JP2004522695A - ヌクレオシド,ヌクレオシド誘導体および非ヌクレオシド誘導体を合成する方法 - Google Patents
ヌクレオシド,ヌクレオシド誘導体および非ヌクレオシド誘導体を合成する方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004522695A JP2004522695A JP2002523919A JP2002523919A JP2004522695A JP 2004522695 A JP2004522695 A JP 2004522695A JP 2002523919 A JP2002523919 A JP 2002523919A JP 2002523919 A JP2002523919 A JP 2002523919A JP 2004522695 A JP2004522695 A JP 2004522695A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- formula
- compound
- alkyl
- component
- product
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
- 0 *C[C@@](C(*)C1*)O[C@]1[n]1c(nc(*)nc2*)c2nc1 Chemical compound *C[C@@](C(*)C1*)O[C@]1[n]1c(nc(*)nc2*)c2nc1 0.000 description 10
- BLUFMMDKANHIEA-NJNSFXEMSA-N CCC(COC[C@H]1O[C@H]2N3C=NC4C(N)=NC=NC34)(C(C)(C)C)OC1C2OC Chemical compound CCC(COC[C@H]1O[C@H]2N3C=NC4C(N)=NC=NC34)(C(C)(C)C)OC1C2OC BLUFMMDKANHIEA-NJNSFXEMSA-N 0.000 description 1
Images
Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C07—ORGANIC CHEMISTRY
- C07H—SUGARS; DERIVATIVES THEREOF; NUCLEOSIDES; NUCLEOTIDES; NUCLEIC ACIDS
- C07H11/00—Compounds containing saccharide radicals esterified by inorganic acids; Metal salts thereof
- C07H11/04—Phosphates; Phosphites; Polyphosphates
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C07—ORGANIC CHEMISTRY
- C07H—SUGARS; DERIVATIVES THEREOF; NUCLEOSIDES; NUCLEOTIDES; NUCLEIC ACIDS
- C07H15/00—Compounds containing hydrocarbon or substituted hydrocarbon radicals directly attached to hetero atoms of saccharide radicals
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C07—ORGANIC CHEMISTRY
- C07H—SUGARS; DERIVATIVES THEREOF; NUCLEOSIDES; NUCLEOTIDES; NUCLEIC ACIDS
- C07H19/00—Compounds containing a hetero ring sharing one ring hetero atom with a saccharide radical; Nucleosides; Mononucleotides; Anhydro-derivatives thereof
- C07H19/02—Compounds containing a hetero ring sharing one ring hetero atom with a saccharide radical; Nucleosides; Mononucleotides; Anhydro-derivatives thereof sharing nitrogen
- C07H19/04—Heterocyclic radicals containing only nitrogen atoms as ring hetero atom
- C07H19/06—Pyrimidine radicals
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C07—ORGANIC CHEMISTRY
- C07H—SUGARS; DERIVATIVES THEREOF; NUCLEOSIDES; NUCLEOTIDES; NUCLEIC ACIDS
- C07H19/00—Compounds containing a hetero ring sharing one ring hetero atom with a saccharide radical; Nucleosides; Mononucleotides; Anhydro-derivatives thereof
- C07H19/02—Compounds containing a hetero ring sharing one ring hetero atom with a saccharide radical; Nucleosides; Mononucleotides; Anhydro-derivatives thereof sharing nitrogen
- C07H19/04—Heterocyclic radicals containing only nitrogen atoms as ring hetero atom
- C07H19/06—Pyrimidine radicals
- C07H19/10—Pyrimidine radicals with the saccharide radical esterified by phosphoric or polyphosphoric acids
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C07—ORGANIC CHEMISTRY
- C07H—SUGARS; DERIVATIVES THEREOF; NUCLEOSIDES; NUCLEOTIDES; NUCLEIC ACIDS
- C07H19/00—Compounds containing a hetero ring sharing one ring hetero atom with a saccharide radical; Nucleosides; Mononucleotides; Anhydro-derivatives thereof
- C07H19/02—Compounds containing a hetero ring sharing one ring hetero atom with a saccharide radical; Nucleosides; Mononucleotides; Anhydro-derivatives thereof sharing nitrogen
- C07H19/04—Heterocyclic radicals containing only nitrogen atoms as ring hetero atom
- C07H19/16—Purine radicals
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C07—ORGANIC CHEMISTRY
- C07H—SUGARS; DERIVATIVES THEREOF; NUCLEOSIDES; NUCLEOTIDES; NUCLEIC ACIDS
- C07H19/00—Compounds containing a hetero ring sharing one ring hetero atom with a saccharide radical; Nucleosides; Mononucleotides; Anhydro-derivatives thereof
- C07H19/02—Compounds containing a hetero ring sharing one ring hetero atom with a saccharide radical; Nucleosides; Mononucleotides; Anhydro-derivatives thereof sharing nitrogen
- C07H19/04—Heterocyclic radicals containing only nitrogen atoms as ring hetero atom
- C07H19/16—Purine radicals
- C07H19/20—Purine radicals with the saccharide radical esterified by phosphoric or polyphosphoric acids
Abstract
本発明は,ヌクレオシドおよびその誘導体,例えば,2’−アミノ,2’−N−フタロイル,2’−O−メチル,2’−O−シリル,2’−OHヌクレオシド,C−ヌクレオシド,ヌクレオシドホスホルアミダイト,C−ヌクレオシドホスホルアミダイト,および非ヌクレオシド誘導体の化学合成の方法を提供する。
Description
【0001】
発明の分野
本発明は,ヌクレオシド,非ヌクレオシドおよびそれらの誘導体,例えば,ヌクレオシドおよび非ヌクレオシドホスホルアミダイトおよびスクシネートの化学合成に関する。
【0002】
発明の背景
Beigelmanらの米国特許出願(60/230,057,2000年9月1日出願,表題”METHODS FOR SYNTHESIZING NUCLEOSIDES AND NUCLEOSIDE DERIVATIVES”)およびBeigelmanらの米国特許出願(60/286,571,2001年4月25日出願,表題”METHODS FOR SYNTHESIZING NUCLEOSIDES,NUCLEOSIDE DERIVATIVES AND NON−NUCLEOSIDE DERIVATIVES”)に基づく優先権を主張する。これらの出願は,図面を含めその全体を本明細書の一部としてここに引用する。
【0003】
以下は,ヌクレオシドの合成の簡単な説明である。この概要は完全であることを意味するものではなく,以下に記載される本発明を理解するためにのみ提供される。この概要は,以下に記載される研究が本発明に対する先行技術であると認めるものではない。
【0004】
オリゴヌクレオチドの構造的修飾は,これらの臨床的用途の可能性が現れるにつれてますます重要になってきている(Usman et al.,1996,Ed.,Springer−Verlag,Vol.10,243−264;Agrawal,1996,Trends Biotech.,14,376−387;Christoffersen and Marr,1995,J.Med.Chem.,38,2023−2037)。効力を維持しながらヌクレアーゼ耐性を増加させるよう化学的に修飾された核酸の効率的な合成は,新規治療剤の開発の可能性にとって重要である。
【0005】
リボ核酸における構造−機能相関に関する研究は,これまでは,そのような生物学的に関連性のある分子を製造する方法が限定されていたために妨げられていた(Cech,1992,Nucleic Acids Research,17,7381−7393;Francklyn and Schimmel,1989,Nature,337,478−481;Cook et al.,1991,Nucleic Acids Research,19,1577−1583;Gold,1988,Annu.Rev.Biochemistry,57,199−233)。酵素的方法は存在したが,構造機能相関を探索することができる方法は限られていた。均一な合成後化学修飾(Karaoglu and Thurlow,1991,Nucleic Acids Research,19,5293−5300),または部位特異的突然変異誘発(Johnson and Benkovic,1990,The Enzymes,Vol.19,Sigman and Boyer,eds.,159−211)のみが利用可能であった。後者の場合,研究者は天然塩基を用いるよう制限された。幸運なことに,ホスホルアミダイトプロトコルをRNA合成に適用することにより,RNAに対する我々の理解は大きく加速された。所定のRNA中の任意の位置に修飾ヌクレオチドを部位特異的に導入することは,今や日常作業となった。さらに,単一の修飾に限定されず,各分子に多くの変形を含有させることができる。
【0006】
小さい構造的修飾がそのような衝撃を有しうることは釣り合いがとれないように見えるが,リボフラノース環の2’−位に1個のヒドロキシルが存在することが,これまでRNA分野の研究が匹敵するDNA研究より遅れていたことの主な理由であった。DNA合成の方法の改良が進歩し,このことにより構造的および治療的用途のための大量のアンチセンスデオキシオリゴヌクレオチドの製造が可能となった。RNAについては,同様の利益は最近になって初めて達成された(Wincott et al.,1995,Nucleic Acids Research,23,2677−2684;Sproat et al.,1995,Nucleosides and Nucleotides,14,255−273;Vargeese et al.,1998,Nucleic Acids Research,26,1046−1050)。
【0007】
DNA合成とRNA合成との間の隔たりは,5’−および2’−ヒドロキシルの直交保護基を同定することの困難性に起因する。歴史的には,RNA合成の問題を解決しようとする化学者は,2つの標準的な方法を取ってきた。第1のアプローチは,当該技術分野において知られるDNA合成を適用しようとする方法を開発することを含み,一方,第2のアプローチは,RNAに特に適した方法を設計することを含む。DNAプロセスの適用は,非RNAホスホルアミダイトをRNAオリゴマー中に容易に取り込ませることができる,より万能性の方法を与えるが,後者のアプローチの利点は,RNA合成に最適なプロセスを開発することができ,その結果として,より高い収率を得ることができることである。しかし,いずれの場合においても,類似の問題点,例えば,合成条件に適合し,かつ適当な際に除去することができる保護基の同定の問題点が存在する。すなわち,この問題は,2’−および5’−OH基に関連するのみならず,塩基およびリン酸保護基をも含む。したがって,補助剤の選択に加えて,付随する脱保護工程が重要である。別の共通の障害は,モノマービルディングブロックの効率的な合成が必要であることである。
【0008】
最も一般的な範例は,DNA合成方法をRNAに適用することであった。したがって,DNA保護基と適合性があり,かつ,オリゴマーが合成された後に容易に除去することができる2’−ヒドロキシル保護基を同定することが重要である。塩基上に存在するアミド保護基および5’−O−ジメトキシトリチル(DMT)基(または場合によっては9−(フェニル)キサンテン−9−イル(Px)基)による制約のため,2’−ブロッキング基は酸および塩基の両方に安定でなければならない。さらに,2’−ブロッキング基は,酸化およびキャッピング試薬に対しても不活性でなければならない。最も広く用いられている2’−ヒドロキシル保護基はtert−ブチルジメチルシリル(TBDMS)エーテルであるが,多くの他の保護基が研究されてきた。これらの代替2’−保護基としては,アセタール基,例えば,テトラヒドロピラニル(THP),メトキシテトラヒドロピラニル(mthp),1−(2−フルオロフェニル)−4−メトキシピペリジン−4−イル(Fpmp),1−(2−クロロエトキシ)エチル,2−ヒドロキシイソフタレートホルムアルデヒドアセタール,および1−{4−[2−(4−ニトロフェニル)エトキシカルボニルオキシ]−3−フルオロベンジルオキシ}エチル基が挙げられる。さらに,光不安定基,例えば,o−ニトロベンジル,o−ニトロベンジルオキシメチル,およびp−ニトロベンジルオキシメチル基も用いられてきた。他の基としては,1,1−ジアニシル−2,2,2−トリクロロエチル基,p−ニトロフェニルエチルスルホニル基,および2’−O−トリイソプロピルシリル−オキシ−メチル基が挙げられる。これまでに研究されたさらに別の2’−保護基は,Gaitら(1991;Oligonucleotide Synthesis,Oligonucleotides and Analogues,A Practical Approach(F.Eckstein,ed.),25−48,およびBeaucageおよびIyer(1992,Tetrahedron,48,2223−2311)に概説されている。
【0009】
これまでのところ,最も普及している2’−保護基はtert−ブチルジメチルシリル基であり,これは,原理的にはOgilvieおよびその共同研究者らにより開発された(Usman et al.,1987,J.A.C.S.,109,7845−7854)。合成(Wincott et al.,1995,Nucleic Acids Research,23,2677−2684,Sproat et al.,1995,Nucleosides and Nucleotides,14,255−273,Vargeese et al.,1998,Nucleic Acids Research,26,1046−1050),および脱保護(Wincott et al.,(上掲);Sproat et al.,(上掲))の両方の領域におけるシリル化学の最近の進歩により,オリゴリボヌクレオチドの製造においてこれを使用する方法がさらに利用可能となった。
【0010】
tert−ブチルジメチルシリル基のリボヌクレオチドの2’−位への導入は,通常は,硝酸銀またはイミダゾールのいずれかの存在下で5’−O−ジメトキシトリチル−ヌクレオシドを塩化tert−ブチルジメチルシリルと反応させることにより行われる。得られた2’−O−tert−ブチルジメチルシリル,3’−O−tert−ブチルジメチルシリルおよびビス−置換(3’,2’−ジ−O−tert−ブチルジメチルシリル)生成物の混合物は,通常はカラムクロマトグラフィーにより精製して,所望の2’−O−tert−ブチルジメチルシリル誘導体を単離しなければならない。単離された3’−O−tert−ブチルジメチルシリル誘導体をトリエチルアミン/メタノールまたはピリジン/水中における平衡により処理することにより,シリルエーテルを移動させることができ,このことにより追加の2’−O−tert−ブチルジメチルシリル生成物を単離することができる。多数回の再平衡を用いてますます少ない量の所望の2’−O−tert−ブチルジメチルシリル生成物を得ることができるが,このプロセスは,時間がかかり,平衡のたびに別々の精製工程を必要とする。したがって,2’−O−tert−ブチルジメチルシリル異性体の形成は場合によっては動力学的に好ましいが,一般的に,得られた所望の2’−O−tert−ブチルジメチルシリル異性体の単離収率は,競合する3’−O−tert−ブチルジメチルシリルおよびビス置換異性体の形成のため減少する。したがって,ヌクレオシドの2’−ヒドロキシルにシリル保護を選択的に導入するのに有用な,ヌクレオシドホスホルアミダイト合成の一般的方法が求められている。
【0011】
2’−デオキシ−2’−アミノヌクレオチドを用いて,新規な酵素的核酸分子がインビトロで選択されている(Beaudry et al.,2000,Chemistry and Biology,7,323−334)。このように,2’−デオキシ−2’−アミノ含有オリゴヌクレオチドの効率的な合成に適した方法が必要とされている。Beigelmanら(1995,Nucleic Acids Res.,23,4434−4442)は,先に,オリゴヌクレオチド合成の間に2’−デオキシ−2’−アミノリボヌクレオチドホスホルアミダイトの2’−アミノ官能基のためにフタロイル保護基を用いることは,トリフルオロアセチルまたはFmoc保護基より好ましいことを示している。Beigelmanら(上掲)はまた,ネフキン(Nefkin)の方法(Nefkins et al.,1960,Recl.Trav.Chim.Pays−Bas.,79,688−698)を用いて,2’−アミノウリジンから出発して,2’−N−フタロイルウリジンホスホルアミダイトを合成することを記載する。この方法は,出発物質として2’−デオキシ−2’−アミノ−ヌクレオシドを必要とする。
【0012】
2’−アミノウリジンの最初の製造は,Verheydenら(1971,J.Org.Chem.,36,250−254)により記載されている。この方法は,アジ化リチウムを用いて2,2’−O−アンヒドロウリジンを50%の収率で開環し,次に触媒的還元により対応するアミンとする。これまでに,この方法を若干改変して用いたいくつかの報告が発表されている。2,2’−O−アンヒドロウリジンの3’−O−トリクロロアセチミデートの分子内環化,続いて酸加水分解を用いる方法が,アジドイオンの使用の代替法として発表されている(McGee et al.,1996,J.Org.Chem.,61,781−785)。2’−アミノプリンヌクレオシドの合成方法は,2’−アジド基を導入し,次にアミンに還元する,同じ一般的戦略を用いる。あるいは,2’−アジドプリンヌクレオシドは,2’−アジド−2’−デオキシリボース誘導体を用いるグリコシル化(Hobbs and Eckstein,1977,J.Org.,Chem.,42,714−719),2’−アミノ−2’−デオキシウリジンを用いるトランスグリコシル化(Imazawa and Eckstein,1979,J.Org.Chem.,44,2039−2041),アジドイオンを用いる8,2−シクロプリンヌクレオシドの開環(Ikeharaet al.,1977,Chem.Pharm.Bull.,25,754−760;Ikehara and Maruyama,1978,Chem.Pharm.Bull.,26,240−244),およびアジドイオンを用いる対応する2’−アラビノトリフレートの置換(Robins et al.,1992,Nucleosides and Nucleotides,11,821−834)により製造されてきた。
【0013】
他の刊行物もヌクレオシド誘導体の製造を記述しており,例えば,以下のものが挙げられる:Karpeisky et al.,国際公開WO98/28317(2’−O−アミノヌクレオシドの合成を記載),Beigelman et al.,米国特許5,962,675,(2’−O−メチルヌクレオシドの合成を記載),Furusawa,日本特許6067492(ヌクレオシド環状ケイ素誘導体の合成を記載),Furusawa,日本特許10226697(2’−O−シリルヌクレオシドの合成を記載),Usman et al.,米国特許5,631,360(N−フタロイル保護2’−アミノヌクレオシドホスホルアミダイトを記載),Usman et al.,米国特許5,891,683(非ヌクレオシド含有酵素的核酸分子を記載),およびMatulic−Adamic et al.,米国特許5,998,203(5’および/または3’−キャップ構造を含む酵素的核酸分子を記載)。
【0014】
発明の概要
本発明は,より少ない合成工程を用い,アジドの使用を回避し,および同時に2’−アミンのN−フタロイル保護を導入する,2’−デオキシ−2’−アミノプリンおよびピリミジンヌクレオシドおよびC−ヌクレオシドを合成する普遍的な方法を提供する(図1を参照)。
【0015】
1つの態様においては,本発明は,2’−デオキシ−2’−アミノおよび2’−デオキシ−2’−N−フタロイルヌクレオシドを製造する方法を提供する。該方法は,キログラムまたはそれ以上の量にスケールアップすることができる。該方法は,1−β−D−アラビノフラノシルヌクレオシドの2’−位に存在する脱離基の置換において,フタルイミドおよび/または置換フタルイミドを求核基として使用して,2’−デオキシ−2’−N−フタロイルヌクレオシドを生成することを含む。次に,適当な塩基を用いてフタロイル保護を切断することにより,2’−デオキシ−2’−アミノヌクレオシドが形成される。
【0016】
本発明は,2’−デオキシ−2’−N−フタロイルヌクレオシドを合成する方法を提供し,該方法は以下の工程を含む:(a)1−β−D−アラビノフラノシルヌクレオシドの2’−位に脱離基を導入し;そして(b)工程(a)からの前記脱離基をフタルイミドまたは置換フタルイミド求核基で置換して,2’−デオキシ−2’−N−フタロイルヌクレオシドを得る。
【0017】
別の態様においては,本発明は,2’−デオキシ−2’−アミノヌクレオシドを合成する方法を提供し,該方法は,以下の工程を含む:(a)1−β−D−アラビノフラノシルヌクレオシドの2’−位に脱離基を導入し;(b)工程(a)からの前記脱離基をフタルイミドまたは置換フタルイミド求核基で置換して2’−デオキシ−2’−N−フタロイルヌクレオシドを生成し;そして(c)前記2’−デオキシ−2’−N−フタロイルヌクレオシドを脱保護して前記2’−デオキシ−2’−アミノヌクレオシドを得る。
【0018】
別の態様においては,本発明は,2’−デオキシ−2’−アミノおよび2’−デオキシ−2’−N−フタロイルC−ヌクレオシドを製造する方法を提供する。該方法は,キログラムまたはそれ以上の量にスケールアップすることができる。該方法は,1−β−D−アラビノフラノシルC−ヌクレオシドの2’−位に存在する脱離基の置換においてフタルイミドおよび/または置換フタルイミドを求核基として使用して,2’−デオキシ−2’−N−フタロイルC−ヌクレオシドを生成することを含む。次に適当な塩基を用いてフタロイル保護を切断することにより,2’−デオキシ−2’−アミノC−ヌクレオシドが形成される。
【0019】
別の態様においては,本発明は,2’−トリフルオロメタンスルホニル−1−β−D−アラビノフラノシルヌクレオシドを,前記2’−デオキシ−2’−N−フタロイルヌクレオシドの形成に適した条件下でフタルイミドまたは置換フタルイミド求核基と接触させる工程を含む,2’−デオキシ−2’−N−フタロイルヌクレオシドを合成する方法を提供する。
【0020】
別の態様においては,本発明は,2’−トリフルオロメタンスルホニル−1−β−D−アラビノフラノシルC−ヌクレオシドを,前記2’−デオキシ−2’−N−フタロイルC−ヌクレオシドの形成に適した条件下でフタルイミドまたは置換フタルイミド求核基と接触させる工程を含む,2’−デオキシ−2’−N−フタロイルC−ヌクレオシドを合成する方法を提供する。
【0021】
別の態様においては,本発明は,2’−メタンスルホニル−1−β−D−アラビノフラノシルヌクレオシドを,前記2’−デオキシ−2’−N−フタロイルヌクレオシドの形成に適した条件下でフタルイミドまたは置換フタルイミド求核基と接触させる工程を含む,2’−デオキシ−2’−N−フタロイルヌクレオシドを合成する方法を提供する。
【0022】
別の態様においては,本発明は,2’−メタンスルホニル−1−β−D−アラビノフラノシルC−ヌクレオシドを,前記2’−デオキシ−2’−N−フタロイルC−ヌクレオシドの形成に適した条件下でフタルイミドまたは置換フタルイミド求核基と接触させる工程を含む,2’−デオキシ−2’−N−フタロイルC−ヌクレオシドを合成する方法を提供する。
【0023】
別の観点においては,本発明はまた,競合する3’−O−シリルヌクレオシド異性体の形成を回避し,このことにより2’−O−シリルヌクレオシドおよび3’−O−シリルヌクレオシド異性体の分離の必要を回避しながら全体的合成収率を改善する,核酸塩基保護2’−O−シリルヌクレオシドホスホルアミダイトおよび2’−O−シリルC−ヌクレオシドを合成する方法を提供する(図2)。本明細書に記載される方法は,3’−O−シリルヌクレオシド異性体を再平衡化させて追加の2’−O−シリルヌクレオシドを精製する慣例を回避する。さらに,本発明の方法は,核酸塩基の保護において別々の工程としてフラノシルヒドロキシルを一時的に保護する必要を回避する。
【0024】
本発明はまた,2’−O−シリル−ヌクレオシドおよび2’−O−シリルヌクレオシドホスホルアミダイトを製造する方法を提供する。該方法は,キログラムまたはそれ以上の量にスケールアップすることができる。該方法は以下の工程を含む:(1)ヌクレオシドに5’,3’−環状シリル保護基を導入し;(2)工程(1)の生成物に2’−O−シリル保護基を導入し;(3)必要な場合には工程(2)の生成物に核酸塩基保護を導入し;(4)工程(3)の生成物を選択的に脱シリル化し;(5)工程(4)の生成物に5’−ヒドロキシル保護基を導入し;そして(6)ホスフィチル化試薬を用いて工程(5)の生成物の3’−位にホスホルアミダイト成分を導入して,2’−O−シリル−ヌクレオシドホスホルアミダイトを得る。
【0025】
別の態様においては,本発明は,2’−O−シリル−ヌクレオシドおよび2’−O−シリル−ヌクレオシドホスホルアミダイトを合成する方法を提供し,該方法は以下の工程を含む:(1)必要な場合にはヌクレオシドに核酸塩基保護を導入し;(2)工程(1)の生成物に5’,3’−環状シリル保護基を導入し;(3)工程(2)の生成物に2’−O−シリル保護基を導入し;(4)工程(3)の生成物を選択的に脱シリル化し;(5)工程(4)の生成物に5’−ヒドロキシル保護基を導入し;そして(6)ホスフィチル化試薬を用いて工程(5)の生成物の3’−位にホスホルアミダイト成分を導入して,2’−O−シリル−ヌクレオシドホスホルアミダイトを得る。
【0026】
別の態様においては,2’−O−シリル−ヌクレオシドおよび2’−O−シリル−ヌクレオシドホスホルアミダイトの合成方法を用いて,2’−O−シリル−D−リボフラノシルヌクレオシド,2’−O−シリル−D−リボフラノシルヌクレオシドホスホルアミダイト,2’−O−シリル−L−リボフラノシルヌクレオシド,2’−O−シリル−L−リボフラノシルヌクレオシドホスホルアミダイト,2’−O−シリル−D−アラビノフラノシルヌクレオシド,2’−O−シリル−D−アラビノフラノシルヌクレオシドホスホルアミダイトおよび2’−O−シリル−L−アラビノフラノースヌクレオシドおよび2’−O−シリル−L−アラビノフラノースヌクレオシドホスホルアミダイトの両方を合成する。
【0027】
本発明はまた,2’−O−シリル−C−ヌクレオシドおよび2’−O−シリル−C−ヌクレオシドホスホルアミダイトを製造する方法を提供する。該方法は,キログラムまたはそれ以上の量にスケールアップすることができる。該方法は以下の工程を含む:(1)C−ヌクレオシドに5’,3’−環状シリル保護基を導入し;(2)工程(1)からの生成物に2’−O−シリル保護基を導入し;(3)必要な場合には工程(2)の生成物に核酸塩基保護を導入し;(4)工程(3)の生成物を選択的に脱シリル化し;(5)工程(4)の生成物に5’−ヒドロキシル保護基を導入し;そして(6)ホスフィチル化試薬を用いて工程(5)の生成物の3’−位にホスホルアミダイト成分を導入する。
【0028】
別の態様においては,本発明は,2’−O−シリル−C−ヌクレオシドおよび2’−O−シリル−C−ヌクレオシドホスホルアミダイトを合成する方法を提供し,該方法は以下の工程を含む:(1)必要な場合にはC−ヌクレオシドに核酸塩基保護を導入し;(2)工程(1)の生成物に5’,3’−環状シリル保護基を導入し;(3)工程(2)からの生成物に2’−O−シリル保護基を導入し;(4)工程(3)の生成物を選択的に脱シリル化し;(5)工程(4)の生成物に5’−ヒドロキシル保護基を導入し;そして(6)ホスフィチル化試薬を用いて工程(5)の生成物の3’−位にホスホルアミダイト成分を導入する。
【0029】
別の態様においては,2’−O−シリル−C−ヌクレオシドおよび2’−O−シリル−C−ヌクレオシドホスホルアミダイトを合成する方法を用いて,2’−O−シリル−D−リボフラノシルC−ヌクレオシドおよび2’−O−シリル−D−リボフラノシルC−ヌクレオシドホスホルアミダイト,2’−O−シリル−L−リボフラノシルC−ヌクレオシドおよび2’−O−シリル−L−リボフラノシルC−ヌクレオシドホスホルアミダイト,2’−O−シリル−D−アラビノフラノシルC−ヌクレオシドおよび2’−O−シリル−D−アラビノフラノシルC−ヌクレオシドホスホルアミダイトおよび2’−O−シリル−L−アラビノフラノースC−ヌクレオシド,および2’−O−シリル−L−アラビノフラノースC−ヌクレオシドホスホルアミダイトの両方を合成する。
【0030】
さらに別の観点においては,本発明は,2’−O−メチルグアノシンヌクレオシドおよび2’−O−メチルグアノシンヌクレオシドホスホルアミダイトを製造する方法を提供する。2’−O−メチルグアノシンヌクレオシドおよび2’−O−メチルグアノシンヌクレオシドホスホルアミダイトは,2,6−ジアミノプリンヌクレオシドから,2,6−ジアミノプリンヌクレオシドを選択的にメチル化し,次に2,6−ジアミノプリンヌクレオシドを選択的に脱アミノ化して,2’−O−メチルグアノシンヌクレオシドを得ることにより合成する。
【0031】
本発明は,2’−O−メチルグアノシンヌクレオシドおよび2’−O−メチルグアノシンヌクレオシドホスホルアミダイトを製造する実用的な方法を提供する。該方法は,キログラムまたはそれ以上の量にスケールアップすることができる。該方法は以下の工程を含む:(1)ジシリルアルキルビス(トリフルオロメタンスルホネート)を用いて,2,6−ジアミノ−9−(β−リボフラノシル)プリンに5’,3’−環状シリル保護基を導入して,2,6−ジアミノ−9−[5’,3’−O−(ジ−アルキルシランジイル)−2’−O−メチル−β−リボフラノシル]プリンを形成し;(2)2,6−ジアミノ−9−[5’,3’−O−(ジ−アルキルシランジイル)−β−リボフラノシル]プリンの単離に適した条件下で工程(1)の生成物をメチル化し;(3)N2−N6−2,6−ジアミノ−ジアシル−9−[5’,3’−O−(ジ−アルキルシランジイル)−2’−O−メチル−β−リボフラノシル]プリンの単離に適した条件下で,工程(2)からの生成物のN2およびN6位にアシル保護を導入し;(4)2,6−ジアミノ−N2−アシル−9−[5’,3’−O−(ジ−アルキルシランジイル)−2’−O−メチル−β−リボフラノシル]プリンの単離に適した条件下で,工程(3)の生成物のN6位を選択的に置換し;(5)N2−アシル−2’−O−メチルグアノシンの単離に適した条件下で,工程(4)の生成物をN6−アミンを化学的に脱アミノ化し,脱シリル化し;(6)N2−アシル−5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−メチルグアノシンを得るのに適した条件下で,工程(5)の生成物に5’−ヒドロキシル保護基を導入し;そして(7)ホスフィチル化試薬を用いて,N2−アシル−5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−メチルグアノシン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)の単離に適した条件下で,工程(6)の生成物の3’−位にホスホルアミダイト成分を導入する。
【0032】
別の態様においては,本発明は,2’−O−メチルグアノシンヌクレオシドを化学的に合成する方法を提供し,該方法は,以下の工程を含む:(1)ジシリルアルキルビス(トリフルオロメタンスルホネート)を用いて,2,6−ジアミノ−9−(β−リボフラノシル)プリンに5’,3’−環状シリル保護基を導入して,2,6−ジアミノ−9−[5’,3’−O−(ジ−アルキルシランジイル)−β−リボフラノシル]プリンを形成し;(2)2,6−ジアミノ−9−[5’,3’−O−(ジ−アルキルシランジイル)−2’−O−メチル−β−リボフラノシル]プリンの単離に適した条件下で,工程(1)の生成物をメチル化し;(3)2,6−ジアミノ−N2−N6−ジアシル−9−[5’,3’−O−(ジ−アルキルシランジイル)−2’−O−メチル−β−リボフラノシル]プリンの単離に適した条件下で,工程(2)からの生成物のN2およびN6位をアシル化し;(4)2,6−ジアミノ−N2−アシル−9−[5’,3’−O−(ジ−アルキルシランジイル)−2’−O−メチル−β−リボフラノシル]プリンの単離に適した条件下で,工程(3)の生成物のN6位を選択的に脱アシル化し;(5)N2−アシル−2’−O−メチルグアノシンの単離に適した条件下で,工程(4)の生成物をN6−アミンを脱アミノ化し,脱シリル化し;そして(6)前記2’−O−メチルグアノシンヌクレオシドの単離に適した条件下で,工程(e)の生成物からN2−アミンを脱保護する。
【0033】
さらに別の観点においては,本発明は,2’−O−アルキルアデノシンヌクレオシドおよび2’−O−アルキルアデノシンヌクレオシドホスホルアミダイトを製造する方法を提供する。2’−O−アルキルアデノシンヌクレオシドおよび2’−O−アルキルアデノシンヌクレオシドホスホルアミダイトは,アデノシンから,5’,3’−シランジイル保護アデノシンヌクレオシドの2’−ヒドロキシルを選択的にアルキル化し,次に5’,3’−シランジイルを選択的に脱保護して2’−O−アルキルアデノシンヌクレオシドを得ることにより合成する。所望の場合には,5’,3’−シランジイルのアルキル化の後,脱保護の前に,アデノシンのN6アミンを保護して,N6−アシル−2’−O−アルキルアデノシンを得ることができる。オリゴヌクレオチド合成に適合した酸不安定性保護基およびリン含有基は,当該技術分野において知られるようにして導入することができる。
【0034】
1つの態様においては,2’−O−アルキルアデノシンヌクレオシドおよび2’−O−アルキルアデノシンヌクレオシドホスホルアミダイトは,イノシンから,5’,3’−シランジイル保護イノシンヌクレオシドのO6位にイミダゾールまたはトリアゾール成分を導入し,5’,3’−シランジイル保護アデノシンN6−イミダゾールヌクレオシドの2’−ヒドロキシルを選択的にアルキル化し,次に5’,3’−シランジイルをN6アミノ化および脱保護して,2’−O−アルキルアデノシンヌクレオシドを得ることにより合成する。あるいは,5’,3’−シランジイル保護2’−O−アルキルアデノシンN6−イミダゾールヌクレオシドを脱シリル化して,2’−O−アルキルアデノシンN6−イミダゾールヌクレオシドとし,これをアンモニアでアミノ化して,2’−O−アルキルアデノシンを得る。当該技術分野において知られるように,オリゴヌクレオチド合成に適合した酸不安定性保護基およびリン含有基を導入することができる。
【0035】
本発明は,2’−O−アルキルアデノシンヌクレオシドおよび2’−O−アルキルアデノシンヌクレオシドホスホルアミダイトを製造する実用的な方法を提供する。該方法は,キログラムまたはそれ以上の量にスケールアップすることができる。該方法は以下の工程を含む:(1)ジシリルアルキルビス(トリフルオロメタンスルホネート)を用いてアデノシンに5’,3’−環状シリル保護基を導入して5’,3’−O−(ジ−アルキルシランジイル)−アデノシンを形成し;(2)5’,3’−O−(ジ−アルキルシランジイル)−2’−O−アルキルアデノシンの単離に適した条件下で,工程(1)の生成物をアルキル化し;(3)N6−アシル−5’,3’−O−(ジ−アルキルシランジイル)−2’−O−アルキルアデノシンの単離に適した条件下で,工程(2)からの生成物のN6位にアシル保護を導入し;(4)N2−アシル−2’−O−アルキルアデノシンの単離に適した条件下で,工程(3)の生成物を脱シリル化し;(5)N6−アシル−5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−アルキルアデノシンを得るのに適した条件下で,工程(4)の生成物に5’−ヒドロキシル保護基を導入し;そして(6)ホスフィチル化試薬を用いて,N6−アシル−5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−アルキルアデノシン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)の単離に適した条件下で,工程(5)の生成物の3’−位にホスホルアミダイト成分を導入する。
【0036】
別の態様においては,本発明は,2’−O−アルキルアデノシンヌクレオシドを化学的に合成する方法を提供し,該方法は,以下の工程を含む:(1)ジシリルアルキルビス(トリフルオロメタンスルホネート)を用いて,アデノシンに5’,3’−環状シリル保護基を導入して,5’,3’−O−(ジ−アルキルシランジイル)アデノシンを形成し;(2)5’,3’−O−(ジ−アルキルシランジイル)−2’−O−アルキルアデノシンの単離に適した条件下で,工程(1)の生成物をアルキル化し;(3)N6−アシル−2’−O−アルキルアデノシンの単離に適した条件下で,工程(2)の生成物を脱シリル化する。
【0037】
本発明は,2’−O−アルキルアデノシンヌクレオシドおよび2’−O−アルキルアデノシンヌクレオシドホスホルアミダイトを製造する実用的な方法を提供する。該方法は,キログラムまたはそれ以上の量にスケールアップすることができる。該方法は以下の工程を含む:(1)イノシンに5’,3’−環状シリル保護基を導入して,5’,3’−保護−イノシンを形成し;(2)5’,3−保護−N6−イミダゾールアデノシンの単離に適した条件下で,工程(1)の生成物にN6イミダゾール成分を導入し;(3)5’,3’−保護−2’−O−アルキル−N6−イミダゾールアデノシンの単離に適した条件下で,工程(2)の生成物をアルキル化し;(4)N6−アシル−5’,3’−保護−2’−O−アルキルアデノシンの単離に適した条件下で,工程(3)からの生成物のN6位にアシル保護を導入し;(5)N6−アシル−2’−O−アルキルアデノシンの単離に適した条件下で,工程(4)の生成物を脱シリル化し;(6)N6−アシル−5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−アルキルアデノシンを得るのに適した条件下で,工程(5)の生成物に5’−ヒドロキシル保護基を導入し;そして(7)ホスフィチル化試薬を用いて,N6−アシル−5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−アルキルアデノシン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)の単離に適した条件下で,工程(6)の生成物の3’−位にホスホルアミダイト成分を導入する。
【0038】
別の態様においては,本発明は,2’−O−アルキルアデノシンヌクレオシドを化学的に合成する方法を提供し,該方法は以下の工程を含む:(1)イノシンに5’,3’−環状シリル保護基を導入して,5’,3’−保護イノシンを生成し;(2)N6−イミダゾール−5’,3’−保護アデノシンの単離に適した条件下で,工程(1)の生成物にN6イミダゾール成分を導入し;(3)N6−イミダゾール−5’,3’−保護−2’−O−アルキルアデノシンの単離に適した条件下で,工程(2)の生成物をアルキル化し;(4)N6−アシル−5’,3’−保護−2’−O−アルキルアデノシンまたは5’,3’−保護−2’−O−アルキルアデノシンの単離に適した条件下で,工程(3)からの生成物のN6位をアミノ化し;(5)N6−アシル−2’−O−アルキルアデノシンまたは2’−O−アルキルアデノシンの単離に適した条件下で,工程(4)の生成物を脱シリル化する。
【0039】
別の態様においては,脱シリル化の前または後に,N6−イミダゾール−5’,3’−保護−2’−O−アルキルアデノシンのアミノ化に,アクリルアミド,例えば,ベンズアミドを用いて,環外のアミン保護を導入する。
【0040】
本発明はまた,1,4−アンヒドロ−2−デオキシ−D−エリスロ−ペンチトール誘導体,例えば,1,4−アンヒドロ−2−デオキシ−D−エリスロ−ペンチトールスクシネートおよびホスホルアミダイトを合成する実用的な方法を提供する。該方法は以下の工程を含む:(1)5−O−保護−1,4−アンヒドロ−2−デオキシ−D−エリスロ−ペンチトールの単離に適した条件下で,5’−O−保護チミジン誘導体を脱ピリミジン化し;(2)5−O−保護−3−O−保護−1,4−アンヒドロ−2−デオキシ−D−エリスロ−ペンチトールの単離に適した条件下で,5−O−保護−1,4−アンヒドロ−2−デオキシ−D−エリスロ−ペンチトールのC3ヒドロキシルに酸不安定性保護基を導入し;(3)3−O−保護−1,4−アンヒドロ−2−デオキシ−D−エリスロ−ペンチトールの単離に適した条件下で,工程(2)の生成物を選択的に5−O−脱保護し;そして(4)5−O−スクシニル−3−O−保護−1,4−アンヒドロ−2−デオキシ−D−エリスロ−ペンチトールまたは3−O−保護−1,4−アンヒドロ−2−デオキシ−D−エリスロ−ペンチトール−5−O−ホスホルアミダイトの単離に適した条件下で,工程(3)の生成物の5位にスクシネート成分またはホスホルアミダイト成分を含む化学成分を導入する。
【0041】
図面の簡単な説明
図1は,本発明の方法による,2’−デオキシ−2’−アミノヌクレオシド,2’−デオキシ−2’−アミノC−ヌクレオシド,2’−デオキシ−2’−N−フタロイルヌクレオシド,2’−デオキシ−2’−N−フタロイルC−ヌクレオシド,ヌクレオシドホスホルアミダイトおよびC−ヌクレオシドホスホルアミダイトの合成を記述する一般的反応スキームの概略図である。
【0042】
図2は,本発明の方法による,2’−O−シリルヌクレオシドホスホルアミダイトおよび2’−O−シリルC−ヌクレオシドホスホルアミダイトの合成を記述する一般的反応スキームの概略図である。
【0043】
図3は,本発明の方法による,2’−デオキシ−2’−N−フタロイルシチジン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)(8)および2’−デオキシ−2’−アミノシチジン(9)の合成に関連するスキームの概略図である。
【0044】
図4は,本発明の方法による,2’−デオキシ−2’−N−フタロイルウリジン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)(16)および2’−デオキシ−2’−アミノウリジン(17)の合成に関連するスキームの概略図である。
【0045】
図5は,本発明の方法による,2’−デオキシ−2’−N−フタロイルアデノシン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)(25)および2’−デオキシ−2’−アミノアデノシン(26)の合成に関連するスキームの概略図である。
【0046】
図6は,本発明の方法による,2’−デオキシ−2’−N−フタロイルグアノシン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)(36)および2’−デオキシ−2’−アミノグアノシン(37)の合成に関連するスキームの概略図である。
【0047】
図7は,本発明の方法による,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリル−N4−アセチルシチジン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)(43)の合成に関連するスキームの概略図である。
【0048】
図8は,本発明の方法による,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリルウリジン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)(48)の合成に関与するスキームの概略図である。
【0049】
図9は,本発明の方法による,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリル−N6−ベンゾイルアデノシン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)(54)の合成に関連するスキームの概略図である。
【0050】
図10は,本発明の方法による,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリル−N2−イソブチリルグアノシン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)(60)の合成に関連するスキームの概略図である。
【0051】
図11は,本発明の方法による,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−メチル−N2−イソブチリルグアノシン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)(69)および2’−O−メチルグアノシン(70)の合成に関与するスキームの概略図である。
【0052】
図12は,例えば,図3の工程IVおよび図4および5の工程IIIにおいて生ずる競合的除去反応の概略図である。
【0053】
図13は,本発明の方法による,2’−O−メチルアデノシン(75)の合成に関連するスキームの概略図である。図13に示される合成の方法を用いて,オリゴヌクレオチド合成用の2’−O−メチルホスホルアミダイトおよび他の2’−O−メチル誘導体を合成することができる。
【0054】
図14は,N6−イミダゾールアデノシン中間体を用いる本発明の方法による,2’−O−メチルアデノシン(75)の合成に関連するスキームの概略図である。図14に示される合成の方法を用いて,オリゴヌクレオチド合成用の2’−O−メチルホスホルアミダイトおよび他の2’−O−メチル誘導体を合成することができる。
【0055】
図15は,本発明の方法による1,4−アンヒドロ−2−デオキシ−D−エリスロ−ペンチトール誘導体の合成に関連するスキームの概略図である。図15に示される合成方法を用いて,オリゴヌクレオチド合成において用いるための1,4−アンヒドロ−2−デオキシ−D−エリスロ−ペンチトールホスホルアミダイトおよび1,4−アンヒドロ−2−デオキシ−D−エリスロ−ペンチトールスクシネートを合成することができる。
【0056】
発明の詳細な説明
本明細書において用いる場合,”ヌクレオシド”との用語は,糖,特にペントースとN−グリコシド結合している複素環窒素性塩基,特にプリンまたはピリミジンを表す。ヌクレオシドには,L−およびD−ヌクレオシド異性体の両方が含まれる。
【0057】
本明細書において用いる場合,”C−ヌクレオシド”との用語は,糖,特にペントースとC−グリコシド結合している複素環または芳香族基またはアグリコンを表す。C−ヌクレオシドには,L−およびD−のC−ヌクレオシド異性体の両方が含まれる。
【0058】
本明細書において用いる場合,”リボフラノシルヌクレオシド”との用語は,2’−ヒドロキシル基をL−またはD−ベータ−リボフラノシルコンフィギュレーションで含むヌクレオシドまたはヌクレオシド類似体を表す。
【0059】
本明細書において用いる場合,”アラビノフラノシルヌクレオシド”との用語は,L−またはD−ベータ−アラビノフラノシルコンフィギュレーションで2’−ヒドロキシル基を含むヌクレオシドまたはヌクレオシド類似体を表す。
【0060】
本明細書において用いる場合,”求核基”との用語は,孤立電子対を含み,炭素原子への新たな結合を形成する,塩基性の,電子に富む試薬を表す。求核基は,アニオンでもよく,または中性の電荷でもよい。例としては,限定されないが,カルバニオン,酸素アニオン,ハロゲン化物アニオン,イオウアニオン,窒素アニオン,窒素塩基,アルコール,水およびチオールが挙げられる。
【0061】
本明細書において用いる場合,”脱離基”との用語は,炭素を容易に放出し,前記炭素原子から孤立電子対を取り出す弱塩基性の化学種を表す。例としては,限定されないが,トリフレート,ノシレート,ブロシレート,p−トルエンスルホネート,トリフルオロ酢酸,およびメシレートが挙げられる。
【0062】
本明細書において用いる場合,”ヒンダード塩基”との用語は,弱い求核性の強塩基性アミン塩基を表す。
【0063】
本明細書において用いる場合,”保護1−β−D−アラビノフラノシルヌクレオシド”との用語は,保護基を含む1−β−D−アラビノフラノシルヌクレオシドを表す。保護基は,ヌクレオシド中に存在する反応性基との望ましくない副反応を防止し,このことにより,目的とするヌクレオシド中の所望の位置における選択的反応を可能とするために用いられる。保護基は容易に導入および除去することができ,いずれの反応も高い収率で生ずる。例えば,アシル基による核酸塩基環外のアミンの保護,またはジ−O−テトライソプロピルジシロキシまたはジ−tert−ブチルシランジイル基によるヌクレオシド5’,3’−ヒドロキシルの保護は,これらの位置における望ましくない反応を防止し,このことにより,標的ヌクレオシドの2’−ヒドロキシルにおける選択的反応を可能とする。
【0064】
本明細書において用いる場合,”保護1−β−D−アラビノフラノシルC−ヌクレオシド”との用語は,保護基を含む1−β−D−アラビノフラノシルC−ヌクレオシドを表す。保護基は,ヌクレオシド中に存在する反応性基との望ましくない副反応を防止し,このことにより目的とするヌクレオシド中の所望の位置における選択的反応を可能とするために用いられる。保護基は容易に導入および除去することができ,いずれの反応も高い収率で生ずる。例えば,アシル基による核酸塩基環外のアミンの保護,またはジ−O−テトライソプロピルジシロキシまたはジ−tert−ブチルシランジイル基によるヌクレオシド5’,3’−ヒドロキシルの保護は,これらの位置における望ましくない反応を防止し,このことにより,標的C−ヌクレオシドの2’−ヒドロキシルにおける選択的反応を可能とする。
【0065】
本明細書において用いる場合,”5’,3’−環状シリル保護基”,または”5’,3’−架橋シリル保護基”,または”5’および3’ヒドロキシルの同時保護”との用語は,ヌクレオシドまたはC−ヌクレオシドの5’−ヒドロキシルと3’−ヒドロキシル基との間のヌクレオシド内シリルエーテル結合の架橋の形成を介して,ヌクレオシドまたはC−ヌクレオシドの5’および3’位の両方を選択的に保護する保護基を表す。このような架橋基としては,限定されないが,ジ−O−テトライソプロピルジシロキシまたはジ−tert−ブチルシランジイル基が挙げられる。
【0066】
本明細書において用いる場合,”2’−O−シリル”との用語は,ヌクレオシドまたはC−ヌクレオシドの2’−位の置換シリルエーテル,例えば,2’−O−tert−ブチルジメチルシリル基を表す。
【0067】
本明細書において用いる場合,”シリル化”との用語は,シリル基またはケイ素含有基を導入するプロセスを表す。シリル基としては,限定されないが,tert−ブチルジメチルシリル(TBDMS),トリイソプロピルシリル(TIPS),トリエチルシリル(TES),トリメチルシリル(TMS),tert−ブチルジフェニルシリル(TBDPS)が挙げられる。”環状シリル化”との用語は,架橋シリル基,例えば,ジ−O−テトライソプロピルジシロキシまたはジ−tert−ブチルシランジイル基を導入するプロセスを表す。
【0068】
本明細書において用いる場合,”脱シリル化”との用語は,シリル基またはケイ素含有基を除去するプロセスを表す。
【0069】
本明細書において用いる場合,”ジ−アルキルシランジイル”との用語は,ジアルキル−置換シリル基,例えば,ジ−tert−ブチルシランジイル基を表す。
【0070】
本明細書において用いる場合,”ホスフィチル化試薬”との用語は,ホスホルアミダイト成分を導入するために用いられる試薬を表す。
【0071】
本明細書において用いる場合,”過渡的保護”との用語は,ヌクレオシドまたはC−ヌクレオシドの1またはそれ以上の糖ヒドロキシル基を保護基でマスキングすることを表し,これは例えば,核酸塩基保護基,例えば,アシル基を導入する前に,トリメチルシリルエーテルを形成し,次に保護基を加水分解して遊離ヒドロキシルを生じさせることにより行う。
【0072】
本明細書において用いる場合,”核酸塩基保護”との用語は,環外のアミン保護基を導入すること,例えば,ヌクレオシドの核酸塩基上にアシル基またはホルムアミド基を導入することを表す。
【0073】
”オリゴヌクレオチド合成に適合した5’−ヒドロキシル保護基”または”酸不安定性保護成分”との用語は,固相または溶液相のオリゴヌクレオチド合成において用いることができる保護基,例えば,ジメトキシトリチル,モノメトキシトリチル,および/またはトリチル基または他の保護基を表す。
【0074】
本明細書において用いる場合,”アシル基”との用語は,一般式R−C(O)−(ここで,Rは,脂肪族,脂肪族環,または芳香族基を表し,C(O)はカルボニルを表す)を含む化学種を表す。
【0075】
本明細書において用いる場合,”アシル化”との用語は,酸,酸ハロゲン化物または酸無水物を用いて,ヒドロキシル基をエステルに,またはアミンをアミドに変換するプロセスを表す。
【0076】
本明細書において用いる場合,”脱ピリミジン化”との用語は,ピリミジン塩基とヌクレオシド性糖成分との間のヌクレオシドC−Nグリコシル結合を切断することを表す。
【0077】
本明細書において用いる場合,”スクシネート成分”との用語は,1またはそれ以上のスクシニル基を含む化学成分を表し,これらの塩,例えば,トリエチルアミン塩も含まれる。
【0078】
本明細書において用いる場合,”ホスホルアミダイト成分”との用語は,窒素を含有する三価のリン誘導体,例えば,2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイトを表す。
【0079】
本明細書において用いる場合,”アルキル”との用語は,飽和脂肪族炭化水素を表し,直鎖,分枝鎖”イソアルキル”,および環状アルキル基が含まれる。”アルキル”との用語はまた,アルコキシ,アルキル−チオ,アルキル−チオ−アルキル,アルコキシアルキル,アルキルアミノ,アルケニル,アルキニル,アルコキシ,シクロアルケニル,シクロアルキル,シクロアルキルアルキル,ヘテロシクロアルキル,ヘテロアリール,C1−C6ヒドロカルビル,アリールまたは置換アリール基を含む。好ましくは,アルキル基は,1−12個の炭素を有する。より好ましくは,これは1−7個の炭素,より好ましくは1−4個の炭素を有する低級アルキルである。アルキル基は置換されていても置換されていなくてもよい。置換されている場合,置換基は,好ましくは,ヒドロキシ,オキシ,チオ,アミノ,ニトロ,シアノ,アルコキシ,アルキル−チオ,アルキル−チオ−アルキル,アルコキシアルキル,アルキルアミノ,シリル,アルケニル,アルキニル,アルコキシ,シクロアルケニル,シクロアルキル,シクロアルキルアルキル,ヘテロシクロアルキル,ヘテロアリール,C1−C6ヒドロカルビル,アリールまたは置換アリール基を含む。”アルキル”との用語はまた,少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含むアルケニル基を含み,直鎖,分枝鎖および環状基を含む。好ましくは,アルケニル基は2−12個の炭素を有する。より好ましくは,これは2−7個の炭素,さらに好ましくは,2−4個の炭素を有する低級アルケニルである。アルケニル基は置換されていても置換されていなくてもよい。置換されている場合,置換基は,好ましくは,ヒドロキシ,オキシ,チオ,アミノ,ニトロ,シアノ,アルコキシ,アルキル−チオ,アルキル−チオ−アルキル,アルコキシアルキル,アルキルアミノ,シリル,アルケニル,アルキニル,アルコキシ,シクロアルケニル,シクロアルキル,シクロアルキルアルキル,ヘテロシクロアルキル,ヘテロアリール,C1−C6ヒドロカルビル,アリールまたは置換アリール基を含む。”アルキル”との用語はまた,少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含むアルキニル基を含み,直鎖,分枝鎖および環状基を含む。好ましくは,アルキニル基は2−12個の炭素を有する。より好ましくは,これは,2−7個の炭素,より好ましくは2−4個の炭素を含む低級アルキニルである。アルキニル基は置換されていても置換されていなくてもよい。置換されている場合,置換基は,好ましくは,ヒドロキシ,オキシ,チオ,アミノ,ニトロ,シアノ,アルコキシ,アルキル−チオ,アルキル−チオ−アルキル,アルコキシアルキル,アルキルアミノ,シリル,アルケニル,アルキニル,アルコキシ,シクロアルケニル,シクロアルキル,シクロアルキルアルキル,ヘテロシクロアルキル,ヘテロアリール,C1−C6ヒドロカルビル,アリールまたは置換アリール基を含む。本発明のアルキル基またはアルキル成分はまた,アリール,アルキルアリール,炭素環式アリール,複素環式アリール,アミドおよびエステル基を含んでいてもよい。アリール基の好ましい置換基は,ハロゲン,トリハロメチル,ヒドロキシル,SH,OH,シアノ,アルコキシ,アルキル,アルケニル,アルキニル,およびアミノ基である。”アルキルアリール”基とは,アリール基(上述したとおりである)に共有結合したアルキル基(上述したとおりである)を表す。炭素環式アリール基は,芳香族環の環原子がすべて炭素原子である基である。炭素原子は,任意に置換されていてもよい。複素環式アリール基は,芳香族環中に環原子として1−3個の複素原子を有し,環原子の残りが炭素原子である基である。適当な複素原子には,酸素,イオウ,および窒素が含まれ,例えば,フラニル,チエニル,ピリジル,ピロリル,N−低級アルキルピロロ,ピリミジル,ピラジニル,イミダゾリル等が挙げられ,これらはすべて任意に置換されていてもよい。”アミド”とは,−C(O)−NH−Rを表し,ここで,Rはアルキル,アリール,アルキルアリールまたは水素のいずれかである。”エステル”とは,−C(O)−OR’基を表し,ここで,Rは,アルキル,アリール,アルキルアリールまたは水素のいずれかである。
【0080】
本明細書において用いる場合,”アルカノイル”との用語は,カルボニル基を介して親分子の成分に結合しているアルキル基を表す。
【0081】
本明細書において用いる場合,”アルコキシアルキル”との用語は,アルキル−O−アルキルエーテルを表し,例えば,メトキシエチルまたはエトキシメチルが含まれる。
【0082】
本明細書において用いる場合,”アルキル−チオ−アルキル”との用語は,アルキル−S−アルキルチオエーテルを表し,例えば,メチルチオメチルまたはメチルチオエチルが含まれる。
【0083】
本明細書において用いる場合,”アミノ”との用語は,当該技術分野において知られるように,1またはそれ以上の水素ラジカルを有機ラジカルにより置き換えることによりアンモニアから誘導される窒素含有基を表す。例えば,”アミノアシル”および”アミノアルキル”との用語は,それぞれアシルおよびアルキル置換基を有する特定のN−置換有機ラジカルを表す。
【0084】
本明細書において用いる場合,”アミノ化”との用語は,有機分子中にアミノ基または置換アミンを導入するプロセスを表す。
【0085】
本明細書において用いる場合,”環外のアミン保護成分”との用語は,オリゴヌクレオチド合成に適合した核酸塩基アミノ保護基,例えば,アシルまたはアミド基を表す。
【0086】
本明細書において用いる場合,”シリル化試薬”との用語は,シリル基を化合物に導入するために用いられる化学試薬を表す。
【0087】
本明細書において用いる場合,”選択的脱シリル化”との用語は,別のシリル基の存在下で化合物から1つのシリル基を選択的に除去することを表す。
【0088】
本明細書において用いる場合,”アルケニル”との用語は,少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含み,表示される数の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖の炭化水素を表す。”アルケニル”の例としては,ビニル,アリル,および2−メチル−3−ヘプテンが挙げられる。
【0089】
本明細書において用いる場合,”アルコキシ”との用語は,酸素架橋を介して親分子の成分に結合した,示される数の炭素原子のアルキル基を表す。アルコキシ基の例としては,例えば,メトキシ,エトキシ,プロポキシおよびイソプロポキシが挙げられる。
【0090】
本明細書において用いる場合,”アルキニル”との用語は,少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含む,所定の数の炭素原子の直鎖または分枝鎖の炭化水素を表す。”アルキニル”の例としては,プロパルギル,プロピン,および3−ヘキシンが挙げられる。
【0091】
本明細書において用いる場合,”アリール”との用語は,少なくとも1つの芳香族環を含む芳香族炭化水素環系を表す。芳香族環は縮合していてもよく,あるいは,他の芳香族炭化水素環または非芳香族炭化水素環に結合していてもよい。アリール基の例としては,例えば,フェニル,ナフチル,1,2,3,4−テトラヒドロナフタレンおよびビフェニルが挙げられる。アリール基の好ましい例としては,フェニルおよびナフチルが挙げられる。
【0092】
本明細書において用いる場合,”シクロアルケニル”との用語は,少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含むC3−C8環状炭化水素を表す。シクロアルケニルの例としては,シクロプロペニル,シクロブテニル,シクロペンテニル,シクロペンタジエン,シクロヘキセニル,1,3−シクロヘキサジエン,シクロヘプテニル,シクロヘプタトリエニル,およびシクロオクテニルが挙げられる。
【0093】
本明細書において用いる場合,”シクロアルキル”との用語は,C3−C8の環状炭化水素を表す。シクロアルキルの例としては,シクロプロピル,シクロブチル,シクロペンチル,シクロヘキシル,シクロヘプチルおよびシクロオクチルが挙げられる。
【0094】
本明細書において用いる場合,”シクロアルキルアルキル”との用語は,上で定義したアルキル基を介して親分子成分に結合しているC3−C7のシクロアルキル基を表す。シクロアルキルアルキル基の例としては,シクロプロピルメチルおよびシクロペンチルエチルが挙げられる。
【0095】
本明細書において用いる場合,”ハロゲン”または”ハロ”との用語は,フッ素,塩素,臭素,およびヨウ素を示すことを表す。
【0096】
本明細書において用いる場合,”ヘテロシクロアルキル”との用語は,窒素,酸素,およびイオウから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む非芳香族環系を表す。ヘテロシクロアルキル環は任意に縮合していてもよく,あるいは,他のヘテロシクロアルキル環および/または非芳香族炭化水素環に結合していてもよい。好ましいヘテロシクロアルキル基は,3−7個のメンバーを有する。ヘテロシクロアルキル基の例としては,例えば,ピペラジン,モルホリン,ピペリジン,テトラヒドロフラン,ピロリジン,およびピラゾールが挙げられる。好ましいヘテロシクロアルキル基としては,ピペリジニル,ピペラジニル,モルホリニル,およびピロリジニルが挙げられる。
【0097】
本明細書において用いる場合,”ヘテロアリール”との用語は,窒素,酸素,およびイオウから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む芳香族環系を表す。ヘテロアリール環は,縮合環であってもよく,あるいは,1またはそれ以上のヘテロアリール環,芳香族または非芳香族炭化水素環またはヘテロシクロアルキル環に結合していてもよい。ヘテロアリール基の例としては,例えば,ピリジン,フラン,チオフェン,5,6,7,8−テトラヒドロイソキノリンおよびピリミジンが挙げられる。ヘテロアリール基の好ましい例としては,チエニル,ベンゾチエニル,ピリジル,キノリル,ピラジニル,ピリミジル,イミダゾリル,ベンズイミダゾリル,フラニル,ベンゾフラニル,チアゾリル,ベンゾチアゾリル,イソオキサゾリル,オキサジアゾリル,イソチアゾリル,ベンズイソチアゾリル,トリアゾリル,テトラゾリル,ピロリル,インドリル,ピラゾリル,およびベンゾピラゾリルが挙げられる。
【0098】
本明細書において用いる場合,”C1−C6ヒドロカルビル”との用語は,1−6個の炭素原子を有し,任意に1またはそれ以上の炭素−炭素二重結合または三重結合を有していてもよい,直鎖,分枝鎖,または環状のアルキル基を表す。ヒドロカルビル基の例としては,例えば,メチル,エチル,プロピル,イソプロピル,n−ブチル,sec−ブチル,tert−ブチル,ペンチル,2−ペンチル,イソペンチル,ネオペンチル,ヘキシル,2−ヘキシル,3−ヘキシル,3−メチルペンチル,ビニル,2−ペンテン,シクロプロピルメチル,シクロプロピル,シクロヘキシルメチル,シクロヘキシルおよびプロパルギルが挙げられる。本明細書において,1または2個の二重結合または三重結合を含有するC1−C6ヒドロカルビルに関しては,1つの二重結合または三重結合についてはアルキル中に少なくとも2個の炭素が存在し,2個の二重結合または三重結合については少なくとも4個の炭素が存在することが理解される。
【0099】
本明細書において用いる場合,”窒素保護基,”との用語は,当該技術分野において知られる,窒素に容易に導入し除去することができる基を表す。窒素保護基の例としては,Boc,Cbz,ベンゾイル,およびベンジルが挙げられる。”Protective Groups in Organic Synthesis”,3rdEd.,Greene,T.W.および関連する刊行物も参照されたい。
【0100】
無毒性の薬学的に許容しうる塩としては,限定されないが,無機酸,例えば,塩酸,硫酸,リン酸,二リン酸,臭化水素酸,および硝酸の塩,または有機酸,例えば,ギ酸,クエン酸,リンゴ酸,マレイン酸,フマル酸,酒石酸,コハク酸,酢酸,乳酸,メタンスルホン酸,p−トルエンスルホン酸,2−ヒドロキシエチルスルホン酸,サリチル酸およびステアリン酸の塩が挙げられる。同様に,薬学的に許容しうるカチオンとしては,限定されないが,ナトリウム,カリウム,カルシウム,アルミニウム,リチウムおよびアンモニウムが挙げられる。当業者は,広範な種類の非毒性の薬学的に許容しうる付加塩を理解するであろう。本発明は,式I−XVIIの化合物のプロドラッグも包含する。
【0101】
本発明はまた,式I−XVIIの化合物のアシル化されたプロドラッグを含む。当業者は,式I−XVIIに包含される化合物の無毒性の薬学的に許容しうる付加塩およびアシル化プロドラッグを製造するために用いることができる種々の合成方法論を理解するであろう。
【0102】
本発明はまた,式I−XVIIの化合物から誘導されるトリチウム標識プローブを提供する。トリチウム標識プローブ化合物は,トリチウム化酢酸中での白金触媒交換,トリチウム化トリフルオロ酢酸中での酸触媒交換,またはトリチウムガスとの不均一系触媒交換により,都合よく触媒的に製造することができる。そのような製造は,前段落で挙げた供給元のいずれかにより注文放射標識として都合よく実施される。さらに,トリチウムは,トリチウムガスとのトリチウム−ハロゲン交換,遷移金属触媒による不飽和結合のトリチウムガス還元,またはケトン,アルデヒド,およびイミンのホウ水素化ナトリウム還元により導入してもよい。
【0103】
本発明の化合物は,1またはそれ以上の非対称炭素原子を含むことができ,したがって化合物は異なる立体異性体形で存在することができる。これらの化合物は,例えば,ラセミ化合物,キラルの非ラセミ化合物またはジアステレオマーでありうる。このような場合,単一のエナンチオマー,すなわち光学的に活性な形は,非対称合成によりまたはラセミ体の分割により得ることができる。ラセミ化合物の分離は,例えば慣用的な方法により,例えば,分割剤の存在下での結晶化;例えば,キラルHPLCカラムを用いるクロマトグラフィー;またはラセミ混合物を分割試薬で誘導化してジアステレオマーを生成し,ジアステレオマーをクロマトグラフィーにより分離し,そして分割剤を除去して元の化合物をエナンチオマー的に濃縮した形で生成することにより,行うことができる。上述の方法のいずれも,化合物のエナンチオマー純度を高めるために繰り返すことができる。
【0104】
本明細書に記載される化合物がオレフィン性二重結合または他の幾何学的非対称中心を含む場合,特に示さない限り,化合物はシス,トランス,Z−およびE−コンフィギュレーションを含むことが意図される。同様に,すべての互変異体も含まれることが意図される。
【0105】
出発物質および種々の中間体は,商業的供給元から入手可能であるか,市販の有機化合物から製造することができるか,またはよく知られる合成法を用いて製造することができる。本発明はまた,式I−XVIIの化合物のプロドラッグも包含する。当業者は,式I−XVIIに包含される化合物の無毒性の薬学的に許容しうるプロドラッグを製造するために用いることができる種々の合成方法論を理解するであろう。当業者は,広範な種類の無毒性の薬学的に許容しうる溶媒化合物,例えば,水,エタノール,ミネラルオイル,植物油,およびジメチルスルホキシドを理解するであろう。
【0106】
一般式I−XVIIの化合物は,慣用的な無毒性の薬学的に許容しうる担体,アジュバントおよびベヒクルを含む用量単位処方中で,経口的に,局所的に,非経口的に,吸入またはスプレーにより,または直腸に投与することができる。本明細書において用いる場合,非経口的との用語には,経皮,皮下,血管内(例えば,静脈内),筋肉内,または包膜内注射または注入の手法等が含まれる。さらに,一般式I−XVIIの化合物および薬学的に許容しうる担体を含む医薬処方が提供される。一般式I−XVIIの1またはそれ以上の化合物は,1またはそれ以上の無毒性の薬学的に許容しうる担体および/または希釈剤,および/またはアジュバント,および所望の場合には他の活性成分とともに存在することができる。一般式I−XVIIの化合物を含有する医薬組成物は,経口使用に適した形,例えば,錠剤,トローチ剤,菱形剤,水性または油性懸濁液,分散可能な粉体または顆粒,乳剤,硬カプセルまたは軟カプセル,またはシロップまたはエリキシル剤の形であることができる。
【0107】
経口で使用することが意図される組成物は,医薬組成物の製造について当該技術分野において知られる任意の方法にしたがって製造することができ,そのような組成物は,薬学的に洗練された口に合う製品を提供するために,1またはそれ以上のそのような甘味剤,芳香剤,着色剤または保存剤を含んでいてもよい。錠剤は,錠剤の製造に適した無毒性の薬学的に許容しうる賦形剤との混合物として活性成分を含む。これらの賦形剤は,例えば,不活性希釈剤,例えば,炭酸カルシウム,炭酸ナトリウム,ラクトース,リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウム;顆粒化剤および崩壊剤,例えば,コーンスターチ,またはアルギン酸;結合剤,例えば,デンプン,ゼラチンまたはアラビアゴム,および潤滑剤,例えば,ステアリン酸マグネシウム,ステアリン酸またはタルクでありうる。錠剤は被覆しなくても,既知の手法により被覆してもよい。場合によっては,既知の手法によりそのような被覆を調製して,崩壊および胃腸管における吸収を遅延させ,このことによりより長い期間の持続作用を与えることができる。例えば,遅延用材料,例えばグリセリルモノステアレートまたはグリセリルジステアレートを用いることができる。
【0108】
経口使用のための処方は,活性成分が不活性固体希釈剤,例えば,炭酸カルシウム,リン酸カルシウムまたはカオリンと混合されている硬ゼラチンカプセル,または活性成分が水または油状媒体,例えば,ピーナッツ油,液体パラフィンまたはオリーブ油と混合されている軟ゼラチンカプセルであってもよい。
【0109】
水性懸濁液は,水性懸濁液の製造に適した賦形剤との混合物中に活性物質を含む。そのような賦形剤は,懸濁剤,例えば,カルボキシメチルセルロースナトリウム,メチルセルロース,ヒドロプロピル−メチルセルロース,アルギン酸ナトリウム,ポリビニルピロリドン,トララガントガムおよびアラビアゴムである。分散剤または湿潤剤は,天然に生ずるホフファチド,例えば,レシチン,またはアルキレンオキサイドと脂肪酸との縮合生成物,例えば,ステアリン酸ポリオキシエチレン,またはエチレンオキサイドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物,例えば,ヘプタデカエチレンオキシセタノール,またはエチレンオキサイドと脂肪酸およびヘキシトールから誘導された部分エステルとの縮合生成物,例えば,ポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート,またはエチレンオキサイドと脂肪酸および無水ヘキシトールから誘導された部分エステルとの縮合生成物,例えば,ポリエチレンソルビタンモノオレエートであってもよい。水性懸濁液はまた,1またはそれ以上の保存剤,例えば,エチル−,またはn−プロピル−p−ヒドロキシベンゾエート,1またはそれ以上の着色剤,1またはそれ以上の芳香剤,および1またはそれ以上の甘味剤,例えばショ糖またはサッカリンを含んでいてもよい。
【0110】
油性懸濁液は,活性成分を植物油,例えば,アラキス油,オリーブ油,ゴマ油またはココナッツ油,または無機油,例えば液体パラフィン中に懸濁させることにより処方することができる。油性懸濁液は,増粘剤,例えば,密ロウ,硬パラフィンまたはセチルアルコールを含むことができる。甘味剤および芳香剤を加えて,口に合う経口製品を得ることができる。これらの組成物は,抗酸化剤,例えばアスコルビン酸を加えることにより保存することができる。
【0111】
水を加えることにより水性懸濁液を製造するのに適した分散可能な粉体および顆粒は,活性成分を,分散剤または湿潤剤,懸濁剤および1またはそれ以上の保存剤との混合物中で与える。適当な分散剤または湿潤剤または懸濁剤は,上で例示したとおりである。さらに別の賦形剤,例えば,甘味剤,芳香剤および着色剤が存在していてもよい。
【0112】
本発明の医薬組成物はまた,水中油エマルジョンの形であってもよい。油相は,植物油またはミネラルオイルまたはこれらの混合物であってもよい。適当な乳化剤としては,天然に生ずるガム,例えば,アラビアゴムまたはトラガガントゴム,天然に生ずるホスファチド類,例えば,大豆,レクチン,および脂肪酸から誘導されるエステルまたは部分エステルおよびヘキシトール,無水物,例えば,ソルビタンモノオレエート,および前記部分エステルとエチレンオキサイドとの縮合生成物,例えば,ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートが挙げられる。エマルジョンは,甘味料および芳香剤を含んでいてもよい。
【0113】
シロップおよびエリキシルは,甘味剤,例えば,グリセロール,プロピレングリコール,ソルビトール,グルコースまたはショ糖を用いて処方することができる。このような処方はまた,粘滑剤,保存剤および甘味料および着色料を含んでいてもよい。医薬組成物は,滅菌した注射可能な水性または油性の懸濁液の形であってもよい。この懸濁液は,上述した適当な分散剤または湿潤剤および懸濁剤を用いて,当該技術分野において知られるように処方することができる。滅菌した注射可能な製品はまた,無毒性の非経口的に許容可能な希釈剤または溶媒中の滅菌した注射可能な溶液または懸濁液,例えば,1,3−ブタンジオール中の溶液であってもよい。用いることのできる許容可能なベヒクルおよび溶媒の例は,水,リンゲル溶液および等張塩化ナトリウム溶液である。さらに,滅菌し,凝固させた油を溶媒または懸濁媒体として便利に用いることができる。この目的のためには,任意の非刺激性の凝固させた油,例えば,合成のモノグリセリドまたはジグリセリドを用いることができる。さらに,脂肪酸,例えば,オレイン酸を注射可能な薬剤の製造において用いることができる。
【0114】
一般式I−XVIIの化合物はまた,例えば,薬剤の直腸投与用に,座剤の形で投与することができる。これらの組成物は,薬剤を,通常の温度では固体であるが直腸温度では液体であり,したがって直腸中で溶融して薬剤を放出する適当な非刺激性賦形剤と混合することにより製造することができる。そのような材料としては,カカオバターおよびポリエチレングリコールが挙げられる。
【0115】
一般式I−XVIIの化合物は,滅菌媒体中で非経口的に投与することができる。薬剤は,使用するベヒクルおよび濃度に応じて,ベヒクル中に懸濁されていてもよく,溶解されていてもよい。アジュバント,例えば局所麻酔剤,保存剤および緩衝剤をベヒクル中に溶解することも有利である。
【0116】
上述した状態の治療には,体重1キログラムあたり1日あたり約0.1mg−約140mgのオーダーの投与量レベルが有用である(患者あたり1日あたり約0.5mg−約7g)。担体物質と組み合わせて1回投与量形を生成することができる活性成分の量は,治療される宿主および投与の特定のモードに依存して様々であろう。投与量単位形は,一般に,約1mg−約500mgの活性成分を含むであろう。
【0117】
しかし,特定の患者についての特定の投与量は,種々の因子,例えば,用いる特定の化合物の活性,年齢,体重,一般的健康状態,性別,食事,投与時間,投与経路,および排出速度,薬剤の組み合わせ,および治療をしている特定の疾病の重篤性に依存することが理解されるであろう。
【0118】
ヒト以外の動物に投与するためには,組成物を動物飼料または飲料水に加えてもよい。動物が治療上適当な量の組成物を飼料とともに接種できるよう,動物飼料および飲用水組成物を処方することが便利であろう。飼料または飲料水に加えるように組成物をプレミックスとして製造することも便利であろう。
【0119】
本発明の1つの観点においては,2’−デオキシ−2’−アミノプリンおよびピリミジンヌクレオシドおよびC−ヌクレオシドを合成する新規な方法が提供される。新規な方法は,より少ない合成工程を用い,アジドの使用を回避し,同時に2’−アミンのN−フタロイル保護を導入する。1つの態様においては,本発明は,2’−デオキシ−2’アミノおよび2’−デオキシ−2’−N−フタロイルヌクレオシドを合成する方法を提供する。該方法は,フタルイミドおよび/または置換フタルイミドを求核基として使用して,1−β−D−アラビノフラノシルヌクレオシドの2’−位に存在する脱離基を置換して,2’−デオキシ−2’−N−フタロイルヌクレオシドを生成することを含む。次に,フタロイル保護を適当な塩基で切断すると,2’−デオキシ−2’−アミノヌクレオシドが形成される。該方法は,キログラムまたはそれ以上の量にスケールアップすることができる。別の態様においては,本発明は,2’−デオキシ−2’−アミノおよび2’−デオキシ−2’−N−フタロイルC−ヌクレオシドを合成する方法を提供する。上述の方法と同様に,合成は,フタルイミドおよび/または置換フタルイミドを求核基として使用して,1−β−D−アラビノフラノシルC−ヌクレオシドの2’−位に存在する脱離基を置換して,2’−デオキシ−2’−N−フタロイルC−ヌクレオシドを生成することを含む。次に,フタロイル保護を適当な塩基で切断すると,2’−デオキシ−2’−アミノC−ヌクレオシドが形成される。該方法は,キログラムまたはそれ以上の量にスケールアップすることができる。
【0120】
すなわち,好ましい態様においては,本発明は,2’−デオキシ−2’−N−フタロイルヌクレオシドを合成する方法を提供し,該方法は,以下の工程を含む:
(a)1−β−D−アラビノフラノシルヌクレオシドの2’−位に脱離基を導入し;そして
(b)フタルイミドまたは置換フタルイミド求核基を用いて,工程(a)からの脱離基を置換して,2’−デオキシ−2’−N−フタロイルヌクレオシドを得る。
【0121】
1−β−D−アラビノフラノシルヌクレオシドは,保護されていても保護されていなくてもよい。
【0122】
好ましくは,1−β−D−アラビノフラノシルヌクレオシドの2’位の脱離基は,1−β−D−アラビノフラノシルヌクレオシドを無水スルホン酸または塩化スルホニルと接触させることにより導入することができる。適当な試薬としては,無水トリフルオロメタンスルホン酸,塩化トリフルオロメタンスルホニル,無水メタンスルホン酸,および塩化メタンスルホニルが挙げられる。
【0123】
また,置換工程(工程b)は,ヒンダード塩基の存在下で行うことができる。好ましくは,ヒンダード塩基は,DBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン),DBN(1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン),Dabco(1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン),または2−tert−ブチルイミノ−2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチル−ペルヒドロ−1,3,2−ジアザホスホリンである。
【0124】
別の態様においては,本発明は,2’−デオキシ−2’−N−フタロイルヌクレオシドを合成する方法を提供し,該方法は,前記2’−デオキシ−2’−N−フタロイルヌクレオシドの形成に適した条件下で,2’−トリフルオロメタンスルホニル−1−β−D−アラビノフラノシルヌクレオシドをフタルイミドまたは置換フタルイミド求核基と接触させる工程を含む。
【0125】
さらに別の好ましい態様においては,本発明は,2’−デオキシ−2’−N−フタロイルヌクレオシドを合成する方法を提供し,該方法は,前記2’−デオキシ−2’−N−フタロイルヌクレオシドの形成に適した条件下で,2’−メタンスルホニル−1−β−D−アラビノフラノシルヌクレオシドをフタルイミドまたは置換フタルイミド求核基と接触させる工程を含む。上述の2つの方法において,適当な条件は,ヒンダード塩基の使用を含むことができる。好ましくは,ヒンダード塩基は,DBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン),DBN(1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン),Dabco(1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン),および2−tert−ブチルイミノ−2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチル−ペルヒドロ−1,3,2−ジアザホスホリンヒンダード塩基である。
【0126】
上述のいずれの態様においても,好ましいフタルイミドまたは置換フタルイミド求核基としては,フタルイミド,4,5−ジクロロフタルイミド,3,4,5,6,−テトラクロロフタルアミド,3−ニトロフタルアミド,および4−ニトロフタルアミドが挙げられる。また,上述のいずれの態様においても,好ましい1−β−D−アラビノフラノシルヌクレオシドとしては,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−1−β−D−アラビノフラノシル−N4−アシルシトシン,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−1−β−D−アラビノフラノシル−N2−アシルアデニン,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−1−β−D−アラビノフラノシルアデニン,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−1−β−D−アラビノフラノシルウラシル,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−1−β−D−アラビノフラノシル−N2−アシルグアニン,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−1−β−D−アラビノフラノシル−N2−アシル−O6−ジフェニルカルバモイルグアニン,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−1−β−D−アラビノフラノシル−N2−アシル−O6−ニトロフェニルグアニン,5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−1−β−D−アラビノフラノシル−N4−アシルシトシン,5’,3’−ジ−tert−ブチルシランジイル−1−β−D−アラビノフラノシルウラシル,5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−1−β−D−アラビノフラノシル−N2−アシルアデニン,5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−1−β−D−アラビノフラノシルアデニン,5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−1−β−D−アラビノフラノシル−N2−アシル−O6−ニトロフェニルグアニン,および5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−1−β−D−アラビノフラノシル−N2−アシル−O6−ジフェニルカルバモイルグアニンが挙げられる。
【0127】
1−β−D−アラビノフラノシルヌクレオシドがアシル基(すなわち,環外のアミン保護)により保護されている場合には,アシル基は,アセチル,ベンゾイル,イソブチリル,フェノキシアセチル,フェニルアセチル,tert−ブチルフェノキシアセチル,またはtert−ブチルベンゾイルである。
【0128】
また,グアノシンヌクレオシドの合成においては,好ましくは,ジメチルホルムアミジン(DMF)保護を用いてN2窒素を保護する。
【0129】
すなわち,1つの態様においては,本発明は,フタロイル保護2’−デオキシ−2’−アミノヌクレオシド(2’−デオキシ−2’−N−フタロイルヌクレオシド)を合成する方法を提供し,該方法は,以下の工程を含む:(a)1−β−D−アラビノフラノシルヌクレオシド(保護されていても保護されていなくてもよい)を無水スルホン酸または塩化スルホニル,例えば無水トリフルオロメタンスルホン酸,塩化トリフルオロメタンスルホニル,無水メタンスルホン酸,または塩化メタンスルホニルと接触させることにより,1−β−D−アラビノフラノシルヌクレオシドの2’−位に脱離基を導入し;そして(b)ヒンダード塩基,例えば,DBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン),DBN(1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン),Dabco(1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン),および2−tert−ブチルイミノ−2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチル−ペルヒドロ−1,3,2−ジアザホスホリンまたはこれらの同等物の存在下で,フタルイミドまたは置換フタルイミド求核基,例えば4,5−ジクロロフタルイミド,3,4,5,6−テトラクロロフタルイミド,3−ニトロフタルイミド,および4−ニトロフタルイミドを用いて,工程(a)からの脱離基を置換して,2’−デオキシ−2’−N−フタロイルヌクレオシドを得る。
【0130】
本発明の別の態様においては,2’−デオキシ−2’−アミノヌクレオシドを合成する方法が提供される。該方法は以下の工程を含む:
(a)1−β−D−アラビノフラノシルヌクレオシドの2’−位に脱離基を導入し;
(b)フタルイミドまたは置換フタルイミド求核基を用いて,工程(a)からの前記脱離基を置換して,2’−デオキシ−2’−N−フタロイルヌクレオシドを生成し;そして
(c)前記2’−デオキシ−2’−N−フタロイルヌクレオシドを脱保護して,前記2’−デオキシ−2’−アミノヌクレオシドを得る。
【0131】
1−β−D−アラビノフラノシルヌクレオシドの2’−位は,保護されていても保護されていなくてもよい。
【0132】
好ましくは,1−β−D−アラビノフラノシルヌクレオシドの2’位の脱離基は,1−β−D−アラビノフラノシルヌクレオシドを無水スルホン酸または塩化スルホニルと接触させることにより導入する。適当な試薬としては,無水トリフルオロメタンスルホン酸,塩化トリフルオロメタンスルホニル,無水メタンスルホン酸,および塩化メタンスルホニルが挙げられる。
【0133】
好ましいフタルイミド求核基としては,フタルイミド,または置換フタルイミド求核基,例えば,4,5−ジクロロフタルイミド,3,4,5,6,−テトラクロロフタルアミド,3−ニトロフタルアミド,および4−ニトロフタルアミドが挙げられる。
【0134】
また,好ましい1−β−D−アラビノフラノシルヌクレオシドとしては,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−1−β−D−アラビノフラノシル−N4−アシルシトシン,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−1−β−D−アラビノフラノシル−N2−アシルアデニン,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−1−β−D−アラビノフラノシルアデニン,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−1−β−D−アラビノフラノシルウラシル,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−1−β−D−アラビノフラノシル−N2−アシルグアニン,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−1−β−D−アラビノフラノシル−N2−アシル−O6−ジフェニルカルバモイルグアニン,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−1−β−D−アラビノフラノシル−N2−アシル−O6−ニトロフェニルグアニン,5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−1−β−D−アラビノフラノシル−N4−アシルシトシン,5’,3’−ジ−tert−ブチルシランジイル−1−β−D−アラビノフラノシルウラシル,5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−1−β−D−アラビノフラノシル−N2−アシルアデニン,5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−1−β−D−アラビノフラノシルアデニン,5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−1−β−D−アラビノフラノシル−N2−アシル−O6−ニトロフェニルグアニン,および5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−1−β−D−アラビノフラノシル−N2−アシル−O6−ジフェニルカルバモイルグアニンが挙げられる。
【0135】
1−β−D−アラビノフラノシルヌクレオシドがアシル基(すなわち,環外のアミン保護)で保護されている場合には,例えばアセチル,ベンゾイル,イソブチリル,フェノキシアセチル,フェニルアセチル,tert−ブチルフェノキシアセチル,またはtert−ブチルベンゾイルを用いることができる。
【0136】
また,グアノシンヌクレオシドの合成においては,好ましくは,ジメチルホルムアミジン(DMF)保護を用いてN2窒素を保護する。
【0137】
脱離基の置換は,ヒンダード塩基の存在下で行うことができる。好ましくは,ヒンダード塩基は,DBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン),DBN(1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン),Dabco(1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン),または2−tert−ブチルイミノ−2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチル−ペルヒドロ−1,3,2−ジアザホスホリンである。
【0138】
本発明の方法の脱保護工程は,塩基の存在下で行うことができる。好ましくは,塩基は,アルキルアミンまたはヒドラジンである。好ましくは,アルキルアミンは,メチルアミン,例えば,水性メチルアミン,エタノール性メチルアミン,メタノール性メチルアミンである。好ましくは,ヒドラジンはメチルヒドラジンである。さらに好ましくは,メチルアミンは水性メチルアミン,例えば,約30−40%の水性メチルアミンである。
【0139】
この方法を用いて,少なくとも1つの2’−デオキシ−2’アミノヌクレオシドを含むヌクレオシド,ヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチドを合成することができる。好ましい態様においては,本発明の2’−デオキシ−2’−アミノヌクレオシドを合成する方法を用いて,2’−デオキシ−2’−アミノヌクレオチド三リン酸を合成することができる。
【0140】
別の態様においては,本発明は,フタロイル保護2’−デオキシ−2’−アミノヌクレオシドホスホルアミダイト(2’−デオキシ−2’−N−フタロイルヌクレオシドホスホルアミダイト)を合成する方法を提供し,該方法は以下の工程を含む:
(a)保護されていても保護されていなくてもよい1−β−D−アラビノフラノシルヌクレオシドを無水スルホン酸または塩化スルホニルと接触させることにより,1−β−D−アラビノフラノシルヌクレオシドの2’−位に脱離基を導入し;
(b)ヒンダード塩基の存在下で,工程(a)からの脱離基をフタルイミドまたは置換フタルイミド求核基で置換して,2’−デオキシ−2’−N−フタロイルヌクレオシドを生成し;
(c)5’−保護基を導入して,5’−ヒドロキシルを選択的に保護し;そして(d)ホスフィチル化試薬を用いて,5’−保護−2’−デオキシ−2’−N−フタロイルヌクレオシドの3’−位にホスホルアミダイト基を導入する。
【0141】
適当な無水スルホン酸または塩化スルホニル試薬としては,無水トリフルオロメタンスルホン酸,塩化トリフルオロメタンスルホニル,無水メタンスルホン酸,および塩化メタンスルホニルが挙げられる。
【0142】
適当なフタルイミドまたは置換フタルイミドとしては,フタルイミド,4,5−ジクロロフタルイミド,3,4,5,6−テトラクロロフタルイミド,3−ニトロフタルイミド,および4−ニトロフタルイミドが挙げられる。また,適当なヒンダード塩基としては,DBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン),DBN(1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン),Dabco(1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン),および2−tert−ブチルイミノ−2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチル−ペルヒドロ−1,3,2−ジアザホスホリンまたはこれらの同等物が挙げられ,2’−デオキシ−2’−N−フタロイルヌクレオシドが得られる。
【0143】
適当な5’−保護基の例は,ジメトキシトリチル基またはその同等物である。
【0144】
適当なホスフィチル化試薬の例は,2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルクロロホスホルアミダイトである。
【0145】
本発明の方法の好ましい態様においては,工程(b)で合成される2’−デオキシ−2’−N−フタロイルヌクレオシドは,存在していても存在していなくてもよいシリルエーテルまたはジシリルエーテル保護基,5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイルまたは5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキサン保護の選択的除去のために,工程(c)の前に,フッ素イオン源,例えばTEA・3HF(トリエチルアミン三フッ化水素酸),TBAFまたはこれらの同等物を用いて脱保護する。
【0146】
好ましい1−β−D−アラビノフラノシルヌクレオシドとしては,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−1−β−D−アラビノフラノシル−N4−アシルシトシン,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−1−β−D−アラビノフラノシル−N2−アシルアデニン,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−1−β−D−アラビノフラノシルアデニン,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−1−β−D−アラビノフラノシルウラシル,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−1−β−D−アラビノフラノシル−N2−アシルグアニン,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−1−β−D−アラビノフラノシル−N2−アシル−O6−ジフェニルカルバモイルグアニン,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−1−β−D−アラビノフラノシル−N2−アシル−O6−ニトロフェニルグアニン,5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−1−β−D−アラビノフラノシル−N4−アシルシトシン,5’,3’−ジ−tert−ブチルシランジイル−1−β−D−アラビノフラノシルウラシル,5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−1−β−D−アラビノフラノシル−N2−アシルアデニン,5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−1−β−D−アラビノフラノシルアデニン,5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−1−β−D−アラビノフラノシル−N2−アシル−O6−ニトロフェニルグアニン,および5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−1−β−D−アラビノフラノシル−N2−アシル−O6−ジフェニルカルバモイルグアニンが挙げられる。
【0147】
1−β−D−アラビノフラノシルヌクレオシドがアシル基(すなわち環外のアミン保護)により保護されている場合には,例えばアセチル,ベンゾイル,イソブチリル,フェノキシアセチル,フェニルアセチル,tert−ブチルフェノキシアセチル,またはtert−ブチルベンゾイルを用いることができる。
【0148】
また,グアノシンホスホルアミダイトの合成においては,好ましくは,ジメチルホルムアミジン(DMF)保護を用いてN2窒素を保護する。
【0149】
本発明の別の態様においては,2’−デオキシ−2’−N−フタロイルC−ヌクレオシド,2’−デオキシ−2’−アミノC−ヌクレオシド,およびフタロイル保護2’−デオキシ−2’−アミノC−ヌクレオシドホスホルアミダイトを合成する方法が提供される。
【0150】
2’−デオキシ−2’−N−フタロイルC−ヌクレオシドを合成する方法は以下の工程を含む:
(a)1−β−D−アラビノフラノシルC−ヌクレオシドの2’−位に脱離基を導入し,そして
(b)ヒンダード塩基の存在下で,フタルイミドまたは置換フタルイミド求核基を用いて,工程(a)からの脱離基を置換して,2’−デオキシ−2’−N−フタロイルC−ヌクレオシドを得る。
【0151】
1−β−D−アラビノフラノシルC−ヌクレオシドの2’−位は保護されていても保護されていなくてもよい。
【0152】
好ましくは,1−β−D−アラビノフラノシルC−ヌクレオシドの2’位の脱離基は,1−β−D−アラビノフラノシルC−ヌクレオシドを無水スルホン酸または塩化スルホニルと接触することにより導入する。適当な試薬としては,無水トリフルオロメタンスルホン酸,塩化トリフルオロメタンスルホニル,無水メタンスルホン酸,または塩化メタンスルホニルが挙げられる。
【0153】
また,置換工程は,ヒンダード塩基の存在下で行うことができる。好ましくは,ヒンダード塩基は,DBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン),DBN(1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン),Dabco(1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン),または2−tert−ブチルイミノ−2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチル−ペルヒドロ−1,3,2−ジアザホスホリンである。
【0154】
別の態様においては,本発明は,2’−デオキシ−2’−N−フタロイルC−ヌクレオシドを合成する方法を提供し,該方法は,前記2’−デオキシ−2’−N−フタロイルC−ヌクレオシドの形成に適した条件下で,2’−トリフルオロメタンスルホニル−1−β−D−アラビノフラノシルC−ヌクレオシドをフタルイミドまたは置換フタルイミド求核基と接触させる工程を含む。
【0155】
さらに別の態様においては,本発明は,2’−デオキシ−2’−N−フタロイルC−ヌクレオシドを合成する方法を提供し,該方法は,前記2’−デオキシ−2’−N−フタロイルC−ヌクレオシドの形成に適した条件下で,2’−メタンスルホニル−1−β−D−アラビノフラノシルC−ヌクレオシドをフタルイミドまたは置換フタルイミド求核基と接触させる工程を含む。上述の2つの方法において,適当な条件はヒンダード塩基の使用を含む。好ましくは,ヒンダード塩基は,DBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン),DBN(1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン),Dabco(1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン),または2−tert−ブチルイミノ−2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチル−ペルヒドロ−1,3,2−ジアザホスホリンである。
【0156】
本発明の別の態様においては,2’−デオキシ−2’−アミノC−ヌクレオシドを合成する方法が提供される。該方法は以下の工程を含む:
(a)1−β−D−アラビノフラノシルC−ヌクレオシドの2’−位に脱離基を導入し;
(b)工程(a)からの前記脱離基をフタルイミドまたは置換フタルイミド求核基で置換して,2’−デオキシ−2’−N−フタロイルC−ヌクレオシドを生成し;そして
(c)前記2’−デオキシ−2’−N−フタロイルC−ヌクレオシドを脱保護して,前記2’−デオキシ−2’−アミノC−ヌクレオシドを得る。
【0157】
1−β−D−アラビノフラノシルC−ヌクレオシドの2’−位は保護されていても保護されていなくてもよい。好ましくは,1−β−D−アラビノフラノシルC−ヌクレオシドの2’位の脱離基は,1−β−D−アラビノフラノシルC−ヌクレオシドを無水スルホン酸または塩化スルホニルと接触させることにより導入する。適当な試薬としては,無水トリフルオロメタンスルホン酸,塩化トリフルオロメタンスルホニル,無水メタンスルホン酸,および塩化メタンスルホニルが挙げられる。
【0158】
置換はヒンダード塩基の存在下で行うことができる。好ましくは,ヒンダード塩基は,DBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン),DBN(1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン),Dabco(1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン),または2−tert−ブチルイミノ−2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチル−ペルヒドロ−1,3,2−ジアザホスホリンである。
【0159】
脱保護は,塩基の存在下で行うことができる。好ましくは,塩基はアルキルアミンまたはヒドラジンである。好ましくは,アルキルアミンはメチルアミン,例えば,水性メチルアミン,エタノール性メチルアミン,メタノール性メチルアミンである。好ましくは,ヒドラジンはメチルヒドラジンである。さらに好ましくは,メチルアミンは水性メチルアミン,例えば約30−40%水性メチルアミンである。
【0160】
本発明の方法を用いて,少なくとも1つの2’−デオキシ−2’アミノヌクレオシドを含むC−ヌクレオシド,C−ヌクレオチドおよびC−オリゴヌクレオチドを合成することができる。好ましい態様においては,本発明の2’−デオキシ−2’−アミノC−ヌクレオシドを合成する方法を用いて,2’−デオキシ−2’−アミノC−ヌクレオチド三リン酸を合成することができる。
【0161】
別の態様においては,本発明は,フタロイル保護2’−デオキシ−2’−アミノC−ヌクレオシドホスホルアミダイト(2’−デオキシ−2’−N−フタロイルヌクレオシドホスホルアミダイト)を合成する方法を提供し,該方法は以下の工程を含む:
(a)保護されていても保護されていなくてもよい1−β−D−アラビノフラノシルC−ヌクレオシドを無水スルホン酸または塩化スルホニルと接触させることにより,1−β−D−アラビノフラノシルC−ヌクレオシドの2’−位に脱離基を導入し;
(b)ヒンダード塩基の存在下で,フタルイミドまたは置換フタルイミド求核基を用いて,工程(a)からの脱離基を置換して,2’−デオキシ−2’−N−フタロイルC−ヌクレオシドを生成し;
(c)5’−ヒドロキシルを選択的に保護するために5’−保護基を導入し;そして
(d)ホスフィチル化試薬を用いて,5’−保護−2’−デオキシ−2’−N−フタロイルC−ヌクレオシドの3’−位にホスホルアミダイト基を導入する。工程(a)における適当な無水スルホン酸または塩化スルホニル試薬としては,無水トリフルオロメタンスルホン酸,塩化トリフルオロメタンスルホニル,無水メタンスルホン酸,および塩化メタンスルホニルが挙げられる。
【0162】
好ましいフタルイミドおよび置換フタルイミドとしては,フタルイミド,4,5−ジクロロフタルイミド,3,4,5,6−テトラクロロフタルイミド,3−ニトロフタルイミド,および4−ニトロフタルイミドが挙げられる。また,適当なヒンダード塩基としては,DBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン),DBN(1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン),Dabco(1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン),および2−tert−ブチルイミノ−2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチル−ペルヒドロ−1,3,2−ジアザホスホリンまたはこれらの同等物が挙げられ,2’−デオキシ−2’−N−フタロイルヌクレオシドが得られる。
【0163】
適当な5’−保護基の例は,ジメトキシトリチル基またはその同等物である。
【0164】
適当なホスフィチル化試薬の例は,2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルクロロホスホルアミダイトである。
【0165】
本発明の方法の1つの態様においては,工程(b)から合成される2’−デオキシ−2’−N−フタロイルヌクレオシドは,工程(c)の前に,存在していても存在していなくてもよいシリルエーテルまたはジシリルエーテル保護基,例えば,5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイルまたは5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキサン保護を選択的に除去するために,フッ素イオン源,例えばTEA・3HF(トリエチルアミントリヒドロフロリド),TBAFまたはこれらの同等物を用いて脱保護する。
【0166】
C−ヌクレオシドを合成する方法を含む上述のいずれの態様においても,好ましいフタルイミドおよび置換フタルイミド求核基としては,フタルイミド,4,5−ジクロロフタルイミド,3,4,5,6,−テトラクロロフタルアミド,3−ニトロフタルアミド,および4−ニトロフタルアミドが挙げられる。
【0167】
また,C−ヌクレオシドを合成する方法を含む上述のいずれの態様においても,好ましい1−β−D−アラビノフラノシルヌクレオシドとしては,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−1−β−D−アラビノフラノシル−N4−アシルシトシン,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−1−β−D−アラビノフラノシル−N2−アシルアデニン,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−1−β−D−アラビノフラノシルアデニン,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−1−β−D−アラビノフラノシルウラシル,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−1−β−D−アラビノフラノシル−N2−アシルグアニン,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−1−β−D−アラビノフラノシル−N2−アシル−O6−ジフェニルカルバモイルグアニン,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−1−β−D−アラビノフラノシル−N2−アシル−O6−ニトロフェニルグアニン,5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−1−β−D−アラビノフラノシル−N4−アシルシトシン,5’,3’−ジ−tert−ブチルシランジイル−1−β−D−アラビノフラノシルウラシル,5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−1−β−D−アラビノフラノシル−N2−アシルアデニン,5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−1−β−D−アラビノフラノシルアデニン,5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−1−β−D−アラビノフラノシル−N2−アシル−O6−ニトロフェニルグアニン,および5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−1−β−D−アラビノフラノシル−N2−アシル−O6−ジフェニルカルバモイルグアニンが挙げられる。
【0168】
1−β−D−アラビノフラノシルC−ヌクレオシドが,アシル基(すなわち環外のアミン保護)により保護されている場合には,例えば,アセチル,ベンゾイル,イソブチリル,フェノキシアセチル,フェニルアセチル,tert−ブチルフェノキシアセチル,またはtert−ブチルベンゾイルを用いることができる。
【0169】
また,グアノシンおよびグアノシンホスホルアミダイトの合成においては,好ましくは,ジメチルホルムアミジン(DMF)保護を用いてN2窒素を保護する。
【0170】
本発明の別の態様においては,2’−デオキシ−2’−N−フタロイルシチジンホスホルアミダイトを合成する方法が提供される。例えば,本発明は,,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N4−アセチルシチジン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)を合成する方法を提供し,該方法は以下の工程を含む:
(1)アシル化試薬,例えば,無水酢酸を用いて,1−β−D−アラビノフラノシル−N4−アセチルシトシンを得るのに適した条件下で,1−(−D−アラビノフラノシルシトシンのN4位にアシル基を導入し;
(2)例えば,1,3−ジクロロ−1,1,3,3−テトライソプロピルジシロキサンまたはジ−tert−ブチルシリルビス(トリフルオロメタンスルホネート)を用いて,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−1−β−D−アラビノフラノシル−N4−アセチルシトシンまたは5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−1−β−D−アラビノフラノシル−N4−アセチルシトシンの単離に適した条件下で,工程(1)からの生成物の5’−ヒドロキシルおよび3’−ヒドロキシル基を同時に保護するために保護基を導入し;
(3)ジメチルアミノピリジン(DMAP)および/またはピリジンの存在下で,例えば,無水トリフリルまたは塩化トリフリルを用いて,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−2’−トリフルオロメタンスルホニル−1−β−D−アラビノフラノシル−N4−アセチルシトシンまたは5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−2’−トリフルオロメタンスルホニル−1−β−D−アラビノフラノシル−N4−アセチルシトシンを得るのに適した条件下で,工程(2)の生成物の2’−位に脱離基を導入し;
(4)フタルイミドまたは置換フタルイミド求核基を用いて,工程(3)の生成物から脱離基を置換し;
(5)5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキサンまたは5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル保護を選択的に除去するために,フッ素イオン源,例えば,TEA・3HF,TBAFまたはこれらの同等物を用いて,2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N4−アセチルシチジンの単離に適した条件下で,工程(4)の生成物を脱保護し;
(6)例えば,4’−4’−塩化ジメトキシトリチルを用いることにより,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N4−アセチルシチジンを得るのに適した条件下で,工程(5)の生成物にオリゴヌクレオチド合成に適当した5’−ヒドロキシル保護基を導入し;そして
(7)ホスフィチル化試薬,例えば,2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルクロロホスホルアミダイトを用いて,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N4−アセチルシチジン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)の単離に適した条件下で,工程(6)の生成物の3’−位にホスホルアミダイト成分を導入する。
【0171】
1つの態様においては,脱離基の置換は,ヒンダード塩基の存在下で行うことができる。例えば,フタルイミドをDBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン),DBN(1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン),Dabco(1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン),および/または2−tert−ブチルイミノ−2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチル−ペルヒドロ−1,3,2−ジアザホスホリンまたはこれらの同等物と組み合わせて用いて,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N4−アセチルシチジンまたは5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N4−アセチルシチジンを得ることができる。
【0172】
別の態様においては,本発明は,2’−デオキシ−2’−N−フタロイルシチジンホスホルアミダイト,例えば,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N4−アセチルシチジン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)を合成する別の方法を提供し,該方法は以下の工程を含む:
(1)例えば,1,3−ジクロロ−1,1,3,3−テトライソプロピルジシロキサンまたはジ−tert−ブチルシリルビス(トリフルオロメタンスルホネート)による環状シリル化を用いて,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−1−β−D−アラビノフラノシルシトシンまたは5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−1−β−D−アラビノフラノシルシトシンの単離に適した条件下で,1−β−D−アラビノフラノシルシトシンの5’−ヒドロキシルおよび3’−ヒドロキシルの保護を導入し;
(2)ジメチルアミノピリジン(DMAP)および/またはピリジンの存在下で,例えば,無水トリフリルまたは塩化トリフリルを用いて,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−2’−トリフルオロメタンスルホニル−1−β−D−アラビノフラノシルシトシンまたは5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−2’−トリフルオロメタンスルホニル−1−β−D−アラビノフラノシルシトシンを得るのに適した条件下で,工程(1)の生成物の2’−位に脱離基を導入し;
(3)フタルイミドまたは置換フタルイミド求核基を用いて,工程(2)の生成物から脱離基を置換し;
(4)アシル化試薬,例えば,無水酢酸を用いて,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N4−アセチルシチジンまたは5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N4−アセチルシチジンを得るのに適した条件下で,工程(3)の生成物のN4位にアシル基を導入し;
(5)5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキサンまたは5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル保護を選択的に除去するために,フッ素イオン源,例えば,TEA・3HF,TBAFまたはこれらの同等物を用いて,2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N4−アセチルシチジンの単離に適した条件下で,工程(4)の生成物を脱保護し;
(6)例えば,4’−4’−塩化ジメトキシトリチルを用いることにより,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N4−アセチルシチジンを得るのに適した条件下で,工程(5)の生成物にオリゴヌクレオチド合成に適合した5’−ヒドロキシル保護基を導入し;そして
(7)ホスフィチル化試薬,例えば,2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルクロロホスホルアミダイトを用いて,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N4−アセチルシチジン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)の単離に適した条件下で,工程(6)の生成物の3’−位にホスホルアミダイト成分を導入する。
【0173】
別の態様においては,脱離基の置換は,ヒンダード塩基の存在下で行うことができる。例えば,フタルイミドを,DBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン),DBN(1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン),Dabco(1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン),および/または2−tert−ブチルイミノ−2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチル−ペルヒドロ−1,3,2−ジアザホスホリンまたはこれらの同等物と組み合わせて用いて,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−2’−デオキシ−2’−N−フタロイルシチジンまたは5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−2’−デオキシ−2’−N−フタロイルシチジンを得ることができる。
【0174】
別の態様においては,本発明は,2’−デオキシ−2’−N−フタロイルウリジンホスホルアミダイトを合成する方法を提供する。例えば,本発明は,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−デオキシ−2’−N−フタロイルウリジン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)を合成する方法を提供し,該方法は以下の工程を含む:
(1)例えば,1,3−ジクロロ−1,1,3,3−テトライソプロピルジシロキサンまたはジ−tert−ブチルシリルビス(トリフルオロメタンスルホネート)による環状シリル化を用いて,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−1−β−D−アラビノフラノシルウラシルまたは5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−1−β−D−アラビノフラノシルウラシルの単離に適した条件下で,1−β−D−アラビノフラノシルウラシルの5’−ヒドロキシルおよび3’−ヒドロキシル基に保護を導入し;
(2)例えば,ジメチルアミノピリジン(DMAP)および/またはピリジンの存在下で,無水トリフリルまたは塩化トリフリルを用いて,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−2’−トリフルオロメタンスルホニル−1−β−D−アラビノフラノシルウラシルまたは5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−2’−トリフルオロメタンスルホニル−1−β−D−アラビノフラノシルウラシルを得るのに適した条件下で,工程(1)の生成物の2’−位に脱離基を導入し;
(3)フタルイミドまたは置換フタルイミド求核基を用いて,工程(2)の生成物から脱離基を置換し;
(4)2’−デオキシ−2’−N−フタロイルウリジンの単離に適した条件下で5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキサンまたは5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル保護を選択的に除去するため,フッ素イオン源,例えば,TEA・3HF,TBAFまたはこれらの同等物を用いて,工程(3)の生成物を脱保護し;
(5)例えば,4’−4’−塩化ジメトキシトリチルを用いることにより,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−デオキシ−2’−N−フタロイルウリジンを得るのに適した条件下で,工程(4)の生成物にオリゴヌクレオチド合成に適合した5’−ヒドロキシル保護基を導入し;そして
(6)ホスフィチル化試薬,例えば,−2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルクロロホスホルアミダイトを用いて,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−デオキシ−2’−N−フタロイルウリジン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)の単離に適した条件下で,工程(5)の生成物の3’−位にホスホルアミダイト成分を導入する。
【0175】
1つの態様においては,脱離基の置換はヒンダード塩基の存在下で行うことができる。例えば,フタルイミドをDBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン),DBN(1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン),Dabco(1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン),および/または2−tert−ブチルイミノ−2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチル−ペルヒドロ−1,3,2−ジアザホスホリンまたはこれらの同等物と組み合わせて用いて,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−2’−デオキシ−2’−N−フタロイルウリジンまたは5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−2’−デオキシ−2’−N−フタロイルウリジンを得ることができる。
【0176】
別の態様においては,本発明は,2’−デオキシ−2’−N−フタロイルアデノシンホスホルアミダイトを化学的に合成する方法を提供する。例えば,本発明は,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N6−ベンゾイルアデノシン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)を合成する方法を提供し,該方法は以下の工程を含む:
(1)アシル化剤,例えば,塩化ベンゾイルを用いて,1−β−D−アラビノフラノシル−N6−ベンゾイルアデニンを得るのに適した条件下で,1−β−D−アラビノフラノシルアデニンのN6位にアシル基を導入し;
(2)例えば,1,3−ジクロロ−1,1,3,3−テトライソプロピルジシロキサンまたはジ−tert−ブチルシリルビス(トリフルオロメタンスルホネート)による環状シリル化を用いて,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−1−β−D−アラビノフラノシル−N6−ベンゾイルアデニンまたは5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−1−β−D−アラビノフラノシル−N6−ベンゾイルアデニンの単離に適した条件下で,工程(a)からの生成物の5’−ヒドロキシルおよび3’−ヒドロキシル基に保護を導入し;
(3)ジメチルアミノピリジン(DMAP)および/またはピリジンの存在下で,例えば,無水トリフリルまたは塩化トリフリルを用いて,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−2’−トリフルオロメタンスルホニル−1−β−D−アラビノフラノシル−N6−ベンゾイルアデニンまたは5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−2’−トリフルオロメタンスルホニル−1−β−D−アラビノフラノシル−N6−ベンゾイルアデニンを得るのに適した条件下で,工程(2)の生成物の2’−位に脱離基を導入し;
(4)フタルイミドまたは置換フタルイミド求核基を用いて,工程(3)の生成物から脱離基を置換し;
(5)5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキサンまたは5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル保護の選択的除去のために,フッ素イオン源,例えば,TEA・3HF,TBAFまたはこれらの同等物を用いて,2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N6−ベンゾイルアデノシンの単離に適した条件下で,工程(4)の生成物を脱保護し;
(6)例えば,4’−4’−塩化ジメトキシトリチルを用いることにより,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N6−ベンゾイルアデノシンを得るのに適した条件下で,工程(5)の生成物にオリゴヌクレオチド合成に適合した5’−ヒドロキシル保護基を導入し;そして
(7)ホスフィチル化試薬,例えば,2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルクロロホスホルアミダイトを用いて,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N6−ベンゾイルアデノシン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)の単離に適した条件下で,工程(6)の生成物の3’−位にホスホルアミダイト成分を導入する。
【0177】
1つの態様においては,脱離基の置換はヒンダード塩基の存在下で行うことができる。例えば,フタルイミドを,DBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン),DBN(1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン),Dabco(1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン),および/または2−tert−ブチルイミノ−2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチル−ペルヒドロ−1,3,2−ジアザホスホリンまたはこれらの同等物と組み合わせて用いて,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N6−ベンゾイルアデノシンまたは5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N6−ベンゾイルアデノシンを得ることができる。
【0178】
別の態様においては,本発明は,2’−デオキシ−2’−N−フタロイルアデノシンホスホルアミダイト,例えば,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N6−ベンゾイルアデノシン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)を合成する別の方法を提供する。該方法は以下の工程を含む:
(1)例えば,1,3−ジクロロ−1,1,3,3−テトライソプロピルジシロキサンまたはジ−tert−ブチルシリルビス(トリフルオロメタンスルホネート)による環状シリル化を用いて,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−1−β−D−アラビノフラノシルアデニンまたは5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−1−β−D−アラビノフラノシルアデニンの単離に適した条件下で,1−β−D−アラビノフラノシルアデニンの5’−ヒドロキシルおよび3’−ヒドロキシル基に保護基を導入し;
(2)ジメチルアミノピリジン(DMAP)および/またはピリジンの存在下で,例えば,無水トリフリルまたは塩化トリフリルを用いて,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−2’−トリフルオロメタンスルホニル−1−β−D−アラビノフラノシルアデニンまたは5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−2’−トリフルオロメタンスルホニル−1−β−D−アラビノフラノシルアデニンを得るのに適した条件下で,工程(1)の生成物の2’−位に脱離基を導入し;
(3)フタルイミドまたは置換フタルイミド求核基を用いて,工程(2)の生成物から脱離基を置換し;
(4)アシル化試薬,例えば,塩化ベンゾイルを用いて,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−2’−トリフルオロメタンスルホニル−1−β−D−アラビノフラノシル−N6−ベンゾイルアデノシンまたは5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−2’−トリフルオロメタンスルホニル−1−β−D−アラビノフラノシル−N6−ベンゾイルアデノシンを得るのに適した条件下で,工程(3)からの生成物のN6位にアシル基を導入し;
(5)5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキサンまたは5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル保護を選択的に除去するために,フッ素イオン源,例えば,TEA・3HF,TBAFまたはこれらの同等物を用いて,2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N6−ベンゾイルアデノシンの単離に適した条件下で,工程(4)の生成物を脱保護し;
(6)例えば,4’−4’−塩化ジメトキシトリチルを用いて,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N6−ベンゾイルアデノシンを得るのに適した条件下で,工程(5)の生成物にオリゴヌクレオチド合成に適合した5’−ヒドロキシル保護基を導入し;そして
(7)ホスフィチル化試薬,例えば,2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルクロロホスホルアミダイトを用いて,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N6−ベンゾイルアデノシン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)の単離に適した条件下で,工程(6)の生成物の3’−位にホスホルアミダイト成分を導入する。
【0179】
1つの態様においては,脱離基の置換はヒンダード塩基の存在下で行うことができる。例えば,フタルイミドをDBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン),DBN(1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン),Dabco(1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン),および/または2−tert−ブチルイミノ−2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチル−ペルヒドロ−1,3,2−ジアザホスホリンまたはこれらの同等物と組み合わせて用いて,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−2’−デオキシ−2’−N−フタロイルアデノシンまたは5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−2’−デオキシ−2’−N−フタロイルアデノシンを得ることができる。
【0180】
別の態様においては,本発明は,2’−デオキシ−2’−N−フタロイルグアノシンホスホルアミダイトを合成する方法を提供する。例えば,本発明は,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N2−イソブチリルグアノシン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)を合成する方法を提供し,該方法は以下の工程を含む:
(1)アシル化試薬,例えば,塩化イソブチリルを用いて,1−β−D−アラビノフラノシル−N2−イソブチリルグアニンを得るのに適した条件下で,1−β−D−アラビノフラノシルグアニンのN2位にアシル基を導入し;
(2)例えば,1,3−ジクロロ−1,1,3,3−テトライソプロピルジシロキサンまたはジ−tert−ブチルシリルビス(トリフルオロメタンスルホネート)による環状シリル化を用いて,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−1−β−D−アラビノフラノシル−N2−イソブチリルグアニンまたは5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−1−β−D−アラビノフラノシル−N2−イソブチリルグアニンの単離に適した条件下で,工程(a)からの生成物の5’−ヒドロキシルおよび3’−ヒドロキシル基に保護基を導入し;
(3)ジメチルアミノピリジン(DMAP)および/またはピリジンの存在下で,例えば,無水トリフリルまたは塩化トリフリルを用いて,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−2’−トリフルオロメタンスルホニル−1−β−D−アラビノフラノシル−N2−イソブチリルグアニンまたは5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−2’−トリフルオロメタンスルホニル−1−β−D−アラビノフラノシル−N2−イソブチリルグアニンを得るのに適した条件下で,工程(2)の生成物の2’−位に脱離基を導入し;
(4)フタルイミドまたは置換フタルイミド求核基を用いて,工程(3)の生成物から脱離基を置換し;
(5)5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキサンまたは5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル保護を選択的に除去するために,フッ素イオン源,例えば,TEA・3HF,TBAFまたはこれらの同等物を用いて,2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N2−イソブチリルグアノシンの単離に適した条件下で,工程(4)の生成物を脱保護し;
(6)5’−O−ジメトキシトリチル−2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N2−イソブチリルグアノシンを得るのに適した条件下で,工程(5)の生成物を4’−4’−塩化ジメトキシトリチルと反応させ;そして
(7)ホスフィチル化試薬,例えば,2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルクロロホスホルアミダイトを用いて,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N2−イソブチリルグアノシン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)の単離に適した条件下で,工程(6)の生成物の3’−位にホスホルアミダイト成分を導入する。
【0181】
1つの態様においては,脱離基の置換は,ヒンダード塩基の存在下で行うことができる。例えば,フタルイミドをDBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン),DBN(1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン),Dabco(1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン),および/または2−tert−ブチルイミノ−2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチル−ペルヒドロ−1,3,2−ジアザホスホリンまたはこれらの同等物と組み合わせて用いて,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N2−イソブチリルグアニンまたは5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N2−イソブチリルグアニンを得ることができる。
【0182】
別の態様においては,本発明は,2’−デオキシ−2’N−フタロイルグアノシンホスホルアミダイト,例えば,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N2−イソブチリルグアノシン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)を合成する別の方法を提供し,該方法は以下の工程を含む:
(1)例えば,1,3−ジクロロ−1,1,3,3−テトライソプロピルジシロキサンまたはジ−tert−ブチルシリルビス(トリフルオロメタンスルホネート)による環状シリル化を用いて,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−1−β−D−アラビノフラノシルグアニンまたは5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−1−β−D−アラビノフラノシルグアニンの単離に適した条件下で,1−β−D−アラビノフラノシルグアニンの5’−ヒドロキシルおよび3’−ヒドロキシル基に保護基を導入し;
(2)ジメチルアミノピリジン(DMAP)および/またはピリジンの存在下で,例えば,無水トリフリルまたは塩化トリフリルを用いて,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−2’−トリフルオロメタンスルホニル−1−β−D−アラビノフラノシルグアニンまたは5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−2’−トリフルオロメタンスルホニル−1−β−D−アラビノフラノシルグアニンを得るのに適した条件下で,工程(1)の生成物の2’−位に脱離基を導入し;
(3)フタルイミドまたは置換フタルイミド求核基を用いて,工程(2)の生成物から脱離基を置換し;
(4)アシル化剤,例えば,塩化イソブチリルを用いて,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−2’−トリフルオロメタンスルホニル−1−β−D−アラビノフラノシル−N2−イソブチリルグアノシンまたは5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−2’−トリフルオロメタンスルホニル−1−β−D−アラビノフラノシル−N2−イソブチリルグアノシンを得るのに適した条件下で,工程(3)からの生成物のN2位にアシル基を導入し;
(5)5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキサンまたは5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル保護を選択的に除去するために,フッ素イオン源,例えば,TEA・3HF,TBAFまたはこれらの同等物を用いて,2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N2−イソブチリルグアノシンの単離に適した条件下で,工程(4)の生成物を脱保護し;
(6)例えば,4’−4’−塩化ジメトキシトリチルを用いて,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N2−イソブチリルグアノシンを得るのに適した条件下で,工程(e)の生成物にオリゴヌクレオチド合成に適合した5’−ヒドロキシル保護基を導入し;そして
(7)ホスフィチル化試薬,例えば,2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルクロロホスホルアミダイトを用いて,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N2−イソブチリルグアノシン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)の単離に適した条件下で,工程(f)の生成物の3’−位にホスホルアミダイト成分を導入する。
【0183】
1つの態様においては,脱離基の置換はヒンダード塩基の存在下で行うことができる。例えば,フタルイミドをDBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン),DBN(1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン),Dabco(1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン),および/または2−tert−ブチルイミノ−2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチル−ペルヒドロ−1,3,2−ジアザホスホリンまたはこれらの同等物と組み合わせて用いて,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−2’−デオキシ−2’−N−フタロイルグアノシンまたは5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−2’−デオキシ−2’−N−フタロイルグアノシンを得ることができる。
【0184】
好ましい態様においては,本発明の方法により企図される2’−デオキシ−2’−N−フタロイルシチジンヌクレオシドおよびヌクレオシドホスホルアミダイト,2’−デオキシ−2’−N−フタロイルアデノシンヌクレオシドおよびヌクレオシドホスホルアミダイト,および2’−デオキシ−2’−N−フタロイルグアノシンヌクレオシドおよびヌクレオシドホスホルアミダイトの化学合成において,アシル化は,1−β−D−アラビノフラノシルヌクレオシドの5’−ヒドロキシルおよび3’−ヒドロキシル基を保護した後に行うことができる。
【0185】
さらに別の態様においては,本発明の方法において企図される2’−デオキシ−2’−N−フタロイルグアノシンヌクレオシドおよびヌクレオシドホスホルアミダイトおよびこれらの同等物の化学合成において,1−β−D−アラビノフラノシルグアニンのO6保護は,O6保護基,例えば,ニトロフェニルまたはジフェニルカルバモイル基を用いて,アシル化の前に行っても後に行ってもよい。
【0186】
さらに別の態様においては,1−β−D−アラビノフラノシルグアニンのN2保護は,ジメチルホルムアミド(DMF)保護を用いて行うことができる。
【0187】
好ましくは,上述の態様のいずれにおいても,置換フタルイミド求核基は,4,5−ジクロロフタルイミド,3,4,5,6−テトラクロロフタルイミド,3−ニトロフタルイミド,または4−ニトロフタルイミドである。
【0188】
本発明の別の観点においては,2’−O−シリル−ヌクレオシドおよび2’−O−シリルヌクレオシドホスホルアミダイトを製造する方法が提供される。該方法は,キログラムまたはそれ以上の量にスケールアップすることができる。
【0189】
1つの態様においては,2’−O−シリルヌクレオシドホスホルアミダイトを合成する方法は以下の工程を含む:
(1)例えば,ジシリルアルキルビス(トリフルオロメタンスルホネート)を用いることにより,D−またはL−ヌクレオシドでありうるヌクレオシドに5’,3’−環状シリル保護基を導入して,5’,3’−O−(ジ−アルキルシランジイル)ヌクレオシドを形成し;
(2)例えば,工程(1)の生成物を置換塩化シリルおよび/またはシリルトリフレート,例えば,塩化tert−ブチルジメチルシリルおよびtert−ブチルジメチルシリルトリフレートで処理することにより,2’−O−シリルエーテルを選択的に形成することにより2’−O−シリル保護基を導入して,5’,3’−O−(ジ−アルキルシランジイル)−2’−O−シリルヌクレオシドを形成し;
(3)必要な場合には,例えば,5’,3’−O−(ジ−アルキルシランジイル)−2’−O−シリルヌクレオシドを塩化アシルまたは無水アシルで処理することにより,工程(2)の生成物に核酸塩基保護を導入し;
(4)例えば,5’,3’−O−(ジ−アルキルシランジイル)−2’−O−シリルヌクレオシドをフッ素イオン源,例えば,ピリジン/HFで処理することにより,工程(3)の生成物からの5’,3’−環状シリルエーテルを選択的に脱シリル化して,2’−O−シリル−ヌクレオシド,例えば,2’−O−tert−ブチルジメチルシリルヌクレオシドを生成し;
(5)例えば,4’−4’−塩化ジメトキシトリチルを用いて,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリルヌクレオシドを得るのに適した条件下で,工程(4)の生成物にオリゴヌクレオチド合成に適合した5’−ヒドロキシル保護基を導入し;
(6)ホスフィチル化試薬,例えば,2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルクロロホスホルアミダイトを用いて,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリルヌクレオシド3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)の単離に適した条件下で,工程(5)の生成物の3’−位にホスホルアミダイト成分を導入する。
【0190】
1つの態様においては,本発明は,2’−O−シリル−ヌクレオシドホスホルアミダイトを合成する方法を提供し,該方法は,以下の工程を含む:
(1)必要な場合には,例えば,ヌクレオシドを塩化アシルまたは無水アシルで処理することにより,DまたはLヌクレオシドでありうるヌクレオシドに核酸塩基保護を導入し;
(2)例えば,ジシリルアルキルビス(トリフルオロメタンスルホネート)を用いることにより,工程(1)の生成物に5’,3’−環状シリル保護基を導入して,5’,3’−O−(ジ−アルキルシランジイル)ヌクレオシドを形成し;
(3)例えば,工程(2)からの生成物を置換塩化シリルおよび/またはシリルトリフレート,例えば塩化tert−ブチルジメチルシリルおよびtert−ブチルジメチルシリルトリフレートで処理することにより,2’−O−シリルエーテルを選択的に形成することにより2’−O−シリル保護基を導入して,5’,3’−O−(ジ−アルキルシランジイル)−2’−O−シリルヌクレオシドを生成し;
(4)例えば,5’,3’−O−(ジ−アルキルシランジイル)−2’−O−シリルヌクレオシドをフッ素イオン源,例えばピリジン/HFで処理することにより,工程(3)の生成物からの5’,3’−環状シリルエーテルを選択的に脱シリル化して,2’−O−シリル−ヌクレオシド,例えば2’−O−tert−ブチルジメチルシリルヌクレオシドを生成し;
(5)例えば,4’−4’−塩化ジメトキシトリチルを用いることにより,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリルヌクレオシドを得るのに適した条件下で,工程(4)の生成物にオリゴヌクレオチド合成に適合した5’−ヒドロキシル保護基を導入し;そして
(6)ホスフィチル化試薬,例えば,2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルクロロホスホルアミダイトを用いて,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリルヌクレオシド3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)の単離に適した条件下で,工程(5)の生成物の3’−位にホスホルアミダイト成分を導入する。
【0191】
好ましい態様においては,,本発明は,2’−O−シリルシチジンホスホルアミダイト,例えば,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリル−N4−アセチルシチジン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)を合成する方法を提供し,該方法は以下の工程を含む:
(1)アシル化試薬,例えば,無水酢酸を用いて,N4−アセチルシチジンを得るのに適した条件下で,シチジンのN4位にアシル基を導入し;
(2)例えば,ジ−tert−ブチルシリルビス(トリフルオロメタンスルホネート)による環状シリル化を用いて,5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−N4−アセチルシチジンの単離に適した条件下で,工程(1)からの生成物の5’−ヒドロキシルおよび3’−ヒドロキシル基の保護を導入し;
(3)例えば,塩化tert−ブチルジメチルシリルを用いて,イミダゾールおよび/または硝酸銀の存在下で,5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリル−N4−アセチルシチジンを得るのに適した条件下で,工程(2)の生成物の2’−位にシリル保護基を導入し;
(4)5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル保護を選択的に除去するために,フッ素イオン源,例えば,フッ化水素−ピリジン,トリブチルアミン−フッ化水素またはこれらの同等物を用いて,2’−O−tert−ブチルジメチルシリル−N4−アセチルシチジンの単離に適した条件下で,工程(3)の生成物を脱保護し;
(5)例えば,4’−4’−塩化ジメトキシトリチルを用いることにより,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリル−N4−アセチルシチジンを得るのに適した条件下で,工程(4)の生成物にオリゴヌクレオチド合成に適合した5’−ヒドロキシル保護基を導入し;そして
(6)ホスフィチル化試薬,例えば,2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルクロロホスホルアミダイトを用いて,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリル−N4−アセチルシチジン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)の単離に適した条件下で,工程(5)の生成物の3’−位にホスホルアミダイト成分を導入する。
【0192】
別の態様においては,本発明は,2’−O−シリルシチジンホスホルアミダイト,例えば,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリル−N4−アセチルシチジン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)を合成する方法を提供し,該方法は以下の工程を含む:
(1)例えば,ジ−tert−ブチルシリルビス(トリフルオロメタンスルホネート)による環状シリル化を用いて,5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイルシチジンの単離に適した条件下で,シチジンの5’−ヒドロキシルおよび3’−ヒドロキシル基の保護を導入し;
(2)イミダゾールおよび/または硝酸銀の存在下で,例えば,tert−ブチルジメチルシリルを用いて,5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリルシチジンを得るのに適した条件下で,工程(1)の生成物の2’−位にシリル保護基を導入し;
(3)5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリル−N4−アセチルシチジンを得るのに適した条件下で,アシル化試薬,例えば,塩化アセチルを用いて,工程(2)からの生成物のN4位にアシル基を導入し;
(4)5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル保護を選択的に除去するために,フッ素イオン源,例えば,フッ化水素−ピリジン,トリブチルアミン−フッ化水素またはこれらの同等物を用いて,2’−O−tert−ブチルジメチルシリル−N4−アセチルシチジンの単離に適した条件下で,工程(3)の生成物を脱保護し;
(5)例えば,4’−4’−塩化ジメトキシトリチルを用いることにより,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリル−N4−アセチルシチジンを得るのに適した条件下で,工程(4)の生成物にオリゴヌクレオチド合成に適合した5’−ヒドロキシル保護基を導入し;そして
(6)ホスフィチル化試薬,例えば,2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルクロロホスホルアミダイトを用いて,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリル−N4−アセチルシチジン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)の単離に適した条件下で,工程(5)の生成物の3’−位にホスホルアミダイト成分を導入する。
【0193】
別の態様においては,本発明は,2’−O−シリルウリジンホスホルアミダイト,例えば,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリルウリジン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)を合成する方法を提供し,該方法は以下の工程を含む:
(1)例えば,ジ−tert−ブチルシリルビス(トリフルオロメタンスルホネート)による環状シリル化を用いて,5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイルウラシルの単離に適した条件下で,ウリジンの5’−ヒドロキシルおよび3’−ヒドロキシル基の保護を導入し;
(2)イミダゾールおよび/または硝酸銀の存在下で,例えば,塩化tert−ブチルジメチルシリルを用いることにより,5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリルウリジンを得るのに適した条件下で,工程(1)の生成物の2’−位にシリル保護基を導入し;
(3)5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル保護を選択的に除去するために,フッ素イオン源,例えば,フッ化水素−ピリジン,トリブチルアミン−フッ化水素またはこれらの同等物を用いて,2’−O−tert−ブチルジメチルシリルウリジンの単離に適した条件下で,工程(2)の生成物を脱保護し;
(4)例えば,4’−4’−塩化ジメトキシトリチルを用いることにより,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリルウリジンを得るのに適した条件下で,工程(3)の生成物にオリゴヌクレオチド合成に適合した5’−ヒドロキシル保護基を導入し;そして
(5)ホスフィチル化試薬,例えば,2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルクロロホスホルアミダイトを用いて,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリルウリジン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)の単離に適した条件下で,工程(4)の生成物の3’−位にホスホルアミダイト成分を導入する。
【0194】
別の態様においては,本発明は,2’−O−シリルアデノシンホスホルアミダイト,例えば,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリル−N6−ベンゾイルアデノシン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)を合成する方法を提供し,該方法は以下の工程を含む:
(1)例えば,ジ−tert−ブチルシリルビス(トリフルオロメタンスルホネート)による環状シリル化を用いて,5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイルアデノシンの単離に適した条件下で,アデノシンの5’−ヒドロキシルおよび3’−ヒドロキシル基の保護を導入し;
(2)イミダゾールおよび/または硝酸銀の存在下で,例えば,塩化tert−ブチルジメチルシリルを用いて,5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリルアデノシンを得るのに適した条件下で,工程(1)の生成物の2’−位にシリル保護基を導入し;
(3)アシル化試薬,例えば,塩化ベンゾイルを用いて,5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリル−N6−ベンゾイルアデノシンを得るのに適した条件下で,工程(2)からの生成物のN6位にアシル基を導入し;
(4)5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル保護を選択的に除去するために,フッ素イオン源,例えば,フッ化水素−ピリジン,トリブチルアミン−フッ化水素またはこれらの同等物で,2’−O−tert−ブチルジメチルシリル−N6−ベンゾイルアデノシンの単離に適した条件下で,工程(3)の生成物を脱保護し;
(5)例えば,4’−4’−塩化ジメトキシトリチルを用いることにより,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリル−N6−ベンゾイルアデノシンを得るのに適した条件下で,工程(4)の生成物にオリゴヌクレオチド合成に適合した5’−ヒドロキシル保護基を導入し;そして
(6)ホスフィチル化試薬,例えば,2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルクロロホスホルアミダイトを用いて,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリル−N6−ベンゾイルアデノシン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)の単離に適した条件下で,工程(5)の生成物の3’−位にホスホルアミダイト成分を導入する。
【0195】
1つの態様においては,本発明は,2’−O−シリルグアノシンホスホルアミダイト,例えば,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリル−N2−イソブチリルグアノシン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)を合成する方法を特徴とし,該方法は以下の工程を含む:
(1)例えば,ジ−tert−ブチルシリルビス(トリフルオロメタンスルホネート)による環状シリル化を用いて,5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイルグアノシンの単離に適した条件下で,グアノシンの5’−ヒドロキシルおよび3’−ヒドロキシル基に保護を導入し;
(2)イミダゾールおよび/または硝酸銀の存在下で,例えば,塩化tert−ブチルジメチルシリルを用いることにより,5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリルグアノシンを得るのに適した条件下で,工程(1)の生成物の2’−位にシリル保護基を導入し;
(3)5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリル−N2−イソブチリルグアノシンを得るのに適した条件下で,アシル化試薬,例えば,塩化イソブチリルを用いて,工程(2)からの生成物のN2位にアシル基を導入し;
(4)5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル保護を選択的に除去するために,フッ素イオン源,例えば,フッ化水素−ピリジン,トリブチルアミン−フッ化水素またはこれらの同等物を用いて,2’−O−tert−ブチルジメチルシリル−N2−イソブチリルグアノシンの単離に適した条件下で,工程(3)の生成物を脱保護し;
(5)例えば,4’−4’−塩化ジメトキシトリチルを用いることにより,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリル−N2−イソブチリルグアノシンを得るのに適した条件下で,工程(4)の生成物にオリゴヌクレオチド合成に適合した5’−ヒドロキシル保護基を導入し;そして
(6)ホスフィチル化試薬,例えば,2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルクロロホスホルアミダイトを用いて,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリル−N2−イソブチリルグアノシン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)の単離に適した条件下で,工程(5)の生成物の3’−位にホスホルアミダイト成分を導入する。
【0196】
好ましい態様においては,本発明により企図される2’−デオキシ−2’−アミノおよび2’−デオキシ−2’−N−フタロイルヌクレオシド類似体の合成は,アデノシン,シチジン,ウリジン,およびグアノシンヌクレオシドおよびその対応するL−異性体に限定されず,多数のヌクレオシドまたはC−ヌクレオシド類似体の任意のもの,例えば,限定されないが,リボチミジンヌクレオシド,イノシンヌクレオシド,プリンヌクレオシド,2,6−ジアミノプリンヌクレオシド,ピリジン−4−オンヌクレオシド,ピリジン−2−オンヌクレオシド,フェニルC−ヌクレオシド,シュードウラシルヌクレオシド,2,4,6−トリメトキシベンゼンC−ヌクレオシド,3−メチルウラシルヌクレオシド,ジヒドロウリジンヌクレオシド,ナフチルC−ヌクレオシド,アミノフェニルC−ヌクレオシド,5−アルキルシチジンヌクレオシド(例えば,5−メチルシチジン),5−アルキルウリジンヌクレオシド(例えば,リボチミジン),5−ハロウリジンヌクレオシド(例えば,5−ブロモウリジン),6−アザピリミジンヌクレオシド,6−アルキルピリミジンヌクレオシド(例えば6−メチルウリジン),プロピンヌクレオシド,4’−チオヌクレオシド,炭素環式ヌクレオシド,これらの対応するL異性体および他のものが包含される。
【0197】
さらに別の態様においては,本発明により企図される2−O−シリルヌクレオシドおよび2’−O−シリルC−ヌクレオシドの合成には,限定されないが,シチジン,ウリジン,アデノシン,グアノシン,イノシン,L−シチジン,L−ウリジン,L−アデノシン,L−グアノシン,L−イノシン,アラビノ−シチジン,アラビノ−ウリジン,アラビノ−アデノシン,アラビノ−グアノシン,アラビノ−イノシン,L−アラビノ−シチジン,L−アラビノ−ウリジン,L−アラビノ−アデノシン,L−アラビノ−グアノシン,L−アラビノ−イノシン,リボ−チミジン,アラビノ−チミジン,L−リボ−チミジン,およびL−アラビノ−チミジンからなる群より選択されるヌクレオシド;フェニル,ナフチル,アミノフェニル,および2,4,6−トリメトキシベンジルC−ヌクレオシドからなる群より選択されるC−ヌクレオシド,およびこれらの対応するLおよびアラビノ異性体が含まれる。
【0198】
別の態様においては,2’−O−シリル−ヌクレオシドおよび2’−O−シリル−ヌクレオシドホスホルアミダイトを合成する方法を用いて,2’−O−シリル−D−リボフラノシルヌクレオシドおよび2’−O−シリル−D−リボフラノシルヌクレオシドホスホルアミダイト,2’−O−シリル−L−リボフラノシルヌクレオシドおよび2’−O−シリル−L−リボフラノシルヌクレオシドホスホルアミダイト,2’−O−シリル−D−アラビノフラノシルヌクレオシドおよび2’−O−シリル−D−アラビノフラノシルヌクレオシドホスホルアミダイトおよび2’−O−シリル−L−アラビノフラノースヌクレオシドおよび2’−O−シリル−L−アラビノフラノースヌクレオシドホスホルアミダイトの両方を合成する。
【0199】
本発明はまた,2’−O−シリル−C−ヌクレオシドおよび2’−O−シリルC−ヌクレオシドホスホルアミダイトの製造のための合成方法を特徴とする。該方法は,キログラムまたはそれ以上の量にスケールアップすることができる。該方法は以下の工程を含む:(1)例えば,ジシリルアルキルビス(トリフルオロメタンスルホネート)を用いることにより,DまたはLのC−ヌクレオシドでありうるC−ヌクレオシドに5’,3’−環状シリル保護基を導入して,5’,3’−O−(ジ−アルキルシランジイル)C−ヌクレオシドを生成し;そして(2)例えば,工程(1)の生成物を置換塩化シリルおよび/またはシリルトリフレート,例えば,塩化tert−ブチルジメチルシリルおよびtert−ブチルジメチルシリルトリフレートで処理することにより,2’−O−シリルエーテルの選択的形成により2’−O−シリル保護基を導入して,5’,3’−O−(ジ−アルキルシランジイル)−2’−O−シリルC−ヌクレオシドを生成し;そして(3)必要な場合には,例えば,5’,3’−O−(ジ−アルキルシランジイル)−2’−O−シリルC−ヌクレオシドを塩化アシルまたは無水アシルで処理することにより,工程(2)の生成物に核酸塩基保護を導入し;そして(4)例えば,5’,3’−O−(ジ−アルキルシランジイル)−2’−O−シリルC−ヌクレオシドをフッ素イオン源,例えばピリジン/HFで処理することにより,工程(3)の生成物からの5’,3’−環状シリルエーテルを選択的に脱シリル化して,2’−O−シリル−C−ヌクレオシド,例えば2’−O−tert−ブチルジメチルシリルC−ヌクレオシドを生成し;そして(5)例えば,4’−4’−塩化ジメトキシトリチルを用いることにより,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリルC−ヌクレオシドを得るのに適した条件下で,工程(4)の生成物にオリゴヌクレオチド合成に適合した5’−ヒドロキシル保護基を導入し;そして(6)ホスフィチル化試薬,例えば,2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルクロロホスホルアミダイトを用いて,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリルC−ヌクレオシド3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)の単離に適した条件下で,工程(5)の生成物の3’−位にホスホルアミダイト成分を導入する。
【0200】
1つの態様においては,本発明は,2’−O−シリル−C−ヌクレオシドおよび2’−O−シリル−C−ヌクレオシドホスホルアミダイトを化学的に合成する方法を特徴とする。該方法は,キログラムまたはそれ以上の量にスケールアップすることができる。該方法は,以下の各工程を含む:(1)必要な場合には,例えば,C−ヌクレオシドを塩化アシルまたは無水アシルで処理することにより,DまたはLのC−ヌクレオシドでありうるC−ヌクレオシドに核酸塩基保護を導入し;(2)例えば,ジシリルアルキルビス(トリフルオロメタンスルホネート)を用いて,工程(1)の生成物に5’,3’−環状シリル保護基を導入して,5’,3’−O−(ジ−アルキルシランジイル)C−ヌクレオシドを形成し;(3)例えば,工程(2)からの生成物を置換塩化シリルおよび/またはシリルトリフレート,例えば塩化tert−ブチルジメチルシリルおよびtert−ブチルジメチルシリルトリフレートで処理して,5’,3’−O−(ジ−アルキルシランジイル)−2’−O−シリルC−ヌクレオシドを形成することにより,2’−O−シリルエーテルの選択的形成により2’−O−シリル保護基を導入し;(4)例えば,5’,3’−O−(ジ−アルキルシランジイル)−2’−O−シリルC−ヌクレオシドをフッ素イオン源,例えばピリジン/HFで処理することにより工程(3)の生成物から5’,3’−環状シリルエーテルを選択的に脱シリル化して,2’−O−シリル−C−ヌクレオシド,例えば2’−O−tert−ブチルジメチルシリルC−ヌクレオシドを生成し;(5)例えば,塩化4’−4’−ジメトキシトリチルを用いることにより,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリルC−ヌクレオシドを得るのに適した条件下で,工程(4)の生成物にオリゴヌクレオチド合成に適合した5’−ヒドロキシル保護基を導入し;そして(6)ホスフィチル化試薬,例えば,2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルクロロホスホルアミダイトを用いて,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリルC−ヌクレオシド3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)の単離に適した条件下で,工程(5)の生成物の3’−位にホスホルアミダイト成分を導入する。
【0201】
別の態様においては,2’−O−シリル−C−ヌクレオシドおよび2’−O−シリル−C−ヌクレオシドホスホルアミダイトの合成方法を用いて,2’−O−シリル−D−リボフラノシルC−ヌクレオシドおよび2’−O−シリル−D−リボフラノシルC−ヌクレオシドホスホルアミダイト,2’−O−シリル−L−リボフラノシルC−ヌクレオシドおよび2’−O−シリル−L−リボフラノシルC−ヌクレオシドホスホルアミダイト,2’−O−シリル−D−アラビノフラノシルC−ヌクレオシドおよび2’−O−シリル−D−アラビノフラノシルC−ヌクレオシドホスホルアミダイトおよび2’−O−シリル−L−アラビノフラノースC−ヌクレオシドおよび2’−O−シリル−L−アラビノフラノースC−ヌクレオシドホスホルアミダイトの両方を合成する。
【0202】
本発明はまた,2’−O−メチルグアノシンヌクレオシドおよび2’−O−メチルグアノシンヌクレオシドホスホルアミダイトを製造するための実用的な合成方法を特徴とする。該方法は,キログラムまたはそれ以上の量にスケールアップすることができる。該方法は以下の工程を含む:(1)ジシリルアルキルビス(トリフルオロメタンスルホネート)を用いて,2,6−ジアミノ−9−(β−リボフラノシル)プリンに5’,3’−環状シリル保護基を導入して,2,6−ジアミノ−9−[5’,3’−O−(ジ−アルキルシランジイル)−β−リボフラノシル]プリンを形成し;(2)例えば,工程(1)の生成物を水素化ナトリウムの存在下でヨウ化メチルで処理することにより,2,6−ジアミノ−9−[5’,3’−O−(ジ−アルキルシランジイル)−β−リボフラノシル]プリンをメチル化して,2,6−ジアミノ−9−[5’,3’−O−(ジ−アルキルシランジイル)−2’−O−メチル−β−リボフラノシル]プリンを生成し;(3)例えば,2,6−ジアミノ−9−[5’,3’−O−(ジ−アルキルシランジイル)−2’−O−メチル−β−リボフラノシル]プリンを塩化アシルまたは無水アシル,例えば,塩化イソブチリルで処理することにより,工程(2)からの生成物のN2およびN6位にアシル保護を導入して,N2−N6−2,6−ジアミノ−ジアシル−9−[5’,3’−O−(ジ−アルキルシランジイル)−2’−O−メチル−β−リボフラノシル]プリンを生成し;(4)例えば,2,6−ジアミノ−N2−N6−ジアシル−9−[5’,3’−O−(ジ−アルキルシランジイル)−2’−O−メチル−β−リボフラノシル]プリンをTEA/MeOHで処理することにより,工程(3)の生成物のN6位を選択的に脱アシル化して,2,6−ジアミノ−N2−アシル−9−[5’,3’−O−(ジ−アルキルシランジイル)−2’−O−メチル−β−リボフラノシル]プリンを生成し;(5)例えば,2,6−ジアミノ−N2−アシル−9−[5’,3’−O−(ジ−アルキルシランジイル)−2’−O−メチル−β−リボフラノシル]プリンを亜硝酸ナトリウム/酢酸で処理し,次にフッ素イオン源,例えば,HF−ピリジンで処理することにより,工程(4)の生成物をN6−アミンを化学的に脱アミノ化し,脱シリル化して,N2−アシル−2’−O−メチルグアノシンを生成し;(6)例えば,4’−4’−塩化ジメトキシトリチルを用いることにより,N2−アシル−5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−メチルグアノシンを得るのに適した条件下で,工程(5)の生成物にオリゴヌクレオチド合成に適合した5’−ヒドロキシル保護基を導入し;そして(7)ホスフィチル化試薬,例えば,2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルクロロホスホルアミダイトを用いて,N2−アシル−5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−メチルグアノシン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)の単離に適した条件下で,工程(6)の生成物の3’−位にホスホルアミダイト成分を導入する。
【0203】
本発明はまた,2’−O−メチルアデノシンヌクレオシドおよび2’−O−メチルアデノシンヌクレオシドホスホルアミダイトを製造するための実用的な合成方法を特徴とする。該方法は,キログラムまたはそれ以上の量にスケールアップすることができる。該方法は以下の工程を含む:(1)ジシリルアルキルビス(トリフルオロメタンスルホネート)を用いてアデノシンに5’,3’−環状シリル保護基を導入して,5’,3’−O−(ジ−アルキルシランジイル)アデノシンを形成し;(2)例えば,工程(1)の生成物を水素化ナトリウムの存在下でヨウ化メチルで処理することにより,5’,3’−O−(ジ−アルキルシランジイル)アデノシンをメチル化して,5’,3’−O−(ジ−アルキルシランジイル)−2’−O−メチルアデノシンを生成し;(3)例えば,5’,3’−O−(ジ−アルキルシランジイル)−2’−O−メチルアデノシンを塩化アシルまたは無水物,例えば塩化ベンゾイルで処理することにより,工程(2)からの生成物のN6位にアシル保護を導入して,N6−アシル−5’,3’−O−(ジ−アルキルシランジイル)−2’−O−メチルアデノシンを生成し;(4)フッ素イオン源,例えばHF−ピリジンで処理することにより,工程(3)の生成物を脱シリル化して,N6−アシル−2’−O−メチルアデノシンを生成し;(5)例えば,4’−4’−塩化ジメトキシトリチルを用いることにより,N6−アシル−5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−メチルアデノシンを得るのに適した条件下で,工程(4)の生成物にオリゴヌクレオチド合成に適合した5’−ヒドロキシル保護基を導入し;そして(6)ホスフィチル化試薬,例えば,2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルクロロホスホルアミダイトを用いて,N6−アシル−5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−メチルアデノシン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)の単離に適した条件下で,工程(5)の生成物の3’−位にホスホルアミダイト成分を導入する。
【0204】
本発明はまた,1,4−アンヒドロ−2−デオキシ−D−エリスロ−ペンチトールホスホルアミダイト,例えば,3−O−保護−1,4−アンヒドロ−2−デオキシ−D−エリスロ−ペンチトール−5−O−ホスホルアミダイトを合成する実用的な方法を提供する。該方法は以下の工程を含む:(1)5−O−保護−1,4−アンヒドロ−2−デオキシ−D−エリスロ−ペンチトールの単離に適した条件下で5’−O−保護チミジン誘導体を脱ピリミジン化し;(2)5−O−保護−3−O−保護−1,4−アンヒドロ−2−デオキシ−D−エリスロ−ペンチトールの単離に適した条件下で,5−O−保護−1,4−アンヒドロ−2−デオキシ−D−エリスロ−ペンチトールのC3ヒドロキシルに酸不安定性保護基を導入し;(3)3−O−保護−1,4−アンヒドロ−2−デオキシ−D−エリスロ−ペンチトールの単離に適した条件下で,工程(2)の生成物を選択的に5−O−脱保護し;そして(4)3−O−保護−1,4−アンヒドロ−2−デオキシ−D−エリスロ−ペンチトール−5−O−ホスホルアミダイトの単離に適した条件下で,工程(3)の生成物に5−O−ホスホルアミダイト成分を導入する。
【0205】
本発明はまた,1,4−アンヒドロ−2−デオキシ−D−エリスロ−ペンチトールスクシネート,例えば,3−O−保護−1,4−アンヒドロ−2−デオキシ−D−エリスロ−ペンチトール−5−O−スクシネートを合成する実用的な方法を提供する。該方法は以下の工程を含む:(1)5−O−保護−1,4−アンヒドロ−2−デオキシ−D−エリスロ−ペンチトールの単離に適した条件下で,5’−O−保護チミジン誘導体を脱ピリミジン化し;(2)5−O−保護−3−O−保護−1,4−アンヒドロ−2−デオキシ−D−エリスロ−ペンチトールの単離に適した条件下で,5−O−保護−1,4−アンヒドロ−2−デオキシ−D−エリスロ−ペンチトールのC3ヒドロキシルに酸不安定性保護基を導入し;(3)3−O−保護−1,4−アンヒドロ−2−デオキシ−D−エリスロ−ペンチトールの単離に適した条件下で,工程(2)の生成物を選択的に5−O−脱保護し;そして(4)3−O−保護−1,4−アンヒドロ−2−デオキシ−D−エリスロ−ペンチトール−5−O−スクシネートの単離に適した条件下で,工程(3)の生成物に5−O−スクシネート成分を導入する。
【0206】
1つの態様においては,本発明は,式I:
【化24】
[式中,各R1およびR2は,独立して,水素,NR10R11,(NR10R11)アルキル,アルキル,またハロゲンを含み,ここで,R10およびR11は,独立して,水素,アルキル,アルカノイル,アシル,アルコキシ,または,ハロゲン,アルコキシ,ニトロ,およびアルキルを含む3個までの基で独立して置換されていてもよいアリールアルキルを含み,R3は,独立して,アルキル,アルコキシアルキル,アルキル−チオ−アルキル,シアノアルキル,または,ハロゲン,アルコキシ,ニトロ,またはシアノアルキルである3個までの基で独立して置換されていてもよいアリールアルキルを含む]
の化合物を合成する方法を特徴とし,該方法は,以下の工程を含む:(a)式II:
【化25】
[式中,各R1およびR2は式Iにおいて記載したとおりである]
の化合物に5’,3’−架橋シリル保護基を導入して,式III:
【化26】
[式中,各R1およびR2は,式Iにおいて記載したとおりであり,各R4は,独立して,アルキル,アリールまたはイソアルキル成分を含む]
の化合物を生成し;(b)工程(a)の生成物をアルキル化して,式IV:
【化27】
[式中,各R1,R2およびR3は,式Iにおいて定義したとおりであり,R4は,式IIIにおいて定義したとおりである]
の化合物を生成し;そして(c)工程(b)の生成物を脱保護して,式Iの化合物を得る。
【0207】
別の態様においては,本発明は,式V:
【化28】
[式中,R1およびR2は,独立して,水素,NR10R11,(NR10R11)アルキル,アルキル,またはハロゲンを含み,ここで,R10およびR11は,独立して,水素,アルキル,アルカノイル,アシル,アルコキシ,または,ハロゲン,アルコキシ,ニトロ,およびアルキルを含む3個までの基で独立して置換されていてもよいアリールアルキルを含み,およびR3は,独立して,アルキル,アルコキシアルキル,アルキル−チオ−アルキル,シアノアルキル,または,ハロゲン,アルコキシ,ニトロ,およびシアノアルキルを含む3個までの基で独立して置換されていてもよいアリールアルキルを含み,R5は,酸不安定性保護成分を含み,およびR6はリン含有成分を含む]
を有する化合物を合成する方法を特徴とし,該方法は以下の工程を含む:(a)式IIの化合物に5’,3’−架橋シリル保護基を導入して式IIIの化合物を生成し;(b)工程(a)の生成物をアルキル化して式IVの化合物を生成し;(c)工程(b)におけるR1またはR2が独立してアミノ成分を含む場合には,工程(b)の生成物に少なくとも1つの環外のアミン保護成分を導入し;(d)工程(c)の生成物を脱保護して式Iの化合物を生成し;そして(e)工程(d)の生成物に酸不安定性保護成分を,次にリン含有成分を導入して,式Vの化合物を生成する。
【0208】
別の態様においては,本発明の式IIおよびIIIのR4はtert−ブチル成分を含む。
【0209】
別の態様においては,本発明の式I−VのR1はアミノ成分を含み,本発明の式I−VのR2はHを含む。
【0210】
別の態様においては,本発明の式I−VのR1およびR2は,それぞれアミノ成分を含む。
【0211】
別の態様においては,本発明の式I−VのR1はクロロ成分を含み,本発明の式I−VのR2はHを含む。
【0212】
1つの態様においては,式Iの化合物は,2’−O−メチルアデノシンを含む。
【0213】
別の態様においては,本発明の式Vの化合物は,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−メチル−N2−ベンゾイルアデノシン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)を含む。
【0214】
別の態様においては,本発明のアルキル化は,ヨウ化メチルおよび水素化ナトリウムを用いるアルキル化を含む。
【0215】
1つの態様においては,本発明は,式VI:
【化29】
[式中,R3は,アルキル,アルコキシアルキル,アリールアルキル,アルキル−チオ−アルキル,またはシアノアルキル成分を含み,およびR7は,Hまたはアシル成分を含む]
を有する化合物を合成する方法を特徴とし,該方法は以下の工程を含む:(a)イノシンに5’,3’−架橋シリル保護基を導入して,式VII:
【化30】
[式中,各R4は,独立して,アルキル,アリールまたはイソアルキル成分を含む]
の化合物を生成し;(b)工程(a)の生成物にイミダゾール成分を導入して,式VIII:
【化31】
[式中,各R4は,独立して,アルキル,アリールまたはイソアルキル成分を含む]
の化合物を生成し;(c)工程(b)の生成物をアルキル化して,式IX:
【化32】
[式中,各R4は,独立して,アルキル,アリールまたはイソアルキル成分を含み,およびR3は,式VIにおいて定義したとおりである]
の化合物を生成し;(d)工程(c)の生成物をアミノ化して,式X:
【化33】
[式中,各R3およびR7は,式VIにおいて定義したとおりである]
の化合物を生成し;そして(e)工程(d)の生成物を脱シリル化して,式VIの化合物を得る。
【0216】
別の態様においては,本発明は,式VIを有する2’−O−アルキルアデノシン誘導体を合成する方法を特徴とし,該方法は以下の工程を含む:(a)イノシンに5’,3’−架橋シリル保護基を導入して,式XI:
【化34】
[式中,各R4は,独立して,アルキル,アリールまたはイソアルキル成分を含む]
の化合物を生成し;(b)工程(a)の生成物にイミダゾール成分を導入して,式XII:
【化35】
[式中,各R4は,独立して,アルキル,アリールまたはイソアルキル成分を含む]
の化合物を生成し;(c)工程(b)の生成物をアルキル化して,式XIII:
【化36】
[式中,R3は,式VIにおいて定義したとおりであり,各R4は,独立して,アルキル,アリールまたはイソアルキル成分を含む]
の化合物を生成し;(d)工程(c)の生成物をアミノ化して,式XIV:
【化37】
[式中,各R3およびR7は,式VIにおいて定義したとおりである]
の化合物を生成し;および(e)工程(d)の生成物を脱シリル化して,式VIの化合物を生成する。
【0217】
別の態様においては,本発明は,式XV:
【化38】
[式中,各R3およびR7は,式VIにおいて定義したとおりであり,R5は,酸不安定性保護成分を含み,およびR6はリン含有成分を含む]
を有する化合物を合成する方法を特徴とし,該方法は,以下の工程を含む:(a)式VIの化合物に酸不安定性保護成分を,次にリン含有成分を導入して,式XVの化合物を得る。
【0218】
別の態様においては,本発明のR4はイソプロピル成分を含む。
【0219】
別の態様においては,本発明のR4はtert−ブチル成分を含む。
【0220】
別の態様においては,本発明のR3はメチル成分を含む。
【0221】
別の態様においては,本発明の式VIの化合物は2’−O−メチルアデノシンを含む。
【0222】
別の態様においては,本発明のR7はベンゾイル成分を含む。
【0223】
別の態様においては,本発明のR7はHを含む。
【0224】
別の態様においては,本発明の式XVの化合物は,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−メチル−N2−ベンゾイルアデノシン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)を含む。
【0225】
1つの態様においては,本発明は,式XVI:
【化39】
[式中,R8は,スクシネート成分,シリルアルキル成分,またはHを含み,R9は,酸不安定性保護成分またはHを含む]
を有する化合物を合成する方法を特徴とし,該方法は以下の工程を含む:(a)式XVII:
【化40】
[式中,R8はシリルアルキル成分を含む]
の化合物を脱ピリミジン化して,式XVI[式中,R8はシリルアルキル成分を含み,R9はHを含む]の化合物を生成し;(b)工程(a)の生成物に酸不安定性保護成分を導入して,式XVI[式中,R8はシリルアルキル成分を含み,R9は酸不安定性保護成分を含む]の化合物を生成し;(c)工程(b)の生成物を脱保護して,式XVI[式中,R8はHを含み,R9は酸不安定性保護成分を含む]の化合物を生成し;そしておよび(d)工程(c)の生成物にスクシネート成分を導入して,式XVI[式中,R8はスクシネート成分を含み,R9は酸不安定性保護成分を含む]の化合物を得る。
【0226】
別の態様においては,本発明は,式XVI:
【化41】
[式中,R8は,リン含有成分,シリルアルキル成分,またはHを含み,R9は,酸不安定性保護成分またはHを含む]
を有する化合物を合成する方法を特徴とし,該方法は以下の工程を含む:(a)式XVII:
【化42】
[式中,R8はシリルアルキル成分を含む]
の化合物を脱ピリミジン化して,式XVI[式中,R8はシリルアルキル成分を含み,R9はHを含む]の化合物を生成し;(b)工程(a)の生成物に酸不安定性保護成分を導入して,式XVI[式中,R8はシリルアルキル成分を含み,R9は酸不安定性保護成分を含む]の化合物を生成し;(c)工程(b)の生成物を脱保護して,式XVI[式中,R8はHを含み,R9は酸不安定性保護成分を含む]の化合物を生成し;そして(d)工程(c)の生成物にリン含有成分を導入して,式XVI[式中,R8はリン含有成分を含み,R9は酸不安定性保護成分を含む]の化合物を生成する。
【0227】
別の態様においては,本発明の式XVIおよびXVIIのシリルアルキル成分R8は,tert−ブチルジメチルシリル,tert−ブチルジフェニルシリル,またはトリイソプロピルシリル成分を含む。
【0228】
別の態様においては,本発明の脱ピリミジン化条件は,式XVIの化合物をシリル化試薬および触媒で処理し,次に水素化し,そして選択的に脱シリル化して,式XVI[式中,R8はシリルアルキル成分を含み,R9はHを含む]の化合物を生成することを含む。
【0229】
別の態様においては,脱ピリミジン化において用いられる本発明のシリル化試薬はヘキサメチルジシラザンを含む。
【0230】
別の態様においては,脱ピリミジン化において用いられる本発明の触媒は,硫酸,パラ−トルエンスルホン酸,および硫酸アンモニウムを含む。
【0231】
別の態様においては,脱ピリミジン化において用いられる本発明の触媒は,スルホン酸,ハロゲン化スルホニル,スルホネートまたはスルファミド,例えば,メタンスルホン酸,トリフルオロメタンスルホン酸,メタンスルファミド,スルファミド,塩化メタンスルホニル,またはトリメチルシリルメタンスルホネートを含む。
【0232】
別の態様においては,本発明の脱ピリミジン化反応において用いられる選択的脱シリル化反応は,ピリジニウムトリフルオロ酢酸による処理を含む。
【0233】
別の態様においては,本発明の方法の脱ピリミジン化工程において用いられる水素化反応は,水素ガスおよびパラジウム担持炭素を用いる触媒的水素化を含む。
【0234】
別の態様においては,R8がシリルアルキル成分を含み,R9が酸不安定性保護成分を含む本発明の式XVIの化合物の脱保護条件は,エタノール中水酸化ナトリウムによる処理を含む。
【0235】
別の態様においては,R8がスクシネート成分を含み,R9が酸不安定性保護成分を含む本発明の式XVIの化合物は,3−O−ジメトキシトリチル−1,4−アンヒドロ−2−デオキシ−D−エリスロ−ペンチトール−5−O−スクシネートを含む。
【0236】
別の態様においては,R8がホスホルアミダイト成分を含み,R9が酸不安定性保護成分を含む本発明の式XVIの化合物は,3−O−ジメトキシトリチル−1,4−アンヒドロ−2−デオキシ−D−エリスロ−ペンチトール−5−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)を含む。
【0237】
1つの態様においては,本発明の酸不安定性保護成分は,ジメトキシトリチル,モノメトキシトリチル,またはトリチル成分を含む。
【0238】
別の態様においては,本発明のリン含有成分はホスホルアミダイト成分を含む。
【0239】
別の態様においては,本発明のリン含有成分は三リン酸成分を含む。
【0240】
別の態様においては,本発明のホスホルアミダイト成分は3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)成分を含む。
【0241】
別の態様においては,本発明の化合物のアミノ化は,アンモニアを用いるアミノ化を含む。
【0242】
別の態様においては,本発明の化合物のアミノ化は,アクリルアミドを用いるアミノ化を含む。
【0243】
別の態様においては,本発明のアクリルアミドはベンズアミドである。
【0244】
別の態様においては,本発明の5’,3’−架橋シリル保護基は,塩基の存在下でジ−tert−ブチルシリルビス(トリフルオロメタンスルホネート)を用いて導入する。
【0245】
別の態様においては,本発明の5’,3’−架橋シリル保護基は,塩基の存在下で1,3−ジクロロ−1,1,3,3−テトライソプロピルジシロキサンを用いて導入する。
【0246】
別の態様においては,本発明の5’,3’−架橋シリル保護基を導入するために用いられる塩基は,トリエチルアミン,ジイソプロピルエチルアミン,ピリジン,コリジン,ルチジン,1−メチルイミダゾール,イミダゾール,N,N−ジメチルアミノピリジン,またはこれらの組み合わせを含む。
【0247】
別の態様においては,本発明のアルキル化は,アルキルハロゲン化物および塩基の存在下で行う。
【0248】
別の態様においては,本発明のアルキル化において用いられるアルキルハロゲン化物はヨウ化メチルを含み,および本発明のアルキル化において用いられる塩基は水素化ナトリウムを含む。
【0249】
別の態様においては,本発明の,例えば,ヌクレオシドの5’および3’ヒドロキシルのシリル脱保護は,酸,フッ素源,またはこれらの組み合わせ,例えば,HF/ピリジン,フッ化テトラブチルアンモニウム,水性HF溶液,HFガス,またはHF/トリエチルアミン付加物を含む試薬を用いて行う。
【0250】
1つの態様においては,本発明の反応工程は,独立して,約−20(Cから約50(Cの温度で実施する。
【0251】
別の態様においては,本発明のリン含有成分はクロロホスフィンおよび塩基を用いて導入する。
【0252】
別の態様においては,本発明のリン含有成分を導入するために用いられる塩基は,トリエチルアミン,ジイソプロピルエチルアミン,ピリジン,コリジン,ルチジン,1−メチルイミダゾール,イミダゾール,N,N−ジメチルアミノピリジン,またはこれらの組み合わせを含む。
【0253】
1つの態様においては,本発明は,式VIII:
【化43】
[式中,各R4は,独立して,アルキル,アリールまたはイソアルキルを含む]の組成物を特徴とする。
【0254】
別の態様においては,本発明は,式IX:
【化44】
[式中,R4は,独立して,アルキル,アルコキシアルキル,アルキル−チオ−アルキル,シアノアルキル,または,ハロゲン,アルコキシ,ニトロおよびアルキルを含む3個までの基で独立して置換されていてもよいアリールアルキルを含み,各R4は,独立して,アルキル,アリールまたはイソアルキルを含む]
の組成物を特徴とする。
【0255】
1つの態様においては,本発明は,式XII:
【化45】
[式中,各R4は,独立して,アルキル,アリールまたはイソアルキルを含む]の組成物を特徴とする。
【0256】
別の態様においては,本発明は,式XIII:
【化46】
[式中,R4は,独立して,アルキル,アルコキシアルキル,アルキル−チオ−アルキル,シアノアルキル,または,ハロゲン,アルコキシ,ニトロおよびアルキルを含む3個までの基で独立して置換されていてもよいアリールアルキルを含み,各R4は,独立して,アルキル,アリールまたはイソアルキルを含む]
の組成物を特徴とする。
【0257】
1つの態様においては,本発明の式XIIIおよびIXのR4はイソプロピルを含む。
【0258】
別の態様においては,式XIIおよびXIIIのR4はtert−ブチルを含む。
【0259】
別の態様においては,式IXおよびXIIIのR3はメチルを含む。1つの態様においては,本発明の5−O−保護−3−O−保護−1,4−アンヒドロ−2−デオキシ−D−エリスロ−ペンチトールの選択的5−O−脱保護に適した条件は,水酸化ナトリウム,例えばエタノール中の還流水酸化ナトリウムの使用を含む。
【0260】
別の態様においては,本発明の3−O−保護−1,4−アンヒドロ−2−デオキシ−D−エリスロ−ペンチトール−5−O−スクシネートは3−O−ジメトキシトリチル−1,4−アンヒドロ−2−デオキシ−D−エリスロ−ペンチトール−5−O−スクシネートである。
【0261】
別の態様においては,本発明の3−O−保護−1,4−アンヒドロ−2−デオキシ−D−エリスロ−ペンチトール−5−O−ホスホルアミダイトは3−O−ジメトキシトリチル−1,4−アンヒドロ−2−デオキシ−D−エリスロ−ペンチトール−5−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)である。
【0262】
さらに別の態様においては,本発明の方法を用いて,LおよびD−ヌクレオシドの両方,例えば,限定されないが2’−O−シリル−β−L−リボフラノシルヌクレオシドおよび2’−O−シリル−β−L−リボフラノシルヌクレオシドホスホルアミダイトを合成することができる。
【0263】
さらに別の態様においては,本発明の本発明を用いて,LおよびD−C−ヌクレオシドの両方,例えば,限定されないが,2’−O−シリル−β−L−リボフラノシルC−ヌクレオシドおよび2’−O−シリル−β−L−リボフラノシルC−ヌクレオシドホスホルアミダイトを合成することができる。
【0264】
本発明の2’−デオキシ−2’−アミノ,2’−デオキシ−2’−N−フタロイル,2’−O−メチル,D−リボ,およびL−リボヌクレオシドおよびC−ヌクレオシドおよび1,4−アンヒドロ−2−デオキシ−D−エリスロ−ペンチトール誘導体は,核酸分子中への選択的取り込みのためのビルディングブロックとして,ヌクレオチド,C−ヌクレオチド,ヌクレオチド−三リン酸,C−ヌクレオチド三リン酸および/またはヌクレオシドホスホルアミダイトおよびC−ヌクレオシドホスホルアミダイトの化学合成において用いることができる。2’−デオキシ−2’−アミノ,2’−デオキシ−2’−N−フタロイル,2’−O−メチル,D−リボおよびL−リボヌクレオシド,C−ヌクレオシド,および1,4−アンヒドロ−2−デオキシ−D−エリスロ−ペンチトール誘導体をオリゴヌクレオチド中に取り込ませることは,例えば,限定されないが,そのような基を有しない分子と比較して,ヌクレアーゼ耐性の付与,改良された触媒活性,および増加した機能性等の多くの目的に利用することができる。これらのヌクレオシドの使用はまた,追加の官能基,リンカー,生物分子,ペプチド,蛋白質,糖,オリゴヌクレオチド,固体支持体,小分子,化学的ヌクレアーゼ,および核酸分子の所望の活性を調節するのに有用な他の分子の共有結合のための有用な足場を提供することができる。さらに,これらの核酸分子は,酵素的核酸分子,アンチセンス核酸,2−5Aアンチセンスキメラ,デコイ核酸分子,アプタマー核酸分子,トリプレックス形成オリゴヌクレオチド,キメラ核酸分子,アゴニスト核酸分子,アンタゴニスト核酸分子,または他の任意の核酸分子種として用いることができる。上述の用語は当該技術分野においてよく知られる構造および組成物を表すものであり,これに関するさらなる情報は以下に記載される。本発明の核酸分子はまた,例えば,限定されないが,治療剤,診断試薬,および研究試薬としての用途の目的のために用いることもできる。核酸分子の他の用途には,RNAまたはDNAの合成および/またはシークエンシングのためのプローブまたはプライマーとしての使用が含まれる。
【0265】
さらに,2’−デオキシ−2’−アミノ,2’−デオキシ−2’−N−フタロイル,2’−O−メチル,D−リボ,およびL−リボヌクレオシド,C−ヌクレオシドおよびヌクレオシドおよびC−ヌクレオシドホスホルアミダイトおよび1,4−アンヒドロ−2−デオキシ−D−エリスロ−ペンチトール誘導体は,酵素的核酸分子の合成において用いることができる。例えば,これらのヌクレオシドは,ハンマーヘッド,NCH(イノザイム),G−切断剤,アンバーザイム,チンザイムおよび/またはDNAザイムモチーフを有する酵素的核酸分子等の合成において用いることができる。
【0266】
本明細書において用いる場合,”核酸分子”との用語は,ヌクレオチドを有する分子を表す。核酸は,一本鎖,二本鎖,または多重鎖であることができ,修飾または未修飾ヌクレオチドまたは非ヌクレオチド,またはこれらの種々の混合物および組み合わせを含むことができる。
【0267】
本明細書において用いる場合,”アンチセンス核酸”との用語は,RNA−RNAまたはRNA−DNAまたはRNA−PNA(蛋白質核酸;Egholm et al.,1993,Nature,365,566)相互作用により標的RNAに結合し,標的RNAの活性を変化させる非酵素的核酸分子を表す(概説として,Stein and Cheng,1993,Science,261,1004およびWoolf et al.,米国特許5,849,902を参照)。典型的には,アンチセンス分子は,アンチセンス分子の1つの連続する配列に沿って標的配列に相補的であろう。しかし,ある種の態様においては,アンチセンス分子は基質分子がループを形成するように基質に結合することができ,および/またはアンチセンス分子はアンチセンス分子がループを形成するように結合することができる。すなわち,アンチセンス分子は,2つ(またはさらにそれ以上)の非連続的な基質配列に相補的であってもよく,あるいは,アンチセンス分子の2つ(またはさらにそれ以上)の非連続的な配列部分が標的配列に相補的であってもよく,これらの両方であってもよい。現在のアンチセンス戦略の概説としては,Schmajuk et al.,1999,J.Biol.Chem.,274,21783−21789,Delihas et al.,1997,Nature,15,751−753,Stein et al.,1997,Antisense N.A.Drug Dev.,7,151,Crooke,1998,Biotech.Genet.Eng.Rev.,15,121−157,Crooke,1997,Ad.Pharmacol.,40,1−49を参照されたい。さらに,アンチセンスDNAを用いてDNA−RNA相互作用によりRNAをターゲティングし,このことにより,RNaseHを活性化し,これがデュープレックス中の標的RNAを切断することができる。アンチセンスDNAは,化学的に合成してもよく,あるいは,一本鎖DNA発現ベクターまたはその同等物を用いて発現させてもよい。
【0268】
本明細書において用いる場合,”2−5Aアンチセンスキメラ”との用語は,5’リン酸化2’−5’−結合アデニル酸残基を含有するアンチセンスオリゴヌクレオチドを表す。これらのキメラは配列特異的様式で標的RNAに結合し,細胞性2−5A−依存性リボヌクレアーゼを活性化させ,次にこれは標的RNAを切断する(Torrence et al.,1993 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90,1300)。
【0269】
本明細書において用いる場合,”トリプレックス形成オリゴヌクレオチド”との用語は,配列特異的様式で二本鎖DNAに結合して,三本鎖ヘリックスを形成しうるオリゴヌクレオチドを表す。そのような三重ヘリックス構造の形成は,標的遺伝子の転写を阻害することが示されている(Duval−Valentin et al.,1992 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89,504)。
【0270】
本明細書において用いる場合,”酵素的核酸分子”との用語は,基質結合領域において特定の遺伝子標的に相補性を有し,さらに,標的RNAを特異的に切断する作用をする酵素的活性を有する核酸分子を表す。すなわち,酵素的核酸分子は,分子間でRNAを切断し,このことにより標的RNA分子を不活性化することができる。これらの相補的領域により,酵素的核酸分子が標的RNAに十分にハイブリダイズし,したがって切断をすることが可能である。相補性は高ければ高いほど,すなわち100%であることが好ましいが,50−75%程度の相補性も本発明において有用でありうる。核酸は,塩基,糖,および/またはリン酸基で修飾されていてもよい。酵素的核酸との用語は,リボザイム,触媒的RNA,酵素的RNA,触媒的DNA,アプタザイムまたはアプタマー結合リボザイム,制御可能リボザイム,触媒的オリゴヌクレオチド,ヌクレオザイム,DNAザイム,RNA酵素,エンドリボヌクレアーゼ,エンドヌクレアーゼ,ミニザイム,リードザイム,オリゴザイムまたはDNA酵素等の用語と互換的に用いられる。これらの用語はすべて酵素的活性を有する核酸分子を記述する。本明細書に記載される特定の酵素的核酸分子は限定を意味するものではなく,当業者は,本発明の酵素的核酸分子において重要なことは,これが標的核酸領域の1またはそれ以上に相補的な特異的基質結合部位を有し,この基質結合部位中またはその周囲に分子に核酸切断活性を付与するヌクレオチド配列を有することであることを認識するであろう(Cech et al.,米国特許4,987,071;Cech et al.,1988,JAMA)。
【0271】
本明細書において用いる場合,”デコイRNA”との用語は,リガンドとの天然の結合ドメインを模倣するRNA分子を表す。したがって,デコイRNAは,特定のリガンドの結合について天然の結合標的と競合する。例えば,HIVトランスアクチベーション応答(TAR)RNAの過剰発現が”デコイ”として作用することができ,HIV tat蛋白質に効率的に結合し,このことによりこれがHIV RNA中でコードされるTAR配列に結合することを妨害することが示されている(Sullenger et al.,1990,Cell,63,601−608)。これは特定の例であることを意味する。当業者は,これが唯一の例ではなく,当該技術分野において一般に知られる手法を用いて他の態様を容易になしうることを理解するであろう。
【0272】
本明細書において用いる場合,”アゴニストRNA”との用語は,高い親和性をもって蛋白質レセプターに結合することができ,特定の細胞経路の刺激を引き起こすことができるRNA分子を表す。
【0273】
本明細書において用いる場合,”アンタゴニストRNA”との用語は,細胞蛋白質に結合することができ,これが正常な生物学的機能を発揮することを妨げることができるRNA分子を表す(例えば,Tsai et al.,1992 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89,8864−8868を参照)。
【0274】
本発明のヌクレオシドを用いることができる酵素的核酸分子の例には,ハンマーヘッド,NCHまたはイノザイム,G−切断剤,チンザイム,および/またはアンバーザイムモチーフを有するもの,ならびにDNAザイムが含まれる。これらの構造モチーフはすべて当該技術分野において記述され,したがって当業者にはよく知られている。しかし,構造および関連する技術について以下に簡単に説明する。
【0275】
”ハンマーヘッド”モチーフの例は,Usman et al.,1996,Current Opinion in Structural Biology,1,527−533(図面を含めその全体を本明細書の一部としてここに引用する)に示される。
【0276】
”NCH”または”イノザイム”モチーフの例は,Ludwig et al.,米国特許出願.09/406,643(1999年9月27日出願,表題”COMPOSITIONS HAVING RNA CLEAVING ACTIVITY”),および国際公開WO98/58058およびWO98/58057(いずれも図面を含めその全体を本明細書の一部としてここに引用する)に示される。
【0277】
”G−切断剤”モチーフの例は,Eckstein et al.,国際公開No.WO99/16871(図面を含めその全体を本明細書の一部としてここに引用する)に見いだされる。
【0278】
”チンザイム”モチーフは,例えば,Beigelman et al.,国際公開No.WO99/55857(図面を含めその全体を本明細書の一部としてここに引用する)に記載されるようなモチーフを含むクラスII酵素的核酸分子である。チンザイムは,活性のためにはそれ自身の核酸配列中にリボヌクレオチド(2’−OH)基を必要としない酵素的核酸分子の非限定的例である。
【0279】
”アンバーザイム”モチーフは,例えば,Beigelman et al.,国際公開No.WO99/55857(図面を含めその全体を本明細書の一部としてここに引用する)に記載されるようなモチーフを含むクラスI酵素的核酸分子である。アンバーザイムは,活性のためにはそれ自身の核酸配列中にリボヌクレオチド(2’−OH)基を必要としない酵素的核酸分子の非限定的例である。
【0280】
’DNAザイム’との用語は,その活性のためにはDNAザイム分子中にリボヌクレオチド(2’−OH)基の存在を必要としない酵素的核酸分子を表すことを意味する。特定の態様においては,酵素的核酸分子は,結合したリンカーまたは他の結合または付随した基,成分,または2’−OH基を有する1またはそれ以上のヌクレオチドを含有する鎖を有することができる。DNAザイムは,化学的に合成してもよく,あるいは一本鎖DNAベクターまたはそれらの同等物を用いてインビボで内生的に発現させてもよい。
【0281】
”・・を含む”とは,”・・を含む”の単語の前にあるものを含むがそれには限定されないことを意味する。すなわち,”・・を含む”との用語の使用は,挙げられる要素が必要または強制的なものであるが,他の要素は任意であり,存在しても存在しなくてもよいことを示す。”・・からなる”とは,”・・からなる”の語句の前にあるものをすべて含みかつそれに限定されることを意味する。すなわち,”・・からなる”との語句は,挙げられる要素が必要な要素から実質的に構成され,他の要素は実質的に存在しないことを示す。”本質的に・・からなる”とは,この語句の前に挙げられるすべての要素を含み,挙げられる要素についての開示において特定される活性または作用を妨害せずまたはそれに貢献する他の要素に限定されることを意味する。すなわち,”本質的に・・からなる”との語句は,挙げられる要素は必要な要素から実質的に構成されるが,他の要素は任意であり,それらが挙げられる要素の活性または作用に影響を及ぼすか否かによって,存在しても存在しなくてもよいことを示す。
【0282】
本発明の他の特徴および利点は,以下の本発明の好ましい態様の説明および特許請求の範囲から明らかとなるであろう。本発明の広範な範囲は,以下の実施例を参照することにより最もよく理解される。これらの実施例は,本発明を以下に記載される特定の態様に限定することを意図するものではない。
【0283】
実施例1:5’−O−DMT−2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N4−アセチルシチジン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)(8a,R=アセチル)の合成,図3
1−β−D−アラビノフラノシル−N4−アセチルシトシン(2,R=アセチル)(Bhat,V;et al.,1989,Nucleosides & Nucleotides,8(2),179−83を改変)
1−β−D−アラビノフラノシル−シトシン(シタラビン)(1),(25g,102.75mmol, Pfanstiehl Laboratories,Cat.No.C−123,Lot#2417B)をDMF(120−ml)で3回共蒸発させ,次に無水DMF(250ml)に溶解した。無水酢酸(11.62ml,123.30mmol)を撹拌しながら滴加した。室温で24時間撹拌した後,TLC(20%MeOH/CH2Cl2)は反応の完了を示した。反応を無水MeOH(25ml)で急冷し,DMFを回転蒸発により除去し,トルエンと3回共蒸発させた。粗生成物である黄色泡状物をジエチルエーテル/メタノール(10:1.)の混合物から結晶化した。結晶化生成物を濾過し,ジエチルエーテルで洗浄し,乾燥して,27.5g(94%)の所望の生成物(2,R=アセチル)を得た。
【0284】
5’,3’−O−テトライソプロピルジシロキシ−1−β−D−アラビノフラノ シル−N4−アセチルシトシン(3,R=アセチル)
1−β−D−アラビノフラノシル−N4−アセチルシトシン(2,R=アセチル)(27.00g,94.67mmol)を無水ピリジン(250ml)と2回共蒸発させ,無水ピリジン(400ml)に溶解し,氷/水浴中で0oCに冷却した。1,3−ジクロロ−1,1,3,3−テトライソプロピルジシロキサン(36.34ml,113.6mmol)を撹拌した0oCの反応混合物に2時間かけて滴加した。反応液を室温に平衡化させ,2時間後,ピリジニウム塩酸塩の白色沈殿物が認められた。次に,5時間撹拌した後(TLC10%MeOH/CH2Cl2),反応を無水メタノール(10ml)で急冷した。ピリジンを回転蒸発により除去し,黄色生成物をCH2Cl2(400ml)に溶解し,NaHCO3(400ml)で2回洗浄し,硫酸ナトリウムで乾燥し,濾過し,蒸発乾固させた。生成物を水/EtOH(1:1,300ml総容量,さらに数滴のEtOHを熱溶液に加えて曇りを除去する。フィルターは60−100ミクロンであるべきである)の混合物から結晶化した。結晶をP2O5で真空下で一夜乾燥した。この反応の総収量は44.2g(89%)であった。
【0285】
5’,3’−O−テトライソプロピルジシロキシ−2’−トリフルオロメタンスルホニル−1−β−D−アラビノフラノシル−N4−アセチルシトシン(4,R=アセチル)
無水ジクロロメタン(300ml)中の,5’,3’−O−テトライソプロピルジシロキシル−1−β−D−アラビノフラノシル−N−4−アセチルシトシン(3,R=アセチル)(44g,83.23mmol),DMAP(30.54g,250.00mmol)およびピリジン(20.22ml,250.00mmol)の,0oCでアルゴン下で撹拌した溶液に,無水トリフリル(18.20ml,108.2mmol)をシリンジを用いて30分間かけて滴加した。添加の間に発熱しないように,温度および無水トリフリルの添加の速度をモニターした。0oCで4時間撹拌し,反応混合物が黄色味/橙色に変化し,TLC(70%EtOAc/CH2Cl2)が反応の完了を示した後,反応を無水MeOH(20ml)で急冷した。冷1.5%酢酸または水中クエン酸(2X1000ml)で,次に水性炭酸水素ナトリウム(1000ml)で洗浄することによりピリジンおよびDMAPを除去した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し,濾過し,濾液を真空下で蒸発させた。トリフレートはさらに精製することなく用いた。
【0286】
5’,3’−O−テトライソプロピルジシロキシ−2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N4−アセチルシチジン(5a,R=アセチル)
アルゴン下で無水アセトニトリル(200ml)中で0oCで撹拌した5’,3’−O−テトライソプロピルジシロキシル−1−β−D−アラビノフラノシル−N4−アセチルシトシン−2’−O−トリフレート(4,R=アセチル)(粗生成物,29.34g,44.45mmol)およびフタルイミド(7.85g,53.34mmol)の溶液に,DBU(7.96ml,53.34mmol)をシリンジによりゆっくり加えた。DBUを加えるまで沈殿物は溶解せず,加えたとき,反応液は橙色/赤色に変化し,白色沈殿物が形成された。反応混合物を室温で24時間撹拌し,このとき,TLC(70%EtOAc/CH2Cl2)は反応の完了を示した。白色沈殿物を濾過し,アセトニトリル(75ml)で3回洗浄した。濾液を合わせ,蒸発乾固させた。残渣を200mlのジクロロメタンに溶解し,炭酸水素ナトリウム(3x150)で3回洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し,濾過し,蒸発乾固させた。得られた泡状物を酢酸エチルに溶解し,シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した。次に残渣をトルエン/ヘキサン(1:2)から結晶化して,所望の生成物を灰白色固体として得た。18.00g,64.5%,2工程。
【0287】
主要な競合副反応(10−15%)は,1’と2’炭素との間に二重結合を有する除去生成物の形成である(例えば,図12を参照)。
【0288】
2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N4−アセチルシチジン(6a,R=アセチル)
アルゴン下で無水THF中で0oCで撹拌した5’,3’−O−テトライソプロピルジシロキサン−2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N4−アセチルシチジン(5a,R=アセチル)(27.00g,41.1mmol)の溶液に,TEA・3HF(14.7ml,90.41mmol)をシリンジにより滴加した。反応混合物を室温で平衡化させ,4時間撹拌した。TLC(20%MeOH/CH2Cl2)は反応の完了を示し,溶媒を真空下で除去し,反応混合物をTHF(200ml)で2回共蒸発させた。得られた白色/黄色固体を少量のメタノールを含むCH2Cl2から結晶化して,15.0g(88%)の6a,R=アセチルを得た。
【0289】
5’−O−DMT−2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N4−アセチルシチジン(7a,R=アセチル)
2’−N−フタロイル−N4−アセチルシチジン(6a,R=アセチル)(14.7g,35.5mmol)を無水ピリジンとともに2回共蒸発させ,次に無水ピリジンに溶解した。4’,4’−塩化ジメトキシトリチル(15.62g,46.10mmol)を,0(Cで反応混合物に加えた。0(Cで一夜撹拌した後,TLC(5%EtOH/EtOAc)は反応の完了を示した。反応を10mlの無水MeOHで急冷し,溶媒を真空下で除去した。残渣をジクロロメタン(500ml)に溶解し,炭酸水素ナトリウム(500ml)で2回洗浄し,有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し,濾過し,蒸発乾固させた。残渣をトルエンから結晶化して,所望の生成物(7a,R=アセチル)を白色結晶固体として得た。23.8g(94%)。
【0290】
5’−O−DMT−2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N4−アセチルシチジン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)(8a,R=アセチル)
アルゴン下で無水ジクロロメタン(350ml)中で0oCで撹拌した5’−DMT−2’−N−フタロイル−N4−アセチルシチジン(7a,R=アセチル)(26.00g,36.35mmol)の溶液に,ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA,17.73ml,101.77mmol)および1−メチルイミダゾール(12.90ml,36.35mmol)を加えた。塩化N,N−ジイソプロピルアミノシアノエチルホスホルアミジン(10.53ml,47.26mmol)を反応混合物に滴加した。室温で4時間後,TLC(100%EtOAc)は反応の完了を示した。反応を無水MeOH(3ml)で急冷し,蒸発乾固させた。残渣を60%−100%EtOAc/ヘキサンの勾配を用いてフラッシュクロマトグラフィーにより精製して,95%の収率を得た。
【0291】
実施例2:5’−O−ジメトキシトリチル−2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−ウリジン3’−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)(16a)の合成,図4
5’,3’−O−(テトライソプロピルジシロキサン−1,3−ジ−イル)−1−β−D−アラビノフラノシル−ウラシル(11)の合成
1−β−D−アラビノフラノシル−ウラシル(10)(2.44g,10mmol)を,無水ピリジンと2回共蒸発させることにより乾燥し,次に無水ピリジン中に再溶解した。上述の溶液を冷却し(0(C),10mLの無水ジクロロメタン中の1,3−ジクロロ−1,1,3,3−テトライソプロピルシロキサン(3.52mL,11.0mmol)の溶液を,撹拌しながら滴加した。添加が完了した後,反応混合物を室温まで暖め,さらに2時間撹拌した。次に反応をMeOH(10mL)で急冷し,蒸発乾固させた。残渣をジクロロメタンに溶解し,飽和NaHCO3およびブラインで洗浄し,Na2SO4で乾燥し,濾過した。有機層を蒸発乾固させ,次にトルエンと共蒸発させて,痕跡量のピリジンを除去して,4.8g(98%)の化合物(11)を得,これをさらに精製することなく用いた。
【0292】
5’,3’−O−テトライソプロピルジシロキシ−2’−デオキシ−2’−トリフルオロメタンスルホニル−1−β−D−アラビノフラノシル−ウラシル(12)
無水ジクロロメタン中の5’,3’−O−(テトライソプロピルジシロキサン−1,3−ジ−イル)−1−β−D−アラビノフラノシル−ウラシル(11)(4g,8.2mmol)の撹拌氷冷溶液に,無水トリフルオロメタンスルホン酸(1.66mL,9.86mmol)を加え,反応混合物を−5oCで30分間撹拌した。次に反応液をジクロロメタンで希釈し,冷1%水性酢酸で,次に飽和水性炭酸水素ナトリウムおよびブラインで洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し,濾過し,真空下で蒸発乾固させた。残渣はさらに精製することなく次の工程(実施例10)で用いた。
【0293】
5’,3’−O−テトライソプロピルジシロキシ−2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−ウリジン(13a)
表題化合物は,実施例1の5’,3’−テトライソプロピルジシロキシ−2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N4−アセチル−シチジンと同様に製造した。収率=65−70%。
【0294】
2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−ウリジン(14a)
表題化合物は,実施例1の2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N4−アセチル−シチジンと同様に製造した。収率=90%。
【0295】
5’−O−ジメトキシトリチル−2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−ウリジン(15a)の合成
表題化合物は,実施例1の5’−O−ジメトキシトリチル−2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N4−アセチル−シチジンと同様に製造し,フラッシュクロマトグラフィーにより5%−10%アセトン/ジクロロメタンの勾配を溶出液として用いて精製した。収率=90%。この精製は,トルエンおよびヘキサンからの結晶化で置き換えることができる。
【0296】
5’−O−ジメトキシトリチル−2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−ウリジン3’−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)(16a)の合成
表題化合物は,標準的なホスフィチル化方法(実施例1において化合物(9)について記載したとおり)にしたがって製造した。シリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーにより,60%−100%EtOAc/ヘキサンの勾配を溶出液として用いて精製した。収率=85%。
【0297】
実施例3:5’−O−ジメトキシトリチル−2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N6−tertブチルベンゾイルアデノシン−3’−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)(25a,R=t−BuBz)の合成,図5
5’,3’−O−テトライソプロピルジシロキシ−1−β−D−アラビノフラノシル−アデニン(19)
1−β−D−アラビノフラノシル−アデニンHCl(18)(5g,16.46mmol,Pfanstiehl Laboratories)を無水ピリジンから2回共蒸発させ,無水ピリジン(50ml)に懸濁し,氷水中で0oCに冷却した。1,3−ジクロロ−1,1,3,3−テトライソプロピルジシロキサン(6.6ml,20.23mmol)を,冷撹拌ヌクレオシド溶液に加えた。添加が完了した後,反応混合物を室温まで暖め,さらに2時間撹拌した。次に反応を1mlのエタノールで急冷した。溶媒を真空下で除去し,残渣をジクロロメタンに溶解し,飽和炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄し,硫酸ナトリウムで乾燥し,濾過し,蒸発乾固させて,8.5gの(19)を白色泡状物(8.5g)として得た。生成物(19)はさらに精製することなく用いた。
【0298】
5’,3’−O−テトライソプロピルジシロキシ−2’−トリフルオロメタンスルホニル−1−β−D−アラビノフラノシルアデニン(20)
無水ジクロロメタン中の(19)の冷溶液(−10oC)を塩化トリフルオロメタンスルホニル(1.53mL,14.4mmol)で20分間処理した。得られた溶液を無水ジクロロメタンで希釈し,冷(0oC)1%水性酢酸で,次に飽和水性NaHCO3およびブラインで洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し,濾過し,蒸発乾固させて,誘導体(20)を得,これをさらに精製することなく用いた。
【0299】
5’,3’−O−テトライソプロピルジシロキシ−2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−アデノシン(21a)
DBU(2.8ml,18.7mmol)を,無水アセトニトリル中の5’,3’−テトライソプロピルジシロキシ−1−β−D−アラビノフラノシルアデニン−2’−トリフレート(20)(10g)およびフタルイミド(2.52g,17.2mmol)の撹拌溶液に正のアルゴン圧の下で滴加した。混合物を室温で一夜撹拌した。次に反応混合物を蒸発乾固させ,ジクロロメタンに溶解し,飽和水性炭酸水素ナトリウム溶液およびブラインで洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し,濾過し,真空下で蒸発乾固させた。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製して,5.4g(18から51%)の2’−N−フタロイル誘導体(21a)を得た。
【0300】
5’,3’−O−テトライソプロピルジシロキシ−2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N6−tert−ブチルベンゾイルアデノシン(22a,R=t−BuBz)
2’−デオキシ−2’−N−フタロイル誘導体(21a)(5.4g,8.45mmol)を無水ピリジンに溶解し,塩化4−tert−ブチルベンゾイル(1.2当量)を0oCで加え,反応混合物を室温で一夜放置した。次に反応液をメタノール(10mL)で急冷し,溶媒を真空下で除去し,残渣をトルエンに溶解し,蒸発乾固させた。得られた油状物をジクロロメタンに溶解し,飽和水性NaHCO3およびブラインで洗浄し,硫酸ナトリウムで乾燥し,濾過し,蒸発乾固させた。残渣をシリカ上のフラッシュクロマトグラフィーでEtOAc−ヘキサン(1:2)混合物を溶出液として用いて精製して,5.06g(75%)の完全に保護されたシントン(22a,R=t−BuBz)を得た。
【0301】
2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N6−tert−ブチルベンゾイルアデノシン(23a)の合成
5’,3’−テトライソプロピルジシロキシ−2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N2−tert−ブチルベンゾイルアデノシン(22a,R=t−BuBz)(2.4g,3.0mmol)を50mlの無水THFに溶解した。トリエチルアンモニウムフッ化水素酸塩(1.47ml,9.0mmol)を加え,反応混合物を室温で一夜撹拌した。次に,撹拌しながら炭酸水素ナトリウム溶液を加えて反応を急冷し,塩化メチレンで抽出し,硫酸ナトリウムで乾燥し,濾過し,真空下で蒸発乾固させた。この物質をフラッシュクロマトグラフィーにより精製して,1.52g(91%)の2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N2−tert−ブチルベンゾイルアデノシン(23a,R=t−BuBz)を得た。
【0302】
5’−O−ジメトキシトリチル−2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N6−tert−ブチルベンゾイルアデノシン(24a,R=t−BuBz)の合成 表題化合物は,標準的なジメトキシトリチル化方法(実施例1において記載したとおり)を用いて製造した。収率90%。
【0303】
5’−O−ジメトキシトリチル−2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N6−tert−ブチルベンゾイルアデノシン−3’−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)(25a,R=t−BuBz)
表題化合物は,標準的なホスフィチル化方法(実施例1において化合物9について記載したとおり)にしたがって製造した。シリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーにより,溶出液として60%−100%EtOAc/ヘキサンの勾配を用いて精製して,(25a),R=t−BuBzを得た。収率95%。
【0304】
実施例4:5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリル−N4−アセチルシチジン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)(43)の合成,図7
5’,3’−ジ−tert−ブチルシランジイル−2’−tert−ブチルジメチルシリル−N4−アセチルシチジン(40)
DMF(20ml)中のシチジン(38)(2.43g,10mmol)の懸濁液を,0oCでメタンスルホン酸(0.71ml,11mmol)で処理した。ジ−tert−ブチルシリルジトリフレート(3.6ml,11mmol)を得られた溶液に加え,反応液を0oCで30分間撹拌した。次にイミダゾール(4.08g,60mmol)を加え,反応混合物を室温で30分間撹拌した。塩化Tert−ブチルジメチルシリル(1.81g,12mmol)を加え,得られた反応混合物を60°Cで2時間加熱し,室温に冷却し,溶媒を真空下で除去した。残渣をジクロロメタンと水との間に分配した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し,濾過し,蒸発させて,粗生成物(39)を黄色がかった油状物として得た。粗生成物(39)を乾燥クロロホルム(20ml)に溶解し,次に,ピリジン(2.5ml)および無水酢酸(1.42ml,15mmol)を加えた。室温で一夜反応を進行させ,クロロホルム(25ml)で希釈し,水で,次に炭酸水素ナトリウムで洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し,濾過し,溶媒を真空下で除去した。残渣を酢酸エチルから結晶化して,(40)を無色結晶として得た。4.12g,収率76%。
【0305】
5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリル−N4−アセチルシチジン(42)
フッ化水素−ピリジン(Aldrich,0.2ml,8mmol)を冷却しながら注意深くピリジン(1.2ml)で希釈した。得られた溶液を,ジクロロメタン(10ml)中の(40)(1.08g,2mmol)の0oCの撹拌懸濁液にゆっくり加えた。0(Cで2時間反応を進行させた。反応混合物をジクロロメタンで希釈し,水,次に飽和炭酸水素ナトリウム溶液で希釈した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し,濾過し,蒸発させて,0.86gの粗生成物(41)を白色結晶として得た。これをピリジン(5ml)に溶解し,塩化ジメトキシトリチル(0.74g,2.2mmol)で0oCで処理した。反応混合物を0oCで一夜保存し,無水メタノール(0.2ml)で急冷し,真空下で蒸発させた。残渣をジクロロメタンと水との間に分配した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄し,硫酸マグネシウムで乾燥し,濾過し,溶媒を真空下で除去した。フラッシュクロマトグラフィー(勾配40−60%アセトン−ヘキサン)により,(42)を白色泡状物として得た。1.1g,78%。
【0306】
5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリル−N4−アセチルシチジン3’−N,N−ジイソプロピル(シアノエチル)ホスホルアミダイト(43)
化合物(43)は,2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルクロロホスホルアミダイト(2.5当量),N,N−ジイソプロピルエチルアミン(4当量)および1−メチルイミダゾール(0.5当量)を用いて,標準的なホスフィチル化方法(実施例1において化合物9について記載したとおり)により,白色泡状物として得た。収率84%。
【0307】
実施例5:5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリルウリジン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)(48)の合成,図8
5’,3’−ジ−tert−ブチルシランジイル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリルウリジン(45)
ジ−tert−ブチルシリルジトリフレート(1.8ml,5.5mmol)を,DMF(10ml)中のウリジン(44)(1.22g,5mmol)の溶液に加え,反応液を0oCで30分間撹拌した。イミダゾール(1.7g,25mmol)を加え,反応混合物を室温で30分間撹拌し,次に塩化tert−ブチルジメチルシリル(0.9g,6mmol)で処理した。60oCで2時間撹拌した後,溶媒を真空下で除去し,残渣をジクロロメタンと水との間に分配した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し,濾過し,蒸発させた。残渣をアセトニトリルから結晶化して,(45)を白色結晶として得た。1.94g,収率77.9%。
【0308】
5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリルウリジン(47)
フッ化水素−ピリジン(Aldrich,0.1ml,4mmol)を冷却しながら注意深くピリジン(0.6ml)で希釈した。得られた溶液をジクロロメタン(5ml)中の(45)(0.5g,1mmol)の0oCの撹拌溶液にゆっくり加え,0oCで1時間反応を進行させた。次に,反応混合物をジクロロメタンで希釈し,水で,次に飽和炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し,濾過し,蒸発させて,粗生成物(46)を白色結晶として得た。これをピリジン(3ml)に溶解し,塩化ジメトキシトリチル(0.37g,1.1mmol)で0(Cで処理した。反応混合物を0oCで一夜保存し,無水メタノール(0.2ml)で急冷し,真空下で蒸発させた。残渣をジクロロメタンと水との間に分配した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄し,硫酸マグネシウムで乾燥し,濾過し,溶媒を真空下で除去した。フラッシュクロマトグラフィー(勾配20−40%酢酸エチル−ヘキサン)により(47)を黄色がかった泡状物として得た。0.6g,90.9%。
【0309】
5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリル−N4−アセチルシチジン3’−N,N−ジイソプロピル(シアノエチル)ホスホルアミダイト(48)
化合物(48)は,2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルクロロホスホルアミダイト(2.5当量),N,N−ジイソプロピルエチルアミン(4当量)および1−メチルイミダゾール(0.5当量)を用いて,標準的なホスフィチル化方法(実施例1において化合物9について記載したとおり)により,灰白色泡状物として得た。収率83%。
【0310】
実施例6:5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリル−N6−ベンゾイルアデノシン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)(54)の合成,図9
5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリルアデノシン(50)
ジ−tert−ブチルシリルジトリフレート(3.6ml,11mmol)を,無水DMF(80ml)中のアデノシン(10.69g,40mmol)の撹拌懸濁液に0oCで15分間かけて滴加した。得られた溶液を0oCで30分間撹拌し,次にイミダゾール(13.6g,200mmol)を一度に加えた。混合物を0oCで5分間,次に室温で25分間撹拌した。得られた懸濁液をtert−ブチルジメチルクロロシラン(7.24g,48mmol)で処理した。60oCで2時間反応を進行させた。約45分後に沈殿物が消失し,1時間後に(50)の結晶が形成された。化合物(50)を濾過により回収し,冷アセトニトリルで洗浄し,次に真空下で乾燥した。収量17.89g(85.7%)。
【0311】
5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリル−N6−ベンゾイルアデノシン(51)
塩化ベンゾイル(8ml,68.86mmol)を,無水ピリジン(100ml)中の(50)(17.89g,34.28mmol)の撹拌懸濁液に0oCで滴加した。5分後,反応液を室温に暖め,2.5時間撹拌した。混合物を0oCに冷却した後,撹拌しながらモルホリン(12ml,137.9mmol)をゆっくり加えた。0oCで45分後,反応混合物を蒸発させ,残渣を塩化メチレンと水との間に分配した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し,真空下で蒸発させた。アセトニトリル(100ml)から結晶化して,(51)を結晶物質として得た。収量16.47g(76.8%)。
【0312】
5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリル−N6−ベンゾイルアデノシン(53)
フッ化水素−ピリジン(Aldrich,2.7ml,105.3mmol)を,ピリジン(17ml)で注意深く希釈した。得られた溶液を,無水塩化メチレン(130ml)中の51(16.47g,26.3mmol)の撹拌溶液にゆっくり加え,0oCで1時間反応を進行させた。次に反応混合物を水で,次に飽和炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し,濾過し,真空下で蒸発させた。この物質のピリジン(50ml)中の溶液に,塩化ジメトキシトリチル(9.8g,28.93mmol)を加え,反応混合物を0oCで一夜撹拌した。次に無水メタノール(0.25ml)を加えて反応を急冷し,真空下で蒸発させた。得られた残渣を塩化メチレンと水との間に分配した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄し,硫酸マグネシウムで乾燥し,濾過し,真空下で蒸発させた。シリカ上のフラッシュクロマトグラフィーにより,酢酸エチル/ヘキサン勾配(30−50%)を用いて,(53)を白色泡状物として得た。収量19.2g(94.8%)。
【0313】
5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリル−N6−ベンゾイルアデノシン3’−N,N−ジイソプロピル(シアノエチル)ホスホルアミダイト(54)
化合物(54)は,2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルクロロホスホルアミダイト(2.5当量),N,N−ジイソプロピルエチルアミン(4当量)および1−メチルイミダゾール(0.5当量)を用いて,標準的なホスフィチル化方法(実施例1において化合物9について記載したとおり)により,白色泡状物として得た。収率85%。
【0314】
実施例7:5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリル−N2−イソブチリルグアノシン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)(60)の合成,図10
5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリルグアノシン(56)
無水グアノシン(55,11.33g,40mmol,一水和物を真空下で100(Cで7時間乾燥することにより製造)を無水DMF(80ml)に懸濁し,0oCで撹拌しながらジ−tert−ブチルシリルジトリフレート(14.3ml,44mmol)を15分間かけて滴加した。得られた溶液を0oCで30分間撹拌し,次にイミダゾール(13.6g,200mmol)を加えた。反応混合物を0oCで5分間,次に室温で25分間撹拌した。Tert−ブチルジメチルクロロシラン(7.24g,48mmol)を加え,反応を60oCで2時間進行させた。得られた(56)の沈殿物を濾過により分離し,冷メタノールで洗浄し,真空下で乾燥した。収量18.81g(87.4%)。
【0315】
5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイルエノ−2’−O−tert−ブチルジメチルシリル−N2−イソブチリルグアノシン(57)
塩化イソブチリル(10.4ml,100mmol)を,0oCで,無水塩化メチレン(100ml)およびピリジン(30ml)中の(56)(26.89g,50mmol)の撹拌懸濁液に滴加した。室温で3時間反応させ,メタノール(40ml)で希釈し,氷浴中で冷却した。メチルアミンのエタノール性溶液(8M,25ml,200mmol)を反応混合物にゆっくり加えた。30分後,反応混合物を蒸発させて,スラリーを得,これをメタノール(100ml)で希釈し,0oCで2時間放置した。得られた沈殿物を濾過し,冷メタノールで洗浄し,真空下で乾燥して,29.26g(96.2%)の化合物(57)を得た。
【0316】
5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリル−N2−イソブチリルグアノシン(59)
フッ化水素−ピリジン(Aldrich,4ml,154mmol)を,冷却しながらピリジン(25ml)で注意深く希釈した。得られた溶液を,無水塩化メチレン(200ml)中の(57)(24.36g,40mmol)の撹拌懸濁液に0oCでゆっくり加え,0oCで2時間反応を進行させた。得られた溶液を水で,次に飽和炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し,濾過し,蒸発させて,粗生成物(58)を半晶質物質として得た。これをピリジン(80ml)に溶解し,塩化ジメトキシトリチル(14.91g,44mmol)を0oCで加えた。反応混合物を0oCで一夜保存し,無水メタノール(0.5ml)で急冷し,真空下で蒸発させた。得られた残渣を塩化メチレンと水との間に分配した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄し,硫酸マグネシウムで乾燥し,濾過し,濃縮して,粗生成物(59)を得,これをジクロロメタン(20ml)およびエーテル(200ml)から再結晶して,化合物(59)を白色細粉末として得た。収率24.16g(78.4%)。
【0317】
5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリル− N2−イソブチリルグアノシン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)(60)
化合物60は,2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルクロロホスホルアミダイト(2.5当量),N,N−ジイソプロピルエチルアミン(4当量)および1−メチルイミダゾール(0.5当量)を用いて,標準的なホスフィチル化方法(実施例1において化合物9について記載したとおり)により,白色泡状物として得た。収率86%。
【0318】
実施例8:5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−メチル−N2−イソブチリルグアノシン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)(69)の合成,図11
2,6−ジアミノ−9−(3’,5’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−β−D−リボフラノシル)プリン(62)
ジ−tert−ブチルシリルビス(トリフルオロメタンスルホネート)(17.8ml,55mmol)を,100ml無水DMF中の2,6−ジアミノプリンリボシド(61)(14.11g,50mmol)の撹拌懸濁液に0oCでゆっくり加えた。得られた溶液を0oCで30分間撹拌し,次にイミダゾール(8.16g,120mmol)を加えた。0oCで5分間,次に室温で30分間反応を進行させた。溶液を真空下で濃縮してスラリーとし,これをメタノール(120ml)で希釈した。化合物(62)を濾過により回収し,冷メタノールで洗浄し,次に真空下で60oCで乾燥した。収量17.2g(83.8%)。
【0319】
2,6−ジアミノ−9−(3’,5’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−2’−O−メチル−β−D−リボフラノシル)プリン(63)
無水DMF(40ml)中の(62)(2.11g,5mmol)の−20oCの撹拌溶液に,ヨウ化メチル(0.93ml,15mmol)を加え,次に水素化ナトリウムを60%ミネラルオイル懸濁液(0.3g,7.5mmol)として加えた。反応混合物を−20oCで1.5時間撹拌し,塩化アンモニウム(1.5g)で急冷した。得られた懸濁液をクロロホルム(75ml)と水(50ml)との間に分配した。水性層を追加のクロロホルムで洗浄した。合わせたクロロホルム抽出物を50mlの水で洗浄し,水性層をクロロホルムで逆抽出した。得られた有機溶液を硫酸マグネシウムで乾燥し,濾過し,溶媒を真空下で除去した。ジクロロメタン−ヘキサン混合物(1:1)から結晶化して,(63)を無色結晶として得た。収量1.92g(88%)。
【0320】
2,6−ジアミノ−N2,N6−ジ−イソブチリル−9−(3’,5’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−2’−O−メチル−β−D−リボフラノシル)プリン(64)
無水ピリジン(10ml)中の(63)(1.75g,4mmol)の撹拌懸濁液に,0oCで塩化イソブチリル(1.04ml,2.5mmol)を加えた。反応混合物を室温で2時間撹拌し,メタノール(0.5ml)で急冷し,真空下で蒸発させた。得られた残渣を塩化メチレンと水との間に分配した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウムで洗浄し,硫酸ナトリウムで乾燥し,濾過し,溶媒を真空下で除去した。アセトニトリルから結晶化して,1.95gの(64)を白色結晶として得た。収率84.8%。
【0321】
2,6−ジアミノ−N2−イソブチリル−9−(3’,5’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−2’−O−メチル−β−D−リボフラノシル)プリン(65)
メタノール(5ml)およびトリエチルアミン(0.3ml)中の(64)(1.15g,2mmol)の溶液を室温で24時間保存した。次に得られた沈殿物(65)を濾過し,冷メタノールで洗浄し,真空下で乾燥した。収量0.9g(89%)。
【0322】
5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−2’−O−メチル−N2−イソブチリルグアノシン(66)
酢酸(5ml),THF(5ml),ジクロロメタン(3ml)および水(1ml)の撹拌混合物中の(65)(0.76g,1.5mmol)の溶液に,亜硝酸ナトリウム(0.83g)を加えた。3時間後,追加の亜硝酸ナトリウムを加え,撹拌した反応混合物を室温で48時間保存した。次に反応混合物を水とジクロロメタンとの間に分配し,有機層を飽和炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄し,硫酸マグネシウムで乾燥し,濾過し,真空下で濃縮した。酢酸エチルから結晶化して,(66)を僅かに黄色の結晶として得た。0.65g,収率85%。
【0323】
2’−O−メチル−N2−イソブチリル−グアノシン(67)
無水ジクロロメタン(5ml)中の(66)(0.51g,1mmol)の撹拌溶液に,ピリジン(0.5ml)を,次にフッ化水素−ピリジン(38.5M,0.1ml)を加えた。15分後,溶媒を真空下で除去した。5−10%メタノール/ジクロロメタンの勾配を用いるフラッシュクロマトグラフィーにより,(67)を白色泡状物として得た。0.34g,収率93%。
【0324】
5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−メチル−N2−イソブチリルグアノシン(68)
化合物(68)は,標準的なジメトキシトリチル化方法(実施例1において記載したとおり)を用いて製造した。
【0325】
5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−メチル−N2−イソブチリルグアノシン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)(69)
化合物(69)は,標準的なホスフィチル化方法(実施例1において化合物9について記載したとおり)にしたがって製造した。シリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーにより60%−100%のEtOAc/ヘキサンの勾配を溶出液として用いて精製し,真空下で蒸発させた後に,(69)を白色泡状物として得た。
【0326】
実施例9:2’−O−メチル−N6−ベンゾイルアデノシン(75)の合成(図13)
5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイルアデノシン(72)
ジ−tert−ブチルシリルジトリフレート(50g,113mmol)を,DMF(200ml)中のアデノシン(71)(27.5g,103mmol)の撹拌懸濁液に0(Cで30分間かけて滴加した。得られた溶液を0(Cで30分間撹拌し,次にイミダゾール(16.2g,237mmol)を一度に加えた。混合物を0(Cで45分間撹拌し,(72)の沈殿物を濾別し,メタノールで洗浄し,真空下で乾燥して,31gの(72)を白色細粉末として得た。母液を蒸発させ,残渣をメタノール中で砕いて,第2取得分の(72)を得た。4.9g。(72)の合わせた収量は35.9g(85.5%)であった。
【0327】
5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−2’−O−メチルアデノシン(73)
化合物(72)(35.9g,88.1mmol)を1−メチル−2−ピロリジノン(60ml)およびDMF(240ml)の混合物に80(Cで溶解した。得られた溶液を−35(Cに冷却し,硫酸ジメチル(20.9ml,220.4mmol)を加えた。水素化ナトリウム(5.99g,60%懸濁液,ミネラルオイル中,149.8mmol)を約75mlのトルエンで洗浄し,次にトルエンに懸濁した(約15ml)。得られた懸濁液をシリンジを用いて撹拌しながら反応混合物に滴加した。ほぼすべての出発物質が消費されるまで−35(Cで反応を進行させた(約4時間)。メタノール(200ml),次に水(100ml)を注意深く加えることにより反応を急冷した。得られた懸濁液を−20から−30(Cで30分間撹拌した。(73)の沈殿物を濾別し,フィルターベッド上でメタノールで2回洗浄し,次に真空下で乾燥して,約85%の純度を有する28.1gの粗生成物(73)を得た。収率60−65%。
【0328】
2’−O−Me−N6−ベンゾイルアデノシン(75)
170mlのピリジン中の粗生成物(73)(28.1g,約56mmol)の懸濁液を0(Cで塩化ベンゾイル(13ml,112mmol)で処理し,反応液を室温で一夜撹拌した。モルホリン(20.5ml,256mmol)を0(Cで反応混合物に加え,混合物を0(Cで1.5時間撹拌し,次に真空下で濃縮した。残渣をジクロロメタンと水との間に分配した。有機層をさらに水で洗浄し,硫酸マグネシウムで乾燥し,濃縮して,粗生成物(74)を無色泡状物として得た。後者をジクロロメタン(210ml)およびピリジン(18ml)に溶解し,0(Cに冷却し,フッ化水素−ピリジン(Aldrich,70%,3.3ml,127mmol)で処理した。混合物を0(Cで2時間撹拌し,得られた沈殿物を濾別し,ジクロロメタンで洗浄して,19.0gの粗生成物(75)を得た。母液を蒸発させ,残渣をアセトン(20ml)およびメタノール(3ml)の混合物から結晶化して,第2取得分の粗生成物(75)を得た。3.1g。すべての粗生成物(75)(22.1g)をメタノール(60ml)から再結晶して,15.9gの純粋な(75)を得た。アデノシン(71)出発物質に基づく合計収率は40.1%であった。
【0329】
実施例10:1,4−アンヒドロ−2−デオキシ−D−エリスロ−ペンチトール誘導体の合成(図15)
5−O−tert−ブチルジメチルシリル−1,4−アンヒドロ−2−デオキシ−D−エリスロ−ペンチトール(85a)
メタンスルホン酸(0.65ml,10mmol)を30mlのHMDSに滴加し,得られた懸濁液を均一になるまでアルゴン雰囲気下で還流した(約45分間)。得られた溶液に5’−O−tert−ブチルジメチルシリルチミジン(82a,3.56g,10mmol)を加え,混合物を3時間加熱還流した。この83aの反応溶液を室温にし,水素化フラスコに移し,Pd/C(10%,0.3g)で35psiの水素圧で室温で1時間水素化した。触媒を濾別し,濾液を蒸発させ,残渣を35mlのジクロロメタンに溶解した。得られた溶液をリン酸ナトリウム一塩基(15%,15ml)の撹拌溶液にゆっくり加えた。混合物を15分間激しく撹拌し,2gのセライトで処理し,チミンをセライトとともに濾別した。有機相を分離し,飽和炭酸水素ナトリウムで洗浄し,硫酸ナトリウムで乾燥し,蒸発乾固させた。粗生成物84aをメタノール(20ml)に溶解し,溶液にピリジニウムトリフルオロ酢酸(0.1g,0.5mmol)を加えた。30分後,メタノールを除去し,粗生成物85aをシリカゲルで20−30%酢酸エチル/ヘキサンの勾配を用いてカラムクロマトグラフィーにより精製して,1.8g(77.6%)の純粋な85aをわずかに黄色の油状物として得た。1H NMR(CDCl3)δ:4.40(m,1H,H3),4.02(dd,2H,J1a,1b=8.2Hz,J1,2=5.4Hz,H1a,H1b),3.84(m,2H,H4,H5a),3.61(dd,1H,J5a,5b=11.6Hz,J5,4=7.6Hz,H5b),2.24(m,1H,H2a),1.98(m,1H,H2b),1.96(m,1H,OH),0.98(s,9H,t−Bu),0.15(s,6H,Me)。異なる触媒を使用した82から83への変換は表IIに示される。
【0330】
3−O−ジメトキシトリチル−5−O−tert−ブチルジメチルシリル−1,4−アンヒドロ−2−デオキシ−D−エリスロ−ペンチトール(86a)
5’−O−tert−ブチルジメチルシリルチミジン(82a,28.52g,80mmol)を上述したように粗生成物85aに変換した。このようにして製造した粗生成物85aをピリジン(100ml)と共蒸発させ,次にピリジン(80ml)に溶解した。塩化ジメトキシトリチル(24.4g,72mmol)およびジメチルアミノピリジン(1g,8.2mmol)を加え,室温で一夜反応を進行させた。減圧下で濃縮した後,混合物をジクロロメタンと水との間に分配した。有機相を分離し,飽和炭酸水素ナトリウムで洗浄し,硫酸ナトリウムで乾燥し,蒸発させて,茶色残渣を得た。残渣をシリカゲルのカラムクロマトグラフィーで5−10%酢酸エチル−ヘキサンの勾配を用いて精製して,86aを黄色がかった油状物として得た。収量29.8g(69.6%)。1H NMR(CDCl3)δ:7.43(m,9H,Ph),6.92(m,4H,Ph),4.21(m,1H,H3),4.02(m,1H,H4),3.96(m,2H,H1a,H1b),3.88(s,6H,OCH3),3.54(dd,1H,J5a,5b=11.1Hz,J5a,4=3.2Hz,H5a),3.38(dd,1H,J5b,5a=11.1Hz,J5b,4=4.4Hz,H5b),1.54(m,1H,H2a),1.32(m,1H,H2b),0.89(s,9H,t−Bu),0.04(s,3H,Me),0.02(s,3H,Me)。
【0331】
3−O−ジメトキシトリチル−1,4−アンヒドロ−2−デオキシ−D−エリスロ−ペンチトール(87)
水酸化ナトリウム(10N溶液,9ml)を,エタノール(120ml)中の86a(16.2g,29.6mmol)の溶液に加え,反応混合物を6時間還流した。室温に冷却した後,反応混合物を減圧下で蒸発させ,ジクロロメタンと水との間に分配した。有機層を水で,次にリン酸ナトリウム一塩基溶液(15%)で洗浄し,硫酸ナトリウムで乾燥し,蒸発させた。残渣をシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーで40−60%酢酸エチル−ヘキサンの勾配を用いて精製して,11.6g(93.2%)の87を白色泡状物として得た。1H NMR(DMSO−d6)δ:7.36(m,9H,Ph),6.96(m,4H,Ph),4.52(t,1H,JOH,5=5.6Hz,OH),4.10(m,1H,H3),3.81(s,6H,OCH3),3.75(m,3H,H1a,H1b,H4),3.18(m,1H,H5a),3.13(m,1H,H5b),1.48(m,1H,H2a),1.19(m,1H,H2b)。
【0332】
3−O−ジメトキシトリチル−1,4−アンヒドロ−2−デオキシ−D−エリスロ−ペンチトール−5−スクシネート,トリエチルアンモニウム塩(88)
無水コハク酸(3.07g,30.7mmol)およびDMAP(0.34g,2.8mmol)を,ピリジン(30ml)中の87(11.6g,27.6mmol)の溶液に加え,40(Cで一夜反応を進行させた。減圧下で濃縮した後,残渣を酢酸エチルと水との間に分配した。有機層を分離し,冷10%クエン酸で,次に水で洗浄し,硫酸マグネシウムで乾燥し,蒸発させた。残渣をジクロロメタン(60ml)に溶解し,トリエチルアミン(5.8ml,41.4mmol)で処理し,混合物を,ジクロロメタン中2%MeOHおよび2%トリエチルアミンの混合物で予め平衡化したシリカゲルカラムに負荷した。ジクロロメタン中3−10%メタノールおよび0.5%トリエチルアミンの混合物で溶出した後,適当な画分を合わせ,蒸発させ,真空下で一夜乾燥して,88を白色泡状物として得た。収量14.9g,87%。1H NMR(CDCl3)δ:7.40(m,9H,Ph),6.92(m,4H,Ph),4.16(m,1H,H3),3.98(m,4H,H1a,H1b,H4,H5a),3.87(s,6H,OCH3),3.65(m,1H,H5b),3.04(q,6H,CH3−CH 2 −N),2.58(m,4H,CO−CH 2 −CH 2 −CO),1.63(m,1H,H2a),1.53(m,1H,H2b),1.27(t,9H,CH 3 −CH2−N)。
【0333】
実施例11:置換フタルイミドヌクレオシド
化合物5b−e(図3)は,それぞれ化合物4b−eから,図3に示される条件下で合成した。4種類のシチジン5’−O−ジメトキシトリチル−2’−デオキシ−2’−フタルイミド(化合物7b−e,図3)を,異なる条件下で(40%水性メチルアミン,メタノール性メチルアミン,およびメタノール性メチルアミンおよび10%水),5’−O−DMT−2’−アミノシチジンに変換した。すべての場合において,室温で2−3時間後に,薄層クロマトグラフィー(TLC)により判定して,5’−DMT−2’−デオキシ−2’−アミノシチジンの形成において完全なフタロイル脱保護が認められた(表1を参照)。
【0334】
表1:種々のフタルイミドを用いるトリフレートの置換
【表1】
RT: 室温,h:時間
【0335】
表2:種々の触媒を用いるチミジン誘導体の脱ピリミジン化
【表2】
【0336】
これらの実施例は非限定的であることを意味し,当業者は,本発明において記載されるものと類似の戦略を他のヌクレオシドおよびヌクレオシド類似体,例えば,他の2’デオキシ−2’−N−フタロイル,2’−デオキシ−2’−アミノ,2’−O−メチル,LおよびDリボヌクレオシド,C−ヌクレオシド,ヌクレオシド類似体およびC−ヌクレオシド類似体の合成に容易に適合させることができ,これらも本発明の範囲内であることを理解するであろう。
【0337】
本明細書において言及されるすべての特許および刊行物は,本発明の属する技術分野の技術者のレベルを示す。本明細書において引用されるすべての参考文献は,それぞれの参考文献が個々にその全体が本明細書の一部としてここに引用されることと同じ程度に,本明細書の一部として引用される。
【0338】
当業者は,本発明が,その目的を実施し,記載される結果および利点,ならびに本明細書に固有のものを得るためによく適合していることを容易に理解するであろう。本明細書に記載される方法および組成物は,現在のところ好ましい態様の代表的なものであり,例示的なものであって,本発明の範囲を限定することを意図するものではない。当業者は,特許請求の範囲において定義される本発明の精神の中に包含される変更および他の用途をなすであろう。
【0339】
当業者は,本発明の範囲および精神から逸脱することなく,本明細書に開示される本発明に対して種々の置換および改変をなすことが可能であることを容易に理解するであろう。すなわち,そのような追加の態様は,本発明および特許請求の範囲の範囲内である。
【0340】
本明細書に例示的に記載されている発明は,本明細書に特定的に開示されていない任意の要素または限定なしでも適切に実施することができる。本明細書において用いられる用語および表現は,説明の用語として用いるものであり,限定ではない。そのような用語および表現の使用においては,示されかつ記載されている特徴またはその一部の等価物を排除することを意図するものではなく,特許請求の範囲に記載される本発明の範囲中で種々の変更が可能であることが理解される。すなわち,好ましい態様および任意の特徴により本発明を特定的に開示してきたが,当業者には本明細書に記載される概念の変更および変種が可能であり,そのような変更および変種も,明細書および特許請求の範囲に定義される本発明の範囲内であると考えられることが理解されるべきである。
【0341】
さらに,発明の特徴および観点がマーカッシュグループまたは他の代替グループの用語で記載されている場合,当業者は,本発明が,マーカッシュグループまたは他のグループの個々のメンバーまたはサブグループに関してもまた記載されていることを認識するであろう。
【0342】
本明細書に例示的に記載されている発明は,本明細書に特定的に開示されていない任意の要素または限定なしでも適切に実施することができる。本明細書において用いられる用語および表現は,説明の用語として用いるものであり,限定ではない。そのような用語および表現の使用においては,示されかつ記載されている特徴またはその一部の等価物を排除することを意図するものではなく,特許請求の範囲に記載される本発明の範囲中で種々の変更が可能であることが理解される。すなわち,好ましい態様および任意の特徴により本発明を特定的に開示してきたが,当業者には本明細書に記載される概念の変更および変種が可能であり,そのような変更および変種も,明細書および特許請求の範囲に定義される本発明の範囲内であると考えられることが理解されるべきである。
【0343】
当業者は,本発明の方法およびプロセスの使用が,本明細書に記載される化合物に限定されるものではなく,アミノ,および/またはN−フタロイル基を含有する多くの異なるヌクレオシドおよび非ヌクレオシド分子,ならびにL−リボース糖および/またはD−リボース糖官能基を含有する分子の合成に適用しうることを認識するであろう。本発明により企図される修飾ヌクレオシドの非限定的例は,以下の文献に概説されている:Usman and Cedergren,1992,TIBS.17,34;Usman et al.,1994,Nucleic Acids Symp.Ser.31,163;Burgin et al.,1996,Biochemistry,35,14090。
【0344】
他の態様も特許請求の範囲の範囲内である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は,本発明の方法による,2’−デオキシ−2’−アミノヌクレオシド,2’−デオキシ−2’−アミノC−ヌクレオシド,2’−デオキシ−2’−N−フタロイルヌクレオシド,2’−デオキシ−2’−N−フタロイルC−ヌクレオシド,ヌクレオシドホスホルアミダイトおよびC−ヌクレオシドホスホルアミダイトの合成を記述する一般的反応スキームの概略図である。
【図2】図2は,本発明の方法による,2’−O−シリルヌクレオシドホスホルアミダイトおよび2’−O−シリルC−ヌクレオシドホスホルアミダイトの合成を記述する一般的反応スキームの概略図である。
【図3】図3は,本発明の方法による,2’−デオキシ−2’−N−フタロイルシチジン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)(8)および2’−デオキシ−2’−アミノシチジン(9)の合成に関連するスキームの概略図である。
【図4】図4は,本発明の方法による,2’−デオキシ−2’−N−フタロイルウリジン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)(16)および2’−デオキシ−2’−アミノウリジン(17)の合成に関連するスキームの概略図である。
【図5】図5は,本発明の方法による,2’−デオキシ−2’−N−フタロイルアデノシン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)(25)および2’−デオキシ−2’−アミノアデノシン(26)の合成に関連するスキームの概略図である。
【図6】図6は,本発明の方法による,2’−デオキシ−2’−N−フタロイルグアノシン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)(36)および2’−デオキシ−2’−アミノグアノシン(37)の合成に関連するスキームの概略図である。
【図7】図7は,本発明の方法による,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリル−N4−アセチルシチジン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)(43)の合成に関連するスキームの概略図である。
【図8】図8は,本発明の方法による,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリルウリジン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)(48)の合成に関与するスキームの概略図である。
【図9】図9は,本発明の方法による,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリル−N6−ベンゾイルアデノシン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)(54)の合成に関連するスキームの概略図である。
【図10】図10は,本発明の方法による,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリル−N2−イソブチリルグアノシン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)(60)の合成に関連するスキームの概略図である。
【図11】図11は,本発明の方法による,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−メチル−N2−イソブチリルグアノシン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)(69)および2’−O−メチルグアノシン(70)の合成に関与するスキームの概略図である。
【図12】図12は,例えば,図3の工程IVおよび図4および5の工程IIIにおいて生ずる競合的除去反応の概略図である。
【図13】図13は,本発明の方法による,2’−O−メチルアデノシン(75)の合成に関連するスキームの概略図である。
【図14】図14は,N6−イミダゾールアデノシン中間体を用いる本発明の方法による,2’−O−メチルアデノシン(75)の合成に関連するスキームの概略図である。
【図15】図15は,本発明の方法による1,4−アンヒドロ−2−デオキシ−D−エリスロ−ペンチトール誘導体の合成に関連するスキームの概略図である。
発明の分野
本発明は,ヌクレオシド,非ヌクレオシドおよびそれらの誘導体,例えば,ヌクレオシドおよび非ヌクレオシドホスホルアミダイトおよびスクシネートの化学合成に関する。
【0002】
発明の背景
Beigelmanらの米国特許出願(60/230,057,2000年9月1日出願,表題”METHODS FOR SYNTHESIZING NUCLEOSIDES AND NUCLEOSIDE DERIVATIVES”)およびBeigelmanらの米国特許出願(60/286,571,2001年4月25日出願,表題”METHODS FOR SYNTHESIZING NUCLEOSIDES,NUCLEOSIDE DERIVATIVES AND NON−NUCLEOSIDE DERIVATIVES”)に基づく優先権を主張する。これらの出願は,図面を含めその全体を本明細書の一部としてここに引用する。
【0003】
以下は,ヌクレオシドの合成の簡単な説明である。この概要は完全であることを意味するものではなく,以下に記載される本発明を理解するためにのみ提供される。この概要は,以下に記載される研究が本発明に対する先行技術であると認めるものではない。
【0004】
オリゴヌクレオチドの構造的修飾は,これらの臨床的用途の可能性が現れるにつれてますます重要になってきている(Usman et al.,1996,Ed.,Springer−Verlag,Vol.10,243−264;Agrawal,1996,Trends Biotech.,14,376−387;Christoffersen and Marr,1995,J.Med.Chem.,38,2023−2037)。効力を維持しながらヌクレアーゼ耐性を増加させるよう化学的に修飾された核酸の効率的な合成は,新規治療剤の開発の可能性にとって重要である。
【0005】
リボ核酸における構造−機能相関に関する研究は,これまでは,そのような生物学的に関連性のある分子を製造する方法が限定されていたために妨げられていた(Cech,1992,Nucleic Acids Research,17,7381−7393;Francklyn and Schimmel,1989,Nature,337,478−481;Cook et al.,1991,Nucleic Acids Research,19,1577−1583;Gold,1988,Annu.Rev.Biochemistry,57,199−233)。酵素的方法は存在したが,構造機能相関を探索することができる方法は限られていた。均一な合成後化学修飾(Karaoglu and Thurlow,1991,Nucleic Acids Research,19,5293−5300),または部位特異的突然変異誘発(Johnson and Benkovic,1990,The Enzymes,Vol.19,Sigman and Boyer,eds.,159−211)のみが利用可能であった。後者の場合,研究者は天然塩基を用いるよう制限された。幸運なことに,ホスホルアミダイトプロトコルをRNA合成に適用することにより,RNAに対する我々の理解は大きく加速された。所定のRNA中の任意の位置に修飾ヌクレオチドを部位特異的に導入することは,今や日常作業となった。さらに,単一の修飾に限定されず,各分子に多くの変形を含有させることができる。
【0006】
小さい構造的修飾がそのような衝撃を有しうることは釣り合いがとれないように見えるが,リボフラノース環の2’−位に1個のヒドロキシルが存在することが,これまでRNA分野の研究が匹敵するDNA研究より遅れていたことの主な理由であった。DNA合成の方法の改良が進歩し,このことにより構造的および治療的用途のための大量のアンチセンスデオキシオリゴヌクレオチドの製造が可能となった。RNAについては,同様の利益は最近になって初めて達成された(Wincott et al.,1995,Nucleic Acids Research,23,2677−2684;Sproat et al.,1995,Nucleosides and Nucleotides,14,255−273;Vargeese et al.,1998,Nucleic Acids Research,26,1046−1050)。
【0007】
DNA合成とRNA合成との間の隔たりは,5’−および2’−ヒドロキシルの直交保護基を同定することの困難性に起因する。歴史的には,RNA合成の問題を解決しようとする化学者は,2つの標準的な方法を取ってきた。第1のアプローチは,当該技術分野において知られるDNA合成を適用しようとする方法を開発することを含み,一方,第2のアプローチは,RNAに特に適した方法を設計することを含む。DNAプロセスの適用は,非RNAホスホルアミダイトをRNAオリゴマー中に容易に取り込ませることができる,より万能性の方法を与えるが,後者のアプローチの利点は,RNA合成に最適なプロセスを開発することができ,その結果として,より高い収率を得ることができることである。しかし,いずれの場合においても,類似の問題点,例えば,合成条件に適合し,かつ適当な際に除去することができる保護基の同定の問題点が存在する。すなわち,この問題は,2’−および5’−OH基に関連するのみならず,塩基およびリン酸保護基をも含む。したがって,補助剤の選択に加えて,付随する脱保護工程が重要である。別の共通の障害は,モノマービルディングブロックの効率的な合成が必要であることである。
【0008】
最も一般的な範例は,DNA合成方法をRNAに適用することであった。したがって,DNA保護基と適合性があり,かつ,オリゴマーが合成された後に容易に除去することができる2’−ヒドロキシル保護基を同定することが重要である。塩基上に存在するアミド保護基および5’−O−ジメトキシトリチル(DMT)基(または場合によっては9−(フェニル)キサンテン−9−イル(Px)基)による制約のため,2’−ブロッキング基は酸および塩基の両方に安定でなければならない。さらに,2’−ブロッキング基は,酸化およびキャッピング試薬に対しても不活性でなければならない。最も広く用いられている2’−ヒドロキシル保護基はtert−ブチルジメチルシリル(TBDMS)エーテルであるが,多くの他の保護基が研究されてきた。これらの代替2’−保護基としては,アセタール基,例えば,テトラヒドロピラニル(THP),メトキシテトラヒドロピラニル(mthp),1−(2−フルオロフェニル)−4−メトキシピペリジン−4−イル(Fpmp),1−(2−クロロエトキシ)エチル,2−ヒドロキシイソフタレートホルムアルデヒドアセタール,および1−{4−[2−(4−ニトロフェニル)エトキシカルボニルオキシ]−3−フルオロベンジルオキシ}エチル基が挙げられる。さらに,光不安定基,例えば,o−ニトロベンジル,o−ニトロベンジルオキシメチル,およびp−ニトロベンジルオキシメチル基も用いられてきた。他の基としては,1,1−ジアニシル−2,2,2−トリクロロエチル基,p−ニトロフェニルエチルスルホニル基,および2’−O−トリイソプロピルシリル−オキシ−メチル基が挙げられる。これまでに研究されたさらに別の2’−保護基は,Gaitら(1991;Oligonucleotide Synthesis,Oligonucleotides and Analogues,A Practical Approach(F.Eckstein,ed.),25−48,およびBeaucageおよびIyer(1992,Tetrahedron,48,2223−2311)に概説されている。
【0009】
これまでのところ,最も普及している2’−保護基はtert−ブチルジメチルシリル基であり,これは,原理的にはOgilvieおよびその共同研究者らにより開発された(Usman et al.,1987,J.A.C.S.,109,7845−7854)。合成(Wincott et al.,1995,Nucleic Acids Research,23,2677−2684,Sproat et al.,1995,Nucleosides and Nucleotides,14,255−273,Vargeese et al.,1998,Nucleic Acids Research,26,1046−1050),および脱保護(Wincott et al.,(上掲);Sproat et al.,(上掲))の両方の領域におけるシリル化学の最近の進歩により,オリゴリボヌクレオチドの製造においてこれを使用する方法がさらに利用可能となった。
【0010】
tert−ブチルジメチルシリル基のリボヌクレオチドの2’−位への導入は,通常は,硝酸銀またはイミダゾールのいずれかの存在下で5’−O−ジメトキシトリチル−ヌクレオシドを塩化tert−ブチルジメチルシリルと反応させることにより行われる。得られた2’−O−tert−ブチルジメチルシリル,3’−O−tert−ブチルジメチルシリルおよびビス−置換(3’,2’−ジ−O−tert−ブチルジメチルシリル)生成物の混合物は,通常はカラムクロマトグラフィーにより精製して,所望の2’−O−tert−ブチルジメチルシリル誘導体を単離しなければならない。単離された3’−O−tert−ブチルジメチルシリル誘導体をトリエチルアミン/メタノールまたはピリジン/水中における平衡により処理することにより,シリルエーテルを移動させることができ,このことにより追加の2’−O−tert−ブチルジメチルシリル生成物を単離することができる。多数回の再平衡を用いてますます少ない量の所望の2’−O−tert−ブチルジメチルシリル生成物を得ることができるが,このプロセスは,時間がかかり,平衡のたびに別々の精製工程を必要とする。したがって,2’−O−tert−ブチルジメチルシリル異性体の形成は場合によっては動力学的に好ましいが,一般的に,得られた所望の2’−O−tert−ブチルジメチルシリル異性体の単離収率は,競合する3’−O−tert−ブチルジメチルシリルおよびビス置換異性体の形成のため減少する。したがって,ヌクレオシドの2’−ヒドロキシルにシリル保護を選択的に導入するのに有用な,ヌクレオシドホスホルアミダイト合成の一般的方法が求められている。
【0011】
2’−デオキシ−2’−アミノヌクレオチドを用いて,新規な酵素的核酸分子がインビトロで選択されている(Beaudry et al.,2000,Chemistry and Biology,7,323−334)。このように,2’−デオキシ−2’−アミノ含有オリゴヌクレオチドの効率的な合成に適した方法が必要とされている。Beigelmanら(1995,Nucleic Acids Res.,23,4434−4442)は,先に,オリゴヌクレオチド合成の間に2’−デオキシ−2’−アミノリボヌクレオチドホスホルアミダイトの2’−アミノ官能基のためにフタロイル保護基を用いることは,トリフルオロアセチルまたはFmoc保護基より好ましいことを示している。Beigelmanら(上掲)はまた,ネフキン(Nefkin)の方法(Nefkins et al.,1960,Recl.Trav.Chim.Pays−Bas.,79,688−698)を用いて,2’−アミノウリジンから出発して,2’−N−フタロイルウリジンホスホルアミダイトを合成することを記載する。この方法は,出発物質として2’−デオキシ−2’−アミノ−ヌクレオシドを必要とする。
【0012】
2’−アミノウリジンの最初の製造は,Verheydenら(1971,J.Org.Chem.,36,250−254)により記載されている。この方法は,アジ化リチウムを用いて2,2’−O−アンヒドロウリジンを50%の収率で開環し,次に触媒的還元により対応するアミンとする。これまでに,この方法を若干改変して用いたいくつかの報告が発表されている。2,2’−O−アンヒドロウリジンの3’−O−トリクロロアセチミデートの分子内環化,続いて酸加水分解を用いる方法が,アジドイオンの使用の代替法として発表されている(McGee et al.,1996,J.Org.Chem.,61,781−785)。2’−アミノプリンヌクレオシドの合成方法は,2’−アジド基を導入し,次にアミンに還元する,同じ一般的戦略を用いる。あるいは,2’−アジドプリンヌクレオシドは,2’−アジド−2’−デオキシリボース誘導体を用いるグリコシル化(Hobbs and Eckstein,1977,J.Org.,Chem.,42,714−719),2’−アミノ−2’−デオキシウリジンを用いるトランスグリコシル化(Imazawa and Eckstein,1979,J.Org.Chem.,44,2039−2041),アジドイオンを用いる8,2−シクロプリンヌクレオシドの開環(Ikeharaet al.,1977,Chem.Pharm.Bull.,25,754−760;Ikehara and Maruyama,1978,Chem.Pharm.Bull.,26,240−244),およびアジドイオンを用いる対応する2’−アラビノトリフレートの置換(Robins et al.,1992,Nucleosides and Nucleotides,11,821−834)により製造されてきた。
【0013】
他の刊行物もヌクレオシド誘導体の製造を記述しており,例えば,以下のものが挙げられる:Karpeisky et al.,国際公開WO98/28317(2’−O−アミノヌクレオシドの合成を記載),Beigelman et al.,米国特許5,962,675,(2’−O−メチルヌクレオシドの合成を記載),Furusawa,日本特許6067492(ヌクレオシド環状ケイ素誘導体の合成を記載),Furusawa,日本特許10226697(2’−O−シリルヌクレオシドの合成を記載),Usman et al.,米国特許5,631,360(N−フタロイル保護2’−アミノヌクレオシドホスホルアミダイトを記載),Usman et al.,米国特許5,891,683(非ヌクレオシド含有酵素的核酸分子を記載),およびMatulic−Adamic et al.,米国特許5,998,203(5’および/または3’−キャップ構造を含む酵素的核酸分子を記載)。
【0014】
発明の概要
本発明は,より少ない合成工程を用い,アジドの使用を回避し,および同時に2’−アミンのN−フタロイル保護を導入する,2’−デオキシ−2’−アミノプリンおよびピリミジンヌクレオシドおよびC−ヌクレオシドを合成する普遍的な方法を提供する(図1を参照)。
【0015】
1つの態様においては,本発明は,2’−デオキシ−2’−アミノおよび2’−デオキシ−2’−N−フタロイルヌクレオシドを製造する方法を提供する。該方法は,キログラムまたはそれ以上の量にスケールアップすることができる。該方法は,1−β−D−アラビノフラノシルヌクレオシドの2’−位に存在する脱離基の置換において,フタルイミドおよび/または置換フタルイミドを求核基として使用して,2’−デオキシ−2’−N−フタロイルヌクレオシドを生成することを含む。次に,適当な塩基を用いてフタロイル保護を切断することにより,2’−デオキシ−2’−アミノヌクレオシドが形成される。
【0016】
本発明は,2’−デオキシ−2’−N−フタロイルヌクレオシドを合成する方法を提供し,該方法は以下の工程を含む:(a)1−β−D−アラビノフラノシルヌクレオシドの2’−位に脱離基を導入し;そして(b)工程(a)からの前記脱離基をフタルイミドまたは置換フタルイミド求核基で置換して,2’−デオキシ−2’−N−フタロイルヌクレオシドを得る。
【0017】
別の態様においては,本発明は,2’−デオキシ−2’−アミノヌクレオシドを合成する方法を提供し,該方法は,以下の工程を含む:(a)1−β−D−アラビノフラノシルヌクレオシドの2’−位に脱離基を導入し;(b)工程(a)からの前記脱離基をフタルイミドまたは置換フタルイミド求核基で置換して2’−デオキシ−2’−N−フタロイルヌクレオシドを生成し;そして(c)前記2’−デオキシ−2’−N−フタロイルヌクレオシドを脱保護して前記2’−デオキシ−2’−アミノヌクレオシドを得る。
【0018】
別の態様においては,本発明は,2’−デオキシ−2’−アミノおよび2’−デオキシ−2’−N−フタロイルC−ヌクレオシドを製造する方法を提供する。該方法は,キログラムまたはそれ以上の量にスケールアップすることができる。該方法は,1−β−D−アラビノフラノシルC−ヌクレオシドの2’−位に存在する脱離基の置換においてフタルイミドおよび/または置換フタルイミドを求核基として使用して,2’−デオキシ−2’−N−フタロイルC−ヌクレオシドを生成することを含む。次に適当な塩基を用いてフタロイル保護を切断することにより,2’−デオキシ−2’−アミノC−ヌクレオシドが形成される。
【0019】
別の態様においては,本発明は,2’−トリフルオロメタンスルホニル−1−β−D−アラビノフラノシルヌクレオシドを,前記2’−デオキシ−2’−N−フタロイルヌクレオシドの形成に適した条件下でフタルイミドまたは置換フタルイミド求核基と接触させる工程を含む,2’−デオキシ−2’−N−フタロイルヌクレオシドを合成する方法を提供する。
【0020】
別の態様においては,本発明は,2’−トリフルオロメタンスルホニル−1−β−D−アラビノフラノシルC−ヌクレオシドを,前記2’−デオキシ−2’−N−フタロイルC−ヌクレオシドの形成に適した条件下でフタルイミドまたは置換フタルイミド求核基と接触させる工程を含む,2’−デオキシ−2’−N−フタロイルC−ヌクレオシドを合成する方法を提供する。
【0021】
別の態様においては,本発明は,2’−メタンスルホニル−1−β−D−アラビノフラノシルヌクレオシドを,前記2’−デオキシ−2’−N−フタロイルヌクレオシドの形成に適した条件下でフタルイミドまたは置換フタルイミド求核基と接触させる工程を含む,2’−デオキシ−2’−N−フタロイルヌクレオシドを合成する方法を提供する。
【0022】
別の態様においては,本発明は,2’−メタンスルホニル−1−β−D−アラビノフラノシルC−ヌクレオシドを,前記2’−デオキシ−2’−N−フタロイルC−ヌクレオシドの形成に適した条件下でフタルイミドまたは置換フタルイミド求核基と接触させる工程を含む,2’−デオキシ−2’−N−フタロイルC−ヌクレオシドを合成する方法を提供する。
【0023】
別の観点においては,本発明はまた,競合する3’−O−シリルヌクレオシド異性体の形成を回避し,このことにより2’−O−シリルヌクレオシドおよび3’−O−シリルヌクレオシド異性体の分離の必要を回避しながら全体的合成収率を改善する,核酸塩基保護2’−O−シリルヌクレオシドホスホルアミダイトおよび2’−O−シリルC−ヌクレオシドを合成する方法を提供する(図2)。本明細書に記載される方法は,3’−O−シリルヌクレオシド異性体を再平衡化させて追加の2’−O−シリルヌクレオシドを精製する慣例を回避する。さらに,本発明の方法は,核酸塩基の保護において別々の工程としてフラノシルヒドロキシルを一時的に保護する必要を回避する。
【0024】
本発明はまた,2’−O−シリル−ヌクレオシドおよび2’−O−シリルヌクレオシドホスホルアミダイトを製造する方法を提供する。該方法は,キログラムまたはそれ以上の量にスケールアップすることができる。該方法は以下の工程を含む:(1)ヌクレオシドに5’,3’−環状シリル保護基を導入し;(2)工程(1)の生成物に2’−O−シリル保護基を導入し;(3)必要な場合には工程(2)の生成物に核酸塩基保護を導入し;(4)工程(3)の生成物を選択的に脱シリル化し;(5)工程(4)の生成物に5’−ヒドロキシル保護基を導入し;そして(6)ホスフィチル化試薬を用いて工程(5)の生成物の3’−位にホスホルアミダイト成分を導入して,2’−O−シリル−ヌクレオシドホスホルアミダイトを得る。
【0025】
別の態様においては,本発明は,2’−O−シリル−ヌクレオシドおよび2’−O−シリル−ヌクレオシドホスホルアミダイトを合成する方法を提供し,該方法は以下の工程を含む:(1)必要な場合にはヌクレオシドに核酸塩基保護を導入し;(2)工程(1)の生成物に5’,3’−環状シリル保護基を導入し;(3)工程(2)の生成物に2’−O−シリル保護基を導入し;(4)工程(3)の生成物を選択的に脱シリル化し;(5)工程(4)の生成物に5’−ヒドロキシル保護基を導入し;そして(6)ホスフィチル化試薬を用いて工程(5)の生成物の3’−位にホスホルアミダイト成分を導入して,2’−O−シリル−ヌクレオシドホスホルアミダイトを得る。
【0026】
別の態様においては,2’−O−シリル−ヌクレオシドおよび2’−O−シリル−ヌクレオシドホスホルアミダイトの合成方法を用いて,2’−O−シリル−D−リボフラノシルヌクレオシド,2’−O−シリル−D−リボフラノシルヌクレオシドホスホルアミダイト,2’−O−シリル−L−リボフラノシルヌクレオシド,2’−O−シリル−L−リボフラノシルヌクレオシドホスホルアミダイト,2’−O−シリル−D−アラビノフラノシルヌクレオシド,2’−O−シリル−D−アラビノフラノシルヌクレオシドホスホルアミダイトおよび2’−O−シリル−L−アラビノフラノースヌクレオシドおよび2’−O−シリル−L−アラビノフラノースヌクレオシドホスホルアミダイトの両方を合成する。
【0027】
本発明はまた,2’−O−シリル−C−ヌクレオシドおよび2’−O−シリル−C−ヌクレオシドホスホルアミダイトを製造する方法を提供する。該方法は,キログラムまたはそれ以上の量にスケールアップすることができる。該方法は以下の工程を含む:(1)C−ヌクレオシドに5’,3’−環状シリル保護基を導入し;(2)工程(1)からの生成物に2’−O−シリル保護基を導入し;(3)必要な場合には工程(2)の生成物に核酸塩基保護を導入し;(4)工程(3)の生成物を選択的に脱シリル化し;(5)工程(4)の生成物に5’−ヒドロキシル保護基を導入し;そして(6)ホスフィチル化試薬を用いて工程(5)の生成物の3’−位にホスホルアミダイト成分を導入する。
【0028】
別の態様においては,本発明は,2’−O−シリル−C−ヌクレオシドおよび2’−O−シリル−C−ヌクレオシドホスホルアミダイトを合成する方法を提供し,該方法は以下の工程を含む:(1)必要な場合にはC−ヌクレオシドに核酸塩基保護を導入し;(2)工程(1)の生成物に5’,3’−環状シリル保護基を導入し;(3)工程(2)からの生成物に2’−O−シリル保護基を導入し;(4)工程(3)の生成物を選択的に脱シリル化し;(5)工程(4)の生成物に5’−ヒドロキシル保護基を導入し;そして(6)ホスフィチル化試薬を用いて工程(5)の生成物の3’−位にホスホルアミダイト成分を導入する。
【0029】
別の態様においては,2’−O−シリル−C−ヌクレオシドおよび2’−O−シリル−C−ヌクレオシドホスホルアミダイトを合成する方法を用いて,2’−O−シリル−D−リボフラノシルC−ヌクレオシドおよび2’−O−シリル−D−リボフラノシルC−ヌクレオシドホスホルアミダイト,2’−O−シリル−L−リボフラノシルC−ヌクレオシドおよび2’−O−シリル−L−リボフラノシルC−ヌクレオシドホスホルアミダイト,2’−O−シリル−D−アラビノフラノシルC−ヌクレオシドおよび2’−O−シリル−D−アラビノフラノシルC−ヌクレオシドホスホルアミダイトおよび2’−O−シリル−L−アラビノフラノースC−ヌクレオシド,および2’−O−シリル−L−アラビノフラノースC−ヌクレオシドホスホルアミダイトの両方を合成する。
【0030】
さらに別の観点においては,本発明は,2’−O−メチルグアノシンヌクレオシドおよび2’−O−メチルグアノシンヌクレオシドホスホルアミダイトを製造する方法を提供する。2’−O−メチルグアノシンヌクレオシドおよび2’−O−メチルグアノシンヌクレオシドホスホルアミダイトは,2,6−ジアミノプリンヌクレオシドから,2,6−ジアミノプリンヌクレオシドを選択的にメチル化し,次に2,6−ジアミノプリンヌクレオシドを選択的に脱アミノ化して,2’−O−メチルグアノシンヌクレオシドを得ることにより合成する。
【0031】
本発明は,2’−O−メチルグアノシンヌクレオシドおよび2’−O−メチルグアノシンヌクレオシドホスホルアミダイトを製造する実用的な方法を提供する。該方法は,キログラムまたはそれ以上の量にスケールアップすることができる。該方法は以下の工程を含む:(1)ジシリルアルキルビス(トリフルオロメタンスルホネート)を用いて,2,6−ジアミノ−9−(β−リボフラノシル)プリンに5’,3’−環状シリル保護基を導入して,2,6−ジアミノ−9−[5’,3’−O−(ジ−アルキルシランジイル)−2’−O−メチル−β−リボフラノシル]プリンを形成し;(2)2,6−ジアミノ−9−[5’,3’−O−(ジ−アルキルシランジイル)−β−リボフラノシル]プリンの単離に適した条件下で工程(1)の生成物をメチル化し;(3)N2−N6−2,6−ジアミノ−ジアシル−9−[5’,3’−O−(ジ−アルキルシランジイル)−2’−O−メチル−β−リボフラノシル]プリンの単離に適した条件下で,工程(2)からの生成物のN2およびN6位にアシル保護を導入し;(4)2,6−ジアミノ−N2−アシル−9−[5’,3’−O−(ジ−アルキルシランジイル)−2’−O−メチル−β−リボフラノシル]プリンの単離に適した条件下で,工程(3)の生成物のN6位を選択的に置換し;(5)N2−アシル−2’−O−メチルグアノシンの単離に適した条件下で,工程(4)の生成物をN6−アミンを化学的に脱アミノ化し,脱シリル化し;(6)N2−アシル−5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−メチルグアノシンを得るのに適した条件下で,工程(5)の生成物に5’−ヒドロキシル保護基を導入し;そして(7)ホスフィチル化試薬を用いて,N2−アシル−5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−メチルグアノシン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)の単離に適した条件下で,工程(6)の生成物の3’−位にホスホルアミダイト成分を導入する。
【0032】
別の態様においては,本発明は,2’−O−メチルグアノシンヌクレオシドを化学的に合成する方法を提供し,該方法は,以下の工程を含む:(1)ジシリルアルキルビス(トリフルオロメタンスルホネート)を用いて,2,6−ジアミノ−9−(β−リボフラノシル)プリンに5’,3’−環状シリル保護基を導入して,2,6−ジアミノ−9−[5’,3’−O−(ジ−アルキルシランジイル)−β−リボフラノシル]プリンを形成し;(2)2,6−ジアミノ−9−[5’,3’−O−(ジ−アルキルシランジイル)−2’−O−メチル−β−リボフラノシル]プリンの単離に適した条件下で,工程(1)の生成物をメチル化し;(3)2,6−ジアミノ−N2−N6−ジアシル−9−[5’,3’−O−(ジ−アルキルシランジイル)−2’−O−メチル−β−リボフラノシル]プリンの単離に適した条件下で,工程(2)からの生成物のN2およびN6位をアシル化し;(4)2,6−ジアミノ−N2−アシル−9−[5’,3’−O−(ジ−アルキルシランジイル)−2’−O−メチル−β−リボフラノシル]プリンの単離に適した条件下で,工程(3)の生成物のN6位を選択的に脱アシル化し;(5)N2−アシル−2’−O−メチルグアノシンの単離に適した条件下で,工程(4)の生成物をN6−アミンを脱アミノ化し,脱シリル化し;そして(6)前記2’−O−メチルグアノシンヌクレオシドの単離に適した条件下で,工程(e)の生成物からN2−アミンを脱保護する。
【0033】
さらに別の観点においては,本発明は,2’−O−アルキルアデノシンヌクレオシドおよび2’−O−アルキルアデノシンヌクレオシドホスホルアミダイトを製造する方法を提供する。2’−O−アルキルアデノシンヌクレオシドおよび2’−O−アルキルアデノシンヌクレオシドホスホルアミダイトは,アデノシンから,5’,3’−シランジイル保護アデノシンヌクレオシドの2’−ヒドロキシルを選択的にアルキル化し,次に5’,3’−シランジイルを選択的に脱保護して2’−O−アルキルアデノシンヌクレオシドを得ることにより合成する。所望の場合には,5’,3’−シランジイルのアルキル化の後,脱保護の前に,アデノシンのN6アミンを保護して,N6−アシル−2’−O−アルキルアデノシンを得ることができる。オリゴヌクレオチド合成に適合した酸不安定性保護基およびリン含有基は,当該技術分野において知られるようにして導入することができる。
【0034】
1つの態様においては,2’−O−アルキルアデノシンヌクレオシドおよび2’−O−アルキルアデノシンヌクレオシドホスホルアミダイトは,イノシンから,5’,3’−シランジイル保護イノシンヌクレオシドのO6位にイミダゾールまたはトリアゾール成分を導入し,5’,3’−シランジイル保護アデノシンN6−イミダゾールヌクレオシドの2’−ヒドロキシルを選択的にアルキル化し,次に5’,3’−シランジイルをN6アミノ化および脱保護して,2’−O−アルキルアデノシンヌクレオシドを得ることにより合成する。あるいは,5’,3’−シランジイル保護2’−O−アルキルアデノシンN6−イミダゾールヌクレオシドを脱シリル化して,2’−O−アルキルアデノシンN6−イミダゾールヌクレオシドとし,これをアンモニアでアミノ化して,2’−O−アルキルアデノシンを得る。当該技術分野において知られるように,オリゴヌクレオチド合成に適合した酸不安定性保護基およびリン含有基を導入することができる。
【0035】
本発明は,2’−O−アルキルアデノシンヌクレオシドおよび2’−O−アルキルアデノシンヌクレオシドホスホルアミダイトを製造する実用的な方法を提供する。該方法は,キログラムまたはそれ以上の量にスケールアップすることができる。該方法は以下の工程を含む:(1)ジシリルアルキルビス(トリフルオロメタンスルホネート)を用いてアデノシンに5’,3’−環状シリル保護基を導入して5’,3’−O−(ジ−アルキルシランジイル)−アデノシンを形成し;(2)5’,3’−O−(ジ−アルキルシランジイル)−2’−O−アルキルアデノシンの単離に適した条件下で,工程(1)の生成物をアルキル化し;(3)N6−アシル−5’,3’−O−(ジ−アルキルシランジイル)−2’−O−アルキルアデノシンの単離に適した条件下で,工程(2)からの生成物のN6位にアシル保護を導入し;(4)N2−アシル−2’−O−アルキルアデノシンの単離に適した条件下で,工程(3)の生成物を脱シリル化し;(5)N6−アシル−5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−アルキルアデノシンを得るのに適した条件下で,工程(4)の生成物に5’−ヒドロキシル保護基を導入し;そして(6)ホスフィチル化試薬を用いて,N6−アシル−5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−アルキルアデノシン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)の単離に適した条件下で,工程(5)の生成物の3’−位にホスホルアミダイト成分を導入する。
【0036】
別の態様においては,本発明は,2’−O−アルキルアデノシンヌクレオシドを化学的に合成する方法を提供し,該方法は,以下の工程を含む:(1)ジシリルアルキルビス(トリフルオロメタンスルホネート)を用いて,アデノシンに5’,3’−環状シリル保護基を導入して,5’,3’−O−(ジ−アルキルシランジイル)アデノシンを形成し;(2)5’,3’−O−(ジ−アルキルシランジイル)−2’−O−アルキルアデノシンの単離に適した条件下で,工程(1)の生成物をアルキル化し;(3)N6−アシル−2’−O−アルキルアデノシンの単離に適した条件下で,工程(2)の生成物を脱シリル化する。
【0037】
本発明は,2’−O−アルキルアデノシンヌクレオシドおよび2’−O−アルキルアデノシンヌクレオシドホスホルアミダイトを製造する実用的な方法を提供する。該方法は,キログラムまたはそれ以上の量にスケールアップすることができる。該方法は以下の工程を含む:(1)イノシンに5’,3’−環状シリル保護基を導入して,5’,3’−保護−イノシンを形成し;(2)5’,3−保護−N6−イミダゾールアデノシンの単離に適した条件下で,工程(1)の生成物にN6イミダゾール成分を導入し;(3)5’,3’−保護−2’−O−アルキル−N6−イミダゾールアデノシンの単離に適した条件下で,工程(2)の生成物をアルキル化し;(4)N6−アシル−5’,3’−保護−2’−O−アルキルアデノシンの単離に適した条件下で,工程(3)からの生成物のN6位にアシル保護を導入し;(5)N6−アシル−2’−O−アルキルアデノシンの単離に適した条件下で,工程(4)の生成物を脱シリル化し;(6)N6−アシル−5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−アルキルアデノシンを得るのに適した条件下で,工程(5)の生成物に5’−ヒドロキシル保護基を導入し;そして(7)ホスフィチル化試薬を用いて,N6−アシル−5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−アルキルアデノシン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)の単離に適した条件下で,工程(6)の生成物の3’−位にホスホルアミダイト成分を導入する。
【0038】
別の態様においては,本発明は,2’−O−アルキルアデノシンヌクレオシドを化学的に合成する方法を提供し,該方法は以下の工程を含む:(1)イノシンに5’,3’−環状シリル保護基を導入して,5’,3’−保護イノシンを生成し;(2)N6−イミダゾール−5’,3’−保護アデノシンの単離に適した条件下で,工程(1)の生成物にN6イミダゾール成分を導入し;(3)N6−イミダゾール−5’,3’−保護−2’−O−アルキルアデノシンの単離に適した条件下で,工程(2)の生成物をアルキル化し;(4)N6−アシル−5’,3’−保護−2’−O−アルキルアデノシンまたは5’,3’−保護−2’−O−アルキルアデノシンの単離に適した条件下で,工程(3)からの生成物のN6位をアミノ化し;(5)N6−アシル−2’−O−アルキルアデノシンまたは2’−O−アルキルアデノシンの単離に適した条件下で,工程(4)の生成物を脱シリル化する。
【0039】
別の態様においては,脱シリル化の前または後に,N6−イミダゾール−5’,3’−保護−2’−O−アルキルアデノシンのアミノ化に,アクリルアミド,例えば,ベンズアミドを用いて,環外のアミン保護を導入する。
【0040】
本発明はまた,1,4−アンヒドロ−2−デオキシ−D−エリスロ−ペンチトール誘導体,例えば,1,4−アンヒドロ−2−デオキシ−D−エリスロ−ペンチトールスクシネートおよびホスホルアミダイトを合成する実用的な方法を提供する。該方法は以下の工程を含む:(1)5−O−保護−1,4−アンヒドロ−2−デオキシ−D−エリスロ−ペンチトールの単離に適した条件下で,5’−O−保護チミジン誘導体を脱ピリミジン化し;(2)5−O−保護−3−O−保護−1,4−アンヒドロ−2−デオキシ−D−エリスロ−ペンチトールの単離に適した条件下で,5−O−保護−1,4−アンヒドロ−2−デオキシ−D−エリスロ−ペンチトールのC3ヒドロキシルに酸不安定性保護基を導入し;(3)3−O−保護−1,4−アンヒドロ−2−デオキシ−D−エリスロ−ペンチトールの単離に適した条件下で,工程(2)の生成物を選択的に5−O−脱保護し;そして(4)5−O−スクシニル−3−O−保護−1,4−アンヒドロ−2−デオキシ−D−エリスロ−ペンチトールまたは3−O−保護−1,4−アンヒドロ−2−デオキシ−D−エリスロ−ペンチトール−5−O−ホスホルアミダイトの単離に適した条件下で,工程(3)の生成物の5位にスクシネート成分またはホスホルアミダイト成分を含む化学成分を導入する。
【0041】
図面の簡単な説明
図1は,本発明の方法による,2’−デオキシ−2’−アミノヌクレオシド,2’−デオキシ−2’−アミノC−ヌクレオシド,2’−デオキシ−2’−N−フタロイルヌクレオシド,2’−デオキシ−2’−N−フタロイルC−ヌクレオシド,ヌクレオシドホスホルアミダイトおよびC−ヌクレオシドホスホルアミダイトの合成を記述する一般的反応スキームの概略図である。
【0042】
図2は,本発明の方法による,2’−O−シリルヌクレオシドホスホルアミダイトおよび2’−O−シリルC−ヌクレオシドホスホルアミダイトの合成を記述する一般的反応スキームの概略図である。
【0043】
図3は,本発明の方法による,2’−デオキシ−2’−N−フタロイルシチジン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)(8)および2’−デオキシ−2’−アミノシチジン(9)の合成に関連するスキームの概略図である。
【0044】
図4は,本発明の方法による,2’−デオキシ−2’−N−フタロイルウリジン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)(16)および2’−デオキシ−2’−アミノウリジン(17)の合成に関連するスキームの概略図である。
【0045】
図5は,本発明の方法による,2’−デオキシ−2’−N−フタロイルアデノシン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)(25)および2’−デオキシ−2’−アミノアデノシン(26)の合成に関連するスキームの概略図である。
【0046】
図6は,本発明の方法による,2’−デオキシ−2’−N−フタロイルグアノシン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)(36)および2’−デオキシ−2’−アミノグアノシン(37)の合成に関連するスキームの概略図である。
【0047】
図7は,本発明の方法による,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリル−N4−アセチルシチジン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)(43)の合成に関連するスキームの概略図である。
【0048】
図8は,本発明の方法による,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリルウリジン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)(48)の合成に関与するスキームの概略図である。
【0049】
図9は,本発明の方法による,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリル−N6−ベンゾイルアデノシン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)(54)の合成に関連するスキームの概略図である。
【0050】
図10は,本発明の方法による,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリル−N2−イソブチリルグアノシン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)(60)の合成に関連するスキームの概略図である。
【0051】
図11は,本発明の方法による,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−メチル−N2−イソブチリルグアノシン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)(69)および2’−O−メチルグアノシン(70)の合成に関与するスキームの概略図である。
【0052】
図12は,例えば,図3の工程IVおよび図4および5の工程IIIにおいて生ずる競合的除去反応の概略図である。
【0053】
図13は,本発明の方法による,2’−O−メチルアデノシン(75)の合成に関連するスキームの概略図である。図13に示される合成の方法を用いて,オリゴヌクレオチド合成用の2’−O−メチルホスホルアミダイトおよび他の2’−O−メチル誘導体を合成することができる。
【0054】
図14は,N6−イミダゾールアデノシン中間体を用いる本発明の方法による,2’−O−メチルアデノシン(75)の合成に関連するスキームの概略図である。図14に示される合成の方法を用いて,オリゴヌクレオチド合成用の2’−O−メチルホスホルアミダイトおよび他の2’−O−メチル誘導体を合成することができる。
【0055】
図15は,本発明の方法による1,4−アンヒドロ−2−デオキシ−D−エリスロ−ペンチトール誘導体の合成に関連するスキームの概略図である。図15に示される合成方法を用いて,オリゴヌクレオチド合成において用いるための1,4−アンヒドロ−2−デオキシ−D−エリスロ−ペンチトールホスホルアミダイトおよび1,4−アンヒドロ−2−デオキシ−D−エリスロ−ペンチトールスクシネートを合成することができる。
【0056】
発明の詳細な説明
本明細書において用いる場合,”ヌクレオシド”との用語は,糖,特にペントースとN−グリコシド結合している複素環窒素性塩基,特にプリンまたはピリミジンを表す。ヌクレオシドには,L−およびD−ヌクレオシド異性体の両方が含まれる。
【0057】
本明細書において用いる場合,”C−ヌクレオシド”との用語は,糖,特にペントースとC−グリコシド結合している複素環または芳香族基またはアグリコンを表す。C−ヌクレオシドには,L−およびD−のC−ヌクレオシド異性体の両方が含まれる。
【0058】
本明細書において用いる場合,”リボフラノシルヌクレオシド”との用語は,2’−ヒドロキシル基をL−またはD−ベータ−リボフラノシルコンフィギュレーションで含むヌクレオシドまたはヌクレオシド類似体を表す。
【0059】
本明細書において用いる場合,”アラビノフラノシルヌクレオシド”との用語は,L−またはD−ベータ−アラビノフラノシルコンフィギュレーションで2’−ヒドロキシル基を含むヌクレオシドまたはヌクレオシド類似体を表す。
【0060】
本明細書において用いる場合,”求核基”との用語は,孤立電子対を含み,炭素原子への新たな結合を形成する,塩基性の,電子に富む試薬を表す。求核基は,アニオンでもよく,または中性の電荷でもよい。例としては,限定されないが,カルバニオン,酸素アニオン,ハロゲン化物アニオン,イオウアニオン,窒素アニオン,窒素塩基,アルコール,水およびチオールが挙げられる。
【0061】
本明細書において用いる場合,”脱離基”との用語は,炭素を容易に放出し,前記炭素原子から孤立電子対を取り出す弱塩基性の化学種を表す。例としては,限定されないが,トリフレート,ノシレート,ブロシレート,p−トルエンスルホネート,トリフルオロ酢酸,およびメシレートが挙げられる。
【0062】
本明細書において用いる場合,”ヒンダード塩基”との用語は,弱い求核性の強塩基性アミン塩基を表す。
【0063】
本明細書において用いる場合,”保護1−β−D−アラビノフラノシルヌクレオシド”との用語は,保護基を含む1−β−D−アラビノフラノシルヌクレオシドを表す。保護基は,ヌクレオシド中に存在する反応性基との望ましくない副反応を防止し,このことにより,目的とするヌクレオシド中の所望の位置における選択的反応を可能とするために用いられる。保護基は容易に導入および除去することができ,いずれの反応も高い収率で生ずる。例えば,アシル基による核酸塩基環外のアミンの保護,またはジ−O−テトライソプロピルジシロキシまたはジ−tert−ブチルシランジイル基によるヌクレオシド5’,3’−ヒドロキシルの保護は,これらの位置における望ましくない反応を防止し,このことにより,標的ヌクレオシドの2’−ヒドロキシルにおける選択的反応を可能とする。
【0064】
本明細書において用いる場合,”保護1−β−D−アラビノフラノシルC−ヌクレオシド”との用語は,保護基を含む1−β−D−アラビノフラノシルC−ヌクレオシドを表す。保護基は,ヌクレオシド中に存在する反応性基との望ましくない副反応を防止し,このことにより目的とするヌクレオシド中の所望の位置における選択的反応を可能とするために用いられる。保護基は容易に導入および除去することができ,いずれの反応も高い収率で生ずる。例えば,アシル基による核酸塩基環外のアミンの保護,またはジ−O−テトライソプロピルジシロキシまたはジ−tert−ブチルシランジイル基によるヌクレオシド5’,3’−ヒドロキシルの保護は,これらの位置における望ましくない反応を防止し,このことにより,標的C−ヌクレオシドの2’−ヒドロキシルにおける選択的反応を可能とする。
【0065】
本明細書において用いる場合,”5’,3’−環状シリル保護基”,または”5’,3’−架橋シリル保護基”,または”5’および3’ヒドロキシルの同時保護”との用語は,ヌクレオシドまたはC−ヌクレオシドの5’−ヒドロキシルと3’−ヒドロキシル基との間のヌクレオシド内シリルエーテル結合の架橋の形成を介して,ヌクレオシドまたはC−ヌクレオシドの5’および3’位の両方を選択的に保護する保護基を表す。このような架橋基としては,限定されないが,ジ−O−テトライソプロピルジシロキシまたはジ−tert−ブチルシランジイル基が挙げられる。
【0066】
本明細書において用いる場合,”2’−O−シリル”との用語は,ヌクレオシドまたはC−ヌクレオシドの2’−位の置換シリルエーテル,例えば,2’−O−tert−ブチルジメチルシリル基を表す。
【0067】
本明細書において用いる場合,”シリル化”との用語は,シリル基またはケイ素含有基を導入するプロセスを表す。シリル基としては,限定されないが,tert−ブチルジメチルシリル(TBDMS),トリイソプロピルシリル(TIPS),トリエチルシリル(TES),トリメチルシリル(TMS),tert−ブチルジフェニルシリル(TBDPS)が挙げられる。”環状シリル化”との用語は,架橋シリル基,例えば,ジ−O−テトライソプロピルジシロキシまたはジ−tert−ブチルシランジイル基を導入するプロセスを表す。
【0068】
本明細書において用いる場合,”脱シリル化”との用語は,シリル基またはケイ素含有基を除去するプロセスを表す。
【0069】
本明細書において用いる場合,”ジ−アルキルシランジイル”との用語は,ジアルキル−置換シリル基,例えば,ジ−tert−ブチルシランジイル基を表す。
【0070】
本明細書において用いる場合,”ホスフィチル化試薬”との用語は,ホスホルアミダイト成分を導入するために用いられる試薬を表す。
【0071】
本明細書において用いる場合,”過渡的保護”との用語は,ヌクレオシドまたはC−ヌクレオシドの1またはそれ以上の糖ヒドロキシル基を保護基でマスキングすることを表し,これは例えば,核酸塩基保護基,例えば,アシル基を導入する前に,トリメチルシリルエーテルを形成し,次に保護基を加水分解して遊離ヒドロキシルを生じさせることにより行う。
【0072】
本明細書において用いる場合,”核酸塩基保護”との用語は,環外のアミン保護基を導入すること,例えば,ヌクレオシドの核酸塩基上にアシル基またはホルムアミド基を導入することを表す。
【0073】
”オリゴヌクレオチド合成に適合した5’−ヒドロキシル保護基”または”酸不安定性保護成分”との用語は,固相または溶液相のオリゴヌクレオチド合成において用いることができる保護基,例えば,ジメトキシトリチル,モノメトキシトリチル,および/またはトリチル基または他の保護基を表す。
【0074】
本明細書において用いる場合,”アシル基”との用語は,一般式R−C(O)−(ここで,Rは,脂肪族,脂肪族環,または芳香族基を表し,C(O)はカルボニルを表す)を含む化学種を表す。
【0075】
本明細書において用いる場合,”アシル化”との用語は,酸,酸ハロゲン化物または酸無水物を用いて,ヒドロキシル基をエステルに,またはアミンをアミドに変換するプロセスを表す。
【0076】
本明細書において用いる場合,”脱ピリミジン化”との用語は,ピリミジン塩基とヌクレオシド性糖成分との間のヌクレオシドC−Nグリコシル結合を切断することを表す。
【0077】
本明細書において用いる場合,”スクシネート成分”との用語は,1またはそれ以上のスクシニル基を含む化学成分を表し,これらの塩,例えば,トリエチルアミン塩も含まれる。
【0078】
本明細書において用いる場合,”ホスホルアミダイト成分”との用語は,窒素を含有する三価のリン誘導体,例えば,2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイトを表す。
【0079】
本明細書において用いる場合,”アルキル”との用語は,飽和脂肪族炭化水素を表し,直鎖,分枝鎖”イソアルキル”,および環状アルキル基が含まれる。”アルキル”との用語はまた,アルコキシ,アルキル−チオ,アルキル−チオ−アルキル,アルコキシアルキル,アルキルアミノ,アルケニル,アルキニル,アルコキシ,シクロアルケニル,シクロアルキル,シクロアルキルアルキル,ヘテロシクロアルキル,ヘテロアリール,C1−C6ヒドロカルビル,アリールまたは置換アリール基を含む。好ましくは,アルキル基は,1−12個の炭素を有する。より好ましくは,これは1−7個の炭素,より好ましくは1−4個の炭素を有する低級アルキルである。アルキル基は置換されていても置換されていなくてもよい。置換されている場合,置換基は,好ましくは,ヒドロキシ,オキシ,チオ,アミノ,ニトロ,シアノ,アルコキシ,アルキル−チオ,アルキル−チオ−アルキル,アルコキシアルキル,アルキルアミノ,シリル,アルケニル,アルキニル,アルコキシ,シクロアルケニル,シクロアルキル,シクロアルキルアルキル,ヘテロシクロアルキル,ヘテロアリール,C1−C6ヒドロカルビル,アリールまたは置換アリール基を含む。”アルキル”との用語はまた,少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含むアルケニル基を含み,直鎖,分枝鎖および環状基を含む。好ましくは,アルケニル基は2−12個の炭素を有する。より好ましくは,これは2−7個の炭素,さらに好ましくは,2−4個の炭素を有する低級アルケニルである。アルケニル基は置換されていても置換されていなくてもよい。置換されている場合,置換基は,好ましくは,ヒドロキシ,オキシ,チオ,アミノ,ニトロ,シアノ,アルコキシ,アルキル−チオ,アルキル−チオ−アルキル,アルコキシアルキル,アルキルアミノ,シリル,アルケニル,アルキニル,アルコキシ,シクロアルケニル,シクロアルキル,シクロアルキルアルキル,ヘテロシクロアルキル,ヘテロアリール,C1−C6ヒドロカルビル,アリールまたは置換アリール基を含む。”アルキル”との用語はまた,少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含むアルキニル基を含み,直鎖,分枝鎖および環状基を含む。好ましくは,アルキニル基は2−12個の炭素を有する。より好ましくは,これは,2−7個の炭素,より好ましくは2−4個の炭素を含む低級アルキニルである。アルキニル基は置換されていても置換されていなくてもよい。置換されている場合,置換基は,好ましくは,ヒドロキシ,オキシ,チオ,アミノ,ニトロ,シアノ,アルコキシ,アルキル−チオ,アルキル−チオ−アルキル,アルコキシアルキル,アルキルアミノ,シリル,アルケニル,アルキニル,アルコキシ,シクロアルケニル,シクロアルキル,シクロアルキルアルキル,ヘテロシクロアルキル,ヘテロアリール,C1−C6ヒドロカルビル,アリールまたは置換アリール基を含む。本発明のアルキル基またはアルキル成分はまた,アリール,アルキルアリール,炭素環式アリール,複素環式アリール,アミドおよびエステル基を含んでいてもよい。アリール基の好ましい置換基は,ハロゲン,トリハロメチル,ヒドロキシル,SH,OH,シアノ,アルコキシ,アルキル,アルケニル,アルキニル,およびアミノ基である。”アルキルアリール”基とは,アリール基(上述したとおりである)に共有結合したアルキル基(上述したとおりである)を表す。炭素環式アリール基は,芳香族環の環原子がすべて炭素原子である基である。炭素原子は,任意に置換されていてもよい。複素環式アリール基は,芳香族環中に環原子として1−3個の複素原子を有し,環原子の残りが炭素原子である基である。適当な複素原子には,酸素,イオウ,および窒素が含まれ,例えば,フラニル,チエニル,ピリジル,ピロリル,N−低級アルキルピロロ,ピリミジル,ピラジニル,イミダゾリル等が挙げられ,これらはすべて任意に置換されていてもよい。”アミド”とは,−C(O)−NH−Rを表し,ここで,Rはアルキル,アリール,アルキルアリールまたは水素のいずれかである。”エステル”とは,−C(O)−OR’基を表し,ここで,Rは,アルキル,アリール,アルキルアリールまたは水素のいずれかである。
【0080】
本明細書において用いる場合,”アルカノイル”との用語は,カルボニル基を介して親分子の成分に結合しているアルキル基を表す。
【0081】
本明細書において用いる場合,”アルコキシアルキル”との用語は,アルキル−O−アルキルエーテルを表し,例えば,メトキシエチルまたはエトキシメチルが含まれる。
【0082】
本明細書において用いる場合,”アルキル−チオ−アルキル”との用語は,アルキル−S−アルキルチオエーテルを表し,例えば,メチルチオメチルまたはメチルチオエチルが含まれる。
【0083】
本明細書において用いる場合,”アミノ”との用語は,当該技術分野において知られるように,1またはそれ以上の水素ラジカルを有機ラジカルにより置き換えることによりアンモニアから誘導される窒素含有基を表す。例えば,”アミノアシル”および”アミノアルキル”との用語は,それぞれアシルおよびアルキル置換基を有する特定のN−置換有機ラジカルを表す。
【0084】
本明細書において用いる場合,”アミノ化”との用語は,有機分子中にアミノ基または置換アミンを導入するプロセスを表す。
【0085】
本明細書において用いる場合,”環外のアミン保護成分”との用語は,オリゴヌクレオチド合成に適合した核酸塩基アミノ保護基,例えば,アシルまたはアミド基を表す。
【0086】
本明細書において用いる場合,”シリル化試薬”との用語は,シリル基を化合物に導入するために用いられる化学試薬を表す。
【0087】
本明細書において用いる場合,”選択的脱シリル化”との用語は,別のシリル基の存在下で化合物から1つのシリル基を選択的に除去することを表す。
【0088】
本明細書において用いる場合,”アルケニル”との用語は,少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含み,表示される数の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖の炭化水素を表す。”アルケニル”の例としては,ビニル,アリル,および2−メチル−3−ヘプテンが挙げられる。
【0089】
本明細書において用いる場合,”アルコキシ”との用語は,酸素架橋を介して親分子の成分に結合した,示される数の炭素原子のアルキル基を表す。アルコキシ基の例としては,例えば,メトキシ,エトキシ,プロポキシおよびイソプロポキシが挙げられる。
【0090】
本明細書において用いる場合,”アルキニル”との用語は,少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含む,所定の数の炭素原子の直鎖または分枝鎖の炭化水素を表す。”アルキニル”の例としては,プロパルギル,プロピン,および3−ヘキシンが挙げられる。
【0091】
本明細書において用いる場合,”アリール”との用語は,少なくとも1つの芳香族環を含む芳香族炭化水素環系を表す。芳香族環は縮合していてもよく,あるいは,他の芳香族炭化水素環または非芳香族炭化水素環に結合していてもよい。アリール基の例としては,例えば,フェニル,ナフチル,1,2,3,4−テトラヒドロナフタレンおよびビフェニルが挙げられる。アリール基の好ましい例としては,フェニルおよびナフチルが挙げられる。
【0092】
本明細書において用いる場合,”シクロアルケニル”との用語は,少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含むC3−C8環状炭化水素を表す。シクロアルケニルの例としては,シクロプロペニル,シクロブテニル,シクロペンテニル,シクロペンタジエン,シクロヘキセニル,1,3−シクロヘキサジエン,シクロヘプテニル,シクロヘプタトリエニル,およびシクロオクテニルが挙げられる。
【0093】
本明細書において用いる場合,”シクロアルキル”との用語は,C3−C8の環状炭化水素を表す。シクロアルキルの例としては,シクロプロピル,シクロブチル,シクロペンチル,シクロヘキシル,シクロヘプチルおよびシクロオクチルが挙げられる。
【0094】
本明細書において用いる場合,”シクロアルキルアルキル”との用語は,上で定義したアルキル基を介して親分子成分に結合しているC3−C7のシクロアルキル基を表す。シクロアルキルアルキル基の例としては,シクロプロピルメチルおよびシクロペンチルエチルが挙げられる。
【0095】
本明細書において用いる場合,”ハロゲン”または”ハロ”との用語は,フッ素,塩素,臭素,およびヨウ素を示すことを表す。
【0096】
本明細書において用いる場合,”ヘテロシクロアルキル”との用語は,窒素,酸素,およびイオウから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む非芳香族環系を表す。ヘテロシクロアルキル環は任意に縮合していてもよく,あるいは,他のヘテロシクロアルキル環および/または非芳香族炭化水素環に結合していてもよい。好ましいヘテロシクロアルキル基は,3−7個のメンバーを有する。ヘテロシクロアルキル基の例としては,例えば,ピペラジン,モルホリン,ピペリジン,テトラヒドロフラン,ピロリジン,およびピラゾールが挙げられる。好ましいヘテロシクロアルキル基としては,ピペリジニル,ピペラジニル,モルホリニル,およびピロリジニルが挙げられる。
【0097】
本明細書において用いる場合,”ヘテロアリール”との用語は,窒素,酸素,およびイオウから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む芳香族環系を表す。ヘテロアリール環は,縮合環であってもよく,あるいは,1またはそれ以上のヘテロアリール環,芳香族または非芳香族炭化水素環またはヘテロシクロアルキル環に結合していてもよい。ヘテロアリール基の例としては,例えば,ピリジン,フラン,チオフェン,5,6,7,8−テトラヒドロイソキノリンおよびピリミジンが挙げられる。ヘテロアリール基の好ましい例としては,チエニル,ベンゾチエニル,ピリジル,キノリル,ピラジニル,ピリミジル,イミダゾリル,ベンズイミダゾリル,フラニル,ベンゾフラニル,チアゾリル,ベンゾチアゾリル,イソオキサゾリル,オキサジアゾリル,イソチアゾリル,ベンズイソチアゾリル,トリアゾリル,テトラゾリル,ピロリル,インドリル,ピラゾリル,およびベンゾピラゾリルが挙げられる。
【0098】
本明細書において用いる場合,”C1−C6ヒドロカルビル”との用語は,1−6個の炭素原子を有し,任意に1またはそれ以上の炭素−炭素二重結合または三重結合を有していてもよい,直鎖,分枝鎖,または環状のアルキル基を表す。ヒドロカルビル基の例としては,例えば,メチル,エチル,プロピル,イソプロピル,n−ブチル,sec−ブチル,tert−ブチル,ペンチル,2−ペンチル,イソペンチル,ネオペンチル,ヘキシル,2−ヘキシル,3−ヘキシル,3−メチルペンチル,ビニル,2−ペンテン,シクロプロピルメチル,シクロプロピル,シクロヘキシルメチル,シクロヘキシルおよびプロパルギルが挙げられる。本明細書において,1または2個の二重結合または三重結合を含有するC1−C6ヒドロカルビルに関しては,1つの二重結合または三重結合についてはアルキル中に少なくとも2個の炭素が存在し,2個の二重結合または三重結合については少なくとも4個の炭素が存在することが理解される。
【0099】
本明細書において用いる場合,”窒素保護基,”との用語は,当該技術分野において知られる,窒素に容易に導入し除去することができる基を表す。窒素保護基の例としては,Boc,Cbz,ベンゾイル,およびベンジルが挙げられる。”Protective Groups in Organic Synthesis”,3rdEd.,Greene,T.W.および関連する刊行物も参照されたい。
【0100】
無毒性の薬学的に許容しうる塩としては,限定されないが,無機酸,例えば,塩酸,硫酸,リン酸,二リン酸,臭化水素酸,および硝酸の塩,または有機酸,例えば,ギ酸,クエン酸,リンゴ酸,マレイン酸,フマル酸,酒石酸,コハク酸,酢酸,乳酸,メタンスルホン酸,p−トルエンスルホン酸,2−ヒドロキシエチルスルホン酸,サリチル酸およびステアリン酸の塩が挙げられる。同様に,薬学的に許容しうるカチオンとしては,限定されないが,ナトリウム,カリウム,カルシウム,アルミニウム,リチウムおよびアンモニウムが挙げられる。当業者は,広範な種類の非毒性の薬学的に許容しうる付加塩を理解するであろう。本発明は,式I−XVIIの化合物のプロドラッグも包含する。
【0101】
本発明はまた,式I−XVIIの化合物のアシル化されたプロドラッグを含む。当業者は,式I−XVIIに包含される化合物の無毒性の薬学的に許容しうる付加塩およびアシル化プロドラッグを製造するために用いることができる種々の合成方法論を理解するであろう。
【0102】
本発明はまた,式I−XVIIの化合物から誘導されるトリチウム標識プローブを提供する。トリチウム標識プローブ化合物は,トリチウム化酢酸中での白金触媒交換,トリチウム化トリフルオロ酢酸中での酸触媒交換,またはトリチウムガスとの不均一系触媒交換により,都合よく触媒的に製造することができる。そのような製造は,前段落で挙げた供給元のいずれかにより注文放射標識として都合よく実施される。さらに,トリチウムは,トリチウムガスとのトリチウム−ハロゲン交換,遷移金属触媒による不飽和結合のトリチウムガス還元,またはケトン,アルデヒド,およびイミンのホウ水素化ナトリウム還元により導入してもよい。
【0103】
本発明の化合物は,1またはそれ以上の非対称炭素原子を含むことができ,したがって化合物は異なる立体異性体形で存在することができる。これらの化合物は,例えば,ラセミ化合物,キラルの非ラセミ化合物またはジアステレオマーでありうる。このような場合,単一のエナンチオマー,すなわち光学的に活性な形は,非対称合成によりまたはラセミ体の分割により得ることができる。ラセミ化合物の分離は,例えば慣用的な方法により,例えば,分割剤の存在下での結晶化;例えば,キラルHPLCカラムを用いるクロマトグラフィー;またはラセミ混合物を分割試薬で誘導化してジアステレオマーを生成し,ジアステレオマーをクロマトグラフィーにより分離し,そして分割剤を除去して元の化合物をエナンチオマー的に濃縮した形で生成することにより,行うことができる。上述の方法のいずれも,化合物のエナンチオマー純度を高めるために繰り返すことができる。
【0104】
本明細書に記載される化合物がオレフィン性二重結合または他の幾何学的非対称中心を含む場合,特に示さない限り,化合物はシス,トランス,Z−およびE−コンフィギュレーションを含むことが意図される。同様に,すべての互変異体も含まれることが意図される。
【0105】
出発物質および種々の中間体は,商業的供給元から入手可能であるか,市販の有機化合物から製造することができるか,またはよく知られる合成法を用いて製造することができる。本発明はまた,式I−XVIIの化合物のプロドラッグも包含する。当業者は,式I−XVIIに包含される化合物の無毒性の薬学的に許容しうるプロドラッグを製造するために用いることができる種々の合成方法論を理解するであろう。当業者は,広範な種類の無毒性の薬学的に許容しうる溶媒化合物,例えば,水,エタノール,ミネラルオイル,植物油,およびジメチルスルホキシドを理解するであろう。
【0106】
一般式I−XVIIの化合物は,慣用的な無毒性の薬学的に許容しうる担体,アジュバントおよびベヒクルを含む用量単位処方中で,経口的に,局所的に,非経口的に,吸入またはスプレーにより,または直腸に投与することができる。本明細書において用いる場合,非経口的との用語には,経皮,皮下,血管内(例えば,静脈内),筋肉内,または包膜内注射または注入の手法等が含まれる。さらに,一般式I−XVIIの化合物および薬学的に許容しうる担体を含む医薬処方が提供される。一般式I−XVIIの1またはそれ以上の化合物は,1またはそれ以上の無毒性の薬学的に許容しうる担体および/または希釈剤,および/またはアジュバント,および所望の場合には他の活性成分とともに存在することができる。一般式I−XVIIの化合物を含有する医薬組成物は,経口使用に適した形,例えば,錠剤,トローチ剤,菱形剤,水性または油性懸濁液,分散可能な粉体または顆粒,乳剤,硬カプセルまたは軟カプセル,またはシロップまたはエリキシル剤の形であることができる。
【0107】
経口で使用することが意図される組成物は,医薬組成物の製造について当該技術分野において知られる任意の方法にしたがって製造することができ,そのような組成物は,薬学的に洗練された口に合う製品を提供するために,1またはそれ以上のそのような甘味剤,芳香剤,着色剤または保存剤を含んでいてもよい。錠剤は,錠剤の製造に適した無毒性の薬学的に許容しうる賦形剤との混合物として活性成分を含む。これらの賦形剤は,例えば,不活性希釈剤,例えば,炭酸カルシウム,炭酸ナトリウム,ラクトース,リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウム;顆粒化剤および崩壊剤,例えば,コーンスターチ,またはアルギン酸;結合剤,例えば,デンプン,ゼラチンまたはアラビアゴム,および潤滑剤,例えば,ステアリン酸マグネシウム,ステアリン酸またはタルクでありうる。錠剤は被覆しなくても,既知の手法により被覆してもよい。場合によっては,既知の手法によりそのような被覆を調製して,崩壊および胃腸管における吸収を遅延させ,このことによりより長い期間の持続作用を与えることができる。例えば,遅延用材料,例えばグリセリルモノステアレートまたはグリセリルジステアレートを用いることができる。
【0108】
経口使用のための処方は,活性成分が不活性固体希釈剤,例えば,炭酸カルシウム,リン酸カルシウムまたはカオリンと混合されている硬ゼラチンカプセル,または活性成分が水または油状媒体,例えば,ピーナッツ油,液体パラフィンまたはオリーブ油と混合されている軟ゼラチンカプセルであってもよい。
【0109】
水性懸濁液は,水性懸濁液の製造に適した賦形剤との混合物中に活性物質を含む。そのような賦形剤は,懸濁剤,例えば,カルボキシメチルセルロースナトリウム,メチルセルロース,ヒドロプロピル−メチルセルロース,アルギン酸ナトリウム,ポリビニルピロリドン,トララガントガムおよびアラビアゴムである。分散剤または湿潤剤は,天然に生ずるホフファチド,例えば,レシチン,またはアルキレンオキサイドと脂肪酸との縮合生成物,例えば,ステアリン酸ポリオキシエチレン,またはエチレンオキサイドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物,例えば,ヘプタデカエチレンオキシセタノール,またはエチレンオキサイドと脂肪酸およびヘキシトールから誘導された部分エステルとの縮合生成物,例えば,ポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート,またはエチレンオキサイドと脂肪酸および無水ヘキシトールから誘導された部分エステルとの縮合生成物,例えば,ポリエチレンソルビタンモノオレエートであってもよい。水性懸濁液はまた,1またはそれ以上の保存剤,例えば,エチル−,またはn−プロピル−p−ヒドロキシベンゾエート,1またはそれ以上の着色剤,1またはそれ以上の芳香剤,および1またはそれ以上の甘味剤,例えばショ糖またはサッカリンを含んでいてもよい。
【0110】
油性懸濁液は,活性成分を植物油,例えば,アラキス油,オリーブ油,ゴマ油またはココナッツ油,または無機油,例えば液体パラフィン中に懸濁させることにより処方することができる。油性懸濁液は,増粘剤,例えば,密ロウ,硬パラフィンまたはセチルアルコールを含むことができる。甘味剤および芳香剤を加えて,口に合う経口製品を得ることができる。これらの組成物は,抗酸化剤,例えばアスコルビン酸を加えることにより保存することができる。
【0111】
水を加えることにより水性懸濁液を製造するのに適した分散可能な粉体および顆粒は,活性成分を,分散剤または湿潤剤,懸濁剤および1またはそれ以上の保存剤との混合物中で与える。適当な分散剤または湿潤剤または懸濁剤は,上で例示したとおりである。さらに別の賦形剤,例えば,甘味剤,芳香剤および着色剤が存在していてもよい。
【0112】
本発明の医薬組成物はまた,水中油エマルジョンの形であってもよい。油相は,植物油またはミネラルオイルまたはこれらの混合物であってもよい。適当な乳化剤としては,天然に生ずるガム,例えば,アラビアゴムまたはトラガガントゴム,天然に生ずるホスファチド類,例えば,大豆,レクチン,および脂肪酸から誘導されるエステルまたは部分エステルおよびヘキシトール,無水物,例えば,ソルビタンモノオレエート,および前記部分エステルとエチレンオキサイドとの縮合生成物,例えば,ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートが挙げられる。エマルジョンは,甘味料および芳香剤を含んでいてもよい。
【0113】
シロップおよびエリキシルは,甘味剤,例えば,グリセロール,プロピレングリコール,ソルビトール,グルコースまたはショ糖を用いて処方することができる。このような処方はまた,粘滑剤,保存剤および甘味料および着色料を含んでいてもよい。医薬組成物は,滅菌した注射可能な水性または油性の懸濁液の形であってもよい。この懸濁液は,上述した適当な分散剤または湿潤剤および懸濁剤を用いて,当該技術分野において知られるように処方することができる。滅菌した注射可能な製品はまた,無毒性の非経口的に許容可能な希釈剤または溶媒中の滅菌した注射可能な溶液または懸濁液,例えば,1,3−ブタンジオール中の溶液であってもよい。用いることのできる許容可能なベヒクルおよび溶媒の例は,水,リンゲル溶液および等張塩化ナトリウム溶液である。さらに,滅菌し,凝固させた油を溶媒または懸濁媒体として便利に用いることができる。この目的のためには,任意の非刺激性の凝固させた油,例えば,合成のモノグリセリドまたはジグリセリドを用いることができる。さらに,脂肪酸,例えば,オレイン酸を注射可能な薬剤の製造において用いることができる。
【0114】
一般式I−XVIIの化合物はまた,例えば,薬剤の直腸投与用に,座剤の形で投与することができる。これらの組成物は,薬剤を,通常の温度では固体であるが直腸温度では液体であり,したがって直腸中で溶融して薬剤を放出する適当な非刺激性賦形剤と混合することにより製造することができる。そのような材料としては,カカオバターおよびポリエチレングリコールが挙げられる。
【0115】
一般式I−XVIIの化合物は,滅菌媒体中で非経口的に投与することができる。薬剤は,使用するベヒクルおよび濃度に応じて,ベヒクル中に懸濁されていてもよく,溶解されていてもよい。アジュバント,例えば局所麻酔剤,保存剤および緩衝剤をベヒクル中に溶解することも有利である。
【0116】
上述した状態の治療には,体重1キログラムあたり1日あたり約0.1mg−約140mgのオーダーの投与量レベルが有用である(患者あたり1日あたり約0.5mg−約7g)。担体物質と組み合わせて1回投与量形を生成することができる活性成分の量は,治療される宿主および投与の特定のモードに依存して様々であろう。投与量単位形は,一般に,約1mg−約500mgの活性成分を含むであろう。
【0117】
しかし,特定の患者についての特定の投与量は,種々の因子,例えば,用いる特定の化合物の活性,年齢,体重,一般的健康状態,性別,食事,投与時間,投与経路,および排出速度,薬剤の組み合わせ,および治療をしている特定の疾病の重篤性に依存することが理解されるであろう。
【0118】
ヒト以外の動物に投与するためには,組成物を動物飼料または飲料水に加えてもよい。動物が治療上適当な量の組成物を飼料とともに接種できるよう,動物飼料および飲用水組成物を処方することが便利であろう。飼料または飲料水に加えるように組成物をプレミックスとして製造することも便利であろう。
【0119】
本発明の1つの観点においては,2’−デオキシ−2’−アミノプリンおよびピリミジンヌクレオシドおよびC−ヌクレオシドを合成する新規な方法が提供される。新規な方法は,より少ない合成工程を用い,アジドの使用を回避し,同時に2’−アミンのN−フタロイル保護を導入する。1つの態様においては,本発明は,2’−デオキシ−2’アミノおよび2’−デオキシ−2’−N−フタロイルヌクレオシドを合成する方法を提供する。該方法は,フタルイミドおよび/または置換フタルイミドを求核基として使用して,1−β−D−アラビノフラノシルヌクレオシドの2’−位に存在する脱離基を置換して,2’−デオキシ−2’−N−フタロイルヌクレオシドを生成することを含む。次に,フタロイル保護を適当な塩基で切断すると,2’−デオキシ−2’−アミノヌクレオシドが形成される。該方法は,キログラムまたはそれ以上の量にスケールアップすることができる。別の態様においては,本発明は,2’−デオキシ−2’−アミノおよび2’−デオキシ−2’−N−フタロイルC−ヌクレオシドを合成する方法を提供する。上述の方法と同様に,合成は,フタルイミドおよび/または置換フタルイミドを求核基として使用して,1−β−D−アラビノフラノシルC−ヌクレオシドの2’−位に存在する脱離基を置換して,2’−デオキシ−2’−N−フタロイルC−ヌクレオシドを生成することを含む。次に,フタロイル保護を適当な塩基で切断すると,2’−デオキシ−2’−アミノC−ヌクレオシドが形成される。該方法は,キログラムまたはそれ以上の量にスケールアップすることができる。
【0120】
すなわち,好ましい態様においては,本発明は,2’−デオキシ−2’−N−フタロイルヌクレオシドを合成する方法を提供し,該方法は,以下の工程を含む:
(a)1−β−D−アラビノフラノシルヌクレオシドの2’−位に脱離基を導入し;そして
(b)フタルイミドまたは置換フタルイミド求核基を用いて,工程(a)からの脱離基を置換して,2’−デオキシ−2’−N−フタロイルヌクレオシドを得る。
【0121】
1−β−D−アラビノフラノシルヌクレオシドは,保護されていても保護されていなくてもよい。
【0122】
好ましくは,1−β−D−アラビノフラノシルヌクレオシドの2’位の脱離基は,1−β−D−アラビノフラノシルヌクレオシドを無水スルホン酸または塩化スルホニルと接触させることにより導入することができる。適当な試薬としては,無水トリフルオロメタンスルホン酸,塩化トリフルオロメタンスルホニル,無水メタンスルホン酸,および塩化メタンスルホニルが挙げられる。
【0123】
また,置換工程(工程b)は,ヒンダード塩基の存在下で行うことができる。好ましくは,ヒンダード塩基は,DBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン),DBN(1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン),Dabco(1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン),または2−tert−ブチルイミノ−2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチル−ペルヒドロ−1,3,2−ジアザホスホリンである。
【0124】
別の態様においては,本発明は,2’−デオキシ−2’−N−フタロイルヌクレオシドを合成する方法を提供し,該方法は,前記2’−デオキシ−2’−N−フタロイルヌクレオシドの形成に適した条件下で,2’−トリフルオロメタンスルホニル−1−β−D−アラビノフラノシルヌクレオシドをフタルイミドまたは置換フタルイミド求核基と接触させる工程を含む。
【0125】
さらに別の好ましい態様においては,本発明は,2’−デオキシ−2’−N−フタロイルヌクレオシドを合成する方法を提供し,該方法は,前記2’−デオキシ−2’−N−フタロイルヌクレオシドの形成に適した条件下で,2’−メタンスルホニル−1−β−D−アラビノフラノシルヌクレオシドをフタルイミドまたは置換フタルイミド求核基と接触させる工程を含む。上述の2つの方法において,適当な条件は,ヒンダード塩基の使用を含むことができる。好ましくは,ヒンダード塩基は,DBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン),DBN(1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン),Dabco(1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン),および2−tert−ブチルイミノ−2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチル−ペルヒドロ−1,3,2−ジアザホスホリンヒンダード塩基である。
【0126】
上述のいずれの態様においても,好ましいフタルイミドまたは置換フタルイミド求核基としては,フタルイミド,4,5−ジクロロフタルイミド,3,4,5,6,−テトラクロロフタルアミド,3−ニトロフタルアミド,および4−ニトロフタルアミドが挙げられる。また,上述のいずれの態様においても,好ましい1−β−D−アラビノフラノシルヌクレオシドとしては,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−1−β−D−アラビノフラノシル−N4−アシルシトシン,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−1−β−D−アラビノフラノシル−N2−アシルアデニン,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−1−β−D−アラビノフラノシルアデニン,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−1−β−D−アラビノフラノシルウラシル,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−1−β−D−アラビノフラノシル−N2−アシルグアニン,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−1−β−D−アラビノフラノシル−N2−アシル−O6−ジフェニルカルバモイルグアニン,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−1−β−D−アラビノフラノシル−N2−アシル−O6−ニトロフェニルグアニン,5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−1−β−D−アラビノフラノシル−N4−アシルシトシン,5’,3’−ジ−tert−ブチルシランジイル−1−β−D−アラビノフラノシルウラシル,5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−1−β−D−アラビノフラノシル−N2−アシルアデニン,5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−1−β−D−アラビノフラノシルアデニン,5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−1−β−D−アラビノフラノシル−N2−アシル−O6−ニトロフェニルグアニン,および5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−1−β−D−アラビノフラノシル−N2−アシル−O6−ジフェニルカルバモイルグアニンが挙げられる。
【0127】
1−β−D−アラビノフラノシルヌクレオシドがアシル基(すなわち,環外のアミン保護)により保護されている場合には,アシル基は,アセチル,ベンゾイル,イソブチリル,フェノキシアセチル,フェニルアセチル,tert−ブチルフェノキシアセチル,またはtert−ブチルベンゾイルである。
【0128】
また,グアノシンヌクレオシドの合成においては,好ましくは,ジメチルホルムアミジン(DMF)保護を用いてN2窒素を保護する。
【0129】
すなわち,1つの態様においては,本発明は,フタロイル保護2’−デオキシ−2’−アミノヌクレオシド(2’−デオキシ−2’−N−フタロイルヌクレオシド)を合成する方法を提供し,該方法は,以下の工程を含む:(a)1−β−D−アラビノフラノシルヌクレオシド(保護されていても保護されていなくてもよい)を無水スルホン酸または塩化スルホニル,例えば無水トリフルオロメタンスルホン酸,塩化トリフルオロメタンスルホニル,無水メタンスルホン酸,または塩化メタンスルホニルと接触させることにより,1−β−D−アラビノフラノシルヌクレオシドの2’−位に脱離基を導入し;そして(b)ヒンダード塩基,例えば,DBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン),DBN(1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン),Dabco(1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン),および2−tert−ブチルイミノ−2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチル−ペルヒドロ−1,3,2−ジアザホスホリンまたはこれらの同等物の存在下で,フタルイミドまたは置換フタルイミド求核基,例えば4,5−ジクロロフタルイミド,3,4,5,6−テトラクロロフタルイミド,3−ニトロフタルイミド,および4−ニトロフタルイミドを用いて,工程(a)からの脱離基を置換して,2’−デオキシ−2’−N−フタロイルヌクレオシドを得る。
【0130】
本発明の別の態様においては,2’−デオキシ−2’−アミノヌクレオシドを合成する方法が提供される。該方法は以下の工程を含む:
(a)1−β−D−アラビノフラノシルヌクレオシドの2’−位に脱離基を導入し;
(b)フタルイミドまたは置換フタルイミド求核基を用いて,工程(a)からの前記脱離基を置換して,2’−デオキシ−2’−N−フタロイルヌクレオシドを生成し;そして
(c)前記2’−デオキシ−2’−N−フタロイルヌクレオシドを脱保護して,前記2’−デオキシ−2’−アミノヌクレオシドを得る。
【0131】
1−β−D−アラビノフラノシルヌクレオシドの2’−位は,保護されていても保護されていなくてもよい。
【0132】
好ましくは,1−β−D−アラビノフラノシルヌクレオシドの2’位の脱離基は,1−β−D−アラビノフラノシルヌクレオシドを無水スルホン酸または塩化スルホニルと接触させることにより導入する。適当な試薬としては,無水トリフルオロメタンスルホン酸,塩化トリフルオロメタンスルホニル,無水メタンスルホン酸,および塩化メタンスルホニルが挙げられる。
【0133】
好ましいフタルイミド求核基としては,フタルイミド,または置換フタルイミド求核基,例えば,4,5−ジクロロフタルイミド,3,4,5,6,−テトラクロロフタルアミド,3−ニトロフタルアミド,および4−ニトロフタルアミドが挙げられる。
【0134】
また,好ましい1−β−D−アラビノフラノシルヌクレオシドとしては,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−1−β−D−アラビノフラノシル−N4−アシルシトシン,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−1−β−D−アラビノフラノシル−N2−アシルアデニン,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−1−β−D−アラビノフラノシルアデニン,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−1−β−D−アラビノフラノシルウラシル,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−1−β−D−アラビノフラノシル−N2−アシルグアニン,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−1−β−D−アラビノフラノシル−N2−アシル−O6−ジフェニルカルバモイルグアニン,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−1−β−D−アラビノフラノシル−N2−アシル−O6−ニトロフェニルグアニン,5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−1−β−D−アラビノフラノシル−N4−アシルシトシン,5’,3’−ジ−tert−ブチルシランジイル−1−β−D−アラビノフラノシルウラシル,5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−1−β−D−アラビノフラノシル−N2−アシルアデニン,5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−1−β−D−アラビノフラノシルアデニン,5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−1−β−D−アラビノフラノシル−N2−アシル−O6−ニトロフェニルグアニン,および5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−1−β−D−アラビノフラノシル−N2−アシル−O6−ジフェニルカルバモイルグアニンが挙げられる。
【0135】
1−β−D−アラビノフラノシルヌクレオシドがアシル基(すなわち,環外のアミン保護)で保護されている場合には,例えばアセチル,ベンゾイル,イソブチリル,フェノキシアセチル,フェニルアセチル,tert−ブチルフェノキシアセチル,またはtert−ブチルベンゾイルを用いることができる。
【0136】
また,グアノシンヌクレオシドの合成においては,好ましくは,ジメチルホルムアミジン(DMF)保護を用いてN2窒素を保護する。
【0137】
脱離基の置換は,ヒンダード塩基の存在下で行うことができる。好ましくは,ヒンダード塩基は,DBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン),DBN(1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン),Dabco(1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン),または2−tert−ブチルイミノ−2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチル−ペルヒドロ−1,3,2−ジアザホスホリンである。
【0138】
本発明の方法の脱保護工程は,塩基の存在下で行うことができる。好ましくは,塩基は,アルキルアミンまたはヒドラジンである。好ましくは,アルキルアミンは,メチルアミン,例えば,水性メチルアミン,エタノール性メチルアミン,メタノール性メチルアミンである。好ましくは,ヒドラジンはメチルヒドラジンである。さらに好ましくは,メチルアミンは水性メチルアミン,例えば,約30−40%の水性メチルアミンである。
【0139】
この方法を用いて,少なくとも1つの2’−デオキシ−2’アミノヌクレオシドを含むヌクレオシド,ヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチドを合成することができる。好ましい態様においては,本発明の2’−デオキシ−2’−アミノヌクレオシドを合成する方法を用いて,2’−デオキシ−2’−アミノヌクレオチド三リン酸を合成することができる。
【0140】
別の態様においては,本発明は,フタロイル保護2’−デオキシ−2’−アミノヌクレオシドホスホルアミダイト(2’−デオキシ−2’−N−フタロイルヌクレオシドホスホルアミダイト)を合成する方法を提供し,該方法は以下の工程を含む:
(a)保護されていても保護されていなくてもよい1−β−D−アラビノフラノシルヌクレオシドを無水スルホン酸または塩化スルホニルと接触させることにより,1−β−D−アラビノフラノシルヌクレオシドの2’−位に脱離基を導入し;
(b)ヒンダード塩基の存在下で,工程(a)からの脱離基をフタルイミドまたは置換フタルイミド求核基で置換して,2’−デオキシ−2’−N−フタロイルヌクレオシドを生成し;
(c)5’−保護基を導入して,5’−ヒドロキシルを選択的に保護し;そして(d)ホスフィチル化試薬を用いて,5’−保護−2’−デオキシ−2’−N−フタロイルヌクレオシドの3’−位にホスホルアミダイト基を導入する。
【0141】
適当な無水スルホン酸または塩化スルホニル試薬としては,無水トリフルオロメタンスルホン酸,塩化トリフルオロメタンスルホニル,無水メタンスルホン酸,および塩化メタンスルホニルが挙げられる。
【0142】
適当なフタルイミドまたは置換フタルイミドとしては,フタルイミド,4,5−ジクロロフタルイミド,3,4,5,6−テトラクロロフタルイミド,3−ニトロフタルイミド,および4−ニトロフタルイミドが挙げられる。また,適当なヒンダード塩基としては,DBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン),DBN(1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン),Dabco(1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン),および2−tert−ブチルイミノ−2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチル−ペルヒドロ−1,3,2−ジアザホスホリンまたはこれらの同等物が挙げられ,2’−デオキシ−2’−N−フタロイルヌクレオシドが得られる。
【0143】
適当な5’−保護基の例は,ジメトキシトリチル基またはその同等物である。
【0144】
適当なホスフィチル化試薬の例は,2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルクロロホスホルアミダイトである。
【0145】
本発明の方法の好ましい態様においては,工程(b)で合成される2’−デオキシ−2’−N−フタロイルヌクレオシドは,存在していても存在していなくてもよいシリルエーテルまたはジシリルエーテル保護基,5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイルまたは5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキサン保護の選択的除去のために,工程(c)の前に,フッ素イオン源,例えばTEA・3HF(トリエチルアミン三フッ化水素酸),TBAFまたはこれらの同等物を用いて脱保護する。
【0146】
好ましい1−β−D−アラビノフラノシルヌクレオシドとしては,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−1−β−D−アラビノフラノシル−N4−アシルシトシン,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−1−β−D−アラビノフラノシル−N2−アシルアデニン,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−1−β−D−アラビノフラノシルアデニン,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−1−β−D−アラビノフラノシルウラシル,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−1−β−D−アラビノフラノシル−N2−アシルグアニン,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−1−β−D−アラビノフラノシル−N2−アシル−O6−ジフェニルカルバモイルグアニン,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−1−β−D−アラビノフラノシル−N2−アシル−O6−ニトロフェニルグアニン,5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−1−β−D−アラビノフラノシル−N4−アシルシトシン,5’,3’−ジ−tert−ブチルシランジイル−1−β−D−アラビノフラノシルウラシル,5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−1−β−D−アラビノフラノシル−N2−アシルアデニン,5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−1−β−D−アラビノフラノシルアデニン,5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−1−β−D−アラビノフラノシル−N2−アシル−O6−ニトロフェニルグアニン,および5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−1−β−D−アラビノフラノシル−N2−アシル−O6−ジフェニルカルバモイルグアニンが挙げられる。
【0147】
1−β−D−アラビノフラノシルヌクレオシドがアシル基(すなわち環外のアミン保護)により保護されている場合には,例えばアセチル,ベンゾイル,イソブチリル,フェノキシアセチル,フェニルアセチル,tert−ブチルフェノキシアセチル,またはtert−ブチルベンゾイルを用いることができる。
【0148】
また,グアノシンホスホルアミダイトの合成においては,好ましくは,ジメチルホルムアミジン(DMF)保護を用いてN2窒素を保護する。
【0149】
本発明の別の態様においては,2’−デオキシ−2’−N−フタロイルC−ヌクレオシド,2’−デオキシ−2’−アミノC−ヌクレオシド,およびフタロイル保護2’−デオキシ−2’−アミノC−ヌクレオシドホスホルアミダイトを合成する方法が提供される。
【0150】
2’−デオキシ−2’−N−フタロイルC−ヌクレオシドを合成する方法は以下の工程を含む:
(a)1−β−D−アラビノフラノシルC−ヌクレオシドの2’−位に脱離基を導入し,そして
(b)ヒンダード塩基の存在下で,フタルイミドまたは置換フタルイミド求核基を用いて,工程(a)からの脱離基を置換して,2’−デオキシ−2’−N−フタロイルC−ヌクレオシドを得る。
【0151】
1−β−D−アラビノフラノシルC−ヌクレオシドの2’−位は保護されていても保護されていなくてもよい。
【0152】
好ましくは,1−β−D−アラビノフラノシルC−ヌクレオシドの2’位の脱離基は,1−β−D−アラビノフラノシルC−ヌクレオシドを無水スルホン酸または塩化スルホニルと接触することにより導入する。適当な試薬としては,無水トリフルオロメタンスルホン酸,塩化トリフルオロメタンスルホニル,無水メタンスルホン酸,または塩化メタンスルホニルが挙げられる。
【0153】
また,置換工程は,ヒンダード塩基の存在下で行うことができる。好ましくは,ヒンダード塩基は,DBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン),DBN(1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン),Dabco(1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン),または2−tert−ブチルイミノ−2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチル−ペルヒドロ−1,3,2−ジアザホスホリンである。
【0154】
別の態様においては,本発明は,2’−デオキシ−2’−N−フタロイルC−ヌクレオシドを合成する方法を提供し,該方法は,前記2’−デオキシ−2’−N−フタロイルC−ヌクレオシドの形成に適した条件下で,2’−トリフルオロメタンスルホニル−1−β−D−アラビノフラノシルC−ヌクレオシドをフタルイミドまたは置換フタルイミド求核基と接触させる工程を含む。
【0155】
さらに別の態様においては,本発明は,2’−デオキシ−2’−N−フタロイルC−ヌクレオシドを合成する方法を提供し,該方法は,前記2’−デオキシ−2’−N−フタロイルC−ヌクレオシドの形成に適した条件下で,2’−メタンスルホニル−1−β−D−アラビノフラノシルC−ヌクレオシドをフタルイミドまたは置換フタルイミド求核基と接触させる工程を含む。上述の2つの方法において,適当な条件はヒンダード塩基の使用を含む。好ましくは,ヒンダード塩基は,DBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン),DBN(1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン),Dabco(1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン),または2−tert−ブチルイミノ−2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチル−ペルヒドロ−1,3,2−ジアザホスホリンである。
【0156】
本発明の別の態様においては,2’−デオキシ−2’−アミノC−ヌクレオシドを合成する方法が提供される。該方法は以下の工程を含む:
(a)1−β−D−アラビノフラノシルC−ヌクレオシドの2’−位に脱離基を導入し;
(b)工程(a)からの前記脱離基をフタルイミドまたは置換フタルイミド求核基で置換して,2’−デオキシ−2’−N−フタロイルC−ヌクレオシドを生成し;そして
(c)前記2’−デオキシ−2’−N−フタロイルC−ヌクレオシドを脱保護して,前記2’−デオキシ−2’−アミノC−ヌクレオシドを得る。
【0157】
1−β−D−アラビノフラノシルC−ヌクレオシドの2’−位は保護されていても保護されていなくてもよい。好ましくは,1−β−D−アラビノフラノシルC−ヌクレオシドの2’位の脱離基は,1−β−D−アラビノフラノシルC−ヌクレオシドを無水スルホン酸または塩化スルホニルと接触させることにより導入する。適当な試薬としては,無水トリフルオロメタンスルホン酸,塩化トリフルオロメタンスルホニル,無水メタンスルホン酸,および塩化メタンスルホニルが挙げられる。
【0158】
置換はヒンダード塩基の存在下で行うことができる。好ましくは,ヒンダード塩基は,DBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン),DBN(1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン),Dabco(1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン),または2−tert−ブチルイミノ−2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチル−ペルヒドロ−1,3,2−ジアザホスホリンである。
【0159】
脱保護は,塩基の存在下で行うことができる。好ましくは,塩基はアルキルアミンまたはヒドラジンである。好ましくは,アルキルアミンはメチルアミン,例えば,水性メチルアミン,エタノール性メチルアミン,メタノール性メチルアミンである。好ましくは,ヒドラジンはメチルヒドラジンである。さらに好ましくは,メチルアミンは水性メチルアミン,例えば約30−40%水性メチルアミンである。
【0160】
本発明の方法を用いて,少なくとも1つの2’−デオキシ−2’アミノヌクレオシドを含むC−ヌクレオシド,C−ヌクレオチドおよびC−オリゴヌクレオチドを合成することができる。好ましい態様においては,本発明の2’−デオキシ−2’−アミノC−ヌクレオシドを合成する方法を用いて,2’−デオキシ−2’−アミノC−ヌクレオチド三リン酸を合成することができる。
【0161】
別の態様においては,本発明は,フタロイル保護2’−デオキシ−2’−アミノC−ヌクレオシドホスホルアミダイト(2’−デオキシ−2’−N−フタロイルヌクレオシドホスホルアミダイト)を合成する方法を提供し,該方法は以下の工程を含む:
(a)保護されていても保護されていなくてもよい1−β−D−アラビノフラノシルC−ヌクレオシドを無水スルホン酸または塩化スルホニルと接触させることにより,1−β−D−アラビノフラノシルC−ヌクレオシドの2’−位に脱離基を導入し;
(b)ヒンダード塩基の存在下で,フタルイミドまたは置換フタルイミド求核基を用いて,工程(a)からの脱離基を置換して,2’−デオキシ−2’−N−フタロイルC−ヌクレオシドを生成し;
(c)5’−ヒドロキシルを選択的に保護するために5’−保護基を導入し;そして
(d)ホスフィチル化試薬を用いて,5’−保護−2’−デオキシ−2’−N−フタロイルC−ヌクレオシドの3’−位にホスホルアミダイト基を導入する。工程(a)における適当な無水スルホン酸または塩化スルホニル試薬としては,無水トリフルオロメタンスルホン酸,塩化トリフルオロメタンスルホニル,無水メタンスルホン酸,および塩化メタンスルホニルが挙げられる。
【0162】
好ましいフタルイミドおよび置換フタルイミドとしては,フタルイミド,4,5−ジクロロフタルイミド,3,4,5,6−テトラクロロフタルイミド,3−ニトロフタルイミド,および4−ニトロフタルイミドが挙げられる。また,適当なヒンダード塩基としては,DBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン),DBN(1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン),Dabco(1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン),および2−tert−ブチルイミノ−2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチル−ペルヒドロ−1,3,2−ジアザホスホリンまたはこれらの同等物が挙げられ,2’−デオキシ−2’−N−フタロイルヌクレオシドが得られる。
【0163】
適当な5’−保護基の例は,ジメトキシトリチル基またはその同等物である。
【0164】
適当なホスフィチル化試薬の例は,2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルクロロホスホルアミダイトである。
【0165】
本発明の方法の1つの態様においては,工程(b)から合成される2’−デオキシ−2’−N−フタロイルヌクレオシドは,工程(c)の前に,存在していても存在していなくてもよいシリルエーテルまたはジシリルエーテル保護基,例えば,5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイルまたは5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキサン保護を選択的に除去するために,フッ素イオン源,例えばTEA・3HF(トリエチルアミントリヒドロフロリド),TBAFまたはこれらの同等物を用いて脱保護する。
【0166】
C−ヌクレオシドを合成する方法を含む上述のいずれの態様においても,好ましいフタルイミドおよび置換フタルイミド求核基としては,フタルイミド,4,5−ジクロロフタルイミド,3,4,5,6,−テトラクロロフタルアミド,3−ニトロフタルアミド,および4−ニトロフタルアミドが挙げられる。
【0167】
また,C−ヌクレオシドを合成する方法を含む上述のいずれの態様においても,好ましい1−β−D−アラビノフラノシルヌクレオシドとしては,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−1−β−D−アラビノフラノシル−N4−アシルシトシン,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−1−β−D−アラビノフラノシル−N2−アシルアデニン,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−1−β−D−アラビノフラノシルアデニン,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−1−β−D−アラビノフラノシルウラシル,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−1−β−D−アラビノフラノシル−N2−アシルグアニン,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−1−β−D−アラビノフラノシル−N2−アシル−O6−ジフェニルカルバモイルグアニン,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−1−β−D−アラビノフラノシル−N2−アシル−O6−ニトロフェニルグアニン,5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−1−β−D−アラビノフラノシル−N4−アシルシトシン,5’,3’−ジ−tert−ブチルシランジイル−1−β−D−アラビノフラノシルウラシル,5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−1−β−D−アラビノフラノシル−N2−アシルアデニン,5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−1−β−D−アラビノフラノシルアデニン,5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−1−β−D−アラビノフラノシル−N2−アシル−O6−ニトロフェニルグアニン,および5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−1−β−D−アラビノフラノシル−N2−アシル−O6−ジフェニルカルバモイルグアニンが挙げられる。
【0168】
1−β−D−アラビノフラノシルC−ヌクレオシドが,アシル基(すなわち環外のアミン保護)により保護されている場合には,例えば,アセチル,ベンゾイル,イソブチリル,フェノキシアセチル,フェニルアセチル,tert−ブチルフェノキシアセチル,またはtert−ブチルベンゾイルを用いることができる。
【0169】
また,グアノシンおよびグアノシンホスホルアミダイトの合成においては,好ましくは,ジメチルホルムアミジン(DMF)保護を用いてN2窒素を保護する。
【0170】
本発明の別の態様においては,2’−デオキシ−2’−N−フタロイルシチジンホスホルアミダイトを合成する方法が提供される。例えば,本発明は,,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N4−アセチルシチジン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)を合成する方法を提供し,該方法は以下の工程を含む:
(1)アシル化試薬,例えば,無水酢酸を用いて,1−β−D−アラビノフラノシル−N4−アセチルシトシンを得るのに適した条件下で,1−(−D−アラビノフラノシルシトシンのN4位にアシル基を導入し;
(2)例えば,1,3−ジクロロ−1,1,3,3−テトライソプロピルジシロキサンまたはジ−tert−ブチルシリルビス(トリフルオロメタンスルホネート)を用いて,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−1−β−D−アラビノフラノシル−N4−アセチルシトシンまたは5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−1−β−D−アラビノフラノシル−N4−アセチルシトシンの単離に適した条件下で,工程(1)からの生成物の5’−ヒドロキシルおよび3’−ヒドロキシル基を同時に保護するために保護基を導入し;
(3)ジメチルアミノピリジン(DMAP)および/またはピリジンの存在下で,例えば,無水トリフリルまたは塩化トリフリルを用いて,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−2’−トリフルオロメタンスルホニル−1−β−D−アラビノフラノシル−N4−アセチルシトシンまたは5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−2’−トリフルオロメタンスルホニル−1−β−D−アラビノフラノシル−N4−アセチルシトシンを得るのに適した条件下で,工程(2)の生成物の2’−位に脱離基を導入し;
(4)フタルイミドまたは置換フタルイミド求核基を用いて,工程(3)の生成物から脱離基を置換し;
(5)5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキサンまたは5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル保護を選択的に除去するために,フッ素イオン源,例えば,TEA・3HF,TBAFまたはこれらの同等物を用いて,2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N4−アセチルシチジンの単離に適した条件下で,工程(4)の生成物を脱保護し;
(6)例えば,4’−4’−塩化ジメトキシトリチルを用いることにより,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N4−アセチルシチジンを得るのに適した条件下で,工程(5)の生成物にオリゴヌクレオチド合成に適当した5’−ヒドロキシル保護基を導入し;そして
(7)ホスフィチル化試薬,例えば,2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルクロロホスホルアミダイトを用いて,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N4−アセチルシチジン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)の単離に適した条件下で,工程(6)の生成物の3’−位にホスホルアミダイト成分を導入する。
【0171】
1つの態様においては,脱離基の置換は,ヒンダード塩基の存在下で行うことができる。例えば,フタルイミドをDBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン),DBN(1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン),Dabco(1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン),および/または2−tert−ブチルイミノ−2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチル−ペルヒドロ−1,3,2−ジアザホスホリンまたはこれらの同等物と組み合わせて用いて,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N4−アセチルシチジンまたは5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N4−アセチルシチジンを得ることができる。
【0172】
別の態様においては,本発明は,2’−デオキシ−2’−N−フタロイルシチジンホスホルアミダイト,例えば,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N4−アセチルシチジン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)を合成する別の方法を提供し,該方法は以下の工程を含む:
(1)例えば,1,3−ジクロロ−1,1,3,3−テトライソプロピルジシロキサンまたはジ−tert−ブチルシリルビス(トリフルオロメタンスルホネート)による環状シリル化を用いて,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−1−β−D−アラビノフラノシルシトシンまたは5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−1−β−D−アラビノフラノシルシトシンの単離に適した条件下で,1−β−D−アラビノフラノシルシトシンの5’−ヒドロキシルおよび3’−ヒドロキシルの保護を導入し;
(2)ジメチルアミノピリジン(DMAP)および/またはピリジンの存在下で,例えば,無水トリフリルまたは塩化トリフリルを用いて,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−2’−トリフルオロメタンスルホニル−1−β−D−アラビノフラノシルシトシンまたは5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−2’−トリフルオロメタンスルホニル−1−β−D−アラビノフラノシルシトシンを得るのに適した条件下で,工程(1)の生成物の2’−位に脱離基を導入し;
(3)フタルイミドまたは置換フタルイミド求核基を用いて,工程(2)の生成物から脱離基を置換し;
(4)アシル化試薬,例えば,無水酢酸を用いて,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N4−アセチルシチジンまたは5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N4−アセチルシチジンを得るのに適した条件下で,工程(3)の生成物のN4位にアシル基を導入し;
(5)5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキサンまたは5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル保護を選択的に除去するために,フッ素イオン源,例えば,TEA・3HF,TBAFまたはこれらの同等物を用いて,2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N4−アセチルシチジンの単離に適した条件下で,工程(4)の生成物を脱保護し;
(6)例えば,4’−4’−塩化ジメトキシトリチルを用いることにより,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N4−アセチルシチジンを得るのに適した条件下で,工程(5)の生成物にオリゴヌクレオチド合成に適合した5’−ヒドロキシル保護基を導入し;そして
(7)ホスフィチル化試薬,例えば,2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルクロロホスホルアミダイトを用いて,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N4−アセチルシチジン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)の単離に適した条件下で,工程(6)の生成物の3’−位にホスホルアミダイト成分を導入する。
【0173】
別の態様においては,脱離基の置換は,ヒンダード塩基の存在下で行うことができる。例えば,フタルイミドを,DBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン),DBN(1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン),Dabco(1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン),および/または2−tert−ブチルイミノ−2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチル−ペルヒドロ−1,3,2−ジアザホスホリンまたはこれらの同等物と組み合わせて用いて,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−2’−デオキシ−2’−N−フタロイルシチジンまたは5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−2’−デオキシ−2’−N−フタロイルシチジンを得ることができる。
【0174】
別の態様においては,本発明は,2’−デオキシ−2’−N−フタロイルウリジンホスホルアミダイトを合成する方法を提供する。例えば,本発明は,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−デオキシ−2’−N−フタロイルウリジン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)を合成する方法を提供し,該方法は以下の工程を含む:
(1)例えば,1,3−ジクロロ−1,1,3,3−テトライソプロピルジシロキサンまたはジ−tert−ブチルシリルビス(トリフルオロメタンスルホネート)による環状シリル化を用いて,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−1−β−D−アラビノフラノシルウラシルまたは5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−1−β−D−アラビノフラノシルウラシルの単離に適した条件下で,1−β−D−アラビノフラノシルウラシルの5’−ヒドロキシルおよび3’−ヒドロキシル基に保護を導入し;
(2)例えば,ジメチルアミノピリジン(DMAP)および/またはピリジンの存在下で,無水トリフリルまたは塩化トリフリルを用いて,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−2’−トリフルオロメタンスルホニル−1−β−D−アラビノフラノシルウラシルまたは5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−2’−トリフルオロメタンスルホニル−1−β−D−アラビノフラノシルウラシルを得るのに適した条件下で,工程(1)の生成物の2’−位に脱離基を導入し;
(3)フタルイミドまたは置換フタルイミド求核基を用いて,工程(2)の生成物から脱離基を置換し;
(4)2’−デオキシ−2’−N−フタロイルウリジンの単離に適した条件下で5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキサンまたは5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル保護を選択的に除去するため,フッ素イオン源,例えば,TEA・3HF,TBAFまたはこれらの同等物を用いて,工程(3)の生成物を脱保護し;
(5)例えば,4’−4’−塩化ジメトキシトリチルを用いることにより,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−デオキシ−2’−N−フタロイルウリジンを得るのに適した条件下で,工程(4)の生成物にオリゴヌクレオチド合成に適合した5’−ヒドロキシル保護基を導入し;そして
(6)ホスフィチル化試薬,例えば,−2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルクロロホスホルアミダイトを用いて,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−デオキシ−2’−N−フタロイルウリジン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)の単離に適した条件下で,工程(5)の生成物の3’−位にホスホルアミダイト成分を導入する。
【0175】
1つの態様においては,脱離基の置換はヒンダード塩基の存在下で行うことができる。例えば,フタルイミドをDBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン),DBN(1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン),Dabco(1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン),および/または2−tert−ブチルイミノ−2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチル−ペルヒドロ−1,3,2−ジアザホスホリンまたはこれらの同等物と組み合わせて用いて,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−2’−デオキシ−2’−N−フタロイルウリジンまたは5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−2’−デオキシ−2’−N−フタロイルウリジンを得ることができる。
【0176】
別の態様においては,本発明は,2’−デオキシ−2’−N−フタロイルアデノシンホスホルアミダイトを化学的に合成する方法を提供する。例えば,本発明は,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N6−ベンゾイルアデノシン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)を合成する方法を提供し,該方法は以下の工程を含む:
(1)アシル化剤,例えば,塩化ベンゾイルを用いて,1−β−D−アラビノフラノシル−N6−ベンゾイルアデニンを得るのに適した条件下で,1−β−D−アラビノフラノシルアデニンのN6位にアシル基を導入し;
(2)例えば,1,3−ジクロロ−1,1,3,3−テトライソプロピルジシロキサンまたはジ−tert−ブチルシリルビス(トリフルオロメタンスルホネート)による環状シリル化を用いて,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−1−β−D−アラビノフラノシル−N6−ベンゾイルアデニンまたは5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−1−β−D−アラビノフラノシル−N6−ベンゾイルアデニンの単離に適した条件下で,工程(a)からの生成物の5’−ヒドロキシルおよび3’−ヒドロキシル基に保護を導入し;
(3)ジメチルアミノピリジン(DMAP)および/またはピリジンの存在下で,例えば,無水トリフリルまたは塩化トリフリルを用いて,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−2’−トリフルオロメタンスルホニル−1−β−D−アラビノフラノシル−N6−ベンゾイルアデニンまたは5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−2’−トリフルオロメタンスルホニル−1−β−D−アラビノフラノシル−N6−ベンゾイルアデニンを得るのに適した条件下で,工程(2)の生成物の2’−位に脱離基を導入し;
(4)フタルイミドまたは置換フタルイミド求核基を用いて,工程(3)の生成物から脱離基を置換し;
(5)5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキサンまたは5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル保護の選択的除去のために,フッ素イオン源,例えば,TEA・3HF,TBAFまたはこれらの同等物を用いて,2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N6−ベンゾイルアデノシンの単離に適した条件下で,工程(4)の生成物を脱保護し;
(6)例えば,4’−4’−塩化ジメトキシトリチルを用いることにより,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N6−ベンゾイルアデノシンを得るのに適した条件下で,工程(5)の生成物にオリゴヌクレオチド合成に適合した5’−ヒドロキシル保護基を導入し;そして
(7)ホスフィチル化試薬,例えば,2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルクロロホスホルアミダイトを用いて,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N6−ベンゾイルアデノシン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)の単離に適した条件下で,工程(6)の生成物の3’−位にホスホルアミダイト成分を導入する。
【0177】
1つの態様においては,脱離基の置換はヒンダード塩基の存在下で行うことができる。例えば,フタルイミドを,DBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン),DBN(1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン),Dabco(1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン),および/または2−tert−ブチルイミノ−2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチル−ペルヒドロ−1,3,2−ジアザホスホリンまたはこれらの同等物と組み合わせて用いて,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N6−ベンゾイルアデノシンまたは5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N6−ベンゾイルアデノシンを得ることができる。
【0178】
別の態様においては,本発明は,2’−デオキシ−2’−N−フタロイルアデノシンホスホルアミダイト,例えば,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N6−ベンゾイルアデノシン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)を合成する別の方法を提供する。該方法は以下の工程を含む:
(1)例えば,1,3−ジクロロ−1,1,3,3−テトライソプロピルジシロキサンまたはジ−tert−ブチルシリルビス(トリフルオロメタンスルホネート)による環状シリル化を用いて,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−1−β−D−アラビノフラノシルアデニンまたは5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−1−β−D−アラビノフラノシルアデニンの単離に適した条件下で,1−β−D−アラビノフラノシルアデニンの5’−ヒドロキシルおよび3’−ヒドロキシル基に保護基を導入し;
(2)ジメチルアミノピリジン(DMAP)および/またはピリジンの存在下で,例えば,無水トリフリルまたは塩化トリフリルを用いて,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−2’−トリフルオロメタンスルホニル−1−β−D−アラビノフラノシルアデニンまたは5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−2’−トリフルオロメタンスルホニル−1−β−D−アラビノフラノシルアデニンを得るのに適した条件下で,工程(1)の生成物の2’−位に脱離基を導入し;
(3)フタルイミドまたは置換フタルイミド求核基を用いて,工程(2)の生成物から脱離基を置換し;
(4)アシル化試薬,例えば,塩化ベンゾイルを用いて,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−2’−トリフルオロメタンスルホニル−1−β−D−アラビノフラノシル−N6−ベンゾイルアデノシンまたは5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−2’−トリフルオロメタンスルホニル−1−β−D−アラビノフラノシル−N6−ベンゾイルアデノシンを得るのに適した条件下で,工程(3)からの生成物のN6位にアシル基を導入し;
(5)5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキサンまたは5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル保護を選択的に除去するために,フッ素イオン源,例えば,TEA・3HF,TBAFまたはこれらの同等物を用いて,2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N6−ベンゾイルアデノシンの単離に適した条件下で,工程(4)の生成物を脱保護し;
(6)例えば,4’−4’−塩化ジメトキシトリチルを用いて,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N6−ベンゾイルアデノシンを得るのに適した条件下で,工程(5)の生成物にオリゴヌクレオチド合成に適合した5’−ヒドロキシル保護基を導入し;そして
(7)ホスフィチル化試薬,例えば,2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルクロロホスホルアミダイトを用いて,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N6−ベンゾイルアデノシン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)の単離に適した条件下で,工程(6)の生成物の3’−位にホスホルアミダイト成分を導入する。
【0179】
1つの態様においては,脱離基の置換はヒンダード塩基の存在下で行うことができる。例えば,フタルイミドをDBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン),DBN(1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン),Dabco(1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン),および/または2−tert−ブチルイミノ−2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチル−ペルヒドロ−1,3,2−ジアザホスホリンまたはこれらの同等物と組み合わせて用いて,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−2’−デオキシ−2’−N−フタロイルアデノシンまたは5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−2’−デオキシ−2’−N−フタロイルアデノシンを得ることができる。
【0180】
別の態様においては,本発明は,2’−デオキシ−2’−N−フタロイルグアノシンホスホルアミダイトを合成する方法を提供する。例えば,本発明は,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N2−イソブチリルグアノシン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)を合成する方法を提供し,該方法は以下の工程を含む:
(1)アシル化試薬,例えば,塩化イソブチリルを用いて,1−β−D−アラビノフラノシル−N2−イソブチリルグアニンを得るのに適した条件下で,1−β−D−アラビノフラノシルグアニンのN2位にアシル基を導入し;
(2)例えば,1,3−ジクロロ−1,1,3,3−テトライソプロピルジシロキサンまたはジ−tert−ブチルシリルビス(トリフルオロメタンスルホネート)による環状シリル化を用いて,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−1−β−D−アラビノフラノシル−N2−イソブチリルグアニンまたは5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−1−β−D−アラビノフラノシル−N2−イソブチリルグアニンの単離に適した条件下で,工程(a)からの生成物の5’−ヒドロキシルおよび3’−ヒドロキシル基に保護基を導入し;
(3)ジメチルアミノピリジン(DMAP)および/またはピリジンの存在下で,例えば,無水トリフリルまたは塩化トリフリルを用いて,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−2’−トリフルオロメタンスルホニル−1−β−D−アラビノフラノシル−N2−イソブチリルグアニンまたは5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−2’−トリフルオロメタンスルホニル−1−β−D−アラビノフラノシル−N2−イソブチリルグアニンを得るのに適した条件下で,工程(2)の生成物の2’−位に脱離基を導入し;
(4)フタルイミドまたは置換フタルイミド求核基を用いて,工程(3)の生成物から脱離基を置換し;
(5)5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキサンまたは5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル保護を選択的に除去するために,フッ素イオン源,例えば,TEA・3HF,TBAFまたはこれらの同等物を用いて,2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N2−イソブチリルグアノシンの単離に適した条件下で,工程(4)の生成物を脱保護し;
(6)5’−O−ジメトキシトリチル−2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N2−イソブチリルグアノシンを得るのに適した条件下で,工程(5)の生成物を4’−4’−塩化ジメトキシトリチルと反応させ;そして
(7)ホスフィチル化試薬,例えば,2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルクロロホスホルアミダイトを用いて,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N2−イソブチリルグアノシン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)の単離に適した条件下で,工程(6)の生成物の3’−位にホスホルアミダイト成分を導入する。
【0181】
1つの態様においては,脱離基の置換は,ヒンダード塩基の存在下で行うことができる。例えば,フタルイミドをDBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン),DBN(1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン),Dabco(1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン),および/または2−tert−ブチルイミノ−2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチル−ペルヒドロ−1,3,2−ジアザホスホリンまたはこれらの同等物と組み合わせて用いて,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N2−イソブチリルグアニンまたは5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N2−イソブチリルグアニンを得ることができる。
【0182】
別の態様においては,本発明は,2’−デオキシ−2’N−フタロイルグアノシンホスホルアミダイト,例えば,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N2−イソブチリルグアノシン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)を合成する別の方法を提供し,該方法は以下の工程を含む:
(1)例えば,1,3−ジクロロ−1,1,3,3−テトライソプロピルジシロキサンまたはジ−tert−ブチルシリルビス(トリフルオロメタンスルホネート)による環状シリル化を用いて,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−1−β−D−アラビノフラノシルグアニンまたは5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−1−β−D−アラビノフラノシルグアニンの単離に適した条件下で,1−β−D−アラビノフラノシルグアニンの5’−ヒドロキシルおよび3’−ヒドロキシル基に保護基を導入し;
(2)ジメチルアミノピリジン(DMAP)および/またはピリジンの存在下で,例えば,無水トリフリルまたは塩化トリフリルを用いて,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−2’−トリフルオロメタンスルホニル−1−β−D−アラビノフラノシルグアニンまたは5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−2’−トリフルオロメタンスルホニル−1−β−D−アラビノフラノシルグアニンを得るのに適した条件下で,工程(1)の生成物の2’−位に脱離基を導入し;
(3)フタルイミドまたは置換フタルイミド求核基を用いて,工程(2)の生成物から脱離基を置換し;
(4)アシル化剤,例えば,塩化イソブチリルを用いて,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−2’−トリフルオロメタンスルホニル−1−β−D−アラビノフラノシル−N2−イソブチリルグアノシンまたは5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−2’−トリフルオロメタンスルホニル−1−β−D−アラビノフラノシル−N2−イソブチリルグアノシンを得るのに適した条件下で,工程(3)からの生成物のN2位にアシル基を導入し;
(5)5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキサンまたは5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル保護を選択的に除去するために,フッ素イオン源,例えば,TEA・3HF,TBAFまたはこれらの同等物を用いて,2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N2−イソブチリルグアノシンの単離に適した条件下で,工程(4)の生成物を脱保護し;
(6)例えば,4’−4’−塩化ジメトキシトリチルを用いて,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N2−イソブチリルグアノシンを得るのに適した条件下で,工程(e)の生成物にオリゴヌクレオチド合成に適合した5’−ヒドロキシル保護基を導入し;そして
(7)ホスフィチル化試薬,例えば,2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルクロロホスホルアミダイトを用いて,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N2−イソブチリルグアノシン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)の単離に適した条件下で,工程(f)の生成物の3’−位にホスホルアミダイト成分を導入する。
【0183】
1つの態様においては,脱離基の置換はヒンダード塩基の存在下で行うことができる。例えば,フタルイミドをDBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン),DBN(1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン),Dabco(1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン),および/または2−tert−ブチルイミノ−2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチル−ペルヒドロ−1,3,2−ジアザホスホリンまたはこれらの同等物と組み合わせて用いて,5’,3’−ジ−O−テトライソプロピルジシロキシ−2’−デオキシ−2’−N−フタロイルグアノシンまたは5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−2’−デオキシ−2’−N−フタロイルグアノシンを得ることができる。
【0184】
好ましい態様においては,本発明の方法により企図される2’−デオキシ−2’−N−フタロイルシチジンヌクレオシドおよびヌクレオシドホスホルアミダイト,2’−デオキシ−2’−N−フタロイルアデノシンヌクレオシドおよびヌクレオシドホスホルアミダイト,および2’−デオキシ−2’−N−フタロイルグアノシンヌクレオシドおよびヌクレオシドホスホルアミダイトの化学合成において,アシル化は,1−β−D−アラビノフラノシルヌクレオシドの5’−ヒドロキシルおよび3’−ヒドロキシル基を保護した後に行うことができる。
【0185】
さらに別の態様においては,本発明の方法において企図される2’−デオキシ−2’−N−フタロイルグアノシンヌクレオシドおよびヌクレオシドホスホルアミダイトおよびこれらの同等物の化学合成において,1−β−D−アラビノフラノシルグアニンのO6保護は,O6保護基,例えば,ニトロフェニルまたはジフェニルカルバモイル基を用いて,アシル化の前に行っても後に行ってもよい。
【0186】
さらに別の態様においては,1−β−D−アラビノフラノシルグアニンのN2保護は,ジメチルホルムアミド(DMF)保護を用いて行うことができる。
【0187】
好ましくは,上述の態様のいずれにおいても,置換フタルイミド求核基は,4,5−ジクロロフタルイミド,3,4,5,6−テトラクロロフタルイミド,3−ニトロフタルイミド,または4−ニトロフタルイミドである。
【0188】
本発明の別の観点においては,2’−O−シリル−ヌクレオシドおよび2’−O−シリルヌクレオシドホスホルアミダイトを製造する方法が提供される。該方法は,キログラムまたはそれ以上の量にスケールアップすることができる。
【0189】
1つの態様においては,2’−O−シリルヌクレオシドホスホルアミダイトを合成する方法は以下の工程を含む:
(1)例えば,ジシリルアルキルビス(トリフルオロメタンスルホネート)を用いることにより,D−またはL−ヌクレオシドでありうるヌクレオシドに5’,3’−環状シリル保護基を導入して,5’,3’−O−(ジ−アルキルシランジイル)ヌクレオシドを形成し;
(2)例えば,工程(1)の生成物を置換塩化シリルおよび/またはシリルトリフレート,例えば,塩化tert−ブチルジメチルシリルおよびtert−ブチルジメチルシリルトリフレートで処理することにより,2’−O−シリルエーテルを選択的に形成することにより2’−O−シリル保護基を導入して,5’,3’−O−(ジ−アルキルシランジイル)−2’−O−シリルヌクレオシドを形成し;
(3)必要な場合には,例えば,5’,3’−O−(ジ−アルキルシランジイル)−2’−O−シリルヌクレオシドを塩化アシルまたは無水アシルで処理することにより,工程(2)の生成物に核酸塩基保護を導入し;
(4)例えば,5’,3’−O−(ジ−アルキルシランジイル)−2’−O−シリルヌクレオシドをフッ素イオン源,例えば,ピリジン/HFで処理することにより,工程(3)の生成物からの5’,3’−環状シリルエーテルを選択的に脱シリル化して,2’−O−シリル−ヌクレオシド,例えば,2’−O−tert−ブチルジメチルシリルヌクレオシドを生成し;
(5)例えば,4’−4’−塩化ジメトキシトリチルを用いて,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリルヌクレオシドを得るのに適した条件下で,工程(4)の生成物にオリゴヌクレオチド合成に適合した5’−ヒドロキシル保護基を導入し;
(6)ホスフィチル化試薬,例えば,2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルクロロホスホルアミダイトを用いて,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリルヌクレオシド3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)の単離に適した条件下で,工程(5)の生成物の3’−位にホスホルアミダイト成分を導入する。
【0190】
1つの態様においては,本発明は,2’−O−シリル−ヌクレオシドホスホルアミダイトを合成する方法を提供し,該方法は,以下の工程を含む:
(1)必要な場合には,例えば,ヌクレオシドを塩化アシルまたは無水アシルで処理することにより,DまたはLヌクレオシドでありうるヌクレオシドに核酸塩基保護を導入し;
(2)例えば,ジシリルアルキルビス(トリフルオロメタンスルホネート)を用いることにより,工程(1)の生成物に5’,3’−環状シリル保護基を導入して,5’,3’−O−(ジ−アルキルシランジイル)ヌクレオシドを形成し;
(3)例えば,工程(2)からの生成物を置換塩化シリルおよび/またはシリルトリフレート,例えば塩化tert−ブチルジメチルシリルおよびtert−ブチルジメチルシリルトリフレートで処理することにより,2’−O−シリルエーテルを選択的に形成することにより2’−O−シリル保護基を導入して,5’,3’−O−(ジ−アルキルシランジイル)−2’−O−シリルヌクレオシドを生成し;
(4)例えば,5’,3’−O−(ジ−アルキルシランジイル)−2’−O−シリルヌクレオシドをフッ素イオン源,例えばピリジン/HFで処理することにより,工程(3)の生成物からの5’,3’−環状シリルエーテルを選択的に脱シリル化して,2’−O−シリル−ヌクレオシド,例えば2’−O−tert−ブチルジメチルシリルヌクレオシドを生成し;
(5)例えば,4’−4’−塩化ジメトキシトリチルを用いることにより,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリルヌクレオシドを得るのに適した条件下で,工程(4)の生成物にオリゴヌクレオチド合成に適合した5’−ヒドロキシル保護基を導入し;そして
(6)ホスフィチル化試薬,例えば,2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルクロロホスホルアミダイトを用いて,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリルヌクレオシド3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)の単離に適した条件下で,工程(5)の生成物の3’−位にホスホルアミダイト成分を導入する。
【0191】
好ましい態様においては,,本発明は,2’−O−シリルシチジンホスホルアミダイト,例えば,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリル−N4−アセチルシチジン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)を合成する方法を提供し,該方法は以下の工程を含む:
(1)アシル化試薬,例えば,無水酢酸を用いて,N4−アセチルシチジンを得るのに適した条件下で,シチジンのN4位にアシル基を導入し;
(2)例えば,ジ−tert−ブチルシリルビス(トリフルオロメタンスルホネート)による環状シリル化を用いて,5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−N4−アセチルシチジンの単離に適した条件下で,工程(1)からの生成物の5’−ヒドロキシルおよび3’−ヒドロキシル基の保護を導入し;
(3)例えば,塩化tert−ブチルジメチルシリルを用いて,イミダゾールおよび/または硝酸銀の存在下で,5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリル−N4−アセチルシチジンを得るのに適した条件下で,工程(2)の生成物の2’−位にシリル保護基を導入し;
(4)5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル保護を選択的に除去するために,フッ素イオン源,例えば,フッ化水素−ピリジン,トリブチルアミン−フッ化水素またはこれらの同等物を用いて,2’−O−tert−ブチルジメチルシリル−N4−アセチルシチジンの単離に適した条件下で,工程(3)の生成物を脱保護し;
(5)例えば,4’−4’−塩化ジメトキシトリチルを用いることにより,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリル−N4−アセチルシチジンを得るのに適した条件下で,工程(4)の生成物にオリゴヌクレオチド合成に適合した5’−ヒドロキシル保護基を導入し;そして
(6)ホスフィチル化試薬,例えば,2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルクロロホスホルアミダイトを用いて,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリル−N4−アセチルシチジン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)の単離に適した条件下で,工程(5)の生成物の3’−位にホスホルアミダイト成分を導入する。
【0192】
別の態様においては,本発明は,2’−O−シリルシチジンホスホルアミダイト,例えば,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリル−N4−アセチルシチジン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)を合成する方法を提供し,該方法は以下の工程を含む:
(1)例えば,ジ−tert−ブチルシリルビス(トリフルオロメタンスルホネート)による環状シリル化を用いて,5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイルシチジンの単離に適した条件下で,シチジンの5’−ヒドロキシルおよび3’−ヒドロキシル基の保護を導入し;
(2)イミダゾールおよび/または硝酸銀の存在下で,例えば,tert−ブチルジメチルシリルを用いて,5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリルシチジンを得るのに適した条件下で,工程(1)の生成物の2’−位にシリル保護基を導入し;
(3)5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリル−N4−アセチルシチジンを得るのに適した条件下で,アシル化試薬,例えば,塩化アセチルを用いて,工程(2)からの生成物のN4位にアシル基を導入し;
(4)5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル保護を選択的に除去するために,フッ素イオン源,例えば,フッ化水素−ピリジン,トリブチルアミン−フッ化水素またはこれらの同等物を用いて,2’−O−tert−ブチルジメチルシリル−N4−アセチルシチジンの単離に適した条件下で,工程(3)の生成物を脱保護し;
(5)例えば,4’−4’−塩化ジメトキシトリチルを用いることにより,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリル−N4−アセチルシチジンを得るのに適した条件下で,工程(4)の生成物にオリゴヌクレオチド合成に適合した5’−ヒドロキシル保護基を導入し;そして
(6)ホスフィチル化試薬,例えば,2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルクロロホスホルアミダイトを用いて,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリル−N4−アセチルシチジン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)の単離に適した条件下で,工程(5)の生成物の3’−位にホスホルアミダイト成分を導入する。
【0193】
別の態様においては,本発明は,2’−O−シリルウリジンホスホルアミダイト,例えば,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリルウリジン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)を合成する方法を提供し,該方法は以下の工程を含む:
(1)例えば,ジ−tert−ブチルシリルビス(トリフルオロメタンスルホネート)による環状シリル化を用いて,5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイルウラシルの単離に適した条件下で,ウリジンの5’−ヒドロキシルおよび3’−ヒドロキシル基の保護を導入し;
(2)イミダゾールおよび/または硝酸銀の存在下で,例えば,塩化tert−ブチルジメチルシリルを用いることにより,5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリルウリジンを得るのに適した条件下で,工程(1)の生成物の2’−位にシリル保護基を導入し;
(3)5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル保護を選択的に除去するために,フッ素イオン源,例えば,フッ化水素−ピリジン,トリブチルアミン−フッ化水素またはこれらの同等物を用いて,2’−O−tert−ブチルジメチルシリルウリジンの単離に適した条件下で,工程(2)の生成物を脱保護し;
(4)例えば,4’−4’−塩化ジメトキシトリチルを用いることにより,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリルウリジンを得るのに適した条件下で,工程(3)の生成物にオリゴヌクレオチド合成に適合した5’−ヒドロキシル保護基を導入し;そして
(5)ホスフィチル化試薬,例えば,2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルクロロホスホルアミダイトを用いて,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリルウリジン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)の単離に適した条件下で,工程(4)の生成物の3’−位にホスホルアミダイト成分を導入する。
【0194】
別の態様においては,本発明は,2’−O−シリルアデノシンホスホルアミダイト,例えば,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリル−N6−ベンゾイルアデノシン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)を合成する方法を提供し,該方法は以下の工程を含む:
(1)例えば,ジ−tert−ブチルシリルビス(トリフルオロメタンスルホネート)による環状シリル化を用いて,5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイルアデノシンの単離に適した条件下で,アデノシンの5’−ヒドロキシルおよび3’−ヒドロキシル基の保護を導入し;
(2)イミダゾールおよび/または硝酸銀の存在下で,例えば,塩化tert−ブチルジメチルシリルを用いて,5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリルアデノシンを得るのに適した条件下で,工程(1)の生成物の2’−位にシリル保護基を導入し;
(3)アシル化試薬,例えば,塩化ベンゾイルを用いて,5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリル−N6−ベンゾイルアデノシンを得るのに適した条件下で,工程(2)からの生成物のN6位にアシル基を導入し;
(4)5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル保護を選択的に除去するために,フッ素イオン源,例えば,フッ化水素−ピリジン,トリブチルアミン−フッ化水素またはこれらの同等物で,2’−O−tert−ブチルジメチルシリル−N6−ベンゾイルアデノシンの単離に適した条件下で,工程(3)の生成物を脱保護し;
(5)例えば,4’−4’−塩化ジメトキシトリチルを用いることにより,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリル−N6−ベンゾイルアデノシンを得るのに適した条件下で,工程(4)の生成物にオリゴヌクレオチド合成に適合した5’−ヒドロキシル保護基を導入し;そして
(6)ホスフィチル化試薬,例えば,2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルクロロホスホルアミダイトを用いて,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリル−N6−ベンゾイルアデノシン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)の単離に適した条件下で,工程(5)の生成物の3’−位にホスホルアミダイト成分を導入する。
【0195】
1つの態様においては,本発明は,2’−O−シリルグアノシンホスホルアミダイト,例えば,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリル−N2−イソブチリルグアノシン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)を合成する方法を特徴とし,該方法は以下の工程を含む:
(1)例えば,ジ−tert−ブチルシリルビス(トリフルオロメタンスルホネート)による環状シリル化を用いて,5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイルグアノシンの単離に適した条件下で,グアノシンの5’−ヒドロキシルおよび3’−ヒドロキシル基に保護を導入し;
(2)イミダゾールおよび/または硝酸銀の存在下で,例えば,塩化tert−ブチルジメチルシリルを用いることにより,5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリルグアノシンを得るのに適した条件下で,工程(1)の生成物の2’−位にシリル保護基を導入し;
(3)5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリル−N2−イソブチリルグアノシンを得るのに適した条件下で,アシル化試薬,例えば,塩化イソブチリルを用いて,工程(2)からの生成物のN2位にアシル基を導入し;
(4)5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル保護を選択的に除去するために,フッ素イオン源,例えば,フッ化水素−ピリジン,トリブチルアミン−フッ化水素またはこれらの同等物を用いて,2’−O−tert−ブチルジメチルシリル−N2−イソブチリルグアノシンの単離に適した条件下で,工程(3)の生成物を脱保護し;
(5)例えば,4’−4’−塩化ジメトキシトリチルを用いることにより,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリル−N2−イソブチリルグアノシンを得るのに適した条件下で,工程(4)の生成物にオリゴヌクレオチド合成に適合した5’−ヒドロキシル保護基を導入し;そして
(6)ホスフィチル化試薬,例えば,2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルクロロホスホルアミダイトを用いて,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリル−N2−イソブチリルグアノシン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)の単離に適した条件下で,工程(5)の生成物の3’−位にホスホルアミダイト成分を導入する。
【0196】
好ましい態様においては,本発明により企図される2’−デオキシ−2’−アミノおよび2’−デオキシ−2’−N−フタロイルヌクレオシド類似体の合成は,アデノシン,シチジン,ウリジン,およびグアノシンヌクレオシドおよびその対応するL−異性体に限定されず,多数のヌクレオシドまたはC−ヌクレオシド類似体の任意のもの,例えば,限定されないが,リボチミジンヌクレオシド,イノシンヌクレオシド,プリンヌクレオシド,2,6−ジアミノプリンヌクレオシド,ピリジン−4−オンヌクレオシド,ピリジン−2−オンヌクレオシド,フェニルC−ヌクレオシド,シュードウラシルヌクレオシド,2,4,6−トリメトキシベンゼンC−ヌクレオシド,3−メチルウラシルヌクレオシド,ジヒドロウリジンヌクレオシド,ナフチルC−ヌクレオシド,アミノフェニルC−ヌクレオシド,5−アルキルシチジンヌクレオシド(例えば,5−メチルシチジン),5−アルキルウリジンヌクレオシド(例えば,リボチミジン),5−ハロウリジンヌクレオシド(例えば,5−ブロモウリジン),6−アザピリミジンヌクレオシド,6−アルキルピリミジンヌクレオシド(例えば6−メチルウリジン),プロピンヌクレオシド,4’−チオヌクレオシド,炭素環式ヌクレオシド,これらの対応するL異性体および他のものが包含される。
【0197】
さらに別の態様においては,本発明により企図される2−O−シリルヌクレオシドおよび2’−O−シリルC−ヌクレオシドの合成には,限定されないが,シチジン,ウリジン,アデノシン,グアノシン,イノシン,L−シチジン,L−ウリジン,L−アデノシン,L−グアノシン,L−イノシン,アラビノ−シチジン,アラビノ−ウリジン,アラビノ−アデノシン,アラビノ−グアノシン,アラビノ−イノシン,L−アラビノ−シチジン,L−アラビノ−ウリジン,L−アラビノ−アデノシン,L−アラビノ−グアノシン,L−アラビノ−イノシン,リボ−チミジン,アラビノ−チミジン,L−リボ−チミジン,およびL−アラビノ−チミジンからなる群より選択されるヌクレオシド;フェニル,ナフチル,アミノフェニル,および2,4,6−トリメトキシベンジルC−ヌクレオシドからなる群より選択されるC−ヌクレオシド,およびこれらの対応するLおよびアラビノ異性体が含まれる。
【0198】
別の態様においては,2’−O−シリル−ヌクレオシドおよび2’−O−シリル−ヌクレオシドホスホルアミダイトを合成する方法を用いて,2’−O−シリル−D−リボフラノシルヌクレオシドおよび2’−O−シリル−D−リボフラノシルヌクレオシドホスホルアミダイト,2’−O−シリル−L−リボフラノシルヌクレオシドおよび2’−O−シリル−L−リボフラノシルヌクレオシドホスホルアミダイト,2’−O−シリル−D−アラビノフラノシルヌクレオシドおよび2’−O−シリル−D−アラビノフラノシルヌクレオシドホスホルアミダイトおよび2’−O−シリル−L−アラビノフラノースヌクレオシドおよび2’−O−シリル−L−アラビノフラノースヌクレオシドホスホルアミダイトの両方を合成する。
【0199】
本発明はまた,2’−O−シリル−C−ヌクレオシドおよび2’−O−シリルC−ヌクレオシドホスホルアミダイトの製造のための合成方法を特徴とする。該方法は,キログラムまたはそれ以上の量にスケールアップすることができる。該方法は以下の工程を含む:(1)例えば,ジシリルアルキルビス(トリフルオロメタンスルホネート)を用いることにより,DまたはLのC−ヌクレオシドでありうるC−ヌクレオシドに5’,3’−環状シリル保護基を導入して,5’,3’−O−(ジ−アルキルシランジイル)C−ヌクレオシドを生成し;そして(2)例えば,工程(1)の生成物を置換塩化シリルおよび/またはシリルトリフレート,例えば,塩化tert−ブチルジメチルシリルおよびtert−ブチルジメチルシリルトリフレートで処理することにより,2’−O−シリルエーテルの選択的形成により2’−O−シリル保護基を導入して,5’,3’−O−(ジ−アルキルシランジイル)−2’−O−シリルC−ヌクレオシドを生成し;そして(3)必要な場合には,例えば,5’,3’−O−(ジ−アルキルシランジイル)−2’−O−シリルC−ヌクレオシドを塩化アシルまたは無水アシルで処理することにより,工程(2)の生成物に核酸塩基保護を導入し;そして(4)例えば,5’,3’−O−(ジ−アルキルシランジイル)−2’−O−シリルC−ヌクレオシドをフッ素イオン源,例えばピリジン/HFで処理することにより,工程(3)の生成物からの5’,3’−環状シリルエーテルを選択的に脱シリル化して,2’−O−シリル−C−ヌクレオシド,例えば2’−O−tert−ブチルジメチルシリルC−ヌクレオシドを生成し;そして(5)例えば,4’−4’−塩化ジメトキシトリチルを用いることにより,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリルC−ヌクレオシドを得るのに適した条件下で,工程(4)の生成物にオリゴヌクレオチド合成に適合した5’−ヒドロキシル保護基を導入し;そして(6)ホスフィチル化試薬,例えば,2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルクロロホスホルアミダイトを用いて,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリルC−ヌクレオシド3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)の単離に適した条件下で,工程(5)の生成物の3’−位にホスホルアミダイト成分を導入する。
【0200】
1つの態様においては,本発明は,2’−O−シリル−C−ヌクレオシドおよび2’−O−シリル−C−ヌクレオシドホスホルアミダイトを化学的に合成する方法を特徴とする。該方法は,キログラムまたはそれ以上の量にスケールアップすることができる。該方法は,以下の各工程を含む:(1)必要な場合には,例えば,C−ヌクレオシドを塩化アシルまたは無水アシルで処理することにより,DまたはLのC−ヌクレオシドでありうるC−ヌクレオシドに核酸塩基保護を導入し;(2)例えば,ジシリルアルキルビス(トリフルオロメタンスルホネート)を用いて,工程(1)の生成物に5’,3’−環状シリル保護基を導入して,5’,3’−O−(ジ−アルキルシランジイル)C−ヌクレオシドを形成し;(3)例えば,工程(2)からの生成物を置換塩化シリルおよび/またはシリルトリフレート,例えば塩化tert−ブチルジメチルシリルおよびtert−ブチルジメチルシリルトリフレートで処理して,5’,3’−O−(ジ−アルキルシランジイル)−2’−O−シリルC−ヌクレオシドを形成することにより,2’−O−シリルエーテルの選択的形成により2’−O−シリル保護基を導入し;(4)例えば,5’,3’−O−(ジ−アルキルシランジイル)−2’−O−シリルC−ヌクレオシドをフッ素イオン源,例えばピリジン/HFで処理することにより工程(3)の生成物から5’,3’−環状シリルエーテルを選択的に脱シリル化して,2’−O−シリル−C−ヌクレオシド,例えば2’−O−tert−ブチルジメチルシリルC−ヌクレオシドを生成し;(5)例えば,塩化4’−4’−ジメトキシトリチルを用いることにより,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリルC−ヌクレオシドを得るのに適した条件下で,工程(4)の生成物にオリゴヌクレオチド合成に適合した5’−ヒドロキシル保護基を導入し;そして(6)ホスフィチル化試薬,例えば,2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルクロロホスホルアミダイトを用いて,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリルC−ヌクレオシド3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)の単離に適した条件下で,工程(5)の生成物の3’−位にホスホルアミダイト成分を導入する。
【0201】
別の態様においては,2’−O−シリル−C−ヌクレオシドおよび2’−O−シリル−C−ヌクレオシドホスホルアミダイトの合成方法を用いて,2’−O−シリル−D−リボフラノシルC−ヌクレオシドおよび2’−O−シリル−D−リボフラノシルC−ヌクレオシドホスホルアミダイト,2’−O−シリル−L−リボフラノシルC−ヌクレオシドおよび2’−O−シリル−L−リボフラノシルC−ヌクレオシドホスホルアミダイト,2’−O−シリル−D−アラビノフラノシルC−ヌクレオシドおよび2’−O−シリル−D−アラビノフラノシルC−ヌクレオシドホスホルアミダイトおよび2’−O−シリル−L−アラビノフラノースC−ヌクレオシドおよび2’−O−シリル−L−アラビノフラノースC−ヌクレオシドホスホルアミダイトの両方を合成する。
【0202】
本発明はまた,2’−O−メチルグアノシンヌクレオシドおよび2’−O−メチルグアノシンヌクレオシドホスホルアミダイトを製造するための実用的な合成方法を特徴とする。該方法は,キログラムまたはそれ以上の量にスケールアップすることができる。該方法は以下の工程を含む:(1)ジシリルアルキルビス(トリフルオロメタンスルホネート)を用いて,2,6−ジアミノ−9−(β−リボフラノシル)プリンに5’,3’−環状シリル保護基を導入して,2,6−ジアミノ−9−[5’,3’−O−(ジ−アルキルシランジイル)−β−リボフラノシル]プリンを形成し;(2)例えば,工程(1)の生成物を水素化ナトリウムの存在下でヨウ化メチルで処理することにより,2,6−ジアミノ−9−[5’,3’−O−(ジ−アルキルシランジイル)−β−リボフラノシル]プリンをメチル化して,2,6−ジアミノ−9−[5’,3’−O−(ジ−アルキルシランジイル)−2’−O−メチル−β−リボフラノシル]プリンを生成し;(3)例えば,2,6−ジアミノ−9−[5’,3’−O−(ジ−アルキルシランジイル)−2’−O−メチル−β−リボフラノシル]プリンを塩化アシルまたは無水アシル,例えば,塩化イソブチリルで処理することにより,工程(2)からの生成物のN2およびN6位にアシル保護を導入して,N2−N6−2,6−ジアミノ−ジアシル−9−[5’,3’−O−(ジ−アルキルシランジイル)−2’−O−メチル−β−リボフラノシル]プリンを生成し;(4)例えば,2,6−ジアミノ−N2−N6−ジアシル−9−[5’,3’−O−(ジ−アルキルシランジイル)−2’−O−メチル−β−リボフラノシル]プリンをTEA/MeOHで処理することにより,工程(3)の生成物のN6位を選択的に脱アシル化して,2,6−ジアミノ−N2−アシル−9−[5’,3’−O−(ジ−アルキルシランジイル)−2’−O−メチル−β−リボフラノシル]プリンを生成し;(5)例えば,2,6−ジアミノ−N2−アシル−9−[5’,3’−O−(ジ−アルキルシランジイル)−2’−O−メチル−β−リボフラノシル]プリンを亜硝酸ナトリウム/酢酸で処理し,次にフッ素イオン源,例えば,HF−ピリジンで処理することにより,工程(4)の生成物をN6−アミンを化学的に脱アミノ化し,脱シリル化して,N2−アシル−2’−O−メチルグアノシンを生成し;(6)例えば,4’−4’−塩化ジメトキシトリチルを用いることにより,N2−アシル−5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−メチルグアノシンを得るのに適した条件下で,工程(5)の生成物にオリゴヌクレオチド合成に適合した5’−ヒドロキシル保護基を導入し;そして(7)ホスフィチル化試薬,例えば,2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルクロロホスホルアミダイトを用いて,N2−アシル−5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−メチルグアノシン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)の単離に適した条件下で,工程(6)の生成物の3’−位にホスホルアミダイト成分を導入する。
【0203】
本発明はまた,2’−O−メチルアデノシンヌクレオシドおよび2’−O−メチルアデノシンヌクレオシドホスホルアミダイトを製造するための実用的な合成方法を特徴とする。該方法は,キログラムまたはそれ以上の量にスケールアップすることができる。該方法は以下の工程を含む:(1)ジシリルアルキルビス(トリフルオロメタンスルホネート)を用いてアデノシンに5’,3’−環状シリル保護基を導入して,5’,3’−O−(ジ−アルキルシランジイル)アデノシンを形成し;(2)例えば,工程(1)の生成物を水素化ナトリウムの存在下でヨウ化メチルで処理することにより,5’,3’−O−(ジ−アルキルシランジイル)アデノシンをメチル化して,5’,3’−O−(ジ−アルキルシランジイル)−2’−O−メチルアデノシンを生成し;(3)例えば,5’,3’−O−(ジ−アルキルシランジイル)−2’−O−メチルアデノシンを塩化アシルまたは無水物,例えば塩化ベンゾイルで処理することにより,工程(2)からの生成物のN6位にアシル保護を導入して,N6−アシル−5’,3’−O−(ジ−アルキルシランジイル)−2’−O−メチルアデノシンを生成し;(4)フッ素イオン源,例えばHF−ピリジンで処理することにより,工程(3)の生成物を脱シリル化して,N6−アシル−2’−O−メチルアデノシンを生成し;(5)例えば,4’−4’−塩化ジメトキシトリチルを用いることにより,N6−アシル−5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−メチルアデノシンを得るのに適した条件下で,工程(4)の生成物にオリゴヌクレオチド合成に適合した5’−ヒドロキシル保護基を導入し;そして(6)ホスフィチル化試薬,例えば,2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルクロロホスホルアミダイトを用いて,N6−アシル−5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−メチルアデノシン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)の単離に適した条件下で,工程(5)の生成物の3’−位にホスホルアミダイト成分を導入する。
【0204】
本発明はまた,1,4−アンヒドロ−2−デオキシ−D−エリスロ−ペンチトールホスホルアミダイト,例えば,3−O−保護−1,4−アンヒドロ−2−デオキシ−D−エリスロ−ペンチトール−5−O−ホスホルアミダイトを合成する実用的な方法を提供する。該方法は以下の工程を含む:(1)5−O−保護−1,4−アンヒドロ−2−デオキシ−D−エリスロ−ペンチトールの単離に適した条件下で5’−O−保護チミジン誘導体を脱ピリミジン化し;(2)5−O−保護−3−O−保護−1,4−アンヒドロ−2−デオキシ−D−エリスロ−ペンチトールの単離に適した条件下で,5−O−保護−1,4−アンヒドロ−2−デオキシ−D−エリスロ−ペンチトールのC3ヒドロキシルに酸不安定性保護基を導入し;(3)3−O−保護−1,4−アンヒドロ−2−デオキシ−D−エリスロ−ペンチトールの単離に適した条件下で,工程(2)の生成物を選択的に5−O−脱保護し;そして(4)3−O−保護−1,4−アンヒドロ−2−デオキシ−D−エリスロ−ペンチトール−5−O−ホスホルアミダイトの単離に適した条件下で,工程(3)の生成物に5−O−ホスホルアミダイト成分を導入する。
【0205】
本発明はまた,1,4−アンヒドロ−2−デオキシ−D−エリスロ−ペンチトールスクシネート,例えば,3−O−保護−1,4−アンヒドロ−2−デオキシ−D−エリスロ−ペンチトール−5−O−スクシネートを合成する実用的な方法を提供する。該方法は以下の工程を含む:(1)5−O−保護−1,4−アンヒドロ−2−デオキシ−D−エリスロ−ペンチトールの単離に適した条件下で,5’−O−保護チミジン誘導体を脱ピリミジン化し;(2)5−O−保護−3−O−保護−1,4−アンヒドロ−2−デオキシ−D−エリスロ−ペンチトールの単離に適した条件下で,5−O−保護−1,4−アンヒドロ−2−デオキシ−D−エリスロ−ペンチトールのC3ヒドロキシルに酸不安定性保護基を導入し;(3)3−O−保護−1,4−アンヒドロ−2−デオキシ−D−エリスロ−ペンチトールの単離に適した条件下で,工程(2)の生成物を選択的に5−O−脱保護し;そして(4)3−O−保護−1,4−アンヒドロ−2−デオキシ−D−エリスロ−ペンチトール−5−O−スクシネートの単離に適した条件下で,工程(3)の生成物に5−O−スクシネート成分を導入する。
【0206】
1つの態様においては,本発明は,式I:
【化24】
[式中,各R1およびR2は,独立して,水素,NR10R11,(NR10R11)アルキル,アルキル,またハロゲンを含み,ここで,R10およびR11は,独立して,水素,アルキル,アルカノイル,アシル,アルコキシ,または,ハロゲン,アルコキシ,ニトロ,およびアルキルを含む3個までの基で独立して置換されていてもよいアリールアルキルを含み,R3は,独立して,アルキル,アルコキシアルキル,アルキル−チオ−アルキル,シアノアルキル,または,ハロゲン,アルコキシ,ニトロ,またはシアノアルキルである3個までの基で独立して置換されていてもよいアリールアルキルを含む]
の化合物を合成する方法を特徴とし,該方法は,以下の工程を含む:(a)式II:
【化25】
[式中,各R1およびR2は式Iにおいて記載したとおりである]
の化合物に5’,3’−架橋シリル保護基を導入して,式III:
【化26】
[式中,各R1およびR2は,式Iにおいて記載したとおりであり,各R4は,独立して,アルキル,アリールまたはイソアルキル成分を含む]
の化合物を生成し;(b)工程(a)の生成物をアルキル化して,式IV:
【化27】
[式中,各R1,R2およびR3は,式Iにおいて定義したとおりであり,R4は,式IIIにおいて定義したとおりである]
の化合物を生成し;そして(c)工程(b)の生成物を脱保護して,式Iの化合物を得る。
【0207】
別の態様においては,本発明は,式V:
【化28】
[式中,R1およびR2は,独立して,水素,NR10R11,(NR10R11)アルキル,アルキル,またはハロゲンを含み,ここで,R10およびR11は,独立して,水素,アルキル,アルカノイル,アシル,アルコキシ,または,ハロゲン,アルコキシ,ニトロ,およびアルキルを含む3個までの基で独立して置換されていてもよいアリールアルキルを含み,およびR3は,独立して,アルキル,アルコキシアルキル,アルキル−チオ−アルキル,シアノアルキル,または,ハロゲン,アルコキシ,ニトロ,およびシアノアルキルを含む3個までの基で独立して置換されていてもよいアリールアルキルを含み,R5は,酸不安定性保護成分を含み,およびR6はリン含有成分を含む]
を有する化合物を合成する方法を特徴とし,該方法は以下の工程を含む:(a)式IIの化合物に5’,3’−架橋シリル保護基を導入して式IIIの化合物を生成し;(b)工程(a)の生成物をアルキル化して式IVの化合物を生成し;(c)工程(b)におけるR1またはR2が独立してアミノ成分を含む場合には,工程(b)の生成物に少なくとも1つの環外のアミン保護成分を導入し;(d)工程(c)の生成物を脱保護して式Iの化合物を生成し;そして(e)工程(d)の生成物に酸不安定性保護成分を,次にリン含有成分を導入して,式Vの化合物を生成する。
【0208】
別の態様においては,本発明の式IIおよびIIIのR4はtert−ブチル成分を含む。
【0209】
別の態様においては,本発明の式I−VのR1はアミノ成分を含み,本発明の式I−VのR2はHを含む。
【0210】
別の態様においては,本発明の式I−VのR1およびR2は,それぞれアミノ成分を含む。
【0211】
別の態様においては,本発明の式I−VのR1はクロロ成分を含み,本発明の式I−VのR2はHを含む。
【0212】
1つの態様においては,式Iの化合物は,2’−O−メチルアデノシンを含む。
【0213】
別の態様においては,本発明の式Vの化合物は,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−メチル−N2−ベンゾイルアデノシン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)を含む。
【0214】
別の態様においては,本発明のアルキル化は,ヨウ化メチルおよび水素化ナトリウムを用いるアルキル化を含む。
【0215】
1つの態様においては,本発明は,式VI:
【化29】
[式中,R3は,アルキル,アルコキシアルキル,アリールアルキル,アルキル−チオ−アルキル,またはシアノアルキル成分を含み,およびR7は,Hまたはアシル成分を含む]
を有する化合物を合成する方法を特徴とし,該方法は以下の工程を含む:(a)イノシンに5’,3’−架橋シリル保護基を導入して,式VII:
【化30】
[式中,各R4は,独立して,アルキル,アリールまたはイソアルキル成分を含む]
の化合物を生成し;(b)工程(a)の生成物にイミダゾール成分を導入して,式VIII:
【化31】
[式中,各R4は,独立して,アルキル,アリールまたはイソアルキル成分を含む]
の化合物を生成し;(c)工程(b)の生成物をアルキル化して,式IX:
【化32】
[式中,各R4は,独立して,アルキル,アリールまたはイソアルキル成分を含み,およびR3は,式VIにおいて定義したとおりである]
の化合物を生成し;(d)工程(c)の生成物をアミノ化して,式X:
【化33】
[式中,各R3およびR7は,式VIにおいて定義したとおりである]
の化合物を生成し;そして(e)工程(d)の生成物を脱シリル化して,式VIの化合物を得る。
【0216】
別の態様においては,本発明は,式VIを有する2’−O−アルキルアデノシン誘導体を合成する方法を特徴とし,該方法は以下の工程を含む:(a)イノシンに5’,3’−架橋シリル保護基を導入して,式XI:
【化34】
[式中,各R4は,独立して,アルキル,アリールまたはイソアルキル成分を含む]
の化合物を生成し;(b)工程(a)の生成物にイミダゾール成分を導入して,式XII:
【化35】
[式中,各R4は,独立して,アルキル,アリールまたはイソアルキル成分を含む]
の化合物を生成し;(c)工程(b)の生成物をアルキル化して,式XIII:
【化36】
[式中,R3は,式VIにおいて定義したとおりであり,各R4は,独立して,アルキル,アリールまたはイソアルキル成分を含む]
の化合物を生成し;(d)工程(c)の生成物をアミノ化して,式XIV:
【化37】
[式中,各R3およびR7は,式VIにおいて定義したとおりである]
の化合物を生成し;および(e)工程(d)の生成物を脱シリル化して,式VIの化合物を生成する。
【0217】
別の態様においては,本発明は,式XV:
【化38】
[式中,各R3およびR7は,式VIにおいて定義したとおりであり,R5は,酸不安定性保護成分を含み,およびR6はリン含有成分を含む]
を有する化合物を合成する方法を特徴とし,該方法は,以下の工程を含む:(a)式VIの化合物に酸不安定性保護成分を,次にリン含有成分を導入して,式XVの化合物を得る。
【0218】
別の態様においては,本発明のR4はイソプロピル成分を含む。
【0219】
別の態様においては,本発明のR4はtert−ブチル成分を含む。
【0220】
別の態様においては,本発明のR3はメチル成分を含む。
【0221】
別の態様においては,本発明の式VIの化合物は2’−O−メチルアデノシンを含む。
【0222】
別の態様においては,本発明のR7はベンゾイル成分を含む。
【0223】
別の態様においては,本発明のR7はHを含む。
【0224】
別の態様においては,本発明の式XVの化合物は,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−メチル−N2−ベンゾイルアデノシン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)を含む。
【0225】
1つの態様においては,本発明は,式XVI:
【化39】
[式中,R8は,スクシネート成分,シリルアルキル成分,またはHを含み,R9は,酸不安定性保護成分またはHを含む]
を有する化合物を合成する方法を特徴とし,該方法は以下の工程を含む:(a)式XVII:
【化40】
[式中,R8はシリルアルキル成分を含む]
の化合物を脱ピリミジン化して,式XVI[式中,R8はシリルアルキル成分を含み,R9はHを含む]の化合物を生成し;(b)工程(a)の生成物に酸不安定性保護成分を導入して,式XVI[式中,R8はシリルアルキル成分を含み,R9は酸不安定性保護成分を含む]の化合物を生成し;(c)工程(b)の生成物を脱保護して,式XVI[式中,R8はHを含み,R9は酸不安定性保護成分を含む]の化合物を生成し;そしておよび(d)工程(c)の生成物にスクシネート成分を導入して,式XVI[式中,R8はスクシネート成分を含み,R9は酸不安定性保護成分を含む]の化合物を得る。
【0226】
別の態様においては,本発明は,式XVI:
【化41】
[式中,R8は,リン含有成分,シリルアルキル成分,またはHを含み,R9は,酸不安定性保護成分またはHを含む]
を有する化合物を合成する方法を特徴とし,該方法は以下の工程を含む:(a)式XVII:
【化42】
[式中,R8はシリルアルキル成分を含む]
の化合物を脱ピリミジン化して,式XVI[式中,R8はシリルアルキル成分を含み,R9はHを含む]の化合物を生成し;(b)工程(a)の生成物に酸不安定性保護成分を導入して,式XVI[式中,R8はシリルアルキル成分を含み,R9は酸不安定性保護成分を含む]の化合物を生成し;(c)工程(b)の生成物を脱保護して,式XVI[式中,R8はHを含み,R9は酸不安定性保護成分を含む]の化合物を生成し;そして(d)工程(c)の生成物にリン含有成分を導入して,式XVI[式中,R8はリン含有成分を含み,R9は酸不安定性保護成分を含む]の化合物を生成する。
【0227】
別の態様においては,本発明の式XVIおよびXVIIのシリルアルキル成分R8は,tert−ブチルジメチルシリル,tert−ブチルジフェニルシリル,またはトリイソプロピルシリル成分を含む。
【0228】
別の態様においては,本発明の脱ピリミジン化条件は,式XVIの化合物をシリル化試薬および触媒で処理し,次に水素化し,そして選択的に脱シリル化して,式XVI[式中,R8はシリルアルキル成分を含み,R9はHを含む]の化合物を生成することを含む。
【0229】
別の態様においては,脱ピリミジン化において用いられる本発明のシリル化試薬はヘキサメチルジシラザンを含む。
【0230】
別の態様においては,脱ピリミジン化において用いられる本発明の触媒は,硫酸,パラ−トルエンスルホン酸,および硫酸アンモニウムを含む。
【0231】
別の態様においては,脱ピリミジン化において用いられる本発明の触媒は,スルホン酸,ハロゲン化スルホニル,スルホネートまたはスルファミド,例えば,メタンスルホン酸,トリフルオロメタンスルホン酸,メタンスルファミド,スルファミド,塩化メタンスルホニル,またはトリメチルシリルメタンスルホネートを含む。
【0232】
別の態様においては,本発明の脱ピリミジン化反応において用いられる選択的脱シリル化反応は,ピリジニウムトリフルオロ酢酸による処理を含む。
【0233】
別の態様においては,本発明の方法の脱ピリミジン化工程において用いられる水素化反応は,水素ガスおよびパラジウム担持炭素を用いる触媒的水素化を含む。
【0234】
別の態様においては,R8がシリルアルキル成分を含み,R9が酸不安定性保護成分を含む本発明の式XVIの化合物の脱保護条件は,エタノール中水酸化ナトリウムによる処理を含む。
【0235】
別の態様においては,R8がスクシネート成分を含み,R9が酸不安定性保護成分を含む本発明の式XVIの化合物は,3−O−ジメトキシトリチル−1,4−アンヒドロ−2−デオキシ−D−エリスロ−ペンチトール−5−O−スクシネートを含む。
【0236】
別の態様においては,R8がホスホルアミダイト成分を含み,R9が酸不安定性保護成分を含む本発明の式XVIの化合物は,3−O−ジメトキシトリチル−1,4−アンヒドロ−2−デオキシ−D−エリスロ−ペンチトール−5−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)を含む。
【0237】
1つの態様においては,本発明の酸不安定性保護成分は,ジメトキシトリチル,モノメトキシトリチル,またはトリチル成分を含む。
【0238】
別の態様においては,本発明のリン含有成分はホスホルアミダイト成分を含む。
【0239】
別の態様においては,本発明のリン含有成分は三リン酸成分を含む。
【0240】
別の態様においては,本発明のホスホルアミダイト成分は3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)成分を含む。
【0241】
別の態様においては,本発明の化合物のアミノ化は,アンモニアを用いるアミノ化を含む。
【0242】
別の態様においては,本発明の化合物のアミノ化は,アクリルアミドを用いるアミノ化を含む。
【0243】
別の態様においては,本発明のアクリルアミドはベンズアミドである。
【0244】
別の態様においては,本発明の5’,3’−架橋シリル保護基は,塩基の存在下でジ−tert−ブチルシリルビス(トリフルオロメタンスルホネート)を用いて導入する。
【0245】
別の態様においては,本発明の5’,3’−架橋シリル保護基は,塩基の存在下で1,3−ジクロロ−1,1,3,3−テトライソプロピルジシロキサンを用いて導入する。
【0246】
別の態様においては,本発明の5’,3’−架橋シリル保護基を導入するために用いられる塩基は,トリエチルアミン,ジイソプロピルエチルアミン,ピリジン,コリジン,ルチジン,1−メチルイミダゾール,イミダゾール,N,N−ジメチルアミノピリジン,またはこれらの組み合わせを含む。
【0247】
別の態様においては,本発明のアルキル化は,アルキルハロゲン化物および塩基の存在下で行う。
【0248】
別の態様においては,本発明のアルキル化において用いられるアルキルハロゲン化物はヨウ化メチルを含み,および本発明のアルキル化において用いられる塩基は水素化ナトリウムを含む。
【0249】
別の態様においては,本発明の,例えば,ヌクレオシドの5’および3’ヒドロキシルのシリル脱保護は,酸,フッ素源,またはこれらの組み合わせ,例えば,HF/ピリジン,フッ化テトラブチルアンモニウム,水性HF溶液,HFガス,またはHF/トリエチルアミン付加物を含む試薬を用いて行う。
【0250】
1つの態様においては,本発明の反応工程は,独立して,約−20(Cから約50(Cの温度で実施する。
【0251】
別の態様においては,本発明のリン含有成分はクロロホスフィンおよび塩基を用いて導入する。
【0252】
別の態様においては,本発明のリン含有成分を導入するために用いられる塩基は,トリエチルアミン,ジイソプロピルエチルアミン,ピリジン,コリジン,ルチジン,1−メチルイミダゾール,イミダゾール,N,N−ジメチルアミノピリジン,またはこれらの組み合わせを含む。
【0253】
1つの態様においては,本発明は,式VIII:
【化43】
[式中,各R4は,独立して,アルキル,アリールまたはイソアルキルを含む]の組成物を特徴とする。
【0254】
別の態様においては,本発明は,式IX:
【化44】
[式中,R4は,独立して,アルキル,アルコキシアルキル,アルキル−チオ−アルキル,シアノアルキル,または,ハロゲン,アルコキシ,ニトロおよびアルキルを含む3個までの基で独立して置換されていてもよいアリールアルキルを含み,各R4は,独立して,アルキル,アリールまたはイソアルキルを含む]
の組成物を特徴とする。
【0255】
1つの態様においては,本発明は,式XII:
【化45】
[式中,各R4は,独立して,アルキル,アリールまたはイソアルキルを含む]の組成物を特徴とする。
【0256】
別の態様においては,本発明は,式XIII:
【化46】
[式中,R4は,独立して,アルキル,アルコキシアルキル,アルキル−チオ−アルキル,シアノアルキル,または,ハロゲン,アルコキシ,ニトロおよびアルキルを含む3個までの基で独立して置換されていてもよいアリールアルキルを含み,各R4は,独立して,アルキル,アリールまたはイソアルキルを含む]
の組成物を特徴とする。
【0257】
1つの態様においては,本発明の式XIIIおよびIXのR4はイソプロピルを含む。
【0258】
別の態様においては,式XIIおよびXIIIのR4はtert−ブチルを含む。
【0259】
別の態様においては,式IXおよびXIIIのR3はメチルを含む。1つの態様においては,本発明の5−O−保護−3−O−保護−1,4−アンヒドロ−2−デオキシ−D−エリスロ−ペンチトールの選択的5−O−脱保護に適した条件は,水酸化ナトリウム,例えばエタノール中の還流水酸化ナトリウムの使用を含む。
【0260】
別の態様においては,本発明の3−O−保護−1,4−アンヒドロ−2−デオキシ−D−エリスロ−ペンチトール−5−O−スクシネートは3−O−ジメトキシトリチル−1,4−アンヒドロ−2−デオキシ−D−エリスロ−ペンチトール−5−O−スクシネートである。
【0261】
別の態様においては,本発明の3−O−保護−1,4−アンヒドロ−2−デオキシ−D−エリスロ−ペンチトール−5−O−ホスホルアミダイトは3−O−ジメトキシトリチル−1,4−アンヒドロ−2−デオキシ−D−エリスロ−ペンチトール−5−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)である。
【0262】
さらに別の態様においては,本発明の方法を用いて,LおよびD−ヌクレオシドの両方,例えば,限定されないが2’−O−シリル−β−L−リボフラノシルヌクレオシドおよび2’−O−シリル−β−L−リボフラノシルヌクレオシドホスホルアミダイトを合成することができる。
【0263】
さらに別の態様においては,本発明の本発明を用いて,LおよびD−C−ヌクレオシドの両方,例えば,限定されないが,2’−O−シリル−β−L−リボフラノシルC−ヌクレオシドおよび2’−O−シリル−β−L−リボフラノシルC−ヌクレオシドホスホルアミダイトを合成することができる。
【0264】
本発明の2’−デオキシ−2’−アミノ,2’−デオキシ−2’−N−フタロイル,2’−O−メチル,D−リボ,およびL−リボヌクレオシドおよびC−ヌクレオシドおよび1,4−アンヒドロ−2−デオキシ−D−エリスロ−ペンチトール誘導体は,核酸分子中への選択的取り込みのためのビルディングブロックとして,ヌクレオチド,C−ヌクレオチド,ヌクレオチド−三リン酸,C−ヌクレオチド三リン酸および/またはヌクレオシドホスホルアミダイトおよびC−ヌクレオシドホスホルアミダイトの化学合成において用いることができる。2’−デオキシ−2’−アミノ,2’−デオキシ−2’−N−フタロイル,2’−O−メチル,D−リボおよびL−リボヌクレオシド,C−ヌクレオシド,および1,4−アンヒドロ−2−デオキシ−D−エリスロ−ペンチトール誘導体をオリゴヌクレオチド中に取り込ませることは,例えば,限定されないが,そのような基を有しない分子と比較して,ヌクレアーゼ耐性の付与,改良された触媒活性,および増加した機能性等の多くの目的に利用することができる。これらのヌクレオシドの使用はまた,追加の官能基,リンカー,生物分子,ペプチド,蛋白質,糖,オリゴヌクレオチド,固体支持体,小分子,化学的ヌクレアーゼ,および核酸分子の所望の活性を調節するのに有用な他の分子の共有結合のための有用な足場を提供することができる。さらに,これらの核酸分子は,酵素的核酸分子,アンチセンス核酸,2−5Aアンチセンスキメラ,デコイ核酸分子,アプタマー核酸分子,トリプレックス形成オリゴヌクレオチド,キメラ核酸分子,アゴニスト核酸分子,アンタゴニスト核酸分子,または他の任意の核酸分子種として用いることができる。上述の用語は当該技術分野においてよく知られる構造および組成物を表すものであり,これに関するさらなる情報は以下に記載される。本発明の核酸分子はまた,例えば,限定されないが,治療剤,診断試薬,および研究試薬としての用途の目的のために用いることもできる。核酸分子の他の用途には,RNAまたはDNAの合成および/またはシークエンシングのためのプローブまたはプライマーとしての使用が含まれる。
【0265】
さらに,2’−デオキシ−2’−アミノ,2’−デオキシ−2’−N−フタロイル,2’−O−メチル,D−リボ,およびL−リボヌクレオシド,C−ヌクレオシドおよびヌクレオシドおよびC−ヌクレオシドホスホルアミダイトおよび1,4−アンヒドロ−2−デオキシ−D−エリスロ−ペンチトール誘導体は,酵素的核酸分子の合成において用いることができる。例えば,これらのヌクレオシドは,ハンマーヘッド,NCH(イノザイム),G−切断剤,アンバーザイム,チンザイムおよび/またはDNAザイムモチーフを有する酵素的核酸分子等の合成において用いることができる。
【0266】
本明細書において用いる場合,”核酸分子”との用語は,ヌクレオチドを有する分子を表す。核酸は,一本鎖,二本鎖,または多重鎖であることができ,修飾または未修飾ヌクレオチドまたは非ヌクレオチド,またはこれらの種々の混合物および組み合わせを含むことができる。
【0267】
本明細書において用いる場合,”アンチセンス核酸”との用語は,RNA−RNAまたはRNA−DNAまたはRNA−PNA(蛋白質核酸;Egholm et al.,1993,Nature,365,566)相互作用により標的RNAに結合し,標的RNAの活性を変化させる非酵素的核酸分子を表す(概説として,Stein and Cheng,1993,Science,261,1004およびWoolf et al.,米国特許5,849,902を参照)。典型的には,アンチセンス分子は,アンチセンス分子の1つの連続する配列に沿って標的配列に相補的であろう。しかし,ある種の態様においては,アンチセンス分子は基質分子がループを形成するように基質に結合することができ,および/またはアンチセンス分子はアンチセンス分子がループを形成するように結合することができる。すなわち,アンチセンス分子は,2つ(またはさらにそれ以上)の非連続的な基質配列に相補的であってもよく,あるいは,アンチセンス分子の2つ(またはさらにそれ以上)の非連続的な配列部分が標的配列に相補的であってもよく,これらの両方であってもよい。現在のアンチセンス戦略の概説としては,Schmajuk et al.,1999,J.Biol.Chem.,274,21783−21789,Delihas et al.,1997,Nature,15,751−753,Stein et al.,1997,Antisense N.A.Drug Dev.,7,151,Crooke,1998,Biotech.Genet.Eng.Rev.,15,121−157,Crooke,1997,Ad.Pharmacol.,40,1−49を参照されたい。さらに,アンチセンスDNAを用いてDNA−RNA相互作用によりRNAをターゲティングし,このことにより,RNaseHを活性化し,これがデュープレックス中の標的RNAを切断することができる。アンチセンスDNAは,化学的に合成してもよく,あるいは,一本鎖DNA発現ベクターまたはその同等物を用いて発現させてもよい。
【0268】
本明細書において用いる場合,”2−5Aアンチセンスキメラ”との用語は,5’リン酸化2’−5’−結合アデニル酸残基を含有するアンチセンスオリゴヌクレオチドを表す。これらのキメラは配列特異的様式で標的RNAに結合し,細胞性2−5A−依存性リボヌクレアーゼを活性化させ,次にこれは標的RNAを切断する(Torrence et al.,1993 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90,1300)。
【0269】
本明細書において用いる場合,”トリプレックス形成オリゴヌクレオチド”との用語は,配列特異的様式で二本鎖DNAに結合して,三本鎖ヘリックスを形成しうるオリゴヌクレオチドを表す。そのような三重ヘリックス構造の形成は,標的遺伝子の転写を阻害することが示されている(Duval−Valentin et al.,1992 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89,504)。
【0270】
本明細書において用いる場合,”酵素的核酸分子”との用語は,基質結合領域において特定の遺伝子標的に相補性を有し,さらに,標的RNAを特異的に切断する作用をする酵素的活性を有する核酸分子を表す。すなわち,酵素的核酸分子は,分子間でRNAを切断し,このことにより標的RNA分子を不活性化することができる。これらの相補的領域により,酵素的核酸分子が標的RNAに十分にハイブリダイズし,したがって切断をすることが可能である。相補性は高ければ高いほど,すなわち100%であることが好ましいが,50−75%程度の相補性も本発明において有用でありうる。核酸は,塩基,糖,および/またはリン酸基で修飾されていてもよい。酵素的核酸との用語は,リボザイム,触媒的RNA,酵素的RNA,触媒的DNA,アプタザイムまたはアプタマー結合リボザイム,制御可能リボザイム,触媒的オリゴヌクレオチド,ヌクレオザイム,DNAザイム,RNA酵素,エンドリボヌクレアーゼ,エンドヌクレアーゼ,ミニザイム,リードザイム,オリゴザイムまたはDNA酵素等の用語と互換的に用いられる。これらの用語はすべて酵素的活性を有する核酸分子を記述する。本明細書に記載される特定の酵素的核酸分子は限定を意味するものではなく,当業者は,本発明の酵素的核酸分子において重要なことは,これが標的核酸領域の1またはそれ以上に相補的な特異的基質結合部位を有し,この基質結合部位中またはその周囲に分子に核酸切断活性を付与するヌクレオチド配列を有することであることを認識するであろう(Cech et al.,米国特許4,987,071;Cech et al.,1988,JAMA)。
【0271】
本明細書において用いる場合,”デコイRNA”との用語は,リガンドとの天然の結合ドメインを模倣するRNA分子を表す。したがって,デコイRNAは,特定のリガンドの結合について天然の結合標的と競合する。例えば,HIVトランスアクチベーション応答(TAR)RNAの過剰発現が”デコイ”として作用することができ,HIV tat蛋白質に効率的に結合し,このことによりこれがHIV RNA中でコードされるTAR配列に結合することを妨害することが示されている(Sullenger et al.,1990,Cell,63,601−608)。これは特定の例であることを意味する。当業者は,これが唯一の例ではなく,当該技術分野において一般に知られる手法を用いて他の態様を容易になしうることを理解するであろう。
【0272】
本明細書において用いる場合,”アゴニストRNA”との用語は,高い親和性をもって蛋白質レセプターに結合することができ,特定の細胞経路の刺激を引き起こすことができるRNA分子を表す。
【0273】
本明細書において用いる場合,”アンタゴニストRNA”との用語は,細胞蛋白質に結合することができ,これが正常な生物学的機能を発揮することを妨げることができるRNA分子を表す(例えば,Tsai et al.,1992 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89,8864−8868を参照)。
【0274】
本発明のヌクレオシドを用いることができる酵素的核酸分子の例には,ハンマーヘッド,NCHまたはイノザイム,G−切断剤,チンザイム,および/またはアンバーザイムモチーフを有するもの,ならびにDNAザイムが含まれる。これらの構造モチーフはすべて当該技術分野において記述され,したがって当業者にはよく知られている。しかし,構造および関連する技術について以下に簡単に説明する。
【0275】
”ハンマーヘッド”モチーフの例は,Usman et al.,1996,Current Opinion in Structural Biology,1,527−533(図面を含めその全体を本明細書の一部としてここに引用する)に示される。
【0276】
”NCH”または”イノザイム”モチーフの例は,Ludwig et al.,米国特許出願.09/406,643(1999年9月27日出願,表題”COMPOSITIONS HAVING RNA CLEAVING ACTIVITY”),および国際公開WO98/58058およびWO98/58057(いずれも図面を含めその全体を本明細書の一部としてここに引用する)に示される。
【0277】
”G−切断剤”モチーフの例は,Eckstein et al.,国際公開No.WO99/16871(図面を含めその全体を本明細書の一部としてここに引用する)に見いだされる。
【0278】
”チンザイム”モチーフは,例えば,Beigelman et al.,国際公開No.WO99/55857(図面を含めその全体を本明細書の一部としてここに引用する)に記載されるようなモチーフを含むクラスII酵素的核酸分子である。チンザイムは,活性のためにはそれ自身の核酸配列中にリボヌクレオチド(2’−OH)基を必要としない酵素的核酸分子の非限定的例である。
【0279】
”アンバーザイム”モチーフは,例えば,Beigelman et al.,国際公開No.WO99/55857(図面を含めその全体を本明細書の一部としてここに引用する)に記載されるようなモチーフを含むクラスI酵素的核酸分子である。アンバーザイムは,活性のためにはそれ自身の核酸配列中にリボヌクレオチド(2’−OH)基を必要としない酵素的核酸分子の非限定的例である。
【0280】
’DNAザイム’との用語は,その活性のためにはDNAザイム分子中にリボヌクレオチド(2’−OH)基の存在を必要としない酵素的核酸分子を表すことを意味する。特定の態様においては,酵素的核酸分子は,結合したリンカーまたは他の結合または付随した基,成分,または2’−OH基を有する1またはそれ以上のヌクレオチドを含有する鎖を有することができる。DNAザイムは,化学的に合成してもよく,あるいは一本鎖DNAベクターまたはそれらの同等物を用いてインビボで内生的に発現させてもよい。
【0281】
”・・を含む”とは,”・・を含む”の単語の前にあるものを含むがそれには限定されないことを意味する。すなわち,”・・を含む”との用語の使用は,挙げられる要素が必要または強制的なものであるが,他の要素は任意であり,存在しても存在しなくてもよいことを示す。”・・からなる”とは,”・・からなる”の語句の前にあるものをすべて含みかつそれに限定されることを意味する。すなわち,”・・からなる”との語句は,挙げられる要素が必要な要素から実質的に構成され,他の要素は実質的に存在しないことを示す。”本質的に・・からなる”とは,この語句の前に挙げられるすべての要素を含み,挙げられる要素についての開示において特定される活性または作用を妨害せずまたはそれに貢献する他の要素に限定されることを意味する。すなわち,”本質的に・・からなる”との語句は,挙げられる要素は必要な要素から実質的に構成されるが,他の要素は任意であり,それらが挙げられる要素の活性または作用に影響を及ぼすか否かによって,存在しても存在しなくてもよいことを示す。
【0282】
本発明の他の特徴および利点は,以下の本発明の好ましい態様の説明および特許請求の範囲から明らかとなるであろう。本発明の広範な範囲は,以下の実施例を参照することにより最もよく理解される。これらの実施例は,本発明を以下に記載される特定の態様に限定することを意図するものではない。
【0283】
実施例1:5’−O−DMT−2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N4−アセチルシチジン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)(8a,R=アセチル)の合成,図3
1−β−D−アラビノフラノシル−N4−アセチルシトシン(2,R=アセチル)(Bhat,V;et al.,1989,Nucleosides & Nucleotides,8(2),179−83を改変)
1−β−D−アラビノフラノシル−シトシン(シタラビン)(1),(25g,102.75mmol, Pfanstiehl Laboratories,Cat.No.C−123,Lot#2417B)をDMF(120−ml)で3回共蒸発させ,次に無水DMF(250ml)に溶解した。無水酢酸(11.62ml,123.30mmol)を撹拌しながら滴加した。室温で24時間撹拌した後,TLC(20%MeOH/CH2Cl2)は反応の完了を示した。反応を無水MeOH(25ml)で急冷し,DMFを回転蒸発により除去し,トルエンと3回共蒸発させた。粗生成物である黄色泡状物をジエチルエーテル/メタノール(10:1.)の混合物から結晶化した。結晶化生成物を濾過し,ジエチルエーテルで洗浄し,乾燥して,27.5g(94%)の所望の生成物(2,R=アセチル)を得た。
【0284】
5’,3’−O−テトライソプロピルジシロキシ−1−β−D−アラビノフラノ シル−N4−アセチルシトシン(3,R=アセチル)
1−β−D−アラビノフラノシル−N4−アセチルシトシン(2,R=アセチル)(27.00g,94.67mmol)を無水ピリジン(250ml)と2回共蒸発させ,無水ピリジン(400ml)に溶解し,氷/水浴中で0oCに冷却した。1,3−ジクロロ−1,1,3,3−テトライソプロピルジシロキサン(36.34ml,113.6mmol)を撹拌した0oCの反応混合物に2時間かけて滴加した。反応液を室温に平衡化させ,2時間後,ピリジニウム塩酸塩の白色沈殿物が認められた。次に,5時間撹拌した後(TLC10%MeOH/CH2Cl2),反応を無水メタノール(10ml)で急冷した。ピリジンを回転蒸発により除去し,黄色生成物をCH2Cl2(400ml)に溶解し,NaHCO3(400ml)で2回洗浄し,硫酸ナトリウムで乾燥し,濾過し,蒸発乾固させた。生成物を水/EtOH(1:1,300ml総容量,さらに数滴のEtOHを熱溶液に加えて曇りを除去する。フィルターは60−100ミクロンであるべきである)の混合物から結晶化した。結晶をP2O5で真空下で一夜乾燥した。この反応の総収量は44.2g(89%)であった。
【0285】
5’,3’−O−テトライソプロピルジシロキシ−2’−トリフルオロメタンスルホニル−1−β−D−アラビノフラノシル−N4−アセチルシトシン(4,R=アセチル)
無水ジクロロメタン(300ml)中の,5’,3’−O−テトライソプロピルジシロキシル−1−β−D−アラビノフラノシル−N−4−アセチルシトシン(3,R=アセチル)(44g,83.23mmol),DMAP(30.54g,250.00mmol)およびピリジン(20.22ml,250.00mmol)の,0oCでアルゴン下で撹拌した溶液に,無水トリフリル(18.20ml,108.2mmol)をシリンジを用いて30分間かけて滴加した。添加の間に発熱しないように,温度および無水トリフリルの添加の速度をモニターした。0oCで4時間撹拌し,反応混合物が黄色味/橙色に変化し,TLC(70%EtOAc/CH2Cl2)が反応の完了を示した後,反応を無水MeOH(20ml)で急冷した。冷1.5%酢酸または水中クエン酸(2X1000ml)で,次に水性炭酸水素ナトリウム(1000ml)で洗浄することによりピリジンおよびDMAPを除去した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し,濾過し,濾液を真空下で蒸発させた。トリフレートはさらに精製することなく用いた。
【0286】
5’,3’−O−テトライソプロピルジシロキシ−2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N4−アセチルシチジン(5a,R=アセチル)
アルゴン下で無水アセトニトリル(200ml)中で0oCで撹拌した5’,3’−O−テトライソプロピルジシロキシル−1−β−D−アラビノフラノシル−N4−アセチルシトシン−2’−O−トリフレート(4,R=アセチル)(粗生成物,29.34g,44.45mmol)およびフタルイミド(7.85g,53.34mmol)の溶液に,DBU(7.96ml,53.34mmol)をシリンジによりゆっくり加えた。DBUを加えるまで沈殿物は溶解せず,加えたとき,反応液は橙色/赤色に変化し,白色沈殿物が形成された。反応混合物を室温で24時間撹拌し,このとき,TLC(70%EtOAc/CH2Cl2)は反応の完了を示した。白色沈殿物を濾過し,アセトニトリル(75ml)で3回洗浄した。濾液を合わせ,蒸発乾固させた。残渣を200mlのジクロロメタンに溶解し,炭酸水素ナトリウム(3x150)で3回洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し,濾過し,蒸発乾固させた。得られた泡状物を酢酸エチルに溶解し,シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した。次に残渣をトルエン/ヘキサン(1:2)から結晶化して,所望の生成物を灰白色固体として得た。18.00g,64.5%,2工程。
【0287】
主要な競合副反応(10−15%)は,1’と2’炭素との間に二重結合を有する除去生成物の形成である(例えば,図12を参照)。
【0288】
2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N4−アセチルシチジン(6a,R=アセチル)
アルゴン下で無水THF中で0oCで撹拌した5’,3’−O−テトライソプロピルジシロキサン−2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N4−アセチルシチジン(5a,R=アセチル)(27.00g,41.1mmol)の溶液に,TEA・3HF(14.7ml,90.41mmol)をシリンジにより滴加した。反応混合物を室温で平衡化させ,4時間撹拌した。TLC(20%MeOH/CH2Cl2)は反応の完了を示し,溶媒を真空下で除去し,反応混合物をTHF(200ml)で2回共蒸発させた。得られた白色/黄色固体を少量のメタノールを含むCH2Cl2から結晶化して,15.0g(88%)の6a,R=アセチルを得た。
【0289】
5’−O−DMT−2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N4−アセチルシチジン(7a,R=アセチル)
2’−N−フタロイル−N4−アセチルシチジン(6a,R=アセチル)(14.7g,35.5mmol)を無水ピリジンとともに2回共蒸発させ,次に無水ピリジンに溶解した。4’,4’−塩化ジメトキシトリチル(15.62g,46.10mmol)を,0(Cで反応混合物に加えた。0(Cで一夜撹拌した後,TLC(5%EtOH/EtOAc)は反応の完了を示した。反応を10mlの無水MeOHで急冷し,溶媒を真空下で除去した。残渣をジクロロメタン(500ml)に溶解し,炭酸水素ナトリウム(500ml)で2回洗浄し,有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し,濾過し,蒸発乾固させた。残渣をトルエンから結晶化して,所望の生成物(7a,R=アセチル)を白色結晶固体として得た。23.8g(94%)。
【0290】
5’−O−DMT−2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N4−アセチルシチジン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)(8a,R=アセチル)
アルゴン下で無水ジクロロメタン(350ml)中で0oCで撹拌した5’−DMT−2’−N−フタロイル−N4−アセチルシチジン(7a,R=アセチル)(26.00g,36.35mmol)の溶液に,ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA,17.73ml,101.77mmol)および1−メチルイミダゾール(12.90ml,36.35mmol)を加えた。塩化N,N−ジイソプロピルアミノシアノエチルホスホルアミジン(10.53ml,47.26mmol)を反応混合物に滴加した。室温で4時間後,TLC(100%EtOAc)は反応の完了を示した。反応を無水MeOH(3ml)で急冷し,蒸発乾固させた。残渣を60%−100%EtOAc/ヘキサンの勾配を用いてフラッシュクロマトグラフィーにより精製して,95%の収率を得た。
【0291】
実施例2:5’−O−ジメトキシトリチル−2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−ウリジン3’−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)(16a)の合成,図4
5’,3’−O−(テトライソプロピルジシロキサン−1,3−ジ−イル)−1−β−D−アラビノフラノシル−ウラシル(11)の合成
1−β−D−アラビノフラノシル−ウラシル(10)(2.44g,10mmol)を,無水ピリジンと2回共蒸発させることにより乾燥し,次に無水ピリジン中に再溶解した。上述の溶液を冷却し(0(C),10mLの無水ジクロロメタン中の1,3−ジクロロ−1,1,3,3−テトライソプロピルシロキサン(3.52mL,11.0mmol)の溶液を,撹拌しながら滴加した。添加が完了した後,反応混合物を室温まで暖め,さらに2時間撹拌した。次に反応をMeOH(10mL)で急冷し,蒸発乾固させた。残渣をジクロロメタンに溶解し,飽和NaHCO3およびブラインで洗浄し,Na2SO4で乾燥し,濾過した。有機層を蒸発乾固させ,次にトルエンと共蒸発させて,痕跡量のピリジンを除去して,4.8g(98%)の化合物(11)を得,これをさらに精製することなく用いた。
【0292】
5’,3’−O−テトライソプロピルジシロキシ−2’−デオキシ−2’−トリフルオロメタンスルホニル−1−β−D−アラビノフラノシル−ウラシル(12)
無水ジクロロメタン中の5’,3’−O−(テトライソプロピルジシロキサン−1,3−ジ−イル)−1−β−D−アラビノフラノシル−ウラシル(11)(4g,8.2mmol)の撹拌氷冷溶液に,無水トリフルオロメタンスルホン酸(1.66mL,9.86mmol)を加え,反応混合物を−5oCで30分間撹拌した。次に反応液をジクロロメタンで希釈し,冷1%水性酢酸で,次に飽和水性炭酸水素ナトリウムおよびブラインで洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し,濾過し,真空下で蒸発乾固させた。残渣はさらに精製することなく次の工程(実施例10)で用いた。
【0293】
5’,3’−O−テトライソプロピルジシロキシ−2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−ウリジン(13a)
表題化合物は,実施例1の5’,3’−テトライソプロピルジシロキシ−2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N4−アセチル−シチジンと同様に製造した。収率=65−70%。
【0294】
2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−ウリジン(14a)
表題化合物は,実施例1の2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N4−アセチル−シチジンと同様に製造した。収率=90%。
【0295】
5’−O−ジメトキシトリチル−2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−ウリジン(15a)の合成
表題化合物は,実施例1の5’−O−ジメトキシトリチル−2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N4−アセチル−シチジンと同様に製造し,フラッシュクロマトグラフィーにより5%−10%アセトン/ジクロロメタンの勾配を溶出液として用いて精製した。収率=90%。この精製は,トルエンおよびヘキサンからの結晶化で置き換えることができる。
【0296】
5’−O−ジメトキシトリチル−2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−ウリジン3’−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)(16a)の合成
表題化合物は,標準的なホスフィチル化方法(実施例1において化合物(9)について記載したとおり)にしたがって製造した。シリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーにより,60%−100%EtOAc/ヘキサンの勾配を溶出液として用いて精製した。収率=85%。
【0297】
実施例3:5’−O−ジメトキシトリチル−2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N6−tertブチルベンゾイルアデノシン−3’−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)(25a,R=t−BuBz)の合成,図5
5’,3’−O−テトライソプロピルジシロキシ−1−β−D−アラビノフラノシル−アデニン(19)
1−β−D−アラビノフラノシル−アデニンHCl(18)(5g,16.46mmol,Pfanstiehl Laboratories)を無水ピリジンから2回共蒸発させ,無水ピリジン(50ml)に懸濁し,氷水中で0oCに冷却した。1,3−ジクロロ−1,1,3,3−テトライソプロピルジシロキサン(6.6ml,20.23mmol)を,冷撹拌ヌクレオシド溶液に加えた。添加が完了した後,反応混合物を室温まで暖め,さらに2時間撹拌した。次に反応を1mlのエタノールで急冷した。溶媒を真空下で除去し,残渣をジクロロメタンに溶解し,飽和炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄し,硫酸ナトリウムで乾燥し,濾過し,蒸発乾固させて,8.5gの(19)を白色泡状物(8.5g)として得た。生成物(19)はさらに精製することなく用いた。
【0298】
5’,3’−O−テトライソプロピルジシロキシ−2’−トリフルオロメタンスルホニル−1−β−D−アラビノフラノシルアデニン(20)
無水ジクロロメタン中の(19)の冷溶液(−10oC)を塩化トリフルオロメタンスルホニル(1.53mL,14.4mmol)で20分間処理した。得られた溶液を無水ジクロロメタンで希釈し,冷(0oC)1%水性酢酸で,次に飽和水性NaHCO3およびブラインで洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し,濾過し,蒸発乾固させて,誘導体(20)を得,これをさらに精製することなく用いた。
【0299】
5’,3’−O−テトライソプロピルジシロキシ−2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−アデノシン(21a)
DBU(2.8ml,18.7mmol)を,無水アセトニトリル中の5’,3’−テトライソプロピルジシロキシ−1−β−D−アラビノフラノシルアデニン−2’−トリフレート(20)(10g)およびフタルイミド(2.52g,17.2mmol)の撹拌溶液に正のアルゴン圧の下で滴加した。混合物を室温で一夜撹拌した。次に反応混合物を蒸発乾固させ,ジクロロメタンに溶解し,飽和水性炭酸水素ナトリウム溶液およびブラインで洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し,濾過し,真空下で蒸発乾固させた。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製して,5.4g(18から51%)の2’−N−フタロイル誘導体(21a)を得た。
【0300】
5’,3’−O−テトライソプロピルジシロキシ−2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N6−tert−ブチルベンゾイルアデノシン(22a,R=t−BuBz)
2’−デオキシ−2’−N−フタロイル誘導体(21a)(5.4g,8.45mmol)を無水ピリジンに溶解し,塩化4−tert−ブチルベンゾイル(1.2当量)を0oCで加え,反応混合物を室温で一夜放置した。次に反応液をメタノール(10mL)で急冷し,溶媒を真空下で除去し,残渣をトルエンに溶解し,蒸発乾固させた。得られた油状物をジクロロメタンに溶解し,飽和水性NaHCO3およびブラインで洗浄し,硫酸ナトリウムで乾燥し,濾過し,蒸発乾固させた。残渣をシリカ上のフラッシュクロマトグラフィーでEtOAc−ヘキサン(1:2)混合物を溶出液として用いて精製して,5.06g(75%)の完全に保護されたシントン(22a,R=t−BuBz)を得た。
【0301】
2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N6−tert−ブチルベンゾイルアデノシン(23a)の合成
5’,3’−テトライソプロピルジシロキシ−2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N2−tert−ブチルベンゾイルアデノシン(22a,R=t−BuBz)(2.4g,3.0mmol)を50mlの無水THFに溶解した。トリエチルアンモニウムフッ化水素酸塩(1.47ml,9.0mmol)を加え,反応混合物を室温で一夜撹拌した。次に,撹拌しながら炭酸水素ナトリウム溶液を加えて反応を急冷し,塩化メチレンで抽出し,硫酸ナトリウムで乾燥し,濾過し,真空下で蒸発乾固させた。この物質をフラッシュクロマトグラフィーにより精製して,1.52g(91%)の2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N2−tert−ブチルベンゾイルアデノシン(23a,R=t−BuBz)を得た。
【0302】
5’−O−ジメトキシトリチル−2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N6−tert−ブチルベンゾイルアデノシン(24a,R=t−BuBz)の合成 表題化合物は,標準的なジメトキシトリチル化方法(実施例1において記載したとおり)を用いて製造した。収率90%。
【0303】
5’−O−ジメトキシトリチル−2’−デオキシ−2’−N−フタロイル−N6−tert−ブチルベンゾイルアデノシン−3’−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)(25a,R=t−BuBz)
表題化合物は,標準的なホスフィチル化方法(実施例1において化合物9について記載したとおり)にしたがって製造した。シリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーにより,溶出液として60%−100%EtOAc/ヘキサンの勾配を用いて精製して,(25a),R=t−BuBzを得た。収率95%。
【0304】
実施例4:5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリル−N4−アセチルシチジン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)(43)の合成,図7
5’,3’−ジ−tert−ブチルシランジイル−2’−tert−ブチルジメチルシリル−N4−アセチルシチジン(40)
DMF(20ml)中のシチジン(38)(2.43g,10mmol)の懸濁液を,0oCでメタンスルホン酸(0.71ml,11mmol)で処理した。ジ−tert−ブチルシリルジトリフレート(3.6ml,11mmol)を得られた溶液に加え,反応液を0oCで30分間撹拌した。次にイミダゾール(4.08g,60mmol)を加え,反応混合物を室温で30分間撹拌した。塩化Tert−ブチルジメチルシリル(1.81g,12mmol)を加え,得られた反応混合物を60°Cで2時間加熱し,室温に冷却し,溶媒を真空下で除去した。残渣をジクロロメタンと水との間に分配した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し,濾過し,蒸発させて,粗生成物(39)を黄色がかった油状物として得た。粗生成物(39)を乾燥クロロホルム(20ml)に溶解し,次に,ピリジン(2.5ml)および無水酢酸(1.42ml,15mmol)を加えた。室温で一夜反応を進行させ,クロロホルム(25ml)で希釈し,水で,次に炭酸水素ナトリウムで洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し,濾過し,溶媒を真空下で除去した。残渣を酢酸エチルから結晶化して,(40)を無色結晶として得た。4.12g,収率76%。
【0305】
5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリル−N4−アセチルシチジン(42)
フッ化水素−ピリジン(Aldrich,0.2ml,8mmol)を冷却しながら注意深くピリジン(1.2ml)で希釈した。得られた溶液を,ジクロロメタン(10ml)中の(40)(1.08g,2mmol)の0oCの撹拌懸濁液にゆっくり加えた。0(Cで2時間反応を進行させた。反応混合物をジクロロメタンで希釈し,水,次に飽和炭酸水素ナトリウム溶液で希釈した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し,濾過し,蒸発させて,0.86gの粗生成物(41)を白色結晶として得た。これをピリジン(5ml)に溶解し,塩化ジメトキシトリチル(0.74g,2.2mmol)で0oCで処理した。反応混合物を0oCで一夜保存し,無水メタノール(0.2ml)で急冷し,真空下で蒸発させた。残渣をジクロロメタンと水との間に分配した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄し,硫酸マグネシウムで乾燥し,濾過し,溶媒を真空下で除去した。フラッシュクロマトグラフィー(勾配40−60%アセトン−ヘキサン)により,(42)を白色泡状物として得た。1.1g,78%。
【0306】
5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリル−N4−アセチルシチジン3’−N,N−ジイソプロピル(シアノエチル)ホスホルアミダイト(43)
化合物(43)は,2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルクロロホスホルアミダイト(2.5当量),N,N−ジイソプロピルエチルアミン(4当量)および1−メチルイミダゾール(0.5当量)を用いて,標準的なホスフィチル化方法(実施例1において化合物9について記載したとおり)により,白色泡状物として得た。収率84%。
【0307】
実施例5:5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリルウリジン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)(48)の合成,図8
5’,3’−ジ−tert−ブチルシランジイル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリルウリジン(45)
ジ−tert−ブチルシリルジトリフレート(1.8ml,5.5mmol)を,DMF(10ml)中のウリジン(44)(1.22g,5mmol)の溶液に加え,反応液を0oCで30分間撹拌した。イミダゾール(1.7g,25mmol)を加え,反応混合物を室温で30分間撹拌し,次に塩化tert−ブチルジメチルシリル(0.9g,6mmol)で処理した。60oCで2時間撹拌した後,溶媒を真空下で除去し,残渣をジクロロメタンと水との間に分配した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し,濾過し,蒸発させた。残渣をアセトニトリルから結晶化して,(45)を白色結晶として得た。1.94g,収率77.9%。
【0308】
5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリルウリジン(47)
フッ化水素−ピリジン(Aldrich,0.1ml,4mmol)を冷却しながら注意深くピリジン(0.6ml)で希釈した。得られた溶液をジクロロメタン(5ml)中の(45)(0.5g,1mmol)の0oCの撹拌溶液にゆっくり加え,0oCで1時間反応を進行させた。次に,反応混合物をジクロロメタンで希釈し,水で,次に飽和炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し,濾過し,蒸発させて,粗生成物(46)を白色結晶として得た。これをピリジン(3ml)に溶解し,塩化ジメトキシトリチル(0.37g,1.1mmol)で0(Cで処理した。反応混合物を0oCで一夜保存し,無水メタノール(0.2ml)で急冷し,真空下で蒸発させた。残渣をジクロロメタンと水との間に分配した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄し,硫酸マグネシウムで乾燥し,濾過し,溶媒を真空下で除去した。フラッシュクロマトグラフィー(勾配20−40%酢酸エチル−ヘキサン)により(47)を黄色がかった泡状物として得た。0.6g,90.9%。
【0309】
5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリル−N4−アセチルシチジン3’−N,N−ジイソプロピル(シアノエチル)ホスホルアミダイト(48)
化合物(48)は,2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルクロロホスホルアミダイト(2.5当量),N,N−ジイソプロピルエチルアミン(4当量)および1−メチルイミダゾール(0.5当量)を用いて,標準的なホスフィチル化方法(実施例1において化合物9について記載したとおり)により,灰白色泡状物として得た。収率83%。
【0310】
実施例6:5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリル−N6−ベンゾイルアデノシン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)(54)の合成,図9
5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリルアデノシン(50)
ジ−tert−ブチルシリルジトリフレート(3.6ml,11mmol)を,無水DMF(80ml)中のアデノシン(10.69g,40mmol)の撹拌懸濁液に0oCで15分間かけて滴加した。得られた溶液を0oCで30分間撹拌し,次にイミダゾール(13.6g,200mmol)を一度に加えた。混合物を0oCで5分間,次に室温で25分間撹拌した。得られた懸濁液をtert−ブチルジメチルクロロシラン(7.24g,48mmol)で処理した。60oCで2時間反応を進行させた。約45分後に沈殿物が消失し,1時間後に(50)の結晶が形成された。化合物(50)を濾過により回収し,冷アセトニトリルで洗浄し,次に真空下で乾燥した。収量17.89g(85.7%)。
【0311】
5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリル−N6−ベンゾイルアデノシン(51)
塩化ベンゾイル(8ml,68.86mmol)を,無水ピリジン(100ml)中の(50)(17.89g,34.28mmol)の撹拌懸濁液に0oCで滴加した。5分後,反応液を室温に暖め,2.5時間撹拌した。混合物を0oCに冷却した後,撹拌しながらモルホリン(12ml,137.9mmol)をゆっくり加えた。0oCで45分後,反応混合物を蒸発させ,残渣を塩化メチレンと水との間に分配した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し,真空下で蒸発させた。アセトニトリル(100ml)から結晶化して,(51)を結晶物質として得た。収量16.47g(76.8%)。
【0312】
5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリル−N6−ベンゾイルアデノシン(53)
フッ化水素−ピリジン(Aldrich,2.7ml,105.3mmol)を,ピリジン(17ml)で注意深く希釈した。得られた溶液を,無水塩化メチレン(130ml)中の51(16.47g,26.3mmol)の撹拌溶液にゆっくり加え,0oCで1時間反応を進行させた。次に反応混合物を水で,次に飽和炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し,濾過し,真空下で蒸発させた。この物質のピリジン(50ml)中の溶液に,塩化ジメトキシトリチル(9.8g,28.93mmol)を加え,反応混合物を0oCで一夜撹拌した。次に無水メタノール(0.25ml)を加えて反応を急冷し,真空下で蒸発させた。得られた残渣を塩化メチレンと水との間に分配した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄し,硫酸マグネシウムで乾燥し,濾過し,真空下で蒸発させた。シリカ上のフラッシュクロマトグラフィーにより,酢酸エチル/ヘキサン勾配(30−50%)を用いて,(53)を白色泡状物として得た。収量19.2g(94.8%)。
【0313】
5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリル−N6−ベンゾイルアデノシン3’−N,N−ジイソプロピル(シアノエチル)ホスホルアミダイト(54)
化合物(54)は,2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルクロロホスホルアミダイト(2.5当量),N,N−ジイソプロピルエチルアミン(4当量)および1−メチルイミダゾール(0.5当量)を用いて,標準的なホスフィチル化方法(実施例1において化合物9について記載したとおり)により,白色泡状物として得た。収率85%。
【0314】
実施例7:5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリル−N2−イソブチリルグアノシン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)(60)の合成,図10
5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリルグアノシン(56)
無水グアノシン(55,11.33g,40mmol,一水和物を真空下で100(Cで7時間乾燥することにより製造)を無水DMF(80ml)に懸濁し,0oCで撹拌しながらジ−tert−ブチルシリルジトリフレート(14.3ml,44mmol)を15分間かけて滴加した。得られた溶液を0oCで30分間撹拌し,次にイミダゾール(13.6g,200mmol)を加えた。反応混合物を0oCで5分間,次に室温で25分間撹拌した。Tert−ブチルジメチルクロロシラン(7.24g,48mmol)を加え,反応を60oCで2時間進行させた。得られた(56)の沈殿物を濾過により分離し,冷メタノールで洗浄し,真空下で乾燥した。収量18.81g(87.4%)。
【0315】
5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイルエノ−2’−O−tert−ブチルジメチルシリル−N2−イソブチリルグアノシン(57)
塩化イソブチリル(10.4ml,100mmol)を,0oCで,無水塩化メチレン(100ml)およびピリジン(30ml)中の(56)(26.89g,50mmol)の撹拌懸濁液に滴加した。室温で3時間反応させ,メタノール(40ml)で希釈し,氷浴中で冷却した。メチルアミンのエタノール性溶液(8M,25ml,200mmol)を反応混合物にゆっくり加えた。30分後,反応混合物を蒸発させて,スラリーを得,これをメタノール(100ml)で希釈し,0oCで2時間放置した。得られた沈殿物を濾過し,冷メタノールで洗浄し,真空下で乾燥して,29.26g(96.2%)の化合物(57)を得た。
【0316】
5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリル−N2−イソブチリルグアノシン(59)
フッ化水素−ピリジン(Aldrich,4ml,154mmol)を,冷却しながらピリジン(25ml)で注意深く希釈した。得られた溶液を,無水塩化メチレン(200ml)中の(57)(24.36g,40mmol)の撹拌懸濁液に0oCでゆっくり加え,0oCで2時間反応を進行させた。得られた溶液を水で,次に飽和炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し,濾過し,蒸発させて,粗生成物(58)を半晶質物質として得た。これをピリジン(80ml)に溶解し,塩化ジメトキシトリチル(14.91g,44mmol)を0oCで加えた。反応混合物を0oCで一夜保存し,無水メタノール(0.5ml)で急冷し,真空下で蒸発させた。得られた残渣を塩化メチレンと水との間に分配した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄し,硫酸マグネシウムで乾燥し,濾過し,濃縮して,粗生成物(59)を得,これをジクロロメタン(20ml)およびエーテル(200ml)から再結晶して,化合物(59)を白色細粉末として得た。収率24.16g(78.4%)。
【0317】
5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリル− N2−イソブチリルグアノシン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)(60)
化合物60は,2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルクロロホスホルアミダイト(2.5当量),N,N−ジイソプロピルエチルアミン(4当量)および1−メチルイミダゾール(0.5当量)を用いて,標準的なホスフィチル化方法(実施例1において化合物9について記載したとおり)により,白色泡状物として得た。収率86%。
【0318】
実施例8:5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−メチル−N2−イソブチリルグアノシン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)(69)の合成,図11
2,6−ジアミノ−9−(3’,5’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−β−D−リボフラノシル)プリン(62)
ジ−tert−ブチルシリルビス(トリフルオロメタンスルホネート)(17.8ml,55mmol)を,100ml無水DMF中の2,6−ジアミノプリンリボシド(61)(14.11g,50mmol)の撹拌懸濁液に0oCでゆっくり加えた。得られた溶液を0oCで30分間撹拌し,次にイミダゾール(8.16g,120mmol)を加えた。0oCで5分間,次に室温で30分間反応を進行させた。溶液を真空下で濃縮してスラリーとし,これをメタノール(120ml)で希釈した。化合物(62)を濾過により回収し,冷メタノールで洗浄し,次に真空下で60oCで乾燥した。収量17.2g(83.8%)。
【0319】
2,6−ジアミノ−9−(3’,5’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−2’−O−メチル−β−D−リボフラノシル)プリン(63)
無水DMF(40ml)中の(62)(2.11g,5mmol)の−20oCの撹拌溶液に,ヨウ化メチル(0.93ml,15mmol)を加え,次に水素化ナトリウムを60%ミネラルオイル懸濁液(0.3g,7.5mmol)として加えた。反応混合物を−20oCで1.5時間撹拌し,塩化アンモニウム(1.5g)で急冷した。得られた懸濁液をクロロホルム(75ml)と水(50ml)との間に分配した。水性層を追加のクロロホルムで洗浄した。合わせたクロロホルム抽出物を50mlの水で洗浄し,水性層をクロロホルムで逆抽出した。得られた有機溶液を硫酸マグネシウムで乾燥し,濾過し,溶媒を真空下で除去した。ジクロロメタン−ヘキサン混合物(1:1)から結晶化して,(63)を無色結晶として得た。収量1.92g(88%)。
【0320】
2,6−ジアミノ−N2,N6−ジ−イソブチリル−9−(3’,5’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−2’−O−メチル−β−D−リボフラノシル)プリン(64)
無水ピリジン(10ml)中の(63)(1.75g,4mmol)の撹拌懸濁液に,0oCで塩化イソブチリル(1.04ml,2.5mmol)を加えた。反応混合物を室温で2時間撹拌し,メタノール(0.5ml)で急冷し,真空下で蒸発させた。得られた残渣を塩化メチレンと水との間に分配した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウムで洗浄し,硫酸ナトリウムで乾燥し,濾過し,溶媒を真空下で除去した。アセトニトリルから結晶化して,1.95gの(64)を白色結晶として得た。収率84.8%。
【0321】
2,6−ジアミノ−N2−イソブチリル−9−(3’,5’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−2’−O−メチル−β−D−リボフラノシル)プリン(65)
メタノール(5ml)およびトリエチルアミン(0.3ml)中の(64)(1.15g,2mmol)の溶液を室温で24時間保存した。次に得られた沈殿物(65)を濾過し,冷メタノールで洗浄し,真空下で乾燥した。収量0.9g(89%)。
【0322】
5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−2’−O−メチル−N2−イソブチリルグアノシン(66)
酢酸(5ml),THF(5ml),ジクロロメタン(3ml)および水(1ml)の撹拌混合物中の(65)(0.76g,1.5mmol)の溶液に,亜硝酸ナトリウム(0.83g)を加えた。3時間後,追加の亜硝酸ナトリウムを加え,撹拌した反応混合物を室温で48時間保存した。次に反応混合物を水とジクロロメタンとの間に分配し,有機層を飽和炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄し,硫酸マグネシウムで乾燥し,濾過し,真空下で濃縮した。酢酸エチルから結晶化して,(66)を僅かに黄色の結晶として得た。0.65g,収率85%。
【0323】
2’−O−メチル−N2−イソブチリル−グアノシン(67)
無水ジクロロメタン(5ml)中の(66)(0.51g,1mmol)の撹拌溶液に,ピリジン(0.5ml)を,次にフッ化水素−ピリジン(38.5M,0.1ml)を加えた。15分後,溶媒を真空下で除去した。5−10%メタノール/ジクロロメタンの勾配を用いるフラッシュクロマトグラフィーにより,(67)を白色泡状物として得た。0.34g,収率93%。
【0324】
5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−メチル−N2−イソブチリルグアノシン(68)
化合物(68)は,標準的なジメトキシトリチル化方法(実施例1において記載したとおり)を用いて製造した。
【0325】
5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−メチル−N2−イソブチリルグアノシン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)(69)
化合物(69)は,標準的なホスフィチル化方法(実施例1において化合物9について記載したとおり)にしたがって製造した。シリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーにより60%−100%のEtOAc/ヘキサンの勾配を溶出液として用いて精製し,真空下で蒸発させた後に,(69)を白色泡状物として得た。
【0326】
実施例9:2’−O−メチル−N6−ベンゾイルアデノシン(75)の合成(図13)
5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイルアデノシン(72)
ジ−tert−ブチルシリルジトリフレート(50g,113mmol)を,DMF(200ml)中のアデノシン(71)(27.5g,103mmol)の撹拌懸濁液に0(Cで30分間かけて滴加した。得られた溶液を0(Cで30分間撹拌し,次にイミダゾール(16.2g,237mmol)を一度に加えた。混合物を0(Cで45分間撹拌し,(72)の沈殿物を濾別し,メタノールで洗浄し,真空下で乾燥して,31gの(72)を白色細粉末として得た。母液を蒸発させ,残渣をメタノール中で砕いて,第2取得分の(72)を得た。4.9g。(72)の合わせた収量は35.9g(85.5%)であった。
【0327】
5’,3’−O−ジ−tert−ブチルシランジイル−2’−O−メチルアデノシン(73)
化合物(72)(35.9g,88.1mmol)を1−メチル−2−ピロリジノン(60ml)およびDMF(240ml)の混合物に80(Cで溶解した。得られた溶液を−35(Cに冷却し,硫酸ジメチル(20.9ml,220.4mmol)を加えた。水素化ナトリウム(5.99g,60%懸濁液,ミネラルオイル中,149.8mmol)を約75mlのトルエンで洗浄し,次にトルエンに懸濁した(約15ml)。得られた懸濁液をシリンジを用いて撹拌しながら反応混合物に滴加した。ほぼすべての出発物質が消費されるまで−35(Cで反応を進行させた(約4時間)。メタノール(200ml),次に水(100ml)を注意深く加えることにより反応を急冷した。得られた懸濁液を−20から−30(Cで30分間撹拌した。(73)の沈殿物を濾別し,フィルターベッド上でメタノールで2回洗浄し,次に真空下で乾燥して,約85%の純度を有する28.1gの粗生成物(73)を得た。収率60−65%。
【0328】
2’−O−Me−N6−ベンゾイルアデノシン(75)
170mlのピリジン中の粗生成物(73)(28.1g,約56mmol)の懸濁液を0(Cで塩化ベンゾイル(13ml,112mmol)で処理し,反応液を室温で一夜撹拌した。モルホリン(20.5ml,256mmol)を0(Cで反応混合物に加え,混合物を0(Cで1.5時間撹拌し,次に真空下で濃縮した。残渣をジクロロメタンと水との間に分配した。有機層をさらに水で洗浄し,硫酸マグネシウムで乾燥し,濃縮して,粗生成物(74)を無色泡状物として得た。後者をジクロロメタン(210ml)およびピリジン(18ml)に溶解し,0(Cに冷却し,フッ化水素−ピリジン(Aldrich,70%,3.3ml,127mmol)で処理した。混合物を0(Cで2時間撹拌し,得られた沈殿物を濾別し,ジクロロメタンで洗浄して,19.0gの粗生成物(75)を得た。母液を蒸発させ,残渣をアセトン(20ml)およびメタノール(3ml)の混合物から結晶化して,第2取得分の粗生成物(75)を得た。3.1g。すべての粗生成物(75)(22.1g)をメタノール(60ml)から再結晶して,15.9gの純粋な(75)を得た。アデノシン(71)出発物質に基づく合計収率は40.1%であった。
【0329】
実施例10:1,4−アンヒドロ−2−デオキシ−D−エリスロ−ペンチトール誘導体の合成(図15)
5−O−tert−ブチルジメチルシリル−1,4−アンヒドロ−2−デオキシ−D−エリスロ−ペンチトール(85a)
メタンスルホン酸(0.65ml,10mmol)を30mlのHMDSに滴加し,得られた懸濁液を均一になるまでアルゴン雰囲気下で還流した(約45分間)。得られた溶液に5’−O−tert−ブチルジメチルシリルチミジン(82a,3.56g,10mmol)を加え,混合物を3時間加熱還流した。この83aの反応溶液を室温にし,水素化フラスコに移し,Pd/C(10%,0.3g)で35psiの水素圧で室温で1時間水素化した。触媒を濾別し,濾液を蒸発させ,残渣を35mlのジクロロメタンに溶解した。得られた溶液をリン酸ナトリウム一塩基(15%,15ml)の撹拌溶液にゆっくり加えた。混合物を15分間激しく撹拌し,2gのセライトで処理し,チミンをセライトとともに濾別した。有機相を分離し,飽和炭酸水素ナトリウムで洗浄し,硫酸ナトリウムで乾燥し,蒸発乾固させた。粗生成物84aをメタノール(20ml)に溶解し,溶液にピリジニウムトリフルオロ酢酸(0.1g,0.5mmol)を加えた。30分後,メタノールを除去し,粗生成物85aをシリカゲルで20−30%酢酸エチル/ヘキサンの勾配を用いてカラムクロマトグラフィーにより精製して,1.8g(77.6%)の純粋な85aをわずかに黄色の油状物として得た。1H NMR(CDCl3)δ:4.40(m,1H,H3),4.02(dd,2H,J1a,1b=8.2Hz,J1,2=5.4Hz,H1a,H1b),3.84(m,2H,H4,H5a),3.61(dd,1H,J5a,5b=11.6Hz,J5,4=7.6Hz,H5b),2.24(m,1H,H2a),1.98(m,1H,H2b),1.96(m,1H,OH),0.98(s,9H,t−Bu),0.15(s,6H,Me)。異なる触媒を使用した82から83への変換は表IIに示される。
【0330】
3−O−ジメトキシトリチル−5−O−tert−ブチルジメチルシリル−1,4−アンヒドロ−2−デオキシ−D−エリスロ−ペンチトール(86a)
5’−O−tert−ブチルジメチルシリルチミジン(82a,28.52g,80mmol)を上述したように粗生成物85aに変換した。このようにして製造した粗生成物85aをピリジン(100ml)と共蒸発させ,次にピリジン(80ml)に溶解した。塩化ジメトキシトリチル(24.4g,72mmol)およびジメチルアミノピリジン(1g,8.2mmol)を加え,室温で一夜反応を進行させた。減圧下で濃縮した後,混合物をジクロロメタンと水との間に分配した。有機相を分離し,飽和炭酸水素ナトリウムで洗浄し,硫酸ナトリウムで乾燥し,蒸発させて,茶色残渣を得た。残渣をシリカゲルのカラムクロマトグラフィーで5−10%酢酸エチル−ヘキサンの勾配を用いて精製して,86aを黄色がかった油状物として得た。収量29.8g(69.6%)。1H NMR(CDCl3)δ:7.43(m,9H,Ph),6.92(m,4H,Ph),4.21(m,1H,H3),4.02(m,1H,H4),3.96(m,2H,H1a,H1b),3.88(s,6H,OCH3),3.54(dd,1H,J5a,5b=11.1Hz,J5a,4=3.2Hz,H5a),3.38(dd,1H,J5b,5a=11.1Hz,J5b,4=4.4Hz,H5b),1.54(m,1H,H2a),1.32(m,1H,H2b),0.89(s,9H,t−Bu),0.04(s,3H,Me),0.02(s,3H,Me)。
【0331】
3−O−ジメトキシトリチル−1,4−アンヒドロ−2−デオキシ−D−エリスロ−ペンチトール(87)
水酸化ナトリウム(10N溶液,9ml)を,エタノール(120ml)中の86a(16.2g,29.6mmol)の溶液に加え,反応混合物を6時間還流した。室温に冷却した後,反応混合物を減圧下で蒸発させ,ジクロロメタンと水との間に分配した。有機層を水で,次にリン酸ナトリウム一塩基溶液(15%)で洗浄し,硫酸ナトリウムで乾燥し,蒸発させた。残渣をシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーで40−60%酢酸エチル−ヘキサンの勾配を用いて精製して,11.6g(93.2%)の87を白色泡状物として得た。1H NMR(DMSO−d6)δ:7.36(m,9H,Ph),6.96(m,4H,Ph),4.52(t,1H,JOH,5=5.6Hz,OH),4.10(m,1H,H3),3.81(s,6H,OCH3),3.75(m,3H,H1a,H1b,H4),3.18(m,1H,H5a),3.13(m,1H,H5b),1.48(m,1H,H2a),1.19(m,1H,H2b)。
【0332】
3−O−ジメトキシトリチル−1,4−アンヒドロ−2−デオキシ−D−エリスロ−ペンチトール−5−スクシネート,トリエチルアンモニウム塩(88)
無水コハク酸(3.07g,30.7mmol)およびDMAP(0.34g,2.8mmol)を,ピリジン(30ml)中の87(11.6g,27.6mmol)の溶液に加え,40(Cで一夜反応を進行させた。減圧下で濃縮した後,残渣を酢酸エチルと水との間に分配した。有機層を分離し,冷10%クエン酸で,次に水で洗浄し,硫酸マグネシウムで乾燥し,蒸発させた。残渣をジクロロメタン(60ml)に溶解し,トリエチルアミン(5.8ml,41.4mmol)で処理し,混合物を,ジクロロメタン中2%MeOHおよび2%トリエチルアミンの混合物で予め平衡化したシリカゲルカラムに負荷した。ジクロロメタン中3−10%メタノールおよび0.5%トリエチルアミンの混合物で溶出した後,適当な画分を合わせ,蒸発させ,真空下で一夜乾燥して,88を白色泡状物として得た。収量14.9g,87%。1H NMR(CDCl3)δ:7.40(m,9H,Ph),6.92(m,4H,Ph),4.16(m,1H,H3),3.98(m,4H,H1a,H1b,H4,H5a),3.87(s,6H,OCH3),3.65(m,1H,H5b),3.04(q,6H,CH3−CH 2 −N),2.58(m,4H,CO−CH 2 −CH 2 −CO),1.63(m,1H,H2a),1.53(m,1H,H2b),1.27(t,9H,CH 3 −CH2−N)。
【0333】
実施例11:置換フタルイミドヌクレオシド
化合物5b−e(図3)は,それぞれ化合物4b−eから,図3に示される条件下で合成した。4種類のシチジン5’−O−ジメトキシトリチル−2’−デオキシ−2’−フタルイミド(化合物7b−e,図3)を,異なる条件下で(40%水性メチルアミン,メタノール性メチルアミン,およびメタノール性メチルアミンおよび10%水),5’−O−DMT−2’−アミノシチジンに変換した。すべての場合において,室温で2−3時間後に,薄層クロマトグラフィー(TLC)により判定して,5’−DMT−2’−デオキシ−2’−アミノシチジンの形成において完全なフタロイル脱保護が認められた(表1を参照)。
【0334】
表1:種々のフタルイミドを用いるトリフレートの置換
【表1】
RT: 室温,h:時間
【0335】
表2:種々の触媒を用いるチミジン誘導体の脱ピリミジン化
【表2】
【0336】
これらの実施例は非限定的であることを意味し,当業者は,本発明において記載されるものと類似の戦略を他のヌクレオシドおよびヌクレオシド類似体,例えば,他の2’デオキシ−2’−N−フタロイル,2’−デオキシ−2’−アミノ,2’−O−メチル,LおよびDリボヌクレオシド,C−ヌクレオシド,ヌクレオシド類似体およびC−ヌクレオシド類似体の合成に容易に適合させることができ,これらも本発明の範囲内であることを理解するであろう。
【0337】
本明細書において言及されるすべての特許および刊行物は,本発明の属する技術分野の技術者のレベルを示す。本明細書において引用されるすべての参考文献は,それぞれの参考文献が個々にその全体が本明細書の一部としてここに引用されることと同じ程度に,本明細書の一部として引用される。
【0338】
当業者は,本発明が,その目的を実施し,記載される結果および利点,ならびに本明細書に固有のものを得るためによく適合していることを容易に理解するであろう。本明細書に記載される方法および組成物は,現在のところ好ましい態様の代表的なものであり,例示的なものであって,本発明の範囲を限定することを意図するものではない。当業者は,特許請求の範囲において定義される本発明の精神の中に包含される変更および他の用途をなすであろう。
【0339】
当業者は,本発明の範囲および精神から逸脱することなく,本明細書に開示される本発明に対して種々の置換および改変をなすことが可能であることを容易に理解するであろう。すなわち,そのような追加の態様は,本発明および特許請求の範囲の範囲内である。
【0340】
本明細書に例示的に記載されている発明は,本明細書に特定的に開示されていない任意の要素または限定なしでも適切に実施することができる。本明細書において用いられる用語および表現は,説明の用語として用いるものであり,限定ではない。そのような用語および表現の使用においては,示されかつ記載されている特徴またはその一部の等価物を排除することを意図するものではなく,特許請求の範囲に記載される本発明の範囲中で種々の変更が可能であることが理解される。すなわち,好ましい態様および任意の特徴により本発明を特定的に開示してきたが,当業者には本明細書に記載される概念の変更および変種が可能であり,そのような変更および変種も,明細書および特許請求の範囲に定義される本発明の範囲内であると考えられることが理解されるべきである。
【0341】
さらに,発明の特徴および観点がマーカッシュグループまたは他の代替グループの用語で記載されている場合,当業者は,本発明が,マーカッシュグループまたは他のグループの個々のメンバーまたはサブグループに関してもまた記載されていることを認識するであろう。
【0342】
本明細書に例示的に記載されている発明は,本明細書に特定的に開示されていない任意の要素または限定なしでも適切に実施することができる。本明細書において用いられる用語および表現は,説明の用語として用いるものであり,限定ではない。そのような用語および表現の使用においては,示されかつ記載されている特徴またはその一部の等価物を排除することを意図するものではなく,特許請求の範囲に記載される本発明の範囲中で種々の変更が可能であることが理解される。すなわち,好ましい態様および任意の特徴により本発明を特定的に開示してきたが,当業者には本明細書に記載される概念の変更および変種が可能であり,そのような変更および変種も,明細書および特許請求の範囲に定義される本発明の範囲内であると考えられることが理解されるべきである。
【0343】
当業者は,本発明の方法およびプロセスの使用が,本明細書に記載される化合物に限定されるものではなく,アミノ,および/またはN−フタロイル基を含有する多くの異なるヌクレオシドおよび非ヌクレオシド分子,ならびにL−リボース糖および/またはD−リボース糖官能基を含有する分子の合成に適用しうることを認識するであろう。本発明により企図される修飾ヌクレオシドの非限定的例は,以下の文献に概説されている:Usman and Cedergren,1992,TIBS.17,34;Usman et al.,1994,Nucleic Acids Symp.Ser.31,163;Burgin et al.,1996,Biochemistry,35,14090。
【0344】
他の態様も特許請求の範囲の範囲内である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は,本発明の方法による,2’−デオキシ−2’−アミノヌクレオシド,2’−デオキシ−2’−アミノC−ヌクレオシド,2’−デオキシ−2’−N−フタロイルヌクレオシド,2’−デオキシ−2’−N−フタロイルC−ヌクレオシド,ヌクレオシドホスホルアミダイトおよびC−ヌクレオシドホスホルアミダイトの合成を記述する一般的反応スキームの概略図である。
【図2】図2は,本発明の方法による,2’−O−シリルヌクレオシドホスホルアミダイトおよび2’−O−シリルC−ヌクレオシドホスホルアミダイトの合成を記述する一般的反応スキームの概略図である。
【図3】図3は,本発明の方法による,2’−デオキシ−2’−N−フタロイルシチジン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)(8)および2’−デオキシ−2’−アミノシチジン(9)の合成に関連するスキームの概略図である。
【図4】図4は,本発明の方法による,2’−デオキシ−2’−N−フタロイルウリジン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)(16)および2’−デオキシ−2’−アミノウリジン(17)の合成に関連するスキームの概略図である。
【図5】図5は,本発明の方法による,2’−デオキシ−2’−N−フタロイルアデノシン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)(25)および2’−デオキシ−2’−アミノアデノシン(26)の合成に関連するスキームの概略図である。
【図6】図6は,本発明の方法による,2’−デオキシ−2’−N−フタロイルグアノシン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)(36)および2’−デオキシ−2’−アミノグアノシン(37)の合成に関連するスキームの概略図である。
【図7】図7は,本発明の方法による,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリル−N4−アセチルシチジン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)(43)の合成に関連するスキームの概略図である。
【図8】図8は,本発明の方法による,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリルウリジン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)(48)の合成に関与するスキームの概略図である。
【図9】図9は,本発明の方法による,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリル−N6−ベンゾイルアデノシン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)(54)の合成に関連するスキームの概略図である。
【図10】図10は,本発明の方法による,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリル−N2−イソブチリルグアノシン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)(60)の合成に関連するスキームの概略図である。
【図11】図11は,本発明の方法による,5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−メチル−N2−イソブチリルグアノシン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)(69)および2’−O−メチルグアノシン(70)の合成に関与するスキームの概略図である。
【図12】図12は,例えば,図3の工程IVおよび図4および5の工程IIIにおいて生ずる競合的除去反応の概略図である。
【図13】図13は,本発明の方法による,2’−O−メチルアデノシン(75)の合成に関連するスキームの概略図である。
【図14】図14は,N6−イミダゾールアデノシン中間体を用いる本発明の方法による,2’−O−メチルアデノシン(75)の合成に関連するスキームの概略図である。
【図15】図15は,本発明の方法による1,4−アンヒドロ−2−デオキシ−D−エリスロ−ペンチトール誘導体の合成に関連するスキームの概略図である。
Claims (75)
- 式I:
の化合物を合成する方法であって,
(a)式II:
の化合物に5’,3’−架橋シリル保護基を導入して,式III:
の化合物を生成し;
(b)工程(a)の生成物をアルキルして,式IV:
R1,R2およびR3は式Iにおいて定義したとおりであり,R4は式IIIにおいて定義したとおりである]
の化合物を生成し;そして
(c)工程(b)の生成物を脱保護して式Iの化合物を得る,
の各工程を含む方法。 - 式V:
を有する化合物を合成する方法であって,
(a)式IIの化合物に5’,3’−架橋シリル保護基を導入して式IIIの化合物を生成し;
(b)工程(a)の生成物をアルキル化して式IVの化合物を生成し;
(c)工程(b)の生成物に少なくとも1つの環外のアミン保護成分を導入し,
ただし,工程(b)におけるR1またはR2の少なくとも1つはアミノであり;
(d)工程(c)の生成物を脱保護して式Iの化合物を生成し;そして
(e)工程(d)の生成物に酸不安定性保護成分を,次にリン含有成分を導入して式Vの化合物を得る,
の各工程を含む方法。 - R4がtert−ブチルである,請求項1または2記載の方法。
- R1がアミノであり,R2がHである,請求項1または2記載の方法。
- R1およびR2がアミノである,請求項1または2記載の方法。
- R1がクロロであり,R2がHである,請求項1または2記載の方法。
- 式Iの化合物が2’−O−メチルアデノシンである,請求項1記載の方法。
- 式Vの化合物が5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−メチル−N2−ベンゾイルアデノシン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)である,請求項2記載の方法。
- 工程(b)における前記アルキル化がアルキルハロゲン化物および塩基の存在下で行われる,請求項1または2記載の方法。
- 式VI:
を有する化合物を合成する方法であって,
(a)イノシンに5’,3’−架橋シリル保護基を導入して式VII:
(b)工程(a)の生成物にイミダゾール成分を導入して式VIII:
(c)工程(b)の生成物をアルキル化して式IX:
の化合物を生成し;
(d)工程(c)の生成物をアミノ化して式X:
の化合物を生成し;そして
(e)工程(d)の生成物を脱シリル化して式VIの化合物を得る,
の各工程を含む方法。 - 式VIを有する化合物を合成する方法であって,
(a)イノシンに5’,3’−架橋シリル保護基を導入して,式XI:
(b)工程(a)の生成物にイミダゾール成分を導入して式XII:
(c)工程(b)の生成物をアルキル化して,式XIII:
の化合物を生成し;
(d)工程(c)のをアミノ化して,式XIV:
の化合物を生成し;そして
(e)工程(d)の生成物を脱シリル化して式VIの化合物を得る,
の各工程を含む方法。 - R4がイソプロピルである,請求項10記載の方法。
- R4がtert−ブチルである,請求項11記載の方法。
- R3がメチルである,請求項10または11記載の方法。
- R3がメチルである,請求項12記載の方法。
- 式VIの化合物が2’−O−メチルアデノシンである,請求項10または11記載の方法。
- 工程(c)におけるアルキル化がヨウ化メチルおよび水素化ナトリウムの存在下で行われる,請求項10または11記載の方法。
- アシル成分がベンゾイル成分である,請求項12記載の方法。
- 式XVの化合物が5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−メチル−N2−ベンゾイルアデノシン3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)である,請求項12記載の方法。
- 式XVI:
を有する化合物を合成する方法であって,
(a)式XVII:
の化合物を脱ピリミジン化して,式XVI[式中,R8はシリルアルキル成分であり,R9はHである]の化合物を生成し;
(b)工程(a)の生成物に酸不安定性保護成分を導入して式XVI[式中,R8はシリルアルキル成分であり,R9は酸不安定性保護成分である]の化合物を生成し;
(c)工程(b)の生成物を脱保護して,式XVI[式中,R8はHであり,R9は酸不安定性保護成分である]の化合物を生成し;そして
(d)工程(c)の生成物にスクシネート成分を導入して式XVI[式中,R8はスクシネート成分であり,R9は酸不安定性保護成分である]の化合物を生成する,
の各工程を含む方法。 - 式XVI:
を有する化合物を合成する方法であって,
(a)式XVII:
の化合物を脱ピリミジン化して,式XVI[式中,R8はシリルアルキル成分であり,R9はHである]の化合物を生成し;
(b)工程(a)の生成物に酸不安定性保護成分を導入して,式XVI[式中,R8はシリルアルキル成分であり,R9は酸不安定性保護成分である]の化合物を生成し;
(c)工程(b)の生成物を脱保護して,式XVI[式中,R8はHであり,R9は酸不安定性保護成分である]の化合物を生成し;そして
(d)式XVI[式中,R8はリン含有成分であり,R9は酸不安定性保護成分である]の化合物を得るのに適した条件下で工程(c)の生成物にリン含有成分を導入する,
の各工程を含む方法。 - 式XVIIのシリルアルキル成分が,tert−ブチルジメチルシリル,tert−ブチルジフェニルシリル,またはトリイソプロピルシリルである,請求項21または22記載の方法。
- 工程(b)が,工程(a)の生成物をシリル化試薬および触媒で処理し,次に水素化および選択的脱シリル化して,式XVI[式中,R8はシリルアルキル成分であり,R9はHである]の前記化合物を得ることを含む,請求項21または22記載の方法。
- シリル化試薬がヘキサメチルジシラザンを含む,請求項24記載の方法。
- 触媒が,硫酸,パラトルエンスルホン酸,または硫酸アンモニウムである,請求項24記載の方法。
- 触媒が,スルホン酸,ハロゲン化スルホニル,スルホネートまたはスルファミドである,請求項24記載の方法。
- スルホン酸が,メタンスルホン酸またはトリフルオロメタンスルホン酸である,請求項27記載の方法。
- スルファミドが,メタンスルファミドまたはスルファミドである,請求項27記載の方法。
- ハロゲン化スルホニルが塩化メタンスルホニルである,請求項27記載の方法。
- スルホネートがトリメチルシリルメタンスルホネートである,請求項27記載の方法。
- 選択的脱シリル化が,ピリジニウムトリフルオロ酢酸で処理することを含む,請求項24記載の方法。
- 水素化が,水素ガスおよびパラジウム担持炭素を用いる触媒的水素化である,請求項24記載の方法。
- 工程(c)における脱保護条件が,エタノール中水酸化ナトリウムによる処理を含む,請求項21または22記載の方法。
- 工程(d)の式XVIの化合物が3−O−ジメトキシトリチル−1,4−アンヒドロ−2−デオキシ−D−エリスロ−ペンチトール−5−O−スクシネートである,請求項21記載の方法。
- 工程(d)の式XVIの化合物が3−O−ジメトキシトリチル−1,4−アンヒドロ−2−デオキシ−D−エリスロ−ペンチトール−5−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)である,請求項22記載の方法。
- 酸不安定性保護成分が,ジメトキシトリチル,モノメトキシトリチル,またはトリチルである,請求項2,21または22記載の方法。
- 酸不安定性保護成分が,ジメトキシトリチル,モノメトキシトリチル,またはトリチルである,請求項12記載の方法。
- リン含有成分がホスホルアミダイト成分である,請求項2,21または22記載の方法。
- リン含有成分がホスホルアミダイト成分である,請求項12記載の方法。
- リン含有成分が三リン酸成分である,請求項2,21または22記載の方法。
- リン含有成分が三リン酸成分である,請求項12記載の方法。
- ホスホルアミダイト成分が3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)成分である,請求項40記載の方法。
- 工程(d)におけるアミノ化がアンモニアを用いるアミノ化である,請求項10または11記載の方法。
- 工程(d)におけるアミノ化がアクリルアミドを用いるアミノ化である,請求項10または11記載の方法。
- アクリルアミドがベンズアミドである,請求項45記載の方法。
- 5’,3’−架橋シリル保護基が,塩基の存在下でジ−tert−ブチルシリルビス(トリフルオロメタンスルホネート)を用いて導入される,請求項1記載の方法。
- 5’,3’−架橋シリル保護基が,塩基の存在下で1,3−ジクロロ−1,1,3,3−テトライソプロピルジシロキサンを用いて導入される,請求項2記載の方法。
- 塩基が,トリエチルアミン,ジイソプロピルエチルアミン,ピリジン,コリジン,ルチジン,1−メチルイミダゾール,イミダゾール,N,N−ジメチルアミノピリジン,またはこれらの組み合わせである,請求項47または48記載の方法。
- 工程(c)における前記アルキル化が,アルキルハロゲン化物および塩基の存在下で行われる,請求項10または11記載の方法。
- アルキルハロゲン化物がヨウ化メチルであり,塩基が水素化ナトリウムである,請求項50記載の方法。
- 5’および3’ヒドロキシルの脱保護が,酸,フッ素源,またはこれらの組み合わせである試薬を用いて行われる,請求項1または2記載の方法。
- 試薬が,HF/ピリジン,フッ化テトラブチルアンモニウム,水性HF溶液,HFガス,またはHF/トリエチルアミン付加物である,請求項52記載の方法。
- 工程(a),(b),および(c)が,独立して,約−20(Cから約50(Cの温度で行われる,請求項1記載の方法。
- 工程(a),(b),(c),(d)および(e)が,独立して,約−20(Cから約50(Cの温度で行われる,請求項2記載の方法。
- 工程(a),(b),(c),(d)および(e)が,独立して,約−20(Cから約50(Cの温度で行われる,請求項10記載の方法。
- 工程(a),(b),(c),(d)および(e)が,独立して,約−20(Cから約50(Cの温度で行われる,請求項11記載の方法。
- 工程(a)が,約−20(Cから約50(Cの温度で行われる,請求項12記載の方法。
- 工程(a),(b),(c),および(d)が,独立して,約−20(Cから約50(Cの温度で行われる,請求項21記載の方法。
- 工程(e)におけるリン含有成分が,クロロホスフィンおよび塩基を用いて導入される,請求項2記載の方法。
- 工程(a)におけるリン含有成分が,クロロホスフィンおよび塩基を用いて導入される,請求項12記載の方法。
- 工程(d)におけるリン含有成分が,クロロホスフィンおよび塩基を用いて導入される,請求項21または22記載の方法。
- 塩基が,トリエチルアミン,ジイソプロピルエチルアミン,ピリジン,コリジン,ルチジン,1−メチルイミダゾール,イミダゾール,N,N−ジメチルアミノピリジン,またはこれらの組み合わせである,請求項60および61記載の方法。
- 塩基が,トリエチルアミン,ジイソプロピルエチルアミン,ピリジン,コリジン,ルチジン,1−メチルイミダゾール,イミダゾール,N,N−ジメチルアミノピリジン,またはこれらの組み合わせである,請求項62記載の方法。
- R4がイソプロピルである,請求項65または66記載の化合物。
- R4がtert−ブチルである,請求項67または68記載の化合物。
- R3がメチルである,請求項66または68記載の化合物。
- アルキルハロゲン化物がヨウ化メチルであり,塩基が水素化ナトリウムである,請求項9記載の方法。
- イミダゾール成分が,リン試薬,ハロゲン化アルカン,およびイミダゾールの存在下で導入される,請求項10または11記載の方法。
- リン試薬がトリフェニルホスフィンである,請求項73記載の方法。
- ハロゲン化アルカンが四塩化炭素である,請求項73記載の方法。
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
US23005700P | 2000-09-01 | 2000-09-01 | |
US28657101P | 2001-04-25 | 2001-04-25 | |
PCT/US2001/027116 WO2002018405A2 (en) | 2000-09-01 | 2001-08-31 | Methods for synthesizing nucleosides, nucleoside derivatives and non-nucleoside derivatives |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004522695A true JP2004522695A (ja) | 2004-07-29 |
Family
ID=26923871
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002523919A Pending JP2004522695A (ja) | 2000-09-01 | 2001-08-31 | ヌクレオシド,ヌクレオシド誘導体および非ヌクレオシド誘導体を合成する方法 |
Country Status (8)
Country | Link |
---|---|
US (1) | US6686463B2 (ja) |
EP (1) | EP1313752B1 (ja) |
JP (1) | JP2004522695A (ja) |
AT (1) | ATE506372T1 (ja) |
AU (2) | AU2001286959B2 (ja) |
CA (1) | CA2421040C (ja) |
DE (1) | DE60144479D1 (ja) |
WO (1) | WO2002018405A2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013520395A (ja) * | 2009-02-22 | 2013-06-06 | ケムジーンズ コーポレーション | 治療、診断、g‐テトラド形成オリゴヌクレオシド及びアプタマーといった生物学的応用のための新規修飾を取り入れたアラ‐2’‐o‐メチル‐ヌクレオシド、当該ホスホラミダイト及びオリゴヌクレオチドの合成 |
Families Citing this family (51)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
MY164523A (en) | 2000-05-23 | 2017-12-29 | Univ Degli Studi Cagliari | Methods and compositions for treating hepatitis c virus |
EA200601591A1 (ru) | 2000-05-26 | 2007-02-27 | Айденикс (Кайман) Лимитед | Применение рибонуклеозидных соединений для лечения флавивирусных и пестивирусных инфекций |
US7608600B2 (en) | 2002-06-28 | 2009-10-27 | Idenix Pharmaceuticals, Inc. | Modified 2′ and 3′-nucleoside prodrugs for treating Flaviviridae infections |
US20050136437A1 (en) * | 2003-08-25 | 2005-06-23 | Nastech Pharmaceutical Company Inc. | Nanoparticles for delivery of nucleic acids and stable double-stranded RNA |
US20060019914A1 (en) * | 2004-02-11 | 2006-01-26 | University Of Tennessee Research Foundation | Inhibition of tumor growth and invasion by anti-matrix metalloproteinase DNAzymes |
JP2007531794A (ja) * | 2004-04-05 | 2007-11-08 | アルニラム ファーマスーティカルズ インコーポレイテッド | オリゴヌクレオチドの合成および精製に使用する方法および反応試薬 |
EP1768998A2 (en) | 2004-04-27 | 2007-04-04 | Alnylam Pharmaceuticals Inc. | Single-stranded and double-stranded oligonucleotides comprising a 2-arylpropyl moiety |
EP3034510A1 (en) * | 2004-04-30 | 2016-06-22 | Alnylam Pharmaceuticals Inc. | Oligonucleotides comprising a c5-modified pyrimidine |
US7615618B2 (en) * | 2004-06-30 | 2009-11-10 | Alnylam Pharmaceuticals, Inc. | Oligonucleotides comprising a non-phosphate backbone linkage |
US7579451B2 (en) * | 2004-07-21 | 2009-08-25 | Alnylam Pharmaceuticals, Inc. | Oligonucleotides comprising a modified or non-natural nucleobase |
US7632932B2 (en) | 2004-08-04 | 2009-12-15 | Alnylam Pharmaceuticals, Inc. | Oligonucleotides comprising a ligand tethered to a modified or non-natural nucleobase |
US8658608B2 (en) * | 2005-11-23 | 2014-02-25 | Yale University | Modified triple-helix forming oligonucleotides for targeted mutagenesis |
US8420613B2 (en) | 2006-11-15 | 2013-04-16 | The J. David Gladstone Institutes | Methods and compositions for reducing amyloid beta levels |
EP2099911A2 (en) * | 2007-01-11 | 2009-09-16 | Yale University | Compositions and methods for targeted inactivation of hiv cell surface receptors |
WO2008112218A2 (en) | 2007-03-12 | 2008-09-18 | Antigen Express, Inc. | Li-rnai involved li suppression in cancer immunotherapy |
EP3025727A1 (en) | 2008-10-02 | 2016-06-01 | The J. David Gladstone Institutes | Methods of treating liver disease |
EP2408915A2 (en) | 2009-03-19 | 2012-01-25 | Merck Sharp&Dohme Corp. | RNA INTERFERENCE MEDIATED INHIBITION OF GATA BINDING PROTEIN 3 (GATA3) GENE EXPRESSION USING SHORT INTERFERING NUCLEIC ACID (siNA) |
CN102439151A (zh) | 2009-03-19 | 2012-05-02 | 默沙东公司 | 使用短干扰核酸(siNA)的RNA干扰介导的BTB和CNC同系物1,碱性亮氨酸拉链转录因子1(Bach1)基因表达的抑制 |
US20120035247A1 (en) | 2009-03-19 | 2012-02-09 | Merck Sharp & Dohme Corp. | RNA Interference Mediated Inhibition of Signal Transducer and Activator of Transcription 6 (STAT6) Gene Expression Using Short Interfering Nucleic Acid (siNA) |
US20120016011A1 (en) | 2009-03-19 | 2012-01-19 | Merck Sharp & Dohme Corp. | RNA Interference Mediated Inhibition of Connective Tissue Growth Factor (CTGF) Gene Expression Using Short Interfering Nucleic Acid (siNA) |
WO2010111464A1 (en) | 2009-03-27 | 2010-09-30 | Merck Sharp & Dohme Corp. | RNA INTERFERENCE MEDIATED INHIBITION OF APOPTOSIS SIGNAL-REGULATING KINASE 1 (ASK1) GENE EXPRESSION USING SHORT INTERFERING NUCLEIC ACID (siNA) |
EP2411019A2 (en) | 2009-03-27 | 2012-02-01 | Merck Sharp&Dohme Corp. | RNA INTERFERENCE MEDIATED INHIBITION OF SIGNAL TRANSDUCER AND ACTIVATOR OF TRANSCRIPTION 1 (STAT1) GENE EXPRESSION USING SHORT INTERFERING NUCLEIC ACID (siNA) |
SG174581A1 (en) | 2009-03-27 | 2011-10-28 | Merck Sharp & Dohme | RNA INTERFERENCE MEDIATED INHIBITION OF THE INTERCELLULAR ADHESION MOLECULE 1 (ICAM-1)GENE EXPRESSION USING SHORT INTERFERING NUCLEIC ACID (siNA) |
WO2010111468A2 (en) | 2009-03-27 | 2010-09-30 | Merck Sharp & Dohme Corp. | RNA INTERFERENCE MEDIATED INHIBITION OF THE NERVE GROWTH FACTOR BETA CHAIN (NGFß) GENE EXPRESSION USING SHORT INTERFERING NUCLEIC ACID (SINA) |
JP2012521764A (ja) | 2009-03-27 | 2012-09-20 | メルク・シャープ・エンド・ドーム・コーポレイション | 低分子干渉核酸(siNA)を用いた胸腺間質性リンパ球新生因子(TSLP)遺伝子発現のRNA干渉媒介性阻害 |
WO2011115817A1 (en) * | 2010-03-16 | 2011-09-22 | Isis Pharmaceuticals, Inc. | Methods of preparing 2'-o-substituted purine nucleosides |
EP2552203B1 (en) | 2010-04-01 | 2017-03-22 | Idenix Pharmaceuticals LLC. | Compounds and pharmaceutical compositions for the treatment of viral infections |
CN103068980B (zh) | 2010-08-02 | 2017-04-05 | 瑟纳治疗公司 | 使用短干扰核酸(siNA)的RNA干扰介导的联蛋白(钙粘蛋白关联蛋白质),β1(CTNNB1)基因表达的抑制 |
KR102072631B1 (ko) | 2010-08-17 | 2020-02-03 | 시르나 쎄러퓨틱스 인코퍼레이티드 | 짧은 간섭 핵산 (siNA)을 사용한 B형 간염 바이러스 (HBV) 유전자 발현의 RNA 간섭 매개 억제 |
EP2609106A4 (en) | 2010-08-26 | 2014-03-19 | Merck Sharp & Dohme | RNA INTERFERENCE-MEDIATED INHIBITION OF EXPRESSION OF PHD2 GENE (PROLYL HYDROXYLASE DOMAIN 2) USING SMALL INTERFERING NUCLEIC ACID (PANI) |
EP3766975A1 (en) | 2010-10-29 | 2021-01-20 | Sirna Therapeutics, Inc. | Rna interference mediated inhibition of gene expression using short interfering nucleic acid (sina) |
EP2691409B1 (en) | 2011-03-31 | 2018-02-21 | Idenix Pharmaceuticals LLC. | Compounds and pharmaceutical compositions for the treatment of viral infections |
US8951985B2 (en) | 2011-09-12 | 2015-02-10 | Idenix Pharmaceuticals, Inc. | Compounds and pharmaceutical compositions for the treatment of viral infections |
US20150299696A1 (en) | 2012-05-02 | 2015-10-22 | Sirna Therapeutics, Inc. | SHORT INTERFERING NUCLEIC ACID (siNA) COMPOSITIONS |
US9512162B2 (en) | 2012-07-31 | 2016-12-06 | Ased, Llc | Synthesis of deuterated ribo nucleosides, N-protected phosphoramidites and oligonucleotides |
US9045521B2 (en) * | 2012-07-31 | 2015-06-02 | Ased, Llc | Synthesis of deuterated ribo nucleosides N-protected phosphoramidites, and oligonucleotides |
AU2014302038B2 (en) | 2013-06-25 | 2019-11-14 | Epiaxis Therapeutics Pty Ltd | Methods and compositions for modulating cancer stem cells |
AU2014324092B2 (en) | 2013-09-18 | 2020-02-06 | Epiaxis Therapeutics Pty Ltd | Stem cell modulation II |
CA2958704A1 (en) | 2014-08-25 | 2016-03-03 | University Of Canberra | Compositions for modulating cancer stem cells and uses therefor |
CA2984512A1 (en) | 2015-05-06 | 2016-11-10 | Benitec Biopharma Limited | Reagents for treatment of hepatitis b virus (hbv) infection and use thereof |
EP3302710A4 (en) | 2015-06-03 | 2019-02-20 | The University of Queensland | MOBILIZERS AND USE THEREOF |
US11273167B2 (en) | 2015-08-03 | 2022-03-15 | The Regents Of The University Of California | Compositions and methods for modulating ABHD2 activity |
CN109476706A (zh) | 2016-02-16 | 2019-03-15 | 耶鲁大学 | 用于促进靶向基因编辑的组合物及其使用方法 |
JP7236195B2 (ja) | 2016-04-14 | 2023-03-09 | ベニテック アイピー ホールディングス インコーポレーテッド | 眼咽頭筋ジストロフィー(opmd)の処置のための試薬およびその使用 |
EP3516062A1 (en) | 2016-09-21 | 2019-07-31 | Alnylam Pharmaceuticals, Inc. | Myostatin irna compositions and methods of use thereof |
US11660311B2 (en) | 2017-10-10 | 2023-05-30 | Bristol-Myers Squibb Company | Cyclic dinucleotides as anticancer agents |
SG11202004167XA (en) | 2017-11-08 | 2020-06-29 | Epiaxis Therapeutics Pty Ltd | Immunogenic compositions and uses therefor |
US11897911B2 (en) | 2018-03-07 | 2024-02-13 | Sanofi | Nucleotide precursors, nucleotide analogs and oligomeric compounds containing the same |
WO2021044004A1 (en) | 2019-09-05 | 2021-03-11 | Sanofi | Oligonucleotides containing nucleotide analogs |
KR20220107246A (ko) * | 2019-11-27 | 2022-08-02 | 알닐람 파마슈티칼스 인코포레이티드 | 3'-rna 올리고뉴클레오타이드의 합성 |
WO2022084331A2 (en) | 2020-10-20 | 2022-04-28 | Sanofi | Novel ligands for asialoglycoprotein receptor |
Family Cites Families (14)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US4987071A (en) | 1986-12-03 | 1991-01-22 | University Patents, Inc. | RNA ribozyme polymerases, dephosphorylases, restriction endoribonucleases and methods |
US6469158B1 (en) | 1992-05-14 | 2002-10-22 | Ribozyme Pharmaceuticals, Incorporated | Synthesis, deprotection, analysis and purification of RNA and ribozymes |
JPH0667492A (ja) | 1992-08-24 | 1994-03-11 | N T T Advance Tekunoroji Kk | 像形成方法 |
ATE227342T1 (de) | 1993-09-02 | 2002-11-15 | Ribozyme Pharm Inc | Enzymatische nukleiksaüre die nicht-nukleotide enthaltet |
CA2253382A1 (en) | 1996-01-16 | 1997-07-24 | Ribozyme Pharmaceuticals, Inc. | Synthesis of methoxy nucleosides and enzymatic nucleic acid molecules |
US5998203A (en) | 1996-04-16 | 1999-12-07 | Ribozyme Pharmaceuticals, Inc. | Enzymatic nucleic acids containing 5'-and/or 3'-cap structures |
US5962675A (en) | 1996-02-13 | 1999-10-05 | Ribozyme Pharmaceuticals, Inc. | Chemical syntheses of 2'-O-methoxy purine nucleosides |
US5849902A (en) | 1996-09-26 | 1998-12-15 | Oligos Etc. Inc. | Three component chimeric antisense oligonucleotides |
CA2275964A1 (en) | 1996-12-24 | 1998-07-02 | Ribozyme Pharmaceuticals, Inc. | Synthesis of nucleosides and polynucleotides |
JP3032815B2 (ja) | 1997-02-18 | 2000-04-17 | 工業技術院長 | 2’−o−シリル環状ケイ素化ヌクレオシド誘導体、その製造方法及びこれを用いた2’−o−シリルヌクレオシドの製造方法 |
JP2002510207A (ja) | 1997-06-19 | 2002-04-02 | リボザイム・ファーマシューティカルズ・インコーポレーテッド | 拡張された開裂ルールを有するハンマーヘッドリボザイム |
US6300483B1 (en) | 1997-06-19 | 2001-10-09 | Ribozyme Pharmaceuticals, Inc. | Compositions inducing cleavage of RNA motifs |
WO1999016871A2 (en) | 1997-09-22 | 1999-04-08 | Max-Planck-Gesellschaft Zur Forderung Der Wissensc | Nucleic acid catalysts with endonuclease activity |
AU751480B2 (en) | 1998-04-29 | 2002-08-15 | Ribozyme Pharmaceuticals, Inc. | Nucleoside triphosphates and their incorporation into ribozymes |
-
2001
- 2001-08-31 JP JP2002523919A patent/JP2004522695A/ja active Pending
- 2001-08-31 CA CA002421040A patent/CA2421040C/en not_active Expired - Fee Related
- 2001-08-31 AU AU2001286959A patent/AU2001286959B2/en not_active Ceased
- 2001-08-31 DE DE60144479T patent/DE60144479D1/de not_active Expired - Lifetime
- 2001-08-31 EP EP01966449A patent/EP1313752B1/en not_active Expired - Lifetime
- 2001-08-31 AT AT01966449T patent/ATE506372T1/de not_active IP Right Cessation
- 2001-08-31 AU AU8695901A patent/AU8695901A/xx active Pending
- 2001-08-31 US US09/944,554 patent/US6686463B2/en not_active Expired - Lifetime
- 2001-08-31 WO PCT/US2001/027116 patent/WO2002018405A2/en active Application Filing
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013520395A (ja) * | 2009-02-22 | 2013-06-06 | ケムジーンズ コーポレーション | 治療、診断、g‐テトラド形成オリゴヌクレオシド及びアプタマーといった生物学的応用のための新規修飾を取り入れたアラ‐2’‐o‐メチル‐ヌクレオシド、当該ホスホラミダイト及びオリゴヌクレオチドの合成 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
AU2001286959B2 (en) | 2007-09-06 |
US6686463B2 (en) | 2004-02-03 |
ATE506372T1 (de) | 2011-05-15 |
WO2002018405A2 (en) | 2002-03-07 |
WO2002018405A3 (en) | 2003-01-03 |
US20020120129A1 (en) | 2002-08-29 |
CA2421040C (en) | 2010-01-12 |
EP1313752A2 (en) | 2003-05-28 |
AU8695901A (en) | 2002-03-13 |
EP1313752B1 (en) | 2011-04-20 |
DE60144479D1 (ja) | 2011-06-01 |
CA2421040A1 (en) | 2002-03-07 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US6686463B2 (en) | Methods for synthesizing nucleosides, nucleoside derivatives and non-nucleoside derivatives | |
AU2001286959A1 (en) | Methods for synthesizing nucleosides, nucleoside derivatives and non-nucleoside derivatives | |
Mansuri et al. | Preparation of 1-(2, 3-dideoxy-. beta.-D-glycero-pent-2-enofuranosyl) thymine (d4T) and 2', 3'-dideoxyadenosine (ddA): general methods for the synthesis of 2', 3'-olefinic and 2', 3'-dideoxy nucleoside analogs active against HIV | |
US20020150936A1 (en) | Methods for synthesizing nucleosides, nucleoside derivatives and non-nucleoside derivatives | |
JP4151751B2 (ja) | 新規ビシクロヌクレオシド類縁体 | |
US5677439A (en) | Oligonucleotide analogues containing phosphate diester linkage substitutes, compositions thereof, and precursor dinucleotide analogues | |
ES2516815T3 (es) | Análogos de ácidos nucleicos bicíclicos modificados en la posición 6 | |
JP5677716B2 (ja) | オリゴヌクレオチド類似体を含むキット及び方法並びにオリゴヌクレオチド類似体の使用 | |
JP2711180B2 (ja) | 主鎖修飾されたオリゴヌクレオチド類似体 | |
KR100974917B1 (ko) | 간염 바이러스 감염 치료를 위한 3'- 또는2'-하이드록시메틸 치환된 뉴클레오시드 유도체 | |
JP2002520420A (ja) | 部位特異的キラルホスホロチオエート・ヌクレオシド間結合を有するオリゴヌクレオチド | |
JPH10501809A (ja) | 分子内求核置換による公知および新規2′−ヌクレオシドの新規製造方法 | |
US5892024A (en) | Bifunctional nucleosides, oligomers thereof, and methods of making and using the same | |
Augustyns et al. | Synthesis of 2, 4-dideoxy-. beta.-D-erythro-hexopyranosyl nucleosides | |
JP7263236B2 (ja) | 新規二環式ヌクレオシドおよびそれから調製されたオリゴマー | |
US20040142946A1 (en) | Modified nucleosides and nucleotides and use thereof | |
US5674856A (en) | Modified oligodeoxyribonucleoditides | |
Meher et al. | Nucleobase Protection of Deoxyribo‐and Ribonucleosides | |
JP4255227B2 (ja) | N3’−p5’結合を有する2’,4’−bnaオリゴヌクレオチド | |
CN101410406B (zh) | 6-修饰的双环核酸类似物 | |
RU2131436C1 (ru) | Резистентные к нуклеазе олигонуклеозиды, способ их получения и резистентный к нуклеазе нуклеозидный димер | |
Matulic-Adamic et al. | Synthesis and Incorporation of 5 ″-Amino-and 5′-Mercapto-5′-Deoxy-2′-O-Methyl Nucleosides Into Hammerhead Ribozymes | |
JP2004175708A (ja) | 二環性ナフチリジンヌクレオシド | |
JP2002284793A (ja) | 新規ビシクロヌクレオシド類縁体を含有する核酸試薬 |