JP2004528388A - 3−アリール−2−ヒドロキシプロピオン酸誘導体の製造法 - Google Patents
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Abstract
式(I)(式中、RはH又は酸保護基である)で示される化合物の製造法であって、式(II)(式中、Rは前記にて定義した通りである)の化合物と式(III)(式中、Xは適切な離脱基である)の化合物とを、塩基と相間移動触媒の存在下にて50℃〜150℃の範囲の温度で反応させることを含む前記製造法。
Description
【0001】
本発明は、下記の式Iに示す化合物2−エトキシ−3−[4−(2−{4−メタンスルホニルオキシフェニル}エトキシ)フェニル]プロピオン酸、又はその(R)エナンチオマーもしくは(S)エナンチオマー、あるいはその医薬として許容されうる塩、及びその溶媒和物の改良された製造法に関する。
【0002】
【化1】
【0003】
上記の化合物は、II型糖尿病を含めたインスリン抵抗性症候群(IRS)〔インスリン過剰血症;発現しうるII型糖尿病;動脈性高血圧;中心性(内臓)肥満;並びに、一般には、VLDL(超低密度リポタンパク質)の増大、小さな密なLDL粒子とHDL(高密度リポ蛋白質)濃度の減少、及びフィブリン溶解の減少を特徴とする乱れたリポ蛋白質レベルとして観察される異脂肪血症;が付随するインスリン抵抗性を含めた一群の徴候を表わしている〕に対して使用するためのものである。
【0004】
最近の疫学的研究によれば、インスリン抵抗性に罹った人は、心臓血管に病的状態をきたして死に至る危険性が大幅に増大し、心筋梗塞や卒中に罹患することが顕著である、と報告されている。II型糖尿病においては、全死亡数のうちの最大80%までをアテローム性動脈硬化症に関係した疾患が引き起こしている。
【0005】
臨床医学においては、IRSに罹患している患者に対してインスリン感度を高める必要性が、したがってアテローム性動脈硬化症の進行の加速を引き起こすと考えられる異脂肪血症を治療する必要性が認識されている。しかしながら、この疾患は、現時点で充分には解明されていない疾患である。
【0006】
PCT公開番号WO99/62872に式Iの化合物が開示されている。該特許出願の実施例1と2に、式Iの化合物を製造するための2つの別個の方法が開示されている。我々は、開示されている方法のうちの一方に対して改良点を発見した。
【0007】
具体的には、我々は、最後から2番目のエステル化中間体を合成するための改良された方法を見出した。反応の最終工程は、エステル基を最終生成物である酸へ転化させることである。
【0008】
したがって本発明は、式I
【0009】
【化2】
【0010】
(式中、RはH又は酸保護基である)で示される化合物の製造法を提供し、このとき前記製造法は、式II
【0011】
【化3】
【0012】
(式中、Rは前記にて定義した通りである)の化合物と式III
【0013】
【化4】
【0014】
(式中、Xは適切な離脱基である)の化合物とを、塩基と相間移動触媒との存在下にて50℃〜150℃の範囲の温度で反応させることを含む。
他の態様においては、本発明は、式I
【0015】
【化5】
【0016】
(式中、RはH又は酸保護基である)で示される化合物の製造法を提供し、このとき前記製造法は、式II
【0017】
【化6】
【0018】
(式中、Rは前記にて定義した通りである)の化合物と式III
【0019】
【化7】
【0020】
(式中、Xは適切な離脱基である)の化合物とを、塩基の水溶液と相間移動触媒との存在下にて50℃〜150℃の範囲の温度で反応させることを含む。
他の態様においては、本発明は、式I
【0021】
【化8】
【0022】
(式中、RはH又は酸保護基である)で示される化合物の製造法を提供し、このとき前記製造法は、式II
【0023】
【化9】
【0024】
(式中、Rは前記にて定義した通りである)の化合物と式III
【0025】
【化10】
【0026】
(式中、Xは適切な離脱基である)の化合物とを、固体塩基と相間移動触媒との存在下にて50℃〜150℃の範囲の温度で反応させることを含む。
本発明の製造法は、溶融物の状態においても、あるいは式IIとIIIの化合物に対する適切な溶媒の存在下においても行うことができる。本発明の製造法は、80℃〜130℃の範囲の温度で行うのが好ましく、90℃〜110℃の範囲の温度で行うのが最も好ましい。
【0027】
“酸保護基”とは、エステルやアミド等の適切な誘導体を形成させることによって、あるいは当業界に公知の、カルボン酸基に対する他の保護手段を施すことによって、カルボン酸が反応を受けないように保護されている、ということを意味している。適切な保護手段と酸誘導体(並びに、保護基の形成と最終的な脱保護の手段)の例が、「T.W.Greene and P.G.M.Wuts,“Protective Groups in Organic Synthesis”,第3版,John Wiley & Sons,New York,1999」に記載されている。エステルの性質は、プロセスの遂行にとって重要なことではない。なぜなら、エステルの機能は保護基として作用することだからである。本発明の改良点は、相間移動触媒をプロセスに適用することに関している。Rは、H、ベンジル、又は(1−4C)アルキル基(例えば、メチル、エチル、又はプロピル)であるのが好ましい。Rは(1−4C)アルキル基であるのがさらに好ましい。Rはエチルであるのが最も好ましい。
【0028】
上記の製造法はいずれも、保護基を除去して、RがHである式Iの化合物を生成させる、という追加の工程を含んでよい。Rがエステルであって、保護基の除去工程が加水分解工程を含むのが好ましい。加水分解工程は、酸触媒によるものであっても、あるいは塩基触媒によるもの(例えば、水酸化リチウムを使用)であってもよい。所望により、加水分解工程に有機液体(例えば、アセトン、2−ブタノン、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、又はジオキサン)が存在してもよい。酸エステル誘導体の転化は、エステルの酸への加水分解(酸触媒、アルカリ触媒、又は酵素触媒作用による)によって行うことができ、このような工程は当業者に公知である(例えば、後述の実施例において、及びWO99/62872の実施例2i)において記載されている)。
【0029】
Xは、ハロ(例えばブロモ、クロロ、又はヨード)、又は置換されていてもよいフェニルスルホニルオキシ基〔特に、(4−メチルフェニル)スルホニルオキシ基、2,4,6−トリイソプロピルフェニルスルホニルオキシ基、又はアルキルスルホニルオキシ基(例えばメタンスルホニルオキシ)〕であるのが適切である。Xは、メタンスルホニルオキシ基であるのが好ましい。
【0030】
適切な塩基としては、カーボネート、ハイドロゲンカーボネート、又は水酸化物(特にアルカリ金属水酸化物)などがある。塩基は、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、又は炭酸水素カリウムであるのが好ましい。
【0031】
相間移動触媒は、クラウンエーテル、ポリエチレングリコール、又は第四アンモニウム塩(特にハロゲン化物対イオンを含む第四アンモニウム塩)であるのが適切である。適切なクラウンエーテルとしては、18−クラウン−6、ジシクロヘキシル[18−クラウン−6]、及びジベンゾ[18−クラウン−6]などがある。適切なポリエチレングリコールとしては、PEG400がある。適切な第四アンモニウム塩としては、臭化テトラヘキシルアンモニウム、塩化メチルトリオクチルアンモニウム、及び臭化テトラオクチルアンモニウムなどがある。
【0032】
式IIIの化合物と式IIの化合物とのモル比は0.5〜10の範囲であるのが適切であり、0.8〜4の範囲であるのが好ましく、1.0〜3の範囲であるのがさらに好ましく、1.2〜1.6の範囲であるのが最も好ましい。
【0033】
相間移動触媒と式IIの化合物との重量比は0.05〜10の範囲であるのが適切であり、0.1〜5の範囲であるのが好ましく、0.15〜3の範囲であるのがさらに好ましい。
【0034】
塩基と式IIの化合物とのモル比は0.5〜10の範囲であるのが適切であり、0.8〜4の範囲であるのが好ましく、1.0〜3の範囲であるのがさらに好ましく、1.2〜1.6の範囲であるのが最も好ましい。
【0035】
溶媒(使用する場合)は有機溶媒である。有機溶媒は、プロトン性溶媒であっても、又は非プロトン性溶媒であってもよく、好ましいのは非プロトン性溶媒(例えば、2−ブタノン、イソブチルメチルケトン、アセトン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、又はN−メチルピロリドン)である。本発明の製造法は50℃〜150℃の範囲の温度で行わなければならないので、所望の反応温度より低い沸点を有する溶媒を使用して所望の反応温度を達成するためには、必要に応じて本発明の製造法を減圧下で行うことができる、という点は当業者にとっては十分認識されることである。
【0036】
本発明の製造法は次のような利点を有する。本発明の製造法は、従来技術にて公知の反応より反応時間が短く、したがって実施する上でのコストがより少ない。本発明の製造法はさらに、より高い収率をもたらし、生成物の純度は、これまでに開示されている式Iの化合物の製造法の場合より高い。本発明の製造法はさらに、再現性が高くて変動が少ない。
【0037】
溶融物が使用される製造法においては、より高い純度が達成され、反応はより体積効率が良い(すなわち、同じ反応容器でもより高い収量が得られる)。
他の態様においては、本発明は、式I
【0038】
【化11】
【0039】
(式中、RはHである)で示される化合物の製造法を提供し、このとき前記製造法は、式II
【0040】
【化12】
【0041】
(式中、Rは酸保護基である)の化合物と式III
【0042】
【化13】
【0043】
(式中、Xは適切な離脱基である)の化合物とを、固体塩基と相間移動触媒との存在下にて50℃〜150℃の範囲の温度で反応させてRが酸保護基である場合の式Iの化合物を得ること、及びその後に保護基を除去してRがHである場合の式Iの化合物を得ることを含む。
【0044】
好ましい態様においては、本発明の製造法は、RがH又は酸保護基である場合の式IIの化合物のS−エナンチオマーを使用し、次いでRが酸保護基であるときは加水分解することによって、RがHである場合の式Iの化合物のS−エナンチオマーを提供する。
【0045】
RがHである場合の式Iの化合物は、再結晶によって精製することができる。適切な再結晶溶媒としては、エタノール、水、酢酸イソプロピル、イソプロパノール、イソオクタン、及びトルエンのうちの1種以上がある。
【0046】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明がこれらの実施例によって限定されることはない。
略語
EtOA = 酢酸エチル
HPLC = 高速液体クロマトグラフィー
i−PrOAc = 酢酸イソプロピル
PEG = ポリエチレングリコール
MEK = メチルエチルケトン又はブタン−2−オン
MIBK = メチルイソブチルケトン又は3−メチルブタン−2−オン
EtOH = エタノール
出発物質の製造
2−(4−メタンスルホニルオキシフェニル)エチルメタンスルホネートをWO99/62872に記載の手順に従って製造した。
【0047】
(実施例1)
エチル(S)−2−エトキシ−3−[4−(2−{4−メタンスルホニルオキシフェニル}エトキシ)フェニル]プロパノエート
2−(4−メタンスルホニルオキシフェニル)エチルメタンスルホネート(298.5g, 1.01モル)、エチル(2S)−2−エトキシ−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロパノエート(96.7g, 406ミリモル)、及びPEG−400(32.5g, 81ミリモル)を110℃で一緒に溶融させた。激しく攪拌しながらNa2CO3(56.8g, 536ミリモル)を加えた。この温度で反応を5.5時間続けた(HPLC制御による転化率>95%)。次いで本混合物を45℃に冷却した。アセトン(500ml)を加えた。全ての有機物質が溶解するまで混合物を攪拌した。次いで無機塩を濾別した。この塩をアセトンで2回(2×300ml)洗浄した。表記化合物のアセトン溶液を次の工程に直接使用した。
【0048】
(S)−2−エトキシ−3−[4−(2−{4−メタンスルホニルオキシフェニル}エトキシ)フェニル]プロパン酸
エチル(S)−2−エトキシ−3−[4−(2−{4−メタンスルホニルオキシフェニル}エトキシ)フェニル]プロパノエートを含有するアセトン溶液に水(200ml)を加えた。激しく攪拌しながら、濃NaOH水溶液(34ml, 568ミリモル)を加えた。本溶液を+30℃に加熱し、激しく攪拌しながら反応を6時間続けた(HPLC制御による転化率>99%)。反応混合物をEtOAc(140ml)でクエンチした。pHが11になったとき、減圧下にて約50℃で有機溶媒の蒸発除去を開始した。全ての揮発性溶媒を除去(750mlの溶液が反応器中に残留)してから、水(100ml)を加え、反応器中に520mlの溶液が残留するようになるまで蒸留を続けた。本溶液を20℃に冷却し、水(280ml)を加えた。本溶液をEtOAcで3回(2×600ml, 1×400ml)抽出した。
【0049】
次いで25%H2SO4を使用して、pHを2〜2.5にした。本溶液を50℃に加熱し、残留しているEtOAcを減圧下にて留去した。水が留出し始めたときに、蒸発除去を終了した。次いで酸性水溶液を50℃にてトルエン(605ml)で抽出した。トルエン相を50℃にて水(380ml)で洗浄した。トルエン溶液を約1時間で20℃に冷却した。20℃において(S)−2−エトキシ−3−[4−(2−{4−メタンスルホニルオキシフェニル}エトキシ)フェニル]プロパン酸の種結晶を入れた。次いで形成されたスラリーを8℃に冷却し、一晩放置して結晶化させた。生成物を濾過し、8℃のトルエン(160ml)で洗浄した。
【0050】
(実施例2)
2−(4−メタンスルホニルオキシフェニル)エチルメタンスルホネート
2−(4−ヒドロキシフェニル)エタノール(20.0g, 143.7ミリモル)を2−ブタノン(MEK, 200ml)とトリエチルアミン(44.3ml, 316.2ミリモル)中に溶解した。透明な溶液が得られた後に、混合物を3℃に冷却した。次いで、温度を17℃未満に保持しながら、約15分で塩化メタンスルホニル(23.4ml, 301.8ミリモル)を加えた。全ての塩化メタンスルホニルを加えてから25分後に転化率を調べた。スラリーを6℃に冷却し、形成された塩を濾別し、8℃の2−ブタノン(MEK,50ml)で洗浄した。2−(4−メタンスルホニルオキシフェニル)−エチルメタンスルホネートのMEK溶液を次の工程に使用した。
【0051】
エチル(S)−2−エトキシ−3−[4−(2−{4−メタンスルホニルオキシフェニル}エトキシ)フェニル]プロパノエート
2−(4−メタンスルホニルオキシフェニル)エチルメタンスルホネート(約105ml, 60.2ミリモル)を含有するMEK溶液中にエチル(S)−2−エトキシ−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロパノエート(10.0g, 41.5ミリモル)を溶解した。均質溶液が形成された後に、激しく攪拌しながらPEG−400(4.0g, エチル(S)−2−エトキシ−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロパノエートに対して40重量%)とK2CO3(8.67g, 62.2ミリモル)を加えた。本混合物を、激しく攪拌しながら79℃で約6時間還流して反応させた。反応混合物を26℃に冷却し、MEK(10ml)を加えた。水(50ml)を加え、相を分離した。有機相を水(20ml)でもう1回洗浄した。この有機相を次の工程に使用した。
【0052】
(S)−2−エトキシ−3−[4−(2−{4−メタンスルホニルオキシフェニル}エトキシ)フェニル]プロパン酸
エチル(S)−2−エトキシ−3−[4−(2−{4−メタンスルホニルオキシフェニル}エトキシ)フェニル]プロパノエート(7.55g, 17.2ミリモル)の2−ブタノン溶液(総容量約50ml)に、アセトン(25ml)、水(5ml)、及びNaOH(3M, 7.5ml)を加えた。アセトン(10ml)を加え、本混合物を30℃に加熱した。約3.5時間後に本混合物を25℃に冷却し、EtOAc(20ml)を加えた。減圧にて本混合物から溶媒を蒸発させて、揮発性の溶媒を除去した。溶媒の蒸発除去中に、さらに水(40ml)加えた。EtOAc(40ml)を加え、本混合物を抽出した。相を分離し、水層をEtOAc(15ml)でもう一度洗浄した。トルエン(30ml)を加え、混合物のpHを濃硫酸で2.1に調整した。層を分離し、水層をトルエン(8ml)でもう一度抽出した。有機層を合わせて水(8ml)で1回洗浄した。トルエン溶液から溶媒を蒸発除去して容量を20mlにした。本溶液に種結晶を加え、冷却しつつ結晶化させた。トルエン(6ml)を加えて、スラリーの流動性を上げた。生成物を濾過し、冷トルエン(10ml)で1回洗浄した。次いで減圧にて結晶を乾燥した。
【0053】
(実施例3)
2−(4−メタンスルホニルオキシフェニル)エチルメタンスルホネート(1.64g, 5.41ミリモル)を22℃にて2−ブタノン(10.0ml)中に溶解した。エチル(2S)−2−エトキシ−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロパノエート(1.0g, 4.16ミリモル)、18−クラウン−6(0.06g, 0.21ミリモル)、及びK2CO3(0.81g, 5.82ミリモル)を加えた。本混合物を4時間加熱還流した。93%の転化率に達した。
【0054】
(実施例4)
2−(4−メタンスルホニルオキシフェニル)エチルメタンスルホネート(3.09g, 10.5ミリモル)、エチル(S)−2−エトキシ−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロパノエート(1.00g, 4.20ミリモル)、及びジベンゾ−18−クラウン−6(0.15g, 0.42ミリモル)を混合した。本混合物を90℃に加熱し、K2CO3(1.25g, 5.46ミリモル)を加えた。反応を110℃で4時間進行させた。91%の転化率に達した。
【0055】
(実施例5)
2−(4−メタンスルホニルオキシフェニル)エチルメタンスルホネート(296.5g/1.6モル当量)、エチル(S)−2−エトキシ−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロパノエート(150g/1.00モル当量)、PEG−400(50.36g/0.2モル当量/0.30相対容量(rel vol))、Na2CO3(88.74g/1.33モル当量)、及び水(300.0g/26.5モル当量/2.0相対容量)の混合物を、激しく攪拌しながら約3〜7時間加熱還流した。本混合物をTi=85〜95℃に冷却し、相を分離した。有機相に、Ti<55℃にてアセトン(316.0g/8.64モル当量/2.7相対容量, Tb=56.2℃)を加えた。Ti=25℃になるまで冷却を続けた。
【0056】
エチル(S)−2−エトキシ−3−[4−(2−{4−メタンスルホニルオキシフェニル}エトキシ)フェニル]プロパノエートを含有するアセトン溶液を、反応器中にてTi=25℃に保持した。LiOHxH2O粉末(34.3g/1.3モル当量)を水(600.0g/4.0相対容量)中に溶解して得た溶液を、激しく攪拌しながら25±5℃にて30分にかけて連続的に加えた。反応を1〜3時間続けた。Ti=25±5℃にてEtOAc(40.5g/0.73モル当量/0.3相対容量)を加えることによって、反応混合物をクエンチした。減圧にてTi≦35℃で蒸発させることによって、アセトン、EtOH、及びEtOAcを除去した。本溶液を、Ti=35℃にて酢酸イソプロピル(5.0相対容量/750.0ml)で1回洗浄した。水層を蒸発除去して600ml/4.0相対容量にしてから結晶化を起こさせ、そしてさらに残留しているEtOAcを除去した。
【0057】
25℃にて適切に攪拌しながら本溶液に酢酸(629.4g/600ml/4.0相対容量)を加え、透明な溶液を形成させた。本溶液に、(S)−2−エトキシ−3−[4−(2−{4−メタンスルホニルオキシフェニル}エトキシ)フェニル]プロパン酸(0.75g)の種結晶を加えた。本溶液を20℃に冷却した。温度を20℃に保持しつつ、水(600g/600ml/4相対容量)と硫酸(27.6g/15.0ml/0.1相対容量)との混合物をスラリーに加えた。水を加えた後、pHを調べ、H2SO4又はLiOH×H2Oを使用してpHを2〜2.5に調整した。スラリーを−4℃に冷却した。スラリーを−4℃で19時間放置した。スラリーを濾過し、水で洗浄した(2×450ml/2×3.0相対容量)。(S)−2−エトキシ−3−[4−(2−{4−メタンスルホニルオキシフェニル}エトキシ)フェニル]プロパン酸を減圧にて40℃で乾燥した。
本発明は、下記の式Iに示す化合物2−エトキシ−3−[4−(2−{4−メタンスルホニルオキシフェニル}エトキシ)フェニル]プロピオン酸、又はその(R)エナンチオマーもしくは(S)エナンチオマー、あるいはその医薬として許容されうる塩、及びその溶媒和物の改良された製造法に関する。
【0002】
【化1】
【0003】
上記の化合物は、II型糖尿病を含めたインスリン抵抗性症候群(IRS)〔インスリン過剰血症;発現しうるII型糖尿病;動脈性高血圧;中心性(内臓)肥満;並びに、一般には、VLDL(超低密度リポタンパク質)の増大、小さな密なLDL粒子とHDL(高密度リポ蛋白質)濃度の減少、及びフィブリン溶解の減少を特徴とする乱れたリポ蛋白質レベルとして観察される異脂肪血症;が付随するインスリン抵抗性を含めた一群の徴候を表わしている〕に対して使用するためのものである。
【0004】
最近の疫学的研究によれば、インスリン抵抗性に罹った人は、心臓血管に病的状態をきたして死に至る危険性が大幅に増大し、心筋梗塞や卒中に罹患することが顕著である、と報告されている。II型糖尿病においては、全死亡数のうちの最大80%までをアテローム性動脈硬化症に関係した疾患が引き起こしている。
【0005】
臨床医学においては、IRSに罹患している患者に対してインスリン感度を高める必要性が、したがってアテローム性動脈硬化症の進行の加速を引き起こすと考えられる異脂肪血症を治療する必要性が認識されている。しかしながら、この疾患は、現時点で充分には解明されていない疾患である。
【0006】
PCT公開番号WO99/62872に式Iの化合物が開示されている。該特許出願の実施例1と2に、式Iの化合物を製造するための2つの別個の方法が開示されている。我々は、開示されている方法のうちの一方に対して改良点を発見した。
【0007】
具体的には、我々は、最後から2番目のエステル化中間体を合成するための改良された方法を見出した。反応の最終工程は、エステル基を最終生成物である酸へ転化させることである。
【0008】
したがって本発明は、式I
【0009】
【化2】
【0010】
(式中、RはH又は酸保護基である)で示される化合物の製造法を提供し、このとき前記製造法は、式II
【0011】
【化3】
【0012】
(式中、Rは前記にて定義した通りである)の化合物と式III
【0013】
【化4】
【0014】
(式中、Xは適切な離脱基である)の化合物とを、塩基と相間移動触媒との存在下にて50℃〜150℃の範囲の温度で反応させることを含む。
他の態様においては、本発明は、式I
【0015】
【化5】
【0016】
(式中、RはH又は酸保護基である)で示される化合物の製造法を提供し、このとき前記製造法は、式II
【0017】
【化6】
【0018】
(式中、Rは前記にて定義した通りである)の化合物と式III
【0019】
【化7】
【0020】
(式中、Xは適切な離脱基である)の化合物とを、塩基の水溶液と相間移動触媒との存在下にて50℃〜150℃の範囲の温度で反応させることを含む。
他の態様においては、本発明は、式I
【0021】
【化8】
【0022】
(式中、RはH又は酸保護基である)で示される化合物の製造法を提供し、このとき前記製造法は、式II
【0023】
【化9】
【0024】
(式中、Rは前記にて定義した通りである)の化合物と式III
【0025】
【化10】
【0026】
(式中、Xは適切な離脱基である)の化合物とを、固体塩基と相間移動触媒との存在下にて50℃〜150℃の範囲の温度で反応させることを含む。
本発明の製造法は、溶融物の状態においても、あるいは式IIとIIIの化合物に対する適切な溶媒の存在下においても行うことができる。本発明の製造法は、80℃〜130℃の範囲の温度で行うのが好ましく、90℃〜110℃の範囲の温度で行うのが最も好ましい。
【0027】
“酸保護基”とは、エステルやアミド等の適切な誘導体を形成させることによって、あるいは当業界に公知の、カルボン酸基に対する他の保護手段を施すことによって、カルボン酸が反応を受けないように保護されている、ということを意味している。適切な保護手段と酸誘導体(並びに、保護基の形成と最終的な脱保護の手段)の例が、「T.W.Greene and P.G.M.Wuts,“Protective Groups in Organic Synthesis”,第3版,John Wiley & Sons,New York,1999」に記載されている。エステルの性質は、プロセスの遂行にとって重要なことではない。なぜなら、エステルの機能は保護基として作用することだからである。本発明の改良点は、相間移動触媒をプロセスに適用することに関している。Rは、H、ベンジル、又は(1−4C)アルキル基(例えば、メチル、エチル、又はプロピル)であるのが好ましい。Rは(1−4C)アルキル基であるのがさらに好ましい。Rはエチルであるのが最も好ましい。
【0028】
上記の製造法はいずれも、保護基を除去して、RがHである式Iの化合物を生成させる、という追加の工程を含んでよい。Rがエステルであって、保護基の除去工程が加水分解工程を含むのが好ましい。加水分解工程は、酸触媒によるものであっても、あるいは塩基触媒によるもの(例えば、水酸化リチウムを使用)であってもよい。所望により、加水分解工程に有機液体(例えば、アセトン、2−ブタノン、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、又はジオキサン)が存在してもよい。酸エステル誘導体の転化は、エステルの酸への加水分解(酸触媒、アルカリ触媒、又は酵素触媒作用による)によって行うことができ、このような工程は当業者に公知である(例えば、後述の実施例において、及びWO99/62872の実施例2i)において記載されている)。
【0029】
Xは、ハロ(例えばブロモ、クロロ、又はヨード)、又は置換されていてもよいフェニルスルホニルオキシ基〔特に、(4−メチルフェニル)スルホニルオキシ基、2,4,6−トリイソプロピルフェニルスルホニルオキシ基、又はアルキルスルホニルオキシ基(例えばメタンスルホニルオキシ)〕であるのが適切である。Xは、メタンスルホニルオキシ基であるのが好ましい。
【0030】
適切な塩基としては、カーボネート、ハイドロゲンカーボネート、又は水酸化物(特にアルカリ金属水酸化物)などがある。塩基は、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、又は炭酸水素カリウムであるのが好ましい。
【0031】
相間移動触媒は、クラウンエーテル、ポリエチレングリコール、又は第四アンモニウム塩(特にハロゲン化物対イオンを含む第四アンモニウム塩)であるのが適切である。適切なクラウンエーテルとしては、18−クラウン−6、ジシクロヘキシル[18−クラウン−6]、及びジベンゾ[18−クラウン−6]などがある。適切なポリエチレングリコールとしては、PEG400がある。適切な第四アンモニウム塩としては、臭化テトラヘキシルアンモニウム、塩化メチルトリオクチルアンモニウム、及び臭化テトラオクチルアンモニウムなどがある。
【0032】
式IIIの化合物と式IIの化合物とのモル比は0.5〜10の範囲であるのが適切であり、0.8〜4の範囲であるのが好ましく、1.0〜3の範囲であるのがさらに好ましく、1.2〜1.6の範囲であるのが最も好ましい。
【0033】
相間移動触媒と式IIの化合物との重量比は0.05〜10の範囲であるのが適切であり、0.1〜5の範囲であるのが好ましく、0.15〜3の範囲であるのがさらに好ましい。
【0034】
塩基と式IIの化合物とのモル比は0.5〜10の範囲であるのが適切であり、0.8〜4の範囲であるのが好ましく、1.0〜3の範囲であるのがさらに好ましく、1.2〜1.6の範囲であるのが最も好ましい。
【0035】
溶媒(使用する場合)は有機溶媒である。有機溶媒は、プロトン性溶媒であっても、又は非プロトン性溶媒であってもよく、好ましいのは非プロトン性溶媒(例えば、2−ブタノン、イソブチルメチルケトン、アセトン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、又はN−メチルピロリドン)である。本発明の製造法は50℃〜150℃の範囲の温度で行わなければならないので、所望の反応温度より低い沸点を有する溶媒を使用して所望の反応温度を達成するためには、必要に応じて本発明の製造法を減圧下で行うことができる、という点は当業者にとっては十分認識されることである。
【0036】
本発明の製造法は次のような利点を有する。本発明の製造法は、従来技術にて公知の反応より反応時間が短く、したがって実施する上でのコストがより少ない。本発明の製造法はさらに、より高い収率をもたらし、生成物の純度は、これまでに開示されている式Iの化合物の製造法の場合より高い。本発明の製造法はさらに、再現性が高くて変動が少ない。
【0037】
溶融物が使用される製造法においては、より高い純度が達成され、反応はより体積効率が良い(すなわち、同じ反応容器でもより高い収量が得られる)。
他の態様においては、本発明は、式I
【0038】
【化11】
【0039】
(式中、RはHである)で示される化合物の製造法を提供し、このとき前記製造法は、式II
【0040】
【化12】
【0041】
(式中、Rは酸保護基である)の化合物と式III
【0042】
【化13】
【0043】
(式中、Xは適切な離脱基である)の化合物とを、固体塩基と相間移動触媒との存在下にて50℃〜150℃の範囲の温度で反応させてRが酸保護基である場合の式Iの化合物を得ること、及びその後に保護基を除去してRがHである場合の式Iの化合物を得ることを含む。
【0044】
好ましい態様においては、本発明の製造法は、RがH又は酸保護基である場合の式IIの化合物のS−エナンチオマーを使用し、次いでRが酸保護基であるときは加水分解することによって、RがHである場合の式Iの化合物のS−エナンチオマーを提供する。
【0045】
RがHである場合の式Iの化合物は、再結晶によって精製することができる。適切な再結晶溶媒としては、エタノール、水、酢酸イソプロピル、イソプロパノール、イソオクタン、及びトルエンのうちの1種以上がある。
【0046】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明がこれらの実施例によって限定されることはない。
略語
EtOA = 酢酸エチル
HPLC = 高速液体クロマトグラフィー
i−PrOAc = 酢酸イソプロピル
PEG = ポリエチレングリコール
MEK = メチルエチルケトン又はブタン−2−オン
MIBK = メチルイソブチルケトン又は3−メチルブタン−2−オン
EtOH = エタノール
出発物質の製造
2−(4−メタンスルホニルオキシフェニル)エチルメタンスルホネートをWO99/62872に記載の手順に従って製造した。
【0047】
(実施例1)
エチル(S)−2−エトキシ−3−[4−(2−{4−メタンスルホニルオキシフェニル}エトキシ)フェニル]プロパノエート
2−(4−メタンスルホニルオキシフェニル)エチルメタンスルホネート(298.5g, 1.01モル)、エチル(2S)−2−エトキシ−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロパノエート(96.7g, 406ミリモル)、及びPEG−400(32.5g, 81ミリモル)を110℃で一緒に溶融させた。激しく攪拌しながらNa2CO3(56.8g, 536ミリモル)を加えた。この温度で反応を5.5時間続けた(HPLC制御による転化率>95%)。次いで本混合物を45℃に冷却した。アセトン(500ml)を加えた。全ての有機物質が溶解するまで混合物を攪拌した。次いで無機塩を濾別した。この塩をアセトンで2回(2×300ml)洗浄した。表記化合物のアセトン溶液を次の工程に直接使用した。
【0048】
(S)−2−エトキシ−3−[4−(2−{4−メタンスルホニルオキシフェニル}エトキシ)フェニル]プロパン酸
エチル(S)−2−エトキシ−3−[4−(2−{4−メタンスルホニルオキシフェニル}エトキシ)フェニル]プロパノエートを含有するアセトン溶液に水(200ml)を加えた。激しく攪拌しながら、濃NaOH水溶液(34ml, 568ミリモル)を加えた。本溶液を+30℃に加熱し、激しく攪拌しながら反応を6時間続けた(HPLC制御による転化率>99%)。反応混合物をEtOAc(140ml)でクエンチした。pHが11になったとき、減圧下にて約50℃で有機溶媒の蒸発除去を開始した。全ての揮発性溶媒を除去(750mlの溶液が反応器中に残留)してから、水(100ml)を加え、反応器中に520mlの溶液が残留するようになるまで蒸留を続けた。本溶液を20℃に冷却し、水(280ml)を加えた。本溶液をEtOAcで3回(2×600ml, 1×400ml)抽出した。
【0049】
次いで25%H2SO4を使用して、pHを2〜2.5にした。本溶液を50℃に加熱し、残留しているEtOAcを減圧下にて留去した。水が留出し始めたときに、蒸発除去を終了した。次いで酸性水溶液を50℃にてトルエン(605ml)で抽出した。トルエン相を50℃にて水(380ml)で洗浄した。トルエン溶液を約1時間で20℃に冷却した。20℃において(S)−2−エトキシ−3−[4−(2−{4−メタンスルホニルオキシフェニル}エトキシ)フェニル]プロパン酸の種結晶を入れた。次いで形成されたスラリーを8℃に冷却し、一晩放置して結晶化させた。生成物を濾過し、8℃のトルエン(160ml)で洗浄した。
【0050】
(実施例2)
2−(4−メタンスルホニルオキシフェニル)エチルメタンスルホネート
2−(4−ヒドロキシフェニル)エタノール(20.0g, 143.7ミリモル)を2−ブタノン(MEK, 200ml)とトリエチルアミン(44.3ml, 316.2ミリモル)中に溶解した。透明な溶液が得られた後に、混合物を3℃に冷却した。次いで、温度を17℃未満に保持しながら、約15分で塩化メタンスルホニル(23.4ml, 301.8ミリモル)を加えた。全ての塩化メタンスルホニルを加えてから25分後に転化率を調べた。スラリーを6℃に冷却し、形成された塩を濾別し、8℃の2−ブタノン(MEK,50ml)で洗浄した。2−(4−メタンスルホニルオキシフェニル)−エチルメタンスルホネートのMEK溶液を次の工程に使用した。
【0051】
エチル(S)−2−エトキシ−3−[4−(2−{4−メタンスルホニルオキシフェニル}エトキシ)フェニル]プロパノエート
2−(4−メタンスルホニルオキシフェニル)エチルメタンスルホネート(約105ml, 60.2ミリモル)を含有するMEK溶液中にエチル(S)−2−エトキシ−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロパノエート(10.0g, 41.5ミリモル)を溶解した。均質溶液が形成された後に、激しく攪拌しながらPEG−400(4.0g, エチル(S)−2−エトキシ−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロパノエートに対して40重量%)とK2CO3(8.67g, 62.2ミリモル)を加えた。本混合物を、激しく攪拌しながら79℃で約6時間還流して反応させた。反応混合物を26℃に冷却し、MEK(10ml)を加えた。水(50ml)を加え、相を分離した。有機相を水(20ml)でもう1回洗浄した。この有機相を次の工程に使用した。
【0052】
(S)−2−エトキシ−3−[4−(2−{4−メタンスルホニルオキシフェニル}エトキシ)フェニル]プロパン酸
エチル(S)−2−エトキシ−3−[4−(2−{4−メタンスルホニルオキシフェニル}エトキシ)フェニル]プロパノエート(7.55g, 17.2ミリモル)の2−ブタノン溶液(総容量約50ml)に、アセトン(25ml)、水(5ml)、及びNaOH(3M, 7.5ml)を加えた。アセトン(10ml)を加え、本混合物を30℃に加熱した。約3.5時間後に本混合物を25℃に冷却し、EtOAc(20ml)を加えた。減圧にて本混合物から溶媒を蒸発させて、揮発性の溶媒を除去した。溶媒の蒸発除去中に、さらに水(40ml)加えた。EtOAc(40ml)を加え、本混合物を抽出した。相を分離し、水層をEtOAc(15ml)でもう一度洗浄した。トルエン(30ml)を加え、混合物のpHを濃硫酸で2.1に調整した。層を分離し、水層をトルエン(8ml)でもう一度抽出した。有機層を合わせて水(8ml)で1回洗浄した。トルエン溶液から溶媒を蒸発除去して容量を20mlにした。本溶液に種結晶を加え、冷却しつつ結晶化させた。トルエン(6ml)を加えて、スラリーの流動性を上げた。生成物を濾過し、冷トルエン(10ml)で1回洗浄した。次いで減圧にて結晶を乾燥した。
【0053】
(実施例3)
2−(4−メタンスルホニルオキシフェニル)エチルメタンスルホネート(1.64g, 5.41ミリモル)を22℃にて2−ブタノン(10.0ml)中に溶解した。エチル(2S)−2−エトキシ−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロパノエート(1.0g, 4.16ミリモル)、18−クラウン−6(0.06g, 0.21ミリモル)、及びK2CO3(0.81g, 5.82ミリモル)を加えた。本混合物を4時間加熱還流した。93%の転化率に達した。
【0054】
(実施例4)
2−(4−メタンスルホニルオキシフェニル)エチルメタンスルホネート(3.09g, 10.5ミリモル)、エチル(S)−2−エトキシ−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロパノエート(1.00g, 4.20ミリモル)、及びジベンゾ−18−クラウン−6(0.15g, 0.42ミリモル)を混合した。本混合物を90℃に加熱し、K2CO3(1.25g, 5.46ミリモル)を加えた。反応を110℃で4時間進行させた。91%の転化率に達した。
【0055】
(実施例5)
2−(4−メタンスルホニルオキシフェニル)エチルメタンスルホネート(296.5g/1.6モル当量)、エチル(S)−2−エトキシ−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロパノエート(150g/1.00モル当量)、PEG−400(50.36g/0.2モル当量/0.30相対容量(rel vol))、Na2CO3(88.74g/1.33モル当量)、及び水(300.0g/26.5モル当量/2.0相対容量)の混合物を、激しく攪拌しながら約3〜7時間加熱還流した。本混合物をTi=85〜95℃に冷却し、相を分離した。有機相に、Ti<55℃にてアセトン(316.0g/8.64モル当量/2.7相対容量, Tb=56.2℃)を加えた。Ti=25℃になるまで冷却を続けた。
【0056】
エチル(S)−2−エトキシ−3−[4−(2−{4−メタンスルホニルオキシフェニル}エトキシ)フェニル]プロパノエートを含有するアセトン溶液を、反応器中にてTi=25℃に保持した。LiOHxH2O粉末(34.3g/1.3モル当量)を水(600.0g/4.0相対容量)中に溶解して得た溶液を、激しく攪拌しながら25±5℃にて30分にかけて連続的に加えた。反応を1〜3時間続けた。Ti=25±5℃にてEtOAc(40.5g/0.73モル当量/0.3相対容量)を加えることによって、反応混合物をクエンチした。減圧にてTi≦35℃で蒸発させることによって、アセトン、EtOH、及びEtOAcを除去した。本溶液を、Ti=35℃にて酢酸イソプロピル(5.0相対容量/750.0ml)で1回洗浄した。水層を蒸発除去して600ml/4.0相対容量にしてから結晶化を起こさせ、そしてさらに残留しているEtOAcを除去した。
【0057】
25℃にて適切に攪拌しながら本溶液に酢酸(629.4g/600ml/4.0相対容量)を加え、透明な溶液を形成させた。本溶液に、(S)−2−エトキシ−3−[4−(2−{4−メタンスルホニルオキシフェニル}エトキシ)フェニル]プロパン酸(0.75g)の種結晶を加えた。本溶液を20℃に冷却した。温度を20℃に保持しつつ、水(600g/600ml/4相対容量)と硫酸(27.6g/15.0ml/0.1相対容量)との混合物をスラリーに加えた。水を加えた後、pHを調べ、H2SO4又はLiOH×H2Oを使用してpHを2〜2.5に調整した。スラリーを−4℃に冷却した。スラリーを−4℃で19時間放置した。スラリーを濾過し、水で洗浄した(2×450ml/2×3.0相対容量)。(S)−2−エトキシ−3−[4−(2−{4−メタンスルホニルオキシフェニル}エトキシ)フェニル]プロパン酸を減圧にて40℃で乾燥した。
Claims (14)
- 保護基を除去してRがHである式Iの化合物を生成させる追加工程を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造法。
- 酸保護基を加水分解によって除去する、請求項4記載の製造法。
- 前記製造法が溶融物として行われる、請求項3〜5のいずれか一項に記載の製造法。
- Rが(1−4C)アルキル基である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の製造法。
- Xが、ハロ、置換されていてもよいフェニルスルホニルオキシ基、又はアルキルスルホニルオキシ基である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の製造法。
- 塩基が、カーボネート、ハイドロゲンカーボネート、又はアルカリ金属の水酸化物から選択される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の製造法。
- 相間移動触媒が、クラウンエーテル、ポリエチレングリコール、又は第四アンモニウム塩(特にハロゲン化物対イオンを含む第四アンモニウム塩)である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の製造法。
- 前記製造法が、式IIとIIIの化合物に対する適切な溶媒の存在下にて行われる、請求項1又は2のいずれか一項に記載の製造法。
- 溶媒が、2−ブタノン、イソブチルメチルケトン、アセトン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、又はN−メチルピロリドンから選択される、請求項11記載の製造法。
- 式Iの化合物がSエナンチオマーである、請求項1〜12のいずれか一項に記載の製造法。
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