JP3996968B2 - 排煙脱硫法及びその装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、排煙と吸収反応液とを接触させて排煙中の亜硫酸ガス等の有害物質を除去するようにした排煙脱硫法及びその装置に関し、更に詳細には、従来のジェットバブリング排煙脱硫法に比べて更に気液接触効率の高いジェットバブリング排煙脱硫法、コンパクトで気液接触効率の高い構造を有するJBR及びJBRを備えたジェットバブリング排煙脱硫装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
亜硫酸ガスなどの有害物質を排煙から除去するために、湿式排煙脱硫法が多用されている。湿式排煙脱硫法では、排煙と吸収反応液とを気液接触させ、排煙中の主な有害物質である亜硫酸ガスを吸収反応液に吸収し、生成した亜硫酸を亜硫酸塩にして、または吸収反応液中へ空気を吹き込むことによって更に亜硫酸塩を硫酸塩に転化して、固定化、除去する。
使用される吸収反応液は、亜硫酸を亜硫酸塩として固定する吸収剤を水に溶解及び/又は懸濁させたものであり(以下、水に吸収剤を溶解、懸濁させた液を併せて吸収反応液と総称する)、例えば、苛性ソーダ、石灰石等の吸収剤を水に溶解させた水溶液、水酸化マグネシウム、石灰石等の吸収剤を水に懸濁させたスラリーが吸収反応液として用いられる。
火力発電所のような大規模ボイラーから排出される排煙に適用する湿式排煙脱硫法は、従来、主として、スプレー式吸収塔を気液接触装置として用いるスプレー塔型湿式排煙脱硫装置により実施されている。吸収反応剤としては、石灰石が用いられ、亜硫酸塩の酸化剤として空気中の酸素を送入することにより、副生物として石膏が得られる。石灰石を用いているのは、それが数あるアルカリ剤の中で最も安価なアルカリ剤であるからである。
【0003】
スプレー塔型湿式排煙脱硫装置
スプレー塔型湿式排煙脱硫装置10は、図8に示すように、スプレー式吸収塔(以下、簡単に吸収塔と言う)11と、石灰石スラリー槽12を含む吸収反応液供給装置と、石膏スラリー脱水機13を含む生成固形物の分離装置とを備えている。
ボイラー排煙は、ボイラーに送入する燃焼用空気をボイラー排煙により予熱する程度にもよるが、通常、90〜150℃の温度で入口ダクト14経由してボイラー(図示せず)から吸収塔11に導入される。一方、吸収反応液は、吸収塔11下部にあって吸収反応液を収容している吸収液部15から循環ポンプ16により昇圧され、吸収塔11上部の多段スプレーノズル群17A〜Dによって排煙に向け噴霧される。吸収反応液としては、通常、石灰石スラリーが使用される。石灰石スラリーは、石灰石スラリー槽12内で所定濃度に調節され、石灰石スラリーポンプ18によって吸収塔11に所定流量で供給される。
吸収塔11に流入した排煙は、先ず、第1段スプレーノズル17Aから噴霧された吸収反応液と気液接触して、吸収反応液中の水が蒸発するとともに排煙は水蒸気で飽和され、温度が約50℃に低下する。続いて、排煙は、第2段、第3段及び第4段のスプレーノズル群17B、17C、17Dから噴霧された吸収反応液と気液接触して、排煙中の亜硫酸ガス、煤塵等の有害物質が、吸収反応液中に吸収され、排煙から除去される。一方、有害物質が除去されて清浄化した排煙は、吸収塔11の塔頂から流出してミストエリミネータ19に入り、そこで同伴した吸収反応液ミストが除去された後、清浄化ガスとして大気中に放出される。
【0004】
吸収反応液に吸収された亜硫酸は、石灰石と反応し、反応生成物として亜硫酸カルシウムに転化する。更に、亜硫酸カルシウムは、空気供給管20により吸収液部15の吸収反応液に吹き込まれた空気中の酸素及び排煙中の残留酸素により酸化されて石膏となる。
石膏を含むスラリーは、循環ポンプ16により吸収液部15から抜き出され、その一部がスラリータンク21に導かれ、残部が吸収反応液として吸収塔11のスプレーノズル群17に循環される。濃厚な石膏スラリーが、スラリータンク21の底部から石膏スラリーポンプ22により抜き出されて石膏スラリー脱水機13に送られ、そこで脱水され、粉末状の石膏として回収される。
脱水後の清澄な石膏スラリー母液は、濾液槽23に貯えられ、更に、濾液ポンプ24により昇圧され、一部が補給水として石灰石スラリー槽12に送られ、残部が吸収塔11の頂部に戻される。なお、吸収塔11の吸収反応液中に蓄積した石膏以外の不純物は、この石膏スラリー母液の極く一部を排水として排水処理装置(図示せず)に送水することによって吸収塔11から排除される。
【0005】
ところで、近年、地球規模での環境問題への関心の高まりとともに、排煙脱硫装置の設置が世界的に求められているが、それを実現するためには、何よりも排煙脱硫装置の設備費及び運転費を低減して、排煙の発生源に排煙脱硫装置を経済的に設備し易くすることが重要である。
そのためには、排煙脱硫装置の主要部を構成する、排煙と吸収反応液との気液接触部(上述の例ではスプレー式吸収塔)をコンパクトで効率的な形式にすることが必要である。
しかし、スプレー式吸収塔は、構造が簡単なものの、気液接触の効率が低いために吸収塔容積が大きくなるという欠点がある。また、気液接触効率をより高める充填塔形式の吸収塔も一部利用されて来ているが、排煙脱硫装置のような大規模な装置には偏流等の問題から不向きである。
【0006】
そこで、高い気液接触効率を達成するために、スプレー式吸収塔や充填式吸収塔のようなガス連続相気液接触装置とは異なり、液側が連続相であることを特長とするJBR(ジェットバブリングリアクター)を気液接触装置とした排煙脱硫装置が本発明者らによって開発されている。
液連続相の気液接触装置は、ガス連続相の従来型気液接触装置とは異なり、気液接触効率が高くコンパクトであって、しかも吸収反応液をポンプで循環する必要がないので、動力費が大幅に軽減される利点があり、特に吸収反応液がスラリーである場合には、吸収反応液の循環ポンプ等の摩耗により生じる運転トラブル、短寿命の問題等を本質的に回避できる利点がある。
このため、このジェットバブリング式の排煙脱硫装置は、運転容易な、コンパクトで効率的な排煙脱硫装置として数多く用いられている。
【0007】
ジェットバブリング排煙脱硫装置
JBRを気液接触装置とする排煙脱硫装置、即ちジェットバブリング排煙脱硫装置30は、図9に示されるように、JBR31と、石灰石スラリー槽32を含む吸収反応液供給装置と、石膏スラリー脱水機33を含む生成固形物の分離装置とを備えている。
高温のボイラー排煙は、入口ダクト34からJBR31のガス冷却部35に導入される。ガス冷却部35には、JBR31下部の吸収反応液部37から抜き出しポンプ36により抜き出された吸収反応液が、スプレーノズル38を介して噴霧される。このガス冷却部35では、噴霧された吸収反応液中の水が、高温の排煙中に蒸発して、排煙を水蒸気で飽和すると共に排煙の温度を約50℃に低下させる。
次いで、増湿冷却された排煙は、ガス吹き込み管(スパージャー)群39を介して吸収反応液部37に収容された吸収反応液中に吹き込まれ、微細な気泡となって群生する。気泡群は、吸収反応液と気液接触し、排煙中の亜硫酸ガス、煤塵等の有害物質が気泡から液中に吸収され、除去される。吸収剤には、前述のスプレー塔型湿式排煙脱硫装置10と同じく、石灰石スラリーが用いられる。石灰石スラリーは、石灰石スラリー槽32内で所定濃度に調整され、石灰石スラリーポンプ40によってJBR31へ所定の流量で供給される。
【0008】
亜硫酸ガスが吸収反応液に吸収、除去されて清浄化した排煙は、JBR31の上部から流出して出口ダクト48を経由、その途中に設けられたミストエリミネータ41に入り、排煙に同伴した吸収反応液ミストがそこで除去された後、清浄化ガスとして大気中に放出される。
吸収反応液に吸収された亜硫酸は、石灰石と反応し、反応生成物として亜硫酸カルシウムに転化する。亜硫酸カルシウムは、空気供給管42を介して吸収反応液部37の吸収反応液に吹き込まれた空気中の酸素及び排煙中の残留酸素により酸化されて石膏になる。吸収反応液部37には攪拌機43が設けられ、生成した石膏を緩やかに流動させる。
石膏を含むスラリーは、抜き出しポンプ36により吸収反応液部37から抜き出され、一部がガス冷却部35に送入され、残部がスラリータンク44に導かれる。濃厚な石膏スラリーが、石膏スラリーポンプ45によりスラリータンク44の底部から抜き出されて石膏スラリー脱水機33に送られ、そこで脱水され、粉末状の石膏として回収される。
脱水後の清澄な石膏スラリー母液は、濾液槽46に貯えられ、更に、濾液ポンプ47により昇圧され、一部が補給水として石灰石スラリー槽32に送られ、残部はJBR31に戻される。なお、JBR31の吸収反応液中に蓄積した石膏以外の不純物は、この石膏スラリー母液の極く一部を排水として排水処理装置(図示せず)に送水することによってJBR31から排除される。
図10は、従来の代表的なJBRの内部構造及びその機能を示す。多数本のガス吹込み管(スパージャー)が水平な下部デッキに取り付けられ、下方に延在している。ライザーは、ジェットバブリング領域で清浄化された排煙が上部デッキ板上の排煙出口室に上昇する通路である。排煙は、上部デッキ板と下部デッキ板とで区画された排煙入口室を経て、ガス吹込み管から吸収反応液に導入され、ガス吹き込み管の外側領域の吸収反応液内にジェットバブリング領域を形成し、そこで清浄化された後、ライザー及び排煙出口室を経由して清浄化ガスとして系外に流出する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
石灰石を吸収剤とし、相互に異なる気液接触機構により排煙を脱硫する2種類の装置をそれぞれ上記に詳述した。
2種類の排煙脱硫装置のうち、後者のジェットバブリング排煙脱硫装置のJBRは、気液接触効率が極めて高いことから、気液接触層の高さが高々1mと低く、かつ液連続相の気液接触機構であることから、大型の吸収反応液循環ポンプを要しないことが評価されて、排煙脱硫装置として日本はもとより欧米でも多くの火力発電所に設置されている。
【0010】
ところで、従来のJBRでは、図9及び図10に示すように、ガス冷却部35で吸収反応液を排煙中に噴霧して排煙を増湿冷却し、増湿冷却した排煙を吸収反応液と共にJBR31のデッキ板49上に導入している。
このため、大量の吸収反応液が、排煙に同伴してJBR31の排煙導入口領域に流入し、予め吸収反応液中に存在している石膏や気液接触の結果生じた種々の固形物が排煙導入口領域の水平なデッキ板49(図9及び図10参照)に付着、堆積することがしばしばある。堆積した固形物は、排煙の流路を狭め、排煙の圧損失の増大を引き起こすので、固形物が付着、堆積した領域の周りを洗浄液で洗浄して該固形物を除去しなければならない。
【0011】
固形物を洗い流すためには、洗浄の強度として、一般に、デッキ板の単位面積(m2 )当たり少なくとも毎時3m3 の流量の洗浄液が必要である。従って、例えば、毎時100万Nm3 の排煙を処理する場合、デッキ板の面積は約200m2 であるので、必要な洗浄液の流量は少なくとも毎時600m3 となる。石膏スラリー脱水機33によって石膏スラリーから分離した清澄な濾液を洗浄液に用いるとして、濾液の量は、上記の毎時100万Nm3 の排煙を処理する場合、排煙中の亜硫酸ガスの量にもよるが、毎時30m3 程度であり、デッキ板を連続洗浄するには不足する。従って、洗浄を間欠的に行わざるを得ない。
間欠的洗浄では、固形物の除去が不十分である上に、間欠洗浄を自動的に実施するためには、多くの自動弁や多数の制御計器を制御ループに付加することが必要になるために、設備が複雑になり、操作が面倒になり、また設備コストが増大する。
【0012】
また、洗浄液として、清澄な濾液でなく、吸収反応液自体を使用することもできる。この場合、連続的洗浄に必要な流量を確保することはできるが、吸収反応液には石灰石、石膏等の固形物が含まれているので、デッキ板上での流動性に難があり、この固形物(主として石膏)が、水平なデッキ板に堆積し、却って逆効果になる。また、堆積した石膏は、JBRの開放点検時に、掃除、除去しなければならないので、保守に人手を有し、却って保守コストが増加する。また、吸収反応液の分散に使用するスプレーノズルが、固形物によって摩耗するなどの問題もあって実際的ではない。
【0013】
以上のような現状から、本発明者らは、効率的で経済的な排煙脱硫装置を開発するべく、種々の排煙処理方式を研究した結果、ポンプによる吸収反応液スラリーの大量循環を必須とするスプレー塔形式や充填塔形式のガス連続相気液接触機構では動力費の増大、ポンプの摩耗という欠陥を解決し得ず、しかも装置のコンパクト化、つまり気液接触効率の向上には技術的限界があることを認識した。
一方、JBRに適用されている気液接触方式、即ち液連続相気液接触方式では高価な大型スラリーポンプを必要とせず、しかもコンパクトで効率的な気液接触が本質的に可能である。
そこで、本発明者らは、ジェットバブリング気液接触機構を採用し、それに付随するマイナーな問題点を解消することが、解決の本筋であると結論し、ジェットバブリング方式を適用した新規な構成の排煙処理槽を開発することにした。
【0014】
よって、本発明の目的は、排煙を冷却するために吸収反応液と接触させても、固形物がJBR内部に付着もしくは堆積しないように、また開放点検時に堆積した固形物を掃除、除去する煩わしさがないように改良したジェットバブリング排煙脱硫法、ジェットバブリング排煙脱硫装置及びそれに必要なJBRを提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るジェットバブリング排煙脱硫法
上記本発明の目的を達成するために、本発明に係る排煙脱硫法は、排煙を吸収反応液中にジェットバブリングして排煙中の亜硫酸ガスなどの有害物質を除去するジェットバブリング排煙脱硫法において、
吸収反応液層に連続する柱状に区画された領域内の吸収反応液に排煙を高速で吹込み、排煙と吸収反応液とが緊密に混合し上方の気体域に流出する気体が液体を同伴する柱状のジェットバブリング層を区画領域内に形成させ、排煙中の有害物質を吸収反応液に吸収して排煙を清浄化するステップと、
清浄化排煙を吸収反応液と共にジェットバブリング層から流出させ、清浄化排煙に同伴した吸収反応液を清浄化排煙から気液分離し、清浄化排煙を系外へ送出するステップと、
分離された吸収反応液を吸収反応液層に戻すステップと
を有し、
前記ジェットバブリング層を区画領域内に形成させるに当たり、吸収反応液層に下部を浸漬させた上下方向に延在する管体によって前記柱状の区画領域を区画し、管体の外側から管体の下部開口を介して管体の内側の吸収反応液に排煙を導入し、管体の内側にジェットバブリング層を形成することを特徴としている。
【0016】
本発明では、吸収反応液を収容したジェットバブリング管の外側から管下部の開口を介して排煙を従来に比べて高速で管内側に導入して管内にスーパージェットバブリング層を形成させる。管内の好適な排煙の流量は、管体の単位断面積当たり4,000Nm3 /m 2/h〜15,000Nm3 /m 2/hの範囲である。
スーパージェットバブリング層を形成しているジェットバブリング管上部から流出する排煙には、吸収反応液が同伴するので、流出した清浄化排煙から吸収反応液を分離し、清浄化排煙を系外へ送り出す。一方、分離された吸収反応液は、吸収反応液層に戻すものである。
【0017】
また、排煙は、一般に、90〜160℃の高温で導入されるので、排煙を予冷することが好ましい。その場合には、水を含む吸収反応液を排煙と気液接触させて排煙を増湿冷却し、その後にジェットバブリング管内に導入し、スーパージェットバブリング層を形成する。
そこで、本発明に係る別の排煙脱硫法は、水を媒体とする吸収反応液を使用し、その吸収反応液を排煙と気液接触させて排煙を増湿冷却する増湿冷却ステップを備え、増湿冷却された排煙を高速で吸収反応液に吹き込むようにしたことを特徴としている。
【0018】
また、該増湿冷却された排煙を上記ジェットバブリング管へ導入する前に、前記増湿冷却用吸収反応液を増湿冷却後の排煙から分離し、分離した前記増湿冷却用吸収反応液に必要な処理を施した後に、別途、吸収反応液層に戻すようにすることも、排煙の不純物が増湿冷却用吸収反応液に捕集されることが多いので、時には好ましい。
【0019】
本発明に係るジェットバブリング排煙脱硫装置
更に、本発明に従えば、上記の新規なジェットバブリング排煙脱硫法を実施する装置として以下のような装置が提供される。すなわち、本発明に係るジェットバブリング排煙脱硫装置は、排煙を吸収反応液内でジェットバブリングさせる手段を備えたジェットバブリング排煙脱硫装置において、
ジェットバブリングさせる手段が、
排煙流入口、吸収反応液を構成する薬剤の注入口、及び、反応生成物の取り出し口を有し、かつ排煙流入口の下方に吸収反応液を収容し、排煙流入口を介して吸収反応液上に排煙を流入させる液槽と、
吸収反応液の液面の上方に設けられたデッキ板と、
上部及び下部に開口を有して上下方向に延在する管体で形成され、管体の上端がデッキ板に取り付けられ、管体の下部を吸収反応液に浸漬させて管体の内側に吸収反応液を導入し、かつ管体の外側から下部の開口を介して管体の内側の吸収反応液に排煙流入口からデッキ板と吸収反応液の液面との間の空間部を通ってきた排煙を流入させ、排煙と吸収反応液とが緊密に混合し上方の気体域に流出する気体が液体を同伴するジェットバブリング層を管体の内側に形成するようにしたジェットバブリング管と、
デッキ板によりの液槽の上方に区画され、ジェットバブリング管の上部に連通する気液分離空間と清浄化排煙流出口とを備え、ジェットバブリング管の上部より流入した清浄化排煙から、同伴吸収反応液を分離し、かつ清浄化排煙を系外に導出する気液分離室と、
上端部が気液分離室の底部に連結され、下端部がジェットバブリング管より深く吸収反応液中に浸漬するように延在し、気液分離室で分離された同伴吸収反応液を吸収反応液に戻す液下降管と
を備えたことを特徴としている。
【0020】
また、排煙の予冷を必要とする場合、本発明に係るジェットバブリング排煙脱硫装置は、水を媒体とする吸収反応液と排煙とを気液接触させる気液接触部を液槽の上流側に備え、予め排煙を増湿冷却した後に液槽の吸収反応液上に導入するようにしている。
【0021】
本発明に係るJBR
本発明に係るJBRは、排煙を吸収反応液に気液接触させるジェットバブリング部を上部に備え、排煙から吸収反応液に吸収した亜硫酸ガスを含む有害物質を吸収反応液との反応により無害化させる反応部を下部に備えた排煙脱硫ジェットバブリングリアクターにおいて、
ジェットバブリング部と反応部とが、ジェットバブリングリアクタ(以下、簡単にJBRと言う)を形成する一つの槽体内に収容され、かつ
槽体を横断するように延在して、JBRの槽体の内部を上下に区画するデッキ板と、
デッキ板と液面との間に空間部を確保するようにしてデッキ板から下方に吸収反応液を収容すると共に、空間部に連通して排煙を空間部に流入させる排煙流入口、吸収反応液を構成する薬剤の注入口、及び反応生成物の取り出し口を備える液槽部と、
デッキ板の上にあって、気液分離空間と清浄化排煙流出口とを有する気液分離室と、
上部及び下部に開口を有し、上部でデッキ板を貫通して気液分離室に連通し、下部で吸収反応液に浸漬して液槽の空間部を上下方向に延在する管体で形成され、管体の内側に吸収反応液を導入し、かつ管体の外側から下部の開口を介して管体の内側の吸収反応液に排煙を流入させ、排煙と吸収反応液とが緊密に混合し上方の気体域に流出する気体が液体を同伴するジェットバブリング層を管体の内側に形成するようにしたジェットバブリング管と、及び
上端部でデッキ板を貫通して気液分離室と連通し、下端部でジェットバブリング管より深く吸収反応液に浸漬するように上下方向に配設された管体で形成され、気液分離室で排煙から分離された同伴吸収反応液を液槽部に戻す液下降管と
を備えたことを特徴としている。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下に、実施例を挙げ、添付図面を参照して、本発明の実施の形態を具体的かつ詳細に説明する。
〔1.ジェットバブリングリアクターの実施例〕
全体的構成
本発明に係るジェットバブリング排煙脱硫装置は、好適には、気液接触装置として本発明に係るジェットバブリングリアクター(以下、簡単にJBRと言う)を使用する。本発明に係るJBRは、排煙を吸収反応液中に従来に比べて高速(スーパー)吹き込み(ジェットバブリング)して液連続相で気液接触を行い、排煙中の亜硫酸ガスなどの有害物質を除去するようにした排煙処理槽である。以下に、その構成の一例を挙げて、本発明に係るJBRを説明する。
本JBR50は、図1に示すように、吸収反応液中の水の蒸発によって高温の排煙を冷却するガス冷却部52と、排煙中の亜硫酸ガスなどの有害物質を吸収するスーパージェットバブリング吸収部54(以下、簡単に吸収部54と言う)と、吸収反応液を収容し、吸収部54で吸収した亜硫酸を中和、酸化し、石膏に転化する吸収反応液部56(以下、簡単に反応液部56と言う)と、気液分離部58とを備える。図1中、図9及び図10と同じ部位には同じ符号を付している。
【0023】
ガス冷却部52は、入口ダクト34とJBR50の排煙導入口との間に配置された、緩やかに断面積が拡大するガス導管で形成され、導管内にスラリー状の吸収反応液をスプレーするスプレーノズル60を備えている。ガス冷却部52では、高温の排煙とスプレーされた吸収反応液とが接触し、吸収反応液中の水が排煙中に蒸発して、排煙はほぼ飽和温度の40〜60℃まで増湿冷却される。
増湿冷却された排煙は、蒸発しなかった残部の吸収反応液を同伴して吸収部54の外側に位置する空間部62へ流入する。空間部62とは、後述するデッキ板64と吸収反応液の液面との間の空間を言う。
残部吸収反応液は、ここで排煙から分離されて落下し、反応液部56の吸収反応液層に即座に混合され、冷却された排煙のみが吸収部54に入る。固形物を含む吸収反応液が、従来のように水平なデッキ板上を流れることなく、直接に反応液部56へ流下するので、従来のように、固形物がデッキ板上に付着、堆積するという問題は生じない。
【0024】
吸収部54は、吸収反応液の液面上に設けられたデッキ板64に上端が取り付けられ、下端が吸収反応液中に浸漬するように垂直に配設された多数のジェットバブリング管66から成り、これらのジェットバブリング管66の下端部には開口68が設けられている。
冷却された排煙は、ジェットバブリング管66の外側の空間部62から開口68を経て高速でジェットバブリング管66の内側の吸収反応液へ流入し、その内部で気泡を多数発生させ、高性能気液接触領域であるスーパージェットバブリング層をジェットバブリング管66の内側に形成する。
排煙中の亜硫酸ガスなどの有害物質が、このスーパージェットバブリング層で吸収、除去される。排煙は、図1に示すように、また後で図5及び図6を参照して詳述するように、気泡状となってジェットバブリング管66内の管壁近傍を上昇し、ジェットバブリング管66の上端でスーパージェットバブリング層から離脱し、気液分離室58を経て清浄なガスとしてJBR50の外に排出される。
【0025】
一方、吸収された亜硫酸を含む吸収反応液は、気液分離室58で清浄化ガスから分離され、図1に矢印で示すように、ジェットバブリング管66内の中央部及び液下降管70を下降して反応液部56に戻る。
反応液部56は、適当な攪拌手段72を有する固体懸濁液層であり、ここには石灰石スラリーが吸収剤として石灰石スラリーポンプ(図示せず)によって石灰石スラリー供給管71を経由して供給される。更に、空気が酸化剤として気泡状で空気吹き込み管74から供給される。排煙から吸収反応液に吸収された亜硫酸は、石灰石と空気により、中和、酸化されて石膏となり、生成した石膏は上記攪拌手段72で懸濁層中で緩やかに流動されつつ成長を続ける。
【0026】
ガス冷却部
ガス冷却部52は、排煙の流入方向に少なくとも一段、好ましくは3段のスプレーノズルを備え、スプレーノズルで微粒化した吸収反応液を排煙と接触させる構造が好適である。高温の排煙が、入口ダクト34からガス冷却部52の入口に導入され、スプレーノズル群60に至ると、噴霧された液滴中の水が蒸発することによって、排煙が約40〜60℃に冷却される。付随的には、排煙中の煤塵や亜硫酸ガスも、一部、吸収、除去される。
ガス冷却部52のガスの流路は、入口部から次第に拡大し、流路の底辺部はJBR50の側壁に向かって下向きの傾斜を有するようにする。ガス冷却部52では、蒸発する液量に比して多量の吸収反応液が噴霧されるので、例えば約0.05l/Nm3 の蒸発量に対して、約1〜3l/Nm3 の液量が噴霧されるので、次の空間部62に過剰の吸収反応液が流入する。
【0027】
空間部
空間部62は、天井面はデッキ板64で、側面はJBR50の側壁及びジェットバブリング管の管壁で、下面は吸収反応液の液面で、それぞれ規定される空間であって、ジェットバブリング管66(以下、原則として符号66は省略する)がこの空間部62を上下方向に延びている。
ガス冷却部52から流入する排煙と吸収反応液との気液混合流は、この空間部62で気液分離され、固形物を含む吸収反応液は下方の吸収反応液層に落下し、一方、排煙はジェットバブリング管下端の開口68からジェットバブリング管の内側に高速で流入し、管内に泡出してスーパージェットバブリング層を形成する。
ガス冷却部52から空間部62までの経路には、液または固形物が滞留するような水平な部位が存在せず、しかも狭隘な部位もないので、固形物による閉塞は発生しない。空間部62の下面は、攪拌手段72で攪拌される吸収反応液の液面であり、空間部62から落下する液または固形物は直ちに吸収反応液層に混合されてしまい、付着したり堆積したりする機会は全く存在しない。
【0028】
ジェットバブリング管
空間部62の内部に垂直に配設されるジェットバブリング管は、上下端とも開放の管で形成されている。ところで、空間部62に排煙が流入しない状態では、ジェットバブリング管の下部、好適には下端から上方に高さ約100〜600mmまでの部分が吸収反応液に浸漬される程度の液量の吸収反応液が反応液部56に収容されているので、流体的にはジェットバブリング管の下端が閉じられ、かつジェットバブリング管の内外の液面は等しい。
次に、排煙が空間部62に充満するにつれて、空間部62に接する吸収反応液の液面が下方に押し下げられ、ジェットバブリング管の外側の液面が下がるとともに管内の液面が上がる。
更に、空間部62内の排煙の圧力が増大し、圧力が吸収反応液の液柱単位で浸漬深さになると、排煙がジェットバブリング管下部の開口68から内側に流れ始める(図1で左端のジェットバブリング管を参照)。この時、ジェットバブリング管内に存在する液柱の深さ、つまりガス泡出時の浸液深、Hbは、下記の式で表される。
Hb=(1+Ao/Ai)Hs (1)
ここに、Hs=静止時の浸液深(図5(a)参照)、Hb=ガス泡出時の浸液深(図5(b)参照)、Ai=ジェットバブリング管全体の総断面積、Ao=空間部62の横断面積である。
また、この時に必要な排煙の圧力、Poは、
Po=ρl(1+Ai/Ao)Hs (2)
となる。ここにρl=吸収反応液の密度である。
【0029】
更に、空間部62内の排煙の圧力が増大すると、液面がジェットバブリング管の下端から下方に押し下げられ、排煙の流路深が確保されて、所定の流量の排煙が流入する。この時、ジェットバブリング管の下端開口から管内の液柱側へのガスジェット流量、即ちジェットバブリング管外側から内側へのガス流量Qは、ガス入口速度分布が下端開口の周縁に沿って均一であるとして、下記の式で表現される。
Q={( ρl −ρv )/ρv)}0.5 ∫ c{2g(H−X)}0.5Lp(x)dx(3)
ここに、ρl =吸収反応液の密度、ρv =排煙の密度、c =定数、g =重力加速度、H =ガス流路深、X =ガス流路内での管下端からX 距離、Lp(x)=ガス流路幅(xの関数)であり、積分範囲は、ガス流路が下端開放の場合は0〜H までであり、下端にスカートがある時は、hs(スカート高さ)〜H +hsである。
【0030】
緊密に混合してなるジェットバブリング層の形成
さて、ジェットバブリング管内に緊密に混合してなる、安定したジェットバブリング層(以下、緊密に混合してなる、安定したジェットバブリング層を、単に「安定したジェットバブリング層」と言う)を形成するには、先ず、吸収反応液が圧力の高い管内から開口を通じて管の外側へ戻ろうとするのを外から内に押し返すだけのエネルギーを、排煙が保有しなければならない。つまり、空間部62内の排煙の圧力が、(2)式のPoより高いことが必要である。
実験研究を続けた結果、安定なジェットバブリング層を形成する条件として、上述の排煙の圧力条件に加えて、更に本発明者らが見出した第一の条件は、従来のように多孔質の散気板を用いて初めから小さな気泡を生成させるのでなく、排煙を大きなガス塊にして噴出し、これを液体と衝突させて多数の小さな気泡に分散させることこそが、安定なジェットバブリング層を得る要諦であるということである。特に、スラリーのように固形物を含んでいる液にガスを気泡状に吹き込む時には、大きな開口面積にもかかわらず小さな気液が生ずるこのジェットバブリング方式が効果的であることは容易に納得できるであろう。
ガス塊の径は気液の性状にある程度依存するのであるが、排煙脱硫の場合では、一般に、分散した気泡径が約2〜3mmになることから、ガス塊は当然これより数倍大きい径となる。つまり、気泡の5倍の径、即ち径10〜15mm程度の開口径を有しておれば良い。
【0031】
ジェットバブリング現象では、気泡のみならず液体の微粒子も発生するので、安定なジェットバブリング層形成のためには、第二の条件として、比重差から管外へ戻ろうとする微粒液滴を管外から管内へ戻すエネルギーを排煙が持っていなければならないことである。
第二の条件を満足するエネルギーは、ガスの液滴同伴速度6〜8m/sとして知られている。
【0032】
ジェットバブリング管の開口
いま、ガス開口が、図2(d)に示すように、円管形ジェットバブリング管の下端管口で構成されるとすると、理論的には、ジェットバブリング管の下端開口の周縁全長に沿って、流路深さHのドーナツ状ガス塊が生じる。計算によれば、上記二つの条件は、ほぼ満足されており、管口で下端開口を構成した円管の形状が、機構的に最も単純なジェットバブリング管であると言える。
【0033】
実際には、ドーナツ形状のガス塊は不安定であるから、ガス流路幅は、ガス流路深さと同じオーダーであることが望ましく、下端開口は、いわゆる櫛形形状の開口部として形成されることが望ましい。
取り扱う排煙の性状や吸収反応液の性状には幅があり、特にスラリーを吸収反応液として使用する場合には、閉塞のおそれがあるから、大きな寸法の開口が実際的であり、櫛形の場合、ジェットバブリング管の下端開口深さ、H(図2(a)参照)は、H=0.025m程度とするのが望ましい。
【0034】
ジェットバブリング管の開口部の形状、寸法は、前述した第1の条件及び第2の条件を満足しておれば良く、好ましくは、開口径は前述のように10〜15mmの相当径を有しておれば良く、形状的には排煙によるジェットバブリング現象を発生させることができる限り、本発明では特に限定する必要はない。
形状については、管底面が開口した、いわゆる櫛形のスロット形状の開口68a(図2(a)参照)に加えて、例えば管壁を貫通するように設けられた貫通孔状の開口68b(図2(b)参照)があり、開口68bの下方にスカート68c(図2(c)参照)を有するものでも良い。図2(d)に示すように単に管を切断したような開口でも良い。
スカート68cは、その長さLを例えば100〜500mmと適当に長くして、ジェットバブリング管の下端より排煙が流出しないようにすれば、排煙の吹き出し速度は、開口の下端でも上記の臨界速度(6〜8m/s)を超えさせることが可能で(櫛形のスロット形状では水平方向のガス流速に2次曲線近似の分布があり、開口の下端では流速がゼロとなることに注目のこと)、ジェットバブリング層にスロッシングなどの液の揺動が起こらない利点はある。もっとも、スカートの部分はデッドゾーンになるので長期的には固形物が沈着するという欠点もあるので、トレードオフを考慮する必要がある。
スロット状の櫛形開口及び貫通孔状開口の場合、開口そのものの形状は、長孔で、隅については適当なアールをとったものが実用的であるが、丸孔、三角(上部にアールをとった台形を含む)孔、四角孔など、また、開口の配列も、上下には単段のほかに、二段あるいは三段など、左右には等間隔ピッチ配列の他に複数ピッチの採用などもあるが、これらは当業者の選択の範囲であって本発明では特に限定するものではない。
【0035】
ジェットバブリング管の下端開口深さH(図2(a)参照)を25mmとした場合、排煙は、ジェットバブリング管下端の開口から深さ約25mmの気体塊となってほぼ水平方向に管内に流入し、吸収反応液が充満している管内では排煙の浮力によって垂直方向に反転する。従って、管内側下部ではほぼ25mm径のガス塊が存在する。
このガス塊は、浮力によって管内を管壁に沿って上昇しながら多くの気泡に分裂、分散する。気泡の径は、液の表面張力や粘度などによって定まり、約2〜3mmのものが大部分であるが、液との混合が十分に行われる前のものは、過渡的に不定形のガス塊の形状を示す。
【0036】
ジェットバブリング層の高さ
生成した多くの気泡は、自己の浮力によって、あるいは排煙の圧力によってドライブされて吸収反応液を伴いながら管内を吹き上がる。管内の液の高さは気泡が含まれる分だけ動的に膨張して高くなるので、ジェットバブリング層の高さ、Hjは、
Hj=Hb/(1−Ф) (4)
となる。ここに、Hb=ガス泡出時の浸液深、Ф=気泡のホールドアップである。Фはジェットバブリング層では平均して0.4〜0.6である。
この時に、ジェットバブリング管の外側で必要な排煙の圧力Poは、管内のジェットバブリング層が動的に膨張しても、相変わらず液相連続であるから、
Po=ρl {(1+Ai/Ao)Hs+(Ai/Ao)H}+HjФρv (5)
となり、泡出時に比べて少し大きくなる。
【0037】
ジェットバブリング相の流動状態
水平方向に管内に流入した約25mmの気体塊は、吸収反応液が充満している管内で浮力によって上方へ方向を転じ、当初の気体塊の径より2〜3倍大きい径のジェットバブリング塊(約50〜75mm)となって吹き上がり、次いで2〜mm径の気泡に分裂する。気泡は、管内ジェットバブリング層の高さHjに到達すると、ジェットバブリング相から分離し、ジェットバブリング層上方の気液分離室58に集められる。
気泡に同伴された吸収反応液は、ここで気泡と別れ、下方に密度差で流下する。液の流れにはジェットバブリング流の約10%の流路断面積を与えることが液の円滑な下降に必要である。そのためには、ジェットバブリング管の横断面で見て、管壁面に沿った幅50〜75mmの円環部分がジェットバブリング本体とすると、円環の内側の径約50mmの円形部が液流部として機能する(図3参照)。従って、ジェットバブリング本体部と液流部とを考慮すると、ジェットバブリング管の直径は約150〜200mmとするのが望ましい。
【0038】
ジェットバブリング管の断面形状
一般的には、ジェットバブリング管の横断面形状は円形であるが、それは材料の入手容易性及び経済性が大きな理由であって、本発明はジェットバブリング管を特定の形状に限定するものではない。本発明では、例えば、ジェットバブリング管の横断面は、円の他に、楕円や卵形の曲線輪郭断面、あるいは三角形、正方形、五角形、六角形など多角形輪郭断面、更には溝(トラフ)形状の平板構造など任意の形状を採用することができる。
ジェットバブリング管の断面積が円形でない場合は、相当管径(=4×断面積/浸辺長)を円管の直径とすることにより、円管と同様に取り扱うことができる。例えば、幅Wの平板構造は、相当管径は4×W/2=2Wとなり、同じ間隙を有する円管に比べて性能的には粗な基本気液接触手段であると言える。
【0039】
ジェットバブリング管の標準的寸法
以上の説明から、本発明の基本気液接触機構の単位手段、即ちジェットバブリング管は、標準的には、直径約150〜200mmの円管で、下端から下方に25mmのところをガス流路深さとして、排煙が流速約10Nm/sで水平に管内の吸収反応液に噴出するものである。
実用規模の排煙脱硫装置は、多数のジェットバブリング管が必要であって、これらのジェットバブリング管をデッキ板から下方に延在させるようにデッキ板に配列することになる。
これらの多くの管は、その上端のところで水平なデッキ板を貫通して保持され、デッキ板上が気液分離室58となる。
【0040】
ジェットバブリング管の配置
円管からなるジェットバブリング管を水平なデッキ板上に配置するには、正三角形及び正方形配置の二つが標準的である。
デッキ板の直径Dsと、管配置のピッチPT と、管の数Nとの間には、管配置の際のデッドスペースなどを考慮した上で次の関係がある。
N=C(DS /PT 2 (6)
ここに、C=0.86(正三角形配置)、0.75(正方形配置)である。
管を最密に配置した場合は、PT =Dj(ジェットバブリング管の径)であるが、取付け上の制約もあり、実用的にはこのような配列は難しく、PT =1.25Djとなることが普通である。
なお、PT =1.25Djの時のジェットバブリング管の総面積とJBRの断面積の比は、簡単な計算から0.48〜0.55となる。
【0041】
JBRの詳細説明
(1)気液分離室
各ジェットバブリング管の上部から排出されたガスは、気液分離室58で合流し、流速は半減され、同伴液滴の分離が促進される。気液分離室58で分離された液滴(固形物を含む)は、デッキ板64上に集まり、デッキ板64に面一で上端開口を有する液下降管70からデッキ板64下の吸収反応液に重力で戻ることができる。
従って、気液分離室58では、スーパージェットバブリング層から同伴した吸収反応液が容易に清浄化ガスから分離され、液降下管を通って下方へ流れ、吸収反応液本体へ戻ることができる。
より効果的に気液分離を行うには、図4(a)に示すように、ジェットバブリング管の上端へキャップなどの気液分離板79を配設し、重力による気液分離の前に衝突による気液分離を行わせることもできる。気液分離板の形状は、これに限らず平板でも、傘型でも良い。また、気液分離板の位置、大きさにも限定はない。
【0042】
この気液分離室58の天井部にはスプレーノズルを多数配した洗浄装置59が設けられ、水平なデッキ板64を清澄な液で洗浄し、固形物(若しあれば)をスラリー化して流動化し、液下降管70へ流し込むようにしている。
液下降管70は、下端部がジェットバブリング管の開口68より下方に達し、運転時には、吸収反応液に浸漬され、液シールがなされている。
JBR50の気液分離室58を出た清浄なガスは、図7に示すように、更にミストエリミネーターを経由してガス中の液滴を最終的に除去して煙突に送られ、大気へ放出される。
【0043】
(2)反応液部
1)排煙脱硫反応のメカニズム
排煙脱硫の総括的な反応は、一般に、次の式(7)で表されているが、
SO2 +2 H2O +0.5 O2+CaCO3 →CaSO4 ・2 H2O +CO2 (7)
実際は、必ずしも一つの式で表されるほど単純ではない。
SO2 の排煙からの吸収は、前述のようにジェットバブリング管で行われるが、吸収された亜硫酸イオンの以降の反応は、これも前述のように適当な攪拌手段72を有する固体懸濁層である反応液部56で逐次的に、一部は並列的に行われる。すなわち、反応液部56には石灰石スラリーが亜硫酸ガス吸収剤として石灰石スラリー供給管71を介して供給され、更に空気が酸化剤として空気吹き込み管74を介して気泡状で供給され、亜硫酸は、石灰石及び酸素により中和、酸化されて石膏となり、生成した石膏は上記攪拌手段で懸濁層中で緩やかに流動されつつ成長する。
従って、この反応液部に収容する吸収反応液の液量は、生成した亜硫酸イオン及び更に酸化されて生成した硫酸イオンの中和反応速度、亜硫酸イオンの硫酸イオンへの酸化反応速度、並びに石膏の微小粒子から粗大粒子への成長速度の三つの液量基準速度のうち最も小さい速度によって決定される。
【0044】
この際の中和反応速度は、酸とアルカリとのそれであり、それ自体は速く、数分のオーダーであることが知られているが、固体である石灰石上の表面反応が、律速となり、微粉砕された石灰石の粒度によって大きく影響される。また、残余の酸の濃度、代表的には吸収反応液のpHの値によっても中和反応速度は異なる。
【0045】
また、石膏を粉体としてハンドリングする上で取扱が容易な含水率は、約10重量%である。脱水機で得られる石膏の含水率は生成した石膏の粒径に関係するので、石膏を含水率10%程度に脱水するには、石膏の粒径を平均粒径100ミクロン程度にするのが望ましい。
本発明に係るJBRでは、石膏をこの粒径に成長させるためには、石膏の滞留時間を長くとり、石膏スラリー濃度を高くすることが重要であることを本発明者らは見出した。
【0046】
2)反応液部の大きさ
本発明者らによれば、石膏の成長速度が本装置の反応液部56に収容すべき吸収反応液の液量を規定するので、反応液部の大きさは、石膏の成長速度に基づいて求めた吸収反応液の所要収容量から算出できる。
【0047】
3)攪拌手段
反応液部56は、いわゆる完全混合状態であることが望ましいので、一様な混合を達成し、また懸濁する固形物、主として石膏の沈降を防ぐために攪拌手段72が設けられる。攪拌手段は、従来的な攪拌機が適当である。
JBR50の中央に攪拌機を設けた場合のフローパターンは、図1に示すように、攪拌羽根の吐出側からJBR底部へ下降し、外側に向かって水平に流れ、JBR側壁近くで上昇し、次いで液面の少し下を中心に向け流れ、再び攪拌羽根の吸込側に戻るような循環流であることが好ましい。
この攪拌機のエネルギーインプットは、既知の技術に従って、約0.1kW/m3 の大きさでよい。
【0048】
4)空気吹き込み
反応液部56の混合は、上記の攪拌機によるものに加えて、酸化反応用に吹き込まれる空気の気泡の上昇とこれに伴う吸収反応液の下降とによる循環流によっても行われる。
この空気の吹込み強度が、十分な流動状態が維持されている所謂従来的気泡塔におけるガス吹き込み強度の範囲にあることを考慮すると、気泡による液の攪拌が十分に行われていることが当業者にとって自明であろう。
また、酸化用空気の吹き込み手段は、攪拌機の上記の吸収反応液の流れを邪魔しないような位置に配置することが大切である。
【0049】
空気の吹込みは、排煙を吸収反応液中に吹き込む場合のジェットバブリング現象と同じ現象を利用して行われる。前述のように、ジェットバブリング現象は、水平方向に吸収反応液内に流入した気体塊が、液内で浮力によって上方へ方向を転じ、最初の気体塊より2〜3倍の径のジェットバブリング本体となって吹き上がり、次いで吸収反応液と衝突して径数mmの小さな気泡に分裂、分散するものである。空気の吹き込みでは、排煙の場合と異なり、空気吹き込み管74の内側から空気を管外に流出させ、ジェットバブリング管の下方の吸収反応液側に空気のジェットバブリング層を作る。
即ち、空気吹き込み管74から吸収反応液側に空気を吹き込むと、空気吹き込み管74の流出口回りに幅80〜120mmの円環を断面とするジェットバブリング層が惹起され、空気と吸収反応液との緊密な気液接触が起こり、効率的な酸化作用が行われることになる。
【0050】
JBRの反応液部56は前述のようにいわゆる完全混合の状態であるから、これら空気吹き込み管74をJBR断面に均一に配列することは必ずしも必要ではなく、例えば一つの態様としては、直径10mの円を内側にした多重の同心円に沿ってピッチ約1.1mでこれら空気吹込み管を配置することが実際的である。この時、気泡の上昇と攪拌機による液上昇とがほぼ一致し、安定な気液流動状態が維持される(図1の下部参照)。
【0051】
本発明に係るJBRの効果
本発明に係る排煙処理方法は、ジェットバブリング管の外側の吸収反応液の液面より高い液面で管内に存在する吸収反応液内に管の外側から下部開口を介して排煙を導入し、排煙と吸収反応液とを気液接触させるジェットバブリング層を管内に形成するようにしたことを特長としている。
吸収反応液を排煙中に噴霧することにより排煙を予め冷却する場合、大量の吸収反応液が排煙に同伴してJBRの排煙入口領域に流入し、吸収反応液中に始めから存在している石膏、あるいは気液接触の結果生じた種々の固形物が、従来の気液接触装置では、排煙入口領域の水平の平坦部分に付着する。例えば、いわゆるパッキング充填方式の排煙処理塔では、固形物が塔内の充填物の表面に付着するし、ジェットバブリング方式でも、従来のように、ガス吹き込み管(スパージャー)が排ガス入口室の平坦なデッキ板の下に取り付けられている場合は、このデッキ板の上に固形物が堆積する。
【0052】
しかし、本発明に従えば、固形物を含んだ排煙は、デッキ板上ではなく、デッキ板下の空間部に導入されるので、固形物がデッキ板上に堆積する問題は一切生じない。
また、デッキ板下の液面は、攪拌機及び空気吹き込みにより十分に攪拌され、流動しているので、管外から管内に排煙が入るジェットバブリング管の下部開口は、常に吸収反応液により洗われている状態にある。ジェットバブリング管の内側も当然ながら激しく流動しているので、いわば自己強制洗浄が施されていると言って良い状態にある。従って、固形物が、管外面、下部開口、或いは管内面に付着、堆積することはない。
【0053】
また、本発明のジェットバブリング層の特長の一つは、吸収反応液の揺動、波動によるJBR内の液面の変動が小さいことである。気液が接触するジェットバブリング層は、流動性が高く、活発に動くので、波が生まれやすいが、本発明の場合、ジェットバブリング層が管の内側に内包されているので、流動性の安定度が高い。波の波長は、この場合、ジェットバブリング管の直径の最大でも2倍であり、例えば好適なジェットバブリング管では波の波長が0.2m程度なので、JBRの直径12mに比べて小さな変動ということができる。
【0054】
ジェットバブリング管内の気液接触作用
以下、上下端で開口した径200mmの円筒管を用いた最も簡単なジェットバブリング管を例にして、ジェットバブリング管内部における気液接触作用を詳述する。
図5(a)は排煙導入前のジェットバブリング管内外の吸収反応液の状態を示す(排煙の流入量、Gsは、Gs=0)。円筒管内外の液面は同じ高さにあって、ジェットバブリング管の下端は液面からHsの深さにある。
図5(b)は少量の排煙(Gs=約60Nm3 /m2 /h)を導入した時の管内の状態を示している。管の外側の液面は、排煙の圧力によって管の下端より上に数mmの高さまで押し下げられ、排煙は、一旦、吸収反応液内に潜り、下端から径数mm程度の気泡群となって管内に上昇する。気泡群は、管の下端から内壁面近傍を旋回して上昇し、しかも、吸収反応液の中を相互に独立してゆっくり上昇するので、管内の吸収反応液は、ほとんど静止した状態を示す。Hbは、管の内外の液面の差を示す。
【0055】
図6(c)は、更にガス量を増加させた時(Gs=約400Nm3 /m2 /h)の管内の状態を示している。管の外側の液面は、管下端より数cm下方に押し下げられ、排煙は下端周辺長の一部から径数cm程度の気泡塊となって管内に吹き込まれる。気泡塊は、管の下端面で圧力により押し潰され、径数mmの気泡がたくさん集まった気泡群となる。気泡群は、管壁の内壁面近傍を旋回して上昇しつつ、吸収反応液を吸引する。
この吸収反応液の液流は、L=約500m3 /m2 /h程度の単位断面積当たりの流量Lで、矢印で示すように、最初は気泡と共に管内を上昇し、次いで気泡が上方のガス層へ離脱するにつれて下方に流れを転じ、管内の中央部に液下降流を形成する。下降した液流は、再び噴出気泡群に吸引され、液循環回路を管内に形成する。この状態は、従来的な気泡層に近い流動である。
【0056】
図6(d)は、更にガス量を増加させた時(Gs=約4,200Nm3 /m2 /h)の管内の状態を示している。管の外側の液面は、管下端より数cm下方に押し下げられ、排煙は下端周辺長のほぼ全長から径数cm程度の気泡塊となって管内に吹き込まれる。気泡塊は、管の下端面で圧力により押し潰され、径数mmの気泡群となる。気泡群は、管壁の内壁面近傍を急速に上昇する。上昇する気泡群には液がより一層強く吸引され、一方気泡群はこの液の流れに衝突して、気泡が更に小さく分裂する。この際、一部の気泡は合一するが、また液流と衝突して再分裂する。
液の流れは、L=約8,400m3 /m2 /h程度の単位断面積当たりの流量Lで、気泡との衝突のために乱されて気泡群の中で液の上昇と下降を繰り返して、明快な液循環回路を形成しない。一方、気泡も一部が下降する液流に伴われる。従って、管内の気液の循環は不規則である。少量、例えば約200mg/Nm3 程度の液滴が排煙に同伴されるが、気液分離室58で分離され、デッキ板64に開口している液降下管70から再び反応液部56へ戻される。
この段階の気液接触現象は、従来的なジェットバブリング現象とほぼ同じである。
【0057】
図6(e)は更に一層ガス流量を増加させた時(Gs=約14,100Nm3 /m2 /h)の管内の状態を示している。吸収反応液の液面は管の下端より下数cmに押し下げられ、排煙は、下端周辺長のほぼ全長から気柱状ないし連続した気体塊の流れとなって管内に吹き込まれる。気柱塊は、管の下端面で圧力により押し潰され、数cmの気泡塊となる。気泡塊は、管内を急速に上昇する。上昇する気泡塊は吸収反応液に衝突して分裂し、多量の気泡群となる。一方、吸収反応液は、多量の気泡群により一層吸引されて、L=約53,400m3 /m2 /h程度の単位断面積当たりの流量Lになる。気泡群はこの液の流れに衝突して、気泡が更に小さく分裂する。この際、一部の気泡は合一するが、また液流と衝突して再分裂する。
吸収反応液の流れは、気泡との衝突のために乱されるが、気泡群の上昇速度が大きいので、液は管内では下降せず、大部分が排煙と一緒に管内を上昇して気液分離室58に流出する。
気液分離室58では、排煙の流速が急速に低下するので、排煙に同伴した吸収反応液は、排煙流から分離されて、一部が液降下管70から流れ落ち、残部がジェットバブリング管内下部に戻り、矢印で示すように、大きな液循環回路を形成する。これが本発明のスーパージェットバブリング現象である。
【0058】
以上の吸収反応液と排煙の混合層の状態は、主として排煙の流量Gsによって定まるが、管下端のガス入口の形状によっても影響される。
排煙が管内に流入する開口の開口縁が上述のように簡単な直線状の場合は、大気泡塊が出来やすく、大気泡塊が上昇した後、吸収反応液がその空間に入り込み、排煙の出口が閉じられるため、排煙の管内への吹き出し方が間欠的になり、管内のジェットバブリング層も周期的な動きをし勝ちである。この現象は、開口縁を櫛形にし、始めから小さな気泡塊を作り、更に開口での排煙の流速を上げることにより、軽減される傾向にある。
ところで、本発明のジェットバブリング管内に拘束されたスーパージェットバブリング層では、この周期的な動きの波長は、ジェットバブリング管の直径の2倍程度の大きさに限定されるので、ジェットバブリング管が数多くあるJBRでは、全体としては振動数としては大きくなり、準安定な流動性が達成される。逆にこの振動によって気液動きが激しくなるので、気液の接触効率が向上するという利点も存在する。
【0059】
従って、本発明のジェットバブリング・リアクターは、排煙の脱硫反応のみならず、気液の接触を目的とするあらゆる処理操作に活用できる。
例えば、硫化水素、二酸化炭素などの酸性ガスの物理、化学吸収プロセスとして利用できる。
更に、芳香族炭化水素のアルキレーションによるアルキルアロマの製造、メタノールのカルボニル化による酢酸の製造、アルデヒドから酢酸への空気酸化反応、ナフサの液相空気酸化による蟻酸、酢酸、プロピオン酸の合成、アセチレンの塩素化重合によるクロロプレンの製造などを液相で実施する場合にも、有効な方法である。
この場合、触媒として均一系のものは勿論、不均一系のスラリー触媒を用いても差し支えない。
また、石炭の液化反応や液相メタノール合成を行う場合も、有用な処理方式として採用することができる。
【0060】
本JBRによる脱硫率
以上のように、本発明のスーパージェットバブリング気液接触機構は優れた気液接触効率を有する。次に、スーパージェットバブリング気液接触機構による脱硫率の向上を説明する。
本発明のような液相連続の気液接触層での脱硫率ηは、吸収反応液層での反応が速く、気相からの亜硫酸ガスの吸収速度が律速の場合、例えば、1996年1月丸善株式会社から刊行の「化学反応と反応器設計」の342ページに記載の次式(8)により求めることができる(この記載を本明細書に参考文献として引用する)。
η≒1−exp {−(KG aπ/GM )Zf } (8)
ここに、KG =総括ガス容量係数(kgmol /m2 /h/atm )、a=比表面積(m2 /m3 )、π=全圧(atm )、GM =ガス流量(kgmol /m2 /h)、Zf =気液接触層高さ(m)である。
G は、ガス/液に固有の物質の拡散係数と、ガスと液の性状及び流動状態に影響される境膜厚さに依存し、GM が大きいと大きくなる。GM が大きくなると、境膜の厚さが小さくなるからである。本発明の場合は、KG ∞GM 0.5 程度であることが測定されている。aは単位容積の中の気液接触面積の割合を示し、単位容積中の気泡容積、つまり空隙率Φに比例し、気泡の径Dp に反比例する。GM が小さい場合、例えばGM ≦50Nm3 /m2 /hでは、ガスを送入するにつれて空隙率が比例的に増大し、一方気泡径はほぼ一定に保たれるので、a∞GM 程度となる。本発明のスーパージェットバブリング層ではジェットバブリング管に小さな径の気泡が既に最大密度に近く存在するので、a自体は大きな値であるが、GM への依存度は、それ程大きくない。測定によれば、a∞GM 0.32程度であり、全体としては、KG a∞GM 0.82程度である。(8)式の(KG aπ/GM )の項は、GM -0.17 に比例し、ガス流量の増大に従って、少しずつではあるが、小さくなる。
一方、本発明の場合、ジェットバブリング層がジェットバブリング管一杯に充満して、上部で気液分離室に連通するので、Zf は、ジェットバブリング管の高さに対応している。ガス側の圧力損失は、ジェットバブリング管の高さに空隙率Φを乗じた、ガス流量GM によらない一定値を示す。また、任意のガス流量GM に対して所定のηを得るには、ジェットバブリング管の高さを(8)式に従って変えれば良い。
【0061】
〔2.ジェットバブリング排煙脱硫装置の実施例〕
以下、添付図面を参照し、実施例に基づいて本発明に係るジェットバブリング排煙脱硫装置をより詳細に説明する。図7は、本実施例のジェットバブリング排煙脱硫装置80(以下、簡単に排煙脱硫装置80と言う)の構成を示すフローシートである。
本排煙脱硫装置80は、約105万Nm3 /hの排煙量を処理する装置であって、図7に示すように、排煙と吸収反応液とを接触させて排煙中の亜硫酸ガスを除去する気液接触槽としてジェットバブリングリアクター82を備え、更に、図9を参照して説明したような従来から既知の吸収反応液供給装置、吸収反応液と排煙との気液接触の結果生成する固形物の分離装置等を備えている。図7に示す機器のうち図9に示すものと同じ機能を有するものには、同じ符号を付し、説明を省略している。
【0062】
ジェットバブリングリアクター82(以下、簡単にJBR82と言う)は、上述のJBRの実施例で説明したような、直径12m、高さ15mの竪型円筒槽で形成され、排煙と接触して排煙中の有害物質を除去する吸収剤を溶解及び/又は懸濁させている吸収反応液84を槽下部に収容している。
槽の上部は、吸収反応液84の液面上でJBR82を横断するように設けられたデッキ板86によって、吸収反応液84を収容している槽下部から区画され、高さ3mの気液分離室88を構成している。合計1,800本の径200mmのジェットバブリング管90が、上端部でデッキ板86を貫通して気液分離室88と連通し、下端部で吸収反応液84に浸漬するように上下方向に配設されている。下端部には、開口92が、排煙導入前の静止した状態で、吸収反応液84の基準液面より下方に位置するように設けられている。
【0063】
ジェットバブリング管90の上端部は、ピッチ250mmの正三角形の平面配列でデッキ板86に連結されている。ジェットバブリング管90の下端部に設ける開口92は、図2(a)に示すように、幅(W)25mm、高さ(H)50mmの櫛形形状の開口20個を下端縁から上方向に設けたものである。
デッキ板86と吸収反応液液面との間の高さ4mの空間部94は、JBR82の槽壁に設けられた排煙導入口96から多数のジェットバブリング管90へ均一に排煙を導入する排煙分散空間として機能する。ガス導入口96の上流部には、水スプレーノズル及び吸収反応液スプレーノズルを内部に配設したガス冷却ダクト98が付属し、水及び吸収反応液を排煙中に噴霧することにより、排煙を約50℃に冷却する。
また、気液分離室88は、ジェットバブリング管90から流出した処理排煙、即ち清浄化ガスから同伴吸収反応液を分離する空間を有し、清浄化ガスを導出する排煙排出口100を介して出口ダクト48に接続されている。
【0064】
また、液下降管102が、その上端でデッキ板86と面一になるようにデッキ板86に連結され、そこから下降して吸収反応液84内でジェットバブリング管90の下端より下方まで延びている。液下降管102の目的は、ジェットバブリング管90から清浄化ガスに同伴して逸出した吸収反応液を下方の吸収反応液84へ戻すためではあるが、中央の液下降管102は後述の攪拌機104の軸の通路としても機能する。
本実施例では、液下降管102による逸出吸収反応液の戻しを効果的にするために、ジェットバブリング管90の上端は、デッキ板86より多少上方に突出しており、更に上端の上方100mmの所に気液分離板(図4参照))としてキャップ(図示せず)を被せている。
【0065】
また、ジェットバブリング管90から逸出した吸収反応液、特にこの中に含まれる固形物を速やかに吸収反応液84に戻すために、清澄な液による洗浄システム106が気液分離室88に設けられている。
洗浄システム106は、数多くのスプレーノズル群を備え、石膏スラリーから得た濾液を洗浄水とする連続洗浄システムと工業水を洗浄水とする間欠洗浄システムを併用している。高度脱硫が必要な場合には、この固形物洗浄システムに加えて、気液分離室88内にて水及び/またはアルカリ水溶液で更に前記清浄化ガスを洗浄する洗浄システム(図示せず)を付加することもできる。
【0066】
吸収反応液84を深さ8mで収容するJBR82の下部には、攪拌機104が吸収剤である石灰石を含む石膏スラリーを攪拌するために、及び、空気を噴出する噴出ノズルを備えた空気吹込み管108が亜硫酸ガスの石膏固定化に必要な酸素を供給するために、それぞれ設けられている。攪拌機104は、回転数60rpmで回転する羽根径4mのタービン型の攪拌機であって、動力90kWのモーターに接続されている。空気吹込み管108は、径100mmの管28本からなり、JBR82内に中心から半径5mの円を内側とする多重同心円状の円上に等ピッチで配列されている。空気吹込み管108の先端には、空気によるジェットバブリング層を吸収反応液内に形成するために、ジェットバブリング管90と同じような櫛形形状の開口が設けられている。
また、JBR82下部では、石灰石スラリーを供給する石灰石スラリー供給管110がその先端を吸収反応液84内に挿入するように設けられている。これにより、供給された石灰石スラリーは、攪拌機104の作用によって吸収反応液84中に一様に混合される。
反応により生じた生成石膏スラリーは、JBR82の下部から抜き出しポンプ36によって、またはJBR側壁からオーバーフロー(図示せず)によって排出され、前述した従来のジェットバブリング排煙脱硫装置と同様にして、生成した石膏は、以降の工程で脱水され、副生品として利用に供される。
なお、抜き出しポンプ36は、流量2,000m3 /h、揚程20mを有し、排煙を冷却・除塵するための液をガス冷却ダクト98内の噴霧するノズルにJBR下部から供給することを主目的としている。
【0067】
〔3.ジェットバブリング排煙脱硫法の実施例〕
以下に、図7を参照しながら、上述の排煙脱硫装置80を使用して排煙中の亜硫酸ガスを除去する排煙脱硫法、特にJBR82の作用を説明する。
図7において、排煙は、入口ダクト34の下流にあるガス冷却ダクト98を経た後、ガス入口空間部94に入り、更にジェットバブリング管90の外側から開口92を通ってジェットバブリング管90内の吸収反応液内に流入し、ジェット状に噴出してバブリングしながら上昇する。
【0068】
これにより、いわゆるスーパージェットバブリング層がジェットバブリング管90内の吸収反応液内に形成される。吸収反応液は、亜硫酸ガスと反応して石膏に固定化する石灰石粉末及び生成した多量の石膏粒子を懸濁させる水スラリーであって、石灰石粉末は、水に懸濁させたスラリーとして、石灰石スラリー槽32から所定の流量で供給される。
排煙中の亜硫酸ガスは、主としてジェットバブリング管90内において吸収反応液に吸収されて亜硫酸イオンとなり、続いて酸素と反応して硫酸イオンとなり、更に石灰石と反応して下記のように石膏へ転化する。ジェットバブリング管90の下方の吸収反応液84では、主として下記の酸化、中和反応が進行し、石膏の成長が行われる。
SO2 (ガス)+H2 O→H2 SO3 (液) (吸収)
2 SO3 +1/2O2 →H2 SO4 (酸化)
2 SO4 +CaCO3 →CaSO4 +H2 O+CO2 ↑ (中和)
CaSO4 +2H2 O→CaSO4 ・2H2 O↓(固) (晶析)
必要な酸素は、排煙中の過剰空気からも供給されるが、分圧が低く吸収速度が小さいので、21%の分圧がある空気が必空気吹込み管108を介して供給される。
【0069】
亜硫酸ガスを含む排煙は、ジェットバブリング管90中を吸収反応液とのガス液混合流となって上昇し、この間に亜硫酸ガスが除去され、次いで広い気液分離室88で減速されて、清浄化ガスと同伴吸収反応液とに気液分離される。以上の吸収、酸化、中和及び晶析過程を経て、約90%から99%の亜硫酸ガスが排煙から除去される。
気液分離された清浄化ガスは、排煙出口ダクト48により系外に排出される。残存ミストを除去するために、ミストエリミネータ41を出口ダクト48の途中に設け、ミスト量を10mg/Nm3 以下とする。
一方、気液分離室88で分離された逸出吸収反応液は、液下降管102を通って吸収反応液84に戻る。
晶析した石膏を約200g/lの濃度で含有するスラリーをJBR82の下部から抜き出しポンプ36により抜き出し、スラリータンク44へ貯える。また吸収された亜硫酸ガスと略当量の石灰石スラリーを吸収剤として石灰石スラリー供給管110より石灰石スラリーポンプ40で連続的にJBR82に補給する。
【0070】
上述のようにして排煙脱硫装置80を実際に運転して、亜硫酸ガスを2200ppm 含む温度120℃の105万Nm3 /hの排煙を処理したところ、脱硫率は96%に達し、排煙の圧力損失は約260mmH2 Oであった。
排煙の増湿冷却に用いた工業用水は約50m3 /h、石膏スラリーの抜き出し量は約60m3 /h、石灰石スラリーの供給量は約30m3 /hであった。酸化用空気は、モーター動力420kWの湿式(ナッシュ式)空気圧縮機を用いて16,000Nm3 /hを水分飽和の状態でJBRへ挿入した。
このJBR82を使用して、約11ヵ月にわたり連続的に運転した結果では、排煙のガス損失の増加は、殆ど認められず、また、1年後の開放点検において、JBR82内の固形物の堆積、沈積及び閉塞も殆ど認められなかった。
【0071】
【発明の効果】
本実施例の記載を含めて本発明に関する以上の詳細な説明から明らかなように本発明のJBRは、以下に挙げるような利点を有し、効果を奏する。
第1には、従来型のスプレー塔や充填塔とは異なって大型の吸収反応液循環ポンプを必要とせず、しかも脱硫反応のための気液接触槽の高さが低く、容積効率が高いというジェットバブリング方式の特長が更に発揮されることである。すなわち、排煙を吸収反応液に吹き込む際の単位断面積当たりの排煙開口面積(開口幅×ガス塊深さ)をより大きくして、排煙導入速度を従来より更に高速にすることが可能になり、これにより気液接触効率の高いスーパージェットバブリング層を形成することができるので、装置の所要面積が従来より小さくなる。また、スーパージェットバブリング層の高さが、従来のジェットバブリング層の高さ1〜2m程度から3〜5m程度に高くなるので、気液の滞留・接触時間がそれだけ増大し、よい小さい浸液深さで所要脱硫率を得ることができ、排煙に要する圧力を減少させ、従って排煙送風機の所要動力をそれだけ低減させることができる。
第2には、増湿冷却ゾーンからの固形物は、直接、吸収反応液本体へ落下し、従来のように固形物が水平なデッキ板上に堆積、沈積することはない。JBR中の気液接触のための基本機能材であるジェットバブリング管の寸法を大きく(150mm〜350mm)できるので、槽内の排煙流路の最少間隔が大きくなり、吸収反応液中に始めから存在する固形物、及び/または生成した固形物による排煙流路の閉塞が大幅に軽減される。
第3には、本JBRでは、スーパージェットバブリング層がジェットバブリング管の内側に形成されるので、吸収反応液の流動領域は、ジェットバブリング管内に局所化され、流動領域がJBRの全面に広がっている従来のJBRに比べて著しく狭くなり、揺動つまりスロッシング(仮に地震などで誘起されて起こることがあっても)は従来に比して極めて小さく押さえられる。また、吸収反応液の流体的安定性があるので、脱硫率の変動も小さくなるという利点もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るジェットバブリングリアクターの一例の構成を示す模式図である。
【図2】図2(a)から(d)は、それぞれ、ジェットバブリング管の下部開口の例を示す斜視図である。
【図3】ジェットバブリング管内の液下降領域を示す管横断面図である。
【図4】図4(a)は図1のJBRと同じ構成を備え、かつ導入リングと気液分離板を有するJBRの模式的縦断面図、及び図4(b)は図4(a)の矢視I−IでのJBRの横断面図である。
【図5】図5(a)及び(b)は、図1に示すJBRの運転時のジェットバブリング管内の状態を示す模式的縦断面図である。
【図6】図6(c)から(e)は、図4に続いて、図1に示すJBRの運転時のジェットバブリング管内の状態を示す模式的縦断面図である。
【図7】本発明のジェットバブリング式排煙脱硫装置の概略系統図である。
【図8】従来のスプレー塔形式排煙脱硫装置の概略系統図である。
【図9】従来のジェットバブリング式排煙脱硫装置の概略系統図である。
【図10】従来のJBRの運転状態を示す模式図である。
【符号の説明】
10 スプレー塔型湿式排煙脱硫装置
11 スプレー式吸収塔
12 石灰石スラリー槽
13 石膏スラリー脱水機
14 入口ダクト
15 吸収液部
16 循環ポンプ
17 多段スプレーノズル群
18 石灰石スラリーポンプ
19 ミストエリミネータ
20 空気供給管
21 スラリータンク
22 石膏スラリーポンプ
23 濾液槽
24 濾液ポンプ
30 従来のジェットバブリング排煙脱硫装置
31 JBR
32 石灰石スラリー槽
33 石膏スラリー脱水機
34 入口ダクト
35 ガス冷却部
36 抜き出しポンプ
37 吸収反応液部
38 スプレーノズル
39 ガス吹き込み管(スパージャー)群
40 石灰石スラリーポンプ
41 ミストエリミネータ
42 空気供給管
43 攪拌機
44 スラリータンク
45 石膏スラリーポンプ
46 濾液槽
47 濾液ポンプ
48 出口ダクト
49 デッキ板
50 本発明に係るJBRの一例
52 ガス冷却部
54 スーパージェットバブリング吸収部
56 吸収反応液部
58 気液分離部
60 スプレーノズル
62 空間部
64 デッキ板
66 ジェットバブリング管
68 開口
70 液下降管
71 石灰石スラリー供給管
72 攪拌手段
74 空気吹き込み管
76 導入リング
78 貫通孔
79 気液分離板
80 ジェットバブリング排煙脱硫装置の実施例
82 ジェットバブリングリアクター
84 吸収反応液
86 デッキ板
88 気液分離室
90 ジェットバブリング管
92 開口
94 空間部
96 ガス導入口
98 ガス冷却ダクト
100 排煙排出口
102 液下降管
104 攪拌機
106 洗浄システム
108 空気吹込み管
110 石灰石スラリー供給管

Claims (12)

  1. 排煙を吸収反応液中にジェットバブリングして排煙中の亜硫酸ガスなどの有害物質を除去するジェットバブリング排煙脱硫法において、
    吸収反応液層に連続する柱状に区画された領域内の吸収反応液に排煙を高速で吹込み、排煙と吸収反応液とが緊密に混合し上方の気体域に流出する気体が液体を同伴する柱状のジェットバブリング層を区画領域内に形成させ、排煙中の有害物質を吸収反応液に吸収して排煙を清浄化するステップと、
    清浄化排煙を吸収反応液と共にジェットバブリング層から流出させ、清浄化排煙に同伴した吸収反応液を清浄化排煙から気液分離し、清浄化排煙を系外へ送出するステップと、
    分離された吸収反応液を吸収反応液層に戻すステップと
    を有し、
    前記ジェットバブリング層を区画領域内に形成させるに当たり、吸収反応液層に下部を浸漬させた上下方向に延在する管体によって前記柱状の区画領域を区画し、管体の外側から管体の下部開口を介して管体の内側の吸収反応液に排煙を導入し、管体の内側にジェットバブリング層を形成することを特徴とするジェットバブリング排煙脱硫法。
  2. 水を媒体とする吸収反応液を使用し、その吸収反応液を排煙と気液接触させて排煙を増湿冷却する増湿冷却ステップを備え、
    増湿冷却された排煙を吸収反応液に吹き込むようにしたことを特徴とする請求項1に記載のジェットバブリング排煙脱硫法。
  3. 増湿冷却された排煙を吸収反応液に吹き込むステップの前に、増湿冷却された排煙から同伴吸収反応液を分離するステップを備え、
    更に、分離した吸収反応液を吸収反応液層に戻すステップを有することを特徴とする請求項2記載のジェットバブリング排煙脱硫法。
  4. 清浄化排煙を水及び/またはアルカリ水溶液で更に洗浄することを特徴とする請求項1から3のうちのいずれか1項に記載のジェットバブリング排煙脱硫法。
  5. 管体の単位断面積当たり4,000Nm/m/h〜15,000Nm/m/hの範囲の流量で排煙を管内に導入することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のジェットバブリング排煙脱硫法。
  6. 排煙を吸収反応液内でジェットバブリングさせる手段を備えたジェットバブリング排煙脱硫装置において、
    ジェットバブリングさせる手段が、
    排煙流入口、吸収反応液を構成する薬剤の注入口、及び、反応生成物の取り出し口を有し、かつ排煙流入口の下方に吸収反応液を収容し、排煙流入口を介して吸収反応液上に排煙を流入させる液槽と、
    吸収反応液の液面の上方に設けられたデッキ板と、
    上部及び下部に開口を有して上下方向に延在する管体で形成され、管体の上端がデッキ板に取り付けられ、管体の下部を吸収反応液に浸漬させて管体の内側に吸収反応液を導入し、かつ管体の外側から下部の開口を介して管体の内側の吸収反応液に排煙流入口からデッキ板と吸収反応液の液面との間の空間部を通ってきた排煙を流入させ、排煙と吸収反応液とが緊密に混合し上方の気体域に流出する気体が液体を同伴するジェットバブリング層を管体の内側に形成するようにしたジェットバブリング管と、
    デッキ板によりの液槽の上方に区画され、ジェットバブリング管の上部に連通する気液分離空間と清浄化排煙流出口とを備え、ジェットバブリング管の上部より流入した清浄化排煙から、同伴吸収反応液を分離し、かつ清浄化排煙を系外に導出する気液分離室と、
    上端部が気液分離室の底部に連結され、下端部がジェットバブリング管より深く吸収反応液中に浸漬するように延在し、気液分離室で分離された同伴吸収反応液を吸収反応液に戻す液下降管と
    を備えたことを特徴とするジェットバブリング排煙脱硫装置。
  7. 水を媒体とする吸収反応液と排煙とを気液接触させる気液接触部を液槽の上流側に備え、予め排煙を増湿冷却した後に液槽の吸収反応液上に導入するようにしたことを特徴とする請求項に記載のジェットバブリング排煙脱硫装置。
  8. ジェットバブリング管の直径または相当径が、100〜300mmの範囲にあることを特徴とする請求項又はに記載のジェットバブリング排煙脱硫装置。
  9. 排煙を吸収反応液に気液接触させるジェットバブリング部を上部に備え、排煙から吸収反応液に吸収した亜硫酸ガスを含む有害物質を吸収反応液との反応により無害化させる反応部を下部に備えた排煙脱硫ジェットバブリングリアクターにおいて、
    ジェットバブリング部と反応部とが、ジェットバブリングリアクタ(以下、簡単にJBRと言う)を形成する一つの槽体内に収容され、かつ
    槽体を横断するように延在して、JBRの槽体の内部を上下に区画するデッキ板と、
    デッキ板と液面との間に空間部を確保するようにしてデッキ板から下方に吸収反応液を収容すると共に、空間部に連通して排煙を空間部に流入させる排煙流入口、吸収反応液を構成する薬剤の注入口、及び反応生成物の取り出し口を備える液槽部と、
    デッキ板の上にあって、気液分離空間と清浄化排煙流出口とを有する気液分離室と、
    上部及び下部に開口を有し、上部でデッキ板を貫通して気液分離室に連通し、下部で吸収反応液に浸漬して液槽の空間部を上下方向に延在する管体で形成され、管体の内側に吸収反応液を導入し、かつ管体の外側から下部の開口を介して管体の内側の吸収反応液に排煙を流入させ、排煙と吸収反応液とが緊密に混合し上方の気体域に流出する気体が液体を同伴するジェットバブリング層を管体の内側に形成するようにしたジェットバブリング管と、及び
    上端部でデッキ板を貫通して気液分離室と連通し、下端部でジェットバブリング管より深く吸収反応液に浸漬するように上下方向に配設された管体で形成され、気液分離室で排煙から分離された同伴吸収反応液を液槽部に戻す液下降管と
    を備えたことを特徴とする排煙脱硫ジェットバブリングリアクター。
  10. 水を媒体とする吸収反応液と排煙とを気液接触させて排煙を増湿冷却し、増湿冷却した排煙を排煙流入口を介して液槽部の空間部に導入するようにしたガス冷却部を備えていることを特徴とする請求項に記載の排煙脱硫ジェットバブリングリアクター。
  11. ジェットバブリング管及び液下降管の総断面積が、JBRの断面積のそれぞれ40〜60%及び1〜10%であることを特徴とする請求項又は10に記載の排煙脱硫ジェットバブリングリアクター。
  12. 吸収反応液を攪拌する攪拌手段が液槽部に設けられていることを特徴とする請求項から10のうちのいずれか1項に記載の排煙脱硫ジェットバブリングリアクター。
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