JP2004520484A - 光触媒系スパッタリングターゲットと製造方法およびその用途 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
[発明の分野]
本発明は薄膜などの蒸着に用いることができるスパッタリングターゲットを提供する。さらに詳細には、本発明は光触媒皮膜を蒸着するのに用いることができるスパッタリングターゲットを提供する。また、本発明はこのようなターゲットを製造する方法、その用途、およびこのようなターゲットをスパッタリングすることによって被覆される基板を提供する。
【背景技術】
【0002】
[発明の背景]
光触媒皮膜の技術は紫外線を吸収して光触媒作用によって油、植物、油脂、およびグリースなどの有機物を分解するある種の金属酸化物の古くから知られている能力に基づいている。チタニアは最も強力な光触媒作用を有する金属酸化物として知られている。しかし、チタニア以外にも、光触媒活性を有する金属酸化物が知られている。それらの材料の例として、鉄、銀、銅、タングステン、アルミニウム、亜鉛、ストロンチウム、パラジウム、金、プラチナ、ニッケル、およびコバルトなどが挙げられる。
【0003】
窓材および他のガラス製品は光触媒皮膜によって大きな利点を得ることができる。例えば、このような窓材は自己洗浄特性を有する。すなわち、有機物がこのような窓材上に堆積した場合、光触媒皮膜は堆積した有機物を化学的に分解し、ガラス表面を洗浄する効果を発揮する。光触媒によって分解せずに一部の有機物が存続しても、そのような残渣は水洗、または窓材が室外で用いられる場合は雨水によって容易に洗い流される。このように、窓に自己洗浄能力を与える光触媒皮膜は極めて好ましい。
【0004】
光触媒皮膜が施された窓材および他のガラス製品を製造するに当って、多くの解決しなければならない課題がある。1つの重要な課題は、光触媒皮膜を形成するための商業的に実現可能な方法を開発する点にある。そのような商業的に実現可能とほぼ見なされている方法として、湿式プロセスが知られている。湿式プロセスは、光触媒粒子を含む組成物を噴霧、浸漬、スピンコート、または流し込みなどによって基板上に被覆する工程と、基板に対する密着性を向上させるために、組成物に高温加熱処理(例えば、焼結)を施す工程を含む。
【0005】
湿式プロセスは典型的には上記の2つの個別の処理工程を必要とするので、大面積の基板を被覆するのに理想的とは言えない。第1の工程において、皮膜組成物を基板に塗布し、第2の工程において、基板に対する皮膜の密着性を向上し、かつ結晶性を改善することによって光触媒特性を高めるために、被覆された基板を熱処理する。例えば、渡辺らに付与された米国特許第5、874、701号は光触媒皮膜を得るための湿式プロセスを開示している。この特許文献は引例によって本明細書の一部とする。渡辺らはTiO2ゾルをタイル基板に塗布し、次いで、被覆された基板を高温下において焼成し、皮膜を基板に結合させる技術を開示している。この焼成によって、皮膜の結晶性を向上させ、光触媒特性を高めることができると思われる。しかし、この方法は2つの処理工程を必要する欠点があり、単一の処理工程のみを必要とする方法が望まれている。
【0006】
製造上の観点からの不効率さに加え、湿式プロセスは窓ガラスなどに皮膜を形成するのに理想的とは言えない。湿式プロセスによって形成される皮膜は比較的厚くなる。従って、このような皮膜が形成された窓は透過性が低く、かつ反射率が高くなるので好ましくない。さらに、窓に形成される皮膜が厚いと、中間色を得るのが困難である。また、湿式プロセスによって極めて均一な光触媒皮膜を堆積するのも困難である。不均一な厚みの皮膜が形成された窓は曇って不規則に見えるので好ましくない。さらに、不均一な厚みによって、窓にわずかな色変動が生じる。また、湿式プロセスによって形成された光触媒皮膜は多孔性になる傾向にある。その結果、非多孔性の膜と比べて、寿命が短くなる。さらに、埃や他の汚れが多孔性膜にこびりつくおそれがある。このように、湿式プロセスは光触媒窓の皮膜の形成には理想的ではない。
【0007】
光触媒膜を蒸着させる商業的に実現可能なスパッタリングプロセスの開発が望まれている。スパッタによる蒸着は建築用および自動車用ガラス産業においてよく知られた技術である。このプロセスは基板に蒸着させる材料からなるスパッタリングターゲットを用いて行なう。ターゲットは負の電荷を帯び、比較的正の電荷を帯びたアノードがターゲットに隣接してスパッタリングチャンバ内に配置される。次いで、チャンバ内を真空に減圧し、そのチャンバ内にわずかな量の所定のガスを導入することによって、そのガスのプラズマを生成する。プラズマ内の原子はターゲットに衝突し、ターゲットから材料を叩き出し、その材料が基板上にスパッタされる。プラズマの形状を調整し、そのプラズマをターゲットの所定の表面(例えば、基板と対向するターゲットの表面)に隣接した領域に集束させるために、ターゲットの背後にマグネットを配置する技術も業界において知られている。このプロセスは通常マグネトロンスパッタリングと呼ばれている。
【0008】
マグネトロンスパッタリング設備およびプロセスは業界においてよく知られている。例えば、有用なスパッタリング設備およびプロセスが米国特許第4、166、018号(チェーピン)および5、645、699号(シーク)に開示されている。これらの特許文献は引例によって本明細書の一部とする。マグネトロンスッパタリングチャンバは種々の供給業者(例えば、エアコ・アンド・レイボルド社)から市販されている。
【0009】
スパッタによる光触媒膜は、商業的に実現可能という観点から、2つの基本的な要件を満足する必要がある。第1の要件として、そのような膜は極めて高いスパッタリング速度で形成される必要があり、第2の要件として、そのような膜は極めて膜厚が薄い必要がある。さらに、薄い光触媒膜であっても有用であるためには、その膜が極めて効率的である必要がある。すなわち、光触媒膜は最小の膜厚にも関わらず、有機物を効率的に除去する能力を有している必要がある。また、光触媒膜は他の理由からも効率的な薄膜であるのが望ましい。例えば、薄膜は反射率、透過率、および色などの好ましくない変化を生じることなく容易に積層することができる。また、薄膜は短い時間で蒸着することができるので、比較的安価である。
【0010】
光触媒活性を有する多くの材料が知られている。例えば、二酸化チタニウムは多年にわたって塗料業界において顔料として用いられている。さらに最近になって、二酸化チタニウムは光触媒として注目されている。二酸化チタニウム膜はスパッタによって蒸着されている。しかし、二酸化チタニウム膜は自己洗浄光触媒皮膜以外の目的で用いられてきた。
【0011】
二酸化チタニウムのスパッタ蒸着は、従来、2つの基本的な方法によってなされてきた。第1の方法は金属チタニウムからなるターゲットを酸化雰囲気中でスパッタする点に特徴がある。しかし、この方法は極めて時間が掛かるという欠点がある。第2の方法は二酸化チタニウムからなるターゲットを不活性雰囲気中でスパッタする点に特徴がある。しかし、この方法は、二酸化チタニウムが低電気抵抗率であり、高出力レベルで安定してスパッタするのが困難であるという欠点がある。従って、従来、二酸化チタニウムからなるターゲットは低出力/低蒸着速度のスパッタリングにしか利用することができなかった。
【0012】
さらに最近になって、ある種の酸化チタニウムからなるターゲットは極めて高い蒸着速度でスパッタ可能であることが見出されている。これらの「ターゲット(以下、HRTターゲットと呼ぶ)は米国特許出願番号09/024071、09/024240、09/044681、09/101405、および09/589098に開示されている。これらの特許文献は引例によって本明細書の一部とする。HRTターゲットは半化学量論的酸化チタニウムTiOx(xは2未満)からなる。これらのターゲットは高導電率を有し、高い蒸着速度でスパッタさせることができる。従って、これらのターゲットは広範囲のチタニア基膜をスパッタによって形成するのに理想的である。しかし、これらのHRTターゲットが著しい光触媒活性を有する膜を形成するかどうかについては知られていない。
【0013】
HRTターゲットをスパッタすることによって形成された膜に対して光触媒効率試験を行なった結果、これらの膜は光触媒活性が低いことが判明している。さらに効率的な光触媒膜を形成することを意図して、HRTターゲットを種々の異なるプロセス条件下でスパッタした結果、HRTターゲットは効率的な光触媒膜を蒸着するのに理想的ではないことが判明した。
【0014】
薄膜の業界における当業者はこの極めて驚くべき事実に気付いていない。例えば、光触媒活性膜は結晶構造を有していることが知られている。さらに高レベルの光触媒活性を有している膜は大きい結晶によって特徴付けられる結晶構造を有している。業界において知られているように、高蒸着速度で蒸着された膜は大きい結晶を有していない。従って、高蒸着速度のスパッタリングターゲットを用いて極めて高い光触媒活性を有する膜を形成するのは極めて困難である。
【0015】
しかし、本発明者らは、本発明によるターゲットは極めて効率的な光触媒膜を生成し、さらに最終的に得られる膜の光触媒の効率を犠牲にすることなく、極めて高い蒸着速度でスパッタすることができるという驚くべき結果を見出した。このような驚くべき結果はスパッタに用いられる本発明による出発材料に基づいていることが判明している。
【0016】
本発明によるターゲットと異なり、HRTターゲットは塗料に用いる二酸化チタニウム顔料の粒子から形成されている。塗料用の二酸化チタニウム顔料は、顔料の光触媒活性を抑制し、顔料から得られる塗料の寿命を向上させるために、通常、なんらかの処理が施されている。例えば、未処理の二酸化チタニウムから得られる塗料は粒子の光触媒作用による変性によってその結合剤が脱色して白っぽくなるという欠点がある。
【0017】
本発明による光触媒ターゲットは塗料工業の示唆に基づく処理が施されていない光触媒粒子から形成される。HRTターゲットをスパッタすることによって形成した膜と比較して、未処理の粒子をスパッタすることによって形成した膜は極めて高いレベルの光触媒活性を有することが本発明者らによって見出されている。
【0018】
プラズマ溶射とそれに続くスパッタによって出発原料は最終的に基板上に蒸着するまでに、二度、形態および化学的性質などが再構成される。業界においてよく知られているように、プラズマ溶射またはスパッタによって蒸着した材料は、元の塊状材料(ターゲット)の形態および化学的性質を必ずしも保有している必要がない。従って、光触媒粒子をプラズマ溶射することによって形成されたターゲットがスパッタによって必ずしも光触媒膜を生成するわけではなく、実際、どのような膜を生成するかは予期することができない場合が多い。例えば、プラズマ溶射された材料はプラズマ溶射プロセス中に形態および化学的性質などが大きく再構成される。同様に、スパッタされた材料はスパッタプロセス中にターゲットから基板に本質的に一原子ずつ移行する。従って、ターゲット材料はスパッタプロセス中に形態および化学的性質などが全体的に再構成される。さらに、スパッタされた膜の性質は種々のプロセスパラメータ(プラズマエネルギー、粒子共鳴時間、および基板温度など)によっても影響される。その結果、出発原料の形態および化学的性質がプラズマ溶射およびスパッタプロセス中に保有されることは期待することができない。このような観点から、本発明によるターゲットをスパッタすることによって形成された膜が極めて高レベルの光触媒活性を有することはまったく驚くべき結果と言える。
【発明の開示】
【0019】
[発明の要約]
本発明者らは著しく効率的な光触媒特性を有する皮膜を蒸着するのに用いることができるスパッタリングターゲットを製造することが可能であることを見出した。具体的には、ある種の光触媒粒子からなるターゲットを用いることによって、そのような膜をスッパタによって蒸着することができることを見出した。また、本発明者らは本発明によるターゲットが高い出力レベルで安定してスパッタすることが可能であり、その結果、高いスパッタリング速度で膜を蒸着することが可能であることを見出した。従って、本発明によれば、極めて高いスパッタリング速度で、極めて薄いにも関わらず高い光触媒作用を有する膜をスパッタによって蒸着することが可能である。
【0020】
本発明の一態様によれば、スパッタリングターゲットを製造する方法が提供される。本方法は不活性化処理が施されていない光触媒粒子をターゲット基体にプラズマ溶射する工程からなる。好ましい一実施態様によれば、光触媒粒子は二酸化チタニウム粒子であり、プラズマ溶射はターゲット基体が半化学量論的酸化チタニウムTiOx(ただし、xは2未満)によって被覆されるような条件下においてなされる。本発明のさらに他の実施態様によれば、そのような方法によって形成されるスパッタリングターゲットが提供される。本発明のさらに他の実施態様によれば、そのような特性を有するスパッタリングターゲットを用いる蒸着方法が提供される。また、本発明のさらに他の実施態様によれば、上記のターゲットをスパッタすることによって製造される被覆基板が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を添付の図面に基づいてさらに詳細に説明する。
【0022】
[発明の好適な実施例の説明]
マグネトロンスパッタリングターゲットの形態には2つの基本的な種類がある。平面ターゲットはスパッタ可能なターゲット材料からなる比較的大きい矩形のプレート状の形態を有している。このプレート状ターゲットは通常電源に電気的に接続される導電性裏当てに取り付けられている。裏当ては冷却システムおよびスパッタリングプラズマを所定の領域に保持するための磁場を生成するマグネットを備えているとよい。平面ターゲットは業界においてよく知られている。
【0023】
円筒ターゲット(すなわち、回転可能なターゲット)は商業ベースで薄膜を形成する場合によく用いられる形態である。図1および図2は回転可能なターゲットの理想的な形態を示している。図1に示すように、回転可能なターゲット80は通常導電性裏当て82を備えている。導電性裏当て82は、典型的には、剛性のある金属管の形態を有している。この裏当て菅は通常導電性材料からなる。好ましい裏当て材料の例として、アルミニウム、ステンレス鋼、チタニウム、または銅などが挙げられる。剛性のある裏当て菅を用いることによって、マグネットをターゲットの内側に配置し、ターゲットの表面に隣接する帯電プラズマの形状をより正確に制御することができる。
【0024】
スパッタ可能なターゲット材料85の層をこの裏当て菅82の上に担持させる。ターゲット材料85は裏当て菅82の一端から他端に向かって横方向に延在させるとよい。また、一般的に、ターゲット80をスパッタリングチャンバの支柱間に取り付けるために、裏当て菅82の各端における短長部83をターゲット材料85の縁から横方向に延長させるとよい。市販されている最も代表的なスパッタリングチャンバのシステムによれば、チャンバは少なくとも1対の互いに対向するエンドブロックを備え、それらのエンドブロックは裏当て菅82の両側から露出した横方向延長部83をそれぞれ保持するように構成されている。回転可能なターゲットもまた業界においてよく知られている。
【0025】
図2に示すターゲット80は裏当て菅82とターゲット材料85間に比較的薄い結合層70を備えている。ターゲット材料85は、必要に応じて、裏当て菅82上に直接的に形成されてもよい。しかし、ターゲット材料85を裏当て菅82上に強固に付着させるには、結合層70を設ける方が好ましい。結合層70は導電性で、かつ理想的には裏当て菅82とスパッタ可能なターゲット材料85のそれぞれの熱膨張係数の中間の熱膨張係数を有しているとよい。この構成によって、裏当て菅82とターゲット材料85の異なる熱膨張係数によって加熱および冷却時に生じるターゲットの劣化を低減させることができる。このような特性を有する結合層も業界においてよく知られている。
【0026】
ところで、極めて効率的な光触媒膜、すなわち、極めて薄いにも関わらず光触媒として有効な膜を蒸着によって形成するためのスパッタリングターゲットを製造することができることが本発明者らによって見出されている。本発明によるターゲットを「光触媒作用を有するターゲット」と呼ぶこともある。ただし、本発明によるターゲットを光触媒作用を有するターゲットと呼ぶ場合、(ターゲットの材料自身が光触媒活性的であってもよいが)、必ずしもターゲットの材料自身が光触媒活性的である必要はない。むしろ、このようなターゲットは光触媒作用を有する皮膜を蒸着によって形成するのに用いられるターゲットであればよい。前述したように、スパッタによって蒸着した皮膜は、スパッタされる塊状材料の形態または化学的性質を必ずしも保有している必要はない。従って、本発明によるターゲット自身が光触媒作用を有するかどうかは科学的に立証されていないが、そのターゲットからスパッタによって形成された膜は高レベルの光触媒作用を有していることが見出されている。
【0027】
本発明によるターゲットは光触媒粒子から形成される。前述したように、多くの金属酸化物が光触媒として知られている。例えば、好適な光触媒の例として、チタニウム、鉄、銀、銅、タングステン、アルミニウム、亜鉛、ストロンチウム、パラジウム、金、プラチナ、ニッケル、およびコバルトからなる群から選択された金属の酸化物を挙げることができる。これらの材料中、酸化チタニウムは最も強力な光触媒作用を有するが、どのような光触媒を用いてもよい。種々の合金もまた光触媒作用を有することが知られている。従って、本発明によるターゲットは光触媒作用を有する材料またはそのような光触媒材料の合金からなる粒子から生成されるとよい。
【0028】
ある種の光触媒粒子を用いることによって、驚くべき光触媒作用を有するスパッタリングターゲットを得ることができることが本発明者らによって見出されている。すなわち、本発明によるターゲットは不活性化粒子処理が施されていない光触媒粒子から形成される。ここで用いる“不活性化粒子処理”という用語は光触媒粒子の光触媒活性を抑制することを意図するあらゆるプロセスを意味する。具体的には、光触媒粒子を形成するプロセス、あるいは光触媒粒子を形成した後、それらの粒子の光触媒活性を可能な限り小さくするような後続のプロセスを意味する。例えば、光触媒粒子の光触媒活性を可能な限り小さくするために、それらの光触媒粒子に種々の表面処理(粉砕および/または被覆)を施す技術が知られている。
【0029】
本発明の一実施例によれば、ターゲットは不活性皮膜、すなわち、粒子の光触媒活性を抑制することを意図するどのような皮膜処理も実質的に施されていない光触媒粒子から形成される。光触媒粒子は通常それらの粒子の光触媒活性を低減させる無機皮膜によって処理される。例えば、顔料としての二酸化チタニウム粒子は、顔料の光触媒活性を抑制するために(すなわち、粒子の光触媒機能を不活性化するために)、通常、アルミナおよび/またはシリカによって被覆される。前述したように、これらの皮膜は上記の顔料からな塗料などの製品の寿命を改善する機能を有している。このような塗料業界の経験的な技術とは裏腹に、無機皮膜が施された粒子はスパッタリング用光触媒ターゲットの製造には好ましくはない。このような観点から、本発明の好適な一実施例によれば、ターゲットは無機皮膜が実質的に施されていない光触媒粒子から形成される。
【0030】
通常、どのような皮膜処理も施されていない光触媒粒子から本発明によるターゲットを形成するのが最も好ましいが、ある種の皮膜を被覆粒子の光触媒活性を抑制する以外の目的で施してもよい。例えば、ある種の皮膜を施すことによって、所定体積部(例えば、プラズマガンの粉体供給路)内の粒子の流動特性を高めることができる。しかし、一般的に、本発明によるターゲットは被覆されない光触媒粒子から形成するのが好ましい。このような観点から、本発明の特に好適な一実施例によれば、ターゲットは実質的にどのような皮膜も施されていない(すなわち、粒子の外面が保護されていない)光触媒粒子から形成される。
【0031】
本発明によるターゲットは好ましくは高純度の光触媒粒子から形成されるとよい。具体的に、本発明の特に好適な一実施例によれば、ターゲットは結晶格子が改質されていない光触媒粒子から形成される。光触媒材料(例えば、TiO2)を顔料として用いる場合、望ましい顔料の特性を得るために、この材料の結晶格子を改質する場合がある。例えば、二酸化チタニウムの結晶格子は材料の光触媒活性を可能な限り小さくするための不活性化粒子処理としてアルミニウムまたは亜鉛をドープすることによって改質されることがある。すなわち、アルミニウムまたは亜鉛原子を二酸化チタニウムの結晶格子に導入することがある。ドープされた光触媒粒子をターゲット基体上にプラズマ溶射した場合、ドーパントはターゲット材料内において結晶が大きく成長するのを抑制する。同様に、このようなプラズマ溶射によって製造したターゲットをスパッタした場合、ドーパントは再び蒸着膜中において結晶が大きく成長するのを抑制する。すなわち、ドーパントは結晶成長抑制剤として作用する。なお、ここで用いる「結晶成長抑制剤」という用語は結晶が大きく成長するのを抑制するいかなる材料をも意味する。本発明において、効率的な光触媒膜を形成するために結晶を大きく成長させることが重要であり、ドーパントによる改質は好ましくない。従って、通常、本発明によるターゲットは結晶格子が改質されていない光触媒粒子から形成されるとよい。
【0032】
ただし、結晶格子を本発明の目的に沿って意図的に改質した光触媒粒子であれば、そのような粒子を用いて、本発明によるターゲットを形成してもよい。例えば、ある種のドーパント原子を光触媒粒子の結晶格子に導入することによって、その材料の光触媒活性を高めることができる場合がある。この観点から、本発明の他の実施例によれば、光触媒粒子の光触媒活性を高めることを意図して少なくとも1種の材料がドープされた光触媒粒子をプラズマ溶射することによって、ターゲットを製造してもよい。この場合、ドーパントは結晶成長抑制剤として作用しない材料であることが望ましい。
【0033】
二酸化チタニウムは特に本発明によるターゲットの出発原料として好ましい。
二酸化チタニウムは同質三像(同じ化学組成の物質が3種の異なった原子配列を取ること)系である。すなわち、二酸化チタニウムは3つの異なる結晶構造、ルチル相、アナターゼ相、およびブルッカイト相のいずれをも有する。ルチル相およびアナターゼ相は正方晶系であり、ブルッカイト相よりも製造し易い。これらの2つの相の二酸化チタニウムは光触媒として知られている。この観点から、本発明によるターゲットは好ましくはルチルおよび/またはアナターゼ相二酸化チタニウムの光触媒粒子から形成されるとよい。二酸化チタニウム粒子は種々の顔料メーカから市販されている。例えば、二酸化チタニウムはルチル相およびアナターゼ相のいずれもクロノス(Kronos)社から販売されている。
【0034】
本発明の一実施例において、ターゲットはアナターゼ相二酸化チタニウムの被覆されていない粒子から形成される。非被覆アナターゼ相二酸化チタニウム顔料はケミラ・ピグメンツ(Kemira Pigments)社から「KemiraAFDC328」の商品名で市販されている。アナターゼ相二酸化チタニウムはルチル相二酸化チタニウムよりも光触媒活性が高いことが示唆されている。この示唆の根拠は明瞭ではないが、アナターゼ相二酸化チタニウムのバンドギャップエネルギー(3.2eV)はルチル相二酸化チタニウムのバンドギャップエネルギー(3.0eV)よりも高い。バンドギャップエネルギーは電子を半導体が価電子帯から伝導帯に移行させるのに必要な最小エネルギー量を意味する。高い伝導帯エネルギーによって、十分な酸化力を有するアナターゼ相TiO2はO2(2原子酸素)をO2 -(超酸化物)に還元する。超酸化物は有機物を分解するのに重要である。しかし、ルチル相二酸化チタニウムがこの還元を促進できない理由は明らかではない。
【0035】
本発明の他の実施例によれば、ターゲットはアナターゼ二酸化チタニウム粒子とルチル二酸化チタニウム粒子の混合物から形成される。例えば、アナターゼ相とルチル相の酸化チタニウム顔料を混合、粉砕、および/または磨り潰し、粒状組成物を得るとよい。前述したように、二酸化チタニウムはルチル相およびアナターゼ相のいずれもクロノス(Kronos)社から市販されている。
【0036】
本発明によるターゲットは溶融材料、すなわち、熱軟化材料をターゲット裏当てにプラズマ溶射することによって形成される。図3に詳細に示すように、プラズマガン(またはプラズマジェット)50はガス供給源(図示せず)と連通している。プラズマ用ガスはその供給源からカソード52とアノード54間に延在する通路51に流入する。1つ以上の異なる種類のガス(例えば、アルゴン、水素、窒素、ヘリウム)からなるプラズマ用ガスがカソード52とアノード54間を流れる。一方、1つ以上の電気アーク53がカソード52とアノード54間に生成される。これらのアーク53によって加熱されたプラズマ用ガスは極めて高い温度に達し、解離を引き起こし、プラズマを生成する。このプラズマ生成の過程において、プラズマガスは急速に膨張し、その結果、極めて高温のプラズマ流が所定の内容積を有するプラズマガンから急加速されて外部に噴出する。光触媒粒子56は、例えば、プラズマガンの出口近くに取り付けられた粉体供給源55からこの高温プラズマ流に供給され、溶融粒子流59がターゲット裏当て82に向かって加速される。ターゲット裏当て82に蒸着した溶融材料によって、ターゲット材85の皮膜が形成される。プラズマ溶射中、ターゲット基体(裏当て)82をターゲット材85によって均一に被覆するように、ターゲット裏当て82を回転させ、前後に移動させる。
【0037】
本発明による光触媒ターゲットは極めて低い電気抵抗率を有するように製造することができる。具体的に、本発明の好適な実施例による製造方法によれば、DCマグネトロンスパッタリングプロセスおよび他の(35kWを超える)高出力スパッタリングプロセスに用いることができる低抵抗率/高伝導率を有する光触媒ターゲットを製造することができる。すなわち、本発明の特に好適な一実施例によれば、半化学量論的酸化チタニウムTiOx(xは2未満)からなるスパッタリングターゲットを製造するプロセスが提供される。このプロセスによって得られるターゲットの電気抵抗率は0.5Ωcm未満である。
【0038】
本発明によるターゲットを製造するプロセスは二酸化チタニウムをターゲット裏当てにプラズマ溶射する工程を含む。このプラズマ溶射は図3に基づいて述べた方法でなされる。二酸化チタニウム粒子は好ましくは約1から60μmの範囲内、さらに好ましくは、約1から20μmの範囲内の平均粒子径を有しているとよい。粒子径が60μmを超えると、粒子は完全に溶融しない場合がある。一方、粒子径が1μm未満の場合、粉体がターゲット基体上に均一に蒸着せずに溶射チャンバ内に分散するおそれがある。
【0039】
プラズマ溶射は、前述したように、ターゲット基体が半化学量論的酸化チタニウムTiOx(xは2未満)によって被覆されるような条件下で行なわれる。好ましくは、二酸化チタニウム粒子は少なくとも約2000℃の温度を有するプラズマ火炎内に供給されるとよい。二酸化チタニウムにプラズマ火炎を作用させることによって、二酸化チタニウムはその結晶格子からいくつかの酸素原子を喪失する。好ましくは、プラズマ溶射は、チャンバ内において溶射される二酸化チタニウム内に含まれる酸素以外は、実質的に酸素(すなわち、酸素および酸素含有化合物)が存在しない処理雰囲気内で行なわれるとよい。化学量論的二酸化チタニウム、すなわち、TiO2がこのような条件下で溶射されると、その二酸化チタニウムTiO2は半化学量論的酸化チタニウム、すなわち、TiOx(xは2未満)に変換される。従って、このような条件下におけるプラズマ溶射によって、非化学量論的酸素欠乏酸化チタニウムからなるターゲットを得ることができる。
【0040】
好ましくは、アルゴンを本発明のプラズマ溶射方法における主プラズマガスとして用いるとよい。ここで用いる「主プラズマガス」という用語は処理環境において最大濃度を有するガスを意味する。アルゴンはプラズマを容易に形成することができるので、プラズマガスとして好ましい。プラズマ溶射中に二次プラズマガスをアルゴンと共に用いても、アルゴンはプラズマを容易に形成できるので、純アルゴンを用いてプラズマの最初の生成を行なうのが望ましい。アルゴンはまたどのような溶射材料に対しても実質的に不活性である。さらに、他のガスよりもプラズマ溶射ハードウエア(例えば、ノズル)を変質させる程度が少ないという利点がある。
【0041】
アルゴンは主プラズマガスとして好ましいが、通常、プラズマエネルギーを増大させる二次的プラズマガスと共に用いるとよい。ここで用いる「二次的プラズマガス」という用語は処理環境内において主プラズマガスよりも濃度が低いガスを意味する。例えば、少なくとも2000℃、さらに好ましくは2500℃以上の温度で溶射を行なうとよいが、このような高温度の環境を得るには、水素および/またはヘリウムを二次的プラズマガスとして用いるとよい。
【0042】
特に好ましいプラズマ溶射方法によれば、0.02Ωcmという低い電気抵抗率を有するチタニアターゲットを得ることができる。このようなチタニアターゲットは従来のDC電源を用いて高出力レベルでスパッタすることができる。具体的には、上記のチタニアターゲットを100kWの出力レベルでスパッタすることができる。このような方法において、ターゲット基体を半化学量論的酸化チタニウムTiOx(xは2未満、具体的には、約1.55から約1.95の範囲内)によって被覆するような処理雰囲気内で、プラズマ溶射を行なうとよい。この方法において、好ましくは、還元ガスからなる処理雰囲気内においてプラズマ溶射を行なうとよい。例えば、水素は二次的プラズマガスとして好ましく用いられる強力な還元剤である。酸素が著しく欠乏したチタニアをプラズマ溶射によって生成する場合、このような還元ガスの使用が特に好ましい。
【0043】
半化学量論的酸化チタニウムをターゲット基体上に被覆する場合、その半化学量論的酸化チタニウムが酸素を再び吸収してTiO2に再び変換しないような条件下で半化学量論的酸化チタニウムを凝固させるとよい。具体的には、プラズマ溶射環境下に存在する酸素および酸素含有化合物の量を可能な限り少なくした状態で、ターゲット基体を冷却し、半化学量論的酸化チタニウムをその状態を保って急冷するとよい。例えば、水冷システム(温度の制御された水が循環する一連の水ライン)をターゲット基体に設けるとよい。このような構成は低電気抵抗率を有するターゲットを製造する場合に好ましい。何故なら、化学量論的二酸化チタニウムの方が半化学量論的酸化チタニウムよりも導電性が低いからである。
【0044】
本発明のプラズマ溶射法によれば、導電率/抵抗率が極めて均一な光触媒ターゲットを得ることができる。この理由を図2に基づいて説明する。すなわち、前述したような条件下においてターゲットをプラズマ溶射することによって、ターゲット外面に隣接するターゲット材料(すなわち、最外層ターゲット材料85A)の導電率は裏当て菅に隣接するターゲット材料(すなわち、最内層ターゲット材料85B)の導電率と実質的に等しくなる。その結果、実質的に全てのターゲット材料85を安定して極めて高いスパッタリング率(すなわち、高い出力レベル)でスパッタすることが可能になる。
【0045】
一方、ホットプレス法によって形成されたターゲットはこのような均一な電気抵抗率を有することがない。例えば、還元雰囲気(例えば、水素を含む処理雰囲気)中においてホットプレスによって形成されたターゲットは均一に還元されてはいない。還元ガスが最外側のターゲット材料85Aに及ぼす影響よりも還元ガスが最内側のターゲット材料85Bに及ぼす影響の方が小さい。その結果、最内側のターゲット材料85Bは最外側のターゲット材料85Aよりも多くの酸素を含むことになる。従って、ターゲットの内側部分は導電性が低く、ターゲットの外側部分よりも高出力でスパッタするのが困難になる。対照的に、本発明のプラズマ溶射によるターゲットは高出力スパッタリングに理想的である。
【0046】
本発明によるターゲットは高価なアーク分配システム、DC切り替え電源、また、2つのターゲットを中間波長電源によって順次陽極および陰極として用いるツイン・マグ・システム(Twin−Mag System)などを必要としない。また、このようなターゲットは特別のガス制御システムを必要としない。従って、本発明によるターゲットは改造をせずにほとんどの既存のスパッタリング設備に好適に用いることができる。
【0047】
前述のように、本発明の特に好適な実施例による酸化チタニウムからなるスパッタリングターゲットは、酸化チタニウム(すなわち、チタニア)がチタニウム金属よりも高い融点を有しているので、ア―キング(スパッタリング開始初期の異常放電)の問題を著しく低減させることができる。一方、金属チタニウムの場合、その融点が低いので、いわゆる「金属蒸気によるアーキング」の問題が生じる。また、チタニアの融点は比較的高いので、万一、アーキングがスパッタリング中に生じても、ターゲットは殆ど損傷することがない。
【0048】
本発明による光触媒ターゲットは極めて有用である。例えば、本発明の光触媒ターゲットは驚くべき効率的な光触媒膜を蒸着によって形成することができる。すなわち、本発明による光触媒ターゲットは極めて薄い高光触媒活性膜を蒸着によって形成することができる。このようなターゲットは本発明による方法によって低電気抵抗率を有するように作成されるとさらに好ましい。低電気抵抗率を有するターゲットを用いることによって、極めて高いスパッタリング速度で効率的な光触媒膜を形成することができる。また、本発明の他の態様によれば、上記のターゲットを用いて光触媒皮膜を蒸着させる方法が提供される。本方法は不活性化粒子処理が施されていない光触媒粒子をプラズマ溶射することによって得られるスパッタリングターゲットをターゲット基体上に形成する工程と、このターゲットをスパッタすることによって光触媒皮膜を基板(例えば、ガラスシート)上に蒸着させる工程とを含む。また、本発明はこのような方法によって製造される被覆基板を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の好適な一実施例による回転可能なターゲットを示す概略図である。
【図2】図1に示すターゲットの概略断面図である。
【図3】本発明の好適な方法に用いられるプラズマ溶射チャンバの概略側面図である。
Claims (23)
- 光触媒皮膜の蒸着に適したスパッタリングターゲットを製造する方法において、不活性化粒子処理を施さない光触媒粒子をターゲット基体上にプラズマ溶射することを含む方法。
- 前記光触媒粒子は実質的に無機材料による被覆が施されていない請求項1に記載の方法。
- 前記粒子は未改質結晶格子を有する光触媒から形成される請求項1に記載の方法。
- 前記光触媒粒子はチタニウム、鉄、銀、銅、タングステン、アルミニウム、亜鉛、ストンチウム、パラジウム、金、プラチナ、ニッケル、およびコバルトから選択される金属の酸化物を含む請求項1ないし3のいずれか1つに記載の方法。
- 前記光触媒粒子は酸化チタニウムを含む請求項1ないし4のいずれか1つに記載の方法。
- 前記光触媒粒子はルチル相および/またはアナターゼ相二酸化チタニウムを含む請求項1ないし5のいずれか1つに記載の方法。
- 前記光触媒粒子はアナターゼ相二酸化チタニウムを含む請求項1ないし5のいずれか1つに記載の方法。
- 前記ターゲット基体に半化学量論的酸化チタニウムTiOx(xは2未満)を被覆するような条件下において、前記プラズマ溶射を行う請求項1ないし7のいずれか1つに記載の方法。
- 前記光触媒粒子を少なくとも約2000℃の温度を有するプラズマ火炎内に送給する請求項8に記載の方法。
- 前記ターゲット基体に半化学量論的酸化チタニウムTiOx(xは1.55から1.95の範囲内)を被覆するような処理雰囲気において、前記プラズマ溶射を行う請求項8に記載の方法。
- 前記処理雰囲気は還元ガスである請求項10に記載の方法。
- 前記還元ガスは水素である請求項11に記載の方法。
- 前記処理雰囲気は主ガスとしてアルゴンを含み、前記水素は第2ガスである請求項11または12に記載の方法。
- 前記光触媒粒子は1μmから60μmの範囲内の平均粒子径を有している請求項1ないし13に記載の方法。
- 請求項1ないし14に記載の方法によって製造されるスパッタリングターゲット。
- 光触媒皮膜を蒸着させる方法において、請求項15に記載のターゲットをスパッタさせることによって光触媒皮膜を基板上に蒸着させる方法。
- 請求項16に記載の方法によって製造される被覆基板。
- 光触媒皮膜の蒸着に適したスパッタリングターゲットにおいて、前記ターゲットは不活性化粒子処理が施されていない光触媒粒子をターゲット基体上にプラズマ溶射し、前記ターゲット基体上に皮膜を形成することによって製造されるターゲット。
- 前記皮膜は前記ターゲット基体と前記皮膜の外面間で実質的に均一である電気抵抗率を有している請求項18に記載のスパッタリングターゲット。
- 前記皮膜は約0.5Ω・cm未満の電気抵抗率を有する酸化チタニウムを含む請求項18または19に記載のスパッタリングターゲット。
- 前記皮膜は約0.02Ω・cmの電気抵抗率を有する酸化チタニウムを含む請求項18ないし20のいずれか1つに記載のスパッタリングターゲット。
- 光触媒皮膜を形成する方法において、
a)不活性化粒子処理が施されていない光触媒粒子をターゲット基体上にプラズマ溶射することによって製造されたスパッタリングターゲットを準備する工程と、
b)前記ターゲットをスパッタし、光触媒皮膜を基板上に蒸着する工程と
を含む方法。 - 光触媒皮膜を形成する方法によって製造される被覆基板であって、前記方法は
a)不活性化粒子処理が施されていない光触媒粒子をターゲット基体上にプラズマ溶射することによって製造されたスパッタリングターゲットを準備する工程と、
b)前記ターゲットをスパッタし、光触媒皮膜を基板上に蒸着する工程と
を含む被覆基板。
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