JP2007080924A - 半導体発光素子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
電子顕微鏡を用いずに銀を用いた反射電極の微小な欠陥の観察を簡易な光学顕微鏡等により実現するための手段を提供することにある。
【解決手段】
基板上にn型半導体層、発光層およびp型半導体層をこの順序で含み、負極および正極がそれぞれn型半導体層およびp型半導体層に接して設けられており、該正極が少なくともコンタクトメタル層と、少なくともAgを成分として含む金属乃至合金からなっている反射層と、コンタクトメタル層および反射層の上面および側面全面を覆う様に設けられたAgを成分として含まない保護金属層を備える半導体発光素子の製造方法である。この方法において、発光素子を保護金属層に対しては侵食せず、Agに対しては侵食作用を有する工程に曝し、発光素子の欠陥を検出する工程を設けたことを特徴とする半導体発光素子の製造方法である。
【選択図】 なし
Description
特に、III族窒化物半導体は基板としてサファイアを用いることが一般的であり、サファイア基板が発光波長に対して透明であるため、電極面を下側にしてマウントし、サファイア基板側から光を取り出す構造のフリップチップ型が注目されている。
フリップチップ型の構造では、電極での反射光が出力の大きな割合を占めるため、電極金属には高い反射率を持つ金属を選ぶ必要がある。金属の中でも、銀は可視領域の反射率が高いことが知られており、銀反射電極を用いたフリップチップ素子はその他の金属を用いたフリップチップ素子に対して10〜20%出力の向上が図ることが出来る
しかし銀はエレクトロマイグレーションを起こしやすいことでも知られており、銀電極が露出した構造の電極では、通電により素子の短絡による発光出力の低下、電流電圧特性の劣化が避けられない。
このように銀電極の表面を別の金属や酸化膜で被うことで銀電極からのマイグレーションを抑制することが提案されている(特許文献1〜3参照)。
例えば銀電極を形成したウェハ上に別の金属を蒸着する際に、パーティクルが付着しているとパーティクルの影には金属が回りこまないため、蒸着後にそのパーティクルが脱離すると、銀が露出した部分が残ってしまう。またウェハの平坦性が悪く、角度を持った領域があると、蒸着金属が銀の上を被わない領域が発生する状況が存在する。
銀が露出した部分は光学顕微鏡で観察できるとは限らず、パーティクルの大きさによっては電子顕微鏡を用いて10000倍から100000倍に拡大して確認できるようなピンホールも存在する。この大きさのピンホールによってもAgのマイグレーションは生じ、素子の信頼性は低下するため、銀露出が発生した素子は確実に検査する必要がある。
しかしながら、観察手段としての電子顕微鏡は、試料の準備や観察に多大の手間がかかり、かつ処理能力も限られている問題がある。そのため素子の全数検査の手段としては耐えられないものであった。
即ち、本発明は以下の構成からなる。
(1)基板上にn型半導体層、発光層およびp型半導体層をこの順序で含み、負極および正極がそれぞれn型半導体層およびp型半導体層に接して設けられており、該正極が少なくともコンタクトメタル層と、少なくともAgを成分として含む金属乃至合金からなっている反射層と、コンタクトメタル層および反射層の上面および側面全面を覆う様に設けられたAgを成分として含まない保護金属層を備える半導体発光素子の製造方法において、該発光素子を保護金属層に対しては侵食せず、Agに対しては侵食作用を有する工程に曝し、発光素子の欠陥を検出する工程を設けることを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
(3)保護金属層が、Pt、Ir、Rh、Pd、Ru、Re、Ni、Cu、Au,Crの群の中から選ばれる一種あるいはこれらの合金であることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の半導体発光素子の製造方法。
(4)保護金属層に対しては侵食せず、Agに対しては侵食作用を有する工程が、酸化性の酸の液相中に発光素子を浸漬する工程であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の半導体発光素子の製造方法。
(5)酸化性の酸がH2SO4とH2O2の混合物であることを特徴とする上記(4)に記載の半導体発光素子の製造方法。
(7)酸化性の酸がHNO3であることを特徴とする上記(4)に記載の半導体発光素子の製造方法。
(8)水とHNO3の混合比が、HNO3が100〜30質量%、水が0〜70質量%であることを特徴とする上記(7)に記載の半導体発光素子の製造方法。
(9)保護金属層に対しては侵食せず、Agに対しては侵食作用を有する工程が、ガス中に発光素子を曝す工程であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の半導体発光素子の製造方法。
(11)ガスがH2Sであることを特徴とする上記(9)に記載の半導体発光素子の製造方法。
(12)半導体発光素子がIII−V族半導体発光素子であることを特徴とする上記(1)〜(11)のいずれかに記載の半導体発光素子の製造方法。
(13)III−V族半導体発光素子が窒化ガリウム系半導体発光素子であることを特徴とする上記(12)に記載の半導体発光素子の製造方法。
本発明の製造方法にかかる半導体発光素子は1例として図1に示すような断面構造を持っている。この例では半導体は窒化ガリウム系半導体(窒化物半導体)である。
この半導体積層物の基板201には、サファイア単結晶(Al2O3;A面、C面、M面、R面)、スピネル単結晶(MgAl2O4)等の酸化物単結晶、SiC単結晶などの公知の基板材料を何ら制限なく用いることができる。これらの中でもサファイア単結晶が好ましい。屈折率が1.7と窒化物半導体に比べて小さいので、窒化物半導体層の加工による光取出し効果が大きくなる。基板の面方位は特に限定されない。また、ジャスト基板でも良いしオフ角を付与した基板であっても良い。またサファイア基板の表面に更に凹凸加工が施されていてもよい。
窒化物半導体層積層後、公知のフォトリソ技術により素子分離用の領域とn電極形成用の領域の形成を行う。フォトリソグラフによってパターニングした基板上の窒化物半導体層をRIEを用いたドライエッチングによりエッチングする。この際、使用するガス種としては一般に塩素系ガスが用いられる。Cl2、SiCl4、BCl3等、或いはそれに対する添加ガスとしてH2、Ar等を混合したものが公知であり、それらの組み合わせを選んで使用することができる。
n電極は、各種組成および構造のn電極が周知であり、これら周知のn電極を問題なく形成することができる。
n型半導体層としてn型クラッド層とその上(基板側)にn型コンタクト層とを形成し、そのn型コンタクト層に接してn型電極用のパッド電極を設ける。パッド電極の材料としては、Al、Ti、Ni、Auなどのほか、Cr、W、Vなどを用いることができる。n電極全体を多層構造としてボンディング性などを付与することができることは言うまでもない。特に、最表面をAuやAlで覆うことは、ボンディングをし易くするために好ましい。
コンタクトメタル層上には反射層103を形成する。反射層は可視領域に対して高い反射率を持っているAgを含むもので、さらにネオジウム、パラジウム、銅およびビスマスからなる群から選ばれた少なくとも一種の元素を含んでいる合金である事が耐蝕性向上の点からさらに望ましい。
反射層のAgの含有量は90〜99.99%である合金であることが、反射率と耐蝕性の点から望ましい。
この工程としては酸化性の酸であるH2SO4とH2O2の組み合わせかHNO3の液中に発光素子を浸漬することが望ましい。何れの薬品も半導体工業用の高純度の薬品の入手が容易である。濃度に関しては、濃度を希釈すると酸化性が低減するので100%〜50%、望ましくは100%〜80%、更に望ましくは100%〜90%の範囲であることが望ましい。
H2SO4とH2O2との混合の場合、その混合比はH2SO4100〜50質量%、H2O20〜15質量%、水が0〜35質量%であることが好ましい。HNO3の場合はHNO3の濃度は30〜100質量%が好ましい。
上記の処理後、水洗、乾燥して電極表面を光学顕微鏡や目視等で観察する。そして異常が認められたものは製品から除外する。
本発明の製造方法は発光素子としてIII−V族化合物半導体を用いた発光素子に適用することが好ましく、中でも窒化ガリウム系半導体発光素子が特に好ましい。
(実施例1)
基板としてサファイア(Al2O3)C面基板を用い、その上に特開2003−243302号公報にある方法に従ってAlNバッファを介してアンドープのGaN層を6μm、Geを周期的にドープして平均のキャリア濃度が1×1019cm-3となるようにしたn型コンタクト層を4μm、In0.1Ga0.9Nからなる厚さ12.5nmのnクラッド層、GaNからなる厚さ16nmの障壁層とIn0.2Ga0.8Nからなる厚さ2.5nmの井戸層を交互に5回積層させた後、最後に障壁層を設けた多重量子井戸構造の発光層、Mgドープ(濃度8×1019/cm3)Al0.03Ga0.97Nからなる厚さ0.15μmのpコンタクト層を順次積層して基板上の窒化物半導体層とした。
有機洗浄とHClボイルを行い、ウェハ表面の汚れと酸化物を除去した後、再度リソグラフによりp側電極領域の形成を行う。リソグラフを行ったウェハをスパッタ装置に導入し、1×10-4Paまで真空引き後、Arを導入し0.5Paに保持する。圧力制御下でコンタクトメタルとしてPtを5nm、RF方式500Wで堆積した。
再度、リソグラフによりnパッド電極とpパッド電極領域の形成を行う。pパッド電極は、コンタクトメタル層と反射層の全面を被うように、より面積の大きな領域に形成される。ここではpパッド電極と保護金属層は一体として同時に形成する。リソグラフを行ったウェハを蒸着装置に導入し、1×10-4Paに真空引き後Cr,Ti,Auをこの順に各々40nm、100nm、10000nmの厚さでEB蒸着を行い、パッド電極を形成した。
電極面より観察したところ、約5%の素子で電極面に膨れが生じていることが500倍の光学顕微鏡観察により確認された。図2に電極表面の光学顕微鏡による観察写真を示す。
ウェハの裏面側を研磨により80μmに薄片化し、ブレーカーにより個々の素子に分離して、裏面側より反射層を光学顕微鏡で観察したところ、p電極面に膨れが発生した素子では対応する個所で反射層の変色がほぼ円形に観察された。
電極に異常の確認された素子の特性を評価したところ、初期特性では異常を示すものもあったが、異常を示さない素子もあった。しかし、通電試験をおこなったところ全ての素子で劣化が確認された。電極に異常の確認されなかった素子では、通電試験でも異常を示さなかった。
条件を変更した実施例について示す。
試料の作成方法は実施例1と同様に行った。
電極形成を行った後のウェハをO3(オゾン)100%、120℃の雰囲気の中で30min保持した。
電極面より観察したところ、約5%の素子の電極表面に目視で茶色の変色が観察され、変色の中心領域にパッド電極異常が観察された。
茶色の変色が観察されたチップの電極を電子顕微鏡で観察したところ、変色部の中心に1μm程度の電極異常が観察された。さらに電子顕微鏡中でEDX分析を行ったところ、変色部からはAgが検出された。
101b 正極側パッド電極
102 コンタクトメタル層
103 反射層
104 保護電極層
201 基板
202 窒化物半導体層
203 電極表面欠陥
Claims (13)
- 基板上にn型半導体層、発光層およびp型半導体層をこの順序で含み、負極および正極がそれぞれn型半導体層およびp型半導体層に接して設けられており、該正極が少なくともコンタクトメタル層と、少なくともAgを成分として含む金属乃至合金からなっている反射層と、コンタクトメタル層および反射層の上面および側面全面を覆う様に設けられたAgを成分として含まない保護金属層を備える半導体発光素子の製造方法において、該発光素子を保護金属層に対しては侵食せず、Agに対しては侵食作用を有する工程に曝し、発光素子の欠陥を検出する工程を設けることを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
- コンタクトメタル層が、Pt、Ir、Rh、Pd、Ru、Reの群の中から選ばれる一種あるいはこれらの合金であることを特徴とする請求項1に記載の半導体発光素子の製造方法。
- 保護金属層が、Pt、Ir、Rh、Pd、Ru、Re、Ni、Cu、Au,Crの群の中から選ばれる一種あるいはこれらの合金であることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体発光素子の製造方法。
- 保護金属層に対しては侵食せず、Agに対しては侵食作用を有する工程が、酸化性の酸の液相中に発光素子を浸漬する工程であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の半導体発光素子の製造方法。
- 酸化性の酸がH2SO4とH2O2の混合物であることを特徴とする請求項4に記載の半導体発光素子の製造方法。
- H2SO4とH2O2と水の混合比が、H2SO4が100〜50質量%、H2O2が0〜15質量%、水が0〜35質量%であることを特徴とする請求項5に記載の半導体発光素子の製造方法。
- 酸化性の酸がHNO3であることを特徴とする請求項4に記載の半導体発光素子の製造方法。
- 水とHNO3の混合比が、HNO3が100〜30質量%、水が0〜70質量%であることを特徴とする請求項7に記載の半導体発光素子の製造方法。
- 保護金属層に対しては侵食せず、Agに対しては侵食作用を有する工程が、ガス中に発光素子を曝す工程であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の半導体発光素子の製造方法。
- ガスがO3であることを特徴とする請求項9に記載の半導体発光素子の製造方法。
- ガスがH2Sであることを特徴とする請求項9に記載の半導体発光素子の製造方法。
- 半導体発光素子がIII−V族半導体発光素子であることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の半導体発光素子の製造方法。
- III−V族半導体発光素子が窒化ガリウム系半導体発光素子であることを特徴とする請求項12に記載の半導体発光素子の製造方法。
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