JP2004528005A - 生物学的に活性なタンパク質およびペプチドのファージ依存性超産生 - Google Patents

生物学的に活性なタンパク質およびペプチドのファージ依存性超産生 Download PDF

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Abstract

本発明は、1つまたは複数の標的遺伝子を有するプラスミドを含有するプロデューサー株の細菌細胞を、標的遺伝子(単数または複数)を含むまたは含まない、バクテリオファージλで感染させることにより、細菌細胞中での生物学的に活性なタンパク質およびペプチドの産生を強化するための方法に関する。生物学的に活性なタンパク質をコードする標的遺伝子は、T7ポリメラーゼプロモーターの制御下にあり、かつ、細菌はT7RNAポリメラーゼ遺伝子を発現することができる。ファージは、標的タンパク質の合成を増大し、プロデューサー株細胞の溶菌を誘導する。超産生は、T7ポリメラーゼプロモーターから達成される高レベルの発現の組合せにより、およびファージの溶菌の発生を遅延する培養条件下でプロデューサー株細胞を培養することにより達成される。生物学的に活性なタンパク質およびペプチドは、その後、プロデューサー株の細胞がファージにより溶菌されると、培地中に可溶性の状態で蓄積される。

Description

【0001】
[発明の背景]
発明の分野
本発明は、組換えDNA技術に、特に細菌宿主細胞中での異種タンパク質の産生を増強するための新規の方法に関する。開示された方法は、T7プロモーターに作動可能に連結された目的の遺伝子をコードするプラスミドを含む宿主細胞を、バクテリオファージλによって感染させて、細菌宿主細胞の溶菌を誘導することを含む。超産生は、プラスミド単独が異種DNAを少なくとも1コピー保有する場合、あるいはプラスミドおよびファージλの両方がそれぞれ、異種DNAを少なくとも1コピー保有する場合に、選択された宿主細胞中で達成され得る。
【0002】
関連分野の説明
目下、遺伝子操作方法により、医学および産業における重要な用途を有する種々の生物活性物質をかなりの量で産生することができる微生物株の作製が可能になっている。典型的には、異種遺伝子が挿入されたプラスミドベクターを用いて、細菌宿主細胞を形質転換することができる。エシェリヒア・コリの種々の菌株はしばしば、受容細胞として用いられる。このようなプラスミド依存性形質転換法を用いて、種々の有益なヒトペプチドおよびタンパク質、例えばインスリン、γ−インターフェロン、多数のインターロイキン、スーパーオキシドジスムターゼ、プラスミノーゲン活性剤、腫瘍壊死因子、エリスロポエチン等を産生するために、大腸菌細胞が操作されてきた。これらの物質は、医療行為においてすでに用いられているか、あるいは様々な段階の臨床試験を受けている。
【0003】
しかしながら、プラスミド法は重大な欠点を有する。つまり、多段階プロセスである生合成後に所望の産物を細菌細胞から抽出しなければならないため、技術的に複雑であるという点である。例えばインターフェロンの抽出は、細胞の崩壊、緩衝液抽出、ポリエチレメニン(polyethyleminin)処理、光照射、硫酸アンモニウムによる沈殿、透析および遠心分離を含む(欧州特許0043980号(Goeddel))。このような抽出および精製工程の必要性は、組換え産物の産生技術を複雑にするだけでなく、特に大規模工業生産において実質的ロスを発生させる。
【0004】
さらに複雑にする因子としては、クローン化遺伝子の比較的高レベルでの発現により生成される真核生物タンパク質が、しばしば細胞膜と結合して不溶性集合体として大腸菌の細胞質中に蓄積される傾向があることである。従って、上述したような困難な抽出および精製方法は、不溶性封入体の抽出に関連した付加的技術的手法によって補足改良される必要がある。通常、不溶性タンパク質は、イオン性洗浄剤(例えばSDSまたはラウリルサルコシン)を高い温度で用いて、または変性剤(例えば8Mの尿素または6〜8Mのグアニジン塩酸塩)の存在下で可溶化される。
【0005】
精製の最終段階において、可溶化ポリペプチドの再生および再酸化をすることが多いが、これは機能的活性を回復するために必要とされる。その自然立体配座におけるタンパク質の適正なフォールディングに必要であるジスルフィド結合は、再生されなければならない。再生手法、例えばジスルフィド交換は、高価でかつ比較的有毒な試薬、例えばグルタチオン、ならびに酸化2−メルカプトエタノールまたはジチオスレイトールを使用することがある。さらに、生物活性遺伝子操作タンパク質の最終収率は比較的低い。さらに、可溶化し、二次および三次のタンパク質構造を再形成するための有毒試薬が、たとえ極微量の濃度でも存在することは、タンパク質のその後の臨床用途を妨げる。したがって、細菌宿主細胞内において不溶性封入体の形態の標的タンパク質を生成することは、組換えタンパク質の産生を複雑にし、収率低減を生じるだけでなく、最終タンパク質を臨床的用途に適さないものにし得る(Fisher, B., Sumner, I., Goodenough, P. Biotech. and Bioeng. 41: 3−13, 1993)。
【0006】
プラスミドで形質転換した細菌宿主細胞から、異種遺伝子の発現により産生されたタンパク質を抽出することに伴う技術上の困難性は、形質転換した細菌宿主細胞をバクテリオファージによって感染させ、その溶菌経路により運搬体(bearer)細胞を溶菌することにより克服され得る。このようにして、所望のタンパク質は培地中に簡単に放出され得る(英国特許2 143 238A(Breeze A.S.))。したがってBreezeは、溶菌を制御するために、cI中に温度感受性突然変異を有するファージλによって細菌細胞を感染させ、その結果エシェリヒア・コリ中で産生される酵素の収率を増大する方法を開示した。cI遺伝子産物は、初期転写のリプレッサーであり、その結果として、頭−尾(head and tail)アセンブリーおよび細胞溶菌に必要とされるファージDNAの後期領域の転写を遮断する(Maniatis, T., Fritsch, E.F., Sambrook J., MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL, 1982, Cold Spring Harbor Laboratory Press)。cI中に温度感受性突然変異を有するバクテリオファージは、cI遺伝子産物が溶菌成長に必要なファージ遺伝子の転写を抑制できる温度で細胞が増殖する限り、溶原状態を確立し、保持することができる。したがって、形質転換した宿主細胞は30℃で培養され得るが、この場合、最大発酵生産の段階が達成されるまで、ファージDNA転写のcI媒介性抑制は継続し、ファージは溶原状態のまま保持される。その後、cIリプレッサーを不活性化し、ファージの溶菌の発生を開始させるために、30分間、培養温度を42℃に上げる。次に、宿主細胞を30℃で2〜3時間インキュベートして、完全溶菌および酵素の放出を可能にする(GB2 143 238A(Breeze A.S.))。
【0007】
Breezeは細菌プロデューサー細胞からのタンパク質の放出を教示するが、それは、エシェリヒア・コリの成長にとって最適温度でない30℃を超えない温度でプロデューサー細胞を培養することを要する。細胞は、32℃を超える温度では、温度感受性溶菌プロファージが発生し、最大発酵蓄積の段階に達する前に溶菌を受けるために、最適温度(37℃)での合成は可能でない。さらに、Breezeにより開示されたように、42℃で30分間、細菌宿主細胞をインキュベートすると、標的タンパク質を破壊するプロテアーゼを活性化する可能性がある。
【0008】
Auerbach等(米国特許第4,637,980号)は、組換え産物の溶菌放出を誘導するために、ファージλDNA断片を用いた。その方法では、Breezeと同様に、λcI遺伝子産物における温度感受性突然変異を用いて、細菌宿主細胞の温度依存性溶菌を与えた。AuerbachにおけるλDNA断片は、42℃でcIリプレッサーを不活性化した後に、リゾチームを産生するために、機能するエンドリシンコード遺伝子N、Q、RおよびSを保持した。残りのファージ遺伝子のほとんどが欠失され、OおよびP遺伝子における突然変異は、ファージDNAの複製を防止した。その結果として、λDNAは、標的遺伝子の発現を調整することができる完全な機能を有するファージでなかった。さらに、AuerbachのλDNAは、標的遺伝子を保有するためのベクターとして用いるのに適切でなかった。さらに、上記のように、42℃〜44℃で90〜120分間、細菌宿主細胞をインキュベートすると、Auerbachによる開示のように、標的タンパク質を破壊するプロテアーゼを活性化し得る。
【0009】
細菌プロデューサー細胞からの活性タンパク質の溶菌放出に加えて、バクテリオファージは、宿主細菌細胞中に異種DNAを保有させるための、細菌プラスミドベクターに対する代替物としても用いられてきた(Murray, N.E. and Murray, K., Nature 251:476−481, 1974; Moir, A., Brammar, W.J., Molec. gen. Genet. 149:87−99, 1976)。典型的には、遺伝子およびそれらの産物の増幅は、ファージの溶菌成長中に達成されるが、この場合、ファージゲノムは細菌宿主DNA中に組み込まれる(Panasenko, S.M., Cameron, J.R., Davis, R.V., Lehman, L.R., Science 196:188−189, 1977; Murray, N.E. and Kelley, W.S., Molec. Gen. Genet. 175:77−87, 1979; Walter, F., Siegel, M., Malke, H., 1990, DD 276, 694; Mory, Y., Revel, M., Chen, L., Sheldon, I.F., Yuti−Chernajovsky, 1983, GB 2,103,222A)。通常、組換えファージλの溶原性培養物が細菌宿主細胞を感染させるために用いられるか、または組換え溶原性ファージλをすでに保有する「ウォームアップ」細菌培養物が、異種遺伝子の発現を増幅するために成育させられる。
【0010】
異種遺伝子の発現のためのλベクターの使用の成功例があるが、λベクターは、主として遺伝子クローニングのために用いられてきた。一旦クローン化されると、遺伝子はより効果的に発現するためにプラスミドベクターにトランスファーされる。例えば、大腸菌が、ヒトβ−インターフェロン遺伝子を含有するファージλシャロン(Charon)4A C15によって感染された場合、細胞溶菌産物中のインターフェロンの量は、7〜8×10単位/リットルとなる。標的遺伝子を保有するDNA断片がファージからプラスミドに再クローン化された後、β−インターフェロン収率は1×10単位/リットルに向上した(Moir, A., Brammar, W.J., Molec. gen. Genet. 149:87−99, 1976)。
【0011】
組換えλベクターにより細菌宿主細胞中で生成された異種タンパク質の収率を向上させるために、ファージゲノム中に突然変異を導入して、細菌細胞溶菌を開始する能力をファージλから失わせた。その結果、異種遺伝子が細菌宿主細胞により発現される時期が延長され、収率の増大が達成される。したがって、例えばS遺伝子中にアンバー突然変異を有するλgt4ligSプロファージを含む溶原性培養中のDNAリガーゼ1の収率は、アンバー突然変異を有さないλgt4ligプロファージを含有する溶原性培養中のDNAリガーゼ1の収率の5倍であった(Panasenko, S.M., Cameron, J.R., Davis, R.V., Lehman, L.R., Science 196:188−189, 1977)。ファージλSタンパク質は、溶菌のために必要とされる。したがってS突然変異体は、宿主細胞を溶菌せずに、多数の細胞内子孫ファージ粒子、ならびに標的タンパク質を蓄積する(Mantiatis, T., Fritsch, E.F., Sambrook J., MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL, 1982, Cold Spring Harbor Laboratory Press)。
【0012】
同様に、DNAポリメラーゼ1の収率向上が、アンバー突然変異を有さない組換えファージλと比較して、SおよびQ遺伝子中にアンバー突然変異を有する組換えファージλを含む溶原性培養に関して報告された(Murray, N.E. and Kelley, W.S., Molec. gen. Genet. 175:77−87, 1979)。ファージλQタンパク質は、頭−尾(head and tail)アセンブリーおよび細胞溶菌に関与する多数の遺伝子を含むファージDNAの後期領域の転写のために必要である(Mantiatis, T., Fritsch, E.F., Sambrook J., MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL, 1982, Cold Spring Harbor Laboratory Press)。
【0013】
米国特許第4,710,463号において、Murrayは、cIにおける温度感受性突然変異、ならびにλSおよびλE遺伝子における突然変異を含有するファージλを用いてエシェリヒア・コリの非抑制(Su°)株を溶原化することを開示する。その結果として、通常の方法ではファージ遺伝子産物により溶菌されず、また、組換えファージゲノムはキャプシド封入されず、転写のために依然として利用可能であるため、37℃で溶原性大腸菌を長期に培養することにより、細胞内に保持される組換えタンパク質が高レベルに産生される。
【0014】
N、R、S、Qおよび/またはE突然変異を有するλベクターを用いることにより異種タンパク質の収率の向上が可能であるにもかかわらず、標的タンパク質の溶菌放出に関連したバクテリオファージベクターの潜在的技術的利点は、標的タンパク質は細菌細胞内部に蓄積するために、これらの突然変異により失われ得る。したがって、溶菌欠損突然変異体λベクターが異種タンパク質の産生のために用いられる場合、プラスミドベクターにより形質転換した細菌細胞に関して上述したような抽出および精製工程を実施しなければならず、結果としてロスが生じる。
【0015】
T7プロモーター/T7RNAポリメラーゼ系は、組換えタンパク質を高レベルで発現させるために有用である。T7プロモーターの使用は、T7RNAポリメラーゼの存在を要する。T7RNAポリメラーゼは、宿主株中の溶原体上に含まれる組換えT7ポリメラーゼ遺伝子の誘導により、あるいはT7ポリメラーゼ遺伝子の発現のためのプラスミドを用いた形質転換により供給され得る。T7RNAポリメラーゼは、それ自身のプロモーターに対して非常に特異的である。T7プロモーターからの転写反応は非常に効率的であり、全長RNAの多数のコピーが各鋳型から産生され得る。
【0016】
[発明の概要]
一実施形態において、生物学的に活性なタンパク質の産生方法であって、以下の:
T7ポリメラーゼプロモーターに、作動可能に連結された、生物学的に活性なタンパク質をコードする発現可能遺伝子を少なくとも1コピー有するプラスミドによって、T7RNAポリメラーゼ遺伝子を発現することができるエシェリヒア・コリ株を形質転換するステップ、
溶菌の遅延を媒介することができるバクテリオファージを、形質転換した細菌宿主細胞に感染させるステップ、および
上記タンパク質の所望レベルの産生が達成されるまで溶菌を伴わずに、上記細胞の溶菌成長を誘導することができる培養条件下で、かつ、上記タンパク質が、可溶性の生物学的に活性なタンパク質として産生されるように、エシェリヒア・コリ宿主細胞を培養するステップ、
を含む方法が開示される。
【0017】
好ましい実施形態では、バクテリオファージは温度感受性突然変異を有する。さらに好ましい実施形態では、温度感受性突然変異はcI857である。好ましくは、エシェリヒア・コリ宿主細胞は、培養ステップ前に、バクテリオファージの溶菌成長を妨げる温度で成育させられる。
【0018】
好ましい実施形態では、バクテリオファージは、溶菌の遅延を媒介することができる少なくとも1つの遺伝子中に突然変異を有する。さらに好ましい実施形態では、溶菌の遅延を媒介することができる少なくとも1つの遺伝子は、N、QおよびRからなる群から選択される。
【0019】
好ましい実施形態では、エシェリヒア・コリ株は、アンバー突然変異を修復するためのサプレッサーを産生する。
【0020】
代替的実施形態では、エシェリヒア・コリ株は、アンバー突然変異を修復するためのサプレッサーが欠如する。
【0021】
好ましい実施形態では、感染バクテリオファージは、約1〜約100の範囲の感染多重度で提供される。さらに好ましい実施形態では、感染バクテリオファージは、約10〜約25の範囲の感染多重度で提供される。
【0022】
好ましくは、エシェリヒア・コリ株のバクテリオファージ媒介性の溶菌の遅延は、低度の感染多重度と比較してより高度の感染多重度で遅延される。
【0023】
一実施形態では、発現可能遺伝子は、ヒト酸性線維芽細胞成長因子をコードする。代替的一実施形態では、ヒト酸性線維芽細胞成長因子は134個のアミノ酸を含む。別の代替的実施形態では、ヒト酸性線維芽細胞成長因子は140個のアミノ酸を含む。別の代替的実施形態では、ヒト酸性線維芽細胞成長因子は146個のアミノ酸を含む。別の代替的実施形態では、ヒト酸性線維芽細胞成長因子は155個のアミノ酸を含む。もっとも好ましい実施形態では、ヒト酸性線維芽細胞成長因子は配列番号1で記述される配列を有する。
【0024】
一実施形態では、発現可能遺伝子はヒト成長ホルモンをコードする。代替的実施形態では、発現可能遺伝子はヒトインターフェロンをコードする。さらに別の実施形態では、発現可能遺伝子はエシェリヒア・コリメチオニンアミノペプチダーゼをコードする。
【0025】
好ましい実施形態では、T7RNAポリメラーゼ遺伝子は、誘導性プロモーターの制御下にある。さらに好ましい実施形態では、誘導性プロモーターはlacUV5プロモーターである。
【0026】
好ましい実施形態では、生物学的に活性なタンパク質の産生方法であって、以下の:
a)温度感受性突然変異を有するバクテリオファージλ株を保有するエシェリヒア・コリ細胞の第一の株を成長させるステップ、
b)エシェリヒア・コリの第一の株を溶菌させ、バクテリオファージλを放出させるために温度を調整するステップ、
c)誘導性プロモーターの制御下でT7ポリメラーゼプロモーターに、作動可能に連結される、上記生物学的に活性なタンパク質をコードする発現可能遺伝子を少なくとも1コピー有するプラスミドによって形質転換したエシェリヒア・コリ細胞の第二の株を提供し、該エシェリヒア・コリ細胞の第二の株が、誘導物質の添加によりT7RNAポリメラーゼ遺伝子を発現するように誘導され得るようにするステップ、
d)エシェリヒア・コリ細胞の第一の株から放出されたバクテリオファージλで、エシェリヒア・コリ細胞の第二の株を感染させるステップ、および
e)タンパク質が産生され、エシェリヒア・コリ細胞の第二の株の溶菌時に培地中に放出されるように、エシェリヒア・コリ細胞の感染二次株をインキュベートし、上記タンパク質が、可溶性の生物学的に活性なタンパク質として100μg/mlより高い濃度で産生されるようにするステップ、
を含む方法が提供される。
【0027】
本質的に配列番号1で記述される配列からなる化学合成核酸も、本明細書に開示される発明において具現化される。
【0028】
本発明、および従来技術を上回って達成される利点を要約するために、本発明の特定の目的および利点を上記において説明した。もちろん、すべてのこのような目的または利点が、本発明の任意の特定の実施形態にしたがって、必ずしも達成できるわけではないことが理解されるはずである。したがって、例えば本発明は、本明細書中に教示されたような一または複数の利点を達成するかまたは最適化する方法で具体化または実行され得るが、本明細書中に教示または示唆され得る他の目的または利点が、必ずしも達成されるわけではないことが当業者には認識されるであろう。
【0029】
本発明のさらなる態様、特徴および利点は、以下の好ましい実施形態の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0030】
次に、本発明のこれらのおよびその他の特徴を、好ましい実施形態の図面を参照しながら説明するが、これらは本発明を例示するものであって、限定するように意図するものではない。
【0031】
[好ましい実施形態の詳細な説明]
上記の実施形態は、本発明の好ましい実施形態を代表するが、本発明の精神を逸脱せずに変更が行なわれることは、当業者には理解されるはずである。したがって本発明の範囲は、併記の特許請求の範囲によってのみ確定されるべきである。
【0032】
ウイルスゲノムの40%より多くが溶菌成長のために不可欠ではないため、バクテリオファージλはベクターとして有用である。λDNAの中心領域に位置する遺伝子JおよびN間のλゲノムの領域は、所望の産物をコードする異種DNAにより置換され得る。その領域は、感染中に初期に転写される。
【0033】
その合成情報がファージの初期遺伝子の領域に記録される標的遺伝子の発現を最大化するために、ファージの発生のための特定の条件を選択し、確実に適正な複製をさせるべきである。さらに、標的遺伝子を含む初期領域の転写は助長されるべきであるが、細胞溶菌に関与する後期遺伝子の転写は減速されるべきである。これにより、λ粒子の成熟およびその後の細胞溶菌を遅らせることができる。その結果として、標的遺伝子産物を含む初期ファージ産物は細菌細胞中に蓄積する。後期転写の減速、それによる標的遺伝子の発現の延長は、以下の条件により成し遂げられ得る:(1)後期遺伝子の発現を遮断するファージゲノムの突然変異、(2)感染多重度の増大、および/または(3)低温での感染細菌細胞の培養。
【0034】
バクテリオファージにプロデューサー細胞を感染させることの利点は、ファージが、細菌宿主細胞中でのすべての巨大分子合成の重要な再配列を引き起こす点である。細菌遺伝子の転写を非作動にすることにより、ファージは標的遺伝子の複写を増大し、その結果として、所望の産物の産出を増大することができる。
【0035】
本発明の超産生系の一実施形態では、細菌の溶菌を遅延するアンバー突然変異(例えばQおよびR突然変異)を有するファージλが、ファージλにおけるアンバー突然変異の補正を担うサプレッサーが欠如するSu°と称されるエシェリヒア・コリ株中に提供される。エシェリヒア・コリの非抑制(Su°)株を得るために、Su°クローンが野生型Su集団から選択される。好ましくは選択マーカー、例えばテトラサイクリンまたはアンピシリン耐性遺伝子が、ファージDNA中に挿入される。
【0036】
エシェリヒア・コリの非抑制(Su)株、例えばエシェリヒア・コリK802の選択は、ファージλcI857Nam7Nam53bla tet(以後、λblaN’)を用いて実施された。エシェリヒア・コリC600株(λblaN’)は、ファージの供給源として役目を果たした。このファージは、リプレッサー遺伝子(cI857)中にts−突然変異を有する単一部位(EcoRI)ベクター中のEcoRI部位にプラスミドpCV11(bla tet)を挿入することにより得られた。次に、in vivoでの組換えにより、2つのアンバー突然変異がファージN遺伝子中に導入された。
【0037】
ファージλクリアを用いて、非溶原性に関してクローンが試験された。ファージλblaN’のほかに、ファージλcI857am117am54を用いて、サプレッサーに関して検査した。
【0038】
すでに知られているように、ファージλN’突然変異体は宿主細胞を溶菌できず、非常に不安定なプラスミドの形態で細胞中に存在する。宿主細胞がサプレッサーを含有する場合、アンバー突然変異は表現型が補正され、Nタンパク質が合成されて、ファージが溶菌的に発生し得る。λN’により感染されたSuおよびSu細胞の生存能力における違いは、エシェリヒア・コリSu細胞集団から自然発生するSu復帰細胞を選択するための基礎として用いられる。細胞中にアンピシリン耐性マーカーおよびテトラサイクリン耐性マーカーを導入する挿入プラスミドを有するファージλを用いて、非溶菌性Su細胞が突然変異体に関する検査を隠蔽(masking)しないようにした。ファージは、細胞溶菌を生じるこのようなファージの溶菌発生を可能にするリプレッサー遺伝子中にts−突然変異も含む。
【0039】
ファージλblaN’による感染とその後の43℃での成育後、アンピシリンおよびテトラサイクリンを補充された培地にSu培養物が接種された場合、プラスミドの形態でファージλblaN’を含有するサプレッサーのない単一の細胞がプレート上で発生するはずである。ファージから細胞を救済して、親培養のSu誘導体を得ることができるはずである。本方法は、いくつかの段階に細分することができる。
【0040】
1.ファージλblaN’による培養物の感染
培養大腸菌Suを、激しく攪拌しながら37℃でマルトースを含有するM9培地上で、1〜2×10細胞/mlの密度になるまで成育させた。1細胞当り5〜10個の粒子の多重度でファージλblaN’を用いて細胞を感染させ、20℃で20分間インキュベートした。所定の条件下では、感染効率は約100%であり、大量のSu細胞のほかに、ファージは単一Su細胞も感染する。
【0041】
2.マーカーファージを含有するサプレッサーのない細胞の選択
感染後、12γ/mlのテトラサイクリンおよび20γ/mlのアンピシリンを補充した寒天培地上で細胞を平板培養し、43℃で成育させた。24時間で、単一コロニーが発生し、これを、抗生物質を含む寒天培地上で再度平板培養し、37℃で成長させた。
【0042】
3.ファージλblaN’からの選択クローンの救済
エシェリヒア・コリSu細胞中のファージλN’は、非常に不安定なプラスミドの形態であるため、ファージから救済するために、抗生物質を含有しない選択寒天培地上で選択クローンを平板培養し、37℃で成育させた。抗生物質を含有しない培地上での一次継代においてファージを失った細胞の数は、12〜35%に上った。このような細胞の選択は、抗生物質耐性の欠失およびファージλクリアに対する感受性の獲得をモニタリングすることにより実行した。
【0043】
4.リプレッサーに関する細胞の検定
アンバー突然変異を有するファージλの、救済クローンの芝地上にプラークを形成する能力を調べた。親エシェリヒア・コリSu株と同系であってサプレッサーのない誘導体は、その上にファージλblaN’がプラークを形成せず、ファージλcI857am117am54が1〜3×10PFU/mlを産生し、遺伝子QおよびR中に突然変異を有さないファージλcI857が1×1010PFU/mlを産生したクローンである。
【0044】
この方法を用いて、エシェリヒア・コリK802SuのSu復帰細胞を得た。感染時点での細胞数およびそれらのうちの、Su復帰細胞の数に基づくと、サプレッサーのない細胞の発生頻度は3×10−7であった。
【0045】
好ましい実施形態では、目的遺伝子は、T7プロモーターの制御下でpET−24a(+)中でクローン化される。任意の目的遺伝子は、本願請求に係る発明の実施に用いられ得る。特定の例としては、ヒト成長ホルモン、インターフェロン、メチオニンアミノペプチダーゼ、ヒトaFGF134アミノ酸型、ヒトaFGF140アミノ酸型、ヒトaFGF146アミノ酸型およびヒトaFGF155アミノ酸型が挙げられるが、これらに限定されない。代替的実施形態では、目的遺伝子は、適切なプロモーターの制御下で細菌プラスミドおよびファージ中でクローン化され得る。もっとも好ましい実施形態では、化学合成haFGF155遺伝子(配列番号1)は、T7プロモーターの制御下でpET−24a(+)中でクローン化される。T7プロモーターは、T7RNAポリメラーゼによってのみ認識され、エシェリヒア・コリのRNAポリメラーゼによっては認識されない。得られたhaFGF155遺伝子を有するプラスミド(phaFGF155)をエシェリヒア・コリBL21(DE3)中で形質転換した。この株は、T7RNAポリメラーゼ遺伝子を含む。T7ポリメラーゼタンパク質はエシェリヒア・コリ細胞に対して有毒であるので、T7RNAポリメラーゼ遺伝子は、誘導性のlacUV5プロモーターの制御下にあって、必要な場合にのみT7RNAポリメラーゼ合成を誘導する。lacプロモーターによる誘導は、栄養培地にIPTGを添加することにより実行される。haFGF155タンパク質を得るために、haFGF155遺伝子を有する組換え体プラスミドを含有するプロデューサー株は、20〜40℃の温度で、集中的曝気の条件下で、1ml中に5×10〜5×10の細胞密度になるように培養される。次にそれは、1細胞当り0.1〜100個のファージ体の多重度でts−突然変異cIリプレッサー遺伝子を有するラムダファージにより感染され、インキュベーションが20〜37℃で2〜14時間継続される。ファージと同時的に、IPTGが1mMの濃度で導入される。
【0046】
haFGF155遺伝子は、155個のアミノ酸残基を含むタンパク質をコードする。しかしながら、組織試料から単離することができたのは、それより短い2つのaFGF形態だけであった。2つの単離形態は、140および134個のアミノ酸残基を含む。140個のアミノ酸を含むaFGFは完全体であると考えられるが、一方134個のアミノ酸を含むaFGF形態は切頭(truncated)されていると考えられる。組織試料から155個のアミノ酸を含有するaFGF形態を抽出することはできなかった。より短いアイソフォームが細胞プロセシングの正常機能として生じるのか、またはaFGF抽出プロセスにおける特定のプロテアーゼによる単離ステップ中に産生される人工物として生じるのかは、不明である。3つのaFGF形態に対する単離DNA組換え体分子から産生されたタンパク質をウエスタンブロット分析したところ、140および134形態の発現は高レベルであり、および155形態の発現は低レベルであった。
【0047】
本発明の好ましい実施形態では、ヒト酸性線維芽細胞成長因子遺伝子は、155個のアミノ酸型のaFGFタンパク質をコードし、化学合成される(配列番号1)。haFGF155遺伝子のヌクレオチド配列は、上記のhaFGF155アミノ酸配列(配列番号2)に基づいて推定された。合成haFGF155遺伝子のアミノ酸配列は、上記のもの、例えば配列番号3のFGFヌクレオチド配列の翻訳配列と異ならない。しかしながら、haFGF遺伝子の好ましいヌクレオチド配列は、これまでに報告されたものと異なる。本発明の好ましい実施形態では、haFGF155遺伝子は、集約的合成細菌タンパク質に関してエシェリヒア・コリにより最もしばしば用いられるコドンを用いて化学合成された。エシェリヒア・コリに関するコドン使用表は既知であり、利用可能である(例えば、http://psyche.uthct.edu/shaun/Sblack/codonuse.html.参照)。ヒトaFGF遺伝子の化学合成は、既知の方法により実行した(Edge et al. (1983) Nucleic Acids Research 11(18):6419−6435)。
【0048】
あるいは、任意の重要な遺伝子が、本発明の実施に用いられ、その例としては、当業者に既知の他の形態のhaFGFタンパク質、例えば146、140および134アイソフォームをコードする動物組織からの単離DNA、ならびにその任意の変異体、誘導体、類縁体または断片が挙げられるが、これらに限定されない。ヒト成長ホルモン、ヒトインターフェロンおよびエシェリヒア・コリメチオニンアミノペプチダーゼをコードする遺伝子も、本明細書中に例示される。
【0049】
図1は、本発明により合成されるhaFGF155遺伝子の完全ヌクレオチド配列(配列番号1)、ならびにGenBankからのヒト酸性線維芽細胞成長因子の配列(配列番号3)を示す。これら2つの配列は、図2において比較される。80コドンに違いが認められる。
【0050】
発現およびクローニングベクターは、典型的には、宿主生物体により認識され、目的遺伝子を作動可能に連結されるプロモーターを含む。プロモーターは、それらが作動可能に連結される特定の核酸配列の転写および翻訳を制御する構造遺伝子(一般に100〜1000塩基対以内)の開始コドンに対して、上流(5’)に位置する非翻訳配列である。このようなプロモーターは、典型的には2つの種類、すなわち誘導性プロモーターおよび構成性プロモーターに分類される。誘導性プロモーターとは、培養条件の何らかの変化に、例えば栄養素の存在/非存在に、あるいは温度の変化に応答して、それらの制御下でDNAからの高レベルの転写を開始するプロモーターである。現時点で、原核生物宿主細胞により認識される多数のプロモーターが既知である。適切な制限部位を提供するために、適切なリンカーまたはアダプターを用いて目的遺伝子にそれらを連結する方法が、当業者に既知である。
【0051】
好ましいプロモーター系は、エシェリヒア・コリバクテリオファージT7プロモーター系である。エシェリヒア・コリバクテリオファージT7プロモーターは、非常に特異的であり、T7RNAポリメラーゼの存在を要する。T7RNAポリメラーゼは、T7RNAポリメラーゼ遺伝子を発現するプラスミドを用いた形質転換により供給され得るか、あるいは宿主株中の溶原体上に含まれるT7ポリメラーゼ遺伝子の誘導により供給され得る。T7プロモーターおよびT7RNAポリメラーゼは、市販されている。
【0052】
形質転換とは、染色体外因子としてまたは染色体中への組込みにより、生物体中にDNAを導入し、DNAの複製を可能にすることを意味する。原核生物細胞の形質転換は、当業者に既知の技法、例えばCaClによる処理または電気穿孔を用いて実施される。
【0053】
ラムダファージの溶菌の発生を遅延する条件下においてプロデューサー株を培養することにより、組換えタンパク質の超産生を達成した。このような条件としては、培養の温度低下、ならびに後期ラムダファージ遺伝子、例えばQおよびR遺伝子中のアンバー突然変異の使用が挙げられる。
【0054】
組換えタンパク質は、ラムダファージによるプロデューサー株の細胞溶菌の結果として、可溶性タンパク質として培地中に蓄積される。組換えタンパク質の産出量は、通常培地中に蓄積される可溶性タンパク質の20%を構成する。遠心分離により、培地から破砕屑を除去した。次に組換えタンパク質は、当業者に既知の精製手法を用いて、夾雑可溶性タンパク質およびポリペプチドから精製され得る。このような手法としては、イオン交換カラム上での分画、エタノール沈殿、逆相HPLC、イムノアフィニティー、SDS−PAGE、硫酸アンモニウム沈殿およびゲル濾過が挙げられるが、これらに限定されない。haFGFタンパク質の場合、精製haFGFを得るために、haFGFタンパク質をヘパリンセファロースに適用した。
【0055】
本発明のさらに詳細な説明を以下に提示する。記載された実施形態は本発明の好ましい実施形態を示すが、本発明の精神を逸脱せずに変更が行なわれることが当業者には理解されるはずである。したがって、本発明の範囲は、併記の特許請求の範囲によってのみ確定されるはずである。
【0056】
実施例1
ファージ依存的方法によるヒトaFGF155の産生
ヒト酸性線維芽細胞成長因子(155個のアミノ酸)をコードするhaFGF155遺伝子を1コピー含有するプラスミドpET24−155@rev(図3)により、エシェリヒア・コリBL21(DE3)(NOVAGEN)の培養物を形質転換した。BL21(DE3)の培養物は、細菌ゲノム中に、誘導性lacUV5プロモーターの制御下にあるT7RNAポリメラーゼに関する遺伝子を単一コピー含有する(Studier et al. (1986) J. Mol. Biol. 189:113−130)。プラスミドpET−24a(+)(NOVAGEN)中に、T7プロモーターの制御下で化学合成haFGF155遺伝子(配列番号1)を挿入して、プラスミドpET24−155@revを作成した。haFGF155遺伝子の発現は、IPTGによるlacUV5プロモーターの誘導により媒介されて細胞中にT7ポリメラーゼが出現した後にのみ、開始する。
【0057】
50g/mlのカナマイシンを含有するLB培地中で、37℃で振盪しながら、pET24−155@revを有するエシェリヒア・コリBL21(DE3)の培養物を、2×10細胞/mlの密度に成育させた。次に、1細菌細胞当り約10ファージ体の多重度で、ファージcI857am117am54により細胞を感染させて、21℃で約14時間、振盪しながら培養した。ファージと同時に、1mMのIPTGを培地中に導入した。
【0058】
エシェリヒア・コリRLMIの溶原性培養物からファージcI857am117am54を調製し、これをLB培地中で、30℃で集中的に曝気しながら、約1×10細胞/mlの密度に成育させた。溶原性培養物を43℃に暖めて、20分間インキュベートし、cIリプレッサーを不活性化した。次に温度を37℃に下げて、60〜70分後、細菌細胞を溶菌すると、ファージが1〜2×1010PFU/mlで生成された。
【0059】
ファージ感染細胞とともに14時間インキュベートした後、遠心分離により破砕屑を培地から除去した。haFGF155タンパク質を含有する培地をヘパリンセファロースカラムに適用して、精製haFGF155を得た。
【0060】
変性条件下でSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動によりhaFGF155を含有する培地を分析し、クーマシーブルーで染色した。haFGF155タンパク質を含有する培地の電気泳動写真は、図4において精製haFGFタンパク質と比較されている。レーン1は、10 lの培地を示す。レーン2は、7 lのヘパリン−セファロース精製haFGF155タンパク質(0.45g/l)を示す。レーン3は、80 lのうちの14 lのHPLC精製haFGF−155を示す。左端の印のないレーンは、分子量標準(Amersham Pharmacia Biotech)を含有する。ファージ感染培養中でのhaFGF155タンパク質の産生は、総細胞タンパク質の約20%であった。haFGF155の分子量は、密度計Image Master VDSにより確定した場合、17,908ダルトンであった(データは示されていない)。
【0061】
上記の方法により産生されたヒトaFGF155は、ニワトリ(chick)膜アッセイ(実施例6)に基づいた生物学的活性を有した。さらに、精製ヒトaFGF155は、BALB/c 3T3線維芽細胞を利用した細胞ベースの増殖アッセイ(米国特許第5401832号(Linemeyer))において生物活性を示した。細胞増殖の1/2最大刺激は、32pg/1mlのaFGF155の濃度で生じた。細菌培地中に含入される非精製ヒトaFGF155も、3T3線維芽細胞アッセイにおいて生物学的活性を示し、これは精製aFGF155と等価であったが、このことは、aFGF155が、可溶性の生物学的に活性なタンパク質として、最初から細菌中で合成されたことを示す。
【0062】
実施例2
ファージ依存的方法によるヒトaFGF134アミノ酸型の産生
ヒトaFGF(134個のアミノ酸)(図6:配列番号4)をコードする化学合成遺伝子を1コピー含有するプラスミドpET24−134@rev(図5)により、エシェリヒア・コリBL21(DE3)(NOVAGEN)の培養物を形質転換した。翻訳アミノ酸配列は、配列番号5で示される。BL21(DE3)の培養物は、細菌ゲノム中に、誘導性lacUV5プロモーターの制御下にあるT7RNAポリメラーゼ遺伝子を単一コピー含有する(Studier et al. (1986) J. Mol. Biol. 189:113−130)。プラスミドpET−24a(+)(NOVAGEN)中に、T7プロモーターの制御下でヒトaFGF134アミノ酸型遺伝子を挿入した。ヒトaFGF134アミノ酸型遺伝子の発現は、IPTGによるlacUV5プロモーターの誘導により媒介されて細胞中のT7ポリメラーゼが出現した後にのみ、開始する。
【0063】
50g/mlのカナマイシンを含有するLB培地中で、37℃で振盪しながら、プラスミドpET24−134@revを有するエシェリヒア・コリBL21(DE3)の培養物を、2×10細胞/mlの密度に成育させた。次に、1細菌細胞当り約10ファージ体の多重度で、ファージcI857am117am54で細胞を感染させて、21℃で約14時間、振盪しながら培養した。ファージと同時に、1mMのIPTGを培地中に導入した。
【0064】
エシェリヒア・コリRLMIの溶原性培養物からファージcI857am117am54を調製し、これをLB培地中で30℃で集中的に曝気しながら、約1×10細胞/mlの密度に成育させた。溶原性培養物を43℃に暖めて、20分間インキュベートし、cIリプレッサーを不活性化した。次に温度を37℃に下げて、60〜70分後、細菌細胞を溶菌すると、ファージが1〜2×1010PFU/mlで生成された。
【0065】
ファージ感染細胞とともに14時間インキュベートした後、遠心分離により破砕屑を培地から除去した。haFGF134タンパク質を含有する培地をヘパリンセファロースカラムに適用して、精製ヒトaFGF134タンパク質を得た。
【0066】
実施例3
ファージ依存的方法によるヒトaFGF140アミノ酸型の産生
ヒトaFGF(図8:140個のアミノ酸)(配列番号6)をコードする化学合成遺伝子を1コピー含有するプラスミドpET24−140@rev(図7)により、エシェリヒア・コリBL21(DE3)(NOVAGEN)の培養物を形質転換した。対応するタンパク質は、配列番号7として示される。BL21(DE3)の培養物は、細菌ゲノム中に誘導性lacUV5プロモーターの制御下にあるT7RNAポリメラーゼ遺伝子を単一コピー含有する(Studier et al. (1986) J. Mol. Biol. 189:113−130)。プラスミドpET−24a(+)(NOVAGEN)中に、T7プロモーターの制御下でヒトaFGF140アミノ酸型遺伝子を挿入した。ヒトaFGF140アミノ酸型遺伝子の発現は、IPTGによるlacUV5プロモーターの誘導により媒介されて細胞中のT7ポリメラーゼが出現した後にのみ、開始する。
【0067】
50g/mlのカナマイシンを含有するLB培地中で、37℃で振盪しながら、pET24−140@revを有するエシェリヒア・コリBL21(DE3)の培養物を、2×10細胞/mlの密度に成育させた。次に、1細菌細胞当り約10ファージ体の多重度で、ファージcI857am117am54で細胞を感染させて、21℃で約14時間、振盪しながら培養した。ファージと同時に、1mMのIPTGを培地中に導入した。
【0068】
エシェリヒア・コリRLMIの溶原性培養物からファージcI857am117am 54を調製し、これをLB培地中で、30℃で集中的に曝気しながら、約1×10細胞/mlの密度に成育させた。溶原性培養物を43℃に暖めて、20分間インキュベートし、cIリプレッサーを不活性化した。次に温度を37℃に下げて、60〜70分後、細菌細胞を溶菌すると、ファージが1〜2×1010PFU/mlで生成された。
【0069】
ファージ感染細胞とともに14時間インキュベートした後、遠心分離により破砕屑を培地から除去した。haFGF140アミノ酸型を含有する培地をヘパリンセファロースカラムに適用して、精製haFGF140を得た。
【0070】
上記の方法により産生されたヒトaFGF140は、ニワトリ(chick)膜アッセイ(実施例6)に基づいた生物学的活性を有した。
【0071】
実施例4
ファージ依存的方法によるヒトaFGF146アミノ酸型の産生
ヒトaFGF(146個のアミノ酸)(示されていない)をコードする化学合成遺伝子を1コピーを含有するプラスミドpET24−146@revにより、エシェリヒア・コリBL21(DE3)(NOVAGEN)の培養物を形質転換した。BL21(DE3)の培養物は、細菌ゲノム中に誘導性lacUV5プロモーターの制御下にあるT7RNAポリメラーゼ遺伝子を単一コピー含有する(Studier et al. (1986) J. Mol. Biol. 189:113−130)。プラスミドpET−24a(+)(NOVAGEN)中に、T7プロモーターの制御下でヒトaFGF146アミノ酸型遺伝子を挿入した。ヒトaFGF146アミノ酸型遺伝子の発現は、IPTGによるlacUV5プロモーターの誘導により媒介されて細胞中のT7ポリメラーゼが出現した後にのみ、開始する。
【0072】
50g/mlのカナマイシンを含有するLB培地中で、37℃で振盪しながら、pET24−146@revを有するエシェリヒア・コリBL21(DE3)の培養物を、2×10細胞/mlの密度に成育させた。次に、1細菌細胞当り約10ファージ体の多重度で、ファージcI857am117am54で細胞を感染させて、21℃で約14時間、振盪しながら培養した。ファージと同時に、1mMのIPTGを培地中に導入した。
【0073】
エシェリヒア・コリRLMIの溶原性培養物からファージcI857am117am54を調製し、これをLB培地中で30℃で集中的に曝気しながら、約1×10細胞/mlの密度に成育させた。溶原性培養物を43℃に暖めて、20分間インキュベートし、cIリプレッサーを不活性化した。次に温度を37℃に下げて、60〜70分後、細菌細胞を溶菌すると、ファージが1〜2×1010PFU/mlで生成された。
【0074】
ファージ感染細胞とともに14時間インキュベートした後、遠心分離により破砕屑を培地から除去した。haFGF146タンパク質を含有する培地をヘパリンセファロースカラムに適用して、精製ヒトhaFGF146を得た。
【0075】
上記の方法により産生されたヒトaFGF146は、ニワトリ(chick)膜アッセイ(実施例6)に基づいた生物学的活性を有した。
【0076】
実施例5
組換えhaFGFタンパク質の精製
haFGFタンパク質を含有する培地を、1倍量の0.04MのKHPO緩衝液、pH7.0で希釈し、0.02MのKHPO緩衝液、pH7.0で平衡させたヘパリン−セファロースカラムに適用した。流量を80ml/時間に調整した。haFGFタンパク質を含有する培地の適用後、カラムを0.02MのKHPO緩衝液、pH7.0で洗浄した。次にカラムを、0.6MのNaClを含有する0.02MのKHPO緩衝液、pH7.3で洗浄した。1.5MのNaClを含有する0.02MのKHPO緩衝液、pH7.5を用いて、溶離を実行した。全工程を4℃で実行した。
【0077】
実施例6
ニワトリ胚漿尿膜(CAM)中の新規の血管の形成に及ぼすFGF作用の試験方法
ニワトリ胚のモデルにおける血管新生の試験方法(Thomas et al. (1985)Proc. Natl. Acad. Sci, USA 82:6409−6413)を適応させて、精製脳由来酸性線維芽細胞成長因子と比較した場合の、血管形成に及ぼすhaFGF155、146および140組換えタンパク質の作用を確定した。精製脳由来酸性線維芽細胞成長因子は、インターロイキンと相同の配列を有する強力な血管新生性血管内皮細胞分裂促進因子である。
【0078】
3日齢ニワトリ胚の殻をエチルアルコールで滅菌した。鉗子を用いて殻および殻下被膜を気室から除去し、35mmのプラスチックペトリ皿の底で卵を覆った。胚を37℃で5〜6日間インキュベートした。この期間の終了時に、胚を検査し、CAMが十分に発達した血管を有する卵を実験用に選択した。
【0079】
FGFを含有するゲルを沈着させた濾紙円板を、ゲルを血管に向けた状態で、卵CAM上に載せ、37℃でさらに3日間、サーモスタット中でインキュベートした。ゲルを以下の方法で調製した:試験量のFGFをイーグル培地(溶液1)30 l中に溶解し、次に、30 lのイーグル培地中で、10gのヘパリンを溶解し、2%のアガロースを付加した(溶液2)。次に等倍量の溶液1および溶液2を混合し、得られた混合物を、直径12mmの濾紙円板上に60 lのアリコートで沈着させた。
【0080】
4日目に、濾紙円板を取り出した。濃化牛乳(乳脂肪10%)を約1mlまたはそれ未満の量でCAM下に注入した。それにより、CAM血管が容易に観察される白色バックグラウンドになった。
【0081】
実験結果を、コンピューターに接続したビデオカメラで記録した。以下のパラメーターにより、FGFの影響下での新規のCAM血管の形成を評価した:血管成長の性質および方向、それらの量および質(大、中、小)、吻合の存在または非存在等。これらのデータを、FGFに曝露しなかった対照試料と比較した。発生14日目のニワトリ胚血管を、本明細書中に記載したファージ依存的組換え方法により産生され、上記のようにヘパリンセファロース上で精製し、FGF155で処理した。
【0082】
組換えFGF155タンパク質の適用は、新規の血管形成を実証した。1gのFGF155の適用後4日目、血管は主として小さく、放射状成長を示した。FGF155の量を3gへ増大すると、血管のサイズは対応して増大した。中型血管が、放射状成長するのが観察された。適用されたFGFの量を4gへさらに増大すると、対照と比較した場合、適用後4日目に大型、中型および小型血管の発達を示した。
【0083】
実施例7
ファージ依存的方法によるヒト成長ホルモンの産生
ヒト成長ホルモンをコードする化学合成遺伝子(配列番号8)を1コピー含有するプラスミドにより、エシェリヒア・コリBL21(DE3)(NOVAGEN)の培養物を形質転換した。翻訳アミノ酸配列は、配列番号9として示される。BL21(DE3)の培養物は、細菌ゲノム中に、誘導性lacUV5プロモーターの制御下にあるT7RNAポリメラーゼ遺伝子を単一コピー含有する(Studier et al. (1986) J. Mol. Biol. 189:113−130)。プラスミドpET−24a(+)(NOVAGEN)中に、T7プロモーターの制御下でヒト成長ホルモン遺伝子を挿入した。ヒト成長ホルモン遺伝子の発現は、IPTGによるlacUV5プロモーターの誘導により媒介されて細胞中のT7ポリメラーゼが出現した後にのみ、開始する。
【0084】
50g/mlのカナマイシンを含有するLB培地中で、37℃で振盪しながら、エシェリヒア・コリBL21(DE3)の形質転換した培養物を、2×10細胞/mlの密度に成育させた。次に、1細菌細胞当り約10ファージ体の多重度で、ファージcI857am117am54で細胞を感染させて、21℃で約14時間、振盪しながら培養した。ファージと同時に、1mMのIPTGを培地中に導入した。
【0085】
エシェリヒア・コリRLMIの溶原性培養物からファージcI857am117am54を調製し、これをLB培地中で、30℃で集中的に曝気しながら、約1×10細胞/mlの密度に成育させた。溶原性培養物を43℃に暖めて、20分間インキュベートし、cIリプレッサーを不活性化した。次に温度を37℃に下げて、60〜70分後、細菌細胞を溶菌すると、ファージが1〜2×1010PFU/mlで生成された。
【0086】
ファージ感染細胞とともに14時間インキュベートした後、遠心分離により破砕屑を培地から除去した。ヒト成長ホルモンタンパク質を、当業者に既知の方法により、カラムクロマトグラフィーによって精製して、精製ヒト成長ホルモンを得た。精製ヒト成長ホルモンは、Nb2リンパ腫細胞を利用して細胞ベースのバイオアッセイでアッセイ(Gout PW, Cancer Research 40:2433−2436, 1980)した場合、生物学的に活性であった。Nb2細胞増殖の1/2最大刺激を生じたヒト成長ホルモンの濃度は、125pg/mlであった。
【0087】
実施例8
ファージ依存的方法によるヒトインターフェロン−2bの産生
ヒトインターフェロン−2(図10;配列番号10)をコードする化学合成遺伝子を1コピー含有するプラスミドpET24ap−inf@rev(図9)により、エシェリヒア・コリBL21(DE3)(NOVAGEN)の培養物を形質転換した。翻訳アミノ酸配列は、配列番号11として示される。BL21(DE3)の培養物は、細菌ゲノム中に、誘導性lacUV5プロモーターの制御下にあるT7RNAポリメラーゼ遺伝子を単一コピー含有する(Studier et al. (1986) J. Mol. Biol. 189:113−130)。プラスミドpET−24a(+)(NOVAGEN)中に、T7プロモーターの制御下でインターフェロン遺伝子を挿入した。インターフェロン遺伝子の発現は、IPTGによるlacUV5プロモーターの誘導により媒介されて細胞中のT7ポリメラーゼが出現した後にのみ、開始する。
【0088】
50g/mlのカナマイシンを含有するLB培地中で、37℃で振盪しながら、プラスミドpET24ap−inf@revを有するエシェリヒア・コリBL21(DE3)の培養物を、2×10細胞/mlの密度に成育させた。次に細胞を、1細菌細胞当り約10ファージ体の多重度で、ファージcI857am117am54で感染させて、21℃で約14時間、振盪しながら培養した。ファージと同時に、1mMのIPTGを培地中に導入した。
【0089】
エシェリヒア・コリRLMIの溶原性培養物からファージcI857am117am54を調製し、これをLB培地中で、30℃で集中的に曝気しながら、約1×10細胞/mlの密度に成育させた。溶原性培養物を43℃に暖めて、20分間インキュベートし、cIリプレッサーを不活性化した。次に温度を37℃に下げて、60〜70分後、細菌細胞を溶菌すると、ファージが1〜2×1010PFU/mlで生成された。
【0090】
ファージ感染細胞とともに14時間インキュベートした後、遠心分離により破砕屑を培地から除去した。当業者に既知の方法により、カラムクロマトグラフィーによってインターフェロンを精製して、精製インターフェロンを得た。
【0091】
開示される方法により産生されたインターフェロンは、水疱性口内炎ウイルス感染ウシ腎臓細胞で実施されたインターフェロン抗ウイルスアッセイ(Aebersold P, Methods in Enzymology 119:579−592, 1986)に基づいた生物学的活性を有した。インターフェロンα2bは、このアッセイにおいて、1.81×10国際単位(IU)/タンパク質1mgの生物学的効力を有した。精製前に細菌培地中に含入されたインターフェロンα2bは、この抗ウイルスアッセイにおいて精製インターフェロンと同等の効力を有し、このことは、インターフェロンα2bが可溶性の生物学的に活性なタンパク質として、最初から細菌中で合成されたことを示す。
【0092】
実施例9
ファージ依存的方法によるエシェリヒア・コリメチオニンアミノペプチダーゼの産生
エシェリヒア・コリメチオニンアミノペプチダーゼをコードする化学合成遺伝子を1コピー含有するプラスミドにより、エシェリヒア・コリBL21(DE3)(NOVAGEN)の培養物を形質転換した。BL21(DE3)の培養物は、細菌ゲノム中に、誘導性lacUV5プロモーターの制御下にあるT7RNAポリメラーゼ遺伝子を単一コピー含有する(Studier et al. (1986) J. Mol. Biol. 189:113−130)。プラスミドpET−24a(+)(NOVAGEN)中に、T7プロモーターの制御下でメチオニンアミノペプチダーゼ遺伝子を挿入した。大腸菌メチオニンアミノペプチダーゼ遺伝子の発現は、IPTGによるlacUV5プロモーターの誘導により媒介されて細胞中のT7ポリメラーゼが出現した後にのみ、開始する。
【0093】
50g/mlのカナマイシンを含有するLB培地中で、37℃で振盪しながら、エシェリヒア・コリBL21(DE3)の形質転換した培養物を、2×10細胞/mlの密度に成育させた。次に細胞を、1細菌細胞当り約10ファージ体の多重度で、ファージcI857am117am54で感染させて、21℃で約14時間、振盪しながら培養した。ファージと同時に、1mMのIPTGを培地中に導入した。
【0094】
エシェリヒア・コリRLMIの溶原性培養物からファージcI857am117am54を調製し、これをLB培地中で、30℃で集中的に曝気しながら、約1×10細胞/mlの密度に成育させた。溶原性培養物を43℃に暖めて、20分間インキュベートし、cIリプレッサーを不活性化した。次に温度を37℃に下げて、60〜70分後、細菌細胞を溶菌すると、ファージが1〜2×1010PFU/mlで生成された。
【0095】
ファージ感染細胞とともに14時間インキュベートした後、遠心分離により破砕屑を培地から除去した。当業者に既知の方法により、カラムクロマトグラフィーによってエシェリヒア・コリメチオニンアミノペプチダーゼを精製して、精製エシェリヒア・コリメチオニンアミノペプチダーゼを得た。
【0096】
実施例10
ファージ依存的方法により産生される組換えタンパク質のゲル分析
変性条件下でのSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動により、ヒトaFGF134アミノ酸型、ヒトaFGF140アミノ酸型、ヒトaFGF155アミノ酸型、ヒト成長ホルモン、インターフェロン、およびメチオニンアミノペプチダーゼを含有する培地を分析し、クーマシーブルーで染色した。ヒトaFGF134アミノ酸型、ヒトaFGF140アミノ酸型、ヒトaFGF146アミノ酸型、ヒト成長ホルモン、およびインターフェロンタンパク質を含有する培地の電気泳動写真は、図11において分子量標準と比較される。レーン2は、ヒトaFGF134アミノ酸型を含有する培地30 lを示す。レーン3は、組換えFGF140タンパク質を含有する培地30 lを示す。レーン4は、組換えインターフェロンを含有する培地30 lを示す。レーン5は、組換えFGF155タンパク質を含有する培地30 lを示す。レーン6は、組換えヒト成長ホルモンを含有する培地30 lを示す。レーン7は、組換えメチオニンアミノペプチダーゼを含有する培地30 lを示す。レーン1は、2gの各分子量標準(Amersham Pharmacia Biotech)を示す。上から、分子量標準は、94,000;67,000;43,000;30,000;20,100;および14,400である。
【0097】
密度計Image Master VDS(Pharmacia Biotech)を用いてポリアクリルアミドゲル上の染色タンパク質帯域を走査することにより、混合物中のヒトaFGF134アミノ酸型、ヒトaFGF140アミノ酸型、ヒトaFGF155アミノ酸型、ヒト成長ホルモン、インターフェロン、およびメチオニンアミノペプチダーゼの量の定量を成し遂げた。ファージ感染培養中の組換えタンパク質の産生は、総細胞タンパク質の約20%であった。
【0098】
精製組換えヒトaFGF134、haFGF140、haFGF146、インターフェロン、haFGF155およびメチオニンアミノペプチダーゼタンパク質を含有する培地の電気泳動写真を、分子量標準と比較した(図12)。レーン2は、5gの精製aFGF134タンパク質を示す。レーン3は、5gの精製ヒトaFGF140を示す。レーン4は、5gの精製ヒトaFGF146アミノ酸型を示す。ファージ感染培養中のヒトaFGF146アミノ酸型の産生は、総細胞タンパク質の約20%であった。レーン5は、5gの精製インターフェロンを示す。レーン6は、5gのhaFGF155タンパク質を示す。レーン7は、5gの精製エシェリヒア・コリメチオニンアミノペプチダーゼを示す。レーン1および8は、2gの各分子量標準(Amersham Pharmacia Biotech)を示す。
【0099】
本発明の精神から逸脱せずに多数のならびに種々の変更がなされ得る、と当業者には理解されよう。したがって、本発明の形態は例証のためだけのものであって、本発明の範囲を限定するように意図されないことは明確に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【図1】
高度に発現されたエシェリヒア・コリタンパク質中に見出されるコドンによって天然に存在するコドンを置換することにより改変されたヒト酸性線維芽細胞成長因子(155個のアミノ酸) (配列番号1)の化学合成ヌクレオチド配列、ならびに翻訳アミノ酸配列(配列番号2)を示す図である。
【図2】
化学合成haFGF155コドンにおいてなされた改変を示す。FGFfrHUMECGFBは、GenBank(NCBI)から得られた配列(配列番号3)である。HaFGF 155は、本発明の一実施形態による化学合成配列(配列番号1)である。
【図3】
化学合成haFGF155遺伝子(配列番号1)を含有するpET24−155@rev構築物を示す。
【図4】
HPLC精製haFGF155を示す。電気泳動写真において:レーン1:10 lの組換えhaFGF155を含有する状態調節培地;レーン2:7 lのヘパリン−セファロース精製組換えhaFGF155(0.45 g/l);レーン3:80 lのうちの14 lのHPLC−精製haFGF 155である。左端の印のないレーンは、分子量標準を含有する。
【図5】
化学合成haFGF134遺伝子(配列番号4)を含有するpET24−134@rev構築物を示す。
【図6】
高度に発現された大腸菌タンパク質中に見出されるコドンによって天然に存在するコドンを置換することにより改変された、ヒト酸性線維芽細胞成長因子(134個のアミノ酸)(配列番号4)の化学合成ヌクレオチド配列、ならびに翻訳アミノ酸配列(配列番号5)を示す。
【図7】
化学合成haFGF140遺伝子(配列番号6)を含有するpET24−140@rev構築物を示す。
【図8】
高度に発現された大腸菌タンパク質中に見出されるコドンによって、天然に存在するコドンを置換することにより改変された、ヒト酸性線維芽細胞成長因子(140個のアミノ酸)(配列番号6)の化学合成ヌクレオチド配列、ならびに翻訳アミノ酸配列(配列番号7)を示す。
【図9】
化学合成インターフェロン−2b遺伝子(配列番号10)を含有するpET24ap−inf@rev構築物を示す。
【図10】
高度に発現されたエシェリヒア・コリタンパク質中に見出されるコドンによって、天然に存在するコドンを置換することにより改変された、ヒトインターフェロン−2b(配列番号10)の化学合成ヌクレオチド配列、ならびに翻訳アミノ酸配列(配列番号11)を示す。
【図11】
本明細書中に記載したファージ依存的方法により産生されたタンパク質を含有する12.5%SDSポリアクリルアミドゲルを示す。レーン1:分子量標準、各々2g標準;レーン2:組換えFGF134タンパク質を含有する40 lの培地;レーン3:組換えFGF140タンパク質を含有する40 lの培地;レーン4:組換えインターフェロン2Bを含有する40 lの培地;レーン5:組換えFGF155タンパク質を含有する40 lの培地;レーン6:組換えヒト成長ホルモンを含有する40 lの培地;レーン7:組換えメチオニンアミノペプチダーゼを含有する40 lの培地;レーン8:エシェリヒア・コリのガラクトシダーゼを含有する40 lの培地。
【図12】
本願により請求された発明に従って、精製された組換えタンパク質を含有する12.5%SDSポリアクリルアミドゲルを示す。レーン1:分子量標準;レーン2:5gの精製FGF134タンパク質;レーン3:5gの精製FGF140タンパク質;レーン4:5gの精製FGF146タンパク質;レーン5:5gの精製インターフェロン2Bタンパク質;レーン6:5gの精製FGF155タンパク質;レーン7:5gの精製メチオニンアミノペプチダーゼタンパク質;レーン8:分子量標準。

Claims (24)

  1. 生物学的に活性なタンパク質の産生方法であって、
    T7ポリメラーゼプロモーターに、作動可能に連結された、生物学的に活性なタンパク質をコードする発現可能遺伝子を少なくとも1コピー有するプラスミドによって、T7RNAポリメラーゼ遺伝子を発現することができるエシェリヒア・コリ株を形質転換すること、
    溶菌の遅延を媒介することができるバクテリオファージを、前記形質転換した細菌宿主細胞に感染させること、および
    前記タンパク質の所望レベルの産生が達成されるまで溶菌を伴わずに、前記細胞の溶菌成長を誘導することができる培養条件下で、かつ、前記タンパク質が可溶性の生物学的に活性なタンパク質として産生されるように、前記エシェリヒア・コリ宿主細胞を培養すること、
    を含む方法。
  2. 前記バクテリオファージは、温度感受性突然変異を有するバクテリオファージである請求項1に記載の方法。
  3. 前記温度感受性突然変異は、cI857である請求項2に記載の方法。
  4. 培養工程前に、前記エシェリヒア・コリ宿主細胞を、前記バクテリオファージの溶菌成長を防止する温度で成育させる請求項2に記載の方法。
  5. 前記バクテリオファージは、溶菌の遅延を媒介することができる少なくとも1つの遺伝子中に突然変異を有するバクテリオファージである請求項1に記載の方法。
  6. 前記溶菌の遅延を媒介することができる少なくとも1つの遺伝子は、N、QおよびRからなる群から選択される請求項5に記載の方法。
  7. 前記エシェリヒア・コリ株は、アンバー突然変異の修復のためのサプレッサーを産生する請求項1に記載の方法。
  8. 前記エシェリヒア・コリ株は、アンバー突然変異の修復のためのサプレッサーが欠如する請求項1に記載の方法。
  9. 前記感染バクテリオファージは、約1〜約100の範囲の感染多重度で提供される請求項1に記載の方法。
  10. 前記感染バクテリオファージは、約10〜約25の範囲の感染多重度で提供される請求項1に記載の方法。
  11. エシェリヒア・コリ株のバクテリオファージ媒介性の溶菌の遅延は、低度の感染多重度と比較してより高度の感染多重度で遅延する請求項1に記載の方法。
  12. 前記発現可能遺伝子は、ヒト酸性線維芽細胞成長因子をコードする請求項1に記載の方法。
  13. 前記ヒト酸性線維芽細胞成長因子は、134個のアミノ酸を含む請求項12に記載の方法。
  14. 前記ヒト酸性線維芽細胞成長因子は、140個のアミノ酸を含む請求項12に記載の方法。
  15. 前記ヒト酸性線維芽細胞成長因子は、146個のアミノ酸を含む請求項12に記載の方法。
  16. 前記ヒト酸性線維芽細胞成長因子は、155個のアミノ酸を含む請求項12に記載の方法。
  17. 前記ヒト酸性線維芽細胞成長因子は、配列番号1で記述される配列を有する請求項16に記載の方法。
  18. 前記発現可能遺伝子は、ヒト成長ホルモンをコードする請求項1に記載の方法。
  19. 前記発現可能遺伝子は、ヒトインターフェロンをコードする請求項1に記載の方法。
  20. 前記発現可能遺伝子は、エシェリヒア・コリメチオニンアミノペプチダーゼをコードする請求項1に記載の方法。
  21. 前記T7RNAポリメラーゼ遺伝子は、誘導性プロモーターの制御下にある請求項1に記載の方法。
  22. 前記誘導性プロモーターは、lacUV5プロモーターである請求項21に記載の方法。
  23. 本質的に配列番号1で記述される配列からなる化学合成核酸。
  24. 生物学的に活性なタンパク質の産生方法であって、
    a)温度感受性突然変異を有するバクテリオファージλ株を含むエシェリヒア・コリ細胞の第一の株を成長させること、
    b)前記エシェリヒア・コリの第一の株を溶菌させ、およびバクテリオファージλを放出させるために温度を調整すること、
    c)誘導性プロモーターの制御下でT7ポリメラーゼプロモーターに作動可能に連結される、前記生物学的に活性なタンパク質をコードする発現可能遺伝子を少なくとも1コピー有するプラスミドによって形質転換したエシェリヒア・コリ細胞の第二の株を提供し、該エシェリヒア・コリ細胞の第二の株が、誘導物質の添加によりT7RNAポリメラーゼ遺伝子を発現するように誘導され得るようにすること、
    d)前記エシェリヒア・コリ細胞の第一の株から放出されたバクテリオファージλで、前記エシェリヒア・コリ細胞の第二の株を感染させること、および
    e)タンパク質が産生され、前記エシェリヒア・コリ細胞の第二の株の溶菌時に培地中に放出されるように、前記エシェリヒア・コリ細胞の感染二次株をインキュベートし、前記タンパク質が可溶性の生物学的に活性なタンパク質として100μg/mlより高い濃度で産生されるようにすること、
    を含む方法。
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