JP2004525220A - 金属高分子複合体用接着剤 - Google Patents
金属高分子複合体用接着剤 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004525220A JP2004525220A JP2002571772A JP2002571772A JP2004525220A JP 2004525220 A JP2004525220 A JP 2004525220A JP 2002571772 A JP2002571772 A JP 2002571772A JP 2002571772 A JP2002571772 A JP 2002571772A JP 2004525220 A JP2004525220 A JP 2004525220A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- adhesive
- metal
- alkoxysilane
- weight
- component
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
- 0 C*C(*C(C1)(C1O**=C)C(C)(C)N)OC(C)(C)* Chemical compound C*C(*C(C1)(C1O**=C)C(C)(C)N)OC(C)(C)* 0.000 description 1
Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C09—DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
- C09D—COATING COMPOSITIONS, e.g. PAINTS, VARNISHES OR LACQUERS; FILLING PASTES; CHEMICAL PAINT OR INK REMOVERS; INKS; CORRECTING FLUIDS; WOODSTAINS; PASTES OR SOLIDS FOR COLOURING OR PRINTING; USE OF MATERIALS THEREFOR
- C09D183/00—Coating compositions based on macromolecular compounds obtained by reactions forming in the main chain of the macromolecule a linkage containing silicon, with or without sulfur, nitrogen, oxygen, or carbon only; Coating compositions based on derivatives of such polymers
- C09D183/04—Polysiloxanes
- C09D183/08—Polysiloxanes containing silicon bound to organic groups containing atoms other than carbon, hydrogen, and oxygen
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61K—PREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
- A61K6/00—Preparations for dentistry
- A61K6/30—Compositions for temporarily or permanently fixing teeth or palates, e.g. primers for dental adhesives
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C09—DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
- C09D—COATING COMPOSITIONS, e.g. PAINTS, VARNISHES OR LACQUERS; FILLING PASTES; CHEMICAL PAINT OR INK REMOVERS; INKS; CORRECTING FLUIDS; WOODSTAINS; PASTES OR SOLIDS FOR COLOURING OR PRINTING; USE OF MATERIALS THEREFOR
- C09D4/00—Coating compositions, e.g. paints, varnishes or lacquers, based on organic non-macromolecular compounds having at least one polymerisable carbon-to-carbon unsaturated bond ; Coating compositions, based on monomers of macromolecular compounds of groups C09D183/00 - C09D183/16
Landscapes
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
- Health & Medical Sciences (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Wood Science & Technology (AREA)
- Materials Engineering (AREA)
- Veterinary Medicine (AREA)
- Epidemiology (AREA)
- Animal Behavior & Ethology (AREA)
- Public Health (AREA)
- General Health & Medical Sciences (AREA)
- Oral & Maxillofacial Surgery (AREA)
- Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
- Adhesives Or Adhesive Processes (AREA)
- Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
- Dental Preparations (AREA)
- Paints Or Removers (AREA)
Abstract
【課題】大量の装置の必要を回避しながら、加水分解安定性であり、接着性の強い金属高分子複合体を作ることができる手段を提供する。
【解決手段】本発明は、オレフィン不飽和二重結合を有するアルコキシシランと、メルカプト基を有するアルコキシシランとを含む金属高分子複合体用接着剤、その使用、およびそれによって製造された金属高分子複合体に関する。
【解決手段】本発明は、オレフィン不飽和二重結合を有するアルコキシシランと、メルカプト基を有するアルコキシシランとを含む金属高分子複合体用接着剤、その使用、およびそれによって製造された金属高分子複合体に関する。
Description
【技術分野】
【0001】
本発明は、オレフィン不飽和二重結合を有するアルコキシシランと、メルカプト基を有するアルコキシシランとを含む金属高分子複合体用接着剤、その使用、およびそれにより製造された金属高分子複合体に関する。
【背景技術】
【0002】
歯科医療の分野において、審美的外観と機能性は、互いに切り離せないほど関連する。特に、歯科補綴材料の外観は、両方の要件を高度に満たさなければならない。なぜなら、一方で、歯科補綴物はもともと存在する歯科材料の機能を果たす必要があり、他方で、少なくとも、歯科補綴材料がその着用者の外観を悪化させてはならないからである。「歯科用合金」と呼ばれる金属もしくは金属合金または金属組成物は、歯科補綴材料用基材としてよく使用される。しかし、そのような金属または金属合金の色は、通常の歯の色と異なるので、口内でのその視覚的外観は、目立ち、審美的に魅力的でないと認められることが多い。
【0003】
歯科補綴物、たとえば、クラウンおよびブリッジなどの補綴金属構造物が、最適な審美的外観を有するべきであれば、そのために使用する金属または金属合金の表面に歯色のベニア、たとえば、プラスチックベニアを設ける必要がある。しかし、金属とベニアの結合は高い基準を満たさなければならない。たとえば、問題のベニアを、永続的に、空隙を伴わずに金属に結合することが特に重要である。欠陥のある結合により、ベニアが早く剥離するか、端部で空隙が形成され、プラスチックベニアの場合は特に、金属構造物の酸化の結果として端部が変色したり、ベニアと金属構造物の間の空隙領域に機械的刺激が生じたりすることがある。
【0004】
さらに、プラスチックベニアの場合のような金属/プラスチック結合体は、口腔環境における特定のストレスを受ける。そのようなストレスは、第1に、咀嚼動作中に発生するような物理機械的ストレスである。第2に、化学的または生物学的ストレスも、口腔環境において、たとえば、唾液、食物、または薬物の結果として生じる。口腔環境でまた生じる温度変化は、結合体にさらなる機械的ストレスを与える。口腔環境の極端な状態、水分および温度の恒常的変化、ならびに結合体に対する機械的ストレスの下で、被覆される金属にベニアを固定するためのこれまでに知られている種類の固着は、長い期間にわたって十分に安定した、歯科用合金とプラスチックベニアの結合を維持できないことが、しばしば証明されている。
【0005】
過去において、金属とプラスチック材料の結合を作るための歯科医療における慣例的な方法は、たとえば、ビーズまたはラティスを金属に適用することによって得られるような、機械的維持装置を使用することであった。そのようなシステムの不利な点は、第1に、常に、端部領域で金属とプラスチックベニアの間に空隙を生じる、純粋に機械的な結合であり、第2に、後の被覆時の視覚的外観の点で重大な問題を生じる、維持装置に必要な付加的な空間である。
【0006】
機械的維持装置を用いない、以前の解決策は、寿命が不十分な結合をもたらすか、歯科実験室では受入れられないことが多い、高レベルの装置が必要である。
【0007】
近年、歯科用合金に対して、接着性が強く、水分安定性であり、空隙のない、歯科用プラスチックの結合を得るための多数の方法が提案されている。提案された方法の多くの基本原則は、第1の工程で、被覆する金属表面にシリケート層を適用し(シリケート化)、さらなる工程で、その表面に官能アルコキシシランを提供し(シラン化)、官能アルコキシシランが、金属表面に適用された無機シリケート層とベニアに使用されるプラスチックの結合要素として作用する。これは、縮合反応との関連において官能アルコキシシランのOH基がシリケート層の表面上に存在するOH基に共有結合され、一方で、官能アルコキシシラン中に存在するさらなる官能基が、共有結合の形成と同様に、ベニアに使用されるプラスチックと反応できることによって達成される。
【0008】
たとえば、(特許文献1)は、金属歯科補綴物をコーティングする装置と、そのような装置を操作する方法を記載しており、炎加水分解バーナーを用いて、酸化ケイ素を含有する接着剤層で金属歯科補綴物をコーティングし、炎加水分解バーナーを歯科補綴物から最大距離50mmの位置に配置する。炎加水分解バーナーに、集合の気体状態における加水分解可能なケイ素化合物の測定量を供給する。記載された方法の問題は、非常に大量の装置が必要であり、さらに、金属とベニアの結合の接着強度に関して不利が生じることである。
【0009】
(特許文献2)は、ケイ素含有材料を用いてケイ素含有層を適用することによって、プラスチックに結合するための金属表面を調製する方法を記載している。その方法では、粒径が<1μmの任意にシラン化される非晶質ケイ素含有材料0.1から30重量%を含有する媒体と、残りとして平均粒径が>1μmのコランダムブラスト媒体を用いたコランダムブラストによって、金属表面に層を適用し、次に、その層を任意にシラン化する。しかし、そのような表面上に作られた結合の接着強度は、必ずしも十分に満足のいくものではない。
【0010】
(特許文献3)は、高周波マグネトロンスパッタリング装置を使用する、金属歯科補綴物に二酸化ケイ素層を適用する方法を開示している。記載された方法を実施するのに必要な大量の装置に加えて、得られる金属高分子複合体が、十分な接着値を示さないことが多いという不利な点がある。
【0011】
(特許文献4)は、シリケート/酸化クロム層を、ゾル/ゲル溶液を用いて歯科用合金の表面に適用し、その後の熱処理プロセスによって凝固させる、金属/プラスチック複合体の製造方法を記載している。
【0012】
高周波マグネトロンスパッタリング装置、炎加水分解バーナー、およびゾル/ゲル方法を用いる記載された方法の場合は特に、合金表面に対して、接着性の強い、結合層の結合を得るために、約300℃の温度が必要である。しかし、多数の金属合金に対して、そのような高温は悪影響を及ぼす。たとえば、銅含有量が5%を越える金属合金の場合、そのような熱ストレスにより、合金の表面における解離が引起こされる。しかし、これにより、変色が生じ、プラスチックベニアに関して接着力が低下することが多い。
【0013】
(特許文献5)の要約書は、ビニルベンジル−アミノ−トリアジンジチオール、たとえば、(10−アクリロイルオキシデシルオキシ)−S−トリアジン−4,6−ジチオールを含有するプライマーを、合金表面に直接塗布する方法に関連する。
【0014】
(特許文献6)は、重合可能なモノマーを少なくとも0.001重量%含有する、金属表面を処理する手段を記載している。それの重合可能なモノマーは、チオフェンカルボン酸エステル基を有し、さらなる重合可能なモノマーは、リン酸エステル基を有する。これらのモノマーを有機溶媒に溶解する。
【0015】
最後に挙げた2つの明細書に記載されている方法の不利な点は、記載された物質のいくつかが不安定であることである。さらに、上記化合物の助けにより作られた金属高分子複合体は、加水分解および酸化に、より影響されやすいことをしばしば示す。さらに、記載された化合物は、製造に費用がかかる。
【0016】
【特許文献1】
DE−C1 34 03 894
【特許文献2】
DE−C1 38 02 043
【特許文献3】
米国特許第4,364,731号明細書
【特許文献4】
DD−A1 276 453
【特許文献5】
JP62292774
【特許文献6】
DE−A1 198 57 367
【特許文献7】
米国特許第3 971 754号明細書
【特許文献8】
EP−A−0 238 025
【特許文献9】
WO 01/92271
【特許文献10】
DE−A 43 28 960
【特許文献11】
米国特許第3 066 112号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
したがって、先行技術の不利な点を回避する、上記の状態において安定している金属高分子複合体の製造のための手段および方法の必要があった。
【0018】
したがって、本発明は、大量の装置の必要を回避しながら、加水分解安定性であり、接着性の強い金属高分子複合体を作ることができる手段を提供するという課題に基づいた。さらに、本発明は、加水分解安定性であり、接着性の強い金属高分子複合体を作ることができ、また、通常生じる周囲の状態において安定している手段を提供するという課題に基づいた。
【0019】
本発明は、また、大量の装置を必要としないで、加水分解安定性であり、接着性の強い金属高分子複合体をもたらす金属高分子複合体を製造する方法を提供するという課題に基づいた。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の根底にある課題は、次の本文でより詳細に説明される手段および方法によって解決される。したがって、本発明は、少なくとも1つのエチレン不飽和(ethylenically unsaturated)基を有するアルコキシシラン、および少なくとも1つのメルカプト基を有する少なくとも1つのアルコキシシラン、またはその縮合物、ならびに少なくとも1つの有機溶媒を少なくとも含む、金属高分子複合体用接着剤に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本文の文脈における「接着剤」という用語は、金属表面と、そのような金属表面に結合されたポリマー層の接着を向上させる組成物を意味することが理解される。「向上させる」という用語は、接着剤を用いない場合と、接着剤を用いた場合の、金属表面とポリマー層の接着の比較に関連する。
【0022】
本発明との関連における「金属高分子複合体」という用語は、少なくとも1つのポリマー表面に対して接着性の強い結合を有する少なくとも1つの金属表面を有する物品を意味することが理解される。「接着性の強い」という用語は、金属表面とポリマー表面の間で接着力が作用する状態に関連する。
【0023】
本発明の好ましい実施の形態の範囲内で、本文の文脈で述べられる「金属高分子複合体」は、歯科医療において使用できる複合体である。
【0024】
本発明に従う接着剤は、原則的に、いかなる金属に対してもポリマーの接着を向上させるのに適している。適切な金属の例は、元素の周期表の主族IIおよびIII、ならびに亜族I、IV、V、VI、VII、およびVIIIの金属である。また、本発明の範囲内の金属高分子複合体の成分として適しているのは、対応する、2以上の前記金属の合金である。
【0025】
適切な金属の例としては、Au、Ag、Pt、Pd、In、Cr、Co、Ti、Al、Mg、Mo、Fe、Ni、Cu、Zn、およびSnがある。
【0026】
本発明のさらなる実施の形態の範囲内で、使用する金属は、金属合金、たとえば、いわゆる歯科用合金として市販されている金属化合物であってもよい。適切な合金は、たとえば、金属Au、Ag、Pd、Pt、Zn、In、Cu、Ti、Co、およびCrの2つ以上の混合物を含む。特に適切な金属合金は、たとえば、金含有量が約50重量%を越える、たとえば、約60重量%、70重量%、または80重量%を越える金属合金であり、そのような合金は、また、銅含有量が約1重量%を越える、たとえば、約2重量%から約12重量%であることが、しばしば、可能である。また、適しているのは、たとえば、CoもしくはCrまたは両方の含有量が高い合金、たとえば、Co/Cr合金である。
【0027】
特に適切な金属合金の例は、アルバボンド(Albabond)(登録商標)(製造会社:ヘレウス(Heraeus))、メインボンド(Mainbond)(登録商標)EH(製造会社:ヘレウス)、ガルヴァノゴールド(Galvanogold)(登録商標)(製造会社:ウィーランド(Wieland))、デグノーム(Degunorm)(製造会社:デグサ(Degussa))、ウィロボンド(Wirobond)C(製造会社:BEGO)、およびウィロン(Wiron)88(製造会社:BEGO)という名で得られる金属合金である。
【0028】
原則的に、本発明に従う接着剤は、実質的にいかなる金属ベースに対しても、金属表面に対するプラスチックベニアの接着特性の著しい向上をもたらすことが、本発明の範囲内でわかっている。しかし、本発明に従う接着剤を、金属ベース中に錯体形成が可能な金属の含有量を有する金属または金属合金、たとえば、貴金属または貴金属含有合金に対して使用する場合が、本発明の範囲内で、好ましい。特に適切な合金は、たとえば、金属Au、Ag、Pd、Pt、Co、Cr、Mo、およびNiの少なくとも1つ、または2以上のこれらの金属の混合物を含む。
【0029】
金属ベースは、原則的に、実質的にいかなる形状であってもよく、原則的に、実質的にいかなる表面構造を有してもよい。しかし、金属ベースが、修復および補綴治療方法におけるような、歯科医療との関連において知られている形状の範囲から選ばれる形状である場合が、本発明の範囲内で、好ましい。
【0030】
本発明に従う接着剤は、金属高分子複合体の製造に使用される。その際、上記金属ベースにポリマー層が設けられ(被覆され)、金属ベースが、そのポリマー層に対してできるだけ強い接着を示すはずである。
【0031】
本文の文脈において説明される金属高分子複合体で遭遇するようなポリマー層は、フリーラジカル重合によって調製できるような、ポリマーまたは2以上のポリマーの混合物である。「フリーラジカル重合によって調製できる」という表現は、本文の文脈において、金属高分子複合体中に最終的に存在するポリマーが、少なくとも最後の工程でフリーラジカル重合によって重合されていることを意味すると理解される。これは、ポリマーが、分子量を増加させるいくつかの他の方法によって、たとえば、重付加または重縮合によって生成された結合を、ポリマー骨格もしくは任意の側鎖に、または両方に含有することの障害にはならない。
【0032】
本発明の範囲内で金属高分子複合体の成分として示されるポリマーは、好ましくは、分子量の最後の増加が、金属ベース、または金属ベース上に配置された接着剤と接触して起こったポリマーであり、接着剤は、以下でより詳細に説明される。本発明のさらに好ましい実施の形態の範囲内で、本発明との関連において金属高分子複合体の成分として示されるポリマーは、分子量の最後の増加が、フリーラジカル重合可能化合物、特に、いわゆるプレポリマーまたはマクロモノマーのフリーラジカル重合によって起こったポリマーである。
【0033】
適切なプレポリマーおよびマクロモノマーの例は、少なくとも1つ、好ましくは、少なくとも2つのオレフィン不飽和(olefinically unsaturated)二重結合を有する化合物である。特に適しているのは、対応する二官能化合物と、アクリル酸もしくはメタクリル酸、または他の適切な、少なくとも1つのオレフィン不飽和二重結合を有する化合物の反応によって得ることができる化合物である。
【0034】
本発明の範囲内で説明されるポリマーの調製に適している化合物の例は、エステルアクリレートもしくはエステルメタクリレート、またはその混合物である。エステルアクリレートもしくはエステルメタクリレートは、たとえば、縮合または付加による、アクリル酸またはメタクリル酸と、少なくとも1つのOH基または少なくとも1つのエポキシ基を有する化合物の反応によって得られる。適切な、少なくとも1つのOH基を有する化合物は、原則的に、任意の単官能または多官能アルコールであり、好ましくは、2以上、たとえば、2から6、特に、2または3のOH基を有するアルコールである。適切なアルコールは、脂肪族もしくは芳香族の性質であってもよく、または両方のビルディングブロックを含有してもよい。
【0035】
一般に適切な単官能および多官能(メタ)アクリレートモノマーがあり、「(メタ)アクリレート」という用語は、アクリル酸をベースとした化合物およびメタクリル酸をベースとした化合物の両方を意味する。その種類の化合物の典型的なもの(たとえば、特許文献10に記載されている)は、シクロアルキル(メタ)アクリレート、アラルキル(メタ)アクリレート、および2−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを含むアルキル(メタ)アクリレートであり、たとえば、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、ブチルグリコールメタクリレート、アセチルグリコールメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、2−フェニルエチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、およびヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートである。また、特許文献11から知られているビスフェノールAおよびグリシジルメタクリレートをベースとした長鎖モノマー、またはイソシアナートを加えることによって形成される、その誘導体(ウレタンメタクリレート)を使用することが可能である。
【0036】
また、適しているのは、ビスフェノールAジエチルオキシ(メタ)アクリレートおよびビスフェノールAジプロピルオキシ(メタ)アクリレートタイプの化合物である。また、オリゴエトキシル化された(oligoethoxylated)およびオリゴプロポキシル化された(oligopropoxylated)ビスフェノールAジアクリル酸エステル、ならびにオリゴエトキシル化されたおよびオリゴプロポキシル化されたビスフェノールAジメタクリル酸エステルを使用することが可能である。また、非常に適しているのは、DE−C 28 16 823に記載されているビス(ヒドロキシメチル)−トリシクロ[5.2.1.026]デカンのジアクリル酸エステルおよびジメタクリル酸エステル、ならびに1から3のエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシド単位だけ拡張されているビス(ヒドロキシメチル)−トリシクロ[5.2.1.026]デカンの化合物のジアクリル酸エステルおよびジメタクリル酸エステルである。
【0037】
対応するエステルアクリレートまたはエステルメタクリレートの調製は、一般に、当業者に知られている。
【0038】
また、プレポリマーとして適しているのは、たとえば、すでに上で説明した、多官能ウレタンメタクリレートまたは多官能ウレタンアクリレートである。
【0039】
ウレタンメタクリレートは、ポリイソシアナートと、OH官能アクリレートまたはメタクリレート、たとえば、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、またはヒドロキシプロピルメタクリレートなどの反応によって得られる。使用するポリイソシアナートがジイソシアナートである場合、得られる生成物はウレタンジメタクリレートであり、OH官能アクリレートを使用する場合、類似して、二官能アクリレートが得られる。
【0040】
ウレタンメタクリレートまたはウレタンアクリレートは、優れた材料特性、たとえば、高い剛性、または低い吸水性を有する。また、オレフィン不飽和二重結合に関して、トリイソシアナートまたはより高い官能性のポリイソシアナートと、OH官能アクリレートまたはメタクリレートの組合せから調製されたモノマー、たとえば、3以上の官能性を有するウレタンメタクリレートまたはウレタンアクリレートなどの使用が可能である。
【0041】
適切なプレポリマーまたはマクロモノマーの粘性は、20℃の温度で、103から5×104mPas、特に1×104mPas(レオストレス(Rheo Stress)RS 100、ハーケ(Haake)によって測定される)であり、なぜなら、それらの化合物を対応する金属高分子複合体の調製に使用すると、プレポリマーまたはマクロモノマーを希釈しなくても、良好な粘稠度が得られるからである。
【0042】
適切なプレポリマーまたはマクロモノマーの分子量は、約400から約2500g/mol、たとえば、約450から約1000g/mol、または約500から約800g/molである。
【0043】
対応するポリマーの調製に適している組成物は、また、上記の成分を含むことに加えて、1以上の反応性希釈剤を含んでもよい。本文の文脈における「反応性希釈剤」という用語は、重縮合に使用する組成物用の溶媒または希釈剤として作用し、したがって、組成物の粘性を低減するが、また、組成物の重合時、たとえば、光重合時に重合してポリマーマトリックスになる化合物を意味すると理解されるべきである。その目的で、適切な、たとえば、さらなるモノメタクリレート、ジメタクリレート、およびトリメタクリレートがある。
【0044】
たとえば、ジメタクリレートコモノマー、たとえば、トリエチレングリコールジメタクリレート(「TEGDM」)、エチレングリコールジメタクリレート、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロピルトリメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、および1,3−ブタンジオールジメタクリレートなどが、重合させる組成物の付加的な成分として適している。
【0045】
さらに、重合に使用するポリマー組成物は、さらなる成分、たとえば、充填剤、光開始剤系、および着色顔料を含んでもよい。
【0046】
充填剤として、一般に、無機充填剤を使用することが可能である。例として、石英、粉末ガラス、シリカゲル、また、火成ケイ酸および沈殿ケイ酸ならびにその細粒を挙げてもよい。また、少なくともある程度、X線を通さない充填剤を使用することが好ましい。それらは、たとえば、X線を通さないガラス、すなわち、たとえば、ストロンチウム、バリウム、もしくはランタンを含むガラス(たとえば、(特許文献7)による)であってもよく、または、充填剤材料のいくつかは、X線を通さない添加剤、たとえば、三フッ化イットリウム、ストロンチウムヘキサフルオロジルコネート、もしくは希土類金属のフッ化物(たとえば、(特許文献8)による)からなる。より良好にポリマーマトリックスへ組入れるために、無機充填剤を疎水性にすることが有利である。したがって、適切な充填剤は、疎水性にされていてもよく、たとえば、シラン化されていてもよい。シラン化された充填剤を使用すると、極性を低減することによって湿潤性を高めることに加えて、化学結合によりポリマーマトリックスとなることも可能である。そのような充填剤は、付加的な架橋剤として作用し、剛性を高める。
【0047】
慣例的な疎水剤は、シランであり、たとえば、トリメトキシメタクリロイルオキシプロピルシランおよびトリメトキシグリシジルシランである。
【0048】
適切な充填剤材料は、好ましくは、平均粒子分布が、<約2μm、特に、<約0.5μmであり、粒子上限が、約15μm、好ましくは、約7μm、特に、約2.5μmである。
【0049】
特に好ましいのは、平均粒径が0.02から0.06μmの充填剤5から25重量%と、平均粒径が1から5μmの充填剤65から85重量%の混合物である。
【0050】
本文の文脈において金属高分子複合体の成分として記載されたポリマー層を、いわゆる「乳白剤」として使用する場合、ポリマー層の調製に使用するポリマー組成物は、充填剤として、たとえば、被覆力が特に良好な顔料、特に、二酸化チタンを含んでもよい。
【0051】
重合を開始する開始剤として、一定の期間内にフリーラジカルを形成できる系を使用することが好ましい。1成分組成物の場合、その目的で使用する光開始剤は、UVまたは可視光の照射によって重合反応を開始できるものである。重合向けのポリマー組成物は、光開始剤として、たとえば、個別の適切な光開始剤を含んでもよいが、重合に使用するポリマー組成物が、光開始剤および共開始剤(co−initiators)を含む開始剤系を含むことが、同様に可能である。
【0052】
そのような光開始剤の例は、ベンゾインアルキルエーテル、ベンジルケタール、アシルホスフィンオキシド、ならびに脂肪族および芳香族1,2−ジケトン化合物、たとえば、カンフルキノンであり、それは、活性剤、たとえば、第三級アミンまたは有機ホスファイトを加えることによって、それ自体知られている態様で光重合を促進することが可能である。
【0053】
レドックス機構によって重合を開始するための適切な開始剤系は、たとえば、過酸化物/アミン系または過酸化物/バルビツル酸誘導体系などである。そのような開始剤系を使用する場合、開始剤(たとえば、過酸化物)および触媒成分(たとえば、アミン)を別々に保存することが有利である。そして、2つの成分を、使用するすぐ前に、共に均一に混合する。
【0054】
適切なアジュバントは、たとえば、歯科医療において慣例的に使用される安定剤、顔料、または希釈剤であってもよい。
【0055】
重合向けの組成物の調製は、好ましくは、液体成分を共に混合し、攪拌によって開始剤(それらが液体でない限り)をそれに組入れ、次に、充填剤を加えることによって行われる。良好な均一化は、たとえば、混練によって得ることができる。
【0056】
レドックス機構によって硬化する、重合に適している2成分組成物は、レドックス開始系の不可欠な成分を、各々、2成分調製物の部分に別々に組入れるようにして調製される。調製物全体の成分の分配は、それぞれの保存安定性と所望の混合比によって支配される。
【0057】
重合可能な組成物は、高い充填剤含有量によって区別され、したがって、同時に良好な処理可能性と組合された、関連する高い強度によって区別される。
【0058】
重合可能な組成物は、管状バッグ、単室もしくは多室カートリッジ、または単室もしくは多室カプセル、および他の適用ユニット、たとえば、歯科医療において知られているようなブリスターパックまたはシリンジなどの容器で、通常、市販されている。
【0059】
さらに適切な重合可能な組成物は、また、たとえば、(特許文献9)に記載されているようなシロキサン化合物を含んでもよい。前記明細書の開示についてはっきりと言及する。その開示のシロキサン化合物に関連する部分は、本文の開示の成分とみなされる。
【0060】
ここで説明される金属高分子複合体との関連におけるポリマー層の厚さは、広い範囲内で変わってもよい。適切なポリマー層の厚さの下限は約20μmであり、上限は約5mmである。
【0061】
本文の文脈において説明される金属高分子複合体は、本発明に従って、金属とポリマー層の接着を向上させる接着剤を用いて製造される。本発明に従う接着剤は、少なくとも1つのオレフィン不飽和二重結合を有する少なくとも1つのアルコキシシラン、および少なくとも1つのメルカプト基を有する少なくとも1つのアルコキシシラン、またはその縮合物を含む。
【0062】
本発明との関連における「アルコキシシラン」は、少なくとも1つの一般式Iの官能基を有する化合物であると理解されるべきである。
【化1】
式中、ラジカルR1からR6の各々は、他のものとは独立して、1から約24までの炭素原子を有する、線状もしくは分岐状、飽和もしくは不飽和炭化水素ラジカル、4から約24までの炭素原子を有する飽和もしくは不飽和シクロアルキルラジカル、または6から約24の炭素原子を有するアリールラジカルであり、n、m、およびjは、各々、0から3の整数であり、m+n+jの合計は3であり、aは0から3の整数であり、bは0から2の整数であり、cは0から8の数であり、Zは、少なくとも1つのオレフィン不飽和二重結合、もしくは少なくとも1つのメルカプト基、または少なくとも1つのオレフィン不飽和二重結合および少なくとも1つのメルカプト基を保持するラジカルである。
【0063】
本発明の好ましい実施の形態の範囲内で、n、j、およびcは、各々、0であり、mは3であり、ラジカルR3は、互いに独立して、CH3またはCH3−CH2である。
【0064】
本発明の範囲内での使用に適しており、「アルコキシシラン」と示された化合物は、1つの一般式Iのアルコキシシリル基、または複数の一般式Iのアルコキシシリル基を有してもよい。本発明の好ましい実施の形態の範囲内で、アルコキシシランと示された化合物は、1または2の一般式Iのアルコキシシリル基を有し、好ましくは、1つの一般式Iのアルコキシシリル基を有する。
【0065】
本発明に従う接着剤は、少なくとも1つのアルコキシシリル基と、少なくとも1つのオレフィン不飽和二重結合を保持するラジカルZとを有する、少なくとも1つの化合物を含む。ラジカルZは、少なくとも1つのオレフィン不飽和二重結合を保持していれば、実質的に所望通り選択することができる。
【0066】
適切な化合物の例は、炭素鎖によってSi原子に直接結合されたオレフィン不飽和二重結合を保持する化合物、たとえば、ビニルトリメトキシシランまたはビニルトリエトキシシランである。
【0067】
しかし、ラジカルZは、たとえば、少なくとも1つのアクリロイル基またはメタクリロイル基を保持するラジカルであってもよい。適切なラジカルZは、たとえば、アクリロイルオキシエチル、アクリロイルオキシプロピル、アクリロイルオキシブチル、アクリロイルオキシペンチル、もしくはアクリロイルオキシヘキシルラジカル、または6を越える炭素原子、たとえば、7から20、もしくは8から14の炭素原子を有するアクリロイルオキシアルキルラジカル、または対応するメタクリロイル化合物である。アクリロイル−またはメタクリロイル−オキシアルキルラジカルは、線状または分岐状であってもよいが、好ましくは、線状である。
【0068】
本発明に従って特に適している、少なくとも1つのオレフィン不飽和二重結合を有するアルコキシシランは、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、トリメトキシシリルエチル(メタ)アクリレート、トリエトキシシリルエチル(メタ)アクリレート、エトキシジメトキシシリルエチル(メタ)アクリレート、メトキシジエトキシシリルエチル(メタ)アクリレート、トリメトキシシリルプロピル(メタ)アクリレート、トリエトキシシリルプロピル(メタ)アクリレート、エトキシジメトキシシリルプロピル(メタ)アクリレート、メトキシジエトキシシリルプロピル(メタ)アクリレート、トリメトキシシリルブチル(メタ)アクリレート、トリエトキシシリルブチル(メタ)アクリレート、エトキシジメトキシシリルブチル(メタ)アクリレート、メトキシジエトキシシリルブチル(メタ)アクリレート、トリメトキシシリルペンチル(メタ)アクリレート、トリエトキシシリルペンチル(メタ)アクリレート、エトキシジメトキシシリルペンチル(メタ)アクリレート、メトキシジエトキシシリルペンチル(メタ)アクリレート、トリメトキシシリルヘキシル(メタ)アクリレート、トリエトキシシリルヘキシル(メタ)アクリレート、エトキシジメトキシシリルヘキシル(メタ)アクリレート、およびメトキシジエトキシシリルヘキシル(メタ)アクリレート、またはその2つ以上の混合物である。
【0069】
少なくとも1つのオレフィン不飽和二重結合を有するアルコキシシランを含むことに加えて、本発明に従う接着剤は、また、少なくとも1つのメルカプト基を有する少なくとも1つのアルコキシシランを含む。適切な、メルカプト基を保持するアルコキシシランは、同様に、一般式Iに従い、ラジカルZは、少なくとも1つのメルカプト基を保持する。
【0070】
したがって、適切な化合物の例は、炭素鎖によってSi原子に結合されたメルカプト基を保持する化合物、たとえば、メルカプトエチルトリメトキシシラン、メルカプトエチルトリエトキシシラン、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリエトキシシラン、メルカプトブチルトリメトキシシラン、メルカプトブチルトリエトキシシラン、メルカプトペンチルトリメトキシシラン、メルカプトペンチルトリエトキシシラン、または、アルキレンラジカル中に、約20までの炭素原子、たとえば、約6から約12の炭素原子を有する、対応するより高い同族体である。
【0071】
本発明の範囲内で、本発明に従う接着剤の成分として特に適しているのは、メルカプトプロピルトリメトキシシランおよびメルカプトプロピルトリエトキシシラン、またはその混合物である。
【0072】
本発明に従う接着剤は、上記の2つの成分、すなわち、少なくとも1つのオレフィン不飽和二重結合を有するアルコキシシラン、および少なくとも1つのメルカプト基を有するアルコキシシランを、接着剤全体に基づいて、全量約70重量%まで、たとえば、約0.1から約10重量%、または約0.2から約5重量%、たとえば、約0.4から約3重量%、または約0.7から約2重量%の量を含む。
【0073】
少なくとも1つのオレフィン不飽和二重結合を有するアルコキシシランと少なくとも1つのメルカプト基を有するアルコキシシランの比は、約1:10から約10:1、特に、約1:2から約2:1、または約1:1.2から約1.2:1である。
【0074】
また、本発明に従う接着剤中に必然的に存在する2つの成分が、上記の単分子の形態ではなく、縮合物の形態で、接着剤に含有されることが、本発明の範囲内で可能であり、また、本発明において提供される。これは、特に、本発明に従う接着剤が、上記の2種類の化合物を含むことに加えて、接着剤に含有されるアルコキシシリル基を有する化合物の縮合を開始または促進する、少なくとも1つのさらなる化合物をも含む場合である。そのような場合、接着剤に含有されるアルコキシシリル基を有する化合物の、少なくとも部分的な縮合であってもよい。しかし、これは、本発明に従う接着剤の有効性に影響を及ぼさない。
【0075】
上記のアルコキシシリル基を有する2種類の化合物に加えて、本発明に従う接着剤は、また、少なくとも1つの有機溶媒を含む。適切な有機溶媒は、原則的に、本発明に従う接着剤に含有される化合物を溶解し、接着剤を金属表面に塗布した後、十分迅速に蒸発する任意の溶媒である。沸点が約100℃未満である溶媒が好ましい。適切な溶媒は、たとえば、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルアセテート、およびエチルアセテート、またはその2つ以上の混合物である。
【0076】
適切な溶媒の水含有量は、約1重量%未満であり、特に、約0.5重量%未満または約0.1重量%未満である。
【0077】
本発明に従う接着剤中の溶媒または溶媒混合物の含有量は、接着剤全体に基づいて、約70から約99.9重量%、特に、約85から約99.5重量%である。
【0078】
上記のアルコキシシランと、有機溶媒または溶媒混合物とを含むことに加えて、本発明に従う接着剤は、また、酸を含んでもよい。適切な酸は、原則的に、無機酸、たとえば、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、または亜リン酸である。しかし、本発明の範囲内で、また、本発明に従う接着剤が、有機酸または2以上の有機酸の混合物を含むことが可能である。原則的に、適切な酸は、接着剤中で酸性作用を示す任意の有機化合物であり、特に適切な化合物は、有機カルボン酸またはホスホン酸、たとえば、酢酸、酒石酸、およびマレイン酸である。また、適しているのは、一方で、酸性作用を示し、他方で、適切な官能基によって、金属表面に適用するポリマー層に組入れることができる化合物である。そのような化合物は、本文の文脈において「酸性モノマー」と呼ぶ。
【0079】
酸性モノマーとして特に適しているのは、1以上のオレフィン不飽和二重結合を含有するリン酸エステルである。そのような化合物は、たとえば、1以上のオレフィン不飽和二重結合を有するカルボン酸またはエポキシドとの反応によって、OH基保持アルキルホスフェートから得ることができる。本発明に従う接着剤の成分として特に適しているのは、アクリル酸またはメタクリル酸と、OH基保持線状または分岐状アルキルホスフェートのエステル、たとえばアクリロイルオキシエチルホスフェート、アクリロイルオキシプロピルホスフェート、アクリロイルオキシブチルホスフェート、アクリロイルオキシペンチルホスフェート、アクリロイルオキシヘキシルホスフェート、メタクリロイルオキシエチルホスフェート、メタクリロイルオキシプロピルホスフェート、メタクリロイルオキシブチルホスフェート、メタクリロイルオキシペンチルホスフェート、メタクリロイルオキシヘキシルホスフェート、または、炭素鎖中に、20までの炭素原子、たとえば、約7から約10もしくは約12の炭素原子を有する、対応するより高い同族体、たとえば、メタクリロイルオキシデシルホスフェートである。
【0080】
本発明に従う接着剤の範囲内で、上記酸は、単独で存在してもよく、または、2以上の記載された酸の混合物として存在してもよい。
【0081】
本発明に従う接着剤が、酸または2以上の酸の混合物を含む場合、接着剤中の酸の含有量は、約0.5から約25重量%、特に、約1から約10重量%、または約2から約8重量%である。
【0082】
本発明に従う接着剤は、必要ならば、すでに説明した化合物の種類に加えて、1以上の添加剤を含んでもよい。適切な添加剤は、たとえば、架橋剤である。
【0083】
適切な架橋剤は、たとえば、2以上のオレフィン不飽和二重結合を有する化合物である。特に適しているのは、二価または多価アルコールと、本文の文脈においてすでに上で説明したアクリル酸およびメタクリル酸のエステル、たとえば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、へキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、または、芳香族多官能アルコールの(メタ)アクリレートエステル、特に、ビスフェノールAの(メタ)アクリレートエステルである。本発明に従う接着剤は、記載された架橋剤の1つを単独で含んでもよく、または、2以上の記載された架橋剤の混合物を含んでもよい。本発明に従う接着剤中の架橋剤の含有量は、約0.1から約30重量%、特に、約0.5から約20重量%、または約1から約15重量%、または約2から約20重量%である。本発明の好ましい実施の形態の範囲内で、本発明に従う接着剤は、たとえば、以下の組成を有する。
−少なくとも1つのオレフィン不飽和二重結合を有するアルコキシシラン0.1から20重量%
−メルカプト基を有するアルコキシシラン0.1から10重量%
−架橋剤0から10重量%
−酸または酸性モノマー0.1から20重量%、および
−溶媒79.8から99.7重量%
【0084】
接着剤として適している製剤は、たとえば、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン5重量%、トリメトキシシリルプロパンチオール2重量%、0.1N HCl0.5重量%、およびアセトン92.5重量%を含有する。
【0085】
本発明に従う接着剤は、すでに上で説明したように、接着剤の必要な成分および任意の成分を1つの溶液の形態で提供することができる。しかし、本発明に従う接着剤が、2以上の別々に含有された成分(溶液)を含むキットの形態で、接着促進層を合成するのに必要な化合物を提供することも、本発明の範囲内で予想される。
【0086】
接着剤が、少なくとも2つの成分AおよびBからなり、成分Aが、少なくとも1つのアルコキシシランを含み、好ましくは、接着剤に含有されるアルコキシシランを全て含み、成分Bが、酸または酸性モノマーを含む場合が、原則的に、満足のいくものであることがわかっている。
【0087】
したがって、本発明は、また、接着剤であって、少なくとも、2つの別々に含有された成分AおよびBを含み、
a)成分Aが、少なくとも1つのオレフィン不飽和二重結合を有する少なくとも1つのアルコキシシラン、および少なくとも1つのメルカプト基を有する少なくとも1つのアルコキシシラン、またはその縮合物を含み、
b)成分Bが、少なくとも1つの酸、もしくは少なくとも1つの酸性モノマー、またはその2つ以上の混合物を含む、
接着剤に関する。
【0088】
本発明との関連における「別々に含有された」という表現は、本発明に従う多成分接着剤に属する化合物が、互いに物理的に隔てられており、そのため、個別の成分を共に混合することができない状態を網羅する。これは、たとえば、物理的に別々の容器での保存、たとえば、複数のビンでの保存を意味することができる。しかし、たとえば、仕切りによって互いに隔てられた異なった室を有する1つの容器に、異なった成分を保存することも可能であり、本発明に従う接着剤の個別の成分をそれぞれの室に保存する。
【0089】
本発明に従う多成分接着剤の供給の形態は、個別の成分を、各々、自由に利用できるようなものであってもよい。しかし、本発明に従う多成分接着剤の個別の成分を、たとえば、複数の室を有する適切な容器で、または、たとえば、適切なパッケージング、たとえば、ブリスターパックで互いに結合された別々の容器で、共に供給することも、本発明の範囲内で提供される。
【0090】
本発明の好ましい実施の形態の範囲内で、本発明に従う多成分接着剤は、2つの成分AおよびBを含み、成分Aが、本発明に従う接着剤の範囲内で存在するアルコキシシランを含み、成分Bが、酸もしくは酸性モノマーまたはその混合物を含む。
【0091】
本発明のさらに好ましい実施の形態の範囲内で、成分Aは、溶媒、または2以上の溶媒の混合物を含む。適切な溶媒は、本文において、すでに上で述べた溶媒を含む。成分A中に存在する溶媒の水含有量が、約0.1重量%未満、特に約0.05重量%未満である場合、本発明に従う接着剤の保存安定性に有利である。
【0092】
本発明のさらに好ましい実施の形態の範囲内で、適切な成分Aは、たとえば、
−オレフィン不飽和二重結合を有する少なくとも1つのアルコキシシラン約0.5から約30重量%
−少なくとも1つのメルカプト基を有する少なくとも1つのアルコキシシラン約0.5から約20重量%、および
−溶媒または溶媒混合物約50から約99重量%
を含む。
【0093】
本発明に従う接着剤の成分Bとして適している対応する組成物は、少なくとも1つの酸、または酸性モノマーを含む。本発明の好ましい実施の形態の範囲内で、成分Bとして適している組成物は、また、少なくとも1つの溶媒を含む。適切な成分Bは、たとえば、以下の組成を有することができる。
−酸または酸性モノマー約0.5から約50重量%、特に約5から約40重量%、および
−溶媒または溶媒混合物約50から約99.5重量%、特に約60から約80重量%
【0094】
本発明との関連において説明される接着剤は、金属高分子複合体の製造に適している。
【0095】
それは、原則的に、本発明に従う接着剤を金属表面に提供することによって行われる。したがって、本発明は、また、本発明に従う接着剤を金属表面に提供する、金属表面を処理する方法に関する。
【0096】
本発明に従う方法は、方法が完了したとき、本発明に従う接着剤の層が金属表面上に存在するのであれば、原則的に、いかなる態様で実施してもよい。たとえば、本発明に従う方法の範囲内で、1成分接着剤を使用する場合、1以上の操作で接着剤を金属表面に塗布することによって、本発明に従う方法を実施することができる。塗布は、好ましくは、1つの操作で行われる。
【0097】
塗布については、原則的に、接着剤の十分に厚い層を金属表面に塗布できる、適切な任意の塗布方法がある。適切な塗布方法は、たとえば、ブラシ塗布、ローラ塗布、ナイフ塗布、および噴霧である。本発明の好ましい実施の形態の範囲内で、ブラシを用いて本発明に従う接着剤を金属表面に塗布する。接着剤を金属表面に塗布した後、好ましくは、接着剤に含有された溶媒が、本質的に大部分蒸発するまで、すなわち、もともと存在した溶媒が、わずかに最大約5重量%、好ましくは約1重量%未満しか、接着剤層中に残らないようになるまで、期間を経過させる。
【0098】
本発明に従う多成分接着剤で金属表面を処理する場合、さまざまなプロセス工程が適している。たとえば、金属表面を、最初に成分Aで処理し、次に成分Bで処理することができる。しかし、逆の手順も可能であり、すなわち、金属表面を、最初に成分Bで処理し、その後でのみ成分Aで処理する。問題の成分に含有された溶媒の一部または全部を蒸発させる乾燥工程を、個別の処理工程の間に入れることができる。
【0099】
しかし、本発明の範囲内で、本発明に従う多成分接着剤での処理を、1成分接着剤の場合と実質的に同様に実施することが、同様に可能である。その目的で、金属表面に塗布する前に、多成分接着剤の個別の成分を所望の比率で共に混合し、混合物を金属表面に塗布する。
【0100】
次に、そのように処理された金属表面上で、すでに説明した金属高分子複合体を製造することができる。その目的で、本文の文脈においてすでに上で説明したような重合可能な組成物を、前処理された金属表面に塗布し、重合させる。適切な手順は、当業者に知られている。本発明の範囲内で、最後のポリマー層の塗布前に、1以上の中間工程を入れることが可能であり、たとえば、ポリマー層を塗布する前に、歯科医療において慣例的に使用され、当業者に知られているような乳白剤を、接着剤で前処理した金属表面に塗布し、重合させることが好ましいであろう。
【0101】
本発明との関連における「乳白剤」は、本質的に、金属基板の色を隠すために使用する重合可能な組成物であることが理解される。本文の文脈におけるポリマー層としてのそれの適切さに鑑み、「乳白剤」として使用するのに適しているポリマー組成物は、ここで説明される金属高分子複合体と関連して使用される「ポリマー層」という用語によって、同様に網羅される。したがって、本発明との関連において説明される金属高分子複合体は、また、本発明に従う接着剤の助けにより金属表面に塗布された乳白剤の層からなってもよい。適切な乳白剤は、当業者に知られている。
【0102】
したがって、本発明は、また、本発明の方法に従って処理した金属表面を重合可能な組成物でコーティングし、次に、重合可能な組成物を重合させる、金属高分子複合体を製造する方法に関する。
【0103】
本発明は、また、金属高分子複合体用接着剤としての、少なくとも1つのメルカプト基を有するアルコキシシランの使用、または少なくとも1つのオレフィン不飽和二重結合を有する少なくとも1つのアルコキシシラン、および少なくとも1つのメルカプト基を有する少なくとも1つのアルコキシシラン、もしくは2以上の前記化合物の混合物の縮合物を含む混合物の使用に関する。
【0104】
以下、本発明を実施例によってより詳細に説明する。
【実施例】
【0105】
以下の2成分接着剤を調製した。
接着剤1:
接着剤2:
【0106】
金属表面の処理は、最初に、適切な金属サンプル(寸法:20×10×2mm)の表面をコランダムブラストした。次に、接着剤2の成分Aを塗布した。溶媒の蒸発後、接着剤2の成分Bを塗布した。中間工程において、メタクリレートベースの乳白剤を接着剤層に塗布し、重合させた。
【0107】
その後、それにベニアプラスチックを適用した。その目的で、金属リング(直径:5mm、高さ:2mm)を、接着剤および乳白剤で前処理した金属表面に適用し、金属リングに重合させる組成物を充填した。次に、UV光を照射することによって重合を開始した。金属リングを除去すると、直径5mm、高さ2mmのプラスチックの円筒が、処理された金属表面上に残った。
【0108】
そのように製造された金属/プラスチック結合体を、蒸留水中に24時間保存し、次に、ズウィック(Zwick)1435試験機(試験機の前進速度:1mm 分−t)を用いた圧縮試験におけるせん断強度で結合強度について試験した。
【0109】
何年間かにわたる口の状態において発生する結合体へのストレス負荷をシミュレートするために、結合体のいくつかを人工的に老化させた。これは、蒸留水中での煮沸(24時間)、または温度変化ストレス(25,000の温度ストレス変化、TSC、t1=5℃、t2=55℃)によって達成した。それによって得られた結合強度を表1および表2に記載する。
【0110】
【表1】
【0111】
【表2】
【0112】
本発明に従う接着剤を用いた表面処理の有効性をさらに検査するために、2つの金属表面を本発明に従う接着剤で処理し、次に、歯科用プラスチックに接着結合した。表面処理は、すでに上で説明した手順と類似して行った。結合体の重なり長さは10mmであり、結合表面積は100mm2であった。次に、結合体を蒸留水中で24時間保存し、次に、蒸留水中で5日間煮沸した。
【0113】
表3は、2つの歯科用合金の接着結合から得られた引張せん断強度の値を示す。
【0114】
【表3】
【0115】
表1および表2による圧縮せん断強度の値により、24時間の37℃での水中保存後、本発明に従って前処理した金属表面では、コランダムブラストしただけの未処理の表面より、著しく高い結合強度が得られることがわかる。煮沸および温度変化ストレスの両方による結合体の人工的老化により、処理した表面と未処理の表面の差がさらに明確になる。未処理の結合体の結合強度が最初の強度の約50%であるのに対し、本発明に従う結合体は、結合強度の著しい低下を示さなかった。
【0116】
また、貴金属合金および非貴金属合金を含む非常に異なった組成物の歯科用合金の、本発明に従った処理により、本発明に従う接着剤の接着促進効果が、合金と無関係であることが明らかになる。
【0117】
表3に記載された結合体は、すでに説明した結合体と類似した性質を示す。未処理表面では、測定値は、同様に、煮沸によって最初の強度の約半分になるが、本発明に従う接着剤での処理後、結合強度は、非常にわずかに低下するだけである。
【産業上の利用可能性】
【0118】
したがって、本発明は、接着性が強く、水分安定性であり、耐加水分解性である結合層を合金の表面に適用できる接着剤を提供し、この層は、非常にさまざまな結合の組合せに適しているので、歯科医療での使用に限定されない。
【0119】
結合層の製造用の本発明に従う接着剤の有利な使用は、機械工学および車体組立てにおけるアルミニウムおよびマグネシウムシートのラッカーコーティングにも提供される。ラッカーコーティングまたは接着結合の耐久性は、極端な水分状態においても著しく向上する。
【0001】
本発明は、オレフィン不飽和二重結合を有するアルコキシシランと、メルカプト基を有するアルコキシシランとを含む金属高分子複合体用接着剤、その使用、およびそれにより製造された金属高分子複合体に関する。
【背景技術】
【0002】
歯科医療の分野において、審美的外観と機能性は、互いに切り離せないほど関連する。特に、歯科補綴材料の外観は、両方の要件を高度に満たさなければならない。なぜなら、一方で、歯科補綴物はもともと存在する歯科材料の機能を果たす必要があり、他方で、少なくとも、歯科補綴材料がその着用者の外観を悪化させてはならないからである。「歯科用合金」と呼ばれる金属もしくは金属合金または金属組成物は、歯科補綴材料用基材としてよく使用される。しかし、そのような金属または金属合金の色は、通常の歯の色と異なるので、口内でのその視覚的外観は、目立ち、審美的に魅力的でないと認められることが多い。
【0003】
歯科補綴物、たとえば、クラウンおよびブリッジなどの補綴金属構造物が、最適な審美的外観を有するべきであれば、そのために使用する金属または金属合金の表面に歯色のベニア、たとえば、プラスチックベニアを設ける必要がある。しかし、金属とベニアの結合は高い基準を満たさなければならない。たとえば、問題のベニアを、永続的に、空隙を伴わずに金属に結合することが特に重要である。欠陥のある結合により、ベニアが早く剥離するか、端部で空隙が形成され、プラスチックベニアの場合は特に、金属構造物の酸化の結果として端部が変色したり、ベニアと金属構造物の間の空隙領域に機械的刺激が生じたりすることがある。
【0004】
さらに、プラスチックベニアの場合のような金属/プラスチック結合体は、口腔環境における特定のストレスを受ける。そのようなストレスは、第1に、咀嚼動作中に発生するような物理機械的ストレスである。第2に、化学的または生物学的ストレスも、口腔環境において、たとえば、唾液、食物、または薬物の結果として生じる。口腔環境でまた生じる温度変化は、結合体にさらなる機械的ストレスを与える。口腔環境の極端な状態、水分および温度の恒常的変化、ならびに結合体に対する機械的ストレスの下で、被覆される金属にベニアを固定するためのこれまでに知られている種類の固着は、長い期間にわたって十分に安定した、歯科用合金とプラスチックベニアの結合を維持できないことが、しばしば証明されている。
【0005】
過去において、金属とプラスチック材料の結合を作るための歯科医療における慣例的な方法は、たとえば、ビーズまたはラティスを金属に適用することによって得られるような、機械的維持装置を使用することであった。そのようなシステムの不利な点は、第1に、常に、端部領域で金属とプラスチックベニアの間に空隙を生じる、純粋に機械的な結合であり、第2に、後の被覆時の視覚的外観の点で重大な問題を生じる、維持装置に必要な付加的な空間である。
【0006】
機械的維持装置を用いない、以前の解決策は、寿命が不十分な結合をもたらすか、歯科実験室では受入れられないことが多い、高レベルの装置が必要である。
【0007】
近年、歯科用合金に対して、接着性が強く、水分安定性であり、空隙のない、歯科用プラスチックの結合を得るための多数の方法が提案されている。提案された方法の多くの基本原則は、第1の工程で、被覆する金属表面にシリケート層を適用し(シリケート化)、さらなる工程で、その表面に官能アルコキシシランを提供し(シラン化)、官能アルコキシシランが、金属表面に適用された無機シリケート層とベニアに使用されるプラスチックの結合要素として作用する。これは、縮合反応との関連において官能アルコキシシランのOH基がシリケート層の表面上に存在するOH基に共有結合され、一方で、官能アルコキシシラン中に存在するさらなる官能基が、共有結合の形成と同様に、ベニアに使用されるプラスチックと反応できることによって達成される。
【0008】
たとえば、(特許文献1)は、金属歯科補綴物をコーティングする装置と、そのような装置を操作する方法を記載しており、炎加水分解バーナーを用いて、酸化ケイ素を含有する接着剤層で金属歯科補綴物をコーティングし、炎加水分解バーナーを歯科補綴物から最大距離50mmの位置に配置する。炎加水分解バーナーに、集合の気体状態における加水分解可能なケイ素化合物の測定量を供給する。記載された方法の問題は、非常に大量の装置が必要であり、さらに、金属とベニアの結合の接着強度に関して不利が生じることである。
【0009】
(特許文献2)は、ケイ素含有材料を用いてケイ素含有層を適用することによって、プラスチックに結合するための金属表面を調製する方法を記載している。その方法では、粒径が<1μmの任意にシラン化される非晶質ケイ素含有材料0.1から30重量%を含有する媒体と、残りとして平均粒径が>1μmのコランダムブラスト媒体を用いたコランダムブラストによって、金属表面に層を適用し、次に、その層を任意にシラン化する。しかし、そのような表面上に作られた結合の接着強度は、必ずしも十分に満足のいくものではない。
【0010】
(特許文献3)は、高周波マグネトロンスパッタリング装置を使用する、金属歯科補綴物に二酸化ケイ素層を適用する方法を開示している。記載された方法を実施するのに必要な大量の装置に加えて、得られる金属高分子複合体が、十分な接着値を示さないことが多いという不利な点がある。
【0011】
(特許文献4)は、シリケート/酸化クロム層を、ゾル/ゲル溶液を用いて歯科用合金の表面に適用し、その後の熱処理プロセスによって凝固させる、金属/プラスチック複合体の製造方法を記載している。
【0012】
高周波マグネトロンスパッタリング装置、炎加水分解バーナー、およびゾル/ゲル方法を用いる記載された方法の場合は特に、合金表面に対して、接着性の強い、結合層の結合を得るために、約300℃の温度が必要である。しかし、多数の金属合金に対して、そのような高温は悪影響を及ぼす。たとえば、銅含有量が5%を越える金属合金の場合、そのような熱ストレスにより、合金の表面における解離が引起こされる。しかし、これにより、変色が生じ、プラスチックベニアに関して接着力が低下することが多い。
【0013】
(特許文献5)の要約書は、ビニルベンジル−アミノ−トリアジンジチオール、たとえば、(10−アクリロイルオキシデシルオキシ)−S−トリアジン−4,6−ジチオールを含有するプライマーを、合金表面に直接塗布する方法に関連する。
【0014】
(特許文献6)は、重合可能なモノマーを少なくとも0.001重量%含有する、金属表面を処理する手段を記載している。それの重合可能なモノマーは、チオフェンカルボン酸エステル基を有し、さらなる重合可能なモノマーは、リン酸エステル基を有する。これらのモノマーを有機溶媒に溶解する。
【0015】
最後に挙げた2つの明細書に記載されている方法の不利な点は、記載された物質のいくつかが不安定であることである。さらに、上記化合物の助けにより作られた金属高分子複合体は、加水分解および酸化に、より影響されやすいことをしばしば示す。さらに、記載された化合物は、製造に費用がかかる。
【0016】
【特許文献1】
DE−C1 34 03 894
【特許文献2】
DE−C1 38 02 043
【特許文献3】
米国特許第4,364,731号明細書
【特許文献4】
DD−A1 276 453
【特許文献5】
JP62292774
【特許文献6】
DE−A1 198 57 367
【特許文献7】
米国特許第3 971 754号明細書
【特許文献8】
EP−A−0 238 025
【特許文献9】
WO 01/92271
【特許文献10】
DE−A 43 28 960
【特許文献11】
米国特許第3 066 112号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
したがって、先行技術の不利な点を回避する、上記の状態において安定している金属高分子複合体の製造のための手段および方法の必要があった。
【0018】
したがって、本発明は、大量の装置の必要を回避しながら、加水分解安定性であり、接着性の強い金属高分子複合体を作ることができる手段を提供するという課題に基づいた。さらに、本発明は、加水分解安定性であり、接着性の強い金属高分子複合体を作ることができ、また、通常生じる周囲の状態において安定している手段を提供するという課題に基づいた。
【0019】
本発明は、また、大量の装置を必要としないで、加水分解安定性であり、接着性の強い金属高分子複合体をもたらす金属高分子複合体を製造する方法を提供するという課題に基づいた。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の根底にある課題は、次の本文でより詳細に説明される手段および方法によって解決される。したがって、本発明は、少なくとも1つのエチレン不飽和(ethylenically unsaturated)基を有するアルコキシシラン、および少なくとも1つのメルカプト基を有する少なくとも1つのアルコキシシラン、またはその縮合物、ならびに少なくとも1つの有機溶媒を少なくとも含む、金属高分子複合体用接着剤に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本文の文脈における「接着剤」という用語は、金属表面と、そのような金属表面に結合されたポリマー層の接着を向上させる組成物を意味することが理解される。「向上させる」という用語は、接着剤を用いない場合と、接着剤を用いた場合の、金属表面とポリマー層の接着の比較に関連する。
【0022】
本発明との関連における「金属高分子複合体」という用語は、少なくとも1つのポリマー表面に対して接着性の強い結合を有する少なくとも1つの金属表面を有する物品を意味することが理解される。「接着性の強い」という用語は、金属表面とポリマー表面の間で接着力が作用する状態に関連する。
【0023】
本発明の好ましい実施の形態の範囲内で、本文の文脈で述べられる「金属高分子複合体」は、歯科医療において使用できる複合体である。
【0024】
本発明に従う接着剤は、原則的に、いかなる金属に対してもポリマーの接着を向上させるのに適している。適切な金属の例は、元素の周期表の主族IIおよびIII、ならびに亜族I、IV、V、VI、VII、およびVIIIの金属である。また、本発明の範囲内の金属高分子複合体の成分として適しているのは、対応する、2以上の前記金属の合金である。
【0025】
適切な金属の例としては、Au、Ag、Pt、Pd、In、Cr、Co、Ti、Al、Mg、Mo、Fe、Ni、Cu、Zn、およびSnがある。
【0026】
本発明のさらなる実施の形態の範囲内で、使用する金属は、金属合金、たとえば、いわゆる歯科用合金として市販されている金属化合物であってもよい。適切な合金は、たとえば、金属Au、Ag、Pd、Pt、Zn、In、Cu、Ti、Co、およびCrの2つ以上の混合物を含む。特に適切な金属合金は、たとえば、金含有量が約50重量%を越える、たとえば、約60重量%、70重量%、または80重量%を越える金属合金であり、そのような合金は、また、銅含有量が約1重量%を越える、たとえば、約2重量%から約12重量%であることが、しばしば、可能である。また、適しているのは、たとえば、CoもしくはCrまたは両方の含有量が高い合金、たとえば、Co/Cr合金である。
【0027】
特に適切な金属合金の例は、アルバボンド(Albabond)(登録商標)(製造会社:ヘレウス(Heraeus))、メインボンド(Mainbond)(登録商標)EH(製造会社:ヘレウス)、ガルヴァノゴールド(Galvanogold)(登録商標)(製造会社:ウィーランド(Wieland))、デグノーム(Degunorm)(製造会社:デグサ(Degussa))、ウィロボンド(Wirobond)C(製造会社:BEGO)、およびウィロン(Wiron)88(製造会社:BEGO)という名で得られる金属合金である。
【0028】
原則的に、本発明に従う接着剤は、実質的にいかなる金属ベースに対しても、金属表面に対するプラスチックベニアの接着特性の著しい向上をもたらすことが、本発明の範囲内でわかっている。しかし、本発明に従う接着剤を、金属ベース中に錯体形成が可能な金属の含有量を有する金属または金属合金、たとえば、貴金属または貴金属含有合金に対して使用する場合が、本発明の範囲内で、好ましい。特に適切な合金は、たとえば、金属Au、Ag、Pd、Pt、Co、Cr、Mo、およびNiの少なくとも1つ、または2以上のこれらの金属の混合物を含む。
【0029】
金属ベースは、原則的に、実質的にいかなる形状であってもよく、原則的に、実質的にいかなる表面構造を有してもよい。しかし、金属ベースが、修復および補綴治療方法におけるような、歯科医療との関連において知られている形状の範囲から選ばれる形状である場合が、本発明の範囲内で、好ましい。
【0030】
本発明に従う接着剤は、金属高分子複合体の製造に使用される。その際、上記金属ベースにポリマー層が設けられ(被覆され)、金属ベースが、そのポリマー層に対してできるだけ強い接着を示すはずである。
【0031】
本文の文脈において説明される金属高分子複合体で遭遇するようなポリマー層は、フリーラジカル重合によって調製できるような、ポリマーまたは2以上のポリマーの混合物である。「フリーラジカル重合によって調製できる」という表現は、本文の文脈において、金属高分子複合体中に最終的に存在するポリマーが、少なくとも最後の工程でフリーラジカル重合によって重合されていることを意味すると理解される。これは、ポリマーが、分子量を増加させるいくつかの他の方法によって、たとえば、重付加または重縮合によって生成された結合を、ポリマー骨格もしくは任意の側鎖に、または両方に含有することの障害にはならない。
【0032】
本発明の範囲内で金属高分子複合体の成分として示されるポリマーは、好ましくは、分子量の最後の増加が、金属ベース、または金属ベース上に配置された接着剤と接触して起こったポリマーであり、接着剤は、以下でより詳細に説明される。本発明のさらに好ましい実施の形態の範囲内で、本発明との関連において金属高分子複合体の成分として示されるポリマーは、分子量の最後の増加が、フリーラジカル重合可能化合物、特に、いわゆるプレポリマーまたはマクロモノマーのフリーラジカル重合によって起こったポリマーである。
【0033】
適切なプレポリマーおよびマクロモノマーの例は、少なくとも1つ、好ましくは、少なくとも2つのオレフィン不飽和(olefinically unsaturated)二重結合を有する化合物である。特に適しているのは、対応する二官能化合物と、アクリル酸もしくはメタクリル酸、または他の適切な、少なくとも1つのオレフィン不飽和二重結合を有する化合物の反応によって得ることができる化合物である。
【0034】
本発明の範囲内で説明されるポリマーの調製に適している化合物の例は、エステルアクリレートもしくはエステルメタクリレート、またはその混合物である。エステルアクリレートもしくはエステルメタクリレートは、たとえば、縮合または付加による、アクリル酸またはメタクリル酸と、少なくとも1つのOH基または少なくとも1つのエポキシ基を有する化合物の反応によって得られる。適切な、少なくとも1つのOH基を有する化合物は、原則的に、任意の単官能または多官能アルコールであり、好ましくは、2以上、たとえば、2から6、特に、2または3のOH基を有するアルコールである。適切なアルコールは、脂肪族もしくは芳香族の性質であってもよく、または両方のビルディングブロックを含有してもよい。
【0035】
一般に適切な単官能および多官能(メタ)アクリレートモノマーがあり、「(メタ)アクリレート」という用語は、アクリル酸をベースとした化合物およびメタクリル酸をベースとした化合物の両方を意味する。その種類の化合物の典型的なもの(たとえば、特許文献10に記載されている)は、シクロアルキル(メタ)アクリレート、アラルキル(メタ)アクリレート、および2−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを含むアルキル(メタ)アクリレートであり、たとえば、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、ブチルグリコールメタクリレート、アセチルグリコールメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、2−フェニルエチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、およびヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートである。また、特許文献11から知られているビスフェノールAおよびグリシジルメタクリレートをベースとした長鎖モノマー、またはイソシアナートを加えることによって形成される、その誘導体(ウレタンメタクリレート)を使用することが可能である。
【0036】
また、適しているのは、ビスフェノールAジエチルオキシ(メタ)アクリレートおよびビスフェノールAジプロピルオキシ(メタ)アクリレートタイプの化合物である。また、オリゴエトキシル化された(oligoethoxylated)およびオリゴプロポキシル化された(oligopropoxylated)ビスフェノールAジアクリル酸エステル、ならびにオリゴエトキシル化されたおよびオリゴプロポキシル化されたビスフェノールAジメタクリル酸エステルを使用することが可能である。また、非常に適しているのは、DE−C 28 16 823に記載されているビス(ヒドロキシメチル)−トリシクロ[5.2.1.026]デカンのジアクリル酸エステルおよびジメタクリル酸エステル、ならびに1から3のエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシド単位だけ拡張されているビス(ヒドロキシメチル)−トリシクロ[5.2.1.026]デカンの化合物のジアクリル酸エステルおよびジメタクリル酸エステルである。
【0037】
対応するエステルアクリレートまたはエステルメタクリレートの調製は、一般に、当業者に知られている。
【0038】
また、プレポリマーとして適しているのは、たとえば、すでに上で説明した、多官能ウレタンメタクリレートまたは多官能ウレタンアクリレートである。
【0039】
ウレタンメタクリレートは、ポリイソシアナートと、OH官能アクリレートまたはメタクリレート、たとえば、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、またはヒドロキシプロピルメタクリレートなどの反応によって得られる。使用するポリイソシアナートがジイソシアナートである場合、得られる生成物はウレタンジメタクリレートであり、OH官能アクリレートを使用する場合、類似して、二官能アクリレートが得られる。
【0040】
ウレタンメタクリレートまたはウレタンアクリレートは、優れた材料特性、たとえば、高い剛性、または低い吸水性を有する。また、オレフィン不飽和二重結合に関して、トリイソシアナートまたはより高い官能性のポリイソシアナートと、OH官能アクリレートまたはメタクリレートの組合せから調製されたモノマー、たとえば、3以上の官能性を有するウレタンメタクリレートまたはウレタンアクリレートなどの使用が可能である。
【0041】
適切なプレポリマーまたはマクロモノマーの粘性は、20℃の温度で、103から5×104mPas、特に1×104mPas(レオストレス(Rheo Stress)RS 100、ハーケ(Haake)によって測定される)であり、なぜなら、それらの化合物を対応する金属高分子複合体の調製に使用すると、プレポリマーまたはマクロモノマーを希釈しなくても、良好な粘稠度が得られるからである。
【0042】
適切なプレポリマーまたはマクロモノマーの分子量は、約400から約2500g/mol、たとえば、約450から約1000g/mol、または約500から約800g/molである。
【0043】
対応するポリマーの調製に適している組成物は、また、上記の成分を含むことに加えて、1以上の反応性希釈剤を含んでもよい。本文の文脈における「反応性希釈剤」という用語は、重縮合に使用する組成物用の溶媒または希釈剤として作用し、したがって、組成物の粘性を低減するが、また、組成物の重合時、たとえば、光重合時に重合してポリマーマトリックスになる化合物を意味すると理解されるべきである。その目的で、適切な、たとえば、さらなるモノメタクリレート、ジメタクリレート、およびトリメタクリレートがある。
【0044】
たとえば、ジメタクリレートコモノマー、たとえば、トリエチレングリコールジメタクリレート(「TEGDM」)、エチレングリコールジメタクリレート、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロピルトリメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、および1,3−ブタンジオールジメタクリレートなどが、重合させる組成物の付加的な成分として適している。
【0045】
さらに、重合に使用するポリマー組成物は、さらなる成分、たとえば、充填剤、光開始剤系、および着色顔料を含んでもよい。
【0046】
充填剤として、一般に、無機充填剤を使用することが可能である。例として、石英、粉末ガラス、シリカゲル、また、火成ケイ酸および沈殿ケイ酸ならびにその細粒を挙げてもよい。また、少なくともある程度、X線を通さない充填剤を使用することが好ましい。それらは、たとえば、X線を通さないガラス、すなわち、たとえば、ストロンチウム、バリウム、もしくはランタンを含むガラス(たとえば、(特許文献7)による)であってもよく、または、充填剤材料のいくつかは、X線を通さない添加剤、たとえば、三フッ化イットリウム、ストロンチウムヘキサフルオロジルコネート、もしくは希土類金属のフッ化物(たとえば、(特許文献8)による)からなる。より良好にポリマーマトリックスへ組入れるために、無機充填剤を疎水性にすることが有利である。したがって、適切な充填剤は、疎水性にされていてもよく、たとえば、シラン化されていてもよい。シラン化された充填剤を使用すると、極性を低減することによって湿潤性を高めることに加えて、化学結合によりポリマーマトリックスとなることも可能である。そのような充填剤は、付加的な架橋剤として作用し、剛性を高める。
【0047】
慣例的な疎水剤は、シランであり、たとえば、トリメトキシメタクリロイルオキシプロピルシランおよびトリメトキシグリシジルシランである。
【0048】
適切な充填剤材料は、好ましくは、平均粒子分布が、<約2μm、特に、<約0.5μmであり、粒子上限が、約15μm、好ましくは、約7μm、特に、約2.5μmである。
【0049】
特に好ましいのは、平均粒径が0.02から0.06μmの充填剤5から25重量%と、平均粒径が1から5μmの充填剤65から85重量%の混合物である。
【0050】
本文の文脈において金属高分子複合体の成分として記載されたポリマー層を、いわゆる「乳白剤」として使用する場合、ポリマー層の調製に使用するポリマー組成物は、充填剤として、たとえば、被覆力が特に良好な顔料、特に、二酸化チタンを含んでもよい。
【0051】
重合を開始する開始剤として、一定の期間内にフリーラジカルを形成できる系を使用することが好ましい。1成分組成物の場合、その目的で使用する光開始剤は、UVまたは可視光の照射によって重合反応を開始できるものである。重合向けのポリマー組成物は、光開始剤として、たとえば、個別の適切な光開始剤を含んでもよいが、重合に使用するポリマー組成物が、光開始剤および共開始剤(co−initiators)を含む開始剤系を含むことが、同様に可能である。
【0052】
そのような光開始剤の例は、ベンゾインアルキルエーテル、ベンジルケタール、アシルホスフィンオキシド、ならびに脂肪族および芳香族1,2−ジケトン化合物、たとえば、カンフルキノンであり、それは、活性剤、たとえば、第三級アミンまたは有機ホスファイトを加えることによって、それ自体知られている態様で光重合を促進することが可能である。
【0053】
レドックス機構によって重合を開始するための適切な開始剤系は、たとえば、過酸化物/アミン系または過酸化物/バルビツル酸誘導体系などである。そのような開始剤系を使用する場合、開始剤(たとえば、過酸化物)および触媒成分(たとえば、アミン)を別々に保存することが有利である。そして、2つの成分を、使用するすぐ前に、共に均一に混合する。
【0054】
適切なアジュバントは、たとえば、歯科医療において慣例的に使用される安定剤、顔料、または希釈剤であってもよい。
【0055】
重合向けの組成物の調製は、好ましくは、液体成分を共に混合し、攪拌によって開始剤(それらが液体でない限り)をそれに組入れ、次に、充填剤を加えることによって行われる。良好な均一化は、たとえば、混練によって得ることができる。
【0056】
レドックス機構によって硬化する、重合に適している2成分組成物は、レドックス開始系の不可欠な成分を、各々、2成分調製物の部分に別々に組入れるようにして調製される。調製物全体の成分の分配は、それぞれの保存安定性と所望の混合比によって支配される。
【0057】
重合可能な組成物は、高い充填剤含有量によって区別され、したがって、同時に良好な処理可能性と組合された、関連する高い強度によって区別される。
【0058】
重合可能な組成物は、管状バッグ、単室もしくは多室カートリッジ、または単室もしくは多室カプセル、および他の適用ユニット、たとえば、歯科医療において知られているようなブリスターパックまたはシリンジなどの容器で、通常、市販されている。
【0059】
さらに適切な重合可能な組成物は、また、たとえば、(特許文献9)に記載されているようなシロキサン化合物を含んでもよい。前記明細書の開示についてはっきりと言及する。その開示のシロキサン化合物に関連する部分は、本文の開示の成分とみなされる。
【0060】
ここで説明される金属高分子複合体との関連におけるポリマー層の厚さは、広い範囲内で変わってもよい。適切なポリマー層の厚さの下限は約20μmであり、上限は約5mmである。
【0061】
本文の文脈において説明される金属高分子複合体は、本発明に従って、金属とポリマー層の接着を向上させる接着剤を用いて製造される。本発明に従う接着剤は、少なくとも1つのオレフィン不飽和二重結合を有する少なくとも1つのアルコキシシラン、および少なくとも1つのメルカプト基を有する少なくとも1つのアルコキシシラン、またはその縮合物を含む。
【0062】
本発明との関連における「アルコキシシラン」は、少なくとも1つの一般式Iの官能基を有する化合物であると理解されるべきである。
【化1】
式中、ラジカルR1からR6の各々は、他のものとは独立して、1から約24までの炭素原子を有する、線状もしくは分岐状、飽和もしくは不飽和炭化水素ラジカル、4から約24までの炭素原子を有する飽和もしくは不飽和シクロアルキルラジカル、または6から約24の炭素原子を有するアリールラジカルであり、n、m、およびjは、各々、0から3の整数であり、m+n+jの合計は3であり、aは0から3の整数であり、bは0から2の整数であり、cは0から8の数であり、Zは、少なくとも1つのオレフィン不飽和二重結合、もしくは少なくとも1つのメルカプト基、または少なくとも1つのオレフィン不飽和二重結合および少なくとも1つのメルカプト基を保持するラジカルである。
【0063】
本発明の好ましい実施の形態の範囲内で、n、j、およびcは、各々、0であり、mは3であり、ラジカルR3は、互いに独立して、CH3またはCH3−CH2である。
【0064】
本発明の範囲内での使用に適しており、「アルコキシシラン」と示された化合物は、1つの一般式Iのアルコキシシリル基、または複数の一般式Iのアルコキシシリル基を有してもよい。本発明の好ましい実施の形態の範囲内で、アルコキシシランと示された化合物は、1または2の一般式Iのアルコキシシリル基を有し、好ましくは、1つの一般式Iのアルコキシシリル基を有する。
【0065】
本発明に従う接着剤は、少なくとも1つのアルコキシシリル基と、少なくとも1つのオレフィン不飽和二重結合を保持するラジカルZとを有する、少なくとも1つの化合物を含む。ラジカルZは、少なくとも1つのオレフィン不飽和二重結合を保持していれば、実質的に所望通り選択することができる。
【0066】
適切な化合物の例は、炭素鎖によってSi原子に直接結合されたオレフィン不飽和二重結合を保持する化合物、たとえば、ビニルトリメトキシシランまたはビニルトリエトキシシランである。
【0067】
しかし、ラジカルZは、たとえば、少なくとも1つのアクリロイル基またはメタクリロイル基を保持するラジカルであってもよい。適切なラジカルZは、たとえば、アクリロイルオキシエチル、アクリロイルオキシプロピル、アクリロイルオキシブチル、アクリロイルオキシペンチル、もしくはアクリロイルオキシヘキシルラジカル、または6を越える炭素原子、たとえば、7から20、もしくは8から14の炭素原子を有するアクリロイルオキシアルキルラジカル、または対応するメタクリロイル化合物である。アクリロイル−またはメタクリロイル−オキシアルキルラジカルは、線状または分岐状であってもよいが、好ましくは、線状である。
【0068】
本発明に従って特に適している、少なくとも1つのオレフィン不飽和二重結合を有するアルコキシシランは、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、トリメトキシシリルエチル(メタ)アクリレート、トリエトキシシリルエチル(メタ)アクリレート、エトキシジメトキシシリルエチル(メタ)アクリレート、メトキシジエトキシシリルエチル(メタ)アクリレート、トリメトキシシリルプロピル(メタ)アクリレート、トリエトキシシリルプロピル(メタ)アクリレート、エトキシジメトキシシリルプロピル(メタ)アクリレート、メトキシジエトキシシリルプロピル(メタ)アクリレート、トリメトキシシリルブチル(メタ)アクリレート、トリエトキシシリルブチル(メタ)アクリレート、エトキシジメトキシシリルブチル(メタ)アクリレート、メトキシジエトキシシリルブチル(メタ)アクリレート、トリメトキシシリルペンチル(メタ)アクリレート、トリエトキシシリルペンチル(メタ)アクリレート、エトキシジメトキシシリルペンチル(メタ)アクリレート、メトキシジエトキシシリルペンチル(メタ)アクリレート、トリメトキシシリルヘキシル(メタ)アクリレート、トリエトキシシリルヘキシル(メタ)アクリレート、エトキシジメトキシシリルヘキシル(メタ)アクリレート、およびメトキシジエトキシシリルヘキシル(メタ)アクリレート、またはその2つ以上の混合物である。
【0069】
少なくとも1つのオレフィン不飽和二重結合を有するアルコキシシランを含むことに加えて、本発明に従う接着剤は、また、少なくとも1つのメルカプト基を有する少なくとも1つのアルコキシシランを含む。適切な、メルカプト基を保持するアルコキシシランは、同様に、一般式Iに従い、ラジカルZは、少なくとも1つのメルカプト基を保持する。
【0070】
したがって、適切な化合物の例は、炭素鎖によってSi原子に結合されたメルカプト基を保持する化合物、たとえば、メルカプトエチルトリメトキシシラン、メルカプトエチルトリエトキシシラン、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリエトキシシラン、メルカプトブチルトリメトキシシラン、メルカプトブチルトリエトキシシラン、メルカプトペンチルトリメトキシシラン、メルカプトペンチルトリエトキシシラン、または、アルキレンラジカル中に、約20までの炭素原子、たとえば、約6から約12の炭素原子を有する、対応するより高い同族体である。
【0071】
本発明の範囲内で、本発明に従う接着剤の成分として特に適しているのは、メルカプトプロピルトリメトキシシランおよびメルカプトプロピルトリエトキシシラン、またはその混合物である。
【0072】
本発明に従う接着剤は、上記の2つの成分、すなわち、少なくとも1つのオレフィン不飽和二重結合を有するアルコキシシラン、および少なくとも1つのメルカプト基を有するアルコキシシランを、接着剤全体に基づいて、全量約70重量%まで、たとえば、約0.1から約10重量%、または約0.2から約5重量%、たとえば、約0.4から約3重量%、または約0.7から約2重量%の量を含む。
【0073】
少なくとも1つのオレフィン不飽和二重結合を有するアルコキシシランと少なくとも1つのメルカプト基を有するアルコキシシランの比は、約1:10から約10:1、特に、約1:2から約2:1、または約1:1.2から約1.2:1である。
【0074】
また、本発明に従う接着剤中に必然的に存在する2つの成分が、上記の単分子の形態ではなく、縮合物の形態で、接着剤に含有されることが、本発明の範囲内で可能であり、また、本発明において提供される。これは、特に、本発明に従う接着剤が、上記の2種類の化合物を含むことに加えて、接着剤に含有されるアルコキシシリル基を有する化合物の縮合を開始または促進する、少なくとも1つのさらなる化合物をも含む場合である。そのような場合、接着剤に含有されるアルコキシシリル基を有する化合物の、少なくとも部分的な縮合であってもよい。しかし、これは、本発明に従う接着剤の有効性に影響を及ぼさない。
【0075】
上記のアルコキシシリル基を有する2種類の化合物に加えて、本発明に従う接着剤は、また、少なくとも1つの有機溶媒を含む。適切な有機溶媒は、原則的に、本発明に従う接着剤に含有される化合物を溶解し、接着剤を金属表面に塗布した後、十分迅速に蒸発する任意の溶媒である。沸点が約100℃未満である溶媒が好ましい。適切な溶媒は、たとえば、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルアセテート、およびエチルアセテート、またはその2つ以上の混合物である。
【0076】
適切な溶媒の水含有量は、約1重量%未満であり、特に、約0.5重量%未満または約0.1重量%未満である。
【0077】
本発明に従う接着剤中の溶媒または溶媒混合物の含有量は、接着剤全体に基づいて、約70から約99.9重量%、特に、約85から約99.5重量%である。
【0078】
上記のアルコキシシランと、有機溶媒または溶媒混合物とを含むことに加えて、本発明に従う接着剤は、また、酸を含んでもよい。適切な酸は、原則的に、無機酸、たとえば、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、または亜リン酸である。しかし、本発明の範囲内で、また、本発明に従う接着剤が、有機酸または2以上の有機酸の混合物を含むことが可能である。原則的に、適切な酸は、接着剤中で酸性作用を示す任意の有機化合物であり、特に適切な化合物は、有機カルボン酸またはホスホン酸、たとえば、酢酸、酒石酸、およびマレイン酸である。また、適しているのは、一方で、酸性作用を示し、他方で、適切な官能基によって、金属表面に適用するポリマー層に組入れることができる化合物である。そのような化合物は、本文の文脈において「酸性モノマー」と呼ぶ。
【0079】
酸性モノマーとして特に適しているのは、1以上のオレフィン不飽和二重結合を含有するリン酸エステルである。そのような化合物は、たとえば、1以上のオレフィン不飽和二重結合を有するカルボン酸またはエポキシドとの反応によって、OH基保持アルキルホスフェートから得ることができる。本発明に従う接着剤の成分として特に適しているのは、アクリル酸またはメタクリル酸と、OH基保持線状または分岐状アルキルホスフェートのエステル、たとえばアクリロイルオキシエチルホスフェート、アクリロイルオキシプロピルホスフェート、アクリロイルオキシブチルホスフェート、アクリロイルオキシペンチルホスフェート、アクリロイルオキシヘキシルホスフェート、メタクリロイルオキシエチルホスフェート、メタクリロイルオキシプロピルホスフェート、メタクリロイルオキシブチルホスフェート、メタクリロイルオキシペンチルホスフェート、メタクリロイルオキシヘキシルホスフェート、または、炭素鎖中に、20までの炭素原子、たとえば、約7から約10もしくは約12の炭素原子を有する、対応するより高い同族体、たとえば、メタクリロイルオキシデシルホスフェートである。
【0080】
本発明に従う接着剤の範囲内で、上記酸は、単独で存在してもよく、または、2以上の記載された酸の混合物として存在してもよい。
【0081】
本発明に従う接着剤が、酸または2以上の酸の混合物を含む場合、接着剤中の酸の含有量は、約0.5から約25重量%、特に、約1から約10重量%、または約2から約8重量%である。
【0082】
本発明に従う接着剤は、必要ならば、すでに説明した化合物の種類に加えて、1以上の添加剤を含んでもよい。適切な添加剤は、たとえば、架橋剤である。
【0083】
適切な架橋剤は、たとえば、2以上のオレフィン不飽和二重結合を有する化合物である。特に適しているのは、二価または多価アルコールと、本文の文脈においてすでに上で説明したアクリル酸およびメタクリル酸のエステル、たとえば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、へキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、または、芳香族多官能アルコールの(メタ)アクリレートエステル、特に、ビスフェノールAの(メタ)アクリレートエステルである。本発明に従う接着剤は、記載された架橋剤の1つを単独で含んでもよく、または、2以上の記載された架橋剤の混合物を含んでもよい。本発明に従う接着剤中の架橋剤の含有量は、約0.1から約30重量%、特に、約0.5から約20重量%、または約1から約15重量%、または約2から約20重量%である。本発明の好ましい実施の形態の範囲内で、本発明に従う接着剤は、たとえば、以下の組成を有する。
−少なくとも1つのオレフィン不飽和二重結合を有するアルコキシシラン0.1から20重量%
−メルカプト基を有するアルコキシシラン0.1から10重量%
−架橋剤0から10重量%
−酸または酸性モノマー0.1から20重量%、および
−溶媒79.8から99.7重量%
【0084】
接着剤として適している製剤は、たとえば、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン5重量%、トリメトキシシリルプロパンチオール2重量%、0.1N HCl0.5重量%、およびアセトン92.5重量%を含有する。
【0085】
本発明に従う接着剤は、すでに上で説明したように、接着剤の必要な成分および任意の成分を1つの溶液の形態で提供することができる。しかし、本発明に従う接着剤が、2以上の別々に含有された成分(溶液)を含むキットの形態で、接着促進層を合成するのに必要な化合物を提供することも、本発明の範囲内で予想される。
【0086】
接着剤が、少なくとも2つの成分AおよびBからなり、成分Aが、少なくとも1つのアルコキシシランを含み、好ましくは、接着剤に含有されるアルコキシシランを全て含み、成分Bが、酸または酸性モノマーを含む場合が、原則的に、満足のいくものであることがわかっている。
【0087】
したがって、本発明は、また、接着剤であって、少なくとも、2つの別々に含有された成分AおよびBを含み、
a)成分Aが、少なくとも1つのオレフィン不飽和二重結合を有する少なくとも1つのアルコキシシラン、および少なくとも1つのメルカプト基を有する少なくとも1つのアルコキシシラン、またはその縮合物を含み、
b)成分Bが、少なくとも1つの酸、もしくは少なくとも1つの酸性モノマー、またはその2つ以上の混合物を含む、
接着剤に関する。
【0088】
本発明との関連における「別々に含有された」という表現は、本発明に従う多成分接着剤に属する化合物が、互いに物理的に隔てられており、そのため、個別の成分を共に混合することができない状態を網羅する。これは、たとえば、物理的に別々の容器での保存、たとえば、複数のビンでの保存を意味することができる。しかし、たとえば、仕切りによって互いに隔てられた異なった室を有する1つの容器に、異なった成分を保存することも可能であり、本発明に従う接着剤の個別の成分をそれぞれの室に保存する。
【0089】
本発明に従う多成分接着剤の供給の形態は、個別の成分を、各々、自由に利用できるようなものであってもよい。しかし、本発明に従う多成分接着剤の個別の成分を、たとえば、複数の室を有する適切な容器で、または、たとえば、適切なパッケージング、たとえば、ブリスターパックで互いに結合された別々の容器で、共に供給することも、本発明の範囲内で提供される。
【0090】
本発明の好ましい実施の形態の範囲内で、本発明に従う多成分接着剤は、2つの成分AおよびBを含み、成分Aが、本発明に従う接着剤の範囲内で存在するアルコキシシランを含み、成分Bが、酸もしくは酸性モノマーまたはその混合物を含む。
【0091】
本発明のさらに好ましい実施の形態の範囲内で、成分Aは、溶媒、または2以上の溶媒の混合物を含む。適切な溶媒は、本文において、すでに上で述べた溶媒を含む。成分A中に存在する溶媒の水含有量が、約0.1重量%未満、特に約0.05重量%未満である場合、本発明に従う接着剤の保存安定性に有利である。
【0092】
本発明のさらに好ましい実施の形態の範囲内で、適切な成分Aは、たとえば、
−オレフィン不飽和二重結合を有する少なくとも1つのアルコキシシラン約0.5から約30重量%
−少なくとも1つのメルカプト基を有する少なくとも1つのアルコキシシラン約0.5から約20重量%、および
−溶媒または溶媒混合物約50から約99重量%
を含む。
【0093】
本発明に従う接着剤の成分Bとして適している対応する組成物は、少なくとも1つの酸、または酸性モノマーを含む。本発明の好ましい実施の形態の範囲内で、成分Bとして適している組成物は、また、少なくとも1つの溶媒を含む。適切な成分Bは、たとえば、以下の組成を有することができる。
−酸または酸性モノマー約0.5から約50重量%、特に約5から約40重量%、および
−溶媒または溶媒混合物約50から約99.5重量%、特に約60から約80重量%
【0094】
本発明との関連において説明される接着剤は、金属高分子複合体の製造に適している。
【0095】
それは、原則的に、本発明に従う接着剤を金属表面に提供することによって行われる。したがって、本発明は、また、本発明に従う接着剤を金属表面に提供する、金属表面を処理する方法に関する。
【0096】
本発明に従う方法は、方法が完了したとき、本発明に従う接着剤の層が金属表面上に存在するのであれば、原則的に、いかなる態様で実施してもよい。たとえば、本発明に従う方法の範囲内で、1成分接着剤を使用する場合、1以上の操作で接着剤を金属表面に塗布することによって、本発明に従う方法を実施することができる。塗布は、好ましくは、1つの操作で行われる。
【0097】
塗布については、原則的に、接着剤の十分に厚い層を金属表面に塗布できる、適切な任意の塗布方法がある。適切な塗布方法は、たとえば、ブラシ塗布、ローラ塗布、ナイフ塗布、および噴霧である。本発明の好ましい実施の形態の範囲内で、ブラシを用いて本発明に従う接着剤を金属表面に塗布する。接着剤を金属表面に塗布した後、好ましくは、接着剤に含有された溶媒が、本質的に大部分蒸発するまで、すなわち、もともと存在した溶媒が、わずかに最大約5重量%、好ましくは約1重量%未満しか、接着剤層中に残らないようになるまで、期間を経過させる。
【0098】
本発明に従う多成分接着剤で金属表面を処理する場合、さまざまなプロセス工程が適している。たとえば、金属表面を、最初に成分Aで処理し、次に成分Bで処理することができる。しかし、逆の手順も可能であり、すなわち、金属表面を、最初に成分Bで処理し、その後でのみ成分Aで処理する。問題の成分に含有された溶媒の一部または全部を蒸発させる乾燥工程を、個別の処理工程の間に入れることができる。
【0099】
しかし、本発明の範囲内で、本発明に従う多成分接着剤での処理を、1成分接着剤の場合と実質的に同様に実施することが、同様に可能である。その目的で、金属表面に塗布する前に、多成分接着剤の個別の成分を所望の比率で共に混合し、混合物を金属表面に塗布する。
【0100】
次に、そのように処理された金属表面上で、すでに説明した金属高分子複合体を製造することができる。その目的で、本文の文脈においてすでに上で説明したような重合可能な組成物を、前処理された金属表面に塗布し、重合させる。適切な手順は、当業者に知られている。本発明の範囲内で、最後のポリマー層の塗布前に、1以上の中間工程を入れることが可能であり、たとえば、ポリマー層を塗布する前に、歯科医療において慣例的に使用され、当業者に知られているような乳白剤を、接着剤で前処理した金属表面に塗布し、重合させることが好ましいであろう。
【0101】
本発明との関連における「乳白剤」は、本質的に、金属基板の色を隠すために使用する重合可能な組成物であることが理解される。本文の文脈におけるポリマー層としてのそれの適切さに鑑み、「乳白剤」として使用するのに適しているポリマー組成物は、ここで説明される金属高分子複合体と関連して使用される「ポリマー層」という用語によって、同様に網羅される。したがって、本発明との関連において説明される金属高分子複合体は、また、本発明に従う接着剤の助けにより金属表面に塗布された乳白剤の層からなってもよい。適切な乳白剤は、当業者に知られている。
【0102】
したがって、本発明は、また、本発明の方法に従って処理した金属表面を重合可能な組成物でコーティングし、次に、重合可能な組成物を重合させる、金属高分子複合体を製造する方法に関する。
【0103】
本発明は、また、金属高分子複合体用接着剤としての、少なくとも1つのメルカプト基を有するアルコキシシランの使用、または少なくとも1つのオレフィン不飽和二重結合を有する少なくとも1つのアルコキシシラン、および少なくとも1つのメルカプト基を有する少なくとも1つのアルコキシシラン、もしくは2以上の前記化合物の混合物の縮合物を含む混合物の使用に関する。
【0104】
以下、本発明を実施例によってより詳細に説明する。
【実施例】
【0105】
以下の2成分接着剤を調製した。
接着剤1:
接着剤2:
【0106】
金属表面の処理は、最初に、適切な金属サンプル(寸法:20×10×2mm)の表面をコランダムブラストした。次に、接着剤2の成分Aを塗布した。溶媒の蒸発後、接着剤2の成分Bを塗布した。中間工程において、メタクリレートベースの乳白剤を接着剤層に塗布し、重合させた。
【0107】
その後、それにベニアプラスチックを適用した。その目的で、金属リング(直径:5mm、高さ:2mm)を、接着剤および乳白剤で前処理した金属表面に適用し、金属リングに重合させる組成物を充填した。次に、UV光を照射することによって重合を開始した。金属リングを除去すると、直径5mm、高さ2mmのプラスチックの円筒が、処理された金属表面上に残った。
【0108】
そのように製造された金属/プラスチック結合体を、蒸留水中に24時間保存し、次に、ズウィック(Zwick)1435試験機(試験機の前進速度:1mm 分−t)を用いた圧縮試験におけるせん断強度で結合強度について試験した。
【0109】
何年間かにわたる口の状態において発生する結合体へのストレス負荷をシミュレートするために、結合体のいくつかを人工的に老化させた。これは、蒸留水中での煮沸(24時間)、または温度変化ストレス(25,000の温度ストレス変化、TSC、t1=5℃、t2=55℃)によって達成した。それによって得られた結合強度を表1および表2に記載する。
【0110】
【表1】
【0111】
【表2】
【0112】
本発明に従う接着剤を用いた表面処理の有効性をさらに検査するために、2つの金属表面を本発明に従う接着剤で処理し、次に、歯科用プラスチックに接着結合した。表面処理は、すでに上で説明した手順と類似して行った。結合体の重なり長さは10mmであり、結合表面積は100mm2であった。次に、結合体を蒸留水中で24時間保存し、次に、蒸留水中で5日間煮沸した。
【0113】
表3は、2つの歯科用合金の接着結合から得られた引張せん断強度の値を示す。
【0114】
【表3】
【0115】
表1および表2による圧縮せん断強度の値により、24時間の37℃での水中保存後、本発明に従って前処理した金属表面では、コランダムブラストしただけの未処理の表面より、著しく高い結合強度が得られることがわかる。煮沸および温度変化ストレスの両方による結合体の人工的老化により、処理した表面と未処理の表面の差がさらに明確になる。未処理の結合体の結合強度が最初の強度の約50%であるのに対し、本発明に従う結合体は、結合強度の著しい低下を示さなかった。
【0116】
また、貴金属合金および非貴金属合金を含む非常に異なった組成物の歯科用合金の、本発明に従った処理により、本発明に従う接着剤の接着促進効果が、合金と無関係であることが明らかになる。
【0117】
表3に記載された結合体は、すでに説明した結合体と類似した性質を示す。未処理表面では、測定値は、同様に、煮沸によって最初の強度の約半分になるが、本発明に従う接着剤での処理後、結合強度は、非常にわずかに低下するだけである。
【産業上の利用可能性】
【0118】
したがって、本発明は、接着性が強く、水分安定性であり、耐加水分解性である結合層を合金の表面に適用できる接着剤を提供し、この層は、非常にさまざまな結合の組合せに適しているので、歯科医療での使用に限定されない。
【0119】
結合層の製造用の本発明に従う接着剤の有利な使用は、機械工学および車体組立てにおけるアルミニウムおよびマグネシウムシートのラッカーコーティングにも提供される。ラッカーコーティングまたは接着結合の耐久性は、極端な水分状態においても著しく向上する。
Claims (14)
- 少なくとも1つのオレフィン不飽和二重結合を有するアルコキシシラン、および少なくとも1つのメルカプト基を有する少なくとも1つのアルコキシシラン、またはその縮合物、ならびに少なくとも1つの有機溶媒を少なくとも含む、金属高分子複合体用接着剤。
- 少なくとも1つのオレフィン不飽和二重結合を有するアルコキシシランとして、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリル酸トリメチルシリルオキシエチルエステル、メタクリル酸トリス−トリメチルシリルオキシシリルプロピルエステル、トリメトキシシリルプロパンチオール、およびトリエトキシシリルプロパンチオール、またはその2つ以上の混合物、もしくはその2つ以上の縮合物からなるグループから選択されるアルコキシシランを含むことを特徴とする、請求項1に記載の接着剤。
- 少なくとも1つの酸、もしくは酸性モノマー、またはその2つ以上の混合物を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の接着剤。
- 少なくとも1つのオレフィン不飽和二重結合を有する少なくとも1つの有機酸を含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の接着剤。
- 有機溶媒として、沸点が100℃未満の溶媒を含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の接着剤。
- 2つの別々に含有された成分AおよびBを少なくとも含む接着剤であって、
a)成分Aが、少なくとも1つのオレフィン不飽和二重結合を有する少なくとも1つのアルコキシシラン、および少なくとも1つのメルカプト基を有する少なくとも1つのアルコキシシラン、またはその縮合物、ならびに少なくとも1つの溶媒を含み、
b)成分Bが、少なくとも1つの酸、もしくは少なくとも1つの酸性モノマー、またはその2つ以上の混合物、および少なくとも1つの溶媒を含む、
接着剤。 - 成分Aもしくは成分Bまたは両方が、溶媒または溶媒混合物を含むことを特徴とする、請求項6に記載の接着剤。
- 成分Aが、
c) オレフィン不飽和二重結合を有する少なくとも1つのアルコキシシラン0.5重量%から30重量%と、
d) 少なくとも1つのメルカプト基を有する少なくとも1つのアルコキシシラン0.5重量%から20重量%と、
e) 溶媒または溶媒混合物50重量%から99重量%と、
を含むことを特徴とする、請求項6および7のいずれか一項に記載の接着剤。 - 成分Bが、
f) 酸または酸性モノマー0.5重量%から50重量%と、
g) 溶媒または溶媒混合物50重量%から99.5重量%と、
を含むことを特徴とする、請求項6〜8のいずれか一項に記載の接着剤。 - 請求項1〜9のいずれか一項に記載の接着剤を金属表面に提供する、金属表面を処理する方法。
- 請求項6〜9のいずれか一項に記載の接着剤を使用することを特徴とする、請求項10に記載の方法。
- 前記金属表面を最初に成分Aで処理し、次に成分Bで処理されることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
- 請求項10〜12のいずれか一項に記載の方法に従って処理した金属表面を、重合可能な組成物でコーティングし、次に、前記重合可能な組成物を重合させる、金属高分子複合体を製造する方法。
- 金属高分子複合体用接着剤としての、少なくとも1つのメルカプト基を有するアルコキシシランの使用、または少なくとも1つのオレフィン不飽和二重結合を有する少なくとも1つのアルコキシシラン、および少なくとも1つのメルカプト基を有する少なくとも1つのアルコキシシラン、もしくは2以上の前記化合物の混合物の縮合物を含む混合物の使用。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
DE10103586A DE10103586A1 (de) | 2001-01-26 | 2001-01-26 | Primer zur Bildung einer haftfesten und feuchtestabilen Legierungs-Kunststoff-Verbundschicht und Verfahren zu seiner Herstellung |
PCT/EP2002/000798 WO2002072711A1 (de) | 2001-01-26 | 2002-01-25 | Haftvermittler für metall-polymer-verbunde |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004525220A true JP2004525220A (ja) | 2004-08-19 |
Family
ID=7671878
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002571772A Pending JP2004525220A (ja) | 2001-01-26 | 2002-01-25 | 金属高分子複合体用接着剤 |
Country Status (6)
Country | Link |
---|---|
US (1) | US20040259992A1 (ja) |
EP (1) | EP1360245B1 (ja) |
JP (1) | JP2004525220A (ja) |
AT (1) | ATE271104T1 (ja) |
DE (2) | DE10103586A1 (ja) |
WO (1) | WO2002072711A1 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009142649A (ja) * | 2007-11-16 | 2009-07-02 | Heraeus Kulzer Gmbh | 光硬化型の接着性オペーク材 |
WO2022210010A1 (ja) * | 2021-03-29 | 2022-10-06 | サンメディカル株式会社 | 歯科用前処理剤 |
Families Citing this family (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US8846195B2 (en) * | 2005-07-22 | 2014-09-30 | Canon Nanotechnologies, Inc. | Ultra-thin polymeric adhesion layer |
US8808808B2 (en) * | 2005-07-22 | 2014-08-19 | Molecular Imprints, Inc. | Method for imprint lithography utilizing an adhesion primer layer |
US8557351B2 (en) | 2005-07-22 | 2013-10-15 | Molecular Imprints, Inc. | Method for adhering materials together |
US8361546B2 (en) * | 2008-10-30 | 2013-01-29 | Molecular Imprints, Inc. | Facilitating adhesion between substrate and patterned layer |
FR2947821B1 (fr) * | 2009-07-09 | 2011-09-09 | Commissariat Energie Atomique | Procede d'amelioration de l'adhesion d'un materiau reticulable par uv sur un substrat |
KR101587314B1 (ko) * | 2009-09-11 | 2016-01-20 | 헨켈 아이피 앤드 홀딩 게엠베하 | 결합 조성물 |
JP2011068620A (ja) * | 2009-09-28 | 2011-04-07 | Gc Corp | シリコーンゴム用接着剤 |
WO2011066450A2 (en) * | 2009-11-24 | 2011-06-03 | Molecular Imprints, Inc. | Adhesion layers in nanoimprint lithography |
KR100970461B1 (ko) * | 2010-02-09 | 2010-07-16 | 엘베스트지에이티 주식회사 | 유무기 하이브리드 방식 코팅제 조성물 및 그 제조방법 |
Family Cites Families (13)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US3066112A (en) * | 1959-01-30 | 1962-11-27 | Rafael L Bowen | Dental filling material comprising vinyl silane treated fused silica and a binder consisting of the reaction product of bis phenol and glycidyl acrylate |
US3971754A (en) * | 1973-12-10 | 1976-07-27 | Pennwalt Corporation | X-ray opaque, enamel-matching dental filling composition |
US4233428A (en) * | 1978-12-04 | 1980-11-11 | General Electric Company | Primer compositions for silicone rubber compositions |
US4269991A (en) * | 1979-12-03 | 1981-05-26 | Dow Corning Corporation | Novel mercaptoorganosiloxanes |
US4364731A (en) * | 1981-01-29 | 1982-12-21 | Board Of Regents, The University Of Texas System | Methods for producing adhesive bonds between substrate and polymer employing an intermediate oxide layer |
CA1252349A (en) * | 1983-05-04 | 1989-04-11 | Michael K. Agodoa | Process for bonding heat curable silicone rubber to a substrate using an aqueous primer composition |
US4618389A (en) * | 1983-05-04 | 1986-10-21 | Sws Silicones Corporation | Process for bonding heat curable silicone rubber to a substrate using an aqueous primer composition |
DE3403894C1 (de) * | 1984-02-04 | 1985-07-25 | Kulzer & Co GmbH, 6393 Wehrheim | Vorrichtung zum Beschichten eines metallischen Dentalprothesenteils und Verfahren zum Betrieb einer solchen Vorrichtung |
DE3609038A1 (de) * | 1986-03-18 | 1987-09-24 | Espe Stiftung | Roentgenopake polymerisierbare dentalmassen |
DD276453A1 (de) * | 1988-10-26 | 1990-02-28 | Univ Schiller Jena | Metall/kunststoff-verbundkoerper und verfahren zu seiner herstellung |
DE19619046A1 (de) * | 1996-05-02 | 1997-11-06 | Ivoclar Ag | Verwendung einer Zusammensetzung als Dentalmaterial und Dentalmaterial |
JP3933779B2 (ja) * | 1997-12-11 | 2007-06-20 | 株式会社ジーシー | 金属表面処理材 |
DE10026432A1 (de) * | 2000-05-29 | 2002-02-14 | 3M Espe Ag | Präpolymere (Meth)acrylate mit polycyclischen oder aromatischen Segmenten |
-
2001
- 2001-01-26 DE DE10103586A patent/DE10103586A1/de not_active Withdrawn
-
2002
- 2002-01-25 DE DE50200628T patent/DE50200628D1/de not_active Expired - Lifetime
- 2002-01-25 AT AT02735102T patent/ATE271104T1/de not_active IP Right Cessation
- 2002-01-25 US US10/470,214 patent/US20040259992A1/en not_active Abandoned
- 2002-01-25 EP EP02735102A patent/EP1360245B1/de not_active Expired - Lifetime
- 2002-01-25 JP JP2002571772A patent/JP2004525220A/ja active Pending
- 2002-01-25 WO PCT/EP2002/000798 patent/WO2002072711A1/de active IP Right Grant
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009142649A (ja) * | 2007-11-16 | 2009-07-02 | Heraeus Kulzer Gmbh | 光硬化型の接着性オペーク材 |
WO2022210010A1 (ja) * | 2021-03-29 | 2022-10-06 | サンメディカル株式会社 | 歯科用前処理剤 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
WO2002072711A1 (de) | 2002-09-19 |
DE10103586A1 (de) | 2002-08-01 |
EP1360245A1 (de) | 2003-11-12 |
US20040259992A1 (en) | 2004-12-23 |
ATE271104T1 (de) | 2004-07-15 |
DE50200628D1 (de) | 2004-08-19 |
EP1360245B1 (de) | 2004-07-14 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4241978B2 (ja) | 歯科用光重合性組成物 | |
EP2010127B1 (en) | Filler containing composition and process for production and use thereof | |
EP1368430B1 (en) | Dental and medical polymer composites and compositions | |
JPS6317308B2 (ja) | ||
EP2036532A2 (en) | One pack type dental adhesive composition | |
JP2006089484A (ja) | 歯科用接着性組成物 | |
JP2004525220A (ja) | 金属高分子複合体用接着剤 | |
JP5898218B2 (ja) | 歯科用組成物 | |
JP4746543B2 (ja) | 重合すると低減された極性を有する接着剤組成物 | |
JPH06234611A (ja) | 向上した接着力のための酸化的予備処理 | |
JP2017110162A (ja) | ポリアリールエーテルケトン樹脂材料用接着性組成物 | |
JPS63162769A (ja) | 裏装剤 | |
EP3165215A1 (en) | Bonding method, bonding kit, and bonding material | |
JP6639220B2 (ja) | ポリアリールエーテルケトン樹脂材料用接着性組成物 | |
JP6602163B2 (ja) | 接着性ポリアリールエーテルケトン樹脂材料の製造方法、及び接着方法 | |
JPS59142268A (ja) | 接着剤 | |
WO2010033515A1 (en) | Single-container dental adhesive | |
JP2016145327A (ja) | ポリアリールエーテルケトン樹脂複合体材料用接着性組成物 | |
JP2021054794A (ja) | 低感水陶歯、コンポジット接着材 | |
EP2410942B1 (en) | Curable zirconia adhesive compositions for dental restorations | |
JP5294619B2 (ja) | 酸化物セラミックスからなる歯科用補綴物の前処理材 | |
JP2578212B2 (ja) | マレイン酸モノエステル化合物及びそれらを含有してなる接着剤 | |
JP3527400B2 (ja) | 歯科用接着材組成物 | |
Lenglerdphol | Effects of restorative primers on bond strength of polymer-infiltrated | |
EP4321145A1 (en) | Dental resin-reinforced glass ionomer cement kit |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050118 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20080731 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20080808 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20090120 |