JPH10165799A - スーパージェットバブリング気液接触法及びその装置 - Google Patents

スーパージェットバブリング気液接触法及びその装置

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JPH10165799A
JPH10165799A JP8329438A JP32943896A JPH10165799A JP H10165799 A JPH10165799 A JP H10165799A JP 8329438 A JP8329438 A JP 8329438A JP 32943896 A JP32943896 A JP 32943896A JP H10165799 A JPH10165799 A JP H10165799A
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liquid
gas
super
jet bubbling
tube
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JP8329438A
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Hiroshi Yanagioka
洋 柳岡
Tatsu Tsukamura
達 束村
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Chiyoda Corp
Chiyoda Chemical Engineering and Construction Co Ltd
Original Assignee
Chiyoda Corp
Chiyoda Chemical Engineering and Construction Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来に比べて更に気液接触効率が高くなるよ
うな気液接触法及びその方法を実施する装置を提供す
る。 【解決手段】 本SJBR50は、ガス冷却部52と、
空間部62と、デッキ板64から垂下するスーパージェ
ットバブリング管66と、デッキ板上の気液分離室58
とを備えている。本SJBRを排煙脱硫処理に適用した
場合、ガス冷却部で冷却された排煙は、吸収反応液を同
伴して空間部に流入し、吸収反応液をそこで分離する。
よって、従来のように、固形物がデッキ板等に付着して
圧力損失を増大させることがなく、また固形物除去作業
を行う必要もない。ジェットバブリング管は、排煙の圧
力バランスにより管内に吸収反応液を収容し、下部開口
から排煙を著しく高速で導入してスーパージェットバブ
リング層を管内に形成する。これにより、気液接触効率
が向上する。気液分離室は、吸収反応液ともに管の上端
からに清浄化排煙から同伴吸収反応液を分離する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、気体と液体とを高
い接触効率で接触させて、気体と液体とを反応させた
り、気体を液体に吸収させたり、気体を液体で増湿冷却
したりする気液接触法及びその装置に関し、更に詳細に
は、新規なメカニズムのスーパージェットバブリング方
式を利用した気液接触法及びその装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】気体を液体に吸収させたり、気体と液体
とを反応させたりする際に、従来から採用されている気
液接触機構の主なるものは、充填層方式の気液接触機構
及びスプレー方式の気液接触機構である。充填層方式の
気液接触機構では、塔又は槽に充填材を充填して充填層
を形成し、通常、充填層の上部から液体を下向きに流
し、充填層の下部から気体を上向きに流して、充填層内
で気液接触させている。スプレー方式の気液接触機構で
は、塔上部にスプレーノズルを設け、塔下部から気体を
上向きに流す一方、スプレーノズルから液体を気体に向
け噴霧して、噴霧した液体と気体とを塔内で気液接触さ
せている。
【0003】しかし、充填層方式の気液接触機構は、気
液接触効率が比較的高いものの、偏流等の問題から大規
模な装置には不向きである。一方、スプレー方式の気液
接触機構は、構造が簡単なものの、気液接触の効率が低
いために気液接触部の容積が大きくなるという欠点があ
る。しかも、両者とも、充填層の面積当たり大きな流量
で液体を流下させたり、また気液接触部の面積当たり大
きな流量で液体をスプレーしたり必要があるので、大型
の液体送入ポンプを必要とし、設備費と動力費が嵩み、
更に液体としてスラリーを使用する場合には、摩耗によ
るトラブルが発生し易い。
【0004】そこで、高い気液接触効率を達成するため
に、スプレー方式や充填層方式の気液接触機構のような
ガス連続相気液接触機構とは異なり、液側が連続相であ
ることを特徴とするジェットバブリング方式の気液接触
機構を本発明者らは、開発し、実用化している。以下
に、ジェットバブリング方式の気液接触機構を備えたリ
アクター、即ちジェットバブリングリアクター(以下、
簡単にJBRと言う)について例を挙げて説明する。図
7に示すように、JBR10は、気体入り口室14、気
体出口室12と液体収容室16とに区画されており、さ
らに多数のガス吹き込み管(ガススパージャー)32
が、上端部で気体入口室14に連通し、下端部で液体2
2に浸漬するように下方に延長している。処理すべき気
体は、気体入口室14を経て、ガス吹き込み管32の下
端部から液体内に吹き込まれ、ガス吹き込み管32の外
側の液体内に微細な気泡となって流出し、液連続相気液
接触領域であるジェットバブリング層を形成し、そこで
気液接触する。その後、気体はガスライザー30及び気
体出口室12を経由して系外に流出する。この際、ジェ
ットバブリング層内で、液体は、攪拌流動等の動きはあ
るものの、気体と共に出口室に向けて実質的に同伴流出
することはない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、気液接触を
伴う反応を進行させる反応器、気液接触を伴う吸収を進
行させる吸収塔をよりコンパクトな構造にするために
は、より気液接触効率の高い気液接触機構を開発するこ
とが必要である。そこで、本発明の目的は、従来に比べ
て、更に気液接触効率が高くなるような気液接触法及び
その方法を実施する装置を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、研究と実
験を重ねた末に、気液接触効率の高い新規なスーパージ
ェットバブリング方式を開発し、本発明を完成するに到
った。本発明に係るスーパージェットバブリング気液接触法 上記の目的を達成するために、本発明に係るスーパージ
ェットバブリング気液接触法は、気体を液体と接触させ
る気液接触法において、(a)気体を高速で液体に吹込
み、気体と液体とが共に上方に流動しつつ緊密に混合し
たスーパージェットバブリング層を形成させるステップ
と、(b)スーパージェットバブリング層の上端から気
液混合流体を取り出し、気液混合流体から液体を気液分
離するステップと、および(c)分離された液体を液本
体に戻すステップとを順次かつ連続的に行うことを特徴
としている。
【0007】本発明方法では、気体と液体との種類を問
わず、気体と液体とを気液接触させることにより、目的
に応じて、気体と液体とを反応させたり、気体を液体に
吸収したり、気体を液体で増湿、冷却したり、気体を液
体で減湿したりする。本発明で言うスーパージェットバ
ブリング層とは、気体を高速、例えば2m/s以上の空
塔速度で液体に吹込み、気体と液体とが共に上方に流動
しつつ緊密に混合してなる液連続相の気液接触層であ
る。一方、従来のジェットバブリング層は、気体を2m
/s以下で液体に吹き込んだ時に生じる液連続相の気液
接触層である。
【0008】本発明に係るスーパージェットバブリング
気液接触装置(以下、第1発明のスーパージェットバブ
リング気液接触装置と言う)は、気体を液体と接触させ
る気液接触装置において、気体の入口、気体と接触させ
る液体またはスラリー液(以下、特に断らない限り、気
体と接触させる液体またはスラリー液を纏めて簡単に液
体と言う)の入口、処理済み気体の出口及び液体の出口
を有し、(a)液体を保持する液槽と、(b)液槽内を
ほぼ垂直に下降して、下部を液体に浸漬させ、かつ下部
に液体を充満させるスーパージェットバブリング管であ
って、下部の開口外側から気体を高速で管内に導入し、
スーパージェットバブリングゾーンを管の内側に形成す
るようにしたスーパージェットバブリング管と、及び
(c)スーパージェットバブリング管の上端に接して設
けられ、スーパージェットバブリング管上端から流出す
る気液混合流体から液体を分離する気液分離ゾーンとを
備えたことを特徴としている。
【0009】本発明に係るスーパージェットバブリング
リアクター(SJBR) 本発明に係るスーパージェットバブリングリアクター
は、スーパージェットバブリング気液接触機構を上部に
備え、気体から吸収されたガス成分を薬剤と反応させる
リアクターを下部に備えたスーパージェットバブリング
リアクター(以下、簡単にSJBRと略記する)におい
て、(a)薬剤として吸収反応液を下部に収容する吸収
反応液槽ゾーンと、(b)SJBR上部を横断するよう
に吸収反応液の液面の上に設けられたデッキ板と、
(c)デッキ板によってSJBR下部から区画された気
液分離室と、(d)上端部でデッキ板を貫通して気液分
離室と連通し、開口を有する下端部で吸収反応液に浸漬
するように上下方向に配設され、吸収反応液を下端部内
部に充満させるスーパージェットバブリング管であっ
て、下端部の開口外側から気体を高速で導入し、スーパ
ージェットバブリングゾーンを管の内側に形成するよう
にした複数のスーパージェットバブリング管と、(e)
上端部でデッキ板を貫通して気液分離室と連通し、下端
で吸収反応液に浸漬するように上下方向に配設された液
降下管とを備えて、気液分離室でスーパージェットバブ
リング管上端から流出する気液混合流体から液体を分離
し、分離した液体を液降下管を介して吸収反応液槽ゾー
ンに戻すようにし、更に、(f)吸収反応液槽ゾーンに
収容された吸収反応液の液面より上の上部空間に連通す
るようにSJBRの側壁に設けられた気体導入口と、
(g)気液分離室の上部に設けられた処理済みの気体の
出口と、および(h)吸収反応に必要な薬剤の入口並び
に反応生成物の出口とを備えたことを特徴としている。
【0010】本発明に係る別のスーパージェットバブリ
ング気液接触装置 本発明に係る別のスーパージェットバブリング気液接触
装置(以下、第2発明のスーパージェットバブリング気
液接触装置と言う)は、気体を液体と接触させる気液接
触装置において、気体の入口、気体と接触させる液体の
入口、処理済み気体出口及び液体の出口を有し、(a)
液体を保持する液槽と、(b)液槽内をほぼ垂直に下降
して下部を液体に浸漬させ、かつ液体を下部に充満させ
るスーパースパージャー管であって、下部の開口内側か
ら気体を高速で管外に導出させ、スーパージェットバブ
リングゾーンを管の外側で、かつ液槽内に形成するよう
にしたスーパースパージャー管と、及び(c)スーパー
スパージャー管の上端に接して設けられ、スーパージェ
ットバブリングゾーン上端から流出する気液混合流体か
ら液体を分離する気液分離ゾーンとを備えたことを特徴
としている。また、更に、(d)前記気液分離ゾーンの
上部に連通し、気液分離ゾーンを逸出した少量の同伴液
体を含む処理済み気体を上方へ導くガス上昇管と、
(e)ガス上昇管の上部に接続する気液分離室と、
(f)気液分離室の底部に連結し、下端が液に浸漬さ
れ、気液分離室で分離された同伴液体を液槽に戻す液下
降管とを備えるようにしても良い。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に、実施例を挙げ、添付図面
を参照して、本発明の実施の形態を具体的かつ詳細に説
明する。〔スーパージェットバブリング気液接触法及びスーパー
ジェットバブリングリアクターの実施例〕 全体的構成 本発明に係るスーパージェットバブリング気液接触法
は、気体を液体中に従来に比べて高速吹き込みして液連
続相で気液接触を行わせる。すなわち、気体を清浄化す
るなどのために、気体を高速で液体に吹き込み、気体と
液体とが共に上方に流動しつつ緊密に混合した層(スー
パージェットバブリング層)を形成させる。このスーパ
ージェットバブリング層の上端から気液混合流体を取り
出し、気液混合流体から液体の殆ど全部を分離し、更に
この分離された液体を液本体に戻すことを順次かつ連続
的に行うことを特徴としている。
【0012】以下に、ボイラー排煙を気体とし、石灰石
スラリーを液体(以下、吸収反応液と言う)として気液
接触させ、排煙中の亜硫酸ガスなどの有害物質を除去す
る場合のSJBRの構成の一例を挙げて、本発明に係る
SJBRを説明する。本SJBR50は、図1に示すよ
うに、排煙中の亜硫酸ガスなどの有害物質を吸収するス
ーパージェットバブリング吸収部54(以下、簡単に吸
収部54と言う)と、吸収反応液を収容し、吸収部54
で吸収した亜硫酸を中和、酸化し、石膏に転化する吸収
反応液部56(以下、簡単に反応液部56と言う)と、
気液分離室58とを備える。
【0013】吸収部54は、吸収反応液の液面上に設け
られたデッキ板64に上端が取り付けられ、下端が吸収
反応液中に浸漬するように垂直に配設された多数のスー
パージェットバブリング管66(以下、簡単にSJB管
と言う)成り、これらのSJB管66の下端部には開口
68が設けられている。SJB管66は、管内にスーパ
ージェットバブリング層を形成する管であって、以下、
簡単にSJB管66と言う。排煙は、SJB管66の外
側の空間部62から開口68を経て高速でSJB管66
の内側の吸収反応液へ流入し、その内部で気泡を多数発
生させ、高性能気液接触領域であるスーパージェットバ
ブリング層をSJB管66の内側に形成する。排煙中の
亜硫酸ガスなどの有害物質が、このスーパージェットバ
ブリング層で吸収、除去される。排煙は、図1に示すよ
うに、更に後で図4及び図5を参照して詳述するよう
に、気泡状となってSJB管66内の管壁近傍を上昇
し、SJB管66の上端でスーパージェットバブリング
層から離脱し、気液分離室58を経て清浄なガスとして
SJBR50の外に排出される。より効果的に気液分離
を行うには、図6(a)に示すように、ジェットバブリ
ング管の上方へキャップなどの気液分離板79を配設
し、重力による気液分離の前に衝突による気液分離を行
わせることもできる。気液分離板の形状は、これに限ら
ず平板でも、傘型でも良い。また、気液分離板の位置、
大きさにも限定はない。
【0014】一方、吸収された亜硫酸を含む吸収反応液
は、気液分離室58で清浄化ガスから分離され、図1に
矢印で示すように、SJB管66内の中央部又は液下降
管70を下降して反応液部56に戻る。反応液部56
は、適当な攪拌手段72を有する固体懸濁液層であり、
ここには石灰石スラリーが吸収剤として石灰石スラリー
ポンプ(図示せず)によって石灰石スラリー供給管71
を経由して供給される。更に、空気が酸化剤として気泡
状で空気吹き込み管74から供給される。排煙から吸収
反応液に吸収された亜硫酸は、反応液部56に収容され
た吸収反応液内で、石灰石と空気により、中和、酸化さ
れて石膏となり、生成した石膏は上記攪拌手段72で懸
濁層中で緩やかに流動されつつ成長を続ける。
【0015】各部の詳細 空間部 空間部62は、デッキ板64と吸収反応液の液面との間
の空間を言い、天井面はデッキ板64で、側面はSJB
R50の側壁及びSJB管の管壁で、下面は吸収反応液
の液面で、それぞれ規定される空間であって、SJB管
66(以下、原則として符号66は省略する)がこの空
間部62を上下方向に延びている。導入ダクト34を経
由して流入する排煙は、空間部62により各SJB管に
対して一様な流速分布に分散され、SJB管下端の開口
68からSJB管の内側に高速で流入し、管内に泡出し
てスーパージェットバブリング層を形成する。SJBR
の水平断面に対して排煙をできるだけ均一に分布するに
は、SJBRの外周から排煙をリング状にSJBR内に
導き、数カ所から均等にジェットバブリング管に向け流
入させることが望ましい。そこで、本実施例では、図6
(a)及び(b)に示すように、貫通孔78を有するガ
ス導入リング76をジェットバブリング管群を包囲する
ようにして設けている。ガス導入リングの形状は、これ
に限ることなく、断面多角形でも良く、また、更に多数
の貫通孔を設けても良い。
【0016】ガス冷却部 排煙が高温の場合には、入口ダクト34とSJBR50
の排煙導入口との間にガス冷却部52を設け、そこで予
め排煙を増湿冷却することもできる。ガス冷却部52
は、緩やかに断面積が拡大するガス導管で形成され、導
管内にスラリー状の吸収反応液をスプレーするスプレー
ノズル60を備えている。ガス冷却部52では、高温の
排煙とスプレーされた吸収反応液とが接触し、吸収反応
液中の水が排煙中に蒸発して、排煙はほぼ飽和温度の4
0〜60℃まで増湿冷却される。増湿冷却された排煙
は、蒸発しなかった残部の吸収反応液を同伴して空間部
62へ流入する。残部吸収反応液は、空間部62で排煙
から分離されて落下し、反応液部56の吸収反応液層に
即座に混合され、冷却された排煙が吸収部54に入る。
固形物を含む吸収反応液が、従来のように水平なデッキ
板上を流れることなく、直接に反応液部56へ流下する
ので、従来のように、固形物がデッキ板上に付着、堆積
するという問題は生じない。
【0017】SJB管 空間部62の内部に垂直に配設されるSJB管は、上下
端とも開放の管で形成されている。ところで、空間部6
2に排煙が流入しない状態では、SJB管の下部を、好
適には下端から上方に高さ約100〜600mmまでの部
分を吸収反応液に浸漬させる程度の液量の吸収反応液が
反応液部56に収容されているので、流体的にはSJB
管の下端が閉じられ、かつSJB管の内外の液面は等し
い。次に、排煙が空間部62に充満するにつれて、空間
部62に接する吸収反応液の液面が下方に押し下げら
れ、SJB管の外側の液面が下がるとともに管内の液面
が上がる。更に、空間部62内の排煙の圧力が増大し、
圧力が吸収反応液の液柱単位で浸漬深さになると、排煙
がSJB管下部の開口68から内側に流れ始める(図1
で左端のSJB管を参照)。この時、SJB管内に存在
する液柱の深さ、つまりガス泡出時の浸液深、Hb
((図4(b)参照)は、下記の式で表される。 Hb=(1+Ao/Ai)Hs (1) ここに、Hs=静止時の浸液深(図4(a)参照)、A
i=SJB管全体の総断面積、Ao=空間部62の横断
面積である。また、この時に必要な排煙の圧力、Po
は、 Po=ρl(1+Ai/Ao)Hs (2) となる。ここにρl=吸収反応液の密度である。
【0018】更に、空間部62内の排煙の圧力が増大す
ると、液面がSJB管の下端から下方に押し下げられ、
排煙の流路深が確保されて、所定の流量の排煙が流入す
る。この時、SJB管の下端開口から管内の液柱側への
ガスジェット流量、即ちSJB管外側から内側へのガス
流量Qは、ガス入口速度分布が下端開口の周縁に沿って
均一であるとして、下記の式で表現される。 Q={( ρl −ρv )/ρv)}0.5 ∫ c{2g(H−X)}0.5Lp(x)dx(3) ここに、ρl =吸収反応液の密度、ρv =排煙の密度、
c =定数、g =重力加速度、H =ガス流路深、X =ガス
流路内での管下端からX 距離、Lp(x)=ガス流路幅
(xの関数)であり、積分範囲は、ガス流路が下端開放
の場合は0〜H までであり、下端にスカートがある時
は、hs(スカート高さ)〜H +hsである。
【0019】スーパージェットバブリング層の形成 さて、SJB管内に安定したスーパージェットバブリン
グ層を形成するには、先ず、吸収反応液が圧力の高い管
内から開口を通じて管の外側へ戻ろうとするのを外から
内に押し返すだけのエネルギーを、排煙が保有しなけれ
ばならない。つまり、空間部62内の排煙の圧力が、
(2)式のPoより高いことが必要である。実験研究を
続けた結果、安定なスーパージェットバブリング層を形
成する条件として、上述の排煙の圧力条件に加えて、更
に本発明者らが見出した第一の条件は、従来のように多
孔質の散気板を用いて初めから小さな気泡を生成させる
のでなく、排煙を大きなガス塊にして噴出し、これを吸
収反応液と衝突させて多数の小さな気泡に分散させるこ
とこそが、安定なスーパージェットバブリング層を得る
要諦であるということである。特に、スラリーのように
固形物を含んでいる液にガスを気泡状に吹き込む時に
は、大きな開口面積にもかかわらず小さな気液が生ずる
このスーパージェットバブリング方式が効果的であるこ
とは容易に納得できるであろう。ガス塊の径は気液の性
状にある程度依存するのであるが、排煙脱硫の場合で
は、一般に、分散した気泡径が約2〜3mmになることか
ら、ガス塊は当然これより数倍大きい径となる。つま
り、気泡の5倍の径、即ち径10〜15mmの開口径を有
しておれば良い。
【0020】スーパージェットバブリング現象では、気
泡のみならず吸収反応液の微粒子も発生するので、安定
なスーパージェットバブリング層形成のためには、第二
の条件として、比重差から管外へ戻ろうとする微粒液滴
を管外から管内へ戻すエネルギーを排煙が持っていなけ
ればならないことである。第二の条件を満足するエネル
ギーは、ガスの液滴同伴速度6〜8m/sとして知られ
ている。
【0021】SJB管の開口 いま、ガス開口が、図2(d)に示すように、円管形S
JB管の下端管口で構成されるとすると、理論的には、
SJB管の下端開口の周縁全長に沿って、流路深さHの
ドーナツ状ガス塊が生じる。従って、管口で下端開口を
構成した場合、計算によれば、上記二つの条件は、ほぼ
満足されているので、管口で下端開口を構成した円管の
形状が、機構的に最も単純なSJB管であると言える。
【0022】実際には、ドーナツ形状のガス塊は不安定
であるから、ガス流路幅は、ガス流路深さと同じオーダ
ーであることが望ましく、下端開口は、いわゆる櫛形形
状の開口部として形成されることが望ましい。取り扱う
排煙の性状や吸収反応液の性状には幅があり、特にスラ
リーを吸収反応液として使用する場合には、閉塞のおそ
れがあるから、大きな寸法の開口が実際的であり、櫛形
の場合、SJB管の下端開口深さ、H(図2(a)参
照)は、H=0.025m程度とするのが望ましい。
【0023】ジェットSJB管の開口部の形状、寸法
は、前述した第1の条件及び第2の条件を満足しておれ
ば良く、好ましくは、開口径は前述のように10〜15
mmの相当径を有しておれば良く、形状的には排煙による
ジェットバブリング現象を発生させることができる限
り、本発明では特に限定する必要はない。形状について
は、管底面が開口した、いわゆる櫛形のスロット形状の
開口68a(図2(a)参照)に加えて、例えば管壁を
貫通するように設けられた貫通孔状の開口68b(図2
(b)参照)があり、開口68bの下方にスカート68
c(図2(c)参照)を有するものでもよい。図2
(d)に示すように、単に管を切断したような開口でも
良い。スカート68cは、その長さLを例えば100〜
500mmと適当に長くして、SJB管の下端より排煙が
流出しないようにすれば、排煙の吹き出し速度は、開口
の下端でも上記の臨界速度(6〜8m/s)を超えさせ
ることが可能で(櫛形のスロット形状では水平方向のガ
ス流速に2次曲線近似の分布があり、開口の下端では流
速がゼロとなることに注目のこと)、スーパージェット
バブリング層にスロッシングなどの液の揺動が起こらな
い利点はある。もっとも、スカートの部分はデッドゾー
ンになるので長期的には固形物が沈着するという欠点も
あるので、トレードオフを考慮する必要がある。スロッ
ト状の櫛形開口及び貫通孔状開口の場合、開口そのもの
の形状は、長孔で、隅については適当なアールをとった
ものが実用的であるが、丸孔、三角(上部にアールをと
った台形を含む)孔、四角孔など、また、開口の配列
も、上下には単段のほかに、二段あるいは三段など、左
右には等間隔ピッチ配列の他に複数ピッチの採用なども
あるが、これらは当業者の選択の範囲であって本発明で
は特に限定するものではない。
【0024】SJB管の下端開口深さH(図2(a)参
照)を25mmとした場合、排煙は、SJB管下端の開口
から深さ約25mmの排煙塊となってほぼ水平方向に管内
に流入し、吸収反応液が充満している管内では排煙の浮
力によって垂直方向に反転する。従って、管内側下部で
はほぼ25mm径のガス塊が存在する。このガス塊は、浮
力によって管内を管壁に沿って上昇しながら多くの気泡
に分裂、分散する。気泡の径は、液の表面張力や粘度な
どによって定まり、約2〜3mmのものが大部分である
が、液との混合が十分に行われる前のものは、過渡的に
不定形のガス塊の形状を示す。
【0025】スーパージェットバブリング層の高さ 生成した多くの気泡は、自己の浮力によって、あるいは
排煙の圧力によってドライブされて吸収反応液を伴いな
がら管内を吹き上がる。管内の液の高さは気泡が含まれ
る分だけ動的に膨張して高くなるので、スーパージェッ
トバブリング層の高さ、Hjは、 Hj=Hb/(1−Ф) (4) となる。ここに、Hb=ガス泡出時の浸液深、Ф=気泡
のホールドアップである。Фはスーパージェットバブリ
ング層では平均して0.4〜0.6である。この時に、
SJB管の外側で必要な排煙の圧力Poは、管内のスーパ
ージェットバブリング層が動的に膨張しても、相変わら
ず液相連続であるから、 Po=ρl {(1+Ai/Ao)Hs+(Ai/Ao)H}+HjФρv (5) となり、泡出時に比べて少し大きくなる。
【0026】スーパージェットバブリング相の流動状態 水平方向に管内に流入した約25mmの排煙塊は、吸収反
応液が充満している管内で浮力によって上方へ方向を転
じ、当初の排煙塊の径より2〜3倍大きい径のスーパー
ジェットバブリング塊(約50〜75mm)となって吹き
上がり、次いで2〜mm径の気泡に分裂する。気泡は、管
内スーパージェットバブリング層の高さHjに到達する
と、スーパージェットバブリング相から分離し、スーパ
ージェットバブリング層上方の気液分離室58に集めら
れる。気泡に同伴された吸収反応液は、ここで気泡と別
れ、下方に比重差で流下する。液の流れにはスーパージ
ェットバブリング流の約10%の流路断面積を与えるこ
とが液の円滑な下降に必要である。そのためには、SJ
B管の横断面で見て、管壁面に沿った幅50〜75mmの
円環部分がスーパージェットバブリング本体とすると、
円環の内側の径約50mmの円形部が液流部として機能す
る(図3参照)。従って、スーパージェットバブリング
本体部と液流部とを考慮すると、SJB管の直径は約1
50〜200mmとするのが望ましい。ここで、例示とし
て、スーパージェットバブリングの操作領域を図8に概
念的に示す。図8は、横軸にSJB管内のガス空塔速度
を、縦軸にスーパージェットバブリング層の高さを取っ
ている。図8に示すように、スーパージェットバブリン
グ相は、SJB管内のガス空塔速度を従来のものより速
くすることにより、例えば2〜9m/sにすることによ
り形成することができる。特に、SJB管内のガス空塔
速度を4〜9m/sの範囲にすることにより、気体と液
体とが共に上方に流動しつつ緊密に混合してなるスーパ
ージェットバブリング相を形成する。
【0027】SJB管の断面形状 一般的には、SJB管の横断面形状は円形であるが、そ
れは材料の入手容易性及び経済性が大きな理由であっ
て、本発明はSJB管を特定の形状に限定するものでは
ない。本発明では、例えば、SJB管の横断面は、円の
他に、楕円や卵形の曲線輪郭断面、あるいは三角形、正
方形、五角形、六角形など多角形輪郭断面、更には溝
(トラフ)形状の平板構造など任意の形状を採用するこ
とができる。SJB管の断面積が円形でない場合は、相
当管径(=4×断面積/浸辺長)を円管の直径とするこ
とにより、円管と同様に取り扱うことができる。例え
ば、幅Wの平板構造は、相当管径は4×W/2=2Wと
なり、同じ間隙を有する円管に比べて性能的には粗な基
本気液接触手段であると言える。
【0028】SJB管の標準的寸法 以上の説明から、本発明の基本気液接触機構の単位手
段、即ちSJB管は、標準的には、直径が100〜30
0mmの円管、又は相当径が100〜300mmの管体で下
端から下方に25mmのところをガス流路深さとして、排
煙が流速約10Nm/sで水平に管内の吸収反応液に噴出
するものである。実用規模の排煙脱硫装置は、多数のS
JB管が必要であって、これらのSJB管をデッキ板か
ら下方に延在させるようにデッキ板に配列することにな
る。SJB管は、その上端のところで水平なデッキ板を
貫通して保持され、デッキ板上が気液分離室58とな
る。
【0029】SJB管の配置 円管からなるSJB管を水平なデッキ板上に配置するに
は、正三角形及び正方形配置の二つが標準的であって、
ピッチは100〜600mmである。デッキ板の直径Ds
と、管配置のピッチPT と、管の数Nとの間には、管配
置の際のデッドスペースなどを考慮した上で次の関係が
ある。 N=C(DS /PT 2 (6) ここに、C=0.86(正三角形配置)、0.75(正
方形配置)である。管を最密に配置した場合は、PT
Dj(SJB管の径)であるが、取付け上の制約もあ
り、実用的にはこのような配列は難しく、PT =1.2
5Djとなることが普通である。なお、PT =1.25
Djの時のSJB管の総面積とSJBRの断面積の比
は、簡単な計算から0.48〜0.55となる。
【0030】SJB管内の気液接触作用 以下、上下端で開口した径200mmの円筒管を用いた最
も簡単なSJB管を例にして、SJB管内部における気
液接触作用を詳述する。図4(a)は排煙導入前のSJ
B管内外の吸収反応液の状態を示す(排煙の流入量、G
sは、Gs=0)。円筒管内外の液面は同じ高さにあっ
て、SJB管の下端は液面からHsの深さにある。図4
(b)は少量の排煙(Gs=約60Nm3 /m2 /h)を
導入した時の管内の状態を示している。管の外側の液面
は、排煙の圧力によって管の下端より上に数mmの高さま
で押し下げられ、排煙は、一旦、吸収反応液内に潜り、
下端から径数mm程度の気泡群となって管内に上昇する。
気泡群は、管の下端から内壁面近傍を旋回して上昇し、
しかも、吸収反応液の中を相互に独立してゆっくり上昇
するので、管内の吸収反応液は、ほとんど静止した状態
を示す。Hbは、管の内外の液面の差を示す。
【0031】図5(c)は、更にガス量を増加させた時
(Gs=約400Nm3 /m2 /h)の管内の状態を示し
ている。管の外側の液面は、管下端より数cm下方に押し
下げられ、排煙は下端周辺長の一部から径数cm程度の気
泡塊となって管内に吹き込まれる。気泡塊は、管の下端
面で圧力により押し潰され、径数mmの気泡がたくさん集
まった気泡群となる。気泡群は、管壁の内壁面近傍を旋
回して上昇しつつ、吸収反応液を吸引する。この吸収反
応液の液流は、L=約500m3 /m2 /h程度の単位
断面積当たりの流量Lで、矢印で示すように、最初は気
泡と共に管内を上昇し、次いで気泡が上方のガス層へ離
脱するにつれて下方に流れを転じ、管内の中央部に液下
降流を形成する。下降した液流は、再び噴出気泡群に吸
引され、液循環回路を管内に形成する。この状態は、従
来的な気泡層に近い流動である。
【0032】図5(d)は、更にガス量を増加させた時
(Gs=約4,200Nm3 /m2 /h)の管内の状態を
示している。管の外側の液面は、管下端より数cm下方に
押し下げられ、排煙は下端周辺長のほぼ全長から径数cm
程度の気泡塊となって管内に吹き込まれる。気泡塊は、
管の下端面で圧力により押し潰され、径数mmの気泡群と
なる。気泡群は、管壁の内壁面近傍を急速に上昇する。
上昇する気泡群には液がより一層強く吸引され、一方気
泡群はこの液の流れに衝突して、気泡が更に小さく分裂
する。この際、一部の気泡は合一するが、また液流と衝
突して再分裂する。液の流れは、L=約8,400m3
/m2 /h程度の単位断面積当たりの流量Lで、気泡と
の衝突のために乱されて気泡群の中で液の上昇と下降を
繰り返して、明快な液循環回路を形成しない。一方、気
泡も一部が下降する液流に伴われる。従って、管内の気
液の循環は不規則である。少量、例えば約200mg/Nm
3 程度の液滴が排煙に同伴されるが、気液分離室58で
分離され、デッキ板64に開口している液降下管70か
ら再び反応液部56へ戻される。この段階の気液接触現
象は、従来的なジェットバブリング現象とほぼ同じであ
る。
【0033】図5(e)は更に一層ガス流量を増加させ
た時(Gs=約14,100Nm3 /m2 /h)の管内の
状態を示している。吸収反応液の液面は管の下端より下
数cmに押し下げられ、排煙は、下端周辺長のほぼ全長か
ら気柱状ないし連続した気体塊の流れとなって管内に吹
き込まれる。気柱塊は、管の下端面で圧力により押し潰
され、数cmの気泡塊となる。気泡塊は、管内を急速に上
昇する。上昇する気泡塊は吸収反応液に衝突して分裂
し、多量の気泡群となる。一方、吸収反応液は、多量の
気泡群により一層吸引されて、L=約53,400m3
/m2 /h程度の単位断面積当たりの流量Lになる。気
泡群はこの液の流れに衝突して、気泡が更に小さく分裂
する。この際、一部の気泡は合一するが、また液流と衝
突して再分裂する。吸収反応液の流れは、気泡との衝突
のために乱されるが、気泡群の上昇速度が大きいので、
液は管内では下降せず、大部分が排煙と一緒に管内を上
昇して気液分離室58に流出する。気液分離室58で
は、排煙の流速が急速に低下するので、排煙に同伴した
吸収反応液は、排煙流から分離されて、一部が液降下管
70から流れ落ち、残部がSJB管内下部に戻り、矢印
で示すように、大きな液循環回路を形成する。これが本
発明のスーパージェットバブリング現象である。
【0034】以上の吸収反応液と排煙の混合層の状態
は、主として排煙の流量Gsによって定まるが、管下端
のガス入口の形状によっても影響される。排煙が管内に
流入する開口の開口縁が上述のように簡単な直線状の場
合は、大気泡塊が出来やすく、大気泡塊が上昇した後、
吸収反応液がその空間に入り込み、排煙の出口が閉じら
れるため、排煙の管内への吹き出し方が間欠的になり、
管内のジェットバブリング層も周期的な動きをし勝ちで
ある。この現象は、開口縁を櫛形にし、始めから小さな
気泡塊を作り、更に開口での排煙の流速を上げることに
より、軽減される傾向にある。ところで、本発明のSJ
B管内に拘束されたスーパージェットバブリング層で
は、この周期的な動きの波長は、SJB管の直径の2倍
程度の大きさに限定されるので、SJB管が数多くある
SJBRでは、全体としては振動数としては大きくな
り、準安定な流動性が達成される。逆にこの振動によっ
て気液動きが激しくなるので、気液の接触効率が向上す
るという利点も存在する。
【0035】〔第2発明のスーパージェットバブリング
気液接触装置の実施例1〕本実施例のスーパージェット
バブリング気液接触装置90は、図9(a)に示すよう
に、図7の従来のJBR10の空間部24及びライザー
30に代えて、その部分にスーパージェットバブリング
層を形成している。本装置90は、図9(a)に示すよ
うに、槽体が、吸収反応液を収容する液槽92と、上部
デッキ板94と下部デッキ板96とで区画する入口室9
8と、上部デッキ板94上に気液分離ゾーンとして形成
された出口室100とに区画されている。更に、装置9
0は、下部デッキ板96から垂直に下降して一端が吸収
反応液に浸漬し、管内側から下端開口を介して管外側に
気体を高速で導出するスーパースパージャー管102
と、入口室98を貫通する筒状部とスーパースパージャ
ー管102及び液槽92で区画された部分とからなるス
ーパージェットバブリング層形成部104と、上部デッ
キ板94から下降して一端が吸収反応液に浸漬された液
下降管106とを備えている。気体は、入口108から
入口室98に入り、更にスーパースパージャー管102
の下端開口から流出してスーパージェットバブリング層
形成部104にスーパージェットバブリング層を形成す
る。スーパージェットバブリング層で気液接触した気体
は、次いで、出口室100で気液分離され、出口(図示
せず)から槽外に流出する。出口室100で気液分離さ
れた吸収反応液は液下降管106を介して液槽92に戻
る。スーパースパージャー管102は、その直径又は相
当径が50〜200mmであって、200〜400mmのピ
ッチで下部デッキ板96に配置されている。
【0036】〔第2発明のスーパージェットバブリング
気液接触装置の実施例2〕本実施例のスーパージェット
バブリング気液接触装置110は、図9(b)に示すよ
うに、図9(a)に示した2段デッキ式のスーパージェ
ットバブリング気液接触装置90に代えて、1段デッキ
式の第2発明に係る装置である。本装置110は、図9
(b)に示すように、槽体が、吸収反応液を収容する液
槽112と、デッキ板114上の入口室116と、デッ
キ板114下の気液分離ゾーン118とに区画されてい
る。更に、装置110は、デッキ板114から垂直に下
降して一端が吸収反応液に浸漬し、下端開口内側から気
体を高速で管外に導出するスーパースパージャー管12
0と、デッキ板114より低く、スーパースパージャー
管120の下端開口より高い位置に上端開口を有し、そ
こから下降する下降管122とを備えている。気体は、
入口124から入口室116に入り、更にスーパースパ
ージャー管120の下端開口から流出して、スーパース
パージャー管120の下端開口と下降管122の上端開
口との間の領域にスーパージェットバブリング層を形成
する。スーパージェットバブリング層で気液接触した気
体は、気液分離ゾーン118で気液分離され、出口12
6から槽外に流出する。気液分離ゾーン118で気液分
離された吸収反応液は液下降管122を介して液槽11
2に戻る。スーパースパージャー管120は、その直径
又は相当径が50〜200mmであって、200〜400
mmのピッチでデッキ板114に配置されている。
【0037】本発明のスーパージェットバブリング・リ
アクタは、排煙の脱硫反応のみならず、気液の接触を目
的とするあらゆる処理操作に活用できる。例えば、硫化
水素、二酸化炭素などの酸性ガスの物理、化学吸収プロ
セスとして利用できる。更に、芳香族炭化水素のアルキ
レーションによるアルキルアロマの製造、メタノールの
カルボニル化による酢酸の製造、アルデヒドから酢酸へ
の空気酸化反応、ナフサの液相空気酸化による蟻酸、酢
酸、プロピオン酸の合成、アセチレンの塩素化重合によ
るクロロプレンの製造などを液相で実施する場合にも、
有効な方法である。この場合、触媒として均一系のもの
は勿論、不均一系のスラリー触媒を用いても差し支えな
い。また、石炭の液化反応や液相メタノール合成を行う
場合も、有用な処理方式として採用することができる。
【0038】
【発明の効果】本発明のスーパージェットバブリング気
液接触法により、気体と液体とを高い接触効率で接触さ
せることができ、気体と液体とを反応させたり、気体を
液体に吸収させたり、気体を液体で増湿冷却させたりす
ることにつき、飛躍的な効率アップを図ることができ
る。より詳細に効果を説明すると、第1には、従来型の
スプレー塔や充填塔とは異なって大型の液体循環ポンプ
を必要とせず、しかも気液接触領域の高さが低く、容積
効率が高いというジェットバブリング方式の特長を更に
発揮できることである。すなわち、気体を吸収反応液に
吹き込む際の単位断面積当たりの排煙開口面積(開口幅
×ガス塊深さ)をより大きくして、気体導入速度を従来
より更に高速にすることが可能になり、これにより気液
接触効率の高いスーパージェットバブリング層を形成す
ることができるので、SJBRの槽体の横断面積を従来
より小さくできる。また、スーパージェットバブリング
層の高さが、従来のジェットバブリング層の高さ1〜2
m程度から3〜5m程度に高くなるので、気液の滞留・
接触時間がそれだけ増大し、よい小さい浸液深さで高い
気液接触効率を得ることができ、気体の圧力損失を減少
させ、従って気体送風機の所要動力をそれだけ低減させ
ることができる。第2には、本SJBRでは、液体の流
動領域が局所化され、流動領域がJBRの全面に広がっ
ている従来のJBRに比べて著しく狭くなり、揺動つま
りスロッシング(仮に地震などで誘起されて起こること
があっても)は従来に比して極めて小さく押さえられ
る。また、液体の流体的安定性があるので、気液接触効
率の変動も小さくなるという利点もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るジェットバブリングリアクターの
一例の構成を示す模式図である。
【図2】図2(a)から(d)は、それぞれ、SJB管
の下部開口の例を示す斜視図である。
【図3】SJB管内の液下降領域を示す管横断面図であ
る。
【図4】図4(a)及び(b)は、図1に示すSJBR
の運転時のSJB管内の状態を示す模式的縦断面図であ
る。
【図5】図5(c)から(e)は、図4(b)に続い
て、図1に示すSJBRの運転時のSJB管内の状態を
示す模式的縦断面図である。
【図6】図6(a)は図1のSJBRと同じ構成を備
え、かつ導入リングと気液分離板を有するSJBRの模
式的縦断面図、及び図6(b)は図6(a)の矢視I−
IでのSJBRの横断面図である。
【図7】従来のJBRの構成を示す模式図である。
【図8】スーパージェットバブリングの操作領域を図8
に概念的に示す。
【図9】図9(a)及び(b)は、それぞれ第2発明の
スーパージェットバブリング気液接触装置の実施例の構
成を示す概略図である。
【符号の説明】
10 従来のジェットバブリングリアクター 12 気体出口室 14 気体入口室 16 液体室 18 上部デッキ板 20 下部デッキ板 22 液体 24 空間部 26 出口ダクト 28 入口ダクト 30 ライザー 32 ガス吹込み管 50 スーパージェットバブリングリアクタ 52 冷却部 54 スーパージェットバブリング吸収部(吸収部) 56 吸収反応液部(反応液部) 58 気液分離部 59 洗浄装置 60 スプレーノズル 62 空間部 64 デッキ板 66 SJB管 68 開口 70 液下降管 71 石灰石スラリー供給管 72 攪拌手段 74 空気吹き込み管 76 ガス導入リング 78 貫通孔 79 気液分離板 90 第2発明のスーパージェットバブリング気液接触
装置の実施例 92 液槽 94 上部デッキ板 96 下部デッキ板 98 入口室 100 出口室 102 スーパースパージャー管 104 スーパージェットバブリング層形成部 106 液下降管 108 入口 110 第2発明のスーパージェットバブリング気液接
触装置の別の実施例 112 液槽 114 デッキ板 116 入口室 118 気液分離ゾーン 120 スーパースパージャー管 122 下降管 124 入口 126 出口

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 気体を液体と接触させる気液接触法にお
    いて、(a)気体を高速で液体に吹込み、気体と液体と
    が緊密に混合したスーパージェットバブリング層を形成
    させるステップと、(b)スーパージェットバブリング
    層の上端から気液混合流体を取り出し、気液混合流体か
    ら液体を気液分離するステップと、および(c)分離さ
    れた液体を液本体に戻すステップとを順次かつ連続的に
    行うことを特徴とするスーパージェットバブリング気液
    接触法。
  2. 【請求項2】 更に、(b)ステップで気液混合流体か
    ら液体を分離して得た処理済み気体と別の液体とを気液
    接触させるステップを(d)ステップとして有すること
    を特徴とする請求項1に記載のスーパージェットバブリ
    ング気液接触法。
  3. 【請求項3】 前記液体が、固形物を流動可能な範囲で
    含むスラリーであることを特徴とする請求項1または2
    に記載のスーパージェットバブリング気液接触法。
  4. 【請求項4】 前記気体のスーパージェットバブリング
    ゾーン内での空塔速度が、2〜9m/sの範囲であるこ
    とを特徴とする請求項1から3のうちのいずれか1項に
    記載のスーパージェットバブリング気液接触法。
  5. 【請求項5】 気液混合流体の流速を前記気体のスーパ
    ージェットバブリングゾーン内での空塔速度より実質的
    に低下させることにより、前記(b)ステップを行うこ
    とを特徴とする請求項1から4のうちのいずれか1項に
    記載のスーパージェットバブリング気液接触法。
  6. 【請求項6】 気体を液体と接触させる気液接触装置に
    おいて、 気体の入口、気体と接触させる液体またはスラリー液
    (以下、特許請求の範囲では、液体またはスラリー液を
    纏めて簡単に液体と言う)の入口、処理済み気体の出口
    及び液体の出口を有し、(a)液体を保持する液槽と、
    (b)液槽内をほぼ垂直に下降して、下部を液体に浸漬
    させ、かつ下部に液体を充満させるスーパージェットバ
    ブリング管であって、下部の開口外側から気体を高速で
    管内に導入し、スーパージェットバブリングゾーンを管
    の内側に形成するようにしたスーパージェットバブリン
    グ管と、及び(c)スーパージェットバブリング管の上
    端に接して設けられ、スーパージェットバブリング管上
    端から流出する気液混合流体から液体を分離する気液分
    離ゾーンとを備えたことを特徴とするスーパージェット
    バブリング気液接触装置。
  7. 【請求項7】 更に、(d)気液分離ゾーンで分離され
    た同伴液体を前記液槽へ戻す液降下管を備えたことを特
    徴とする請求項6に記載のスーパージェットバブリング
    気液接触装置。
  8. 【請求項8】 前記スーパージェットバブリング管の直
    径又は相当径が、100〜300mmであることを特徴
    とする請求項6または7記載のスーパージェットバブリ
    ング気液接触装置。
  9. 【請求項9】 スーパージェットバブリング気液接触機
    構を上部に備え、気体から吸収されたガス成分を薬剤と
    反応させるリアクターを下部に備えたスーパージェット
    バブリングリアクター(以下、簡単にSJBRと略記す
    る)において、(a)薬剤として吸収反応液を下部に収
    容する吸収反応液槽ゾーンと、(b)SJBR上部を横
    断するように吸収反応液の液面の上に設けられたデッキ
    板と、(c)デッキ板によってSJBR下部から区画さ
    れた気液分離室と、(d)上端部でデッキ板を貫通して
    気液分離室と連通し、開口を有する下端部で吸収反応液
    に浸漬するように上下方向に配設され、吸収反応液を下
    端部内部に充満させるスーパージェットバブリング管で
    あって、下端部の開口外側から気体を高速で導入し、ス
    ーパージェットバブリングゾーンを管の内側に形成する
    ようにした複数のスーパージェットバブリング管と、
    (e)上端部でデッキ板を貫通して気液分離室と連通
    し、下端で吸収反応液に浸漬するように上下方向に配設
    された液降下管とを備えて、 気液分離室でスーパージェットバブリング管上端から流
    出する気液混合流体から液体を分離し、分離した液体を
    液降下管を介して吸収反応液槽ゾーンに戻すようにし、
    更に、(f)吸収反応液槽ゾーンに収容された吸収反応
    液の液面より上の上部空間に連通するようにSJBRの
    側壁に設けられた気体導入口と、(g)気液分離室の上
    部に設けられた処理済みの気体の出口と、および(h)
    吸収反応に必要な薬剤の入口並びに反応生成物の出口と
    を備えたことを特徴とするスーパージェットバブリング
    リアクター。
  10. 【請求項10】 前記複数のスーパージェットバブリン
    グ管を前記デッキ板上にピッチ100〜600mmにて
    配列することを特徴とする請求項9に記載のスーパージ
    ェットバブリングリアクター。
  11. 【請求項11】 前記複数のスーパージェットバブリン
    グ管および前記液降下管の総断面積がSJBRの断面積
    のそれぞれ30〜70%および1〜10%であることを
    特徴とする請求項9又は10に記載のスーパージェット
    バブリングリアクター。
  12. 【請求項12】 吸収反応液槽ゾーンに撹拌機を設ける
    ことを特徴とする請求項9から11のうちのいずれか1
    項に記載のスーパージェットバブリングリアクター。
  13. 【請求項13】 前記複数のスーパージェットバブリン
    グ管群を外側から包むリングから気体を分散して導入す
    ることを特徴とする請求項9から12のいずれか1項に
    記載のスーパージェットバブリングリアクター。
  14. 【請求項14】 スーパージェットバブリング管の上端
    部にガス分離板を離設して設けることを特徴とする請求
    項9から13のうちのいずれか1項に記載のスーパージ
    ェットバブリングリアクター。
  15. 【請求項15】 気体を液体と接触させる気液接触装置
    において、 気体の入口、気体と接触させる液体の入口、処理済み気
    体出口及び液体の出口を有し、(a)液体を保持する液
    槽と、(b)液槽内をほぼ垂直に下降して下部を液体に
    浸漬させ、かつ液体を下部に充満させるスーパースパー
    ジャー管であって、下部の開口内側から気体を高速で管
    外に導出させ、スーパージェットバブリングゾーンを管
    の外側で、かつ液槽内に形成するようにしたスーパース
    パージャー管と、及び(c)スーパースパージャー管の
    上端に接して設けられ、スーパージェットバブリングゾ
    ーン上端から流出する気液混合流体から液体を分離する
    気液分離ゾーンとを備えたことを特徴とするスーパージ
    ェットバブリング気液接触装置。
  16. 【請求項16】 更に、(d)前記気液分離ゾーンの上
    部に連通し、気液分離ゾーンを逸出した少量の同伴液体
    を含む処理済み気体を上方へ導くガス上昇管と、(e)
    ガス上昇管の上部に接続する気液分離室と、(f)気液
    分離室の底部に連結し、下端が液に浸漬され、気液分離
    室で分離された同伴液体を液槽に戻す液下降管とを備え
    たことを特徴とする請求項15記載のスーパージェット
    バブリング気液接触装置。
  17. 【請求項17】 前記スーパースパージャー管の直径ま
    たは相当径が、50〜200mmであることを特徴とす
    る請求項15または16に記載のスーパージェットバブ
    リング気液接触装置。
  18. 【請求項18】 複数のスーパースパージャー管を備
    え、複数のスーパースパージャー管をデッキ板上にピッ
    チ200〜400mmにて配列することを特徴とする請
    求項15から17のうちのいずれか1項に記載のスーパ
    ージェットバブリング気液接触装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103861449A (zh) * 2014-03-18 2014-06-18 湖南科技大学 空气自净法治理烟气二氧化硫装置及方法
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