JP2004520220A - ブレーキシステム用のマスターシリンダ及び空気圧ブースタ装置 - Google Patents
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Abstract
自動車ブレーキシステム用のマスターシリンダ及びブースタ装置であって、マスターシリンダ（１０）及びブースタ（１２）は、マスターシリンダ（１０）に装着され且つ自動車製造業者に納入するために構成要素（１０−１２）に一時的に固定される別個のブレーキ流体リザーバ（２４）にフレキシブルダクト（２２）によって接続された小さなブレーキ流体リザーバ（２０）を包含する単一構成部品を形成するように組み立てられている。
【選択図】図１
【選択図】図１
Description
【技術分野】
【０００１】
本発明は、自動車ブレーキシステム用のマスターシリンダ及び空気圧ブースタ装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
自動車ブレーキシステムの一部を形成するマスターシリンダ及び空気圧ブレーキブースタは、単一構成部品の形状で自動車製造業者に納入される。
【０００３】
エンジン室内に利用可能なスペースがある場合には、単一のブレーキ流体リザーバは、マスターシリンダに装着され、製造業者に納入される単一構成部品の一部を形成し、従って、製造業者は、エンジン室内に単に装着するだけでよい完成した構成部品を受け取ることとなる。
【０００４】
これに対し、エンジン室内の利用可能なスペースが不十分な場合には、ブレーキ流体リザーバは、一方がマスターシリンダに装着される小さなリザーバ又は“ミニリザーバ”と、他方がマスターシリンダから分離された大容量のリザーバとの２部品から成り、この大容量のリザーバは、エンジン室内の適宜の場所に固定される必要があり、そして流体を流通できるフレキシブルダクトによりミニリザーバに接続される。
【０００５】
一般に、別個のリザーバと、マスターシリンダ、ミニリザーバ及び空気圧ブースタで形成される構成要素とは、異なるサプライヤにより製造業者に納入されており、これは、これらの２つの構成要素及びその接続手段の供給量及び在庫を管理すること、及び、ブレーキ構成部品を車両に装着する際にこれら２つの構成要素を接続することを製造業者に強いることとなり、製造業者が単一構成部品をエンジン室内に単に装着するだけでよい前述のシナリオにおけるよりも、より複雑で高価となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
本発明の特別の目的は、これらの不具合を解消することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
本発明の主題は、あたかも単一品で作られたブレーキ流体リザーバを備えた装置であるかのように、簡単且つ素早く自動車エンジン室内に装着できる２部品のブレーキ流体リザーバを包含する、自動車ブレーキシステム用のマスターシリンダ及び空気圧ブースタ装置である。
【０００８】
この目的のため、本発明は、マスターシリンダに装着された小さなブレーキ流体リザーバを包含するマスターシリンダ及び空気圧ブースタ装置において、別個のブレーキ流体リサーバを一時的に固定する手段をさらに包含することを特徴とするマスターシリンダ及び空気圧ブースタ装置を提供している。
【０００９】
従って、本発明によると、別個のリザーバは、自動車製造業者に納入されるマスターシリンダ及びブースタ装置に一時的に固定されていて、製造業者は、車両のエンジン室内に固定される単一構成部品を受け取り、その後、この構成部品から別個のリザーバを取り外し、リザーバを車両のエンジン室内の所望の場所に固定することとなる。
【００１０】
これは、自動車製造業者が別個のリザーバの供給量及び在庫を管理する必要性を回避し、また、単一構成部品のサプライヤが関連する製造業者から受け取る別個のリザーバの品質管理を行うことができるようにしている。
【００１１】
有益的には、別個のリザーバは、自動車製造業者に納入される構成部品として、流体流通ダクトにより小さなリザーバに接続されており、このダクトは、２つのリザーバを接続する確実なダクトであり、その長さは、自動車エンジン室内で２つのリザーバを分離している距離と、この接続ダクトがエンジン室を通らなければならない経路とによって決定される。
【００１２】
従って、自動車製造業者は、２部品のブレーキ流体リザーバを接続することに関連したすべての問題が解決される。
【００１３】
本発明の他の特徴によると、別個のリザーバを一時的に固定する手段は、クリップ結合又は弾性スナップ結合型式、あるいは代わりとしてねじ・ナット型式である。
【００１４】
特に有益的には、一時的な固定手段の少なくとも一部分は、マスターシリンダ及び／又はブースタに既存する手段から成っている。
【００１５】
本発明の第１の実施例では、一時的な固定手段は、空気圧ブースタに形成された第１手段と、別個のリザーバに形成された第２手段とを包含している。
特に、第１固定手段は、弾性変形可能な材料で作られた密封リングを包含し、このリングはブースタの一方の壁の開口部に嵌装されて、別個のリザーバの壁に形成されたフィンガ又は同等物を収容し保持する。
【００１６】
有益的には、ブースタの壁のこの開口部は、別個のリザーバを一時的に固定する機能以外の機能を有しており、例えば、後に部分真空源への接続手段をなすようにしている。
【００１７】
本発明の他の実施例では、別個のリザーバを一時的に固定する手段は、マスターシリンダ及びブースタから成る装置に固着され、別個のリザーバに堅固に取り付けられた端部片のための通路開口部を備えた突起と、端部片に突起を保持するための手段とを包含する。
【００１８】
有益的には、この端部片は、別個のリザーバを充填排出するための開口部を形成し、前記突起を保持するための前記手段を形成している閉鎖キャップを取り付けている。
【００１９】
この突起自体は、例えばブースタ及び／又はマスターシリンダを固定するねじ付シャンクのようなねじ・ナット連結装置によってマスターシリンダ及びブースタ装置に固定されている。
【００２０】
さらに他の実施例では、別個のリザーバは弾性スナップ結合手段を介して小さなリザーバに装着され、この弾性スナップ結合手段は、リザーバの一方に突出するように形成され、他方のリザーバの盲穴に嵌装される弾性変形可能な材料で作られたリング内に係合保持されるフィンガ又はスタッドを包含する。
【発明を実施するための最良の形態】
【００２１】
例として添付図面を参照して行う下記説明を精読することにより、本発明が一層よく理解され、また、本発明の他の特徴、詳細及び利点がより明白となるであろう。
【００２２】
図１に示した装置は、慣例的な方法で互いに組み立てられ自動車エンジン室内の支持体に固定する手段を備えているタンデムマスターシリンダ１０と空気圧ブレーキブースタ１２とを包含しており、この固定手段は、例えばブースタ１２のケーシングに支持されたねじ１４である。
【００２３】
マスターシリンダ１０は、マスターシリンダの本体の上面に開口する２つのブレーキ流体供給ダクトを備え、このダクト内には、弾性変形可能な材料で作られたリング１６が、ブレーキ流体のミニリザーバ２０の管状端部片１８を収容し固定するように嵌装され、従って、ミニリザーバは弾性スナップ結合によってマスターシリンダに装着される。
【００２４】
このミニリザーバ２０は、車両のエンジン室の利用可能なスペース内でマスターシリンダ上に収容できるように小さな容積を有し、フレキシブルダクト２２によって別個のブレーキ流体リザーバ２４に接続され、ダクト２２はその両端部に、ミニリザーバ２０と別個のリザーバ２４にそれぞれ形成された剛性端部片２８，３０に接続するための端部片２６又は他の手段を有する。
【００２５】
このリザーバ２４は、マスターシリンダ１０とブースタ１２とで形成される構成要素から幾分離間した自動車のエンジン室内の適宜の場所に固定できるようになっており、フレキシブルダクト２２の長さは、２つのリザーバを分離している距離によって、またフレキシブルダクト２２が自動車エンジン室を通る経路によって決定される。
【００２６】
前記のように、リザーバ２４と、マスターシリンダ１０、ブースタ１２及びミニリザーバ２０とから成る構成要素とは、先行技術においては、自動車製造業者に別々に納入され、そして、自動車製造業者は、ねじ１４を用いて構成要素１０，１２，２０を自動車エンジン室内に固定しなけれなならず、エンジン室内の所望の位置にリザーバ２４を固定しなければならず、そしてフレキシブルダクト２２を用いてリザーバ２０及び２４を接続しなければならず、フレキシブルダクトの端部片２６は端部片２８，３０に圧力ばめされるか、あるいは他の方法でこれらの端部片に固着される。
【００２７】
本発明によると、構成要素１０，１２，２０と別個のリザーバ２４は、リザーバ２４を構成要素１０，１２，２０に一時的に固定する手段により、単一構成部品の形状で自動車製造業者に納入される。
【００２８】
図１の例では、一時的に固定する手段は、ブースタ１２のケーシング３２に形成された第１固定手段と、リザーバ２４に形成された第２固定手段とを包含する。
【００２９】
第１固定手段は、ゴム又は同等物のような弾性変形可能な材料で作られたリング３４を包含し、このリングは、ケーシング３２の開口部３６に嵌装され、リザーバ２４に突出するように形成されたフィンガ３８をクリップ結合又は弾性スナップ結合により収容する。
【００３０】
フィンガ３８は、モールド成形によりリザーバ２４との単一構成部品として製作でき、このリザーバはポリプロピレンのようなプラスチックで作られている。
【００３１】
フィンガ３８は、その自由端では、リング３４を弾性変形させることでリング内へ滑り込むことができ且つフィンガ３８をリング３４内に保持する手段として働く拡大頭部４０で終端する。
【００３２】
特に有益な方法では、リング３４及びブースタ１２のケーシング３２の開口部３６は、部分真空源への接続手段を装着するという主要の機能を有する。従って、本発明は、リザーバ２４を一時的に固定するために、ブースタ１２に既存する手段を使用している。換言すると、本発明は、モールド成形によりリザーバ２４にフィンガ３８を形成することを必要とするだけである。
【００３３】
この装置の使用は前述のことから明らかである。
【００３４】
自動車製造業者に供給される単一構成部品は、互いに組み立てられたマスターシリンダ１０とブースタ１２及びマスターシリンダ１０に装着されたミニリザーバ２０だけでなく、ブースタ１２に一時的に固定されるとともにフレキシブルダクト２２によりミニリザーバ２０に接続されたリザーバ２４をも包含する。
【００３５】
この構成部品を受け取る自動車製造業者は、ねじ１４を用いて車両のエンジン室内に構成部品を固定し、次に、弾性変形可能なリング３４から頭部４０を引く抜くために単にリザーバ２４を引張ることにより、リザーバ２４をブースタ１２から取り外し、その後、リザーバ２４がエンジン室内の適宜の場所に固定される。
【００３６】
次に、部分真空源への接続手段は、ブースタのケーシング３２のリング３４に装着することができる。
【００３７】
図２に示した実施例の変形例において、前記ねじ１４の少なくとも１つは、マスターシリンダ１０とブースタ１２とを互いに固定する役割を果たしている。そのため、ねじ１４は、マスターシリンダのフランジ又は半径方向付加部４２の開口部を貫通し、ねじ止めナット４４を取り付ける。
【００３８】
マスターシリンダ１０・ブースタ１２の構成要素にリザーバ２４を一時的に固定する手段は、突起４６、例えば、一端部がねじ１４に装着するための開口部を有するとともに、他端部が別個のリザーバ２４の充填排出用開口部を形成する管状端部片５０に装着するための開口部を有する折曲突起である。この端部片５０は外側にねじを設けられ、突起４６の端部４８をリザーバ２４に固定するねじキャップ５２を取り付けている。同様に、ナット４４は、ねじ１４に固定された突起４６の他端部を保持する。
【００３９】
前記実施例におけるように、フレキシブルダクト２２はリザーバ２０及び２４の管状端部片２８，３０を接続する。
【００４０】
従って、別個のリザーバ２４は、マスターシリンダ１０、ブースタ１２、及びマスターシリンダ１０に装着されたミニリザーバ２０とで、自動車製造業者に納入される単一構成部品を形成する。前記実施例におけるように、自動車製造業者は、まず最初に、前記ねじ１４を用いてブースタ１２を自動車エンジン室内に固定し、次に、リザーバ２４を自由にするために、閉鎖キャップ５２をねじ戻し、突起４６の対応する端部４８に形成した開口部から端部片５０を取り外し、突起４６は、締付けナット４４によって前記ねじ１４に固定したままにしておくことが可能である。
【００４１】
勿論、代案として、閉鎖キャップ５２は、差込みシステムによって、あるいはクリップ結合によって端部片５０に装着されていてよい。
【００４２】
同様に、ねじ１４及び端部片５０に固定するための突起４６の両端部に形成された開口部は、ねじ１４及び端部片５０に半径方向に係合できるスロットに置き換えられてもよい。
【００４３】
前記実施例におけるように、リザーバ２４を一時的に固定する手段のうちの１つは、マスターシリンダ１０及び／又はブースタ１２に既存する手段であることに注目されたい。本発明の実施例のこの変形例における利点の１つは、必要なものが、既存のマスターシリンダ１０とブースタ１２とから成る構成要素に既存のリザーバ２４を一時的に固定するための所望の方法で形作られた突起４６だけであるということである。
【００４４】
従って、本発明のこの変形例は、実施するのが非常に簡単で安価である。
【００４５】
図３及び４に概略的に示した実施例の他の変形例において、別個のリザーバ２４は、弾性クリップ結合によりミニリザーバ２０に一時的に固定される。そのため、リザーバ２４の壁、例えば端壁は、リザーバにモールド成形された突出フィンガ又はスタッド５４を有しており、このフィンガ又はスタッドは、ミニリザーバ２０の壁、例えば上部壁、の盲穴５８内に嵌装される弾性変形可能な材料で作られたリング５６に係合される。
【００４６】
好適には、この盲穴５８は、ミニリザーバ２０の上部壁に突出するように形成された円筒形スタッド６０の内部容積によって形成される。
【００４７】
適切には、支持スタッド６２は、スタッド５４に平行にリザーバ２４の端部壁に突出するように形成され、ミニリザーバ２０の上部壁に休止して、リザーバ２４をミニリザーバ２０に一時的に固定しつつ良好に支持することができる。
【００４８】
この実施例の変形例は、まず最初に、ねじ１４を用いてマスターシリンダ１０・ブースタ１２の構成要素をエンジン室内に固定することにより、次に、リザーバ２４をミニリザーバ２０から分離してエンジン室内の所望の位置に固定することにより、前記と同様の方法で使用される。
【００４９】
図３及び４における実施例の変形例は、リザーバ２０及び２４の軽微な変更により、簡単且つ安価に実施できることに注目されたい。
【図面の簡単な説明】
【００５０】
【図１】本発明による装置の概略軸線方向断面図である。
【図２】この装置の実施例の変形例の概略軸線方向断面図である。
【図３】本発明による装置の実施例の他の変形例の概略軸線方向断面図である。
【図４】図３に示した装置の詳細の拡大概略断面図である。
【符号の説明】
【００５１】
１０ タンデムマスターシリンダ
１２ 空気圧ブレーキブースタ
１４ ねじ
１６ リング
１８ 管状端部片
２０ ミニリザーバ
２２ フレキシブルダクト
２４ 別個のリザーバ
２６ 端部片
２８，３０ 剛性端部片
３２ ケーシング
３４ リング
３６ 開口部
３８ フィンガ
４０ 拡大頭部
４２ フランジ又は半径方向付加部
４４ ねじ止めナット
４６ 突起
４８ 端部
５０ 管状端部片
５２ 閉鎖キャップ
５４ リング
５８ 盲穴
６０ 円筒形スタッド
６２ 支持スタッド
【０００１】
本発明は、自動車ブレーキシステム用のマスターシリンダ及び空気圧ブースタ装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
自動車ブレーキシステムの一部を形成するマスターシリンダ及び空気圧ブレーキブースタは、単一構成部品の形状で自動車製造業者に納入される。
【０００３】
エンジン室内に利用可能なスペースがある場合には、単一のブレーキ流体リザーバは、マスターシリンダに装着され、製造業者に納入される単一構成部品の一部を形成し、従って、製造業者は、エンジン室内に単に装着するだけでよい完成した構成部品を受け取ることとなる。
【０００４】
これに対し、エンジン室内の利用可能なスペースが不十分な場合には、ブレーキ流体リザーバは、一方がマスターシリンダに装着される小さなリザーバ又は“ミニリザーバ”と、他方がマスターシリンダから分離された大容量のリザーバとの２部品から成り、この大容量のリザーバは、エンジン室内の適宜の場所に固定される必要があり、そして流体を流通できるフレキシブルダクトによりミニリザーバに接続される。
【０００５】
一般に、別個のリザーバと、マスターシリンダ、ミニリザーバ及び空気圧ブースタで形成される構成要素とは、異なるサプライヤにより製造業者に納入されており、これは、これらの２つの構成要素及びその接続手段の供給量及び在庫を管理すること、及び、ブレーキ構成部品を車両に装着する際にこれら２つの構成要素を接続することを製造業者に強いることとなり、製造業者が単一構成部品をエンジン室内に単に装着するだけでよい前述のシナリオにおけるよりも、より複雑で高価となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
本発明の特別の目的は、これらの不具合を解消することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
本発明の主題は、あたかも単一品で作られたブレーキ流体リザーバを備えた装置であるかのように、簡単且つ素早く自動車エンジン室内に装着できる２部品のブレーキ流体リザーバを包含する、自動車ブレーキシステム用のマスターシリンダ及び空気圧ブースタ装置である。
【０００８】
この目的のため、本発明は、マスターシリンダに装着された小さなブレーキ流体リザーバを包含するマスターシリンダ及び空気圧ブースタ装置において、別個のブレーキ流体リサーバを一時的に固定する手段をさらに包含することを特徴とするマスターシリンダ及び空気圧ブースタ装置を提供している。
【０００９】
従って、本発明によると、別個のリザーバは、自動車製造業者に納入されるマスターシリンダ及びブースタ装置に一時的に固定されていて、製造業者は、車両のエンジン室内に固定される単一構成部品を受け取り、その後、この構成部品から別個のリザーバを取り外し、リザーバを車両のエンジン室内の所望の場所に固定することとなる。
【００１０】
これは、自動車製造業者が別個のリザーバの供給量及び在庫を管理する必要性を回避し、また、単一構成部品のサプライヤが関連する製造業者から受け取る別個のリザーバの品質管理を行うことができるようにしている。
【００１１】
有益的には、別個のリザーバは、自動車製造業者に納入される構成部品として、流体流通ダクトにより小さなリザーバに接続されており、このダクトは、２つのリザーバを接続する確実なダクトであり、その長さは、自動車エンジン室内で２つのリザーバを分離している距離と、この接続ダクトがエンジン室を通らなければならない経路とによって決定される。
【００１２】
従って、自動車製造業者は、２部品のブレーキ流体リザーバを接続することに関連したすべての問題が解決される。
【００１３】
本発明の他の特徴によると、別個のリザーバを一時的に固定する手段は、クリップ結合又は弾性スナップ結合型式、あるいは代わりとしてねじ・ナット型式である。
【００１４】
特に有益的には、一時的な固定手段の少なくとも一部分は、マスターシリンダ及び／又はブースタに既存する手段から成っている。
【００１５】
本発明の第１の実施例では、一時的な固定手段は、空気圧ブースタに形成された第１手段と、別個のリザーバに形成された第２手段とを包含している。
特に、第１固定手段は、弾性変形可能な材料で作られた密封リングを包含し、このリングはブースタの一方の壁の開口部に嵌装されて、別個のリザーバの壁に形成されたフィンガ又は同等物を収容し保持する。
【００１６】
有益的には、ブースタの壁のこの開口部は、別個のリザーバを一時的に固定する機能以外の機能を有しており、例えば、後に部分真空源への接続手段をなすようにしている。
【００１７】
本発明の他の実施例では、別個のリザーバを一時的に固定する手段は、マスターシリンダ及びブースタから成る装置に固着され、別個のリザーバに堅固に取り付けられた端部片のための通路開口部を備えた突起と、端部片に突起を保持するための手段とを包含する。
【００１８】
有益的には、この端部片は、別個のリザーバを充填排出するための開口部を形成し、前記突起を保持するための前記手段を形成している閉鎖キャップを取り付けている。
【００１９】
この突起自体は、例えばブースタ及び／又はマスターシリンダを固定するねじ付シャンクのようなねじ・ナット連結装置によってマスターシリンダ及びブースタ装置に固定されている。
【００２０】
さらに他の実施例では、別個のリザーバは弾性スナップ結合手段を介して小さなリザーバに装着され、この弾性スナップ結合手段は、リザーバの一方に突出するように形成され、他方のリザーバの盲穴に嵌装される弾性変形可能な材料で作られたリング内に係合保持されるフィンガ又はスタッドを包含する。
【発明を実施するための最良の形態】
【００２１】
例として添付図面を参照して行う下記説明を精読することにより、本発明が一層よく理解され、また、本発明の他の特徴、詳細及び利点がより明白となるであろう。
【００２２】
図１に示した装置は、慣例的な方法で互いに組み立てられ自動車エンジン室内の支持体に固定する手段を備えているタンデムマスターシリンダ１０と空気圧ブレーキブースタ１２とを包含しており、この固定手段は、例えばブースタ１２のケーシングに支持されたねじ１４である。
【００２３】
マスターシリンダ１０は、マスターシリンダの本体の上面に開口する２つのブレーキ流体供給ダクトを備え、このダクト内には、弾性変形可能な材料で作られたリング１６が、ブレーキ流体のミニリザーバ２０の管状端部片１８を収容し固定するように嵌装され、従って、ミニリザーバは弾性スナップ結合によってマスターシリンダに装着される。
【００２４】
このミニリザーバ２０は、車両のエンジン室の利用可能なスペース内でマスターシリンダ上に収容できるように小さな容積を有し、フレキシブルダクト２２によって別個のブレーキ流体リザーバ２４に接続され、ダクト２２はその両端部に、ミニリザーバ２０と別個のリザーバ２４にそれぞれ形成された剛性端部片２８，３０に接続するための端部片２６又は他の手段を有する。
【００２５】
このリザーバ２４は、マスターシリンダ１０とブースタ１２とで形成される構成要素から幾分離間した自動車のエンジン室内の適宜の場所に固定できるようになっており、フレキシブルダクト２２の長さは、２つのリザーバを分離している距離によって、またフレキシブルダクト２２が自動車エンジン室を通る経路によって決定される。
【００２６】
前記のように、リザーバ２４と、マスターシリンダ１０、ブースタ１２及びミニリザーバ２０とから成る構成要素とは、先行技術においては、自動車製造業者に別々に納入され、そして、自動車製造業者は、ねじ１４を用いて構成要素１０，１２，２０を自動車エンジン室内に固定しなけれなならず、エンジン室内の所望の位置にリザーバ２４を固定しなければならず、そしてフレキシブルダクト２２を用いてリザーバ２０及び２４を接続しなければならず、フレキシブルダクトの端部片２６は端部片２８，３０に圧力ばめされるか、あるいは他の方法でこれらの端部片に固着される。
【００２７】
本発明によると、構成要素１０，１２，２０と別個のリザーバ２４は、リザーバ２４を構成要素１０，１２，２０に一時的に固定する手段により、単一構成部品の形状で自動車製造業者に納入される。
【００２８】
図１の例では、一時的に固定する手段は、ブースタ１２のケーシング３２に形成された第１固定手段と、リザーバ２４に形成された第２固定手段とを包含する。
【００２９】
第１固定手段は、ゴム又は同等物のような弾性変形可能な材料で作られたリング３４を包含し、このリングは、ケーシング３２の開口部３６に嵌装され、リザーバ２４に突出するように形成されたフィンガ３８をクリップ結合又は弾性スナップ結合により収容する。
【００３０】
フィンガ３８は、モールド成形によりリザーバ２４との単一構成部品として製作でき、このリザーバはポリプロピレンのようなプラスチックで作られている。
【００３１】
フィンガ３８は、その自由端では、リング３４を弾性変形させることでリング内へ滑り込むことができ且つフィンガ３８をリング３４内に保持する手段として働く拡大頭部４０で終端する。
【００３２】
特に有益な方法では、リング３４及びブースタ１２のケーシング３２の開口部３６は、部分真空源への接続手段を装着するという主要の機能を有する。従って、本発明は、リザーバ２４を一時的に固定するために、ブースタ１２に既存する手段を使用している。換言すると、本発明は、モールド成形によりリザーバ２４にフィンガ３８を形成することを必要とするだけである。
【００３３】
この装置の使用は前述のことから明らかである。
【００３４】
自動車製造業者に供給される単一構成部品は、互いに組み立てられたマスターシリンダ１０とブースタ１２及びマスターシリンダ１０に装着されたミニリザーバ２０だけでなく、ブースタ１２に一時的に固定されるとともにフレキシブルダクト２２によりミニリザーバ２０に接続されたリザーバ２４をも包含する。
【００３５】
この構成部品を受け取る自動車製造業者は、ねじ１４を用いて車両のエンジン室内に構成部品を固定し、次に、弾性変形可能なリング３４から頭部４０を引く抜くために単にリザーバ２４を引張ることにより、リザーバ２４をブースタ１２から取り外し、その後、リザーバ２４がエンジン室内の適宜の場所に固定される。
【００３６】
次に、部分真空源への接続手段は、ブースタのケーシング３２のリング３４に装着することができる。
【００３７】
図２に示した実施例の変形例において、前記ねじ１４の少なくとも１つは、マスターシリンダ１０とブースタ１２とを互いに固定する役割を果たしている。そのため、ねじ１４は、マスターシリンダのフランジ又は半径方向付加部４２の開口部を貫通し、ねじ止めナット４４を取り付ける。
【００３８】
マスターシリンダ１０・ブースタ１２の構成要素にリザーバ２４を一時的に固定する手段は、突起４６、例えば、一端部がねじ１４に装着するための開口部を有するとともに、他端部が別個のリザーバ２４の充填排出用開口部を形成する管状端部片５０に装着するための開口部を有する折曲突起である。この端部片５０は外側にねじを設けられ、突起４６の端部４８をリザーバ２４に固定するねじキャップ５２を取り付けている。同様に、ナット４４は、ねじ１４に固定された突起４６の他端部を保持する。
【００３９】
前記実施例におけるように、フレキシブルダクト２２はリザーバ２０及び２４の管状端部片２８，３０を接続する。
【００４０】
従って、別個のリザーバ２４は、マスターシリンダ１０、ブースタ１２、及びマスターシリンダ１０に装着されたミニリザーバ２０とで、自動車製造業者に納入される単一構成部品を形成する。前記実施例におけるように、自動車製造業者は、まず最初に、前記ねじ１４を用いてブースタ１２を自動車エンジン室内に固定し、次に、リザーバ２４を自由にするために、閉鎖キャップ５２をねじ戻し、突起４６の対応する端部４８に形成した開口部から端部片５０を取り外し、突起４６は、締付けナット４４によって前記ねじ１４に固定したままにしておくことが可能である。
【００４１】
勿論、代案として、閉鎖キャップ５２は、差込みシステムによって、あるいはクリップ結合によって端部片５０に装着されていてよい。
【００４２】
同様に、ねじ１４及び端部片５０に固定するための突起４６の両端部に形成された開口部は、ねじ１４及び端部片５０に半径方向に係合できるスロットに置き換えられてもよい。
【００４３】
前記実施例におけるように、リザーバ２４を一時的に固定する手段のうちの１つは、マスターシリンダ１０及び／又はブースタ１２に既存する手段であることに注目されたい。本発明の実施例のこの変形例における利点の１つは、必要なものが、既存のマスターシリンダ１０とブースタ１２とから成る構成要素に既存のリザーバ２４を一時的に固定するための所望の方法で形作られた突起４６だけであるということである。
【００４４】
従って、本発明のこの変形例は、実施するのが非常に簡単で安価である。
【００４５】
図３及び４に概略的に示した実施例の他の変形例において、別個のリザーバ２４は、弾性クリップ結合によりミニリザーバ２０に一時的に固定される。そのため、リザーバ２４の壁、例えば端壁は、リザーバにモールド成形された突出フィンガ又はスタッド５４を有しており、このフィンガ又はスタッドは、ミニリザーバ２０の壁、例えば上部壁、の盲穴５８内に嵌装される弾性変形可能な材料で作られたリング５６に係合される。
【００４６】
好適には、この盲穴５８は、ミニリザーバ２０の上部壁に突出するように形成された円筒形スタッド６０の内部容積によって形成される。
【００４７】
適切には、支持スタッド６２は、スタッド５４に平行にリザーバ２４の端部壁に突出するように形成され、ミニリザーバ２０の上部壁に休止して、リザーバ２４をミニリザーバ２０に一時的に固定しつつ良好に支持することができる。
【００４８】
この実施例の変形例は、まず最初に、ねじ１４を用いてマスターシリンダ１０・ブースタ１２の構成要素をエンジン室内に固定することにより、次に、リザーバ２４をミニリザーバ２０から分離してエンジン室内の所望の位置に固定することにより、前記と同様の方法で使用される。
【００４９】
図３及び４における実施例の変形例は、リザーバ２０及び２４の軽微な変更により、簡単且つ安価に実施できることに注目されたい。
【図面の簡単な説明】
【００５０】
【図１】本発明による装置の概略軸線方向断面図である。
【図２】この装置の実施例の変形例の概略軸線方向断面図である。
【図３】本発明による装置の実施例の他の変形例の概略軸線方向断面図である。
【図４】図３に示した装置の詳細の拡大概略断面図である。
【符号の説明】
【００５１】
１０ タンデムマスターシリンダ
１２ 空気圧ブレーキブースタ
１４ ねじ
１６ リング
１８ 管状端部片
２０ ミニリザーバ
２２ フレキシブルダクト
２４ 別個のリザーバ
２６ 端部片
２８，３０ 剛性端部片
３２ ケーシング
３４ リング
３６ 開口部
３８ フィンガ
４０ 拡大頭部
４２ フランジ又は半径方向付加部
４４ ねじ止めナット
４６ 突起
４８ 端部
５０ 管状端部片
５２ 閉鎖キャップ
５４ リング
５８ 盲穴
６０ 円筒形スタッド
６２ 支持スタッド
Claims (13)
- マスターシリンダ（１０）に装着された小さなブレーキ流体リザーバ（２０）を包含する自動車ブレーキシステム用のマスターシリンダ及び空気圧ブースタ装置において、別個のブレーキ流体リサーバ（２４）を一時的に固定する手段をさらに包含することを特徴とするマスターシリンダ及び空気圧ブースタ装置。
- 請求項１記載の装置において、前記一時的な固定手段がクリップ結合又は弾性スナップ結合型式であることを特徴とする装置。
- 請求項１記載の装置において、一時的な固定手段がねじ・ナット型式であることを特徴とする装置。
- 請求項１ないし３のいずれか１項に記載の装置において、別個のリザーバ（２４）が流体流通ダクト（２２）により、マスターシリンダ（１０）に装着された小さなリザーバ（２０）に接続されていることを特徴とする装置。
- 請求項１ないし４のいずれか１項に記載の装置において、一時的な固定手段の少なくとも一部分が、マスターシリンダ（１０）及び／又はブースタ（１２）に既存する手段から成ることを特徴とする装置。
- 請求項１ないし５のいずれか１項に記載の装置において、一時的な固定手段が、ブースタ（１２）に形成された第１手段と、別個のリザーバ（２４）に形成された第２手段とを包含することを特徴とする装置。
- 請求項６記載の装置において、第１固定手段が、弾性変形可能な材料で作られたリング（３４）を包含し、このリングがブースタ（１２）の一方の壁の開口部（３６）に嵌装されて、別個のリザーバ（２４）の壁に突出するように形成されたフィンガ（３８）を収容し保持することを特徴とする装置。
- 請求項７記載の装置において、前記第１手段（３４，３６）が後に部分真空源への接続手段をなすようにしていることを特徴とする装置。
- 請求項７又は８記載の装置において、前記フィンガ（３８）が、モールド成形により別個のリザーバ（２４）と一体に形成されていることを特徴とする装置。
- 請求項１ないし５のいずれか１項に記載の装置において、一時的な固定手段が、マスターシリンダ（１０）及びブースタ（１２）から成る装置に固着され、別個のリザーバ（２４）に堅固に取り付けられた端部片（５０）のための通路開口部を備えた突起（４６）と、端部片（５０）に突起（４６）を保持するための手段とを包含することを特徴とする装置。
- 請求項１０記載の装置において、前記端部片（５０）が、別個のリザーバ（２４）を充填排出するための開口部を形成し、突起（４６）を保持するための手段を形成している閉鎖キャップ（５２）を取り付けることを特徴とする装置。
- 請求項１０又は１１記載の装置において、前記突起（４６）が、ブースタ（１２）及び／又はマスターシリンダ（１０）を固定するねじ（１４）に装着するための手段を包含することを特徴とする装置。
- 請求項１ないし５のいずれか１項に記載の装置において、別個のリザーバ（２４）が弾性スナップ結合手段を介して小さなリザーバ（２０）に装着され、この弾性スナップ結合手段が、リザーバの一方に突出するように形成され、他方のリザーバの壁の盲穴（５８）に嵌装される弾性変形可能な材料で作られたリング（５）内に係合保持されるフィンガ又はスタッド（５４）を包含することを特徴とする装置。
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