JP3527400B2 - 歯科用接着材組成物 - Google Patents

歯科用接着材組成物

Info

Publication number
JP3527400B2
JP3527400B2 JP34995697A JP34995697A JP3527400B2 JP 3527400 B2 JP3527400 B2 JP 3527400B2 JP 34995697 A JP34995697 A JP 34995697A JP 34995697 A JP34995697 A JP 34995697A JP 3527400 B2 JP3527400 B2 JP 3527400B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
acid
olefinically unsaturated
meth
unsaturated compound
solution
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP34995697A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH11171717A (ja
Inventor
哲朗 太田
Original Assignee
カネボウ株式会社
ディーエムジー(デンタル マテリアル ゼネラル)ケミッシュ−ファーマチューティッシュ ファブリック ゲーエムベーハー
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by カネボウ株式会社, ディーエムジー(デンタル マテリアル ゼネラル)ケミッシュ−ファーマチューティッシュ ファブリック ゲーエムベーハー filed Critical カネボウ株式会社
Priority to JP34995697A priority Critical patent/JP3527400B2/ja
Publication of JPH11171717A publication Critical patent/JPH11171717A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3527400B2 publication Critical patent/JP3527400B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、歯科用接着材組成
物および歯科用接着材キットに関する。さらに詳しく
は、本発明は操作が簡単で、エナメル質及び象牙質に対
して優れた接着性を有する1ステップ型歯科用接着材組
成物および歯科用接着材キットに関する。
【0002】
【従来の技術】歯科治療の分野において、接着材は、歯
(歯質)と金属、合成樹脂系材料、セラミックス等の歯
科材料とを接着するために広く使用されている。ところ
で、歯(歯質)は、先端の歯冠と根元の歯根とからな
り、歯冠は表面の緻密なエナメル質と内部の象牙質とか
ら構成されている。エナメル質は、無機質であるヒドロ
キシアパタイトであり、象牙質は無機質のヒドロキシア
パタイトとコラーゲン等の有機物とからなり、さらに細
管(象牙細管)を有している。従って、歯科治療を成功
させるためには、歯の構成成分が異なるエナメル質と象
牙質とのいずれにも良好に接着する接着材が必要とされ
ている。そして、このような接着材について、種々の提
案がなされている。
【0003】通常、緻密な表面を有するエナメル質に接
着するときは、リン酸等の酸を用いて表面を処理し、表
面に凹凸をつくる処理(エッチング処理)を行う。この
処理により、エナメル質の接着性が大きく向上する。他
方、象牙質をエッチング処理しても、エッチングによる
接着性向上が顕著でないばかりか、酸による脱灰で象牙
細管が開孔し、歯髄刺激等の問題が生じる。そこで、象
牙質を2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下、2
HEMA)等の親水性(メタ)アクリレート等のプライ
マーで処理する方法が提案され、象牙質に対する接着性
がある程度向上することが認められている。さらに、酸
性基を有する(メタ)アクリレートを2HEMAに加え
る提案もなされており、接着性の一層の向上が認められ
ている。
【0004】このように、歯と歯科材料とを接着しよう
とする場合は、歯のエナメル質のエッチング処理と、象
牙質のプライマー処理とを行い、さらに接着材を塗布す
るという3ステップの処理が必要とされる。しかし、実
際の臨床において、エッチング処理、プライマー処理、
さらに接着材塗布と3ステップもの処理を行うことは煩
雑であるばかりでなく、操作方法がわずかに違うだけで
も接着性が大きく変化する。従って、必ずしも期待され
た効果が得られない場合も多い。
【0005】そこで、2ステップのシステム、例えばプ
ライマーに有機酸等を添加し、プライマー処理と同時に
エッチング処理を行って接着材を塗布するシステム、或
いは、エッチング材とプライマーを付与した接着材とを
塗布するシステム等も提案されている。しかし、これら
のシステムを用いる操作もなお煩雑である。さらにまた
このような2ステップ処理をした場合の接着材の接着力
も十分とはいえない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、上記の問
題点を解決すべく鋭意研究を続けた結果、(1)有機酸
水溶液と、(2)酸性基を有するオレフィン性不飽和化
合物を含む溶液とを混合して歯質に適用することによ
り、上記問題点が解決されることを見い出し本発明を完
成したものである。従って、本発明が目的とするところ
は、操作が簡単で、エナメル質及び象牙質に対して優れ
た接着性を有する臨床上有用な1ステップ型歯科用接着
材組成物および歯科用接着材キットを提供することにあ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、有機酸と特定
のオレフィン性不飽和化合物とを混合することにより、
1ステップで歯科用の接着ができるという、従来考えら
れなかった驚くべき効果を見いだして完成されたもので
ある。従って、本発明は、(1)有機酸水溶液と(2)
分子内に少なくとも一つの酸性基を有するオレフィン性
不飽和化合物を含有する溶液とを混合して得られる、歯
科用接着材組成物に関する。
【0008】好適な実施態様においては、前記(2)分
子内に少なくとも一つの酸性基を有するオレフィン性不
飽和化合物を含有する溶液に、光重合開始剤が含有され
ている。
【0009】好適な実施態様においては、前記オレフィ
ン性不飽和化合物が、オリゴマーまたはポリマー型の基
本骨格を有し、前記少なくとも一つの酸性基が該オリゴ
マーまたはポリマーの基本骨格に結合しており、そし
て、少なくとも一つのオレフィン性不飽和基を含むオレ
フィン性不飽和化合物である。
【0010】また、好適な実施態様においては、前記オ
レフィン性不飽和化合物が、オリゴマーまたはポリマー
型の基本骨格を有し、3つ以上の酸性基が該オリゴマー
またはポリマーの基本骨格に結合しており、そして、3
つ以上のオレフィン性不飽和基を含むオレフィン性不飽
和化合物である。
【0011】さらに好適な実施態様においては、前記オ
レフィン性不飽和化合物が、ポリ(メタ)アクリル化ポ
リ(メタ)アクリル酸および/またはポリ(メタ)アク
リル化ポリマレイン酸である。
【0012】好適な実施態様においては、前記有機酸
が、クエン酸、コハク酸、マレイン酸およびマロン酸か
らなる群から選択される。
【0013】そして、好適な実施態様においては、前記
有機酸が0.5〜10重量%およびオレフィン性不飽和
化合物が1〜50重量%含まれている。
【0014】さらに、本発明は、(1)有機酸水溶液を
含む容器と、(2)分子内に少なくとも一つの酸性基を
有するオレフィン性不飽和化合物を含有する溶液を含む
容器と、を有する歯科用接着材キットに関する。
【0015】好適な実施態様においては、本発明のキッ
ト中の前記(2)の溶液中に、光重合開始剤が含有され
ている。
【0016】また、好適な実施態様においては、本発明
のキットに含まれるオレフィン性不飽和化合物が、オリ
ゴマーまたはポリマー型の基本骨格を有し、前記少なく
とも一つの酸性基が該オリゴマーまたはポリマーの基本
骨格に結合しており、そして、少なくとも一つのオレフ
ィン性不飽和基を含むオレフィン性不飽和化合物であ
る。
【0017】さらに好適な実施態様においては、前記オ
レフィン性不飽和化合物が、オリゴマーまたはポリマー
型の基本骨格を有し、3つ以上の酸性基が該オリゴマー
またはポリマーの基本骨格に結合しており、そして、3
つ以上のオレフィン性不飽和基を含むオレフィン性不飽
和化合物である。
【0018】より好適な実施態様においては、前記オレ
フィン性不飽和化合物が、ポリ(メタ)アクリル化ポリ
(メタ)アクリル酸および/またはポリ(メタ)アクリ
ル化ポリマレイン酸である。
【0019】好適な実施態様においては、前記有機酸
が、クエン酸、コハク酸、マレイン酸およびマロン酸か
らなる群から選択される。
【0020】また、好適な実施態様においては、本発明
のキットには、前記(1)の溶液中に有機酸が0.5〜
10重量%、および前記(2)の溶液中にオレフィン性
不飽和化合物が1〜50重量%含まれている。
【0021】さらに、好適な実施態様においては、本発
明のキットには、前記(1)の有機酸水溶液と(2)の
溶液とを混合する手段が含まれている。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明の歯科用接着材組成物は、
有機酸と分子内に少なくとも一つの酸性基を有するオレ
フィン性不飽和化合物とを含有する。そして、(1)有
機酸水溶液と、(2)分子内に少なくとも一つの酸性基
を有するオレフィン性不飽和化合物を含有する溶液とを
混合して得られる。本発明の接着材組成物は、1ステッ
プで歯質のエッチング処理、プライマー処理、および接
着材塗布という3ステップもの処理ができる、優れた接
着材となる。すなわち、従来3ステップ又は2ステップ
を要したものが1ステップで済むという優れた効果を有
する。
【0023】本発明に使用される有機酸としては、モノ
カルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸等の有機カ
ルボン酸またはその酸無水物であればいずれも用いるこ
とができる。特に歯質に残留しても安全であり、かつ適
度のエッチング効果を有する有機酸、たとえばクエン
酸、コハク酸、マレイン酸、マロン酸等の有機酸が好ま
しい。
【0024】この有機酸は、好ましくは0.5〜10重
量%、さらに好ましくは0.5〜3重量%の範囲内で含
まれる。有機酸の濃度が0.5重量%より低い場合に
は、エッチング効果が不十分でエナメル質の接着が十分
でない場合があり、逆に有機酸の濃度が10重量%より
高い場合には、有機酸が残留して歯科材料と歯質との接
着を阻害するおそれ、および歯髄刺激等のおそれもあっ
て好ましくないからである。
【0025】本発明における(2)分子内に少なくとも
1つの酸性基を有するオレフィン性不飽和化合物の酸性
基としては、酸化物系、鉱物系、セラミック系、ガラス
系、金属系あるいは生物学的基質、特に歯質に親和性を
有するものであれば、いずれも使用できる。特に好適に
使用される酸性基としては、カルボン酸基、リン酸基及
び/又はスルホン酸基等が挙げられる。これらの酸性基
はカルボン酸基、リン酸基、ホスホン酸基、およびスル
ホン酸基またはこれらの塩をオリゴマーまたはポリマー
骨格に結合させることにより導入され得る。
【0026】また、オレフィン性不飽和化合物は低分子
量化合物であってもよいし高分子量化合物であってもよ
い。
【0027】低分子量のカルボン酸基を有するオレフィ
ン性不飽和化合物としては、例えば11−(メタ)アク
リロイルオキシ−1,1−ウンデカンジカルボン酸、4
−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメリット酸及
びその無水物、N−(メタ)アクリロイル5−アミノサ
リチル酸を挙げることができる。また、高分子量のカル
ボン酸基を有するオレフィン性不飽和化合物としては、
例えばポリ(メタ)アクリル酸と2−ヒドロキシエチル
メタクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリレー
トとの縮合生成物であるポリ(メタ)アクリル化ポリ
(メタ)アクリル酸あるいは、ポリマレイン酸と水酸基
を有する(メタ)アクリレートとの縮合生成物であるポ
リ(メタ)アクリル化ポリマレイン酸等を挙げることが
できる。
【0028】低分子量のリン酸基を有するオレフィン性
不飽和化合物としては、例えば2−(メタ)アクリロイ
ルオキシエチルアシッドホスフェート、2−(メタ)ア
クリロイルオキシエチルフェニルアシッドホスフェー
ト、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルアシッド
ホスフェート等が挙げられる。高分子量のリン酸基を有
するオレフィン性不飽和化合物としては、例えばポリ
(メタ)アクリル化ポリクロロリン酸等が挙げられる。
【0029】スルホン酸基を有するオレフィン性不飽和
化合物としては、例えば2−メチル−2−(メタ)アク
リルアミドプロパンスルホン酸等を挙げることができ
る。
【0030】これらの酸性基を有するオレフィン性不飽
和化合物のうちでも、オリゴマー又はポリマーの基本骨
格を有し、この基本骨格に少なくとも一つの酸性基が結
合し、そして少なくとも一つのオレフィン性不飽和化合
物を含む高分子量のオレフィン性不飽和化合物を使用す
れば、反応生成物が確実に高分子量となる。更に例え
ば、歯科の治療のような水分の多い状況においても、反
応性が高く、かつ安定した接着力が得られる上、生体に
対する安全性の面でも有利である。
【0031】オリゴマーまたはポリマー基本骨格は直
鎖、分枝鎖または環状骨格のいずれでも良い。この基本
骨格はオレフィン性不飽和モノマーのポリマーが好まし
いが、その骨格が十分な加水分解安定性を有している限
り、例えばポリエステル、ポリアミド、ポリエーテル、
ポリホスファゼン、多糖などのオリゴマーまたはポリマ
ーであっても良い。これらのオリゴマー又はポリマー
は、酸性基を有するかまたは酸性基の導入が可能な基お
よび重合可能な基を備えている。
【0032】基本骨格は、例えばアルコール基、ハロゲ
ン基、酸ハロゲン化物基、アミノ基、エポキシ基または
イソシアネート基のような官能基を含み得、官能基がグ
ラフト反応し得る場合には、好ましい基をグラフト結合
することができる。従って、上記の基本骨格は、例えば
ポリオール、ポリハロゲン化物、ポリ酸ハロゲン化物、
ポリアミン、ポリエポキシド、またはポリイソシアネー
トとして、もしくはこれらの混合物として存在し得る。
【0033】特に好ましい基本骨格はオレフィン性不飽
和モノマーから成るポリマーである。この場合に、基本
骨格はホモオリゴマーもしくはホモポリマーまたはコオ
リゴマーもしくはコポリマーであり得る。
【0034】オレフィン性不飽和化合物の基本骨格への
酸性基の導入には公知の方法が用いられる。酸性基と不
飽和基の数が多い程歯科治療における水分の多い状況下
での接性および生体に対する安全性が増加する。
【0035】特に、オリゴマー又はポリマーの基本骨格
に結合した3つ以上の酸性基と3つ以上のオレフィン性
不飽和基を含む高分子量のオレフィン性不飽和化合物を
使用することにより、より一層優れた接着性及び安全性
を得ることができる。このようなポリマーとしてポリ
(メタ)アクリル化ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メ
タ)アクリル化ポリマレイン酸等のカルボン酸基を有す
るオレフィン性不飽和化合物が特に好適である。
【0036】特に上記ポリ(メタ)アクリル化ポリ(メ
タ)アクリル酸、あるいはポリ(メタ)アクリル化ポリ
マレイン酸等のカルボン酸基を有するオレフィン性不飽
和化合物の酸性基の数としては5個〜2,000個が好
ましい。より好ましくは10個〜1,200個であり、
最も好ましくは50個〜800個である。オレフィン性
不飽和基としては5個〜300個が好ましい。より好ま
しくは10個〜200個であり、最も好ましくは30個
〜150個である。又、オレフィン性不飽和化合物の分
子量は重量平均で300〜200,000、好ましくは
1,000〜150,000、最も好ましくは3,00
0〜100,000である。
【0037】上記酸性基を有するオレフィン性不飽和化
合物は、上記(2)の溶液に好ましくは1〜50重量%
含まれる。さらに好ましくは3〜30重量%であり、最
も好ましくは5〜20重量%含まれる。オレフィン性不
飽和化合物の量が1重量%よりも少ないと、十分な接着
力を得ることが困難になり、50重量%よりも多くなる
と、かかる酸性基を有するオレフィン性不飽和化合物が
一般に反応性が低いことから、反応が完了せずに接着が
不十分となるばかりでなく、残留モノマーによる生体に
対する悪影響のおそれがある。
【0038】本発明の接着材組成物には重合開始剤が含
まれる。重合開始剤としては、熱、光、放射線等のラジ
カル重合開始剤が好適に用いられる。特に光重合開始剤
が好適に用いられる。光重合開始剤としては、公知の光
重合開始剤を使用することができ、例えば、ジアセチ
ル、ベンジル、カンファーキノン等のα−ジケトン類、
ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル
等のベンゾインアルキルエーテル、2,4−ジエトキシ
チオキサントン、メチルチオキサントン等のチオキサン
トン化合物、ベンゾフェノン、P,P’−ジメチルアミ
ノベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物が好適に
使用される。
【0039】光重合開始剤は、(2)の溶液中に予め溶
解しておく場合には、溶液中に0.05〜5重量%、好
ましくは0.1〜2重量%含ませる。
【0040】さらに、光重合を行う場合には、光重合開
始剤と同時に硬化促進剤を添加することができる。かか
る硬化促進剤としては、N,N’−ジメチルパラトルイ
ジン、N,N’−ジメチルアミノ安息香酸エチル、ジメ
チルアミノエチルメタクリレート等のアミン化合物が好
適に使用される。これらの硬化促進剤の量は、好ましく
は0.05〜5重量%、さらに好ましくは0.1〜2重
量%含有される。
【0041】また、少なくとも1つの酸性基を有するオ
レフィン性不飽和化合物及び光重合開始剤を含む溶液に
は、このような酸性基を有するオレフィン性不飽和化合
物と共重合性を有する重合性単量体を加えることができ
る。この共重合性単量体としては、現在歯科用に使用さ
れている公知のものを使用することができる。具体的に
は、2,2−ビス[4(2−ヒドロキシ−3−メタクリ
ロオキシプロポキシ)フェニル]プロパン(Bis−G
MAと称する)、メチルメタクリレート、トリエチレン
グリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコール
ジメタクリレート、2,2,4−トリメチルヘキサメチ
レンジイソシアネート1モルと2−ヒドロキシエチルメ
タクリレート2モルの付加物(UDMAと称する)等が
挙げられる。さらに、分子内に水酸基を有する2−ヒド
ロキシエチル(メタ)アクリレート、2−または3−ヒ
ドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキ
シプロピル1,3−ジ(メタ)アクリレート等も共重合
性単量体として用いられ得る。特に、本発明の歯科用接
着材組成物において、有機酸水溶液と混合する場合に
は、上記の共重合性単量体のうち、2−ヒドロキシエチ
ルメタクリレート等の水酸基を有する親水性共重合体を
使用することが好ましい。
【0042】さらに、本発明の歯科用接着材組成物に
は、エチルアルコール等の有機溶媒及び水等の溶媒、μ
−シリカ等の微紛状充填材、重合禁止剤及び各種安定剤
等を適宜添加することができる。
【0043】本発明の1ステップ型歯科用接着材組成物
は、上述した(1)有機酸水溶液と(2)少なくとも1
つの酸性基を有するオレフィン性不飽和化合物と重合開
始剤とを混合するか、重合開始剤が予め混合されている
場合には(1)有機酸水溶液と光重合開始剤を含むオレ
フィン性不飽和化合物溶液とを混合し、歯面に塗布、歯
科用の光照射器を使用して光照射後、市販のコンポジッ
トレンジを充填するだけでよく、従来3ステップ又は2
ステップを要したものが1ステップで済むという優れた
効果を有する。
【0044】更に、本発明は、歯科用接着材キットに関
する。本発明の第一の歯科用接着材キットは、(1)有
機酸水溶液を含む容器と、(2)分子内に少なくとも一
つの酸性基を有するオレフィン性不飽和化合物を含有す
る溶液を含む容器と、を有している。容器としては、有
機酸溶液あるいはオレフィン性不飽和化合物を含む溶液
で溶解されないか、毒性のある物質、あるいは重合反応
を妨げるような物質を溶出しない材質の容器であれば、
その材質および形状を問わない。例えば、ガラス、プラ
スチック等が挙げられる。
【0045】本発明のキットには、重合開始剤の溶液を
含む容器が含有され得る。重合開始剤として、光重合開
始剤を用いる場合には、光重合開始剤は上記(2)のオ
レフィン性不飽和化合物を含有する容器に混合され得
る。従って、重合開始剤を含む容器は必ずしも必要とさ
れない。なお、光重合開始剤を含有する溶液は、光を遮
断する容器に導入されることが好ましい。
【0046】さらに、本発明のキットには、使用に際し
て、有機酸水溶液、オレフィン性不飽和化合物および重
合開始剤の必要量をそれぞれ取り出せる手段(例えば定
量ポンプ、定量ピペット等)と、取り出した有機酸水溶
液、オレフィン性不飽和化合物および重合開始剤を混合
する容器およびこれらを混合する手段(例えば、攪拌棒
等)が付属していることが好ましい。種々の濃度の有機
酸水溶液、オレフィン性不飽和化合物および重合開始剤
を製造者の指針に基づいて混合することにより、目的の
接着材が得られる。
【0047】また、1つの容器を、破壊し得る手段を有
する仕切りで2室または3室に仕切り、(1)の有機酸
溶液と(2)のオレフィン性不飽和化合物および必要に
応じて(3)重合開始剤の必要量を各室に予め導入して
おき、使用に際してその仕切りを破壊して混合できるよ
うな容器でもよい。
【0048】また、本発明の歯科用接着材は、有機酸、
分子内に少なくとも一つの酸性基を有するオレフィン性
不飽和化合物および光重合開始剤を含有しているので、
そのまま歯質に塗布すればよい。そして、光を照射する
ことにより接着剤として作用する。
【0049】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明するが、本
発明がこの実施例に限定されないことはいうまでもな
い。 なお、実施例中の接着試験は、次のようにして行
った。新鮮な牛下顎前歯を抜去し、水中で凍結保存した
ものを歯質サンプルとして使用した。解凍した牛歯エナ
メル質及び象牙質を、回転式研磨機ECOMET3(BUEHLER
製)で注水、指圧下で耐水エメリー紙600番で研削
し、平滑な面を得た。ついで、研削した牛歯を十分水洗
後、気銃にて水分を除去した。その研削表面に、接着面
積を規定するため直径2mmの穴のあいた厚さ0.5mmの
テフロンシートを置いて固定した。この穴に接着材を塗
布、軽くエアーブロー後、約10秒間光照射した。その
後、充填用コンポジットレジン(鐘紡(株)製”プログ
レス”)を充填、光照射により硬化させ、さらに歯科用
レジンセメント(クラレ(株)製”パナヴィアEX”)
にて、硬化物とステンレス棒とを接着させ、試験用サン
プルとした。37℃水中に24時間浸漬後、引張試験
(クロスヘッドスピード2mm/min )を行った。
【0050】<実施例>水98重量部にマレイン酸2重
量部を溶解した溶液(A−1)、及びポリメタクリル化
ポリアクリル酸10重量部、2−ヒドロキシプロピル−
1,3−ジメタクリレート25重量部、2−ヒドキシエ
チルメタクリレート(2HEMA)55重量部、水9.
2重量部、カンファーキノン0.5重量部及びN,N’
−ジメチルアミノ安息香酸エチル0.3重量部からなる
溶液(B−1)を使用直前に1:1で混合した溶液をエ
ナメル質及び象牙質に塗布した。なお、用いたポリメタ
クリル化ポリアクリル酸は酸性基を300〜400個、
オレフィン性不飽和基を50〜60個有し、平均分子量
は約7万であった。引張試験の結果は、エナメル質に対
しては、129±29kgf /cm2 で、破壊はほとんどが
エナメル質との界面破壊であった。一方、象牙質に対し
ては、101±31kgf /cm2 で、破壊は象牙質の一部
破壊と象牙質との界面破壊であり、両者の破壊数はほぼ
同数であった。
【0051】<比較例1>実施例におけるA−1のみを
エナメル質及び象牙質に塗布した。引張試験の結果は、
エナメル質に対しては、48±18kgf /cm2 で、破壊
はエナメル質との界面破壊であった。一方、象牙質に対
しては、6±2kgf /cm2 で、破壊は象牙質との界面破
壊であった。
【0052】<比較例2>実施例におけるB−1のみを
エナメル質及び象牙質に塗布した。接着試験の結果は、
エナメル質に対しては、46±19kgf /cm2 で、破壊
はエナメル質との界面破壊であった。一方、象牙質に対
しては、14±6kgf /cm2 で、破壊は象牙質との界面
破壊であった。
【0053】<比較例3>実施例におけるA−1をエナ
メル質及び象牙質に塗布後、さらに実施例におけるB−
1をそれぞれに塗布した。接着試験の結果は、エナメル
質に対しては、110±27kgf /cm2 で、破壊はほと
んどがエナメル質との界面破壊であった。一方、象牙質
に対しては、70±31kgf /cm2 で、破壊は象牙質の
一部破壊と象牙質との界面破壊がほぼ同数であった。
【0054】<比較例4>実施例におけるB−1をエナ
メル質及び象牙質に塗布後、さらに実施例におけるA−
1をそれぞれに塗布した。接着試験の結果は、エナメル
質に対しては、96±64kgf /cm2 で、破壊はほとん
どがエナメル質との界面破壊であった。一方、象牙質に
対しては、90±28kgf /cm2 で、破壊は象牙質の一
部破壊と象牙質との界面破壊がほぼ同数であった。
【0055】
【発明の効果】本発明の1ステップ型歯科用接着材組成
物は、有機酸と特定の構成を有する樹脂との混合液に重
合開始剤を加えて混合して歯面に塗布するだけでエナメ
ル質及び象牙質に対して優れた接着力を奏し、かつ臨床
でも安定して使用することができる。特に、光重合開始
剤を含有する場合には、歯面に塗布し光を照射するとい
う極めて簡便な操作で十分である。従って、従来の3ス
テップあるいは2ステップを要する接着剤に比べて、極
めて優れた効果を奏する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (73)特許権者 597176795 ディーエムジー(デンタル マテリアル ゼネラル)ケミッシュ−ファーマチュ ーティッシュ ファブリック ゲーエム ベーハー DMG(Dental Materia l General)Chemisch −Pharmazeutische F abrik GmbH ドイツ国 ハンブルグ 22547,エルブ ガウストラッセ 248 Elbgaustrasse 248, 22547 Hamburg,German y (72)発明者 太田 哲朗 京都府城陽市久世下大谷42番地の24 (56)参考文献 特開 平6−199624(JP,A) 特開 平9−301817(JP,A) 特表2001−521518(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 6/00 - 6/10

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(1)有機酸水溶液と、(2)ポリ(メ
    タ)アクリル化ポリ(メタ)アクリル酸およびポリ(メ
    タ)アクリル化ポリマレイン酸からなる群から選択され
    る、カルボン酸基を有するオレフィン性不飽和化合物を
    少なくとも一つ含有する溶液とからなる歯科用接着材組
    成物であって、該カルボン酸基を有するオレフィン性不
    飽和化合物が、5〜2000個の酸性基を有し、かつ、
    5〜300個のオレフィン性不飽和基を有する、歯科用
    接着材組成物。
  2. 【請求項2】前記(1)の溶液中に、有機酸が0.5〜
    10重量%および前記(2)の溶液中に前記カルボン酸
    基を有するオレフィン性不飽和化合物が1〜50重量%
    含まれている、請求項1に記載の歯科用接着材組成物。
  3. 【請求項3】(1)有機酸水溶液を含む容器と、(2)
    ポリ(メタ)アクリル化ポリ(メタ)アクリル酸および
    ポリ(メタ)アクリル化ポリマレイン酸からなる群から
    選択される、カルボン酸基を有するオレフィン性不飽和
    化合物を少なくとも一つ含有する溶液を含む容器と、を
    有する歯科用接着材キットであって、該カルボン酸基を
    有するオレフィン性不飽和化合物が、5〜2000個の
    酸性基を有し、かつ、5〜300個のオレフィン性不飽
    和基を有する、キット
  4. 【請求項4】前記(1)の溶液中に、有機酸が0.5〜
    10重量%および前記(2)の溶液中に、前記カルボン
    酸基を有するオレフィン性不飽和化合物が1〜50重量
    %含まれている、請求項3に記載の歯科用接着材キッ
    ト。
  5. 【請求項5】前記(1)の有機酸水溶液と(2)の溶液
    とを混合する手段が含まれている、請求項3または4
    記載の歯科用接着材キット。
JP34995697A 1997-12-03 1997-12-03 歯科用接着材組成物 Expired - Fee Related JP3527400B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP34995697A JP3527400B2 (ja) 1997-12-03 1997-12-03 歯科用接着材組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP34995697A JP3527400B2 (ja) 1997-12-03 1997-12-03 歯科用接着材組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH11171717A JPH11171717A (ja) 1999-06-29
JP3527400B2 true JP3527400B2 (ja) 2004-05-17

Family

ID=18407250

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP34995697A Expired - Fee Related JP3527400B2 (ja) 1997-12-03 1997-12-03 歯科用接着材組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3527400B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JPH11171717A (ja) 1999-06-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CA1245396A (en) Adhesion promoting agent, process for its preparation and use thereof on collageneous material
JP4241978B2 (ja) 歯科用光重合性組成物
Nakabayashi et al. Development of adhesive pit and fissure sealants using a MMA resin initiated by a tri‐n‐butyl borane derivative
KR100748912B1 (ko) 접착 조성물
US7226960B2 (en) Self-etching primer adhesive and method of use therefor
JP4660203B2 (ja) 歯科用ホワイトニング組成物および方法
JP5004952B2 (ja) 歯科用接着性プライマー組成物
US4771112A (en) Compounds that consist of aldehyde, epoxide, isocyanate, or halotriazine groups, of polymerizable groups, and of a higher-molecular backbone, mixtures that contain them, and the use thereof
JP2003073218A (ja) 歯科用接着性組成物
EP0975303A2 (en) Tooth surface treatment composition
JP2004352698A (ja) 歯科用組成物
JP2505894B2 (ja) 接着剤を含有する小窩および亀裂シ―ラント
JPS63162769A (ja) 裏装剤
US20070259988A1 (en) Biomedical bond enhancer
JP2004525220A (ja) 金属高分子複合体用接着剤
JP3527400B2 (ja) 歯科用接着材組成物
JP3526589B2 (ja) 歯質に接着性を有する表面被覆材
JPH0640838A (ja) 歯質に対する接着性プライマー組成物および接着方法
WO2008053979A1 (fr) Compositions primaires auto-mordançantes pour une utilisation dentaire
EP2674145B1 (en) Self-etching dental adhesive compositions
WO2010033515A1 (en) Single-container dental adhesive
US20070054978A1 (en) One-liquid medical and dental curable composition
EP0806931B1 (en) Composition for priming and adhering to tooth structure
JP3860072B2 (ja) 生体硬組織に隙間なく接着できる硬化性組成物
JPH0555559B2 (ja)

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20031216

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20040127

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20031216

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20040219

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

S633 Written request for registration of reclamation of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313633

R360 Written notification for declining of transfer of rights

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R360

R360 Written notification for declining of transfer of rights

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R360

R371 Transfer withdrawn

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R371

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

S633 Written request for registration of reclamation of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313633

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090227

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090227

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100227

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100227

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110227

Year of fee payment: 7

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees