JP2004528179A - 固体及び液体の飛沫同伴を削減する方法 - Google Patents

固体及び液体の飛沫同伴を削減する方法 Download PDF

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Abstract

分離デバイスを使用して、そこで非気化物質を気化物質から除去すべきプロセシング及び精製シーケンスにおいて、固体及び液体の飛沫同伴と、触媒などの高価な化学薬品の損失とを削減する方法を提供する。本方法は、分離される入来ストリームと気化物質の速度を調節して、分離容器の内面に接線方向に対して入来ストリームのフローを作りだし且つ維持して、高価な化学薬品の飛沫同伴と損失とを削減し易くすることを含む。

Description

【0001】
発明の分野
本発明は、非気化物質(non-vapor)と気化物質(vapor)とを分離すべき分離デバイスを使用するプロセシングシーケンス、精製シーケンス及び発電業界に関する。特に本発明は、気化物質中の固体及び液体の飛沫同伴を削減することが有用なプロセスと、蒸留/フラッシングプロセスとにおいて非気化物質と気化物質成分とを分離するためのサイクロン/ボルテックス(cyclone/vortex)法である。さらに本発明は、非気化物質と気化物質とを分離する間の触媒の損失を削減する為のプロセスに関する。
【0002】
関連技術の説明
混合相供給原料(mixed phase feed)を使用する多くの蒸留/フラッシングプロセスにおいて、供給材料ゾーンから発生する気化物質中への液滴の飛沫同伴は、経済的にも生成物の純度の観点においても望ましくない。真空フラッシャー装置での液体材料の飛沫同伴に関する問題は、Bannonらの米国特許第5,743,926号により示されているように、当業界では公知である。Bannonらにより述べられているように、供給原料ゾーンの直ぐ上にトレーを設置して、炭化水素プロセシングと精製とにおいて飛沫同伴した液滴を気化物質から除去することができる。Bannonらはさらに、飛沫分離(disentrainment)または洗浄油(wash-oil)セクションを精製所に組み込んで、真空フラッシャーの気化物質出口へ進む際に、気化物質ストリームから液滴をふるい落とすことによって、飛沫同伴問題を軽減している。Bannonらにより請求された方法にもかかわらず、コスト面から有効且つ効率的な飛沫同伴を削減する方法は、業界では不足している。
【0003】
経済性及び生成物の純度の両方の点におけるもう一つの問題は、溶解または懸濁した固体、たとえば(単数または複数種類の)触媒の気化物質の塔頂流出物(overhead)での飛沫同伴である。飛沫同伴した固体は、生成物の純度に有害なことがあり、下流の装置を汚染しかねない。さらに、飛沫同伴した固体は、触媒などの貴重な化学物質の損失へと転じることがある。この点において、Leetらの米国特許第6,153,792号では、トレーと液体洗浄(liquid wash)とを使用するフラッシュ段階を用いた、固体触媒粒子の存在下でのカルボン酸精製プロセスを開示している。Leetらにより開示されたこの液体洗浄段階は、通常、上方向に流れている気化物質の中で、摩滅触媒粒子をフラッシャー下方へ「洗浄」する。Brewsterらの米国特許第4,247,486号及びHarrisらの米国特許第4,287,369号は、反応器塔頂流出物での飛沫同伴によるロジウム触媒の損失について記載し、除霜パッド(demisting pad)を使用して、反応器に戻すために飛沫同伴した液滴を除去することを開示している。Leetら、Brewsterら、及びHarrisらにより請求された方法にもかかわらず、コストの点から有効且つ効率的な、溶解または懸濁した固体の飛沫同伴及び触媒などの貴重な化学物質の損失を削減する方法は、業界では不足している。
【0004】
飛沫同伴による触媒の損失量を削減することは、Higleyらの米国特許第4,166,773号、Strongの米国特許第4,163,701号及びLairdの米国特許第4,871,879号により示されているように、種々様々な業界で関心がもたれてきた。しかしながら、これらの方法のいずれも、業界での需要を満たしてきていない。
【0005】
本発明の方法は、業界における多様な需要を満たす:(1)分離した気化物質中における、液体及び溶解した固体または懸濁した固体の飛沫同伴を削減;(2)飛沫同伴の削減の結果として、貴重な化学物質の損失量を削減;(3)従前は同一目的に関して大きく且つ高価な容器しか使用できなかったが、小さく且つ安価な分離容器を使用して飛沫同伴を削減することが可能;及び(4)全く新しい容器を架設する必要なく、飛沫同伴を削減するために現行の分離容器の装備を改良することが可能である。
発明の概要
本発明に従って、分離容器を出る気化物質フロー(flow)において、「非気化物質」と総称される、固体及び液体の飛沫同伴(entrainment)を削減する方法を提供する。本発明の好ましい方法に従って、以下の:(1)ストリーム(stream)の導入地点から分離容器の内面に沿って気化物質出口に向かうストリームの上昇(climbing)またはクリープ(creeping)を最小限に抑制する;(2)幾らかでもあったとしても、気化物質出口を通って分離容器から出る非気化物質量を削減する;及び(3)以後、「接線方向の整合性:tangential coherency」という、分離容器の内面に対して接線方向にストリームのフローを最大化する段階の一つ以上を実施して、分離容器を出る気化物質フローにおける非気化物質の飛沫同伴を削減する。
【0006】
本発明の方法は、内面と、少なくとも一つの入口と、少なくとも一つの気化物質出口とをもつ分離容器へストリームを導入することを含む。このストリームは気化物質及び非気化物質の任意の混合物であってもよい。本明細書中で使用する「気化物質:vapor」なる用語は、気化物質及び/または気体を意味するものとする。本明細書中で使用する「非気化物質:non-vapor」なる用語は、液体、固体(たとえば触媒)、及び液体と固体との混合物、たとえば溶液及び懸濁液を意味するものとする。本発明の方法に従って、ストリームは少なくとも一種の非気化物質と少なくとも一種の気化物質とを含む。このストリームを(単数または複数種類の)入口を通して分離容器内に導入し、ここで分離容器内に導入するときに前記ストリームの速度が落とされ、ここで前記ストリームの接線方向の整合性が最大化する。入来ストリームの速度が落とされ、その接線方向の整合性が最大化すると、ストリームが分離容器の内面に沿って気化物質出口に向かって移動する傾向を最小限に抑制することに寄与し、且つ飛沫同伴の削減に寄与する。
【0007】
本発明の方法に従って、気化物質フローは分離容器内のストリームから分離され、非均一な気化物質速度で分離容器内を上昇する。この気化物質フローは、気化物質フロー出口速度で移動しながら、(単数または複数種類の)気化物質出口を通って分離容器を出る。本発明の好ましい態様により、気化物質フローが分離容器内を流れる非均一速度は、分散されて、非気化物質の飛沫同伴及び、触媒などの貴重な成分の損失削減に役立つ。気化物質速度の分散(disutribution)は、ストリームが分離容器の内面に沿って気化物質出口に向かって移動する傾向を減らすのに寄与し、また上昇する気化物質フローの渦巻き力(vortex capability)を最小化して、非気化物質の飛沫同伴を削減する。
【0008】
本発明のさらに好ましい態様に従って、ストリームが分離容器に導入されるときに、接線方向の整合性が最大化するように、ストリームが分離容器の内面に沿って気化物質出口に向かって移動する傾向を最小限に抑制するように、及び(単数または複数種類の)気化物質出口を通って気化物質フローと一緒に出る非気化物質量を最小限に抑制するように、ストリームを路に沿って案内する。
【0009】
非気化物質の飛沫同伴と貴重な非気化物質の損失とを削減するための本発明のさらに好ましい態様は、ストリームの接線方向の整合性を維持するように、ストリームが分離容器の内面に沿って気化物質出口に向かって移動する傾向を最小限に抑制するように、及び(単数または複数種類の)気化物質出口を通って気化物質フローと一緒に分離容器を出る非気化物質の量を最小限に抑制するように、気化物質フロー出口速度を制御することを含む。
【0010】
本発明のさらに好ましい態様により、当業界で公知のサイクロンを本発明の他の態様と組み合わせて使用して、気化物質フローと一緒に分離容器を出る非気化物質をどれも回収することができる。
【0011】
本発明の方法は、以下の詳細な説明及び実施例によってさらに説明する。
詳細な説明
図面、特に図1を参照して、二つの入口(1)と(2)とをもつ分離容器(3)を説明する。図2は、二つの入口(1)と(2)、気化物質出口(6)、ベース(4)と出口(5)とをもつ分離容器(3)の正面図を示す。
【0012】
入口(1)と(2)とを通って分離容器(3)の中に、ストリームを導入する。使用する(単数または複数種類の)入口の数、(単数または複数種類の)入口の位置及び、(単数または複数種類の)入口の直径は、分離容器内に導入する際にストリームの速度を落とすため、ストリームが分離容器の内面に沿って気化物質出口に向かって移動する傾向を減らすため、及び非気化物質の飛沫同伴を削減するために、分離容器の構造によって規定されるように、操作することができる。
【0013】
(単数または複数種類の)入口(1)及び/または(2)の直径は、入来ストリームの接線方向の整合性が最大化されるようであるのが好ましい。図2においては、入口(1)と(2)は筒状構造であるように示されているが、当業者には、筒状構造以外の構造をもつ入口も使用し得ることが理解されるだろう。従って、(単数または複数種類の)入口を設計するのに、広範な種類の構造を用いることができる。図6に示されているように、本発明の別の態様では、入口(1)と(2)の位置は、入口(1)の入口地点が、入口(2)の入口地点と垂直方向に位置がずれるように変動させることができる。当業者は、入口(1)と(2)との間の垂直方向の位置のずれは、速度を落とし且つ入来ストリームの接線方向の整合性を最大化して飛沫同伴を削減するように、分離容器の構造によって規定されるように、広範囲を変動し得ることを理解するだろう。
【0014】
図7に示されているように、本発明のもう一つの態様により、複数の入口(1)、(2)、(12)と(13)とを使用して速度を落とし、且つ入来ストリームの接線方向の整合性を最大化することができる。図7に示されているように、入口(1)と(2)は、分離容器(3)内への接線方向の入口を提供し、他方、入口(12)と(13)は垂直方向の入口を提供する。当業者は、入口(1)、(2)、(12)と(13)が本質的に例示であって、この入口は、分離容器の外周に沿った任意の場所に配置できることを理解するだろう。また、当業者は、分離容器の構造によって、及びコスト面からの利益によって規定されるように、使用する入口の数は広範囲を変動し得ることを理解するだろう。
【0015】
投入ストリーム(input stream)中の非気化物質対気化物質の比は、非気化物質が気化物質中にそれほど分散していないので、非気化物質の集塊を形成するためにストリームに加速力(accelerating force)を適用しなければならないようであるのが好ましい。もう一つの好ましい態様では、ストリームの速度は、分離容器(3)の壁に接触するとき、ストリームが細分化(breakup)しないような速度に落とされる。分離容器に導入すると、ストリームの速度は、ストリーム中の非気化物質の粒子の細分化によってそのような非気化物質の飛沫同伴を導く速度よりも遅い速度に落とされるのが好ましい。
【0016】
気化物質はストリームから分かれて、分離容器のデザインによって規定されるように、非均一の気化物質速度で気化物質出口(6)から分離容器(3)を出る。気化物質は、分離容器に入る際に減圧することによって、または当業者に公知の他の方法によってストリームから分けることができる。分離容器(3)内で非均一な気化物質速度を減速且つ分散させるために、図3に示されているように、分離容器内に分散トレー(7)を配置するのが好ましい。本発明の好ましい態様により、この分散トレーは実質的に平面のふるいのトレーである。そのようなトレーは、当業者に公知である。当業者は、平面トレーまたは実質的に平面トレーを使用し得ることも理解するだろう。
【0017】
この分散トレー(7)は、分離容器内で気化物質の非均一速度を分散させる。しかしながら、分散トレー(7)の穿孔部分と中実部分とでは、局部的に速度が異なるので、分散トレー(7)は非均一速度を均一にまではしない。気化物質速度が早いと、低速の気化物質速度よりもたくさんの非気化物質を運ぶ傾向があるので、非均一の気化物質速度を分散させると、飛沫同伴の削減に寄与する。分散トレー(7)は、ストリームが分離容器(3)の内面に沿って気化物質出口(6)に向かって移動する傾向を最小化することにも寄与する。
【0018】
本発明の方法に従って、トレー(7)を使用するとき、トレーを分離容器(3)の中に配置し、ストリームがトレー(7)に接触も溢れさせたりもしないようにストリームの速度を維持する。トレー(7)の分散能力を維持しつつ、入口(1)及び(2)とトレー(7)との距離を最大化するのが好ましい。
【0019】
もう一つの好ましい態様において、トレー(7)は、気化物質の渦巻き力を最小化し、且つ分離容器(3)内で気化物質を上方向に移動させる地点に配置する。本発明のもう一つのさらに好ましい態様により、水、液体の洗浄ストリーム(irrigating stream)または他の洗浄ストリームをトレー(7)に提供して、非気化物質の飛沫同伴を削減し易くする。
【0020】
気化物質が入来ストリームから分離するのに連れて、分離容器(3)の中の非気化物質はベース(4)内に集まり、ここで出口(5)を通るその放出を制御することによってレベル(9)に保持される。当業者は、広範な種類の方法を使用して出口(5)を通して非気化物質を放出し得ること、及び分離容器の構造によって規定されるように、保持されるレベル(9)を変動し得ることを理解するだろう。分離容器(3)は単純な筒状デザインをもつものとして示されているが、当業者には他の構造をもつ容器も使用し得ることが理解されるだろう。従って、広範な種類の構造を利用して分離容器を設計することができ、分離容器の残りの部分に関しては、ベース(4)の先細または先太が挙げられるが、これらに限定されない。分離容器(3)のベース(4)のレベル(9)は、分離容器(3)から非気化物質を制御放出でき、且つストリームによって飛沫同伴されたベース(4)内での非気化物質量を最小限に抑制するような高さに維持するのが好ましい。バッフル(示されていない)をベース(4)に付け加えて、ベース(4)の非気化物質の回転フローを最小化し、そして入来ストリームによるベース内での非気化物質の飛沫同伴を最小限に抑制するのを支援するのが好ましい。バッフル及びバッフルと同じ効果を持つ形態は、当業者に公知である。
【0021】
本発明に従って、気化物質フローと一緒に出る非気化物質量の最小化に寄与するために、入来ストリームによるベース(4)中の非気化物質の飛沫同伴を最小化するのが好ましい。本発明のこれらの目的は、以下の:入口(1)と(2)の配置、ベース(4)内の非気化物質のレベルの維持、入来ストリームの速度の調節、分離容器(3)内での非均一気化物質速度の分散、及び出る気化物質の速度の調節、の一つまたは組合せによって達成するのが好ましい。当業者は、入口(1)と(2)の位置、ベース(4)内に維持された非気化物質のレベル、入来ストリームの速度の調節、分離容器内での非均一気化物質速度の分散、及び出る気化物質の速度の調節は、分離容器の構造によって規定されるように、最も好ましい性能を達成するように、それぞれ広範に調節することができ、他と関係なくそれぞれ調節できることを理解するだろう。
【0022】
図4及び5に示されているように、本発明のもう一つの好ましい態様により、入口ガイド(8)を分離容器内に配置して、ストリームの接線方向の整合性を最大化することができる。(単数または複数種類の)入口ガイド(8)は、容器(3)の内面に対して垂直に伸長する第一の棚(10)と、容器(3)の内面に対して同心円状であって、前記第一の棚(10)に対して垂直に伸長する第二の棚(11)とをもつ。図4に示されているように、この入口ガイド(8)は、(単数または複数種類の)入口(1)と(2)の入口地点を覆うように、分離容器(3)の内面に沿ってアーチ状で且つこれに沿った輪郭とすることができる。第二の棚(11)は、(単数または複数種類の)ガイドの全長にわたって伸長するのが好ましい。(単数または複数種類の)ガイド(8)の第一の棚(10)は、(単数または複数種類の)入口(1)及び/または(2)の直径とほぼ同じ距離だけ分離容器(3)の内面から伸長するのが好ましい。(単数または複数種類の)入口ガイド(8)は、約60〜120度の円弧を外接して囲むのが好ましい。(単数または複数種類の)入口ガイド(8)は、約90〜120度の円弧に外接させるのが最も好ましい。当業者には、(単数または複数種類の)入口ガイド(8)の構造及び外形は、分離容器のデザインによって規定されるように変形し得ることが解るだろう。
【0023】
当業者には、分離容器内で外側に向かって伸長する(単数または複数種類の)ガイド(8)は、分離容器の構造によって規定されるように最も好ましい性能に関し広範囲に変形し得ることが解るだろう。また当業者には、飛沫同伴の減少を最大化するために、分離容器(3)の構造によって規定されるように、(単数または複数種類の)ガイド(8)はアーチ状でなくてもよく、(単数または複数の)ガイド(8)は、僅かな傾斜を含む、種々の位置、配置及び角度で設置できることを理解するだろう。
【0024】
特定の液滴または粒径分布が一度形成すると、表在速度は飛沫同伴を引き起こすので、出る気化物質の速度降下に寄与する大きな直径の気化物質出口(6)は、非気化物質の飛沫同伴を削減するのにも利用することができる。気化物質出口の直径は、出る気化物質の速度に影響を及ぼす。本発明の好ましい態様では、任意の分離容器に関するデザインの点では、(単数または複数種類の)入口と気化物質出口とが最大に離れている。当業者は、使用する(単数または複数種類の)気化物質出口の数、その配置、その直径、及びその構造配置を、分離容器の構造により、及びコスト面での利益により規定されるように、調節し変形できることを理解するだろう。
【0025】
もう一つの好ましい態様において、気化物質出口(6)を当業界で公知のサイクロン(示されていない)に送り込む。当業界で慣用されているように、サイクロンは、出る気化物質フロー中に飛沫同伴される全ての液体及び固体を集める。サイクロンにより集められた流体または固体は、操作時の特定の精製またはプロセシングシークエンスに従って、循環または貯蔵することができる。
【0026】
本発明に従って、飛沫同伴の削減は、以下の:(1)使用する(単数または複数の)入口の数、(単数または複数種類の)入口の位置、及び(単数または複数種類の)入口の直径を調節することによって、入来ストリームの速度を落とす;(2)分離容器に導入されるときに、その速度を落とすことにより、及び/または路に沿って案内することによって入来ストリームの接線方向の整合性を最大化する;(3)その速度を落とすことにより、及び/または分離容器に導入するときに路に沿って案内することにより、及び/または分離容器内で気化物質速度を分散させることにより、ストリームが分離容器の内面に沿って気化物質出口へ移動する傾向を最小限に抑制する;及び(4)(単数または複数種類の)出口の数、(単数または複数種類の)出口の位置、及び(単数または複数種類の)出口の直径を調節することにより、気化物質フロー出口速度を落とす、各方法の一つ以上によって達成することができる。
【0027】
以下の実施例を参照して本発明を詳細に説明する。この実施例は、本発明の方法の単なる例示であり、本発明を限定するものではない。
実施例
気体/液体プロセスにおいて、スプレー及びミストの状態の液体飛沫同伴は、撹拌、濃縮及びフラッシングに伴う圧力変化などの幾つかのメカニズムの一つ以上によって生じた液滴形成の結果である。そのようなプロセスにおいて、液体飛沫同伴にとっての主な要因は、飛沫(drop)のサイズと分布である。アトマイザー処理、急冷、フラッシング及び蒸留などの高い乱流または速度を与えることによって生じた飛沫は、通常、単位質量当たりのエネルギーまたは出力の相関関係で決まる。
【0028】
分離容器のサイズは、使用されているプロセス及び装置、並びに使用されている液体、気化物質、気体及び固体の物理的特性に依存する。以下の実施例は、本発明のプロセスの市販のフラッシャーへの適用に関する。この市販のフラッシャーの縮小モデルを製造して、実施例で記載する試験を実施した。市販のフラッシャーのようなフラッシャーでは、エネルギーは、高速フラッシング気化物質によって液体に供給される。運動エネルギーによる気化物質の速度(rate)及び質量による液体速度のスケールダウンは、以下のようにモデルフラッシャー装置に関して予測した。
【0029】
気相に関しては、運動エネルギーのスケール変更は、デミスタ(除霜装置)に関するSouders-Brown相関関係に非常に関連している、蒸留で使用される利用率の定義(capacity factor definition)によって表わされる。液相のスケールダウンは、市販の装置とモデル装置との間の相当質量比(equivalent mass ratio)をベースとした。飛沫サイズは、系の物理的特性に依存している。気体/液体系に関しては、飛沫サイズは、乱流フローレジメにおける単位質量当たりの出力にも依存する。飛沫同伴は、表在速度(superficial velocity)の指数関数である。
【0030】
分離容器中で使用する際の通常使用される入来ストリームのフローが高速であるので、本発明は、入口速度を落とし、且つ気化物質速度を分散させるための方法を探求し、その結果、(1)入口ストリームの接線方向の整合性を生みだし、且つ保持した;(2)気化物質出口の方への分離容器の内面に沿う入口ストリームの表面移動(creepage)が減少した;(3)気化物質フローと一緒に出た入来ストリームから非気化物質量を削減した;及び(4)分離容器のベースから入来ストリームによって飛沫同伴された非気化物質量を最小限に抑制した。
【0031】
モデルフラッシャーでは、直径0.5インチの穴と、穴面積13.5%をもつ気化物質分散トレーを使用した。容器の壁に隣接する領域は、壁から約1.75インチの距離まで穴がなかった。トレーは、1.1インチの三角のピッチで1/2インチ直径の519個の穴があった。
【0032】
14-1/2インチのアクリルのプラスチックサイクロンをデザインし、幾つかの試験の実施でフラッシャーの出口に配管した。サイクロンの出口を、アクリルプラスチックボックスに含まれたデミスタ/羽根(vane)配置に配管した。サイクロンの底部が測定可能な飛沫同伴を全て捕獲したので、この構成により本発明の方法の有効性が観察し易くなった。
【0033】
幾つかの試験の実施において、トレーを水1.5ガロン/分(gpm)で濡らした(表1において、「1.5gpm濯ぎ」として記載)。
幾つかの試験の実施において、入来ストリームの中の非気化物質内に溶解または懸濁した触媒などの固体をシミュレートするために、塩を使用した(表1中、「塩」として記載)。
【0034】
フローが二つの入口管に分かれた時、それぞれ公称4-3/4インチの直径であった。入口を大きくしたとき、公称6インチの直径のアクリルプラスチック管を使用した(表1中、「スプリット入口6インチ」として記載)。
【0035】
ガイドを試験したとき、60〜120度のアーチ状の輪郭のガイドを使用した(表1中、「ガイド」として記載)。
このモデル分離容器で実施した実験の主な観察結果は以下のようであった:
・入来ストリームの気体速度が大きくなると、トレー付きフラッシャー及びトレーなしフラッシャーの両方に関して、飛沫同伴が高くなる区切り(break point)は、約800実質立方フィート/分(actual cubic feet per minute:acfm)であると思われるが、液体がトレーの底部を濡らしているので、トレーが存在する場合だけは指数関数的に増加した。
・基本のケース(トレーなし)と比較すると、濡らしたトレーは(触媒などの溶解した固体をシミュレートするために使用した)塩の飛沫同伴を約80%まで削減したが、全液体飛沫同伴は減少せず、むしろ増加した。
・4-3/4インチの公称直径の二つの入口は、有意に飛沫同伴を削減した。濡らさなかった分散トレーを加えると、飛沫同伴はほぼゼロ(所定の気体速度以下)に削減した。
・4-3/4インチの公称直径の二つの入口を使用すると、液体速度が約52から60gpmに増加したときに、約1,260acfmで飛沫同伴が急激に大きく増加した。その時点でトレーが溢れたことが観察された。さらに、濯ぎ液をトレーに添加すると、もっと遅い気体速度で溢水(flooding)が開始したことが観察された。
・二つの大きな(公称6インチ)の入口を使用すると、試験した範囲における液体及び気体速度の最大の組合せまで、測定可能な飛沫同伴は見られなかった。トレーをつけた場合に可視的な飛沫同伴もなく、さらに跳ね返し(splashing)も少なかった。
・入口の上のフローガイドは、高速での飛沫同伴の抑制に有効であった。90゜のガイドは、120゜のガイドよりも良好に実施できたようであった。
【0036】
【表1】
Figure 2004528179
【0037】
【表2】
Figure 2004528179
試験は、分離容器内にストリームを接線方向に入れるために準備したモデル分離容器で実施したが、本発明の方法は、容器内にストリームを実際に入れるのが接線方向でない場合の容器にも適用可能である。接線方向に入れることは本発明の対象でも目的でもなく、むしろ目的は、一度ストリームを容器内に導入したら接線方向の整合性を最大化させることである。
【0038】
さらに本発明の代表的な態様について記載してきたが、広範な変形、変更及び置換は本発明の開示に含まれるものであり、場合により本発明の幾つかの特徴は、他の特徴の対応する使用をせずに使用することができる。従って、付記請求の範囲は、広義に、且つ本発明の範囲と一致するように構築されるべきであるのが適切である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】図1は、二つの入口をもつ分離容器の平面図である。
【図2】図2は、二つの入口をもつ分離容器の正面図である。
【図3】図3は、二つの入口と分散トレーとをもつ分離容器の正面図である。
【図4】図4は、二つの入口と入口ガイドとをもつ分離容器の水平断面図である。
【図5】図5は、二つの入口と入口ガイドとをもつ分離容器の、図4の5−5の線に沿った垂直断面図である。
【図6】図6は、二つの入口をもつ分離容器の別の態様の正面図である。
【図7】図7は、複数の入口をもつ分離容器の別の態様の平面図である。

Claims (33)

  1. 分離容器を出る気化物質フロー中の固体及び液体の飛沫同伴を削減する方法であって、
    内面と、少なくとも一つの入口と少なくとも一つの気化物質出口とをもつ分離容器内にストリームを導入し、ここで前記ストリームは少なくとも一つの入口を通って導入されて、前記分離容器の内面に対して接線方向に流れ、ここでストリームは非気化物質部分と気化物質部分とを含み、ここで前記分離容器にストリームを導入すると、前記ストリームの速度が落とされ;
    前記分離容器でストリームから気化物質フローを分離し、前記気化物質フローは前記分離容器内で非均一な気化物質速度であり;
    前記気化物質フローが前記分離容器から少なくとも一つの気化物質出口を通って出られるようにし;次いで
    前記ストリームの速度をある速度に維持して、これによってこのストリームが内面に沿って接線方向に流れ、そして気化物質フローによるストリームの非気化物質部分の飛沫同伴が最小限に抑制される、各段階を含む前記方法。
  2. 前記ストリームの非気化物質部分が少なくとも一種の固体を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記固体が非気化物質中に溶解しているか、または懸濁している、請求項2に記載の方法。
  4. 前記分離容器内の非-均一気化物質速度をある速度に分散する段階をさらに含み、これによって前記ストリームが内面に沿って接線方向に流れ、そして気化物質フローによる前記ストリームの非気化物質部分の飛沫同伴が最小限に抑制される、請求項1に記載の方法。
  5. 前記気化物質フローによる前記ストリームの非気化物質部分の飛沫同伴が最小限に抑制されるように、前記ストリームを前記容器に導入する際に、前記ストリームを路に沿って案内する段階をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  6. 少なくとも一つの気化物質出口を通って前記気化物質フローと一緒に前記分離容器を出る前記ストリームの非気化物質部分をどれも回収する段階をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  7. 前記気化物質出口を通る前記気化物質フローの速度をある速度に維持する段階をさらに含み、それによって前記フローが内面に沿って接線方向に流れ、それによって前記気化物質フローによる前記ストリームの非気化物質部分の飛沫同伴が最小限に抑制される、請求項1に記載の方法。
  8. 分離容器を出る気化物質フローの中の固体及び液体の飛沫同伴を削減する方法であって、
    内面と、少なくとも一つの入口と少なくとも一つの気化物質出口とをもつ分離容器内にストリームを導入し、ここで前記ストリームは少なくとも一つの入口を通って導入されて、前記分離容器の内面に対して接線方向に流れ、ここでストリームは非気化物質部分と気化物質部分とを含み、ここで前記分離容器にストリームを導入すると、前記ストリームの速度が落とされ;
    前記分離容器でストリームから気化物質フローを分離し、前記気化物質フローは前記分離容器内で非均一な気化物質速度であり;
    前記気化物質フローが前記分離容器から少なくとも一つの気化物質出口を通って出られるようにし;次いで
    前記気化物質出口を通る前記ストリームの速度をある速度に維持して、これによってこのストリームが内面に沿って接線方向に流れ、そして気化物質フローによるストリームの非気化物質部分の飛沫同伴が最小限に抑制される、各段階を含む前記方法。
  9. 前記ストリームの非気化物質部分がさらに、少なくとも一種の固体を含む、請求項8に記載の方法。
  10. 前記固体が非気化物質中に溶解しているか、または懸濁している、請求項9に記載の方法。
  11. 前記分離容器内の非-均一気化物質速度をある速度に分散させる段階をさらに含み、これによって前記ストリームが内面に沿って接線方向に流れ、そして気化物質フローによる前記ストリームの非気化物質部分の飛沫同伴が最小限に抑制される、請求項8に記載の方法。
  12. 前記気化物質フローによる前記ストリームの非気化物質部分の飛沫同伴が最小限に抑制されるように、前記ストリームを前記容器に導入する際に、前記ストリームを路に沿って案内する段階をさらに含む、請求項8に記載の方法。
  13. 少なくとも一つの気化物質出口を通って前記気化物質フローと一緒に前記分離容器を出る前記ストリームの非気化物質部分をどれも回収する段階をさらに含む、請求項8に記載の方法。
  14. 分離容器を出る気化物質フローの中の固体及び液体の飛沫同伴を削減する方法であって、
    湾曲した第一の内面と、前記分離容器内で気化物質速度を分散させるために湾曲した前記第一の内面に対して垂直の第二の内面と、少なくとも一つの入口と少なくとも一つの気化物質出口とをもつ分離容器内にストリームを導入し、ここで前記ストリームは少なくとも一つの入口を通して導入されて、湾曲した前記第一の内面に対して接線方向に流れ、ここでストリームは非気化物質部分と気化物質部分とを含み、ここで前記分離容器にストリームを導入すると、前記ストリームの速度が落とされ;
    前記分離容器でストリームから気化物質フローを分離し、前記気化物質フローは前記分離容器内で非均一な気化物質速度であり;
    前記気化物質フローが前記分離容器から少なくとも一つの気化物質出口を通って出られるようにし;次いで
    前記ストリームの速度をある速度に維持して、これによってこのストリームが湾曲した前記第一の内面に沿って接線方向に流れ、そして気化物質フローによるストリームの非気化物質部分の飛沫同伴が最小限に抑制され、
    前記分離容器内で前記非-均一な気化物質速度をある速度に分散し、これによって前記ストリームは前記内面に沿って接線方向に流れ、これによって前記気化物質フローによる前記ストリームの非気化物質部分の飛沫同伴が最小限に抑制される、各段階を含む前記方法。
  15. 前記ストリームの非気化物質部分が少なくとも一種の固体を含む、請求項14に記載の方法
  16. 前記固体が非気化物質中に溶解しているか、または懸濁している、請求項15に記載の方法。
  17. 前記気化物質フローによる前記ストリームの非気化物質部分の飛沫同伴が最小限に抑制されるように、前記ストリームを前記容器に導入する際に、前記ストリームを路に沿って案内する段階をさらに含む、請求項14に記載の方法。
  18. 少なくとも一つの気化物質出口を通って前記気化物質フローと一緒に前記分離容器を出る前記ストリームの非気化物質部分をどれも回収する段階をさらに含む、請求項14に記載の方法。
  19. 前記気化物質出口を通る前記気化物質フローの速度をある速度に維持する段階をさらに含み、それによって前記フローが内面に沿って接線方向に流れ、それによって前記気化物質フローによる前記ストリームの非気化物質部分の飛沫同伴が最小限に抑制される、請求項14に記載の方法。
  20. 分離容器を出る気化物質フローの中の固体及び液体の飛沫同伴を削減する方法であって、
    内面と、少なくとも一つの入口と少なくとも一つの気化物質出口とをもつ分離容器内にストリームを導入し、ここで前記ストリームは少なくとも一つの入口に導入されて、ここでストリームは非気化物質部分と気化物質部分とを含み、ここで前記分離容器にストリームを導入すると、前記ストリームの速度が落とされ;
    前記分離容器の内面に沿った前記ストリームの前記気化物質出口への動きを最小限に抑制し;
    前記分離容器内で前記ストリームから気化物質フローを分離し、この気化物質フローは前記分離容器内で非均一速度であり;次いで
    少なくとも一つの気化物質出口を通って前記の分離装置から前記気化物質フローが出られるようにし、これによって気化物質フローによる前記ストリームの非気化物質部分の飛沫同伴が最小限に抑制される、各段階を含む前記方法。
  21. 前記ストリームの非気化物質部分がさらに少なくとも一種の固体を含む、請求項20に記載の方法。
  22. 前記固体が非気化物質中に溶解しているか、または懸濁している、請求項21に記載の方法。
  23. 前記分離容器内で非-均一気化物質の速度をある速度に分散させる段階をさらに含み、これによって前記ストリームが前記内面に沿って接線方向に流れ、これにより前記気化物質フローによる前記ストリームの非気化物質部分の飛沫同伴が最小限に抑制される、請求項20に記載の方法。
  24. 前記気化物質フローによる前記ストリームの非気化物質部分の飛沫同伴が最小限に抑制されるように、前記ストリームを分離容器に導入する際に前記ストリームを路に沿って案内する段階をさらに含む、請求項20に記載の方法。
  25. 少なくとも一つの気化物質出口内を通って前記気化物質フローと一緒に前記分離容器を出る前記ストリームの非気化物質部分をどれも回収する段階をさらに含む、請求項20に記載の方法。
  26. 前記気化物質出口を通って前記気化物質フローの速度をある速度に維持する段階をさらに含み、それによって前記ストリームが内面に沿って接線方向に流れ、それによって前記気化物質フローによる前記ストリームの非気化物質部分の飛沫同伴が最小限に抑制される、請求項26に記載の方法。
  27. 分離容器を出る気化物質フローの中の固体及び液体の飛沫同伴を削減する方法であって、
    内面と、少なくとも一つの入口と少なくとも一つの気化物質出口とをもつ分離容器内にストリームを導入し、ここで前記ストリームは少なくとも一つの入口を通って導入されて、前記分離容器の内面に対して接線方向に流れ、ここでストリームは非気化物質部分と気化物質部分とを含み、ここで前記分離容器にストリームを導入すると、前記ストリームの速度が落とされ;
    前記分離容器でストリームから気化物質フローを分離し、前記気化物質フローは前記分離容器内で非均一な気化物質速度であり;
    前記気化物質フローが前記分離容器から少なくとも一つの気化物質出口を通って出られるようにし;次いで
    前記ストリームの速度をある速度に維持して、これによってこのストリームが内面に沿って接線方向に流れ、そして気化物質フローによるストリームの非気化物質部分の飛沫同伴が最小限に抑制され、
    前記分離容器内で前記ストリームの非気化物質量を維持して、前記ストリームの非気化物質部分の前記ストリームによる飛沫同伴を最小限に抑制する、各段階を含む前記方法。
  28. 前記ストリームの非気化物質部分が少なくとも一種の固体を含む、請求項27に記載の方法。
  29. 前記固体が非気化物質中に溶解しているか、または懸濁している、請求項28に記載の方法。
  30. 前記分離容器内の非-均一気化物質速度をある速度に分散させる段階をさらに含み、これによって前記ストリームが内面に沿って接線方向に流れ、そして気化物質フローによる前記ストリームの非気化物質部分の飛沫同伴が最小限に抑制される、請求項27に記載の方法。
  31. 前記気化物質フローによる前記ストリームの非気化物質部分の飛沫同伴が最小限に抑制されるように、前記ストリームを前記容器に導入する際に、前記ストリームを路に沿って案内する段階をさらに含む、請求項27に記載の方法。
  32. 少なくとも一つの気化物質出口を通って前記気化物質フローと一緒に前記分離容器を出る前記ストリームの非気化物質部分をどれも回収する段階をさらに含む、請求項27に記載の方法。
  33. 前記気化物質の出口を通る前記気化物質フローの速度をある速度に維持し、それにより前記ストリームが内面に沿って接線方向に流れ、それにより前記気化物質フローによる前記ストリームの非気化物質部分の飛沫同伴を最小限に抑制する段階をさらに含む、請求項27に記載の方法。
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