JP2004524010A - 疾患の診断および処置 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
本発明は疾患の診断および処置に関する。より詳細には、本発明は、表皮または皮膚の疾患の処置および診断、ならびにそのような処置および/または診断に必要な薬剤に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚は、水を体内に保持し、かつ環境的因子の体内への侵入を防止するバリアである。従って、皮膚のバリア機能は、体内の恒常性を維持するためには不可欠である(Cork、1997)。表皮は、基底層(または胚芽層)における分裂によって形成される非常に詰まった角化細胞の層から構成される。角化細胞が有棘層および顆粒層を通って上に移動するに従い、角化細胞は分化して、ケラチンおよび微小繊維および微小管からなる堅い内部構造体が形成される。角質層は、核を失っている平坦化した死細胞の層から構成され、その間には、脂質およびタンパク質の複雑な混合物が存在する。
【0003】
表皮バリアが角質層に存在するが、表皮バリアは角質細胞間の強い接着に依存している(Egelrud、2000)。この接着はコレネオデスモソームにより媒介される(MentonおよびElisen、1971;ChapmanおよびWalsh、1990;Northら、1999)。コルネオデスモシンはコレネオデスモソームの糖タンパク質である。
【0004】
表皮バリアのそれ以外の成分はラメラ脂質である。脂質は表皮顆粒層内のラメラ体内に分泌される(Elias、1993)。表皮顆粒層と角質層との境界において、脂質が顆粒細胞から角質細胞間の空間内に抜き取られる。その後、脂質は、高度に組織化された多層の二重層構造体に組織化される(Landmann、1988)。角質層は、れんがおよびラメラ脂質(モルタル)を形成する角質細胞を伴うれんが壁にかなり似て可視化され得る(Elias、1983)。角質細胞は、水をその中に保持する保水性物質である天然保湿性因子(NMF)を含有する。大きい水分含有量により、角質細胞は膨潤させられ、角質細胞間における裂け目および亀裂の形成が防止される。皮膚の柔軟性および弾力性は、直接、その水分含有量に関係づけられる。正常な健康な角質層は比較的大きい水分含有量を有する。
【0005】
従って、角質層は、成長可能な表皮における角化細胞の増殖および分化によって絶えず置き換えられているバリアである。一定した角質層厚を特定の身体部位において維持するために、角質層の表面部分は、その産生を平衡させる速度での落屑プロセスで絶えず生え替わらなければならない。角質細胞の損なわれた落屑は、なかでも、乾癬、尋常性ざ瘡、魚鱗癬および毛孔性角化症などの多数の疾患の特徴である。乾癬では、角質細胞の損なわれた落屑は角質層の厚さを増大させ、バリアが通常高まっている。尋常性ざ瘡の初期の病理学的事象は、角質細胞の損なわれた落屑の結果として生じる毛嚢脂腺ユニットの狭小化である。この欠陥は、増大した皮脂産生速度と一緒になっており、そして二次的な事象には、皮脂の停滞が含まれる。
【0006】
(概要)
本発明者らは、コルネオデスモソームタンパク質のタンパク質分解が、落屑に関与する重要なプロセスであることを明らかにしている。
【0007】
その結果、本発明者らは、コルネオデスモソームタンパク質の増大したタンパク質分解、またはその損なわれたタンパク質分解、またはそうでない場合にはその異常なタンパク質分解がいくつかの皮膚障害に関与していることを発見した。具体的には、本発明者らは、接着タンパク質の増大したタンパク質分解が、損なわれたバリア機能を特徴とする疾患に関与していること、そして接着タンパク質の低下したタンパク質分解が、角質細胞の損なわれた落屑を特徴とする疾患に関与していることを見出した。本発明者らはさらに、接着タンパク質をコードする遺伝子における変異が表皮細胞間の低下した接着をもたらすことを明らかにしている。
【0008】
本発明の第1の態様によれば、本発明者らは、上皮細胞間の異常な細胞−細胞接着に関連する疾患またはそのような疾患に対する感受性を診断する方法を提供する。この方法は、個体の接着タンパク質またはプロテアーゼまたはプロテアーゼ阻害剤をコードする核酸における変異を検出することを含む。
【0009】
本発明の第2の態様によれば、個体における第I群疾患または第I群疾患に対する感受性を診断する方法が提供される。この方法は、接着タンパク質またはプロテアーゼまたはプロテアーゼ阻害剤のポリペプチドにおける多型、あるいは接着タンパク質またはプロテアーゼまたはプロテアーゼ阻害剤のポリペプチドをコードする核酸における多型で、第I群疾患に関連する多型の存在の有無を検出することを含む。
【0010】
好ましくは、接着タンパク質は、表D2.1および表D5.1に示される接着タンパク質からなる群から選択され、好ましくは、コルネオデスモシン、デスモグレインI、デスモグレイン3、プラコグロビン、デスモプラキン、デスモコリンI、およびエンボプラキン、セリンリッチタンパク質、好ましくは小さいプロリンリッチタンパク質(SPRR)、SPRR2A、SPRR1B、SPRK、SPRR2E、SPRR2F、SPRR2B、SPRR2D、SPRR2C、SPRR2G、SPRR1A、SPRR3、SPRR4、インボルクリンまたはロリクリンである。
【0011】
好ましくは、プロテアーゼは、表D3.1および表D6.1に示されるプロテアーゼからなる群から選択され、好ましくは角質層キモトリプシン様酵素(SCCE)または角質層トリプシン様酵素(SCTE)である。
【0012】
好ましくは、プロテアーゼ阻害剤は、表D4.1および表D7.1に示されるプロテアーゼ阻害剤からなる群から選択され、好ましくは、分泌型ロイコプロテアーゼ阻害剤(SLPI)、エラフィンプロテアーゼ阻害剤3(PI3もしくはSKALP)またはシスタチンA(CSTA)である。
【0013】
好ましくは、第I群疾患は、アトピー性湿疹、脂漏性湿疹、刺激性接触皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎、肺アトピー性喘息、ウイルス感染後喘息、気管支反応亢進、慢性閉塞性肺疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、セリアック病、消化性潰瘍化、膿痂疹、ウイルス性いぼ、伝染性軟属腫、細菌性髄膜炎、ウイルス性髄膜炎、ヘリコバクター・ピロリの侵入に関連する消化性潰瘍化、皮膚黒色腫、扁平上皮ガン、基底細胞ガン、皮膚型リンパ腫、皮膚ガン、胃腸管悪性腫瘍、および肺悪性腫瘍からなる群から選択される。
【0014】
本発明者らは、本発明の第3の態様によれば、個体における第I群疾患または第I群疾患に対する感受性を診断する方法を提供するが、この方法は、接着タンパク質またはプロテアーゼまたはプロテアーゼ阻害剤あるいは接着タンパク質またはプロテアーゼまたはプロテアーゼ阻害剤のフラグメントの存在または非存在または調節されたレベルを個体において検出することを含む。
【0015】
本発明の第4の態様として、第I群疾患を処置または予防する方法が提供される。この方法は、細胞間の接着を担う接着タンパク質の発現および/または活性をアップレギュレーションさせること、またはそのような接着タンパク質のタンパク質分解をダウンレギュレーションさせることを含む。
【0016】
好ましくは、本発明の処置方法は、接着タンパク質の発現および/または活性が転写レベルまたは翻訳レベルまたはその両方でアップレギュレーションされる方法である。
【0017】
あるいは、またはさらに、接着タンパク質のタンパク質分解に関与するプロテアーゼの発現および/または活性および/または分解がダウンレギュレーションされる。
【0018】
その上、あるいは、またはさらに、接着タンパク質のタンパク質分解に関与するプロテアーゼの活性を阻害することを担うプロテアーゼ阻害剤の発現および/または活性がアップレギュレーションされ、かつ/またはそのようなプロテアーゼ阻害剤の分解がダウンレギュレーションされる。
【0019】
接着タンパク質のタンパク質分解は、プロテアーゼ阻害剤またはそのフラグメントを投与すること、プロテアーゼのアンタゴニストまたはそのフラグメントを投与すること、プロテアーゼ阻害剤のアゴニストを投与すること、プロテアーゼの発現を低下させること、プロテアーゼの活性を低下させること、プロテアーゼ阻害剤の発現を増大させること、プロテアーゼ阻害剤の活性を増大させることの1つまたは2つ以上によって低下させることができる。
【0020】
本発明は、第6の態様において、第I群疾患を処置または予防する方法を提供する。この方法は、そのような疾患に罹患している患者またはそのような疾患に罹患する可能性を有する患者に、接着タンパク質またはプロテアーゼまたはプロテアーゼ阻害剤あるいは接着タンパク質またはプロテアーゼまたはプロテアーゼ阻害剤のフラグメントの疾患非関連形態の治療効果的な量を投与することを含む。
【0021】
好ましくは、この方法は、プロテアーゼ活性を阻害することができるプロテアーゼ阻害剤またはそのフラグメントを投与することを含む。
【0022】
好ましくは、この方法は、SLPIのフラグメントを投与すること、好ましくは、CGKS(SB7a)およびCGKSCVSPVKA(SB7b)、KIIDGA、GDKIIDGA、GDKIID、KII、KIID、KIIDG、KIIDGA、LDPVD(651)、KRDLK(652)、LDPVDTPNP(653)、LDPVDTPNPTRRKPG(654)、CGKSCVSPVKA(644)、CVSPVKA(643)からなる群から選択されるペプチドを投与すること、最も好ましくは、ペプチド643またはペプチド651またはペプチド653を投与することを含む。
【0023】
あるいは、またはさらに、この方法は、TNF−αおよび/またはIL−βを投与することを含む。
【0024】
好ましくは、第1群疾患は湿疹(好ましくはアトピー性湿疹)または皮膚炎(好ましくは疱疹状皮膚炎)である。
【0025】
本発明の第7の態様において、個体における第II群疾患または第II群疾患に対する感受性を診断する方法が提供される。この方法は、接着タンパク質またはプロテアーゼまたはプロテアーゼ阻害剤のポリペプチドにおける多型、あるいは接着タンパク質またはプロテアーゼまたはプロテアーゼ阻害剤のポリペプチドをコードする核酸における多型で、第II群疾患に関連する多型の存在の有無を検出することを含む。
【0026】
本発明の第8の態様によれば、本発明者らは、第II群疾患を処置または予防する方法で、細胞間の接着に関する接着タンパク質の発現および/または活性をダウンレギュレーションさせること、またはそのような接着タンパク質のタンパク質分解をアップレギュレーションさせることを含む方法を提供する。
【0027】
好ましくは、接着タンパク質の発現および/または活性が転写レベルまたは翻訳レベルまたはその両方でダウンレギュレーションされる。
【0028】
あるいは、またはさらに、接着タンパク質のタンパク質分解に関与するプロテアーゼの発現および/または活性および/または分解がアップレギュレーションされる。
【0029】
その上、あるいは、またはさらに、接着タンパク質のタンパク質分解に関与するプロテアーゼの活性を阻害することを担うプロテアーゼ阻害剤の発現および/または活性がダウンレギュレーションされ、かつ/またはそのようなプロテアーゼ阻害剤の分解がアップレギュレーションされる。
【0030】
好ましくは、接着タンパク質のタンパク質分解は、プロテアーゼまたはそのフラグメントを投与すること、プロテアーゼのアゴニストを投与すること、プロテアーゼ阻害剤のアンタゴニストを投与すること、プロテアーゼの発現を増大させること、プロテアーゼの活性を増大させること、プロテアーゼ阻害剤の発現を低下させること、プロテアーゼ阻害剤の活性を低下させることの1つまたは2つ以上によって増大させられる。
【0031】
本発明者らは、本発明の第9の態様によれば、第II群疾患を処置または予防する方法で、そのような疾患に罹患している患者またはそのような疾患に罹患する可能性を有する患者に、接着タンパク質またはプロテアーゼまたはプロテアーゼ阻害剤あるいは接着タンパク質またはプロテアーゼまたはプロテアーゼ阻害剤のフラグメントの疾患非関連形態の治療効果的な量を投与することを含む方法を提供する。
【0032】
好ましくは、この方法は、接着タンパク質またはそのフラグメントを投与することを含む。
【0033】
好ましくは、この方法は、デスモコリンIのフラグメント(好ましくは、ペプチド641の配列を含むペプチド)、またはデスモプラキンのフラグメント(好ましくは、ペプチド642の配列を含むペプチド)を投与することを含む。
【0034】
本発明の第10の態様によれば、接着タンパク質またはプロテアーゼまたはプロテアーゼ阻害剤(好ましくは、疾患関連形態の接着タンパク質またはプロテアーゼまたはプロテアーゼ阻害剤)と特異的に結合することができるポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体が提供される。
【0035】
本発明の第11の態様として、本発明者らは、接着タンパク質またはプロテアーゼまたはプロテアーゼ阻害剤に結合することができる分子を同定するための方法を提供する。この方法は、接着タンパク質またはプロテアーゼまたはプロテアーゼ阻害剤ポリペプチドを候補化合物と接触させること、および候補化合物が接着タンパク質またはプロテアーゼまたはプロテアーゼ阻害剤に結合するかどうかを測定することを含む。
【0036】
本発明者らは、本発明の第12の態様によれば、上記態様による方法によって同定される化合物を提供する。
【0037】
本発明の第13の態様によれば、本発明者らは、プロテアーゼの活性を調節することができる分子を同定するための方法を提供する。この方法は、(a)接着タンパク質を提供すること、(b)プロテアーゼを提供すること、(c)接着タンパク質を候補分子の存在下でプロテアーゼにさらすこと、および(d)プロテアーゼによる接着タンパク質の切断または非切断を検出することを含む。
【0038】
本発明の第14の態様によれば、本発明の前記第13の態様による方法によって同定された化合物で、プロテアーゼによる接着分子の切断を増強することができる化合物の、第II群疾患を処置するための使用が提供される。
【0039】
本発明者らは、本発明の第15の態様によれば、本発明の前記第13の態様の方法によって同定された化合物で、プロテアーゼによる接着分子の切断を阻害することができる化合物の、第I群疾患を処置するための使用を提供する。
【0040】
本発明の第16の態様として、異種の接着タンパク質またはプロテアーゼまたはプロテアーゼ阻害剤(好ましくは、疾患関連形態の接着タンパク質またはプロテアーゼまたはプロテアーゼ阻害剤)を発現するトランスジェニック非ヒト動物が提供される。本発明の第17の態様では、調節されたレベル(好ましくは、アップレギュレーションされたレベルまたはダウンレギュレーションされたレベル)の接着タンパク質またはプロテアーゼまたはプロテアーゼ阻害剤を発現するトランスジェニック非ヒト動物が提供される。本発明の第18の態様によれば、本発明者らは、接着タンパク質またはプロテアーゼまたはプロテアーゼ阻害剤を実質的に発現しないトランスジェニック非ヒト動物を提供する。そのような動物は、皮膚疾患のモデルとして、好ましくは第I群疾患または第II群疾患のモデルとして使用することができる。
【0041】
(詳細な説明)
本発明者らは、接着タンパク質の調節されたタンパク質分解が健全な皮膚にとって重要であることを明らかにしている。本発明者らは、様々な皮膚疾患の根本的原因が、角質細胞間の増大した接着、または角質細胞間の低下した接着、またはそうでない場合には角質細胞間の異常な接着をもたらす、接着タンパク質のタンパク質分解の調節における崩壊であることを示している。そのような異常なタンパク質分解には様々な原因が考えられ、これには、接着タンパク質遺伝子における変異、接着タンパク質に作用するプロテアーゼにおける変異、および/またはそのようなプロテアーゼに作用して、その活性を調製するプロテアーゼ阻害剤における変異が含まれる。
【0042】
本発明者らは、そのような疾患の処置および防止が、接着タンパク質のタンパク質分解を調節することによって達成され得ることを示している。本発明者らはまた、接着タンパク質および/またはプロテアーゼおよび/またはプロテアーゼ阻害剤におけるそのような変異の検出が、様々な皮膚疾患および/またはそのような疾患に対する感受性を診断するために使用できることを明らかにしている。
【0043】
従って、例えば、本発明者らは、接着タンパク質をコードする遺伝子(例えば、コルネオデスモシンをコードする遺伝子(S遺伝子)など)における変異は角質細胞などの上皮細胞間の低下した接着または増大した接着をもたらし、これにより疾患が生じることを示している。その上、そのような接着タンパク質に関連する遺伝子(例えば、染色体6p21におけるMHC表皮遺伝子クラスター内の遺伝子)における変異もまた上皮細胞間の低下した接着をもたらす。本発明者らは、+1243位、+180位および+619位を含む様々な位置において特定の変異を特定し、それらを第I群疾患および第II群疾患に関連させている。
【0044】
さらに、本発明者らは、タンパク質分解酵素をコードする遺伝子(第19染色体のq13バンドにおける角質層キモトリプシン様酵素(SCCE)遺伝子および/または角質層トリプシン様酵素(SCTE)遺伝子など)および第17染色体内の関連するセリンプロテアーゼ遺伝子における変異はこれらの酵素の増大した活性をもたらし、結果として、角質細胞の早すぎる落屑をもたらすことを示している。具体的には、本発明者らは、AACCAACC配列とアトピー性湿疹および他の第I群疾患との関連を確認している。
【0045】
さらに、SKALPおよびSLPIなどのセリンプロテアーゼ阻害剤遺伝子における変異は落屑プロセスの調節不全をもたらす。従って、例えば、S遺伝子、SCCE遺伝子、SCTE遺伝子、SKALP遺伝子、SLPI遺伝子またはこれらの遺伝子の任意の組合せにおける変異は表皮バリア機能の障害をもたらす。これらの遺伝子における変異が一緒に存在すると、表皮バリア機能欠陥の重篤度が大きくなる。
【0046】
従って、本発明者らは、そのような変異を検出することによって、上皮細胞間の異常な細胞−細胞接着に関連する疾患を診断する方法を提供する。さらに、本発明者らはまた、そのようなプロテアーゼ遺伝子およびプロテアーゼ阻害剤遺伝子の発現を調節することによって、上皮細胞間の異常な細胞−細胞接着に関連する疾患を処置する方法を提供する。
【0047】
疾患の「処置」に対する言及がなされる場合、これは、そのような疾患の症状の軽減に対する言及を含むことを理解しなければならない。好ましくは、そのような疾患を有する個体の症状の実質的にすべてが軽減または除去される。「疾患」は、個体の健康状態または安寧を冒している任意の症状ならびに任意の状態を含むことを理解しなければならない。好ましくは、個体は、本明細書に記載される方法および組成物を使用して、少なくとも1つの疾患症状または状態から解放される。好ましくは、個体は、正常な非罹患者の状態に実質的に復帰する。これは、関連する臨床パラメーターを使用して医師によって評価され得る。
【0048】
同様に、疾患の「診断」に対する言及がなされる場合、これは、そのような疾患そのものの診断、ならびに疾患に対する感受性の診断の両方を含むことを理解しなければならない。本明細書に開示される診断方法はまた、疾患の診断において有用な徴候を提供する方法として用いることができる。
【0049】
別途定義されない限り、本明細書中で使用されるすべての技術的用語および科学的用語は、(例えば、細胞培養、分子遺伝学、核酸化学、ハイブリダイゼーション技術および生化学における)当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。標準的な様々な技術が、分子的方法、遺伝学的方法および生化学的方法(一般的には、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版(1989)、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.および;Ausubelら、Short Protocols in Molecular Biology(1999)、第4版、John Wiley&Sons,Incを参照のこと。これらは参考として本明細書中に組み込まれる)、化学的方法、薬学的な配合物および送達、ならびに患者の処置のために使用される。
【0050】
表皮バリア機能
本明細書に記載される方法および組成物は主に、異常な表皮バリア機能に関連するか、または異常な表皮バリア機能を特徴とする疾患の診断および/または処置に関する。
【0051】
皮膚は、水を体内に保持し、かつ環境的因子の体内への侵入を防止するバリアである。侵入を阻止するこの能力は、体内の恒常性を維持するためには不可欠である(Cork、1997)。表皮は、基底層(または胚芽層)における分裂によって形成される非常に詰まった角化細胞の層から構成される。角化細胞が有棘層および顆粒層を通って上に移動するに従い、角化細胞は分化して、ケラチンおよび微小繊維および微小管からなる堅い内部構造体が形成される。表皮内において、バリア機能は典型的には角質層によって行われ、そしてコルネオデスモソームによる媒介(MentonおよびElisen、1971;ChapmanおよびWalsh、1990;Northら、1999)によりもたらされる角質細胞間の強い接着に依存している(Egelrud、2000)。
【0052】
角質層は、核を失っている平坦化した死細胞の層から構成され、その間には、脂質およびタンパク質の複雑な混合物が存在する。角質層は、成長可能な表皮における角化細胞の増殖および分化によって絶えず置き換えられているバリアである。一定した角質層厚を特定の身体部位において維持するために、角質層の表面部分は、その産生を平衡させる速度での落屑プロセスで絶えず生え替わらなければならない。
【0053】
従って、表皮の「バリア機能」または「表皮バリア機能」は、これらの用語が本明細書中で使用されるとき、外部因子の侵入を阻止する表皮層の能力を示すことが意図される。従って、本発明の方法および組成物は、個体の表皮バリア機能を調節することによって作用する。詳細には、本明細に記載される方法および組成物は、疾患を処置および/または診断するために使用することができ、この場合、そのような疾患に罹患している個体における表皮バリアが調節され、すなわち、正常な個体における表皮バリアと比較したとき、増強されるか、または弱められる。
【0054】
バリア機能の測定は様々な方法で行うことができる。例えば、Franzチャンバー/カダベルシステム(これはまたFranzチャンバー浸透システムとして知られている)を使用することができる。このシステムは、バリアを通過する物質を測定することによってバリア機能を測定し、従って、測定条件の影響を受けにくい(robust)迅速かつ容易なシステムであるという点で利点を有している。
【0055】
損なわれたバリア機能
損なわれたバリア機能は、下記に詳しく記載される第I群疾患の特徴である。
【0056】
表皮は、外部因子に対する透過性が、同じ人または別人に由来する正常な健全な表皮よりも大きいとき、バリア機能が損なわれている。従って、バリア機能が損なわれた表皮は、そうでない場合よりも大きい外部因子の浸透を許す。好ましくは、バリア機能が損なわれた表皮は、外部因子に対する透過性が、正常な表皮よりも20%以上大きく、または40%以上大きく、または60%以上大きく、または80%以上大きく、または100%以上大きい。好ましくは、正常な表皮バリアを実質的に横断することができない分子が、バリア機能が損なわれた表皮のバリアを横断することができる。
【0057】
浸透または透過性の増大は、好ましくは、因子または薬物の量の増大、表皮層を通過することができる因子または薬物の活性(関連する化学的活性、生物学的活性または酵素活性など)の増大によって反映される。例えば、従って、バリア機能が損なわれた表皮は、好ましくは、正常な表皮の5%以上または10%以上または20%以上または30%以上または40%以上または50%以上または60%以上または70%以上または80%以上または90%以上または100%以上の、因子または薬物の浸透を可能にする。
【0058】
透過性または浸透の増大はまた、遅れる分子と比較して通過する分子の増大した比率、あるいは添加された分子と比較したときの通過する分子の増大した比率によって反映される場合がある。この比率Nは、本明細書に記載されるような方法および組成物によって5%または10%または20%または30%または40%または50%または60%または70%または80%または90%または100%またはそれよりも大きく増大させることができる。
【0059】
表皮バリア機能の測定は様々な方法で行うことができる。同様に、因子または組成物が浸透するレベルまたは程度は、当業者に知られている様々な技術によって測定することができる。例えば、活性な化合物またはトレーサー化合物を放射能標識し、その後、皮膚によって吸収された放射能標識化合物の量を測定することにより、当業者は、試験化合物の皮膚浸透を測定するいくつかの方法のいずれかを使用して、吸収された組成物のレベルを決定することができる。皮膚の層を横断する放射能標識化合物の量の測定もまた行うことができる。
【0060】
好ましい実施形態において、Franzチャンバー/カダベルシステム(これはまたFranzチャンバー浸透システムとして知られている)が、因子の浸透を測定するために使用される。このシステムでは、バリア機能が、皮膚片を通って受容液に至る放射能標識化合物の量の測定を可能にすることによって測定される。Franzチャンバーは、実験条件の影響を受けにくい迅速かつ容易なシステムであるという点で利点を有しており、下記においてより詳しく記載される。
【0061】
増強されたバリア機能
バリア機能が増大している表皮は、外部因子に対する透過性が、同じ人または他人に由来する正常な健全な表皮よりも低い。
【0062】
表皮は、外部因子に対する透過性が、同じ人または他人に由来する正常な健全な表皮よりも低いとき、増大または増強されたバリア機能を有する。従って、バリア機能が損なわれている表皮は、そうでない場合よりも小さい外部因子の浸透を許す。好ましくは、そのような表皮は、外部因子に対する透過性が正常な表皮の90%または80%または70%または60%または40%または20%または10%または5%またはそれ以下である透過性を有する。好ましくは、正常なバリア機能を有する表皮を横断することができる分子は、バリア機能が増大または増強されている表皮を実質的に横断することができない。
【0063】
浸透または透過性の低下は、好ましくは、因子または薬物の量の低下、表皮層を通過することができる因子または薬物の活性(関連する化学的活性、生物学的活性または酵素活性など)の低下によって反映される。例えば、従って、バリア機能が増強された表皮は、好ましくは、正常な表皮の90%以下、より好ましくは80%以下、より好ましくは70%以下、より好ましくは60%以下、より好ましくは50%以下、より好ましくは40%以下、より好ましくは30%以下、より好ましくは20%以下、より好ましくは10%以下、最も好ましくは5%以下の、因子または薬物の浸透を可能にする。
【0064】
透過性または浸透の低下はまた、遅れる分子と比較して通過する分子の低下した比率、あるいは添加された分子と比較したときの通過する分子の低下した比率によって反映される場合がある。この比率Nは、本明細書に記載されるような方法および組成物によって5%または10%または20%または30%または40%または50%または60%または70%または80%または90%または100%またはそれよりも大きく低下させることができる。
【0065】
第I群疾患:低下した細胞−細胞接着との関連
1つの実施形態において、本明細書に開示される方法は、特に上皮細胞(特に角質細胞)の低下した細胞−細胞接着に関連する疾患の処置および診断に好適である。そのような疾患は、本明細書中では、「第I群疾患」として示され、従って、損なわれたバリア機能または低下したバリア機能の疾患である。
【0066】
第I群疾患には、3つのサブグループを認めることができる。それぞれのグループにおいて、損なわれたバリア機能により、上皮バリアを通る異物の侵入が可能になっている。異物が上皮バリアを通って侵入すると、異物は宿主細胞と相互作用して、疾患表現型をもたらす。
【0067】
第I群疾患の第1のサブグループ(サブグループ1.1)は、刺激物またはアレルゲンまたは他の異物の侵入を許す損なわれたバリアを特徴とする。これらの異物は身体の免疫系と相互作用して、異常な炎症性応答を生じさせ、これが次に組織の破壊をもたらす。異物に対する免疫応答は、関連する遺伝的素因の結果として増強されることがある。皮膚を冒すそのような疾患の例には、アトピー性湿疹、脂漏性湿疹、刺激性接触皮膚炎、およびアレルギー性接触皮膚炎が含まれる。肺を冒すそのような疾患の例には、アトピー性喘息、ウイルス感染後喘息/気管支反応亢進、および慢性閉塞性肺疾患が含まれる。腸を冒すそのような疾患の例には、クローン病、潰瘍性大腸炎、セリアック病、および消化性潰瘍化が含まれる。
【0068】
第I群疾患の第2のサブグループ(サブグループ1.2)は、細菌、ウイルス、他の微生物、または微生物生成物(例えば、スーパー抗原性の外毒素)の侵入を許す損なわれたバリアを特徴とする。その場合、微生物および/または微生物生成物により疾患プロセスがもたらされる。そのような疾患の例には、アトピー性湿疹、接触性皮膚炎、膿痂疹、ウイルス性いぼ、伝染性軟属腫、髄膜炎(細菌性およびウイルス性)、ヘリコバクター・ピロリの侵入によって引き起こされるか、またはヘリコバクター・ピロリの侵入に関連する消化性潰瘍化が含まれる。
【0069】
第I群疾患の第3のサブグループ(サブグループ1.3)は、発ガン物質の侵入を許す損なわれたバリアを特徴とする。発ガン物質は、それにより、上皮幹細胞集団に到達することができ、形質転換を誘導することができる。発ガン物質は、他の環境因子(例えば、紫外線)と一緒に発ガン補助物質として作用する場合がある。皮膚を冒すそのような疾患の例には、黒色腫、扁平上皮ガン、基底細胞ガン、皮膚型リンパ腫、および他の皮膚ガンが含まれる。腸を冒すそのような疾患の例には、胃腸管全体の悪性腫瘍が含まれる。肺悪性腫瘍は、肺を冒す疾患の例である。
【0070】
第I群疾患の処置
本明細書に記載される方法および組成物によれば、第I群疾患は、皮膚における上皮細胞間(例えば、角質細胞間)の低下した接着から生じる。これは、上皮細胞間の接着を調節するか、または上皮細胞間の接着を担う接着タンパク質(例えば、コルネオデスモシン)の発現および/または活性および/または分解における変化の結果として、ならびに/あるいは接着タンパク質を分解するプロテアーゼの発現および/または活性および/または分解における変化の結果として、ならびに/あるいは接着タンパク質を分解するプロテアーゼの阻害剤の発現および/または活性および/または分解における変化の結果として生じ得る。本発明者らは、上記のいずれか、または一部、またはすべてにおける変化が角質細胞などの上皮細胞間の低下した接着をもたらし得ることを発見した。
【0071】
一例として、遺伝的変異の結果としてその構造が変化している接着タンパク質は、接着活性が低下している場合があり、かつ/またはタンパク質分解酵素(プロテアーゼ)による分解をより受けやすくなっている場合がある。そのため、従って、第I群疾患の処置は、接着タンパク質(例えば、コルネオデスモシン)の発現を増大させることによって達成することができる。あるいは、または組合せにおいて、処置は、接着タンパク質の接着活性および/またはプロテアーゼ抵抗性を増強することによって達成することができる。従って、低下した細胞−細胞接着の原因となる接着タンパク質は、別の接着タンパク質で代用することができ、または接着活性および/もしくはプロテアーゼ抵抗性が増強された最初の接着タンパク質の変化体で代用することができ、あるいは別の接着タンパク質を補充することができ、または接着活性および/もしくはプロテアーゼ抵抗性が増強された最初の接着タンパク質の変化体を補充することができる。
【0072】
さらに、プロテアーゼの量および/または活性および/または生物利用性の増大は、接着タンパク質の増大した分解を生じさせることがある。そのため、従って、第I群疾患は、接着タンパク質を分解することに関わるプロテアーゼの発現および/または活性を低下させることによって処置することができる。例えば、そのようなプロテアーゼの転写および/または翻訳を、第I群疾患を処置するための手段としてダウンレギュレーションすることができる。従って、SCCEおよびSCTEなどのプロテアーゼの発現を、第I群疾患を処置するために、転写レベルおよび/または翻訳レベルで低下させることができる。
【0073】
低下した細胞−細胞接着の結果としての損なわれたバリア機能はまた、接着タンパク質を分解するプロテアーゼの阻害剤の量および/または活性および/または生物利用性が低下した場合にも生じ得る。従って、上記の変化のいずれか、またはいくつか、またはすべての組合せは、細胞−細胞接着のより大きい低下および損なわれたバリア機能をもたらし得る。
【0074】
従って、接着タンパク質を分解し得るプロテアーゼ活性を阻害することができるプロテアーゼ阻害剤の発現および/または活性を、第I群疾患を処置するための手段としてアップレギュレーションすることができる。その発現および/または活性がアップレギュレーションされるプロテアーゼ阻害剤は、問題としているプロテアーゼ(すなわち、接着タンパク質のタンパク質分解を関わるプロテアーゼ)を生理学的に阻害する天然のプロテアーゼ阻害剤であり得る。そのようなプロテアーゼ阻害剤は、本明細書では「一次」プロテアーゼ阻害剤として示される。従って、本発明者らは、SCCEおよびSCTEなどのプロテアーゼの活性を低下させるためにプロテアーゼ阻害剤(例えば、SKALPおよびSLPI)の転写および/または翻訳を活性化することによって第I群疾患を処置する方法を提供する。さらに、二次プロテアーゼ阻害剤(すなわち、プロテアーゼ活性の生理学的調節に通常の場合には関与していないプロテアーゼ阻害剤)もまた、一次プロテアーゼ阻害剤の活性を補充および/または代替するために使用することができる。
【0075】
さらに、本明細書に記載される方法および組成物は、第I群疾患に罹患している個体または第I群疾患に罹患する可能性を有する個体にプロテアーゼ阻害剤またはプロテアーゼ阻害剤のフラグメントを投与することを含む。プロテアーゼ阻害剤および/またはフラグメントは天然ペプチドまたは合成ペプチドの形態で投与することができる。好ましくは、ペプチドはプロテアーゼ阻害剤の活性な部分を含む。好ましくは、ペプチドは、1つまたは複数のプロテアーゼ活性を阻害することができる。好適なペプチドは、分泌型ロイコプロテアーゼ阻害剤(SLPI)、エラフィンプロテアーゼ阻害剤3(PI3もしくはSKALP)またはシスタチンA(CSTA)を含む任意のプロテアーゼ阻害剤に対して設計することができる。
【0076】
好ましくは、ペプチドは、CGKS(SB7a)およびCGKSCVSPVKA(SB7b)、KIIDGA、GDKIIDGA、GDKIID、KII、KIID、KIIDG、KIIDGA、LDPVD(651)、KRDLK(652)、LDPVDTPNP(653)、LDPVDTPNPTRRKPG(654)、CGKSCVSPVKA(644)、CVSPVKA(643)からなる群から選択される。好ましい実施形態において、ペプチドはペプチド643またはペプチド651またはペプチド653を含む。
【0077】
さらに、角質層キモトリプシン様酵素/トリプシン様酵素などのプロテアーゼの天然阻害剤が活性において不完全であるか、または低下していることが見出される場合、これらは、この分野で知られているようなキモトリプシン、ダイズトリプシン阻害剤、カテプシンGまたは他のプロテアーゼ阻害剤などの二次プロテアーゼ阻害剤により代替または補充することができる。一次プロテアーゼ阻害剤には、抗ロイコプロテアーゼおよびエラフィンが含まれる。そのような一次プロテアーゼ阻害剤および/または二次プロテアーゼ阻害剤は、より詳しくは下記に記載されるような薬学的組成物の形態で、全身的に、または好ましくは上皮表面に適用することができる。
【0078】
皮膚を例として使用すると、プロテアーゼ阻害剤を上皮表面に適用することができ、この場合、プロテアーゼ阻害剤は、例えば、角質層キモトリプシン酵素に対して拮抗する。そのようなプロテアーゼ阻害剤は皮膚軟化剤基剤に配合することができる。プロテアーゼ阻害剤は、コルネオデスモシンなどの接着タンパク質の分解を阻害し、その結果として、角質細胞間の密着を増大させ、表皮バリアの構造および/または抵抗性を改善する。
【0079】
プロテアーゼ阻害剤をコードする1つ以上の遺伝子の発現は、プロテアーゼ阻害剤が一次プロテアーゼ阻害剤または二次プロテアーゼ阻害剤であるとしても、プロテアーゼ阻害剤の活性を増大させるために使用することができる。例えば、本発明者らは、プロテアーゼ阻害剤の活性を増大させて接着タンパク質のタンパク質分解を低下させるために、例えば、キモトリプシン、ダイズトリプシン阻害剤、カテプシンGまたは他のプロテアーゼ阻害剤を発現する発現ベクターの皮下注射(またはそれ以外の注射)を提供する。さらに、上記に示されるように、一次プロテアーゼ阻害剤の内因性産生を、この分野で知られている手段によって、関連するプロテアーゼ阻害剤遺伝子の転写および/または翻訳をアップレギュレーションすることによって増強することができる。
【0080】
さらに、本発明者らは、第I群疾患を処置するために、上皮タンパク質もしくはデスモソームタンパク質の病原性形態の不活性化、および/または上皮タンパク質もしくはデスモソームタンパク質の非病原性形態の活性化を提供する。従って、ヘテロ接合性患者において、デスモソームタンパク質(例えば、コルネオデスモシン)の非病原性形態の発現を、この分野で知られている手段によってアップレギュレーションすることができる。あるいは、または組み合わせて、デスモソームタンパク質(例えば、コルネオデスモシン)の病原性形態の発現を、この分野で知られている手段によってダウンレギュレーションすることができる。そのようなタンパク質の病原性形態および非病原性形態は、遺伝子分析およびタンパク質分解プロフィルなどの、そして下記に詳しく記載されるようなこの分野で知られている手段によって同定することができる。
【0081】
第I群疾患の診断
接着タンパク質および/またはプロテアーゼおよび/またはプロテアーゼ阻害剤における変異は第I群疾患に関連する。そのような変異は実施例A1〜A6および実施例B1〜B6に開示される。これらの変異のいずれかを、第I群疾患を診断するために、関連する遺伝子または核酸またはポリペプチドにおいて検出することができる。
【0082】
第II群疾患:増大した細胞−細胞接着との関連
別の実施形態において、本明細書に開示される方法および組成物は、上皮細胞(特に角質細胞)の増大した細胞−細胞接着を特徴とする疾患の処置および診断に好適である。そのような疾患は、本明細書中では第2群疾患として示される。従って、第2群疾患は、増大または増強されたバリア機能の疾患である。
【0083】
第II群疾患
第2群疾患の例には、乾癬、魚鱗癬、尋常性ざ瘡および毛孔性角化症が含まれる。
【0084】
第2群疾患は、皮膚における上皮細胞間(例えば、角質細胞間)の増大した接着から生じ得る。増大した接触は角質層の増大した厚さをもたらす。例えば、乾癬および魚鱗癬では、角質層の全身性の肥厚が存在する。ざ瘡では、入口から毛嚢脂腺管における角質層の局所化された限局的肥厚が存在する。
【0085】
増大した接着は、上皮細胞間の接着を調節するか、または上皮細胞間の接着を担う接着タンパク質(例えば、コルネオデスモシン)の発現および/または活性および/または分解における変化の結果として、ならびに/あるいは接着タンパク質を分解するプロテアーゼの発現および/または活性および/または分解における変化の結果として、ならびに/あるいは接着タンパク質を分解するプロテアーゼの阻害剤の発現および/または活性および/または分解における変化の結果として生じ得る。本発明者らは、上記のいずれか、または一部、またはすべてにおける変化が角質細胞などの上皮細胞間の増大した接着をもたらし得ることを発見した。
【0086】
一例として、遺伝的変異の結果としてその構造が変化している接着タンパク質は、より接着的になっている場合があり、かつ/またはタンパク質分解酵素(プロテアーゼ)による分解をより受けなくなっている場合がある。そのため、従って、本明細書に記載される方法および組成物は、増強された接着活性を有する変異接着タンパク質の活性および/または発現をダウンレギュレーションすることによって第2群疾患を処置するために使用することができる。従って、低下したタンパク質分解的分解に関連するコルネオデスモシンの病原性形態をこの分野で知られている方法によって同定することができる。これらは、病変層エンベロープの表面層におけるコルネオデスモシンタンパク質の全長形態(52〜56kDa)に対応し得る。コルネオデスモシンの病原性形態は、正常皮膚および病変皮膚から得られるタンパク質分解プロフィルを比較することによって同定することができる。例えば、皮膚ストリップからのタンパク質抽出物を使用し、そしてコルネオデスモシンを認識する抗体を用いてプローブされるウエスタンブロットを使用することができる。コルネオデスモシンタンパク質の病原性形態はまた、ケースコントロール研究および伝達非平衡研究(TDT、実施例を参照のこと)を使用する遺伝子分析によって同定することができる。例えば、乾癬では、最も可能性のある病原性形態は、CD2ハプロタイプによりコードされる形態である(Jenischら、1999)。そのような病原性形態の転写を転写レベルおよび/または翻訳レベルで阻止することができる。コルネオデスモシンの病原性形態についてヘテロ接合性の患者は、このタンパク質の非病原性形態をコードする代わりの対立遺伝子を活性化することによって処置することができる。
【0087】
さらに、プロテアーゼの量および/または活性および/または生物利用性の低下は、接着タンパク質の低下した分解を生じさせることがある。そのため、従って、第2群疾患は、接着タンパク質を分解することに関わるプロテアーゼの発現および/または活性を増大させることによって処置することができる。例えば、そのようなプロテアーゼの転写および/または翻訳を、第2群疾患を処置する手段としてアップレギュレーションすることができる。
【0088】
増大した細胞−細胞接着は、接着タンパク質を分解するプロテアーゼの阻害剤の量および/または活性および/または生物利用性が増大した場合に生じることがある。従って、上記の変化のいずれか、またはいくつか、またはすべての組合せは、細胞−細胞接着の増大をもたらし得る。
【0089】
従って、接着タンパク質を分解し得るプロテアーゼ活性を阻害することができるプロテアーゼ阻害剤の発現および/または活性を、第1群疾患を処置するための手段としてダウンレギュレーションすることができる。その発現および/または活性がダウンレギュレーションされるプロテアーゼ阻害剤は、典型的には、問題としているプロテアーゼ(すなわち、接着タンパク質のタンパク質分解を関わるプロテアーゼ)を阻害する天然のプロテアーゼ阻害剤である。そのようなプロテアーゼ阻害剤は、本明細書では「一次」プロテアーゼ阻害剤として示される。プロテアーゼ阻害剤の発現は転写レベルおよび/または翻訳レベルで達成することができる。
【0090】
乾癬
本明細書に記載される組成物および方法は、乾癬の症状を処置または緩和するために好適であり、本発明者らはさらに乾癬の診断方法を提供する。
【0091】
乾癬は、銀のような白色鱗片で覆われた炎症化した膨潤皮膚病変として発現する。乾癬の特徴には、膿様水疱(膿疱性乾癬)、皮膚の重症な剥脱(紅皮性乾癬)、滴様の斑点(滴状乾癬)、および平坦な炎症化病変(逆(inverse)乾癬)が含まれる。
【0092】
乾癬の原因は現在不明であるが、遺伝的成分を伴う自己免疫皮膚障害として明らかにされている。3人に1人の割合で乾癬の家族歴が報告されるが、遺伝パターンは存在しない。しかし、この疾患の明かな家族歴を有しない小児が乾癬を発症する症例が多く存在する。人が実際に乾癬を発症するかどうかは、敗血性咽頭炎などの全身的感染症、皮膚に対する傷害(ケブネル現象)、予防接種、ある種の医薬品、および筋肉内注射または経口ステロイド医薬品を含む「トリガー因子」に依存し得る。乾癬を発症させる人の遺伝的傾向の引き金が何かによって引かれると、次に免疫系が過度の皮膚細胞再生産を開始させると考えられている。
【0093】
皮膚細胞は、通常の増殖または外傷治癒の2つの考えられるプログラムに従うようにプログラムされている。通常の増殖パターンでは、皮膚細胞は基底細胞層で作られ、その後、表皮を通って角質層(皮膚の最外層)に上がっていく。この通常のプロセスは細胞の誕生から死まで約28日かかる。皮膚が傷ついたとき、外傷治癒プロセス(再生的成熟化)が開始され、この場合には、細胞がはるかにより早い速度で産生され、血液供給が増大し、そして局所的な炎症が生じる。病変的乾癬は、代わりの増殖プログラムでの細胞増殖を特徴とする。皮膚細胞(角化細胞)は通常の増殖プログラムから再生的成熟化に切り替わり、細胞が作られ、そして2日〜4日もの短期間で表面に押し出され、従って、皮膚は十分にしっかり細胞を生え替えることができない。過度の皮膚細胞は積み重なり、隆起した鱗片状病変を形成する。病変部を通常覆う白色の鱗片(「斑」)は、死んだ皮膚細胞から構成されるが、病変部の赤みが、迅速に分裂している皮膚細胞の領域に対する増大した血液供給によって生じる。
【0094】
乾癬は、2つの生物学的特徴を特徴とする、皮膚の遺伝的に決定される疾患である。第1に、促進され、かつ不完全な分化に関連する顕著な表皮の過増殖が存在する。第2に、Tリンパ球の増大した補充を伴う表皮および真皮の両方の著しい炎症が存在し、そして場合により、好中球の微小膿瘍が形成される。乾癬の多くの病理学的特徴は、表皮角化細胞の増殖および成熟化における変化が、表皮細胞の増大した増殖を伴って、0.2mmの皮膚表面内に生じるためであると考えることができる。乾癬の病因に対する従来の調査は表皮の増大した増殖および過形成に集中している。正常な皮膚では、細胞が基底層から顆粒層を通って移動する時間は4週間〜5週間である。乾癬病変では、この時間は、短くなった細胞サイクル時間のために、そして増殖し得る細胞の絶対数が増大しているために、そして実際に分裂している細胞の割合が増大しているために1/7〜1/10(sevenfold to tenfold)に低下する。このような過増殖現象はまた、実質的にはより小さい程度であるが、乾癬患者の臨床的に関与しない皮膚においても現れる。
【0095】
乾癬、尋常性乾癬の共通する形態は、厚い銀色の鱗片によって覆われる、境界が十分に明確である紅斑性の斑を特徴とする。特徴的な知見は、新しい乾癬病変が皮膚外傷部位において生じる同形応答(ケブネル現象)である。
【0096】
病変は四肢の伸筋表面に局在化することが多いが、爪および頭皮もまた一般には関わる。あまり一般的でない形態には、滴状乾癬(敗血性咽頭炎の後に始まることが多い、この疾患の一形態)、および膿疱性乾癬(これは、掌および足裏におけるか、または身体中に広がる、直径が2〜5mmであることが多い無数の無菌の膿疱を特徴とする)が含まれる。
【0097】
乾癬患者の処置の効果を明らかにするために用いられる客観的方法には、目視モニタリングおよび写真撮影による斑の消散が含まれる。目視スコア化は、PASI(乾癬面積および重篤度指数)スコアを使用して行われる(Fredericksson,A.J.、Peterssonn,BC、Dermatologies、157:238〜244(1978)を参照のこと)。
【0098】
乾癬には、英国人口の約2%が罹患しており、そして関節炎(7%〜25%で)およびクローン病が関連する。個人の自己秘密および社会的活動に対する影響は悲惨になり得る。現在、乾癬に対する治療は抑制的でしかなく、全身処置は著しい有害作用を有している。乾癬は多因子性疾患であり、ゲノムワイドスキャンにより、6p21、1q21、4q、19pおよび17qを含むいくつかの染色体に対する著しい連鎖が明らかにされている。6p21において、最も強い連関が主要組織適合性領域(MHC)に関して存在する。MHCのS遺伝子(コルネオデスモシン)がHLA−Cの160kbテロメア側に存在し、コルネオデスモソームの一成分として角化細胞分化の際に発現している。
【0099】
ざ瘡
本明細書に記載される方法および組成物はまた、ざ瘡を処置および/または診断するために好適である。
【0100】
ざ瘡には多くの患者が罹患しており、ざ瘡は、通常の場合には顔に局在化する一般的な炎症性の皮膚障害である。幸運なことに、この疾患は通常的に消散し、そして発症と消散との間の数ヶ月または数年の間隔で、治療は、治癒的ではないが、患者の大部分においてこの疾患を抑制することに成功することができる。
【0101】
重症な疾患を有する少数のざ瘡患者は、高用量で経口投与されるテトラサイクリン、ダプソーン、プレドニゾン、そして女性の場合にはエストロゲンの使用を含む集中的な治療活動に対する応答をほとんど示さない。多くの場合、これらの薬物は適度な抑制をもたらすだけであり、その一方で、これらの薬剤の副作用により、それらの有用性がひどく制限されている。小結節嚢胞性ざ瘡の患者は、顔に現れ、そして背中および胸に頻繁に現れる大きい炎症性の化膿性小結節に苦しんでいる。その出現に加えて、病変部はさわると痛く、そして多くの場合には化膿性の滲出性で出血性である。外観を損なう瘢痕が避けられないことが多い。
【0102】
ざ瘡に対する治療には、レチノイドの局所的投与および全身投与が伴う。all−trans−レチノイン酸(トレチノイン)の局所適用が、特にコメドおよびにきびに対して試みられており、ある程度の成功を得ているが、この状態は、処置を中断したとき、元に戻ることが多い。
【0103】
ざ瘡は、思春期の15%が臨床的が罹患し、85%が生理学的に罹患する非常に一般的な皮膚障害の1つである(主ざ瘡(acne major))。主ざ瘡患者の15%では、治療を必要とする病変が25歳まで持続する。ざ瘡は、4つの主要な病因的因子が存在する毛嚢性脂腺小胞を冒す疾患である。増大した皮脂産生、毛嚢性脂腺管の過角質化、異常な細菌機能、および炎症の生成(Cunliffe、1989)。軽度のざ瘡は大きい心理的影響を有し得るが、重症なざ瘡では、うつ病、そしてさらには自殺さえ生じさせることがある。失業が、一致したコントロールにおける9.25%と比較して、ざ瘡患者では16.5%にまで増大している。ざ瘡に対する現在の治療に関しては様々な問題がある。抗生物質に対する抵抗性の増大、および催奇性を含む経口イソトレチノインに由来する大きい有害作用、骨増殖の阻害および高脂血症。ざ瘡の処置は、皮膚科診療所において認められる新しい患者の6%〜10%である。
【0104】
接着タンパク質
用語「接着タンパク質」が本明細書中で使用される場合、これは、細胞間の接着を媒介する任意のタンパク質またはポリペプチドまたはペプチドに対する参照として理解しなければならない。従って、「接着タンパク質」には、細胞−細胞接着に関与する任意のタンパク質が含まれる。
【0105】
好ましくは、接着タンパク質は上皮細胞間の細胞−細胞接着を媒介する。すなわち、接着タンパク質は上皮細胞接着タンパク質である。好ましくは、接着タンパク質は表皮細胞間の細胞−細胞接着を媒介する。より好ましくは、接着タンパク質は角質細胞間の細胞−細胞相互作用を媒介する。好ましくは、接着タンパク質はコルネオデスモソームに存在する。最も好ましくは、接着タンパク質はデスモソームタンパク質またはコルネオデスモソームタンパク質である。
【0106】
接着タンパク質は、好適には、表D2.1および表D5.1に示される接着タンパク質からなる群から選択され得る。好ましくは、接着タンパク質は、コルネオデスモシン(AF030130)、デソプラキン(XM_004463)、プラコグロビン(NM_002230;NM_021991)、デスモグレイン1(XM_008810)、デスモコリン1(MX_008687)、エンボプラキン(XM_008135;U72543)、プレクチン1(NM000445)、S100A2(AI539439;M87068)、ケラチン6A(L42611)、ケラチン17(Z19574)、S100A8(AI126134)、S100A7(AA586894)、S100A9(GB:W72424)、SPRR2A(GB:M21302)、SPRR1B(M19888)、SPRK(AI923984)、HCR(BAA81890)、SEEK1(BAA88130)、SPR1(BAB63315)、STG(BAA88132)、インボルクリン(NM_005547)、アネキシンA1/リポコルチン(X05908)、VI型コラーゲンα3(COL6A3)(NM_004369)、トリコヒアリン(NM_005547)およびロリクリン(XM_048902)からなる群から選択される。GenBankアクセション番号が括弧内に示される。
【0107】
特に好ましい接着タンパク質は、デスモソームタンパク質、すなわち、コルネオデスモシン(これはまたSとして知られている;AF030130)、デスモグレイン1(XM_008810)、デスモコリン1(MX_008687)、デスモプラキンIおよびII(XM_004463)、プラコグロビン(これはまたPGとして知られている;NM_002230)、およびプラコフィリン(これはまたPPとして知られている)のいずれかを含む。
【0108】
非常に好ましい接着タンパク質には、コルネオデスモシン、デスモグレインI、デスモグレイン3、プラコグロビン、デスモプラキン、デスモコリンI、エンボプラキン、プロリンリッチタンパク質、好ましくは小さいプロリンリッチタンパク質(SPRR)、SPRR2A、SPRR1B、SPRK、SPRR2E、SPRR2F、SPRR2B、SPRR2D、SPRR2C、SPRR2G、SPRR1A、SPRR3、SPRR4、インボルクリンまたはロリクリンが含まれる。
【0109】
表皮細胞間の増大した接着もしくは低下した接着をもたらすか、またはそのような接着に関連する上記接着タンパク質のいずれかにおける変異および多型を、実施例において詳しく記載される方法によって検出することができる。そのような変化は、皮膚疾患またはそのような疾患に対する感受性を同定または診断するための手段として検出することができる。
【0110】
コルネオデスモシン
接着タンパク質における変異は、皮膚疾患またはそのような疾患に対する感受性を診断するための手段として検出することができる。非常に好ましい実施形態において、接着タンパク質はコルネオデスモシンである。
【0111】
コルネオデスモシン遺伝子は非常に多型である。今日まで、19個の変化体が文献に記載されている(Kasaharaら、1996;Jenischら、1999)。これらの多型は、突発的ではなく非常に保存されており、従って、本発明者らは、これらの多型が脊椎動物の進化時に選択されてきたと考えている。皮膚のバリア機能のために、強い抵抗性および/または動的機能を皮膚に与えるコルネオデスモシンのいくつかの形態が選択されている。強い連関が、+1243位におけるコルネオデスモシン変化体と慢性的な斑乾癬との間に示されている(Tazi−Ahniniら、1999b)。この連関は、滴状乾癬ではさらに強くなっている(Tazi−Ahniniら、1999b)。+1243位における置換はアミノ酸変化L394Sをもたらす。本発明者らは、この置換がコルネオデスモシンのプロセシングを妨げ、従って、落屑の崩壊の一因であると考えている。本発明者らは、アミノ酸変化をもたらす9個のコルネオデスモシン多型(Ser143/Asp、Ser153/−、Leu180/Phe、Ser202/Phe、Ser401/Gly、Ser408/Ala、Gly409/Val、Ser410/Leu、Asp527/Asn)が角化細胞の成熟化および落屑のプロセスにおいて重要な機能を有することを見出した。これらの多型に対するスクリーニング方法が、Jenischら(1999)およびGuerrinら(2000)によって記載される。本発明者らは、強い関連性が、コルネオデスモシンのタンパク質分解プロセスと正常皮膚の感受性との間に、そしてまたバリア機能が乱れている、乾癬、ざ瘡、湿疹を含む様々な疾患に関して存在することを示している。
【0112】
本発明者らは、コルネオデスモシンにおける変異が皮膚疾患(特に、低下した接着の疾患)と関連することを実施例において示している。
【0113】
具体的には、本発明者らは、コルネオデスモシン配列(AF030130)の+1243位におけるTヌクレオチドが、低下した皮膚接着の疾患と関連することを実施例において示している。この位置におけるTヌクレオチドの存在は、コードされるコルネオデスモシンポリペプチドの394位においてトレオニン(T)残基をもたらす。そのいずれかまたは両方の検出は、疾患を診断するために使用することができる。
【0114】
従って、本発明者らは、個体におけるコルネオデスモシン核酸の+1243位におけるTの存在を検出することによる、個体における低下した皮膚接着の疾患(第I群疾患)またはそのような疾患に対する感受性の診断を開示する。本発明者らはまた、個体におけるコルネオデスモシンポリペプチドの394位におけるトレオニン(T)残基を検出することによる、そのような疾患またはそのような疾患に対する感受性の診断を提供する。第I群疾患はまた、個体におけるCD5コルネオデスモシン対立遺伝子またはCD6コルネオデスモシン対立遺伝子を検出することによって診断することができる。CD5対立遺伝子およびCD6対立遺伝子の配列はJenischら(1999)に記載される。
【0115】
好ましくは、第I群疾患は湿疹または皮膚炎である。より好ましくは、第I群疾患はアトピー性湿疹または疱疹状皮膚炎である。第I群疾患の他の例が本明細書の別の節に示される。
【0116】
他の変異が、実施例では、コルネオデスモシン核酸の+619位および+180位において開示される。これらの変化および対応するポリペプチド変化を、第I群疾患または第II群疾患を診断するために検出することができる。コルネオデスモシンを用いる他の診断法および処置法が実施例に開示される。
【0117】
プロテアーゼ
本明細書に記載される方法および組成物において使用され得るプロテアーゼには下記が含まれる。アポトーシス関連システインプロテアーゼ(CASP14)mRNA(NM_012114)、トランスグルタミナーゼ1(TGM1)(M98447)、TGM2(XM_009482)、TGM4(XM_056203)、TGM5(XM_007529)、TGM7(NM_052955)、TGM3(L10386)、ホスホリパーゼA(2)(BC013384)、CD47抗原(X69398)、カリクレイン8(AB008390)、AD024タンパク質(XM_002642)、SCCE(XM_009002)、ディフェンシンβ2(AF0711216)、インターフェロンa誘導性タンパク質27(X67325)、脂肪酸結合タンパク質FABP5(M94856)、SCTE(XM_009000)、カリクレイン1(腎臓/膵臓/唾液性)(KLK1)(XM_047300)、ヒトカリクレイン2(前立腺性)(KLK2)(XM_031757)、カリクレイン3(前立腺特異的抗原)(KLK3)(XM_031768)、カリクレイン6(ニューロシン、ザイム)(KLK6)(XM_055658)、カリクレイン4(プロスターゼ、エナメルマトリックス、前立腺)(KLK4)(XM_008997)、膜型セリンプロテアーゼ1(AF133086)、ヒト皮膚コラゲナーゼ(M13509)、コラゲナーゼMMP−1(LOC116389)、コラゲナーゼMMP−12(U78045)、コラゲナーゼMMP−9(NM_004994)、コラゲナーゼMMP−3(U78045)、コラゲナーゼMMP−28(AF219624)、カスパーゼ7(BC015799)、カスパーゼ5(NM_004347)、カスパーゼ−14(NM_012114)、ユビキチン特異的プロテアーゼUSP−5(NM_003481)、ユビキチン特異的プロテアーゼUSP−11(NM_004651)、ユビキチン特異的プロテアーゼUSP−6(NM_004505)、ユビキチン特異的プロテアーゼUSP26(NM_031907)、ユビキチン特異的プロテアーゼ(USP28)(NM_020886)、26Sプロテアーゼサブユニット4、LILRB1(AF004230)、転写のシグナル変換因子/活性化因子1(91kDa)(STAT1)(977935)、プロテアソーム(プロソーム、マクロパイン)サブユニット6(PSMA6)(X59417)、TPS1(NM_003293)、TPSB1(XM_016204)、TPSG1(XM_008123)、プロテアーゼネキシン−II(XM_047793)、グリア由来ネキシン前駆体(P07093)、26Sプロテアーゼ調節サブユニットS10B、およびPCOLN3(XM_047524)。
【0118】
好ましくは、プロテアーゼは、接着タンパク質(好ましくは、コルネオデスモシンなどの表皮細胞−細胞接着タンパク質)のタンパク質分解に関与するプロテアーゼ、またはそのようなタンパク質分解を行うことができるプロテアーゼである。従って、好ましい実施形態において、プロテアーゼは、角質層キモトリプシン様酵素(SCCE)、角質層トリプシン様酵素(SCTE)、カリクレイン1、カリクレイン2、カリクレイン3、カリクレイン4、カリクレイン6およびカリクレイン8からなる群から選択されるプロテアーゼを含む。
【0119】
角質層キモトリプシン様酵素(SCCE)
角質層トリプシン様酵素(SCTE)
角質層キモトリプシン様酵素(SCCE)またはカリクレイン7(KLK7)ならびに角質層トリプシン様酵素(SCTE)またはカリクレイン5(KLK5)は大きいセリンプロテアーゼファミリーのメンバーである。それらの発現プロフィルの分析により、それらの皮膚特異性が示唆される。両方の酵素は、基底上部の角化細胞および小胞間の表皮において非常に発現し、そして角質層の生理学的pHにおいて最大の活性を有する(Ekholmら、2000;Eugelrud、1992;EkholmおよびEugelrud、1998)。
【0120】
SCCEおよびSCTEは角質化のときに角質層の細胞外空間に輸送される。SCCEは不活性な前駆体として産生されるので、SCCEにそのタンパク質分解活性を付与するために活性化酵素が必要である。SCTEは、SCCEの活性化に関与する酵素であると考えられる。SCCEおよびSCTEを含むカリクレイン遺伝子クラスターが染色体19q13.3−13.4にマッピングされている。これには、少なくとも6つの構造的および進化的に関連するメンバーが含まれる(KLK1、KLK2、KLK3、KLK4、SCCEおよびSCTE)。これらのカリクレイン遺伝子のそれぞれを、本明細書に記載される方法および組成物において使用することができる。
【0121】
それらの中で、SCCEおよびSCTEが皮膚では主に発現している。それらはまた、脳、腎臓、乳腺および唾液腺などの他の組織でも発現している(Yousefら、2000;YousefおよびDiamandis、1999)。
【0122】
本発明者らは、SCCE核酸におけるAACCAACCの存在が、低下した皮膚接着の疾患(特に湿疹、好ましくはアトピー性湿疹)に関連することを示している。従って、本発明者らは、個体におけるSCCE核酸におけるAACC反復または配列AACCAACCの存在を検出することによる、個体における低下した皮膚接着の疾患(第I群疾患)またはそのような疾患に対する感受性の診断を提供する。
【0123】
SCCEおよびSCTEのホモログ(特に、皮膚に局在化し、かつ/または接着タンパク質に作用するホモログ)もまた、本明細書に記載される診断方法および処置方法において使用することができる。そのようなホモログは、SCCEおよび/またはSCTEのプローブを使用する従来のライブラリースクリーニングによって、ならびに関連する配列を使用するデータベース検索によって同定することができる。
【0124】
本明細書に記載される方法および組成物において有用な他のプロテアーゼの例には、アミノペプチダーゼM、カルボキシペプチダーゼP、カルボキシペプチダーゼY、カスパーゼ1/カスパーゼ4/カスパーゼ5、カスパーゼ2/カスパーゼ3/カスパーゼ7、カスパーゼ6/カスパーゼ8/カスパーゼ9、キモトリプシン、第Xa因子、ペプシン、TEV、トロンビン、トリプシンなどが含まれる。
【0125】
プロテアーゼ阻害剤
本発明者らは、落屑の調節が、プロテアーゼ(例えば、SCCEおよびSCTE)によってだけでなく、その阻害剤によってもまた制御されることを明らかにしている。本明細書に記載される方法および組成物において使用され得るプロテアーゼ阻害剤には下記が含まれる。
【0126】
分泌型ロイコプロテアーゼ阻害剤(SLPI)およびエラフィン
いくつかのセリンプロテアーゼがヒトの表皮に存在し、これには抗ロイコプロテーゼ(皮膚由来の抗ロイコプロテーゼ)およびエラフィンが含まれる。抗ロイコプロテーゼはSCCEの強力な阻害剤である。エラフィンプロテアーゼ阻害剤3(PI3もしくはSKALP)は、角化細胞により産生される別のセリンプロテアーゼ阻害剤である。これは、病変乾癬皮膚の角質下層において、そしてベーチェット病、スイート症候群、壊疽性膿皮症および皮膚アレルギー性血管炎などの他の皮膚障害において過剰に発現している(Tanakaら、2000)。本発明者らは、SKALP発現の変化がSCCEおよびSCTEの活性に影響を及ぼし、従って、乾癬および湿疹などの皮膚障害における表皮表面層の構造を乱していることを発見した。
【0127】
本明細書で使用される用語「分泌型ロイコプロテアーゼ阻害剤」および用語「SLPI」および用語「抗ロイコプロテーゼ」は互いに同義であることが意図される。
【0128】
エラフィンはまた、皮膚由来の抗ロイコプロテーゼ、SKALPおよびプロテアーゼ阻害剤3(PI3)として知られている。従って、これらの用語は、本明細書で使用されるとき、互いに同義であることが意図される。
【0129】
シスタチンA
実施例では、様々な多型が、シスタチンAにおいて、特にシスタチンAのプロモーター領域において存在することが明らかにされている。従って、本発明者らは、これらの多型の存在および/または非存在を検出することによる、疾患(好ましくは第I群疾患および/または第II群疾患)の診断を提供する。
【0130】
本発明者らは、シスタチンAが、増大した接着を有する疾患(例えば、ざ瘡および乾癬)では非常に発現しており、そして欠陥のある皮膚バリアを有する疾患(例えば、湿疹)ではダウンレギュレーションされていることを実施例において示している。従って、シスタチンAの活性またはレベルは、第I群疾患を処置するための手段としてアップレギュレーションさせることができる。シスタチンAのレベルおよび/または活性は、第II群疾患を処置するための手段としてダウンレギュレーションさせることができる。
【0131】
従って、本発明者らは、個体におけるシスタチンAの発現の調節(好ましくはダウンレギュレーション)を検出することによる、個体における第I群疾患または第I群疾患に対する感受性(好ましくは湿疹または湿疹に対する感受性、好ましくはアトピー性湿疹)の診断を開示する。
【0132】
本発明者らはさらに、個体におけるシスタチンAの発現の調節(好ましくはアップレギュレーション)を検出することによる、個体における第II群疾患または第II群疾患に対する感受性(好ましくは、湿疹および/または乾癬)の診断を開示する。
【0133】
本発明者らは、個体におけるシスタチンAの発現を調節(好ましくはアップレギュレーション)することによる、個体における第I群疾患(好ましくは湿疹または湿疹に対する感受性、好ましくはアトピー性湿疹)の処置または防止を提供する。
【0134】
本発明者らはさらに、個体におけるシスタチンAの発現を調節(好ましくはダウンレギュレーション)することによる、個体における第II群疾患または第II群疾患に対する感受性(好ましくは湿疹および/または乾癬)の処置または防止を提供する。
【0135】
アゴニストおよびアンタゴニスト
本明細書に記載される方法および組成物は、いくつかの実施形態では、プロテアーゼまたはプロテアーゼ阻害剤の活性を阻止することに依拠する。プロテアーゼまたはプロテアーゼ阻害剤の活性を増大させることができる因子は、そのような活性のアゴニストとして示される。同様に、アンタゴニストはプロテアーゼまたはプロテアーゼ阻害剤の活性を低下させる。
【0136】
この分野で使用されているように、用語「アンタゴニスト」は、酵素に結合して、酵素の活性を阻害する化合物を示すことが一般には理解される。しかし、本明細書で使用されるこの用語は、分子に結合することによることは必ずしも必要なく、分子の活性を阻害する任意の因子を広く示すことが意図される。従って、アンタゴニストには、プロテアーゼなどのタンパク質の発現に影響を及ぼす因子、またはプロテアーゼ阻害剤などの分子の生合成に影響を及ぼす因子、またはプロテアーゼもしくはプロテアーゼ阻害剤の活性の調節因子の発現に影響を及ぼす因子が含まれる。阻害される特異的な活性は、酵素または分子に特徴的な任意の活性、例えば、プロテアーゼ活性またはプロテアーゼ阻害剤活性であり得る。プロテアーゼ活性およびプロテアーゼ阻害剤活性に対するアッセイはこの分野では知られている。
【0137】
アンタゴニストは、関連する分子(例えば、好ましくはプロテアーゼ酵素)における1つまたは複数の部位(好ましくはプロテアーゼ酵素の触媒活性部位)に結合することができ、またはそのような部位に対して競合することができる。好ましくは、そのような結合により、分子と別の実体との相互作用(例えば、プロテアーゼ酵素とその基質との相互作用)が阻止される。しかし、アンタゴニストは、触媒活性部位に対して直接的に結合する必要は必ずしもなく、その結合が酵素または分子の活性を低下させる限り、例えば、細胞表面または細胞内において隣接部位または他のタンパク質(例えば、酵素と複合体を形成するタンパク質)または別の実体に結合してもよい。
【0138】
プロテアーゼ酵素などの酵素のアンタゴニストが関係する場合、アンタゴニストには、酵素の基質、または酵素に結合することができる基質フラグメントを挙げることができる。さらに、天然に産生されるか、またはペプチド合成により産生される完全な基質または基質フラグメントを、酵素における結合部位に対して基質と競合させるために使用することができる。あるいは、またはさらに、プロテアーゼ酵素に結合することができる免疫グロブリン(例えば、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体)を使用することができる。アンタゴニストにはまた、結合相互作用を妨げることができるペプチドまたは他の小分子を挙げることができる。アンタゴニストの他の例がより詳しくは下記に示されるが、そのような例もまた当業者には明らかである。
【0139】
プロテアーゼまたはプロテアーゼ阻害剤の活性を阻止することはまた、細胞におけるプロテアーゼまたは阻害剤の発現レベルを低下させることによって達成することができる。例えば、細胞は、アンチセンス化合物で、例えば、プロテアーゼまたはプロテアーゼ阻害剤のmRNAに対して特異的な配列を有するオリゴヌクレオチドで処理することができる。接着タンパク質の病原性形態の発現レベルもまたこのようにして調節することができる。
【0140】
一般に、本明細書中で使用される用語「アンタゴニスト」には、原子または分子(この場合、分子は無機もしくは有機であってもよい)、生物学的エフェクター分子、および/または生物学的エフェクター分子などの因子をコードする核酸、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、核酸、ペプチド核酸(PNA)、ウイルス、ウイルス様粒子、ヌクレオチド、リボヌクレオチド、ヌクレオチドの合成アナログ、リボヌクレオチドの合成アナログ、修飾ヌクレオチド、修飾リボヌクレオチド、アミノ酸、アミノ酸アナログ、修飾アミノ酸、修飾アミノ酸アナログ、ステロイド、プロテオグリカン、脂質、脂肪酸および炭水化物などの因子が含まれるが、これらに限定されない。因子は溶液状態または懸濁状態(例えば、結晶形態、コロイド形態または他の粒子状形態の状態)であってもよい。因子は、単量体、二量体、オリゴマーなどの形態であってもよく、そうでなければ複合体であってもよい。
【0141】
用語「アンタゴニスト」および用語「因子(agent)」にはまた、構造タンパク質、酵素、サイトカイン(インターフェロンおよび/またはインターロイキンなど)、抗生物質、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体またはそれらの効果的な部分(Fvフラグメントなど)(そのような抗体またはその部分は天然または合成またはヒト化であってもよい)、ペプチドホルモン、受容体、シグナル変換分子または他のタンパク質(これらに限定されない)を含むタンパク質またはポリペプチドまたはペプチド;オリゴヌクレオチドまたは修飾オリゴヌクレオチド、アンチセンスオリゴヌクレオチドまたは修飾アンチセンスオリゴヌクレオチド、cDNA、ゲノムDNA、人工または天然の染色体(例えば、酵母人工染色体)またはその一部、RNA(mRNA、tRNA、rRNAまたはリボザイムを含む)、あるいはペプチド核酸(PNA)(これらに限定されない)を含む、下記に定義されるような核酸;ウイルスまたはウイルス様粒子;ヌクレオチドまたはリボヌクレオチドまたはそれらの合成アナログ(これらは修飾されてもよく、非修飾であってもよい);アミノ酸またはそのアナログ(これらは修飾されてもよく、非修飾であってもよい);非ペプチド(例えばステロイド)ホルモン;プロテオグリカン;脂質;あるいは炭水化物が含まれることが意図される。ポリペプチドの活性部位に結合し、かつポリペプチドの活性部位を占有し、それにより触媒作用部位を基質に利用させなくし、その結果、正常な生物学的活性が妨げられるようにする小分子(無機化学物質および有機化学物質を含む)もまた含まれる。小分子の例には、小ペプチドまたはペプチド様分子が含まれるが、これらに限定されない。
【0142】
アンタゴニストまたは因子はそれ自体、プロテアーゼまたはプロテアーゼ阻害剤を切断するプロテアーゼであってもよい。プロテアーゼの例には、アミノペプチダーゼM、カルボキシペプチダーゼP、カルボキシペプチダーゼY、カスパーゼ1/カスパーゼ4/カスパーゼ5、カスパーゼ2/カスパーゼ3/カスパーゼ7、カスパーゼ6/カスパーゼ8/カスパーゼ9、キモトリプシン、第Xa因子、ペプシン、TEV、トロンビン、トリプシンなどが含まれる。
【0143】
アンチセンス化合物
上記に記載されるように、アンタゴニストは、細胞におけるプロテアーゼまたはプロテアーゼ阻害剤の発現レベルを低下させることができる、アンチセンスRNAおよびアンチセンスDNAを含む1つ以上のアンチセンス化合物を含んでもよい。好ましくは、アンチセンス化合物は、プロテアーゼまたはプロテアーゼ阻害剤をコードするmRNAに対して相補的な配列を含む。
【0144】
好ましくは、アンチセンス化合物はオリゴマー状のアンチセンス化合物であり、特にオリゴヌクレオチドである。アンチセンス化合物は、好ましくは、プロテアーゼまたはプロテアーゼ阻害剤をコードする1つ以上の核酸と特異的にハイブリダイゼーションする。本明細書中で使用される用語「プロテアーゼをコードする核酸」または用語「プロテアーゼ阻害剤をコードする核酸」は、プロテアーゼまたはプロテアーゼ阻害剤をコードするDNA、そのようなDNAから転写されるRNA(プレmRNAおよびmRNAを含む)、そしてまたそのようなRNAに由来するcDNAを包含する。オリゴマー化合物とその標的核酸との特異的なハイブリダイゼーションにより、核酸の正常な機能が妨げられる。特異的にハイブリダイゼーションする化合物による標的核酸の機能のこの調節は、一般には「アンチセンス」と呼ばれている。妨げられるDNAの機能には、複製および転写が含まれる。妨げられるRNAの機能には、例えば、タンパク質翻訳部位へのRNAの輸送、RNAからのタンパク質の翻訳、1つ以上のmRNA種を生じさせるRNAのスプライシング、およびRNAが関わり得るか、またはRNAにより促進され得る触媒活性などの、生命維持に必要な機能のすべてが含まれる。標的核酸機能とのそのような妨害の全体的な作用は、プロテアーゼまたはプロテアーゼ阻害剤の発現の調節である。本明細書に関連して、「調節」は、遺伝子の発現における増大(刺激)または低下(阻害)のいずれかを意味する。例えば、プロテアーゼ活性またはプロテアーゼ阻害剤活性の阻害剤をコードする遺伝子の発現、あるいはプロテアーゼまたはプロテアーゼ阻害剤の発現の阻害剤をコードする遺伝子の発現を増大させることができる。しかし、好ましくは、発現の阻害、具体的には、プロテアーゼまたはプロテアーゼ阻害剤の発現の阻害が遺伝子発現の調節の好ましい形態であり、mRNAが好ましい標的である。
【0145】
様々なアンチセンス構築物が米国特許第6,100,090号(Moniaら)およびNeckersら、1992、Crit.Rev.Oncog、3(1−2):175〜231に詳しく記載される(これらの教示は参考として特に組み込まれる)。
【0146】
ポリペプチド
本明細書に記載される方法および組成物により、一般に、多数のポリペプチドが、そのフラグメント、ホモログ、変化体および誘導体とともに規定される。好適に有用なポリペプチドには、接着タンパク質またはプロテアーゼまたはプロテアーゼ阻害剤、あるいは接着タンパク質またはプロテアーゼまたはプロテアーゼ阻害剤のフラグメント、ホモログ、変化体または誘導体が含まれる。
【0147】
従って、本発明者らは、接着タンパク質またはプロテアーゼまたはプロテアーゼ阻害剤のアミノ酸配列の変化体またはホモログまたは誘導体、ならびにそのようなアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列の変化体またはホモログまたは誘導体を開示する。これらのそれぞれを、第I群疾患または第II群疾患を処置または診断するために使用することができる。
【0148】
好ましくは、本明細書に開示されるポリペプチド、変化体、ホモログ、フラグメントおよび誘導体は、接着タンパク質またはプロテアーゼまたはプロテアーゼ阻害剤の1つ以上の性質、好ましくは1つ以上の生物学的活性を含む。従って、変化体などは、好ましくは、接着活性、プロテアーゼ活性およびプロテアーゼ阻害剤活性(これらに限定されない)を含む1つ以上の活性を含む。
【0149】
ホモログ
開示されるポリペプチドには、任意の供給源から得られる相同的な配列、例えば、関連するウイルス/細菌のタンパク質、細胞性ホモログおよび合成ペプチド、ならびにそれらの変化体または誘導体が含まれる。従って、ポリペプチドにはまた、哺乳動物(例えば、マウス、ラットまたはウサギ)などの動物を含む他の種、特に霊長類、より具体的にはヒトに由来する接着タンパク質またはプロテアーゼまたはプロテアーゼ阻害剤のホモログをコードするものが含まれる。より具体的には、ホモログには、ヒトホモログが含まれる。
【0150】
本明細書に関連して、相同的な配列は、好ましくは少なくとも50アミノ酸または100アミノ酸にわたって、好ましくは200アミノ酸、300アミノ酸、400アミノ酸または500アミノ酸にわたって、関連する配列と、アミノ酸レベルで、少なくとも15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%が同一であり、好ましくは少なくとも95%または98%が同一であるアミノ酸配列を含むことが理解される。
【0151】
具体的には、相同性は、典型的には、非必須な隣接配列ではなく、タンパク質機能に不可欠であることが知られている配列(例えば、タンパク質分解および/または接着に不可欠な配列)のそのような領域に関して考慮されなければならない。これは、遠縁の生物に由来する相同的な配列を検討するときには特に重要である。
【0152】
相同性はまた、類似性(すなわち、類似する化学的性質/機能を有するアミノ酸残基)に関して検討することができるが、本発明に関連して、相同性を配列同一性に関して表すことは好ましい。
【0153】
相同性の比較は、目で見ながら行うことができ、またはより通常的には、容易に得られる配列比較プログラムの助けをかりて行うことができる。これらの公開されているコンピュータープログラムおよび市販のコンピュータープログラムでは、2つ以上の配列の間における%同一性を計算することができる。
【0154】
%同一性は、連続した配列にわたって計算することができる。すなわち、1つの配列がもう一方の配列に関してアラインメントされ、そして一方の配列における各アミノ酸が、直接、もう一方の配列における対応するアミノ酸と、一度に1残基ずつ比較される。これは、「無ギャップ」アラインメントと呼ばれている。典型的には、そのような無ギャップアラインメントは、比較的少数の残基(例えば、50個未満の連続したアミノ酸)について行われるだけである。
【0155】
これは、非常に簡便で一貫性のある方法ではあるが、例えば、それ以外の点では同一の配列ペアにおいて、1つの挿入または欠失により、その後のアミノ酸残基がアラインメントから除かれ、従って、全体的なアラインメントが行われたとき、%相同性の大きい低下が潜在的にもたらされることを考慮に入れることができない。従って、ほとんどの配列比較法は、全体的な相同性スコアに対して過度なペナルティーを課すことなく可能な挿入および欠失を考慮に入れた最適なアラインメントが得られるように設計されている。これは、局所的な同一性または類似性を最大にしようとするために「ギャップ」を配列アラインメントに挿入することによって達成される。
【0156】
しかし、これらのより複雑な方法では、同一アミノ酸の同じ数について、できる限り少数のギャップ(すなわち、2つの比較される配列の間におけるより大きい関連性を反映する)を有する配列アラインメントでは、多くのギャップを有する配列アラインメントよりも大きいスコアが達成されるように、「ギャップペナルティー」が、アラインメントにおいて生じる各ギャップに割り当てられる。ギャップの存在に対して比較的大きいコストを課し、ギャップにおけるその後の残基に対してはより小さいコストを課す「アフィン・ギャップ・コスト」が、典型的には使用される。これは、最も一般的に使用されているギャップスコア化システムである。大きいギャップペナルティーは、当然のことではあるが、より少ないギャップを有する最適化されたアラインメントをもたらす。ほとんどのアラインメントプログラムでは、ギャップペナルティーを変更することができる。しかし、そのようなソフトウエアを配列比較のために使用するときには既定のデフォルト値を使用することが好ましい。例えば、GCG Wisconsin Bestfitパッケージ(下記参照)を使用するとき、アミノ酸配列に対するギャップペナルティーのデフォルト値はギャップに対して−12であり、各伸長に対しては−4である。
【0157】
従って、最大%相同性の計算には、最初に、ギャップペナルティーを考慮に入れて最適なアラインメントを作製することが必要になる。そのようなアラインメントを行うための好適なコンピュータープログラムには、GCG Wisconsin Bestfitパッケージ(ウイスコンシン大学、米国;Devereuxら、1984、Nucleic Acids Research、12:387)がある。配列比較を行うことができる他のソフトウエアの例には、BLASTパッケージ(Ausubelら、1999、上掲−第18章を参照のこと)、FASTA(Altschulら、1990、J.Mol.Biol.403〜410)、およびGENEWORKS比較ツールセットが含まれるが、これらに限定されない。BLASTおよびFASTAはともに、オフライン検索およびオンライン検索のために利用することができる(Ausubelら、1999、上掲、7−58頁〜7−60頁を参照のこと)。しかし、GCG Bestfitプログラムを使用することが好ましい。
【0158】
最終的な%相同性を同一性に関して評価することができるが、アラインメント処理自体は、典型的には、妥協を許さないペア比較に基づいていない。むしろ、化学的類似性または進化的距離に基づくそれぞれのペア毎の比較にスコアを割り当てるスケール化された類似性スコア行列が一般には使用される。一般的に使用されるそのような行列の一例が、BLOSUM62行列、すなわち、BLASTプログラムセットに対するデフォルト行列である。GCG Wisconsinプログラムでは、一般に、公開されたデフォルト値または供給される場合にはカスタム・シンボル比較表のいずれかが使用される(さらなる詳細についてはユーザーマニュアルを参照のこと)。GCGパッケージには公開されたデフォルト値を使用することが好ましく、または他のソフトウエアの場合には、BLOSUM62などのデフォルト行列を使用することが好ましい。
【0159】
最適なアラインメントがソフトウエアにより得られると、%相同性(好ましくは%配列同一性)を計算することが可能である。ソフトウエアは、典型的には、配列比較の一部としてこれを行い、数値結果をもたらす。
【0160】
本発明のアミノ酸配列に関連する用語「変化体」または用語「誘導体」は、得られるアミノ酸配列が、非修飾の配列と実質的に同じ活性を保持し、好ましくは本明細書に示されるポリペプチドと少なくとも同じ活性を有するならば、配列からの、または配列に対する、1つ(または複数)のアミノ酸の任意の置換、または変化、または修飾、または取り替え、または欠失、または付加を含む。
【0161】
本明細書ならびに実施例に示されるアミノ酸配列を有するポリペプチド、またはそのフラグメントもしくはホモログは、本明細書に記載される方法および組成物における使用のために修飾することができる。典型的には、配列の生物学的活性を保持する修飾が行われる。修飾された配列が非修飾配列の生物学的活性を保持するするならば、いくつかのアミノ酸置換を行うことができ、例えば、1個または2個または3個から、10個または20個または30個の置換を行うことができる。あるいは、修飾は、本明細書に記載されるポリペプチドの1つ以上の機能的ドメインを意図的に不活性化するために行うことができる。プロテアーゼの機能的ドメインには、プロテアーゼドメインおよびプロテアーゼ触媒作用部位が含まれる。アミノ酸置換には、例えば、治療的に投与されたポリペプチドの血液血漿半減期を増大させるために、天然に存在しないアナログの使用を含むことができる。
【0162】
様々な保存的置換を、例えば、下記の表に従って行うことができる。第2欄の同じブロック内のアミノ酸を、好ましくは第3欄の同じ行内のアミノ酸を相互に置換することができる。
【表3】
【0163】
フラグメント
ポリペプチドにはまた、本明細書に記載されるポリペプチド(例えば、接着タンパク質またはプロテアーゼまたはプロテアーゼ阻害剤)のいずれかの全長配列のフラグメントが含まれる。好ましくは、フラグメントは少なくとも1つのエピトープを含む。エピトープを同定する方法はこの分野では十分に知られている。フラグメントは、典型的には、少なくとも6個のアミノ酸を含み、より好ましくは、少なくとも10個、20個、30個、50個または100個のアミノ酸を含む。
【0164】
関連する核酸配列(例えば、接着タンパク質またはプロテアーゼまたはプロテアーゼ阻害剤をコードする核酸配列)に由来する、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個、31個、32個、33個、34個、35個、36個、37個、38個、39個、40個、41個、42個、43個、44個、45個、46個、47個、48個、49個、50個、51個、52個、53個、54個、55個、56個、57個、58個、59個、60個、61個、62個、63個、64個、65個、66個、67個、68個、69個、70個、71個、72個、73個、74個、75個、76個、77個、78個、79個、80個、81個、82個、83個、84個、85個、86個、87個、88個、89個、90個、91個、92個、93個、94個、95個、96個、97個、98個、99個、100個、105個、110個、115個、120個、125個、130個、135個、140個、145個、150個、155個、160個、165個、170個、175個、180個、185個、190個、195個、200個、205個、210個、215個、220個、225個、230個、235個、240個、245個、250個、255個、260個、265個、270個、275個、280個、285個、290個、295個、300個、305個、310個、315個、320個、325個、330個、335個、340個、345個、350個、355個、360個、365個、370個、375個、380個、385個、390個、395個、400個、405個、410個、415個、420個、425個、430個、435個、440個、445個、450個、455個、460個、465個、470個、475個、480個、485個、490個、495個、500個またはそれ以上の残基を含むフラグメント、好ましくはそのような数の残基からなるフラグメントが含まれる。
【0165】
接着タンパク質およびプロテアーゼおよびプロテアーゼ阻害剤、ならびにそれらのフラグメント、ホモログ、変化体および誘導体は組換え手段によって作製することができる。しかし、それらはまた、固相合成などの当業者に十分に知られている技術を使用する合成的手段によって作製することができる。タンパク質はまた、例えば、抽出および精製を助けるために、融合タンパク質として製造することができる。融合タンパク質パートナーの例には、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)、6xHis、GAL4(DNA結合および/または転写活性化ドメイン)およびβ−ガラクトシダーゼが含まれる。融合タンパク質配列の除去を可能にするために、タンパク質分解的な切断部位を融合タンパク質パートナーと目的とするタンパク質配列との間に含めることもまた好都合である。好ましくは、融合タンパク質は、目的とするタンパク質配列の機能を妨げない。タンパク質はまた、動物細胞から細胞抽出物を精製することによって得ることができる。
【0166】
本明細書に開示されるポリペプチド、変化体、ホモログ、フラグメントおよび誘導体は、実質的に単離された形態にすることができる。そのようなポリペプチドは、タンパク質の意図された目的を妨害しないキャリアまたは希釈剤と混合され得ることが理解され、そして依然として実質的に単離されたと見なされる。変化体、ホモログ、フラグメントまたは誘導体はまた、実質的に精製された形態にすることができ、そのような場合、一般に、調製物中のタンパク質の90%以上(例えば、95%、98%または99%)がタンパク質である調製物においてタンパク質を含む。
【0167】
本明細書に開示されるポリペプチド、変化体、ホモログ、フラグメントおよび誘導体は顕示用の標識で標識することができる。顕示用標識は、ポリペプチドなどが検出されることを可能にする任意の好適な標識であり得る。好適な標識には、放射性同位体(例えば、125I)、酵素、抗体、ポリヌクレオチドおよびリンカー(ビオチンなど)が含まれる。標識されたポリペプチドは、サンプル中のポリペプチドの量を測定するために免疫アッセイなどの診断手法において使用することができる。ポリペプチドまたは標識されたポリペプチドはまた、標準的なプロトコルを使用して、動物およびヒトにおける前記ポリペプチドに対する免疫反応性を検出するために血清学的免疫アッセイまたは細胞媒介免疫アッセイにおいて使用することができる。
【0168】
本明細書に開示されるポリペプチド、変化体、ホモログ、フラグメントまたは誘導体はまた、場合に応じて標識されて、固相に、例えば、免疫アッセイウエルまたはデイップスティックの表面に固定することができる。そのような標識されたポリペプチドおよび/または固定化されたポリペプチドは、好適な試薬、コントロール、説明書などと一緒に、好適な容器においてキットに包装することができる。そのようなポリペプチドおよびキットは、免疫アッセイによってポリペプチドまたはその対立遺伝子もしくは種変化体に対する抗体を検出する方法において使用することができる。
【0169】
免疫アッセイ方法はこの分野では十分に知られており、一般には下記を含む。(a)前記タンパク質に対する抗体により結合可能なエピトープを含むポリペプチドを提供すること;(b)抗体−抗原複合体の形成を可能にする条件のもとで生物学的サンプルを前記ポリペプチドとインキュベーションすること;および(c)前記ポリペプチドを含む抗体−抗原複合体が形成されたかどうかを測定すること。
【0170】
本明細書に開示される接着タンパク質またはプロテアーゼまたはプロテアーゼ阻害剤のポリペプチド、変化体、ホモログ、フラグメントおよび誘導体は、それらの対応する遺伝子およびそのホモログの細胞機能(疾患におけるそれらの機能を含む)における役割を研究するためにインビトロまたはインビボの細胞培養システムにおいて使用することができる。例えば、短縮型ポリペプチドまたは修飾ポリペプチドを、細胞内で生じる正常な機能を破壊するために細胞内に導入することができる。ポリペプチドは、組換え発現ベクターからポリペプチドをインシトゥー発現させることによって細胞内に導入することができる(下記参照)。発現ベクターは、ポリペプチドの発現を制御するために誘導性プロモーターを有してもよい。
【0171】
昆虫細胞または哺乳動物細胞など適切な宿主細胞の使用は、最適な生物学的活性を組換え発現産物に与えるために必要とされ得るような翻訳後修飾(例えば、ミリストイル化、グリコシル化、短縮化、脂質化、およびチロシンまたはセリンまたはトレオニンのリン酸化)をもたらすことが予想される。本明細書に開示される接着タンパク質およびプロテアーゼおよびプロテアーゼ阻害剤のポリペプチド、変化体、ホモログ、フラグメントおよび誘導体が発現させられるそのような細胞培養システムは、細胞内のポリペプチドの機能を妨害または増強する候補物質を同定するために様々なアッセイシステムにおいて使用することができる。
【0172】
フラグメント
本発明者らはまた、本明細書に開示される接着タンパク質またはプロテアーゼまたはプロテアーゼ阻害剤の核酸およびポリペプチドのフラグメントである核酸およびポリペプチドまたはペプチドを提供する。
【0173】
好ましくは、そのような核酸フラグメントおよびポリペプチドフラグメントは、好ましくは、関連する配列(すなわち、本明細書に開示される配列のいずれか)に由来する、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個、31個、32個、33個、34個、35個、36個、37個、38個、39個、40個、41個、42個、43個、44個、45個、46個、47個、48個、49個、50個、51個、52個、53個、54個、55個、56個、57個、58個、59個、60個、61個、62個、63個、64個、65個、66個、67個、68個、69個、70個、71個、72個、73個、74個、75個、76個、77個、78個、79個、80個、81個、82個、83個、84個、85個、86個、87個、88個、89個、90個、91個、92個、93個、94個、95個、96個、97個、98個、99個、100個、105個、110個、115個、120個、125個、130個、135個、140個、145個、150個、155個、160個、165個、170個、175個、180個、185個、190個、195個、200個、205個、210個、215個、220個、225個、230個、235個、240個、245個、250個、255個、260個、265個、270個、275個、280個、285個、290個、295個、300個、305個、310個、315個、320個、325個、330個、335個、340個、345個、350個、355個、360個、365個、370個、375個、380個、385個、390個、395個、400個、405個、410個、415個、420個、425個、430個、435個、440個、445個、450個、455個、460個、465個、470個、475個、480個、485個、490個、495個、500個またはそれ以上の残基を含むフラグメント、好ましくはそのような数の残基からなるフラグメントを含む。好ましくは、そのようなフラグメントは生物学的活性を含み、好ましくは接着タンパク質またはプロテアーゼまたはプロテアーゼ阻害剤の活性を含む。
【0174】
本明細書に記載される方法および組成物において有用な核酸は、ウイルス性または非ウイルス性のDNAベクターまたはRNAベクターを含むことができる。この場合、非ウイルス性ベクターには、プラスミド、線状核酸分子、人工染色体、縮合粒子およびエピソームベクターが含まれるが、これらに限定されない。異種遺伝子の発現が、プラスミドDNAを筋肉内(Wolff J.A.ら、1990、Science、247:1465〜1468;Carson D.A.ら、米国特許第5,580,859号)、甲状腺内(Sykesら、1994、Human Gene Ther.、5:837〜844)、黒色腫内(Vileら、1993、Cancer Res.、53:962〜967)、皮膚内(Henggeら、1995、Nature Genet.、10:161〜166)、肝臓内(Hickmanら、1994、Human Gene Therapy、5:1477〜1483)に注入した後に、そして気道上皮の暴露後(Meyerら、1995、Gene Therapy、2:450〜460)に認められている。
【0175】
本明細書中で使用される用語「核酸」は、DNAおよびRNA(合成起源および天然起源の両方)を包含することが定義される。この場合、そのようなDNAまたはRNAは、修飾または非修飾のデオキシヌクレオチドもしくはジデオキシヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチドもしくはジデオキシリボヌクレオチドまたはそれらのアナログを含有することができる。核酸は、一本鎖もしくは二本鎖のDNAもしくはRNA、RNA/DNAのヘテロ二重鎖、またはRNA/DNAのコポリマーとして存在してもよい。この場合、用語「コポリマー」は、リボヌクレオチドおよびデオキシリボヌクレオチドの両方を含む一本鎖核酸鎖を示す。
【0176】
本明細書中で使用される用語「合成(された)」は、インビトロでの化学合成または酵素合成によって製造されるものとして定義される。
【0177】
本明細書に記載される方法および組成物に従って有用な治療用核酸配列には、接着タンパク質ならびにプロテアーゼ、プロテアーゼ阻害剤などをコードする核酸配列が含まれる。治療用核酸配列にはまた、核タンパク質、細胞質タンパク質、ミトコンドリアタンパク質、分泌タンパク質、形質膜結合タンパク質、血清タンパク質、ウイルス抗原、細菌抗原、原生動物抗原および寄生虫抗原をコードする配列が含まれる。治療用核酸配列にはまた、タンパク質、リポタンパク質、糖タンパク質、リンタンパク質、および核酸(例えば、リボゾ−ムまたはアンチセンス核酸などのRNA)をコードする配列が含まれる。ハンマーヘッドクラスのリボザイムは、知られている最小のものであり、インビトロ合成および細胞への送達の両方に役立つ(Sullivan、1994、J.Invest.Dermatol.103:85S〜98S;Usmanら、1996、Curr.Opin.Struct.Biol.、6:527〜533によって要約される)。取り込まれ得る化合物は、所与のタンパク質またはポリペプチドをコードする核酸配列の利用性によって制限されるだけである。当業者は、ますます多くのタンパク質およびポリペプチドが同定されているので、それらの対応する遺伝子を選ばれた遺伝子発現ベクター(1つまたは複数)にクローン化して、受容患者または他の脊椎動物の組織に投与し、その組織において発現させることができることを容易に理解する。
【0178】
核酸
本明細書に記載される方法および組成物により、一般に、多数の核酸が、そのフラグメント、ホモログ、変化体および誘導体とともに規定される。好適に有用な核酸には、接着タンパク質またはプロテアーゼまたはプロテアーゼ阻害剤をコードする核酸、あるいはそのフラグメント、ホモログ、変化体または誘導体が含まれる。
【0179】
本明細書においてこの場合に使用されるように、用語「ポリヌクレオチド」、用語「ヌクレオチド」および核酸は相互に同義であることが意図される。「ポリヌクレオチド」は、一般的には任意のポリリボヌクレオチドまたはポリデオキシリボヌクレオチドを示し、それらは非修飾のRNAもしくはDNAまたは修飾されたRNAもしくはDNAであってもよい。「ポリヌクレオチド」には、一本鎖および二本鎖のDNA、一本鎖領域および二本鎖領域の混合であるDNA、一本鎖および二本鎖のRNA、ならびに一本鎖領域および二本鎖領域の混合であるRNA、一本鎖であってもよく、またはより典型的には二本鎖もしくは一本鎖領域および二本鎖領域の混合であり得るDNAおよびRNAを含むハイブリッド分子が含まれるが、これらに限定されない。さらに、「ポリヌクレオチド」は、RNAまたはDNAまたはRNAとDNAとの両方を含む三重鎖領域を示す。用語ポリヌクレオチドにはまた、1つ以上の修飾塩基を含有するDNAまたはRNA、および骨格が安定性または他の理由のために修飾されているDNAまたはRNAが含まれる。「修飾」塩基には、例えば、トリチル化された塩基および非通常型の塩基(イノシンなど)が含まれる。様々な修飾がDNAおよびRNAに対して行われる;従って、「ポリヌクレオチド」は、典型的には自然界に見出されるような、ポリヌクレオチドの化学的または酵素的または代謝的に修飾された形態、ならびにウイルスおよび細胞に特徴的なDNAおよびRNAの化学的形態を包含する。「ポリヌクレオチド」はまた、オリゴヌクレオチドと呼ばれることが多い比較的短いポリヌクレオチドを包含する。
【0180】
多数の異なるポリヌクレオチドおよび核酸が遺伝暗号の縮重の結果として同じポリペプチドをコードし得ることが当業者によって理解される。さらに、当業者は、ポリペプチドを発現させようとする任意の特定の宿主生物のコドン使用を反映させるために、本明細書に記載されるポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチド配列に影響を及ぼさないヌクレオチド置換を、日常的な技術を使用して行うことができることを理解しなければならない。
【0181】
本発明者らはまた、関連する核酸(例えば、接着タンパク質またはプロテアーゼまたはプロテアーゼ阻害剤をコードする核酸)のフラグメント、ホモログ、変化体または誘導体である核酸を提供する。
【0182】
変化体、誘導体およびホモログ
核酸の変化体、フラグメント、誘導体およびホモログはDNAまたはRNAを含むことができる。それらは一本鎖または二本鎖であってもよい。それらはまた、合成ヌクレオチドまたは修飾ヌクレオチドをその中に含むポリヌクレオチドであってもよい。オリゴヌクレオチドに対する多数の異なるタイプの修飾がこの分野では知られている。これらには、メチルホスホナート骨格およびホスホロチオアート骨格、分子の3’末端および/または5’末端におけるアクリジンまたはポリリシン鎖の付加が含まれる。本明細書の目的のために、ポリヌクレオチドはこの分野で利用可能な任意の方法によって修飾され得ることを理解しなければならない。そのような修飾は、目的とするポリヌクレオチドのインビボでの活性または寿命を増強するために行うことができる。
【0183】
ポリヌクレオチドが二本鎖である場合、二重鎖の両方の鎖が、個々に、または組み合わせのいずれかで、本明細書に記載される方法および組成物により包含される。ポリヌクレオチドが一本鎖である場合、そのポリヌクレオチドの相補的な配列もまた含まれることを理解しなければならない。
【0184】
ヌクレオチド配列に関連して用語「変化体」または用語「ホモログ」または用語「誘導体」は、配列からの、または配列に対する、1つ(または複数)の核酸の任意の置換、または変化、または修飾、または置き換え、または欠失、または付加を含む。好ましくは、前記の変化体またはホモログまたは誘導体は、生物学的活性を有するポリペプチドをコードする。好ましくは、接着タンパク質およびプロテアーゼおよびプロテアーゼ阻害剤のそのようなフラグメント、ホモログ、変化体および誘導体は、調節された酵素活性を含み、例えば、接着タンパク質活性(例えば、2つの細胞間の接着を可能にする能力)、またはプロテアーゼ活性、またはプロテアーゼ阻害剤活性を含む。従って、例えば、本発明者らは、非修飾のポリヌクレオチドと比較して、より低い接着タンパク質活性またはプロテアーゼ活性またはプロテアーゼ阻害剤活性を含む関連ポリペプチドのフラグメント、ホモログ、変化体および誘導体を提供する。特に、本発明者らは、低下または増強された接着活性を示す、接着タンパク質のフラグメント、ホモログ、変化体および誘導体を提供する。プロテアーゼおよびプロテアーゼ阻害剤のフラグメント、ホモログ、変化体および誘導体もまた提供されるが、これらは、低下または増強されたプロテアーゼ活性またはプロテアーゼ阻害剤活性を示す。
【0185】
接着活性およびプロテアーゼ活性およびプロテアーゼ阻害剤活性に対するアッセイはこの分野では知られている。
【0186】
上記に示されるように、配列同一性に関して、「ホモログ」は、好ましくは、配列表に示される関連の配列に対して、少なくとも5%の同一性、または少なくとも10%の同一性、または少なくとも15%の同一性、または少なくとも20%の同一性、または少なくとも25%の同一性、または少なくとも30%の同一性、または少なくとも35%の同一性、または少なくとも40%の同一性、または少なくとも45%の同一性、または少なくとも50%の同一性、または少なくとも55%の同一性、または少なくとも60%の同一性、または少なくとも65%の同一性、または少なくとも70%の同一性、または少なくとも75%の同一性、または少なくとも80%の同一性、または少なくとも85%の同一性、または少なくとも90%の同一性、または少なくとも95%の同一性を有する。従って、特に、本発明者らは、第I群疾患および第II群疾患の処置において、そのような同一性を有する接着タンパク質およびプロテアーゼおよびプロテアーゼ阻害剤のホモログの使用を提供する。
【0187】
より好ましくは、少なくとも95%の同一性、より好ましくは少なくとも96%の同一性、より好ましくは少なくとも97%の同一性、より好ましくは少なくとも98%の同一性、より好ましくは少なくとも99%の同一性が存在する。ヌクレオチドの同一性比較は上記に記載されるように行うことができる。好ましい配列比較プログラムは、上記に記載されるGCG Wisconsin Bestfitプログラムである。デフォルトのスコア化行列は、それぞれの同一ヌクレオチドに対して10の一致値を有し、そしてそれぞれのミスマッチに対しては−9の値を有する。デフォルトのギャップ作製ペナルティーは−50であり、そしてデフォルトのギャップ伸長ペナルティーは各ヌクレオチドに対して−3である。
【0188】
ハイブリダイゼーション
本発明者らはさらに、本明細書中に示される配列のいずれかに対して、またはその任意の変化体もしくはフラグメントましくは誘導体に対して、または上記のいずれかの相補体に対して選択的にハイブリダイゼーションすることができるヌクレオチド配列を記載する。ヌクレオチド配列は、好ましくは少なくとも15ヌクレオチドの長さであり、より好ましくは少なくとも20ヌクレオチド、30ヌクレオチド、40ヌクレオチドまたは50ヌクレオチドの長さである。
【0189】
本明細書中で使用される用語「ハイブリダイゼーション」には、ポリメラーゼ連鎖反応技術において行われるような増幅プロセスだけでなく、「核酸の鎖が塩基対形成によって相補鎖と結合するプロセス」が包含されるものとする。
【0190】
本明細書中に示されるヌクレオチド配列またはその相補体に対して選択的にハイブリダイゼーションすることができるポリヌクレオチドは、本明細書中に示される対応するヌクレオチド配列に対して少なくとも40%の相同性、または少なくとも45%の相同性、または少なくとも50%の相同性、または少なくとも55%の相同性、または少なくとも60%の相同性、または少なくとも65%の相同性、または少なくとも70%の相同性、または少なくとも75%の相同性、または少なくとも80%の相同性、または少なくとも85%の相同性、または少なくとも90%の相同性、または少なくとも95%の相同性を有し得る。好ましくは、そのようなポリヌクレオチドは、少なくとも20個の連続したヌクレオチドの領域にわたって、好ましくは少なくとも25個または30個、例えば、少なくとも40個、60個または100個またはそれ以上の連続したヌクレオチドの領域にわたって、本明細書中に示される対応するヌクレオチド配列に対して少なくとも70%の相同性、好ましくは少なくとも80%または90%の相同性、より好ましくは少なくとも95%または98%の相同性を一般には有する。
【0191】
用語「選択的なハイブリダイゼーションが可能な(である)」により、プローブとして使用されるポリヌクレオチドが、バックグラウンドを有意に越えるレベルでプローブに対して標的ポリヌクレオチドがハイブリダイゼーションすることが見出される条件のもとで使用されることが意味される。バックグラウンドのハイブリダイゼーションは、例えば、スクリーニング中のcDNAライブラリーまたはゲノムDNAライブラリーに存在する他のポリペプチドのために生じることがある。この場合、バックグラウンドは、プローブとライブラリーの非特異的なDNAメンバーとの相互作用によって生じるシグナルレベルを意味し、そのようなレベルは、標的DNAで認められる特異的な相互作用の強度の1/10(10 fold)未満(好ましくは1/100(100 fold)未満)である。相互作用の強度は、例えば、プローブを、例えば、32Pで放射能標識することによって測定することができる。
【0192】
ハイブリダイゼーション条件は、BergerおよびKimmel(1987、Guide to Molecular Cloning Techniques、Methods in Enzymology、第152巻、Academic Press、San Diego、CA)に教示されるように、核酸結合複合体の融解温度(Tm)に基づいており、そして下記に説明されるように、規定された「ストリンジェンシー」をもたらす。
【0193】
最大のストリンジェンシーは、典型的には、およそTm−5℃(プローブのTmよりも5℃低い温度)で生じる;高いストリンジェンシーはTmよりも約5℃〜10℃低い温度で生じる;中間的なストリンジェンシーはTmよりも約10℃〜20℃低い温度で生じる;そして低いストリンジェンシーはTmよりも約20℃〜25℃低い温度で生じる。当業者によって理解されるように、最大のストリンジェンシーでのハイブリダイゼーションは、同一のポリヌクレオチド配列を同定または検出するために使用することができ、一方で、中間的(または低い)ストリンジェンシーでのハイブリダイゼーションは、類似または関連するポリヌクレオチド配列を同定または検出するために使用することができる。
【0194】
好ましい態様において、本発明者らは、ストリンジェントな条件(例えば、65℃および0.1xSSC{1xSSC=0.15M NaCl、0.015Mクエン酸Na3、pH7.0})のもとで、接着タンパク質またはプロテアーゼまたはプロテアーゼ阻害剤の核酸、フラグメント、変化体、ホモログまたは誘導体にハイブリダイゼーションすることができるヌクレオチド配列を提供する。
【0195】
ホモログおよび変化体および誘導体の作製
本発明の配列に対して100%同一ではないが、同様に含まれるポリヌクレオチドは、接着タンパク質およびプロテアーゼおよびプロテアーゼ阻害剤のホモログおよび変化体および誘導体と同様に、多数の方法で得ることができる。本発明の配列の他の変化体を、例えば、様々な個体、例えば、異なる様々な集団に由来する個体から作製されたDNAライブラリーをプローブ探査することによって得ることができる。例えば、ホモログを他の個体または他の種から同定することができる。さらなる組換え核酸およびポリペプチドを、ホモログにおける対応する位置を同定し、そして本明細書のどこかに記載されるようにそのような分子を合成または製造することによって製造することができる。
【0196】
さらに、接着タンパク質およびプロテアーゼおよびプロテアーゼ阻害剤の他のウイルス/細菌または細胞性のホモログ、特に、哺乳動物細胞(例えば、ラット、マウス、ウシおよび霊長類の細胞)に見出される細胞性ホモログを得ることができ、そしてそのようなホモログおよびそのフラグメントは、一般に、ヒトの接着タンパク質またはプロテアーゼまたはプロテアーゼ阻害剤に対して選択的にハイブリダイゼーションすることができる。そのようなホモログは、ヒト以外の接着タンパク質およびプロテアーゼおよびプロテアーゼ阻害剤の核酸、フラグメント、変化体およびホモログを設計するために使用することができる。変異誘発を、さらなる多様性を作製するためにこの分野で知られている手段によって行うことができる。
【0197】
ホモログの配列は、他の動物種から作製されたcDNAライブラリーまたは他の動物種に由来するゲノムDNAライブラリーをプローブ探査することによって、すなわち、中程度〜高いストリンジェンシーの条件のもとで、接着タンパク質またはプロテアーゼまたはプロテアーゼ阻害剤の核酸、フラグメント、変化体およびホモログまたは他のフラグメントのいずれかのすべてまたは一部を含むプローブでそのようなライブラリーをプローブ探査することによって得ることができる。
【0198】
同様な検討が、本明細書に開示されるポリペプチド配列またはヌクレオチド配列の種ホモログおよび対立遺伝子変化体を得ることに対して適用される。
【0199】
変化体および系統/種ホモログもまた、接着タンパク質またはプロテアーゼまたはプロテアーゼ阻害剤をコードする核酸の配列内の保存されたアミノ酸をコードする変化体およびホモログの内部の標的配列に対して設計されたプライマーが使用される縮重PCRを使用して得ることができる。保存された配列は、例えば、いくつかの変化体/ホモログに由来するアミノ酸配列をアラインメントすることによって予測することができる。配列のアラインメントは、この分野で知られているコンピューターソフトウエアを使用して行うことができる。例えば、GCG Wisconsin PileUpプログラムが広く使用されている。
【0200】
縮重PCRにおいて使用されるプライマーは1つ以上の縮重位置を含有し、既知の配列に対する単一配列プライマーを用いて配列をクローニングするために使用される条件よりも低いストリンジェンシーの条件で使用される。遠縁の生物に由来する配列間の全体的なヌクレオチド相同性は非常に低いと考えられ、従ってこのような状況では、縮重PCRは、配列の標識されたフラグメントでライブラリーをスクリーニングすることよりも優れた方法であり得ることが当業者によって理解される。
【0201】
さらに、相同的な配列は、BLASTプログラムセットなどの検索アルゴリズムを使用してヌクレオチドおよび/またはタンパク質のデータベースを検索することによって同定することができる。
【0202】
あるいは、そのようなポリヌクレオチドは、特徴づけられた配列、例えば、接着タンパク質およびプロテアーゼおよびプロテアーゼ阻害剤の核酸またはその変化体、ホモログ、誘導体もしくはフラグメントの部位特異的変異誘発によって得ることができる。これは、例えば、サイレントなコドン変化が、ポリヌクレオチド配列が発現させられている特定の宿主細胞に対するコドン使用の選択を最適化するために配列に対して要求される場合には有用である。他の配列変化が、制限酵素認識部位を導入するために、またはポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドの性質もしくは機能を変化させるために望まれる場合がある。
【0203】
本明細書に記載されるポリヌクレオチドは、プライマー(例えば、PCRプライマー、選択的増幅反応用のプライマー)、プローブ(例えば、放射能標識または非放射能標識を使用して通常の手段によって顕示用標識で標識されたプローブ)を作製するために使用することができ、あるいはポリヌクレオチドはベクターにクローン化することができる。そのようなプライマーおよびプローブおよび他のフラグメントは、長さが少なくとも8ヌクレオチド、9ヌクレオチド、10ヌクレオチドまたは15ヌクレオチドであり、好ましくは少なくとも20ヌクレオチド、例えば、少なくとも25ヌクレオチドまたは30ヌクレオチドまたは40ヌクレオチドであり、そしてこれらもまた、本明細書中で使用される用語「ポリヌクレオチド」によって包含される。
【0204】
DNAポリヌクレオチドおよびプローブなどのポリヌクレオチドは、組換え的に、または合成的に、または当業者により利用可能な任意の手段によって製造することができる。ポリヌクレオチドはまた、標準的な技術によってクローン化することができる。
【0205】
一般に、プライマーは、所望する核酸配列を一度に1ヌクレオチドずつ段階毎に製造することを伴う合成的手段によって製造される。自動化された技術を使用してこれを達成するための様々な技術をこの分野では容易に利用することができる。
【0206】
より長いポリヌクレオチドは、一般には、組換え手段を使用して、例えば、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)クローニング技術を使用して製造される。これには、クローン化することが所望される脂質標的化配列の領域に隣接する1対のプライマー(例えば、約15ヌクレオチド〜30ヌクレオチドのプライマー)を作製すること、プライマーを、動物細胞またはヒト細胞から得られたmRNAまたはcDNAと接触させること、所望する領域の増幅をもたらす条件のもとでポリメラーゼ連鎖反応を行うこと、増幅されたフラグメントを単離すること(例えば、反応混合物をアガロースゲルで精製することによって)、および増幅されたDNAを回収することが含まれる。プライマーは、増幅されたDNAが好適なクローニングベクターにクローン化され得るように好適な制限酵素認識部位を含有するように設計することができる。
【0207】
ポリヌクレオチドまたはプライマーは顕示用標識を有することができる。好適な標識には、放射性同位体(32Pまたは35Sなど)、酵素標識、または他のタンパク質標識(ビオチンなど)が含まれる。そのような標識はポリヌクレオチドまたはプライマーに付加することができ、そしてそれ自体は知られている技術を使用して検出することができる。ポリヌクレオチドまたはプライマーまたはそのフラグメントは、標識された状態で、または標識されることなく、ヒト身体または動物身体におけるポリヌクレオチドを検出または配列決定するために核酸型試験において当業者によって使用することができる。
【0208】
そのような検出試験は、一般には、DNAまたはRNAを含有する生物学的サンプルを、ポリヌクレオチドまたはプライマーを含むプローブと、ハイブリダイゼーション条件のもとで接触させること、およびプローブとサンプル中の核酸との間で形成された何らかの二重鎖を検出することを含む。そのような検出は、PCRなどの技術を使用して達成することができ、または固体支持体にプローブを固定化して、プローブにハイブリダイゼーションしていないサンプル中の核酸を除き、その後、プローブにハイブリダイゼーションした核酸を検出することによって達成することができる。あるいは、サンプルの核酸を固体支持体に固定化することができ、そしてそのような支持体に結合したプローブの量を検出することができる。この形式および他の形式の好適なアッセイ方法を、例えば、国際特許出願公開WO89/03891および同WO90/13667に見出すことができる。
【0209】
ヌクレオチドの配列決定試験には、標的のDNAまたはRNAを含有する生物学的サンプルを、ポリヌクレオチドまたはプライマーを含むプローブと、ハイブリダイゼーション条件のもとで接触させること、および例えば、サンガーのジデオキシ鎖停止法(Sambrookらを参照のこと)によって配列を決定することが伴う。
【0210】
そのような方法は、一般には、標的のDNAまたはRNAに対して相補的な鎖を合成することによりプライマーを好適な試薬の存在下で伸長させること、およびA、C、GまたはT/Uの残基の1つまたは複数において伸長反応を選択的に停止させること;鎖伸長反応および鎖停止反応を行わせること;選択的な停止が生じているヌクレオチドの配列を決定するために伸長生成物のサイズに従って分離することを含む。好適な試薬には、DNAポリメラーゼ酵素、デオキシヌクレオチド(dATP、dCTP、dGTPおよびdTTP)、緩衝液、およびATPが含まれる。ジデオキシヌクレオチドが選択的停止のために使用される。
【0211】
抗体
本発明者らはさらに、コルネオデスモシン遺伝子によってコードされるポリペプチド/タンパク質におけるエピトープまたは変異エピトープに対して特異的に結合する抗体(ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体のいずれか)を提供する。抗体の調製において、コルネオデスモシン遺伝子およびその多型によってコードされるタンパク質(変異型または非変異型)が、免疫原の供給源として使用される。アミノ酸配列から単離されたペプチドアミノ酸配列または変異ペプチド配列もまた免疫源として使用することができる。
【0212】
抗体はポリクローナルまたはモノクローナルのいずれであってもよい。好都合には、抗体は、配列に基づく合成ペプチドに対して調製され得るか、またはクローニング技術によって組換え的に調製され得るか、あるいは天然の遺伝子産物および/またはその一部が単離され、免疫原として使用され得る。そのようなタンパク質またはペプチドは、HarlowおよびLane、Antibodies:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.、1988)に一般的に記載されるように当業者に十分に知られている標準的な抗体製造技術によって抗体を製造するために使用することができる。
【0213】
ポリクローナル抗体を製造する場合、ウサギまたはヤギなどの宿主が、一般にはアジュバントとともに、そして必要な場合にはキャリアにカップリングされたタンパク質またはペプチドで免疫化される。タンパク質に対する抗体が血清から集められる。
【0214】
モノクローナル抗体を製造する場合、技術は、適切なドナー(一般にはマウス)をタンパク質またはペプチドフラグメントで過免疫化すること、および脾臓の抗体産生細胞を単離することを伴う。これらの細胞は、不死性を有し、かつ必要とされる抗体を分泌する融合された細胞ハイブリッドを作製するために、不死性を有する細胞(ミエローマ細胞など)に融合される。その後、細胞は塊で培養され、モノクローナル抗体が使用のために培養培地から集められる。
【0215】
抗体は、この分野では十分に知られているように、固体支持体基体に結合させることができ、または検出可能な成分とコンジュゲート化することができ、または結合およびコンジュゲート化の両方を行うことができる(蛍光成分または酵素成分のコンジュゲート化の一般的な議論については、JohnstoneおよびThorpe、Immunochemistry in Practice(Blackwell Scientific Publications、Oxford、1982)を参照のこと)。固体の支持体基体に抗体を結合させることもまたこの分野では十分に知られている(一般的な議論については、HarlowおよびLane、Antibodies:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Laboratory Publications、New York、1988)を参照のこと)。検出可能な成分には、蛍光マーカー、金属マーカー、酵素マーカーおよび放射能マーカー、例えば、ビオチン、金、フェリチン、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、ペルオキシダーゼ、ウレアーゼ、フルオレセイン、ローダミン、トリチウム、14Cおよびヨウ素化などが含まれるが、これらに限定されない。
【0216】
連鎖非平衡分析
連鎖非平衡(LD)分析は、疾患遺伝子をマッピングするための有力なツールであり、複雑な形質を調べるために特に有用であり得る。LDマッピングは下記の予想に基づいている。集団の任意の2つのメンバーについて、数世代にわたって生じる組換え事象により、それらのゲノムは組換えられており、その結果、それらは祖先との共通点をほとんど有しないことが予想される。しかし、これらの個体が、共通の祖先から受け継がれた疾患に罹っている場合、その疾患の原因となる遺伝子およびそのすぐ周りに位置するマーカーは、その祖先から、変化することなく受け継がれる可能性が高く、すなわち、IBD(「家系により同一」)である可能性が高い。共有され続けている(すなわち、IBD)領域のサイズは、罹患者とその共通祖先とを隔てる世代数に逆比例する。従って、「古い」集団は詳細なマッピングに好適であり、そして近年には、古い集団は、疾患遺伝子をおおまかに突き止めるためにLDを使用することについて適していることが見出されている(Houwenら、1994、特に図3および付属する説明)。隔離された集団は、典型的には少数の創始者が存在しているので、フィンランドで行われたいくつかの成功したLD研究(de la Chapelle、1993)によって示されるようにLD法に対して特に適している。
【0217】
LD分析がいくつかのポジショナルクローニング研究(Keremら、1989;MacDonaldら、1992;Petrukhinら、1993;Hastbackaら、1992および1994)において使用されているが、それぞれの場合において、同一の局在化が、従来の連鎖法を使用して達成されていた。ポジショナルクローニングは、その生化学的機能には関わりなく、単にその染色体位置に基づいた遺伝子の単離である。LanderおよびBotstein(1986)により、LDマッピングは、従来の連鎖分析を用いることなく、疾患遺伝子座についてヒトゲノムをスクリーニングするために使用できることが提案された。この方法は、ゲノム全体に及ぶ1組のマッピングされたマーカーが利用できるまでは実際的ではなかった(Weissenbachら、1992)。今回、LDマッピングを使用するゲノムスクリーニングの実現可能性が本出願人らによって明らかにされる。
【0218】
上皮における増大または低下した細胞−細胞接着に関連する疾患を引き起こす原因となる遺伝子の染色体位置が同定されることにより、罹患家族における個体の診断および処置および遺伝カウンセンリングが容易になる。
【0219】
障害の重篤度およびそのような疾患の純粋に表現型の診断の限界のために、臨床的診断を確認し、そしてその遺伝子型サブタイプに基づく適切な治療を決定するために、個体の遺伝子型サブタイプを決定することが非常に求められている。
【0220】
疾患の診断
本発明者らは、上皮の異常な細胞−細胞接着に関連する疾患の診断方法を提供する。接着タンパク質(例えば、コルネオデスモシン)をコードする遺伝子における変異は、角質細胞などの上皮細胞間の低下した接着を生じさせることが示されている。これらの遺伝子におけるいくつかの変異は、接着タンパク質の変化した(典型的には低下した)発現を生じさせることがあり、または低下した接着活性もしくはより大きいプロテアーゼ感受性を有する接着タンパク質の発現を生じさせることがある。プロテアーゼ遺伝子およびプロテアーゼ阻害剤遺伝子における他の変異もまた、実施例に示されるように疾患と関連している。低下した細胞−細胞接着は表皮の損なわれたバリア機能をもたらすので、そのような変異は、典型的には第1群疾患と関連しており、第1群疾患を生じさせることがある。
【0221】
従って、第1群疾患を、接着タンパク質の発現レベルを測定することによって、疾患に罹患している患者または疾患に罹患する可能性を有する患者において診断することができる。この場合、接着タンパク質の低下した発現レベルにより、第1群疾患が診断される。さらに、本発明者らは、上皮の細胞−細胞接着に関与する接着タンパク質の接着活性を測定することによる第1群疾患の診断方法を提供するが、この場合、低下した接着活性により、第1群疾患が診断される。本発明者らはさらに、上皮の細胞−細胞接着に関与する接着タンパク質のプロテアーゼ感受性を測定することによる第1群疾患の診断方法を提供するが、この場合、増大したプロテアーゼ感受性により、第1群疾患が診断される。本発明者らはまた、接着タンパク質の低下した発現に関連する変異、または低下した接着活性および/もしくは増大したプロテアーゼ感受性を有する接着タンパク質の発現に関連する変異の存在を決定することによる第1群疾患の診断方法を提供する。
【0222】
コルネオデスモシンなどの接着タンパク質をコードする遺伝子における他の変異は、角質細胞などの上皮細胞間の増大した接着を生じさせる。これらの遺伝子におけるいくつかの変異は、接着タンパク質の増強された発現を生じさせることがあり、または増強された接着活性もしくは低下したプロテアーゼ感受性を有する接着タンパク質の発現を生じさせることがある。プロテアーゼ遺伝子およびプロテアーゼ阻害剤遺伝子における変異で、疾患に関連する変異もまた開示される。これらの変異は、増強された細胞−細胞接着をもたらすので、典型的には第2群疾患と関連しており、第2群疾患を生じさせることがある。
【0223】
従って、第2群疾患を、接着タンパク質の発現レベルを測定することによって、疾患に罹患している患者または疾患に罹患する可能性を有する患者において診断することができる。この場合、接着タンパク質の増大した発現レベルにより、第2群疾患が診断される。さらに、本発明者らは、上皮の細胞−細胞接着に関与する接着タンパク質の接着活性を測定することによる第2群疾患の診断方法を記載するが、この場合、増大した接着活性により、第2群疾患が診断される。本発明者らはさらに、上皮の細胞−細胞接着に関与する接着タンパク質のプロテアーゼ感受性を測定することによる第2群疾患の診断方法を提供するが、この場合、低下したプロテアーゼ感受性により、第2群疾患が診断される。また、接着タンパク質の増大した発現に関連する変異の存在、または増大した接着活性および/もしくは低下したプロテアーゼ感受性を有する接着タンパク質の発現に関連する変異の存在を決定することによる第2群疾患の診断方法も含まれる。
【0224】
好ましい実施形態によれば、第1群疾患または第2群疾患の診断は、コルネオデスモシン遺伝子におけるHph1制限酵素部位の存在の有無を検出することによって行われる。
【0225】
好ましくは、第1群疾患は、コルネオデスモシン遺伝子におけるHph1部位の非存在を検出することによって診断される。好ましくは、第2群疾患は、コルネオデスモシン遺伝子におけるHph1部位の存在を検出することによって診断される。より好ましくは、Hph1部位の非存在によって診断される第1群疾患は湿疹またはクローン病であり、Hph1部位の存在によって診断される第2群疾患は乾癬またはざ瘡である。
【0226】
あるいは、または組合せにおいて、本発明者らは、コルネオデスモシン遺伝子において+1243位におけるTの存在の有無を検出することによる第1群疾患または第2群疾患の診断を提供する。好ましくは、第1群疾患は、コルネオデスモシン遺伝子において+1243位におけるTの存在を検出することによって診断される。好ましくは、第2群疾患は、コルネオデスモシン遺伝子において+1243位におけるTの非存在を検出することによって診断される。より好ましくは、+1243位におけるTの存在によって診断される第1群疾患は湿疹またはクローン病であり、+1243位におけるTの非存在によって診断される第2群疾患は乾癬またはざ瘡である。
【0227】
好ましくは、+1243位におけるTの存在はCからTへのトランジションに関連する。さらに、+1243位におけるTの非存在はTからCへのトランジションに関連する。
【0228】
この分野で知られているような、タンパク質のプロテアーゼ感受性を測定する任意の方法(Egelrud、1993)を、上記に示された診断方法において使用することができる。同様に、例えば、SSCP分析、RFLP分析、SNP分析などの手段による変異の検出がこの分野では知られており、下記においてさらに詳しく記載される。
【0229】
接着タンパク質の異常な(すなわち、増大または低下した)タンパク質分解的分解の検出もまた、第1群疾患および第2群疾患を診断するために使用することができる。従って、接着タンパク質のタンパク質分解に関与するプロテアーゼの増大した発現レベルおよび/または活性レベルは第1群疾患に特徴的であり(従って、第1群疾患の診断となる)。従って、本発明者らは、接着タンパク質のタンパク質分解に関与するプロテアーゼの発現レベルを検出することによる第1群疾患の診断方法を提供する。本発明者らはさらに、接着タンパク質のタンパク質分解に関与するプロテアーゼの活性レベルを検出することによる第1群疾患の診断方法を提供するが、この場合、プロテアーゼの増大した活性レベルにより、第1群疾患が診断される。この方法はまた、第2群疾患の診断にも好適である。従って、第2群疾患の診断方法は、接着タンパク質のタンパク質分解に関与するプロテアーゼの発現レベルを検出することを含むが、この場合、プロテアーゼの低下したレベルにより、第2群疾患が診断される。さらに、本発明者らは、接着タンパク質のタンパク質分解に関与するプロテアーゼの活性レベルを検出することによる第2群疾患の診断方法を提供するが、この場合、プロテアーゼの低下した活性レベルにより、第2群疾患が診断される。
【0230】
接着タンパク質の分解に関与するプロテアーゼのタンパク質分解活性を阻害することができるプロテアーゼ阻害剤の発現レベルおよび/または活性レベルもまた、第1群疾患または第2群疾患を診断する手段として検出することができる。従って、プロテアーゼ阻害剤の低下した発現レベルおよび/または活性レベルは第1群疾患に特徴的である。従って、第1群疾患の診断方法は、患者におけるプロテアーゼ阻害剤の低下した発現レベルを検出することを含む。同様に、第1群疾患の診断方法はまた、プロテアーゼ阻害剤の活性レベルを検出することを含むことができる。この場合、プロテアーゼ阻害剤の低下した活性レベルにより、第1群疾患が診断される。
【0231】
さらなる実施形態において、第2群疾患の診断方法は、プロテアーゼ阻害剤の発現レベルを検出することを含むが、この場合、プロテアーゼ阻害剤の増大した発現により、第2群疾患が診断される。さらに、第2群疾患の診断方法は、プロテアーゼ阻害剤の活性レベルを検出することを含むことができ、この場合、プロテアーゼ阻害剤の増大した活性により、第2群疾患が診断される。
【0232】
プロテアーゼおよび/またはプロテアーゼ阻害剤の発現および/または活性の検出はまた遺伝子レベルでも行われ得ることは明かである。すなわち、プロテアーゼ/プロテアーゼ阻害剤の増大または低下した活性に関連する変異を検出することができる。
【0233】
好ましくは、上記の方法において検出され、またはその性質が測定される接着タンパク質はコルネオデスモシンであり、そして好ましくは、遺伝子は、コルネオデスモシンをコードする遺伝子である。好ましくは、検出などが行われるプロテアーゼは角質層キモトリプシン様酵素(SCCE)または角質層トリプシン様酵素(SCTE)である。好ましくは、検出などが行われるプロテアーゼ阻害剤は抗ロイコプロテアーゼ阻害剤(SLPI)またはエラフィンプロテアーゼ阻害剤3(PI3もしくはSKALP)である。
【0234】
好ましくは、検出などが行われるプロテアーゼ阻害剤はエラフィンである。「より大きい」および「増大した」および「増強された」の用語が、活性、プロテアーゼ感受性、発現などに関連して使用される場合、これらは、同じ患者または別人に由来する正常な非疾患上皮の対応する性質に対して相対的であることが理解される。同様に、「より低い」および「低下した」および「減少した」の用語は、正常な非疾患上皮に対する相対的なレベルを示すものとする。
【0235】
本明細書に記載される方法および組成物に好適な診断方法の具体的な非限定的な例が下記に示される。
【0236】
遺伝子診断試験を、目的とする疾患に関連するSNPについて、コルネオデスモソームタンパク質(例えば、コルネオデスモソーム)およびプロテアーゼ(SCCE、SCTE)およびプロテアーゼ阻害剤(すなわち、SKALP、SLPI)をコードする遺伝子の遺伝子型を決定することによって行うことができる。変異および/または多型に隣接する配列に対応するプライマーが設計される。プロテアーゼ(SCCE、SCTE)およびプロテアーゼ阻害剤(すなわち、SKALP、SLPI)の遺伝子の配列は、例えば、Gene JockeyIIソフトウエア(Biosoft、49Bateman Street、Cambridge、CB2 1IL)を使用して各エキソンの両端におけるプライマーを設計するために使用することができる。PCR増幅後、変異を、制限酵素を使用する対立遺伝子識別によって、TaqMan分析(下記に記載)によって、または単に配列決定することによって検出することができる。
【0237】
簡単に記載すると、25μlのPCR反応液には、8%グリセロール、各200μMのdATPおよびdGTPおよびdCTP、400μMのdUTP、1.25UのAmplitaqGold(Perkin−Elmer、米国)、1.25Uのウラシル−N−グリコシラーゼ(Perkin−Elmer、米国)、5mMのMgCl2、500nM〜900nMの各プライマーが含まれた。これらの遺伝子座における対立遺伝子識別は、有効性が広範囲に認められている方法である5’ヌクレアーゼアッセイ(TaqMan(商標)対立遺伝子識別試験)を使用して行われる。この試験は、Taqポリメラーゼの5’ヌクレアーゼ活性と、PCR時にいずれかの対立遺伝子にハイブリダイゼーションするように設計された2つのプローブの切断の蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)による検出とに基づいている。二重蛍光プローブがABI−PE(Foster City、CA;Warrington、英国)によって提供される。プローブおよびプライマーの様々な配列が設計され、そしてプローブは5’末端がカルボキシフルオレセイン(FAM)およびカルボキシ−4,7,2’,7’−テトラクロロフルオレセイン(TET)の蛍光色素で標識され、そして3’末端が消光基のカルボキシテトラメチルローダミン(TAMRA)で標識される。FAMプローブおよびTETプローブの濃度は、使用されるプローブに依存して、それぞれ、20nM〜50nMおよび50nM〜350nMの範囲であった。プレートは、LS50−B蛍光計またはPE7200蛍光計(ABI/Perkin−Elmer)で走査される。
【0238】
本明細書中で使用される用語「ポリメラーゼ連鎖反応」または用語「PCR」は、Mullisらの特許(米国特許第4,683,195号および同第4,683,202号)に記載されるPCR手法を示す。この手法は、基本的には、(1)抽出されたDNAを処理して、一本鎖の相補的な鎖を形成させること;(2)プライマー対の一方がセンス鎖内の配列の一部に対して実質的に相補的であり、各プライマー対のもう一方が相補的なアンチセンス鎖内の同じ配列の異なる部分に対して実質的に相補的である1対のヌクレオチドプライマーを加えること;(3)対形成したプライマーを相補的な配列にアニーリングさせること;(4)アニーリングさせたプライマーを各プライマーの3’末端から同時に伸長させて、各プライマーにアニーリングした鎖に相補的な伸長生成物を合成すること、この場合、前記伸長生成物は、相補体から分離された後、各プライマー対のもう一方に対する伸長生成物を合成するためのテンプレートとして役立つ;(5)前記伸長生成物を前記テンプレートから分離して、一本鎖分子を作製すること;および(6)前記のアニーリング工程および伸長工程および分離工程を少なくとも1回繰り返すことによって前記一本鎖分子を増幅することを伴う。
【0239】
生化学的な診断試験には、タンパク質分解プロフィル、N/C末端に対するスクリーニング、酵素機能および/または酵素活性に対するスクリーニングが含まれる。
【0240】
タンパク質分解プロフィルは下記のように行うことができる。コルネオデスモシンの全長形態および成熟形態を認識することができるポリクローナル抗体が作製される。角質層抽出物を、患者から得られたストリップから抽出することができる。タンパク質抽出物はSDS−PAGEゲルで泳動され、メンブランに転写され、そして一次抗コルネオデスモシン抗体および標識された二次抗体でハイブリダイゼーションされる。患者のプロセシングされたコルネオデスモシンの分子量が、コントロールに由来するコルネオデスモシンの分子量と比較される。
【0241】
N/C末端に対するスクリーニングは下記のように行うことができる。特定の形態のデスモソーム/コルネオデスモソームタンパク質(例えば、コルネオデスモシン)が、コントロールではなく、患者群に存在する場合、または逆の場合、N/C末端に特異的な抗体を、病原性形態のデスモソーム/コルネオデスモソームタンパク質(例えば、コルネオデスモシン)を検出するために製造することができる。病原性形態の同定は下記のように行うことができる。種々の形態のコルネオデスモシンが、ヒト表皮の非変性低浸透圧緩衝液抽出物(TEA緩衝液抽出物)から、アニオン交換クロマトグラフィーおよびアフィニティークロマトグラフィーによって精製される(Simonら、1997)。アフィニティーカラムからの溶出画分がまとめられ、凍結乾燥されて、SDS−PAGEにより分離される。病原性形態のコルネオデスモシンに対応するバンドが切り出され、内部アミノ酸配列分析およびNH2末端アミノ酸分析によって特徴づけられる。
【0242】
酵素の機能/活性に対するスクリーニングは下記のように行うことができる。
【0243】
デスモソーム/コルネオデスモソームタンパク質(例えば、コルネオデスモシン)が、cDNAからのインビトロ翻訳のときに放射能標識され、そしてプロテアーゼ酵素(SCCE、SCTE)と37℃で1.5時間〜3時間インキュベーションされる。SCCEおよびSCTEは、Egelrud(1993)そしてBrattsandおよびEgelrud(1999)(Egelrud、1993;BrattsandおよびEgelrud、1999)によって記載されるように、分離された足底角質細胞のKCl抽出物を使用して調製することができる。SCCEは、SBTIアフィゲル15でのアフィニティークロマトグラフィーによって精製することができる。代わりの方法は、融合タンパク質をインビトロで製造し、そして免疫アフィニティーカラムを使用して精製することである(Ekholmら、2000)。SDS−PAGEおよびオートラジオグラフィーが、加水分解ペプチドのパターンを分析するために使用される。オートラジオグラフィーバンドの強度がデンシトメーターによって定量化され、そして56kDa(全長)未満のペプチドの割合が計算される。活性は、1秒あたり1gの酵素によってプロセシングされた基質のモル数として表される。
【0244】
デスモソームおよびコルネオデスモソーム
デスモソームは、上皮細胞間の円盤形状の細胞間接合部を形成する対称的な構造体である。表皮において、デスモソームは角化細胞間の接着を媒介する。乾癬、様々な魚鱗癬および皮膚乾燥症では、コルネオデスモソーム(表皮の上部層にけるデスモソーム)の数が角質層において増大する。免疫電子顕微鏡観察が、細胞外コアドメインのタンパク質(デスモグレインおよびデスモコリンなど)と細胞間のコルネオデスモソームタンパク質(デスモプラキンIおよびII、プラコグロビン(PG)およびプラコフィリン(PP)を含む)との間のコルネオデスモソーム内の相互作用を明らかにするために使用されている(CowinおよびBurke、1996)。表皮の一体性におけるコルネオデスモソームタンパク質の重要性が、デスモプラキンのハプロタイプ不全により生じる掌蹠角皮症の線条サブタイプなどの遺伝する障害によって明らかにされている(Armstrongら、1999)。ロリクリン遺伝子における変異はカミサ(Camisa)角皮症を生じさせる。コルネオデスモシンはコルネオデスモソームの糖タンパク質である。33〜36kDaから40〜46kDaおよび52〜56kDaの異なる分子量を有するコルネオデスモシンの3つの形態が表皮から単離されている(Simonら、1997)。
【0245】
MHC表皮遺伝子クラスター(染色体6p21)内のコルネオデスモシン/S遺伝子および関連遺伝子における変異は角質細胞間の低下した密着をもたらす。
【0246】
スクリーニングアッセイ
本明細書に記載される接着タンパク質およびプロテアーゼおよびプロテアーゼ阻害剤は、ポリペプチドと結合し、かつポリペプチドの活性化を活性化する化合物(アゴニスト)、またはポリペプチドの活性化を阻害する化合物(アンタゴニスト)に対するスクリーニングプロセスにおいて用いることができる。従って、接着タンパク質およびプロテアーゼおよびプロテアーゼ阻害剤はまた、例えば、細胞、無細胞調製物、化学ライブラリーおよび天然産物混合物における小分子の基質およびリガンドの結合を評価するために使用することができる。これらの基質およびリガンドは天然の基質およびリガンドであってもよく、または構造的模倣体もしくは機能的模倣体であってもよい。Coliganら、Current Protocols in Immunology、1(2):第5章(1991)を参照のこと。
【0247】
接着タンパク質およびプロテアーゼおよびプロテアーゼ阻害剤は、第I群疾患および第II群疾患などの炎症性皮膚疾患を含む皮膚疾患などの多くの病理を含む多くの生物学的機能を担っている。従って、接着タンパク質およびプロテアーゼおよびプロテアーゼ阻害剤を刺激するか、一方では接着タンパク質およびプロテアーゼおよびプロテアーゼ阻害剤の機能を阻害し得る化合物および薬物を見出すことが望まれる。従って、アゴニストおよびアンタゴニストが、本明細書に開示される第I群疾患および/または第II群疾患のいずれかに対する治療目的および予防目的のために用いられる。
【0248】
接着タンパク質およびプロテアーゼおよびプロテアーゼ阻害剤と相互作用し得ると考えられる候補化合物の合理的な設計は、本発明によるポリペプチドの分子形状の構造的研究に基づく場合がある。どの部位が特定の他のタンパク質と相互作用するかを決定するための1つの手段が物理的な構造決定であり、例えば、X線結晶学および二次元NMR技術である。これらは、どのアミノ酸残基が分子の接触領域を形成するかに関する指針を提供する。タンパク質構造決定の詳細な説明については、例えば、BlundellおよびJohnson(1976)、Protein Crystallography(Academic Press、New York)を参照のこと。
【0249】
合理的な設計に代わる方法では、接着タンパク質またはプロテアーゼまたはプロテアーゼ阻害剤をその表面に発現する適切な細胞を作製することを一般には伴うスクリーニング法が使用される。そのような細胞には、動物、酵母、ショウジョウバエまたは大腸菌に由来する細胞が含まれる。ポリペプチドを発現する細胞(または発現したポリペプチドを含有する細胞膜)は、その後、結合、または機能的応答の刺激もしくは阻害を観測するために試験化合物と接触させられる。例えば、アフリカツメガエル卵母細胞に、接着タンパク質およびプロテアーゼおよびプロテアーゼ阻害剤またはポリペプチドのいずれか1つまたは複数をコードするmRNAを注入することができ、そして試験化合物にさらされることにより誘導される電流を、電圧クランプの使用によって測定することができる。これは、どこかにさらに詳しく記載されるように測定される。
【0250】
候補化合物がタンパク質(特に、抗体またはペプチド)である場合、候補化合物のライブラリーを、ファージディスプレー技術を使用してスクリーニングすることができる。ファージディスプレーは、組換えバクテリオファージを利用する分子的スクリーニングプロトコルである。この技術には、それぞれのファージまたはファージミドが特定の候補化合物を発現するように、候補化合物のライブラリーに由来する1つの化合物をコードする遺伝子でバクテリオファージを形質転換することが含まれる。形質転換されたバクテリオファージ(これは好ましくは固体支持体に固定される)は適切な候補化合物を発現し、その候補化合物をそのファージ外被に提示する。本発明のポリペプチドまたはペプチドに結合することができる特異的な候補化合物が、アフィニティー相互作用に基づく選択法によって濃縮される。成功した候補因子は、その後、特徴づけが行われる。ファージディスプレーは、標準的なアフィニティーリガンドスクリーニング技術を上回る利点を有する。ファージの表面には、候補因子が、その天然に存在する立体配座に非常に類似する三次元立体配置で提示される。これにより、より特異的で、そしてより大きい親和性の結合がスクリーニング目的のために可能になる。
【0251】
化合物のライブラリーをスクリーニングする別の方法では、化合物のライブラリーを発現させる組換えDNA分子で安定的に形質転換されている真核生物宿主細胞または原核生物宿主細胞が利用される。そのような細胞は、生存可能な形態または固定された形態のいずれかで、標準的な結合−パートナーアッセイのために使用することができる。Parceら(1989)、Science、246:243〜247;Owickiら(1990)、Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA、87:4007〜4011もまた参照のこと。これらには、細胞応答を検出する高感度な方法が記載される。競合的アッセイは、化合物のライブラリーを発現する細胞が、本発明のBACHポリペプチドに結合することが知られている標識された抗体(125I−抗体など)と、そして結合する組成物に対するその結合親和性が測定されている候補化合物などの試験サンプルと接触させられるか、またはそれらとインキュベーションされる場合には特に有用である。ポリペプチドに対する結合した標識結合パートナーおよび遊離の標識結合パートナーが、その後、結合の程度を評価するために分離される。結合した試験サンプルの量は、ポリペプチドに結合している標識抗体の量に逆比例する。
【0252】
多数の技術のいずれか1つを使用して、結合の程度を評価するために、結合した結合パートナーを遊離の結合パートナーから分離することができる。この分離工程は、典型的には、フィルターへの接着、その後の洗浄、またはプラスチックへの接着、その後の洗浄、または細胞膜の遠心分離などの手順を伴うことができる。
【0253】
さらに別の方法は、例えば、形質転換された真核生物宿主細胞または原核生物宿主細胞から抽出され、可溶化されたポリペプチドもしくはペプチド、または非精製のポリペプチドもしくはペプチド、または可溶化された精製ポリペプチドもしくは精製ペプチドを使用することである。これは、増大した特異性、自動化できること、および大きい薬物試験処理能という利点を有する「分子」結合アッセイを可能にする。
【0254】
候補化合物のスクリーニングに関する別の技術は、例えば、本発明のポリペプチドに対する好適な結合親和性を有する新しい化合物に対する高処理能スクリーニングをもたらす方法を伴い、これは、国際特許出願公開WO84/03564(Commonwealth Serum Labs.、1984年9月13日公開)に詳しく記載される。最初に、非常に多数の異なる小さいペプチド試験化合物が固体基体(例えば、プラスチックピンまたはいくつかの他の適切な表面)において合成される;Fodorら(1991)を参照のこと。その後、すべてのピンが本発明の可溶化されたポリペプチドと反応させられ、洗浄される。次の段階では、結合したポリペプチドを検出することが含まれる。このようにして、ポリペプチドと特異的に相互作用する化合物が同定される。
【0255】
リガンド結合アッセイは、薬理学を確認するための直接的な方法を提供し、高処理能形式に適合させることができる。ポリペプチドに対する精製されたリガンドは、結合研究のために高比活性(50〜2000Ci/mmol)に放射能標識することができる。その場合、放射能標識プロセスがその結合パートナーに対するリガンドの活性を損なっていないということの確認が行われる。緩衝液、イオン、pHおよび他の調節因子(ヌクレオチドなど)に対するアッセイ条件が、膜供給源および全細胞供給源の両方について実用的なシグナル対ノイズ比を確立するために最適化される。このようなアッセイの場合、特異的な結合は、[総結合放射能]−[過剰な非標識競合リガンドの存在下で測定された放射能]として定義される。可能な場合には、2つ以上の競合リガンドが、残存する非特異的な結合を明らかにするために使用される。
【0256】
アッセイでは、単純に候補化合物の結合を試験することができる。この場合、ポリペプチドを有する細胞に対する結合が、候補化合物と直接的もしくは間接的に結合した標識によって検出されるか、または標識された競合剤との競合を伴うアッセイにおいて検出される。さらに、これらのアッセイでは、候補化合物が、ポリペプチドに結合することによって生じるシグナルをもたらすかどうかを、ポリペプチドをその表面に有する細胞に適切な検出システムを使用して試験することができる。活性化の阻害剤が、一般には、既知のアゴニストの存在下でアッセイされ、そして候補化合物が存在することによる、アゴニストによる活性化に対する影響が観測される。
【0257】
さらに、これらのアッセイは、単純に、候補化合物を、接着タンパク質またはプロテアーゼまたはプロテアーゼ阻害剤を含有する溶液と混合して、混合物を形成する工程、混合物における関連タンパク質の活性を測定する工程、および混合物の活性を標準物と比較する工程を含むことができる。
【0258】
接着タンパク質およびプロテアーゼおよびプロテアーゼ阻害剤をコードするcDNA、タンパク質、ならびにタンパク質に対する抗体はまた、細胞におけるmRNAおよびタンパク質の産生に対する添加された化合物の影響を検出するアッセイを組み立てるために使用することができる。例えば、ELISAを、この分野で知られている標準的な方法によってモノクローナル抗体およびポリクローナル抗体を使用して、接着タンパク質およびプロテアーゼおよびプロテアーゼ阻害剤の分泌レベルまたは細胞結合レベルを測定するために構築することができ、そしてこれは、好適に操作された細胞または組織から、接着タンパク質またはプロテアーゼまたはプロテアーゼ阻害剤の産生を阻害または増強し得る因子(これはまた、それぞれ、アンタゴニストまたはアゴニストと呼ばれる)を発見するために使用することができる。スクリーニングアッセイを行うための様々な標準的な方法がこの分野では十分に理解されている。
【0259】
接着タンパク質およびプロテアーゼおよびプロテアーゼ阻害剤の潜在的なアンタゴニストの例には、抗体、あるいは場合により、ヌクレオチドおよびそのアナログ(プリン類およびプリンアナログを含む)、オリゴヌクレオチド、あるいは接着タンパク質またはプロテアーゼまたはプロテアーゼ阻害剤のリガンドに非常に関連するタンパク質、例えば、リガンドのフラグメント、あるいはポリペプチドに結合するが、応答を誘発せず、その結果、ポリペプチドの活性が阻止されるようする小さい分子が含まれる。
【0260】
従って、本発明はまた、本発明の接着タンパク質またはプロテアーゼまたはプロテアーゼ阻害剤および/またはペプチドに対して特異的に結合することができる化合物を提供する。
【0261】
用語「化合物」は、生物学的高分子(例えば、核酸、タンパク質、非ペプチドまたは有機分子)などの化学的化合物(天然に存在するか、または合成される)、または細菌、植物、菌類もしくは動物(特に哺乳動物)の細胞もしくは組織などの生物学的材料から作製される抽出物、または無機の元素もしくは分子を示す。好ましくは、化合物は抗体である。
【0262】
そのようなスクリーニングが行われるために必要な材料はスクリーニングキットに包装することができる。そのようなスクリーニングキットは、接着タンパク質およびプロテアーゼおよびプロテアーゼ阻害剤のポリペプチドについて、あるいは接着タンパク質およびプロテアーゼおよびプロテアーゼ阻害剤のポリペプチドの産生を低下または増強させる化合物について、アゴニスト、アンタゴニスト、リガンド、受容体、基質、酵素などを同定するために有用である。スクリーニングキットは、(a)接着タンパク質またはプロテアーゼまたはプロテアーゼ阻害剤のポリペプチド;(b)そのようなポリペプチドを発現する組換え細胞;(c)そのようなポリペプチドを発現する細胞膜;または(d)そのようなポリペプチドに対する抗体を含む。スクリーニングキットは、場合により、使用に関する説明書を含むことができる。
【0263】
プロテアーゼの基質を、プロテアーゼ活性を調節することができる分子をアッセイするために使用することができる。例えば、SCCEの活性を調節することができる分子を同定するためのアッセイでは、基質S−2586(MeO−Suc−Arg−Pro−Tyr−pNA)が用いられる。S−2586は、切断されたときに405nmで吸収する。このアッセイでは、SCCEおよびS−2586は候補分子とともにインキュベーションされ、405nmにおける吸光度が、基質の切断を検出するために検出される。SCCEおよび他のプロテアーゼの阻害剤として使用される好適な候補分子には、405nmにおける吸光度を減少させる分子が含まれる。
【0264】
発現ベクター
本発明者らは、接着タンパク質またはプロテアーゼまたはプロテアーゼ阻害剤の遺伝子の核酸配列、およびその一部分、ならびに第1群疾患および/または第2群疾患に関連するそのようなタンパク質の様々な形態の発現をもたらす変異配列に機能的に連結された発現制御配列を含むベクターを提供する。本発明者らはさらに、好適な真核生物細胞および原核生物細胞から選択された宿主細胞で、このようなベクターで形質転換されている宿主細胞を提供する。
【0265】
本明細書に記載される方法および組成物を使用する際、適切なベクターを使用して、大腸菌を含む宿主細胞を形質転換し、その結果、接着タンパク質またはプロテアーゼまたはプロテアーゼ阻害剤の転写物に由来する組換えDNA配列、またはその正常な形態での完全な転写物を含有する組換えDNA配列、またはDNAの点変異、欠失、挿入もしくは再編成を含む変異した配列を含有する組換えDNA配列を有するようにすることが可能である。そのような形質転換細胞により、関連する遺伝子の機能および調節の研究が可能になる。組換え的に形質転換された宿主細胞の使用により、接着タンパク質およびプロテアーゼおよびプロテアーゼ阻害剤の調節機構の研究が可能になり、そして特に、接着タンパク質またはプロテアーゼまたはプロテアーゼ阻害剤の遺伝子領域における変異によって妨げられる遺伝子機能の研究が可能になる。
【0266】
様々なベクターが知られているか、または当業者によって構築され得るが、これらは、配列の所望する転写を達成するために必要なすべての発現エレメントを含むことが望ましい。他の有益な特徴もまたベクターに含めることができ、例えば、核酸を回収するための機構などを異なる形態でベクターに含めることができる。ファージミドは、プラスミドとして、またはバクテリオファージベクターとして、そのいずれでも使用することができるので、そのような有益なベクターの具体的な例である。他のベクターの例には、バクテリオファージおよびバキュロウイルスおよびレトロウイルスなどのウイルス、DNAウイルス、コスミド、プラスミド、ならびに他の組換えベクターが含まれる。ベクターはまた、原核生物宿主系または真核生物宿主系のどちらでも使用されるエレメントを含有することができる。当業者は、どの宿主系が特定のベクターと適合し得るかを理解している。
【0267】
ベクターは、この分野における様々な知られている方法のいずれかによって細胞内または組織内に導入することができる。そのような方法は、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Laboratory、New York、1992);Ausubelら、Current Protocols in Molecular Biology(John Wiley and Sons、Baltimore、Md、1989);Changら、Somatic Gene Therapy(CRC Press、Ann Arbor、Mich、1995);Vegaら、Gene Targeting(CRC Press、Ann Arbor、Mich、1995);Gilboaら(1986)に一般的に記載されて見出すことができ、そしてそのような方法には、例えば、安定的または一過性のトランスフェクション、リポフェクション、エレクトロポレーション、および組換えウイルスベクターによる感染が含まれる。感染による核酸の導入は、それ以外の記載された方法を上回る利点をもたらす。より大きい効率を、その感染性のために得ることができる。米国特許第5,487,992号および同第5,464,764号もまた参照のこと。そのうえ、ウイルスは非常に特殊化されており、典型的には特定の細胞タイプにおいて感染し、増殖する。従って、その自然の特異性を、インビボで、または組織内もしくは細胞の混合培養物内において、ベクターを特定の細胞タイプに標的化するために使用することができる。ウイルスベクターはまた、受容体媒介事象による標的特異性を変化させるために、特異的な受容体またはリガンドで改変することができる。
【0268】
この分野で知られている組換え方法はまた、標的核酸のセンス阻害またはアンチセンス阻害または三重鎖阻害を達成するために使用することができる。例えば、アンチセンス核酸を含有するベクターを、タンパク質またはアンチセンスメッセージを発現させて、標的核酸の発現を低下させ、従ってその活性を低下させるために用いることができる。
【0269】
アンチセンス核酸を導入し、発現させるためのDNAウイルスベクターの具体的な例には、アデノウイルス由来ベクターのAdenop53TKがある。このベクターは、正または負のいずれかの選択のためのヘルペスウイルスのチミジンキナーゼ(TK)遺伝子、およびアンチセンス配列などの所望する組換え配列に対する発現カセットを発現する。このベクターは、アデノウイルス受容体を有する細胞に感染させるために使用することができる。このベクターは、類似した所望の機能を示す他のベクターと同様に、細胞の混合集団(例えば、インビトロまたはエクスビボでの細胞培養物を含む)、組織、またはヒト被験体を処理するために使用することができる。
【0270】
さらなる特徴を、その安全性を保証し、かつ/またはその治療効率を高めるために、ベクターに加えることができる。そのような特徴には、例えば、組換えウイルスに感染した細胞に対する負の選択を行うために使用され得るマーカーが含まれる。そのような負の選択マーカーの例には、抗ウイルス剤ガンシクロビルに対する感受性を与える上記のTK遺伝子がある。従って、負の選択は、抗生物質の添加により誘導可能な自殺をもたらすので、感染が制御され得る手段である。そのような保護は、例えば、ウイルスベクターまたはウイルス配列の変化した形態をもたらす変異が生じる場合、細胞の形質転換が生じないことを保証する。特定の細胞タイプに対して発現を制限する特徴もまた含めることができる。そのような特徴には、例えば、所望する細胞タイプに対して特異的であるプロモーターおよび調節エレメントが含まれる。
【0271】
組換えウイルスベクターは、側方感染および標的化特異性などの利点をもたらすので、所望する核酸をインビボで発現させるための有用なベクターの別の例である。側方感染は、例えば、レトロウイルスの生活環において固有であり、出芽して、隣の細胞に感染する多数の子孫ビリオンを1個の感染細胞がもたらすプロセスである。その結果は、そのほとんどが最初のウイルス粒子によって最初に感染しなかった広い面積が迅速に感染するということである。これは、感染性因子が娘子孫を介して広がるだけである垂直型の感染とは対照的である。側方に伝播することができないウイルスベクターもまた製造することができる。この特性は、所望する目的が、指定された遺伝子を局在化された数の標的化された細胞にだけ導入することであるならば、有用である場合がある。
【0272】
上記に記載されるように、ウイルスは、多くの場合には宿主の防御機構を免れるために進化してきた非常に特殊化した感染性因子である。典型的には、ウイルスは特定の細胞タイプにおいて感染し、増殖する。ウイルスベクターの標的化特異性は、所定の細胞タイプを特異的に標的化し、それにより組換え遺伝子を感染細胞に導入するためのその自然の特異性を利用している。本明細書に記載される方法において使用されるベクターは、標的化される所望する細胞タイプに依存する。例えば、上皮細胞に対して特異的なベクターを、皮膚疾患を処置するために使用することができる。同様に、肺の疾患または病理学的状態を処置しようとする場合、肺細胞およびその前駆体に対して、好ましくは肺細胞の特定タイプに対して特異的であるウイルスベクターを使用することが望ましい。
【0273】
レトロウイルスベクターを、感染性粒子として機能するように、または感染の最初の1回だけを経るように構築することができる。前者の場合、ウイルスのゲノムは、新しいウイルスのタンパク質およびRNAを合成するために、すべての必要な遺伝子および調節配列およびパッケージングシグナルが維持されるように改変される。これらの分子が合成されると、宿主細胞はRNAを新しいウイルス粒子にパッケージングし、このウイルス粒子はさらなる感染ラウンドを経ることができる。ベクターのゲノムはまた、所望する組換え遺伝子をコードし、かつ発現させるように操作される。非感染性ウイルスベクターの場合、ベクターのゲノムは、通常、RNAをウイルス粒子にカプセル化するために要求されるウイルスのパッケージングシグナルを破壊するように変異させられる。そのようなシグナルがない場合、形成された粒子はどれもゲノムを含有せず、従って、その後の感染ラウンドを進行させることができない。特定タイプのベクターは、意図される適用に依存する。実際のベクターもまた知られており、これらはこの分野では容易に得ることができ、または十分に知られている方法を使用して当業者によって構築することができる。
【0274】
ウイルスベクターが使用される場合、その手順は、その標的特異性を利用することができ、従って、疾患部位において局所的に投与する必要はない。しかし、局所的な投与は、より早く、かつより効果的な処置をもたらすことができ、投与はまた、例えば、対象への静脈内注射または皮下注射によって行うことができる。脊髄液内へのウイルスベクターの注射もまた、特に神経変性疾患の場合には投与モデルとして使用することができる。注射後、ウイルスベクターは、感染に必要な適切な標的特異性を有する宿主細胞を認識するまで循環する。
【0275】
リポソームなどのトランスフェクションビヒクルもまた、上記に記載される非ウイルスベクターを接種領域内の受容細胞に導入するために使用することができる。そのようなトランスフェクションビヒクルは当業者によって知られている。
【0276】
トランスジェニック生物
本発明者らはさらに、第1群疾患および第2群疾患の表現型徴候を示すトランスジェニック生物およびノックアウト生物の構築を開示する。
【0277】
従って、本発明者らは、トランスジェニック型コルネオデスモシン遺伝子および変異型コルネオデスモシン遺伝子の動物モデルおよび細胞(細胞株)モデルならびにノックアウトモデルを提供する。トランスジェニックモデルには、第1群疾患および第2群疾患に関連する遺伝子の変異だけでなく、コルネオデスモシン配列を有するモデルが含まれる。本発明者らはさらに、接着タンパク質またはプロテアーゼまたはプロテアーゼ阻害剤のトランスジェニック型遺伝子および/または変異型遺伝子を含み、かつ/または発現する動物モデルおよび細胞(細胞株)モデル、ならびにノックアウトモデルを提供する。トランスジェニックモデルには、第1群疾患および第2群疾患に関連する遺伝子の変異だけでなく、接着タンパク質またはプロテアーゼまたはプロテアーゼ阻害剤の配列を有するモデルが含まれる。
【0278】
これらのモデルは、この分野で知られている標準的な方法を使用して構築されるが、そのような方法は、この分野で知られており、そして米国特許第5,487,992号、同第5,464,764号、同第5,387,742号、同第5,360,735号、同第5,347,075号、同第5,298,422号、同第5,288,846号、同第5,221,778号、同第5,175,385号、同第5,175,384号、同第5,175,383号、同第4,736,866号、ならびにBurkeおよびOlsen(1991)、Capecchi(1989)、Daviesら(1992)、Dickinsonら(1993)、Huxleyら(1991)、Jakobovitsら(1993)、Lambら(1993)、Rothstein(1991)、Schedlら(1993)、Straussら(1993)に示される。さらに、国際特許出願公開WO94/23049、同WO93/14200、同WO94/06908、同WO94/28123にもまた情報が提供される。一般的には、Hoganら、「Manipulating the Mouse Embryo」、Cold Spring Harbor Laboratory Press(第2版、1994)もまた参照のこと。
【0279】
遺伝子診断
本発明者らは、第1群疾患または第2群疾患を引き起こす原因となるか、あるいはコルネオデスモシンなどの接着タンパク質のタンパク質分解の異常な調節に関連する、接着タンパク質またはプロテアーゼまたはプロテアーゼ阻害剤の遺伝子の欠陥の保因者を診断および検出するための方法を開示する。
【0280】
本発明者らはさらに、遺伝子の正常な複製体およびその遺伝子産物を検出するための方法を提供する。それらの欠陥遺伝子によって、またはそれらによりコードされるそれらの不明なタンパク質もしくは欠陥タンパク質によって、そのいずれかで保因者を同定することにより、遺伝子保因者の診断が、より早期に、かつより一貫してもたらされる。従って、疾患の保因者は第1群疾患または第2群疾患に罹りやすい可能性がより大きいので、調査および処置のより良好なプロトコルをそれらに対して開始することができる。
【0281】
簡単に記載すると、これらの方法は、サンプルを試験対象から得る工程、適切な試験材料をサンプルから単離する工程、および標的の核酸配列または遺伝子産物についてアッセイする工程を含む。サンプルは、この分野で標準的な方法を使用して遺伝物質および/またはタンパク質が単離される組織または体液であり得る。例えば、DNAを血液から単離することができる。
【0282】
より具体的には、保因者の検出方法は、対象から細胞または体液のいずれかのサンプルを最初に得ることによって行われる。細胞性サンプルを得るための好都合な方法には、口内洗浄液または毛根のいずれかを集めることが含まれ得る。細胞サンプルには、出生前診断の場合には羊膜または胎盤の細胞または組織を挙げることができる。粗DNAを、この分野で十分に知られている技術によって細胞から作製することができる(あるいはタンパク質を単離することができる)。この単離されたDNAは、その後、この分野で十分に知られている技術によって遺伝子配列に由来する適切なプライマーを用いたPCR分析のために使用される(あるいはタンパク質についてはウエスタンブロット分析が使用される)。PCR産物は、その後、対象の遺伝子型疾患状態を評価するために適切な配列変化の存在について試験される。
【0283】
試料は、免疫組織化学的染色および免疫細胞化学的染色(一般的には、StitesおよびTerr、Basic and Clinical Immunology(Appleton and Lange、1994)を参照のこと)、ELISA、RIA、免疫ブロット、ウエスタンブロッティング、免疫沈殿、機能的アッセイ、そしてタンパク質短縮試験によってポリペプチド/タンパク質についてアッセイすることができる。好ましい実施形態において、ウエスタンブロッティング、機能的アッセイおよびタンパク質短縮試験(Hogervorstら、1995)が使用される。標的核酸配列に対して相補的なmRNAを、インシトゥーハイブリダイゼーション、ノーザンブロッティングおよび逆転写−ポリメラーゼ連鎖反応によってアッセイすることができる。核酸配列は、特異的なプライマーを使用して、インシトゥーハイブリダイゼーション、サザンブロッティング、一本鎖高次構造多型、PCR増幅、およびDNAチップ分析によって同定することができる(Kawasaki、1990;Sambrook、1992;Lichterら、1990;Oritaら、1989;Fodorら、1993;Peaseら、1994)。
【0284】
様々なELISAアッセイが当業者には十分に知られている。ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体の両方をこれらのアッセイにおいて使用することができる。適する場合には、放射免疫アッセイ(RIA)などの他の免疫アッセイを、当業者に知られているように使用することができる。様々な利用可能な免疫アッセイが特許および科学文献に幅広く記載される。例えば、米国特許第3,791,932号、同第3,839,153号、同第3,850,752号、同第3,850,578号、同第3,853,987号、同第3,867,517号、同第3,879,262号、同第3,901,654号、同第3,935,074号、同第3,984,533号、同第3,996,345号、同第4,034,074号、同第4,098,876号、同第4,879,219号、同第5,011,771号および同第5,281,521号、ならびにSambrookら(1992)を参照のこと。
【0285】
本明細書に記載されるような現在の変異データは、第1群疾患および第2群疾患が対立遺伝子の異型遺伝子性によって特徴づけられることを示している。従って、成功した変異スクリーニングは、限定されたサブセットに集中するのではなく、コルネオデスモシンもしくは他の接着タンパク質またはプロテアーゼまたはプロテアーゼ阻害剤の遺伝子におけるすべての可能なヌクレオチド変化を検出できることが重要である。PCR増幅されたDNAもしくはRNAの直接的な配列決定またはDNAチップハイブリダイゼーションを含む様々な方法(Fodorら、1993;Peaseら、1994)を、当業者に知られている他の好適な方法と一緒に適用することができる。
【0286】
診断適用のためにそのような方法を使用するために、標的ポリヌクレオチド配列(あるいはタンパク質)の存在の有無を同定するための機構を含めることは好都合である。ハイブリダイゼーションに基づく多くの診断法または実験法では、標識またはタグが、特定のポリヌクレオチド配列の存在の有無を検出または可視化するために使用される。典型的には、オリゴマープローブが、オートラジオグラフィーなどのこの分野で十分に知られている方法によって検出することができる、32Pまたは35Sなどの放射性同位体で標識される(Sambrook、1992)。オリゴマープローブはまた、オートラジオグラフィーにより検出され得る化学発光物質などの非放射能方法によって標識することができる(Sambrook、1992)。また、酵素−基質に基づく標識方法および検出方法を使用することができる。標識は、末端標識(Sambrook、1992)、化学的標識などのこの分野で十分に知られている機構によって、または別の標識されたオリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションによって達成することができる。これらの標識方法および検出方法は例として単に示されるだけであり、この分野で知られているすべての方法の完全かつ包括的な列挙を示すことを意味しない。
【0287】
検出目的のための標識の導入は、ハイブリダイゼーションの前に、標識をプローブに結合させることによって達成することができる。
【0288】
代わりの方法は、プローブを加える前に標的DNAを固体支持体に結合させる工程を含む。固体支持体は、ビーズ、またはニトロセルロースもしくはナイロンなどのメンブラン材料などの、標的DNAを結合することができる任意の材料であり得る。標的DNAが固体支持体に結合させられた後、プローブオリゴマーが加えられる。
【0289】
様々な機能的アッセイを、第1群保因者および第2群保因者または罹患者を検出するために使用することができる。
【0290】
本発明者らはまた、欠陥コルネオデスモシン遺伝子を診断および検出するためのキットを提供する。キットには、第1群疾患または第2群疾患を引き起こす欠陥コルネオデスモシン遺伝子の遺伝子配列に対して相補的である分子プローブ、および分子プローブと欠陥遺伝子とのハイブリダイゼーションを検出し、それにより欠陥遺伝子の存在を示すための好適な標識が含まれる。分子プローブは、変異配列に対して相補的なDNA配列を有する。あるいは、キットは、変異タンパク質を検出するための試薬および抗体を含むことができる。
【0291】
接着タンパク質またはプロテアーゼまたはプロテアーゼ阻害剤の欠陥遺伝子を診断および検出するためのキットもまた提供される。このキットは、第1群疾患または第2群疾患を引き起こす、接着タンパク質またはプロテアーゼまたはプロテアーゼ阻害剤の欠陥遺伝子の遺伝子配列に対して相補的である分子プローブ、および分子プローブと欠陥遺伝子とのハイブリダイゼーションを検出し、それにより欠陥遺伝子の存在を示すための好適な標識を含む。分子プローブは、変異配列に対して相補的なDNA配列を有する。あるいは、キットは、変異タンパク質を検出するための試薬および抗体を含むことができる。
【0292】
少数の異なる方法が、多型または変異についてDNAを分析するために一般にに使用されている。最も確実な方法は、実際の塩基配列を決定するためにDNAを配列決定することである(MaxamおよびGilbert、1997;Sangerら、1977)。そのような方法は最も確実であるが、最も費用がかかり、そして時間を要する方法である。
【0293】
制限マッピング分析もまた、多型に関してDNAを分析する際に使用することができる。制限酵素に対する認識部位を変化させる、ある部位における知られている多型を探している場合、多型の存在の有無を明らかにするために、単に、DNAをこの制限酵素で消化し、そしてフラグメントをゲルにおいて分析するか、またはサザンブロットにより分析することが可能である。このタイプの分析はまた、大きい挿入または欠失の存在の有無を明らかにするためにも有用である。対立遺伝子に特異的なオリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションは、知られている多型の存在を明らかにするためのさらに別の方法である。
【0294】
このように、個体における特定のDNA配列、例えば、コルネオデスモシンをコードする遺伝子は、多くの異なる変化、例えば、DNA配列の欠失、二重になった配列の挿入、配列の反転、または1ヌクレオチドの別のヌクレオチドへの変換などを受けることがある。特定のDNA配列における変化は、4ヌクレオチド〜6ヌクレオチドの特定のDNA配列を認識する制限酵素を使用することによって突き止めることができる。制限酵素は、DNAをその特定の認識された配列を切断(消化)して、およそ100万の断片をもたらす。制限酵素によって認識される配列を認識されない配列に変化させる違いが存在するとき、その領域を切断することによって生じるDNA片はサイズが異なる。従って、所与の領域に由来する様々な可能なフラグメントサイズは、その領域におけるDNAの正確な配列に依存する。生じたフラグメントにおける変化は「制限断片長多型」(RFLP)と名付けられている。種々の変化体DNA配列を反映する異なるサイズのフラグメントは、アガロースゲルにおけるそのサイズに従って消化DNAを分離し、そして放射能標識されたDNA「プローブ」にアニーリングすることにより個々のフラグメントを可視化することによって可視化することができる。それぞれの個体は2つの異なる形態の特定の配列を有し得る。この2つのホモログが同じ形態の多型を有するとき、1つのバンドが見られる。3つ以上の形態の多型が集団において特定のDNAマーカーについて存在し得るが、1つの家族では、ちょうど4つの形態が可能である;それぞれの親から2つである。子供はそれぞれ、それぞれの親から多型の1つの形態を受け継ぐ。従って、各染色体領域の起源を突き止めることができる(母親起源または父親起源)。
【0295】
さらに、RT−PCRを行い、その後、制限エンドヌクレアーゼフィンガープリンティング(REF)を行うことができる。REFは一本鎖高次構造多型(SSCP)法の改変であり、長さが2kbまでのDNAフラグメントにおける配列変化の効率的な検出を可能にする(LiuおよびSommer、1995)。
【0296】
既知の遺伝子内における多型の存在を検出するための質量分析法の使用が米国特許第5,869,242号に開示される。
【0297】
一本鎖高次構造多型(SSCP)分析は、多型を検出するための迅速かつ有効な方法である(Deanら、Cell、61:863、1990;GlavacおよびDean、Hum.Mutation、2:404、1993;Podusloら、Am.J.Hum.Genet.49:106、1992)。SSCPでは、ゲル上における鎖の異常な移動度が遺伝子内の変異事象と関連する。
【0298】
多型の遺伝子分析が、特に、米国特許第5,552,28号、同第5,654,13号、同第5,670,33号、同第5,807,67号、同第5,858,66号、同第5,691,15号、同第5,922,57号、同第5,972,60号、同第6,136,53号および同第5,955,26号に詳しく記載される。
【0299】
上記参考文献に記載されるこれらの方法はどれは、本明細書に記載される診断方法において使用することができる。
【0300】
薬学的組成物
本発明者らはさらに、第1群疾患または第2群疾患を処置するための1つ以上の薬剤を含む薬学的組成物を開示する。
【0301】
第1群疾患を処置するための薬剤には、プロテアーゼ阻害剤およびそのフラグメントが含まれ、これらには、抗プロテアーゼ活性を含むとして実施例において同定されるプロテアーゼ阻害剤、例えば、抗ロイコプロテアーゼ(SLPI)およびエラフィンプロテアーゼ阻害剤3(PI3またはSKALP)などの一次プロテアーゼ阻害剤および/または二次プロテアーゼ阻害剤(キモトリプシン、ダイズトリプシン阻害剤、カテプシンGなどを含む)、ならびにこの分野で知られている他のプロテアーゼ阻害剤が含まれる。第1群疾患を処置するために有用な他の薬剤には、プロテアーゼ阻害剤のアゴニスト(例えば、上記プロテアーゼ阻害剤のいずれかのアゴニスト)、ならびに角質層キモトリプシン様酵素(SCCE)および/または角質層トリプシン様酵素(SCTE)のアンタゴニストを含むプロテアーゼのアンタゴニストが含まれる。
【0302】
第2群疾患を処置するための薬剤には、角質層キモトリプシン様酵素(SCCE)および角質層トリプシン様酵素(SCTE)などのプロテアーゼ、ならびにプロテアーゼのアゴニスト(上記プロテアーゼのいずれかのアゴニストを含む)が含まれる。第2群疾患を処置するための薬剤にはさらに、プロテアーゼ阻害剤のアンタゴニスト、例えば、抗ロイコプロテアーゼ(SLPI)およびエラフィンプロテアーゼ阻害剤3(PI3またはSKALP)などのアンタゴニストが含まれる。
【0303】
これらの薬剤(1つまたは複数)を含む組成物を単独で投与することは可能であるが、このような有効成分を薬学的配合物として配合することが好ましい。組成物は、このような薬剤(1つまたは複数)、構造的に関連する化合物、またはそれらの酸性塩を含むことができる。薬学的配合物は、効果的な量の薬剤を、1つ以上の薬学的に受容可能なキャリアとともに含む。薬剤の「効果的な量」は、場合によって、第1群疾患または第2群疾患の少なくとも1つの症状を軽減するために十分な量である。効果的な量は、処置または軽減される特定の疾患または症候群、ならびに患者の年齢および体重、疾患などの状態の進行度、患者の全体的な健康状態、症状の重篤度、そして薬剤が単独で、または他の治療剤との組合せで投与されているかどうかを含む他の要因に依存して変化する。
【0304】
好適な薬学的に受容可能なキャリアはこの分野では十分に知られており、薬学的配合物の所望する投与形態および投与様式とともに変化する。例えば、薬学的に受容可能なキャリアには、希釈剤または賦形剤、例えば、充填剤、結合剤、湿潤化剤、崩壊剤、表面活性剤、滑剤などを挙げることができる。典型的には、キャリアは、固体キャリア、または液体キャリア、または揮発性キャリア、またはそれらの組合せである。それぞれのキャリアは、配合物内の他の成分との適合性を有し、かつ患者に対して有害でないという意味で「受容可能」でなければならない。キャリアは、宿主に投与されたとき、有害な反応(すなわち、免疫応答)を誘発させることなく生物学的に受容可能でなければならない。
【0305】
薬学的組成物には、局所投与および経口投与に好適な組成物が含まれ、患部組織が主に皮膚または表皮である場合(例えば、乾癬および他の表皮疾患)、局所用配合物が好ましい。局所用配合物には、処置される皮膚表面との直接的な接触により組成物が外用適用されるそのような薬学的形態物が含まれる。局所適用される従来の薬学的形態物には、浸液、軟膏、クリーム、ローション、ペースト、ゲル、スティック、スプレー、エアロゾル、浴用オイル、溶液などが含まれる。局所療法は様々なビヒクルによって送達され、ビヒクルの選択は重要であり得るが、一般には、急性または慢性の疾患が処置されるかどうかに関連する。一例として、急性の皮膚増殖疾患は水性の乾燥性調製剤で一般には処置され、これに対して、慢性の皮膚増殖疾患は水和性の調製物で処置される。浸液は、急性の湿性発疹を乾燥させる最も容易な方法である。ローション(水に懸濁された粉末)および溶液(溶媒に溶解された医薬品)は毛領域および間擦性領域に対して理想的である。軟膏または油中水エマルションは最も効果的な水和剤であり、乾燥した鱗状発疹に対して適するが、油性であり、そして病変部位によっては望ましくない場合がある。適する場合、それらは、病変内への薬剤組成物の浸透を増大させることが望ましいときには特に、包帯との組合せで適用することができる。クリームまたは水中油エマルションおよびゲルは吸収性であり、患者に対して最も化粧品的に受容可能である(Guzzoら、Goodman&Gilman’s Pharmacological Basis of Therapeutics、第9版、1593頁〜15950頁(1996))。クリーム配合物は、ワセリン、ラノリン、ポリエチレングリコール、鉱油、グリセリン、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸グリセリル、セテアリルアルコール、酢酸コトフェリル、ミリスチン酸イソプロピル、ラノリンアルコール、シメチコーン、カルボメン、メチルクロルイソチアゾリノン、メチルイソチアゾリノン、シクロメチコーンおよびヒドロキシプロピルメチルセルロース、ならびにそれらの混合物を一般に含む。
【0306】
局所適用される他の配合物には、シャンプー、石鹸、シェイクローションなどが含まれ、頭皮などの基本的な皮膚における残留物を除くために配合された配合物が特に含まれる(Arndtら、Dermatology In General Medicine、2:2838(1993))。
【0307】
一般に、局所配合物における薬剤組成物の濃度は組成物の約0.5重量%〜50重量%であり、好ましくは約1重量%〜30重量%であり、より好ましくは約2重量%〜20重量%であり、最も好ましくは約5重量%〜10重量%である。使用される濃度は、最初はこの範囲の高濃度側部分にすることができるが、処置が続くに従い、濃度を低下させることができ、または配合物の適用頻度を少なくすることができる。局所適用物は、多くの場合、1日2回適用される。しかし、より大きい用量の1日に1回、またはより小さい用量のより頻繁な適用が効果的である場合がある。角質層は薬物のリザーバーとして作用して、成長可能な皮膚層内への長期間にわたる薬物の緩やかな浸透を可能にし得る。
【0308】
局所適用物では、所望する薬理学的効果を得るために、十分な量の薬剤が患者の皮膚に浸透しなければならない。皮膚内への薬物の吸収は、薬物の性質、ビヒクルの挙動および皮膚の関数であることが一般には理解されている。3つの主要な変数、すなわち、ビヒクル中の薬物濃度、角質層とビヒクルとの間における薬物の分配係数、および角質層における薬物の拡散係数により、種々の局所用薬物または異なるビヒクルにおける同じ薬物の吸収速度または流束の差異が説明される。処置について効果的であるためには、薬物は、皮膚のバリア機能を担う角質層を横断しなければならない。一般に、大きいインビトロ皮膚浸透を示す局所配合物はインビボにおいて効果的である。Ostrengaら(J.Pharm.Sci.、60:1175〜1179(1971))は、局所適用されたステロイドのインビボ効力がインビトロにおける採皮されたヒト皮膚内へのステロイド浸透速度に比例することを明らかにしていた。
【0309】
皮膚科学的に受容可能であり、薬剤との適合性を有する皮膚浸透増強剤を、皮膚表面から表皮の角化細胞内への活性な化合物の浸透を増大させるために配合物に配合することができる。皮膚内への活性な化合物の吸収を増大させる皮膚増強剤は、効果的な処置のために必要とされる薬剤の量を減らし、そして配合物のより長期にわたる効果をもたらす。皮膚浸透増強剤はこの分野では十分に知られている。例えば、ジメチルスルホキシド(米国特許第3,711,602号);オレイン酸、1,2−ブタンジオール界面活性剤(Cooper、J.Pharm.Sci.、73:1153〜1156(1984));エタノールとオレイン酸またはオレイルアルコールとの組合せ(欧州特許EP267,617)、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール(国際特許出願公開WO87/03490);デシルメチルスルホキシドおよびアゾン(Azone)(登録商標)(Hadgraft、Eur.J.Drug.Metab.Pharmacokinet、21:165〜173(1996));アルコール、スルホキシド、脂肪酸、エステル、アゾン(登録商標)、ピロリドン類、尿素およびポリオール(Kalbitzら、Pharmazie、51:619〜637(1996))。
【0310】
1,8−シネオール、メントン、リモネンおよびネロリドールなどのテルペン(Yamane、J.Pharmacy&Pharmocology、47:978〜989(1995));アゾン(登録商標)およびトランスキュトール(Transcutol)(Harrisonら、Pharmaceutical Res.13:542〜546(1996));そして、オレイン酸、ポリエチレングリコールおよびプロピレングリコール(Singhら、Pharmazie、51:741〜744(1996))は、有効成分の皮膚浸透を改善することが知られている。
【0311】
薬剤または組成物の浸透レベルは、当業者に知られている技術によって測定することができる。例えば、活性な化合物を放射能標識し、その後、皮膚によって吸収された放射能標識化合物の量を測定することにより、当業者は、試験化合物の皮膚浸透を明らかにするいくつかの方法のいずれかを使用して、吸収された組成物のレベルを明らかにすることができる。皮膚浸透の研究に関する刊行物には、Reinfenrath,WGおよびGS Hawkins、「経皮浸透を測定するための動物モデルとしての離乳中のヨークシャーブタ」、Swine in Biomedical Research(M.E.Tumbleson編)、Plenum、New York、1986;Hawkins,G.S.、「インビトロでの皮膚浸透測定を実施するための方法論」、Methods for Skin Absorption(BW KemppainenおよびWG Reinfenrath編)、CRC Press、Boca Raton、1990、67頁〜80頁;W.G.Reifenrath、Cosmetics&Toiletries、110:3〜9(1995)が含まれる。
【0312】
いくつかの適用のためには、ポリマーなどのこの分野で知られている配合物を使用して、長く作用する形態の薬剤または組成物を投与することが好ましい。薬剤は、処置される領域に対する薬物の送達効率を増大させるために、この分野で知られている方法に従って、皮膚パッチに配合することができ(Junginger,H.E.、Acta Pharmaceutica Nordica、4:117(1992);Thacharodiら、Biomaterials、16:145〜148(1995);Niedner R.、Hautarzt、39:761〜766(1988))、または包帯に配合することができる。
【0313】
場合により、局所配合物はさらなる賦形剤を有することができ、例えば、保存剤、例えば、メチルパラベン、ベンジルアルコール、ソルビン酸または四級アンモニウム化合物など;安定化剤、例えば、EDTA、抗酸化剤(ブチル化ヒドロキシトルエンまたはブチル化ヒドロキシアニソールなど)、および緩衝剤(クエン酸塩およびリン酸塩など)などを有することができる。
【0314】
薬学的組成物は、錠剤またはカプセルまたは溶液剤の形態で経口用配合物において投与することができる。経口用配合物の効果的な量が、増殖性疾患またはガンまたは光老化などの症状が軽減されるまで、1日に1回〜3回、患者に投与される。薬剤の効果的な量は患者の年齢および体重および状態に依存する。一般に、薬剤の1日の経口用量は1200mg未満で、100mg以上である。好ましい1日経口用量は約300mg〜600mgである。経口用配合物は好都合にはユニット投薬形態で提供され、製薬分野で知られている任意の方法によって調製することができる。組成物は、好適な薬学的に受容可能なキャリアと一緒に任意の所望する投薬形態物に配合することができる。典型的なユニット投薬形態には、錠剤、ピル、粉末剤、溶液剤、懸濁物、エマルション、顆粒、カプセル、坐薬が含まれる。一般に、配合物は、薬剤組成物を液体キャリアまたは細かく分割された固体キャリアまたはその両方と均一かつ十分に一緒にし、そして必要に応じて、製造物を成形することによって調製される。有効成分は、皮膚の増殖疾患を処置するために有効成分の効果的な量を与えるために、液体、粉末、錠剤またはカプセルの形態で様々な基剤材料に配合することができる。
【0315】
本明細書中の使用に好適な他の治療剤は、意図された目的に対して効果的な任意の適合し得る薬物、または薬剤配合物に対して補足的な薬物である。一例として、配合物による処置は、コルチコステロイド、カルシポトリン、コールタール調製物による局所的処置、メトトレキサート、レチノイド類、シクロスポリンAによる全身的処置、および光化学療法などの他の処置と組み合わせることができる。混合処置は、急性または重症の皮膚増殖疾患を処置するためには特に重要である。混合療法において用いられる配合物は、組み合わせられた効果が達成されるように、他の処置と同時に、または他の処置と連続して施すことができる。
【0316】
本発明のさらなる態様
次に、本発明のさらなる態様が、数字を付けた下記の段落に示される。従って、本発明はこれらの態様を包含することを理解しなければならない。
【0317】
段落1.上皮細胞間の異常な細胞−細胞接着に関連する疾患に罹患している患者を処置する方法であって、細胞間の接着を担う接着タンパク質のタンパク質分解を調節することを含む方法。
【0318】
段落2.接着タンパク質がデスモソームタンパク質である、段落1に記載の方法。
【0319】
段落3.接着タンパク質がコルネオデスモシンである、段落1または2に記載の方法。
【0320】
段落4.上皮細胞が角質細胞である、前記段落のいずれかに記載の方法。
【0321】
段落5.接着タンパク質のタンパク質分解の調節が、接着タンパク質のタンパク質分解に関与するプロテアーゼの発現および/または活性および/または分解の調節を含む、前記段落のいずれかに記載の方法。
【0322】
段落7.接着タンパク質のタンパク質分解の調節が、接着タンパク質のタンパク質分解に関与するプロテアーゼの活性を阻害することを担うプロテアーゼ阻害剤の発現および/または活性および/または分解の調節を含む、前記段落のいずれかに記載の方法。
【0323】
段落8.上皮細胞間の異常な細胞−細胞接着に関連する疾患に罹患している患者を処置する方法であって、細胞間の接着を担う接着タンパク質の発現および/または活性を調節することを含む方法。
【0324】
段落9.接着タンパク質の発現が転写レベルまたは翻訳レベルまたはその両方で調節される、段落8に記載の方法。
【0325】
段落10.疾患が、低下した細胞−細胞接着に関連し、そして接着タンパク質のタンパク質分解が、プロテアーゼ阻害剤を投与すること、プロテアーゼのアンタゴニストを投与すること、プロテアーゼ阻害剤のアゴニストを投与すること、プロテアーゼの発現を低下させること、プロテアーゼの活性を低下させること、プロテアーゼ阻害剤の発現を増大させること、プロテアーゼ阻害剤の活性を増大させることの1つまたは2つ以上によって低下させられる、前記段落のいずれかに記載の方法。
【0326】
段落11.疾患が、増大した細胞−細胞接着に関連し、そして接着タンパク質のタンパク質分解が、プロテアーゼを投与すること、プロテアーゼのアゴニストを投与すること、プロテアーゼ阻害剤のアンタゴニストを投与すること、プロテアーゼの発現を増大させること、プロテアーゼの活性を増大させること、プロテアーゼ阻害剤の発現を低下させること、プロテアーゼ阻害剤の活性を低下させることの1つまたは2つ以上によって増大させられる、段落1〜9のいずれかに記載の方法。
【0327】
段落12.上皮細胞間の異常な細胞−細胞接着に関連する疾患を診断する方法であって、個体のコルネオデスモシン遺伝子における変異を検出することを含む方法。
【0328】
段落13.疾患が、低下した細胞−細胞接着に関連し、そして方法が、個体において、コルネオデスモシン遺伝子におけるHph1制限酵素部位の非存在またはコルネオデスモシン遺伝子の+1243位におけるTの存在を検出することを含む、段落12に記載の方法。
【0329】
段落14.疾患が、アトピー性湿疹、脂漏性湿疹、刺激性接触皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎、肺アトピー性喘息、ウイルス感染後喘息、気管支反応亢進、慢性閉塞性肺疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、セリアック病、消化性潰瘍化、膿痂疹、ウイルス性いぼ、伝染性軟属腫、細菌性髄膜炎、ウイルス性髄膜炎、ヘリコバクター・ピロリの侵入に関連する消化性潰瘍化、皮膚黒色腫、扁平上皮ガン、基底細胞ガン、皮膚型リンパ腫、皮膚ガン、胃腸管悪性腫瘍、および肺悪性腫瘍からなる群から選択される、段落1〜10、12または13のいずれかに記載の方法。
【0330】
段落15.疾患が、増大した細胞−細胞接着に関連し、そして方法が、個体において、コルネオデスモシン遺伝子におけるHph1部位の存在またはコルネオデスモシン遺伝子の+1243位におけるTの非存在を検出することを含む、段落12に記載の方法。
【0331】
段落16.疾患が、乾癬、魚鱗癬、尋常性ざ瘡および毛孔性角化症からなる群から選択される、段落1〜9、11、12または15のいずれかに記載の方法。
【0332】
(実施例)
実施例A:接着タンパク質の多型
実施例A1.コルネオデスモシン(S)遺伝子多型の同定
ゲノムDNAを標準的なプロトコルに従って全血から抽出し、100ng/μlで貯蔵する。+1243位におけるTからCへのトランジションをもたらす1つの報告されたエキソンの多型を分析する(Ishiharaら、1996、Tazi−Ahniniら、1999a、1999b)。
【0333】
プライマーS15(5’CATTGCATTCCAGCCAGTGG3’)およびプライマーS16(5’AACTGGAGCTGCTGCTGAAGGA3’)が、多型遺伝子座(+1243)を増幅するために使用される。PCR反応液はまとめて調製され、25μlの容量に分けられる。PCR反応液には、50mMのKCL、20mMのTris−HCL、1.5mMのMgCl2、200μMの各dNTP、1.2μMの各プライマー、1UのTaqポリメラーゼ(Gibco BRL、Paisley、英国)および200ngのゲノムDNAが含まれる。熱サイクル条件は、95℃で2分間、そして95℃で1分間、58℃で1分間および72℃で15秒間の28サイクルである。増幅は72℃で15分間によって終了する。
【0334】
制限消化を、10μlのPCR産物および2.5UのHphIおよび製造者の適切な緩衝液(New England Biolabs、Hitchin、英国)を含む20μlの反応液において37℃で一晩行なう。対立遺伝子の識別を、2%アガロースを使用する電気泳動によって行なう。HphI消化により、対立遺伝子1については123+89bpが生じ、対立遺伝子2(212bp)は切断されない。
【0335】
対立遺伝子
以下の実施例において、「対立遺伝子1」は、+1243位のヌクレオチド残基がCである対立遺伝子をいう。そのような対立遺伝子によってコードされるタンパク質は、アクセション番号L20815を有するポリペプチド配列の番号付けを用いたアミノ酸配列の394位においてセリン(S)残基を有する。
【0336】
、
同様に、「対立遺伝子2」は、+1243位のヌクレオチド残基がTである対立遺伝子をいう。このような対立遺伝子によりコードされるタンパク質は、アクセション番号L20815を有するポリペプチド配列の番号付けを用いた場合、ロイシン残基をアミノ酸配列の394位に有する。
【0337】
アミノ酸位置の番号付けは、示されるように、GenBankアクセション番号GB:L20815またはAF030130を有するコルネオデスモシン配列の翻訳開始コドン(+1、ATG)を参照する。従って、例えば、+1243におけるCからTへの置換は、GB配列L20815による394位におけるSからFへのアミノ酸変化をもたらし、一方、同じヌクレオチド置換は、GB配列AF030130による410位におけるSからFへのアミノ酸変化をもたらす。
【0338】
統計学的分析
疾患集団およびコントロール集団を、2x3表を使用して比較し、そしてオッズ比を、コントロール集団および患者集団において、対立遺伝子1についてホモ接合である個体と、もう一方の対立遺伝子(対立遺伝子2)を保有する個体とを比較することによって計算する。対立遺伝子2についてのχ2検定もまた、それぞれの遺伝子型群における推定される疾患感受性性対立遺伝子の数による重みを付けて行われる。
【0339】
実施例A2:コルネオデスモシン(S)遺伝子の+1243における多型とアトピー性湿疹との関連
本実施例では、別途示されない限り、コルネオデスモシン配列におけるアミノ酸位置は、GenBank配列L20815における番号付けを参照して示される。
【0340】
本実施例は、+1243位におけるコルネオデスモシンのヌクレオチド残基がTであり、これによりコルネオデスモシンポリペプチド(L20815)の394位におけるロイシン(T)残基の存在をもたらすコルネオデスモシン対立遺伝子2が、アトピー性湿疹に関連することを明らかにする。
【0341】
+1243における多型の対立遺伝子分布が、上記に記載されるように、アトピー性湿疹群およびコントロール群(それぞれ、n=154および550)の両方において評価される。コントロールおよび患者はともにハーディ・ワインベルグ平衡にある。表A2.1には、コントロール群およびアトピー性湿疹患者群におけるそれぞれの遺伝子型の実測値(A)および予測値(B)が示される。
【表4】
表A2.1:コントロール群およびアトピー性湿疹患者群における対立遺伝子(11および12および22)の対立遺伝子分布。A:実測値;B:予測値。
【0342】
コントロール群および患者群における予測値と実測値との全体的な差は統計学的に有意ではない。しかし、稀な対立遺伝子の増大が見られる(対立遺伝子2、52/44.2=1.2)。対立遺伝子1(一般的な対立遺伝子)は湿疹を防いでいるようであり、そしてこの理由から、本発明者らは、対立遺伝子12および対立遺伝子11を有する個体を一方のサブグループに分類し、そして対立遺伝子22を有する個体をもう一方のサブグループに分類している(下記の表A2.2を参照のこと)。
【表5】
表A2.2:コントロール群およびアトピー性湿疹患者群における対立遺伝子(11および12/22)の対立遺伝子分布。
【0343】
対立遺伝子1保有に対する対立遺伝子2についてのχ2検定を行なう。有意な関連が、コルネオデスモシン遺伝子(+1243)多型の対立遺伝子2とアトピー性湿疹との間に見出される[OR=1.36(0.93、1.99)]。
【0344】
従って、本発明者らは、個体のコルネオデスモシン核酸の+1243位におけるTの存在、または個体のコルネオデスモシンポリペプチド(L20815)の394位におけるロイシン(L)残基の存在、またはその両方を検出することによる、個体における第I群疾患または第I群疾患に対する感受性(好ましくは湿疹または湿疹に対する感受性、好ましくはアトピー性湿疹)の診断を開示する。
【0345】
実施例A3.コルネオデスモシン(S)遺伝子の+1243における多型と皮膚炎との関連
本実施例では、別途示されない限り、コルネオデスモシン配列におけるアミノ酸位置は、GenBank配列L20815における番号付けを参照して示される。
【0346】
本実施例は、+1243位におけるコルネオデスモシンのヌクレオチド残基がTであり、これによりコルネオデスモシンポリペプチド(L20815)の394位においてロイシン(L)残基の存在をもたらすコルネオデスモシン対立遺伝子2が、皮膚炎に関連し、そして疱疹状皮膚炎の病因の原因であり得ることを明らかにする。
【0347】
+1243における多型の対立遺伝子分布が、上記に記載されるように、疱疹状皮膚炎群およびコントロール群(それぞれ、n=50および550)の両方において評価される。コントロールおよび患者はともにハーディ・ワインベルグ平衡にある。
【表6】
表A3.1:コントロール群および疱疹状皮膚炎群における対立遺伝子(11および12および22)の対立遺伝子分布。
【0348】
稀な対立遺伝子の増大が見られる(対立遺伝子2、26/14.6=1.78)。対立遺伝子1(一般的な対立遺伝子)についてホモ接合である患者は1名のみである。この対立遺伝子は、コントロール集団では非常に高頻度に存在するので、保護的であるようである。
【表7】
表A3.2:コントロール群および疱疹状皮膚炎群における対立遺伝子(11および12/22)の対立遺伝子分布。
【0349】
対立遺伝子2保有に対する対立遺伝子1についてのχ2検定を行なう。有意な関連が、S遺伝子(+1243)多型の対立遺伝子2と疱疹状皮膚炎との間に見出される[OR=13.10(1.79、95.85);p<0.0001]。
【0350】
従って、本発明者らは、個体のコルネオデスモシン核酸の+1243位におけるTの存在、または個体のコルネオデスモシンポリペプチド(L20815)の394位におけるロイシン(L)残基の存在、またはその両方を検出することによる、個体における第I群疾患または第I群疾患に対する感受性(好ましくは皮膚炎または皮膚炎に対する感受性、好ましくは疱疹状皮膚炎)の診断を開示する。このアミノ酸は、GB配列AF030130による410位に存在する。
【0351】
+1243においてヘテロ接合である個体もまた、皮膚炎を発症する危険性が高いので、対立遺伝子2、すなわち、+1243位におけるTは、アトピー性湿疹と比較した場合、疱疹状皮膚炎に対してより大きい危険性をもたらす。
【0352】
実施例A4.連鎖不平衡分析
本実施例では、別途示されない限り、コルネオデスモシン配列におけるアミノ酸位置は、GenBank配列L20815における番号付けを参照して示される。
【0353】
+1243位におけるCは、+619位および+1240位において、それぞれ、TおよびGと連鎖不平衡にあることが以前に示されている(Tazi−Ahniniら、1999a;Allenら、1999)。連鎖不平衡は、コルネオデスモシンのコード配列内の他の遺伝子座に及ぶ。さらに、家系分析を伝達不平衡試験(TDT)とともに使用して、Jenischおよび共同研究者らは、コルネオデスモシン遺伝子の6つの異なるアミノ酸配列をコードする6つの異なる対立遺伝子を同定している(Jenischら、1999)。
【0354】
第I群疾患
本発明者らは、対立遺伝子5(CD5)内および対立遺伝子6(CD6)内において、+1243位のT(leu)が、CD5のA(asp)、AGT(ser)、T(phe)、A(ser)、T(ser)、T(leu)、G(asp)およびT(asn)と強い連鎖不平衡にあり、そしてCD6のA(asp)、欠失(−)、T(phe)、A(ser)、T(ser)、T(leu)、G(asp)およびC(asp)と強い連鎖不平衡にあることを示している。これらの変化型は、それぞれ、+442位、+468位、+619位、+1215位、+1236位、+1243位、+1515位、および+1593位に存在する。
【0355】
本発明者らは、本発明者らの収集物において、これらの変化型がアトピー性湿疹と強く関連することを見出している。従って、上記に挙げられ、そして+1243位のT(すなわち、対立遺伝子2)と連鎖不平衡にあることが示される変化のいずれかの検出は、ヌクレオチドT(+1243)またはアミノ酸L(L20815の394)の検出の代わりに、またはそれらの検出に加えて使用することができる。
【0356】
従って、本発明者らは、これらの変化のいずれか1つまたは2つ以上を検出することによる、個体における第I群疾患または第I群疾患に対する感受性の診断、好ましくは湿疹または皮膚炎、より好ましくはアトピー性湿疹または疱疹状皮膚炎あるいはこれらの疾患のいずれかに対する感受性の診断を提供する。
【0357】
従って、本発明者らは、下記の表A4.1に示されるように、コルネオデスモシン核酸の関連位置における下記残基のいずれか1つまたは2つ以上を検出することによる、第I群疾患または第I群疾患に対する感受性の診断を提供する。
【表8】
表A4.1.コルネオデスモシンの多型および第I群疾患。(1):GenBank配列L20815によるアミノ酸位置の番号付け;(2):GenBank配列AF030130によるアミノ酸位置の番号付け。
【0358】
第II群疾患
本発明者らは、コルネオデスモシンの対立遺伝子2(CD2)内において、+1243位のC(Ser)が、CD2のG(Ser)、AGT(ser)、T(phe)、A(ser)、T(ser)、C(Ser)、G(asp)およびT(asn)と強い連鎖不平衡にあることをしている。これらの変化型は、それぞれ、+442位、+468位、+619位、+1215位、+1236位、+1243位、+1515位および+1593位に存在する。
【0359】
本発明者らは、本発明者らの収集物において、これらの変化型が尋常性ざ瘡と強く関連することを見出している。従って、上記に挙げられ、そして+1243位のT(すなわち、対立遺伝子1)と連鎖不平衡にあることが示される変化のいずれかの検出は、ヌクレオチドC(+1243)またはアミノ酸S(L20815の394)の検出の代わりに、またはそれらの検出に加えて使用することができる。
【0360】
従って、本発明者らは、これらの変化のいずれか1つまたは2つ以上を検出することによる、個体における第II群疾患または第II群疾患に対する感受性の診断、好ましくはざ瘡および/または乾癬、より好ましくは尋常性ざ瘡および/または尋常性乾癬あるいはこれらの疾患のいずれかに対する感受性の診断を提供する。
【0361】
従って、本発明者らは、下記の表A4.2に示されるように、コルネオデスモシン核酸またはコルネオデスモシンポリペプチドの関連位置における下記残基のいずれか1つまたは2つ以上を検出することによる、第II群疾患または第II群疾患に対する感受性の診断を提供する。
【表9】
表A4.2.コルネオデスモシンの多型および第II群疾患。(1):GenBank配列L20815によるアミノ酸位置;(2):GenBank配列AF030130によるアミノ酸位置。
【0362】
上記の核酸変化はコルネオデスモシンのアミノ酸配列における変化をもたらす。従って、関連する核酸位置におけるヌクレオチド残基の検出はまた、それらの影響を検出することによって、すなわち、コードされているポリペプチド配列における対応する変化を検出することによって達成することができる。従って、例えば、特異的な核酸プローブまたは消化酵素(例えば、HptI)を使用して核酸配列の+1243位における多型を検出することの代わりに、またはそのような検出に加えて、394位におけるL残基と394位におけるS残基とを識別することができるモノクローナル抗体を使用することができる。
【0363】
本発明者らはまた、表A4.2に示されるように、コルネオデスモシンポリペプチドの関連位置における下記残基のいずれか1つまたは2つ以上を検出することによる、第I群疾患または第I群疾患に対する感受性の診断を提供する。本発明者らはまた、表A4.2に示されるように、コルネオデスモシンポリペプチドの関連位置における下記残基のいずれか1つまたは2つ以上を検出することによる、第II群疾患または第II群疾患に対する感受性の診断を提供する。
【0364】
要約
本発明者らは、アトピー性湿疹および疱疹状皮膚炎に対する感受性を増大させるコルネオデスモシン遺伝子内のマーカーの関連を示している。ここで言及すべきことは、+1243にCを有するコルネオデスモシン対立遺伝子(対立遺伝子1)は乾癬および尋常性ざ瘡に関連しており、このことは、2つの対立遺伝子により、異なる感受性が生じることを示唆しているということである。対立遺伝子2(L394)はバリアの機能不全(例えば、皮膚炎、クローン病)に関連し、そして対立遺伝子1(S394)は損なわれた落屑(例えば、乾癬、ざ瘡)に関連する。
【0365】
本発明者らは、コルネオデスモシン遺伝子の+1243における多型がアトピー性湿疹および皮膚炎と関連することを示している。+1243位における置換はアミノ酸変化L394Sをもたらす。理論によって束縛されることは望まないが、本発明者らは、この置換がコルネオデスモシンのプロセシングを妨げ、従って、増強された落屑の一因であると考えている。
【0366】
本発明者らは、アミノ酸変化(Ser143/Asp、Ser153/−、Ser202/Phe、Ser401/Gly、Ser408/Ala、S410/L、Asp527/Asn;GB配列AF030130による位置)または(Ser127/Asp、Ser137/−、Ser186/Phe、Ser385/Gly、Ser392/Ala、S394/L、Asp511/Asn;GB配列L20815による位置)をもたらすコルネオデスモシン多形が、角化細胞の成熟化および落屑のプロセスにおいて重要な機能を有することを見出している。これらの多型に対するスクリーニング方法がJenischら(1999)およびGuerrinら(2001)によって記載される。従って、本発明者らは、強い関係が、コルネオデスモシンのタンパク質分解プロセシングと、正常な皮膚の感受性と、そしてバリア機能が崩壊している疾患状態の皮膚(これには、乾癬、ざ瘡および皮膚炎が含まれる)の一体性との間に存在することを示している。
【0367】
実施例A5:180位におけるコルネオデスモシン(S)遺伝子の多型
本実施例では、別途示されない限り、コルネオデスモシン配列におけるアミノ酸の位置は、GenBank配列L20815における番号付けを参照して示される。
【0368】
+180におけるコルネオデスモシン遺伝子多型の同定
180位におけるS遺伝子変化体が、クローン化されたS対立遺伝子の自動化された配列決定によって同定されている(Guerrinら、2001)。+180位におけるCからTへの核酸変化により、40位(L20815)におけるLからFへのアミノ酸変化が生じる。このアミノ酸は哺乳類の種において非常に保存されている。下記の表A5.1に詳述されるように、ヒト、マウスおよびブタのS配列の配列アラインメントにより、L40がこれらの種の間で保存されていることが示される。
【表10】
表A5.1.コルネオデスモシン配列のアラインメント。アミノ酸番号は、GenBankアクセション番号L20815における配列の番号付けを参照して示される。180位におけるCからTへの核酸置換は、GB配列AF030130によるコルネオデスモシンタンパク質の56位におけるLからFへのアミノ酸変化をもたらす。
【0369】
キモトリプシンによるタンパク質分解
コルネオデスモシンのフラグメントに対応し、40位(L20815;ヌクレオチド配列上の180位に対応する)のアミノ酸およびそのまわりのアミノ酸を含むペプチドを合成する。これらのポリペプチドを適切な緩衝液中においてキモトリプシンにさらし、そして消化生成物を同定する。キモトリプシンは、F残基またはY残基またはW残基のC末端側のペプチド結合を切断するが、L残基のC末端を切断しないことが知られている。
【0370】
ペプチドP1およびペプチドP2(サイズ:38アミノ酸、それぞれ、L20815の40位においてLおよびFを含む)をキモトリプシンにさらす。ペプチドP1は配列PTRITSPNDPCL40TGKGDSSGFSGSSSSGSSISSARを有し、ペプチドP2は配列PTRITSPNDPCF40TGKGDSSGFSGSSSSGSSISSARを有する。
【0371】
L20815の40位にLを有するペプチドP1は2つのタンパク質分解生成物(PTRITSPNDPCL40TGKGDSSGFおよびSGSSSSGSSISSAR)をもたらすことが見出される。しかし、L20815の40位にFを有するペプチドP2は3つの小さいペプチド(PTRITSPNDPCF、TGKGDSSGFおよびSGSSSSGSSISSAR)をもたらす。上記の結果は、http://www.expasy.ch/におけるExPASy Molecular Biology Serverを使用することによって確認される。P1およびP2の配列を有するペプチドは、キモトリプシンによって異なった様式で切断されることが予想される。
【0372】
このことは、LからFへのアミノ酸変化により、新しいキモトリプシン部位がコルネオデスモシン内に作り出されることを明らかにしている。このことは、角化細胞の分化および落屑のときにおけるコルネオデスモシンの成熟化に対して重大な影響を及ぼす。従って、本発明者らは、コルネオデスモシンにおけるLからFへのアミノ酸多型と疾患表現型との関連を開示する。
【0373】
従って、本発明者らは、個体のコルネオデスモシンポリペプチドにおけるプロテアーゼ切断部位の存在を検出することによる、個体における第I群疾患または第I群疾患に対する感受性(好ましくは皮膚炎または皮膚炎に対する感受性、好ましくは疱疹状皮膚炎、好ましくは湿疹、好ましくはアトピー性湿疹)の診断方法を開示する。プロテアーゼ部位の検出はポリペプチド配列に対して行なうことができ、またはプロテアーゼ部位をコードする核酸変化を検出することによって行なうことができる。好ましくは、プロテアーゼ切断部位はSCCEまたはSCTEの切断部位である。
【0374】
第I群疾患
本発明者らは特に、40位におけるLからFへのアミノ酸置換が第I群疾患(例えば、湿疹および/または皮膚炎)に関連することを見出している。この置換は、コルネオデスモシン核酸の180位におけるCからTへの変化によって引き起こされる。
【0375】
従って、本発明者らは、個体のコルネオデスモシンポリペプチドの40位におけるFの存在を検出することによる、個体における第I群疾患または第I群疾患に対する感受性(好ましくは皮膚炎または皮膚炎に対する感受性、好ましくは疱疹状皮膚炎、好ましくは湿疹、好ましくはアトピー性湿疹)の診断を提供する。
【0376】
本発明者らは、さらに、個体のコルネオデスモシン核酸の180位におけるTの存在を検出することによる、個体における第I群疾患または第I群疾患に対する感受性(好ましくは皮膚炎または皮膚炎に対する感受性、好ましくは疱疹状皮膚炎、好ましくは湿疹、好ましくはアトピー性湿疹)の診断を提供する。
【0377】
第II群疾患
本発明者らはまた、40位におけるFからLへのアミノ酸置換が第II群疾患(例えば、乾癬および/またはざ瘡)に関連することを見出している。この置換は、コルネオデスモシン核酸の180位におけるTからCへの変化によって引き起こされる。従って、40位がLであるもう一方の対立遺伝子は、ざ瘡および乾癬などの、増加した接着を有する疾患(グループII)に関連する。これは、コルネオデスモシンポリペプチドの40位にLが存在することにより、タンパク質がプロテアーゼによるタンパク分解プロセスに対して耐性になるからである。
【0378】
従って、本発明者らは、個体のコルネオデスモシンポリペプチドの40位におけるLの存在を検出することによる、個体における第II群疾患または第II群疾患に対する感受性(好ましくは乾癬またはざ瘡、あるいは乾癬またはざ瘡に対する感受性)の診断を提供する。
【0379】
本発明者らはさらに、個体のコルネオデスモシン核酸の180位におけるCの存在を検出することによる、個体における第II群疾患または第II群疾患に対する感受性(好ましくは乾癬またはざ瘡、あるいは乾癬またはざ瘡に対する感受性)の診断を提供する。
【0380】
実施例A6.+619におけるコルネオデスモシン遺伝子多型の同定
本発明者らは、+619位におけるCからTへの核酸置換が、L20815における番号付けによる186位において、そしてAF030130における番号付けによる202位においてSからFへのアミノ酸変化をもたらすことを明らかにしている。これにより、新しいキモトリプシン部位がコルネオデスモシンタンパク質内に作り出される。本発明者らは、186位のセリンが哺乳類の種において非常に保存されていることを見出している。
【0381】
本発明者らはさらに、186位のFが湿疹および皮膚炎などにおける皮膚バリアの欠陥に関連することを明らかにしている。
【0382】
第I群疾患
従って、本発明者らは、個体のコルネオデスモシンポリペプチドの186位におけるFの存在を検出することによる、個体における第I群疾患または第I群疾患に対する感受性(好ましくは皮膚炎または皮膚炎に対する感受性、好ましくは疱疹状皮膚炎、好ましくは湿疹、好ましくはアトピー性湿疹)の診断を提供する。
【0383】
本発明者らはさらに、個体のコルネオデスモシン核酸の619位におけるTの存在を検出することによる、個体における第I群疾患または第I群疾患に対する感受性(好ましくは皮膚炎または皮膚炎に対する感受性、好ましくは疱疹状皮膚炎、好ましくは湿疹、好ましくはアトピー性湿疹)の診断を提供する。
【0384】
第II群疾患
本発明者らはまた、186位におけるFからSへのアミノ酸置換が第II群疾患(例えば、乾癬および/またはざ瘡)に関連することを見出している。この置換は、コルネオデスモシン核酸の619位におけるTからCへの変化によって引き起こされる。
【0385】
従って、本発明者らは、個体のコルネオデスモシンポリペプチドの186位におけるSの存在を検出することによる、個体における第II群疾患または第II群疾患に対する感受性(好ましくは乾癬またはざ瘡、あるいは乾癬またはざ瘡に対する感受性)の診断を提供する。
【0386】
本発明者らはさらに、個体のコルネオデスモシン核酸の619位におけるCの存在を検出することによる、個体における第II群疾患または第II群疾患に対する感受性(好ましくは乾癬またはざ瘡、あるいは乾癬またはざ瘡に対する感受性)の診断を提供する。
【0387】
処置
コルネオデスモシンもしくは他の接着タンパク質に由来するポリペプチド、またはコルネオデスモシンもしくは他の接着タンパク質を含むポリペプチド、好ましくは、さらなるプロテアーゼ切断部位を有するペプチドは、欠陥のある皮膚バリア(第I群疾患)を有する患者を処置するために使用することができる。このようなペプチドは、好ましくは、皮膚バリアを浸透することができ、そして好ましくは分子量が約800Da以下である。ペプチドは、好ましくは、SPNDPCF40TGKGDSSまたはQSSSSSQTF186GVSSSGQSVの配列を含む。
【0388】
これらのペプチドは、場合により、40位にFを含む天然のコルネオデスモシンまたは186位にFを含む天然のコルネオデスモシンを模倣しているので、プロテアーゼ(例えば、SCCEおよびSCTE)の標的になり得る。
【0389】
従って、上記の配列を含むペプチドまたは上記の配列に由来するペプチドは、コルネオデスモシンおよび他の接着タンパク質のタンパク質分解の競合的阻害剤として作用させることができ、それにより、正常な皮膚バリアを回復させることができる。
【0390】
実施例B:プロテアーゼ遺伝子およびプロテアーゼ阻害剤遺伝子における多型
実施例B1.角質層キモトリプシン酵素(SCCE)多型の同定
角質層キモトリプシン酵素(SCCE)をコードするDNA配列が、アクセション番号AF166330を用いてNCBIファイルサーバー(www.ncbi.nlm.nih.gov/)から得られる。同じ情報源から、SCCEのDNA配列のエキソン配列が5つ得られ、そして、特異的なプライマーが、GeneJockeyプログラム(BIOSOFT(登録商標)、英国)を使用して設計される。
【0391】
多型の同定
SCCE遺伝子の5つのエキソンを変異および/または多型についてスクリーニングする。これらの最初の発見に基づいて、エキソンIおよびエキソンVに集中することが決定される。これは、前者においては最初何も検出されず、そして後者ではAACC重複の挿入の存在が明らかにされるからである。
【0392】
従って、多型分析を容易にするために、本発明者らは、9名の健康な(コントロール)個体に由来するSCCE遺伝子の2つのエキソンを、特異的なプライマー(F1、R1、F5およびR5)を使用して9つの異なるポリメラーゼ連鎖反応生成物において増幅している。
【0393】
プライマーの配列は下記の通りである。F1:5’CACTAGCTCTCCC ATTAGTCCCC3’;R5:5’TCGTTGTGCC AAGCAGAC3’;F5:5’CACTAGCTCTCCC ATTAGTCCCC3’;R5:5’TCGTTGTGCC AAGCAGAC3’(下記の表B1.1もまた参照のこと)。各エキソンの配列組成(例えば、それらのGC含有量)が異なるため、異なる条件が、2つのエキソンを増幅するために使用される;これらの条件もまた表に示される。
【0394】
エキソンIの場合、ゲノムDNAの増幅が、2μlのTaqポリメラーゼ緩衝液(x1)(Gibco;x10)、0.8μlのMgCl2(2mM)(Gibco;50mM)、1.6μlの各dNTP(10mM)(Promega)、0.1μlのW−1(Gibco;1%)、0.1μlのTaqポリメラーゼ(Gibco;0.5u)、1μlのプライマーF1(2μM;初期濃度20μM)、1μlのプライマーR1(2μM;初期濃度20μM)、1μlのDNAテンプレート(100ng/μl)および12.4μlの滅菌H2Oを含む20μlのPCR反応液を使用して達成される。
【0395】
エキソンVの場合、ゲノムDNAが、2μlのPfxポリメラーゼ緩衝液(x1)(Gibco;x10)、0.8μlのMgSO4(2mM)(Gibco;50mM)、1.6μlの各dNTP(10mM)(Promega)、2μlのPCRエンハンサー溶液(x1)(Gibco;x10)、0.06μlのPfxポリメラーゼ(Gibco;250u)、1μlのプライマーF5(2μM;初期濃度20μM)、1μlのプライマーR5(2μM;初期濃度20μM)、1μlのDNAテンプレート(100ng/μl)および10.54μlの滅菌H2Oを含む20μlの反応液におけるPCRによって増幅される。
【0396】
PCR増幅は40ウエルのサーマルサイクラー(TECHNE−GENIUS;Scientific Laboratories Supp.Ltd)において下記の条件のもとで行われる;98℃で5分間(1サイクル)、97℃で1分間、57℃(エキソンV)または60℃(エキソンI)のいずれかで30秒間、72℃で1分間(35サイクル)、74℃で5分間および15℃での保持。2つのエキソンを増幅するために用いられたプライマーおよびPCR条件のまとめが表B1.1に示される。
【表11】
表B1.1.SCCE遺伝子のエキソンIおよびエキソンVの増幅および配列決定において使用されたプライマーおよび条件。
【0397】
アガロースゲル電気泳動
増幅産物をアガロースゲル電気泳動により分離する。下記の方法は、1xTAE(4,900mlの滅菌H2Oおよび100mlの50xTAEストック[242gのTris塩基、57.1mlの氷酢酸、これは100mlの0.5M EDTAを用いてpH8に調整される])における1.5%アガロースゲルに関する標準的なゲル電気泳動プロトコルに基づく。
【0398】
1.5gのアガロースを、電子レンジで加熱することによって100mlの1xTAEに完全に溶解させ、そして4μlの臭化エチジウムを加えた後、溶液を混合して、冷水で注意深く冷却する。同時に、ゲルトレイを、ゲルトレイの両端にテープを貼ることによって準備し、そしてコームを、所望する位置にウエルを形成させるために設置する。その後、融解アガロースをゲルトレイに注入し、室温において固化させる。最初にコームをはずし、次にテープをはずし、そしてトレイ内のゲルを水平型ゲル槽に入れて、ゲルをゲル槽内において1xTAE緩衝液で(数mm)覆う。
【0399】
続いて、密度を増大させるために10%(v/v)の負荷緩衝液(0.25%ブロモフェノールブルー、0.25%キシレンシアノールおよび25%フィコール)を含有するDNAサンプルをゲル内の形成されたウエルに注入する。通常、ウエルには、より明瞭な結果を得るためにできるだけ多くのサンプルが注入される。その後、槽の陽極端子(赤)および陰極端子(黒)を電源装置(Bio−Rad、Pac300)に接続して、ゲルを定電圧(100V)で泳動する。DNAは負極から正極の方に移動する。約40分後、DNAのバンドを紫外線(UV;306nm)のもとで可視化する。
【0400】
TAEアガロースゲルからのDNAの抽出および精製
ゲルからDNAバンドを抽出することに先立つ最初の工程は、アガロース混入物からDNAを精製するために必要な材料であるガラスウールの調製である。ガラス器具だけを使用するとき、適量のガラスウール(Sigma)を、2mlのジメチルクロロシタン(dimethylchlorositane)および98mlのクロロホルムを含有する100mlの溶液に浸して、換気装置内に一晩放置する。翌日、浸したガラスウールを、メタノール中で1回、その後、純水中で3回洗浄し、そして水分を吸い取って乾燥させ、その後、使用する。
【0401】
乾燥したガラスウールは既にチューブに入れられているので、目的とするDNAバンドを同定し、そしてDNAバンドを、(エタノール中で洗浄した)清浄なメスを使用してゲルから注意深く(余分なアガロースをできる限り含まないように)切り出して、0.5mlのエッペンドルフチューブに入れる。このチューブには、小さいシリンジで底に穴が開けられ、そして(チューブの2/3を覆う)適量のシリコーン処理されたガラスウールが詰められている。その後、ガラスウールおよび切り取られたDNAバンドを含む0.5mlのエッペンドルフチューブを1.5mlのエッペンドルフチューブに入れて、6,000rpmで15分間遠心分離する。
【0402】
続いて、0.5mlのエッペンドルフチューブを捨て、溶出されたDNAを、(溶出DNA容量に関して)0.1容量の3M酢酸ナトリウム、2容量の100%エタノールおよび1μlのグリコーゲンをそれぞれの溶出DNA溶液に加えることによってエタノール沈澱する。その後、溶液を、−70℃で60分間または4℃で一晩放置して沈澱させる。その後、沈澱させた溶液を14,000rpmで15分間遠心分離し、上清を捨て、そしてペレットを200μlの70%エタノール中でさらに洗浄する。後者の溶液を14,000rpmで5分間遠心分離し、上清を再び捨て、そしてペレットを2、3時間室温で放置して乾燥させる。ペレットが完全に乾燥したとき(エタノールの痕跡が全く検出されなくなったとき)、ペレットを10μlのH2Oに再懸濁する。
【0403】
精製されたPCR産物の配列決定分析
精製PCR産物を配列決定にまわす前に、十分な量のDNA(すなわち、>500ng)が再懸濁サンプルに存在するかどうかを確認することが必要である。この目的のために、それぞれの再懸濁液からの2μlおよび98μlの滅菌水を含む100μlの分光測定用の溶液を調製し、その吸光度を分光光度計によってブランクサンプルに対して測定する。その後、DNA濃度を下記の式を使用することによって計算する。
DNA濃度(ng)=O.D.x0.05x希釈倍率x残ったDNA溶液のμl
【0404】
適量のDNAを有することが見出された再懸濁サンプルは、Termination Cycle Sequencing Ready Reactionの1つである、BigDye(商標)を使用するジデオキシ配列決定にまわされ、解析がABI Prism(商標)377DNAシーケンサー(Applied Biosystems(商標))において行われる。最後に、考えられる多型を検出するために、得られた配列が、GeneJockeyプログラム(BIOSOFT(登録商標)、英国)から得られるヌクレオチドマルチアラインメントプログラムを使用して互いに比較され、そしてSCCEの対応する配列(アクセション番号AF166330)と比較される。
【0405】
患者およびコントロール個体の募集
本研究の基礎となる20名のアトピー性湿疹者がシェフィールド(英国)の皮膚科診療所から集められる。患者はそれぞれ、アトピー性湿疹の診断を確認するために、経験を積んだ皮膚科医によって個別に検査される。
【0406】
本研究において使用される、疾患集団(白人、北部イングランド人)と人種的に一致する健康なコントロールに由来するDNAは、Trent輸血サービス(Sheffield)に由来する献血者から得られる。ゲノムDNAを、上記の個体から得られた全血から標準的なプロトコルに従って抽出し、99ウエルマイクロタイタープレートにおいて保存する。それぞれのウエルには、500μlの異なるDNA溶液(100ng/μl)が含まれる。
【0407】
DNA分析およびPCRに基づくアッセイ
検出された4bp(AACC)の挿入/欠失多型(下記を参照のこと)の対立遺伝子を識別するために、2つの異なるプライマーが設計される。一方(I/D R1)は1つのAACCの反復からなり、もう一方(I/D R2)は、2つのAACCからなる反復を含む。
【表12】
表B1.2.PCRに基づくアッセイ−適用されたプライマーおよび条件。
【0408】
プライマーの調製
そのようなプライマーは、2つの異なるPCR反応におけるリバースプライマーとして使用されるが、溶液乾燥物で得られるので、使用前にそれらをエタノール沈澱する必要がある。各プライマーを200μlのTE緩衝液に再懸濁し、そして十分に混合した後、100μlのプライマー溶液を1.5mlエッペンドルフチューブに入れる。このチューブにおいて、10μlの3M酢酸ナトリウム(pH4.8)および330μlの100%エタノールを加えて、溶液全体を−70℃で60分間または一晩放置して沈澱させる。沈澱が完了した後、溶液を5分間強く遠心分離して、上清を捨て、そしてペレットを200μlの70%エタノール中で洗浄する。後者を2分間強く微量遠心分離して、上清を除き、そしてペレットを乾燥させる。次の工程は、ペレットを100μlのH2Oに再懸濁することである。上記のように、分光分析を用いて、溶液におけるDNAの吸光度を調べる。下記の式を使用して、プライマー溶液のμmol/lを計算する。
(O.D260x希釈倍率x0.033)/分子量(プライマー)x106=μmol/l
【0409】
得られた数字を20で割り、20μMの溶液をもたらすプライマー溶液の希釈倍率を求める。それぞれのリバースプライマーは、エキソンV全体を増幅する際に用いられるフォワードプライマー(F5)と組み合わせて使用され、そして、エキソンVにおいて使用される同じパターンのPCR反応混合物および熱サイクル条件が、上記の表B1.2に詳述されるように、アニーリング温度およびMg++濃度に関する変更とともに利用される。
【0410】
統計学的分析
疾患群およびコントロール群を、2x3表を使用して比較する。コントロール群では、SCCE対立遺伝子I/対立遺伝子IIの多型の対立遺伝子分布はハーディ・ワインベルグ平衡にある。量効果の可能性を調べるために、ヘテロ接合体およびホモ接合体についてのオッズ比(Or)が、それらの危険率を、もう一方の対立遺伝子についてホモ接合である個体についての危険率と比較することによって別々に計算される。
【0411】
稀な対立遺伝子(対立遺伝子II)についてホモ接合である個体についてのオッズ比(OR)が、同じ対立遺伝子についてヘテロ接合である個体よりも大きい場合には、量効果は明らかである。従って、傾向についてのχ2解析が、それぞれの遺伝子型群における推定される感受性対立遺伝子の数による重みを付けて行われ、そしてフィッシャーの直説法によるp値が計算される。
【0412】
実施例B2.角質層キモトリプシン酵素(SCCE)多型とアトピー性湿疹との関連
イントロンIVおよびエキソンVのSNP多型の同定
本発明者らは、変異または多型の存在についてSCCE遺伝子のエキソンIおよびエキソンVをスクリーニングした。それらの多型を検出するために、適切なプライマーを設計し、そして適切な熱サイクル条件を最適化して、理想的な増幅を達成する。予想サイズのバンド(エキソンIおよびエキソンVについて、それぞれ、382bpおよび800bp)を選択し、そして上記の実施例において記載されるように精製し、そして対応する配列が、続いて、その増幅のために使用された同じプライマーを用いてABI DNAシーケンサーから得られる。
【0413】
GeneJockeyソフトウエアパッケージ(BIOSOFT、英国)からのマルチアラインメントプログラムを使用して、本発明者らは、数人の正常者および罹患者に由来するエキソンVのDNA配列のアラインメントを行った。結果が下記に示される。
【表13】
【0414】
AE2、KLKex5−3FおよびKLK7ex5AE7/Fはアトピー性湿疹の患者に対応し、これに対して、3、7および9はコントロールの個体から得られ、F5プライマーを使用して配列決定されている。考えられるSNPを示唆する重要な異なるヌクレオチド部分が太字で強調され、これに対して、AACCの挿入または欠失には下線が付されている。
【0415】
3つのコントロールサンプルを配列決定することによって、エキソン1にはSNPが検出されない。アラインメントにより、いくつかの著しい差異が、種々の個体に由来するSCCE遺伝子の配列の特定のヌクレオチド間に存在することが示され、このことはSNPの存在を示唆している(下記の表B2.1を参照のこと)。例えば、SNP(A→C)がイントロンIVのコンセンサス領域の塩基253に見出される。2つのさらなるSNP(G→TおよびA→C)が、エキソンVのコンセンサス配列の塩基580および607においてそれぞれ同定される。これらはともに、SCCE遺伝子によってコードされるmRNAにおけるアミノ酸の変化を生じさせる。
【表14】
表B2.1.SCCE遺伝子のエキソンIおよびエキソンVにおけるSNPの位置。
【0416】
アトピー性湿疹サンプルにおけるエキソンVのAACC挿入/欠失多型の同定
上記に示されるような配列アラインメントにより、アトピー性湿疹患者(AE2と称される)のSCCE配列のエキソンVにおける4bpの反復(AACC)の存在(ゲノム位置:7,634bp〜7,637bp)が明らかにされる。これは、データベースから得られるSCCEの配列と一致する。
【0417】
しかし、この反復はそれ以外のアラインメントされた配列の一部には検出されない。このことは、参照している配列に依存して、この反復が挿入または欠失であり得ることを示唆している。
【0418】
図1には、この挿入/欠失を示す、SCCE遺伝子のエキソンVに対応するAE2配列の一部のクロマトグラムが示される。コントロールの個体から得られた対応するクロマトグラムが図2に示される。GGTTとして示される2番目の反復(AACC)が存在しないことが、クロマトグラムの配列から明らかである。
【0419】
ケースコントロール研究
本発明者らはさらに、1反復(AACC)の対立遺伝子を有する個体と2反復(AACCAACC)の対立遺伝子を有する個体とを識別するために、特異的なプライマーを使用するPCR型アッセイを設計した。プライマーは、DNA配列に対して相補的であるように設計された。2番目の反復(AACC)が一方のプライマーには存在しないことを除いて、プライマーは同じ配列を有する(上記の実施例B1を参照のこと)。
【0420】
従って、調査中のサンプルの配列が1反復を有しない場合、ハイブリダイゼーションは不完全であり、増幅は起こらないと考えられる。その場合、そのような配列の増幅は、もう一方の対立遺伝子(すなわち、配列中に2反復を有する対立遺伝子)を使用して行われる。両方のプライマーを用いた増幅により、検査されたサンプルに対応する個体が両方の対立遺伝子についてヘテロ接合であることが示される。簡略化するために、本発明者らは、配列中に1反復を有する対立遺伝子を対立遺伝子1と呼び、2反復(AACCAACC)を有する対立遺伝子を対立遺伝子2と呼ぶ。
【0421】
2つの対立遺伝子を区別するPCRの最適化
対立遺伝子1(1反復の対立遺伝子)および対立遺伝子2(2反復の対立遺伝子)の対立遺伝子分布を測定するために、本発明者らは、特異的なプライマー(上記の実施例B1を参照のこと)を使用する直接的なPCRアッセイを設計した。健康な個体および患者個体をスクリーニングする前には、PCR条件の最適化が、正確かつ有効な結果を得るために必要である。
【0422】
第1の最適化
第1の最適化のために、F5およびI/D RIIのプライマーが、2.5mMのMg++および60℃(アニーリング温度)の特定の条件とともに、エキソンVに対する熱サイクル条件のもとで使用される。この目的のために、10個のDNAサンプルが調べられる。そのうちの1つはAE2配列(これは、その配列内に2反復の対立遺伝子を含むことが既に示されている−図1を参照のこと)であり、そして9個は、Poly1〜9と称されるコントロール個体であり、Poly9は、配列内に1反復の対立遺伝子を含むことが既に見出されている(図2を参照のこと)。
【0423】
結果は、2、3、7および9のサンプルでは増幅されないことを示している。しかし、これは、それらの配列中に2番目の反復が存在しないためではなく、DNAの品質が悪いためであるか、または非特異的なPCR条件のためである可能性がある。この可能性を排除するために、本発明者らは、エキソン5全体の増幅産物である800bpの「コントロール」増幅産物を含む、もう一組のPCR反応を行った(すなわち、プライマーF5およびプライマーR5、2mMのMg++および57℃)。得られたゲルが図3に示される。このゲルは、本発明者らの先の最適化が正確であり、そして対立遺伝子識別の結果が有効であることを明らかにしている。
【0424】
第2の最適化
第2の最適化には、同じDNAサンプル、プライマーF5およびプライマーI/D RI、そして2.5mMのMg++および61℃のPCR条件の使用が伴う。予想されるように、AE2のレーンにはバンドが存在せず、これに対して、以前には増幅が起こらなかったサンプル(2、3、7および9)に対するバンドが存在する。第2の最適化に対する結果が図4に示される。
【0425】
最適化された条件を使用するコントロールサンプルおよびアトピー性湿疹サンプルの遺伝子型決定
両方のプライマーについて上記の最適化された条件を使用する直接的なPCR法によって、本発明者らは、SCCE遺伝子の2つの異なる対立遺伝子の対立遺伝子分布を解明するために、健康者サンプルおよびアトピー性湿疹サンプルをスクリーニングした。
【0426】
実際のスクリーニング結果とともに、コントロールのバンドが存在する反応の結果が下記の表B2.2に示される。
【表15】
表B2.2.アトピー性湿疹群およびコントロール群におけるSCCEのAACC/AACCAACC多型の対立遺伝子分布。
【0427】
統計学的分析
アトピー性湿疹群およびコントロール群の両方におけるSCCEのAACC/AACCAACC多型の対立遺伝子分布が上記の表B2.2に示される。コントロール群と比較した場合、患者群では、稀な対立遺伝子(対立遺伝子2)の対立遺伝子頻度が有意に増大している。コントロール群における稀な対立遺伝子(頻度=0.43)は、疾患群では、より一般的な対立遺伝子(頻度=0.75)である。量効果がこの多型について明らかであるため、この稀な対立遺伝子についてのオッズ比(OR)は、ヘテロ接合の場合よりも有意に大きい。従って、χ2検定が行われる。強い関連が、SCCE−対立遺伝子II変化体とアトピー性湿疹との間に見出される[p=0.0104、OR=7.00(95%の信頼区間(1.74、28.17))]。
【0428】
結論
本発明者らは、AACCAACCの挿入を有するSCCE対立遺伝子が、患者コホートでは一般的であることを示している。80%の湿疹患者がSCCEのAACCAACC対立遺伝子の1つまたは2つを有しており、70%がこの対立遺伝子についてホモ接合である。しかし、コントロール群では、60%がSCCEのAACCAACC対立遺伝子についてヘテロ接合であり、25%のみがこの対立遺伝子についてホモ接合である。従って、AACCAACCを含むSCCE対立遺伝子は湿疹と関連することが示される。
【0429】
本発明者らは、3’UTRにおける挿入がmRNAの安定性に対して強い影響を有すると推測している。従って、SCCEの量が変化し、これにより、コルネオデスモソームのタンパク質分解プロセスが影響を受ける。これは皮膚バリアの恒常性を破壊し、そして湿疹性の臨床的表現型をもたらす。
【0430】
SCCEの挿入は、過敏な皮膚(例えば、湿疹)を有する患者を診断するために使用することができる。この診断は治療的処置のためには極めて有用である。例えば、この挿入がSCCEのより少ないタンパク産生と関連している場合、処置は、SCCEの生理学的濃度を増加させることに集中する(例えば、皮膚に対する薬用ローションにおけるSLPIの阻害またはSCCEの使用)。しかし、SCCE遺伝子におけるこの挿入が皮膚内のSCCE濃度の増大と関連している場合、処置は、例えば、皮膚に対するローションにおいてSLPIおよび/またはSLPIペプチドおよび/またはSCCE抗体を適用することによってSCCEの内因性濃度を減少させることに集中する。
【0431】
従って、本発明者らは、個体のSCCE核酸におけるAACCAACC配列の存在を検出することによる、個体における第I群疾患または第I群疾患に対する感受性(好ましくは湿疹または湿疹に対する感受性、好ましくはアトピー性湿疹)の診断を開示する。本発明者らはさらに、SCCEゲノム配列(GB:AF166330)における7634位〜7637位に対応する位置におけるAACC配列を検出することによるそのような診断を開示する。好ましくは、診断は、個体のmRNAまたはゲノムDNAに対して実施される。好ましくは、AACC配列がSCCEゲノム配列(GB:AF166330)の7634位〜7637位において検出される。
【0432】
指定された位置におけるAACCAACCの非存在の検出はまた、第II群疾患(好ましくは、乾癬および/またはざ瘡に対する感受性)を診断または検出するために使用することができる。
【0433】
実施例B3.分泌型ロイコプロテアーゼ阻害剤(SLPI)多型の同定
SLPIのプロモーターにおける変異の検出
本発明者らは、TATAシグナル、CAATシグナルおよび2つのCRE様配列を含むSLPIのプロモーター領域の約1500bpをスクリーニングした。
【0434】
10個のサンプルが異なる人種群から得られ、これらは皮膚疾患の病歴を有さず、そして10個のサンプルが、アトピー性湿疹および尋常性ざ瘡および尋常性乾癬の各患者から得られる。これらのサンプルはそれぞれが、適切なプライマーを使用してPCRによってスクリーニングされる。最初に、SLPIプロモーター配列(GeneBankアクセション番号、M74444)が調節エレメントについてスクリーニングされる。2つのCRE(環状AMP応答エレメント)様配列が見出される。環状AMP応答エレメント(CRE)は、NF−IL6およびCREBなどの転写因子によって認識される(Tsukadaら、1994)。CRE内の変異点はIL−1βの刺激を著しく低下させる(Potterら、2000)。SPLIがIL−1βおよびTNF−αの両方によってアップレギュレーションされることが知られている(Tanakaら、2000;本研究の処置の節もまた参照のこと)。
【0435】
サンプルは、TATAシグナル(−27/−21)、CAATシグナル(−87/−83)(これはAbeら(1991)により報告される)、ならびにCRE様1(ttgctgtca;−907/−898)およびCRE様2(tacgtacgtca;−1157/−1146)の2つの配列を含むSLPIプロモーター領域の周りがスクリーニングされる。これらの位置は、転写開始点(+1;配列内の1374位のC)の位置に対する参照により示される。SLPIのプロモーター領域の配列を下記に示す:
【表16】
【0436】
CRE様の位置は太字で示される。TATAボックスおよびATGには下線が付されている。
【0437】
PCR条件は下記の通りである。94℃/3分の1サイクル;94℃/30秒、アニーリング温度/30秒、72℃/45秒の45サイクル;72℃/10分の1サイクル;以降4℃。PCRに使用されたプライマーが下記の表B3.1に示される。
【表17】
表B3.1
【0438】
SLPIプロモーターのフラグメントのそれぞれを増幅するための最適化されたMg2+濃度およびアニーリング温度が下記の表B3.2に示される。
【表18】
表B3.2
【0439】
PCRスクリーニング法を使用して、本発明者らは、下記の表B3.3に示されるようなSLPI内の変異を同定している。
【表19】
表B3.3.ヒトSLPI配列内の変異。多型の位置には下線が付されている。**−これらは、使用された第2のPCRフラグメントに由来する。***−付属Bにおける基準配列を参照のこと。
【0440】
これらの様々な多型と、同定された対立遺伝子との間における疾患関連性が下記の表B3.4に示される。
【表20】
表B3.4.SLPIにおける疾患関連性。なし:両方の対立遺伝子が同じ頻度で存在する。空欄:そのようなカテゴリーのサンプルがその位置において存在しない。***:この対立遺伝子のみがこの位置およびこのサンプル組において存在する。
【0441】
疾患を診断するためのSLPI多型の検出
本発明者らは、一般的には、上記の表B3.4において同定されるようなSLPI内の多型のいずれかを検出することによる疾患(好ましくは、炎症性の皮膚疾患)の診断方法を提供する。
【0442】
特に、本発明者らは、下記の表B3.5に示されるようなSLPI内の多型のいずれかを検出することによる疾患(好ましくは、炎症性の皮膚疾患)の診断方法を提供する。
【表21】
表B3.5
【0443】
本節および次の3つの節では、位置番号は、好ましくは、アクセション番号M74444または付属Bにおける基準SLPI配列を参照して付けられる。
【0444】
ざ瘡の診断
特に、本発明者らは、個体における第II群疾患(好ましくはざ瘡)の診断方法を開示するが、この方法は、SLPIの1300位におけるG残基の存在、またはSLPIの1418位におけるC残基の存在、またはその両方を検出することを含む。
【0445】
乾癬の診断
本発明者らは、個体における第II群疾患(好ましくは乾癬)の診断方法を開示するが、この方法は、SLPIの291位におけるG残基の存在、SLPIの292/293位におけるG残基の非存在、SLPIの1325位におけるG残基の存在、SLPIの1418位におけるC残基の存在からなる群から選択される1つ以上の多型の存在を検出することを含む。
【0446】
湿疹の検出
本発明者らは、個体における第II群疾患(好ましくは湿疹、より好ましくはアトピー性湿疹)の診断方法を開示するが、この方法は、SLPIの280位におけるT残基の存在、SLPIの292/293位におけるG残基の存在、SLPIの1235/1236位におけるC残基の存在、SLPIの1384/1385位におけるC残基またはA残基の非存在からなる群から選択される1つ以上の多型の存在を検出することを含む。
【0447】
実施例B4.シスタチンA(CSTA)プロモーター多型の同定
シスタチンA(CSTA)は、染色体位置3q21に位置する、角質層において発現するシステインプロテアーゼ阻害剤である。この領域には、乾癬、アトピー性皮膚炎および他の自己免疫疾患の両方の感受性遺伝子座が含まれる(Cooksonら、2001;Leeら、2000;Beckerら、1998)。
【0448】
ヒトシスタチンAのプロモーターにおける変異の検出
本発明者らは、異なる人種群に由来し、皮膚疾患の病歴を有しない10個のサンプルと、アトピー性湿疹および尋常性ざ瘡および尋常性乾癬の各患者に由来する10個のサンプルとにおいて、TATAシグナルおよびCAAT配列を含むシスタチンA(CSTA)プロモーター領域の500bp〜1000bpをスクリーニングした。
【0449】
PCR条件は下記の通りである。94℃/3分の1サイクル;94℃/30秒、アニーリング温度/30秒、72℃/45秒の45サイクル;72℃/10分の1サイクル;以降4℃。PCRに使用されたプライマーが下記の表B4.1に示される。
【表22】
表B4.1
【0450】
4つの領域のそれぞれを増幅するための最適化されたMg2+濃度およびアニーリング温度が下記の表B4.2に示される。
【表23】
表B4.2
【0451】
PCRスクリーニング法を使用して、本発明者らは、下記の表B4.3に示されるような、ヒトシスタチンAの様々な領域における変異を同定している。
【表24−1】
【表24−2】
表B4.3.ヒトシスタチンA配列内の変異。**−この表に示された位置は、1位としてエキソン1の5’末端が使用される。すべての他の位置はこの位置に対する相対的なものである。
【0452】
発表された配列には、イントロン1の5’部分と3’部分との間にギャップが存在するので、ヌクレオチド位置のそのような番号付けは、CystA.1およびCystA.2の2つのシスタチンA配列を参照してなされる。配列CystA.2の1位は、イントロン1の発表された3’部分の開始部である。位置の番号付けのために使用された配列は、セミコロンの前に「1」(CystA.1の場合)または「2」(CystA.2の場合)によって示される。従って、例えば、「2;2446」は、CystA.2について配列内の2446位を示す。CystA.1およびCystA.2の基準配列は下記の付属Aに示される。
【0453】
これらの様々な多型と、同定された対立遺伝子との間における疾患関連性が下記の表B4.4に示される。
【表25−1】
【表25−2】
表B4.4.シスタチンA対立遺伝子における疾患関連性。なし:両方の対立遺伝子が同じ頻度で存在する。空欄:そのようなカテゴリーのサンプルがその位置において存在しない。***:この対立遺伝子のみがこの位置およびこのサンプル組において存在する。
【0454】
**−この表に示された位置は、1位としてエキソン1の5’末端が使用される。すべての他の位置はこの位置に対して相対的なものである。発表された配列には、イントロン1の5’部分と3’部分との間にギャップが存在するので、ヌクレオチド位置のそのような番号付けは、CystA.1およびCystA.2の2つのシスタチンA配列を参照してなされる。配列CystA.2の1位は、イントロン1の発表された3’部分の開始部である。位置の番号付けのために使用された配列は、セミコロンの前に「1」(CystA.1の場合)または「2」(CystA.2の場合)によって示される。従って、例えば、「2;2446」は、CystA.2について配列内の2446位を示す。CystA.1およびCystA.2の基準配列は下記の付属Aに示される。
【0455】
疾患を診断するためのシスタチンA多型の検出
本発明者らは、一般的には、上記の表B4.4において同定されるシスタチンA内の多型のいずれかを検出することによる疾患(好ましくは、炎症性の皮膚疾患)の診断方法を提供する。
【0456】
ざ瘡の診断
特に、本発明者らは、個体における第II群疾患(好ましくはざ瘡)の診断方法を開示する。この方法は、CystA.1の110位におけるG残基の存在、CystA.1の96位のC残基の存在、CystA.1の71位におけるA残基の存在、CystA.1の20位におけるG残基の存在、CystA.1の17位におけるT残基の存在、CystA.1の13位におけるC残基の存在、CystA.1の10位におけるT残基の存在、またはCystA.1の8位におけるT残基の存在からなる群から選択されるいずれか1つまたは2つ以上の多型を検出することを含む。
【0457】
本発明者らはさらに、個体における第II群疾患(好ましくはざ瘡)の診断方法を開示する。この方法は、CystA.1の73位におけるG残基の非存在、CystA.1の76位および77位におけるTGの非存在、ならびにCystA.1の6位におけるC残基の非存在からなる群から選択されるいずれか1つまたは2つ以上の多型を検出することを含む。
【0458】
上記の2つの段落における診断方法は組み合わせることができる。
【0459】
乾癬の診断
本発明者らは、個体における第II群疾患(好ましくは乾癬)の診断方法を開示する。この方法は、CystA.1の270位におけるG残基の非存在、CystA.1の73位のG残基の存在、CystA.1の15位におけるC残基の非存在、CystA.1の6位におけるC残基の非存在、CystA.1の4位におけるG残基の非存在、およびCystA.1の7位におけるG残基の非存在からなる群から選択される1つ以上の多型を検出することを含む。
【0460】
湿疹の診断
本発明者らは、個体における第I群疾患(好ましくは湿疹、より好ましくはアトピー性湿疹)の診断方法を開示する。この方法は、CystA.1の122位および121位におけるACの非存在、CystA.1の110位のG残基の非存在、CystA.1の85位におけるt残基の存在、CystA.1の73位におけるG残基の存在、CystA.1の72位におけるA残基の非存在、CystA.1の60位におけるT残基の非存在、CystA.1の15位におけるC残基の非存在、CystA.1の14位におけるA残基の非存在、CystA.1の13位におけるC残基の非存在、CystA.1の6位におけるC残基の非存在、CystA.1の5位におけるT残基の非存在、CystA.1の4位におけるG残基の非存在、ならびにCystA.1の7位におけるG残基の非存在からなる群から選択される1つ以上の多型を検出することを含む。
【0461】
実施例B5.シスタチンA(CSTA)コード配列多型の同定
ヒトシスタチンAのコード配列における変異の同定
シスタチンAのコード配列が、上記に記載されるように、多型についてPCRを使用してスクリーニングされる。同定された多型が上記の表B4.3および表B4.4に示される。
【0462】
実施例B6.プロモーター活性の分析
本発明者らは、ヒトゲノムデータベースにおける検索を行うためにエキソン1の配列を使用し、そしてRP11−299J3クローン(AC083798)におけるCSTAプロモーター領域を同定している。本発明者らは、潜在的なTATAシグナルおよびCAATシグナルをその配列において同定している。これらのシグナルは、下記のCSTAの5’配列において太字で示される。
【0463】
4つの調節領域がプロモーター配列内に存在する。3つのTPA応答性エレメント(TRE−1、TRE−2およびTRE−3)および1つのAp−2部位。TPAまたは12−O−テトラデカノイルホルボル−13−アセタートは強力なタンパク質キナーゼC活性化因子であり、AP−2はエンハンサー結合タンパク質である。
CSTAの5’領域
【表26】
【0464】
プロモーター領域1
コントロールおよび患者に由来するCSTAのプロモーター領域1の配列がアラインメントされ、下記に示される。
【表27】
【0465】
上記のアラインメントにおいて、TRE−1配列およびTRE−2配列には下線が付されている。*は変異位置を示す。cstaconrはGBのAC083798配列に由来する配列である。cstape2f、cstape1rfおよびcstape8fは湿疹患者由来の配列である。cstapp6fおよびcstapp8fは乾癬患者由来の配列である。
【0466】
プロモーター領域2
コントロールおよび患者に由来するCSTAのプロモーター領域2の配列がアラインメントされ、下記に示される。
【表28】
【0467】
上記のアラインメントにおいて、AP−2配列には下線が付されている。*は変異位置を表す。cstappoly7r、cstapolyp3r、cstappoly4r、cstappoly6rは、異なる人種群に由来するコントロール由来の配列である。cstaconrはGenBankのAC083798配列に由来する配列である。cstapa2rおよびcstapa1rはざ瘡患者由来の配列である。cstape5r、cstape7rおよびおよびcstapa9rは湿疹患者由来の配列である。cstapp7r、cstapp6rおよびcstapp4rは乾癬患者由来の配列である。
【0468】
シスタチンAのプロモーター領域には、患者だけに存在し、コントロールサンプルには存在しない数個の変異点が含まれることが明かである。ざ瘡および湿疹に由来するサンプルはプロモーター配列において非常に大きい変化を示す。従って、この領域は、正常者と比較した場合、患者では変化している。ざ瘡患者のシスタチンAプロモーター(cstapa3f)および湿疹患者のシスタチンAプロモーター(cstape8)におけるTRE−2領域にはGの挿入が存在しており、このことは、CSTAプロモーター活性が、異常なバリアを伴う疾患(例えば、ざ瘡、湿疹)では変化していることを示唆している。
【0469】
従って、本発明者らは、シスタチンA核酸のTRE−2領域におけるG残基の存在を検出することを含む、疾患(好ましくは皮膚疾患、好ましくは皮膚の炎症性疾患)の診断方法を提供する。
【0470】
プロモーター活性
下記の実験が、シスタチンAの発現におけるこれらのプロモーター配列多型およびコード配列多型の影響を明らかにするために行われる。
【0471】
PCRクローニング法
本発明者らは、プロモーター領域において、フォワード:5’GCTTCCTCCATATCTGTA3’およびリバース:5’AGATAAGCCTCCAGGTATC3’の2つのプライマーを設計し、そして正常者由来のDNA(cstappoly4r、cstappoly3rおよびcstappoly7r)および湿疹患者由来のDNA(cstape8f、cstape5r、cstape7r)を使用してPCRを行った。クローニング法は、Takahashiら(1998)によって記載されるクローニング法に類似する。PCR産物はpCR(商標)2.1ベクター(Invitrogen、San Diego、CA)にサブクローン化されて、組換えプラスミドからのHindIII/XbaI消化フラグメントがプロモーター非保有0−CATプラスミドに挿入される。
【0472】
5μgのフラグメント−CATプラスミドが、リポフェクチンを使用するリポソーム法によって105個のSVHK細胞をトランスフェクションするために使用される。48時間後、細胞を集めて、CATアッセイが行われる。
【0473】
結果
結果が図5に示される。
【0474】
湿疹患者のシスタチンプロモーターの活性は、コントロールのプロモーターと比較して著しく低下している(図5を参照のこと)。これらの結果より、CSTAが皮膚バリアの恒常性に関与していることが示唆される。CSTAは、皮膚バリアが損なわれた疾患(例えば、湿疹)ではダウンレギュレーションされる。CSTAのアップレギュレーションはまた、上皮細胞間の接着の増大を誘導し得る。このことは、CSTAはまた、皮膚バリアが増強された疾患にも関与することを示唆している。
【0475】
従って、CSTAのプロモーター領域内における変異の検出は、皮膚バリアが異常な患者(例えば、湿疹または任意の第I群疾患)を診断するために使用することができる。この診断は、適切な処置を確認するための重要な工程である。例えば、湿疹患者における変異(例えば、TRE−2配列TGGATGCAにおけるGの挿入)の検出は、CSTAが非常に弱い活性を有すること、そして、CSTAの阻害活性を模倣するペプチドの1つまたは組合せを患者皮膚に適用することがこの場合には最も適切な処置であることを示唆する。
【0476】
実施例C:デスモソームおよびコルネオデスモソームのタンパク質のタンパク質分解プロフィル/プロテアーゼ媒介成熟化
実施例C1.組換えSCTEの産生
角質層トリプシン様酵素(SCTE)をクローン化して、完全な酵素活性を有するように活性な形態で発現させる。
【0477】
使用された発現ベクター
発現は、高レベルでのタンパク質発現を達成し、そして精製を可能にするために種々のベクターシステムを使用して達成される。3つのベクターシステムが使用される。
【0478】
昆虫細胞システム:Hisタグを末端に有しない場合;Invitrogen社のベクター(pMT/V5−HisA、pMT/V5−HisBまたはpMT/V5−HisC)が、読み枠に依存して使用される。S2昆虫(ショウジョウバエ)細胞における発現;Hanssonら(1994)に記載されるような精製。
【0479】
レトロウイルスシステム:Hisタグを有しない場合;Clontech社のレトロウイルスベクター(pLNCX2)タンパク質をネズミ乳房細胞において発現させ、そしてHanssonら(1994)に記載されるように精製する。
【0480】
pcDNA3.1システム:HisタグをC末端に有する場合;Invitrogen社のベクター(pcDNA3.1、3つのORFを有するABC)が使用される。タンパク質の発現がCOS−7細胞(アフリカミドリサル腎臓細胞)において達成される。逆転写−ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)
【0481】
オープンリーディングフレームを覆うPCRプライマーが、SCTE配列(GB:AF168768)を使用して、手作業により、すなわち、目で見ながら設計される。すべてのプライマーがInvitrogen社から得られる。
フォワード(5’から3’に):GGA AAT CAG GTG CAG CG
リバース(5’から3’に):GAT GAC TCA GGA GTT GGC
【0482】
ヒト表皮の総RNAを、Applied Biosystems社のGold RNA PCRキットを用いてcDNAに逆転写する。RTサイクルは、25℃で10分間のハイブリダイゼーション、その後、42℃で12分間の逆転写を含む。PCRは、Applied Biosystems社のGold Taqポリメラーゼを2.0mMのMg2+とともに使用して40サイクル行われる。各PCRサイクルは、95℃で10分間のTaq活性化、94℃で30秒間の変性、58.8℃で1分間のアニーリング、72℃で20秒間の伸長、および72℃で7分間のアニーリング/伸長からなる。
【0483】
PCR増幅は1.5%アガロースゲルで確認される。PCR産物を、Stratagene社のStrataprep PCR精製キットを使用してそれ以外のPCR混合物成分から精製する。精製されたSCTE PCR産物は、制限酵素PCR制限酵素部位隣接PCRのためのテンプレートとして使用される。
【0484】
昆虫細胞ベクターpMT/V5−His(Invitrogen、カタログ#K4120−20)がクローニングのために選ばれる。このベクターは3つの読み枠(A、BおよびC)で利用することができる。それぞれの読み枠により、C末端ペプチドの発現を伴うクローニングが容易になる。正しい読み枠が、SCTEのDNA挿入物の開始コドンに関して選ばれる。
【0485】
ベクターのマルチクローニング部位付近の制限酵素(RE)部位が、SCTEの開始コドンとの読み枠を合わせるために選ばれる。SCTEのDNA配列を、NIHのウェッブサイト(www.nih.go.jp/〜jun/research/anal.html)において見出されるWebcutterプログラムを使用して制限酵素部位の存在についてスクリーニングする。SCTE配列内に見出されず、しかしベクターにおいて見出されるそのような制限酵素部位が、使用のために利用できる可能性がある。
【0486】
SCTEの開始コドンは、pMT/V5−HisCベクターと読み枠が一致していることが見出される。Kpn1が開始コドンにおける最初の制限酵素として選ばれる。Not1が停止コドンの後における第2のプライマーとして選ばれる。制限酵素部位は、Kpn1およびNot1が両端に存在するSCTEのPCR産物を得るために、SCTEのフォワードPCRプライマーおよびリバースPCRプライマーに含められる。これらの部位は、配列をベクター内に挿入することを可能にする。
SCTEのフォワード制限酵素プライマー(5’から3’に)
ATTAGTA−GGGTAG−ATGGCTACAGCAAGACCC
ランダム配列−Kpn1制限酵素配列−SCTE開始コドン配列
SCTEフォワードREプライマー(5’から3’に)
ATTAGTA GGTACC ATGGCTACAGCAAGACCC
・ランダム配列 Kpn1RE配列 SCTE開始コドン配列
SCTEリバースREプライマー(3’から5’に)
1)TCCAGGCCAACTCCTGA GCGGCCGC ATATTA
2)SCTE停止コドン配列 Not1RE配列 ランダム配列
SCTEリバースREプライマー(5’から3’に)(相補体)
TAATATGCGGC CGCTCAGGAG TTGGCCTGGA
【0487】
標準的なプライマーPCRから得られるSCTEのPCR産物が、制限酵素−プライマーPCRのためのテンプレートとして使用される。PCR条件は、57℃〜67℃の間の任意のアニーリング温度において2.5mMのMg2+である。SCTE−制限酵素PCR産物を製造者の推奨プロトコル(Promega)に従って対応する制限酵素(Kpn1およびNot1)で消化する。消化されたSCTE−制限酵素PCR産物をアガロースゲル電気泳動によって制限酵素混合物から精製し、そしてDNAを、Qiagen社のQiaexIIアガロースゲル抽出キットを使用してゲルから精製する。これにより、SCTE挿入物は、調製されたベクターとの連結に利用することができる。
【0488】
pMT/V5−HisCベクターの増殖および制限酵素消化
pMT/V5−HisCベクターをInvitrogen社のTOP10化学修飾大腸菌細胞(Invitrogen、カタログ#C4040−10)において増殖させる。プロトコルはTOP10情報小冊子に記載される。1μlのベクターを(氷上で解凍された)TOP10細胞のバイアルに加える。穏やかに混合する。氷上で5分間〜30分間インキュベーションする。細胞に42℃で30秒間の熱ショックを、振とうすることなく与える。直ちに氷に戻す。250μlの室温のSOC緩衝液を加える。チューブにきつく栓をして、チューブを水平に37℃で1時間振とうする。50μlの形質転換混合物をアンピシリン含有の新しい寒天平板に均一に広げる。37℃で一晩インキュベーションする。単一コロニーを選び、これを使用して、アンピシリン−LBに接種し、培養物を37℃で一晩インキュベーションする。グリセロール保存物を培養物から作製する。増殖させたpMT/V5−HisCベクターは、製造者の推奨プロトコルに従ってQiagen社のDNAミニプレップキットを使用して細菌から精製される。
【0489】
精製されたベクターを、SCTE−制限酵素PCR産物の場合のようにKpn1およびNot1で消化する。消化されたベクターもまたアガロースゲル電気泳動によって制限酵素混合物から精製され、そしてDNAを、Qiagen社のQiaExIIアガロースゲル抽出キットを使用してゲルから精製する。これにより、ベクターは、調製されたSCTE挿入物との連結に利用することができる。
【0490】
pMT/V5−HisCおよびSCTEのベクター連結
SCTEを、T4−DNAリガーゼ酵素(Gibco、カタログ#15224−017)を使用してpMT/V5−HisCベクターに連結する。連結は、下記のプロトコルに従って5:1のDNA挿入物:ベクターの比率で行われる。1μlのDNAリガーゼ(1U/μl)、4μlの5x連結緩衝液、SCTE挿入物(Xμg/μl)、pMTベクター(Xμg/μl)、水(20μlにするまで)。連結反応物を(16℃の氷水に浮かせながら)16℃で一晩インキュベーションする。連結反応物を0.7%アガロースゲルによって評価する(未連結のコントロールサンプルと比較する)。コンピテント大腸菌細胞を、連結されたSCTE/ベクター構築物で増殖のために形質転換する。
【0491】
大腸菌細胞におけるSCTE/ベクター構築物の増殖 TOP10細胞を、上記に記載される製造者プロトコルに従って構築物で形質転換する。形質転換細胞をアンピシリン寒天平板に画線培養し、37℃で一晩インキュベーションする。単一コロニーを使用して、アンピシリン−LBに接種し、培養物を37℃で一晩インキュベーションする。グリセロール保存物を培養物から作製する。構築物は、Qiagen社のDNAミニプレップキットを使用して精製される。
【0492】
S2昆虫細胞の脂質トランスフェクション
S2昆虫細胞(ショウジョウバエ、Invitrogen社から得られる、カタログ#R690−07)を、ウシ胎児血清およびペニシリン−ストレプトマイシンが補充されたショウジョウバエ発現培地(DES、カタログ#Q500−01)において、製造者によって推奨されるように培養する。トランスフェクションを、再び製造者のプロトコルに従ってリポソーム配合物のセルフェクチン(Invitrogen、カタログ#10362−010)を使用して行う。
【0493】
SCTEタンパク質発現の誘導/安定な細胞株の形成
pMT/V5−HisCベクターは金属誘導性(硫酸銅により誘導可能)プロモーターのメタロチオネイン(MT)を有しており、これにより、S2細胞における高レベルの標的遺伝子の発現が可能になる。この細胞におけるタンパク質発現は、500μMの最終濃度に添加される硫酸銅により誘導される。細胞は1日間〜4日間インキュベーションされる。誘導後、細胞は集められ、さらなる分析まで保存される。ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)分析が、誘導された細胞と非誘導細胞の総タンパク質を比較することによって、組換えタンパク質発現が生じているかどうかを確認するために使用される。
【0494】
安定な細胞株の形成
SCTEタンパク質がS2細胞において発現することが明らかにされた後、発現は、安定な細胞株を作製することによって拡大される。細胞は、原核生物系および真核生物系における強力な翻訳阻害剤であるブラスチシジンを産生する。ブラスチシジンに対する耐性が、SCTE/pMT/V5−HisC構築物およびpCoBlast選択ベクター(Invitrogen、カタログ#1K5150−01)をS2細胞に同時トランスフェクションした後に付与される。このプロトコルはショウジョウバエ発現システム(DES)のマニュアルに見出され、これにはすべてのDES試薬が伴う。ブラスチシジン(25μg/ml)が、安定な形質転換体を選択するために使用される。
【0495】
タンパク質発現の規模拡大
発現は、より大きい容量/フラスコを使用することによってタンパク質精製のために規模が拡大される。S2細胞とともに同封されるInvitrogen社のマニュアルには、これを行うためのプロトコルが詳しく示される。精製はFPLCによって行われる。種々の画分が集められ、組換えタンパク質の存在について分析される。
【0496】
実施例C2.組換えSCCEの産生
角質層キモトリプシン様酵素(SCCE)をクローン化して、完全な酵素活性を有するように活性な形態で発現させる。
【0497】
逆転写−ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)
オープンリーディングフレームを覆うPCRプライマーが、SCCE配列(GB:NM005046)を使用して、手作業により、すなわち、目で見ながら設計される。すべてのプライマーがInvitrogen社から得られる。
フォワード(5’から3’に):CGG GCT CCA TGG CAA GAT C
リバース(5’から3’に):GCG TCC TCA CTC CTG TGC
【0498】
ヒト表皮の総RNAを、Applied Biosystems社のGold RNA PCRキットを用いてcDNAに逆転写する。RTサイクルは、2.0mMのMg2+、40サイクルを使用して、SCTEについて前記に記載される通りである。PCRサイクルは、アニーリングが60℃で1分間行われることを除いて、SCTEについて記載される通りである。
【0499】
制限酵素部位隣接PCR
正しい読み枠およびマルチクローニング部位付近の制限酵素部位が、SCCEのDNA挿入物の開始コドンに関して選ばれる。SCCEのDNA配列を、Webcutterプログラムを使用して制限酵素部位の存在についてスクリーニングして、制限酵素部位が前記のように選ばれる。SCCEの開始コドンは、pMT/V5−HisAベクターと読み枠が一致していることが見出される。EcoR1が開始コドンにおける最初の制限酵素として選ばれ、Xho1が停止コドンの後における第2のプライマーとして選ばれる。
【0500】
制限酵素部位は、EcoR1およびXho1を両端に有するSCCEのPCR産物を得るために、SCCEのフォワードPCRプライマーおよびリバースPCRプライマーに含められる。これらの部位は、配列をベクター内に挿入することを可能にする。
SCCEのフォワード制限酵素プライマー(5’から3’に)
GCC AGC−GAA TTC−ATGGCA AGA TCC CTT CTC
ランダム配列−EcoR1制限酵素配列−SCCE開始コドン配列
SCCEリバース制限酵素プライマー(3’から5’に)
ATGAAAAAGCATCGCTAA−CTCGAG−AGCACT
SCCE停止コドン配列−Xho1制限酵素配列−ランダム配列
SCCEリバース制限酵素プライマー(5’から3’に)(相補体)
AGTGCTCTCG AGTTAGCGAT GCTTTTTCAT
【0501】
標準的なプライマーPCRから得られるSCCEのPCR産物が、制限酵素−プライマーPCRのためのテンプレートとして使用される。PCR条件は、62℃のアニーリング温度において2.0mMのMg2+である。SCCE−制限酵素PCR産物を製造者の推奨プロトコル(Promega)に従って対応する制限酵素(EcoR1およびXho1)で消化する。消化されたSCCE−制限酵素PCR産物をアガロースゲル電気泳動によって制限酵素混合物から精製し、そしてDNAを、Qiagen社のQiaexIIアガロースゲル抽出キットを使用してゲルから精製する。これにより、SCCE挿入物は、調製されたpMT/V5−HisAベクターとの連結に利用することができる。
【0502】
発現は、より大きい容量/フラスコを使用することによってタンパク質精製のために規模が拡大される。S2細胞とともに同封されるInvitrogen社のマニュアルには、詳細が示される。精製はFPLCによって行われる。種々の画分が集められ、組換えタンパク質の存在について分析される。SCCEの発現および精製に関するさらなる詳細は、プロテアーゼ酵素SCCEの精製を記載する、Hanssonら(1994)(J.Biol.Chem.269(30)、19420〜19426)に開示される。
【0503】
実施例C3.組換えSCCEおよび組換えSCTEによる接着タンパク質の切断
組換えプロSCCEを上記に記載されるように産生し、精製する。組換えプロSCCEを、Brasttsand&Egelrud(1999)に記載されるようにアガロース結合トリプシンで活性化する。
【0504】
タンパク質を界面活性剤の存在下でヒト表皮から抽出し(TENP−40緩衝液抽出物)、活性なSCCEとともに37℃で4時間インキュベーションする。反応を、Laemmliサンプル緩衝液を加えた後、2分間煮沸することによって停止させる。タンパク質を、様々なコルネオデスモソームタンパク質に対する抗体と免疫ブロッティングする。
【0505】
SCCEによる接着タンパク質の切断
本発明者らは、組換えSCCEが接着タンパク質(特に、コルネオデスモシン、プラコグロビン、デスモグレイン、デスモプラキン、エンボプラキンおよびデスモコリン)が切断され得ることを本実施例により明らかにしている。従って、これらの接着タンパク質はこのプロテアーゼの基質である。
【0506】
SCCEおよびコルネオデスモシン:コルネオデスモシンは、組換えSCCEによりタンパク質分解されることが見出される。コルネオデスモシンの天然型形態は50kDa〜56kDaの間の分子量を有する。2時間のインキュベーションの後、コルネオデスモシンの主要な形態は36kDaおよび46kDa〜43kDaである。
【0507】
SCCEおよびプラコグロビン:プラコグロビンは、組換えSCCEによりタンパク質分解されることが見出される。プラコグロビンの天然型形態は85kDa〜75kDaの間の分子量を有する。2時間〜4時間のインキュベーションの後、プラコグロビンの主要な形態は70kDである。
【0508】
SCCEおよびデスモグレイン:デスモグレインは、SCCEによりタンパク質分解されることが見出される。2時間〜4時間のインキュベーションの後、デスモグレインの主要な形態は95kDaおよび80kDaであり、これらは160kDa形態のタンパク質分解産物である。
【0509】
SCCEおよびデスモプラキン:デスモプラキンは、SCCEによりタンパク質分解されることが見出される。デスモプラキンの天然型形態は190kDa〜250kDaの間の分子量を有する。2時間〜4時間のインキュベーションの後、デスモプラキンの主要な形態は120kDa〜180kDaおよび75kDa〜80kDaである。
【0510】
SCCEおよびエンボプラキン:エンボプラキンは、SCCEによりタンパク質分解されることが見出される。エンボプラキンの天然型形態は124kDa〜209kDaの間の分子量を有する。2時間〜4時間のインキュベーションの後、エンボプラキンの主要な形態は、100kDa〜120kDa、60kDa〜80kDaおよび50kDa〜55kDaである。
【0511】
SCCEおよびデスモコリン:デスモコリンは、SCCEによりタンパク質分解されることが見出される。デスモコリンの天然型形態は70kDa〜80kDaの間の分子量を有する。2時間〜4時間のインキュベーションの後、デスモコリンの主要な形態は60kDa〜70kDaおよび50kDa〜60kDaである。
【0512】
SCTEによる接着タンパク質の切断
本発明者らは、組換えSCTEが接着タンパク質(特に、コルネオデスモシン、プラコグロビン、デスモグレイン、デスモプラキン、エンボプラキンおよびデスモコリン)が切断され得ることを本実施例により明らかにしている。従って、これらの接着タンパク質はこのプロテアーゼの基質である。
【0513】
SCTEおよびコルネオデスモシン:コルネオデスモシンは、組換えSCTEによりタンパク質分解されることが見出される。2時間のインキュベーションの後、コルネオデスモシンの主要な形態は36kDaおよび46kDa〜43kDaである。
【0514】
SCTEおよびプラコグロビン:プラコグロビンは、組換えSCTEによりタンパク質分解されることが見出される。2時間〜4時間のインキュベーションの後、プラコグロビンの主要な形態は70kDである。
【0515】
SCTEおよびデスモグレイン:デスモグレインは、SCTEによりタンパク質分解されることが見出される。2時間〜4時間のインキュベーションの後、デスモグレインの主要な形態は95kDaおよび80kDaであり、これらは160kDa形態のタンパク質分解産物である。
【0516】
SCTEおよびデスモプラキン:デスモプラキンは、SCTEによりタンパク質分解されることが見出される。2時間〜4時間のインキュベーションの後、デスモプラキンの主要な形態は120kDa〜180kDaおよび75kDa〜80kDaである。
【0517】
SCTEおよびエンボプラキン:エンボプラキンは、SCTEによりタンパク質分解されることが見出される。2時間〜4時間のインキュベーションの後、エンボプラキンの主要な形態は、100kDa〜120kDa、60kDa〜80kDaおよび50kDa〜55kDaである。
【0518】
SCTEおよびデスモコリン:デスモコリンは、SCTEによりタンパク質分解されることが見出される。2時間〜4時間のインキュベーションの後、デスモコリンの主要な形態は60kDa〜70kDaおよび50kDa〜60kDaである。
【0519】
実施例C4.タンパク質分解プロフィルの材料および方法
ポリクローナル抗体の作製
コルネオデスモシン、SCCE、エンボプラキン、デスモプラキン、デスモコリン1およびSLPIに対する各抗体を、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)に結合させた合成ペプチドの注射によってウサギにおいて作製した。
【0520】
ペプチドは、標準的な手法を使用してキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)にカップリングされる。ペプチドは、下記の表C4.1に示されるように関連GenBank配列に由来する下記のアミノ酸配列を含んで設計される。
【表29】
表C4.1.太字のC残基はカップリングのために合成され、天然型配列には存在しない。
【0521】
ウサギは、KLHにカップリングされたペプチドが1日目のウサギに注射される。簡単なプロトコルを下記に示す。1日目:約150μl(300μgの結合体を含有する)と等容量のフロイント完全アジュバントとを、エマルション(これは放置したときに分離しない)が形成されるまで23Gニードルに数回通すことによって混合する。25Gニードルを使用してウサギに皮下注射する。22日目:上記を繰り返すが、フロント不完全アジュバントを使用する。43日目:上記を正確に繰り返す。53日目:耳静脈から最初の試験血液を採血する。追加免疫および再採血を必要に応じて行う。
【0522】
モノクローナル抗体
接着タンパク質抗原に対するモノクローナル抗体が市販品としてBiotechnic(ドイツ)から得られる。これらには、PG5.1(プラコグロビン(NM−021991))に対する抗プラコグロビン抗体、そしてDsg1およびDsg2に対する抗デスモグレイン1(XM−008810)抗体が含まれる。
【0523】
表皮からのタンパク質抽出
タンパク質を、きれいな線状瘢痕を生じさせるために除かれた皮膚の三角状片である「イヌの耳」形態の生検物から抽出する。これは、診断のために病理医に送られた乳房切除標本から取り出された皮膚ではない。すべてのサンプルは、乳ガンのための乳房切除を受けている、シェフィールド大学の診療所にかかっている女性患者に由来する。インフォームドコンセントが患者から得られている。
【0524】
表皮を、乳房手術から得られた乳房生検物をトリプシン溶液A(Life Technology、フランス)と4℃で18時間インキュベーションすることによって真皮から分離する。表皮を2つの部分に分割する。一方がタンパク質抽出のために使用され、もう一方がRNA抽出のために使用される(下記を参照のこと)。剥離された表皮をリン酸塩緩衝化生理的食塩水中において56℃で5分間加熱する(Simonら、1997)。表皮を等容量の下記緩衝液において氷上でホモジネートする(それぞれの緩衝液において3回):40mMのTris−HCl(pH7.5)、10mMのEDTA、0.25mMのフェニルメチルスルホニルフッ化物、ならびにそれぞれ2μg/mlのアプロチニンおよびペプスタチンAおよびロイペプチン(TE緩衝液)、0.5%のNonidet P−40を含有するTE緩衝液(TE−Nonidet P−40緩衝液)。
【0525】
その後、ペレットを3つに分割して、これらを、様々な濃度の尿素(4M、6Mおよび8M)を含有するTE緩衝液(TEU緩衝液)の最初の容量の1/3で抽出する。それぞれの抽出の後、ホモジネートを15,000xgで15分間遠心分離し、そして上清を使用まで−30℃で保存する。最後に、8M尿素における最後の抽出に対応するペレットを、35mMのTris−HCl(pH6.8)、8M尿素、50mMジチオスレイトール、5%グリセロール、0.25mMフェニルメチルスルホニルフッ化物、ならびにそれぞれ2μg/mlのアプロチニンおよびペプスタチンAおよびロイペプチン(TUDTT緩衝液)においてホモジネートして、95℃で30分間インキュベーションし、そして上記に記載されるように遠心分離する(この方法はSimonら(1997)によって最初に記載される)。タンパク質濃度を、クーマシープラスタンパク質アッセイキット(Pierre Chemical Co.、Rockford、IL)を使用して測定する。
【0526】
角質層からのタンパク質抽出
接着タンパク質を、Guerrinら(1998)により記載される方法に従って角質層から抽出する。簡単に記載すると、テープストリップを、乾癬患者の正常な皮膚または病変部および非病変部からの生検物に適用する。テープストリップをアセトン中でインキュベーションし、組織を遠心分離(500xg、1分)によって回収し、アセトンで洗浄して、空気乾燥する。この粉末を、2%のSDSおよび50mMのDTTを含有する62.5mMのTris−HCl(pH6.8)において10分間煮沸して、溶液を遠心分離する(10,000xg、10分間)。
【0527】
タンパク質を上記に記載されるように正常者群および乾癬患者群の角質層から抽出し、そしてコルネオデスモソームの様々なタンパク質に対する特異的な抗体を使用するウエスタンブロットによって分析する。本発明者らは、表皮抽出タンパク質のプロフィルが正常者および疾患(乾癬)者との間で異なることを示している。
【0528】
ウエスタンブロット
表皮および角質層の生検物に由来するタンパク質(約1μg)を10%SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)によって分離する。電気泳動後、タンパク質をニトロセルロースメンブランに電気的に転写する。メンブランを、Blotto(3%粉ミルク、2%BSA、0.1%ツイーン20を含むTBS)において4℃で一晩ブロッキングする。メンブランを、下記に記載される一次抗体と、撹拌しながら室温で3時間プローブする。プラコグロビンおよびデスモグレンに対する各マウスモノクローナル抗体はProgen(Heidelberg、ドイツ)から得られ、Blottoで希釈されて5μg/mlの濃度で使用される。デスモコリン、デスモプラキン、SLPI、SCCE、Sタンパク質およびエンボプラキンのタンパク質配列から設計されたペプチドに対する各ウサギポリクローナル抗体(Antibody Resource Centre、シェフィールド大学、英国)は1:250の希釈度で使用される。メンブランを、Blottoで5分間ずつ3回洗浄し、そして1:1000希釈の二次抗体(Santa Cruz Biotechnology,Inc.(California、米国)から得られる抗マウスIgGHRPまたは抗ウサギIgGHRPのいずれか)の存在下、撹拌しながら室温で1時間インキュベーションする。メンブランをTBS−ツイーン20(0.1%)で5分間ずつ3回洗浄し、そしてタンパク質を、ECL+プラス(商標)ウエスタンブロッティング検出システム(Amersham Pharmacia Biotech、Little Chalfont、英国)を使用して検出する。
【0529】
実施例C5.表皮から抽出されたタンパク質の乾癬タンパク質分解プロフィル
タンパク質を上記に記載されるように正常者群の表皮および乾癬患者群の表皮(病変皮膚および非病変皮膚)から抽出し、そしてコルネオデスモソームの様々なタンパク質に対する特異的な抗体を使用するウエスタンブロットによって分析する。本発明者らは、表皮抽出タンパク質のプロフィルが正常な皮膚と乾癬の病変皮膚および非病変皮膚との間で異なることを示している。
【0530】
コルネオデスモシンのタンパク質分解プロフィル
デスモソーム/コルネオデスモソームの様々なタンパク質のタンパク質分解が不完全であることは、正常な皮膚と比較して、乾癬皮膚におけるコルネオデスモソームタンパク質の成熟形態の量の著しい低下において反映される。タンパク質分解の欠陥は細胞を接着させる。これは、正常な皮膚と比較して、乾癬皮膚におけるコルネオデスモソームタンパク質の成熟形態の量の著しい低下からなる。タンパク質分解の欠陥は細胞を表皮表面において接着させ、細胞の生え替わりを妨げる。
【0531】
例えば、36kDa形態および46kDa〜43kDa形態のコルネオデスモシンが正常な皮膚では角質層における主要な形態であり、52kDa〜56kDa形態は正常な角質層では非常に希である。乾癬皮膚におけるコルネオデスモシンのタンパク質分解プロフィルは異なる。従って、乾癬皮膚では、52kDa〜56kDa形態のコルネオデスモシンが乾癬患者の表皮において優勢な形態であり、角質層においても同様に優勢である。このことは、乾癬皮膚にはタンパク質分解の欠陥が存在することを示唆している。
【0532】
結果が図6に示される。
【0533】
従って、本発明者らは、上記に記載される変化のいずれかを検出すること、好ましくは1つ以上の52kDa〜56kDaのコルネオデスモシンポリペプチドの存在または調節されたレベル(好ましくは、より大きいレベル)を個体において検出することによる、個体における第II群疾患またはそのような疾患に対する感受性(好ましくは乾癬または乾癬に対する感受性)の診断を開示する。本発明者らはまた、36kDaおよび46kDa〜43kDaのコルネオデスモシンポリペプチドの1つまたは両方の非存在または調節されたレベル(好ましくは、より低いレベル)を個体において検出することによる、個体における第II群疾患またはそのような疾患に対する感受性(好ましくは乾癬または乾癬に対する感受性)の診断を開示する。
【0534】
この診断はまた、36kDaおよび46kDa〜43kDaおよび52kDa〜56kDaのポリペプチドの相対的存在量をアッセイすることによって達成することができる。
【0535】
好ましくは、これらの関連するポリペプチドは、インビボであっても、またはエクスビボ(例えば、生検物で)であっても、個体の表皮で検出される。
【0536】
デスモグレンIのタンパク質分解プロフィル
類似する結果がデスモグレンI(DGI)に関して得られる。正常な皮膚の表皮において、DGIの最も多い形態は95kDaおよび80kDaであり、これらは160kDa形態のタンパク質分解産物である。しかし、乾癬皮膚の角質層では、最も多い形態は160kDaである。このことは、乾癬皮膚ではDGIのタンパク質分解の欠陥が存在することを示唆している。
【0537】
従って、本発明者らは、上記に記載される変化のいずれかを検出すること、好ましくは160kDaのデスモグレンIポリペプチドの存在または調節されたレベル(好ましくは、より大きいレベル)を個体において検出することによる、個体における第II群疾患またはそのような疾患に対する感受性(好ましくは乾癬または乾癬に対する感受性)の診断を開示する。そのような診断はまた、95kDaおよび80kDaのデスモグレンIポリペプチドの1つまたは両方の非存在または調節されたレベル(好ましくは、より低いレベル)を個体において検出することによって行うことができる。
【0538】
この診断はまた、80kDaおよび95kDaおよび160kDaのデスモグレンIポリペプチドの相対的存在量をアッセイすることによって達成することができる。この診断は、160kDaのデスモグレンIポリペプチドのタンパク質分解がないことを個体において検出することによって行うことができる。
【0539】
好ましくは、これらの関連するポリペプチドは、インビボであっても、またはエクスビボ(例えば、生検物で)であっても、個体の表皮で検出される。
【0540】
デスモグレイン3のタンパク質分解プロフィル
デスモグレイン3(Deg3)もまたタンパク質分解の低下を示す。55kDaおよび100kDaの2つのタンパク質分解フラグメントに対応するバンドが、正常な皮膚の角質層と比較して、乾癬皮膚の角質層では弱くなっている。両方のフラグメントは、細胞質ドメインに対する同じ抗体と反応する。80kDaの別のバンドが、乾癬の表皮と比較して、正常な表皮では、Deg3のタンパク質分解産物として、より強く現れる。
【0541】
従って、本発明者らは、上記に記載される変化のいずれかを検出すること、好ましくは55kDaのデスモグレン3ポリペプチドおよび80kDaのデスモグレン3ポリペプチドおよび100kDaのデスモグレン3ポリペプチドのいずれか1つまたはいずれか2つまたはすべての非存在または調節されたレベル(好ましくは、より低いレベル)を個体において検出することによる、個体における第II群疾患またはそのような疾患に対する感受性(好ましくは乾癬または乾癬に対する感受性)の診断を開示する。
【0542】
好ましくは、これらの関連するポリペプチドは、インビボであっても、またはエクスビボ(例えば、生検物で)であっても、個体の表皮で検出される。
【0543】
プラコグロビンのタンパク質分解プロフィル
プラコグロビンもまた、正常な皮膚と比較して、乾癬患者の表皮ではタンパク質分解の著しい低下を示す。
【0544】
結果が図7に示される。
【0545】
プラコグロビンに対する抗体により、3つのバンド(85kDa、75kDaおよび70kDa)が明らかにされる。70kDaおよび75kDaは、角化細胞が分化しているときにSCCEおよびSCTEなどのプロテアーゼによって切断される天然型タンパク質(85kDa)のタンパク質分解形態である。70kDaは乾癬皮膚(病変および非病変の両方)では非常に強く、正常な表皮にはほとんど存在しない。乾癬皮膚および正常な皮膚は2つの異なるプロフィルを有する。70kDaのバンドを乾癬の診断のために使用することができる。
【0546】
従って、本発明者らは、上記に記載される変化のいずれかを検出すること、好ましくは70kDaのプラコグロビンポリペプチドの存在または調節されたレベル(好ましくは、より大きいレベル)を個体において検出することによる、個体における第II群疾患またはそのような疾患に対する感受性(好ましくは乾癬または乾癬に対する感受性)の診断を開示する。本発明者らはまた、75kDaのプラコグロビンポリペプチドの非存在または調節されたレベル(好ましくは、より低いレベル)を検出することによる、個体における第II群疾患またはそのような疾患に対する感受性(好ましくは乾癬または乾癬に対する感受性)の診断を開示する。
【0547】
この診断はまた、85kDaおよび75kDaおよび70kDaのポリペプチドの相対的存在量をアッセイすることによって達成することができる。
【0548】
好ましくは、これらの関連するポリペプチドは、インビボであっても、またはエクスビボ(例えば、生検物で)であっても、個体の表皮で検出される。
【0549】
デスモプラキンのタンパク質分解プロフィル
デスモプラキンはコルネオデスモソームの細胞質斑の成分である。デスモプラキンは、角化細胞間の接着およびシグナルの伝達に関与すると考えられる糖タンパク質である。
【0550】
結果が図8に示される。
【0551】
デスモプラキンに対するポリクローナル抗体を使用して、本発明者らは3つのバンド(190kDa〜250kDa、120kDa〜180kDaおよび75kDa〜80kDa)を認めている。190kDa〜250kDaおよび/または120kDa〜180kDaが、疾患と比較して、正常者では強く発現している。75kDa〜80kDaは190kDa〜250kDaおよび/または120kDa〜180kDaのタンパク質分解形態であると考えられ、このことは、デスモプラキンが乾癬皮膚(病変皮膚および非病変皮膚)では正しくタンパク質分解されないことを示唆している。これらのプロフィルは、乾癬などの、増大した接着を有する疾患を同定するために使用することができる。
【0552】
従って、本発明者らは、上記に記載される変化のいずれかを検出すること、好ましくはデスモプラキンの190kDa〜250kDaおよび120kDa〜180kDaのポリペプチドのいずれかまたは両方の非存在または調節されたレベル(好ましくは、より低いレベル)を個体において検出することによる、個体における第II群疾患またはそのような疾患に対する感受性(好ましくは乾癬または乾癬に対する感受性)の診断を開示する。この診断はまた、75kDa〜80kDaおよび/または190kDa〜250kDaおよび/または120kDa〜180kDaのポリペプチドの相対的存在量をアッセイすることによって達成することができる。この診断はまた、85kDaのデスモプラキンポリペプチドのタンパク質分解がないことを個体おいて検出することによって行うことができる。
【0553】
好ましくは、これらの関連するポリペプチドは、インビボであっても、またはエクスビボ(例えば、生検物で)であっても、個体の表皮で検出される。
【0554】
デスモコリン1のタンパク質分解プロフィル
デスモコリン1(Dsc1)は正常な表皮の基底下層で強く発現する。
【0555】
結果が図9に示される。
【0556】
デスモコリンに対する抗体により、正常な表皮における3つのDsc1イソ型が70kDa〜80kDaおよび60kDa〜70kDaおよび50kDa〜60kDaの分子量において明らかにされる。2つのバンドのみが、病変皮膚および非病変皮膚を含む乾癬皮膚の表皮で検出されるだけであり、このことは、タンパク質分解プロセスが乾癬皮膚では損なわれていることを示唆している。50kDa〜60kDaのバンドが存在しないことは、乾癬などの、増強された接着を有する疾患のプロテオミック診断のために使用することができる。
【0557】
従って、本発明者らは、上記に記載される変化のいずれかを検出すること、好ましくは50kDa〜60kDaのデスモコリン1ポリペプチドの非存在または調節されたレベル(好ましくは、より低いレベル)を個体において検出することによる、個体における第II群疾患またはそのような疾患に対する感受性(好ましくは乾癬または乾癬に対する感受性)の診断を開示する。
【0558】
この診断はまた、70kDa〜80kDaおよび60kDa〜70kDaおよび50kDa〜60kDaのポリペプチドの相対的存在量をアッセイすることによって達成することができる。
【0559】
好ましくは、これらの関連するポリペプチドは、インビボであっても、またはエクスビボ(例えば、生検物で)であっっても、個体の表皮で検出される。
【0560】
エンボプラキンのタンパク質分解プロフィル
エンボプラキンは、角化した外被のタンパク質である。エンボプラキンは、角化細胞間の密着において重要なタンパク質である。
【0561】
結果が図10に示される。
【0562】
エンボプラキンに対する抗体により、4つのバンド(124kDa〜209kDa、100kDa〜120kDa、60kDa〜80kDaおよび50kDa〜55kDa)が明らかにされる。100kDa〜120kDa、60kDa〜80kDaおよび50kDa〜55kDaは天然型エンボプラキンのタンパク質分解形態に対応すると考えられる。乾癬皮膚(病変)では、60kDa〜80kDaおよび50kDa〜55kDaのバンドのみが発現している。これらの2つの形態は、乾癬などの、増強された接着を有する疾患を診断するために使用することができる。
【0563】
従って、本発明者らは、上記に記載される変化のいずれかを検出すること、好ましくは60kDa〜80kDaおよび/または50kDa〜55kDaのエンボプラキンポリペプチドの存在または調節されたレベル(好ましくは、より大きいレベル)を個体において検出することによる、個体における第II群疾患またはそのような疾患に対する感受性(好ましくは乾癬または乾癬に対する感受性)の診断を開示する。本発明者らはまた、上記に記載される変化のいずれかを検出すること、好ましくは124kDa〜209kDaおよび/または100kDa〜120kDaのエンボプラキンポリペプチドの非存在または調節されたレベル(好ましくは、より低いレベル)を個体において検出することによる、個体における第II群疾患またはそのような疾患に対する感受性(好ましくは乾癬または乾癬に対する感受性)の診断を開示する。
【0564】
この診断はまた、124kDa〜209kDa、100kDa〜120kDa、60kDa〜80kDaおよび50kDa〜55kDaのエンボプラキンポリペプチドの相対的存在量をアッセイすることによって達成することができる。
【0565】
好ましくは、これらの関連するポリペプチドは、インビボであっても、またはエクスビボ(例えば、生検物で)であっても、個体の表皮で検出される。
【0566】
SCCEイソ型
SCCEは、正常な皮膚と比較した場合、乾癬皮膚の角質層において示差的に発現している。
【0567】
SCCEに対する抗体により、正常な皮膚における2つの強いバンドが80kDa〜90kDaおよび70kDa〜75kDaにおいて明らかにされる。乾癬の病変皮膚では、70kDa〜75kDaのバンドのみが検出され、そして高分子量側におけるさらなるバンド(124kDa〜209kDa)が乾癬病変皮膚において検出される。SCCEの予想サイズは約30kDaである。SCCEは、角化した外被の中にトランスグルタミナーゼによって挿入され得る。これにより、SCCEには、予想されるよりも大きいMWがもたらされる。124kDa〜209kDaのバンドは、乾癬などの、増大した接着を有する疾患の診断において使用することができる。
【0568】
結果が図11に示される。
【0569】
従って、本発明者らは、上記に記載される変化のいずれかを検出すること、好ましくは124kDa〜209kDaのSCCEポリペプチドの存在または調節されたレベル(好ましくは、より大きいレベル)を個体において検出することによる、個体における第II群疾患またはそのような疾患に対する感受性(好ましくは乾癬または乾癬に対する感受性)の診断を開示する。本発明者らはまた、上記に記載される変化のいずれかを検出すること、好ましくは80kDa〜90kDaのSCCEポリペプチドの非存在または調節されたレベル(好ましくは、より低いレベル)を個体において検出することによる、個体における第II群疾患またはそのような疾患に対する感受性(好ましくは乾癬または乾癬に対する感受性)の診断を開示する。
【0570】
この診断はまた、80kDa〜90kDaおよび70kDa〜75kDaのSCCEポリペプチドの相対的存在量をアッセイすることによって達成することができる。
【0571】
好ましくは、これらの関連するポリペプチドは、インビボであっても、またはエクスビボ(例えば、生検物で)であっても、個体の表皮で検出される。
【0572】
SLPIのプロフィル
SLPIは、正常な角質層と比較した場合、乾癬皮膚の角質層において強く発現している。
【0573】
SLPIに対する抗体により、2つのバンドが90kDa〜100kDaおよび70kDa〜80kDaにおいて明らかにされる。70kDa〜80kDaは、SLPIが、乾癬皮膚において、主に病変皮膚においてアップレギュレーションされていることを示している。
【0574】
結果が図12に示される。
【0575】
SLPIタンパク質の予想Mwは20kDaである。再度ではあるが、SLPIは、トランスグルタミナーゼにより、角化した外被の中に挿入され、他のコルネオデスモソームタンパク質に対して架橋され得る。90kDa〜100kDaのバンドは、病変皮膚および非病変皮膚を含む乾癬皮膚において検出されるだけである。これは、乾癬などの、増大した接着を有する疾患を診断するために使用することができる。
【0576】
従って、本発明者らは、上記に記載される変化のいずれかを検出すること、好ましくは90kDa〜100kDaのSLPIポリペプチドの存在または調節されたレベル(好ましくは、より大きいレベル)を個体において検出することによる、個体における第II群疾患またはそのような疾患に対する感受性(好ましくは乾癬または乾癬に対する感受性)の診断を開示する。本発明者らはまた、上記に記載される変化のいずれかを検出すること、好ましくは20kDaのSLPIポリペプチドの非存在または調節されたレベル(好ましくは、より低いレベル)を個体において検出することによる、個体における第II群疾患またはそのような疾患に対する感受性(好ましくは乾癬または乾癬に対する感受性)の診断を開示する。
【0577】
この診断はまた、90kDa〜100kDaおよび20kDaのポリペプチドの相対的存在量をアッセイすることによって達成することができる。
【0578】
好ましくは、これらの関連するポリペプチドは、インビボであっても、またはエクスビボ(例えば、生検物で)であっても、個体の表皮で検出される。
【0579】
実施例C6.角質層から抽出されたタンパク質の乾癬タンパク質分解プロフィル
タンパク質を上記に記載されるように正常者群の角質層および乾癬患者群の角質層(病変皮膚および非病変皮膚)から抽出し、そしてコルネオデスモソームの様々なタンパク質に対する特異的な抗体を使用するウエスタンブロットによって分析する。本発明者らは、表皮抽出タンパク質のプロフィルが正常な皮膚と乾癬の病変皮膚および非病変皮膚との間で異なることを示している。
【0580】
コルネオデスモシンのタンパク質分解プロフィル
デスモソーム/コルネオデスモソームの様々なタンパク質のタンパク質分解が不完全であることは、正常な皮膚と比較して、乾癬皮膚におけるコルネオデスモソームタンパク質の成熟形態の量の著しい低下において反映される。タンパク質分解の欠陥は細胞を表皮表面において接着させ、細胞の生え替わりを妨げる。例えば、36kDa形態および46kDa〜43kDa形態のコルネオデスモシンが正常な皮膚では角質層において主要な形態であり、52kDa〜56kDa形態は正常な角質層では非常に希である。乾癬皮膚におけるコルネオデスモシンのタンパク質分解プロフィルは異なる。従って、乾癬皮膚では、52kDa〜56kDa形態のコルネオデスモシンが乾癬患者の表皮において量が多く、角質層においても同様に量が多い。このことは、乾癬皮膚ではタンパク質分解の欠陥が存在することを示唆している。
【0581】
従って、本発明者らは、上記に記載される変化のいずれかを検出すること、好ましくは1つ以上の52kDa〜56kDaのコルネオデスモシンポリペプチドの存在または調節されたレベル(好ましくは、より大きいレベル)を個体において検出することによる、個体における第II群疾患またはそのような疾患に対する感受性(好ましくは乾癬または乾癬に対する感受性)の診断を開示する。本発明者らはまた、36kDaおよび46kDa〜43kDaのコルネオデスモシンポリペプチドの1つまたは両方の非存在または調節されたレベル(好ましくは、より低いレベル)を個体において検出することによる、個体における第II群疾患またはそのような疾患に対する感受性(好ましくは乾癬または乾癬に対する感受性)の診断を開示する。
【0582】
この診断はまた、36kDaおよび46kDa〜43kDaおよび52kDa〜56kDaのポリペプチドの相対的存在量をアッセイすることによって達成することができる。
【0583】
好ましくは、これらの関連するポリペプチドは、インビボであっても、またはエクスビボ(例えば、生検物で)であっても、個体の角質層で検出される。
【0584】
デスモグレンIのタンパク質分解プロフィル
類似する結果がデスモグレンI(DGI)に関して得られる。正常な皮膚の表皮において、DGIの最も多い形態は95kDaおよび80kDaであり、これらは160kDa形態のタンパク質分解産物である。しかし、乾癬皮膚の角質層では、最も多い形態は160kDaである。このことは、乾癬皮膚ではDGIのタンパク質分解の欠陥が存在することを示唆している。
【0585】
従って、本発明者らは、上記に記載される変化のいずれかを検出すること、好ましくは160kDaのデスモグレンIポリペプチドの存在または調節されたレベル(好ましくは、より大きいレベル)を個体において検出することによる、個体における第II群疾患またはそのような疾患に対する感受性(好ましくは乾癬または乾癬に対する感受性)の診断を開示する。そのような診断はまた、95kDaおよび80kDaのデスモグレンIポリペプチドの1つまたは両方の非存在または調節されたレベル(好ましくは、より低いレベル)を個体において検出することによって行うことができる。
【0586】
この診断はまた、80kDaおよび95kDaおよび160kDaのポリペプチドの相対的存在量をアッセイすることによって達成することができる。この診断は、160kDaのデスモグレンIポリペプチドのタンパク質分解がないことを個体において検出することによって行うことができる。
【0587】
好ましくは、これらの関連するポリペプチドは、インビボであっても、またはエクスビボ(例えば、生検物で)であっても、個体の角質層で検出される。
【0588】
デスモグレイン3のタンパク質分解プロフィル
デスモグレイン3(Deg3)もまたタンパク質分解の低下を示す。55kDaおよび100kDaの2つのタンパク質分解フラグメントに対応するバンドが、正常な皮膚の角質層と比較して、乾癬皮膚の角質層では弱くなっている。両方のフラグメントは、細胞質ドメインに対する同じ抗体と反応する。80kDaの別のバンドが、乾癬の表皮と比較して、正常な表皮では、Deg3のタンパク質分解産物として、より強く現れる。
【0589】
従って、本発明者らは、55kDaのデスモグレン3フラグメントおよび80kDaのデスモグレン3フラグメントおよび100kDaのデスモグレン3フラグメントのいずれか1つまたは2つ以上の非存在を個体において検出することによる、個体における第II群疾患またはそのような疾患に対する感受性(好ましくは乾癬または乾癬に対する感受性)の診断を開示する。
【0590】
好ましくは、これらの関連するポリペプチドは、インビボであっても、またはエクスビボ(例えば、生検物で)であっても、個体の角質層で検出される。
【0591】
デスモプラキンのタンパク質分解プロフィル
デスモプラキンに対するポリクローナル抗体を使用して、本発明者らは3つのバンド(190kDa〜250kDa、120kDa〜180kDaおよび75kDa〜80kDa)を明らかにした。190kDa〜250kDaおよび/または120kDa〜180kDaが、疾患と比較して、正常者では強く発現している。75kDa〜80kDaは190kDa〜250kDaおよび/または120kDa〜180kDaのタンパク質分解形態であると考えられ、このことは、デスモプラキンが乾癬皮膚(病変皮膚および非病変皮膚)では正しくタンパク質分解されないことを示唆している。これらのプロフィルは、乾癬などの、増大した接着を有する疾患を同定するために使用することができる。
【0592】
従って、本発明者らは、上記に記載される変化のいずれかを検出すること、好ましくはデスモプラキンの190kDa〜250kDaおよび120kDa〜180kDaのポリペプチドのいずれかまたは両方の非存在または調節されたレベル(好ましくは、より低いレベル)を個体において検出することによる、個体における第II群疾患またはそのような疾患に対する感受性(好ましくは乾癬または乾癬に対する感受性)の診断を開示する。この診断はまた、75kDa〜80kDaおよび/または190kDa〜250kDaおよび/または120kDa〜180kDaのポリペプチドの相対的存在量をアッセイすることによって達成することができる。この診断は、85kDaのデスモプラキンポリペプチドのタンパク質分解がないことを個体おいて検出することによって行うことができる。
【0593】
好ましくは、これらの関連するポリペプチドは、インビボであっても、またはエクスビボ(例えば、生検物で)であっても、個体の角質層で検出される。
【0594】
プラコグロビンのタンパク質分解プロフィル
プラコグロビンに対する抗体により、3つのバンド(85kDa、75kDaおよび70kDa)が明らかにされた。70kDaおよび75kDaは、角化細胞が分化しているときにSCCEおよびSCTEなどのプロテアーゼによって切断される天然型タンパク質(85kDa)のタンパク質分解形態である。70kDaは、角質層で認められるプラコグロビンの主要な形態であり、乾癬皮膚(変および非病変の両方)では非常に強く、正常な表皮にはほとんど存在しない。乾癬皮膚および正常な皮膚は2つの異なるプロフィルを有する。70kDaのバンドは、増大した接着を有する疾患(例えば、乾癬およびざ瘡)を診断するために使用することができる。
【0595】
従って、本発明者らは、上記に記載される変化のいずれかを検出すること、好ましくは70kDaのプラコグロビンポリペプチドの存在または調節されたレベル(好ましくは、より大きいレベル)を個体において検出することによる、個体における第II群疾患またはそのような疾患に対する感受性(好ましくは乾癬または乾癬に対する感受性)の診断を開示する。本発明者らはまた、好ましくは75kDaのプラコグロビンポリペプチドの非存在または調節されたレベル(好ましくは、より低いレベル)を検出することによる、個体における第II群疾患またはそのような疾患に対する感受性(好ましくは乾癬または乾癬に対する感受性)の診断を開示する。
【0596】
この診断はまた、85kDaおよび75kDaおよび70kDaのポリペプチドの相対的存在量をアッセイすることによって達成することができる。この診断は、85kDaのプラコグロビンポリペプチドのタンパク質分解がないことを個体おいて検出することによって行うことができる。
【0597】
好ましくは、これらの関連するポリペプチドは、インビボであっても、またはエクスビボ(例えば、生検物で)であっても、個体の角質層で検出される。
【0598】
デスモコリン1のタンパク質分解プロフィル
デスモコリン1(DGIV/V)は正常な表皮の基底下層で強く発現する。
【0599】
デスモコリンに対する抗体により、正常な表皮における3つのDsc1イソ型が70kDa〜80kDaおよび60kDa〜70kDaおよび50kDa〜60kDaの分子量において明らかにされる。2つのバンドのみが、病変皮膚および非病変皮膚を含む乾癬皮膚の表皮で検出されるだけであり、このことは、乾癬皮膚におけるデスモコリン1の異常なタンパク質分解を示唆している。50kDa〜60kDaのバンドが存在しないことは、乾癬などの、増強された接着を有する疾患のプロテオミック診断のために使用することができる。
【0600】
従って、本発明者らは、上記に記載される変化のいずれかを検出すること、好ましくは50kDa〜60kDaのデスモコリン1ポリペプチドの非存在または調節されたレベル(好ましくは、より低いレベル)を個体において検出することによる、個体における第II群疾患またはそのような疾患に対する感受性(好ましくは乾癬または乾癬に対する感受性)の診断を開示する。
【0601】
この診断はまた、70kDa〜80kDaおよび60kDa〜70kDaおよび50kDa〜60kDaのポリペプチドの相対的存在量をアッセイすることによって達成することができる。
【0602】
好ましくは、これらの関連するポリペプチドは、インビボであっても、またはエクスビボ(例えば、生検物で)であっても、個体の角質層で検出される。
【0603】
実施例C7.角質層から抽出されたタンパク質の湿疹タンパク質プロフィル
タンパク質を上記に記載されるように正常者群の角質層および湿疹性患者群の角質層から抽出し、そしてコルネオデスモソームの様々なタンパク質に対する特異的な抗体を使用するウエスタンブロットによって分析する。本発明者らは、表皮抽出タンパク質のプロフィルが正常者と疾患(湿疹)者との間で異なることを示している。
【0604】
コルネオデスモソームのタンパク質分解プロフィル
湿疹におけるデスモソーム/コルネオデスモソームの様々なタンパク質のタンパク質分解の増大は、正常な皮膚と比較して、湿疹性皮膚におけるコルネオデスモソームタンパク質の成熟形態の量の著しい増大において反映される。増大したタンパク質分解は細胞を表皮表面において接着させ、細胞の生え替わりを妨げる。
【0605】
例えば、36kDa形態および46kDa〜43kDa形態のコルネオデスモシンが正常な皮膚では角質層において主要な形態であり、52kDa〜56kDa形態は角質層では非常に希である。湿疹性皮膚ではコルネオデスモシンのタンパク質分解が増大しており、その結果、36kDa形態および46kDa〜43kDa形態のコルネオデスモシンが湿疹患者の角質層では優勢な形態である。このことは、湿疹性皮膚ではタンパク質分解が増大していることを示している。
【0606】
従って、本発明者らは、上記に記載される変化のいずれかを検出すること、好ましくは1つ以上の36kDaおよび46kDa〜43kDaのコルネオデスモシンポリペプチドの存在または調節されたレベル(好ましくは、より大きいレベル)を個体において検出することによる、個体における第I群疾患または第I群疾患に対する感受性(好ましくは湿疹または湿疹に対する感受性)の診断を開示する。本発明者らはまた、52kDa〜56kDaのコルネオデスモシンポリペプチドの非存在または調節されたレベル(好ましくは、より低いレベル)を個体において検出することによる、個体における第I群疾患またはそのような疾患に対する感受性(好ましくは湿疹または湿疹に対する感受性)の診断を開示する。
【0607】
この診断はまた、36kDaおよび46kDa〜43kDaおよび52kDa〜56kDaのポリペプチドの相対的存在量をアッセイすることによって達成することができる。
【0608】
好ましくは、これらの関連するポリペプチドは、インビボであっても、またはエクスビボ(例えば、テープストリップの形態で)であっても、個体の角質層で検出される。
【0609】
デスモグレンIのタンパク質分解プロフィル
類似する結果がデスモグレンI(DGI)に関して得られる。正常な皮膚の角質層において、DGIの最も多い形態は95kDaおよび80kDaであり、これらは160kDa形態のタンパク質分解産物である。しかし、湿疹皮膚の角質層では、95kDaおよび80kDaの形態が増大しており、このことは、DGIのタンパク質分解プロセスが湿疹性皮膚では増強されることを示唆している。
【0610】
従って、本発明者らは、上記に記載される変化のいずれかを検出すること、好ましくは95kDaおよび80kDaのポリペプチドの1つ以上の存在または調節されたレベル(好ましくは、より大きいレベル)を個体において検出することによる、個体における第I群疾患または第I群疾患に対する感受性(好ましくは湿疹または湿疹に対する感受性)の診断を開示する。そのような診断はまた、160kDaのデスモグレンIポリペプチドの非存在または調節されたレベル(好ましくは、より低いレベル)を個体において検出することによって行うことができる。
【0611】
この診断はまた、80kDaおよび95kDaおよび160kDaのポリペプチドの相対的存在量をアッセイすることによって達成することができる。この診断は、160kDaのデスモグレンIポリペプチドのタンパク質分解がないことを個体において検出することによって行うことができる。
【0612】
好ましくは、これらの関連するポリペプチドは、インビボであっても、またはエクスビボ(例えば、テープストリップの形態で)であっても、個体の角質層で検出される。
【0613】
デスモグレイン3のタンパク質分解プロフィル
デスモグレイン3(Deg3)により、タンパク質分解の増大が示される。55kDaおよび100kDaの2つのタンパク質分解フラグメントに対応するバンドが、正常な皮膚の角質層と比較して、湿疹皮膚の角質層では強い。両方のフラグメントは、細胞質ドメインに対する同じ抗体と反応する。Deg3のタンパク質分解産物として現れる80kDaの別のバンドは、湿疹性の角質層と比較して、正常な角質では弱くなっている。
【0614】
従って、本発明者らは、上記に記載される変化のいずれかを検出すること、好ましくは55kDaのデスモグレン3ポリペプチドおよび80kDaのデスモグレン3ポリペプチドおよび100kDaのデスモグレン3ポリペプチドのいずれか1つまたは2つまたはすべての存在または調節されたレベル(好ましくは、より大きいレベル)を個体において検出することによる、個体における第I群疾患または第I群疾患に対する感受性(好ましくは湿疹または湿疹に対する感受性)の診断を開示する。
【0615】
好ましくは、これらの関連するポリペプチドは、インビボであっても、またはエクスビボ(例えば、テープストリップの形態で)であっても、個体の角質層で検出される。
【0616】
プラコグロビンのタンパク質分解プロフィル
プラコグロビンに対する抗体により、3つのバンド(85kDa、75kDaおよび70kDa)が明らかにされた。70kDaおよび75kDaは、角化細胞が分化しているときにSCCEおよびSCTEなどのプロテアーゼによって切断される天然型タンパク質(85kDa)のタンパク質分解形態である。70kDaは、湿疹性皮膚(病変および非病変の両方)では非常に弱く、正常な表皮にはほとんど存在しない。85kDaおよび75kDaは、正常な皮膚と比較して、湿疹皮膚では非常に強い。湿疹皮膚および正常な皮膚は2つの異なるプロフィルを有する。85kDaおよび75kDaのバンドは、湿疹を診断するために使用することができる。
【0617】
従って、本発明者らは、上記に記載される変化のいずれかを検出すること、好ましくは70kDaのプラコグロビンポリペプチドの非存在または調節されたレベル(好ましくは、より低いレベル)を個体において検出することによる、個体における第I群疾患または第I群疾患に対する感受性(好ましくは湿疹または湿疹に対する感受性)の診断を開示する。本発明者らはまた、85kDaのプラコグロビンポリペプチドおよび/または75kDaのプラコグロビンポリペプチドの存在または調節されたレベル(好ましくは、より大きいレベル)を検出することによる、個体における第I群疾患または第I群疾患に対する感受性(好ましくは湿疹または湿疹に対する感受性)の診断を開示する。
【0618】
この診断はまた、85kDaおよび75kDaおよび70kDaのポリペプチドの相対的存在量をアッセイすることによって達成することができる。
【0619】
好ましくは、これらの関連するポリペプチドは、インビボであっても、またはエクスビボ(例えば、テープストリップの形態で)であっても、個体の角質層で検出される。
【0620】
デスモコリン1のタンパク質分解プロフィル
デスモコリン1(DGIV/V)は正常な表皮の基底下層で強く発現する。
【0621】
デスモコリンに対する抗体により、正常な表皮における3つのDsc1イソ型が70kDa〜80kDaおよび60kDa〜70kDaおよび50kDa〜60kDaの分子量において明らかにされた。50kDa〜60kDaのバンドが、病変皮膚および非病変皮膚を含む湿疹皮膚では強く発現しており、このことは、湿疹皮膚におけるデスモコリン1の増大したタンパク質分解を示唆している。50kDa〜60kDaのバンドの大きい発現は、湿疹などの、皮膚バリアの欠陥を有する疾患のプロテオミック診断のために使用することができる。
【0622】
従って、本発明者らは、上記に記載される変化のいずれかを検出すること、好ましくは50kDa〜60kDaのデスモコリン1ポリペプチドの存在または調節されたレベル(好ましくは、より大きいレベル)を個体において検出することによる、個体における第I群疾患または第I群疾患に対する感受性(好ましくは湿疹または湿疹に対する感受性)の診断を開示する。
【0623】
この診断はまた、70kDa〜80kDaおよび60kDa〜70kDaおよび50kDa〜60kDaのポリペプチドの相対的存在量をアッセイすることによって達成することができる。
【0624】
好ましくは、これらの関連するポリペプチドは、インビボであっても、またはエクスビボ(例えば、テープストリップの形態で)であっても、個体の角質層で検出される。
【0625】
実施例D:遺伝子調節
実施例D1.オリゴヌクレオチドアレイを使用して分析された接着タンパク質遺伝子およびプロテアーゼ遺伝子およびプロテアーゼ阻害剤遺伝子の乾癬における発現
本発明者らは、デスモソームおよびコルネオデスモソームの接着タンパク質およびプロテアーゼおよびプロテアーゼ阻害剤の遺伝子を含むAffymetrixオリゴヌクレオチドアレイを使用した。これらの遺伝子は実施例D2〜D7において下記の表に示される。
【0626】
乾癬、尋常性ざ瘡、魚鱗癬、毛孔性角化症、アトピー性湿疹、クローン病、皮膚黒色種、扁平上皮ガン、基底細胞ガン、皮膚性リンパ腫、皮膚ガン、胃腸管悪性腫瘍、肺悪性腫瘍の各患者の関与皮膚および非関与皮膚からのパンチ生検物を皮膚から得る。生検物はまた、非関連のコントロール献血者からも得られる。
【0627】
RNAを各サンプルから抽出する。平均して、50μg、20μgおよび15μgが、それぞれ、病変皮膚、非病変皮膚および正常な皮膚から得られる。約10μgを使用して、ビオチン化cRNAを調製して、2μgを、表に示されるような遺伝子に対するプローブを含有するAffymetrix U95Aアレイに対するハイブリダイゼーションのために使用する。
【0628】
GENECHIPソフトウエアが、平均差に対する画像強度を発現レベルに変換することによって各遺伝子の発現レベルを反映させるために使用される。正常な皮膚における遺伝子の発現が基準として使用され、結果が下記の表に示される。
【0629】
実施例D2.オリゴヌクレオチドアレイを使用して分析されたコルネオデスモソームの遺伝子の乾癬における発現
コルネオデスモソームの様々な遺伝子の発現が、乾癬病変皮膚(「関与」)および乾癬非病変皮膚(「非関与」)を使用して、乾癬患者において、記載されるようにアッセイされる。疾患における各遺伝子の発現レベル(関与および非関与)が、正常な皮膚におけるその発現と比較される。
【0630】
結果が下記の表D2.1に示される。記号:++:通常の発現;+++:強い発現;++++:大きい発現;+:ダウンレギュレーション。
【表30】
表D2.1
【0631】
従って、本発明者らは、S/コルネオデスモシン(AF030130)、デソプラキン(XM_004463)、プラコグロビン(NM_002230;GB:NM_021991)、デスモグレイン1(XM_008810)、デスモコリン1(MX_008687)、エンボプラキン(XM_008135;U72543)、プレクチン1(NM000445)、S100A2(AI539439;M87068)、ケラチン6A(L42611)、ケラチン17(Z19574)、S100A8(AI126134)、S100A7(AA586894)、S100A9(GB:W72424)、SPRR2A(GB:M21302)、SPRR1B(M19888)、SPRK(AI923984)、HCR(BAA81890)、SEEK1(BAA88130)、SPR1(BAB63315)、STG(BAA88132)、インボルクリン(NM_005547)、アネキシンA1/リポコルチン(X05908)、VI型コラーゲンα3(COL6A3)(NM_004369)、トリコヒアリン(NM_005547)およびロリクリン(XM_048902)からなる群から選択されるポリペプチドまたは核酸の発現の調節(好ましくは、発現のアップレギュレーション)を検出することによる、個体における第II群疾患または第II群疾患に対する感受性(好ましくは乾癬または乾癬に対する感受性)の診断を提供する。
【0632】
実施例D3.オリゴヌクレオチドアレイを使用して分析されたプロテアーゼ遺伝子の乾癬における発現
様々なプロテアーゼ遺伝子の発現が、乾癬病変皮膚(「関与」)および乾癬非病変皮膚(「非関与」)を使用して、乾癬患者において、記載されるようにアッセイされる。疾患における各遺伝子の発現レベル(関与および非関与)が、正常な皮膚におけるその発現と比較される。
【0633】
結果が下記の表D3.1に示される。記号:++:通常の発現;+++:強い発現;++++:大きい発現;+:ダウンレギュレーション。
【表31−1】
【表31−2】
表D3.1
【0634】
従って、本発明者らは、トランスグルタミナーゼ1(TGM1)(M98447)、TGM2(XM_009482)、TGM4(XM_056203)、TGM5(XM_007529)、TGM7(NM_052955)、TGM3(L10386)、ホスホリパーゼA(2)(BC013384)、CD47抗原(X69398)、カリクレイン8(AB008390)、AD024タンパク質(XM_002642)、ディフェンシンβ2(AF0711216)、インターフェロンa誘導性タンパク質27(X67325)、脂肪酸結合タンパク質FABP5(M94856)、SCTE(XM_009000)、カリクレイン1(腎臓/膵臓/唾液性、KLK1)(XM_047300)、ヒトカリクレイン2(前立腺性、KLK2)(XM_031757)、カリクレイン3(前立腺特異的抗原)(KLK3)(XM_031768)、カリクレイン6(ニューロシン、ザイム)(KLK6)(XM_055658)、カリクレイン4(プロスターゼ、エナメルマトリックス、前立腺)(KLK4)(XM_008997)、膜型セリンプロテアーゼ1(AF133086)、コラゲナーゼMMP−1(LOC116389)、コラゲナーゼMMP−12(U78045)、コラゲナーゼMMP−9(NM_004994)、コラゲナーゼMMP−3(U78045)、コラゲナーゼMMP−28(AF219624)、カスパーゼ7(BC015799)、カスパーゼ5(NM_004347)、カスパーゼ−14(NM_012114)、ユビキチン特異的プロテアーゼUSP−5(NM_003481)、ユビキチン特異的プロテアーゼUSP−11(NM_004651)、ユビキチン特異的プロテアーゼUSP−6(NM_004505)、ユビキチン特異的プロテアーゼUSP26(NM_031907)、ユビキチン特異的プロテアーゼ(USP28)(NM_020886)、26Sプロテアーゼサブユニット4(L02426)、LILRB1(AF004230)、転写のシグナル変換因子/活性化因子1(91kDa)(STAT1)(977935)、プロテアソーム(プロソーム、マクロパイン)サブユニット6(PSMA6)(X59417)、TPSB1(XM_016204)、プロテアーゼネキシン−II(XM_047793)、グリア由来ネキシン前駆体(P07093)、ならびに26Sプロテアーゼ調節サブユニットS10BおよびPCOLN3(XM_047524)からなる群から選択されるポリペプチドまたは核酸の発現の調節(好ましくは、発現のアップレギュレーション)を検出することによる、個体における第II群疾患または第II群疾患に対する感受性(好ましくは乾癬または乾癬に対する感受性)の診断を提供する。
【0635】
本発明者らはさらに、アポトーシス関連システインプロテアーゼ(CASP14)mRNA(NM_012114)、SCCE(XM_009002)、ヒト皮膚コラゲナーゼ(M13509)、TPS1(NM_003293)、およびTPSG1(XM_008123)からなる群から選択されるポリペプチドまたは核酸の発現の調節(好ましくは、発現のダウンレギュレーション)を検出することによる、個体における第II群疾患または第II群疾患に対する感受性(好ましくは乾癬または乾癬に対する感受性)の診断を提供する。
【0636】
実施例D4.オリゴヌクレオチドアレイを使用して分析されたプロテアーゼ阻害剤遺伝子の乾癬における発現
様々なプロテアーゼ阻害剤遺伝子の発現が、乾癬病変皮膚(「関与」)および乾癬非病変皮膚(「非関与」)を使用して、乾癬患者において、記載されるようにアッセイされる。疾患における各遺伝子の発現レベル(関与および非関与)が、正常な皮膚におけるその発現と比較される。
【0637】
結果が下記の表D4.1に示される。記号:++:通常の発現;+++:強い発現;++++:大きい発現;+:ダウンレギュレーション。
【表32−1】
【表32−2】
【表32−3】
表D4.1
【0638】
従って、本発明者らは、SLP1(X04502)、SKALP(XM_009524;L10343)、CSTA(NM_005213;AA570193)、SCCA(S66296)、SCCA2(U19557)、1型プラスミノーゲン活性化因子阻害剤(X04729;X04731)、PAI2(AF071400)、SERPINA5(NM_000624)、2型プラスミノーゲン活性化因子阻害剤(L19066)、TIMP(D11139)、TIMP−1(NM_003254)、TIMP−2(NM_003255)、TIMP−3(E13880)、TIMP−4(NM_003256)、TIMP9a(AF150100)、TIM9b(AF150105)、シスタチンA(AA570193)、シスタチンM/E(NM_001323)、多価プロテアーゼ阻害剤WFIKKN(AF422194)、C1阻害剤(SERPING1)(XM_046218)、プロテアーゼ阻害剤(Kunitz型2)(SPINT2)(XM_032280)、セリンプロテアーゼ阻害剤(Kazal型4)(SPINK4)(XM_005539)、プロテイナーゼ阻害剤(cladeB[オバルブミン])(メンバー9)(XM_053642)、セリン(またはシステイン)プロテイナーゼ阻害剤(cladeB[オバルブミン])(メンバー6)(XM_047984)、エピン−1(EPPIN)(AF286368)、エピン−2(EPPIN)(AF286369)、エピン−3(EPPIN)(AF286370)、KunitzドメインおよびWAPドメインを有するセリンプロテアーゼ阻害剤様1(エピン)(SPINLW1)(NM_020398)、sparc/オステオネクチン(cwcv様ドメインおよびkazal様ドメインのプロテオグリカン[テスティカン])(SPOCK)(NM_004598)、プロテアーゼ阻害剤(Kunitz型1)(SPINT1)(XM_056836)、PI12(AH009756)、HIV−1プロテアーゼのI型ヒト免疫不全症ウイルス遺伝子(AB020923)、HIV−1プロテアーゼのI型ヒト免疫不全症ウイルス遺伝子(AB020924)、組織因子経路阻害剤2(TFPI2)(NM_006528)、分泌型リンタンパク質2(24kD、SPP2)(NM_006944)、カテプシンF(CTSF)(NM_003793)、セリン(またはシステイン)プロテイナーゼ阻害剤(cladeA[α−1抗プロテイナーゼ、アンチトリプシン])(メンバー6)(SERPINA6)(NM_001756)、セリン(またはシステイン)プロテイナーゼ阻害剤(cladeB[オバルブミン])(メンバー3)(SERPINB3)(NM_006919)、セリン(またはシステイン)プロテイナーゼ阻害剤(cladeA[α−1抗プロテイナーゼ、アンチトリプシン])(メンバー3)(SERPINA3)(NM_001085)、ヒトセリン(またはシステイン)プロテイナーゼ阻害剤(cladeB[オバルブミン])(メンバー13)(XM_008743)、セリン(またはシステイン)プロテイナーゼ阻害剤(cladeB[オバルブミン])(メンバー5)(SERPINB5)(XM_008742)、RelA結合型阻害剤(XM_057693)、DNA結合阻害剤1(優性ネガティブなヘリックス−ループ−ヘリックスタンパク質[ID1])(XM_046179)、セリン(またはシステイン)プロテイナーゼ阻害剤(cladeE[ネキシン、1型プラスミノーゲン活性化因子阻害剤])(メンバー)(SERPINE1)(XM_054850)、サイクリン依存性キナーゼ阻害剤2B(p15、CDK4を阻害する)(CDKN2B)(NM_004936)、サイクリン依存性キナーゼ阻害剤2B(p15、CDK4を阻害する)に類似するもの(BC014469)、セリン(またはシステイン)プロテイナーゼ阻害剤(cladeB[オバルブミン])(メンバー7)(SERPINB7)(XM_008745)、活性化STATタンパク質PIASyのタンパク質阻害剤(PIASY)(NM_016149)、活性化STATタンパク質PIASyのタンパク質阻害剤に類似するもの(LOC95830)(XM_016864)、PKCにより強化されるPP1阻害タンパク質(PPP1R14A)(AY050668)、DNA結合阻害剤3(優性ネガティブなヘリックス−ループ−ヘリックスタンパク質[ID3])(NM_002167)、CladeA(α−1抗プロテイナーゼ、アンチトリプシン)(XM_028358)、セリン(またはシステイン)プロテイナーゼ阻害剤(cladeH[熱ショックタンパク質47])(メンバー1)(SERPINH1)(NM_004353)、フルピン(セリンプロテアーゼ阻害剤)に対するPI13遺伝子(AJ278717)、プロテアーゼ阻害剤5(マスピン)(PI5)(XM_008742)、PAI−2(A32415)からなる群から選択されるポリペプチドまたは核酸の発現の調節(好ましくは、発現のアップレギュレーション)を検出することによる、個体における第II群疾患または第II群疾患に対する感受性(好ましくは乾癬または乾癬に対する感受性)の診断を提供する。
【0639】
本発明者らはさらに、hbc750ヒト膵臓小島(T11141;T10920)のポリペプチドまたは核酸の発現の調節(好ましくは、発現のダウンレギュレーション)を検出することによる、個体における第II群疾患または第II群疾患に対する感受性(好ましくは乾癬または乾癬に対する感受性)の診断を提供する。
【0640】
実施例D5.オリゴヌクレオチドアレイを使用して分析されたコルネオデスモソームの遺伝子の湿疹における発現
コルネオデスモソームの様々な遺伝子の発現が、湿疹病変皮膚(「関与」)および湿疹非病変皮膚(「非関与」)を使用して、湿疹患者において、記載されるようにアッセイされる。疾患における各遺伝子の発現レベル(関与および非関与)が、正常な皮膚におけるその発現と比較される。
【0641】
結果が下記の表D5.1に示される。記号:++:通常の発現;+++:強い発現;++++:大きい発現;+:ダウンレギュレーション。
【表33】
表D5.1
【0642】
従って、本発明者らは、ケラチン6A(L42611)、ケラチン17(Z19574)、アネキシンA1/リポコルチン(X05908)、およびVI型コラーゲンα3(COL6A3)(NM_004369)からなる群から選択されるポリペプチドまたは核酸の発現の調節(好ましくは、発現のアップレギュレーション)を個体において検出することによる、個体における第I群疾患または第I群疾患に対する感受性(好ましくは湿疹または湿疹に対する感受性)の診断を提供する。
【0643】
さらに、本発明者らは、S/コルネオデスモシン(AF030130)、デソプラキン(XM_004463)、プラコグロビン(NM_002230;NM_021991)、デスモグレイン1(XM_008810)、デスモコリン1(MX_008687)、エンボプラキン(XM_008135;U72543)、プレクチン1(NM000445)、S100A2(AI539439;M87068)、S100A8(AI126134)、S100A7(AA586894)、S100A9(GB:W72424)、SPRR2A(GB:M21302)、SPRR1B(M19888)、SPRK(AI923984)、HCR(BAA81890)、SEEK1(BAA88130)、SPR1(BAB63315)、STG(BAA88132)、インボルクリン(NM_005547)、トリコヒアリン(NM_005547)およびロリクリン(XM_048902)からなる群から選択されるポリペプチドまたは核酸の発現の調節(好ましくは、発現のダウンレギュレーション)を検出することによる、個体における第I群疾患または第I群疾患に対する感受性(好ましくは湿疹または湿疹に対する感受性)の診断を提供する。
【0644】
実施例D6.オリゴヌクレオチドアレイを使用して分析されたプロテアーゼ遺伝子の湿疹における発現
湿疹患者における様々なプロテアーゼ遺伝子の発現が、関与皮膚(湿疹病変皮膚)および湿疹非病変皮膚(湿疹非病変皮膚)および正常な皮膚を使用してアッセイされる。疾患における各遺伝子の発現レベル(関与および非関与)が、正常な皮膚におけるその発現と比較される。
【0645】
結果が下記の表D6.1に示される。記号:++:通常の発現;+++:強い発現;++++:大きい発現;+:ダウンレギュレーション。
【表34−1】
【表34−2】
表D6.1
【0646】
従って、本発明者らは、アポトーシス関連システインプロテアーゼ(CASP14)mRNA(NM_012114)、TGM5(XM_007529)、ホスホリパーゼA(2)(BC013384)、CD47抗原(X69398)、カリクレイン8(AB008390)、AD024タンパク質(XM_002642)、SCCE(XM_009002)、ディフェンシンβ2(AF0711216)、インターフェロンa誘導性タンパク質27(X67325)、脂肪酸結合タンパク質FABP5(M94856)、SCTE(XM_009000)、カリクレイン1(腎臓/膵臓/唾液性、KLK1)(XM_047300)、ヒトカリクレイン2(前立腺性、KLK2)(XM_031757)、カリクレイン3(前立腺特異的抗原)(KLK3)(XM_031768)、カリクレイン6(ニューロシン、ザイム)(KLK6)(XM_055658)、カリクレイン4(プロスターゼ、エナメルマトリックス、前立腺)(KLK4)(XM_008997)、膜型セリンプロテアーゼ1(AF133086)、ヒト皮膚コラゲナーゼ(M13509)、コラゲナーゼMMP−1(LOC116389)、コラゲナーゼMMP−12(U78045)、コラゲナーゼMMP−9(NM_004994)、コラゲナーゼMMP−3(U78045)、コラゲナーゼMMP−28(AF219624)、カスパーゼ7(BC015799)、カスパーゼ5(NM_004347)、カスパーゼ−14(NM_012114)、ユビキチン特異的プロテアーゼUSP−5(NM_003481)、ユビキチン特異的プロテアーゼUSP−11(NM_004651)、ユビキチン特異的プロテアーゼUSP−6(NM_004505)、TPS1(NM_003293)、TPSB1(XM_016204)、TPSG1(XM_008123)、プロテアーゼネキシン−II(XM_047793)、グリア由来ネキシン前駆体(P07093)、26Sプロテアーゼ調節サブユニットS10B(Q92524)およびPCOLN3(XM_047524)からなる群から選択されるポリペプチドまたは核酸の発現の調節(好ましくは、発現のアップレギュレーション)を検出することによる、個体における第I群疾患または第I群疾患に対する感受性(好ましくは湿疹または湿疹に対する感受性)の診断を提供する。からなる群から選択されるポリペプチドまたは核酸
【0647】
本発明者らはさらに、トランスグルタミナーゼ1(TGM1)(M98447)、TGM2(XM_009482)、TGM4(XM_056203)、TGM7(NM_052955)、TGM3(L10386)、ユビキチン特異的プロテアーゼUSP26(NM_031907)、ユビキチン特異的プロテアーゼ(USP28)(NM_020886)、26Sプロテアーゼサブユニット4(L02426)、LILRB1(AF004230)、転写のシグナル変換因子/活性化因子1(91kDa)(STAT1)(977935)、およびプロテアソーム(プロソーム、マクロパイン)サブユニット6(PSMA6)(X59417)からなる群から選択されるポリペプチドまたは核酸の発現(好ましくは、発現のダウンレギュレーション)を検出することによる、個体における第I群疾患または第I群疾患に対する感受性(好ましくは湿疹または湿疹に対する感受性)の診断を提供する。
【0648】
実施例D7.オリゴヌクレオチドアレイを使用して分析されたプロテアーゼ阻害剤遺伝子の湿疹における発現
湿疹患者における様々なプロテアーゼ阻害剤遺伝子の発現が、関与皮膚(湿疹病変皮膚)および湿疹非病変皮膚(湿疹非病変皮膚)および正常な皮膚を使用してアッセイされる。疾患における各遺伝子の発現レベル(関与および非関与)が、正常な皮膚におけるその発現と比較される。
【0649】
結果が下記の表D7.1に示される。記号:++:通常の発現;+++:強い発現;++++:大きい発現;+:ダウンレギュレーション。
【表35−1】
【表35−2】
【表35−3】
表D7.1
【0650】
従って、本発明者らは、hbc750ヒト膵臓小島(T11141;T10920)、TIMP−4(NM_003256)、TIM9a(AF150100)、2型プラスミノーゲン活性化因子阻害剤(L19066)、多価プロテアーゼ阻害剤WFIKKN(AF422194)、エピン−1(EPPIN)(AF286368)、エピン−2(EPPIN)(AF286369)、エピン−3(EPPIN)(AF286370)、sparc/オステオネクチン(cwcv様ドメインおよびkazal様ドメインのプロテオグリカン[テスティカン])(SPOCK)(NM_004598)、PI12(AH009756)、HIV−1プロテアーゼのI型ヒト免疫不全症ウイルス遺伝子(AB020923)、分泌型リンタンパク質2(24kD)(SPP2)(NM_006944)、およびサイクリン依存性キナーゼ阻害剤2B(p15、CDK4を阻害する)(CDKN2B)(NM_004936)からなる群から選択されるポリペプチドまたは核酸の発現の調節(好ましくは、発現のダウンレギュレーション)を検出することによる、個体における第I群疾患または第I群疾患に対する感受性(好ましくは湿疹または湿疹に対する感受性)の診断を提供する。
【0651】
従って、本発明者らは、SLP1(X04502)、SKALP(XM_009524;L10343)、CSTA(NM_005213;AA570193)、SCCA(S66296)、SCCA2(U19557)、1型プラスミノーゲン活性化因子阻害剤(X04729;X04731)、PAI2(AF071400)、SERPINA5(NM_000624)、TIMP(D11139)、TIMP−1(NM_003254)、TIMP−2(NM_003255)、TIMP−3(E13880)、TIM9b(AF150105)、シスタチンA(AA570193)、シスタチンM/E(NM_001323)、C1阻害剤(SERPING1)(XM_046218)、プロテアーゼ阻害剤(Kunitz型2)(SPINT2)(XM_032280)、セリンプロテアーゼ阻害剤(Kazal型4)(SPINK4)(XM_005539)、プロテイナーゼ阻害剤(cladeB[オバルブミン])(メンバー9)(XM_053642)、セリン(またはシステイン)プロテイナーゼ阻害剤(cladeB[オバルブミン])(メンバー6)(XM_047984)、KunitzドメインおよびWAPドメインを有するセリンプロテアーゼ阻害剤様1(エピン)(SPINLW1)(NM_020398)、プロテアーゼ阻害剤(Kunitz型1)(SPINT1)(XM_056836)、HIV−1プロテアーゼのI型ヒト免疫不全症ウイルス遺伝子(AB020924)、組織因子経路阻害剤2(TFPI2)(NM_006528)、カテプシンF(CTSF)(NM_003793)、セリン(またはシステイン)プロテイナーゼ阻害剤(cladeA[α−1抗プロテイナーゼ、アンチトリプシン])(メンバー6)(SERPINA6)(NM_001756)、セリン(またはシステイン)プロテイナーゼ阻害剤(cladeB[オバルブミン])(メンバー3)(SERPINB3)(NM_006919)、セリン(またはシステイン)プロテイナーゼ阻害剤(cladeA[α−1抗プロテイナーゼ、アンチトリプシン])(メンバー3)(SERPINA3)(NM_001085)、ヒトセリン(またはシステイン)プロテイナーゼ阻害剤(cladeB[オバルブミン])(メンバー13)(XM_008743)、セリン(またはシステイン)プロテイナーゼ阻害剤(cladeB[オバルブミン])(メンバー5)(SERPINB5)(XM_008742)、RelA結合型阻害剤(XM_057693)、DNA結合阻害剤1(優性ネガティブなヘリックス−ループ−ヘリックスタンパク質[ID1])(XM_046179)、セリン(またはシステイン)プロテイナーゼ阻害剤(cladeE[ネキシン、1型プラスミノーゲン活性化因子阻害剤])(メンバー)(SERPINE1)(XM_054850)、サイクリン依存性キナーゼ阻害剤2B(p15、CDK4を阻害する)に類似するもの(BC014469)、セリン(またはシステイン)プロテイナーゼ阻害剤(cladeB[オバルブミン])(メンバー7)(SERPINB7)(XM_008745)、活性化STATタンパク質PIASyのタンパク質阻害剤(PIASY)(NM_016149)、活性化STATタンパク質PIASyのタンパク質阻害剤に類似するもの(LOC95830)(XM_016864)、PKCにより強化されるPP1阻害タンパク質(PPP1R14A)(AY050668)、DNA結合阻害剤3(優性ネガティブなヘリックス−ループ−ヘリックスタンパク質[ID3])(NM_002167)、CladeA(α−1抗プロテイナーゼ、アンチトリプシン)セリン(またはシステイン)プロテイナーゼ阻害剤(cladeH[熱ショックタンパク質47])(メンバー1)(SERPINH1)(NM_004353)、フルピン(セリンプロテアーゼ阻害剤)に対するPI13遺伝子(AJ278717)、プロテアーゼ阻害剤5(マスピン)(PI5)(XM_008742)、PAI−2(A32415)からなる群から選択されるポリペプチドまたは核酸の発現(好ましくは、発現のアップレギュレーション)を検出することによる、個体における第I群疾患または第I群疾患に対する感受性(好ましくは湿疹または湿疹に対する感受性)の診断を提供する。
【0652】
実施例D8.半定量的RT−PCR
表皮からのRNA抽出
RNA抽出を、RNeasyキット(QIAGEN)を使用して製造者の説明書に従って行う。RNAを、増殖性の分化した角化細胞から、そしてまた正常な表皮ならびに乾癬の病変表皮および非病変表皮から抽出する。定量は、それぞれのサンプルについて、RTの3つの異なる希釈物を使用してPCRを行うことによって行われる。
【0653】
正常皮膚および乾癬皮膚および湿疹性皮膚におけるコルネオデスモソームおよびプロテアーゼおよびプロテアーゼ阻害剤のRT−PCR
コルネオデスモソームおよびプロテアーゼおよびプロテアーゼ阻害剤の様々な遺伝子の発現レベルを、正常皮膚および乾癬皮膚および湿疹性皮膚(関与および非関与)に対するRT−PCRによってアッセイする。個体から得られた関与皮膚および非関与皮膚における発現レベルが、正常な非疾患皮膚における対応する発現レベルと比較される。アッセイされたコルネオデスモソームおよびプロテアーゼおよびプロテアーゼ阻害剤の遺伝子は、それぞれ、表D2.1および表D5.1、表D3.1および表D6.1、ならびに表D4.1および表D7.1に示される遺伝子である。
【0654】
結果
RT−PCRの結果は、大まかには、上記の実施例において詳しく記載されるような発現の変化を示している。従って、オリゴヌクレオチドアレイによってアッセイされた、コルネオデスモソームおよびプロテアーゼおよびプロテアーゼ阻害剤の様々な遺伝子の発現レベル研究の結果が、発現したメッセージのレベルを直接アッセイすることによって確認される。
【0655】
実施例E:処置
実施例E1.テープストリップを使用してアッセイされるコレネオデスモソーム密度
透過電子顕微鏡観察用のテープストリップの調製
テープストリップを、Guerrinら(1998)によって記載される方法に従って得る。
【0656】
湿疹、乾癬、皮膚炎および乾癬の皮膚状態に罹患している患者とともに、コントロール患者から得られたテープストリップの小片を、カルノフスキー固定液(2%パラホルムアルデヒド、2.5%グルタルアルデヒドを含む0.1Mリン酸塩緩衝液、pH7.4)において4℃で2時間固定する。その後、サンプルを、10%スクロースを含有する0.1Mリン酸塩緩衝液(pH7.4)において、3回、それぞれ30分間、4℃で洗浄する。
【0657】
二次固定を2%四酸化オスミウム水溶液において室温で1時間行う。脱水を室温において段階的なエタノール系列によって行う(75%エタノールで15分間;95%エタノールで15分間;100%エタノールで15分間の洗浄を2回;無水硫酸銅で乾燥した100%エタノールで15分間)。
【0658】
樹脂包埋のために、サンプルを最初に中間溶媒のプロピレンオキシドに入れ、15分間ずつ2回交換する。この後、プロピレンオキシド:アラルダイト樹脂の50:50混合物における浸潤を室温で一晩行う。サンプルを室温で100%濃度のアラルダイト樹脂に6時間〜8時間入れる。生検物を新しいアラルダイト樹脂に60℃で48時間包埋する。包埋用のアラルダイト樹脂は、CY212アラルダイト:ドデセニルコハク酸無水物(DDSA)硬化剤の50:50混合物および1mlの樹脂混合物あたり1滴のn−ベンジルジメチルアミン(BDMA)促進剤からなった。
【0659】
超薄切片(70nm〜90nm)をウルトラミクロトームで切断する。切片を3%酢酸ウラニル/50%エタノールで5分間染色し、その後、レイノルズクエン酸鉛で2分間染色する。切片を、Philips CM10透過電子顕微鏡を80Kvの加速電圧で使用して調べる。電子顕微鏡写真をAgfa Scientific23D56EMフィルムに記録する。
【0660】
コルネオデスモソーム密度(顕微鏡写真の総面積により除されたコルネオデスモソーム占有面積)を各状態のテープストリップの電子顕微鏡写真において測定する。
【0661】
プロテアーゼによる患者角質層の処理
正常な角質層および疾患状態の角質層に由来する3x3mmのテープストリップを10x濃縮タンパク質分解緩衝液(10mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.2)、0.15MのNaCl)中で22nM〜50nMの組換えSCCEまたは組換えSCTEとともに37℃で1時間〜6時間インキュベーションする。反応を停止させ、そして上記に記載されるように、ストリップを、コルネオデスモソームを計数するための電子顕微鏡分析のために固定する。
【0662】
結果
この実験の結果が図13に示される。
【0663】
乾癬患者およびざ瘡患者の上部角質層におけるコルネオデスモソーム密度は、正常な皮膚と比較した場合、著しく増大している。皮膚炎患者および湿疹患者の角質層におけるコルネオデスモソーム密度は著しく低下している。
【0664】
実施例E2.プロテアーゼによる乾癬皮膚由来のテープストリップの処理
正常者および乾癬者に由来するテープストリップを得て、上記に記載されるように処理する。コルネオデスモソーム密度を上記のようにアッセイする。
【0665】
結果
この実験の結果が図14に示される。
【0666】
コルネオデスモソームの数が、非処理の角質層と比較した場合、処理された角質層では著しく減少していることが見出される。これらの実験により、コルネオデスモソームの数とSCCEまたはSCTEによるタンパク質分解との間には直接的な関係が存在することが明らかにされる。
【0667】
考察
プロテアーゼ(例えば、SCCE/SCTE)を使用して、本発明者らは、増大した皮膚バリア(すなわち、第II群疾患)を有する患者の角質層におけるコルネオデスモソームの数の減少を明らかにしている。従って、本発明者らは、角質層の接着が増大した患者において正常な皮膚バリアの形成を促進させるための新しい処置を提案する。
【0668】
実施例E3.プロテアーゼによる乾癬患者由来の皮膚生検物の処理
募集
乾癬患者がRoyal Hallamshire Hospitalの皮膚科学診療科を介して確認され、集められた。患者は、年齢が40歳を越え、明白な活動性乾癬を有し、かつ全身的な抗乾癬剤を服用していない場合に選ばれる。リウマチ熱または人工心臓弁置換または人工関節置換の病歴を有する患者は自動的に除かれる。完全な文書化されたインフォームドコンセントがMREC承認(MREC/98/4/018)とともに各患者から得られている。生検部位の局所的処置は手法の2週間前から省略される。
【0669】
手法
すべての生検は手術室において皮膚科医によって行われる。無菌技術が用いられ、そして滅菌/使い捨て器具が手法中を通して使用される。2つの皮膚生検物が各患者の下部背中から採取される。1つは活動性の斑乾癬の領域からであり、もう1つは少なくとも10cm離れた非関与部位からである。下部背中は無菌溶液で清浄化され、局所麻酔が生検の意図された領域に導入される。約1.5cmx0.5cmの楕円部を病変皮膚および非病変皮膚の両方から切除して、PBS溶液を含む容器に入れる。傷部は、深部縫合のためにカットグートを使用して、そして表面付近の縫合のためにエチロンを使用して縫合される(傷あたり2針または3針を用いる)。手術後、傷部を滅菌包帯で覆い、患者を30分間観察し、その後、帰宅させる。縫合糸は2週間後に抜糸される。
【0670】
プロテアーゼ処理
下記の手法が無菌条件のもとで行われる。乾癬皮膚生検物を、滅菌メスを使用して2片に切る。生検物の一方の半分を24ウエルプレートの1つのウエルにおいて2mlの0.25%キモトリプシン(皮膚維持培地(Skinethic)に10xストック液から希釈したもの)に入れる。もう一方の半分を、何も添加されていない維持培地の2mlでインキュベーションする。ウエルプレートを37℃で16時間インキュベーションする。その後、両方の生検物セグメントを、下記のような電子顕微鏡観察のために、PBSで2回交換しながら洗浄して、固定する。
【0671】
電子顕微鏡観察のための加工
皮膚生検物サンプルをカルノフスキー固定液(2%パラホルムアルデヒド、2.5%グルタルアルデヒドを含む0.1Mリン酸塩緩衝液、pH7.4)において4℃で2時間固定する。その後、サンプルを、10%スクロースを含有する0.1Mリン酸塩緩衝液(pH7.4)において、3回、それぞれ30分間、4℃で洗浄する。
【0672】
二次固定を2%四酸化オスミウム水溶液において室温で1時間行う。脱水を室温において段階的なエタノール系列によって行う(75%エタノールで15分間;95%エタノールで15分間;100%エタノールで15分間の洗浄を2回;無水硫酸銅で乾燥した100%エタノールで15分間)。
【0673】
樹脂包埋のために、サンプルを最初に中間溶媒のプロピレンオキシドに入れ、15分間ずつ2回交換する。この後、プロピレンオキシド:アラルダイト樹脂の50:50混合物における浸潤を室温で一晩行う。サンプルを室温で100%濃度のアラルダイト樹脂に6時間〜8時間入れる。生検物を新しいアラルダイト樹脂に60℃で48時間包埋する。包埋用のアラルダイト樹脂は、CY212アラルダイト:ドデセニルコハク酸無水物(DDSA)硬化剤の50:50混合物および1mlの樹脂混合物あたり1滴のn−ベンジルジメチルアミン(BDMA)促進剤からなった。
【0674】
超薄切片(70nm〜90nm)をウルトラミクロトームで切断する。切片を3%酢酸ウラニル/50%エタノールで5分間染色し、その後、レイノルズクエン酸鉛で2分間染色する。切片を、Philips CM10透過電子顕微鏡を80Kvの加速電圧で使用して調べる。電子顕微鏡写真をAgfa Scientia23D56EMフィルムに記録する。
【0675】
結果
結果が、図15、図16、図17および図18に示される。
【0676】
図15には、未処理の乾癬生検物が示される。図16には、0.25%キモトリプシンで16時間処理された乾癬生検物は角質細胞層の分裂(棘細胞離開)を生じさせることが示される。これは、キモトリプシンによるコルネオデスモソームの分解によって生じる。図17には、未処理の乾癬生検物(角質層)の断面が示される。多数のコルネオデスモソームを認めることができるが、これらの一部が白矢印によって示される。図18には、0.25%キモトリプシンで16時間処理された乾癬生検物の角質層では、はるかに少数のコルネオデスモソームがプロテアーゼ処理の後に認められ得ること(実線の白矢印)が示される。分解されたコルネオデスモソームの残骸もまたいくつか認めることができる(破線の白矢印)。
【0677】
考察
キモトリプシンで処理された乾癬病変生検物とコントロール(未処理の病変乾癬皮膚)とを比較したとき、キモトリプシンで処理されたサンプルでは表皮細胞層の分裂(棘細胞離開)が顕著である。これは、角質層の下部部分の内部に、そして角質層と生存表皮との接合部に存在する。皮膚バリアの破壊を、バリア機能が増大した疾患(すなわち、第II群疾患)、例えば、乾癬(本明細書に詳しく記載されるように)およびざ瘡を処置するために使用することができる。
【0678】
実施例E4.プロテアーゼによる皮膚等価物の処理
材料
再構成されたヒト表皮培養物および維持培地をSkinethic Tissue Culture Laboratories(Nice)から購入する。キモトリプシンをSigma Chemicalsから購入する。
【0679】
方法
1mlの室温のSkinEthic維持培地を6ウエル組織培養プレートの各ウエルに加える(皮膚等価物あたり1つのウエル)。皮膚等価物を含有する細胞培養挿入物を、滅菌メスを使用してアガロース輸送培地から除き、そして気泡を形成させることなくウエルに入れる。ウエルプレートを、37℃、5%CO2の加湿インキュベーターに入れる。24時間後、培地を交換して、適切な処理が加えられる。200μlの各処理液が下記のように皮膚等価物の表面に加えられる。コントロール−緩衝化塩溶液;10%ウシ胎児血清;0.25%キモトリプシン;6μMのペプチド643。
【0680】
すべての試薬は、下記の成分を1リットルに含む緩衝化塩溶液(pH7.4)において正しい濃度に作製される。0.142gのNa2HPO4、1.802gのグルコース、7.149gのHEPES、0.224gのKCl、7.597gのNaCl。
【0681】
処理は、37℃で16時間にわたって培養物に対して作用させられる。
【0682】
光学顕微鏡観察のための加工
皮膚等価物および膜を、メスを使用して細胞培養挿入物から切断する。等価物を10%ホルマリン(3.7%ホルムアルデヒド)/リン酸塩緩衝化生理的食塩水において4℃で24時間固定する。サンプルを、PBSを3回交換して洗浄する。PBSをサンプルからデカンテーションにより除き、その後、サンプルを、75%エタノール中で5分間ずつ3回の交換、95%エタノール中で5分間ずつ2回の交換、そして100%エタノール中で5分間ずつ2回の交換で脱水する。その後、サンプルをキシレンに5分間入れ、その後、溶融パラフィンに入れて5分間浸潤させる。サンプルをそれぞれの工程のときに時々ゆする。その後、等価物を包埋用鋳型においてより多くの溶融パラフィン内に整列させて、1時間硬化させる。
【0683】
5μmの切片を各ブロックから得て、ガラス製顕微鏡スライドガラスに集める。スライドガラスを50℃で一晩乾燥させる。
【0684】
組織学のためのヘマトキシリン染色およびエオシン染色
スライドガラスをラックに固定して、キシレンに入れ、5分間の洗浄を2回行い、望ましくないパラフィンを除く。その後、スライドガラスを、100%エタノールに2回、95%エタノールに1回、70%エタノールに1回、それぞれ5分間入れることによって再水和させる。その後、スライドガラスを流水で1分間洗浄する。染色をGillヘマトキシリンで(2分間)行い、続いて水で2分間洗浄し、その後、1%エオシンに5分間浸け、そして水で簡単に洗浄する。サンプルを、70%エタノールに30秒間、95%エタノールに30秒間、そしてそれぞれ1分間および2分間の2回の交換を行いながら100%エタノールに入れることによってもう一度脱水する。その後、スライドガラスをキシレンに1分間入れ、その後、顕微鏡観察のためにDPXマウンタントでカバーガラスを固定する。
【0685】
スライドガラスを、40倍の対物レンズを使用して光学顕微鏡で調べ、典型的な像を、Synoptics Acquis Proを使用してPCに取り込む。
【0686】
結果
キモトリプシン(0.25%)は角質層のバリアを分解する。層は「より緩く」なっているようであり、生存細胞層から離れ始めている。従って、キモトリプシンはコルネオデスモソームを分解することが示される。
【0687】
類似する作用が、皮膚等価物をSCCEまたはSCTEで処理したときに認められる。従って、キモトリプシン、SCCEおよびSCTEなどのプロテアーゼは、角質層の厚さが増大しているとき、乾癬およびざ瘡などの疾患を処置するために使用することができる。ここで示されたこれらの酵素は、細胞層と接触しているコルネオデスモソームを分解することによって角質層バリアの厚さを低下させる。
【0688】
実施例E5.SLPIプロテアーゼ阻害剤ペプチドによる皮膚等価物の処理
材料
17日目の再構成ヒト表皮培養物および維持培地をSkinethic Tissue Culture Laboratories(Nice)から購入する。NUNC組織培養プラスチック器具をLife Technologiesから得る。
【0689】
皮膚バリアの形成において重要なタンパク質の様々な領域に対応する多数のペプチドを、標準的な技術を使用して合成する。これらのペプチドは下記の表E5.1に示される通りである。
【0690】
ペプチド643、ペプチド651およびペプチド653は、同じタンパク質(SLPI)の異なる領域に対応する。腫瘍壊死因子−α(TNF−α)およびインターロイキン−1β(IL−1β)はCalbiochemから購入される。
【表36】
表E5.1
【0691】
方法
1mlの室温のSkinEthic維持培地を6ウエル組織培養プレートの各ウエルに加える(皮膚等価物あたり1つのウエル)。皮膚等価物を含有する細胞培養挿入物を、滅菌メスを使用してアガロース輸送培地から除き、そして気泡を形成させることなくウエルに入れる。ウエルプレートを、37℃、5%CO2の加湿インキュベーターに入れる。24時間後、培地を交換して、適切な処理が加えられる。
【0692】
すべての試薬は、下記の成分を1リットルに含む緩衝化塩溶液(pH7.4)において正しい濃度に作製される。0.142gのNa2HPO4、1.802gのグルコース、7.149gのHEPES、0.224gのKCl、7.597gのNaCl。
【0693】
200μlの下記の処理液が皮膚等価物の表面に加えられる。(1)コントロール−緩衝化塩溶液;(2)6μMのペプチド641;(3)6μMのペプチド642;(4)6μMのペプチド643;(5)6μMのペプチド651;(6)6μMのペプチド653。
【0694】
下記の処理液は、培地交換のときに、ストック溶液(10μg/mlのTNF−α、1μg/mlのIL−1β)から、直接、1mlの培地に希釈され、ウエルに加えられる。(7)2.5ng/mlのTNF−α;および(8)75ng/mlのIL−1β。
【0695】
処理は、37℃で16時間にわたって培養物に対して作用させられる。
【0696】
結果
結果が図19〜図25に示される。
【0697】
血清には、トリプシンおよびキモトリプシンの阻害剤を含む多数のプロテアーゼ阻害剤が含有される。皮膚等価物に加えたとき、10%血清は、角質層の厚さを増大させることが認められる。
【0698】
図19は、6μMのペプチド641の添加により、角質層がより透過性になることを示す。
【0699】
図20は、6μMのペプチド642の添加により、角質層がより透過性になることを示す。
【0700】
図21は、より顕著な作用が、ペプチド643を皮膚培養物に添加した後に認められることを示す。このペプチドはSLPIの短い領域を模倣する。その短い長さ(7アミノ酸)のために、このペプチドは、SCCEおよびSCTEを含むプロテアーゼ酵素がこのペプチドによって特異的に阻害される角質層に浸透することができる。観測された全体的な作用は角質層の肥厚化であり、従って、増大した皮膚バリアである。
【0701】
図22は、6μMのペプチド651(SLPI)の添加により、角質層の厚さの増大、従って、増大した皮膚バリアが生じることを示す。
【0702】
図23は、6μMのペプチド653(SLPI)の添加により、角質層の厚さの増大、従って、増大した皮膚バリアが生じることを示す。
【0703】
従って、プロテアーゼ阻害剤およびそのフラグメントは、損なわれた皮膚バリア機能を含む症状を有する疾患(例えば、皮膚炎、湿疹)に対する新しい処置を提供する。本明細書に含まれるこれらの新規なペプチドは、それらの小さいサイズおよび浸透性ならびに皮膚バリア機能を改善することに対するそれらの効果のために、皮膚バリアが不完全な皮膚障害に対する処置として使用することができる。
【0704】
図24は、2.5ng/mlのTNF−αの添加により、角質層の厚さの増大、従って、増大した皮膚バリアが生じることを示す。
【0705】
図25は、2.5ng/mlのIL−1βの添加により、角質層の厚さの増大、従って、増大した皮膚バリアが生じることを示す。
【0706】
考察
ペプチド641およびペプチド642はデスモコリンおよびデスモプラキン(角質層における細胞密着に関与する細胞構造体であるコレネオデスモソームのタンパク質成分の2つ)の領域を模倣する。ペプチド641およびペプチド642は、落屑時の切断に関与するタンパク質の領域を模倣する。
【0707】
皮膚等価物がこれらのペプチドで処理されたとき、皮膚バリアの組織構造が変化し、透過性が大きくなるようであった。従って、ペプチド641およびペプチド642は、増大した角質層密着を含む症状を有する疾患(例えば、乾癬およびざ瘡、すなわち、任意の第II群疾患)に対する新しい処置として使用することができる。
【0708】
従って、本発明者らは、個体における第II群疾患(好ましくは乾癬および/またはざ瘡)を処置または防止する方法で、接着タンパク質またはそのフラグメントを個体に投与することを含む方法を提供する。好ましくは、デスモコリンのフラグメントまたはデスモプラキンのフラグメントが投与される。より好ましくは、ペプチド641および/またはペプチド642の配列を含むフラグメントが投与される。
【0709】
ペプチド643、ペプチド651およびペプチド653を皮膚等価物に添加したとき、角質層の厚さの増大が認められる。これらのペプチドは、角質層キモトリプシン酵素および角質層トリプシン酵素(それぞれ、SCCEおよびSCTE)のプロテアーゼの阻害剤であるSLPIの領域を模倣するように設計されている。これらの酵素は角質層におけるデスモソームを分解し、従って細胞密着を低下させる。角質層の厚さの増大は、ペプチド643、ペプチド651およびペプチド653がそのようなプロテアーゼを阻害していることを示す。最も顕著な効果が、ペプチド643を皮膚培養物に添加した後に認められる。このペプチドはSLPIの短い領域を模倣する。その短い長さ(7アミノ酸)のために、このペプチドは、おそらくは、SCCEおよびSCTEのプロテアーゼ酵素がこのペプチドにより特異的に阻害される角質層に浸透することができる。
【0710】
TNFaおよびIL−1βもまた、SLPIなどのプロテアーゼ阻害剤の活性化因子であるので、湿疹および皮膚炎などの、接着が低下した疾患を処置するために使用することができる。
【0711】
従って、本発明者らは、個体における第I群疾患(好ましくは湿疹および/または皮膚炎、より好ましくはアトピー性湿疹および/または疱疹状皮膚炎)を処置または防止する方法で、プロテアーゼ阻害剤またはそのフラグメントを個体に投与することを含む方法を提供する。好ましくは、SLPIのフラグメントが投与される。より好ましくは、ペプチド643および/またはペプチド651および/またはペプチド653の配列を含むフラグメントが投与される。
【0712】
SLPIの阻害作用を模倣する、SLPIのGenBank配列(X04502)に由来するペプチドの完全なリストは下記の通りである。CGKS(SB7a)およびCGKSCVSPVKA(SB7b)、KIIDGA、GDKIIDGA、GDKIID、KII、KIID、KIIDG、KIIDGA、LDPVD(651)、KRDLK(652)、LDPVDTPNP(653)、LDPVDTPNPTRRKPG(654)、CGKSCVSPVKA(644)、CVSPVKA(643)。従って、これらのペプチドのいずれかを、第I群疾患の処置または防止において使用することができる。
【0713】
実施例E6.他のプロテアーゼ阻害剤による皮膚等価物の処理
方法
皮膚等価物(+阻害剤および−阻害剤)を阻害剤とともに24時間培養する。皮膚等価物の組織学切片を調製する。その後、切片を光学顕微鏡および電子顕微鏡によって分析する。
【0714】
SLPI
SLPI(500nM)を培養された皮膚等価物に加え、24時間培養する。皮膚等価物(+SLPIおよび−SLPI)の切片を調製する。その後、切片を光学顕微鏡および電子顕微鏡において分析する。
【0715】
SLPIによる処理は、角質層の厚さを増大させること、そして皮膚バリアを増強させることが認められる。従って、SLPIは、湿疹および皮膚炎などの任意の第I群疾患を処置するために使用することができる。
【0716】
抗SCCE抗体
SCCE抗体を培養された皮膚等価物に加え、24時間培養する。ヒト等価物(+SCCE抗体および−SCCE抗体)の切片を調製する。その後、切片を光学顕微鏡および電子顕微鏡において分析する。
【0717】
抗SCCE抗体による処理は、角質層の厚さを増大させること、そして皮膚バリアを増強させることが認められる。従って、抗SCCE抗体は、湿疹および皮膚炎などの任意の第I群疾患を処置するために使用することができる。
【0718】
抗SCTE抗体
SCTE抗体を培養された皮膚等価物に加え、24時間培養する。皮膚等価物(+SCTE抗体および−SCTE抗体)の切片を調製する。その後、切片を光学顕微鏡および電子顕微鏡において分析する。
【0719】
抗SCTE抗体による処理は、角質層の厚さを増大させること、そして皮膚バリアを増強させることが認められる。従って、抗SCTE抗体は、湿疹および皮膚炎などの任意の第I群疾患を処置するために使用することができる。
【0720】
実施例E7.プロテアーゼ阻害剤による湿疹罹患者の処置
方法
SLPIプロテアーゼ阻害剤を志願者の正常なヒト皮膚から抽出する。あるいは、個体由来のプロテアーゼ阻害剤をコードする核酸配列を、PCRまたはライブラリースクリーニングによってクローン化する。個体のプロテアーゼ阻害剤配列を発現ベクターにクローン化し、そして従来の方法および知られている方法を使用して、組換えプロテアーゼ阻害剤を発現させ、精製する。
【0721】
その後、阻害剤を皮膚軟化クリーム基剤に配合する。この配合物の2回分の指先量を、志願者の腕における皮膚領域(2x2cmの大きさ)に塗布する。この領域を、綿包帯で所定位置に固定されたプラスチックカプセルで覆う。クリームが、14日間連続して毎日、同じ領域に再び塗布される。
【0722】
14日目にキャップを除き、1x0.5cmの楕円皮膚生検物を処置領域から採取し、そして類似する生検物が反対側の腕の非処置領域から採取される。
【0723】
結果
コントロールと比較された処置生検物の組織学的検査により、角質層の肥厚が、角質層の表面部分における緩く接着した鱗片とともに明らかにされる。これは乾癬斑の上部部分の特徴を連想させる。成長可能な表皮内には錯角化および肥厚が見られる。これらの特徴もまた、乾癬病変において見られる特徴に類似する。
【0724】
考察
従って、SPLIプロテアーゼ阻害剤の添加に応答する皮膚の肥厚は、損なわれた皮膚バリア機能を含む症状を有する疾患(例えば、湿疹、皮膚炎)に対する有用な処置であることを示している。
【0725】
実施例F:トランスジェニック生物
実施例F1.コルネオデスモシンを過剰発現するトランスジェニックマウス
本発明者らは、皮膚バリアが異常なトランスジェニックマウスを作製するために、コルネオデスモシン遺伝子をマウスにおいて過剰発現させた。
【0726】
コルネオデスモシンフラグメントの作製
cDNAを、5’UTRおよびORF全体および3’UTRを含有する、フォワード5’ccgtgcagtccgagatg3’およびリバース5’gatatagtgtatgtgcttg3’を含むプライマー組を使用して、表皮から単離されたmRNAから作製する。PCR産物(1659bp)を(上記に記載されるように)精製する。精製された生成物は、修飾プライマーを使用するテンプレートとして使用される。これらのプライマーはその5’末端にNotI部位を含有する。
【0727】
PCR産物を1%アガロースゲルから精製して、NotI制限酵素と37℃で4時間インキュベーションする。消化された生成物をインボルクリン発現カセットに挿入して、トランスジーンフラグメントを元のプラスミドから切り出し、精製する。精製されたフラグメントは、卵母細胞への注入のために、滅菌PBSに5mg/mlの濃度で懸濁される。
【0728】
インボルクリン発現カセット
インボルクリン発現カセットには、Carrollら(1993および1996)によって記載されるように、3.7kbのインボルクリン配列(2.5kbのインボルクリンプロモーター)、シミアンウイルス40(SV40)イントロン、およびSV40ポリアデニル化配列が含まれる。簡単に記載すると、−2500から+1240までの3740bpのHindIIIフラグメント(数字は転写開始部位(+1)の上流方向(−)および下流方向(+)のその配列距離に基づく)は、遠位領域、近位領域TATAA、第1エキソン、そして第1イントロンのドナー部位とアクセプター部位とを含むインボルクリン遺伝子の第1イントロンを含有する(Carrollら、1993)。
【0729】
動物の表現型
コルネオデスモシンを過剰発現するマウスは、鱗片状表面を有する肥厚した皮膚を有する。これらの特徴は、四肢、耳および頭において非常に顕著である。病変皮膚の組織学により、底部で細長く、棍棒状になった表皮隆起部の棘細胞離開が明らかにされる。錯角化および過角化もまた表皮内に見られる。角質層は、鱗片状表面を伴って肥厚している。これらの特徴は、乾癬皮膚において見られるいくつかの変化に類似している。
【0730】
広汎性脱毛がコルネオデスモシンマウスにおいて発生する。これは、2ヶ月後に、より明らかになる。
【0731】
組織学および免疫組織化学
性別および身体部位に従って一致させたトランスジェニックマウスおよびトランスジーン陰性マウスに由来する組織がすべての組織研究のための使用される。組織学的分析のために、組織をホルモール−生理的食塩水において一晩固定し、パラフィンに包埋し、切片化して、ヘマトキシリンおよびエオシンで染色する。クロロアセタートエステラーゼが、好中球に対する組織化学マーカーとして使用される。TUNELが正常マウスおよびトランスジェニックマウスのパラフィン切片に対して行われる(Carrollら(1995)を参照のこと)。皮膚は厚く、マウスの背側皮膚の組織学切片は表皮の厚さの著しい増大を示している。皮膚バリアは、乾癬皮膚において認められるように、これらの動物では増強されている。
【0732】
免疫組織化学が、マウスコルネオデスモシンに対して特異的な抗体(1:40希釈)を用いて行われる。一次抗体が、アビジンDHおよびビオチン化染色システム(Vectasatain ABCキット、米国)を使用して二次抗体によって検出される。染色は、一致するコントロールと比較したとき、トランスジェニック動物の皮膚におけるコルネオデスモシンの発現が大きいことを示している。コルネオデスモシンのこの過剰発現は、トランスジェニック動物の皮膚の基底上部層において主に見られる。
【0733】
実施例F2.SCCEを過剰発現するトランスジェニックマウス
本発明者らは、重度の異常な(欠陥)皮膚バリアを有するトランスジェニックマウスを作製するために、SCCEをマウスにおいて過剰発現させた。
【0734】
種々のSCCEハプロタイプを、5’UTRおよびORF全体および3’UTRを含有する、フォワード(5’から3’に)CGGGCTCCATGGCAAGATCおよびリバース(5’から3’に)GCGTCCTCACTCCTGTGCを含むプライマー組を使用して、疾患表皮に由来するRNAを使用して増幅する。PCR産物を(上記に記載されるように)精製する。精製された生成物は、修飾プライマーを使用するテンプレートとして使用される。これらのプライマーはその5’末端にNotI部位を含有する。PCR産物を1%アガロースゲルから精製して、NotI制限酵素と37℃で4時間インキュベーションする。消化された生成物をインボルクリン発現カセットに挿入して、トランスジーンフラグメントを元のプラスミドから切り出し、精製する。精製されたフラグメントは、卵母細胞への注入のために、滅菌PBSに5mg/mlの濃度で懸濁される。
【0735】
動物の表現型
SCCEを過剰発現する成体マウスは皮膚バリアにおける様々な異常を有する。SCCEを層上部において過剰発現する動物は広範囲にわたる皮膚の水疱形成を示す。皮膚バリアの欠陥が、SCCEの非疾患対立遺伝子を過剰発現する動物と比較した場合、これらの動物ではより顕著である。
【0736】
組織学および免疫組織化学
トランスジェニックマウスおよびトランスジーン陰性マウスに由来する組織を、上記に記載されるように一致させ、処理する。
【0737】
皮膚は厚く、マウスの背側皮膚の組織学切片は表皮の厚さの著しい増大を示している。皮膚バリアは、湿疹性皮膚で認められるように、これらの動物では損なわれている。
【0738】
皮膚バリアの欠陥を有するマウスにおける水疱の組織学は、表皮の表面層における細胞接着の喪失を示している。
【0739】
免疫組織化学が、マウスSCCEに対して特異的な抗体(1:40希釈)を用いて行われる。一次抗体が、アビジンDHおよびビオチン化染色システム(Vectastain ABCキット、米国)を使用して二次抗体によって検出される。染色は、一致するコントロールと比較したとき、トランスジェニック動物の皮膚におけるSCCEの発現が大きいことを示している。SCCEのこの過剰発現は、トランスジェニック動物の皮膚の基底上部層において主に見られる。
【0740】
基底上部層においてSCCEを過剰発現する動物は、乾燥した薄片状の皮膚を有する。皮膚の組織化学的検査により、表皮の分裂が明らかにされる。この棘細胞離開は、キモトリプシンで処理された皮膚等価物培養物で見られる棘細胞離開と類似している(本研究における処置の節を参照のこと)。分裂は、顆粒層内、顆粒層と棘層との間、および角質化層と顆粒層との間において生じる。分裂はまたは角質層内にも存在する。
【0741】
SCCEトランスジェニック(+/+)マウスの表皮は同腹子の表皮よりも厚くなっている。この肥厚はすべての身体部位で見出される。本発明者らは、色素浸透アッセイ(Hardmanら、1998;Marshallら、2000)を使用して、SCCEトランスジェニックマウスにおける表皮バリアの一体性を試験した。SCCEの+/+トランスジェニックマウスは多数の暗点を示しており、これはバリア機能の局在的な喪失を示している。
【0742】
実施例F3.SLPIを過剰発現するランスジェニックマウス
cDNAを、5’UTRおよびORF全体および3’UTRを含有する、フォワード5’ctcctgccttcaccatgaag3’およびリバース5’cagagcctcctccatatg3’を含むプライマー組を使用して、表皮から単離されたmRNAから作製する。PCR産物を(上記に記載されるように)精製する。
【0743】
精製された生成物は、修飾プライマーを使用するテンプレートとして使用される。これらのプライマーはその5’末端にNotI部位を含有する。PCR産物を1%アガロースゲルから精製して、NotI制限酵素と37℃で4時間インキュベーションする。消化された生成物をインボルクリン発現カセットに挿入して、トランスジーンフラグメントを元のプラスミドから切り出し、精製する。精製されたフラグメントは、卵母細胞への注入のために、滅菌PBSに5mg/mlの濃度で懸濁される。
【0744】
動物の表現型
SLPIを過剰発現する成体マウスは皮膚の様々な異常を有する。SLPIはトランスジェニック動物において表皮の基底上部層で主に発現しており、このことは、トランスジェニックマウスが乾癬皮膚と類似する表現型を示すことを示している。
【0745】
組織学および免疫組織化学
性別および身体部位に従って一致させたトランスジェニックマウスおよびトランスジーン陰性マウスに由来する組織がすべての組織研究のための使用される。組織学的分析のために、組織をホルモール−生理的食塩水において一晩固定し、パラフィンに包埋し、切片化して、ヘマトキシリンおよびエオシンで染色する。クロロアセタートエステラーゼが、好中球に対する組織化学マーカーとして使用される。TUNELが正常マウスおよびトランスジェニックマウスのパラフィン切片に対して行われる(Carrollら(1995)を参照のこと)。皮膚は厚く、マウスの背側皮膚の組織学切片は表皮の厚さの著しい増大を示している。皮膚バリアは、乾癬皮膚において認められるように、これらの動物では増強されている。
【0746】
免疫組織化学が、マウスSLPIに対して特異的な抗体(1:40希釈)を用いて行われる。一次抗体が、アビジンDHおよびビオチン化染色システム(Vecta stain ABCキット、米国)を使用して二次抗体によって検出される。染色は、一致するコントロールと比較したとき、トランスジェニック動物の皮膚におけるSLPIの発現が大きいことを示している。SLPIのこの過剰発現は、トランスジェニック動物の皮膚の基底上部層において主に見られる。
【0747】
付属A:シスタチンAの基準配列
CystA.1(シスタチンA配列1)の配列
1位は第1エキソンの開始である。エキソンには下線が付されている。
【表37】
【0748】
CystA.2(シスタチンA配列2)の配列
1位は第1イントロンの3’部分の開始である。ギャップが、発表された配列には第1イントロンの5’部分と3’部分との間にあり、従って、2つの配列が本明細書では使用される。
【表38−1】
【表38−2】
【表38−3】
【0749】
付属B:SLPIの基準配列
SLPIの基準配列。この配列における1位はNCBI M7444の1位に対応する。
【表39】
【0750】
(参考文献)
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【0751】
本明細書において言及される特許出願および特許のそれぞれ、そして上記の特許出願および特許のそれぞれにおいて引用または参照されるそれぞれの文献(これには、特許出願および特許のそれぞれの審査時に引用または参照されるそれぞれの文献(「出願引用文献」)を含む)、ならびに特許出願および特許のそれぞれにおいて、そして出願引用文献のいずれかにおいて引用または言及される何らかの製品に対する製造者の何らかの説明書またはカタログは、本明細書により、参考として本明細書中に組み込まれる。さらに、本明細書において引用されるすべての文献、および本明細書で引用される文献において引用または参照されるすべての文献、そして本明細書で引用または言及される何らかの製品に対する製造者の何らかの説明書またはカタログは、本明細書により、参考として本明細書中に組み込まれる。
【0752】
本発明の記載された方法およびシステムの様々な改変および変化が、本発明の範囲および精神から逸脱することなく当業者には明らかになる。本発明は特定の好ましい実施形態に関連して記載されているが、請求項に記載される本発明は、そのような特定の実施形態に対して不当に限定されるべきではないことを理解しなければならない。実際、分子生物または関連分野の当業者には自明である、本発明を実施するための記載された態様の様々な改変は請求項の範囲に含まれるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0753】
【図1】図1は、アトピー性湿疹患者から得られたSCCE遺伝子のエキソンVに対応するAE2配列のクロマトグラムの一部を示す。4bpの反復が矢印により示される。
【図2】図2は、第2の反復(AACC)が存在しない、図2に対応するポリ9(コントロール)配列のクロマトグラムの一部を示す。4bpの1回の反復が矢印により示される。
【図3】図3は、プライマーのF5およびI/D RII(最初の最適化)を使用したときの10個のDNAサンプルのPCR産物の電気泳動ゲルを示す。予想されるPCR産物(457bp)が矢印により示される。
【図4】図4は、エキソン5全体の増幅産物(最初の最適化)である800bpの「コントロール」増幅産物を含むPCR反応生成物のゲル電気泳動を示す。この図により、内部コントロール(矢印により示される800bp)を使用して、結果が有効であることが確認される。
【図5】図5は、コントロール患者および湿疹患者におけるシスタチンAプロモーターの転写活性を示すグラフである。プロモーター領域のPCR産物がレポーターベクター(CAT)にクローン化される。これらには、コントロール患者および湿疹患者にそれぞれ由来する、pcstappoly7rCAT、pcstappoly3rCAT、pcstappoly4rCAT、およびpcstape8fCAT、pcstape5rCAT、pcstape7rCATの配列が含まれる。トランスフェクションされたSVHK細胞が集められ、抽出物がCAT活性についてアッセイされる。
【図6】図6は、抗コルネオデスモシン抗体でプローブされたウエスタンブロットであり、乾癬表皮から抽出されたタンパク質のタンパク質分解プロフィルを示す。PNL:乾癬非病変皮膚、PL:乾癬病変皮膚、N:正常皮膚。
【図7】図7は、抗プラコグロビン抗体でプローブされたウエスタンブロットであり、乾癬表皮から抽出されたタンパク質のタンパク質分解プロフィルを示す。PNL:乾癬非病変皮膚、PL:乾癬病変皮膚、N:正常皮膚。
【図8】図8は、抗デスモプラキン抗体でプローブされたウエスタンブロットであり、乾癬表皮から抽出されたタンパク質のタンパク質分解プロフィルを示す。PNL:乾癬非病変皮膚、PL:乾癬病変皮膚、N:正常皮膚。
【図9】図9は、抗デスモコリンI抗体でプローブされたウエスタンブロットであり、乾癬表皮から抽出されたタンパク質のタンパク質分解プロフィルを示す。PNL:乾癬非病変皮膚、PL:乾癬病変皮膚、N:正常皮膚。
【図10】図10は、抗エンボプラキン抗体でプローブされたウエスタンブロットであり、乾癬表皮から抽出されたタンパク質のタンパク質分解プロフィルを示す。PNL:乾癬非病変皮膚、PL:乾癬病変皮膚、N:正常皮膚。
【図11】図11は、抗SCCE抗体でプローブされたウエスタンブロットであり、乾癬表皮から抽出されたタンパク質のタンパク質分解プロフィルを示す。PNL:乾癬非病変皮膚、PL:乾癬病変皮膚、N:正常皮膚。
【図12】図12は、抗SLPI抗体でプローブされたウエスタンブロットであり、乾癬表皮から抽出されたタンパク質のタンパク質分解プロフィルを示す。PNL:乾癬非病変皮膚、PL:乾癬病変皮膚、N:正常皮膚。
【図13】図13は、皮膚バリア機能が変化した皮膚状態の角質層表面におけるコルネオデスモソーム密度の定量化を示すグラフである。
【図14】図14は、プロテアーゼ酵素の存在下または非存在下で処理された乾癬患者由来のテープストリップにおけるコルネオデスモソーム密度の定量化を示すグラフである。
【図15】図15は、処理されなかった乾癬生検物の断面を示す。厚くなった角質層(SC)に存在する多数のコルネオデスモソームにより、角質細胞の層が強固に保持されている。角質層の下に存在する成長可能な細胞には印が付けられている(V)。3300倍の倍率での透過電子顕微鏡写真。
【図16】図16は、0.25%キモトリプシンで16時間処理された乾癬生検物の断面を示す。角質細胞層の分裂(棘細胞離開)が、キモトリプシンによるコルネオデスモソームの分解のために明らかに認められる。3300倍の倍率での透過電子顕微鏡写真。
【図17】図17は、処理されなかった乾癬生検物(角質層)の断面を示す。多数のコルネオデスモソームを認めることができるが、その一部が白矢印により示される。23000倍の倍率での透過電子顕微鏡写真。
【図18】図18は、0.25%キモトリプシンで16時間処理された乾癬生検物の角質層の断面を示す。はるかに少数のコルネオデスモソームをプロテアーゼ処理の後において認めることができる(実線の白矢印)。分解されたコルネオデスモソームのいくつかの残骸もまた認めることができる(点線の白矢印)。23000倍の倍率での透過電子顕微鏡写真。
【図19】図19は、再構成されたヒト表皮培養物(皮膚等価物)の断面を示す。左側パネル:緩衝化塩溶液による処理(コントロール)、右側パネル:6μMのペプチド641による処理。
【図20】図20は、再構成されたヒト表皮培養物(皮膚等価物)の断面を示す。左側パネル:緩衝化塩溶液による処理(コントロール)、右側パネル:6μMのペプチド642による処理。
【図21】図21は、再構成されたヒト表皮培養物(皮膚等価物)の断面を示す。左側パネル:緩衝化塩溶液による処理(コントロール)、右側パネル:6μMのペプチド643による処理。
【図22】図22は、再構成されたヒト表皮培養物(皮膚等価物)の断面を示す。左側パネル:緩衝化塩溶液による処理(コントロール)、右側パネル:6μMのペプチド651による処理。
【図23】図23は、再構成されたヒト表皮培養物(皮膚等価物)の断面を示す。左側パネル:緩衝化塩溶液による処理(コントロール)、右側パネル:6μMのペプチド653による処理。
【図24】図24は、再構成されたヒト表皮培養物(皮膚等価物)の断面を示す。左側パネル:緩衝化塩溶液による処理(コントロール)、右側パネル:2.5ng/mlのTNF−αによる処理。
【図25】図25は、再構成されたヒト表皮培養物(皮膚等価物)の断面を示す。左側パネル:緩衝化塩溶液による処理(コントロール)、右側パネル:2.5ng/mlのIL−1βによる処理。
Claims (84)
- 上皮細胞間の異常な細胞−細胞接着に関連する疾患またはそのような疾患に対する感受性を診断する方法であって、前記方法が個体の接着タンパク質またはプロテアーゼまたはプロテアーゼ阻害剤をコードする核酸における変異を検出することを含む方法。
- 個体における第I群疾患または第I群疾患に対する感受性を診断する方法であって、前記方法が接着タンパク質またはプロテアーゼまたはプロテアーゼ阻害剤のポリペプチドにおける多型、あるいは接着タンパク質またはプロテアーゼまたはプロテアーゼ阻害剤のポリペプチドをコードする核酸における多型で、第I群疾患に関連する多型の存在の有無を検出することを含む方法。
- 接着タンパク質が、表D2.1および表D5.1に示される接着タンパク質からなる群から選択され、好ましくは、コルネオデスモシン、デスモグレインI、デスモグレイン3、プラコグロビン、デスモプラキン、デスモコリンI、エンボプラキン、プロリンリッチタンパク質、好ましくは小さいプロリンリッチタンパク質(SPRR)、SPRR2A、SPRR1B、SPRK、SPRR2E、SPRR2F、SPRR2B、SPRR2D、SPRR2C、SPRR2G、SPRR1A、SPRR3、SPRR4、インボルクリンまたはロリクリンである、請求項1または請求項2に記載の方法。
- プロテアーゼが、表D3.1および表D6.1に示されるプロテアーゼからなる群から選択され、好ましくは角質層キモトリプシン様酵素(SCCE)または角質層トリプシン様酵素(SCTE)である、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
- プロテアーゼ阻害剤が、表D4.1および表D7.1に示されるプロテアーゼ阻害剤からなる群から選択され、好ましくは、分泌型ロイコプロテアーゼ阻害剤(SLPI)、エラフィンプロテアーゼ阻害剤3(PI3もしくはSKALP)またはシスタチンA(CSTA)である、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
- 第I群疾患が、アトピー性湿疹、脂漏性湿疹、刺激性接触皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎、肺アトピー性喘息、ウイルス感染後喘息、気管支反応亢進、慢性閉塞性肺疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、セリアック病、消化性潰瘍化、膿痂疹、ウイルス性いぼ、伝染性軟属腫、細菌性髄膜炎、ウイルス性髄膜炎、ヘリコバクター・ピロリの侵入に関連する消化性潰瘍化、皮膚黒色腫、扁平上皮ガン、基底細胞ガン、皮膚型リンパ腫、皮膚ガン、胃腸管悪性腫瘍、および肺悪性腫瘍からなる群から選択される、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
- 疾患が第I群疾患を含み、方法が、個体の(a)コルネオデスモシン核酸の+1243位におけるTの存在、(b)コルネオデスモシン核酸の+1243位におけるHph1制限酵素部位の非存在、(c)コルネオデスモシンポリペプチド(L20815)の394位におけるロイシン(L)残基の存在、および(d)(c)をもたらすコルネオデスモシン核酸における変異のいずれか1つまたは2つ以上を検出することを含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
- 疾患が第I群疾患を含み、方法が、個体の(a)コルネオデスモシン核酸の+1243位におけるTの存在、(b)コルネオデスモシンポリペプチド(L20815)の394位におけるロイシン(L)残基の存在、および(c)(b)をもたらすコルネオデスモシン核酸における変異のいずれか1つまたは2つ以上を検出することを含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
- 疾患が第I群疾患を含み、方法が、Jenischら(1999)、Tissue Antigens、54:439〜449に記載されるようなCD5コルネオデスモシン対立遺伝子またはCD6コルネオデスモシン対立遺伝子を個体において検出することを含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
- 疾患が第I群疾患を含み、方法が、個体の(a)コルネオデスモシン核酸の180位におけるTの存在、(b)アクセション番号L20815を有するコルネオデスモシンポリペプチドの40位におけるFの存在、(c)アクセション番号AF030130を有するコルネオデスモシンポリペプチドの56位におけるFの存在、および(d)(b)または(c)をもたらすコルネオデスモシン核酸における変異のいずれか1つまたは2つ以上を検出することを含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
- 疾患が第I群疾患を含み、方法が、個体の(a)コルネオデスモシン核酸の619位におけるTの存在、(b)コルネオデスモシンポリペプチドの186位におけるFの存在、および(c)(b)をもたらすコルネオデスモシン核酸における変異のいずれか1つまたは2つ以上を検出することを含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
- 疾患が第I群疾患を含み、方法が、好ましくはSCCEゲノム配列(GB:AF166330)における7634位〜7637位に対応する位置において、個体のSCCE核酸におけるAACCAACC配列の存在を検出することを含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
- 疾患が第I群疾患(好ましくはアトピー性湿疹)を含み、方法が、(a)SLPI核酸の280位におけるT残基の存在、(b)SLPI核酸の292/293位におけるG残基の存在、(c)SLPI核酸の1235/1236位におけるC残基の存在、(d)SLPI核酸の1384/1385位におけるC残基またはA残基の非存在、および(d)上記のいずれかに対応するSLPIポリペプチドにおける多型からなる群から選択される1つまたは2つ以上の多型の存在を検出することを含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
- 疾患が第I群疾患(好ましくは湿疹、より好ましくはアトピー性湿疹)を含み、位置の番号付けがシスタチンA配列CystA.1を参照して行われる場合、方法が、シスタチンA核酸の122位および121位におけるACの非存在、シスタチンA核酸の110位におけるG残基の非存在、シスタチンA核酸の85位におけるt残基の存在、シスタチンA核酸の73位におけるG残基の存在、シスタチンA核酸の72位におけるA残基の非存在、シスタチンA核酸の60位におけるTの非存在、シスタチンA核酸の15位におけるCの非存在、シスタチンA核酸の14位におけるA残基の非存在、シスタチンA核酸の13位におけるC残基の非存在、シスタチンA核酸の6位におけるC残基の非存在、シスタチンA核酸の5位におけるT残基の非存在、シスタチンA核酸の4位におけるG残基の非存在、およびシスタチンA核酸の7位におけるG残基の非存在からなる群から選択される1つまたは2つ以上の多型の存在を検出することを含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
- 疾患、好ましくは皮膚疾患、好ましくは皮膚の炎症性疾患、好ましくは湿疹を診断する方法であって、シスタチンA核酸のTRE−2領域におけるG残基の存在を検出することを含む方法。
- 個体における第I群疾患または第I群疾患に対する感受性を診断する方法であって、接着タンパク質またはプロテアーゼまたはプロテアーゼ阻害剤あるいは接着タンパク質またはプロテアーゼまたはプロテアーゼ阻害剤のフラグメントの存在または非存在または調節されたレベルを個体において検出することを含む方法。
- (a)36kDaおよび46〜43kDaおよび52〜56kDaのコルネオデスモシンポリペプチドの相対的存在量、(b)36kDaおよび46〜43kDaのコルネオデスモシンポリペプチドの1つ以上の存在または上昇したレベル、(c)52〜56kDaのコルネオデスモシンポリペプチドの非存在または調節されたレベル(好ましくはより低いレベル)のいずれか1つまたは2つ以上を個体において検出することを含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
- (a)80kDaおよび95kDaおよび160kDaのデスモグレインIポリペプチドの相対的存在量、(b)95kDaおよび80kDaのポリペプチドの1つ以上の存在または上昇したレベル、(c)160kDaのデスモグレインIポリペプチドの低下したレベル、(d)160kDaのデスモグレインIポリペプチドのタンパク質分解のいずれか1つまたは2つ以上を個体において検出することを含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
- 55kDaのデスモグレイン3ポリペプチド、80kDaのデスモグレイン3ポリペプチド、および100kDaのデスモグレイン3ポリペプチドのいずれか1つまたは2つ以上の存在または上昇したレベルを個体において検出することを含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
- (a)85kDaおよび75kDaおよび70kDaのプラコグロビンポリペプチドの相対的存在量、(b)70kDaのプラコグロビンポリペプチドの非存在または低下したレベル、(c)85kDaのプラコグロビンポリペプチドおよび/または75kDaのプラコグロビンポリペプチドの存在または上昇したレベルのいずれか1つまたは2つ以上を個体において検出することを含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
- (a)70〜80kDaおよび60〜70kDaおよび50〜60kDaのデスモコリン1ポリペプチドの相対的存在量、ならびに(b)50〜60kDaデスモコリン1ポリペプチドの存在または上昇したレベルのいずれか1つまたは2つ以上を個体において検出することを含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
- ポリペプチドまたはフラグメントが、好ましくは皮膚生検物の形態でエクスビボで、個体の表皮において検出されるか、または好ましくはテープストリップの形態で、個体の角質層において検出されることを含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
- ケラチン6A(L42611)、ケラチン17(Z19574)、アネキシンA1/リポコルチン(X05908)およびVI型コラーゲンα3(COL6A3)(NM_004369)からなる群から選択される接着タンパク質のポリペプチドまたは核酸の発現のアップレギュレーションを検出することを含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
- S/コルネオデスモシン(AF030130)、デソプラキン(XM_004463)、プラコグロビン(NM_002230;NM_021991)、デスモグレイン1(XM_008810)、デスモコリン1(MX_008687)、エンボプラキン(XM_008135;U72543)、プレクチン1(NM000445)、S100A2(AI539439;M87068)、S100A8(AI126134)、S100A7(AA586894)、S100A9(GB:W72424)、SPRR2A(GB:M21302)、SPRR1B(M19888)、SPRK(AI923984)、HCR(BAA81890)、SEEK1(BAA88130)、SPR1(BAB63315)、STG(BAA88132)、インボルクリン(NM_005547)、トリコヒアリン(NM_005547)およびロリクリン(XM_048902)からなる群から選択される接着タンパク質のポリペプチドまたは核酸の発現のダウンレギュレーションを検出することを含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
- アポトーシス関連システインプロテアーゼ(CASP14)mRNA(NM_012114)、TGM5(XM_007529)、ホスホリパーゼA(2)(BC013384)、CD47抗原(X69398)、カリクレイン8(AB008390)、AD024タンパク質(XM_002642)、SCCE(XM_009002)、ディフェンシンβ2(AF0711216)、インターフェロンa誘導性タンパク質27(X67325)、脂肪酸結合タンパク質FABP5(M94856)、SCTE(XM_009000)、カリクレイン1(腎臓/膵臓/唾液性)(KLK1)(XM_047300)、ヒトカリクレイン2(前立腺性)(KLK2)(XM_031757)、カリクレイン3(前立腺特異的抗原)(KLK3)(XM_031768)、カリクレイン6(ニューロシン、ザイム)(KLK6)(XM_055658)、カリクレイン4(プロスターゼ、エナメルマトリックス、前立腺)(KLK4)(XM_008997)、膜型セリンプロテアーゼ1(AF133086)、ヒト皮膚コラゲナーゼ(M13509)、コラゲナーゼMMP−1(LOC116389)、コラゲナーゼMMP−12(U78045)、コラゲナーゼMMP−9(NM_004994)、コラゲナーゼMMP−3(U78045)、コラゲナーゼMMP−28(AF219624)、カスパーゼ7(BC015799)、カスパーゼ5(NM_004347)、カスパーゼ−14(NM_012114)、ユビキチン特異的プロテアーゼUSP−5(NM_003481)、ユビキチン特異的プロテアーゼUSP−11(NM_004651)、ユビキチン特異的プロテアーゼUSP−6(NM_004505)、TPS1(NM_003293)、TPSB1(XM_016204)、TPSG1(XM_008123)、プロテアーゼネキシン−II(XM_047793)、グリア由来ネキシン前駆体(P07093)、26Sプロテアーゼ調節サブユニットS10B(Q92524)およびPCOLN3(XM_047524)からなる群から選択されるプロテアーゼのポリペプチドまたは核酸の発現のアップレギュレーションを検出することを含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
- トランスグルタミナーゼ1(TGM1)(M98447)、TGM2(XM_009482)、TGM4(XM_056203)、TGM7(NM_052955)、TGM3(L10386)、ユビキチン特異的プロテアーゼUSP26(NM_031907)、ユビキチン特異的プロテアーゼ(USP28)(NM_020886)、26Sプロテアーゼサブユニット4(L02426)、LILRB1(AF004230)、転写のシグナル変換因子/活性化因子1(91kDa)(STAT1)(977935)、およびプロテアソーム(プロソーム、マクロパイン)サブユニット6(PSMA6)(X59417)からなる群から選択されるプロテアーゼのポリペプチドまたは核酸の発現のダウンレギュレーションを検出することを含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
- hbc750ヒト膵臓小島(T11141;T10920)、TIMP−4(NM_003256)、TIM9a(AF150100)、2型プラスミノーゲン活性化因子阻害剤(L19066)、多価プロテアーゼ阻害剤WFIKKN(AF422194)、エピン−1(EPPIN)(AF286368)、エピン−2(EPPIN)(AF286369)、エピン−3(EPPIN)(AF286370)、sparc/オステオネクチン(cwcv様ドメインおよびkazal様ドメインのプロテオグリカン[テスティカン])(SPOCK)(NM_004598)、PI12(AH009756)、HIV−1プロテアーゼのI型ヒト免疫不全症ウイルス遺伝子(AB020923)、分泌型リンタンパク質2(24kD)(SPP2)(NM_006944)、およびサイクリン依存性キナーゼ阻害剤2B(p15、CDK4を阻害する)(CDKN2B)(NM_004936)からなる群から選択されるプロテアーゼ阻害剤のポリペプチドまたは核酸の発現のダウンレギュレーションを検出することを含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
- SLP1(X04502)、SKALP(XM_009524;L10343)、CSTA(NM_005123;AA570193)、SCCA(S66296)、SCCA2(U19557)、1型プラスミノーゲン活性化因子阻害剤(X04729;X04731)、PAI2(AF071400)、SERPINA5(NM_000624)、TIMP(D11139)、TIMP−1(NM_003254)、TIMP−2(NM_003255)、TIMP−3(E13880)、TIM9b(AF150105)、シスタチンA(AA570193)、シスタチンM/E(NM_001323)、C1阻害剤(SERPING1)(XM_046218)、プロテアーゼ阻害剤(Kunitz型2)(SPINT2)(XM_032280)、セリンプロテアーゼ阻害剤(Kazal型4)(SPINK4)(XM_005539)、プロテイナーゼ阻害剤(cladeB[オバルブミン])(メンバー9)(XM_053642)、セリン(またはシステイン)プロテイナーゼ阻害剤(cladeB[オバルブミン])(メンバー6)(XM_047984)、KunitzドメインおよびWAPドメインを有するセリンプロテアーゼ阻害剤様1(エピン)(SPINLW1)(NM_020398)、プロテアーゼ阻害剤(Kunitz型1)(SPINT1)(XM_056836)、HIV−1プロテアーゼのI型ヒト免疫不全症ウイルス遺伝子(AB020924)、組織因子経路阻害剤2(TFPI2)(NM_006528)、カテプシンF(CTSF)(NM_003793)、セリン(またはシステイン)プロテイナーゼ阻害剤(cladeA[α−1抗プロテイナーゼ、アンチトリプシン])(メンバー6)(SERPINA6)(NM_001756)、セリン(またはシステイン)プロテイナーゼ阻害剤(cladeB[オバルブミン])(メンバー3)(SERPINB3)(NM_006919)、セリン(またはシステイン)プロテイナーゼ阻害剤(cladeA[α−1抗プロテイナーゼ、アンチトリプシン])(メンバー3)(SERPINA3)(NM_001085)、ヒトセリン(またはシステイン)プロテイナーゼ阻害剤(cladeB[オバルブミン])(メンバー13)(XM_008743)、セリン(またはシステイン)プロテイナーゼ阻害剤(cladeB[オバルブミン])(メンバー5)(SERPINB5)(XM_008742)、RelA結合型阻害剤(XM_057693)、DNA結合阻害剤1(優性ネガティブなヘリックス−ループ−ヘリックスタンパク質[ID1])(XM_046179)、セリン(またはシステイン)プロテイナーゼ阻害剤(cladeE[ネキシン、1型プラスミノーゲン活性化因子阻害剤])(メンバー)(SERPINE1)(XM_054850)、サイクリン依存性キナーゼ阻害剤2B(p15、CDK4を阻害する)に類似するもの(BC014469)、セリン(またはシステイン)プロテイナーゼ阻害剤(cladeB[オバルブミン])(メンバー7)(SERPINB7)(XM_008745)、活性化STATタンパク質PIASyのタンパク質阻害剤(PIASY)(NM_016149)、活性化STATタンパク質PIASyのタンパク質阻害剤に類似するもの(LOC95830)(XM_016864)、PKCにより強化されるPP1阻害タンパク質(PPP1R14A)(AY050668)、DNA結合阻害剤3(優性ネガティブなヘリックス−ループ−ヘリックスタンパク質[ID3])(NM_002167)、CladeA(α−1抗プロテイナーゼ、アンチトリプシン)セリン(またはシステイン)プロテイナーゼ阻害剤(cladeH[熱ショックタンパク質47])(メンバー1)(SERPINH1)(NM_004353)、フルピン(セリンプロテアーゼ阻害剤)に対するPI13遺伝子(AJ278717)、プロテアーゼ阻害剤5(マスピン)(PI5)(XM_008742)、およびPAI−2(A32415)からなる群から選択されるプロテアーゼ阻害剤のポリペプチドまたは核酸の発現のアップレギュレーションを検出することを含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
- 第I群疾患を処置または予防する方法であって、前記方法が細胞間の接着を担う接着タンパク質の発現および/または活性をアップレギュレーションさせること、あるいはそのような接着タンパク質のタンパク質分解をダウンレギュレーションさせることを含む方法。
- 接着タンパク質の発現および/または活性が転写レベルまたは翻訳レベルまたはその両方でアップレギュレーションされる、前記請求項に記載の方法。
- 接着タンパク質のタンパク質分解に関与するプロテアーゼの発現および/または活性および/または分解がダウンレギュレーションされる、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
- 接着タンパク質のタンパク質分解に関与するプロテアーゼの活性を阻害することを担うプロテアーゼ阻害剤の発現および/または活性がアップレギュレーションされ、かつ/またはそのようなプロテアーゼ阻害剤の分解がダウンレギュレーションされる、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
- 接着タンパク質のタンパク質分解が、プロテアーゼ阻害剤またはそのフラグメントを投与すること、プロテアーゼのアンタゴニストまたはそのフラグメントを投与すること、プロテアーゼ阻害剤のアゴニストを投与すること、プロテアーゼの発現を低下させること、プロテアーゼの活性を低下させること、プロテアーゼ阻害剤の発現を増大させること、プロテアーゼ阻害剤の活性を増大させることの1つまたは2つ以上によって低下させられる、前記請求項に記載の方法。
- 第I群疾患を処置または予防する方法であって、そのような疾患に罹患している患者またはそのような疾患に罹患する可能性を有する患者に、接着タンパク質またはプロテアーゼまたはプロテアーゼ阻害剤あるいは接着タンパク質またはプロテアーゼまたはプロテアーゼ阻害剤のフラグメントの疾患非関連形態の治療効果的な量を投与することを含む方法。
- プロテアーゼ活性を阻害することができるプロテアーゼ阻害剤またはそのフラグメントを投与することを含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
- SLP1のフラグメントを投与すること、好ましくは、CGKS(SB7a)およびCGKSCVSPVKA(SB7b)、KIIDGA、GDKIIDGA、GDKIID、KII、KIID、KIIDG、KIIDGA、LDPVD(651)、KRDLK(652)、LDPVDTPNP(653)、LDPVDTPNPTRRKPG(654)、CGKSCVSPVKA(644)、CVSPVKA(643)からなる群から選択されるペプチドを投与すること、最も好ましくは、ペプチド643またはペプチド651またはペプチド653を投与することを含む、前記請求項に記載の方法。
- TNF−αおよび/またはIL−βを投与することを含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
- 第I群疾患が湿疹(好ましくはアトピー性湿疹)または皮膚炎(好ましくは疱疹状皮膚炎)である、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
- 個体における第II群疾患または第II群疾患に対する感受性を診断する方法であって、接着タンパク質またはプロテアーゼまたはプロテアーゼ阻害剤のポリペプチドにおける多型、あるいは接着タンパク質またはプロテアーゼまたはプロテアーゼ阻害剤のポリペプチドをコードする核酸における多型で、第II群疾患に関連する多型の存在の有無を検出することを含む方法。
- 疾患が第II群疾患を含み、方法が、Jenischら(1999)、Tissue Antigens、54:439〜449に記載されるようなCD2コルネオデスモシン対立遺伝子を個体において検出することを含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
- 疾患が第II群疾患を含み、方法が、個体の(a)コルネオデスモシン核酸の180位におけるCの存在、(b)アクセション番号L20815を有するコルネオデスモシンポリペプチドの40位におけるLの存在、(c)アクセション番号AF030130を有するコルネオデスモシンポリペプチドの56位におけるLの存在、および(d)(b)または(c)をもたらすコルネオデスモシン核酸における変異のいずれか1つまたは2つ以上を検出することを含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
- 疾患が第II群疾患を含み、方法が、(a)個体のコルネオデスモシン核酸の619位におけるCの存在、(b)個体のコルネオデスモシンポリペプチドの186位におけるSの存在、および(c)(b)をもたらす、個体のコルネオデスモシン核酸における変異のいずれか1つまたは2つ以上を検出することを含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
- 疾患が第II群疾患を含み、方法が、好ましくはSCCEゲノム配列(GB:AF166330)における7634位〜7637位に対応する位置において、個体のSCCE核酸におけるAACCAACC配列の非存在を検出することを含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
- 疾患が個体における第II群疾患(好ましくはざ瘡)を含み、方法が、SLPIの1300位におけるG残基の存在、またはSLPIの1418位におけるC残基の存在、またはそれらの両方を検出することを含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
- 疾患が個体における第II群疾患(好ましくは乾癬)を含み、方法が、(a)SLPI核酸の291位におけるG残基の存在、(b)SLPI核酸の292/293位におけるG残基の非存在、(c)SLPI核酸の1325位におけるG残基の存在、(d)SLPI核酸の1418位におけるC残基の存在、および(d)上記のいずれかに対応するSLPIポリペプチドにおける多型からなる群から選択される1つまたは2つ以上の多型の存在を検出することを含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
- 疾患が個体における第II群疾患(好ましくはざ瘡)を含み、位置の番号付けがシスタチンA配列CystA.1を参照して行われる場合、方法が、1101位におけるG残基の存在、シスタチンA核酸の96位におけるC残基の存在、シスタチンAの71位におけるA残基の存在、シスタチンA核酸の20位におけるG残基の存在、シスタチンA核酸の17位におけるT残基の存在、シスタチンA核酸の13位におけるC残基の存在、スタチンA核酸の10位におけるT残基の存在、シスタチンA核酸の8位におけるT残基の存在、シスタチンA核酸の73位におけるG残基の非存在、シスタチンA核酸の76位および77位におけるTGの非存在、ならびにシスタチンA核酸の6位におけるC残基の非存在からなる群から選択される1つまたは2つ以上の多型の存在を検出することを含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
- 疾患が個体における第II群疾患(好ましくは乾癬)を含み、位置の番号付けがシスタチンA配列CystA.1を参照して行われる場合、方法が、CystA.1の270位におけるG残基の非存在、CystA.1の73位におけるG残基の存在、CystA.1の15位におけるC残基の非存在、CystA.1の6位におけるC残基の非存在、CystA.1の4位におけるG残基の非存在、およびCystA.1の7位におけるG残基の非存在からなる群から選択される1つまたは2つ以上の多型の存在を検出することを含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
- 第II群疾患がざ瘡(好ましくは尋常性ざ瘡)または乾癬(好ましくは尋常性乾癬)である、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
- 個体における第II群疾患または第II群疾患感受性を診断する方法であって、前記方法が接着タンパク質またはプロテアーゼまたはプロテアーゼ阻害剤あるいは接着タンパク質またはプロテアーゼまたはプロテアーゼ阻害剤のフラグメントの存在または非存在または調節されたレベルを個体において検出することを含む方法。
- (a)36kDaおよび46〜43kDaおよび52〜56kDaのコルネオデスモシンポリペプチドの相対的存在量、(b)52〜56kDaのコルネオデスモシンポリペプチドの上昇したレベル、ならびに(c)36kDaおよび46〜43kDaのコルネオデスモシンポリペプチドの一方または両方の低下したレベルのいずれか1つまたは2つ以上を個体において検出することを含む、先行する請求項のいずれかに記載される第II群疾患または第II群疾患感受性の診断方法。
- (a)80kDaおよび95kDaおよび160kDaのデスモグレインIポリペプチドの相対的存在量、(b)160kDaのデスモグレインIポリペプチドの上昇したレベル、ならびに(c)95kDaおよび80kDaのデスモグレインIポリペプチドの一方または両方の低下したレベルまたは非存在、ならびに(d)160kDaのデスモグレインIポリペプチドのタンパク質分解の非存在のいずれか1つまたは2つ以上を個体において検出することを含む、先行する請求項のいずれかに記載される第II群疾患または第II群疾患感受性の診断方法。
- 55kDaのデスモグレイン3ポリペプチド、80kDaのデスモグレイン3ポリペプチド、および100kDaのデスモグレイン3ポリペプチドのいずれか1つまたは2つ以上の低下したレベルまたは非存在を個体において検出することを含む、先行する請求項のいずれかに記載される第II群疾患または第II群疾患感受性の診断方法。
- (a)85kDaおよび75kDaおよび70kDaのプラコグロビンポリペプチドの相対的存在量、(b)70kDaのプラコグロビンポリペプチドの存在または上昇したレベル、ならびに(c)75kDaのプラコグロビンポリペプチドの非存在またはは低下したレベルのいずれか1つまたは2つ以上を個体において検出することを含む、先行する請求項のいずれかに記載される第II群疾患または第II群疾患感受性の診断方法。
- (a)75〜80kDaおよび/または190〜250kDaおよび/または120〜180kDaのデスモプラキンポリペプチドの相対的存在量、(b)190〜250kDaおよび120〜180kDaのデスモプラキンポリペプチドのいずれかまたは両方の非存在または低下したレベル、ならびに(c)85kDaデスモプラキンポリペプチドのタンパク質分解の非存在のいずれか1つまたは2つ以上を個体において検出することを含む、先行する請求項のいずれかに記載される第II群疾患または第II群疾患感受性の診断方法。
- (a)70〜80kDaおよび60〜70kDaおよび50〜60kDaのデスモコリン1ポリペプチドの相対的存在量、(b)50〜60kDaのデスモコリンIポリペプチドの非存在または低下したレベルのいずれか1つまたは2つ以上を個体において検出することを含む、先行する請求項のいずれかに記載される第II群疾患または第II群疾患感受性の診断方法。
- (a)124〜209kDa、100〜120kDa、60〜80kDaおよび50〜55kDaのエンボプラキンポリペプチドの相対的存在量、(b)60〜80kDaおよび/または50〜55kDaのエンボプラキンポリペプチドの存在または上昇したレベル、ならびに(c)124〜209kDaおよび/または100〜120kDaのエンボプラキンポリペプチドの非存在または低下したレベルのいずれか1つまたは2つ以上を個体において検出することを含む、先行する請求項のいずれかに記載される第II群疾患または第II群疾患感受性の診断方法。
- (a)80〜90kDaおよび70〜75kDaのポリペプチドの相対的存在量、(b)124〜209kDaのSCCEポリペプチドの存在または上昇したレベル、(c)80〜90kDaのSCCEポリペプチドの非存在または低下したレベルのいずれか1つまたは2つ以上を個体において検出することを含む、先行する請求項のいずれかに記載される第II群疾患または第II群疾患感受性の診断方法。
- (a)90〜100kDaおよび20kDaのポリペプチドの相対的存在量、(b)90〜100kDaのSLPIポリペプチドの存在または上昇したレベル、(c)20kDaのSLPIポリペプチドの非存在または低下したレベルのいずれか1つまたは2つ以上を個体において検出することを含む、先行する請求項のいずれかに記載される第II群疾患または第II群疾患感受性の診断方法。
- S/コルネオデスモシン(AF030130)、デソプラキン(XM_004463)、プラコグロビン(NM_002230;GB:NM_021991)、デスモグレイン1(XM_008810)、デスモコリン1(MX_008687)、エンボプラキン(XM_008135;U72543)、プレクチン1(NM000445)、S100A2(AI539439;M87068)、ケラチン6A(L42611)、ケラチン17(Z19574)、S100A8(AI126134)、S100A7(AA586894)、S100A9(GB:W72424)、SPRR2A(GB:M21302)、SPRR1B(M19888)、SPRK(AI923984)、HCR(BAA81890)、SEEK1(BAA88130)、SPR1(BAB63315)、STG(BAA88132)、インボルクリン(NM_005547)、アネキシンA1/リポコルチン(X05908)、VI型コラーゲンα3(COL6A3)(NM_004369)、トリコヒアリン(NM_005547)およびロリクリン(XM_048902)からなる群から選択される接着タンパク質のポリペプチドまたは核酸の発現のダウンレギュレーションを検出することを含む、先行する請求項のいずれかに記載される第II群疾患または第II群疾患感受性の診断方法。
- トランスグルタミナーゼ1(TGM1)(M98447)、TGM2(XM_009482)、TGM4(XM_056203)、TGM5(XM_007529)、TGM7(NM_052955)、TGM3(L10386)、ホスホリパーゼA(2)(BC013384)、CD47抗原(X69398)、カリクレイン8(AB008390)、AD024タンパク質(XM_002642)、ディフェンシンβ2(AF0711216)、インターフェロンa誘導性タンパク質27(X67325)、脂肪酸結合タンパク質FABP5(M94856)、SCTE(XM_009000)、カリクレイン1(腎臓/膵臓/唾液性)(KLK1)(XM_047300)、ヒトカリクレイン2(前立腺性)(KLK2)(XM_031757)、カリクレイン3(前立腺特異的抗原)(KLK3)(XM_031768)、カリクレイン6(ニューロシン、ザイム)(KLK6)(XM_055658)、カリクレイン4(プロスターゼ、エナメルマトリックス、前立腺)(KLK4)(XM_008997)、膜型セリンプロテアーゼ1(AF133086)、コラゲナーゼMMP−1(LOC116389)、コラゲナーゼMMP−12(U78045)、コラゲナーゼMMP−9(NM_004994)、コラゲナーゼMMP−3(U78045)、コラゲナーゼMMP−28(AF219624)、カスパーゼ7(BC015799)、カスパーゼ5(NM_004347)、カスパーゼ−14(NM_012114)、ユビキチン特異的プロテアーゼUSP−5(NM_003481)、ユビキチン特異的プロテアーゼUSP−11(NM_004651)、ユビキチン特異的プロテアーゼUSP−6(NM_004505)、ユビキチン特異的プロテアーゼUSP−26(NM_031907)、ユビキチン特異的プロテアーゼ(USP28)(NM_020886)、26Sプロテアーゼサブユニット4(L02426)、LILRB1(AF004230)、転写のシグナル変換因子/活性化因子1(91kDa)(STAT1)(977935)、プロテアソーム(プロソーム、マクロパイン)サブユニット6(PSMA6)(X59417)、TPSB1(XM_016204)、プロテアーゼネキシン−II(XM_047793)、グリア由来ネキシン前駆体(P07093)、および26Sプロテアーゼ調節サブユニットS10B、PCOLN3(XM_047524)からなる群から選択されるプロテアーゼのポリペプチドまたは核酸の発現のアップレギュレーションを検出することを含む、先行する請求項のいずれかに記載される第II群疾患または第II群疾患感受性の診断方法。
- アポトーシス関連システインプロテアーゼ(CASP14)mRNA(NM_012114)、SCCE(XM_009002)、ヒト皮膚コラゲナーゼ(M13509)、TPS1(NM_003293)、およびTPSG1(XM_008123)からなる群から選択されるプロテアーゼのポリペプチドまたは核酸の発現のダウンレギュレーションを検出することを含む、先行する請求項のいずれかに記載される第II群疾患または第II群疾患感受性の診断方法。
- SLP1(X04502)、SKALP(XM_009524;L10343)、CSTA(NM_005123;AA570193)、SCCA(S66296)、SCCA2(U19557)、1型プラスミノーゲン活性化因子阻害剤(X04729;X04731)、PAI2(AF071400)、SERPINA5(NM_000624)、2型プラスミノーゲン活性化因子阻害剤(L19066)、TIMP(D11139)、TIMP−1(NM_003254)、TIMP−2(NM_003255)、TIMP−3(E13880)、TIMP−4(NM_003256)、TIM9a(AF150100)、TIM9b(AF150105)、シスタチンA(AA570193)、シスタチンM/E(NM_001323)、多価プロテアーゼ阻害剤WFIKKN(AF422194)、C1阻害剤(SERPING1)(XM_046218)、プロテアーゼ阻害剤(Kunitz型2)(SPINT2)(XM_032280)、セリンプロテアーゼ阻害剤(Kazal型4)(SPINK4)(XM_005539)、プロテイナーゼ阻害剤(cladeB[オバルブミン])(メンバー9)(XM_053642)、セリン(またはシステイン)プロテイナーゼ阻害剤(cladeB[オバルブミン])(メンバー6)(XM_047984)、エピン−1(EPPIN)(AF286368)、エピン−2(EPPIN)(AF286369)、エピン−3(EPPIN)(AF286370)、KunitzドメインおよびWAPドメインを有するセリンプロテアーゼ阻害剤様1(エピン)(SPINLW1)(NM_020398)、sparc/オステオネクチン(cwcv様ドメインおよびkazal様ドメインのプロテオグリカン[テスティカン])(SPOCK)(NM_004598)、プロテアーゼ阻害剤(Kunitz型1)(SPINT1)(XM_056836)、PI12(AH009756)、HIV−1プロテアーゼのI型ヒト免疫不全症ウイルス遺伝子(AB020923)、HIV−1プロテアーゼのI型ヒト免疫不全症ウイルス遺伝子(AB020924)、組織因子経路阻害剤2(TFPI2)(NM_006528)、分泌型リンタンパク質2(24kD)(SPP2)(NM_006944)、カテプシンF(CTSF)(NM_003793)、セリン(またはシステイン)プロテイナーゼ阻害剤(cladeA[α−1抗プロテイナーゼ、アンチトリプシン])(メンバー6)(SERPINA6)(NM_001756)、セリン(またはシステイン)プロテイナーゼ阻害剤(cladeB[オバルブミン])(メンバー3)(SERPINB3)(NM_006919)、セリン(またはシステイン)プロテイナーゼ阻害剤(cladeA[α−1抗プロテイナーゼ、アンチトリプシン])(メンバー3)(SERPINA3)(NM_001085)、ヒトセリン(またはシステイン)プロテイナーゼ阻害剤(cladeB[オバルブミン])(メンバー13)(XM_008743)、セリン(またはシステイン)プロテイナーゼ阻害剤(cladeB[オバルブミン])(メンバー5)(SERPINB5)(XM_008742)、RelA結合型阻害剤(XM_057693)、DNA結合阻害剤1(優性ネガティブなヘリックス−ループ−ヘリックスタンパク質[ID1])(XM_046179)、セリン(またはシステイン)プロテイナーゼ阻害剤(cladeE[ネキシン、1型プラスミノーゲン活性化因子阻害剤])(メンバー)(SERPINE1)(XM_054850)、サイクリン依存性キナーゼ阻害剤2B(p15、CDK4を阻害する)(CDKN2B)(NM_004936)、サイクリン依存性キナーゼ阻害剤2B(p15、CDK4を阻害する)に類似するもの(BC014469)、セリン(またはシステイン)プロテイナーゼ阻害剤(cladeB[オバルブミン])(メンバー7)(SERPINB7)(XM_008745)、活性化STATタンパク質PIASyのタンパク質阻害剤(PIASY)(NM_016149)、活性化STATタンパク質PIASyのタンパク質阻害剤に類似するもの(LOC95830)(XM_016864)、PKCにより強化されるPP1阻害タンパク質(PPP1R14A)(AY050668)、DNA結合阻害剤3(優性ネガティブなヘリックス−ループ−ヘリックスタンパク質[ID3])(NM_002167)、CladeA(α−1抗プロテイナーゼ、アンチトリプシン)(XM_028358)、セリン(またはシステイン)プロテイナーゼ阻害剤(cladeH[熱ショックタンパク質47])(メンバー1)(SERPINH1)(NM_004353)、フルピン(セリンプロテアーゼ阻害剤)に対するPI13遺伝子(AJ278717)、プロテアーゼ阻害剤5(マスピン)(PI5)(XM_008742)、PAI−2(A32415)からなる群から選択されるプロテアーゼ阻害剤のポリペプチドまたは核酸の発現のアップレギュレーションを検出することを含む、先行する請求項のいずれかに記載される第II群疾患または第II群疾患感受性の診断方法。
- hbc750ヒト膵臓小島(T11141;T10920)のポリペプチドまたは核酸の発現のダウンレギュレーションを検出することを含む、先行する請求項のいずれかに記載される第II群疾患または第II群疾患感受性の診断方法。
- 第II群疾患が、乾癬、魚鱗癬、尋常性ざ瘡および毛孔性角化症からなる群から選択される、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
- 第II群疾患を処置または予防する方法であって、細胞間の接着に関する接着タンパク質の発現および/または活性をダウンレギュレーションさせること、またはそのような接着タンパク質のタンパク質分解をアップレギュレーションさせることを含む方法。
- 接着タンパク質の発現および/または活性が転写レベルまたは翻訳レベルまたはその両方でダウンレギュレーションされる、先行する請求項のいずれかに記載される、第II群疾患を処置または予防する方法。
- 接着タンパク質のタンパク質分解に関与するプロテアーゼの発現および/または活性および/または分解がアップレギュレーションされる、先行する請求項のいずれかに記載される、第II群疾患を処置または予防する方法。
- 接着タンパク質のタンパク質分解に関与するプロテアーゼの活性を阻害することを担うプロテアーゼ阻害剤の発現および/または活性がダウンレギュレーションされ、かつ/またはそのようなプロテアーゼ阻害剤の分解がアップレギュレーションされる、先行する請求項のいずれかに記載される、第II群疾患を処置または予防する方法。
- 接着タンパク質のタンパク質分解が、プロテアーゼまたはそのフラグメントを投与すること、プロテアーゼのアゴニストを投与すること、プロテアーゼ阻害剤のアンタゴニストを投与すること、プロテアーゼの発現を増大させること、プロテアーゼの活性を増大させること、プロテアーゼ阻害剤の発現を低下させること、プロテアーゼ阻害剤の活性を低下させることの1つまたは2つ以上によって増大させられる、先行する請求項のいずれかに記載される、第II群疾患を処置または予防する方法。
- 第II群疾患を処置または予防する方法であって、前記方法がそのような疾患に罹患している患者またはそのような疾患に罹患する可能性を有する患者に、接着タンパク質またはプロテアーゼまたはプロテアーゼ阻害剤あるいは接着タンパク質またはプロテアーゼまたはプロテアーゼ阻害剤のフラグメントの疾患非関連形態の治療効果的な量を投与することを含む方法。
- 接着タンパク質またはそのフラグメントを投与することを含む、先行する請求項のいずれかに記載される、第II群疾患を処置または予防する方法。
- デスモコリンIのフラグメント(好ましくは、ペプチド641の配列を含むペプチド)、またはデスモプラキンのフラグメント(好ましくは、ペプチド642の配列を含むペプチド)を投与することを含む、先行する請求項のいずれかに記載される、第II群疾患を処置または予防する方法。
- 接着タンパク質またはプロテアーゼまたはプロテアーゼ阻害剤(好ましくは、疾患関連形態の接着タンパク質またはプロテアーゼまたはプロテアーゼ阻害剤)と特異的に反応し得るポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体。
- 接着タンパク質またはプロテアーゼまたはプロテアーゼ阻害剤に結合することができる分子を同定するための方法であって、接着タンパク質またはプロテアーゼまたはプロテアーゼ阻害剤を候補化合物と接触させること、および候補化合物が接着タンパク質またはプロテアーゼまたはプロテアーゼ阻害剤に結合するかどうかを測定することを含む方法。
- 請求項76に記載される方法によって同定される化合物。
- プロテアーゼの活性を調節することができる分子を同定するための方法であって、(a)接着タンパク質を提供すること、(b)プロテアーゼを提供すること、(c)接着タンパク質を候補分子の存在下でプロテアーゼにさらすこと、および(d)プロテアーゼによる接着タンパク質の切断または非切断を検出することを含む方法。
- 請求項78に記載の方法によって同定された化合物で、プロテアーゼによる接着分子の切断を増強することができる化合物の、第II群疾患を処置するための使用。
- 請求項78に記載の方法によって同定された化合物で、プロテアーゼによる接着分子の切断を阻害することができる化合物の、第I群疾患を処置するための使用。
- 異種の接着タンパク質またはプロテアーゼまたはプロテアーゼ阻害剤を発現するトランスジェニック非ヒト動物。
- 調節されたレベル(好ましくは、アップレギュレーションされたレベルまたはダウンレギュレーションされたレベル)の接着タンパク質またはプロテアーゼまたはプロテアーゼ阻害剤を発現するトランスジェニック非ヒト動物。
- 接着タンパク質またはプロテアーゼまたはプロテアーゼ阻害剤を実質的に発現しないトランスジェニック非ヒト動物。
- 皮膚疾患(好ましくは、第I群疾患または第II群疾患)のモデルとしての、前記請求項いずれかに記載されるトランスジェニック動物の使用。
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