JP2004532423A - 強健な高反射性光学構造物 - Google Patents
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Abstract
光透過性基体(12);光透過性基体(12)の表面上に堆積された少なくとも一つの金属又はメタロイドの酸化物の形を含む任意の接着促進層(18);接着促進層(18)を覆う高反射性金属からなる反射層(14);および反射性金属層(14)に結合したパリレンポリマーフィルムからなる保護層(16);を含む光学構造物(20)。
【選択図】図3
【選択図】図3
Description
【0001】
発明の分野
本発明は、光学構造物に、さらに具体的には強健な高反射性光学層を被覆させた光透過性基体材料を有する光学構造物に関するものである。
【0002】
発明の背景
導波路などの光学部品は、一般に多くの用途のために光波の伝達を限定し、かつ管理するように設計されている。光の反射および透過に依存する用途において、性能における有意な利得は、高反射性材料を光透過性材料と組み合わせて用いたときになされ得る。例えば、ステップインデックスファイバーオプチックは、光透過性材料、つまり、中心光学媒体(すなわち、コアー)と周囲光学媒体(すなわち、クラッド)の同心層の細いストランドからなり、後者は低屈折率を有する。光はコアーを通して導かれる。透過の間、光はしばしばコアーとクラッドとの境界に移動し、そこで光は全内部反射によりコアーに向かって反射される。しかし、光のいくらかは、例えば、コアー内もしくはコアー/クラッド境界での欠陥により誘発される散乱ゆえに失われるので、全内部反射は全部ではない。
【0003】
この損失を減少させるために、反射層をファイバーオプチックの長さに沿ってクラッドの表面に適用することができる。反射層はコアーに戻される光の量を有意に増大させ、かつファイバーオプチックを通る全光透過を向上させる。
【0004】
理想的には、光学部品に用いられる反射層は、光の広いスペクトルに対し、かつ反射率の全入射角に対して高反射率特性を有するべきである。銀は高反射率値を有することが既知の1つの金属である。銀は、標準入射で全可視光スペクトルに対して約98%の反射率を有する。銀はまた、ほぼすれすれの入射角でのオフノーマル光について約96%の高反射率を維持する。比較すると、より普通に用いられる反射層材料であるアルミニウムは、標準入射で約93%の反射率を有する。アルミニウムの反射率は、すれすれの入射角での光について75%に急速的に落ちる。
【0005】
銀は優れた光学特性を有するが、反射性金属の使用と関連するいくつかの問題がある。銀は、特に二酸化硫黄、硫化水素、二酸化窒素、オゾン、塩化水素、塩素および有機酸を含む腐蝕性ガスおよび汚染物の存在下、大気に曝露されると曇るという望ましくない傾向がある。銀コーティングの長期性能は、仮に保証されるとしても、腐蝕条件下成功裡にテストされる適切に入手可能な保護手段の欠如のために、環境への通常の曝露によりもたらされる銀の曇りの攻撃的性質に基づく商業的コーティング設備により保証されることは稀であることは既知である。
【0006】
さらに、ガラスもしくはポリメチルメタクリレートなどの高分子材料を含む光透過性基体材料に対する銀の接着性は、せいぜい中位である。ポリメチルメタクリレートは、光学部品の製作にしばしば用いられる低コストアクリル樹脂である。
【0007】
前記理由ゆえに、ある範囲の光透過性材料に有利に接着し、かつ腐蝕および曇りに対する改善された抵抗性を有して、改善された光学有効性能および長期継続作動寿命を与える高反射コーティングを有する光学構造物に対する需要がある。
【0008】
発明の概要
本発明は、一般に中空および固体導波路、固体および中空光パイプ、ファイバーオプチックス、プリズム、微細構造シート、湾曲鏡(楕円体、放物線状など)、平面鏡ならびに地形学的形状を有する他のオプチックスなど光学部品のための光学構造物に向けられるものである。本発明の光学構造物は、大気中に少なくとも微量存在している二酸化硫黄、硫化水素、二酸化窒素、オゾン、塩化水素、塩素、有機酸などを含む潜在的に腐蝕性である物質の存在下、光学部品を通して高光学性能および光透過を維持するよう設計されている。
【0009】
本発明の光学構造物は、特に銀などの金属からなる高反射表面が所望される光学部品に有用である。光学構造物は、さらに光学部品の全反射率特性を測定可能なほどに落とすことなく光学部品における高反射表面の有利な耐久性および保存を提供するように適合される。
【0010】
本発明の1つの側面において、光学構造物は、一般に有効に光を導くよう適合された光透過性基体と、基体の表面に付着させ、かつそれに結合した高反射性金属からなる高反射層とを含む。高反射性金属層をおおい、かつそれにしっかりと接着結合しているのが、パリレンポリマーフィルムからなる保護層である。
【0011】
本発明に用いられるパリレンポリマー保護層は、周囲大気、腐蝕性物質、塩、湿度などの外部要素への曝露から反射層を隔離する働きをする。そのような外部要素は、曇り、分解、離層もしくは変色を通して時間の経過により金属反射層の破壊および分解を起こし、結果としてその反射能の損失をもたらし得る。パリレンポリマー保護層は、さらに以下に記載されるテーププルテストにより示されるように機械的変形および離層に対する反射層の抵抗性を向上させる。
【0012】
任意に、本発明の光学構造物は、さらに基体表面と反射層との間に適用して両者間の結合を強化するための接着促進層を含み得る。本発明に用いられる接着促進層は、反射層が光透過性基体から物理的に分離して反射能における品質低下した性能および減少をもたらすところで、離層に対する改善された抵抗性のために機能反射性金属層と光透過性基体との間の付着を有意に向上させる。さらに、接着促進層は、基体/反射層界面に沿った反射層の反射性における均一性およびコンシステンシーを促進する。
【0013】
本発明の代替的な形において、光透過性ガラスもしくは高分子材料を含むファイバーオプチックなどの導波路構造物は、金属もしくはメタロイドの酸化物の形の接着促進層で被覆されている。銀反射層は、接着促進層と接触させて適用される。パリレンポリマーフィルムの保護層は、銀反射層上に適用されて銀がその高反射光沢を失うこと、もしくは周囲空気などの環境における腐蝕原因物質による離層もしくは品質低下から保護する。本発明の好ましい形は、長期作動寿命を含む改善された性能特性を有する強健な高反射性パリレン/銀/金属-酸化物/導波路構造物を形成する。
【0014】
本発明の種々の実施態様を以下に図面を参照して詳細に記載するが、同じ項目は同じ参照記号で識別する。
本発明および好ましい実施態様の説明
本発明は、一般に光学構造物およびそのような光学構造物を製造する方法に向けられている。本発明の光学構造物には、基体、高反射層、基体と反射層との間で接触している任意の接着促進層、および反射層をおおう(overlaying)パリレンポリマーフィルムを含む保護層が含まれる。本発明の光学構造物は、反射層の基体への改善された接着性および長期作動寿命のための腐蝕および曇りに対する改善された抵抗性を有する有利な光学特性を与える。基体材料は、ガラスおよび、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)などの有機ポリマー系材料からなる群から選ぶことができる。
【0015】
本発明において、保護層として有用なパリレンポリマーフィルムは、下記のポリマー反復単位構造を有する:
【0016】
【化1】
【0017】
式中、nは構造物における反復単位の数を示す。パリレンポリマーコーティングは、3種類の形態若しくは変性体で例示することができ、それぞれが変動する塩化度を包含する。3つの形態としては、塩素原子を有さない上記のパリレンN、パリレンNと同じモノマーから製造され、かつ芳香族水素の1つを塩素原子で置換することによりさらに改変されるパリレンC、およびパリレンNと同じモノマーから製造され、かつ芳香族水素の2つを2個の塩素原子で置換することによりさらに改変されるパリレンDが挙げられる。
【0018】
図1を参照すると、本発明の1つの実施態様を説明する光学構造物が描かれている。我々は、構造物における対応する要素の厚さは一定の割合で描かれておらず、かつ一般的な構造物およびその関係を説明するために示されていることを注記する。本図面で参照番号10で示される光学構造物を、銀などの金属からなる高反射表面が所望されるある範囲の光学部品の製作に適用することができる。
【0019】
光学構造物10は、一般に光を有効に透過させ、かつ導くための光透過性基体12、好ましくは光透過性基体12の表面に蒸着させた銀などの高反射性金属からなる反射層14、および好ましくはパリレンポリマーフィルムからなる保護層16を含む。好ましくは、基体12の表面は、最高の鏡面反射率を与えるために光学的に平滑であり、かつ実質的に光学的欠陥がない。基体12の表面は、反射層14との接着を促進するために任意に処理され得るが、例えば、それに限定はされないが、その内容が矛盾しない程度まで本明細書に取り込まれる米国特許第5,982,546号に記載されるようなプラズマ処理である。
【0020】
ファイバーオプチック導波路などの光学部品を製作するために用いられる光透過性基体は、例えば、用途、所望の性能特性、コスト、透過される光の特性により、ある範囲の材料から選ぶことができる。光透過性基体12は、ガラスもしくは高分子材料からなり得る。高分子材料には、ポリハイドロカーボン、ポリオキシハイドロカーボン、ポリスルホハイドロカーボンおよびフルオロカーボン、ならびにフルオロハイドロカーボン材料などの有機ポリマーが含まれ得る。典型的な有機ポリマーには、ポリ(エチレンテレフタレート)およびポリ(ブチレンテレフタレート)などのポリエステル、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリ(メタクリレート)およびポリ(エチルアクリレート)などのポリアクリレートおよびメタクリレート、ポリ(メチルメタクリレート-コ-エチルアクリレート)などのコポリマーならびにポリカーボネートが含まれる。TEFLON(登録商標)などのフルオロカーボンポリマーおよび当業界で既知の種々のフルオロハイドロカーボンポリマーも用いることができる。より好ましくは、高分子材料はPMMAである。
【0021】
特に低複屈折が所望される用途において、他のポリマーを光透過性基体材料として用いることができる。そのようなポリマーには、ペンシルベニア州ピッツバーグのPPG Industries により市場に出ているCR-39 アリルジグリコールカーボネート樹脂;日本国東京のHitachi Chemical Co., Ltd. により市場に出ているOZ-1000 脂環式アクリル樹脂;ミシガン州ミッドランドのDow Engineering Plastics により市場に出ているCALIBRE 1080 DVD ポリカーボネート樹脂;ペンシルベニア州ピッツバーグのBayer Corporation により市場に出ているMAKROLON DP1-1265 ポリカーボネート樹脂;ペンシルベニア州フィラデルフィアのATOFINA Chemicals, Inc. により市場に出ているPLEXIGLAS VOD-100 アクリル成形用樹脂;ニュージャージー州サミットのTicona により市場に出ているTOPAS シクロ-オレフィンコポリマー樹脂;日本国東京のNippon Zeon Co., Ltd.. により市場に出ているZEONEX シクロ-オレフィンポリマー樹脂などが含まれる。
【0022】
本発明の用途への制限ではないが、プラスチックもしくは高分子材料はクリアーで、透明かつ光透過性であり得る。プラスチックもしくは高分子材料に関連して用いられるとき、「クリアー」、「透明」および「光透過性」という語は、その使用形態において、所望範囲の導波路に対して透過性を示すプラスチックもしくはポリマーを意味する。ポリマー系基体そのものは市販されており、または種々の当業界既知のプロセスにより調製でき、それ自体では本発明の側面を構成していない。ポリマー基体は、金属およびガラスなどの非高分子表面に適用もしくは積層される固体本体、シート、フィルム、又はコーティングに形成できる。
【0023】
図1に示される光学構造物10の反射層14は、好ましくは銀、銅、金、パラジウム、イリジウム、ロジウム、これらの合金の形での組合せなどの高反射率値を有する1つ以上の機能性金属から出来上がっている。これらの金属のうち、銅、銀および金が好ましく、銀は光の可視範囲でもっとも好ましい金属である。金属もしくは金属の合金を含む反射層14を、陰極スパッター、真空蒸着もしくは気相付着技術などの従来から既知の付着方法を通して、光透過性基体12の光学的に平滑な表面に、約100Å〜10,000Å、好ましくは500Å〜3,000Å、より好ましくは約1,000Å〜3,000Åの範囲の厚さに付着させることができる。個々の金属を用いることができるが、所望なら、異なる金属の複数の層もしくはこれらの金属の合金の層を用いることもできる。
【0024】
本発明の別の実施態様において、光学構造物10の反射層14は、腐蝕および曇りに対する最適保護のために保護層16により周囲から密閉され、シールされる。パリレンポリマーフィルムの形の保護層16は、光透過性基体12から末端の反射層14の表面に蒸着される。適用されたパリレンポリマー保護層16は、さらに後述されるように、連続的に均一なコーティングを形成する。
【0025】
保護層16のパリレンポリマーフィルムは、パリレンN、パリレンC、パリレンDあるいはこれらの組合せもしくは混合物からなり得る。パリレンポリマーフィルムは、変動混合率のパリレン変性体(variant)のモノマーのインターポリマーからなり得る。保護層16のパリレンポリマーフィルムの厚さは、好ましくは少なくとも0.0001"、より好ましくは約0.001"〜0.0001"の範囲にある。我々は、パリレンポリマー保護層における変性体の実際の厚さおよび混合率を、用途、要件、使用される反射層金属、所望効果、効果時間、予想される汚染曝露の型などにより調整でき、当業者が容易に決定し得ることを注記する。
【0026】
パリレンポリマーフィルムを、後述するように、コーティングの耐薬品性および耐久性を改善するために適切なアニーリングもしくは熱処理技術を用いて任意に加工することができる。本明細書に用いられる「アニーリング」もしくは「熱処理」という語は、物質もしくは材料を熱で処理し、ついで冷却して被処理物質もしくは材料の構造用特性を改変もしくは変化させるプロセスをいう。
【0027】
本発明により、パリレンポリマーフィルムは、従来から既知の気相付着もしくは真空蒸着技術を用いてコーティングプロセスを通して適用される。本発明が、当業者により既知の表面にパリレンポリマーを適用するための適切な商業的に入手可能な方法を利用できることは理解されよう。
【0028】
説明例として、パリレンポリマーコーティングを適用する1つのプロセスが、その内容すべてが矛盾のない程度まで本明細書に取り込まれる米国特許第3,342,754 号に記載されている。本発明がこのプロセス使用に限定されないことは理解されよう。
【0029】
図2を参照すると、米国特許第3,342,754 号に記載される真空蒸着プロセスを実施するための基本的なパリレン真空蒸着反応器システム40の一般的模式図が示されている。前述のように、ポリマーフィルムを基体に適用するための当業界で既知の多くのシステムおよびプロセスがある。下記のシステム40の記載は、基体にパリレンポリマー層を被覆するために用いてもよいプロセスの説明を与える。システム40を、当業者に既知の市販される部材および部品を用いて構成することができる。
【0030】
さらに図2を参照すると、システム40は、気化チャンバー42、クラッキングチャンバー44、付着チャンバー46および真空ポンプ48を含む。真空ポンプ48は、システム40の内部から空気を排気するために作動する。気化チャンバー42は、ジ-p-キシリレンダイマーの試料を気化させるに十分な高温で真空下ダイマーを加熱するよう適合される。真空条件下、気化ダイマーは、チャンバー42内で全方向に放射する。
【0031】
気化ダイマーはクラッキングチャンバー44に進み、そこでダイマーは700℃未満の温度、好ましくは450℃〜700℃、より好ましくは約680℃に十分な時間、蒸気圧が1.0mm Hg以下であるような圧力で加熱されて、パリレンのパリレンジラジカルモノマーを形成する。
【0032】
パリレンジラジカルモノマーは付着チャンバー46に進み、そこでジラジカルモノマーは、反射性金属被覆光透過性基体の冷表面上に、200℃未満の温度、好ましくはパリレンジラジカルモノマーの天井凝縮温度以下、より好ましくは室温で、凝縮し重合する。ジラジカルモノマーの凝縮は、強靭な線状非蛍光ポリマーを生む。真空ポンプ48は、システム40に接続されて、プロセスが最適加工のために排気雰囲気で実施されることを確実にする。
【0033】
パリレンポリマーを付着させる真空蒸発技術は、いくつかの利点を与える。第一は、室温付着プロセスがある範囲の基体にパリレンポリマーフィルムを被覆することを可能とすることである。第二は、複雑な形状を有する基体上の高適合かつ均一に連続したコーティングの形成である。第三は、正確なコーティング制御のために連続的かつ均一な状態でありながら非常に薄いコーティング層を形成する能力である。
【0034】
図1および2を特に参照して、本発明の光学構造物の総合的製造プロセスを記載する。光学構造物10の好ましい形において、構造物は、銀層14をPMMA系光透過性基体12の光学的に平滑な表面に蒸着させることにより形成される。反射性金属被覆光透過性基体は反応器40の付着チャンバー46に置かれ、反射銀金属14の外面をパリレンジラジカルモノマー流れに曝露するために適切に配置される。パリレン真空蒸発プロセスは、銀金属層14の表面に十分な厚さのパリレンポリマー保護層16を生む。付着パリレンポリマー保護層16の厚さは、当業界で既知の種々の光学的方法のいずれか1つを用いて、付着チャンバー46内においたままで決定される。代替的に、パリレンポリマー保護層16の厚さを、物品が付着チャンバー46から取り出された後に決定することができる。
【0035】
前記付着プロセスを、以下にさらに記載するように、反射銀層14の表面に多積層パリレンポリマーコーティングを製造するために、同じもしくは異なるパリレン変性体(すなわち、パリレンN、パリレンC、パリレンDおよび/またはこれらの混合物)を用いて少なくとも1度は反復できる。付着チャンバー46は周囲空気から密封され、チャンバー46の空気は真空ポンプ48で排気される。代替的に、付着チャンバー46中の空気を、周囲圧力でヘリウム、アルゴンもしくは窒素などの不活性ガスで置換することができる。
【0036】
我々は、保護層中の付着パリレンポリマー保護フィルムを高温で十分な時間アニーリング、かつ冷却することにより、実質的に改善された耐薬品性パリレンポリマーバリヤーが形成されることを発見した。また、パリレンポリマーコーティングの物理的バリヤーおよび機械的性質がアニーリング熱処理後非常に改善されることも発見した。アニーリング温度は、少なくとも120℃、好ましくは約120℃〜220℃であり得、アニーリング時間は、約1時間〜5日の範囲でよい。アニーリングプロセスを、限定はされないが、真空、不活性ガスおよび標準周囲空気を含む適切な空気条件下で実施できる。アニーリング条件を、当業者により決定されるように、基体の熱質量、最大基体温度等級などにより要求されるように変化させることができる。
【0037】
パリレンポリマーフィルムを、パリレン付着プロセスの完了直後にアニールすることができる。アニーリングプロセスは、好ましくは真空もしくはヘリウム、アルゴン、窒素などの少なくとも1つの不活性ガスの存在下、大気圧で実施される。最適アニーリング条件は、パリレンポリマーのそれぞれの変性体間でやや異なり得る。我々はさらに、アニーリングプロセスを蒸着プロセス中に適用されたそれぞれのパリレンポリマー保護層について個々に、あるいは1より多いパリレンポリマー層を適用した後全体としてのパリレンポリマー保護層に利用してもよいことを注記する。
【0038】
図3に示される本発明の別の実施態様において、前述したような光透過性基体12、ならびに真空蒸発、陰極スパッター、電子ビーム蒸発などの従来の付着プロセスを用いて基体表面に適用される少なくとも1つの金属もしくはメタロイドの酸化物の形を含む薄い接着促進層18を含む、一定の割合で描かれていない光学構造物20が提供される。接着促進層18は、反射層14の適用に先立って基体12に適用される。ガラス基体への銀付着を強化する酸化アルミニウムの使用を説明する詳細は、その内容すべてが本明細書に取り込まれるHass 等のApplied Optics, 14, 2639 (1975) に見出せる。
【0039】
銀などの高反射性金属を含む反射層14は、電子ビーム蒸発を含む前記方法を用いて、基体12と反射層14との間の界面で不透明な、高反射表面を形成するに十分な厚さで、接着促進層18の表面に付着される。最後に、反射層14の表面は、好ましくは真空蒸着もしくは前述の適切なプロセスを用いてパリレンポリマーフィルムを含む保護層16で被覆される。
【0040】
前述したように、接着促進層18は、好ましくは反射層14の金属原子を光透過性基体12の平滑な表面に結合するに十分な少なくとも1つの金属もしくはメタロイドの酸化物の形を含む。好ましくは、接着促進層18の厚さは、約10Å〜1,000Å、より好ましくは約300Åの範囲であり得る。金属とポリマー基体との間の接着促進材料としての金属系およびメタロイド系酸化物(以下、集合的に「金属酸化物」と称する)の使用および適用は、さらに関係のある教示が矛盾しない程度に本明細書に取り込まれる米国特許第5,589,280号および5,902,634号に記載されている。
【0041】
ほとんどの用途について、選ばれる接着促進材料のいずれも、少なくとも信頼できる接着を与えるのに有効とわかる量で、できる限りほとんど無色であるべきである。所望の光源下で基体12に視覚的に検出可能な色を与える接着促進材料は、反射層14を行ったり来たりする光を吸収することにより反射効率を減少させるだけでなく、基体12を通して反射層14で導かれる光線の色値を変化させる。我々は、接着促進材料は、金属反射層14の基体12への接着を促進する他に、その光学特性を維持するために腐蝕に耐性を有さなければならないということを注記する。我々はさらに、接着促進層のための材料選択も、循環温度変化から生じる離層を含む望ましくない結果を防止するために、相対膨張率の効果を斟酌しなければならないということを注記する。
【0042】
本発明の1つの実施態様において、光透過性基体12と反射層14との間に配置される接着促進層18は、限定はされないが、ハフニウム、ジルコニウム、タンタル、チタン、ニオビウム、珪素、タングステン、アルミニウム、バナジウム、モリブデン、クロミウム、錫、アンチモン、インジウム、亜鉛、ビスマス、カドミウム、ニッケルなどを含む1つ以上の金属の酸化物の形からなる。
【0043】
一般に、接着促進層18を製造する方法は、金属酸化物を陰極スパッター付着、電子ビーム蒸着もしくは金属酸化物を付着させるいずれかの適切な方法を通して付着させることである。金属酸化物は、好ましくは酸化モードで付着されるが、それを、例えば、所望の接着促進を達成するために、金属が十分酸化されるように過剰な酸素の存在下スパッターにより成就してもよい。
【0044】
接着促進層18のために本明細書で考慮された金属のいくつかは、その金属状態で実質的な吸収を示す(すなわち、20Å未満の厚さでの吸収量>3%)ので、それらを酸化物として付着させることは有利である。同様に、金属層を十分に、もしくはその付着後部分的に酸化することも有利であり得る。
【0045】
図4を参照すると、光学構造物が本発明の第三実施態様として描かれている。本図面に参照番号30として示される光学構造物は、上記図3の光学構造物20に類似している。我々は再び、構造物における対応要素の厚さは一定の割合で描かれておらず、一般的な構造物およびその関係を図示するために示されていることを注記する。本実施態様において、光学構造物30には、多積層構造物からなる保護層16が含まれ、それぞれの層は、パリレンN、パリレンC、パリレンDおよびこれらの組合せもしくは混合物からなる群から選ばれる別個のパリレンポリマーからなる。保護層16の多積層形は、反射性金属層との改善された適合性、耐薬品性などについて、それぞれのパリレン変性体および/またはパリレン変性体の混合物の利点を与える。
【0046】
保護層16には、第一パリレン変性体もしくはパリレン変性体の混合物からなる第一パリレンフィルム17が含まれる。第一パリレンフィルム17は、前記の適切な付着方法の1つを用いて反射層14に付着される。保護層16には、さらに反射層14から離れて第一パリレンフィルム17の表面をおおう第二パリレン変性体もしくはパリレン変性体の混合物からなる第二パリレンフィルム19が含まれる。それぞれのパリレン変性体層の実際の厚さを、用途、要件、反射層金属、所望効果、効果時間、予想される汚染曝露の型などにより調整でき、当業者が容易に決定し得る。
【0047】
1つの実施態様において、第一パリレンフィルム17はパリレンCからなり、第二パリレンフィルム19はパリレンDからなる。我々は実験結果から、パリレンCが銀反射層に直接保護層として付着されたとき、パリレン/銀界面での銀反射率における変化は実験データのノイズ内にあると観察されたと決定づけた。所見は、パリレンCと銀との間にほとんどもしくは全然反応性がないことを示した。
【0048】
我々はさらに実験結果から、パリレンDが銀層に保護層として付着されたとき、パリレン/銀界面での銀反射率は測定可能に減少もしくは低下したと決定づけた。パリレンDはモノマー単位につき2個の塩素原子という平均塩素含有量をもつことが既知なので、我々は、パリレンポリマーフィルムにおける未結合もしくは閉じ込められた塩素の存在は銀と反応していると理論づける。所見はパリレンDと銀との間にいくらか反応性があり得ることを示したが、パリレンDが保護層の部分としての使用に適切な候補である。パリレンDは、銀反射層の良好な曝露保護のためにパリレンCよりも低い気体透過性値を有することで知られている。銀/パリレンC/パリレンDラミネート組合せは、有効な保護層を与え、それはパリレンCの銀との低反応性およびパリレンDの低気体透過性を有する。
【0049】
さらに別の実施態様において、1つのパリレン変性体から別のものへのパリレンフィルムの付着の遷移は徐々になされて、第一および第二パリレンポリマー層間に遷移中間層(図示せず)を形成することができる。パリレン変性体の付着が遷移するにつれて、第一パリレンポリマーの蒸気流れは徐々に減少し、一方第二パリレンポリマーの蒸気流れは第一パリレンポリマー蒸気流れの対応する減少に比例してランプアップする。この作用は、純パリレンポリマー層間に傾斜界面を生み、両者間の接着が改善されたインターポリマーを形成する。我々は、結果として得られたパリレンポリマー層を、前述したように、層の特性を改変するよう所望されるようにアニーリングもしくは熱処理できると注記する。
【0050】
中間層の実際の厚さを、用途、要件、所望効果、効果時間、予想される汚染曝露の型などにより調整でき、当業者により容易に決定し得ることは理解されよう。
図5を参照すると、ファイバーオプチック導波路が、本発明の1つの実例的実施態様として描かれている。一般に参照番号50により示されるファイバーオプチック導波路は、一般に光を導くためのガラスの同心層を有する延長円筒体を含む。図5のファイバーオプチック導波路50は、光透過性ガラスもしくは高分子材料からなるコアー52、コアー52よりも低屈折率を有する光透過性ガラスもしくは高分子材料からなるクラッド54、反射層58とクラッド54との間に置かれた任意の接着促進層56を有する反射層58および反射層56をおおうパリレンポリマー保護層60を含む。ファイバーオプチック50は、クラッド54が光学的に透明な基体を確立する本発明の光学構造物を含む。ファイバーオプチック50を、反射層、任意の接着促進層およびパリレンポリマー層のすべてをクラッド54の表面に適用するための前記技術用いながら、市販のファイバーオプチック導波路から製作できる。
【0051】
(実施例1)
実験的テスト
我々は、テスト用に1.49の屈折率を有する光学品質のポリメチルメチルアクリレート(PMMA)基体の試料を得た。酸化アルミニウムコーティングを、従来の電子ビーム蒸着プロセスを用いて1セットの試料に蒸発させるように適用して接着促進層を形成した。99.999%の純度を有する酸化アルミニウム源を、ウイスコンシン州ミルウォーキーのCerac から得た。酸化アルミニウムを、2x10-4トルの全圧で21.8%O2/Ar 流量を用いて付着させた。付着率を、約300Åの最終厚さを生むために、およそ1秒につき1Åで設定した。
【0052】
銀金属層を、従来の電子ビーム蒸着プロセスを用いて、それぞれの試料基体の表面に適用した。99.999%の純度を有する銀金属源を、Cerac から得た。銀層を、1秒につき約1.2Å〜7.3Åの付着率で1,000Åの厚さで適用した。平均付着率は、1秒につき約3Åだった。
【0053】
パリレンDおよびCを、それぞれマサチューセッツ州アトルボロのParatronix, Inc. から得た。パリレンポリマーを、化学的付着プロセスを用いて試料に適用し、結果として約0.0005"のコーティングを得た。与えられたパリレンポリマー層の保護度を、基体を通した銀層の反射率における変化により測定した。反射率測定を、約360〜750nmのスペクトル範囲でMacBeth Color-Eye 7000 分光計を用いて行った。界面での測定を、PMMA基体を通して行ったが、これにはPMMAによる吸収もしくは第一表面反射率からの干渉効果が含まれるであろう。
【0054】
加速された銀の曇りを、標準周囲空気を含む密封200mm直径パイレックス(登録商標)ガラスデシケーターおよび18ccの脱イオン水中2ccの硫化アンモニウム(20%水溶液)を保持する蒸発皿に試料を入れることにより誘発した。硫化アンモニウムを、マサチューセッツ州ニューバリーポートのStrem Chemicals から得た。基体試料を、銀層側を溶液に曝露して、溶液上4cmに配置した。銀反射率を、デシケーターチャンバーにおける曝露時間関数として測定した。硫化アンモニウム溶液は、硫化水素を主要腐蝕原因物質として生じた。我々は、元素硫黄が長い曝露時間後デシケーター壁に付着したことを観察した。硫化アンモニウム溶液は、銀のもっとも攻撃的な曇り原因物質の1つであることが既知である。Dar-Yuan Song 等のApplied Optics 24 (8), 1164 (1985) を参照。
【0055】
周囲空気結果
未保護試料について周囲空気における銀腐蝕率を見積もるために、銀被覆PMMA試料の反射率を、実験室の周囲空気に曝露したとき定期的に測定した。光透過性PMMA基体を通して測定した銀表面および銀/PMMA界面の反射率における変化を、それぞれの試料について記録した。反射率を、約70日の期間に渡って約550nmの波長を有する光を用いて測定した。ポイントをプロットし、線状回帰分析を実施して図6に描かれるグラフを生じた。
【0056】
図6を参照すると、グラフは、周囲空気曝露が銀表面については約6.3x10-2%/日の曇り率、銀/PMMA界面については約2.2x10-2%/日の曇り率をもたらしたことを示す。我々は、銀表面に比較して界面における低曇り率は、銀層を通した、もしくは、ありそうもないことだが、はるかに厚いPMMA基体を通した腐蝕原因物質の拡散がゆるやかであったことに説明できると信じる。グラフに包含されるものは、ミネソタ州セントポールのMinnesota Mining and Manufacturing Co. の耐蝕性紙製品である3M Corrosion Control Absorber Paper (CPAP) に貯蔵された試料(対照)についての反射率測定である。耐蝕性紙は、酸化および腐蝕を起こす空気汚染物の存在から曇りを防止するよう設計されている。腐蝕性要素を耐蝕性紙により空気から除去したとき、銀表面および銀/PMMA界面は、ともに反射率において測定可能な変化を示さなかった。反射率の変化は、70日の測定期間中3x10-4%/日未満だった。2セットのデータを比較して、我々は、銀反射率における変化は空気腐蝕のみにより生じ、界面における銀鏡のPMMA基体との認知できるほどの相互作用はないようだったと結論できる。
【0057】
硫化アンモニウム
パリレンコーティングの銀の曇り抑制能力をテストするために、いくつかの銀被覆PMMA試料を前述の方法で調製した。PMMA試料を、パリレンのCおよびD変性体のフィルムでカプセル封入した。パリレンポリマー被覆PMMA試料を、Paratronix から得た。パリレンコーティングのフィルム厚さを測定すると、平均約0.00043インチだった。
【0058】
前記テスト手順を用いて、パリレンコーティングCおよびDの有効性を評価した。腐蝕チャンバーにおける曝露時間関数としての銀反射率変化を測定し、結果を図7に示した。図7を参照すると、試料はいずれも硫化アンモニウム溶液に曝露された。腐蝕率を、線状最小自乗フィットを用いてデータ分析から決定した。周囲空気および硫化アンモニウムへの曝露についての対応腐蝕率を、下記表1に挙げる。
【0059】
【表1】
【0060】
パリレンCおよびDフィルムを通して曇り率を比較して、我々は、パリレンCについての曇り率がパリレンDについての率よりも15倍高いことを認めた。パリレン保護試料の曇り率を未保護銀試料に比較して、我々は、曇り率がパリレンCコーティングでは6.9x10-5係数、パリレンDコーティングでは4.6x10-6係数減少したことを認めた。類似の腐蝕原因物質は周囲空気曇り結果の原因であるとして、上記曇り減少係数を標準大気空気におけるパリレンポリマー保護銀についての曇り率を見積もるために用いることができる。曇り減少係数を周囲空気データに適用することは、パリレンC保護銀フィルムについては約4.3x10-6%/日の推定空気曇り率を、パリレンDについては約2.9x10-7%/日の推定空気曇り率をもたらす。この分析に基づくと、パリレン変性体のいずれも反射率変化0.1%未満で50年間銀を保護するであろう。
【0061】
表1に挙げた銀/PMMA界面での測定曇り率は、常に銀表面からの測定曇り率よりも低い。この結果は、腐蝕ガスが銀層を通って拡散して銀/PMMA界面に達するために追加要件があるので、予想される。
【0062】
銀接着
パリレンCおよびDフィルムを直接PMMAに付着させてこれらのフィルムの接着をテストした。それぞれの変性体のいくつかの試料を、Minnesota Mining and Manufacturing Co. により市場に出ているSCOTCHテープでテストし、基体に接着性であることが観察され、テーププルによるパリレンフィルム剥離の例がなかった。
【0063】
銀は直接接触させたときPMMAと適合するように見えるが、この材料への接着は最低限である。PMMA上の銀コーティングのSCOTCHテープテストは、銀フィルムのすべてを一貫して剥離した。銀被覆PMMA基体のパリレンによるカプセル封入は、最終銀被覆導波路構造物になされるのであろうが、銀コーティングの強健さを向上させる。
【0064】
パリレンフィルムの高引張強さゆえに、パリレンCもしくはDで被覆されたPMMA上の銀フィルムは、普通、フィルム離層なしでSCOTCHテープテストを合格するだろう。しかし、いくつかの例では、銀フィルムをPMMA基体から分離した領域を示すプルテスト後、ブリスターがフィルムに観察され得る。しかし、パリレンフィルムは無傷、かつ下にある銀フィルムに良好に結合したままである。これらの欠陥は銀/PMMA界面結合を改善する必要性を確認した。
【0065】
前述したように、金属もしくはメタロイド酸化物は、銀のガラス基体への接着を強化することで知られている。アルミナが選ばれたが、それはアルミナも可視スペクトルを通してその高透明度ゆえに銀被覆導波路用途に優れた候補であるからである。PMMA上の銀についての接着層としてアルミナをテストするために、300Å厚さの層を銀鏡の付着に先立ってPMMAに付着させた。SCOTCHテープテストは、アルミナ界面層が銀接着を向上させることを示す。およそテーププルの80%が銀フィルムの損失をもたらさず、プルの20%がPMMA基体から銀鏡の一部を剥離した。いったんアルミナ結合銀フィルムをパリレンCでオーバー被覆すると、基体からの銀鏡の剥離もしくは離層はテープテストプルからは観察されなかった。
【0066】
本発明の種々の実施態様を示しかつ説明したが、それらは限定を意味していない。当業者はこれらの実施態様に種々の改変を認めてもよいが、それらの改変は添付した特許請求の範囲の精神および範囲により包含されることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の1つの実施態様を説明する高反射層を有する光学構造物の断面図である。
【図2】本発明の原理による光学構造物を製造するためにパリレンポリマーフィルムを付着させるパリレン真空蒸着反応器システムの模式図を描く。
【図3】本発明の第二実施態様を説明する高反射層を有する光学構造物の断面図である。
【図4】本発明の第三実施態様を説明する高反射層を有する光学構造物の断面図である。
【図5】本発明による光学構造物を含むファイバーオプチック導波路の断面図である。
【図6】周囲空気の存在下に曝露された種々の試料の銀腐蝕率をプロットするグラフである。
【図7】硫化アンモニウム溶液の存在下に曝露された種々の試料の銀腐蝕率をプロットするグラフである。
発明の分野
本発明は、光学構造物に、さらに具体的には強健な高反射性光学層を被覆させた光透過性基体材料を有する光学構造物に関するものである。
【0002】
発明の背景
導波路などの光学部品は、一般に多くの用途のために光波の伝達を限定し、かつ管理するように設計されている。光の反射および透過に依存する用途において、性能における有意な利得は、高反射性材料を光透過性材料と組み合わせて用いたときになされ得る。例えば、ステップインデックスファイバーオプチックは、光透過性材料、つまり、中心光学媒体(すなわち、コアー)と周囲光学媒体(すなわち、クラッド)の同心層の細いストランドからなり、後者は低屈折率を有する。光はコアーを通して導かれる。透過の間、光はしばしばコアーとクラッドとの境界に移動し、そこで光は全内部反射によりコアーに向かって反射される。しかし、光のいくらかは、例えば、コアー内もしくはコアー/クラッド境界での欠陥により誘発される散乱ゆえに失われるので、全内部反射は全部ではない。
【0003】
この損失を減少させるために、反射層をファイバーオプチックの長さに沿ってクラッドの表面に適用することができる。反射層はコアーに戻される光の量を有意に増大させ、かつファイバーオプチックを通る全光透過を向上させる。
【0004】
理想的には、光学部品に用いられる反射層は、光の広いスペクトルに対し、かつ反射率の全入射角に対して高反射率特性を有するべきである。銀は高反射率値を有することが既知の1つの金属である。銀は、標準入射で全可視光スペクトルに対して約98%の反射率を有する。銀はまた、ほぼすれすれの入射角でのオフノーマル光について約96%の高反射率を維持する。比較すると、より普通に用いられる反射層材料であるアルミニウムは、標準入射で約93%の反射率を有する。アルミニウムの反射率は、すれすれの入射角での光について75%に急速的に落ちる。
【0005】
銀は優れた光学特性を有するが、反射性金属の使用と関連するいくつかの問題がある。銀は、特に二酸化硫黄、硫化水素、二酸化窒素、オゾン、塩化水素、塩素および有機酸を含む腐蝕性ガスおよび汚染物の存在下、大気に曝露されると曇るという望ましくない傾向がある。銀コーティングの長期性能は、仮に保証されるとしても、腐蝕条件下成功裡にテストされる適切に入手可能な保護手段の欠如のために、環境への通常の曝露によりもたらされる銀の曇りの攻撃的性質に基づく商業的コーティング設備により保証されることは稀であることは既知である。
【0006】
さらに、ガラスもしくはポリメチルメタクリレートなどの高分子材料を含む光透過性基体材料に対する銀の接着性は、せいぜい中位である。ポリメチルメタクリレートは、光学部品の製作にしばしば用いられる低コストアクリル樹脂である。
【0007】
前記理由ゆえに、ある範囲の光透過性材料に有利に接着し、かつ腐蝕および曇りに対する改善された抵抗性を有して、改善された光学有効性能および長期継続作動寿命を与える高反射コーティングを有する光学構造物に対する需要がある。
【0008】
発明の概要
本発明は、一般に中空および固体導波路、固体および中空光パイプ、ファイバーオプチックス、プリズム、微細構造シート、湾曲鏡(楕円体、放物線状など)、平面鏡ならびに地形学的形状を有する他のオプチックスなど光学部品のための光学構造物に向けられるものである。本発明の光学構造物は、大気中に少なくとも微量存在している二酸化硫黄、硫化水素、二酸化窒素、オゾン、塩化水素、塩素、有機酸などを含む潜在的に腐蝕性である物質の存在下、光学部品を通して高光学性能および光透過を維持するよう設計されている。
【0009】
本発明の光学構造物は、特に銀などの金属からなる高反射表面が所望される光学部品に有用である。光学構造物は、さらに光学部品の全反射率特性を測定可能なほどに落とすことなく光学部品における高反射表面の有利な耐久性および保存を提供するように適合される。
【0010】
本発明の1つの側面において、光学構造物は、一般に有効に光を導くよう適合された光透過性基体と、基体の表面に付着させ、かつそれに結合した高反射性金属からなる高反射層とを含む。高反射性金属層をおおい、かつそれにしっかりと接着結合しているのが、パリレンポリマーフィルムからなる保護層である。
【0011】
本発明に用いられるパリレンポリマー保護層は、周囲大気、腐蝕性物質、塩、湿度などの外部要素への曝露から反射層を隔離する働きをする。そのような外部要素は、曇り、分解、離層もしくは変色を通して時間の経過により金属反射層の破壊および分解を起こし、結果としてその反射能の損失をもたらし得る。パリレンポリマー保護層は、さらに以下に記載されるテーププルテストにより示されるように機械的変形および離層に対する反射層の抵抗性を向上させる。
【0012】
任意に、本発明の光学構造物は、さらに基体表面と反射層との間に適用して両者間の結合を強化するための接着促進層を含み得る。本発明に用いられる接着促進層は、反射層が光透過性基体から物理的に分離して反射能における品質低下した性能および減少をもたらすところで、離層に対する改善された抵抗性のために機能反射性金属層と光透過性基体との間の付着を有意に向上させる。さらに、接着促進層は、基体/反射層界面に沿った反射層の反射性における均一性およびコンシステンシーを促進する。
【0013】
本発明の代替的な形において、光透過性ガラスもしくは高分子材料を含むファイバーオプチックなどの導波路構造物は、金属もしくはメタロイドの酸化物の形の接着促進層で被覆されている。銀反射層は、接着促進層と接触させて適用される。パリレンポリマーフィルムの保護層は、銀反射層上に適用されて銀がその高反射光沢を失うこと、もしくは周囲空気などの環境における腐蝕原因物質による離層もしくは品質低下から保護する。本発明の好ましい形は、長期作動寿命を含む改善された性能特性を有する強健な高反射性パリレン/銀/金属-酸化物/導波路構造物を形成する。
【0014】
本発明の種々の実施態様を以下に図面を参照して詳細に記載するが、同じ項目は同じ参照記号で識別する。
本発明および好ましい実施態様の説明
本発明は、一般に光学構造物およびそのような光学構造物を製造する方法に向けられている。本発明の光学構造物には、基体、高反射層、基体と反射層との間で接触している任意の接着促進層、および反射層をおおう(overlaying)パリレンポリマーフィルムを含む保護層が含まれる。本発明の光学構造物は、反射層の基体への改善された接着性および長期作動寿命のための腐蝕および曇りに対する改善された抵抗性を有する有利な光学特性を与える。基体材料は、ガラスおよび、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)などの有機ポリマー系材料からなる群から選ぶことができる。
【0015】
本発明において、保護層として有用なパリレンポリマーフィルムは、下記のポリマー反復単位構造を有する:
【0016】
【化1】
【0017】
式中、nは構造物における反復単位の数を示す。パリレンポリマーコーティングは、3種類の形態若しくは変性体で例示することができ、それぞれが変動する塩化度を包含する。3つの形態としては、塩素原子を有さない上記のパリレンN、パリレンNと同じモノマーから製造され、かつ芳香族水素の1つを塩素原子で置換することによりさらに改変されるパリレンC、およびパリレンNと同じモノマーから製造され、かつ芳香族水素の2つを2個の塩素原子で置換することによりさらに改変されるパリレンDが挙げられる。
【0018】
図1を参照すると、本発明の1つの実施態様を説明する光学構造物が描かれている。我々は、構造物における対応する要素の厚さは一定の割合で描かれておらず、かつ一般的な構造物およびその関係を説明するために示されていることを注記する。本図面で参照番号10で示される光学構造物を、銀などの金属からなる高反射表面が所望されるある範囲の光学部品の製作に適用することができる。
【0019】
光学構造物10は、一般に光を有効に透過させ、かつ導くための光透過性基体12、好ましくは光透過性基体12の表面に蒸着させた銀などの高反射性金属からなる反射層14、および好ましくはパリレンポリマーフィルムからなる保護層16を含む。好ましくは、基体12の表面は、最高の鏡面反射率を与えるために光学的に平滑であり、かつ実質的に光学的欠陥がない。基体12の表面は、反射層14との接着を促進するために任意に処理され得るが、例えば、それに限定はされないが、その内容が矛盾しない程度まで本明細書に取り込まれる米国特許第5,982,546号に記載されるようなプラズマ処理である。
【0020】
ファイバーオプチック導波路などの光学部品を製作するために用いられる光透過性基体は、例えば、用途、所望の性能特性、コスト、透過される光の特性により、ある範囲の材料から選ぶことができる。光透過性基体12は、ガラスもしくは高分子材料からなり得る。高分子材料には、ポリハイドロカーボン、ポリオキシハイドロカーボン、ポリスルホハイドロカーボンおよびフルオロカーボン、ならびにフルオロハイドロカーボン材料などの有機ポリマーが含まれ得る。典型的な有機ポリマーには、ポリ(エチレンテレフタレート)およびポリ(ブチレンテレフタレート)などのポリエステル、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリ(メタクリレート)およびポリ(エチルアクリレート)などのポリアクリレートおよびメタクリレート、ポリ(メチルメタクリレート-コ-エチルアクリレート)などのコポリマーならびにポリカーボネートが含まれる。TEFLON(登録商標)などのフルオロカーボンポリマーおよび当業界で既知の種々のフルオロハイドロカーボンポリマーも用いることができる。より好ましくは、高分子材料はPMMAである。
【0021】
特に低複屈折が所望される用途において、他のポリマーを光透過性基体材料として用いることができる。そのようなポリマーには、ペンシルベニア州ピッツバーグのPPG Industries により市場に出ているCR-39 アリルジグリコールカーボネート樹脂;日本国東京のHitachi Chemical Co., Ltd. により市場に出ているOZ-1000 脂環式アクリル樹脂;ミシガン州ミッドランドのDow Engineering Plastics により市場に出ているCALIBRE 1080 DVD ポリカーボネート樹脂;ペンシルベニア州ピッツバーグのBayer Corporation により市場に出ているMAKROLON DP1-1265 ポリカーボネート樹脂;ペンシルベニア州フィラデルフィアのATOFINA Chemicals, Inc. により市場に出ているPLEXIGLAS VOD-100 アクリル成形用樹脂;ニュージャージー州サミットのTicona により市場に出ているTOPAS シクロ-オレフィンコポリマー樹脂;日本国東京のNippon Zeon Co., Ltd.. により市場に出ているZEONEX シクロ-オレフィンポリマー樹脂などが含まれる。
【0022】
本発明の用途への制限ではないが、プラスチックもしくは高分子材料はクリアーで、透明かつ光透過性であり得る。プラスチックもしくは高分子材料に関連して用いられるとき、「クリアー」、「透明」および「光透過性」という語は、その使用形態において、所望範囲の導波路に対して透過性を示すプラスチックもしくはポリマーを意味する。ポリマー系基体そのものは市販されており、または種々の当業界既知のプロセスにより調製でき、それ自体では本発明の側面を構成していない。ポリマー基体は、金属およびガラスなどの非高分子表面に適用もしくは積層される固体本体、シート、フィルム、又はコーティングに形成できる。
【0023】
図1に示される光学構造物10の反射層14は、好ましくは銀、銅、金、パラジウム、イリジウム、ロジウム、これらの合金の形での組合せなどの高反射率値を有する1つ以上の機能性金属から出来上がっている。これらの金属のうち、銅、銀および金が好ましく、銀は光の可視範囲でもっとも好ましい金属である。金属もしくは金属の合金を含む反射層14を、陰極スパッター、真空蒸着もしくは気相付着技術などの従来から既知の付着方法を通して、光透過性基体12の光学的に平滑な表面に、約100Å〜10,000Å、好ましくは500Å〜3,000Å、より好ましくは約1,000Å〜3,000Åの範囲の厚さに付着させることができる。個々の金属を用いることができるが、所望なら、異なる金属の複数の層もしくはこれらの金属の合金の層を用いることもできる。
【0024】
本発明の別の実施態様において、光学構造物10の反射層14は、腐蝕および曇りに対する最適保護のために保護層16により周囲から密閉され、シールされる。パリレンポリマーフィルムの形の保護層16は、光透過性基体12から末端の反射層14の表面に蒸着される。適用されたパリレンポリマー保護層16は、さらに後述されるように、連続的に均一なコーティングを形成する。
【0025】
保護層16のパリレンポリマーフィルムは、パリレンN、パリレンC、パリレンDあるいはこれらの組合せもしくは混合物からなり得る。パリレンポリマーフィルムは、変動混合率のパリレン変性体(variant)のモノマーのインターポリマーからなり得る。保護層16のパリレンポリマーフィルムの厚さは、好ましくは少なくとも0.0001"、より好ましくは約0.001"〜0.0001"の範囲にある。我々は、パリレンポリマー保護層における変性体の実際の厚さおよび混合率を、用途、要件、使用される反射層金属、所望効果、効果時間、予想される汚染曝露の型などにより調整でき、当業者が容易に決定し得ることを注記する。
【0026】
パリレンポリマーフィルムを、後述するように、コーティングの耐薬品性および耐久性を改善するために適切なアニーリングもしくは熱処理技術を用いて任意に加工することができる。本明細書に用いられる「アニーリング」もしくは「熱処理」という語は、物質もしくは材料を熱で処理し、ついで冷却して被処理物質もしくは材料の構造用特性を改変もしくは変化させるプロセスをいう。
【0027】
本発明により、パリレンポリマーフィルムは、従来から既知の気相付着もしくは真空蒸着技術を用いてコーティングプロセスを通して適用される。本発明が、当業者により既知の表面にパリレンポリマーを適用するための適切な商業的に入手可能な方法を利用できることは理解されよう。
【0028】
説明例として、パリレンポリマーコーティングを適用する1つのプロセスが、その内容すべてが矛盾のない程度まで本明細書に取り込まれる米国特許第3,342,754 号に記載されている。本発明がこのプロセス使用に限定されないことは理解されよう。
【0029】
図2を参照すると、米国特許第3,342,754 号に記載される真空蒸着プロセスを実施するための基本的なパリレン真空蒸着反応器システム40の一般的模式図が示されている。前述のように、ポリマーフィルムを基体に適用するための当業界で既知の多くのシステムおよびプロセスがある。下記のシステム40の記載は、基体にパリレンポリマー層を被覆するために用いてもよいプロセスの説明を与える。システム40を、当業者に既知の市販される部材および部品を用いて構成することができる。
【0030】
さらに図2を参照すると、システム40は、気化チャンバー42、クラッキングチャンバー44、付着チャンバー46および真空ポンプ48を含む。真空ポンプ48は、システム40の内部から空気を排気するために作動する。気化チャンバー42は、ジ-p-キシリレンダイマーの試料を気化させるに十分な高温で真空下ダイマーを加熱するよう適合される。真空条件下、気化ダイマーは、チャンバー42内で全方向に放射する。
【0031】
気化ダイマーはクラッキングチャンバー44に進み、そこでダイマーは700℃未満の温度、好ましくは450℃〜700℃、より好ましくは約680℃に十分な時間、蒸気圧が1.0mm Hg以下であるような圧力で加熱されて、パリレンのパリレンジラジカルモノマーを形成する。
【0032】
パリレンジラジカルモノマーは付着チャンバー46に進み、そこでジラジカルモノマーは、反射性金属被覆光透過性基体の冷表面上に、200℃未満の温度、好ましくはパリレンジラジカルモノマーの天井凝縮温度以下、より好ましくは室温で、凝縮し重合する。ジラジカルモノマーの凝縮は、強靭な線状非蛍光ポリマーを生む。真空ポンプ48は、システム40に接続されて、プロセスが最適加工のために排気雰囲気で実施されることを確実にする。
【0033】
パリレンポリマーを付着させる真空蒸発技術は、いくつかの利点を与える。第一は、室温付着プロセスがある範囲の基体にパリレンポリマーフィルムを被覆することを可能とすることである。第二は、複雑な形状を有する基体上の高適合かつ均一に連続したコーティングの形成である。第三は、正確なコーティング制御のために連続的かつ均一な状態でありながら非常に薄いコーティング層を形成する能力である。
【0034】
図1および2を特に参照して、本発明の光学構造物の総合的製造プロセスを記載する。光学構造物10の好ましい形において、構造物は、銀層14をPMMA系光透過性基体12の光学的に平滑な表面に蒸着させることにより形成される。反射性金属被覆光透過性基体は反応器40の付着チャンバー46に置かれ、反射銀金属14の外面をパリレンジラジカルモノマー流れに曝露するために適切に配置される。パリレン真空蒸発プロセスは、銀金属層14の表面に十分な厚さのパリレンポリマー保護層16を生む。付着パリレンポリマー保護層16の厚さは、当業界で既知の種々の光学的方法のいずれか1つを用いて、付着チャンバー46内においたままで決定される。代替的に、パリレンポリマー保護層16の厚さを、物品が付着チャンバー46から取り出された後に決定することができる。
【0035】
前記付着プロセスを、以下にさらに記載するように、反射銀層14の表面に多積層パリレンポリマーコーティングを製造するために、同じもしくは異なるパリレン変性体(すなわち、パリレンN、パリレンC、パリレンDおよび/またはこれらの混合物)を用いて少なくとも1度は反復できる。付着チャンバー46は周囲空気から密封され、チャンバー46の空気は真空ポンプ48で排気される。代替的に、付着チャンバー46中の空気を、周囲圧力でヘリウム、アルゴンもしくは窒素などの不活性ガスで置換することができる。
【0036】
我々は、保護層中の付着パリレンポリマー保護フィルムを高温で十分な時間アニーリング、かつ冷却することにより、実質的に改善された耐薬品性パリレンポリマーバリヤーが形成されることを発見した。また、パリレンポリマーコーティングの物理的バリヤーおよび機械的性質がアニーリング熱処理後非常に改善されることも発見した。アニーリング温度は、少なくとも120℃、好ましくは約120℃〜220℃であり得、アニーリング時間は、約1時間〜5日の範囲でよい。アニーリングプロセスを、限定はされないが、真空、不活性ガスおよび標準周囲空気を含む適切な空気条件下で実施できる。アニーリング条件を、当業者により決定されるように、基体の熱質量、最大基体温度等級などにより要求されるように変化させることができる。
【0037】
パリレンポリマーフィルムを、パリレン付着プロセスの完了直後にアニールすることができる。アニーリングプロセスは、好ましくは真空もしくはヘリウム、アルゴン、窒素などの少なくとも1つの不活性ガスの存在下、大気圧で実施される。最適アニーリング条件は、パリレンポリマーのそれぞれの変性体間でやや異なり得る。我々はさらに、アニーリングプロセスを蒸着プロセス中に適用されたそれぞれのパリレンポリマー保護層について個々に、あるいは1より多いパリレンポリマー層を適用した後全体としてのパリレンポリマー保護層に利用してもよいことを注記する。
【0038】
図3に示される本発明の別の実施態様において、前述したような光透過性基体12、ならびに真空蒸発、陰極スパッター、電子ビーム蒸発などの従来の付着プロセスを用いて基体表面に適用される少なくとも1つの金属もしくはメタロイドの酸化物の形を含む薄い接着促進層18を含む、一定の割合で描かれていない光学構造物20が提供される。接着促進層18は、反射層14の適用に先立って基体12に適用される。ガラス基体への銀付着を強化する酸化アルミニウムの使用を説明する詳細は、その内容すべてが本明細書に取り込まれるHass 等のApplied Optics, 14, 2639 (1975) に見出せる。
【0039】
銀などの高反射性金属を含む反射層14は、電子ビーム蒸発を含む前記方法を用いて、基体12と反射層14との間の界面で不透明な、高反射表面を形成するに十分な厚さで、接着促進層18の表面に付着される。最後に、反射層14の表面は、好ましくは真空蒸着もしくは前述の適切なプロセスを用いてパリレンポリマーフィルムを含む保護層16で被覆される。
【0040】
前述したように、接着促進層18は、好ましくは反射層14の金属原子を光透過性基体12の平滑な表面に結合するに十分な少なくとも1つの金属もしくはメタロイドの酸化物の形を含む。好ましくは、接着促進層18の厚さは、約10Å〜1,000Å、より好ましくは約300Åの範囲であり得る。金属とポリマー基体との間の接着促進材料としての金属系およびメタロイド系酸化物(以下、集合的に「金属酸化物」と称する)の使用および適用は、さらに関係のある教示が矛盾しない程度に本明細書に取り込まれる米国特許第5,589,280号および5,902,634号に記載されている。
【0041】
ほとんどの用途について、選ばれる接着促進材料のいずれも、少なくとも信頼できる接着を与えるのに有効とわかる量で、できる限りほとんど無色であるべきである。所望の光源下で基体12に視覚的に検出可能な色を与える接着促進材料は、反射層14を行ったり来たりする光を吸収することにより反射効率を減少させるだけでなく、基体12を通して反射層14で導かれる光線の色値を変化させる。我々は、接着促進材料は、金属反射層14の基体12への接着を促進する他に、その光学特性を維持するために腐蝕に耐性を有さなければならないということを注記する。我々はさらに、接着促進層のための材料選択も、循環温度変化から生じる離層を含む望ましくない結果を防止するために、相対膨張率の効果を斟酌しなければならないということを注記する。
【0042】
本発明の1つの実施態様において、光透過性基体12と反射層14との間に配置される接着促進層18は、限定はされないが、ハフニウム、ジルコニウム、タンタル、チタン、ニオビウム、珪素、タングステン、アルミニウム、バナジウム、モリブデン、クロミウム、錫、アンチモン、インジウム、亜鉛、ビスマス、カドミウム、ニッケルなどを含む1つ以上の金属の酸化物の形からなる。
【0043】
一般に、接着促進層18を製造する方法は、金属酸化物を陰極スパッター付着、電子ビーム蒸着もしくは金属酸化物を付着させるいずれかの適切な方法を通して付着させることである。金属酸化物は、好ましくは酸化モードで付着されるが、それを、例えば、所望の接着促進を達成するために、金属が十分酸化されるように過剰な酸素の存在下スパッターにより成就してもよい。
【0044】
接着促進層18のために本明細書で考慮された金属のいくつかは、その金属状態で実質的な吸収を示す(すなわち、20Å未満の厚さでの吸収量>3%)ので、それらを酸化物として付着させることは有利である。同様に、金属層を十分に、もしくはその付着後部分的に酸化することも有利であり得る。
【0045】
図4を参照すると、光学構造物が本発明の第三実施態様として描かれている。本図面に参照番号30として示される光学構造物は、上記図3の光学構造物20に類似している。我々は再び、構造物における対応要素の厚さは一定の割合で描かれておらず、一般的な構造物およびその関係を図示するために示されていることを注記する。本実施態様において、光学構造物30には、多積層構造物からなる保護層16が含まれ、それぞれの層は、パリレンN、パリレンC、パリレンDおよびこれらの組合せもしくは混合物からなる群から選ばれる別個のパリレンポリマーからなる。保護層16の多積層形は、反射性金属層との改善された適合性、耐薬品性などについて、それぞれのパリレン変性体および/またはパリレン変性体の混合物の利点を与える。
【0046】
保護層16には、第一パリレン変性体もしくはパリレン変性体の混合物からなる第一パリレンフィルム17が含まれる。第一パリレンフィルム17は、前記の適切な付着方法の1つを用いて反射層14に付着される。保護層16には、さらに反射層14から離れて第一パリレンフィルム17の表面をおおう第二パリレン変性体もしくはパリレン変性体の混合物からなる第二パリレンフィルム19が含まれる。それぞれのパリレン変性体層の実際の厚さを、用途、要件、反射層金属、所望効果、効果時間、予想される汚染曝露の型などにより調整でき、当業者が容易に決定し得る。
【0047】
1つの実施態様において、第一パリレンフィルム17はパリレンCからなり、第二パリレンフィルム19はパリレンDからなる。我々は実験結果から、パリレンCが銀反射層に直接保護層として付着されたとき、パリレン/銀界面での銀反射率における変化は実験データのノイズ内にあると観察されたと決定づけた。所見は、パリレンCと銀との間にほとんどもしくは全然反応性がないことを示した。
【0048】
我々はさらに実験結果から、パリレンDが銀層に保護層として付着されたとき、パリレン/銀界面での銀反射率は測定可能に減少もしくは低下したと決定づけた。パリレンDはモノマー単位につき2個の塩素原子という平均塩素含有量をもつことが既知なので、我々は、パリレンポリマーフィルムにおける未結合もしくは閉じ込められた塩素の存在は銀と反応していると理論づける。所見はパリレンDと銀との間にいくらか反応性があり得ることを示したが、パリレンDが保護層の部分としての使用に適切な候補である。パリレンDは、銀反射層の良好な曝露保護のためにパリレンCよりも低い気体透過性値を有することで知られている。銀/パリレンC/パリレンDラミネート組合せは、有効な保護層を与え、それはパリレンCの銀との低反応性およびパリレンDの低気体透過性を有する。
【0049】
さらに別の実施態様において、1つのパリレン変性体から別のものへのパリレンフィルムの付着の遷移は徐々になされて、第一および第二パリレンポリマー層間に遷移中間層(図示せず)を形成することができる。パリレン変性体の付着が遷移するにつれて、第一パリレンポリマーの蒸気流れは徐々に減少し、一方第二パリレンポリマーの蒸気流れは第一パリレンポリマー蒸気流れの対応する減少に比例してランプアップする。この作用は、純パリレンポリマー層間に傾斜界面を生み、両者間の接着が改善されたインターポリマーを形成する。我々は、結果として得られたパリレンポリマー層を、前述したように、層の特性を改変するよう所望されるようにアニーリングもしくは熱処理できると注記する。
【0050】
中間層の実際の厚さを、用途、要件、所望効果、効果時間、予想される汚染曝露の型などにより調整でき、当業者により容易に決定し得ることは理解されよう。
図5を参照すると、ファイバーオプチック導波路が、本発明の1つの実例的実施態様として描かれている。一般に参照番号50により示されるファイバーオプチック導波路は、一般に光を導くためのガラスの同心層を有する延長円筒体を含む。図5のファイバーオプチック導波路50は、光透過性ガラスもしくは高分子材料からなるコアー52、コアー52よりも低屈折率を有する光透過性ガラスもしくは高分子材料からなるクラッド54、反射層58とクラッド54との間に置かれた任意の接着促進層56を有する反射層58および反射層56をおおうパリレンポリマー保護層60を含む。ファイバーオプチック50は、クラッド54が光学的に透明な基体を確立する本発明の光学構造物を含む。ファイバーオプチック50を、反射層、任意の接着促進層およびパリレンポリマー層のすべてをクラッド54の表面に適用するための前記技術用いながら、市販のファイバーオプチック導波路から製作できる。
【0051】
(実施例1)
実験的テスト
我々は、テスト用に1.49の屈折率を有する光学品質のポリメチルメチルアクリレート(PMMA)基体の試料を得た。酸化アルミニウムコーティングを、従来の電子ビーム蒸着プロセスを用いて1セットの試料に蒸発させるように適用して接着促進層を形成した。99.999%の純度を有する酸化アルミニウム源を、ウイスコンシン州ミルウォーキーのCerac から得た。酸化アルミニウムを、2x10-4トルの全圧で21.8%O2/Ar 流量を用いて付着させた。付着率を、約300Åの最終厚さを生むために、およそ1秒につき1Åで設定した。
【0052】
銀金属層を、従来の電子ビーム蒸着プロセスを用いて、それぞれの試料基体の表面に適用した。99.999%の純度を有する銀金属源を、Cerac から得た。銀層を、1秒につき約1.2Å〜7.3Åの付着率で1,000Åの厚さで適用した。平均付着率は、1秒につき約3Åだった。
【0053】
パリレンDおよびCを、それぞれマサチューセッツ州アトルボロのParatronix, Inc. から得た。パリレンポリマーを、化学的付着プロセスを用いて試料に適用し、結果として約0.0005"のコーティングを得た。与えられたパリレンポリマー層の保護度を、基体を通した銀層の反射率における変化により測定した。反射率測定を、約360〜750nmのスペクトル範囲でMacBeth Color-Eye 7000 分光計を用いて行った。界面での測定を、PMMA基体を通して行ったが、これにはPMMAによる吸収もしくは第一表面反射率からの干渉効果が含まれるであろう。
【0054】
加速された銀の曇りを、標準周囲空気を含む密封200mm直径パイレックス(登録商標)ガラスデシケーターおよび18ccの脱イオン水中2ccの硫化アンモニウム(20%水溶液)を保持する蒸発皿に試料を入れることにより誘発した。硫化アンモニウムを、マサチューセッツ州ニューバリーポートのStrem Chemicals から得た。基体試料を、銀層側を溶液に曝露して、溶液上4cmに配置した。銀反射率を、デシケーターチャンバーにおける曝露時間関数として測定した。硫化アンモニウム溶液は、硫化水素を主要腐蝕原因物質として生じた。我々は、元素硫黄が長い曝露時間後デシケーター壁に付着したことを観察した。硫化アンモニウム溶液は、銀のもっとも攻撃的な曇り原因物質の1つであることが既知である。Dar-Yuan Song 等のApplied Optics 24 (8), 1164 (1985) を参照。
【0055】
周囲空気結果
未保護試料について周囲空気における銀腐蝕率を見積もるために、銀被覆PMMA試料の反射率を、実験室の周囲空気に曝露したとき定期的に測定した。光透過性PMMA基体を通して測定した銀表面および銀/PMMA界面の反射率における変化を、それぞれの試料について記録した。反射率を、約70日の期間に渡って約550nmの波長を有する光を用いて測定した。ポイントをプロットし、線状回帰分析を実施して図6に描かれるグラフを生じた。
【0056】
図6を参照すると、グラフは、周囲空気曝露が銀表面については約6.3x10-2%/日の曇り率、銀/PMMA界面については約2.2x10-2%/日の曇り率をもたらしたことを示す。我々は、銀表面に比較して界面における低曇り率は、銀層を通した、もしくは、ありそうもないことだが、はるかに厚いPMMA基体を通した腐蝕原因物質の拡散がゆるやかであったことに説明できると信じる。グラフに包含されるものは、ミネソタ州セントポールのMinnesota Mining and Manufacturing Co. の耐蝕性紙製品である3M Corrosion Control Absorber Paper (CPAP) に貯蔵された試料(対照)についての反射率測定である。耐蝕性紙は、酸化および腐蝕を起こす空気汚染物の存在から曇りを防止するよう設計されている。腐蝕性要素を耐蝕性紙により空気から除去したとき、銀表面および銀/PMMA界面は、ともに反射率において測定可能な変化を示さなかった。反射率の変化は、70日の測定期間中3x10-4%/日未満だった。2セットのデータを比較して、我々は、銀反射率における変化は空気腐蝕のみにより生じ、界面における銀鏡のPMMA基体との認知できるほどの相互作用はないようだったと結論できる。
【0057】
硫化アンモニウム
パリレンコーティングの銀の曇り抑制能力をテストするために、いくつかの銀被覆PMMA試料を前述の方法で調製した。PMMA試料を、パリレンのCおよびD変性体のフィルムでカプセル封入した。パリレンポリマー被覆PMMA試料を、Paratronix から得た。パリレンコーティングのフィルム厚さを測定すると、平均約0.00043インチだった。
【0058】
前記テスト手順を用いて、パリレンコーティングCおよびDの有効性を評価した。腐蝕チャンバーにおける曝露時間関数としての銀反射率変化を測定し、結果を図7に示した。図7を参照すると、試料はいずれも硫化アンモニウム溶液に曝露された。腐蝕率を、線状最小自乗フィットを用いてデータ分析から決定した。周囲空気および硫化アンモニウムへの曝露についての対応腐蝕率を、下記表1に挙げる。
【0059】
【表1】
【0060】
パリレンCおよびDフィルムを通して曇り率を比較して、我々は、パリレンCについての曇り率がパリレンDについての率よりも15倍高いことを認めた。パリレン保護試料の曇り率を未保護銀試料に比較して、我々は、曇り率がパリレンCコーティングでは6.9x10-5係数、パリレンDコーティングでは4.6x10-6係数減少したことを認めた。類似の腐蝕原因物質は周囲空気曇り結果の原因であるとして、上記曇り減少係数を標準大気空気におけるパリレンポリマー保護銀についての曇り率を見積もるために用いることができる。曇り減少係数を周囲空気データに適用することは、パリレンC保護銀フィルムについては約4.3x10-6%/日の推定空気曇り率を、パリレンDについては約2.9x10-7%/日の推定空気曇り率をもたらす。この分析に基づくと、パリレン変性体のいずれも反射率変化0.1%未満で50年間銀を保護するであろう。
【0061】
表1に挙げた銀/PMMA界面での測定曇り率は、常に銀表面からの測定曇り率よりも低い。この結果は、腐蝕ガスが銀層を通って拡散して銀/PMMA界面に達するために追加要件があるので、予想される。
【0062】
銀接着
パリレンCおよびDフィルムを直接PMMAに付着させてこれらのフィルムの接着をテストした。それぞれの変性体のいくつかの試料を、Minnesota Mining and Manufacturing Co. により市場に出ているSCOTCHテープでテストし、基体に接着性であることが観察され、テーププルによるパリレンフィルム剥離の例がなかった。
【0063】
銀は直接接触させたときPMMAと適合するように見えるが、この材料への接着は最低限である。PMMA上の銀コーティングのSCOTCHテープテストは、銀フィルムのすべてを一貫して剥離した。銀被覆PMMA基体のパリレンによるカプセル封入は、最終銀被覆導波路構造物になされるのであろうが、銀コーティングの強健さを向上させる。
【0064】
パリレンフィルムの高引張強さゆえに、パリレンCもしくはDで被覆されたPMMA上の銀フィルムは、普通、フィルム離層なしでSCOTCHテープテストを合格するだろう。しかし、いくつかの例では、銀フィルムをPMMA基体から分離した領域を示すプルテスト後、ブリスターがフィルムに観察され得る。しかし、パリレンフィルムは無傷、かつ下にある銀フィルムに良好に結合したままである。これらの欠陥は銀/PMMA界面結合を改善する必要性を確認した。
【0065】
前述したように、金属もしくはメタロイド酸化物は、銀のガラス基体への接着を強化することで知られている。アルミナが選ばれたが、それはアルミナも可視スペクトルを通してその高透明度ゆえに銀被覆導波路用途に優れた候補であるからである。PMMA上の銀についての接着層としてアルミナをテストするために、300Å厚さの層を銀鏡の付着に先立ってPMMAに付着させた。SCOTCHテープテストは、アルミナ界面層が銀接着を向上させることを示す。およそテーププルの80%が銀フィルムの損失をもたらさず、プルの20%がPMMA基体から銀鏡の一部を剥離した。いったんアルミナ結合銀フィルムをパリレンCでオーバー被覆すると、基体からの銀鏡の剥離もしくは離層はテープテストプルからは観察されなかった。
【0066】
本発明の種々の実施態様を示しかつ説明したが、それらは限定を意味していない。当業者はこれらの実施態様に種々の改変を認めてもよいが、それらの改変は添付した特許請求の範囲の精神および範囲により包含されることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の1つの実施態様を説明する高反射層を有する光学構造物の断面図である。
【図2】本発明の原理による光学構造物を製造するためにパリレンポリマーフィルムを付着させるパリレン真空蒸着反応器システムの模式図を描く。
【図3】本発明の第二実施態様を説明する高反射層を有する光学構造物の断面図である。
【図4】本発明の第三実施態様を説明する高反射層を有する光学構造物の断面図である。
【図5】本発明による光学構造物を含むファイバーオプチック導波路の断面図である。
【図6】周囲空気の存在下に曝露された種々の試料の銀腐蝕率をプロットするグラフである。
【図7】硫化アンモニウム溶液の存在下に曝露された種々の試料の銀腐蝕率をプロットするグラフである。
Claims (20)
- 光透過性基体;
前記光透過性基体をおおい、かつそれに結合した高反射性金属からなる反射層;および
前記反射性金属層に結合したパリレンポリマーフィルムからなる保護層;
を含む光学構造物。 - さらに前記光透過性基体と前記反射層との間に付着させて両者間の結合強さを増大させるための接着促進層を含む、請求項1に記載の光学構造物。
- 前記接着促進層が金属もしくはメタロイドの酸化物の形からなる、請求項2に記載の光学構造物。
- 前記接着促進層の金属もしくはメタロイドが、アルミニウム、ハフニウム、ジルコニウム、タンタル、チタン、ニオビウム、珪素、タングステン、バナジウム、モリブデン、クロミウム、錫、アンチモン、インジウム、亜鉛、ビスマス、カドミウムおよびニッケルからなる群から選ばれる、請求項3に記載の光学構造物。
- 前記接着促進層の金属がアルミニウムである、請求項3に記載の光学構造物。
- 前記パリレンポリマーフィルムが少なくとも1つのパリレンポリマー変性体層を含む、請求項1に記載の光学構造物。
- 前記パリレンポリマー変性体が、パリレンN、パリレンC、パリレンDおよびこれらの組合せからなる群から選ばれる、請求項6に記載の光学構造物。
- 前記高反射性金属が、銀、銅、金、パラジウム、イリジウム、ロジウムおよびこれらの合金の形での組合せからなる群から選ばれる、請求項1に記載の光学構造物。
- 前記高反射性金属が銀である、請求項1に記載の光学構造物。
- 前記光透過性基体がガラスもしくは高分子材料からなる、請求項1に記載の光学構造物。
- 前記光透過性基体の高分子材料が、ポリハイドロカーボン、ポリオキシハイドロカーボン、ポリスルホハイドロカーボン、フルオロカーボンおよびフルオロハイドロカーボン、ポリエステル、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ブチレンテレフタレート)、ポリアクリレート、メタクリレート、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリ(メタクリレート)、ポリ(エチルアクリレート)、コポリマー、ポリ(メチルメタクリレート-コ-エチルアクリレート)およびポリカーボネート、およびCR-39 アリルジグリコールカーボネート樹脂、OZ-1000 脂環式アクリル樹脂、CALIBRE 1080 DVD ポリカーボネート樹脂、MAKROLON DP1-1265 ポリカーボネート樹脂、PLEXIGLAS VOD-100 アクリル成形用樹脂、TOPAS シクロ-オレフィンコポリマー樹脂、ZEONEX シクロ-オレフィンポリマー樹脂、ならびにこれらの組合せからなる群から選ばれる、請求項10に記載の光学構造物。
- 前記光透過性基体の高分子材料がポリ(メチルメタクリレート)である、請求項10に記載の光学構造物。
- 前記高反射層が約100Å〜10,000Åの厚さを包含する、請求項1に記載の光学構造物。
- 前記接着促進層が約10Å〜1,000Åの厚さを包含する、請求項2に記載の光学構造物。
- 前記パリレンポリマーフィルムが、前記反射層と接触するパリレンC層および前記パリレンC層と接触するパリレンD層を含む、請求項6に記載の光学構造物。
- 前記パリレンポリマーフィルムが、さらに前記パリレンD層と前記パリレンC層との間にパリレンCおよびパリレンDの中間層を含む、請求項15に記載の光学構造物。
- 前記保護層が約0.001インチ〜0.0001インチの厚さを包含する、請求項1に記載の光学構造物。
- 前記基体がファイバーオプチック導波路を含む、請求項1に記載の光学構造物。
- 前記パリレンフィルムからなる保護層がアニーリングもしくは熱処理されている、請求項1に記載の光学構造物。
- 光透過性基体;
前記光透過性基体の表面に付着させた少なくとも1つの金属もしくはメタロイドの酸化物の形を含む接着促進層;
高反射性金属からなる反射層;および
前記反射性金属層に接触結合したパリレンポリマーフィルムからなる保護層;
を含む光学構造物。
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