、5、6、7もしくは8日毎にシクロホスファミドを投与することを記載している。これらに実験において、6日毎に投与したシクロホスファミド(170mg/kg)が、調べた他のシクロホスファミドのスケジュール(これは、例えば4日毎に135mg/kgといったより高い用量強度を有するスケジュールを含む)よりも腫瘍の増殖を制御するのにより有効であることが知られている(BrowderらによるCancer Res. 2000 60: 1878-1886)。
【0006】
クレメント(Klement)らは、ビンブラスチン、VEGFに対するflk−1/KDR(タイプ2)受容体を標的とするモノクローナル中和抗体(DC101)の低用量を用いる連続的な処置、または該両方の薬物を一緒に用いる処置のいずれかに対する2つの別個の神経芽細胞腫セルラインの異種移植片を対象としている。これらの実験において、ビンブラスチンは3日毎に約1.5mg/m2(これは、ヒトにおけるこの薬物のMTDの約1/4およびマウスにおけるMTDの1/16〜1/20の用量である)で投与されている(KlementらによるJ. Clinical Invest. 2000 105(8): R15-R24)。
【0007】
WO 00/64436は、治療学的な利点を得るのに十分な投与期間にわたってサブ治療学的な用量レベルで薬理学的に活性な薬物を投与することによって、被験者における虚弱質を処置する方法を開示している。しかしながら、本出願の10〜16頁に示される医薬的に活性な薬物の42クラスのうちのいずれについての本方法の有効性に関するデータは全く示されていない。
【0008】
最大寛容性用量より低い用量での薬物の連続的なまたは中断なしのより短間隔での投与は、慢性的なまたは「メトロノーム的な(metronomic)」投与と呼ばれることが多い(HanahanらによるJ. Clinical Invest. 2000 105(8): 1045-1047)。
【0009】
(発明の概要)
本発明の目的は、タキサンについてのメトロノーム的な投与方式を提供することである。
【0010】
本発明の別の目的は、腫瘍の増殖を抑制する方法を提供することであって、該方法は該腫瘍をメトロノーム的な投与方式によってタキサンに曝露させることを含む。このメトロノーム的な投与方式は、単独でまたは他の確立されている抗癌療法と組み合わせて使用することができる。
【0011】
(発明の詳細な記載)
チューブリンの重合化は通常、癌の化学療法のための最も有効な標的の1つとして認められている。広範囲な癌における臨床的な成功は、商業的に入手可能なタキサンである、タキソール(TAXOL)(パクリタキセル)およびタキソテール(TAXOTERE)(ドセタキセル(docitaxel)の両方について示されている。これら薬物の有効性は、長期の腫瘍曝露期間から示される利点を有するスケジュール依存性である。例えば、臨床的な使用は最近、タキソールの1週間に1回の反復投与を用いて実証された。
【0012】
加えて、前臨床報告はタキソールが強力な抗−血管形成活性を有し得ることを示している(ドルデュノ(Dordunoo)らによるCancer Chemother. Pharmacol. 1995 36: 279-82; バート(Burt)らによるCancer Letters 1995 87: 73-9; オクタバ(Oktaba)らによるProc. Annu. Meet. Am. Assoc. Cancer Res. 1995 36: A2597;ベロッティ(Belotti)らによるProc. Annu. Meet. Am. Assoc. Cancer Res. 1996 37: A397;BelottiらによるClinical Cancer Res. 1996 2: 1843-9;クラウベル(Klauber)らによるCancer research 1997 57: 81-6;およびベラスコ(Velasco)らによるJ. invest. Dermatol. 1999 112: 655)。抗−血管形成化合物の標的個体群は腫瘍よりもむしろ内皮であるので、有効とするべく該抗−血管形成薬は慢性的に投与しなければいけないと示唆されている。不幸なことに、商業的に入手可能なタキサンの経口バイオアベイラビリティは非常に低く(ラットの場合に<1%)、そのため慢性的な反復性投与は非常に煩わしい。
【0013】
3'−tert−ブチル−3'−N−tert−ブチルオキシカルボニル−4−デアセチル−3'−デフェニル−3'−N−デベンゾイル−4−O−メトキシカルボニル−パクリタキセルはパクリタキセルの経口的に活性なアナログである。3'−tert−ブチル−3'−N−tert−ブチルオキシカルボニル−4−デアセチル−3'−デフェニル−3'−N−デベンゾイル−4−O−メトキシカルボニル−パクリタキセルは式Iで示される。従って、この経口的に生体内利用可能なタキサンは本明細書中以下で、式Iの経口活性なタキサンと呼ぶ。
【化1】
式Iの経口活性なタキサンは、ラットおよびイヌの両方の場合において良好な経口バイオアベイラビリティを示し、そしてこのものは多数のヒトセルラインにおいて静脈内投与されたパクリタキセルに匹敵する抗腫瘍活性を有する。経口的に有用なタキサン(このものは、IDN5109と呼ばれる)もまた記載されている(ポリッジ(Polizzi)らによるClinical Cancer Res. May 2000 6(5): 2070-4;ニコレッティ(Nicoletti)らによるCancer Res. February 15, 2000 60(4): 842-6)。加えて、WO99/49848はタキサンの経口製剤(例えば、パクリタキセルおよびドセタキセル)を記載しており、そしてWO98/53811は経口増強剤をも投与するタキサンについての投与方式を記載している。
【0014】
本発明は、腫瘍の増殖を抑制するためおよび癌を処置するためのタキサンについてのメトロノーム的な投与方式に関するものであって、経口的に生体内利用可能であるタキサンは例えば式Iの経口活性なタキサン、IDN5109またはタキソールの経口製剤であることが好ましい。本発明の目的のために、「メトロノーム的な(metronomic)投与方式」とは、ある薬物についての確立されている最大寛容性容量より低い用量での薬物の反復投与であって、くり返し投与により、休止期間を有する通常のスケジュールによって最大寛容性用量で投与したときの該薬物について観察される場合と比較して、毒性副作用が低下した所望する薬理学的な効果を得ることを意味する。休止期間の長さは、該休止期間に先行する処置期間と同じかまたは長いことがある。メトロノーム的な投与の際に、標準的なMTDスケジュール(これはまた、本明細書中で誘発療法と呼ぶ)によって投与されるであろうと同じ累積的な用量を最終的に投与することができる。例えば、これは該投与方式を実施する期間内の時間フレームおよび/または回数を拡大するが、一方で各投与において投与する量を減少させることによって達成される。従って、「反復性」とは慢性的なおよび/または連続的な投与方式を包含することを意味する。しかしながら、メトロノーム的な投与の強調すべき点は、療法の回数および期間の長さよりむしろ、標準的なMTDスケジュールによって投与したときに薬物によって患者に生じる利点を維持することができる比較的に安全な処置である点である。従って、本発明のメトロノーム的な投与方式によって投与されるタキサンは患者によってより免疫寛容性である。メトロノーム的な投与はまた、維持投与または慢性的投与とも呼ぶことができる。
【0015】
本発明の目的のために、タキサンを用いたメトロノーム的な投与の所望する薬理学的な効果は腫瘍の増殖の抑制である。「腫瘍の増殖の抑制」とは、腫瘍の増殖の抑止を生じることおよび/または腫瘍の大きさの後退を生じることを意味する。特定の機構とは関連付けられていないが、タキサンを用いたメトロノーム的な投与は、腫瘍細胞そのものとは対照的に腫瘍の血管を形成する脈管構造の細胞を標的とすることができると考えられている。従って、腫瘍の増殖の抑制は、腫瘍の増殖および散在に重要な機能性微小血管系を確立するための該腫瘍細胞の不能から生じ得る。
【0016】
本発明の投与方式によって低下する毒性副作用は、神経毒性、正常な増殖性細胞の損傷および体重の低下を含むが、これらに限定されない。
【0017】
経口タキサンを用いたメトロノーム的な投与は、癌の処置として単独で、または標準的なMTD投与方式によって投与される他の確立されている抗癌療法と組み合わせたり(combination)もしくは一緒にして(conjunction)使用することができる。本発明のメトロノーム的な投与方式と組み合わせたりまたは一緒にして使用することができる確立されている抗癌療法としては例えば、パクリタキセル、ドセタキセル、シクロホスファミド、カルボプラチン、エトポシド、ドキソルビシン、イリノテカン、トポテカン、ビンブラスチン、ゲムシタビン、テガフール/ウラシルの組み合わせ、カペシタビン(capecitabine)、5−フルオロウラシル、抗体(例えば、ヘルセプチン(herceptin)またはセツキシマブ(cetuximab)(a.k.a.、ERBITUX(登録商標))、抗ホルモン性処置薬(例えば、ビカルタミドまたはフルタミド)、並びに放射線療法を含むが、これらに限定されない。「組み合わせてまたは一緒にして」とは、誘発療法方式によって患者に生じる利点を持続するために、本発明のメトロノーム的な投与方式を、確立されている抗癌療法の標準的なMTD投与方式と同時にまたはより好ましくは誘発療法の過程(course)の間のいずれかで行なうことを意味する。誘発療法の過程の間に運搬する場合、その意図は患者の健康または誘発療法の次の過程に耐えられる患者の能力を過度に約束するものではないが、腫瘍の増殖を抑制し続けることである。
【0018】
式Iの経口タキサンの抗−血管形成活性は、インビトロでの内皮細胞でおよび腫瘍依存性のインビボ血管形成モデルで評価した。増殖およびチューブ形成の両方のアッセイを用いて、インビトロでの内皮細胞活性を評価した。
【0019】
インビトロでの活性を評価するために、血管形成のプロセスに関連する内皮細胞機能に及ぼす、タキソール(パクリタキセル)と比較した式Iの経口タキサンの効果を評価した。評価する機能は、拡張される脈管構造の管腔を形成する内皮細胞の増殖を含めた。表1に示す通り、式Iの経口タキサンは2つの別個の実験においてヒトさい帯静脈内皮細胞(HUVEC)の増殖を抑制する際にタキソールとほぼ等効力であった。抑制はまた、HUVECの場合について観察されるのとほぼ同じ濃度で腫瘍セルラインH3396についても観察され、従ってこのことはこれらのタキサンが内皮細胞および腫瘍細胞の両方の増殖を抑制する細胞毒性効果を発揮することを示す。
表1:HUVECおよびH3396増殖の抑制
【0020】
マトリゲル上でのこれらの細胞の分化によるチューブ形成を含む内皮細胞の機能に及ぼす影響をも評価した。表2に示す通り、これらのタキサンの両方についてマトリゲル上でのチューブ形成の完全な抑制を与えるこれらのタキサンの最も低い濃度は0.0500μMであった。加えて、濃度の更なる低下はなおもこれらのタキサンの両方についての抑制効果を保持した。
表2:マトリゲル上でのHUVECチューブ形成の抑制
Cは完全であり、そしてPは部分である。
【0021】
従って、これらのタキサンは血管形成の2つの重要なプロセス、すなわち内皮細胞の増殖および分化を抑制した。従って、それらの抗腫瘍効果は、それらの抗増殖活性の結果であるだけではなく、他の内皮細胞の機能に及ぼすそれらの活性の結果でもある。
【0022】
これらのタキサンをまた、マトリゲルプラグを用いてインビボで評価した。これらの実験において、血管形成反応はマトリゲルプラグ中で生じる内皮細胞の数を、様々な治療学的なおよびサブ治療学的な用量で評価することによって測定した。該プラグ中で生じる内皮細胞の数は、タキソールおよび式Iの経口タキサンの両方について用量依存性様式で調べた用量と相関した。最大寛容性用量(MTD)、24mg/kgのタキソールの場合に、本スケジュール(1日おきに5日間;q2dx5)でのコントロール群と比較して細胞数の50%よりも大きい減少が観察された。式Iの経口タキサンの場合に、MTD(60mg/kg)および2つのより低い用量(36mg/kgおよび18mg/kg)のときに、プラグ中の細胞数の50%よりも大きい減少が観察された。従って、MTDの30%ほど低い用量は、なおも細胞数の50%よりも大きい減少を生じた。更に、これらのタキサンの内皮細胞数に及ぼす効果は、調べた用量より低くいと劣るが、なおも形態学的な欠損を生じ、このことはコントロール動物と比較してこれらの細胞が組織化されて赤血球含有のチューブ様構造となる能力によって裏付けられる。従って、抗−血管形成効果はなおも、式Iの経口タキサンの最大寛容性用量よりも約13倍低い用量でインビボで観察される。
【0023】
式Iの経口タキサンはまた、誘発化学療法の過程の間に維持療法として投与するときに、静脈内投与されたパクリタキセルに匹敵する前臨床的な抗腫瘍効力を有することを示した。これらの実験において、乳房16/Cマウス腫瘍を有するマウスに以下の2つの一般的な処置方法のいずれかを与えた:a)18日の休止期間で隔たれた2つの継続的な毎日の処置スケジュールで投与する静脈内パクリタキセル、すなわちqdx×5;10、32;またはb)18日の休止期間で隔てられた2つの継続的な毎日の処置スケジュールおよび別のqdx5療法で投与する静脈内パクリタキセル(これは、静脈内パクリタキセルの最初の期間の終わりから1週間後に式Iの経口タキサンを経口投与することからなる)、すなわちパクリタキセル qdx5;10、32+式I qdx5;21。用量応答滴定は、各々の処置方法を用いて行なった。選択した処置方式を用いて得られた肉眼的細胞死滅対数(log cell kill;LCK)値のまとめを表3に示す。
表3:病期(Staged)の皮下乳房16/C癌腫を有するマウスにおける静脈内パクリタキセル処置の過程の間に介在する経口タキサン維持療法の効果
*治癒は、腫瘍インプラント後の88日目に評価した。
【0024】
従って、パクリタキセルのみを用いて得られた最適な効果、10.1のLCK(2/8の治癒を含む)は、適当な(likely)MTD方式、2つの処置過程の各々の間に30mg/kg/注射のパクリタキセルのときに得られた。いずれかまたは両方の療法過程におけるより少ない量のパクリタキセルは、効力の低下を生じた。比較として、式Iの経口タキサンをある静脈内パクリタキセルの処置過程に加えた場合は、効力全体における改善が観察された。これらの実験における最適な組み合わせ化学療法方式は、式Iの経口タキサンの20mg/kg/投与をパクリタキセル過程当たり静脈内パクリタキセルの20mg/kg/注射と一緒に含む。更に、過程療法の間の間欠期中に腫瘍の再増殖が生じるようなパクリタキセル処置のみの場合と違って、パクリタキセル過程の間での式Iの経口タキサンの投与により抑制され、そしてこの組み合わせ処置群の腫瘍の大きさの中央値をわずかに減少さえした。
【0025】
別の実験において、静脈内パクリタキセルを用いた誘発療法の1過程後に、該経口タキサンを維持療法として与えた。静脈内パクリタキセルのみを与えたマウスについて、MTD投与方式(これは、45mg/kg/注射、qdx5、静脈内から構成され、そして腫瘍のインプラントの10日後に開始する)は、次に低用量の30mg/kg/注射と同程度の最適な治療学的結果、1.9LCKを与えた。それに対して、他の群のマウスにはパクリタキセルを用いた誘発化学療法を与えるが、次いで式Iの経口タキサンを用いた2つの異なる維持療法方式の1つを与えた。表4は、様々な処置のまとめおよび本実験からの結果を示す。
【0026】
表4:病期の皮下乳房16/C癌腫を有するマウスにおける静脈内パクリタキセルを用いた誘発療法後の、式Iの経口タキサンを用いた維持療法の効果
*治癒は、腫瘍のインプラント後の60日目に評価した。
【0027】
経口タキサンの余分のほぼ4週間の利点は、これらの結果においてはっきりと明白である。最大寛容性の組み合わせ(パクリタキセル+式I)投与方式において、得られる最良のLCKは、実験の終わりに(60日目)判断すると、治癒を伴うことがある5.5であった。より有効な経口タキサン維持療法は腫瘍の増殖を防止する以上に機能し、それらはまた該腫瘍の重荷をも軽減した。
【0028】
タキサンを単独で使用するメトロノーム的な投与方式はまた、マウスにおけるヒト腫瘍細胞の増殖を抑制するのにも成功している。これらの実験において、MTDより低用量の式Iの経口タキサンを用いる遅延性の30日処置スケジュールを、L2987ヒト肺腫瘍の増殖についての増殖を抑制する場合の従来使用されているMTDおよび強化した(consolidated)スケジュール方法と合理的に十分に比較した。L2987ヒト肺腫瘍をインプラントして、薬物の投与前に50〜100mm3にまで達成させた。従来使用されているMTDおよび強化したスケジュール方法は、標準的なスケジュール(q2d×5)で経口的に運搬される投与当たり60mg/kgの用量からなる。該メトロノーム的投与方式は、同じ累積的な用量の30mg/kgを運搬するが、改変されたスケジュール(1日おきで15日間;q2dx15)で経口的に運搬される投与当たり20mg/kgの用量からなる。より大きな抗腫瘍反応が標準的なスケジュールを使用した場合に観察されるが、体重の低下もまた観察された。それに対して、該メトロノーム的な投与方式はまた腫瘍の増殖を抑制して、そして体重の低下が観察された。従って、タキサンを使用するメトロノーム的な投与により、腫瘍を増殖を抑制するための安全且つ一層有効な方法を提供する。
【0029】
この開示を読む際に当該分野の当業者によって理解されるであろう通り、これらの実験に使用されるメトロノーム的な投与方式は単に、投与間隔および投与期間の可能な改変の1例として機能し、これは最適なメトロノーム的な投与方式を達成するための標準的なMTDスケジュールとなる。例えば、式Iの経口タキサンについて、腫瘍の増殖を抑制する際に有効であると期待されるメトロノーム的な投与方式としては、例えば毎日の投与間隔、1日おきの投与間隔および1週間に1回の投与を含むが、これらに限定されない。これらの投与方式は、ほぼ1ヶ月から少なくとも1年までの範囲に及ぶ期間にまで拡張される。これらの典型的なメトロノーム的な投与方式で投与される薬物は、それぞれ約0.25mg/M2〜120mg/M2、0.50mg/M2〜240mg/M2および1mg/M2〜700mg/M2の範囲にまで及ぶことができる。更に、インビトロおよびインビボ血管形成実験は、300mg/kgより低い累積的用量もまた腫瘍の増殖を抑制するのに有効であろうという証拠を与える。従って、式Iの経口タキサンのメトロノーム的な投与方式はまた、より低い累積的用量(例えば、225mg/kg、150mg/kg、75mg/kg、37.5mg/kgおよび18.75mg/kgでさえ)の運搬について設計することができる。更に、他のタキサンについてのメトロノーム的な投与方式は通常、それらの個々の標準的なMTDスケジュール、並びにインビトロおよびインビボ血管形成アッセイ(例えば、以下の実施例に記載するアッセイ)におけるそれらの活性に基づいて、式Iの経口タキサンについて本明細書に提示する教示にしたがって設計することができる。
【0030】
本発明はまた、動物における腫瘍を抑制するための、タキサンについてのメトロノーム的な投与方式を用いる方法に関する。好ましい態様において、これらの方法において使用するタキサンは経口的に生体内利用可能である。好ましい経口タキサンは式Iのタキサンである。しかしながら、他のタキサンおよび該タキサンの連続的な低用量を投与する他の方法はまた使用することができる。例えば、本発明のメトロノーム的な投与の他の投与方法としては、吸入、経皮、すなわち経皮パッチ、坐剤による直腸、筋肉内、腹腔内、静脈内および皮下による方法を含むが、これらに限定されない。
【0031】
本発明の目的のために、「動物」とは、腫瘍が増殖するいずれかの動物を含むことを意味するが、特にヒトである。
【0032】
以下の非限定的な実施例は、本発明を更に例示するために提供する。
【0033】
(実施例)
実施例1:HUVEC増殖
一次的なヒトさい帯静脈内皮細胞(HUVEC)はクローンティック(CLONETICS)社(San Diego, CA)から購入して、2〜3継代で使用した。細胞培養物を収集する24時間前にパルスすることによって、細胞中ヘの3H−チミジンのとり込みを用いて、増殖を測定した。ヒト乳癌腫H3396を用いて、腫瘍細胞における化合物の活性を評価した。細胞(2×103)をコラーゲンIV被覆96ウェルプレート上に置いた。24時間後に、化合物を濃度を変えて加えた。48時間後に、3H−チミジンを加えて、そして細胞に24時間かけてこの標識をとり込ませた。細胞抽出物をガラスフィルターを用いて収集し、とり込まれた放射能をベータシンチレーションカウンター中でカウントすることによって測定した。IC50(これは、3H−チミジンのとり込みを50%抑制する薬物濃度であると定義される)は、プロットされたデータから外挿した。ある化合物による内皮細胞についての細胞選択的な抑制は、H3396腫瘍セルラインと比較して、HUVEC一次細胞培養の少なくとも10倍よりも大きい抑制と決まった。
【0034】
実施例2:インビトロでのチューブ形成
血管形成により、赤血球を含む機能的な血管のネットワークを生じる。該プロセスを部分的に模倣するインビトロアッセイを確立した。マトリゲル(Collaborative Research, Inc.)上に置いた一次的な内皮細胞(例えば、HUVEC)は、索中にアラインするチューブの三次元ネットワークを形成する。このアッセイシステムにおいて、チューブ形成を、細胞培地(EBM−2;CLONETICS社)を1:1で用いて希釈したマトリゲルからなる細胞外タンパク質マトリックス上で評価して、そしてこのものを37℃で60分間重合させた。24ウェルプレート中のHUVEC(3.5×104)/ウェルを、重合させたマトリゲル(0.3mL)上のビヒクルまたは被験化合物を含有する培地(0.5mL)中に分散させた。細胞のプレートの18時間後に、該培地を取り出して、培養物をホルマリン中に固定化させた。マトリゲル上でのチューブの抑制は、位相差ライティング(phase contrast lighting)を用いる倒立顕微鏡を用いて評価する。
【0035】
このアッセイにおける化合物の効果を測定するために、記述的な方法を開発した。抑制の完全な不足とは、ある濃度の化合物の曝露により、単細胞として生じるプレートされたHUVECが1%よりも低く生じて、そして残りの細胞がネットワークまたは枝分かれがあるなしの伸張されたチューブ様構造を形成することと定義する。部分的な抑制とは、多数の単細胞を有する不完全なネットワークと定義する。完全な抑制は、伸張したりまたは枝分かれした構造を伴わずに、細胞の99%よりも多くが単細胞として生じることと定義される。バックグラウンドの影響を確立するために、被験化合物の効果を評価する前に、ビヒクル処置(コントロール)後に生じる単細胞の数を、処置した群において生じる単細胞の総数から引く。
【0036】
実施例3:インビボモデルおよびその研究
無胸腺症(nu/nu)Balb/cマウス内に連続的な皮下継代によって維持したLX1ヒト肺腫瘍断片を、大きさが約0.1mm3の小さな断片として皮下インプラントした。これらの実験において腫瘍の大きさが2倍になる時間は、2.8日であった。腫瘍の大きさが150〜200mm3の範囲に達した後に、液体マトリゲルを腫瘍ヘの対側面に皮下注射した。処置を、用量およびスケジュールを変えながら、24時間後に開始した。インプラントする前に、パシニッティ(Passiniti)ら(Lab. Invest. 1992 67: 519-28)によって記載されている方法に従って、固化したマトリゲルを4℃で終夜、氷上に置くことによって、マトリゲルを調製する。液相であって且つ氷上の間に、VEGFおよびbFGF(Peprotech, Inc. Rocky Hill, NJ)をマトリゲルに加えて、最終的なそれぞれの濃度を75ng/mLおよび300ng/mLとする。これら増殖因子のストック溶液は、PBS中、10mg/mLで新たに調製する。最後の処置の24時間後に、動物を頚部の脱臼によって犠牲にし、そして処置動物およびコントロール動物由来のマトリゲルプラグを切除して、10%の中性緩衝ホルマリン中で少なくとも48時間固定化した。次いで、これらのプラグをパラフィン包埋のために処理して、厚さが5μmで切片し、続いて定量分析前にヘマトキシリンおよびエオシンで染色した。プラグ中の内皮細胞の数は、拡大率が20×でIMAGEPRO PLUSソフトウェア(Media Cybernetics, Inc., Silver Spring, MD)を用いて定量化した。各プラグからの50倍視野を、内皮細胞の数をカウントするのに使用した。細胞の数をまとめて、統計学的にコントロールと比較した。
【0037】
ビヒクル処置群と比べて化合物処置群由来のプラグ中に移動する内皮細胞の数として、血管形成をこれらのプラグ中で評価する。治療学的な用量での化合物の効力を評価する目的で、これらの研究期間中、これらの化合物の抗腫瘍効果を追跡するという目的のために腫瘍をインプラントした。
【0038】
投与のために、タキソールおよび式Iの経口タキサンをCREMOPHOR/エタノール(1:1)溶液中に懸濁して、最終的な濃度がいずれかの化合物を含有する10%CREMOPHORおよび10%エタノール溶液で分散した。タキソールの場合には、通常の生理食塩水を希釈物として使用して、運搬を静脈内で行なった。式Iの経口タキサンの場合には、減菌した水を希釈物として使用して、運搬を経口胃管栄養法によった。
【0039】
実施例4:メトロノーム投与を、確立されているパクリタキセル療法と組み合わせて用いる前臨床研究
パクリタキセルおよび式Iの経口タキサンをCREMOPHOR/エタノール(50/50)に溶解し、次いで使用の約1時間以内に水(式Iの場合)またはサリン(パクリタキセルの場合)で希釈した。ビヒクルの各成分の最終的な濃度は以下の通りである;CREMOPHORが10%であり、エタノールが10%であり、そして水溶液が80%である。
【0040】
C3H通常のマウスを、ハーラン−スプレーグドーリー(Harlan-Sprague Dawley)(Indianapolis, IN)から購入し、マウスに固形飼料および水を自由に摂食させた。
【0041】
転移性の乳房16/Cマウス癌腫をC3Hマウス中で2週間増殖させた。実験は、腫瘍断片を外套針によって皮下注射することによって開始させた。
【0042】
インビボでの腫瘍の試験のために、C3Hマウスに乳房16/C腫瘍断片を皮下インプラントした。未処置のコントロール群の場合を除いて、全ての処置は腫瘍のインプラントの10日後に開始した。全ての群は8マウスを含んだ。腫瘍を1週間に1回または2回測定し、そして大きさを式:
重量(単位はミリグラム)=a×b2
(式中、aは長さであり、そしてbは幅である(単位はミリメートル))
を用いて重量に変換した。マウスの各群における腫瘍が1gに達するための中央時間を測定して、コントロール(C)群に対する処置(T)群について1gの腫瘍標的の大きさに達する中央時間の遅延を算出した。腫瘍の増殖におけるこれらの遅延(T−C値(単位は日数))を更に、式:
T−C/(コントロール群の腫瘍の大きさが2倍になる時間、TVDT)×(3.32)
を用いて肉眼的細胞死滅対数(LCK)値に変換した。1LCKよりも大きいかまたは等しいLCKは、活性の結果と考えた。治癒は各実験の最後に評価して、35ミリグラムよりも大きい腫瘍の塊の非存在と定義した。全ての処置の完結後のTVDTの10倍よりも大きい時点で、実験を終結させた。
【0043】
実施例5:進行性の悪性を有する患者において連続的な毎日のメトロノーム的なスケジュールで投与した式Iの経口タキサンの第1期(Phase I)安全性、薬物動態学および用量増大研究
第1期のオープンラベル(open-label)のシングルアーム(single arm)用量増大研究(ここで、進行性または転移性の癌を有する患者の同齢集団に、毎日式Iの経口タキサンの用量を増大しながら口から与えて、外来患者に基づいて式Iの経口タキサンの安全性、用量制限毒性および最適な生理活性用量を評価する)を設計した。薬物動態学および薬力学をも実施する。該研究は約45〜65患者について行なう。該経口タキサンの開始用量レベルは、2mgの一定用量を連続的な根拠および空の胃に基づいて1日1回与える。用量は以下の通り、増大させる。
【0044】
全ての患者を記録のために、次の用量レベルを開始する前に少なくとも28日間観察する。該研究期間中、患者を開始用量レベルで同時に記録することができる。現在の用量レベルでの全6患者が第1過程の処置を完了し、そして<1患者が第1過程の間に用量制限の毒性を被る場合には、次の用量レベルヘの増大が許容される。
【0045】
薬物動態学および薬力学の評価、並びに代理マーカーの評価のための血液試料を、全ての患者から集めた。内皮細胞活性化の血漿マーカー(これは、sICAM−1、sVCAM−1、sET−1、sE−セレクチンおよびsMCP−1を含む)を評価する。血液および/または腫瘍試料をも、同意した患者における薬理ゲノミクスのために集める。
【0046】
該研究について適格であるために、患者は全ての適格性の基準(これは、以下に示すが、これらに限定されない)を満たさなければいけない;
1)非血液学的な悪性についての組織学的にまたは細胞学的に確認されている診断(これは、標準的な療法において進められていたり、またはそのための標準的な療法が知られていないこともある)を行うこと;
2)測定可能なまたは測定不能な疾患であること;
3)十分な骨髄、肝臓および腎臓の機能を有すること;
4)免疫療法、放射線療法または化学療法(これは、タキサンを含む)の最後の投与以来、4週間(ニトロ源またはマイトマイシン−Cの場合には6週間)経過していること;
5)患者はベースラインまたは従来の療法から生じる毒性のグレード1にまで回復しなければいけないこと;および、
6)東部協同的腫瘍学群(Eastern Cooperative Oncology Group)のパフォーマンスは状態0〜1であること。
【0047】
毒性は、National Institute of Cancer's Common Toxicity Criteria Version 2.0に従って評価する。
【0048】
式Iの経口タキサンの血漿薬力学的な試料を1、8、15、22、29および56日目に全ての患者で集めて、そして限定的な試料採取は該療法を続けている患者についてその後4週間毎に得る。
【0049】
実施例6:式Iの経口タキサン 3 ' −tert−ブチル−3 ' −N−tert−ブチルオキシカルボニル−4−デアセチル−3 ' −デフェニル−3 ' −N−デベンゾイル−4−O−メトキシカルボニル−パクリタキセルの製造
(±)−シス−4−tert−ブチル−1−tert−ブチルオキシカルボニル−3−トリエチルシリルオキシアゼチジン−2−オンの製造
【化2】
トリメチルアセトアルデヒド(20.3mL、1.25当量)を、p−アニシジン(18.4g、0.150mol)および無水Na2SO4(150g)の無水ジクロロメタン(250mL)の撹拌懸濁液に室温で加えた。2時間後に、このものをろ取して、該固体を更なる無水ジクロロメタンで洗浄した。該溶媒を該ろ液から除去し、該結晶性残渣を無水ジクロロメタン(750mL)に溶解して、窒素雰囲気下に置いた。トリエチルアミン(48.0mL、2.3当量)を加えて、該反応液を−78℃まで冷却した。ベンジルオキシアセチルクロリド(27.2mL、1.15当量)を滴下して、次いで該反応液を室温まで昇温させた。24時間後に、このものを0.5M HCl(2回)、飽和NaHCO3水溶液およびブラインで洗浄して、乾燥(Na2SO4)した。該溶媒を除去して、該残渣についてシリカゲルクロマトグラフィー精製(0〜20%EtOAcを含有する20%ジクロロメタン/ヘキサンを用いて勾配溶出)を行なって、結晶性固体の(±)−シス−4−tert−ブチル−3−ベンジルオキシ−1−p−メトキシベンジルアゼチジノン(46.9g、92%)を得た。1H NMR (CDCl3) 1.09 (s, 9H), 3.81 (s, 3H), 4.15 (d, 1H, J=5.5 Hz), 4.77 (d, 1H, J=11.9 Hz), 4.81 (d, 1H, J=5.5 Hz), 5.03 (d, 1H, J=11.9 Hz), 6.87-7.43 (m, 9 Hz);LRMS (ESI) 340 ([M+H]+)。セリウムアンモニウム硝酸塩(60.4g、3.6当量)の水(900mL)溶液を、氷浴中でアゼチジノン(10.38g、30.6mmol)のアセトニトリル(600mL)の十分に撹拌した溶液に1時間かけて加えた。次いで、該反応液をEtOAc(2回)で抽出して、該有機抽出液を合わせて飽和NaHCO3水溶液(2回)、20%NaHCO3水溶液、飽和NaHCO3水溶液およびブラインで洗浄した。撹拌(Na2SO4)後に、該溶媒を除去して、該残渣についてシリカゲルカラムクロマトグラフィー精製(10〜40%EtOAcを含有するヘキサン部を用いて勾配溶出)を行なって、わずかに不純な(±)−シス−3−ベンジルオキシ−4−tert−ブチルアゼチジン−2−オン(5.64g)を得た。1H NMR (CDCl3) 1.04 (s, 9H), 3.51 (d, 1H, J=5.2 Hz), 4.71 (m, 2H), 4.96 (d, 1H, J=11.9 Hz), 6.10 (brs, 1H), 7.35 (m, 5H)。この物質(5.54g、23.8mmol)および10%Pdの木炭(2.5g)の無水EtOH(100mL)懸濁液について、水素添加(34psiのH2、パール装置)を23時間行なった。更に該Pd触媒(2g)を加えて、該水素添加反応を50psiのH2で更に17時間続けた。該触媒をろ過によって除去して、該溶媒を該ろ液から除去すると粗(±)−シス−3−ヒドロキシ−4−(tert−ブチル)アゼチジン−2−オンが残った。1H NMR (CDCl3+D2O(1滴)) 1.05 (s, 9H), 3.48 (d, 1H, J=5.0 Hz), 4.98 (d, 1H, J=5.0 Hz)。この物質を乾燥N,N−ジメチルホルムアミド(40mL)に溶解して、イミダゾール(3.24g、2当量)およびトリエチルシリルクロリド(4.0mL、1当量)を加えた。10分後に、該反応液を水およびEtOAcとヘキサン(1:1)混合物の間で分配した。該有機相を水(2回)およびブラインで洗浄し、次いで乾燥(Na2SO4)した。該溶媒を除去して、該残渣についてシリカゲルカラムクロマトグラフィー精製(20〜25%EtOAc/ヘキサンを用いて勾配溶出)を行なって、(±)−シス−4−tert−ブチル−3−トリエチルシリルオキシアゼチジン−2−オン(3.86g)を得た。1H NMR (CDCl3) 0.70 (m, 6H), 0.98 (m, 18H), 3.39 (d, 1H, J=5.0 Hz), 4.88 (dd, 1H, J=2.1, 5.0 Hz), 6.08 (brs, 1H)。このアゼチジノン(2.04g、7.92mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(1.66mL、1.2当量)、二炭酸ジ−tert−ブチル(1.90g、1.1当量)およびp−ジメチルアミノピリジン(194mg、0.2当量)の乾燥ジクロロメタン(24mL)溶液を室温で3時間撹拌した。該反応混合物をジクロロメタンで希釈し、ブラインで洗浄して、乾燥(Na2SO4)した。該溶媒を除去し、続いてシリカゲルカラムクロマトグラフィー精製(0〜20%EtOAc/ヘキサンを用いて勾配溶出)を行なって、油状物の標題化合物(2.71g、96%)を得た。1H NMR (CDCl3) 0.70 (m, 6H), 1.00 (m, 9H), 1.09 (s, 9H), 1.53 (s, 9H), 3.90 (d, 1H, J = 6.5 Hz), 4.93 (d, 1H, J = 6.5 Hz)。
【0050】
バカチン誘導体Aの製造
【化3】
10−デスアセチルバカチン(47.4g、87mmol)の無水N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(500mL)溶液に、イミダゾール(47g、691mmol)を周囲温度で加えた。透明な溶液が観察されるまで、溶液を10〜15分間撹拌した。ジイソプロピルジクロロシラン(58mL、322mmol)を該反応混合物に滴下した。反応混合物を周囲温度で16時間撹拌した。別の量のジイソプロピルジクロロシラン(6mL)を該溶液に加えて、該反応混合物を60分間撹拌した。この時点でのHPLCは、該反応の完結を示した。メタノール(36mL)を該混合物に加えて、該溶液を60分間撹拌した。反応を停止し、tert−ブチルメチルケトン(TBME)(500mL)および水(200mL)の混合物を用いて希釈した。相分離し、有機相をブライン(250mL)で洗浄し、乾燥(硫酸ナトリウムを使用)し、蒸発させて白色アモルファス化合物の該トリシリル化バカチン誘導体A(91g、>100%収率)を得て、このものを更に精製することなく次の工程に使用した。
LRMS(ESI)M+(C50H84O13Si3として計算)計算値 977;実測値 977。
【0051】
バカチン誘導体Bの製造
【化4】
バカチン誘導体A(90g、92mmol)のDMF(500mL)溶液に、イミダゾール(22g、320mmol)を0℃で加えた。ジメチルクロロシラン(35mL、320mmol)を0℃で滴下した。該化合物の沈降をこの時点で観察した。反応混合物(スラリー)を0℃で0.5時間撹拌した。固体をろ過して、冷DMF(3×150mL)で洗浄した。風乾後に、固体をTBME(700mL)に再溶解して、該溶液を水(3×200mL)およびブライン(250mL)で洗浄して、乾燥(硫酸ナトリウムを使用)した。該溶液を短いシリカパッドを通してろ過した。該溶媒を真空下で除去することにより、B(77%収率、70g)を得た。
LRMS(ESI)M+(C50H90O13Si4として計算)計算値 1035;実測値 1035。
【0052】
バカチン誘導体Cの製造
【化5】
B(66.3g、64mmol)のトルエン(680mL)撹拌溶液に−34℃で、Red−AL(登録商標)(50mL、160mmol、65重量%の水素化ナトリウムビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムのトルエン溶液)を10分間かけて滴下した。反応混合物を−25℃まで昇温させて、1.5時間撹拌した。内部温度を−20〜−25℃の間に保ちながら、メタノール(62mL)を該反応混合物に滴下した。溶液をTBME(500mL)を用いて希釈し、続いて1N水酸化ナトリウム溶液(60mL)およびブライン(60mL)を加えることによって希釈した。溶液を30分間撹拌した。珪藻土(12g)を該混合物に加え、10分間撹拌し、珪藻土のパッドを通してろ過した。相分離した。有機相を水およびブラインで洗浄して、乾燥(硫酸ナトリウムを使用)した。次に、溶液を短いシリカゲルパッドを通してろ過し、その後に該溶媒を除去した。白色固体の該化合物を97%収率(62g)で得た。
LRMS(ESI)M+(C50H88O12Si4として計算)計算値 993;実測値 993。
【0053】
バカチン誘導体Dの製造
【化6】
アルゴン雰囲気下、バカチン誘導体C(62g、62mmol)の無水テトラヒドロフラン(THF)(600mL)溶液に−60℃で、ビス(トリメチルシリル)アミドリチウム(125mL、125mmol、1MのTHF溶液)を滴下した。溶液を15分間撹拌して、続いてクロロギ酸メチル(9mL、116mmol)を加えた。該溶液の内部温度を−60℃に保った。反応液を0℃までゆっくりと昇温させて、混合物を3時間撹拌した。該反応の完結後に、飽和塩化アンモニウム(300mL)を加えた。反応混合物をTBME(100mL)で抽出した。有機相を飽和塩化アンモニウム(200mL)、水(200mL)およびブライン(200mL)で洗浄し、蒸発させて油状物のD(67g、>100%)を得た。該粗物質を更に精製することなく次の工程に使用した。
LRMS(ESI)M+(C52H90O14Si4として計算)計算値 1051;実測値 1051。
【0054】
バカチン誘導体Eの製造
【化7】
バカチン誘導体D(62g、59mmol)の乾燥THF(260mL)溶液に、トリエチルアミン・フッ化水素酸複合体(56mL、344mmol)を周囲温度で加えた。反応液を3時間撹拌した。反応混合物を酢酸エチル(350mL)で希釈し、水(200mL)およびブライン(200mL)で洗浄し、乾燥(硫酸ナトリウムを使用)し、蒸発させてE(43g、>100%粗収率)を得た。該粗化合物を酢酸エチル(350mL)とヘキサン(50mL)の混合物中で再スラリー化することにより、純粋なE(90%収率)を得た。
LRMS(ESI)M+(C29H36O11として計算)計算値 560;実測値 560。
【0055】
バカチン誘導体Fの製造
【化8】
バカチン誘導体E(32g、57mmol)およびイミダゾール(11.7g、172mmolのDMF(220mL)溶液)の撹拌溶液に−65℃で、アルゴン下、ジイソプロピルジクロロシラン(26.8mL)を加えた。該反応混合物の温度を−60℃に保ち、該混合物を2時間撹拌した。反応の完結後に(HPLC)、イミダゾールのメタノール溶液(イミダゾール(11.7g)をメタノール(35mL)に溶解)を加えて、該溶液を0℃で30分間撹拌した。混合物をTBME(500mL)で抽出した。有機相を水(4×150mL)で洗浄し、乾燥(硫酸ナトリウムを使用)し、蒸発させて粗F(45g)を得た。該粗物質を更にアセトニトリル(150mL)に溶解して、該溶液をヘキサン(3×100mL)で洗浄した。アセトニトリルを除去することにより、白色固体の純粋なF(34g、84%収率)を得た。
LRMS(ESI)M+(C36H52O12Siとして計算)計算値 704;実測値 704。
【0056】
4−デアセチル−7−[ビスイソプロピル(メトキシ)]シリルオキシ−4−メトキシカルボニルバカチン
【化9】
バカチン誘導体F(33.2g、47mmol)のDMF(200mL)溶液に、ビス(トリメチルシリル)アミドリチウム(61.2mL、61.2mmol、1M THF溶液)を−43℃で滴下した。該反応混合物を15分間撹拌し、続いて無水酢酸(5.8mL、63mmol)を加えた。該反応混合物を−40℃で30分間撹拌した。酢酸(3.6mL)を加えて、該冷浴を除去した。該反応混合物をTBME(300mL)で抽出した。有機相を分離し、水(3×150mL)およびブライン(150mL)で洗浄し、乾燥(硫酸ナトリウムを使用)し、蒸発させて粗生成物を得た。この化合物の精製は、結晶化(THF:ヘプタン(1:6)から)によって達成した。40gの仕込みから、結晶化した標題生成物(21g)を得た(60%収率)。
LRMS(ESI)M+(C38H54O13Siとして計算)計算値 746;実測値 746。
【0057】
3'−tert−ブチル−3'−N−ブチルオキシカルボニル−4−デアセチル−3'−デフェニル−3'−N−デベンゾイル−4−O−メトキシカルボニル−パクリタキセル(式Iの経口タキサン)の製造
【化10】
(+)−シス−4−tert−ブチル−1−(tert−ブチルオキシカルボニル)−3−トリエチルシリルオキシアゼチジン−2−オン(2.71g、5当量)および4−デアセチル−7−[ビスイソプロピル(メトキシ)]シリルオキシ−4−メトキシカルボニルバカチン(1.13g、1.52mmol)の乾燥THF(100mL)溶液をN2下で、−50℃まで冷却し、そしてビス(トリメチルシリル)アミドリチウム(1.97mL、1.3当量、1.0MのTHF溶液)を加えた。5分後に、このものを浴に移し、そのものを−35〜−30℃で20時間、次いで−25℃で24時間保った。次いで、該反応液を飽和NH4Cl水溶液を用いてクエンチし、EtOAcおよびヘキサン(1:1)混合物で抽出した。該有機抽出液をブラインで洗浄して、乾燥(Na2SO4)した。該溶媒を除去して、該残渣についてクロマトグラフィー精製(円形クロマトグラフィー(6mmのシリカゲルプレートを使用;5〜20%のEtOAc/ヘキサンを用いて勾配溶出)を行なって、2',3'−ジアステレオマー混合物である3'−tert−ブチル−3'−N−tert−ブチルオキシカルボニル−7−[ビスイソプロピル(メトキシ)]シリルオキシ−4−デアセチル−3'−デフェニル−3'−N−デベンゾイル−4−O−メトキシカルボニル−2'−トリエチルシリルオキシパクリタキセル(1.55g)を得た。この混合物を乾燥THF(60mL)に溶解して、トリエチルアミントリヒドロフルオリド(0.92mL、4当量)を加えた。室温で22時間後に、該反応混合物を飽和NaHCO3水溶液を用いて中和し、次いでEtOAcで抽出した。該有機抽出液をブラインで洗浄し、乾燥(Na2SO4)して、該溶媒を除去した。該残渣についてクロマトグラフィー精製(円形クロマトグラフィー;2mmのシリカゲルプレートを使用;10〜50%のEtOAc/ヘキサンを用いて勾配溶出)を行なって、以下のもの(溶出の順序で)を得た。2'S,3'R−tert−ブチル−3'−N−tert−ブチルオキシカルボニル−4−デアセチル−3'−デフェニル−3'−N−デベンゾイル−4−O−メトキシカルボニル−パクリタキセル(210mg、18%){1H NMR (CDCl3) 1.04 (s, 9H), 1.13 (s, 3H), 1.20 (s, 3H), 1.37 (s, 9H), 1.65 (s, 1H), 1.66 (s, 3H), 1.84-1.93 (m, 2H), 2.17 (s, 3H), 2.25 (s, 3H), 2,55 (m, 3H), 3.00 (d, 1H, J=6.5 Hz), 3.74 (d, 1H, J=10.8 Hz), 3.79 (d, 1H, J=6.9 Hz), 3.92 (s, 3H), 4.16 (d, 1H, J=8.5 Hz), 4.33 (d, 1H, J=8.5 Hz), 4.42 (m, 1H), 4.54 (d, 1H, J=6.5 Hz) 4.87 (d, 1H, J=10.6 Hz), 5.01 (d, 1H, J=7.7 Hz), 5.68 (d, 1H, J=7.0 Hz), 5.76 (m, 1H), 6.32 (s, 1H), 7.44-8.05 (m, 5H);LRMS (ESI) 846 [(M+H)+]}、および該標題化合物(668、g、56%){1H NMR (CDCl3) 1.07 (s, 9H), 1.14 (s, 3H), 1.24 (s, 3H), 1.33 (s, 9H), 1.66 (s, 4H), 2.23 (s, 3H), 2.38-2.59 (m, 4H), 3.11 (d, 1H, J=5.8 Hz), 3.77 (d, 1H, J=11.1 Hz), 3.82 (d, 1H, J=7.0 Hz), 3.96 (s, 3H), 4.20 (d, 1H, J=8.6 Hz), 4.33 (d, 1H, J=8.6 Hz), 4.39 (m, 1H), 4.53 (d, 1H, J=5.4 Hz) 4.88 (d, 1H, J=10.6 Hz), 4.98 (d, 1H, J=7.9 Hz), 5.69 (d, 1H, J=7.1 Hz), 6.03 (m, 1H), 6.28 (s, 1H), 7.40-8.11 (m, 5H);LRMS (ESI) 846 [(M+H)+]}を得た。
(関連出願)
本出願は、米国仮出願番号60/271,944号(2001年2月28日)の35§119(e)に基づく利益を主張する。
【0002】
(背景技術)
従来、癌の処置ための化学療法薬物投与方式は、「最大寛容性用量(MTDs)」のこれら細胞毒性薬物を用いて処置することによってできるだけ多数の腫瘍細胞を殺すように設計されてきた(ハナハン(Hanahan)らによるJ. Clinical Invest. 2000 105(8): 1045-1047)。このMTD投与方式(dosing regime)はまた、通常誘発療法と呼ばれる。しかしながら、これらのMTDsの投与から生じる健康な組織内での増殖性細胞による損傷に関係する毒性副作用はこれらの薬物の使用に重要な制約を与える。有効に毒性を平衡化させるために、従来の投与スケジュールは、MTDまたはほとんどMTDでの細胞毒性薬の間欠的な使用、続く正常な細胞を回収するための休止期間を要求する(HanahanらによるJ. Clinical Invest. 2000 105(8): 1045-1047)。しかしながら、この標準的なMTD投与方式は患者の生活の質を大きく損なうだけでなく、ほんの短命な応答を与え、続いて該細胞毒性薬物に対して抵抗性であるより攻撃的な癌が再発し得ることが多い。
【0003】
従って、別の療法が活発に探求されている。1つの別方法は、腫瘍細胞そのものとは対照的に該腫瘍の血管を形成する脈管構造の細胞を標的とする。血管形成とは、既存の脈管構造からの血管の生成のプロセスであって、このものは既存の内皮の補充および拡張を含む。血管形成は、雌性の生殖周期および創傷の治癒において自然に生じる生理学的なプロセスである。しかしながら、機能性微小血管系の確立は腫瘍の増殖および散在にとって重要であるので、血管形成もまた癌において生じる。
【0004】
最近の前臨床研究は、細胞毒性薬物であるシクロホスファミド(BrowderらによるCancer Res. 2000 60: 1878-1886)およびビンブラスチン、並びに非細胞毒性VEGF受容体−2抗体(クレメント(Klement)らによるJ. Clinical Invest. 2000 105(8): R15-R24)を、療法の210日目まで中断せずにより短い間隔で投与することの有効性を示している。
【0005】
ブラウダー(Browder)らは、薬物耐性なルイス:ルング(Lewis Lung)癌腫を有するマウスに、毎日または3、4、5、6、7もしくは8日毎にシクロホスファミドを投与することを記載している。これらに実験において、6日毎に投与したシクロホスファミド(170mg/kg)が、調べた他のシクロホスファミドのスケジュール(これは、例えば4日毎に135mg/kgといったより高い用量強度を有するスケジュールを含む)よりも腫瘍の増殖を制御するのにより有効であることが知られている(BrowderらによるCancer Res. 2000 60: 1878-1886)。
【0006】
クレメント(Klement)らは、ビンブラスチン、VEGFに対するflk−1/KDR(タイプ2)受容体を標的とするモノクローナル中和抗体(DC101)の低用量を用いる連続的な処置、または該両方の薬物を一緒に用いる処置のいずれかに対する2つの別個の神経芽細胞腫セルラインの異種移植片を対象としている。これらの実験において、ビンブラスチンは3日毎に約1.5mg/m2(これは、ヒトにおけるこの薬物のMTDの約1/4およびマウスにおけるMTDの1/16〜1/20の用量である)で投与されている(KlementらによるJ. Clinical Invest. 2000 105(8): R15-R24)。
【0007】
WO 00/64436は、治療学的な利点を得るのに十分な投与期間にわたってサブ治療学的な用量レベルで薬理学的に活性な薬物を投与することによって、被験者における虚弱質を処置する方法を開示している。しかしながら、本出願の10〜16頁に示される医薬的に活性な薬物の42クラスのうちのいずれについての本方法の有効性に関するデータは全く示されていない。
【0008】
最大寛容性用量より低い用量での薬物の連続的なまたは中断なしのより短間隔での投与は、慢性的なまたは「メトロノーム的な(metronomic)」投与と呼ばれることが多い(HanahanらによるJ. Clinical Invest. 2000 105(8): 1045-1047)。
【0009】
(発明の概要)
本発明の目的は、タキサンについてのメトロノーム的な投与方式を提供することである。
【0010】
本発明の別の目的は、腫瘍の増殖を抑制する方法を提供することであって、該方法は該腫瘍をメトロノーム的な投与方式によってタキサンに曝露させることを含む。このメトロノーム的な投与方式は、単独でまたは他の確立されている抗癌療法と組み合わせて使用することができる。
【0011】
(発明の詳細な記載)
チューブリンの重合化は通常、癌の化学療法のための最も有効な標的の1つとして認められている。広範囲な癌における臨床的な成功は、商業的に入手可能なタキサンである、タキソール(TAXOL)(パクリタキセル)およびタキソテール(TAXOTERE)(ドセタキセル(docitaxel)の両方について示されている。これら薬物の有効性は、長期の腫瘍曝露期間から示される利点を有するスケジュール依存性である。例えば、臨床的な使用は最近、タキソールの1週間に1回の反復投与を用いて実証された。
【0012】
加えて、前臨床報告はタキソールが強力な抗−血管形成活性を有し得ることを示している(ドルデュノ(Dordunoo)らによるCancer Chemother. Pharmacol. 1995 36: 279-82; バート(Burt)らによるCancer Letters 1995 87: 73-9; オクタバ(Oktaba)らによるProc. Annu. Meet. Am. Assoc. Cancer Res. 1995 36: A2597;ベロッティ(Belotti)らによるProc. Annu. Meet. Am. Assoc. Cancer Res. 1996 37: A397;BelottiらによるClinical Cancer Res. 1996 2: 1843-9;クラウベル(Klauber)らによるCancer research 1997 57: 81-6;およびベラスコ(Velasco)らによるJ. invest. Dermatol. 1999 112: 655)。抗−血管形成化合物の標的個体群は腫瘍よりもむしろ内皮であるので、有効とするべく該抗−血管形成薬は慢性的に投与しなければいけないと示唆されている。不幸なことに、商業的に入手可能なタキサンの経口バイオアベイラビリティは非常に低く(ラットの場合に<1%)、そのため慢性的な反復性投与は非常に煩わしい。
【0013】
3'−tert−ブチル−3'−N−tert−ブチルオキシカルボニル−4−デアセチル−3'−デフェニル−3'−N−デベンゾイル−4−O−メトキシカルボニル−パクリタキセルはパクリタキセルの経口的に活性なアナログである。3'−tert−ブチル−3'−N−tert−ブチルオキシカルボニル−4−デアセチル−3'−デフェニル−3'−N−デベンゾイル−4−O−メトキシカルボニル−パクリタキセルは式Iで示される。従って、この経口的に生体内利用可能なタキサンは本明細書中以下で、式Iの経口活性なタキサンと呼ぶ。
【化1】
式Iの経口活性なタキサンは、ラットおよびイヌの両方の場合において良好な経口バイオアベイラビリティを示し、そしてこのものは多数のヒトセルラインにおいて静脈内投与されたパクリタキセルに匹敵する抗腫瘍活性を有する。経口的に有用なタキサン(このものは、IDN5109と呼ばれる)もまた記載されている(ポリッジ(Polizzi)らによるClinical Cancer Res. May 2000 6(5): 2070-4;ニコレッティ(Nicoletti)らによるCancer Res. February 15, 2000 60(4): 842-6)。加えて、WO99/49848はタキサンの経口製剤(例えば、パクリタキセルおよびドセタキセル)を記載しており、そしてWO98/53811は経口増強剤をも投与するタキサンについての投与方式を記載している。
【0014】
本発明は、腫瘍の増殖を抑制するためおよび癌を処置するためのタキサンについてのメトロノーム的な投与方式に関するものであって、経口的に生体内利用可能であるタキサンは例えば式Iの経口活性なタキサン、IDN5109またはタキソールの経口製剤であることが好ましい。本発明の目的のために、「メトロノーム的な(metronomic)投与方式」とは、ある薬物についての確立されている最大寛容性容量より低い用量での薬物の反復投与であって、くり返し投与により、休止期間を有する通常のスケジュールによって最大寛容性用量で投与したときの該薬物について観察される場合と比較して、毒性副作用が低下した所望する薬理学的な効果を得ることを意味する。休止期間の長さは、該休止期間に先行する処置期間と同じかまたは長いことがある。メトロノーム的な投与の際に、標準的なMTDスケジュール(これはまた、本明細書中で誘発療法と呼ぶ)によって投与されるであろうと同じ累積的な用量を最終的に投与することができる。例えば、これは該投与方式を実施する期間内の時間フレームおよび/または回数を拡大するが、一方で各投与において投与する量を減少させることによって達成される。従って、「反復性」とは慢性的なおよび/または連続的な投与方式を包含することを意味する。しかしながら、メトロノーム的な投与の強調すべき点は、療法の回数および期間の長さよりむしろ、標準的なMTDスケジュールによって投与したときに薬物によって患者に生じる利点を維持することができる比較的に安全な処置である点である。従って、本発明のメトロノーム的な投与方式によって投与されるタキサンは患者によってより免疫寛容性である。メトロノーム的な投与はまた、維持投与または慢性的投与とも呼ぶことができる。
【0015】
本発明の目的のために、タキサンを用いたメトロノーム的な投与の所望する薬理学的な効果は腫瘍の増殖の抑制である。「腫瘍の増殖の抑制」とは、腫瘍の増殖の抑止を生じることおよび/または腫瘍の大きさの後退を生じることを意味する。特定の機構とは関連付けられていないが、タキサンを用いたメトロノーム的な投与は、腫瘍細胞そのものとは対照的に腫瘍の血管を形成する脈管構造の細胞を標的とすることができると考えられている。従って、腫瘍の増殖の抑制は、腫瘍の増殖および散在に重要な機能性微小血管系を確立するための該腫瘍細胞の不能から生じ得る。
【0016】
本発明の投与方式によって低下する毒性副作用は、神経毒性、正常な増殖性細胞の損傷および体重の低下を含むが、これらに限定されない。
【0017】
経口タキサンを用いたメトロノーム的な投与は、癌の処置として単独で、または標準的なMTD投与方式によって投与される他の確立されている抗癌療法と組み合わせたり(combination)もしくは一緒にして(conjunction)使用することができる。本発明のメトロノーム的な投与方式と組み合わせたりまたは一緒にして使用することができる確立されている抗癌療法としては例えば、パクリタキセル、ドセタキセル、シクロホスファミド、カルボプラチン、エトポシド、ドキソルビシン、イリノテカン、トポテカン、ビンブラスチン、ゲムシタビン、テガフール/ウラシルの組み合わせ、カペシタビン(capecitabine)、5−フルオロウラシル、抗体(例えば、ヘルセプチン(herceptin)またはセツキシマブ(cetuximab)(a.k.a.、ERBITUX(登録商標))、抗ホルモン性処置薬(例えば、ビカルタミドまたはフルタミド)、並びに放射線療法を含むが、これらに限定されない。「組み合わせてまたは一緒にして」とは、誘発療法方式によって患者に生じる利点を持続するために、本発明のメトロノーム的な投与方式を、確立されている抗癌療法の標準的なMTD投与方式と同時にまたはより好ましくは誘発療法の過程(course)の間のいずれかで行なうことを意味する。誘発療法の過程の間に運搬する場合、その意図は患者の健康または誘発療法の次の過程に耐えられる患者の能力を過度に約束するものではないが、腫瘍の増殖を抑制し続けることである。
【0018】
式Iの経口タキサンの抗−血管形成活性は、インビトロでの内皮細胞でおよび腫瘍依存性のインビボ血管形成モデルで評価した。増殖およびチューブ形成の両方のアッセイを用いて、インビトロでの内皮細胞活性を評価した。
【0019】
インビトロでの活性を評価するために、血管形成のプロセスに関連する内皮細胞機能に及ぼす、タキソール(パクリタキセル)と比較した式Iの経口タキサンの効果を評価した。評価する機能は、拡張される脈管構造の管腔を形成する内皮細胞の増殖を含めた。表1に示す通り、式Iの経口タキサンは2つの別個の実験においてヒトさい帯静脈内皮細胞(HUVEC)の増殖を抑制する際にタキソールとほぼ等効力であった。抑制はまた、HUVECの場合について観察されるのとほぼ同じ濃度で腫瘍セルラインH3396についても観察され、従ってこのことはこれらのタキサンが内皮細胞および腫瘍細胞の両方の増殖を抑制する細胞毒性効果を発揮することを示す。
表1:HUVECおよびH3396増殖の抑制
【0020】
マトリゲル上でのこれらの細胞の分化によるチューブ形成を含む内皮細胞の機能に及ぼす影響をも評価した。表2に示す通り、これらのタキサンの両方についてマトリゲル上でのチューブ形成の完全な抑制を与えるこれらのタキサンの最も低い濃度は0.0500μMであった。加えて、濃度の更なる低下はなおもこれらのタキサンの両方についての抑制効果を保持した。
表2:マトリゲル上でのHUVECチューブ形成の抑制
Cは完全であり、そしてPは部分である。
【0021】
従って、これらのタキサンは血管形成の2つの重要なプロセス、すなわち内皮細胞の増殖および分化を抑制した。従って、それらの抗腫瘍効果は、それらの抗増殖活性の結果であるだけではなく、他の内皮細胞の機能に及ぼすそれらの活性の結果でもある。
【0022】
これらのタキサンをまた、マトリゲルプラグを用いてインビボで評価した。これらの実験において、血管形成反応はマトリゲルプラグ中で生じる内皮細胞の数を、様々な治療学的なおよびサブ治療学的な用量で評価することによって測定した。該プラグ中で生じる内皮細胞の数は、タキソールおよび式Iの経口タキサンの両方について用量依存性様式で調べた用量と相関した。最大寛容性用量(MTD)、24mg/kgのタキソールの場合に、本スケジュール(1日おきに5日間;q2dx5)でのコントロール群と比較して細胞数の50%よりも大きい減少が観察された。式Iの経口タキサンの場合に、MTD(60mg/kg)および2つのより低い用量(36mg/kgおよび18mg/kg)のときに、プラグ中の細胞数の50%よりも大きい減少が観察された。従って、MTDの30%ほど低い用量は、なおも細胞数の50%よりも大きい減少を生じた。更に、これらのタキサンの内皮細胞数に及ぼす効果は、調べた用量より低くいと劣るが、なおも形態学的な欠損を生じ、このことはコントロール動物と比較してこれらの細胞が組織化されて赤血球含有のチューブ様構造となる能力によって裏付けられる。従って、抗−血管形成効果はなおも、式Iの経口タキサンの最大寛容性用量よりも約13倍低い用量でインビボで観察される。
【0023】
式Iの経口タキサンはまた、誘発化学療法の過程の間に維持療法として投与するときに、静脈内投与されたパクリタキセルに匹敵する前臨床的な抗腫瘍効力を有することを示した。これらの実験において、乳房16/Cマウス腫瘍を有するマウスに以下の2つの一般的な処置方法のいずれかを与えた:a)18日の休止期間で隔たれた2つの継続的な毎日の処置スケジュールで投与する静脈内パクリタキセル、すなわちqdx×5;10、32;またはb)18日の休止期間で隔てられた2つの継続的な毎日の処置スケジュールおよび別のqdx5療法で投与する静脈内パクリタキセル(これは、静脈内パクリタキセルの最初の期間の終わりから1週間後に式Iの経口タキサンを経口投与することからなる)、すなわちパクリタキセル qdx5;10、32+式I qdx5;21。用量応答滴定は、各々の処置方法を用いて行なった。選択した処置方式を用いて得られた肉眼的細胞死滅対数(log cell kill;LCK)値のまとめを表3に示す。
表3:病期(Staged)の皮下乳房16/C癌腫を有するマウスにおける静脈内パクリタキセル処置の過程の間に介在する経口タキサン維持療法の効果
*治癒は、腫瘍インプラント後の88日目に評価した。
【0024】
従って、パクリタキセルのみを用いて得られた最適な効果、10.1のLCK(2/8の治癒を含む)は、適当な(likely)MTD方式、2つの処置過程の各々の間に30mg/kg/注射のパクリタキセルのときに得られた。いずれかまたは両方の療法過程におけるより少ない量のパクリタキセルは、効力の低下を生じた。比較として、式Iの経口タキサンをある静脈内パクリタキセルの処置過程に加えた場合は、効力全体における改善が観察された。これらの実験における最適な組み合わせ化学療法方式は、式Iの経口タキサンの20mg/kg/投与をパクリタキセル過程当たり静脈内パクリタキセルの20mg/kg/注射と一緒に含む。更に、過程療法の間の間欠期中に腫瘍の再増殖が生じるようなパクリタキセル処置のみの場合と違って、パクリタキセル過程の間での式Iの経口タキサンの投与により抑制され、そしてこの組み合わせ処置群の腫瘍の大きさの中央値をわずかに減少さえした。
【0025】
別の実験において、静脈内パクリタキセルを用いた誘発療法の1過程後に、該経口タキサンを維持療法として与えた。静脈内パクリタキセルのみを与えたマウスについて、MTD投与方式(これは、45mg/kg/注射、qdx5、静脈内から構成され、そして腫瘍のインプラントの10日後に開始する)は、次に低用量の30mg/kg/注射と同程度の最適な治療学的結果、1.9LCKを与えた。それに対して、他の群のマウスにはパクリタキセルを用いた誘発化学療法を与えるが、次いで式Iの経口タキサンを用いた2つの異なる維持療法方式の1つを与えた。表4は、様々な処置のまとめおよび本実験からの結果を示す。
【0026】
表4:病期の皮下乳房16/C癌腫を有するマウスにおける静脈内パクリタキセルを用いた誘発療法後の、式Iの経口タキサンを用いた維持療法の効果
*治癒は、腫瘍のインプラント後の60日目に評価した。
【0027】
経口タキサンの余分のほぼ4週間の利点は、これらの結果においてはっきりと明白である。最大寛容性の組み合わせ(パクリタキセル+式I)投与方式において、得られる最良のLCKは、実験の終わりに(60日目)判断すると、治癒を伴うことがある5.5であった。より有効な経口タキサン維持療法は腫瘍の増殖を防止する以上に機能し、それらはまた該腫瘍の重荷をも軽減した。
【0028】
タキサンを単独で使用するメトロノーム的な投与方式はまた、マウスにおけるヒト腫瘍細胞の増殖を抑制するのにも成功している。これらの実験において、MTDより低用量の式Iの経口タキサンを用いる遅延性の30日処置スケジュールを、L2987ヒト肺腫瘍の増殖についての増殖を抑制する場合の従来使用されているMTDおよび強化した(consolidated)スケジュール方法と合理的に十分に比較した。L2987ヒト肺腫瘍をインプラントして、薬物の投与前に50〜100mm3にまで達成させた。従来使用されているMTDおよび強化したスケジュール方法は、標準的なスケジュール(q2d×5)で経口的に運搬される投与当たり60mg/kgの用量からなる。該メトロノーム的投与方式は、同じ累積的な用量の30mg/kgを運搬するが、改変されたスケジュール(1日おきで15日間;q2dx15)で経口的に運搬される投与当たり20mg/kgの用量からなる。より大きな抗腫瘍反応が標準的なスケジュールを使用した場合に観察されるが、体重の低下もまた観察された。それに対して、該メトロノーム的な投与方式はまた腫瘍の増殖を抑制して、そして体重の低下が観察された。従って、タキサンを使用するメトロノーム的な投与により、腫瘍を増殖を抑制するための安全且つ一層有効な方法を提供する。
【0029】
この開示を読む際に当該分野の当業者によって理解されるであろう通り、これらの実験に使用されるメトロノーム的な投与方式は単に、投与間隔および投与期間の可能な改変の1例として機能し、これは最適なメトロノーム的な投与方式を達成するための標準的なMTDスケジュールとなる。例えば、式Iの経口タキサンについて、腫瘍の増殖を抑制する際に有効であると期待されるメトロノーム的な投与方式としては、例えば毎日の投与間隔、1日おきの投与間隔および1週間に1回の投与を含むが、これらに限定されない。これらの投与方式は、ほぼ1ヶ月から少なくとも1年までの範囲に及ぶ期間にまで拡張される。これらの典型的なメトロノーム的な投与方式で投与される薬物は、それぞれ約0.25mg/M2〜120mg/M2、0.50mg/M2〜240mg/M2および1mg/M2〜700mg/M2の範囲にまで及ぶことができる。更に、インビトロおよびインビボ血管形成実験は、300mg/kgより低い累積的用量もまた腫瘍の増殖を抑制するのに有効であろうという証拠を与える。従って、式Iの経口タキサンのメトロノーム的な投与方式はまた、より低い累積的用量(例えば、225mg/kg、150mg/kg、75mg/kg、37.5mg/kgおよび18.75mg/kgでさえ)の運搬について設計することができる。更に、他のタキサンについてのメトロノーム的な投与方式は通常、それらの個々の標準的なMTDスケジュール、並びにインビトロおよびインビボ血管形成アッセイ(例えば、以下の実施例に記載するアッセイ)におけるそれらの活性に基づいて、式Iの経口タキサンについて本明細書に提示する教示にしたがって設計することができる。
【0030】
本発明はまた、動物における腫瘍を抑制するための、タキサンについてのメトロノーム的な投与方式を用いる方法に関する。好ましい態様において、これらの方法において使用するタキサンは経口的に生体内利用可能である。好ましい経口タキサンは式Iのタキサンである。しかしながら、他のタキサンおよび該タキサンの連続的な低用量を投与する他の方法はまた使用することができる。例えば、本発明のメトロノーム的な投与の他の投与方法としては、吸入、経皮、すなわち経皮パッチ、坐剤による直腸、筋肉内、腹腔内、静脈内および皮下による方法を含むが、これらに限定されない。
【0031】
本発明の目的のために、「動物」とは、腫瘍が増殖するいずれかの動物を含むことを意味するが、特にヒトである。
【0032】
以下の非限定的な実施例は、本発明を更に例示するために提供する。
【0033】
(実施例)
実施例1:HUVEC増殖
一次的なヒトさい帯静脈内皮細胞(HUVEC)はクローンティック(CLONETICS)社(San Diego, CA)から購入して、2〜3継代で使用した。細胞培養物を収集する24時間前にパルスすることによって、細胞中ヘの3H−チミジンのとり込みを用いて、増殖を測定した。ヒト乳癌腫H3396を用いて、腫瘍細胞における化合物の活性を評価した。細胞(2×103)をコラーゲンIV被覆96ウェルプレート上に置いた。24時間後に、化合物を濃度を変えて加えた。48時間後に、3H−チミジンを加えて、そして細胞に24時間かけてこの標識をとり込ませた。細胞抽出物をガラスフィルターを用いて収集し、とり込まれた放射能をベータシンチレーションカウンター中でカウントすることによって測定した。IC50(これは、3H−チミジンのとり込みを50%抑制する薬物濃度であると定義される)は、プロットされたデータから外挿した。ある化合物による内皮細胞についての細胞選択的な抑制は、H3396腫瘍セルラインと比較して、HUVEC一次細胞培養の少なくとも10倍よりも大きい抑制と決まった。
【0034】
実施例2:インビトロでのチューブ形成
血管形成により、赤血球を含む機能的な血管のネットワークを生じる。該プロセスを部分的に模倣するインビトロアッセイを確立した。マトリゲル(Collaborative Research, Inc.)上に置いた一次的な内皮細胞(例えば、HUVEC)は、索中にアラインするチューブの三次元ネットワークを形成する。このアッセイシステムにおいて、チューブ形成を、細胞培地(EBM−2;CLONETICS社)を1:1で用いて希釈したマトリゲルからなる細胞外タンパク質マトリックス上で評価して、そしてこのものを37℃で60分間重合させた。24ウェルプレート中のHUVEC(3.5×104)/ウェルを、重合させたマトリゲル(0.3mL)上のビヒクルまたは被験化合物を含有する培地(0.5mL)中に分散させた。細胞のプレートの18時間後に、該培地を取り出して、培養物をホルマリン中に固定化させた。マトリゲル上でのチューブの抑制は、位相差ライティング(phase contrast lighting)を用いる倒立顕微鏡を用いて評価する。
【0035】
このアッセイにおける化合物の効果を測定するために、記述的な方法を開発した。抑制の完全な不足とは、ある濃度の化合物の曝露により、単細胞として生じるプレートされたHUVECが1%よりも低く生じて、そして残りの細胞がネットワークまたは枝分かれがあるなしの伸張されたチューブ様構造を形成することと定義する。部分的な抑制とは、多数の単細胞を有する不完全なネットワークと定義する。完全な抑制は、伸張したりまたは枝分かれした構造を伴わずに、細胞の99%よりも多くが単細胞として生じることと定義される。バックグラウンドの影響を確立するために、被験化合物の効果を評価する前に、ビヒクル処置(コントロール)後に生じる単細胞の数を、処置した群において生じる単細胞の総数から引く。
【0036】
実施例3:インビボモデルおよびその研究
無胸腺症(nu/nu)Balb/cマウス内に連続的な皮下継代によって維持したLX1ヒト肺腫瘍断片を、大きさが約0.1mm3の小さな断片として皮下インプラントした。これらの実験において腫瘍の大きさが2倍になる時間は、2.8日であった。腫瘍の大きさが150〜200mm3の範囲に達した後に、液体マトリゲルを腫瘍ヘの対側面に皮下注射した。処置を、用量およびスケジュールを変えながら、24時間後に開始した。インプラントする前に、パシニッティ(Passiniti)ら(Lab. Invest. 1992 67: 519-28)によって記載されている方法に従って、固化したマトリゲルを4℃で終夜、氷上に置くことによって、マトリゲルを調製する。液相であって且つ氷上の間に、VEGFおよびbFGF(Peprotech, Inc. Rocky Hill, NJ)をマトリゲルに加えて、最終的なそれぞれの濃度を75ng/mLおよび300ng/mLとする。これら増殖因子のストック溶液は、PBS中、10mg/mLで新たに調製する。最後の処置の24時間後に、動物を頚部の脱臼によって犠牲にし、そして処置動物およびコントロール動物由来のマトリゲルプラグを切除して、10%の中性緩衝ホルマリン中で少なくとも48時間固定化した。次いで、これらのプラグをパラフィン包埋のために処理して、厚さが5μmで切片し、続いて定量分析前にヘマトキシリンおよびエオシンで染色した。プラグ中の内皮細胞の数は、拡大率が20×でIMAGEPRO PLUSソフトウェア(Media Cybernetics, Inc., Silver Spring, MD)を用いて定量化した。各プラグからの50倍視野を、内皮細胞の数をカウントするのに使用した。細胞の数をまとめて、統計学的にコントロールと比較した。
【0037】
ビヒクル処置群と比べて化合物処置群由来のプラグ中に移動する内皮細胞の数として、血管形成をこれらのプラグ中で評価する。治療学的な用量での化合物の効力を評価する目的で、これらの研究期間中、これらの化合物の抗腫瘍効果を追跡するという目的のために腫瘍をインプラントした。
【0038】
投与のために、タキソールおよび式Iの経口タキサンをCREMOPHOR/エタノール(1:1)溶液中に懸濁して、最終的な濃度がいずれかの化合物を含有する10%CREMOPHORおよび10%エタノール溶液で分散した。タキソールの場合には、通常の生理食塩水を希釈物として使用して、運搬を静脈内で行なった。式Iの経口タキサンの場合には、減菌した水を希釈物として使用して、運搬を経口胃管栄養法によった。
【0039】
実施例4:メトロノーム投与を、確立されているパクリタキセル療法と組み合わせて用いる前臨床研究
パクリタキセルおよび式Iの経口タキサンをCREMOPHOR/エタノール(50/50)に溶解し、次いで使用の約1時間以内に水(式Iの場合)またはサリン(パクリタキセルの場合)で希釈した。ビヒクルの各成分の最終的な濃度は以下の通りである;CREMOPHORが10%であり、エタノールが10%であり、そして水溶液が80%である。
【0040】
C3H通常のマウスを、ハーラン−スプレーグドーリー(Harlan-Sprague Dawley)(Indianapolis, IN)から購入し、マウスに固形飼料および水を自由に摂食させた。
【0041】
転移性の乳房16/Cマウス癌腫をC3Hマウス中で2週間増殖させた。実験は、腫瘍断片を外套針によって皮下注射することによって開始させた。
【0042】
インビボでの腫瘍の試験のために、C3Hマウスに乳房16/C腫瘍断片を皮下インプラントした。未処置のコントロール群の場合を除いて、全ての処置は腫瘍のインプラントの10日後に開始した。全ての群は8マウスを含んだ。腫瘍を1週間に1回または2回測定し、そして大きさを式:
重量(単位はミリグラム)=a×b2
(式中、aは長さであり、そしてbは幅である(単位はミリメートル))
を用いて重量に変換した。マウスの各群における腫瘍が1gに達するための中央時間を測定して、コントロール(C)群に対する処置(T)群について1gの腫瘍標的の大きさに達する中央時間の遅延を算出した。腫瘍の増殖におけるこれらの遅延(T−C値(単位は日数))を更に、式:
T−C/(コントロール群の腫瘍の大きさが2倍になる時間、TVDT)×(3.32)
を用いて肉眼的細胞死滅対数(LCK)値に変換した。1LCKよりも大きいかまたは等しいLCKは、活性の結果と考えた。治癒は各実験の最後に評価して、35ミリグラムよりも大きい腫瘍の塊の非存在と定義した。全ての処置の完結後のTVDTの10倍よりも大きい時点で、実験を終結させた。
【0043】
実施例5:進行性の悪性を有する患者において連続的な毎日のメトロノーム的なスケジュールで投与した式Iの経口タキサンの第1期(Phase I)安全性、薬物動態学および用量増大研究
第1期のオープンラベル(open-label)のシングルアーム(single arm)用量増大研究(ここで、進行性または転移性の癌を有する患者の同齢集団に、毎日式Iの経口タキサンの用量を増大しながら口から与えて、外来患者に基づいて式Iの経口タキサンの安全性、用量制限毒性および最適な生理活性用量を評価する)を設計した。薬物動態学および薬力学をも実施する。該研究は約45〜65患者について行なう。該経口タキサンの開始用量レベルは、2mgの一定用量を連続的な根拠および空の胃に基づいて1日1回与える。用量は以下の通り、増大させる。
【0044】
全ての患者を記録のために、次の用量レベルを開始する前に少なくとも28日間観察する。該研究期間中、患者を開始用量レベルで同時に記録することができる。現在の用量レベルでの全6患者が第1過程の処置を完了し、そして<1患者が第1過程の間に用量制限の毒性を被る場合には、次の用量レベルヘの増大が許容される。
【0045】
薬物動態学および薬力学の評価、並びに代理マーカーの評価のための血液試料を、全ての患者から集めた。内皮細胞活性化の血漿マーカー(これは、sICAM−1、sVCAM−1、sET−1、sE−セレクチンおよびsMCP−1を含む)を評価する。血液および/または腫瘍試料をも、同意した患者における薬理ゲノミクスのために集める。
【0046】
該研究について適格であるために、患者は全ての適格性の基準(これは、以下に示すが、これらに限定されない)を満たさなければいけない;
1)非血液学的な悪性についての組織学的にまたは細胞学的に確認されている診断(これは、標準的な療法において進められていたり、またはそのための標準的な療法が知られていないこともある)を行うこと;
2)測定可能なまたは測定不能な疾患であること;
3)十分な骨髄、肝臓および腎臓の機能を有すること;
4)免疫療法、放射線療法または化学療法(これは、タキサンを含む)の最後の投与以来、4週間(ニトロ源またはマイトマイシン−Cの場合には6週間)経過していること;
5)患者はベースラインまたは従来の療法から生じる毒性のグレード1にまで回復しなければいけないこと;および、
6)東部協同的腫瘍学群(Eastern Cooperative Oncology Group)のパフォーマンスは状態0〜1であること。
【0047】
毒性は、National Institute of Cancer's Common Toxicity Criteria Version 2.0に従って評価する。
【0048】
式Iの経口タキサンの血漿薬力学的な試料を1、8、15、22、29および56日目に全ての患者で集めて、そして限定的な試料採取は該療法を続けている患者についてその後4週間毎に得る。
【0049】
実施例6:式Iの経口タキサン 3 ' −tert−ブチル−3 ' −N−tert−ブチルオキシカルボニル−4−デアセチル−3 ' −デフェニル−3 ' −N−デベンゾイル−4−O−メトキシカルボニル−パクリタキセルの製造
(±)−シス−4−tert−ブチル−1−tert−ブチルオキシカルボニル−3−トリエチルシリルオキシアゼチジン−2−オンの製造
【化2】
トリメチルアセトアルデヒド(20.3mL、1.25当量)を、p−アニシジン(18.4g、0.150mol)および無水Na2SO4(150g)の無水ジクロロメタン(250mL)の撹拌懸濁液に室温で加えた。2時間後に、このものをろ取して、該固体を更なる無水ジクロロメタンで洗浄した。該溶媒を該ろ液から除去し、該結晶性残渣を無水ジクロロメタン(750mL)に溶解して、窒素雰囲気下に置いた。トリエチルアミン(48.0mL、2.3当量)を加えて、該反応液を−78℃まで冷却した。ベンジルオキシアセチルクロリド(27.2mL、1.15当量)を滴下して、次いで該反応液を室温まで昇温させた。24時間後に、このものを0.5M HCl(2回)、飽和NaHCO3水溶液およびブラインで洗浄して、乾燥(Na2SO4)した。該溶媒を除去して、該残渣についてシリカゲルクロマトグラフィー精製(0〜20%EtOAcを含有する20%ジクロロメタン/ヘキサンを用いて勾配溶出)を行なって、結晶性固体の(±)−シス−4−tert−ブチル−3−ベンジルオキシ−1−p−メトキシベンジルアゼチジノン(46.9g、92%)を得た。1H NMR (CDCl3) 1.09 (s, 9H), 3.81 (s, 3H), 4.15 (d, 1H, J=5.5 Hz), 4.77 (d, 1H, J=11.9 Hz), 4.81 (d, 1H, J=5.5 Hz), 5.03 (d, 1H, J=11.9 Hz), 6.87-7.43 (m, 9 Hz);LRMS (ESI) 340 ([M+H]+)。セリウムアンモニウム硝酸塩(60.4g、3.6当量)の水(900mL)溶液を、氷浴中でアゼチジノン(10.38g、30.6mmol)のアセトニトリル(600mL)の十分に撹拌した溶液に1時間かけて加えた。次いで、該反応液をEtOAc(2回)で抽出して、該有機抽出液を合わせて飽和NaHCO3水溶液(2回)、20%NaHCO3水溶液、飽和NaHCO3水溶液およびブラインで洗浄した。撹拌(Na2SO4)後に、該溶媒を除去して、該残渣についてシリカゲルカラムクロマトグラフィー精製(10〜40%EtOAcを含有するヘキサン部を用いて勾配溶出)を行なって、わずかに不純な(±)−シス−3−ベンジルオキシ−4−tert−ブチルアゼチジン−2−オン(5.64g)を得た。1H NMR (CDCl3) 1.04 (s, 9H), 3.51 (d, 1H, J=5.2 Hz), 4.71 (m, 2H), 4.96 (d, 1H, J=11.9 Hz), 6.10 (brs, 1H), 7.35 (m, 5H)。この物質(5.54g、23.8mmol)および10%Pdの木炭(2.5g)の無水EtOH(100mL)懸濁液について、水素添加(34psiのH2、パール装置)を23時間行なった。更に該Pd触媒(2g)を加えて、該水素添加反応を50psiのH2で更に17時間続けた。該触媒をろ過によって除去して、該溶媒を該ろ液から除去すると粗(±)−シス−3−ヒドロキシ−4−(tert−ブチル)アゼチジン−2−オンが残った。1H NMR (CDCl3+D2O(1滴)) 1.05 (s, 9H), 3.48 (d, 1H, J=5.0 Hz), 4.98 (d, 1H, J=5.0 Hz)。この物質を乾燥N,N−ジメチルホルムアミド(40mL)に溶解して、イミダゾール(3.24g、2当量)およびトリエチルシリルクロリド(4.0mL、1当量)を加えた。10分後に、該反応液を水およびEtOAcとヘキサン(1:1)混合物の間で分配した。該有機相を水(2回)およびブラインで洗浄し、次いで乾燥(Na2SO4)した。該溶媒を除去して、該残渣についてシリカゲルカラムクロマトグラフィー精製(20〜25%EtOAc/ヘキサンを用いて勾配溶出)を行なって、(±)−シス−4−tert−ブチル−3−トリエチルシリルオキシアゼチジン−2−オン(3.86g)を得た。1H NMR (CDCl3) 0.70 (m, 6H), 0.98 (m, 18H), 3.39 (d, 1H, J=5.0 Hz), 4.88 (dd, 1H, J=2.1, 5.0 Hz), 6.08 (brs, 1H)。このアゼチジノン(2.04g、7.92mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(1.66mL、1.2当量)、二炭酸ジ−tert−ブチル(1.90g、1.1当量)およびp−ジメチルアミノピリジン(194mg、0.2当量)の乾燥ジクロロメタン(24mL)溶液を室温で3時間撹拌した。該反応混合物をジクロロメタンで希釈し、ブラインで洗浄して、乾燥(Na2SO4)した。該溶媒を除去し、続いてシリカゲルカラムクロマトグラフィー精製(0〜20%EtOAc/ヘキサンを用いて勾配溶出)を行なって、油状物の標題化合物(2.71g、96%)を得た。1H NMR (CDCl3) 0.70 (m, 6H), 1.00 (m, 9H), 1.09 (s, 9H), 1.53 (s, 9H), 3.90 (d, 1H, J = 6.5 Hz), 4.93 (d, 1H, J = 6.5 Hz)。
【0050】
バカチン誘導体Aの製造
【化3】
10−デスアセチルバカチン(47.4g、87mmol)の無水N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(500mL)溶液に、イミダゾール(47g、691mmol)を周囲温度で加えた。透明な溶液が観察されるまで、溶液を10〜15分間撹拌した。ジイソプロピルジクロロシラン(58mL、322mmol)を該反応混合物に滴下した。反応混合物を周囲温度で16時間撹拌した。別の量のジイソプロピルジクロロシラン(6mL)を該溶液に加えて、該反応混合物を60分間撹拌した。この時点でのHPLCは、該反応の完結を示した。メタノール(36mL)を該混合物に加えて、該溶液を60分間撹拌した。反応を停止し、tert−ブチルメチルケトン(TBME)(500mL)および水(200mL)の混合物を用いて希釈した。相分離し、有機相をブライン(250mL)で洗浄し、乾燥(硫酸ナトリウムを使用)し、蒸発させて白色アモルファス化合物の該トリシリル化バカチン誘導体A(91g、>100%収率)を得て、このものを更に精製することなく次の工程に使用した。
LRMS(ESI)M+(C50H84O13Si3として計算)計算値 977;実測値 977。
【0051】
バカチン誘導体Bの製造
【化4】
バカチン誘導体A(90g、92mmol)のDMF(500mL)溶液に、イミダゾール(22g、320mmol)を0℃で加えた。ジメチルクロロシラン(35mL、320mmol)を0℃で滴下した。該化合物の沈降をこの時点で観察した。反応混合物(スラリー)を0℃で0.5時間撹拌した。固体をろ過して、冷DMF(3×150mL)で洗浄した。風乾後に、固体をTBME(700mL)に再溶解して、該溶液を水(3×200mL)およびブライン(250mL)で洗浄して、乾燥(硫酸ナトリウムを使用)した。該溶液を短いシリカパッドを通してろ過した。該溶媒を真空下で除去することにより、B(77%収率、70g)を得た。
LRMS(ESI)M+(C50H90O13Si4として計算)計算値 1035;実測値 1035。
【0052】
バカチン誘導体Cの製造
【化5】
B(66.3g、64mmol)のトルエン(680mL)撹拌溶液に−34℃で、Red−AL(登録商標)(50mL、160mmol、65重量%の水素化ナトリウムビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムのトルエン溶液)を10分間かけて滴下した。反応混合物を−25℃まで昇温させて、1.5時間撹拌した。内部温度を−20〜−25℃の間に保ちながら、メタノール(62mL)を該反応混合物に滴下した。溶液をTBME(500mL)を用いて希釈し、続いて1N水酸化ナトリウム溶液(60mL)およびブライン(60mL)を加えることによって希釈した。溶液を30分間撹拌した。珪藻土(12g)を該混合物に加え、10分間撹拌し、珪藻土のパッドを通してろ過した。相分離した。有機相を水およびブラインで洗浄して、乾燥(硫酸ナトリウムを使用)した。次に、溶液を短いシリカゲルパッドを通してろ過し、その後に該溶媒を除去した。白色固体の該化合物を97%収率(62g)で得た。
LRMS(ESI)M+(C50H88O12Si4として計算)計算値 993;実測値 993。
【0053】
バカチン誘導体Dの製造
【化6】
アルゴン雰囲気下、バカチン誘導体C(62g、62mmol)の無水テトラヒドロフラン(THF)(600mL)溶液に−60℃で、ビス(トリメチルシリル)アミドリチウム(125mL、125mmol、1MのTHF溶液)を滴下した。溶液を15分間撹拌して、続いてクロロギ酸メチル(9mL、116mmol)を加えた。該溶液の内部温度を−60℃に保った。反応液を0℃までゆっくりと昇温させて、混合物を3時間撹拌した。該反応の完結後に、飽和塩化アンモニウム(300mL)を加えた。反応混合物をTBME(100mL)で抽出した。有機相を飽和塩化アンモニウム(200mL)、水(200mL)およびブライン(200mL)で洗浄し、蒸発させて油状物のD(67g、>100%)を得た。該粗物質を更に精製することなく次の工程に使用した。
LRMS(ESI)M+(C52H90O14Si4として計算)計算値 1051;実測値 1051。
【0054】
バカチン誘導体Eの製造
【化7】
バカチン誘導体D(62g、59mmol)の乾燥THF(260mL)溶液に、トリエチルアミン・フッ化水素酸複合体(56mL、344mmol)を周囲温度で加えた。反応液を3時間撹拌した。反応混合物を酢酸エチル(350mL)で希釈し、水(200mL)およびブライン(200mL)で洗浄し、乾燥(硫酸ナトリウムを使用)し、蒸発させてE(43g、>100%粗収率)を得た。該粗化合物を酢酸エチル(350mL)とヘキサン(50mL)の混合物中で再スラリー化することにより、純粋なE(90%収率)を得た。
LRMS(ESI)M+(C29H36O11として計算)計算値 560;実測値 560。
【0055】
バカチン誘導体Fの製造
【化8】
バカチン誘導体E(32g、57mmol)およびイミダゾール(11.7g、172mmolのDMF(220mL)溶液)の撹拌溶液に−65℃で、アルゴン下、ジイソプロピルジクロロシラン(26.8mL)を加えた。該反応混合物の温度を−60℃に保ち、該混合物を2時間撹拌した。反応の完結後に(HPLC)、イミダゾールのメタノール溶液(イミダゾール(11.7g)をメタノール(35mL)に溶解)を加えて、該溶液を0℃で30分間撹拌した。混合物をTBME(500mL)で抽出した。有機相を水(4×150mL)で洗浄し、乾燥(硫酸ナトリウムを使用)し、蒸発させて粗F(45g)を得た。該粗物質を更にアセトニトリル(150mL)に溶解して、該溶液をヘキサン(3×100mL)で洗浄した。アセトニトリルを除去することにより、白色固体の純粋なF(34g、84%収率)を得た。
LRMS(ESI)M+(C36H52O12Siとして計算)計算値 704;実測値 704。
【0056】
4−デアセチル−7−[ビスイソプロピル(メトキシ)]シリルオキシ−4−メトキシカルボニルバカチン
【化9】
バカチン誘導体F(33.2g、47mmol)のDMF(200mL)溶液に、ビス(トリメチルシリル)アミドリチウム(61.2mL、61.2mmol、1M THF溶液)を−43℃で滴下した。該反応混合物を15分間撹拌し、続いて無水酢酸(5.8mL、63mmol)を加えた。該反応混合物を−40℃で30分間撹拌した。酢酸(3.6mL)を加えて、該冷浴を除去した。該反応混合物をTBME(300mL)で抽出した。有機相を分離し、水(3×150mL)およびブライン(150mL)で洗浄し、乾燥(硫酸ナトリウムを使用)し、蒸発させて粗生成物を得た。この化合物の精製は、結晶化(THF:ヘプタン(1:6)から)によって達成した。40gの仕込みから、結晶化した標題生成物(21g)を得た(60%収率)。
LRMS(ESI)M+(C38H54O13Siとして計算)計算値 746;実測値 746。
【0057】
3'−tert−ブチル−3'−N−ブチルオキシカルボニル−4−デアセチル−3'−デフェニル−3'−N−デベンゾイル−4−O−メトキシカルボニル−パクリタキセル(式Iの経口タキサン)の製造
【化10】
(+)−シス−4−tert−ブチル−1−(tert−ブチルオキシカルボニル)−3−トリエチルシリルオキシアゼチジン−2−オン(2.71g、5当量)および4−デアセチル−7−[ビスイソプロピル(メトキシ)]シリルオキシ−4−メトキシカルボニルバカチン(1.13g、1.52mmol)の乾燥THF(100mL)溶液をN2下で、−50℃まで冷却し、そしてビス(トリメチルシリル)アミドリチウム(1.97mL、1.3当量、1.0MのTHF溶液)を加えた。5分後に、このものを浴に移し、そのものを−35〜−30℃で20時間、次いで−25℃で24時間保った。次いで、該反応液を飽和NH4Cl水溶液を用いてクエンチし、EtOAcおよびヘキサン(1:1)混合物で抽出した。該有機抽出液をブラインで洗浄して、乾燥(Na2SO4)した。該溶媒を除去して、該残渣についてクロマトグラフィー精製(円形クロマトグラフィー(6mmのシリカゲルプレートを使用;5〜20%のEtOAc/ヘキサンを用いて勾配溶出)を行なって、2',3'−ジアステレオマー混合物である3'−tert−ブチル−3'−N−tert−ブチルオキシカルボニル−7−[ビスイソプロピル(メトキシ)]シリルオキシ−4−デアセチル−3'−デフェニル−3'−N−デベンゾイル−4−O−メトキシカルボニル−2'−トリエチルシリルオキシパクリタキセル(1.55g)を得た。この混合物を乾燥THF(60mL)に溶解して、トリエチルアミントリヒドロフルオリド(0.92mL、4当量)を加えた。室温で22時間後に、該反応混合物を飽和NaHCO3水溶液を用いて中和し、次いでEtOAcで抽出した。該有機抽出液をブラインで洗浄し、乾燥(Na2SO4)して、該溶媒を除去した。該残渣についてクロマトグラフィー精製(円形クロマトグラフィー;2mmのシリカゲルプレートを使用;10〜50%のEtOAc/ヘキサンを用いて勾配溶出)を行なって、以下のもの(溶出の順序で)を得た。2'S,3'R−tert−ブチル−3'−N−tert−ブチルオキシカルボニル−4−デアセチル−3'−デフェニル−3'−N−デベンゾイル−4−O−メトキシカルボニル−パクリタキセル(210mg、18%){1H NMR (CDCl3) 1.04 (s, 9H), 1.13 (s, 3H), 1.20 (s, 3H), 1.37 (s, 9H), 1.65 (s, 1H), 1.66 (s, 3H), 1.84-1.93 (m, 2H), 2.17 (s, 3H), 2.25 (s, 3H), 2,55 (m, 3H), 3.00 (d, 1H, J=6.5 Hz), 3.74 (d, 1H, J=10.8 Hz), 3.79 (d, 1H, J=6.9 Hz), 3.92 (s, 3H), 4.16 (d, 1H, J=8.5 Hz), 4.33 (d, 1H, J=8.5 Hz), 4.42 (m, 1H), 4.54 (d, 1H, J=6.5 Hz) 4.87 (d, 1H, J=10.6 Hz), 5.01 (d, 1H, J=7.7 Hz), 5.68 (d, 1H, J=7.0 Hz), 5.76 (m, 1H), 6.32 (s, 1H), 7.44-8.05 (m, 5H);LRMS (ESI) 846 [(M+H)+]}、および該標題化合物(668、g、56%){1H NMR (CDCl3) 1.07 (s, 9H), 1.14 (s, 3H), 1.24 (s, 3H), 1.33 (s, 9H), 1.66 (s, 4H), 2.23 (s, 3H), 2.38-2.59 (m, 4H), 3.11 (d, 1H, J=5.8 Hz), 3.77 (d, 1H, J=11.1 Hz), 3.82 (d, 1H, J=7.0 Hz), 3.96 (s, 3H), 4.20 (d, 1H, J=8.6 Hz), 4.33 (d, 1H, J=8.6 Hz), 4.39 (m, 1H), 4.53 (d, 1H, J=5.4 Hz) 4.88 (d, 1H, J=10.6 Hz), 4.98 (d, 1H, J=7.9 Hz), 5.69 (d, 1H, J=7.1 Hz), 6.03 (m, 1H), 6.28 (s, 1H), 7.40-8.11 (m, 5H);LRMS (ESI) 846 [(M+H)+]}を得た。
Claims (8)
- タキサンについて確立されている最大寛容性用量より低い用量でのタキサンを投与することを含むタキサンについてのメトローム的な投与方式であって、くり返し投与により腫瘍の増殖を抑制し、そして最大寛容性用量のタキサンの投与と比較して低い毒性副作用を得る、該投与方式。
- タキサンは経口的に生体内利用可能である、請求項1に記載のメトロノーム的な投与方式。
- タキサンは式Iの経口タキサンである、請求項2に記載のメトロノーム的な投与方式。
- 腫瘍細胞の増殖を抑制する方法であって、メトロノーム的な投与方式によって該腫瘍細胞をタキサンに曝露させることを含む、該方法。
- 動物における腫瘍の増殖を抑制する方法であって、該動物にメトロノーム的な投与方式によってタキサンを投与することを含む、該方法。
- 動物における腫瘍の増殖を抑制する方法であって、該動物にメトロノーム的な投与方式のタキサンと組み合わせて、標準的な最大寛容性の投与方式による確立されている抗癌療法を投与することを含む、該方法。
- タキサンは経口的に生体内利用可能である、請求項4、5または6のいずれかに記載の方法。
- タキサンは式Iの経口タキサンである、請求項7に記載の方法。
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