JP2004528179A5 - - Google Patents
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Description
発明の分野
本発明は、非蒸気(non-vapor)と蒸気(vapor)とを分離すべき分離装置を使用する処理手順、精製手順及び発電業界に関する。特に本発明は、気化物質中の固体及び液体の飛沫同伴を削減することが有用なプロセスと、蒸留/フラッシングプロセスとにおいて非蒸気成分と蒸気成分とを分離するためのサイクロン/ボルテックス(cyclone/vortex)法である。さらに本発明は、非蒸気と蒸気とを分離する間の触媒の損失を削減する為のプロセスに関する。
本発明は、非蒸気(non-vapor)と蒸気(vapor)とを分離すべき分離装置を使用する処理手順、精製手順及び発電業界に関する。特に本発明は、気化物質中の固体及び液体の飛沫同伴を削減することが有用なプロセスと、蒸留/フラッシングプロセスとにおいて非蒸気成分と蒸気成分とを分離するためのサイクロン/ボルテックス(cyclone/vortex)法である。さらに本発明は、非蒸気と蒸気とを分離する間の触媒の損失を削減する為のプロセスに関する。
関連技術の説明
混合相供給原料(mixed phase feed)を使用する多くの蒸留/フラッシングプロセスにおいて、供給材料ゾーンから発生する蒸気中への液滴の飛沫同伴は、経済的にも生成物の純度の観点においても望ましくない。真空フラッシャー装置での液体材料の飛沫同伴に関する問題は、Bannonらの米国特許第5,743,926号により示されているように、当業界では公知である。Bannonらにより述べられているように、供給原料ゾーンの直ぐ上にトレーを設置して、炭化水素プロセスと精製とにおいて飛沫同伴した液滴を気化物質から除去することができる。Bannonらはさらに、飛沫分離(disentrainment)または洗浄油(wash-oil)セクションを精製所に組み込んで、真空フラッシャーの蒸気出口へ進む際に、蒸気流から液滴をふるい落とすことによって、飛沫同伴問題を軽減している。Bannonらにより請求された方法にもかかわらず、コスト面から有効且つ効率的な飛沫同伴を削減する方法は、業界では不足している。
混合相供給原料(mixed phase feed)を使用する多くの蒸留/フラッシングプロセスにおいて、供給材料ゾーンから発生する蒸気中への液滴の飛沫同伴は、経済的にも生成物の純度の観点においても望ましくない。真空フラッシャー装置での液体材料の飛沫同伴に関する問題は、Bannonらの米国特許第5,743,926号により示されているように、当業界では公知である。Bannonらにより述べられているように、供給原料ゾーンの直ぐ上にトレーを設置して、炭化水素プロセスと精製とにおいて飛沫同伴した液滴を気化物質から除去することができる。Bannonらはさらに、飛沫分離(disentrainment)または洗浄油(wash-oil)セクションを精製所に組み込んで、真空フラッシャーの蒸気出口へ進む際に、蒸気流から液滴をふるい落とすことによって、飛沫同伴問題を軽減している。Bannonらにより請求された方法にもかかわらず、コスト面から有効且つ効率的な飛沫同伴を削減する方法は、業界では不足している。
経済性及び生成物の純度の両方の点におけるもう一つの問題は、溶解または懸濁した固体、たとえば(単数または複数種類の)触媒の蒸気の塔頂流出物(overhead)での飛沫同伴である。飛沫同伴した固体は、生成物の純度に有害なことがあり、下流の装置を汚染しかねない。さらに、飛沫同伴した固体は、触媒などの貴重な化学物質の損失へと転じることがある。この点において、Leetらの米国特許第6,153,792号では、トレーと液体洗浄(liquid wash)とを使用するフラッシュ段階を用いた、固体触媒粒子の存在下でのカルボン酸精製プロセスを開示している。Leetらにより開示されたこの液体洗浄段階は、通常、上方向に流れている蒸気の中で、摩滅触媒粒子をフラッシャー下方へ「洗浄」する。Brewsterらの米国特許第4,247,486号及びHarrisらの米国特許第4,287,369号は、反応器塔頂流出物での飛沫同伴によるロジウム触媒の損失について記載し、除霜パッド(demisting pad)を使用して、反応器に戻すために飛沫同伴した液滴を除去することを開示している。Leetら、Brewsterら、及びHarrisらにより請求された方法にもかかわらず、コストの点から有効且つ効率的な、溶解または懸濁した固体の飛沫同伴及び触媒などの貴重な化学物質の損失を削減する方法は、業界では不足している。
飛沫同伴による触媒の損失量を削減することは、Higleyらの米国特許第4,166,773号、Strongの米国特許第4,163,701号及びLairdの米国特許第4,871,879号により示されているように、種々様々な業界で関心がもたれてきた。しかしながら、これらの方法のいずれも、業界での需要を満たしてきていない。
本発明の方法は、業界における多様な需要を満たす:(1)分離した蒸気中における、液体及び溶解した固体または懸濁した固体の飛沫同伴を削減;(2)飛沫同伴の削減の結果として、貴重な化学物質の損失量を削減;(3)従前は同一目的に関して大きく且つ高価な容器しか使用できなかったが、小さく且つ安価な分離容器を使用して飛沫同伴を削減することが可能;及び(4)全く新しい容器を架設する必要なく、飛沫同伴を削減するために現行の分離容器の装備を改良することが可能である。
発明の概要
本発明に従って、分離容器を出る蒸気流において、「非蒸気」と総称される、固体及び液体の飛沫同伴(entrainment)を削減する方法を提供する。本発明の好ましい方法に従って、以下の:(1)流れ(stream)の導入地点から分離容器の内面に沿って蒸気出口に向かう流れの上昇(climbing)またはクリープ(creeping)を最小限に抑制する;(2)幾らかでもあったとしても、蒸気出口を通って分離容器から出る非蒸気量を削減する;及び(3)以後、「接線方向の整合性:tangential coherency」という、分離容器の内面に対して接線方向に該流れの流動を最大化する段階の一つ以上を実施して、分離容器を出る蒸気流における非蒸気の飛沫同伴を削減する。
発明の概要
本発明に従って、分離容器を出る蒸気流において、「非蒸気」と総称される、固体及び液体の飛沫同伴(entrainment)を削減する方法を提供する。本発明の好ましい方法に従って、以下の:(1)流れ(stream)の導入地点から分離容器の内面に沿って蒸気出口に向かう流れの上昇(climbing)またはクリープ(creeping)を最小限に抑制する;(2)幾らかでもあったとしても、蒸気出口を通って分離容器から出る非蒸気量を削減する;及び(3)以後、「接線方向の整合性:tangential coherency」という、分離容器の内面に対して接線方向に該流れの流動を最大化する段階の一つ以上を実施して、分離容器を出る蒸気流における非蒸気の飛沫同伴を削減する。
本発明の方法は、内面と、少なくとも一つの入口と、少なくとも一つの蒸気出口とをもつ分離容器へ流れを導入することを含む。この流れは蒸気及び非蒸気の任意の混合物であってもよい。本明細書中で使用する「蒸気:vapor」なる用語は、蒸気及び/または気体を意味するものとする。本明細書中で使用する「非蒸気:non-vapor」なる用語は、液体、固体(たとえば触媒)、及び液体と固体との混合物、たとえば溶液及び懸濁液を意味するものとする。本発明の方法に従って、流れは少なくとも一種の非蒸気と少なくとも一種の蒸気とを含む。この流れを(単数または複数種類の)入口を通して分離容器内に導入し、ここで分離容器内に導入するときに前記流れの速度が落とされ、ここで前記流れの接線方向の整合性が最大化する。流入流れの速度が落とされ、その接線方向の整合性が最大化すると、流れが分離容器の内面に沿って蒸気出口に向かって移動する傾向を最小限に抑制することに寄与し、且つ飛沫同伴の削減に寄与する。
本発明の方法に従って、蒸気流は分離容器内の流れから分離され、不均一な蒸気速度で分離容器内を上昇する。この蒸気流は、蒸気流出口速度で移動しながら、(単数または複数種類の)蒸気出口を通って分離容器を出る。本発明の好ましい態様により、蒸気流が分離容器内を流れる不均一速度は、分散されて、非蒸気の飛沫同伴及び、触媒などの貴重な成分の損失削減に役立つ。蒸気速度の分散(disutribution)は、流れが分離容器の内面に沿って蒸気出口に向かって移動する傾向を減らすのに寄与し、また上昇する蒸気流の渦巻き力(vortex capability)を最小化して、非蒸気の飛沫同伴を削減する。
本発明のさらに好ましい態様に従って、流れが分離容器に導入されるときに、接線方向の整合性が最大化するように、流れが分離容器の内面に沿って蒸気出口に向かって移動する傾向を最小限に抑制するように、及び(単数または複数種類の)蒸気出口を通って蒸気流と一緒に出る非蒸気量を最小限に抑制するように、流れを路に沿って案内する。
非蒸気の飛沫同伴と貴重な非蒸気の損失とを削減するための本発明のさらに好ましい態様は、流れの接線方向の整合性を維持するように、流れが分離容器の内面に沿って蒸気出口に向かって移動する傾向を最小限に抑制するように、及び(単数または複数種類の)蒸気出口を通って蒸気流と一緒に分離容器を出る非蒸気の量を最小限に抑制するように、蒸気流出口速度を制御することを含む。
本発明のさらに好ましい態様により、当業界で公知のサイクロンを本発明の他の態様と組み合わせて使用して、蒸気流と一緒に分離容器を出る非蒸気をどれも回収することができる。
本発明の方法は、以下の詳細な説明及び実施例によってさらに説明する。
詳細な説明
図面、特に図1を参照して、二つの入口(1)と(2)とをもつ分離容器(3)を説明する。図2は、二つの入口(1)と(2)、蒸気出口(6)、ベース(4)と出口(5)とをもつ分離容器(3)の正面図を示す。
詳細な説明
図面、特に図1を参照して、二つの入口(1)と(2)とをもつ分離容器(3)を説明する。図2は、二つの入口(1)と(2)、蒸気出口(6)、ベース(4)と出口(5)とをもつ分離容器(3)の正面図を示す。
入口(1)と(2)とを通って分離容器(3)の中に、流れを導入する。使用する(単数または複数種類の)入口の数、(単数または複数種類の)入口の位置及び、(単数または複数種類の)入口の直径は、分離容器内に導入する際に流れの速度を落とすため、流れが分離容器の内面に沿って蒸気出口に向かって移動する傾向を減らすため、及び非蒸気の飛沫同伴を削減するために、分離容器の構造によって規定されるように、操作することができる。
(単数または複数種類の)入口(1)及び/または(2)の直径は、流入流れの接線方向の整合性が最大化されるようであるのが好ましい。図2においては、入口(1)と(2)は筒状構造であるように示されているが、当業者には、筒状構造以外の構造をもつ入口も使用し得ることが理解されるだろう。従って、(単数または複数種類の)入口を設計するのに、広範な種類の構造を用いることができる。図6に示されているように、本発明の別の態様では、入口(1)と(2)の位置は、入口(1)の入口地点が、入口(2)の入口地点と垂直方向に位置がずれるように変動させることができる。当業者は、入口(1)と(2)との間の垂直方向の位置のずれは、速度を落とし且つ流入流れの接線方向の整合性を最大化して飛沫同伴を削減するように、分離容器の構造によって規定されるように、広範囲を変動し得ることを理解するだろう。
図7に示されているように、本発明のもう一つの態様により、複数の入口(1)、(2)、(12)と(13)とを使用して速度を落とし、且つ流入流れの接線方向の整合性を最大化することができる。図7に示されているように、入口(1)と(2)は、分離容器(3)内への接線方向の入口を提供し、他方、入口(12)と(13)は垂直方向の入口を提供する。当業者は、入口(1)、(2)、(12)と(13)が本質的に例示であって、この入口は、分離容器の外周に沿った任意の場所に配置できることを理解するだろう。また、当業者は、分離容器の構造によって、及びコスト面からの利益によって規定されるように、使用する入口の数は広範囲を変動し得ることを理解するだろう。
投入流れ(input stream)中の非蒸気対蒸気の比は、非蒸気が蒸気中にそれほど分散していないので、非蒸気の集塊を形成するために流れに加速力(accelerating force)を適用しなければならないようであるのが好ましい。もう一つの好ましい態様では、流れの速度は、分離容器(3)の壁に接触するとき、流れが細分化(breakup)しないような速度に落とされる。分離容器に導入すると、流れの速度は、流れ中の非蒸気の粒子の細分化によってそのような非蒸気の飛沫同伴を導く速度よりも遅い速度に落とされるのが好ましい。
蒸気は流れから分かれて、分離容器のデザインによって規定されるように、不均一の蒸気速度で蒸気出口(6)から分離容器(3)を出る。蒸気は、分離容器に入る際に減圧することによって、または当業者に公知の他の方法によって流れから分けることができる。分離容器(3)内で不均一な蒸気速度を減速且つ分散させるために、図3に示されているように、分離容器内に分散トレー(7)を配置するのが好ましい。本発明の好ましい態様により、この分散トレーは実質的に平面のふるいのトレーである。そのようなトレーは、当業者に公知である。当業者は、平面トレーまたは実質的に平面トレーを使用し得ることも理解するだろう。
この分散トレー(7)は、分離容器内で蒸気の不均一速度を分散させる。しかしながら、分散トレー(7)の穿孔部分と中実部分とでは、局部的に速度が異なるので、分散トレー(7)は不均一速度を均一にまではしない。蒸気速度が早いと、低速の蒸気速度よりもたくさんの非蒸気を運ぶ傾向があるので、不均一の蒸気速度を分散させると、飛沫同伴の削減に寄与する。分散トレー(7)は、流れが分離容器(3)の内面に沿って蒸気出口(6)に向かって移動する傾向を最小化することにも寄与する。
本発明の方法に従って、トレー(7)を使用するとき、トレーを分離容器(3)の中に配置し、流れがトレー(7)に接触も溢れさせたりもしないように流れの速度を維持する。トレー(7)の分散能力を維持しつつ、入口(1)及び(2)とトレー(7)との距離を最大化するのが好ましい。
もう一つの好ましい態様において、トレー(7)は、蒸気の渦巻き力を最小化し、且つ分離容器(3)内で蒸気を上方向に移動させる地点に配置する。本発明のもう一つのさらに好ましい態様により、水、液体の洗浄流れ(irrigating stream)または他の洗浄流れをトレー(7)に提供して、非蒸気の飛沫同伴を削減し易くする。
蒸気が流入流れから分離するのに連れて、分離容器(3)の中の非蒸気はベース(4)内に集まり、ここで出口(5)を通るその放出を制御することによってレベル(9)に保持される。当業者は、広範な種類の方法を使用して出口(5)を通して非蒸気を放出し得ること、及び分離容器の構造によって規定されるように、保持されるレベル(9)を変動し得ることを理解するだろう。分離容器(3)は単純な筒状デザインをもつものとして示されているが、当業者には他の構造をもつ容器も使用し得ることが理解されるだろう。従って、広範な種類の構造を利用して分離容器を設計することができ、分離容器の残りの部分に関しては、ベース(4)の先細または先太が挙げられるが、これらに限定されない。分離容器(3)のベース(4)のレベル(9)は、分離容器(3)から非蒸気を制御放出でき、且つ流れによって飛沫同伴されたベース(4)内での非蒸気量を最小限に抑制するような高さに維持するのが好ましい。バッフル(示されていない)をベース(4)に付け加えて、ベース(4)の非蒸気の回転流を最小化し、そして流入流れによるベース内での非蒸気の飛沫同伴を最小限に抑制するのを支援するのが好ましい。バッフル及びバッフルと同じ効果を持つ形態は、当業者に公知である。
本発明に従って、蒸気流と一緒に流出する非蒸気量の最小化に寄与するために、流入流れによるベース(4)中の非蒸気の飛沫同伴を最小化するのが好ましい。本発明のこれらの目的は、以下の:入口(1)と(2)の配置、ベース(4)内の非蒸気のレベルの維持、流入流れの速度の調節、分離容器(3)内での不均一蒸気速度の分散、及び流出蒸気の速度の調節、の一つまたは組合せによって達成するのが好ましい。当業者は、入口(1)と(2)の位置、ベース(4)内に維持された非蒸気のレベル、流入する流れの速度の調節、分離容器内での不均一蒸気速度の分散、及び流出蒸気の速度の調節は、分離容器の構造によって規定されるように、最も好ましい性能を達成するように、それぞれ広範に調節することができ、他と関係なくそれぞれ調節できることを理解するだろう。
図4及び5に示されているように、本発明のもう一つの好ましい態様により、入口ガイド(8)を分離容器内に配置して、流れの接線方向の整合性を最大化することができる。(単数または複数種類の)入口ガイド(8)は、容器(3)の内面に対して垂直に伸長する第一の棚(10)と、容器(3)の内面に対して同心円状であって、前記第一の棚(10)に対して垂直に伸長する第二の棚(11)とをもつ。図4に示されているように、この入口ガイド(8)は、(単数または複数種類の)入口(1)と(2)の入口地点を覆うように、分離容器(3)の内面に沿ってアーチ状で且つこれに沿った輪郭とすることができる。第二の棚(11)は、(単数または複数種類の)ガイドの全長にわたって伸長するのが好ましい。(単数または複数種類の)ガイド(8)の第一の棚(10)は、(単数または複数種類の)入口(1)及び/または(2)の直径とほぼ同じ距離だけ分離容器(3)の内面から伸長するのが好ましい。(単数または複数種類の)入口ガイド(8)は、約60〜120度の円弧を外接して囲むのが好ましい。(単数または複数種類の)入口ガイド(8)は、約90〜120度の円弧に外接させるのが最も好ましい。当業者には、(単数または複数種類の)入口ガイド(8)の構造及び外形は、分離容器のデザインによって規定されるように変形し得ることが解るだろう。
当業者には、分離容器内で外側に向かって伸長する(単数または複数種類の)ガイド(8)は、分離容器の構造によって規定されるように最も好ましい性能に関し広範囲に変形し得ることが解るだろう。また当業者には、飛沫同伴の減少を最大化するために、分離容器(3)の構造によって規定されるように、(単数または複数種類の)ガイド(8)はアーチ状でなくてもよく、(単数または複数の)ガイド(8)は、僅かな傾斜を含む、種々の位置、配置及び角度で設置できることを理解するだろう。
特定の液滴または粒径分布が一度形成すると、表在速度は飛沫同伴を引き起こすので、流出蒸気の速度降下に寄与する大きな直径の蒸気出口(6)は、非蒸気の飛沫同伴を削減するのにも利用することができる。蒸気出口の直径は、流出蒸気の速度に影響を及ぼす。本発明の好ましい態様では、任意の分離容器に関するデザインの点では、(単数または複数種類の)入口と蒸気出口とが最大に離れている。当業者は、使用する(単数または複数種類の)蒸気出口の数、その配置、その直径、及びその構造配置を、分離容器の構造により、及びコスト面での利益により規定されるように、調節し変形できることを理解するだろう。
もう一つの好ましい態様において、蒸気出口(6)を当業界で公知のサイクロン(示されていない)に送り込む。当業界で慣用されているように、サイクロンは、流出する蒸気流中に飛沫同伴される全ての液体及び固体を集める。サイクロンにより集められた流れまたは固体は、操作時の特定の精製または処理手順に従って、循環または貯蔵することができる。
本発明に従って、飛沫同伴の削減は、以下の:(1)使用する(単数または複数の)入口の数、(単数または複数種類の)入口の位置、及び(単数または複数種類の)入口の直径を調節することによって、流入流れの速度を落とす;(2)分離容器に導入されるときに、その速度を落とすことにより、及び/または路に沿って案内することによって流入流れの接線方向の整合性を最大化する;(3)その速度を落とすことにより、及び/または分離容器に導入するときに路に沿って案内することにより、及び/または分離容器内で蒸気速度を分散させることにより、流れが分離容器の内面に沿って蒸気出口へ移動する傾向を最小限に抑制する;及び(4)(単数または複数種類の)出口の数、(単数または複数種類の)出口の位置、及び(単数または複数種類の)出口の直径を調節することにより、蒸気流出口速度を落とす、各方法の一つ以上によって達成することができる。
以下の実施例を参照して本発明を詳細に説明する。この実施例は、本発明の方法の単なる例示であり、本発明を限定するものではない。
実施例
気体/液体プロセスにおいて、スプレー及びミストの状態の液体飛沫同伴は、撹拌、濃縮及びフラッシングに伴う圧力変化などの幾つかのメカニズムの一つ以上によって生じた液滴形成の結果である。そのようなプロセスにおいて、液体飛沫同伴にとっての主な要因は、飛沫(drop)のサイズと分布である。アトマイザー処理、急冷、フラッシング及び蒸留などの高い乱流または速度を与えることによって生じた飛沫は、通常、単位質量当たりのエネルギーまたは出力の相関関係で決まる。
実施例
気体/液体プロセスにおいて、スプレー及びミストの状態の液体飛沫同伴は、撹拌、濃縮及びフラッシングに伴う圧力変化などの幾つかのメカニズムの一つ以上によって生じた液滴形成の結果である。そのようなプロセスにおいて、液体飛沫同伴にとっての主な要因は、飛沫(drop)のサイズと分布である。アトマイザー処理、急冷、フラッシング及び蒸留などの高い乱流または速度を与えることによって生じた飛沫は、通常、単位質量当たりのエネルギーまたは出力の相関関係で決まる。
分離容器のサイズは、使用されているプロセス及び装置、並びに使用されている液体、蒸気、気体及び固体の物理的特性に依存する。以下の実施例は、本発明のプロセスの市販のフラッシャーへの適用に関する。この市販のフラッシャーの縮小モデルを製造して、実施例で記載する試験を実施した。市販のフラッシャーのようなフラッシャーでは、エネルギーは、高速フラッシング蒸気によって液体に供給される。運動エネルギーによる蒸気の速度(rate)及び質量による液体速度のスケールダウンは、以下のようにモデルフラッシャー装置に関して予測した。
気相に関しては、運動エネルギーのスケール変更は、デミスタ(除霜装置)に関するSouders-Brown相関関係に非常に関連している、蒸留で使用される利用率の定義(capacity factor definition)によって表わされる。液相のスケールダウンは、市販の装置とモデル装置との間の相当質量比(equivalent mass ratio)をベースとした。飛沫サイズは、系の物理的特性に依存している。気体/液体系に関しては、飛沫サイズは、乱流流動様式における単位質量当たりの出力にも依存する。飛沫同伴は、表在速度(superficial velocity)の指数関数である。
分離容器中で使用する際の通常使用される流入流れの流速が高速であるので、本発明は、入口速度を落とし、且つ蒸気速度を分散させるための方法を探求し、その結果、(1)入口流れの接線方向の整合性を生みだし、且つ保持した;(2)蒸気出口の方への分離容器の内面に沿う入口流れの表面移動(creepage)が減少した;(3)蒸気流と一緒に出てきた、流入流れからの非蒸気の量を削減した;及び(4)分離容器のベースから流入流れによって飛沫同伴された非蒸気量を最小限に抑制した。
モデルフラッシャーでは、直径12.7mm(0.5インチ)の穴と、穴面積13.5%をもつ蒸気分散トレーを使用した。容器の壁に隣接する領域は、壁から約445mm(1.75インチ)の距離まで穴がなかった。トレーは、27.9mm(1.1インチ)の三角のピッチで12.7mm(1/2インチ)直径の519個の穴があった。
36.8cm(14-1/2インチ)のアクリルのプラスチックサイクロンをデザインし、幾つかの試験の実施でフラッシャーの出口に配管した。サイクロンの出口を、アクリルプラスチックボックスに含まれたデミスタ/羽根(vane)配置に配管した。サイクロンの底部が測定可能な飛沫同伴を全て捕獲したので、この構成により本発明の方法の有効性が観察し易くなった。
幾つかの試験の実施において、トレーを水5.68L/分(1.5ガロン/分(gpm))で濡らした(表1において、「1.5gpm濯ぎ」として記載)。
幾つかの試験の実施において、流入流れの中の非蒸気内に溶解または懸濁した触媒などの固体をシミュレートするために、塩を使用した(表1中、「塩」として記載)。
幾つかの試験の実施において、流入流れの中の非蒸気内に溶解または懸濁した触媒などの固体をシミュレートするために、塩を使用した(表1中、「塩」として記載)。
流れが二つの入口管に分かれた時、それぞれ公称12.1cm(4-3/4インチ)の直径であった。入口を大きくしたとき、公称15.2cm(6インチ)の直径のアクリルプラスチック管を使用した(表1中、「スプリット入口6インチ」として記載)。
ガイドを試験したとき、60〜120度のアーチ状の輪郭のガイドを使用した(表1中、「ガイド」として記載)。
このモデル分離容器で実施した実験の主な観察結果は以下のようであった:
・流入流れの気体速度が大きくなると、トレー付きフラッシャー及びトレーなしフラッシャーの両方に関して、飛沫同伴が高くなる区切り(break point)は、約22.7m 3 /分(800実質立方フィート/分(actual cubic feet per minute:acfm))であると思われるが、液体がトレーの底部を濡らしているので、トレーが存在する場合だけは指数関数的に増加した。・基本のケース(トレーなし)と比較すると、濡らしたトレーは(触媒などの溶解した固体をシミュレートするために使用した)塩の飛沫同伴を約80%まで削減したが、全液体飛沫同伴は減少せず、むしろ増加した。
・12.1cm(4-3/4インチ)の公称直径の二つの入口は、有意に飛沫同伴を削減した。濡らさなかった分散トレーを加えると、飛沫同伴はほぼゼロ(所定の気体速度以下)に削減した。
・12.1cm(4-3/4インチ)の公称直径の二つの入口を使用すると、液体速度が約197〜227L/分(52から60gpm)に増加したときに、約35.7m 3 /分(1,260acfm)で飛沫同伴が急激に大きく増加した。その時点でトレーが溢れたことが観察された。さらに、濯ぎ液をトレーに添加すると、もっと遅い気体速度で溢水(flooding)が開始したことが観察された。
・二つの大きな(公称15.2cm(6インチ))の入口を使用すると、試験した範囲における液体及び気体速度の最大の組合せまで、測定可能な飛沫同伴は見られなかった。トレーをつけた場合に可視的な飛沫同伴もなく、さらに跳ね返し(splashing)も少なかった。
・入口の上のフローガイドは、高速での飛沫同伴の抑制に有効であった。90゜のガイドは、120゜のガイドよりも良好に実施できたようであった。
このモデル分離容器で実施した実験の主な観察結果は以下のようであった:
・流入流れの気体速度が大きくなると、トレー付きフラッシャー及びトレーなしフラッシャーの両方に関して、飛沫同伴が高くなる区切り(break point)は、約22.7m 3 /分(800実質立方フィート/分(actual cubic feet per minute:acfm))であると思われるが、液体がトレーの底部を濡らしているので、トレーが存在する場合だけは指数関数的に増加した。・基本のケース(トレーなし)と比較すると、濡らしたトレーは(触媒などの溶解した固体をシミュレートするために使用した)塩の飛沫同伴を約80%まで削減したが、全液体飛沫同伴は減少せず、むしろ増加した。
・12.1cm(4-3/4インチ)の公称直径の二つの入口は、有意に飛沫同伴を削減した。濡らさなかった分散トレーを加えると、飛沫同伴はほぼゼロ(所定の気体速度以下)に削減した。
・12.1cm(4-3/4インチ)の公称直径の二つの入口を使用すると、液体速度が約197〜227L/分(52から60gpm)に増加したときに、約35.7m 3 /分(1,260acfm)で飛沫同伴が急激に大きく増加した。その時点でトレーが溢れたことが観察された。さらに、濯ぎ液をトレーに添加すると、もっと遅い気体速度で溢水(flooding)が開始したことが観察された。
・二つの大きな(公称15.2cm(6インチ))の入口を使用すると、試験した範囲における液体及び気体速度の最大の組合せまで、測定可能な飛沫同伴は見られなかった。トレーをつけた場合に可視的な飛沫同伴もなく、さらに跳ね返し(splashing)も少なかった。
・入口の上のフローガイドは、高速での飛沫同伴の抑制に有効であった。90゜のガイドは、120゜のガイドよりも良好に実施できたようであった。
さらに本発明の代表的な態様について記載してきたが、広範な変形、変更及び置換は本発明の開示に含まれるものであり、場合により本発明の幾つかの特徴は、他の特徴の対応する使用をせずに使用することができる。従って、付記請求の範囲は、広義に、且つ本発明の範囲と一致するように構築されるべきであるのが適切である。
Claims (7)
- 分離容器を出る蒸気流中の非蒸気成分の飛沫同伴を削減する方法であって、
内面と、少なくとも一つの入口と少なくとも一つの蒸気出口とをもつ分離容器に流れを導入し、ここで前記流れは前記少なくとも一つの入り口を通って導入され、分離容器の内面に対して接線方向に流れ、ここで流れは非蒸気部分と蒸気部分とを含み、ここで分離容器に流れが導入されると前記流れの速度が落とされ、
前記分離容器内で前記流れから蒸気流を分離し、前記蒸気流は前記分離容器内で不均一の蒸気速度を有し、次いで
前記少なくとも一つの出口を通って前記分離容器から前記蒸気流が出られるようにする、各段階を含む前記方法。 - 前記流れの非蒸気部分が少なくとも一種の固体を含む、請求項1に記載の方法。
- 前記非蒸気部分に前記固体が溶解または懸濁している、請求項2に記載の方法。
- 前記蒸気流と一緒に前記少なくとも一つの蒸気出口を通って分離容器を出る前記流れの非蒸気部分の少なくとも一部を回収することをさらに含む、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
- 前記分離容器が湾曲した第一の内面と、前記分離容器内で蒸気速度を分散させるための前記湾曲した第一の内面に対して垂直の第二の内面とをもつ、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
- 前記流れを少なくとも二つの入口を通して分離容器内に導入する、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
- 前記分離容器が縦軸をもち、前記流れが、前記分離容器の縦軸に沿って異なる地点に配置された二つの入口を通して分離容器に導入される、請求項6に記載の方法。
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