JP2004519803A - 光情報媒体用フォトレジスト原盤の製造方法および光情報媒体用スタンパの製造方法 - Google Patents
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Abstract
光情報媒体の製造に用いるフォトレジスト原盤において、露光波長の半分程度の最小幅をもつ微細なパターンを形成するに際し、パターン高さの減少を抑え、また、パターン断面プロファイルの鈍りを改善する。基板上にフォトレジスト層を形成し、このフォトレジスト層上からレーザビームを照射してフォトレジスト層に潜像を形成し、この潜像を現像して凹凸パターンを形成することによりフォトレジスト原盤を製造するに際し、基板とフォトレジスト層との間に、フォトレジスト層に接して、前記レーザビームの波長において光吸収性を示す光吸収層を設ける光情報媒体用フォトレジスト原盤の製造方法。
Description
【0001】
技術分野
本発明は、グルーブやプリピットなどの凹凸パターンを有する光情報媒体を製造する際に用いるスタンパを製造する方法と、このスタンパの製造に用いるフォトレジスト原盤を製造する方法とに関する。
【0002】
背景技術
光ディスクには、追記または書き換えが可能な光記録ディスクおよび再生専用ディスクがある。光記録ディスクは、ディスク基板上に記録層を形成したものであり、ディスク基板の表面にはトラッキング用等のためにグルーブ(案内溝)が設けられる。一方、再生専用ディスクでは、ディスク基板表面に、情報をもつピットが一体的に形成される。
【0003】
ディスク基板は、ピットやグルーブのネガパターンを設けたスタンパを用いて、樹脂を射出成形したり、転写したりすることにより製造される。上記スタンパは、通常、Ni等からなる金属膜から構成される。このスタンパを作製するためには、まず、スタンパの型となるフォトレジスト原盤を作製する。
【0004】
フォトレジスト原盤は、一般に以下の工程により製造される。まず、ガラス基板表面にフォトレジスト層を形成する。次いで、レーザビーム等のパターニング用ビームによりフォトレジスト層を露光して潜像パターンを形成した後、現像する。これにより、フォトレジスト層に凹凸パターンが形成されて、フォトレジスト原盤が得られる。
【0005】
このフォトレジスト原盤を用いてスタンパを作製するためには、フォトレジスト層表面に導電性を付与するために、スパッタリングや無電解めっきなどによりNi薄膜等の金属薄膜を形成する。次に、この金属薄膜を下地として電鋳を行い、Ni等からなる電鋳膜を形成する。次いで、金属薄膜および電鋳膜からなる積層体をフォトレジスト層から剥離する。この積層体は、スタンパ(マスタ盤)として用いることができるが、さらにマザー盤を作製し、これをスタンパとして用いることもできる。マザー盤は、マスタ盤の表面に電鋳膜を形成し、この電鋳膜を剥離することにより作製する。この際、マスタ盤の表面を酸化させるなどして、電鋳膜の剥離が容易となるようにしておく。同様な作業により、マザー盤を用いてチャイルド盤を作製し、これをスタンパとして用いることもできる。
【0006】
フォトレジスト原盤の製造工程において、フォトレジスト層に形成される潜像パターンの最小幅は、フォトレジスト層表面におけるレーザビームのスポット径により制限される。ビームスポット径wは、レーザ波長をλ、照射光学系の対物レンズの開口数をNAとしたとき、w=k・λ/NAで表される。なお、kは、対物レンズの開口形状、入射光束の強度分布によって決定される定数である。
【0007】
しかし、スポット径による限界を理論的には超えない幅のパターンであっても、フォトレジスト層の膜減りが生じてパターン高さが減少したり、パターン断面プロファイルの鈍りが生じてシャープさが不十分となったりしやすい。これは、フォトレジスト層とガラス基板との界面においてレーザビームが反射することが大きな原因と考えられる。反射したレーザビームはフォトレジスト層に戻るため、多重露光状態となって潜像パターンを鈍らせると考えられる。このような反射を防止するため、特開平4−263140号公報では、光ディスク用スタンパの製造に用いる無反射コート付きガラス原盤を提案している。同公報に具体的に開示されている無反射コートは、MgF2膜(単層反射防止膜)および誘電体多層膜(多層反射防止膜)であり、いずれも無機材料膜であって、光の干渉を利用した反射防止効果を示すものである。
【0008】
発明の開示
本発明者らは、上記特開平4−263140号公報の記載に基づき、無機材料膜からなる無反射コートを設けた基板を用いてフォトレジスト原盤を作製し、このフォトレジスト原盤を用いてスタンパを作製した。しかし、露光波長の半分程度の最小幅をもつ微細なパターンを形成した場合、無反射コートを設けても、パターン高さの減少を抑える効果は小さく、また、パターンのシャープさはほとんど改善されなかった。
【0009】
本発明は、光情報媒体の製造に用いるフォトレジスト原盤において、露光波長の半分程度の最小幅をもつ微細なパターンを形成するに際し、パターン高さの減少を抑え、また、パターン断面プロファイルの鈍りを改善することを目的とする。
【0010】
このような目的は、下記(1)〜(7)の本発明により達成される。
(1) 基板上にフォトレジスト層を形成し、このフォトレジスト層上からレーザビームを照射してフォトレジスト層に潜像を形成し、この潜像を現像して凹凸パターンを形成することによりフォトレジスト原盤を製造するに際し、
基板とフォトレジスト層との間に、フォトレジスト層に接して、前記レーザビームの波長において光吸収性を示す光吸収層を設ける光情報媒体用フォトレジスト原盤の製造方法。
(2) 前記光吸収層が、前記レーザビームの波長において光吸収性をもつ有機化合物を含有する上記(1)の光情報媒体用フォトレジスト原盤の製造方法。
(3) 前記有機化合物として光開始剤、光開始助剤および染料から選択される少なくとも1種を用いる上記(2)の光情報媒体用フォトレジスト原盤の製造方法。
(4) 前記レーザビームの波長をλE(単位:nm)とし、フォトレジスト層の厚さをtR(単位:nm)としたとき、
tR/λE≦0.6
である上記(1)〜(3)のいずれかの光情報媒体用フォトレジスト原盤の製造方法。
(5) 前記レーザビームの波長をλE(単位:nm)とし、フォトレジスト層に形成される前記凹凸パターンの最小幅をWP(単位:nm)としたとき、
WP/λE≦0.9
である上記(1)〜(4)のいずれかの光情報媒体用フォトレジスト原盤の製造方法。
(6) 上記(1)〜(5)のいずれかの方法により製造された光情報媒体用フォトレジスト原盤を用い、前記フォトレジスト層に形成した前記凹凸パターンを金属膜に転写する工程を有する光情報媒体用スタンパの製造方法。
(7) 前記フォトレジスト層に形成した前記凹凸パターン上に、無電解めっきによりNi薄膜を形成し、このNi薄膜上に電鋳膜を形成し、前記Ni薄膜と前記電鋳膜とからなる金属膜を剥離することにより、前記凹凸パターンが転写された前記金属膜を得る工程を有する上記(6)の光情報媒体用スタンパの製造方法。
【0011】
なお、本明細書において電鋳膜は、当業界(スタンパ製造)において多用されている意味、すなわち、めっきにより形成された膜という意味で用いられる。
【0012】
発明を実施するための最良の形態
本発明では、前記したようにしてフォトレジスト原盤を製造する際に、基板とフォトレジスト層との間に、フォトレジスト層に接して、使用するレーザビームの波長において光吸収性を示す光吸収層を設ける。
【0013】
この光吸収層は、光吸収性をもつ有機化合物(以下、光吸収剤ともいう)を含有することが好ましい。光吸収剤としては、光開始剤、光開始助剤および染料から選択される少なくとも1種の化合物を用いることが好ましい。一般に、光開始剤は光硬化型樹脂と共に用いられ、紫外線等の光を吸収してラジカルを発生する有機化合物である。また、光開始助剤は、自身は紫外線照射により活性化しないが、光開始剤と併用した場合には、光開始剤単独使用より開始反応が促進され、硬化反応が効率的に進む。光開始剤はラジカルを発生して分解するが、光開始助剤は安定であるため、本発明では光開始助剤を用いることがより好ましい。光開始助剤としては、主として脂肪族または芳香族のアミンが使用される。本発明では、光開始助剤として、4,4′−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4′−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシルの少なくとも1種を使用することが好ましく、このうち特にベンゾフェノン系化合物を用いることが好ましい。
【0014】
光吸収剤を含有する光吸収層は、通常、以下の手順で形成することが好ましい。まず、光吸収剤を溶媒に溶解して塗布液を調製する。塗布液には、光吸収剤のほか、必要に応じ熱架橋性化合物を含有させる。光吸収剤に加え熱架橋性化合物を含有する塗膜を形成した後、加熱して塗膜を硬化し、次いで硬化塗膜上にフォトレジスト層を形成すれば、光吸収層とフォトレジスト層との間での混合を抑制することができる。また、このほか、フォトレジスト層との接着性を向上させる接着助剤、界面活性剤などの各種添加物を、必要に応じて塗布液に添加してもよい。なお、基板と光吸収層との間に、光吸収層の接着性を向上させるために、カップリング剤層を設けてもよい。
【0015】
光吸収層中における光吸収剤の含有量は、10〜70質量%とすることが好ましい。この含有量が少なすぎると、十分な光吸収能を得ることが困難となる。一方、この含有量を多くすると、熱架橋性化合物の硬化物の含有量が少なくなってしまうため、光吸収層の膜強度が不十分となる。なお、使用するレーザービームの波長において、光吸収層の吸収係数(本明細書では消衰係数と同義)kは、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.1以上である。この吸収係数が小さいと、光吸収層においてレーザービームを十分に吸収することが困難となる。
【0016】
光吸収層の厚さは特に限定されるものではないが、フォトレジスト層の露光時に露光用のレーザービームを十分に吸収することができる程度の厚さに形成する。光吸収層の厚さが十分でないときには、レーザービームを十分に吸収することができずにフォトレジスト層が多重露光されて潜像が崩れる傾向にある。一方、300nmを超える厚さに光吸収層を形成しても、レーザービームに対する光吸収性が顕著に向上するわけではなく、光吸収層を形成するための材料を無駄に消費することになる。また、光吸収層を300nmを超える厚さに形成した場合には、レーザービームの照射時に光吸収層が過剰に蓄熱し、これに起因してフォトレジスト層が熱分解する結果、安定した露光が困難となる傾向がある。したがって、光吸収層の厚さは、1〜300nmとすることが好ましく、10〜200nmとすることがより好ましい。この場合、上記した光吸収層の蓄熱に起因するフォトレジスト層の熱分解の度合いは、照射するレーザービームの照射パワーに応じて変化する。このため、比較的小パワーのレーザービームを使用して露光するときには、光吸収層の厚さを300nmを超えて500nm以下とすることもできる。
【0017】
本発明では、使用するレーザビームの波長をλE(単位:nm)とし、フォトレジスト層の厚さをtR(単位:nm)としたとき、
tR/λE≦0.6
であるとき、特に
tR/λE≦0.3
であるときに、特に有効である。波長λEに対するフォトレジスト層の相対厚さtR/λEが厚すぎると、基板上面からのレーザビームの反射に起因するパターン断面プロファイルの鈍りが小さくなるので、本発明によるパターン形状改善効果は小さくなる。なお、相対厚さtR/λEは、形成する凹凸パターンの幅と深さとによって制限され、通常、
0.03≦tR/λE
である。
【0018】
また、本発明は、フォトレジスト層に形成される凹凸パターンの最小幅をWP(単位:nm)としたとき、
WP/λE≦0.9
であるとき、特に
WP/λE≦0.5
であるときに、特に有効である。波長λEに対する凹凸パターンの相対最小幅WP/λEが大きすぎると、基板上面からのレーザビームの反射に起因するパターン断面プロファイルの鈍りが小さくなるので、本発明によるパターン形状改善効果は小さくなる。ただし、相対最小幅WP/λEが小さすぎると、光学的制限により、本発明を適用しても高精度のパターンが形成できなくなるので、好ましくは
0.2≦WP/λE
とし、より好ましくは
0.3≦WP/λE
とする。なお、フォトレジスト層に形成する凹凸パターンとは、媒体のグルーブやプリピットを形成するためのパターンである。グルーブを有する媒体を製造する場合における上記最小幅とは、グルーブまたはランド(グルーブ間に存在する領域)を形成するための凹部または凸部の幅の最小値である。
【0019】
本発明で使用するレーザビームの波長λEは特に限定されないが、波長λEが短いほど微細なパターンが形成できる。したがって、波長λEは短いことが好ましい。ただし、著しく短波長のレーザは実用化が困難であり、また、対応するフォトレジストの開発も困難である。そのため、波長λEは、好ましくは200〜500nmとし、より好ましくは230〜420nmとする。
【0020】
本発明は、レーザビームを用いた露光によりパターンを形成する方法に有効である。すなわち、照射面内におけるエネルギー分布が均一ではなくガウス分布をもつ露光光を用いる場合に有効である。
【0021】
本発明において、フォトレジスト層に形成される凹凸パターンの断面形状は、矩形または台形であってもよく、三角形であってもよい。例えば、媒体のグルーブに対応する溝パターンを形成する場合、断面がU字状の溝であってもよく、断面がV字状の溝であってもよい。潜像パターンを形成する際に、フォトレジスト層の下面まで届く程度の十分に高い強度のレーザビームを照射すればU字状の溝が形成され、フォトレジスト層の下面まで届かない比較的弱い強度のレーザビームを照射すればV字状の溝が形成される。なお、これら2種の溝を、1枚のフォトレジスト原盤中に併存させることもできる。
【0022】
本発明において、フォトレジスト原盤の作製に用いる基板の構成材料は特に限定されず、例えば、ガラス、金属、半金属等のいずれであってもよい。
【0023】
ガラス基板に紫外線を入射させて、基板の表面(光入射面)および裏面からの反射光量を測定すると、基板表面からの反射光量のほうが多い。また、ガラス基板の光入射面側に光吸収層を設けた場合、ガラス基板裏面で反射してフォトレジスト層に到達するレーザー光は光吸収層を2度通過することになるため、フォトレジスト層に到達する反射光の強度はきわめて弱くなる。そのため、ガラス基板を用いる場合において、光吸収層を基板の光入射面側に設ける本発明は、ガラス基板の裏面側に光吸収層を設ける場合よりも、フォトレジスト層に対する反射光の影響を小さくすることができる。
【0024】
ただし光吸収層は、必要に応じ、基板表面側に加えて基板の裏面側にも設けてよい。
【0025】
実施例
実施例1
スタンパ No. 1
研磨されたガラス基板上に、カップリング剤層を形成した後、光吸収剤を含有する塗膜をスピンコート法により形成した。塗布液には、4,4′−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンを光吸収剤として含有する東京応化工業(株)製SWK T5D60を用いた。なお、熱硬化後の塗膜のi線(波長365nm)における吸収係数は0.35であり、波長351nmにおける吸収係数は0.31である。この塗膜を180℃で5分間ベーキングして硬化すると共に残留溶剤を除去し、厚さ52nmの光吸収層とした。光吸収層中の光吸収剤の含有量は、60.8質量%であった。
【0026】
次いで、光吸収層上に、フォトレジスト(日本ゼオン(株)製DVR100)をスピンコートし、ベーキングにより残留溶剤を蒸発させて、厚さ24nmのフォトレジスト層とした。
【0027】
次いで、ソニー(株)製カッティングマシンを用い、ピッチ300nm、グルーブ幅(凹凸パターンの最小幅WP)150nmのグルーブパターンの形成を目的として、Krレーザ(波長λE=351nm)によってフォトレジスト層に対し露光を行った。次いで、現像を行って、フォトレジスト原盤を得た。なお、この場合、tR/λEは24/351=0.068である。
【0028】
このフォトレジスト原盤のフォトレジスト層表面に、無電解めっきによりNi薄膜を形成した。次に、このNi薄膜を下地として電鋳を行い、Ni電鋳膜を形成した。次いで、Ni薄膜およびNi電鋳膜からなる積層体をフォトレジスト層から剥離し、スタンパNo.1を得た。
【0029】
スタンパ No. 2
光吸収層として、スパッタリングにより形成した厚さ100nmのCeO2膜を用い、このCeO2膜上にカップリング剤層を形成した後、フォトレジスト層を形成した。このほかはスタンパNo.1作製の際と同様にして、スタンパNo.2を作製した。なお、厚さ100nmのCeO2膜は、前記露光波長において、光の干渉を利用した反射防止膜として機能する。
【0030】
評価
各スタンパに形成された凹凸パターンについて、AFM(原子間力顕微鏡)を用いて凸部の高さ、その半値幅およびその側面の傾斜角を測定した。結果を表1に示す。
【0031】
図1にスタンパNo.1のAFM像を、図2にスタンパNo.2のAFM像をそれぞれ示す。これらのAFM像において、濃色の領域が凹部であり、淡色の領域が凸部である。
【0032】
【表1】
【0033】
表1から本発明の効果が明らかである。すなわち、本発明を適用して製造されたスタンパでは、凹凸パターンの最小幅WPが露光波長λEの1/2より小さいにもかかわらず、断面形状の極めてシャープなパターンが形成されており、また、フォトレジスト層の膜減りが減少した結果、パターニング前のフォトレジスト層厚に極めて近い凸部高さが得られている。
【0034】
実施例2
フォトレジスト層の厚さを25nmとし、また、露光時に設定する凹凸パターンの最小幅(グルーブ幅)WPを表2に示す値とした。そのほかは、実施例1におけるスタンパNo.1作製の際と同様にして、スタンパを作製した。また、比較のために、光吸収層をもたないフォトレジスト原盤を用いたほかは同様にしてスタンパを作製した。
【0035】
これらのスタンパについて、AFMにより凸部の高さおよびその側面の傾斜角を測定した。結果を表2に示す。なお、表2に示す平均傾斜角は、凸部の左側面と右側面との平均値である。
【0036】
【表2】
【0037】
表2から、光吸収層を設けたフォトレジスト原盤を使用することにより、凸部の傾斜角が著しく大きくなること、すなわちパターン断面プロファイルの鈍りが著しく改善されること、がわかる。また、
WP/λE<0.5
であるときに、パターン高さの減少を抑制する効果が特に高くなることがわかる。
【0038】
また、以下に説明する実験を行った。露光波長λEに対するフォトレジスト層の相対厚さtR/λEを1.3とし、そのほかは実施例1におけるスタンパNo.1作製の際と同様にしてスタンパを作製したところ、スタンパに形成されたパターンは十分にシャープであった。しかし、このスタンパを用いて光ディスク基板を作製し、さらにその上に記録膜を形成して光ディスクを作製したところ、この光ディスクでは、光ディスクとして使用するために必要なトラッキング信号(グルーブによる信号)が得られなかった。
【0039】
発明の効果
本発明では、フォトレジスト原盤を作製するに際し、フォトレジスト層に接して光吸収層を設けるため、凹凸パターンの最小幅WPが露光用レーザビームの波長λEの半分以下と小さい場合でも、パターンの高さ減少およびパターン断面プロファイルの鈍りを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
基板上に形成された微細なパターンを示す図面代用写真であって、本発明を利用して製造されたスタンパの原子間力顕微鏡像である。
【図2】
基板上に形成された微細なパターンを示す図面代用写真であって、従来の方法を利用して製造されたスタンパの原子間力顕微鏡像である。
技術分野
本発明は、グルーブやプリピットなどの凹凸パターンを有する光情報媒体を製造する際に用いるスタンパを製造する方法と、このスタンパの製造に用いるフォトレジスト原盤を製造する方法とに関する。
【0002】
背景技術
光ディスクには、追記または書き換えが可能な光記録ディスクおよび再生専用ディスクがある。光記録ディスクは、ディスク基板上に記録層を形成したものであり、ディスク基板の表面にはトラッキング用等のためにグルーブ(案内溝)が設けられる。一方、再生専用ディスクでは、ディスク基板表面に、情報をもつピットが一体的に形成される。
【0003】
ディスク基板は、ピットやグルーブのネガパターンを設けたスタンパを用いて、樹脂を射出成形したり、転写したりすることにより製造される。上記スタンパは、通常、Ni等からなる金属膜から構成される。このスタンパを作製するためには、まず、スタンパの型となるフォトレジスト原盤を作製する。
【0004】
フォトレジスト原盤は、一般に以下の工程により製造される。まず、ガラス基板表面にフォトレジスト層を形成する。次いで、レーザビーム等のパターニング用ビームによりフォトレジスト層を露光して潜像パターンを形成した後、現像する。これにより、フォトレジスト層に凹凸パターンが形成されて、フォトレジスト原盤が得られる。
【0005】
このフォトレジスト原盤を用いてスタンパを作製するためには、フォトレジスト層表面に導電性を付与するために、スパッタリングや無電解めっきなどによりNi薄膜等の金属薄膜を形成する。次に、この金属薄膜を下地として電鋳を行い、Ni等からなる電鋳膜を形成する。次いで、金属薄膜および電鋳膜からなる積層体をフォトレジスト層から剥離する。この積層体は、スタンパ(マスタ盤)として用いることができるが、さらにマザー盤を作製し、これをスタンパとして用いることもできる。マザー盤は、マスタ盤の表面に電鋳膜を形成し、この電鋳膜を剥離することにより作製する。この際、マスタ盤の表面を酸化させるなどして、電鋳膜の剥離が容易となるようにしておく。同様な作業により、マザー盤を用いてチャイルド盤を作製し、これをスタンパとして用いることもできる。
【0006】
フォトレジスト原盤の製造工程において、フォトレジスト層に形成される潜像パターンの最小幅は、フォトレジスト層表面におけるレーザビームのスポット径により制限される。ビームスポット径wは、レーザ波長をλ、照射光学系の対物レンズの開口数をNAとしたとき、w=k・λ/NAで表される。なお、kは、対物レンズの開口形状、入射光束の強度分布によって決定される定数である。
【0007】
しかし、スポット径による限界を理論的には超えない幅のパターンであっても、フォトレジスト層の膜減りが生じてパターン高さが減少したり、パターン断面プロファイルの鈍りが生じてシャープさが不十分となったりしやすい。これは、フォトレジスト層とガラス基板との界面においてレーザビームが反射することが大きな原因と考えられる。反射したレーザビームはフォトレジスト層に戻るため、多重露光状態となって潜像パターンを鈍らせると考えられる。このような反射を防止するため、特開平4−263140号公報では、光ディスク用スタンパの製造に用いる無反射コート付きガラス原盤を提案している。同公報に具体的に開示されている無反射コートは、MgF2膜(単層反射防止膜)および誘電体多層膜(多層反射防止膜)であり、いずれも無機材料膜であって、光の干渉を利用した反射防止効果を示すものである。
【0008】
発明の開示
本発明者らは、上記特開平4−263140号公報の記載に基づき、無機材料膜からなる無反射コートを設けた基板を用いてフォトレジスト原盤を作製し、このフォトレジスト原盤を用いてスタンパを作製した。しかし、露光波長の半分程度の最小幅をもつ微細なパターンを形成した場合、無反射コートを設けても、パターン高さの減少を抑える効果は小さく、また、パターンのシャープさはほとんど改善されなかった。
【0009】
本発明は、光情報媒体の製造に用いるフォトレジスト原盤において、露光波長の半分程度の最小幅をもつ微細なパターンを形成するに際し、パターン高さの減少を抑え、また、パターン断面プロファイルの鈍りを改善することを目的とする。
【0010】
このような目的は、下記(1)〜(7)の本発明により達成される。
(1) 基板上にフォトレジスト層を形成し、このフォトレジスト層上からレーザビームを照射してフォトレジスト層に潜像を形成し、この潜像を現像して凹凸パターンを形成することによりフォトレジスト原盤を製造するに際し、
基板とフォトレジスト層との間に、フォトレジスト層に接して、前記レーザビームの波長において光吸収性を示す光吸収層を設ける光情報媒体用フォトレジスト原盤の製造方法。
(2) 前記光吸収層が、前記レーザビームの波長において光吸収性をもつ有機化合物を含有する上記(1)の光情報媒体用フォトレジスト原盤の製造方法。
(3) 前記有機化合物として光開始剤、光開始助剤および染料から選択される少なくとも1種を用いる上記(2)の光情報媒体用フォトレジスト原盤の製造方法。
(4) 前記レーザビームの波長をλE(単位:nm)とし、フォトレジスト層の厚さをtR(単位:nm)としたとき、
tR/λE≦0.6
である上記(1)〜(3)のいずれかの光情報媒体用フォトレジスト原盤の製造方法。
(5) 前記レーザビームの波長をλE(単位:nm)とし、フォトレジスト層に形成される前記凹凸パターンの最小幅をWP(単位:nm)としたとき、
WP/λE≦0.9
である上記(1)〜(4)のいずれかの光情報媒体用フォトレジスト原盤の製造方法。
(6) 上記(1)〜(5)のいずれかの方法により製造された光情報媒体用フォトレジスト原盤を用い、前記フォトレジスト層に形成した前記凹凸パターンを金属膜に転写する工程を有する光情報媒体用スタンパの製造方法。
(7) 前記フォトレジスト層に形成した前記凹凸パターン上に、無電解めっきによりNi薄膜を形成し、このNi薄膜上に電鋳膜を形成し、前記Ni薄膜と前記電鋳膜とからなる金属膜を剥離することにより、前記凹凸パターンが転写された前記金属膜を得る工程を有する上記(6)の光情報媒体用スタンパの製造方法。
【0011】
なお、本明細書において電鋳膜は、当業界(スタンパ製造)において多用されている意味、すなわち、めっきにより形成された膜という意味で用いられる。
【0012】
発明を実施するための最良の形態
本発明では、前記したようにしてフォトレジスト原盤を製造する際に、基板とフォトレジスト層との間に、フォトレジスト層に接して、使用するレーザビームの波長において光吸収性を示す光吸収層を設ける。
【0013】
この光吸収層は、光吸収性をもつ有機化合物(以下、光吸収剤ともいう)を含有することが好ましい。光吸収剤としては、光開始剤、光開始助剤および染料から選択される少なくとも1種の化合物を用いることが好ましい。一般に、光開始剤は光硬化型樹脂と共に用いられ、紫外線等の光を吸収してラジカルを発生する有機化合物である。また、光開始助剤は、自身は紫外線照射により活性化しないが、光開始剤と併用した場合には、光開始剤単独使用より開始反応が促進され、硬化反応が効率的に進む。光開始剤はラジカルを発生して分解するが、光開始助剤は安定であるため、本発明では光開始助剤を用いることがより好ましい。光開始助剤としては、主として脂肪族または芳香族のアミンが使用される。本発明では、光開始助剤として、4,4′−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4′−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシルの少なくとも1種を使用することが好ましく、このうち特にベンゾフェノン系化合物を用いることが好ましい。
【0014】
光吸収剤を含有する光吸収層は、通常、以下の手順で形成することが好ましい。まず、光吸収剤を溶媒に溶解して塗布液を調製する。塗布液には、光吸収剤のほか、必要に応じ熱架橋性化合物を含有させる。光吸収剤に加え熱架橋性化合物を含有する塗膜を形成した後、加熱して塗膜を硬化し、次いで硬化塗膜上にフォトレジスト層を形成すれば、光吸収層とフォトレジスト層との間での混合を抑制することができる。また、このほか、フォトレジスト層との接着性を向上させる接着助剤、界面活性剤などの各種添加物を、必要に応じて塗布液に添加してもよい。なお、基板と光吸収層との間に、光吸収層の接着性を向上させるために、カップリング剤層を設けてもよい。
【0015】
光吸収層中における光吸収剤の含有量は、10〜70質量%とすることが好ましい。この含有量が少なすぎると、十分な光吸収能を得ることが困難となる。一方、この含有量を多くすると、熱架橋性化合物の硬化物の含有量が少なくなってしまうため、光吸収層の膜強度が不十分となる。なお、使用するレーザービームの波長において、光吸収層の吸収係数(本明細書では消衰係数と同義)kは、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.1以上である。この吸収係数が小さいと、光吸収層においてレーザービームを十分に吸収することが困難となる。
【0016】
光吸収層の厚さは特に限定されるものではないが、フォトレジスト層の露光時に露光用のレーザービームを十分に吸収することができる程度の厚さに形成する。光吸収層の厚さが十分でないときには、レーザービームを十分に吸収することができずにフォトレジスト層が多重露光されて潜像が崩れる傾向にある。一方、300nmを超える厚さに光吸収層を形成しても、レーザービームに対する光吸収性が顕著に向上するわけではなく、光吸収層を形成するための材料を無駄に消費することになる。また、光吸収層を300nmを超える厚さに形成した場合には、レーザービームの照射時に光吸収層が過剰に蓄熱し、これに起因してフォトレジスト層が熱分解する結果、安定した露光が困難となる傾向がある。したがって、光吸収層の厚さは、1〜300nmとすることが好ましく、10〜200nmとすることがより好ましい。この場合、上記した光吸収層の蓄熱に起因するフォトレジスト層の熱分解の度合いは、照射するレーザービームの照射パワーに応じて変化する。このため、比較的小パワーのレーザービームを使用して露光するときには、光吸収層の厚さを300nmを超えて500nm以下とすることもできる。
【0017】
本発明では、使用するレーザビームの波長をλE(単位:nm)とし、フォトレジスト層の厚さをtR(単位:nm)としたとき、
tR/λE≦0.6
であるとき、特に
tR/λE≦0.3
であるときに、特に有効である。波長λEに対するフォトレジスト層の相対厚さtR/λEが厚すぎると、基板上面からのレーザビームの反射に起因するパターン断面プロファイルの鈍りが小さくなるので、本発明によるパターン形状改善効果は小さくなる。なお、相対厚さtR/λEは、形成する凹凸パターンの幅と深さとによって制限され、通常、
0.03≦tR/λE
である。
【0018】
また、本発明は、フォトレジスト層に形成される凹凸パターンの最小幅をWP(単位:nm)としたとき、
WP/λE≦0.9
であるとき、特に
WP/λE≦0.5
であるときに、特に有効である。波長λEに対する凹凸パターンの相対最小幅WP/λEが大きすぎると、基板上面からのレーザビームの反射に起因するパターン断面プロファイルの鈍りが小さくなるので、本発明によるパターン形状改善効果は小さくなる。ただし、相対最小幅WP/λEが小さすぎると、光学的制限により、本発明を適用しても高精度のパターンが形成できなくなるので、好ましくは
0.2≦WP/λE
とし、より好ましくは
0.3≦WP/λE
とする。なお、フォトレジスト層に形成する凹凸パターンとは、媒体のグルーブやプリピットを形成するためのパターンである。グルーブを有する媒体を製造する場合における上記最小幅とは、グルーブまたはランド(グルーブ間に存在する領域)を形成するための凹部または凸部の幅の最小値である。
【0019】
本発明で使用するレーザビームの波長λEは特に限定されないが、波長λEが短いほど微細なパターンが形成できる。したがって、波長λEは短いことが好ましい。ただし、著しく短波長のレーザは実用化が困難であり、また、対応するフォトレジストの開発も困難である。そのため、波長λEは、好ましくは200〜500nmとし、より好ましくは230〜420nmとする。
【0020】
本発明は、レーザビームを用いた露光によりパターンを形成する方法に有効である。すなわち、照射面内におけるエネルギー分布が均一ではなくガウス分布をもつ露光光を用いる場合に有効である。
【0021】
本発明において、フォトレジスト層に形成される凹凸パターンの断面形状は、矩形または台形であってもよく、三角形であってもよい。例えば、媒体のグルーブに対応する溝パターンを形成する場合、断面がU字状の溝であってもよく、断面がV字状の溝であってもよい。潜像パターンを形成する際に、フォトレジスト層の下面まで届く程度の十分に高い強度のレーザビームを照射すればU字状の溝が形成され、フォトレジスト層の下面まで届かない比較的弱い強度のレーザビームを照射すればV字状の溝が形成される。なお、これら2種の溝を、1枚のフォトレジスト原盤中に併存させることもできる。
【0022】
本発明において、フォトレジスト原盤の作製に用いる基板の構成材料は特に限定されず、例えば、ガラス、金属、半金属等のいずれであってもよい。
【0023】
ガラス基板に紫外線を入射させて、基板の表面(光入射面)および裏面からの反射光量を測定すると、基板表面からの反射光量のほうが多い。また、ガラス基板の光入射面側に光吸収層を設けた場合、ガラス基板裏面で反射してフォトレジスト層に到達するレーザー光は光吸収層を2度通過することになるため、フォトレジスト層に到達する反射光の強度はきわめて弱くなる。そのため、ガラス基板を用いる場合において、光吸収層を基板の光入射面側に設ける本発明は、ガラス基板の裏面側に光吸収層を設ける場合よりも、フォトレジスト層に対する反射光の影響を小さくすることができる。
【0024】
ただし光吸収層は、必要に応じ、基板表面側に加えて基板の裏面側にも設けてよい。
【0025】
実施例
実施例1
スタンパ No. 1
研磨されたガラス基板上に、カップリング剤層を形成した後、光吸収剤を含有する塗膜をスピンコート法により形成した。塗布液には、4,4′−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンを光吸収剤として含有する東京応化工業(株)製SWK T5D60を用いた。なお、熱硬化後の塗膜のi線(波長365nm)における吸収係数は0.35であり、波長351nmにおける吸収係数は0.31である。この塗膜を180℃で5分間ベーキングして硬化すると共に残留溶剤を除去し、厚さ52nmの光吸収層とした。光吸収層中の光吸収剤の含有量は、60.8質量%であった。
【0026】
次いで、光吸収層上に、フォトレジスト(日本ゼオン(株)製DVR100)をスピンコートし、ベーキングにより残留溶剤を蒸発させて、厚さ24nmのフォトレジスト層とした。
【0027】
次いで、ソニー(株)製カッティングマシンを用い、ピッチ300nm、グルーブ幅(凹凸パターンの最小幅WP)150nmのグルーブパターンの形成を目的として、Krレーザ(波長λE=351nm)によってフォトレジスト層に対し露光を行った。次いで、現像を行って、フォトレジスト原盤を得た。なお、この場合、tR/λEは24/351=0.068である。
【0028】
このフォトレジスト原盤のフォトレジスト層表面に、無電解めっきによりNi薄膜を形成した。次に、このNi薄膜を下地として電鋳を行い、Ni電鋳膜を形成した。次いで、Ni薄膜およびNi電鋳膜からなる積層体をフォトレジスト層から剥離し、スタンパNo.1を得た。
【0029】
スタンパ No. 2
光吸収層として、スパッタリングにより形成した厚さ100nmのCeO2膜を用い、このCeO2膜上にカップリング剤層を形成した後、フォトレジスト層を形成した。このほかはスタンパNo.1作製の際と同様にして、スタンパNo.2を作製した。なお、厚さ100nmのCeO2膜は、前記露光波長において、光の干渉を利用した反射防止膜として機能する。
【0030】
評価
各スタンパに形成された凹凸パターンについて、AFM(原子間力顕微鏡)を用いて凸部の高さ、その半値幅およびその側面の傾斜角を測定した。結果を表1に示す。
【0031】
図1にスタンパNo.1のAFM像を、図2にスタンパNo.2のAFM像をそれぞれ示す。これらのAFM像において、濃色の領域が凹部であり、淡色の領域が凸部である。
【0032】
【表1】
【0033】
表1から本発明の効果が明らかである。すなわち、本発明を適用して製造されたスタンパでは、凹凸パターンの最小幅WPが露光波長λEの1/2より小さいにもかかわらず、断面形状の極めてシャープなパターンが形成されており、また、フォトレジスト層の膜減りが減少した結果、パターニング前のフォトレジスト層厚に極めて近い凸部高さが得られている。
【0034】
実施例2
フォトレジスト層の厚さを25nmとし、また、露光時に設定する凹凸パターンの最小幅(グルーブ幅)WPを表2に示す値とした。そのほかは、実施例1におけるスタンパNo.1作製の際と同様にして、スタンパを作製した。また、比較のために、光吸収層をもたないフォトレジスト原盤を用いたほかは同様にしてスタンパを作製した。
【0035】
これらのスタンパについて、AFMにより凸部の高さおよびその側面の傾斜角を測定した。結果を表2に示す。なお、表2に示す平均傾斜角は、凸部の左側面と右側面との平均値である。
【0036】
【表2】
【0037】
表2から、光吸収層を設けたフォトレジスト原盤を使用することにより、凸部の傾斜角が著しく大きくなること、すなわちパターン断面プロファイルの鈍りが著しく改善されること、がわかる。また、
WP/λE<0.5
であるときに、パターン高さの減少を抑制する効果が特に高くなることがわかる。
【0038】
また、以下に説明する実験を行った。露光波長λEに対するフォトレジスト層の相対厚さtR/λEを1.3とし、そのほかは実施例1におけるスタンパNo.1作製の際と同様にしてスタンパを作製したところ、スタンパに形成されたパターンは十分にシャープであった。しかし、このスタンパを用いて光ディスク基板を作製し、さらにその上に記録膜を形成して光ディスクを作製したところ、この光ディスクでは、光ディスクとして使用するために必要なトラッキング信号(グルーブによる信号)が得られなかった。
【0039】
発明の効果
本発明では、フォトレジスト原盤を作製するに際し、フォトレジスト層に接して光吸収層を設けるため、凹凸パターンの最小幅WPが露光用レーザビームの波長λEの半分以下と小さい場合でも、パターンの高さ減少およびパターン断面プロファイルの鈍りを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
基板上に形成された微細なパターンを示す図面代用写真であって、本発明を利用して製造されたスタンパの原子間力顕微鏡像である。
【図2】
基板上に形成された微細なパターンを示す図面代用写真であって、従来の方法を利用して製造されたスタンパの原子間力顕微鏡像である。
Claims (7)
- 基板上にフォトレジスト層を形成し、このフォトレジスト層上からレーザビームを照射してフォトレジスト層に潜像を形成し、この潜像を現像して凹凸パターンを形成することによりフォトレジスト原盤を製造するに際し、
基板とフォトレジスト層との間に、フォトレジスト層に接して、前記レーザビームの波長において光吸収性を示す光吸収層を設ける光情報媒体用フォトレジスト原盤の製造方法。 - 前記光吸収層が、前記レーザビームの波長において光吸収性をもつ有機化合物を含有する請求項1の光情報媒体用フォトレジスト原盤の製造方法。
- 前記有機化合物として光開始剤、光開始助剤および染料から選択される少なくとも1種を用いる請求項2の光情報媒体用フォトレジスト原盤の製造方法。
- 前記レーザビームの波長をλE(単位:nm)とし、フォトレジスト層の厚さをtR(単位:nm)としたとき、
tR/λE≦0.6
である請求項1〜3のいずれかの光情報媒体用フォトレジスト原盤の製造方法。 - 前記レーザビームの波長をλE(単位:nm)とし、フォトレジスト層に形成される前記凹凸パターンの最小幅をWP(単位:nm)としたとき、
WP/λE≦0.9
である請求項1〜4のいずれかの光情報媒体用フォトレジスト原盤の製造方法。 - 請求項1〜5のいずれかの方法により製造された光情報媒体用フォトレジスト原盤を用い、前記フォトレジスト層に形成した前記凹凸パターンを金属膜に転写する工程を有する光情報媒体用スタンパの製造方法。
- 前記フォトレジスト層に形成した前記凹凸パターン上に、無電解めっきによりNi薄膜を形成し、このNi薄膜上に電鋳膜を形成し、前記Ni薄膜と前記電鋳膜とからなる金属膜を剥離することにより、前記凹凸パターンが転写された前記金属膜を得る工程を有する請求項6の光情報媒体用スタンパの製造方法。
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