JP2004537528A - 着色サンスクリーン組成物 - Google Patents
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Abstract
本発明は、UV吸収特性および皮膚着色特性の両方を示すサンスクリーン処方物に関する。より詳細には、本発明の着色サンスクリーン調製物は、微粒子サンブロック剤および着色剤を、互いに密接な関係で含む。これらの着色サンスクリーン組成物は、皮膚上でのサンブロック剤および着色剤の改善された保持を提供する。着色剤は、サンブロック粒子に化学的に固定され得るか、または粒子を取り囲むかもしくはカプセル化し得るか、あるいは、サンブロック粒子は着色剤を取り囲むか、またはカプセル化し得る。着色剤はまた、美容的キャリアにおいてサンブロック粒子と一緒に物理的に分散され得る。
Description
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、UVおよび他の有害な放射線をスクリーニングまたはブロックするための日焼け止め組成物またはサンスクリーン組成物に関し、この組成物はまた、皮膚着色特性を示す。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
太陽光の有害な効果は周知である。太陽スペクトルのUVB(290〜320nm)部分は、紅斑(日焼け)および癌の主要な原因である(M.M.Rieger,Cosmet Toiletries,102(3):91(1987);C.Taylor,Skin Cancer Foundation J.,4:90(1986))。太陽スペクトルのUVA(320〜400nm)部分(これは、UVB光よりも皮膚により深く浸透する)は、皮膚の加齢および皮膚の弾力性を減少させることによる早発のしわの原因と考えられている(L.H.Kligman,F.J.Akin,およびA.M.Kligman,J.Invest.Dermatol.,84:272(1985))。UVA光への長時間の曝露はまた、致死性の黒色腫のような皮膚癌を引き起こす。
【0003】
サンブロック(またはサンスクリーン)処方物は、何年にもわたって発展してきた。広範なスペクトルUV(UVA光とUVB光の両方)をブロックする活性な成分は、従来の(芳香族)有機化合物(例えば、p−アミノ安息香酸、オクチルメトキシ桂皮酸塩または2−メチルへキシル−p−メトキシ桂皮酸塩、2−メチルへキシルサリチル酸塩、またはオクチルサリチル酸塩、オキシベンゾン(oxybenzone)、ベンゾフェノン、アボベンゾン、ホモサラートなど)から、微細な酸化金属粒子(例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ、酸化鉄など)へシフトした。有機UV吸収化合物と比較して、酸化金属ベースの無機サンスクリーンは、生理的に不活性であり、そして皮膚の炎症をほとんど引き起こさない。例えば、酸化亜鉛は、カテゴリーI皮膚保護として、米国食品医薬品庁で分類されている。理論によって限定されることなく、これらの無機材料が、有害なUV光および可視光を反射、散乱および/または吸収することによってサンスクリーニングの利点を提供すると考えられている。
【0004】
微粒子酸化チタン(TiO2)および酸化亜鉛(ZnO)は、コーティングおよびプラスチックにおいて広範に使用されている。UV吸収剤として、酸化亜鉛は、聞くところによれば、UV光の全スペクトルにわたって、市販の全顔料の最も高い紫外線吸収を有し、そして多様な等級およびサイズ(サンブロック剤を作製するのに使用される小さな粒子サイズの材料(60〜80nm)を含む)において市販されている。二酸化チタンは、長波のUVA光に対する保護において、酸化亜鉛よりもより効果が低い。
【0005】
太陽光をブロックするための反射体として、二酸化チタンは、この光を強く反射する粒子の直径の2倍よりもわずかに多くの光と最適に相互作用する。可視波長250nm(または、0.25μm)での適用のために、TiO2が一般に使用される。この値の2倍(500nm)は、スペクトルの可視領域のほぼ中央である。超微細のTiO2は、UVブロッカーとして利用可能である。20nmほど小さい粒子は商業的に入手可能であり、透明なワニスおよびサンスクリーンのような適用において使用される。これらのサイズで、材料は可視領域で完全に透明であるが、UV光をブロックする。市販の混合物における粒子サイズの分布に起因して、幾分大きな粒子(30〜35nm)は、いくらか濁って分散されている材料を与えることから出発する。より大きな粒子は白色を産生する。より大きな粒子サイズの材料のために、二酸化チタンベースの産物は、酸化亜鉛ベースの産物よりもより不透明である。なぜなら、二酸化酸化チタンは、酸化亜鉛よりも可視光の波長をより通さないからである。
【0006】
最も普及している微粒子サンスクリーン処方物は、微細な酸化亜鉛または酸化チタンを含む。種々の不活性な成分は、分散の安定性を補助するために組み入れられ、長く水に浸漬した条件下でさえ、サンスクリーンを保持する。界面活性剤、増粘剤、油、ワックス、シリコーン、ビタミン、芳香、保存剤、抗酸化剤、および草本の抽出物でさえ、市販の日焼け止めに一般的に見出される。微粒子の使用は、高まる傾向にある。なぜなら、伝統的な有機化合物ベースのUV吸収剤は皮膚を通って吸収され得、全身性の問題を引き起こすからである。
【0007】
微細な酸化金属を含む処方物は、白色不透明であり、そして皮膚に適用した場合、ざらざらして光沢があり得る。さらに、皮膚表面上での粒子の不均一な分散によって引き起こされる、望ましくない皮膚の白色化がしばしば生じる。このような粒子の不均一な分散は、皮膚への適用の前の、キャリアにおける粒子の分散が不十分な結果生じる。粒子ベースの処方物は、一般的に使用者の皮膚を青白く見せる。事実、全ての市販サンスクリーンがそうではないとしても、ほとんどのサンスクリーンは無色または白色のいずれかである。
【0008】
UV光への曝露の公知の危険にかかわらず、多くの人々は、日光浴によって、および/または日焼けサロンを訪れることによって日焼けした外見を求める。しかし、日焼けした外見を手に入れたいと願う人々は、サンスクリーンの使用をすぐに減らす。なぜなら、サンスクリーンの主要な利点は、UV光をブロックすることによる日焼けプロセスを遅延させることであるからである。さらに、サンスクリーンの使用はUV光の有害な効果を完全に排除しない。なぜなら、中程度の日焼けはまた、日焼けと同じ効果をもたらし得るからである。従って、日焼けした外見を得ることは、常に、皮膚の損傷の危険を増大させることによってなされる。
【0009】
ほとんどの市販のサンスクリーンは、UVブロックのある特定機能を果たすだけであり、人工的な日焼けおよび/または遮蔽の不良/変色のような他の美容的な利点を提供しない。他方、人工的な日焼けローションまたは溶液は、一般的に、効果的なUVブロック特性を保持しない。従って、人工的な日焼けローションまたは着色料と同様にサンスクリーンとして機能する、皮膚のケア製品の必要性が存在する。
【0010】
皮膚のケア製品はまた、効果的な沈着および皮膚への化粧品の付着を提供することが所望される。好ましくは、化粧品の付着は、その化粧品が使用者の判断で、容易にかつ安全に除去し得るように可逆性である。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0011】
(発明の要旨)
本発明は、UV吸収および皮膚着色特性の両方を示すサンスクリーン処方物に関する。より好ましくは、本発明の着色サンスクリーン特性は、互いに親密な関係の微粒子サンブロック剤および着色剤を含む。これらの着色サンスクリーン組成物は、皮膚に反応性であるかまたは皮膚に固定化され得、皮膚への日焼け止めおよび着色剤の改善された保持を提供する。
【0012】
着色剤は、サンブロック粒子に化学的に固定され得るか、または粒子を取り囲むかもしくはカプセル化し得るか、あるいは、サンブロック粒子は着色剤を取り囲むか、またはカプセル化し得る。着色剤はまた、美容的キャリアにおいてサンブロック粒子と一緒に物理的に分散され得る。1つの実施形態において、着色剤はまた、着色サンスクリーン組成物(例えば、色素−ポリマー結合体または着色ポリマーナノマトリクス)において存在する。
【0013】
「着色剤」とは、顔料(pigment)および色素(dye)(UV−吸収色素を含む)から選択される。現在の好ましい実施形態において、着色剤およびポリマーナノマトリクスは、着色ポリマーナノマトリクスを構成する。「着色ポリマーナノマトリクス」は、「色素−ポリマー結合体」を与えるために、ポリマーと密接な関係下において、顔料または色素を含む。ナノマトリクスはさらに、粒子反応性官能基または他の特性を含み得、微粒子サンブロック剤に共有結合されるか、さもなければ微粒子サンブロック剤上もしくはそのまわりに固定化され得る。本発明は、ナノスコピックの対象または構造物(色素を含む)が、本明細書中で「ポリマーナノスフェア」と称される微小の球形または粒子のどちらかの形状である、全身性のアプローチを記載する。このポリマーナノスフェアは、微粒子サンブロック剤に付着され得るか、または目に見えないほど小さな分子寸法ネット(これは、本明細書中で「ナノスコピック巨大分子ネットワーク」または「ナノスコピックポリマーネットワーク」として称される、微粒子サンブロック剤を取り囲むか、さもなければ付着され得る)に付着され得る。ナノスフェアおよびナノスコピックネットワークは、ポリマー材料(天然に存在するか、または合成のいずれかであり得る)から構築される。天然の種は、十分に確立した有機化学によって改変または誘導され得る。合成型は、あつらえた(custom−tailored)特性を示すように特異的に設計され得る。
【0014】
幾何学的特徴にかかわらず、操作されている色素−ポリマー結合体実体のナノスコピックの性質は、以下のいくつかの利点を提供する:(1)色処方物はオフラインで実行され;毒性前駆体およびインサイチュの化学反応はもはや必要ではない;(2)与えられた色は制御可能に保持または除去され得る;(3)着色剤は、ヒト身体による取り込みを妨害するポリマー構造に付着され得る;(4)多くの色および影の深さは、同一の一般的なフレームワークに基づいて開発され得る;そして(5)この構造は皮膚への着色料の沈着および付着のための手段を提供する。これは、安全であり、そしておそらく皮膚を通過せず、そして全身的に吸収される処方物、および水中でさえ、制御可能に除去し得る人工的な色を有している一方、長期間持続する処方物を提供する。
【0015】
本発明はまた、皮膚の表面への日焼け止めおよび着色剤の沈着および付着に関する。着色ポリマーナノマトリクスは、皮膚に固定されるための手段を提供するポリマーを含み、効果的な送達および化粧品の長時間持続する利点を可能にする。あるいは、微粒子サンブロック剤はまた、皮膚に反応させ得るか、または皮膚に固定され得る。本発明の1つの実施形態において、着色ナノ構築物の皮膚への付着は、可逆的であり、付着および剥離の両方は、生理学的に受容可能な条件下で実施され得る。
【0016】
皮膚着色特性を示すUV−プロテクトサンスクリーン組成物を合成するための方法が提供される。このような方法は、色素もしくは顔料分子または着色ポリマーナノマトリクスと、微粒子サンブロック剤とを、例えば、シラン結合剤または粒子表面上の水酸基をエーテル結合もしくはエステル結合のいずれかによって置換することによって結合させる工程を包含する。あるいは、微粒子サンブロック剤は、着色ポリマーのナノスコピックネットワークによってカプセル化され得、粒子を取り囲む有機層を提供する。単層またはポリマー層は、サンブロック剤粒子に共有結合的に付着され得るか、あるいは粒子の周囲にポリマー殻を形成するために架橋され得る。次いで、生じた色素−機能化された微粒子サンブロック剤は、不活性なキャリアおよび成分と混合され、例えば、クリーム、クリームゲル、ミルク、ローション、または皮膚へ適用するための他の組成物を形成する。あるいは、この着色剤分子または着色モノマトリクスおよびUVサンブロック粒子は、キャリア中に一緒に物理的に分散され得、クリーム、クリームゲル、ミルク、ローション、または皮膚へ適用するための他の組成物を形成する。
【0017】
(発明の詳細な説明)
本明細書中および添付の特許請求の範囲において使用される、用語「a」および「an」は、「1つ以上」を意味する。
【0018】
本発明の着色したサンスクリーン組成物は、互いに密接した関係で、微粒子サンブロック剤と着色剤とを含む。
【0019】
用語「微粒子サンブロック剤」とは、本明細書で使用される場合、反射、散乱、ならびに/または有害なUV光および/もしくは可視光を吸収することにより、サンスクリーンまたは保護的な利益を提供する、固体の物理的日焼け止め(例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ、酸化鉄など)をいう。微粒子サンブロック剤は、シリカのような表面処理化合物で被覆されていなくても被覆されていてもよい。本発明の好ましい実施形態において、微粒子サンブロック剤は、二酸化チタンおよび酸化亜鉛から選択される。
【0020】
微粒子サンブロック剤に加えて、本発明の組成物はまた、従来の有機サンブロック剤を含有し得る。用語「有機サンブロック剤」とは、本明細書で使用される場合、UVを吸収する有機化合物(例えば、p−アミノ安息香酸(PABA)およびPABAエステル、メトキシ桂皮酸オクチルおよび2−エチルヘキシル−p−メトキシシンナメートのようなシンナメート類、サリチル酸2−エチルヘキシルおよびサリチル酸オクチルのようなサリチレート類、オキシベンゾン、ベンゾフェノン、アボベンゾン(avobenzone)、ホモサラート(homosalate)など)をいう。この有機サンブロック剤は、化粧用ビヒクル中で微粒子サンブロック剤と共に物理的に分散され得る。この有機サンブロック剤はまた、ポリマーナノ構造体に付着されてもこのポリマーナノ構造体中にカプセル化されてもよく、このポリマーナノ構造体は、微粒子サンブロック剤および/または着色剤を含有し得る。
【0021】
用語「着色剤」とは、本明細書中および添付の特許請求の範囲において使用される場合、以下を含むがこれらに限定されない顔料および色素をいう:直接的色素、媒染性色素、反応性色素、UV吸収性色素、フォトクロミック色素、蛍光性色素、りん光性色素、および視覚的光沢剤。有機着色剤および無機着色剤の両方が、本発明の範囲内にある。用語「着色剤(coloring agent)」、「着色料(colorant)」および「色素(dye)」は、本明細書中および添付の特許請求の範囲において交換可能に使用される。
【0022】
用語「染料(dyestuff)」とは、本明細書中で使用される場合、色素分子および顔料分子またはそれらの凝集体をいう。
【0023】
本発明における使用のための、特定の目的の色素または顔料は、人の毛髪および皮膚に天然に存在する顔料であるメラニンである。メラニン凝集体は、そのサイズおよび表面濃度に依存して、一定範囲の色を示し得る。メラニン機能化微粒子サンブロック剤および/またはUVブロッカーと共に分散されたメラニン−ポリマー結合体は、本発明の顕著な例である、メラニンベースの処方物は、天然物を密接に模倣する。
【0024】
用語「ナノ構造体」および「ナノマトリックス」とは、本明細書中で使用される場合、1ナノメートル〜1ミクロン(1マイクロメートル、すなわち1000ナノメートル)の寸法により特徴付けられる物体をいう。ナノ構造体は、有機でも無機でもよい。本発明において、好ましいナノ構造体は、ポリマーを含む。ポリマーナノ構造体は、本明細書中に開示されるように、i)微粒子ポリマーナノマトリックスまたはポリマーナノスフェア、およびii)非微粒子ポリマーナノマトリックスに分類され得る。用語「微粒子ナノマトリックス」および「ナノスフェア」は、交換可能に使用される。微粒子ポリマーナノマトリックスの例としては、格子、擬格子、懸濁液滴、ミセル、タンパク質、およびリポソームが挙げられるが、これらに限定されない。非微粒子ポリマーナノマトリックスの例としては、線状ポリマー(ホモポリマーおよびコポリマーを含む)、グラフトコポリマー、櫛形ポリマー、分枝ポリマー、スターポリマー、デンドリマー、および軽度に架橋したポリマーまたはナノゲルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0025】
用語「着色ポリマーナノマトリックス」とは、本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、顔料または色素が、そのポリマーと密接した関係にある、着色料含有ポリマーナノ構造体をいう。
【0026】
用語「着色サンブロック剤」および「色素機能化サンブロック剤」とは、本明細書および添付の特許請求の範囲において交換可能に使用される場合、サンブロック剤粒子と密接した関係で、顔料、色素、または着色したポリマーナノマトリックスと結合体化した微粒子サンブロック剤をいう。
【0027】
用語「着色ナノ構造体」とは、本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、着色料を含有する有機または無機ナノ構造体をいう。「着色したポリマーナノマトリックス」および「着色したサンブロック剤」の両方が、「着色したナノ構造体」の定義の範囲内にある。
【0028】
「密接な関係」とは、染料が、ナノ構造体(ポリマーナノマトリックスおよび微粒子サンブロック剤を含む)に取り囲まれるか、そのナノ構造体内に含有されるか、そのナノ構造体と化学的に結合しているか、または他の方法でナノ構造体と永久的または半永久的な関係にあることを意味する。
【0029】
用語「色止め剤」とは、本明細書中で使用される場合、着色剤または着色したナノ構造体と混合して不溶性の着色料含有化合物を形成することにより、物質中または物質上に着色剤または着色したナノ構造体を固定する化学物質をいう。色止め剤の例は、酸化数2以上の金属原子を含有する種である。
【0030】
用語「ペイロード(payload)」および「ペイロード剤」とは、本明細書中で使用される場合、ヒトの皮膚に対する永久的もしくは半永久的な付着またはヒトの皮膚の処置に望ましい任意の材料または薬剤を包括的にいう。これは、皮膚の特性を改変し得るか、または皮膚に新しくかつ望ましい特性を付与し得る。このペイロードはまた、本明細書中において「ペンダント基」ともいわれる。このペイロードは、色素もしくは着色剤、顔料、乳白剤、香料および芳香剤、薬物および薬剤、軟化剤、防虫剤、抗菌剤(antibacterial)および抗菌剤(antimicrobial)などであり得るが、これらに限定されない。本明細書中以下の考察は、特定の例示的な薬剤に関するが、皮膚処置に適切な任意の望ましい活性または特徴を有する他の物質もまた、本明細書中の教示に従ってポリマーナノ構造体中に組み込まれ得、かつ本発明の範囲内に含まれることに留意することは、重要である。
【0031】
用語「粒子反応性官能基」とは、本明細書中で使用される場合、微粒子サンブロック剤に結合し得るかまたは付着し得る官能基をいう。粒子反応性官能基はまた、次にサンブロック粒子に結合または付着するリンカー分子に結合し得る官能基であり得る。
【0032】
用語「皮膚反応性官能基」とは、本明細書中で使用される場合、皮膚の表面に結合または付着し得る官能基をいう。この皮膚反応性官能基はまた、次に皮膚の表面に結合または付着するリンカー分子に結合し得る官能基であり得る。
【0033】
「熱力学的バランスにおける変化」とは、混合物の相バランスを決定する熱力学的変数(例えば、温度、圧力、pH、イオン強度、および混合物組成)の変化を意味する。
【0034】
本発明の着色サンブロック剤は、一実施形態において、着色剤とサンブロック剤とを反応させることによりこの着色剤と微粒子サンブロック剤との間に共有結合を形成することにより得られ得る。さらに、サンブロック剤の表面は、最初にアンカー剤で被覆され得、次いで、このアンカー剤が、着色剤と反応される。結合剤はまた、他の着色剤および/またはポリマー(着色していてもしていなくてもよい)とさらに結合するために選択されて、1種より多くの着色剤を含有するポリマー鎖、ポリマーネットワーク、またはポリマー殻を形成し得る。
【0035】
着色サンブロック剤を形成するための別のアプローチは、着色料含有モノマー混合物を、微粒子サンブロック剤の周囲で重合することである。この着色料は、反応性でも非反応性でもよい。重合可能な界面活性剤を使用して、粒子の分散を改善し得、そして/またはその界面活性剤のヘッド基を介して着色したサンブロック剤に官能基を導入し得る。この官能基は、着色サンブロック剤の皮膚への沈着および付着のための手段を提供するように選択され得る。
【0036】
本発明の着色サンブロック剤はまた、微粒子サンブロック剤を、一組の着色ポリマーナノマトリックスと接触させることにより形成され得る。例えば、ポリマーカプセル化微粒子サンブロック剤は、微粒子サンブロック剤の存在下で着色料含有ポリマーを沈殿させることにより微粒子サンブロック剤の周囲に着色したナノスコピック(nanoscopic)ポリマーネットワークを形成することにより得られ得る。別の実施形態において、重合可能な基を含む着色ポリマーナノマトリックスは、粒子の周囲に集合し、次いで、架橋するかまたは架橋しないで、重合してサンブロック剤を取り囲むかまたはカプセル化するポリマーネットワークまたはポリマー殻になる。
【0037】
本発明において、着色ポリマーナノマトリックスの表面は、微粒子サンブロック剤に結合または付着するための粒子反応性官能基を含み得、染料の永久的または半永久的な結合を提供する。あるいは、ナノマトリックスの表面は、次に着色ポリマーナノマトリックスをサンブロック粒子に結合または付着させるリンカー分子に結合し得る官能基を含み得る。
【0038】
本発明の一実施形態において、着色サンブロック剤は、着色ポリマーナノマトリックスをサンブロック剤と反応させることにより、微粒子サンブロック剤と着色ポリマーナノマトリックスとの間に共有結合を形成することにより得られる。1種または混合物の着色ポリマーナノマトリックスは、結合剤と共に使用されて、着色ポリマーナノマトリックスを含むポリマー鎖またはネットワークを形成し得る。本発明の好ましい実施形態において、着色ポリマーナノマトリックスは、非微粒子ポリマーナノマトリックスを含む。別の実施形態において、着色ポリマーナノマトリックスは、ポリマーナノスフェアを含む。
【0039】
微粒子サンブロック剤と着色ポリマーナノマトリックスとの間の付着機構は、これらの間の共有結合の形成に限定されない。この付着機構はまた、イオン性引力、van der Waals相互作用、および水素結合を含むが、これらに限定されない。着色ポリマーナノマトリックスは、微粒子サンブロック剤と結合体化される場合、この着色したポリマーナノマトリックスは、微粒子サンブロック剤を取り囲むかまたはカプセル化し得る。逆に、微粒子サンブロック剤が、着色ポリマーナノマトリックスを取り囲むかまたはカプセル化し得る。
【0040】
この着色ポリマーナノマトリックスは、色素含有ナノスフェアの形態であり得る。色素含有ナノスフェアにおいて、染料は、捕捉される。すなわち、染料は、ポリマー殻もしくはポリマーマトリックスにより取り囲まれるかまたはポリマー殻もしくはポリマーマトリックス内に含有される。このナノスフェアは、染料を取り囲むポリマー殻を含み得るか、またはこのナノスフェアは、染料を捕捉している3次元ポリマーネットワークを含み得、これらの両方が本明細書中で「ポリマー殻」といわれる。同様に、染料は、その染料をポリマー殻と反応させることによりそのポリマー殻を取り囲み得る。ナノスフェアは、非毒性の、非アレルゲン性ポリマーから作製され得る。多くのポリマーが、局所用法についてFDAにより認証されている。シリコーンおよびセルロース類は、とりわけ、顕著な例である。炭化水素ベースの合成ポリマー系は、等しく適切な代替物である。タンパク質または合成ペプチドはまた、この目的のために使用され得る。
【0041】
ナノスフェアの利点は、微粒子サンブロック剤への結合または付着のために、官能基が色素含有ナノスフェアの表面上に存在する場合に、染料がポリマー殻に取り囲まれるかまたはポリマー殻内に含有される場合は、このナノスフェアの表面上の化学結合が、染料の分子を含まないということである。顔料または色素剤は、ナノスフェア内に物理的に捕捉され、従って染料分子自体の化学的修飾を必要としない。得られたカプセル化された色素調製物は、その染料の固有の特徴を変化しない。
【0042】
ポリマー格子に基づく色素含有ナノスフェアは、当該分野で公知のいくつかのカプセル化方法(例えば、界面重合、ミクロエマルジョン重合、沈降重合、および拡散)のうちの1つによって形成され得る。多成分混合物調製、次いで乾燥室への霧化/噴霧は、さらに別の処理スキームである。
【0043】
色素含有ナノスフェアは、染料を、モノマー、オリゴマー、またはポリマーのセット(本明細書中で「ポリマーセット」という)と接触させることにより形成される。モノマー、オリゴマー、またはポリマーは、染料の周りに集合し、次いで、架橋して、または架橋しないで重合されて、染料を取り囲むポリマーネットワークまたはポリマー殻になる。
【0044】
あるいは、表面上に粒子反応性官能基を必要に応じて有するナノスフェアは、ポリマーセットを重合することにより最初に調製され得、その後、染料は、その染料がポリマーネットワークまたはポリマー殻中に吸収されるか捕捉されるような適切な条件下でビーズに曝露されて、粒子反応性色素含有ナノスフェアを生成し得る。
【0045】
一実施形態におけるポリマーセットは、最終的なポリマーナノスフェアの表面上に粒子反応性官能基を提供する少なくともいくつかの成分を含み、これらは、サンブロック粒子に結合して、本発明の色素機能化粒子サンブロック剤を生じる。
【0046】
本発明のナノスフェアを形成する際に有用な特定のモノマー、オリゴマー、またはポリマーは、アミン反応性、ヒドロキシル反応性またはスルフヒドリル反応性のモノマーまたはポリマーと組み合わせられる、アミンモノマーもしくはポリマー、ヒドロキシルモノマーもしくはポリマー、またはスルフヒドリルモノマーもしくはポリマーを含有するものである。
【0047】
ナノスフェアは、可能な色素キャリアとしての1つの形態にすぎない。色素分子はまた、直鎖ポリマーキャリア、分枝ポリマーキャリア、または軽度に架橋したポリマーキャリアに結合されて、色素含有ナノスコピックネットワークを生じ得る。例えば、遊離のアミン基を含むポリマーは、ポリマー色素またはオリゴマー色素を形成するのに有用である。なぜなら、アミン類は、種々の色素と反応することが周知だからである。
【0048】
色素分子はまた、粒子反応性官能基を含むナノスコピックネットワークの内側に捕捉され得る。色素含有ネットワークは、次いで、これらの官能基を介してサンブロック粒子に化学的に結合される。あるいは、次いで、これらのネットワークは、適切な反応性架橋官能基を介して共に架橋されて、サンブロック粒子の周囲に網または殻を形成し、本発明の色素機能化粒子サンブロック剤を生じる。
【0049】
本発明におけるナノマトリックスとして有用なポリマーの一群は、デンドリマーおよび他の高度に分岐したポリマーである。デンドリマーはまた、高度の対称性を有する。デンドリマーおよび高度に分岐したポリマーは、それらの上に多数の1つ以上の異なる型の官能基を有するように設計され得る。これらの官能基を使用して、色素分子、軟らかさを付与するアルキル鎖もしくはシロキサン鎖、または目的の他の分子は、デンドリマーに結合され得、その結果、共有結合を介して高密度のペイロードを輸送し得る小型のキャリアになる。これらの官能基はまた、粒子反応性官能基へと変換され得る。デンドリマーはまた、その内腔にゲスト分子をカプセル化し得る。市販のデンドリマーの例としては、LupasolTM(BASF)(末端アミン基を有する高度に分岐したポリエチレンイミンである);ポリ(アミドアミン)デンドリマー(Aldrich);ポリ(プロピレンイミン)デンドリマー(DSM);およびBOLTORNTMポリエステルデンドリマー(PERSTORP)が挙げられる。
【0050】
分岐ポリマーの別の利点は、分岐したポリマーの固有粘度が、同じ分子量および同じ化学構造を有する直鎖アナログの固有粘度より低いことである。従って、所定の溶液粘度において、この分岐したポリマーは、同じ組成の直鎖ポリマーと比較してより高い分子量のポリマーの使用を可能にする。より高分子量のポリマーを使用することにより、ナノマトリックスが架橋により皮膚上に沈殿された場合に、ポリマーナノマトリックスの皮膚上での堆積および保持の効率が増大し得る。
【0051】
本発明のナノマトリックスとして有用なポリマーの別の群は、軽度に架橋したポリマーネットワークまたはナノゲルであり、これらは、1ナノメートル〜1ミクロン(1マイクロメートル、すなわち、1000ナノメートル)の寸法により特徴付けられるポリマーネットワークである。ナノゲルは、架橋ゲルおよびコロイド粒子の特性を示す。これらは、微細分散として分散され得、そしてペイロードと共にロードされ得る。これらは、ナノゲルの内側に物理的に捕捉されても、ペンダント基または末端基を介してナノゲルに化学的にグラフト化されてもよい。ナノゲルは、乳化重合か、または乳化/溶媒エバポレーション技術を使用して適切な架橋剤でポリマーを架橋することにより合成され得る。ナノゲルは、1種より多くの化学的に非類似のホモポリマーおよび/またはコポリマーを含む、浸透性ポリマーネットワークまたは半浸透性ポリマーネットワークとして形成され得る。
【0052】
他の有用なポリマーとしては、アミン含有ポリマーもしくはオリゴマー(例えば、ポリ(エチレンイミン)、ポリ(アリルアミン塩酸塩)、ポリ(リジン)、またはポリ(アルギニン));およびカルボキシ含有ポリマーもしくはオリゴマー(例えば、ポリ(アクリル酸)、ポリ(イタコン酸)、ポリ(無水マレイン酸)、無水マレイン酸単位を含むコポリマー、−C6H5COOH基を有するポリマー、またはポリ(メタクリル酸))が挙げられるが、これらに限定されない。
【0053】
1つの実施形態において、シリコーンは、本発明の着色サンスクリーン組成物に混合される。シリコーンは、望ましい光沢のある外観および平滑な皮膚および毛の感覚を提供する好ましい化粧剤である。本発明において、シリコーンは、シリコーンベース構造またはシリコーングラフトナノ構造体を使用することによって、組成物に混合され得る。
【0054】
ナノマトリクスはまた、疎水性セグメントおよび親水性セグメントを備える両親媒性ブロックコポリマーから形成され得る。水溶液中のこのようなブロックコポリマーは、コア−シェル型ミセルに自己集合することが公知であり、ミセルのコア部分およびシェル部分が、それぞれ、ブロックコポリマーの疎水性セグメントおよび親水性セグメントを含む。両親媒性ブロックコポリマーは、例えば、疎水性相互作用、静電相互作用、および金属錯体形成を介して自己集合し、これは、ブロックコポリマーを含む媒体の熱力学的バランスの変化によって誘導され得る。両親媒性ブロックコポリマーの例としては、ポリオキシエチレン−コ−ポリオキシプロピレンブロックコポリマーおよびポリオキシエチレン−コ−ポリアスパラギン酸ブロックコポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0055】
自己集合性の両親媒性ブロックコポリマーは、色素機能化微粒子サンブロック剤を形成するためのいくつかの方法を提供する。例えば、着色剤は、最初に、両親媒性ブロックコポリマーと反応し、これは、次いで、ミセルに形成される。着色剤およびさらなるペイロードはまた、両親媒性ブロックコポリマーから形成されるミセルによってカプセル化され得る。次いで、色素機能化ミセルを、微粒子サンブロック剤に結合する。色素機能化ブロックコポリマーはまた、微粒子サンブロック剤の周りでミセルに変換することによって、または微粒子サンブロック剤の表面に吸着することによって、微粒子サンブロック剤をカプセル化し得る。
【0056】
本発明の処方物がブロックコポリマーを含む場合、ブロックコポリマーはまた、着色ナノ構造体に対する分散剤として機能するように設計され得る。その場合には、ブロックコポリマーは、着色ナノ構造体に吸着され、そしてナノ構造体が凝集することを妨げることによって、ナノ構造体の分散を改善する。これらの吸着されたブロックコポリマーはまた、着色ナノ構造体を皮膚に付着させるための手段を提供するために使用され得、これは、例えば、皮膚反応性官能基または架橋基(これは、架橋反応時に、皮膚にナノ構造体を沈殿させる)を含むことによる。
【0057】
色素含有ポリマーナノ構造体の他の例およびさらなる考察は、国際特許公開番号WO01/78663(この開示は、本明細書中で参考として援用される)に提供される。
【0058】
(皮膚付着機構)
制御されたサイズ分布の粒子中に正確な量の色素を入れるための十分に確立されたカプセル化技術が、存在する。ポリマーによって微粒子サンブロック剤の表面をコーティングするための十分に確立された技術が利用可能である。しかし、本発明において、着色ナノ構造体を含む材料(すなわち、着色ポリマーナノマトリクスおよび着色サンブロック剤)が選択され、そして/または着色ナノ構造体の表面が、皮膚の表面上に着色ナノ構造体の効果的な堆積および付着を提供するように改変される。本発明の着色サンスクリーン組成物は、皮膚上のサンブロック剤および着色剤の改善された保持を提供する。
【0059】
着色ナノ構造体は、以下の付着機構によって、皮膚の表面に固定され得る:直接的付着、媒体の熱力学的バランスにおける変化によって誘導される沈殿、および架橋による沈殿。皮膚と着色ナノ構造体との間に形成される結合、および架橋剤と着色ナノ構造体の架橋基との間の結合は、水素結合、イオン結合、配位結合、共有結合、またはこれらの混合であり得る。着色ナノ構造体の直接的結合として、抗体がまた、ナノ構造体に結合され得、着色ナノ構造体を皮膚に結合するための手段を提供する。好ましい実施形態において、着色ナノ構造体は、イオン結合された架橋の形成を介する架橋によって、皮膚に固定される。
【0060】
皮膚反応性官能基を含む着色ナノ構造体は、皮膚反応性官能基を含むポリマーセットから形成され得る。皮膚反応性基を含む化合物はまた、皮膚反応性基を導入するための着色ナノ構造体の表面に移植され得る。
【0061】
皮膚反応性官能基を含む着色ナノ構造体は、皮膚を形成する分子において豊富な官能基(例えば、アミン、スルフヒドリル、カルボキシル、およびヒドロキシル)を介して皮膚に共有結合され得る。皮膚反応性官能基の例として、アミン反応性である皮膚反応性官能基としては、イソシアネート、イソチオシアネート、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、スルホニルクロリド、アルデヒド、エポキシド、カルボネート、無水物、およびアリール化剤が挙げられるが、これらに限定されない。スルフヒドリル反応性基の例としては、マレイミド、ジスルフィド、およびハロアセトアミドの化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0062】
媒体のイオン強度または界面活性剤含有量がリンスによって移動する場合、ナノ構造体を構成するポリマーの骨格に沿って、穏やかな条件下で化学的に反応性であり得るかまたは皮膚の表面上の相補的な基と静電気的に相互作用性であり得るかのいずれかである皮膚反応性官能基が、導入され得る。例示的な相互作用としては、荷電−荷電、双極子、水素結合、疎水性、または脱水の相互作用が挙げられる。
【0063】
ナノ構造体はまた、アルカリ性pHの範囲の等電点を有する高分子電解質から作製され得る。これらのナノ構造体は、酸性の等電点を有する別の高分子電解質(直鎖または分枝鎖のポリマー固定剤)を使用することによって、効果的に沈殿または凝集し得る。皮膚が最初にナノ構造体に曝露され、次いで、第2の高分子電解質固定剤に再曝露される場合、複合体がインサイチュで形成され、処置された皮膚をコーティングする。
【0064】
別の経路は、微細に分割された分散物で、着色ナノ構造体を皮膚表面に持っていくための潜在的な界面活性剤処方物の使用である。一旦適所になると、界面活性剤は、リンスして除かれ、処置された皮膚に強力に接着するナノ構造体を残す。例は、色素とも結合されるシリコーングラフト化タンパク質のようなシリコーンベースナノ構造体およびシリコーングラフト化ナノ構造体である。タンパク質の例としては、ケラチン、コラーゲン、ゼラチン、およびそれらの誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。このようなシリコーン含有粒子は、界面活性剤として、ポリ(ジメチルシロキサン−コ−エチレングリコール)液体のブロックコポリマーまたはグラフトコポリマーを使用するキャリア中で容易に分散され得る。後者の媒体は、水によってリンスされ得る。なぜなら、成分は、水溶性であり、不溶性のナノ構造体を接着沈殿物として残すからである。本発明の好ましい実施形態において、シリコーングラフト化タンパク質は、ケラチン、コラーゲン、およびそれらの誘導体(例えば、加水分解されたケラチンおよびスルホンケラチン(sulfonic keratin))を含む。
【0065】
着色ナノ構造体はまた、溶液の熱力学的バランスが、例えば、温度またはpHを変化させることによって移動する場合、生理学的に受容可能な水溶液中で相分離を示すポリマーから形成され得る。相分離は、ポリマーの沈殿を導く。
【0066】
熱的に誘導される相分離の例として、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、PEG−コ−PPGコポリマー、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースの水溶液は、加熱の際に相分離を示し、これは、下部臨界完溶温度(LCST)挙動と呼ばれる。N−イソプロピルアクリルアミドはまたイオン化可能基を含むモノマーと共重合されて、LCST挙動(これは、溶液のpHおよびイオン強度に依存する)を示すコポリマーを与える。PEGの水溶液において、LCSTは、溶液のイオン強度に依存する。
【0067】
他方、N−アセチルアクリルアミドおよびアクリルアミドを含むコポリマーの水溶液は、上部臨界完溶温度(UCST)挙動を示すことが公知であり、温度が上昇につれて、ポリマーの溶解度が増加する。これらの系において観察されるLCSTおよびUCSTは、可逆である。従って、上記LCSTポリマーおよびUCSTポリマーから形成されるナノ構造体は、溶液の温度、pH、および/またはイオン強度が調節される溶液を、ナノ構造体で処置された皮膚に適用することによって、皮膚に可逆的に付着され得る。
【0068】
熱力学的バランスの変化によって誘導される沈殿による着色ナノ構造体の可逆的付着の別の例として、水に不溶性のポリマーから形成された着色ナノ構造体が、水とこのナノ構造体を含むポリマーの対についての共溶媒を含む水溶液中に分散される。好ましくは、この共溶媒は、少なくとも部分的に水溶性であり、そして水よりも揮発性である。皮膚がこの様式で得られた調製物で処置される場合、着色ナノ構造体は、処置された皮膚を被覆する、揮発性の共溶媒エバポレートとして沈殿する。沈着した、着色ナノ構造体は、水耐性を示すが、共溶媒を含む溶液で洗浄することにより容易に除去可能である。
【0069】
可溶性の着色ナノ構造体の表面が、架橋のための反応性官能基を含む場合、このナノ構造体は、固定剤の添加により架橋され得る。この固定剤は、着色ナノ構造体を含むスキンケア組成物が皮膚に塗布された後に、架橋剤として機能する。架橋反応について揮発性のブロッキング剤を使用することにより、組成物はまた、架橋可能なナノ構造体および架橋剤の両方を含んで処方される。このような組成物が皮膚に塗布された後、ブロッキング剤が、エバポレーションにより除去され、着色ナノ構造体を架橋する反応が開始する。
【0070】
架橋による着色ナノ構造体の沈殿物の例としては、ナノ構造体が、色止め剤またはカチオン性固定剤を介して皮膚に付着され得る。カルボキシ含有ポリマー、ホスフェート含有ポリマー、ホスホネート含有ポリマー、スルフェート含有ポリマー、およびスルホネート含有ポリマーは、非常に低い毒性を有する、アルカリ土類金属(例えば、Mg2+、Ca2+、およびSr2+(これらは、上で述べた官能基の間に架橋を形成する))と錯体化され得る。従って、例えば、可溶性ポリマー(これは、例えば、カルボキシル基、および色素分子または柔らかさを加える化合物のような1つ以上のペイロードを含む)が、皮膚に塗布される。次の工程で、可溶性のカルシウム塩またはマグネシウム塩は、皮膚に対してペイロードを含有するポリマーを沈殿させるために、皮膚に加えられる。
【0071】
色止め剤を介する皮膚への付着の別の例として、着色ナノ構造体含有媒染染料が、この色素を固定するために用いられる色止め剤により沈殿される。媒染染料は、カルボキシル基のような架橋可能な官能基を含むので、媒染染料を含む着色ナノ構造体はまた、アルカリ土類金属(例えば、Mg2+、Ca2+、およびSr2+(これらは、媒染染料の官能基の間に架橋を形成する))と錯体化され得る。
【0072】
官能化されたシロキサンは、さらに、同様に錯体形成を利用することにより、界面活性剤によって補助される沈殿原理をさらに洗練し得る。例えば、カルボキシレート側鎖を有するシロキサンは、界面活性剤を取り除きかつポリアミン(例えば、水性洗浄溶液中のポリエチレンイミン)を加えるという二重使用により沈殿され得る。反対に、アミノ酸置換シロキサンは、ポリ酸(例えば、ポリアクリル酸もしくはポリマレイン酸またはこれらのコポリマー)の付加により、包埋された着色ナノ構造体とのインサイチュ架橋ネットワークを形成し得る。
【0073】
錯体形成はまた、多価のカチオンまたはアニオン(各々、相補的に荷電された表面基に対して反応性である)の添加により誘導され得る。酸−塩基中和は、ナノ構造体の錯体形成誘導沈殿/固着の別の例である。
【0074】
皮膚表面上の熱力学的に誘導された沈殿/固着および錯体形成誘導沈殿/固着は、他の合成ナノ構造体または天然に存在するナノ構造体に均等に塗布され得る。例えば、着色剤、微粒子サンブロック剤、および/またはペイロードは、最初に、タンパク質キャリア上に化学的にカップリングされ得る。多数のアプローチが、スルフヒドリル基、アミン基、およびカルボキシル基のような官能基を介して、化学的に修飾されたタンパク質に対して公知である。このタンパク質−ペイロード錯体は、媒体に分散され、この媒体は、次いで、皮膚に塗布される。媒体の熱力学的バランスにおける変化(例えば、pHおよびイオン強度における変化)は、皮膚の表面上に錯体の沈着を生じる。タンパク質はまた、非イオン性ポリマーまたは金属イオンの付加により沈殿され得る。このように、皮膚は処置される。カップリングは、皮膚の存在に関係なく、化学的に実行されるので、伝統的な化学手段は、毛髪の脱落または皮膚の感受性を恐れることなく、用いられ得る。次いで、より単純でより穏やかな固定反応により、タンパク質沈着がもたらされ得る。
【0075】
本発明者らは、系の様々な部分に対して様々な技術要求を分担させる利点を強調する。色は、着色ナノ構造体内に含まれる染料に由来する。さらに、制御された程度の耐久性は、皮膚付着方法論から生じる。上記の沈殿/錯体形成アプローチは、逆転することを困難にし得るか、または容易に逆転可能であり得る。可逆性は、特定の特異的な薬剤の存在下でのみ生じるように操作され得る。従って、通常の皮膚洗浄剤または石鹸は、色の減退を生じない。例えば、官能化されたシリコーンは、特定のシロキサン含有界面活性剤(例えば、シロキサンポリエチレングリコールのブロックコポリマーまたはグラフトコポリマー)が用いられない場合、洗浄して取り除くことが困難である。同等に、錯体または沈殿の分離は、類似の操作されたリンス条件下で生じてもよいし、生じなくてもよい。従って、人工的に作られた皮膚の色は、持続性の様式で維持されるか、または所望される場合、逆転されるかのいずれかであり得る。
【0076】
誘導体化セルロースは、類似の方法で機能するように作製され得ることに注意すること。合成ポリペプチドもまた、染料封入のために用いられ得る。このようなセルロースまたはタンパク質の表面は、様々な等電点を示すように改変され得、これは、それらの沈殿/凝集/錯体形成の特性をあつらえるように開発され得る。
【0077】
本発明において、着色されたポリマーナノマトリクスはまた、日焼け止め粒子と連結することも、日焼け止め粒子を封入することもなしに、キャリアにおいて微粒子サンブロック剤と共に物理的に分散され得る。この場合には、皮膚に対する微粒子サンブロック剤の有効な沈着および保持はなおも可能である。なぜならば、このサンブロック剤は、皮膚の表面上に形成された着色された微粒子ポリマーナノ粒子のネットワークによって、物理的にエントラップされ得るからである。
【0078】
微粒子サンブロック剤は、着色ポリマーナノマトリクスと結合体化されない場合、この微粒子サンブロック剤は、必要に応じて、着色されていないポリマーナノマトリクスと結合体化され、そして/またはサンブロック剤の表面は、皮膚の表面に対する着色されていないサンブロック剤の沈着および付着のための手段を提供するように処理される。この場合には、皮膚に対して着色された日焼け止めを固定するために用いられるのと同じ機構が用いられ得る。1つの実施形態では、着色ナノマトリクスは、シリコーンとさらにグラフト化される色素結合体化タンパク質から形成される。同様に、微粒子サンブロック剤は、シリコーンとさらにグラフト化されるタンパク質と結合体化される。これらのタンパク質ベースの着色剤およびサンブロック剤(これらはまた、シリコーンとグラフト化される)は、次いで、界面活性剤としてポリ(ジメチルシロキサン−エチレングリコール)溶液のブロックコポリマーまたはグラフトコポリマーを含むキャリア中に一緒に物理的に分散される。
【0079】
特定の例では、着色ナノ構造体はまた、染料以外のペイロードを含む。有機UV吸収剤は、着色ナノ構造体に含まれ得る。ペイロードはまた、染料を含まない別々の任意のナノ構造体に組み込まれ得る。これらのナノ構造体を含む材料が選択され得、そして/または任意のナノ構造体の表面は、皮膚の表面上へのナノ構造体の有効な沈着および付着を提供するように処理される。
【0080】
ペイロードが芳香剤または薬学的薬剤である場合、ペイロードが、ナノ構造体から皮膚の上または中へと制御可能に放出されることが望ましい。ナノ粒子またはナノゲルは、ペイロード剤が、ナノ粒子またはナノゲルのポリマーシェルまたはマトリクス内に包埋またはエントラップされるが、持続性さもなければ制御可能な様式でナノ粒子またはナノゲルから放出され得るように設計され得る。放出プロフィールは、ナノ粒子のポリマーネットワークの化学を介してプログラムされる。ナノ粒子は、構造特性(例えば、架橋密度、コポリマー繰返し単位の親水性−疎水性バランス、およびポリマーネットワークの剛性/弾性(例えば、ガラス転移温度))を介して設計された殆ど限りない特徴を用いて処方され得る。さらに、侵食性のナノ粒子または他のナノ構造体が、ペーロードを制御可能に放出するために開発され得る。
【0081】
さらに、ポリマーマトリクスは、環境刺激に反応または応答して、内容物の放出の増加/減少を引き起こす成分を含み得る。「スマートポリマー(smart polymer)」は、多くの環境パラメーター(例えば、pH、温度、イオン強度、共溶媒組成、圧力、電場など)のいずれかの調整によって、異なる熱力学的転移を起こすように誘導され得るポリマーである。例えば、LCST転移に基づくスマートポリマーは、暖めに曝されるかまたは洗浄の間に温水に曝される場合に、放出を中断し得る。冷却されて室温に戻ると、徐放を再開する。逆に、UCST転移に基づくスマートポリマーは、皮膚の表面温度が上昇した場合に、放出を開始させ得る。
【0082】
スマートポリマーは、以下から形成され得るが、これらに限定されない:N−イソプロピルアクリルアミド、アクリルアミド、N−アセチルアクリルアミド、N−アセチルメタクリルアミド、官能化ポリエチレングリコールおよび官能化ポリプロピレングリコール、メチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、オクチル/デシルアクリレート、アクリル化ウレタンオリゴマー(acrylated urethane oligomer)、ビニルシリコーン、ならびにシリコーンアクリレート。
【0083】
スマートポリマーはまた、以下から選択され得るが、これらに限定されない:ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルエチルエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリビニルピロリドン、ポリヒドロキシプロピルアクリレート、セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、疎水的に改変されたセルロース、デキストラン、疎水的に改変されたデキストラン、アガロース、低ゲル化温度のアガロース、およびこれらのコポリマー。
【0084】
これらのポリマー間において架橋が所望される場合、ビス−アクリルアミドおよびエトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレートおよびスルホン化スチレンのような多官能性化合物が使用され得る。現在好ましい実施形態では、スマートポリマーは、ポリアクリルアミド、置換ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコールに基づくコポリマー、ポリビニルメチルエーテル、および改変セルロースを含む。
【0085】
ポリマーセットは、疎水性または親油性のいずれかのナノ粒子を与えるように選択され得、広範な一連の生物活性化合物または薬物がその中に安定して捕捉されることを可能とする。粒子が親水性である場合、その粒子は、界面活性剤によって安定な水性懸濁物またはエマルジョンに容易に分散され得、それらは引き続いて、内部の搭載薬剤の性能に影響を及ぼすことなく洗い流され得る。薬剤と、ポリマー殻材料またはポリマーマトリクス材料との固有の熱力学的相溶性は、粒子あたりに搭載されるレベルを増加させ得る。
【0086】
本発明のサンスクリーン処方物は、当該分野で周知の方法によって、着色サンブロック剤と、美容上または皮膚科学上受容可能なキャリアおよび成形のための成分(例えば、クリームまたはローション)とを混合することによって調製される。あるいは、着色ポリマーナノマトリクスが、キャリアおよび他のクリーム成分またはローション成分中において微粒子サンブロック剤と分散される。本発明のこれらおよび他のすべての処方物および溶液はさらに、以下を含み得る:香料、脱臭剤、湿潤剤、さらなるUV遮断薬、酸化剤、酸化防止剤、乳白剤、濃厚剤、膜形成ポリマー、還元剤、消泡剤、色素分散剤、界面活性剤(アニオン性、カチオン性、非イオン性、両性、双性イオン性、またはそれらの混合物)、隔離剤(sequestering agent)、医薬(薬物)、分散剤、添加物(conditioner)、限られた量の有機溶媒、抗菌剤、防腐剤など、ならびにそれらの混合物。
【0087】
本発明のサンスクリーン処方物の着色性質は、その日焼けを防止する保護に加えて、その保護がもはや存在しない場合の指標としてのその使用を可能にする。すなわち、そのローションまたはクリームが洗い流されるかまたはすり減らされるにつれて、色素含有粒子もまた必然的に洗い流され、その着色の衰退または消失を生じる。その結果、その着用者は、サンブロックを再度塗布することを知る。
【0088】
以下の実施例は、この開示において記載される概念のすべてではないがいくつかを例示するために意図され、そしていかようにも、その概念を制限することを意図されない。当業者はまた、異なる実施例または上記説明からの異なる発想を組み合わせて、皮膚を処置する他の可能な方法を産み出し得ることを理解する。
【実施例】
【0089】
(実施例1)
1つ以上の同じかまたは異なる色素分子を、当該分野において公知の方法によって、ポリ(エチレンイミン)、ポリ(アリルアミンヒドロクロリド)またはポリ(リジン)のようなアミン含有ポリマーまたはアミン含有オリゴマーに共有結合する(アルギニンのオリゴマーまたはポリマーは、同様に挙動することが予期される)。次いで、色素結合体化ポリマーを、微粒子サンブロック剤において沈殿させて、着色サンブロック剤を得る。
【0090】
皮膚を、この着色サンブロック剤を含有する溶液に濡らす。いくつかの場合では、過剰な物質をすすぎ流すことが必要であり得る。ポリマーコーティングされたサンブロック剤をセットまたは安定保存(cure)させるために、次いで、その皮膚を、カルボキシル部分、スルフェート部分、スルホネート部分、ホスフェート部分またはホスホネート部分を含むポリマーに曝露する。このようなポリマーの例としては、DNA、ポリ(アクリル酸)、ポリ(イタコン酸)、ポリ(無水マレイン酸)、無水マレイン酸単位を含むコポリマー、−C6H5COOH基を有するポリマー、ポリ(メタクリル酸)、またはポリ(スチレンスルホネート、ナトリウム塩)が挙げられる。次いで、過剰な物質をすすぎ流す。静電気的相互作用は、その2つのポリマーを一緒に保持することにより、その複合体の溶解度を大いに低下させる。
【0091】
(実施例2)
1つ以上の色素分子を、ポリ(アクリル酸)、ポリ(イタコン酸)、ポリ(無水マレイン酸)、無水マレイン酸単位を含むコポリマー、−C6H5COOH基を有するポリマー、またはポリ(メタクリル酸)のような、カルボキシル含有ポリマーまたはカルボキシル含有オリゴマーに共有結合する。次いで、このポリマーを、微粒子サンブロック剤において沈殿させて、着色サンブロック剤を得る。皮膚を、この着色サンブロック剤を含有する溶液に濡らす。次いで、過剰な物質をすすぎ流す。このポリマーコーティングされたサンブロック剤をセットするために、この皮膚を、ポリ(エチレンイミン)、ポリ(アリルアミンヒドロクロリド)、ポリ(リジン)、ポリ(アルギニン)、またはポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)のようなポリカチオン(ポリマーまたはオリゴマー)に曝露する。
【0092】
(実施例3)
皮膚を、実施例1に記載された1つ以上のポリマー性色素またはオリゴマー性色素(ポリカチオン)と、微粒子サンブロック剤とを含有する溶液に曝露する。この最初の処置の後で、皮膚をすすぐことが必要であり得る。次いで、皮膚を、実施例2に記載された1つ以上のポリマー性色素またはオリゴマー性色素(ポリアニオン)を含有する溶液に曝露し、そしてそれをすすぐ。サンブロック剤は、2つのポリマー間に形成された複合体中に捕捉され、そして皮膚に沈着される。
【0093】
(実施例4)
1つ以上の色素分子を、トリエチレンテトラアミンのようなエチレンイミンのポリマーまたはオリゴマーに共有結合する。エチレンイミンの他に、遊離アミン基を有する任意のポリマー(ポリ(アリルアミンヒドロクロリド)およびポリ(リジン)を含む)が使用され得る。ポリマーに色素を導入した後、金属をキレート化し得る基を、国際特許公開番号WO 01/78663に開示された方法によって、その着色ポリマーに導入し、金属キレート化ポリマー色素を残す。この着色ポリマーはさらに、微粒子サンブロック剤と結合体化され得る。着色ポリマーはまた、キャリア中において微粒子サンブロック剤と一緒になって分散されて、着色サンブロック組成物を与え得る。
【0094】
この様式で得られた組成物を皮膚に塗布し、この着色ポリマー結合体化サンブロック剤で皮膚をコーティングする。次いで、色止め剤を皮膚に塗布し、着色サンブロック剤を固定する。
【0095】
この実施例で考察された沈着プロセスは、最初の沈殿プロセスを逆転させる、例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)またはニトリロ三酢酸(NTA)による沈着ポリマーからの金属原子の抽出によって、逆転され得る。
【0096】
(実施例5)
この実施例は、シリカ処理された微粒子サンブロック剤を使用する。シリカ処理された微粒子サンブロック剤を、例えば、シラン結合剤とカップリングするか、または粒子表面上のヒドロキシル基を、エーテル結合またはエステル結合のいずれかによって置換する。次いで、色素結合体化アミン含有ポリマーまたは色素結合体化アミン含有オリゴマーを、サンブロック剤とカップリングする。次いで、この着色サンブロック剤を、実施例1に記載の方法によって、皮膚に沈着させる。
【0097】
(実施例6)
この実施例では、皮膚および毛に対する柔軟性(softness)およびつややかさ(silkiness)を導入するアルキル鎖および/またはシロキサン鎖を含ませることによって、着色ポリマーナノマトリクスを形成した。
【0098】
アルキル鎖(これは、本明細書において、主にC、CH、CH2およびCH3単位を含む直鎖状分子または分枝状分子として規定される)を、ポリ(エチレンイミン)、ポリ(アリルアミンヒドロクロリド)またはポリ(リジン)のようなアミン含有ポリマーまたはアミン含有オリゴマーに結合させた。1つ以上の同じかまたは異なる色素分子もまた、このポリマーに付加した。直鎖状または分枝状のシロキサン鎖もまた、アミン含有ポリマーまたはアミン含有オリゴマーに付加され得る。次いで、このポリマーを、当該分野において公知の方法によって、微粒子サンブロック剤と結合体化させる。
【0099】
皮膚を、このポリマー結合体化サンブロック剤に曝露し、そして過剰な試薬をすすぎ流し得る。次いで、この皮膚を、ポリアニオン(これは、アルキル鎖、シロキサン鎖、またはそれに結合された色素を有し得る)に曝露する。柔軟剤として作用し得る1つの可能なポリアニオンは、無水マレイン酸と以下の形態:CH2=CHO(CH2)nCH3(ここでnは少なくとも2であり、そして好ましくは、4よりも大きい)のビニルエーテルとのコポリマーである。
【0100】
(実施例7)
皮膚の特性を改変するかまたは新しくかつ所望される特性を付加するペンダント(pendant)基を含有する着色多価電解質を、微粒子サンブロック剤と結合体化し、そして皮膚に沈着させる。反対に荷電した多価電解質(これもまた、皮膚の特性を改変するかまたは所望される特性を皮膚に付加する、1つ以上のペンダント基を含み得る)を、皮膚に付加し、最初のポリマーと縮合させて、それを固定する。
【0101】
(実施例8)
皮膚の1つ以上の特性を改変するかまたは1つ以上の所望される特性を付加する1つ以上のペンダント基を含有する着色ポリマーまたは着色オリゴマーを、微粒子サンブロック剤と結合体化し、そしてそれを皮膚に沈着させる。過剰な試薬を、皮膚から洗い流し得る。色止め剤を、沈着した着色ポリマー結合体化サンブロック剤に添加し、着色サンブロック剤を固定する。
【0102】
(実施例9)
色止め剤を、皮膚上に堆積させる。余剰の試薬を皮膚から洗い流し得る。微粒子サンブロック剤を、皮膚の1つ以上の特性を改変するかまたは1つ以上の所望の特性を付加する1つ以上のペンダント基を含有する着色ポリマーまたは着色オリゴマーと結合体化する。この着色ポリマー結合体化サンブロック剤を、皮膚上に堆積させる。色止め剤は、着色ポリマー結合体化サンブロック剤と複合体化し、サンブロック剤を固定化する。
【0103】
(実施例10)
皮膚または処方物に所望の特性を与える種々の分子を、反応モノマー中に組み込み得る(例えば、アミンと酸塩化物との間の反応において)。その後、このようなモノマーを、所望の特性を有するポリマー中に重合化することが可能になる。ここで、特定の基のレベルまたは濃度を注意深く制御する。
【0104】
(実施例11)
仕立てられた特性を有する機能化されたポリマーを作製するために、ポリマーに所望の特性を付加する種々の分子を、ポリマー(例えば、足場として作用するポリ(アクリロイルクロリド)およびポリ(アクリル酸無水物))に付加した。国際特許公開番号WO01/78663は、これらのポリマーに関する反応スキームを開示している。
【0105】
(実施例12)
N−イソプロピルアクリルアミド(NIPA)は、ポリマーに温度感受性を与え、水溶液中でLCST挙動を示す。言い換えると、低温にて、NIPA(または類似のモノマー)を有するポリマーは、高温でよりも高い水溶性を有する。従って、皮膚を、水または温水で洗浄する場合に沈殿するポリマーを、設計し得る。
【0106】
(実施例13)
UCST挙動を示す温度感受性ポリマーを、N−アセチルアクリルアミドとアクリルアミドとの共重合により形成する。高温にて、これらのポリマーは、低温でよりも高い水溶性を有する。
【0107】
着色ポリマーナノマトリクスを、水溶液中でUCST挙動を示すポリマーと染色分子とを反応させることにより形成する。ペイロードとして、脱臭剤および/または芳香剤を、着色ナノ構造体によりカプセル化するかまたは吸着させる。皮膚の表面温度が上昇し、そして使用者が汗をかき始めると、UCSTポリマーに基づくナノ構造体は、その中にカプセル化したペイロードを放出し始める。
【0108】
(実施例14)
この実施例において、1セットの分子(染料、芳香剤、軟化剤、医薬(薬物)、モノマー、または皮膚の特性を改変するかもしくは新たな特性および所望の特性を付加する他の分子であり得る)を、微粒子サンブロック剤の存在下で、重合可能な界面活性剤により乳化させる。得られたミセルは、サンブロック剤をカプセル化し、次いで、ナノ粒子へと重合させ(これを皮膚に適用し得る)、次いで、この界面活性剤のヘッド基に依存して、界面活性剤のヘッド基と反対の電荷を有する色止め剤または高分子電解質をちりばめる。ヘッド基を、界面活性剤が金属イオンのキレート化において特に効果的であるように、EDTAまたはNTAのアナログであるよう設計し得る。重合可能界面活性剤の例は、国際特許公開番号WO01/78663により開示されている。
【0109】
(実施例15)
1セットの1つ以上の界面活性剤を使用して、1つ以上の不溶性または完全に不溶性の種(ポリマーおよびオリゴマーを含む)を水溶液中に加える。この材料を、皮膚に適用する。材料中の界面活性剤をリンスすることによって、不溶性またはほぼ不溶性の種を、皮膚上に堆積させる。
【0110】
界面活性剤の使用についての実施例として、着色ナノマトリクスをまず作製し、次いで、シロキサン鎖を、着色マトリクスにグラフトし、そしてキレート化基を導入する。好ましいナノマトリクスは、ケラチン、コラーゲン、ゼラチン、およびそれらの誘導体のようなタンパク質である。シロキサン鎖およびアルキル鎖は、望ましい光沢の外見ならびになめらかな皮膚および髪の感じを提供すると考えられるが、これらの長鎖の別の重要な特性は、ポリマー染料またはオリゴマー染料の可溶性を減少させることである。
【0111】
次に、微粒子サンブロック剤を、シロキサンをグラフトしたタンパク質と結合体化し、そしてキレート化基を導入する。次いで、微粒子サンブロック剤を、シロキサンをグラフトしたタンパク質を含む着色ナノマトリクスと一緒に、界面活性剤を含む化粧用キャリア中に物理的に分散する。シロキサン含有ナノ構造体は、界面活性剤として、ポリ(ジメチルシロキサン−エチレングリコール)液体のブロックコポリマーまたはグラフトコポリマーを用いて、化粧用キャリア中に容易に分散され得る。
【0112】
この処方物中のこのような界面活性剤がリンスにより除去される場合、シロキサンをグラフトしたナノマトリクスは、皮膚上に堆積され得る。金属の添加は、ナノマトリクスの耐久性を増加するよう作用する。実施例4における場合と同様、金属を添加するプロセスは、EDATおよびNTAを用いて可逆的である。
【0113】
シロキサン鎖を、このポリマーと、エポキシド基で官能化したシロキサン鎖とを反応することにより、アミン含有着色ポリマーマトリクス上にグラフトし得る。エポキシド化学は、この実施例の主題の好ましい実施形態であるが、当該分野で公知の手段によりシロキサン基を導入するために使用され得る他の可能な反応基として、無水物、酸塩化物、カルボン酸、塩化スルホニル(スルホンアミドを作製するため)などが挙げられるがこれらに限定されない。
【0114】
(実施例16)
公知の染料分子(酸染料、直接染料、反応性染料、媒染染料、イオウ染料、およびバット染料が挙げられるがこれらに限定されない)を、ポリマーと反応させ、そしてこのポリマーを、本明細書に記載される方法の1つによって皮膚上に堆積させる。
【0115】
(実施例17)
媒染染料を、ポリマーまたはオリゴマーと連結し、そしてこの材料を、皮膚上に堆積する。色止め剤の添加により、媒染染料のペンダント基を通じて、ポリマー分子の架橋が起こる。
【0116】
(実施例18)
足場として作用するタンパク質を、染料分子、軟化剤、高分子電解質オリゴマー鎖、カルボキシメチル基、または皮膚に所望の特性を与え得る他の種で誘導体化する。次いで、得られるタンパク質複合体を、皮膚上に沈殿させ、そして本明細書中に記載される方法(例えば、高分子電解質または色止め剤)を用いて1つの程度または別の程度で固定化する。
【0117】
(実施例19)
本発明において、ナノマトリクスとして有用なポリマーの1つの基は、デンドリマー(dendrimer)および他の高度に分枝したポリマーである。デンドリマーおよび高度に分枝したポリマーを、多くの1つ以上の異なる型の官能基(例えば、アミン基)をそれらの上に有するように設計し得る。これらの官能基は、微粒子サンブロック剤、染料分子、アルキル鎖、またはシロキサン鎖と結合体化し、柔らかさ、または目的の他の分子を添加するための手段を提供する。
【0118】
デンドリマーはまた、それらのキャビティ中にゲスト分子を保持し得る。例えば、染料およびデンドリマーを、溶媒中で、デンドリマーは、染料分子を吸収する溶媒中に分散する。次いで、この溶液を、非溶媒(デンドリマーについて)中に沈殿させ、染料をカプセル化したデンドリマーを回収し、次いで、これは、微粒子サンブロック剤と結合体化されて、着色サンブロック剤を与える。
【0119】
デンドリマーの官能基もまた、皮膚反応性官能基に変換され得る。
【0120】
(実施例20)
この実施例は、着色サンブロック剤のための分散剤として、両親媒性ブロックコポリマーを使用し、そしてまた、皮膚上での沈殿のための手段を提供する。
【0121】
着色サンブロック剤を、着色剤とサンブロック剤とを反応させて、サンブロック剤に着色料を結合させることにより形成する。最初に、サンブロック剤の表面を、アンカー剤でコーティングし、次いで、これを着色剤と反応させる。
【0122】
着色サンブロック剤のための分散剤として、疎水性Aブロック(着色サンブロック剤を吸収する)および親水性Bブロック(架橋可能な基(例えば、カルボキシル)を含む)を含む、両親媒性AB型ブロックコポリマーを形成する。
【0123】
着色サンスクリーン組成物を、キャリア中に着色サンブロック剤、およびサンブロック分散剤として、カルボキシル基を含むAB型両親媒性ブロックコポリマーを分散することにより調製する。この組成物を、皮膚に適用する。次の工程において、可溶性のカルシウム塩もしくはマグネシウム塩またはポリカチオンを、処理した皮膚に適用し、ポリマー吸収着色サンブロック剤を皮膚上に沈殿させる。
【0001】
(発明の分野)
本発明は、UVおよび他の有害な放射線をスクリーニングまたはブロックするための日焼け止め組成物またはサンスクリーン組成物に関し、この組成物はまた、皮膚着色特性を示す。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
太陽光の有害な効果は周知である。太陽スペクトルのUVB(290〜320nm)部分は、紅斑(日焼け)および癌の主要な原因である(M.M.Rieger,Cosmet Toiletries,102(3):91(1987);C.Taylor,Skin Cancer Foundation J.,4:90(1986))。太陽スペクトルのUVA(320〜400nm)部分(これは、UVB光よりも皮膚により深く浸透する)は、皮膚の加齢および皮膚の弾力性を減少させることによる早発のしわの原因と考えられている(L.H.Kligman,F.J.Akin,およびA.M.Kligman,J.Invest.Dermatol.,84:272(1985))。UVA光への長時間の曝露はまた、致死性の黒色腫のような皮膚癌を引き起こす。
【0003】
サンブロック(またはサンスクリーン)処方物は、何年にもわたって発展してきた。広範なスペクトルUV(UVA光とUVB光の両方)をブロックする活性な成分は、従来の(芳香族)有機化合物(例えば、p−アミノ安息香酸、オクチルメトキシ桂皮酸塩または2−メチルへキシル−p−メトキシ桂皮酸塩、2−メチルへキシルサリチル酸塩、またはオクチルサリチル酸塩、オキシベンゾン(oxybenzone)、ベンゾフェノン、アボベンゾン、ホモサラートなど)から、微細な酸化金属粒子(例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ、酸化鉄など)へシフトした。有機UV吸収化合物と比較して、酸化金属ベースの無機サンスクリーンは、生理的に不活性であり、そして皮膚の炎症をほとんど引き起こさない。例えば、酸化亜鉛は、カテゴリーI皮膚保護として、米国食品医薬品庁で分類されている。理論によって限定されることなく、これらの無機材料が、有害なUV光および可視光を反射、散乱および/または吸収することによってサンスクリーニングの利点を提供すると考えられている。
【0004】
微粒子酸化チタン(TiO2)および酸化亜鉛(ZnO)は、コーティングおよびプラスチックにおいて広範に使用されている。UV吸収剤として、酸化亜鉛は、聞くところによれば、UV光の全スペクトルにわたって、市販の全顔料の最も高い紫外線吸収を有し、そして多様な等級およびサイズ(サンブロック剤を作製するのに使用される小さな粒子サイズの材料(60〜80nm)を含む)において市販されている。二酸化チタンは、長波のUVA光に対する保護において、酸化亜鉛よりもより効果が低い。
【0005】
太陽光をブロックするための反射体として、二酸化チタンは、この光を強く反射する粒子の直径の2倍よりもわずかに多くの光と最適に相互作用する。可視波長250nm(または、0.25μm)での適用のために、TiO2が一般に使用される。この値の2倍(500nm)は、スペクトルの可視領域のほぼ中央である。超微細のTiO2は、UVブロッカーとして利用可能である。20nmほど小さい粒子は商業的に入手可能であり、透明なワニスおよびサンスクリーンのような適用において使用される。これらのサイズで、材料は可視領域で完全に透明であるが、UV光をブロックする。市販の混合物における粒子サイズの分布に起因して、幾分大きな粒子(30〜35nm)は、いくらか濁って分散されている材料を与えることから出発する。より大きな粒子は白色を産生する。より大きな粒子サイズの材料のために、二酸化チタンベースの産物は、酸化亜鉛ベースの産物よりもより不透明である。なぜなら、二酸化酸化チタンは、酸化亜鉛よりも可視光の波長をより通さないからである。
【0006】
最も普及している微粒子サンスクリーン処方物は、微細な酸化亜鉛または酸化チタンを含む。種々の不活性な成分は、分散の安定性を補助するために組み入れられ、長く水に浸漬した条件下でさえ、サンスクリーンを保持する。界面活性剤、増粘剤、油、ワックス、シリコーン、ビタミン、芳香、保存剤、抗酸化剤、および草本の抽出物でさえ、市販の日焼け止めに一般的に見出される。微粒子の使用は、高まる傾向にある。なぜなら、伝統的な有機化合物ベースのUV吸収剤は皮膚を通って吸収され得、全身性の問題を引き起こすからである。
【0007】
微細な酸化金属を含む処方物は、白色不透明であり、そして皮膚に適用した場合、ざらざらして光沢があり得る。さらに、皮膚表面上での粒子の不均一な分散によって引き起こされる、望ましくない皮膚の白色化がしばしば生じる。このような粒子の不均一な分散は、皮膚への適用の前の、キャリアにおける粒子の分散が不十分な結果生じる。粒子ベースの処方物は、一般的に使用者の皮膚を青白く見せる。事実、全ての市販サンスクリーンがそうではないとしても、ほとんどのサンスクリーンは無色または白色のいずれかである。
【0008】
UV光への曝露の公知の危険にかかわらず、多くの人々は、日光浴によって、および/または日焼けサロンを訪れることによって日焼けした外見を求める。しかし、日焼けした外見を手に入れたいと願う人々は、サンスクリーンの使用をすぐに減らす。なぜなら、サンスクリーンの主要な利点は、UV光をブロックすることによる日焼けプロセスを遅延させることであるからである。さらに、サンスクリーンの使用はUV光の有害な効果を完全に排除しない。なぜなら、中程度の日焼けはまた、日焼けと同じ効果をもたらし得るからである。従って、日焼けした外見を得ることは、常に、皮膚の損傷の危険を増大させることによってなされる。
【0009】
ほとんどの市販のサンスクリーンは、UVブロックのある特定機能を果たすだけであり、人工的な日焼けおよび/または遮蔽の不良/変色のような他の美容的な利点を提供しない。他方、人工的な日焼けローションまたは溶液は、一般的に、効果的なUVブロック特性を保持しない。従って、人工的な日焼けローションまたは着色料と同様にサンスクリーンとして機能する、皮膚のケア製品の必要性が存在する。
【0010】
皮膚のケア製品はまた、効果的な沈着および皮膚への化粧品の付着を提供することが所望される。好ましくは、化粧品の付着は、その化粧品が使用者の判断で、容易にかつ安全に除去し得るように可逆性である。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0011】
(発明の要旨)
本発明は、UV吸収および皮膚着色特性の両方を示すサンスクリーン処方物に関する。より好ましくは、本発明の着色サンスクリーン特性は、互いに親密な関係の微粒子サンブロック剤および着色剤を含む。これらの着色サンスクリーン組成物は、皮膚に反応性であるかまたは皮膚に固定化され得、皮膚への日焼け止めおよび着色剤の改善された保持を提供する。
【0012】
着色剤は、サンブロック粒子に化学的に固定され得るか、または粒子を取り囲むかもしくはカプセル化し得るか、あるいは、サンブロック粒子は着色剤を取り囲むか、またはカプセル化し得る。着色剤はまた、美容的キャリアにおいてサンブロック粒子と一緒に物理的に分散され得る。1つの実施形態において、着色剤はまた、着色サンスクリーン組成物(例えば、色素−ポリマー結合体または着色ポリマーナノマトリクス)において存在する。
【0013】
「着色剤」とは、顔料(pigment)および色素(dye)(UV−吸収色素を含む)から選択される。現在の好ましい実施形態において、着色剤およびポリマーナノマトリクスは、着色ポリマーナノマトリクスを構成する。「着色ポリマーナノマトリクス」は、「色素−ポリマー結合体」を与えるために、ポリマーと密接な関係下において、顔料または色素を含む。ナノマトリクスはさらに、粒子反応性官能基または他の特性を含み得、微粒子サンブロック剤に共有結合されるか、さもなければ微粒子サンブロック剤上もしくはそのまわりに固定化され得る。本発明は、ナノスコピックの対象または構造物(色素を含む)が、本明細書中で「ポリマーナノスフェア」と称される微小の球形または粒子のどちらかの形状である、全身性のアプローチを記載する。このポリマーナノスフェアは、微粒子サンブロック剤に付着され得るか、または目に見えないほど小さな分子寸法ネット(これは、本明細書中で「ナノスコピック巨大分子ネットワーク」または「ナノスコピックポリマーネットワーク」として称される、微粒子サンブロック剤を取り囲むか、さもなければ付着され得る)に付着され得る。ナノスフェアおよびナノスコピックネットワークは、ポリマー材料(天然に存在するか、または合成のいずれかであり得る)から構築される。天然の種は、十分に確立した有機化学によって改変または誘導され得る。合成型は、あつらえた(custom−tailored)特性を示すように特異的に設計され得る。
【0014】
幾何学的特徴にかかわらず、操作されている色素−ポリマー結合体実体のナノスコピックの性質は、以下のいくつかの利点を提供する:(1)色処方物はオフラインで実行され;毒性前駆体およびインサイチュの化学反応はもはや必要ではない;(2)与えられた色は制御可能に保持または除去され得る;(3)着色剤は、ヒト身体による取り込みを妨害するポリマー構造に付着され得る;(4)多くの色および影の深さは、同一の一般的なフレームワークに基づいて開発され得る;そして(5)この構造は皮膚への着色料の沈着および付着のための手段を提供する。これは、安全であり、そしておそらく皮膚を通過せず、そして全身的に吸収される処方物、および水中でさえ、制御可能に除去し得る人工的な色を有している一方、長期間持続する処方物を提供する。
【0015】
本発明はまた、皮膚の表面への日焼け止めおよび着色剤の沈着および付着に関する。着色ポリマーナノマトリクスは、皮膚に固定されるための手段を提供するポリマーを含み、効果的な送達および化粧品の長時間持続する利点を可能にする。あるいは、微粒子サンブロック剤はまた、皮膚に反応させ得るか、または皮膚に固定され得る。本発明の1つの実施形態において、着色ナノ構築物の皮膚への付着は、可逆的であり、付着および剥離の両方は、生理学的に受容可能な条件下で実施され得る。
【0016】
皮膚着色特性を示すUV−プロテクトサンスクリーン組成物を合成するための方法が提供される。このような方法は、色素もしくは顔料分子または着色ポリマーナノマトリクスと、微粒子サンブロック剤とを、例えば、シラン結合剤または粒子表面上の水酸基をエーテル結合もしくはエステル結合のいずれかによって置換することによって結合させる工程を包含する。あるいは、微粒子サンブロック剤は、着色ポリマーのナノスコピックネットワークによってカプセル化され得、粒子を取り囲む有機層を提供する。単層またはポリマー層は、サンブロック剤粒子に共有結合的に付着され得るか、あるいは粒子の周囲にポリマー殻を形成するために架橋され得る。次いで、生じた色素−機能化された微粒子サンブロック剤は、不活性なキャリアおよび成分と混合され、例えば、クリーム、クリームゲル、ミルク、ローション、または皮膚へ適用するための他の組成物を形成する。あるいは、この着色剤分子または着色モノマトリクスおよびUVサンブロック粒子は、キャリア中に一緒に物理的に分散され得、クリーム、クリームゲル、ミルク、ローション、または皮膚へ適用するための他の組成物を形成する。
【0017】
(発明の詳細な説明)
本明細書中および添付の特許請求の範囲において使用される、用語「a」および「an」は、「1つ以上」を意味する。
【0018】
本発明の着色したサンスクリーン組成物は、互いに密接した関係で、微粒子サンブロック剤と着色剤とを含む。
【0019】
用語「微粒子サンブロック剤」とは、本明細書で使用される場合、反射、散乱、ならびに/または有害なUV光および/もしくは可視光を吸収することにより、サンスクリーンまたは保護的な利益を提供する、固体の物理的日焼け止め(例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ、酸化鉄など)をいう。微粒子サンブロック剤は、シリカのような表面処理化合物で被覆されていなくても被覆されていてもよい。本発明の好ましい実施形態において、微粒子サンブロック剤は、二酸化チタンおよび酸化亜鉛から選択される。
【0020】
微粒子サンブロック剤に加えて、本発明の組成物はまた、従来の有機サンブロック剤を含有し得る。用語「有機サンブロック剤」とは、本明細書で使用される場合、UVを吸収する有機化合物(例えば、p−アミノ安息香酸(PABA)およびPABAエステル、メトキシ桂皮酸オクチルおよび2−エチルヘキシル−p−メトキシシンナメートのようなシンナメート類、サリチル酸2−エチルヘキシルおよびサリチル酸オクチルのようなサリチレート類、オキシベンゾン、ベンゾフェノン、アボベンゾン(avobenzone)、ホモサラート(homosalate)など)をいう。この有機サンブロック剤は、化粧用ビヒクル中で微粒子サンブロック剤と共に物理的に分散され得る。この有機サンブロック剤はまた、ポリマーナノ構造体に付着されてもこのポリマーナノ構造体中にカプセル化されてもよく、このポリマーナノ構造体は、微粒子サンブロック剤および/または着色剤を含有し得る。
【0021】
用語「着色剤」とは、本明細書中および添付の特許請求の範囲において使用される場合、以下を含むがこれらに限定されない顔料および色素をいう:直接的色素、媒染性色素、反応性色素、UV吸収性色素、フォトクロミック色素、蛍光性色素、りん光性色素、および視覚的光沢剤。有機着色剤および無機着色剤の両方が、本発明の範囲内にある。用語「着色剤(coloring agent)」、「着色料(colorant)」および「色素(dye)」は、本明細書中および添付の特許請求の範囲において交換可能に使用される。
【0022】
用語「染料(dyestuff)」とは、本明細書中で使用される場合、色素分子および顔料分子またはそれらの凝集体をいう。
【0023】
本発明における使用のための、特定の目的の色素または顔料は、人の毛髪および皮膚に天然に存在する顔料であるメラニンである。メラニン凝集体は、そのサイズおよび表面濃度に依存して、一定範囲の色を示し得る。メラニン機能化微粒子サンブロック剤および/またはUVブロッカーと共に分散されたメラニン−ポリマー結合体は、本発明の顕著な例である、メラニンベースの処方物は、天然物を密接に模倣する。
【0024】
用語「ナノ構造体」および「ナノマトリックス」とは、本明細書中で使用される場合、1ナノメートル〜1ミクロン(1マイクロメートル、すなわち1000ナノメートル)の寸法により特徴付けられる物体をいう。ナノ構造体は、有機でも無機でもよい。本発明において、好ましいナノ構造体は、ポリマーを含む。ポリマーナノ構造体は、本明細書中に開示されるように、i)微粒子ポリマーナノマトリックスまたはポリマーナノスフェア、およびii)非微粒子ポリマーナノマトリックスに分類され得る。用語「微粒子ナノマトリックス」および「ナノスフェア」は、交換可能に使用される。微粒子ポリマーナノマトリックスの例としては、格子、擬格子、懸濁液滴、ミセル、タンパク質、およびリポソームが挙げられるが、これらに限定されない。非微粒子ポリマーナノマトリックスの例としては、線状ポリマー(ホモポリマーおよびコポリマーを含む)、グラフトコポリマー、櫛形ポリマー、分枝ポリマー、スターポリマー、デンドリマー、および軽度に架橋したポリマーまたはナノゲルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0025】
用語「着色ポリマーナノマトリックス」とは、本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、顔料または色素が、そのポリマーと密接した関係にある、着色料含有ポリマーナノ構造体をいう。
【0026】
用語「着色サンブロック剤」および「色素機能化サンブロック剤」とは、本明細書および添付の特許請求の範囲において交換可能に使用される場合、サンブロック剤粒子と密接した関係で、顔料、色素、または着色したポリマーナノマトリックスと結合体化した微粒子サンブロック剤をいう。
【0027】
用語「着色ナノ構造体」とは、本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、着色料を含有する有機または無機ナノ構造体をいう。「着色したポリマーナノマトリックス」および「着色したサンブロック剤」の両方が、「着色したナノ構造体」の定義の範囲内にある。
【0028】
「密接な関係」とは、染料が、ナノ構造体(ポリマーナノマトリックスおよび微粒子サンブロック剤を含む)に取り囲まれるか、そのナノ構造体内に含有されるか、そのナノ構造体と化学的に結合しているか、または他の方法でナノ構造体と永久的または半永久的な関係にあることを意味する。
【0029】
用語「色止め剤」とは、本明細書中で使用される場合、着色剤または着色したナノ構造体と混合して不溶性の着色料含有化合物を形成することにより、物質中または物質上に着色剤または着色したナノ構造体を固定する化学物質をいう。色止め剤の例は、酸化数2以上の金属原子を含有する種である。
【0030】
用語「ペイロード(payload)」および「ペイロード剤」とは、本明細書中で使用される場合、ヒトの皮膚に対する永久的もしくは半永久的な付着またはヒトの皮膚の処置に望ましい任意の材料または薬剤を包括的にいう。これは、皮膚の特性を改変し得るか、または皮膚に新しくかつ望ましい特性を付与し得る。このペイロードはまた、本明細書中において「ペンダント基」ともいわれる。このペイロードは、色素もしくは着色剤、顔料、乳白剤、香料および芳香剤、薬物および薬剤、軟化剤、防虫剤、抗菌剤(antibacterial)および抗菌剤(antimicrobial)などであり得るが、これらに限定されない。本明細書中以下の考察は、特定の例示的な薬剤に関するが、皮膚処置に適切な任意の望ましい活性または特徴を有する他の物質もまた、本明細書中の教示に従ってポリマーナノ構造体中に組み込まれ得、かつ本発明の範囲内に含まれることに留意することは、重要である。
【0031】
用語「粒子反応性官能基」とは、本明細書中で使用される場合、微粒子サンブロック剤に結合し得るかまたは付着し得る官能基をいう。粒子反応性官能基はまた、次にサンブロック粒子に結合または付着するリンカー分子に結合し得る官能基であり得る。
【0032】
用語「皮膚反応性官能基」とは、本明細書中で使用される場合、皮膚の表面に結合または付着し得る官能基をいう。この皮膚反応性官能基はまた、次に皮膚の表面に結合または付着するリンカー分子に結合し得る官能基であり得る。
【0033】
「熱力学的バランスにおける変化」とは、混合物の相バランスを決定する熱力学的変数(例えば、温度、圧力、pH、イオン強度、および混合物組成)の変化を意味する。
【0034】
本発明の着色サンブロック剤は、一実施形態において、着色剤とサンブロック剤とを反応させることによりこの着色剤と微粒子サンブロック剤との間に共有結合を形成することにより得られ得る。さらに、サンブロック剤の表面は、最初にアンカー剤で被覆され得、次いで、このアンカー剤が、着色剤と反応される。結合剤はまた、他の着色剤および/またはポリマー(着色していてもしていなくてもよい)とさらに結合するために選択されて、1種より多くの着色剤を含有するポリマー鎖、ポリマーネットワーク、またはポリマー殻を形成し得る。
【0035】
着色サンブロック剤を形成するための別のアプローチは、着色料含有モノマー混合物を、微粒子サンブロック剤の周囲で重合することである。この着色料は、反応性でも非反応性でもよい。重合可能な界面活性剤を使用して、粒子の分散を改善し得、そして/またはその界面活性剤のヘッド基を介して着色したサンブロック剤に官能基を導入し得る。この官能基は、着色サンブロック剤の皮膚への沈着および付着のための手段を提供するように選択され得る。
【0036】
本発明の着色サンブロック剤はまた、微粒子サンブロック剤を、一組の着色ポリマーナノマトリックスと接触させることにより形成され得る。例えば、ポリマーカプセル化微粒子サンブロック剤は、微粒子サンブロック剤の存在下で着色料含有ポリマーを沈殿させることにより微粒子サンブロック剤の周囲に着色したナノスコピック(nanoscopic)ポリマーネットワークを形成することにより得られ得る。別の実施形態において、重合可能な基を含む着色ポリマーナノマトリックスは、粒子の周囲に集合し、次いで、架橋するかまたは架橋しないで、重合してサンブロック剤を取り囲むかまたはカプセル化するポリマーネットワークまたはポリマー殻になる。
【0037】
本発明において、着色ポリマーナノマトリックスの表面は、微粒子サンブロック剤に結合または付着するための粒子反応性官能基を含み得、染料の永久的または半永久的な結合を提供する。あるいは、ナノマトリックスの表面は、次に着色ポリマーナノマトリックスをサンブロック粒子に結合または付着させるリンカー分子に結合し得る官能基を含み得る。
【0038】
本発明の一実施形態において、着色サンブロック剤は、着色ポリマーナノマトリックスをサンブロック剤と反応させることにより、微粒子サンブロック剤と着色ポリマーナノマトリックスとの間に共有結合を形成することにより得られる。1種または混合物の着色ポリマーナノマトリックスは、結合剤と共に使用されて、着色ポリマーナノマトリックスを含むポリマー鎖またはネットワークを形成し得る。本発明の好ましい実施形態において、着色ポリマーナノマトリックスは、非微粒子ポリマーナノマトリックスを含む。別の実施形態において、着色ポリマーナノマトリックスは、ポリマーナノスフェアを含む。
【0039】
微粒子サンブロック剤と着色ポリマーナノマトリックスとの間の付着機構は、これらの間の共有結合の形成に限定されない。この付着機構はまた、イオン性引力、van der Waals相互作用、および水素結合を含むが、これらに限定されない。着色ポリマーナノマトリックスは、微粒子サンブロック剤と結合体化される場合、この着色したポリマーナノマトリックスは、微粒子サンブロック剤を取り囲むかまたはカプセル化し得る。逆に、微粒子サンブロック剤が、着色ポリマーナノマトリックスを取り囲むかまたはカプセル化し得る。
【0040】
この着色ポリマーナノマトリックスは、色素含有ナノスフェアの形態であり得る。色素含有ナノスフェアにおいて、染料は、捕捉される。すなわち、染料は、ポリマー殻もしくはポリマーマトリックスにより取り囲まれるかまたはポリマー殻もしくはポリマーマトリックス内に含有される。このナノスフェアは、染料を取り囲むポリマー殻を含み得るか、またはこのナノスフェアは、染料を捕捉している3次元ポリマーネットワークを含み得、これらの両方が本明細書中で「ポリマー殻」といわれる。同様に、染料は、その染料をポリマー殻と反応させることによりそのポリマー殻を取り囲み得る。ナノスフェアは、非毒性の、非アレルゲン性ポリマーから作製され得る。多くのポリマーが、局所用法についてFDAにより認証されている。シリコーンおよびセルロース類は、とりわけ、顕著な例である。炭化水素ベースの合成ポリマー系は、等しく適切な代替物である。タンパク質または合成ペプチドはまた、この目的のために使用され得る。
【0041】
ナノスフェアの利点は、微粒子サンブロック剤への結合または付着のために、官能基が色素含有ナノスフェアの表面上に存在する場合に、染料がポリマー殻に取り囲まれるかまたはポリマー殻内に含有される場合は、このナノスフェアの表面上の化学結合が、染料の分子を含まないということである。顔料または色素剤は、ナノスフェア内に物理的に捕捉され、従って染料分子自体の化学的修飾を必要としない。得られたカプセル化された色素調製物は、その染料の固有の特徴を変化しない。
【0042】
ポリマー格子に基づく色素含有ナノスフェアは、当該分野で公知のいくつかのカプセル化方法(例えば、界面重合、ミクロエマルジョン重合、沈降重合、および拡散)のうちの1つによって形成され得る。多成分混合物調製、次いで乾燥室への霧化/噴霧は、さらに別の処理スキームである。
【0043】
色素含有ナノスフェアは、染料を、モノマー、オリゴマー、またはポリマーのセット(本明細書中で「ポリマーセット」という)と接触させることにより形成される。モノマー、オリゴマー、またはポリマーは、染料の周りに集合し、次いで、架橋して、または架橋しないで重合されて、染料を取り囲むポリマーネットワークまたはポリマー殻になる。
【0044】
あるいは、表面上に粒子反応性官能基を必要に応じて有するナノスフェアは、ポリマーセットを重合することにより最初に調製され得、その後、染料は、その染料がポリマーネットワークまたはポリマー殻中に吸収されるか捕捉されるような適切な条件下でビーズに曝露されて、粒子反応性色素含有ナノスフェアを生成し得る。
【0045】
一実施形態におけるポリマーセットは、最終的なポリマーナノスフェアの表面上に粒子反応性官能基を提供する少なくともいくつかの成分を含み、これらは、サンブロック粒子に結合して、本発明の色素機能化粒子サンブロック剤を生じる。
【0046】
本発明のナノスフェアを形成する際に有用な特定のモノマー、オリゴマー、またはポリマーは、アミン反応性、ヒドロキシル反応性またはスルフヒドリル反応性のモノマーまたはポリマーと組み合わせられる、アミンモノマーもしくはポリマー、ヒドロキシルモノマーもしくはポリマー、またはスルフヒドリルモノマーもしくはポリマーを含有するものである。
【0047】
ナノスフェアは、可能な色素キャリアとしての1つの形態にすぎない。色素分子はまた、直鎖ポリマーキャリア、分枝ポリマーキャリア、または軽度に架橋したポリマーキャリアに結合されて、色素含有ナノスコピックネットワークを生じ得る。例えば、遊離のアミン基を含むポリマーは、ポリマー色素またはオリゴマー色素を形成するのに有用である。なぜなら、アミン類は、種々の色素と反応することが周知だからである。
【0048】
色素分子はまた、粒子反応性官能基を含むナノスコピックネットワークの内側に捕捉され得る。色素含有ネットワークは、次いで、これらの官能基を介してサンブロック粒子に化学的に結合される。あるいは、次いで、これらのネットワークは、適切な反応性架橋官能基を介して共に架橋されて、サンブロック粒子の周囲に網または殻を形成し、本発明の色素機能化粒子サンブロック剤を生じる。
【0049】
本発明におけるナノマトリックスとして有用なポリマーの一群は、デンドリマーおよび他の高度に分岐したポリマーである。デンドリマーはまた、高度の対称性を有する。デンドリマーおよび高度に分岐したポリマーは、それらの上に多数の1つ以上の異なる型の官能基を有するように設計され得る。これらの官能基を使用して、色素分子、軟らかさを付与するアルキル鎖もしくはシロキサン鎖、または目的の他の分子は、デンドリマーに結合され得、その結果、共有結合を介して高密度のペイロードを輸送し得る小型のキャリアになる。これらの官能基はまた、粒子反応性官能基へと変換され得る。デンドリマーはまた、その内腔にゲスト分子をカプセル化し得る。市販のデンドリマーの例としては、LupasolTM(BASF)(末端アミン基を有する高度に分岐したポリエチレンイミンである);ポリ(アミドアミン)デンドリマー(Aldrich);ポリ(プロピレンイミン)デンドリマー(DSM);およびBOLTORNTMポリエステルデンドリマー(PERSTORP)が挙げられる。
【0050】
分岐ポリマーの別の利点は、分岐したポリマーの固有粘度が、同じ分子量および同じ化学構造を有する直鎖アナログの固有粘度より低いことである。従って、所定の溶液粘度において、この分岐したポリマーは、同じ組成の直鎖ポリマーと比較してより高い分子量のポリマーの使用を可能にする。より高分子量のポリマーを使用することにより、ナノマトリックスが架橋により皮膚上に沈殿された場合に、ポリマーナノマトリックスの皮膚上での堆積および保持の効率が増大し得る。
【0051】
本発明のナノマトリックスとして有用なポリマーの別の群は、軽度に架橋したポリマーネットワークまたはナノゲルであり、これらは、1ナノメートル〜1ミクロン(1マイクロメートル、すなわち、1000ナノメートル)の寸法により特徴付けられるポリマーネットワークである。ナノゲルは、架橋ゲルおよびコロイド粒子の特性を示す。これらは、微細分散として分散され得、そしてペイロードと共にロードされ得る。これらは、ナノゲルの内側に物理的に捕捉されても、ペンダント基または末端基を介してナノゲルに化学的にグラフト化されてもよい。ナノゲルは、乳化重合か、または乳化/溶媒エバポレーション技術を使用して適切な架橋剤でポリマーを架橋することにより合成され得る。ナノゲルは、1種より多くの化学的に非類似のホモポリマーおよび/またはコポリマーを含む、浸透性ポリマーネットワークまたは半浸透性ポリマーネットワークとして形成され得る。
【0052】
他の有用なポリマーとしては、アミン含有ポリマーもしくはオリゴマー(例えば、ポリ(エチレンイミン)、ポリ(アリルアミン塩酸塩)、ポリ(リジン)、またはポリ(アルギニン));およびカルボキシ含有ポリマーもしくはオリゴマー(例えば、ポリ(アクリル酸)、ポリ(イタコン酸)、ポリ(無水マレイン酸)、無水マレイン酸単位を含むコポリマー、−C6H5COOH基を有するポリマー、またはポリ(メタクリル酸))が挙げられるが、これらに限定されない。
【0053】
1つの実施形態において、シリコーンは、本発明の着色サンスクリーン組成物に混合される。シリコーンは、望ましい光沢のある外観および平滑な皮膚および毛の感覚を提供する好ましい化粧剤である。本発明において、シリコーンは、シリコーンベース構造またはシリコーングラフトナノ構造体を使用することによって、組成物に混合され得る。
【0054】
ナノマトリクスはまた、疎水性セグメントおよび親水性セグメントを備える両親媒性ブロックコポリマーから形成され得る。水溶液中のこのようなブロックコポリマーは、コア−シェル型ミセルに自己集合することが公知であり、ミセルのコア部分およびシェル部分が、それぞれ、ブロックコポリマーの疎水性セグメントおよび親水性セグメントを含む。両親媒性ブロックコポリマーは、例えば、疎水性相互作用、静電相互作用、および金属錯体形成を介して自己集合し、これは、ブロックコポリマーを含む媒体の熱力学的バランスの変化によって誘導され得る。両親媒性ブロックコポリマーの例としては、ポリオキシエチレン−コ−ポリオキシプロピレンブロックコポリマーおよびポリオキシエチレン−コ−ポリアスパラギン酸ブロックコポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0055】
自己集合性の両親媒性ブロックコポリマーは、色素機能化微粒子サンブロック剤を形成するためのいくつかの方法を提供する。例えば、着色剤は、最初に、両親媒性ブロックコポリマーと反応し、これは、次いで、ミセルに形成される。着色剤およびさらなるペイロードはまた、両親媒性ブロックコポリマーから形成されるミセルによってカプセル化され得る。次いで、色素機能化ミセルを、微粒子サンブロック剤に結合する。色素機能化ブロックコポリマーはまた、微粒子サンブロック剤の周りでミセルに変換することによって、または微粒子サンブロック剤の表面に吸着することによって、微粒子サンブロック剤をカプセル化し得る。
【0056】
本発明の処方物がブロックコポリマーを含む場合、ブロックコポリマーはまた、着色ナノ構造体に対する分散剤として機能するように設計され得る。その場合には、ブロックコポリマーは、着色ナノ構造体に吸着され、そしてナノ構造体が凝集することを妨げることによって、ナノ構造体の分散を改善する。これらの吸着されたブロックコポリマーはまた、着色ナノ構造体を皮膚に付着させるための手段を提供するために使用され得、これは、例えば、皮膚反応性官能基または架橋基(これは、架橋反応時に、皮膚にナノ構造体を沈殿させる)を含むことによる。
【0057】
色素含有ポリマーナノ構造体の他の例およびさらなる考察は、国際特許公開番号WO01/78663(この開示は、本明細書中で参考として援用される)に提供される。
【0058】
(皮膚付着機構)
制御されたサイズ分布の粒子中に正確な量の色素を入れるための十分に確立されたカプセル化技術が、存在する。ポリマーによって微粒子サンブロック剤の表面をコーティングするための十分に確立された技術が利用可能である。しかし、本発明において、着色ナノ構造体を含む材料(すなわち、着色ポリマーナノマトリクスおよび着色サンブロック剤)が選択され、そして/または着色ナノ構造体の表面が、皮膚の表面上に着色ナノ構造体の効果的な堆積および付着を提供するように改変される。本発明の着色サンスクリーン組成物は、皮膚上のサンブロック剤および着色剤の改善された保持を提供する。
【0059】
着色ナノ構造体は、以下の付着機構によって、皮膚の表面に固定され得る:直接的付着、媒体の熱力学的バランスにおける変化によって誘導される沈殿、および架橋による沈殿。皮膚と着色ナノ構造体との間に形成される結合、および架橋剤と着色ナノ構造体の架橋基との間の結合は、水素結合、イオン結合、配位結合、共有結合、またはこれらの混合であり得る。着色ナノ構造体の直接的結合として、抗体がまた、ナノ構造体に結合され得、着色ナノ構造体を皮膚に結合するための手段を提供する。好ましい実施形態において、着色ナノ構造体は、イオン結合された架橋の形成を介する架橋によって、皮膚に固定される。
【0060】
皮膚反応性官能基を含む着色ナノ構造体は、皮膚反応性官能基を含むポリマーセットから形成され得る。皮膚反応性基を含む化合物はまた、皮膚反応性基を導入するための着色ナノ構造体の表面に移植され得る。
【0061】
皮膚反応性官能基を含む着色ナノ構造体は、皮膚を形成する分子において豊富な官能基(例えば、アミン、スルフヒドリル、カルボキシル、およびヒドロキシル)を介して皮膚に共有結合され得る。皮膚反応性官能基の例として、アミン反応性である皮膚反応性官能基としては、イソシアネート、イソチオシアネート、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、スルホニルクロリド、アルデヒド、エポキシド、カルボネート、無水物、およびアリール化剤が挙げられるが、これらに限定されない。スルフヒドリル反応性基の例としては、マレイミド、ジスルフィド、およびハロアセトアミドの化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0062】
媒体のイオン強度または界面活性剤含有量がリンスによって移動する場合、ナノ構造体を構成するポリマーの骨格に沿って、穏やかな条件下で化学的に反応性であり得るかまたは皮膚の表面上の相補的な基と静電気的に相互作用性であり得るかのいずれかである皮膚反応性官能基が、導入され得る。例示的な相互作用としては、荷電−荷電、双極子、水素結合、疎水性、または脱水の相互作用が挙げられる。
【0063】
ナノ構造体はまた、アルカリ性pHの範囲の等電点を有する高分子電解質から作製され得る。これらのナノ構造体は、酸性の等電点を有する別の高分子電解質(直鎖または分枝鎖のポリマー固定剤)を使用することによって、効果的に沈殿または凝集し得る。皮膚が最初にナノ構造体に曝露され、次いで、第2の高分子電解質固定剤に再曝露される場合、複合体がインサイチュで形成され、処置された皮膚をコーティングする。
【0064】
別の経路は、微細に分割された分散物で、着色ナノ構造体を皮膚表面に持っていくための潜在的な界面活性剤処方物の使用である。一旦適所になると、界面活性剤は、リンスして除かれ、処置された皮膚に強力に接着するナノ構造体を残す。例は、色素とも結合されるシリコーングラフト化タンパク質のようなシリコーンベースナノ構造体およびシリコーングラフト化ナノ構造体である。タンパク質の例としては、ケラチン、コラーゲン、ゼラチン、およびそれらの誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。このようなシリコーン含有粒子は、界面活性剤として、ポリ(ジメチルシロキサン−コ−エチレングリコール)液体のブロックコポリマーまたはグラフトコポリマーを使用するキャリア中で容易に分散され得る。後者の媒体は、水によってリンスされ得る。なぜなら、成分は、水溶性であり、不溶性のナノ構造体を接着沈殿物として残すからである。本発明の好ましい実施形態において、シリコーングラフト化タンパク質は、ケラチン、コラーゲン、およびそれらの誘導体(例えば、加水分解されたケラチンおよびスルホンケラチン(sulfonic keratin))を含む。
【0065】
着色ナノ構造体はまた、溶液の熱力学的バランスが、例えば、温度またはpHを変化させることによって移動する場合、生理学的に受容可能な水溶液中で相分離を示すポリマーから形成され得る。相分離は、ポリマーの沈殿を導く。
【0066】
熱的に誘導される相分離の例として、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、PEG−コ−PPGコポリマー、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースの水溶液は、加熱の際に相分離を示し、これは、下部臨界完溶温度(LCST)挙動と呼ばれる。N−イソプロピルアクリルアミドはまたイオン化可能基を含むモノマーと共重合されて、LCST挙動(これは、溶液のpHおよびイオン強度に依存する)を示すコポリマーを与える。PEGの水溶液において、LCSTは、溶液のイオン強度に依存する。
【0067】
他方、N−アセチルアクリルアミドおよびアクリルアミドを含むコポリマーの水溶液は、上部臨界完溶温度(UCST)挙動を示すことが公知であり、温度が上昇につれて、ポリマーの溶解度が増加する。これらの系において観察されるLCSTおよびUCSTは、可逆である。従って、上記LCSTポリマーおよびUCSTポリマーから形成されるナノ構造体は、溶液の温度、pH、および/またはイオン強度が調節される溶液を、ナノ構造体で処置された皮膚に適用することによって、皮膚に可逆的に付着され得る。
【0068】
熱力学的バランスの変化によって誘導される沈殿による着色ナノ構造体の可逆的付着の別の例として、水に不溶性のポリマーから形成された着色ナノ構造体が、水とこのナノ構造体を含むポリマーの対についての共溶媒を含む水溶液中に分散される。好ましくは、この共溶媒は、少なくとも部分的に水溶性であり、そして水よりも揮発性である。皮膚がこの様式で得られた調製物で処置される場合、着色ナノ構造体は、処置された皮膚を被覆する、揮発性の共溶媒エバポレートとして沈殿する。沈着した、着色ナノ構造体は、水耐性を示すが、共溶媒を含む溶液で洗浄することにより容易に除去可能である。
【0069】
可溶性の着色ナノ構造体の表面が、架橋のための反応性官能基を含む場合、このナノ構造体は、固定剤の添加により架橋され得る。この固定剤は、着色ナノ構造体を含むスキンケア組成物が皮膚に塗布された後に、架橋剤として機能する。架橋反応について揮発性のブロッキング剤を使用することにより、組成物はまた、架橋可能なナノ構造体および架橋剤の両方を含んで処方される。このような組成物が皮膚に塗布された後、ブロッキング剤が、エバポレーションにより除去され、着色ナノ構造体を架橋する反応が開始する。
【0070】
架橋による着色ナノ構造体の沈殿物の例としては、ナノ構造体が、色止め剤またはカチオン性固定剤を介して皮膚に付着され得る。カルボキシ含有ポリマー、ホスフェート含有ポリマー、ホスホネート含有ポリマー、スルフェート含有ポリマー、およびスルホネート含有ポリマーは、非常に低い毒性を有する、アルカリ土類金属(例えば、Mg2+、Ca2+、およびSr2+(これらは、上で述べた官能基の間に架橋を形成する))と錯体化され得る。従って、例えば、可溶性ポリマー(これは、例えば、カルボキシル基、および色素分子または柔らかさを加える化合物のような1つ以上のペイロードを含む)が、皮膚に塗布される。次の工程で、可溶性のカルシウム塩またはマグネシウム塩は、皮膚に対してペイロードを含有するポリマーを沈殿させるために、皮膚に加えられる。
【0071】
色止め剤を介する皮膚への付着の別の例として、着色ナノ構造体含有媒染染料が、この色素を固定するために用いられる色止め剤により沈殿される。媒染染料は、カルボキシル基のような架橋可能な官能基を含むので、媒染染料を含む着色ナノ構造体はまた、アルカリ土類金属(例えば、Mg2+、Ca2+、およびSr2+(これらは、媒染染料の官能基の間に架橋を形成する))と錯体化され得る。
【0072】
官能化されたシロキサンは、さらに、同様に錯体形成を利用することにより、界面活性剤によって補助される沈殿原理をさらに洗練し得る。例えば、カルボキシレート側鎖を有するシロキサンは、界面活性剤を取り除きかつポリアミン(例えば、水性洗浄溶液中のポリエチレンイミン)を加えるという二重使用により沈殿され得る。反対に、アミノ酸置換シロキサンは、ポリ酸(例えば、ポリアクリル酸もしくはポリマレイン酸またはこれらのコポリマー)の付加により、包埋された着色ナノ構造体とのインサイチュ架橋ネットワークを形成し得る。
【0073】
錯体形成はまた、多価のカチオンまたはアニオン(各々、相補的に荷電された表面基に対して反応性である)の添加により誘導され得る。酸−塩基中和は、ナノ構造体の錯体形成誘導沈殿/固着の別の例である。
【0074】
皮膚表面上の熱力学的に誘導された沈殿/固着および錯体形成誘導沈殿/固着は、他の合成ナノ構造体または天然に存在するナノ構造体に均等に塗布され得る。例えば、着色剤、微粒子サンブロック剤、および/またはペイロードは、最初に、タンパク質キャリア上に化学的にカップリングされ得る。多数のアプローチが、スルフヒドリル基、アミン基、およびカルボキシル基のような官能基を介して、化学的に修飾されたタンパク質に対して公知である。このタンパク質−ペイロード錯体は、媒体に分散され、この媒体は、次いで、皮膚に塗布される。媒体の熱力学的バランスにおける変化(例えば、pHおよびイオン強度における変化)は、皮膚の表面上に錯体の沈着を生じる。タンパク質はまた、非イオン性ポリマーまたは金属イオンの付加により沈殿され得る。このように、皮膚は処置される。カップリングは、皮膚の存在に関係なく、化学的に実行されるので、伝統的な化学手段は、毛髪の脱落または皮膚の感受性を恐れることなく、用いられ得る。次いで、より単純でより穏やかな固定反応により、タンパク質沈着がもたらされ得る。
【0075】
本発明者らは、系の様々な部分に対して様々な技術要求を分担させる利点を強調する。色は、着色ナノ構造体内に含まれる染料に由来する。さらに、制御された程度の耐久性は、皮膚付着方法論から生じる。上記の沈殿/錯体形成アプローチは、逆転することを困難にし得るか、または容易に逆転可能であり得る。可逆性は、特定の特異的な薬剤の存在下でのみ生じるように操作され得る。従って、通常の皮膚洗浄剤または石鹸は、色の減退を生じない。例えば、官能化されたシリコーンは、特定のシロキサン含有界面活性剤(例えば、シロキサンポリエチレングリコールのブロックコポリマーまたはグラフトコポリマー)が用いられない場合、洗浄して取り除くことが困難である。同等に、錯体または沈殿の分離は、類似の操作されたリンス条件下で生じてもよいし、生じなくてもよい。従って、人工的に作られた皮膚の色は、持続性の様式で維持されるか、または所望される場合、逆転されるかのいずれかであり得る。
【0076】
誘導体化セルロースは、類似の方法で機能するように作製され得ることに注意すること。合成ポリペプチドもまた、染料封入のために用いられ得る。このようなセルロースまたはタンパク質の表面は、様々な等電点を示すように改変され得、これは、それらの沈殿/凝集/錯体形成の特性をあつらえるように開発され得る。
【0077】
本発明において、着色されたポリマーナノマトリクスはまた、日焼け止め粒子と連結することも、日焼け止め粒子を封入することもなしに、キャリアにおいて微粒子サンブロック剤と共に物理的に分散され得る。この場合には、皮膚に対する微粒子サンブロック剤の有効な沈着および保持はなおも可能である。なぜならば、このサンブロック剤は、皮膚の表面上に形成された着色された微粒子ポリマーナノ粒子のネットワークによって、物理的にエントラップされ得るからである。
【0078】
微粒子サンブロック剤は、着色ポリマーナノマトリクスと結合体化されない場合、この微粒子サンブロック剤は、必要に応じて、着色されていないポリマーナノマトリクスと結合体化され、そして/またはサンブロック剤の表面は、皮膚の表面に対する着色されていないサンブロック剤の沈着および付着のための手段を提供するように処理される。この場合には、皮膚に対して着色された日焼け止めを固定するために用いられるのと同じ機構が用いられ得る。1つの実施形態では、着色ナノマトリクスは、シリコーンとさらにグラフト化される色素結合体化タンパク質から形成される。同様に、微粒子サンブロック剤は、シリコーンとさらにグラフト化されるタンパク質と結合体化される。これらのタンパク質ベースの着色剤およびサンブロック剤(これらはまた、シリコーンとグラフト化される)は、次いで、界面活性剤としてポリ(ジメチルシロキサン−エチレングリコール)溶液のブロックコポリマーまたはグラフトコポリマーを含むキャリア中に一緒に物理的に分散される。
【0079】
特定の例では、着色ナノ構造体はまた、染料以外のペイロードを含む。有機UV吸収剤は、着色ナノ構造体に含まれ得る。ペイロードはまた、染料を含まない別々の任意のナノ構造体に組み込まれ得る。これらのナノ構造体を含む材料が選択され得、そして/または任意のナノ構造体の表面は、皮膚の表面上へのナノ構造体の有効な沈着および付着を提供するように処理される。
【0080】
ペイロードが芳香剤または薬学的薬剤である場合、ペイロードが、ナノ構造体から皮膚の上または中へと制御可能に放出されることが望ましい。ナノ粒子またはナノゲルは、ペイロード剤が、ナノ粒子またはナノゲルのポリマーシェルまたはマトリクス内に包埋またはエントラップされるが、持続性さもなければ制御可能な様式でナノ粒子またはナノゲルから放出され得るように設計され得る。放出プロフィールは、ナノ粒子のポリマーネットワークの化学を介してプログラムされる。ナノ粒子は、構造特性(例えば、架橋密度、コポリマー繰返し単位の親水性−疎水性バランス、およびポリマーネットワークの剛性/弾性(例えば、ガラス転移温度))を介して設計された殆ど限りない特徴を用いて処方され得る。さらに、侵食性のナノ粒子または他のナノ構造体が、ペーロードを制御可能に放出するために開発され得る。
【0081】
さらに、ポリマーマトリクスは、環境刺激に反応または応答して、内容物の放出の増加/減少を引き起こす成分を含み得る。「スマートポリマー(smart polymer)」は、多くの環境パラメーター(例えば、pH、温度、イオン強度、共溶媒組成、圧力、電場など)のいずれかの調整によって、異なる熱力学的転移を起こすように誘導され得るポリマーである。例えば、LCST転移に基づくスマートポリマーは、暖めに曝されるかまたは洗浄の間に温水に曝される場合に、放出を中断し得る。冷却されて室温に戻ると、徐放を再開する。逆に、UCST転移に基づくスマートポリマーは、皮膚の表面温度が上昇した場合に、放出を開始させ得る。
【0082】
スマートポリマーは、以下から形成され得るが、これらに限定されない:N−イソプロピルアクリルアミド、アクリルアミド、N−アセチルアクリルアミド、N−アセチルメタクリルアミド、官能化ポリエチレングリコールおよび官能化ポリプロピレングリコール、メチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、オクチル/デシルアクリレート、アクリル化ウレタンオリゴマー(acrylated urethane oligomer)、ビニルシリコーン、ならびにシリコーンアクリレート。
【0083】
スマートポリマーはまた、以下から選択され得るが、これらに限定されない:ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルエチルエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリビニルピロリドン、ポリヒドロキシプロピルアクリレート、セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、疎水的に改変されたセルロース、デキストラン、疎水的に改変されたデキストラン、アガロース、低ゲル化温度のアガロース、およびこれらのコポリマー。
【0084】
これらのポリマー間において架橋が所望される場合、ビス−アクリルアミドおよびエトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレートおよびスルホン化スチレンのような多官能性化合物が使用され得る。現在好ましい実施形態では、スマートポリマーは、ポリアクリルアミド、置換ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコールに基づくコポリマー、ポリビニルメチルエーテル、および改変セルロースを含む。
【0085】
ポリマーセットは、疎水性または親油性のいずれかのナノ粒子を与えるように選択され得、広範な一連の生物活性化合物または薬物がその中に安定して捕捉されることを可能とする。粒子が親水性である場合、その粒子は、界面活性剤によって安定な水性懸濁物またはエマルジョンに容易に分散され得、それらは引き続いて、内部の搭載薬剤の性能に影響を及ぼすことなく洗い流され得る。薬剤と、ポリマー殻材料またはポリマーマトリクス材料との固有の熱力学的相溶性は、粒子あたりに搭載されるレベルを増加させ得る。
【0086】
本発明のサンスクリーン処方物は、当該分野で周知の方法によって、着色サンブロック剤と、美容上または皮膚科学上受容可能なキャリアおよび成形のための成分(例えば、クリームまたはローション)とを混合することによって調製される。あるいは、着色ポリマーナノマトリクスが、キャリアおよび他のクリーム成分またはローション成分中において微粒子サンブロック剤と分散される。本発明のこれらおよび他のすべての処方物および溶液はさらに、以下を含み得る:香料、脱臭剤、湿潤剤、さらなるUV遮断薬、酸化剤、酸化防止剤、乳白剤、濃厚剤、膜形成ポリマー、還元剤、消泡剤、色素分散剤、界面活性剤(アニオン性、カチオン性、非イオン性、両性、双性イオン性、またはそれらの混合物)、隔離剤(sequestering agent)、医薬(薬物)、分散剤、添加物(conditioner)、限られた量の有機溶媒、抗菌剤、防腐剤など、ならびにそれらの混合物。
【0087】
本発明のサンスクリーン処方物の着色性質は、その日焼けを防止する保護に加えて、その保護がもはや存在しない場合の指標としてのその使用を可能にする。すなわち、そのローションまたはクリームが洗い流されるかまたはすり減らされるにつれて、色素含有粒子もまた必然的に洗い流され、その着色の衰退または消失を生じる。その結果、その着用者は、サンブロックを再度塗布することを知る。
【0088】
以下の実施例は、この開示において記載される概念のすべてではないがいくつかを例示するために意図され、そしていかようにも、その概念を制限することを意図されない。当業者はまた、異なる実施例または上記説明からの異なる発想を組み合わせて、皮膚を処置する他の可能な方法を産み出し得ることを理解する。
【実施例】
【0089】
(実施例1)
1つ以上の同じかまたは異なる色素分子を、当該分野において公知の方法によって、ポリ(エチレンイミン)、ポリ(アリルアミンヒドロクロリド)またはポリ(リジン)のようなアミン含有ポリマーまたはアミン含有オリゴマーに共有結合する(アルギニンのオリゴマーまたはポリマーは、同様に挙動することが予期される)。次いで、色素結合体化ポリマーを、微粒子サンブロック剤において沈殿させて、着色サンブロック剤を得る。
【0090】
皮膚を、この着色サンブロック剤を含有する溶液に濡らす。いくつかの場合では、過剰な物質をすすぎ流すことが必要であり得る。ポリマーコーティングされたサンブロック剤をセットまたは安定保存(cure)させるために、次いで、その皮膚を、カルボキシル部分、スルフェート部分、スルホネート部分、ホスフェート部分またはホスホネート部分を含むポリマーに曝露する。このようなポリマーの例としては、DNA、ポリ(アクリル酸)、ポリ(イタコン酸)、ポリ(無水マレイン酸)、無水マレイン酸単位を含むコポリマー、−C6H5COOH基を有するポリマー、ポリ(メタクリル酸)、またはポリ(スチレンスルホネート、ナトリウム塩)が挙げられる。次いで、過剰な物質をすすぎ流す。静電気的相互作用は、その2つのポリマーを一緒に保持することにより、その複合体の溶解度を大いに低下させる。
【0091】
(実施例2)
1つ以上の色素分子を、ポリ(アクリル酸)、ポリ(イタコン酸)、ポリ(無水マレイン酸)、無水マレイン酸単位を含むコポリマー、−C6H5COOH基を有するポリマー、またはポリ(メタクリル酸)のような、カルボキシル含有ポリマーまたはカルボキシル含有オリゴマーに共有結合する。次いで、このポリマーを、微粒子サンブロック剤において沈殿させて、着色サンブロック剤を得る。皮膚を、この着色サンブロック剤を含有する溶液に濡らす。次いで、過剰な物質をすすぎ流す。このポリマーコーティングされたサンブロック剤をセットするために、この皮膚を、ポリ(エチレンイミン)、ポリ(アリルアミンヒドロクロリド)、ポリ(リジン)、ポリ(アルギニン)、またはポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)のようなポリカチオン(ポリマーまたはオリゴマー)に曝露する。
【0092】
(実施例3)
皮膚を、実施例1に記載された1つ以上のポリマー性色素またはオリゴマー性色素(ポリカチオン)と、微粒子サンブロック剤とを含有する溶液に曝露する。この最初の処置の後で、皮膚をすすぐことが必要であり得る。次いで、皮膚を、実施例2に記載された1つ以上のポリマー性色素またはオリゴマー性色素(ポリアニオン)を含有する溶液に曝露し、そしてそれをすすぐ。サンブロック剤は、2つのポリマー間に形成された複合体中に捕捉され、そして皮膚に沈着される。
【0093】
(実施例4)
1つ以上の色素分子を、トリエチレンテトラアミンのようなエチレンイミンのポリマーまたはオリゴマーに共有結合する。エチレンイミンの他に、遊離アミン基を有する任意のポリマー(ポリ(アリルアミンヒドロクロリド)およびポリ(リジン)を含む)が使用され得る。ポリマーに色素を導入した後、金属をキレート化し得る基を、国際特許公開番号WO 01/78663に開示された方法によって、その着色ポリマーに導入し、金属キレート化ポリマー色素を残す。この着色ポリマーはさらに、微粒子サンブロック剤と結合体化され得る。着色ポリマーはまた、キャリア中において微粒子サンブロック剤と一緒になって分散されて、着色サンブロック組成物を与え得る。
【0094】
この様式で得られた組成物を皮膚に塗布し、この着色ポリマー結合体化サンブロック剤で皮膚をコーティングする。次いで、色止め剤を皮膚に塗布し、着色サンブロック剤を固定する。
【0095】
この実施例で考察された沈着プロセスは、最初の沈殿プロセスを逆転させる、例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)またはニトリロ三酢酸(NTA)による沈着ポリマーからの金属原子の抽出によって、逆転され得る。
【0096】
(実施例5)
この実施例は、シリカ処理された微粒子サンブロック剤を使用する。シリカ処理された微粒子サンブロック剤を、例えば、シラン結合剤とカップリングするか、または粒子表面上のヒドロキシル基を、エーテル結合またはエステル結合のいずれかによって置換する。次いで、色素結合体化アミン含有ポリマーまたは色素結合体化アミン含有オリゴマーを、サンブロック剤とカップリングする。次いで、この着色サンブロック剤を、実施例1に記載の方法によって、皮膚に沈着させる。
【0097】
(実施例6)
この実施例では、皮膚および毛に対する柔軟性(softness)およびつややかさ(silkiness)を導入するアルキル鎖および/またはシロキサン鎖を含ませることによって、着色ポリマーナノマトリクスを形成した。
【0098】
アルキル鎖(これは、本明細書において、主にC、CH、CH2およびCH3単位を含む直鎖状分子または分枝状分子として規定される)を、ポリ(エチレンイミン)、ポリ(アリルアミンヒドロクロリド)またはポリ(リジン)のようなアミン含有ポリマーまたはアミン含有オリゴマーに結合させた。1つ以上の同じかまたは異なる色素分子もまた、このポリマーに付加した。直鎖状または分枝状のシロキサン鎖もまた、アミン含有ポリマーまたはアミン含有オリゴマーに付加され得る。次いで、このポリマーを、当該分野において公知の方法によって、微粒子サンブロック剤と結合体化させる。
【0099】
皮膚を、このポリマー結合体化サンブロック剤に曝露し、そして過剰な試薬をすすぎ流し得る。次いで、この皮膚を、ポリアニオン(これは、アルキル鎖、シロキサン鎖、またはそれに結合された色素を有し得る)に曝露する。柔軟剤として作用し得る1つの可能なポリアニオンは、無水マレイン酸と以下の形態:CH2=CHO(CH2)nCH3(ここでnは少なくとも2であり、そして好ましくは、4よりも大きい)のビニルエーテルとのコポリマーである。
【0100】
(実施例7)
皮膚の特性を改変するかまたは新しくかつ所望される特性を付加するペンダント(pendant)基を含有する着色多価電解質を、微粒子サンブロック剤と結合体化し、そして皮膚に沈着させる。反対に荷電した多価電解質(これもまた、皮膚の特性を改変するかまたは所望される特性を皮膚に付加する、1つ以上のペンダント基を含み得る)を、皮膚に付加し、最初のポリマーと縮合させて、それを固定する。
【0101】
(実施例8)
皮膚の1つ以上の特性を改変するかまたは1つ以上の所望される特性を付加する1つ以上のペンダント基を含有する着色ポリマーまたは着色オリゴマーを、微粒子サンブロック剤と結合体化し、そしてそれを皮膚に沈着させる。過剰な試薬を、皮膚から洗い流し得る。色止め剤を、沈着した着色ポリマー結合体化サンブロック剤に添加し、着色サンブロック剤を固定する。
【0102】
(実施例9)
色止め剤を、皮膚上に堆積させる。余剰の試薬を皮膚から洗い流し得る。微粒子サンブロック剤を、皮膚の1つ以上の特性を改変するかまたは1つ以上の所望の特性を付加する1つ以上のペンダント基を含有する着色ポリマーまたは着色オリゴマーと結合体化する。この着色ポリマー結合体化サンブロック剤を、皮膚上に堆積させる。色止め剤は、着色ポリマー結合体化サンブロック剤と複合体化し、サンブロック剤を固定化する。
【0103】
(実施例10)
皮膚または処方物に所望の特性を与える種々の分子を、反応モノマー中に組み込み得る(例えば、アミンと酸塩化物との間の反応において)。その後、このようなモノマーを、所望の特性を有するポリマー中に重合化することが可能になる。ここで、特定の基のレベルまたは濃度を注意深く制御する。
【0104】
(実施例11)
仕立てられた特性を有する機能化されたポリマーを作製するために、ポリマーに所望の特性を付加する種々の分子を、ポリマー(例えば、足場として作用するポリ(アクリロイルクロリド)およびポリ(アクリル酸無水物))に付加した。国際特許公開番号WO01/78663は、これらのポリマーに関する反応スキームを開示している。
【0105】
(実施例12)
N−イソプロピルアクリルアミド(NIPA)は、ポリマーに温度感受性を与え、水溶液中でLCST挙動を示す。言い換えると、低温にて、NIPA(または類似のモノマー)を有するポリマーは、高温でよりも高い水溶性を有する。従って、皮膚を、水または温水で洗浄する場合に沈殿するポリマーを、設計し得る。
【0106】
(実施例13)
UCST挙動を示す温度感受性ポリマーを、N−アセチルアクリルアミドとアクリルアミドとの共重合により形成する。高温にて、これらのポリマーは、低温でよりも高い水溶性を有する。
【0107】
着色ポリマーナノマトリクスを、水溶液中でUCST挙動を示すポリマーと染色分子とを反応させることにより形成する。ペイロードとして、脱臭剤および/または芳香剤を、着色ナノ構造体によりカプセル化するかまたは吸着させる。皮膚の表面温度が上昇し、そして使用者が汗をかき始めると、UCSTポリマーに基づくナノ構造体は、その中にカプセル化したペイロードを放出し始める。
【0108】
(実施例14)
この実施例において、1セットの分子(染料、芳香剤、軟化剤、医薬(薬物)、モノマー、または皮膚の特性を改変するかもしくは新たな特性および所望の特性を付加する他の分子であり得る)を、微粒子サンブロック剤の存在下で、重合可能な界面活性剤により乳化させる。得られたミセルは、サンブロック剤をカプセル化し、次いで、ナノ粒子へと重合させ(これを皮膚に適用し得る)、次いで、この界面活性剤のヘッド基に依存して、界面活性剤のヘッド基と反対の電荷を有する色止め剤または高分子電解質をちりばめる。ヘッド基を、界面活性剤が金属イオンのキレート化において特に効果的であるように、EDTAまたはNTAのアナログであるよう設計し得る。重合可能界面活性剤の例は、国際特許公開番号WO01/78663により開示されている。
【0109】
(実施例15)
1セットの1つ以上の界面活性剤を使用して、1つ以上の不溶性または完全に不溶性の種(ポリマーおよびオリゴマーを含む)を水溶液中に加える。この材料を、皮膚に適用する。材料中の界面活性剤をリンスすることによって、不溶性またはほぼ不溶性の種を、皮膚上に堆積させる。
【0110】
界面活性剤の使用についての実施例として、着色ナノマトリクスをまず作製し、次いで、シロキサン鎖を、着色マトリクスにグラフトし、そしてキレート化基を導入する。好ましいナノマトリクスは、ケラチン、コラーゲン、ゼラチン、およびそれらの誘導体のようなタンパク質である。シロキサン鎖およびアルキル鎖は、望ましい光沢の外見ならびになめらかな皮膚および髪の感じを提供すると考えられるが、これらの長鎖の別の重要な特性は、ポリマー染料またはオリゴマー染料の可溶性を減少させることである。
【0111】
次に、微粒子サンブロック剤を、シロキサンをグラフトしたタンパク質と結合体化し、そしてキレート化基を導入する。次いで、微粒子サンブロック剤を、シロキサンをグラフトしたタンパク質を含む着色ナノマトリクスと一緒に、界面活性剤を含む化粧用キャリア中に物理的に分散する。シロキサン含有ナノ構造体は、界面活性剤として、ポリ(ジメチルシロキサン−エチレングリコール)液体のブロックコポリマーまたはグラフトコポリマーを用いて、化粧用キャリア中に容易に分散され得る。
【0112】
この処方物中のこのような界面活性剤がリンスにより除去される場合、シロキサンをグラフトしたナノマトリクスは、皮膚上に堆積され得る。金属の添加は、ナノマトリクスの耐久性を増加するよう作用する。実施例4における場合と同様、金属を添加するプロセスは、EDATおよびNTAを用いて可逆的である。
【0113】
シロキサン鎖を、このポリマーと、エポキシド基で官能化したシロキサン鎖とを反応することにより、アミン含有着色ポリマーマトリクス上にグラフトし得る。エポキシド化学は、この実施例の主題の好ましい実施形態であるが、当該分野で公知の手段によりシロキサン基を導入するために使用され得る他の可能な反応基として、無水物、酸塩化物、カルボン酸、塩化スルホニル(スルホンアミドを作製するため)などが挙げられるがこれらに限定されない。
【0114】
(実施例16)
公知の染料分子(酸染料、直接染料、反応性染料、媒染染料、イオウ染料、およびバット染料が挙げられるがこれらに限定されない)を、ポリマーと反応させ、そしてこのポリマーを、本明細書に記載される方法の1つによって皮膚上に堆積させる。
【0115】
(実施例17)
媒染染料を、ポリマーまたはオリゴマーと連結し、そしてこの材料を、皮膚上に堆積する。色止め剤の添加により、媒染染料のペンダント基を通じて、ポリマー分子の架橋が起こる。
【0116】
(実施例18)
足場として作用するタンパク質を、染料分子、軟化剤、高分子電解質オリゴマー鎖、カルボキシメチル基、または皮膚に所望の特性を与え得る他の種で誘導体化する。次いで、得られるタンパク質複合体を、皮膚上に沈殿させ、そして本明細書中に記載される方法(例えば、高分子電解質または色止め剤)を用いて1つの程度または別の程度で固定化する。
【0117】
(実施例19)
本発明において、ナノマトリクスとして有用なポリマーの1つの基は、デンドリマー(dendrimer)および他の高度に分枝したポリマーである。デンドリマーおよび高度に分枝したポリマーを、多くの1つ以上の異なる型の官能基(例えば、アミン基)をそれらの上に有するように設計し得る。これらの官能基は、微粒子サンブロック剤、染料分子、アルキル鎖、またはシロキサン鎖と結合体化し、柔らかさ、または目的の他の分子を添加するための手段を提供する。
【0118】
デンドリマーはまた、それらのキャビティ中にゲスト分子を保持し得る。例えば、染料およびデンドリマーを、溶媒中で、デンドリマーは、染料分子を吸収する溶媒中に分散する。次いで、この溶液を、非溶媒(デンドリマーについて)中に沈殿させ、染料をカプセル化したデンドリマーを回収し、次いで、これは、微粒子サンブロック剤と結合体化されて、着色サンブロック剤を与える。
【0119】
デンドリマーの官能基もまた、皮膚反応性官能基に変換され得る。
【0120】
(実施例20)
この実施例は、着色サンブロック剤のための分散剤として、両親媒性ブロックコポリマーを使用し、そしてまた、皮膚上での沈殿のための手段を提供する。
【0121】
着色サンブロック剤を、着色剤とサンブロック剤とを反応させて、サンブロック剤に着色料を結合させることにより形成する。最初に、サンブロック剤の表面を、アンカー剤でコーティングし、次いで、これを着色剤と反応させる。
【0122】
着色サンブロック剤のための分散剤として、疎水性Aブロック(着色サンブロック剤を吸収する)および親水性Bブロック(架橋可能な基(例えば、カルボキシル)を含む)を含む、両親媒性AB型ブロックコポリマーを形成する。
【0123】
着色サンスクリーン組成物を、キャリア中に着色サンブロック剤、およびサンブロック分散剤として、カルボキシル基を含むAB型両親媒性ブロックコポリマーを分散することにより調製する。この組成物を、皮膚に適用する。次の工程において、可溶性のカルシウム塩もしくはマグネシウム塩またはポリカチオンを、処理した皮膚に適用し、ポリマー吸収着色サンブロック剤を皮膚上に沈殿させる。
Claims (30)
- UV吸収特性および皮膚着色特性の両方を示す着色サンスクリーン組成物であって、該着色サンスクリーン組成物は着色ナノ構造体を含み、該着色ナノ構造体は、皮膚と反応性であるかまたは皮膚上に固定化され得る、組成物。
- 前記着色ナノ構造体が、着色ポリマーナノマトリクスを含み、該着色ポリマーナノマトリクスが、ポリマーと密接な関係で着色剤を含む、請求項1に記載の着色サンスクリーン組成物。
- 前記着色ナノ構造体が、着色サンブロック剤であり、該着色サンブロック剤は、着色剤または着色ポリマーナノマトリクスと密接な関係で微粒子サンブロック剤を含む、請求項1に記載の着色サンスクリーン組成物。
- 着色ポリマーナノマトリクスにより分散された微粒子サンブロック剤を含む、請求項1に記載の着色サンスクリーン組成物。
- 前記着色ポリマーナノマトリクスが、微粒子ポリマーナノマトリクスを含む、請求項2、3、または4のいずれかに記載の着色サンスクリーン組成物。
- 前記微粒子ポリマーナノマトリクスが、タンパク質またはタンパク質誘導体である、請求項5に記載の着色サンスクリーン組成物。
- 前記着色ポリマーナノマトリクスが、非微粒子ポリマーナノマトリクスを含む、請求項2、3、または4のいずれかに記載の着色サンスクリーン組成物。
- 前記非微粒子ポリマーナノマトリクスが、直鎖ポリマー、グラフトコポリマー、櫛状ポリマー、分枝ポリマー、高分枝ポリマー、星状ポリマー、デンドリマー、および軽度の架橋ポリマーネットワークからなる群より選択される、請求項7に記載の着色サンスクリーン組成物。
- 前記着色ポリマーナノマトリクスがシリコーンを含む、請求項2〜8のいずれかに記載の着色サンスクリーン組成物。
- 前記着色ポリマーナノマトリクスが両親媒性ブロックコポリマーを含む、請求項2〜8のいずれかに記載の着色サンスクリーン組成物。
- 前記タンパク質またはタンパク質誘導体がさらに、シリコーンにグラフトされている、請求項6に記載の着色サンスクリーン組成物。
- 前記着色剤がメラニンを含む、請求項2〜11のいずれかに記載の着色サンスクリーン組成物。
- 前記組成物がさらに、有機UV吸収物質を含むポリマーナノ構造体を含む、請求項1〜12のいずれかに記載の着色サンスクリーン組成物。
- 前記着色ナノ構造体が、皮膚反応性官能基を含む、請求項1〜13のいずれかに記載の着色サンスクリーン組成物。
- 前記着色ナノ構造体が、生理学的に受容可能な水溶液中で、UCST挙動またはLCST挙動を示すポリマーを含む、請求項1〜13のいずれかに記載の着色サンスクリーン組成物。
- 前記着色ナノ構造体が、色止め剤と反応性の官能基を含む、請求項1〜13のいずれかに記載の着色サンスクリーン組成物。
- 前記着色ナノ構造体が、カチオン性固定剤と反応性の官能基を含む、請求項1〜13のいずれかに記載の着色サンスクリーン組成物。
- 前記着色ナノ構造体が、アニオン性固定剤と反応性の官能基を含む、請求項1〜13のいずれかに記載の着色サンスクリーン組成物。
- 前記着色ナノ構造体が、疎水性相互作用または水素結合に依存する固定剤と反応性の官能基を含む、請求項1〜13のいずれかに記載の着色サンスクリーン組成物。
- 皮膚上でのサンブロック剤および着色剤の改善された保持を提供する皮膚処置方法であって:
第1セットの条件下で、該皮膚に着色サンスクリーン組成物を適用する工程であって、該着色サンスクリーン組成物は着色ナノ構造体を含み、該着色ナノ構造体は、皮膚と反応性であるかまたは皮膚上に固定化され得る、工程;および
該着色ナノ構造体が、該皮膚に付着するかまたは固定化されるように、該条件を第2セットの条件に変更する、工程、
を包含する、方法。 - 前記着色ナノ構造体が、前記条件の変化の下で、前記皮膚に共有結合する皮膚反応性官能基を含む、請求項20に記載の方法。
- 前記着色ナノ構造体が、前記条件の変化の下で、イオン強度または界面活性剤含有量が移動され、該条件における変化が移動を引き起こすために前記皮膚をリンスする場合、前記皮膚表面上の相補的な基と静電気的に相互作用する官能基を含む、請求項20に記載の方法。
- 前記静電気的相互作用が、電荷−電荷相互作用、二極性相互作用、水素結合性相互作用、疎水性相互作用、および脱水相互作用からなる群より選択される、請求項22に記載の方法。
- 前記着色ナノ構造体が高分子電解質であり、前記条件の変化は、反対の等電点を有する高分子電解質への着色ナノ構造体の曝露であり、前記処置した皮膚をコーティングする複合体を形成する、請求項20に記載の方法。
- 前記着色サンスクリーン組成物がさらに、精細に分割された分散物中に界面活性剤および着色ナノ構造体を含み、そして前記条件の変化は、前記皮膚への着色ナノ構造体の接着を残す該界面活性剤のリンス除去である、請求項20に記載の方法。
- 前記着色ナノ構造体が、シリコーングラフトタンパク質またはタンパク質誘導体を含み、そして前記界面活性剤が、少なくとも1つのオキシエチレネートセグメントまたはオキシプロピレネートセグメントを含有するシリコーン界面活性剤である、請求項25に記載の方法。
- 前記着色ナノ構造体が、色止め剤と反応性の官能基を含む架橋可能な界面活性剤であり、そして前記条件の変化は、前記皮膚をコーティングする複合体を形成するための、該皮膚への該色止め剤の適用である、請求項20に記載の方法。
- 前記着色ナノ構造体が、媒体中に分散されており、前記条件の変化が、該媒体の熱力学的バランスにおける変化であり、これにより、該ナノ構造体は、該皮膚の表面に堆積される、請求項20に記載の方法。
- 前記着色ナノ構造体が、色止め剤と反応性の官能基を含み、そして前記条件の変化が、前記皮膚をコーティングする複合体を形成するための、該皮膚への該色止め剤の適用である、請求項20に記載の方法。
- 前記付着した着色ナノ構造体が、前記皮膚から取り外され得るように、前記条件の変化が、可逆的である、請求項20〜29のいずれかに記載の方法。
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